JP5417864B2 - 重合体およびプロトン伝導膜 - Google Patents
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Description
また、燃料電池では、発電中にセル内で燃料の酸化によって過酸化水素が発生、それによりヒドロキシラジカルなどの活性種が生成するため、それによりプロトン伝導膜の分解を引き起こし性能低下の原因となることが知られている。そのためプロトン伝導膜の化学劣化に対する耐久性の向上も求められていた。
[1]下記式(1)で表される構造単位(以下、「含窒素複素環基を有する構造単位」という。)、スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むことを特徴とするスルホン化ポリアリーレン。
−Rs−V−Rh ・・・(1)
(式(1)中、Vは−CO−、−SO2−、−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Rsは直接結合または任意の2価の有機基、Rhは含窒素複素環基を示す。)
[3]前記スルホン酸基を有する構成単位が、下記式(4)で表される[1]又は[2]のスルホン化ポリアリーレン。
[5]前記含窒素複素環基を有する構造単位が、下記式(2)で表される[1]〜[3]のスルホン化ポリアリーレン。
なお、構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
<スルホン化ポリアリーレン>
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、含窒素複素環基を有する構成単位、スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を有している。
含窒素複素環基を有する構造は、下記式(1-1)で表される構造を有している。
−(Rs)e−(V−Rh)f ・・・(1-1)
式中、Vは、電子吸引性基であれば特に限定されないが、好ましくは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−又は−または−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
前記式(1-1)の含窒素複素環基を有する構造としては、具体的には、下記式(1)で表されるものが好ましい。
−Rs−V−Rh ・・・(1)
含窒素複素環基を有する構造は、本発明のスルホン化ポリアリーレン中に、好ましくは下記式(2)で表される構造を有している。
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、下記式(3)で表されるスルホン酸基を有する構造を有している。
Zは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
R12、R13は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、脂肪族炭化水素基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ただし、上記式中に含まれる全てのR12およびR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
上記式(3)で表されるスルホン酸基を有する構造は、好ましくは下記式(4)で表される構造を有する。
Zは、直接結合、−O−が好ましい。
Arの芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
c、dの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)c=0、d=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(2)c=1、d=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)c=1、d=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)c=1、d=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3Hを有するナフチル基である構造、
(5)c=1、d=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、下記式(5)で表される縮合芳香族環構造を有する構成単位を有している。
Bは酸素原子または硫黄原子であり、s、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは、0または1以上の整数を示す。
、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構造が挙げられる。
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、さらに好ましくは、下記式(7)で表される構造を有している。
本発明のスルホン化ポリアリーレンの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記式(9)で表されるモノマー、下記式(11)で表されるモノマーおよび下記式(13)で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
モノマー(A')は、下記式(9)で表される構造を有する化合物であり、スルホン化ポリアリーレンの中でスルホン酸基を有する構成単位となる。
上記式(9)で表されるモノマーは、好ましくは下記式(10)で表される構造を有する。
Xは塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
モノマー(B')は、下記式(11)で表される構造を有する化合物であり、スルホン化ポリアリーレンの中で縮合芳香族環構造を有する構成単位となる。
A、Dは、それぞれ独立に、直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは酸素原子または硫黄原子であり、
s、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは、0または1以上の整数を示す。
モノマー(B')の具体例としては、式(B')におけるrが0の場合、例えば4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
モノマー(C')は、より好ましくは、下記式(13)で表される構造を有する化合物であり、スルホン化ポリアリーレンの中で含窒素複素環基を有する構成単位となる。
Z、Rs、Rh、は前記した通りである。
式(13)で表される含窒素芳香族化合物の具体例として、下記の化合物を挙げることができる。
モノマー(C')はいくつかの一般的な合成反応を用いて合成することができる。含窒素複素環の酸塩化物とジハロゲン化ベンゼン、またはジハロゲン化ベンゾイルクロリドと含窒素複素環とのフリーデルクラフツ反応を用いる方法、ハロゲン化含窒素複素環化合物とチオールの求核置換反応によるチオエーテル化と過酸化物による酸化を用いる方法が挙げられる。
溶媒としては、一般的なハロゲン化炭化水素を用いることができるが、ジクロロベンゼンなどの融点が低いものの場合、融点以上に加温して溶解させて無溶媒で反応することもできる。
反応後の生成物の回収は、含窒素複素環構造を有するため、酸−塩基相互作用を利用した方法を用いることができる。反応液をpH1以下の酸性の水に注ぎ、過剰のルイス酸を失活、溶解させる。このとき、含窒素複素環は塩基性のため、pH1以下にすると水層に溶解する。反応溶媒や過剰の有機基質についてはここで分離することができる。水層をアルカリで中和しpH3〜4に調整し、有機溶媒で生成物を抽出し、有機層を分離、濃縮することで目的の生成物を得ることができる。このときpHを高くしすぎると、水酸化アルミニウムなどが析出してしまい、分離が困難となり易い。また、抽出溶媒は水と分離できれば特に限定されない。
まず、フェノール性チオール基を有する構造体を、対応するアルカリ金属塩とする。このために、誘電率の高い極性溶媒中で、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、または、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属化合物を加える。上記誘電率の高い極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。上記アルカリ金属は、フェノール性水酸基に対して、通常1.1〜2倍当量、好ましくは1.2〜1.5倍当量で用いる。
回収した生成物を極性溶媒中で活性な酸素を発生する過酸化物と反応させ、チオエーテル部分をスルホンに酸化する。過酸化物としては、過酸化水素水や過ホウ酸ナトリウムなどを用いることができる。反応剤の種類、反応温度、反応時間の調整により、酸化をスルホキシドで止めることもできるが、本発明の効果を得るためにはスルホンまで酸化することが好ましい。
本発明の重合体を得るためはまず上記モノマー(A’)、モノマー(B’)およ
びモノマー(C’)を共重合させ、前駆体を得る。
加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法などにより行うことができる。
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A’)で表される骨格を有し、かつスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有し
ないモノマーと、上記モノマー(B’)と、上記モノマー(C’)を共重合させ、
この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
式(4)において、Arが−O(CH2)hSO3Hまたは−O(CF2)hSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に記載の方法と同様に、上記式(4)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記式(6)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーと、上記式(2)で表される構造単位となるモノマーを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
本発明のプロトン伝導膜は、上記スルホン化ポリアリーレンを含有してなる。好ましくは、本発明のプロトン伝導膜は、スルホン化ポリアリーレンを有機溶剤に溶解した溶液を基材上にキャストしてキャスト膜を調製し、このキャスト膜を水で洗浄して残存溶剤を取り除いた後、乾燥して得られる。プロトン伝導膜の膜厚は、通常、5〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
製膜する際の溶液のポリマー濃度は、通常5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい傾向にある。一方、ポリマー濃度が40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
本発明の方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
得られたスルホン酸化重合体を、1N塩酸水で洗浄後、フリーに残存している酸を除去するため水洗水が中性になるまでイオン交換水で充分に洗浄し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
スルホン酸化重合体の分子量、または耐熱試験後のスルホン酸化重合体の分子量を、臭化リチウム7.83gとリン酸3.3mlとN−メチル−2−ピロリドン(NMP)2Lからなる混合溶液を溶離液として用い、GPCを用い、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
プロトン伝導膜を5mm幅の短冊状に切り出して測定試料とし、交流抵抗は、膜試料の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%および50%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導率を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
膜厚約40μmの各フィルムを、160℃オーブン中に24時間入れた。耐熱試験前後のサンプルを、上記のNMP系のGPC溶離液99.8重量部に対し、0.2重量部相当採取し、浸漬、溶解後、不溶分を除去し、GPC測定を行った。耐熱試験前後のGPCの溶出面積の比から不溶分含量を求めた。
耐圧ガラス製の二重セルの外側セルに濃度定量した5%過酸化水素水を入れ、25℃50%Rhで8時間以上状態調節した上記各種スルホン化重合体の膜から、2×3cmに切出したサンプルを秤量し、内側のセルに入れ密閉した。このセルをオーブンを用いて85℃で24時間加熱し膜サンプルを過酸化水素蒸気に暴露させた後、セルを取出し放冷した。取り出したサンプルをイオン交換水ですすぎ、25℃50%Rhで8時間以上状態調節した上で秤量し、試験前後の重量変化を求めた。また、試験前後のサンプルの分子量をGPCにより測定し、分子量変化率をもとめた。
イミダゾリル)ベンゾフェノンの合成
下記式で表される3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの調製
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル49.4g(0.29モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン88.4g(0.26モル)、炭酸カリウム47.3g(0.34モル)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346ml、トルエン173mlを加えて攪拌した。フラスコをオイルバスにつけ、150℃に加熱還流させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を徐々に上げながら大部分のトルエンを除去した後、200℃で3時間反応を続けた。次に、2,6−ジクロロベンゾニトリル12.3g(0.072モル)を加え、さらに5時間反応した。
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン67.3g(0.20モル)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(4,4’−DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4’−DCBP10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
前記合成例7において、4,4’−ジクロロベンゾフェノンの代わりとして、ビス(4−クロロフェニル)スルホン(BCPS)を使用し、その最初の仕込み量を53.5g(0.214mol)とし、後添加する仕込み量を3.3g(0.0133mol)としたこと、また炭酸カリウムの使用量を58.0g(0.42mol)に変えた以外は、合成例7と同様にして重合を行った。その結果、目的の化合物が96%の収率で120g得られた。得られた目的の化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は7,600であった。得られた化合物は下記構造式表されるオリゴマーであった。
撹拌機、温度計、窒素導入管を接続した1Lの3口フラスコに、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)166mLを合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.7mmol)と、合成例7で合成した化合物 13.4g(1.8mmol)、合成例1で得られた3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピリジン1.18g(4.7mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.62g(4.0mmol)、トリフェニルホスフィン10.5g(40.1mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3.0mmol)、亜鉛15.7g(240.5mmol)の混合物中に窒素下で加えた。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.8g(94.3mmol)、合成例8で合成した化合物 13.4g(1.2mmol)、合成例2で得られた4−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピリジン1.19g(4.7mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー37.5gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=62000、Mw=184000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP2B)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP2Bを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.7mmol)と、合成例7で合成した化合物 13.4g(1.8mmol)、合成例3で得られた2−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピロール1.13g(4.7mmol)、とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー36.5gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=58,000、Mw=192000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.32meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP3A)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP3Aを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.8mmol)と、合成例9で合成した化合物 13.1g(1.7mmol)、合成例4で得られた3−(2,5−ジクロロベンゼンスルホニル)ピリジン1.35g(4.7mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー38.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=55,000、Mw=182,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.32meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP4C)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP4Cを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.7mmol)と、合成例9で合成した化合物 13.1g(1.7mmol)、合成例5で得られた2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノン1.49g(4.7mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー36.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=63,000、Mw=202,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.23meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP6C)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP6Cを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例7で合成した化合物 15.0g(2.1mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー40.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=54,000、Mw=188,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.31meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーPA)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーPAを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.7g(98.9mmol)と、合成例8で合成した化合物 15.2g(1.4mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー41.2gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=62,000、Mw=200,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーPB)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーPBを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例9で合成した化合物 15.2g(2.0mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー39.4gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=57,000、Mw=190,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーPC)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーPCを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
上記実施例1〜4および比較例1〜4にて得られたスルホン化重合体を、上記手法にてキャスト膜を調製し、各種物性を評価した。スルホン酸当量およびプロトン伝導度の評価結果を表1に、耐熱性および化学耐久性の結果を表2に示した。
Claims (6)
- 下記式(1)で表される構造単位(以下、「含窒素複素環基を有する構造単位」という。)、スルホン酸基を有する構成単位および芳香族環構造を有する構成単位を含むことを特徴とするスルホン化ポリアリーレン。
−Rs−V−Rh ・・・(1)
(式(1)中、Vは−CO−、−SO2−、−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Rsは直接結合または任意の2価の有機基、Rhは含窒素複素環基を示す。式(1)中の含窒素複素環基は、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基である) - 前記スルホン酸基を有する構成単位が、下記式(4)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のスルホン化ポリアリーレン。
- 前記芳香族環構造が、下記式(6)で表される構造を含むことを特徴とする請求項3に記載のスルホン化ポリアリーレン。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体を含むプロトン伝導膜。
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