JP5417864B2 - 重合体およびプロトン伝導膜 - Google Patents

重合体およびプロトン伝導膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5417864B2
JP5417864B2 JP2009015652A JP2009015652A JP5417864B2 JP 5417864 B2 JP5417864 B2 JP 5417864B2 JP 2009015652 A JP2009015652 A JP 2009015652A JP 2009015652 A JP2009015652 A JP 2009015652A JP 5417864 B2 JP5417864 B2 JP 5417864B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
integer
nitrogen
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009015652A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010013625A (ja
Inventor
芳孝 山川
晋吾 高杉
巧治 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2009015652A priority Critical patent/JP5417864B2/ja
Publication of JP2010013625A publication Critical patent/JP2010013625A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5417864B2 publication Critical patent/JP5417864B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、熱安定性の改良された重合体、詳しくは高温条件下でのスルホン酸基の安定性が高く、さらに燃料電池のプロトン伝導膜に用いた際の高温発電耐久性が高く、しかも低湿度領域でのプロトン伝導性にも優れた重合体に係る。
燃料電池は、水素ガスや各種の炭化水素系燃料(天然ガス,メタンなど)を改質して得られる水素と、空気中の酸素とを電気化学的に反応させて直接電気を取り出す発電装置であり、燃料の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに高効率で直接変換できる無公害な発電方式として注目を集めている。
このような燃料電池は、触媒を担持した一対の電極膜(燃料極と空気極)と該電極膜に挟持されたプロトン伝導性の電解質膜(プロトン伝導膜という)とから構成される。燃料極の触媒によって、水素イオンと電子に分けられ、水素イオンはプロトン伝導膜を通って、空気極で酸素と反応して水になる仕組みになっている。
近年この燃料電池には、高い発電性能が求められるようになっている。発電出力を高めるためには、発電時に高温で使用されることが求められ、このため燃料電池に使用されるプロトン伝導膜には、幅広い環境下で、特に高温下で高いプロトン伝導性を示す膜が求められていた。
このようなプロトン伝導膜として、通常、スルホン酸基を有するポリマーが使用されていた。また、本出願人も高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導膜として、スルホン酸基を有する特定の重合体を提案している(特許文献1〜4)。
特開2004−345997号公報 特開2004−346163号公報 特開2004−346164号公報 国際公開WO/2007/010731号パンフレット
しかしながら、従来より使用されていたスルホン酸基を有するポリマーからなるプロトン伝導膜では、高温条件下でプロトン伝導性が低下して、燃料電池の発電出力が低下する場合があり、燃料電池発電時の温度に上限を設ける必要があった。
また、これらのポリマーのなかには、低湿度領域になるとプロトン伝導性が低下してしまうこともあった。
また、燃料電池では、発電中にセル内で燃料の酸化によって過酸化水素が発生、それによりヒドロキシラジカルなどの活性種が生成するため、それによりプロトン伝導膜の分解を引き起こし性能低下の原因となることが知られている。そのためプロトン伝導膜の化学劣化に対する耐久性の向上も求められていた。
このため、従来と同様にプロトン伝導性を具備するとともに、耐熱性や化学耐性にも優れたプロトン伝導膜を提供しうることが求められていた。
そこで、本発明者らは、スルホン化ポリアリーレンに、電子吸引性の官能基を介して含窒素複素環式芳香族基を導入することによって、複素環の電子密度を下げ、塩基性度を抑えることによって、低湿度領域でのプロトン伝導性を改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]下記式(1)で表される構造単位(以下、「含窒素複素環基を有する構造単位」という。)、スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むことを特徴とするスルホン化ポリアリーレン。
−Rs−V−Rh ・・・(1)
(式(1)中、Vは−CO−、−SO2−、−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Rsは直接結合または任意の2価の有機基、Rhは含窒素複素環基を示す。)
[2]前記式(1)中の含窒素複素環基がピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基である[1]の重合体。
[3]前記スルホン酸基を有する構成単位が、下記式(4)で表される[1]又は[2]のスルホン化ポリアリーレン。
Figure 0005417864
(式(4)中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、直接結合、−(CF2)u−(uは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、cは0〜3の整数を示し、dは0〜3の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
[5]前記含窒素複素環基を有する構造単位が、下記式(2)で表される[1]〜[3]のスルホン化ポリアリーレン。
Figure 0005417864
(式(2)中、V、RsおよびRhは、式(1)の場合と同様である。)
[5]前記縮合芳香族環構造が、下記式(6)で表される構造を含む[4]のスルホン化ポリアリーレン。
Figure 0005417864
(式(6)中、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR'2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
なお、構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
[6]下記式(8)で表される構造を含む請求項5に記載のスルホン化ポリアリーレン。
Figure 0005417864
(式(8)において、A、B、D、V、Y、Z、Ar、k、c、d、r、s、t、Rh、RsおよびR1〜R16は、それぞれ式(2)、式(4)および式(6)の場合と同様である。x、y、zは、x+y+z=100モル%とした場合のモル分率を示し、xは、99〜85モル%、yは、15〜1モル%、zは、15〜0.01モル%である。
各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
[7]前記[1]〜[6]の重合体を含むプロトン伝導膜。
本発明によれば、プロトン伝導膜として使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンに、含窒素複素環式芳香族基を効率的に導入される。しかも本発明では、含窒素複素環を、電子吸引性基を介して導入するので、複素環の電子密度を下げて窒素の塩基性度が抑制され、これによって、耐熱性および化学耐久性も高まり、さらには低湿度領域でのプロトン伝導性も向上する。
そして、本発明によれば、本来、耐熱水性が高く、高いスルホン酸濃度を有し、優れたプロトン伝導性を示す重合体中に、含窒素複素環式芳香族基を導入できるので、プロトン伝導性を損なうことなく、高温下で高いスルホン酸の安定性を有するプロトン伝導膜が得られる。このため、燃料電池用のプロトン伝導膜に使用した際は、広範囲な温度、湿度、特に高温下でも発電可能になり、発電出力を向上することができる。また、高温下で使用しても、スルホン酸基が高い安定性を有することから、電池寿命を大幅に向上させた燃料電池を得ることができる。
図1は、合成例1で得られた化合物の1H−NMRスペクトルを示す。 図2は、合成例2で得られた化合物の1H−NMRスペクトルを示す。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<スルホン化ポリアリーレン>
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、含窒素複素環基を有する構成単位、スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を有している。
[含窒素複素環基を有する構造]
含窒素複素環基を有する構造は、下記式(1-1)で表される構造を有している。
−(Rs)e−(V−Rhf ・・・(1-1)
式中、Vは、電子吸引性基であれば特に限定されないが、好ましくは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−又は−または−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
sは、直接結合、または特に限定されない、任意の二価の有機基である。二価の有機基としては、炭素数1〜20炭化水素基であればよく、具体的には、メチレン基、エチレン基などのアルキレン基、フェニレン基などの芳香族環があげられる。
sとして、−W−Ar9−で示される基でもよい。
前記式(1-1)の含窒素複素環基を有する構造としては、具体的には、下記式(1)で表されるものが好ましい。
−Rs−V−Rh ・・・(1)
上記式中、Ar9としては、フッ素原子で置換されていてもよい、ベンゼン環、縮合芳香環、含窒素複素環からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を有する2価の基を示す。
eは、0〜4の整数を示し、fは、1〜5の整数を示す。Wは、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2u−(uは1〜10の整数である)、−C(CF32−、直接結合からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
hは含窒素複素環基を示し、窒素を含む5員環、6員環構造が挙げられる。また、複素環内の窒素原子の数は、1個以上あれば特に制限されない、また複素環内には、窒素以外に、酸素や硫黄を含んでいても良い。
hを構成する含窒素複素環基として、具体的には、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物およびこれらの誘導体の炭素または窒素に結合する水素原子が引き抜かれてなる構造の基である。
これらの含窒素複素環基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基、シアノ基、フッ素原子などがあげられる。
本発明の共重合体が有する含窒素複素環基を有する構成単位は、下記式(1-2)で表される。
Figure 0005417864
上記式(1-2)中、Ar10は、ベンゼン環、縮合芳香環、含窒素複素環からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を有する2価の基を示す。ただし、Ar10は、その水素原子の一部又はすべてが、フッ素原子、ニトロ基、ニトリル基、又は水素原子の一部またはすべてがフッ素置換されていてもよいアルキル基、アリル基若しくはアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基で置換されていてもよい。
式(1-1)中、V、e、f、Rs、Rhは前記式(1)と同様である。
含窒素複素環基を有する構造は、本発明のスルホン化ポリアリーレン中に、好ましくは下記式(2)で表される構造を有している。
Figure 0005417864
式(2)中、V、RsおよびRhは、式(1)の場合と同様である。構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。
上記式(2)における、含窒素複素環基Rhは、ピリジン環であることが好ましい。ピリジン環であると、含窒素複素環の中でも元来Nの塩基性度が低めであるため、低湿度領域でのプロトン伝導度が向上するという特性が発揮される。
また、上記式(2)における、Vは−CO−か−SO2−であることが好ましい。−CO−はピリジン環と組合わせると、共役による安定化効果により熱的に安定な構造となりやすい。また、−SO2−は電子密度を下げて窒素の塩基性度がより抑制され、これによって、低湿度領域でのプロトン伝導性を特に高めることができる。
主鎖の芳香環と電子吸引性基Zは、直接結合しているのが安定性の面から好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲で任意の2価の基(すなわちRs)が介在しても良い。ここで介在構造としては、炭素数1〜20の二価の有機基であれば特に限定されない。
[スルホン酸基を有する構造]
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、下記式(3)で表されるスルホン酸基を有する構造を有している。
Figure 0005417864
上記式中、Ar11、Ar12、Ar13は、それぞれ独立に、フッ素原子で置換されていてもよい、ベンゼン環、縮合芳香環、含窒素複素環からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を有する2価の基を示す。
Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2)u−(uは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−、直接結合からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Zは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
11は、直接結合、−O(CH2)p−、−O(CF2)p−、−(CH2)p−、−(CF2)p−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す(pは、1〜12の整数を示す)。
12、R13は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、脂肪族炭化水素基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ただし、上記式中に含まれる全てのR12およびR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
1は、0〜4の整数。x2は、1〜5の整数。aは、0〜1の整数。bは、0〜3の整数を示す。
上記式(3)で表されるスルホン酸基を有する構造は、好ましくは下記式(4)で表される構造を有する。
Figure 0005417864
(式(4)中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、直接結合、−(CF2)u−(uは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、cは0〜3の整数を示し、dは0〜3の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
式(4)において、Yは−CO−、−SO2−が好ましい。
Zは、直接結合、−O−が好ましい。
Arの芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
cは、0〜10、好ましくは0〜2の整数であり好ましくは0〜2の整数であり、dは、0〜10、好ましくは0〜2の整数である。
c、dの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)c=0、d=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(2)c=1、d=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)c=1、d=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)c=1、d=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3Hを有するナフチル基である構造、
(5)c=1、d=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
[縮合芳香族環構造を有する構成単位]
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、下記式(5)で表される縮合芳香族環構造を有する構成単位を有している。
Figure 0005417864
上記式(5)中、Ar21、Ar22、Ar23、Ar24は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香環、含窒素複素環からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を有する2価の基を示す。ただし、Ar21、Ar22、Ar23、Ar24は、その水素原子の一部又はすべてが、フッ素原子、ニトロ基、ニトリル基、又は水素原子の一部またはすべてがフッ素置換されていてもよいアルキル基、アリル基若しくはアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基で置換されていてもよい。
A、Dは、それぞれ独立に、直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、
Bは酸素原子または硫黄原子であり、s、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは、0または1以上の整数を示す。
上記式(5)で表される縮合芳香族環構造を有する構成単位は、好ましくは下記式(6)で表される構造を有する。
Figure 0005417864
(式(6)中、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR'2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
ここで、−CR’2−で表される構造の具体的な例として、メチル基、エチル基
、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
これらのうち、直接結合または、−CO−、−SO2−、−CR'2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
s、tは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。s、tの値と、A、B、D、R1〜R16の構造についての好ましい組み合わせとしては、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構造が挙げられる。
[重合体の構造]
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、さらに好ましくは、下記式(7)で表される構造を有している。
Figure 0005417864
上記式中、Ar11、Ar12、Ar13、Y、Z、R11、R12、x1、x2、aおよびbは、式(3)と同様である。Ar21、Ar22、Ar23、Ar24、A、B、D、r、sおよびtは、式(5)と同様である。V、Rh、Rsは、e、fは式(1-1)と同様である。x、y、zは、x+y+z=100モル%とした場合のモル比を示す。
上記式(7)で表されるスルホン化ポリアリーレンは、好ましくは下記式(8)で表される構造を有する。
Figure 0005417864
式(8)において、A、B、D、V、Y、Z、Ar、k、c、d、r、s、t、Rh、RsおよびR1〜R16は、式(2)、式(4)および式(6)の場合と同様である。x、y、zはx+y+z=100モル%とした場合のモル分率を示す。
ここで、xは、85〜99モル%、好ましくは、90〜97モル%、更に好ましくは、94〜96モル%であり、yは、1〜15モル%、好ましくは、1〜10モル%、更に好ましくは、1〜5モル%であり、zは、0.001〜50モル%、好ましくは、0.1〜25モル%、更に好ましくは、1〜10モル%である。
本発明に係る重合体のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。イオン交換容量が、前記範囲の下限以上であれば、プロトン伝導度が高く、かつ発電性能を高くすることができる。一方、前記範囲の上限以下であれば、充分に高い耐水性を具備できる。
上記のイオン交換容量は、含窒素複素環基を有する構成単位、スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。したがって重合時に構成単位(3)〜(5)を誘導する前駆体(モノマー・オリゴマー)の仕込み量比、種類を変えれば調整することができる。
概してスルホン酸基を有する構成単位が多くなるとイオン交換容量が増え、プロトン伝導性が高くなるが、耐水性が低下する。一方、スルホン酸基を有する構成単位が少なくなると、イオン交換容量が小さくなり、耐水性が高まるが、プロトン伝導性が低下する。
含窒素複素環基を有する構成単位を含んでいると、高温条件下でのスルホン酸基の安定性が向上し、その結果耐熱性が向上する。含窒素複素環式芳香族化合物の窒素原子は、塩基性を有するため、スルホン酸基との間でイオン的な相互作用を形成する。これによって、スルホン酸基の安定性を高め、高温条件下でのスルホン酸基の脱離が抑制される。また、同様に高温条件下でスルホン酸基に由来するポリマー分子間の架橋反応をも抑制することができる。含窒素複素環式芳香族化合物は、プロトン伝導性を損なわず、これらの効果を発現できる適度な強さの塩基性を有する化合物である。また、含窒素複素環は、電子吸引性基を介して導入することによって、複素環の電子密度を下げて窒素の塩基性度が抑制され、これによって、低湿度領域でのプロトン伝導性も向上する。
縮合芳香族環構造を有する構成単位は任意成分であり、重合体中の含窒素複素環基を有する構成単位およびスルホン酸基を有する構成単位を除いた残りが縮合芳香族環構造を有する構成単位の量に相当する。また、縮合芳香族環構造を有する構成単位が含まれていなくともよい。この縮合芳香族環構造を有する構成単位を含んでいると、分子量の調整や、上記各繰り返し単位の含有量の調整などを行いやすくなるとともに、熱的、化学的に安定な重合体を得ることができる。
本発明の重合体の分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万、さらに好ましくは5万〜30万である。
<スルホン化ポリアリーレンの製造方法>
本発明のスルホン化ポリアリーレンの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記式(9)で表されるモノマー、下記式(11)で表されるモノマーおよび下記式(13)で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
モノマー(A')
モノマー(A')は、下記式(9)で表される構造を有する化合物であり、スルホン化ポリアリーレンの中でスルホン酸基を有する構成単位となる。
Figure 0005417864
上記式中、Ar11、Ar12、Ar13は、各々独立に、フッ素原子で置換されていてもよい、ベンゼン環、縮合芳香環、含窒素複素環からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Xは、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2u−(uは1〜10の整数である)、−C(CF32−、直接結合からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。Zは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
11は、直接結合、−O(CH2p−、−O(CF2p−、−(CH2p−、−(CF2p−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す(pは、1〜12の整数を示す)。
12、R13は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、脂肪族炭化水素基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ただし、上記式中に含まれる全てのR12およびR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
1は、0〜4の整数。x2は、1〜5の整数。aは、0〜1の整数。bは、0〜3の整数を示す。
上記式(9)で表されるモノマーは、好ましくは下記式(10)で表される構造を有する。
Figure 0005417864
(式中、Y、Z、Ar、c、dおよびkは、式(4)の場合と同様である。)
Xは塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
式(10)で表される化合物の具体的な例としては、下記式で表される化合物、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
上記式(10)式中のスルホン酸は、スルホン酸エステルとなっていてもよい。エステルは、アルキルエステル、アリールエステル、シクロアルキル(これらはフッ素置換されていても良い)などが挙げられる。
Figure 0005417864
Figure 0005417864
式(10)で表される化合物において、スルホン酸エステル構造は、通常、芳香族環のメタ位に結合している。
モノマー(B')
モノマー(B')は、下記式(11)で表される構造を有する化合物であり、スルホン化ポリアリーレンの中で縮合芳香族環構造を有する構成単位となる。
Figure 0005417864
上記式中、Ar21、Ar22、Ar23、Ar24は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香環、含窒素複素環からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を有する2価の基を示す。
ただし、Ar21、Ar22、Ar23、Ar24は、その水素原子の一部又はすべてが、フッ素原子、ニトロ基、ニトリル基、又は水素原子の一部またはすべてがフッ素置換されていてもよいアルキル基、アリル基若しくはアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基で置換されていてもよい。
A、Dは、それぞれ独立に、直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは酸素原子または硫黄原子であり、
s、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは、0または1以上の整数を示す。
上記式(11)で表されるモノマーは、好ましくは下記式(12)で表される構造を有する。
Figure 0005417864
X’およびX'’は塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはア
ルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
1〜R16、A、B、D、s、tおよびrは前記式(B)と同じである。
モノマー(B')の具体例としては、式(B')におけるrが0の場合、例えば4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
また、式(12)におけるrが1の場合、下記に挙げる化合物および特開2003−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
Figure 0005417864
式(B')におけるrがr≧2の場合、例えば下記に示す構造の化合物を挙げることができる。
Figure 0005417864
モノマー(C')
モノマー(C')としては、下記式(13-1)で表される化合物である。
Figure 0005417864
(式中、Ar10、Rs、V、Rhは式(1-1)と同様である。)
モノマー(C')は、より好ましくは、下記式(13)で表される構造を有する化合物であり、スルホン化ポリアリーレンの中で含窒素複素環基を有する構成単位となる。
Figure 0005417864
Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
Z、Rs、Rh、は前記した通りである。
式(13)で表される含窒素芳香族化合物の具体例として、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 0005417864
本発明の化合物には、さらに、塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、塩素原子や臭素原子の結合位置の異なる異性体を挙げることができる。また−CO−結合が、−SO2−結合に置き換わった化合物を挙げることができる。
本発明の含窒素芳香族化合物を合成する方法として、例えば以下のような方法を挙げることができる。
モノマー(C')はいくつかの一般的な合成反応を用いて合成することができる。含窒素複素環の酸塩化物とジハロゲン化ベンゼン、またはジハロゲン化ベンゾイルクロリドと含窒素複素環とのフリーデルクラフツ反応を用いる方法、ハロゲン化含窒素複素環化合物とチオールの求核置換反応によるチオエーテル化と過酸化物による酸化を用いる方法が挙げられる。
含窒素複素環の酸塩化物とジハロゲン化ベンゼンのフリーデルクラフツ反応を用いる場合、出発物質となる含窒素複素環の酸塩化物は、該当するカルボン酸置換された含窒素複素環を塩化チオニルで酸塩化物に変換して用いる。このとき、当該酸塩化物は塩酸塩となっていても次の反応は阻害しない。
フリーデルクラフツ反応を用いる製造方法について以下に一般的な例を記載する。
溶媒としては、一般的なハロゲン化炭化水素を用いることができるが、ジクロロベンゼンなどの融点が低いものの場合、融点以上に加温して溶解させて無溶媒で反応することもできる。
これらの溶液にルイス酸を加え反応させるが、ルイス酸としては塩化アルミニウムを用いるのが一般的で好ましい。塩化鉄、塩化亜鉛など他のルイス酸でも可能であるが、やや反応性がマイルドであるため反応に時間がかかる場合がある。
反応温度は0℃〜200℃程度の範囲で、反応基質、溶媒の種類に応じて適宜選択される。あまり高温にすると、出発物質の蒸発や分解などで収率が低下することがある。
反応後の生成物の回収は、含窒素複素環構造を有するため、酸−塩基相互作用を利用した方法を用いることができる。反応液をpH1以下の酸性の水に注ぎ、過剰のルイス酸を失活、溶解させる。このとき、含窒素複素環は塩基性のため、pH1以下にすると水層に溶解する。反応溶媒や過剰の有機基質についてはここで分離することができる。水層をアルカリで中和しpH3〜4に調整し、有機溶媒で生成物を抽出し、有機層を分離、濃縮することで目的の生成物を得ることができる。このときpHを高くしすぎると、水酸化アルミニウムなどが析出してしまい、分離が困難となり易い。また、抽出溶媒は水と分離できれば特に限定されない。
次に、ハロゲン化含窒素複素環化合物とチオールの求核置換反応によるチオエーテル化と過酸化物による酸化を用いる方法について具体的に記載する。
まず、フェノール性チオール基を有する構造体を、対応するアルカリ金属塩とする。このために、誘電率の高い極性溶媒中で、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、または、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属化合物を加える。上記誘電率の高い極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。上記アルカリ金属は、フェノール性水酸基に対して、通常1.1〜2倍当量、好ましくは1.2〜1.5倍当量で用いる。
次いで、水と共沸する溶媒、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどを共存させて、生成する水を共沸により抜きながら、上記アルカリ金属塩と、ハロゲン化含窒素複素環とを縮合反応させる。反応性の観点から、ハロゲンはフッ素であることが好ましい。また、反応温度は60℃〜300℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
反応後、前述のフリーデルクラフツ反応と同様の方法で生成物を回収できる。
回収した生成物を極性溶媒中で活性な酸素を発生する過酸化物と反応させ、チオエーテル部分をスルホンに酸化する。過酸化物としては、過酸化水素水や過ホウ酸ナトリウムなどを用いることができる。反応剤の種類、反応温度、反応時間の調整により、酸化をスルホキシドで止めることもできるが、本発明の効果を得るためにはスルホンまで酸化することが好ましい。
重合反応
本発明の重合体を得るためはまず上記モノマー(A’)、モノマー(B’)およ
びモノマー(C’)を共重合させ、前駆体を得る。
この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、遷移金属塩以外の塩を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物および条件を採用することができる。
たとえば、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好適に使用され、また、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2,2′−ビピリジンなどが好適に使用される。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)が好適に使用される。還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。遷移金属塩以外の塩としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。反応には重合溶媒を使用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどが好適に使用される。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。この範囲にあれば、触媒活性が高く、また分子量も高く重合することが可能である。触媒系に遷移金属塩以外の塩を使用する場合、その使用割合は、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。かかる範囲であれば、重合速度を上げる効果が充分となる。重合溶媒中におけるモノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、本発明の重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
次いで、スルホン酸エステルを使用した場合、得られた重合体を加水分解して、構成単位中のスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換する。
加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法などにより行うことができる。
(B法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A’)で表される骨格を有し、かつスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有し
ないモノマーと、上記モノマー(B’)と、上記モノマー(C’)を共重合させ、
この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
B法において用いることのできる、上記式(4)で表される構造単位となりうるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法)
式(4)において、Arが−O(CH2hSO3Hまたは−O(CF2hSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に記載の方法と同様に、上記式(4)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記式(6)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーと、上記式(2)で表される構造単位となるモノマーを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(C法)において用いることのできる、上記式(4)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。具体的には、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンをあげることができる。またこれらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物をあげることができる。またヒドロキシル基がチオール基にかわったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子におきかわったものもあげることができる。
(C法)では前駆体の重合体(スルホン酸基を有さない)に、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法も採用可能である。例えば、前駆体の重合体のヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトンなどを反応させることで導入することができる。
<プロトン伝導膜およびその製造方法>
本発明のプロトン伝導膜は、上記スルホン化ポリアリーレンを含有してなる。好ましくは、本発明のプロトン伝導膜は、スルホン化ポリアリーレンを有機溶剤に溶解した溶液を基材上にキャストしてキャスト膜を調製し、このキャスト膜を水で洗浄して残存溶剤を取り除いた後、乾燥して得られる。プロトン伝導膜の膜厚は、通常、5〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
本発明に係るプロトン伝導膜を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、上記本発明の重合体を溶解する有機溶媒に溶解し、基体上にキャストし、溶媒を除去、乾燥させるキャスト法が主に用いられる。
このような製膜方法において用いられる基体としては、通常の溶液キャスト法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えば、プラスチック製または金属製などの基体が用いられ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
これらの製膜方法で用いられる溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらの中では、溶解性および溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)が特に好ましい。上記非プロトン系極性溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記溶媒として、上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いてもよい。このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられる。これらの中では、幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があることから、メタノールが特に好ましい。アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いる場合には、非プロトン系極性溶剤が95〜25重量%、好ましくは90〜25重量%であり、アルコールが5〜75重量%、好ましくは10〜75重量%である(ただし、合計は100重量%)。アルコールの量が上記範囲内にあることにより、溶液粘度を下げる効果に優れる。
また、上記アルコールの他に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
製膜する際の溶液のポリマー濃度は、通常5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい傾向にある。一方、ポリマー濃度が40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、通常2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。溶液粘度が2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、溶液粘度が100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎるため、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして製膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。なお、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを、通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルム(予備乾燥後のフィルムも含む。以下同じ。)を水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式でもよく、基板フィルム(たとえば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方式でもよい。また、バッチ方式の場合は、処理後のフィルム表面に皺が形成されるのを抑制するために、未乾燥フィルムを枠にはめるなどの方法で、水に浸漬させることが好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の使用量は、未乾燥フィルム1重量部に対して、10重量部以上、好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以上の割合である。水の使用量が上記範囲であれば、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を少なくすることができる。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を低減することに有効である。さらに、プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、置換速度および取り扱いやすさの点から、通常5〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が悪化することがある。また、フィルムの浸漬時間は、初期の残存溶媒量、水の使用量および処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下において、0.5〜24時間真空乾燥することにより、プロトン伝導膜を得ることができる。
上記のようにして得られたプロトン伝導膜の残存溶媒量は、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下にまで低減される。
本発明の方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
<スルホン酸当量>
得られたスルホン酸化重合体を、1N塩酸水で洗浄後、フリーに残存している酸を除去するため水洗水が中性になるまでイオン交換水で充分に洗浄し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
<分子量の測定>
スルホン酸化重合体の分子量、または耐熱試験後のスルホン酸化重合体の分子量を、臭化リチウム7.83gとリン酸3.3mlとN−メチル−2−ピロリドン(NMP)2Lからなる混合溶液を溶離液として用い、GPCを用い、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
<プロトン伝導度の測定>
プロトン伝導膜を5mm幅の短冊状に切り出して測定試料とし、交流抵抗は、膜試料の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%および50%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導率を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
<耐熱性の評価>
膜厚約40μmの各フィルムを、160℃オーブン中に24時間入れた。耐熱試験前後のサンプルを、上記のNMP系のGPC溶離液99.8重量部に対し、0.2重量部相当採取し、浸漬、溶解後、不溶分を除去し、GPC測定を行った。耐熱試験前後のGPCの溶出面積の比から不溶分含量を求めた。
<化学耐久性の評価>
耐圧ガラス製の二重セルの外側セルに濃度定量した5%過酸化水素水を入れ、25℃50%Rhで8時間以上状態調節した上記各種スルホン化重合体の膜から、2×3cmに切出したサンプルを秤量し、内側のセルに入れ密閉した。このセルをオーブンを用いて85℃で24時間加熱し膜サンプルを過酸化水素蒸気に暴露させた後、セルを取出し放冷した。取り出したサンプルをイオン交換水ですすぎ、25℃50%Rhで8時間以上状態調節した上で秤量し、試験前後の重量変化を求めた。また、試験前後のサンプルの分子量をGPCにより測定し、分子量変化率をもとめた。
[合成例1]下記式で表される3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピリジンの合成
Figure 0005417864
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた1L三口フラスコに、1,4−ジクロロベンゼン183.8g(1.25mol)を量りとり、窒素雰囲気下オイルバスを用いて60℃で加熱し溶解させた。その後、塩化アルミニウム160.1g(1.20mol)を加え、撹拌下、ニコチン酸クロリド塩酸塩89.0g(0.5mol)を、約1時間かけ少量ずつ添加した。添加終了後、内温を90〜100℃まで昇温し反応させた。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を約70℃まで放冷後、150mlのMIBK(メチルイソブチルケトン)を加え希釈した。この溶液を室温まで放冷後、反応液を1Lの2規定塩酸に徐々に加え、生成物を酸性水中に抽出した後、有機層を分液し過剰の1,4−ジクロロベンゼンを取り除いた。水層がpH3〜4になるまで4mol/lの水酸化ナトリウム溶液を徐々に加え、MIBKにより生成物を抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量130g。粗生成物をヘキサン/酢酸エチル溶媒を展開溶媒にカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物を無色透明な粘ちょうな液体として110g、収率87%で得た。得られた化合物の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
[合成例2]下記式で表される4−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピリジンの合成
Figure 0005417864
合成例1で、ニコチン酸クロリド塩酸塩89.0g(0.5mol)の代わりにイソニコチン酸クロリド塩酸塩を用いたこと以外は同様に行い、組成生物130gを得た。これをブタノールから再結晶し、目的物を白色固体として100.5g、収率79%で得た。得られた化合物の1H−NMRスペクトルを図2に示す。
[合成例3]下記式で表される2−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピロールの合成
Figure 0005417864
攪拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管を取り付けた1L三口フラスコに、ジクロロメタン200mlを入れ、塩氷浴で0℃まで冷却した後、塩化アルミニウム80.4g(0.6mol)、ピロール40.3g(0.6mol)を加えた。ついで、2,5−ジクロロベンゾイルクロリド104.7g(0.50mol)をジクロロメタン100mlに溶解させたものを、滴下ロートを用いてゆっくりと滴下した。滴下終了後、氷水浴で5〜10℃を保ちながら3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を1Lの2規定塩酸に徐々に加え、過剰の塩化アルミニウムを溶解させ除去した。有機層を5%重曹水、水、食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量120g。粗生成物をヘキサン/酢酸エチルから再結晶し、乳白色固体の目的物を95g、収率79%で得た。
[合成例4]下記式で表される3−(2,5−ジクロロベンゼンスルホニル)ピリジンの合成
Figure 0005417864
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた2L三口フラスコに、2,5−ジクロロベンゼンチオール89.5g(0.500mol)、3−フルオロピリジン53.4g(0.55mol)、炭酸カリウム82.9g(0.60mol)、脱水N,N’−ジメチルアセトアミド 550mlを量りとった。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを用いて100℃で3時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を室温まで放冷した。その後、反応液を3Lの水に徐々に加え、生成物を凝固させ、ろ過した。ろ過により得られた生成物をトルエン2.5Lに溶解させた後、分液漏斗を用いて、水層が中性になるまで食塩水により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去し、中間体である2,5−ジクロロフェニルピリジルスルフィドを粗収量129gで得た。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた2L三口フラスコに、上記中間体の組成生物129g、過ホウ酸ナトリウム四水和物461.6g(3.0mol)、酢酸500ml、を量り取った。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを用いて60℃で5時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、減圧蒸留により酢酸を留去し、酢酸エチルを加えて溶解させた。これを水、5%重曹水、食塩水で十分に洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去し、組成生物を130g得た。これをエタノールから再結晶し、白色固体115g、収率80%で得た。
[合成例5](比較合成例)下記式で表される2,5−ジクロロ−4’−(1−
イミダゾリル)ベンゾフェノンの合成
Figure 0005417864
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた2L三口フラスコに、2,5−ジクロロ―4'―フルオロベンゾフェノン150.7g(0.560mol)、イミダゾール114.4g(1.68mol)、炭酸カリウム100.6g(0.728mol)、N,N−ジメチルアセトアミド 840mlを量りとった。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを用いて110℃で2時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を室温まで放冷した。その後、反応液を3Lの水に徐々に加え、生成物を凝固させ、ろ過した。ろ過により得られた生成物をTHF(1.2L)で溶かし、トルエン(4L)を加えた後、水層が中性になるまで食塩水により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量180g。80℃に加熱したトルエン1Lとメタノール20mlの混合溶媒を用いて再結晶単離操作を行い、白色固体155gを収率87%で得た。
[合成例6](スルホン酸基を有するモノマーの合成)
下記式で表される3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの調製
Figure 0005417864
攪拌機、冷却管を備えた3Lの三口フラスコに、クロロスルホン酸(233.0g、2モル)を加え、続いて2,5−ジクロロベンゾフェノン(100.4g、400ミリモル)を加え、100℃のオイルバスで8時間反応させた。所定時間後、反応液を砕氷(1000g)にゆっくりと注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、淡黄色の粗結晶(3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸クロリド)を得た。粗結晶は精製せず、そのまま次工程に用いた。
2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)(38.8g、440ミリモル)をピリジン 300mLに加え、約10℃に冷却した。ここに上記で得られた粗結晶を約30分かけて徐々に加えた。全量添加後、さらに30分撹拌し反応させた。反応後、反応液を塩酸水1000ml中に注ぎ、析出した固体を回収した。得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、粗結晶を得た。これをメタノールで再結晶し、目的物である3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの白色結晶を得た。
[合成例7] 縮合芳香族環構造に相当する化合物の合成1
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル49.4g(0.29モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン88.4g(0.26モル)、炭酸カリウム47.3g(0.34モル)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346ml、トルエン173mlを加えて攪拌した。フラスコをオイルバスにつけ、150℃に加熱還流させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を徐々に上げながら大部分のトルエンを除去した後、200℃で3時間反応を続けた。次に、2,6−ジクロロベンゾニトリル12.3g(0.072モル)を加え、さらに5時間反応した。
得られた反応液を放冷後、トルエン100mlを加えて希釈した。副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を2Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン250mlに溶解した。これをメタノール2Lに再沈殿し、目的の化合物107gを得た。
得られた目的の化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は7300であった。得られた化合物は下記構造式で表されるオリゴマーであった。
Figure 0005417864
[合成例8] 縮合芳香族環構造に相当する化合物の合成2
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン67.3g(0.20モル)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(4,4’−DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4’−DCBP10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は11,200であった。得られた化合物は下記構造式で表されるオリゴマーであった。
Figure 0005417864
[合成例9]縮合芳香族環構造に相当する化合物の合成3
前記合成例7において、4,4’−ジクロロベンゾフェノンの代わりとして、ビス(4−クロロフェニル)スルホン(BCPS)を使用し、その最初の仕込み量を53.5g(0.214mol)とし、後添加する仕込み量を3.3g(0.0133mol)としたこと、また炭酸カリウムの使用量を58.0g(0.42mol)に変えた以外は、合成例7と同様にして重合を行った。その結果、目的の化合物が96%の収率で120g得られた。得られた目的の化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は7,600であった。得られた化合物は下記構造式表されるオリゴマーであった。
Figure 0005417864
[実施例1] 含窒素複素環基含有スルホン化重合体P1Aの合成
撹拌機、温度計、窒素導入管を接続した1Lの3口フラスコに、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)166mLを合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.7mmol)と、合成例7で合成した化合物 13.4g(1.8mmol)、合成例1で得られた3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピリジン1.18g(4.7mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.62g(4.0mmol)、トリフェニルホスフィン10.5g(40.1mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3.0mmol)、亜鉛15.7g(240.5mmol)の混合物中に窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には82℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc 175mLで希釈し、30分撹拌し、セライトを濾過助剤に用い濾過した。撹拌機を取り付けた1Lの3つ口で、この濾液に臭化リチウム24.4g(281mmol)を1/3ずつ3回に分け1時間間隔で加え、内温120℃で5時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン4Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N硫酸1500mLで攪拌しながら洗浄を行った。濾過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄後、80℃で一晩乾燥し、目的のスルホン化ポリマー38.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=63000、Mw=194000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP1A)である。
得られたポリマーP1Aを13〜17重量%の濃度でメタノール/NMP=50/50の混合溶媒)に溶解した溶液をキャスト法により製膜した。これを大量の蒸留水に一晩浸漬し、膜中の残存NMPを希釈により取り除いた後、乾燥し、プロトン伝導膜を得た(膜厚40μm)。
Figure 0005417864
[実施例2] 含窒素複素環基含有スルホン化重合体P2Bの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.8g(94.3mmol)、合成例8で合成した化合物 13.4g(1.2mmol)、合成例2で得られた4−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピリジン1.19g(4.7mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー37.5gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=62000、Mw=184000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP2B)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP2Bを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[実施例3] 含窒素複素環基含有スルホン化重合体P3Aの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.7mmol)と、合成例7で合成した化合物 13.4g(1.8mmol)、合成例3で得られた2−(2,5−ジクロロベンゾイル)ピロール1.13g(4.7mmol)、とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー36.5gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=58,000、Mw=192000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.32meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP3A)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP3Aを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[実施例4] 含窒素複素環基含有スルホン化重合体P4Cの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.8mmol)と、合成例9で合成した化合物 13.1g(1.7mmol)、合成例4で得られた3−(2,5−ジクロロベンゼンスルホニル)ピリジン1.35g(4.7mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー38.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=55,000、Mw=182,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.32meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP4C)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP4Cを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[比較例1] 含窒素複素環基含有スルホン化重合体P6Cの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 37.6g(93.7mmol)と、合成例9で合成した化合物 13.1g(1.7mmol)、合成例5で得られた2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノン1.49g(4.7mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー36.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=63,000、Mw=202,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.23meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーP6C)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーP6Cを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[比較例2]スルホン化重合体PAの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例7で合成した化合物 15.0g(2.1mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー40.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=54,000、Mw=188,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.31meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーPA)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーPAを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[比較例3]スルホン化重合体PBの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.7g(98.9mmol)と、合成例8で合成した化合物 15.2g(1.4mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー41.2gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=62,000、Mw=200,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーPB)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーPBを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[比較例4]スルホン化重合体PCの合成
実施例1において、ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体を合成するために用いたモノマーを、合成例6で合成した3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例9で合成した化合物 15.2g(2.0mmol)とした以外は同様に行い、目的のスルホン化ポリマー39.4gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=57,000、Mw=190,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記構造式で表される化合物(ポリマーPC)である。また、ポリマーP1Aに替えてポリマーPCを用いた他は、実施例1と同様にして、プロトン伝導膜を調製した。
Figure 0005417864
[スルホン化重合体の評価]
上記実施例1〜4および比較例1〜4にて得られたスルホン化重合体を、上記手法にてキャスト膜を調製し、各種物性を評価した。スルホン酸当量およびプロトン伝導度の評価結果を表1に、耐熱性および化学耐久性の結果を表2に示した。
Figure 0005417864
Figure 0005417864
表1、表2に示した結果の通り、電子吸引性基を介して結合した含窒素複素環を有するスルホン化重合体は、低湿度環境下のプロトン伝導性の低下が無く、優れた耐熱性および化学耐久性を有することが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される構造単位(以下、「含窒素複素環基を有する構造単位」という。)、スルホン酸基を有する構成単位および芳香族環構造を有する構成単位を含むことを特徴とするスルホン化ポリアリーレン。
    −Rs−V−Rh ・・・(1)
    (式(1)中、Vは−CO−、−SO2−、−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Rsは直接結合または任意の2価の有機基、Rhは含窒素複素環基を示す。式(1)中の含窒素複素環基は、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基である)
  2. 前記スルホン酸基を有する構成単位が、下記式(4)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のスルホン化ポリアリーレン。
    Figure 0005417864
    (式(4)中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、直接結合、−(CF2)u−(uは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、cは0〜3の整数を示し、dは0〜3の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
  3. 前記含窒素複素環基を有する構造単位が、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のスルホン化ポリアリーレン。
    Figure 0005417864
    (式(2)中、V、RsおよびRhは、式(1)の場合と同様である。)
  4. 前記芳香族環構造が、下記式(6)で表される構造を含むことを特徴とする請求項3に記載のスルホン化ポリアリーレン。
    Figure 0005417864
    (式(6)中、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。なお、構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
  5. 下記式(8)で表される構造を含む請求項4に記載のスルホン化ポリアリーレン。
    Figure 0005417864
    (式(8)において、A、B、D、V、Y、Z、Ar、k、c、d、r、s、t、Rh、RsおよびR1〜R16は、それぞれ式(2)、式(4)および式(6)の場合と同様である。x、y、zは、x+y+z=100モル%とした場合のモル分率を示し、xは、99〜85モル%、yは、15〜1モル%、zは、15〜0.01モル%である。各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体を含むプロトン伝導膜。
JP2009015652A 2008-06-03 2009-01-27 重合体およびプロトン伝導膜 Expired - Fee Related JP5417864B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009015652A JP5417864B2 (ja) 2008-06-03 2009-01-27 重合体およびプロトン伝導膜

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008145803 2008-06-03
JP2008145803 2008-06-03
JP2009015652A JP5417864B2 (ja) 2008-06-03 2009-01-27 重合体およびプロトン伝導膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010013625A JP2010013625A (ja) 2010-01-21
JP5417864B2 true JP5417864B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=41700023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009015652A Expired - Fee Related JP5417864B2 (ja) 2008-06-03 2009-01-27 重合体およびプロトン伝導膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5417864B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5352128B2 (ja) * 2008-06-03 2013-11-27 本田技研工業株式会社 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
US8283428B2 (en) 2008-06-20 2012-10-09 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Polymacromonomer and process for production thereof
US8802797B2 (en) 2008-06-20 2014-08-12 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Vinyl-terminated macromonomer oligomerization
JP2012001715A (ja) * 2010-05-19 2012-01-05 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリアリーレン系ブロック共重合体、その製造方法及び高分子電解質
JP5854046B2 (ja) * 2011-07-29 2016-02-09 Jsr株式会社 プロトン伝導性基を有する芳香族系共重合体およびその用途
US8796376B2 (en) 2012-03-26 2014-08-05 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Functionalized polymers and oligomers
KR101728839B1 (ko) 2014-07-07 2017-04-21 한국과학기술연구원 고분자 전해질 화합물 및 그 제조 방법, 상기 고분자 전해질 화합물로 이루어진 고분자 전해질 막, 이를 포함하는 전기화학소자

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007109472A (ja) * 2005-10-12 2007-04-26 Jsr Corp 燃料電池用膜−電極接合体
JPWO2008143179A1 (ja) * 2007-05-18 2010-08-05 Jsr株式会社 新規な芳香族化合物および側鎖にスルホン酸基を含む含窒素複素環を有するポリアリーレン系共重合体
JP4976919B2 (ja) * 2007-05-18 2012-07-18 本田技研工業株式会社 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP4994945B2 (ja) * 2007-05-18 2012-08-08 Jsr株式会社 高分子型燃料電池用電極電解質およびその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010013625A (ja) 2010-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5472267B2 (ja) 含窒素芳香族化合物およびその製造方法、重合体およびプロトン伝導膜
JP5417864B2 (ja) 重合体およびプロトン伝導膜
JP4600191B2 (ja) 新規芳香族化合物、スルホン化ポリアリーレンおよびその用途
JPWO2008143179A1 (ja) 新規な芳香族化合物および側鎖にスルホン酸基を含む含窒素複素環を有するポリアリーレン系共重合体
JP5625317B2 (ja) 新規な芳香族化合物および側鎖にスルホン酸基を含む芳香環を有するポリアリーレン系共重合体
JP5796284B2 (ja) ビフェニルテトラスルホン酸化合物、その製造方法、重合体及び高分子電解質
JP2010031231A (ja) 新規な芳香族化合物および含窒素芳香環を有するポリアリーレン系共重合体
JP5352128B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP5417863B2 (ja) ポリアリーレン系共重合体および固体高分子電解質
JP4554568B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP2005154578A (ja) 架橋型高分子電解質およびプロトン伝導膜
JP4752336B2 (ja) 熱安定性改良プロトン伝導膜および該伝導膜形成用組成物
JP5692226B2 (ja) スルホン酸基を有するポリアリーレン系ブロック共重合体、ならびにその用途
JP2012067216A (ja) 芳香族系共重合体、ならびにその用途
JPWO2011049211A1 (ja) 側鎖にホスホン酸基を含む芳香環を有するポリアリーレン系共重合体
JP5581593B2 (ja) ポリアリーレン系共重合体、プロトン伝導膜および固体高分子電解質型燃料電池
JP5262227B2 (ja) 芳香族化合物、分岐状ポリアリーレン系共重合体およびそれを用いた固体高分子電解質膜
JP2008027903A (ja) 縮合環含有高分子電解質およびその用途
JP5562129B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP2010238374A (ja) 高分子電解質膜および固体高分子電解質型燃料電池
JP2006299081A (ja) 多核芳香族スルホン酸誘導体、スルホン化ポリマー、固体高分子電解質およびプロトン伝導膜
JP5454561B2 (ja) 固体高分子電解質膜形成用溶液
JP2019019273A (ja) 高分子電解質の製造方法
JP2012028013A (ja) 熱架橋性高分子電解質材料およびそれを用いた高分子電解質膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110913

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131022

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5417864

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees