JP5298429B2 - 芳香族スルホン酸エステル誘導体、該芳香族スルホン酸エステル誘導体を有するポリアリーレン、該ポリアリーレンを用いた固体高分子電解質、および該固体高分子電解質から得られるプロトン伝導膜 - Google Patents
芳香族スルホン酸エステル誘導体、該芳香族スルホン酸エステル誘導体を有するポリアリーレン、該ポリアリーレンを用いた固体高分子電解質、および該固体高分子電解質から得られるプロトン伝導膜 Download PDFInfo
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Description
ポリスチレンスルホン酸などのスルホン化ビニル重合体、Nafion(商品名、デュポン)に代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸重合体、パーフルオロアルキルカルボン酸重合体、およびポリベンズイミダゾールあるいはポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性重合体にスルホン酸基もしくはリン酸基を導入することによって得られる重合体などが挙げられる(Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490-2492(1993)(非特許文献1)、Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.735−736(1994)(非特許文献2)、Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993))(非特許文献3)。
置を制御することは困難であった。
イオン解離性基を示す。
しかしながら、特許文献1に記載の重合体は、疎水性ポリマー前駆体を後スルホン化することで得られ、後スルホン化は制御が難しく、環境的にも好ましくない。さらに、活性の高いスルホン化剤の働きにより、重合体の劣化反応や機械的物性の低下が生じることもある。
Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490-2492(1993) Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.735−736(1994) Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993))
[1]下記一般式(1)で表されることを特徴とする芳香族スルホン酸エステル誘導体:
3の整数を示し、(上記式中、Wは水素原子、芳香族基あるいは−B−(SO3H)m(ここで、Bは直接結合あるいは芳香族基を示し;mは0〜2の整数である)で表される基を示し;Aは直接結合あるいは芳香族基を示し;kは1〜3の整数を示す)
[2]Wが下記一般式(2)で表されることを特徴とする[1]の芳香族スルホン酸エステル誘導体:
−B−(SO3Rb)m (2)
(上記式中、Bは直接結合あるいは芳香族基を示し;Rbは炭素数1〜20の炭化水素基を示し;mは0〜2の整数である。)
[3]RaおよびRbがそれぞれ独立に、直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、脂環式炭化水
素基および5員複素環を有する炭化水素基から選ばれる、炭素数4〜20の基であることを特徴とする[1]の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
[4]前記一般式(1)において、Aが芳香族基である場合には、YがXに対してメタ位も
しくはパラ位であり、Aが直接結合である場合には、YがXに対してメタ位である[1]の
芳香族スルホン酸エステル誘導体。
[5]AおよびBが、それぞれ独立にフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセ
ニル基およびフェナントレニル基からなる群から選ばれる基であることを特徴とする[2]
の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
[6]AおよびBが結合してナフタレニル、アントラセニル、フェナントレニルおよびこれ
らのベンゾ誘導体からなる群から選ばれる縮合環構造を形成することを特徴とする[2]の
芳香族スルホン酸エステル誘導体。
[7]芳香族化合物に由来する繰り返し構造単位からなるポリアリーレンであって、少なく
とも下記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位を有することを特徴とするポリアリー
レン:
す。)
[8]上記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位とともに、下記一般式(A’)で表される繰り返し構造単位を含み、上記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位が0.5〜100モル%(ただし100モル%は含まない)の量で、(A’)で表される繰り返し構造
単位を0〜99.5モル%の量で含有する[7]のポリアリーレン:
いはハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−および−S−からなる群から選ばれる二価の基を示し;B’は酸素原子あるいは硫黄原子を示し;R1ないしR16は同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アル
キル基、部分的あるいは完全にハロゲン置換されたハロゲン化アルキル基、アリール基、アリル基、ニトロ基およびニトリル基から選ばれる少なくとも一つの原子あるいは基を示し;sおよびtは独立に0〜4の整数を示し、rは0もしくは正の整数である。)
[9]式(1’)で表される構成単位を加水分解して誘導される構成単位を有することを特徴とする[7]または[8]のポリアリーレンを加水分解することによって導かれる繰り返し構造単位からなることを特徴とするポリアリーレン。
[10]前記一般式(1’)において、Aが芳香族基である場合には、上記式(1’)は以下の
構造であり、
[10][9]のポリアリーレンからなることを特徴とする固体高分子電解質。
[11][10]の固体高分子電解質からなることを特徴とするプロトン伝導膜。
[新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体]
本発明の芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(1)で表される。
されないが、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびフェナントラセニル基が挙げられる。このうち、フェニル基およびナフチル基が好ましい。このような基であると、高分子量の重合体が得やすく、また得られる重合体の溶解性が優れる。
すなわち、前記一般式(1)において、Aが芳香族基である場合には、YがXに対してメタ位もしくはパラ位であり、Aが直接結合である場合には、YがXに対してメタ位であることが好ましい。これらの位に置換基を有しておくと、芳香族スルホン酸化合物を用い
て固体高分子電解質を作製してときに、高分子量の重合体が得やすく、このような固体高分子電解質を含有するプロトン伝導膜は優れた機械的強度を示す。
Wは水素原子、芳香族基あるいは−B−(SO3Rb)m(ここで、Bは芳香族基、Rbは炭素数1〜20の炭化水素基、mは0〜2の整数である)で表される基を示し、特に−B−(SO3Rb)mであることが好ましい。なお、Bとしては前記Aと同じものが例示される。
0の炭化水素基を示す。
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、公知の方法で合成することができる。例えば、所望の骨格を有するスルホネルクロライド化合物をエステル交換することによって、合成することが可能である。また特開平2004-137444号公報に開示された方法で合
成することができる。
(例えば、硫酸、苛性ソーダを使用する)
例えば、2,5−ジクロロビフェニルを硫酸に滴下して反応させ、必要に応じて水洗、乾燥させれば、微粉のスルホン酸ナトリウム塩が得られる。
(2)スルホン酸クロライド化(例えば、塩化ホスホリル)
前記のスルホン酸ナトリウムを、溶媒(スルホラン/アセトニトリル混合溶媒)に溶解ないし懸濁させ、70℃に加温し、塩化ホスホリルを反応させる。反応後、大過剰の冷水
で希釈したのち、溶媒抽出したのち、硫酸マグネシウムで脱水したのち溶媒を除去して精製物を得る。
(3)スルホン酸エステル化(例えば、i−ブチルアルコール)
得られたスルホン酸クロライドに対し、等量以上(通常1〜3倍モル)のi−ブチルアルコールとピリジンを冷却した混合溶液に、スルホン酸クロライドを滴下して反応させる。反応は〜20℃までに抑える。反応時間は反応スケールにもよるが10分〜5時間程度である。反応混合液を希塩酸処理、水洗した後、酢酸エチルで目的物を抽出する。抽出液を濃縮分離後、メタノールで再結晶する。
ポリアリーレン共重合体
本発明に係るポリアリーレンは、芳香族化合物に由来する繰り返し構造単位からなるポリアリーレンであって、少なくとも下記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位を有す
る。
前記一般式(1’)において、Aが芳香族基である場合には、上記式(1’)は以下の構
造であり、
芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ここで、−CR’2−で表される構造の具体的な例として、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、などが挙げられる。
R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
s、tの値と、A’、B’、D、R1〜R16の構造についての好ましい組み合わせとし
ては、(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香
族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、B’が酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、(2)s=1、t=0であり、B’が酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水
素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、B’が酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子ま
たはニトリル基である構造が挙げられる。
共重合体中、上記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位(すなわちyのユニット)が0.5〜100モル%(ただし100モル%は含まない)の量で、(A’)で表される繰
り返し構造単位(すなわちxのユニット)を0〜99.5モル%の比率で含有することが好ましく、より好ましくは、(1’)で表される繰り返し構造単位が10〜99.999モル%、(A’)で表される繰り返し構造単位を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有することが望ましい。
部または全部が加水分解されてスルホン酸となっていても良い。
<ポリマーの製造方法>
スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造には、例えば下記に示すA法を用いることができる。
ゴマーとを共重合させ、この重合体をスルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
的な例として、
r=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロ
ロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸
−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
r≧2の場合、例えば特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346146号公報、特開2005−112985号公報、特願2003−348524、特願2004−211739、特願2004−211740に記載の化合物を挙げることができる。
(B法)前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
上記のような方法により製造される、一般式(C)のスルホン酸基を有するポリアリーレンの、イオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
、種類および組み合わせを変えることにより調整することができる。
上記芳香族スルホン酸エステル誘導体をポリアリーレンに導入した後、対応するスルホン酸エステルを加水分解して、スルホン酸基としてもよい。
(固体高分子電解質)
本発明の固体高分子電解質は、上記スルホン酸基含有ポリアリーレン重合体を含有する。
(プロトン伝導膜)
例えば、本発明のプロトン伝導膜は、スルホン酸基含有ポリアリーレン重合体を溶媒に溶解し溶液としたあと、基材上にキャスティングして膜を形成する、流延法により製造することができる。ここで使用する基材は、特に制限されず、通常の溶媒キャスティング法に用いられる基材から選択することができる。基材の例としては、プラスティック製基材および金属製基材が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基材が好ましく使用される。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、未乾燥フィルム1質量部に対し、水が10質量部以上、好ましくは30質量部以上の接触比となるようにすることが好ましい。また、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量をできるだけ少なくするためには、できるだけ大きな接触比を維持するのが好ましい。さらに、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが好ましい。
水温が高いほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面が荒れる場合がある。置換速度と取り扱い易さを考慮すると、10〜60℃の温度範囲がより好ましい。
このように、未乾燥フィルムを水に浸漬してから乾燥すると、残存溶媒量が低減されたプロトン伝導膜が得られ、プロトン伝導膜中における残存溶媒量は、通常5質量%以下である。
本発明のプロトン伝導膜は、老化防止剤、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を含有してもよい。老化防止剤を含有することでプロトン伝導膜の耐久性をより向上させることができる。
本発明のプロトン伝導膜は、高いプロトン伝導性を保持しつつ、優れた耐熱水性、耐溶剤性、耐熱性、耐酸化性、靭性、電極接着性および加工性を示す。このため、本発明のプロトン伝導膜は、家庭用電源向け燃料電池、燃料電池自動車、携帯電話用燃料電池、パソコン用燃料電池、携帯端末用燃料電池、デジタルカメラ用燃料電池、ポータブルCD、MDプレーヤー用燃料電池、ヘッドホンステレオ用燃料電池、ペットロボット用燃料電池、電動アシスト自転車用燃料電池、電動スクーター用燃料電池、直接メタノール型燃料電池等の用途に好適に使用することができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ネオペンチルの調製
[実施例2]
4−(2、5−ジクロロフェニル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの調製
した後、30%発煙H2SO4(14mL)を添加すると、反応混合物は透明な赤色溶液に変わった。該溶液をさらに70℃で1時間攪拌し、氷(250g)に投入した。得られた透明な淡黄色溶液を、15%NaOH水溶液で中和した後、加熱して沸騰させ、室温まで冷却した。沈殿物を濾過し、水洗し、恒量になるまで乾燥させた。その結果、純粋な4−(2、5−ジクロロフェニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を無色粉末として得た。収量:56.88g(88%);IR:図3、1H NMR:図 4
上記4−(2、5−ジクロロフェニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(56.88g、175mmol)をアセトニトリル/スルホラン(それぞれ130/90mL)に懸濁させた懸濁液に、ホスホリルクロライド(107g、700mmol)を添加した。反応混合物を70℃に加熱し、DMAc(2mL)を添加した。緩やかに還流させながら、ガスの発生が認められなくなるまで攪拌を1時間継続した。反応混合物を0℃まで冷却し、氷/水(500g)を慎重に添加して急冷し、ジクロロメタン(500mL)で抽出した。有機相を、5%NaHCO3(400mL)および20%NaCl(3×400mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、溶媒を除去した。その結果、4−(2、5−ジクロロフェニル)ベンゼンスルホニルクロライドとスルホランとの混合物と思われる油状物を、98.87gの量で得た。ネオペンチルアルコール(15.43g、175mmol)と、N、N、N’、N’−テトラメチル−1、3−プロパン−ジアミン(2.28g、17.5mmol)と、トリエチルアミン(26.6g、263mmol)とをアセトニトリル(100mL)に溶解した溶液を、前工程で得られた粗生成物(98.87g)のアセトニトリル(300mL)溶液(2〜4℃に冷却)に滴下した。得られた黄色懸濁液を2℃で2時間攪拌した。薄層クロマトグラフィ−により、スルホニルクロライドが完全に消費されたことが確認された。固体副生成物を濾過で除去し、濾液を1N HCl(1.5L)に投入した後、酢酸エチル(500mL)で抽出を行った。有機相を1N HCl(2x800mL)、5%NaHCO3(800mL)および20%NaCl(2x800mL)で順次洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、溶媒を除去した。油状の残渣をメタノールから再結晶させた。その結果、純粋な4−(2、5−ジクロロフェニル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルを無色の結晶として得た。収量:41.99g(64%);mp:74.5〜75.5℃;IR:図5、1H NMR:図 6
[実施例3]
ネオペンチルスルホン酸エステルを保護基として有するポリアリーレンの合成
実施例1の化合物(9.66g、32.50mmol)、2−クロロベンゾニトリル末端ポリ(エーテルニトリル)オリゴマー(Mn=8200、7.27g、0.89mmol)、Ni(PPh3)2Cl2(0.66g、1.00mmol)、PPh3(3.50g、13.35mmol)、NaI(0.15g、1.00mmol)およびZn粉末(5.46g、 83.46mmol)の混合物に、乾燥DMAc(35mL)を乾燥窒素気流下にて添加した。反応混合物を80℃で3時間、機械的に攪拌した。得られた高粘度懸濁液を、DMAc(100mL)で希釈し、セライトパッドを用いて濾過して余分なZnを除去した。得られた透明溶液を、6倍体積のメタノール中で凝固させた。その結果、灰色がかった粉末状ポリマーが14.8gの量で得られた。該ポリマー内には若干量のDMAcが捕捉されていた。GPC:Mn=28000;Mw=57700
[実施例4]
スルホン酸基を有するポリアリーレンの合成
実施例3の粗重合体(14.8g)と無水臭化リチウム(5.65g、65mmol、SO3に対して2倍過剰)との混合物を、DMAc(100mL)に溶解させた。得られ
た透明な黄色溶液を135℃に加熱し30分間攪拌したところ、ゲルが得られた。反応生成物を上記温度でさらに1時間保持し、10倍体積のアセトンを用いて、均一な懸濁液が形成されるまで激しく攪拌した。ナイロン製メッシュを使用して濾過し、固形分を分離した。分離した固形分をアセトンで洗浄し、乾燥させた後、1リットルの2N塩酸を用いて1時間攪拌した。重合体を濾過で分離し、再度酸処理を行った。脱イオン水で洗浄を繰り返すことによって、残存する酸をすべて除去し(pH上昇)、固体残渣を恒量になるまで90℃で乾燥させた。その結果、酸状態のポリアリーレンをクリーム色の粉末として得た。収量:9.12g(74%);GPC:Mn=39500;Mw=85700
[実施例5]
ベンゼンスルホン酸ネオペンチルペンダント基を有するポリ(パラフェニレン)の合成
8g、1.50mmol)、PPh3(5.25g、20mmol)、NaI(0.22
g、1.50mmol)およびZn粉末(8.17g、125mmol)の混合物に、乾燥DMAc(36mL)を乾燥窒素気流下にて添加した。窒素雰囲気で、反応混合物を8
0℃で10時間、機械的に攪拌し、後は実施例3と同様に処理した。その結果、淡黄色の粉末状ポリ(パラフェニレン)が得られた。1H NMRにより、ランダムに分散した頭
−頭(x)および頭−尾(y)サブユニットが、ほぼ同量で存在することが確認された。収量:11.90g(%);GPC:Mn=5690;Mw=10350
[実施例6]
結果はイオン交換容量3.5meq/g、収量、79%、Mn:5690、Mw:10350
Claims (11)
- 芳香族化合物に由来する繰り返し構造単位からなるポリアリーレンであって、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構造単位とともに、下記一般式(A')で表される繰り返し構造単位を含み、
一般式(1')で表される繰り返し構造単位が0.5〜100モル%(ただし100モル%は含まない)の量で、(A')で表される繰り返し構造単位を0〜99.5モル%の量で含有することを特徴とするポリアリーレン:
式(A')がジクロロベンゾニトリルまたは該ジクロロベンゾニトリルの塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物から得られたポリエーテルニトリルオリゴマーである) - 式(1')で表される構成単位を加水分解して誘導される構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレン。
- Wが下記一般式(2)で表されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアリーレン:
−B−(SO3Rb)m (2)
(上記式中、Bは直接結合あるいは芳香族基を示し;Rbは炭素数1〜20の炭化水素基を示し;mは0〜2の整数である)。 - Raが、直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、脂環式炭化水素基および5員複素環を有する炭化水素基から選ばれる、炭素数4〜20の基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレン。
- Rbが、直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、脂環式炭化水素基および5員複素環を有する炭化水素基から選ばれる、炭素数4〜20の基であることを特徴とする、請求項3に記載のポリアリーレン。
- Aが、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびフェナントレニル基からなる群から選ばれる基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアリーレン。
- Bが、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびフェナントレニル基からなる群から選ばれる基であることを特徴とする、請求項3または5に記載のポリアリーレン。
- AおよびBが結合してナフタレニル、アントラセニル、フェナントレニルおよびこれらのベンゾ誘導体からなる群から選ばれる縮合環構造を形成することを特徴とする、請求項3または5に記載のポリアリーレン。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のポリアリーレンからなることを特徴とする固体高分子電解質。
- 請求項10に記載の固体高分子電解質からなることを特徴とするプロトン伝導膜。
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