JP4665396B2 - ミクロ相分離構造によりメタノール透過抑制が改良されたプロトン伝導膜 - Google Patents
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Description
る。各ブロック鎖からなるミクロドメインが集合して作り出す構造は、ミクロ相分離構造と呼ばれる。ブロックコポリマーの膜は、一般的に有機溶媒に溶かしたブロックコポリマーの溶液を適当な基板の上に展開したのち、溶媒を除去して作製される。作製された膜のミクロ相分離構造は、文献 Bates,F.S.; Fredrickson,G.H.; Annu. Res. Phys. Chem. 1990 (41) 525(非特許文献1)に開示されている様に、構成成分の組成によって、球状ミ
セル構造、シリンダー構造、ラメラ構造などの結晶状構造を示す。
Bates,F.S.; Fredrickson,G.H.; Annu. Res. Phys. Chem. 1990 (41) 525
タノール透過抑制を両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)イオン伝導性成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導性成分を有さない
ポリマーセグメント(B)からなる膜であり、
(i)該膜中でAとBとが共に連続的なミクロ相分離構造を形成し、
(ii)Bからなる連続相がAからなるドメインを部分的に囲い込んでなる
ことを特徴とするプロトン伝導膜。
(2)ミクロ相分離構造を形成するセグメント(A)からなるドメインが、円形、または楕
円形、またはこれらの変形体、合体形状を示し、その大きさが、直径の平均値で1〜300nmの範囲にあり、
それを部分的に取り囲むBからなる疎水性の連続相が、厚みの平均値で1〜50nmであるモルフォロジーを示す。
(3)ポリマーセグメント(A)と(B)が共有結合しているブロック共重合体である。
(4)ポリマーセグメント(A)と(B)を有する共重合体を形成する主鎖骨格が芳香環を
結合基で共有結合させた構造を有し、かつポリマーセグメント(A)の骨格が側鎖にスルホン酸基を含有する。
本発明に係るプロトン伝導膜は、イオン伝導性成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメント(B)からなる膜であり、該膜中でAとBとが共に連続的なミクロ相分離構造を形成すること、及びBからなる連続相がAからなるドメインを部分的に囲い込むことを特徴とするプロトン伝導膜である。Aからなるドメインは、イオン伝導性成分を有しているので、親水性ドメインになる、イオン伝導性成分を有していないBからなるドメインは、疎水性ドメインとなる。
クロ相分離構造は、TEM観察を行い評価する。(後述する図1参照)
本発明に係るプロトン伝導膜のモルフォロジーとしては、膜断面の電子顕微鏡によるモルフォロジー観察において、ミクロ相分離構造を形成するポリマーセグメント(A)からなる親水性ドメインが円形、もしくは楕円形、またはこれらの変形体、もしくはこれらがいくつかの合体形状である。変形体とは、楕円の一部が湾曲したもの、環状となったものなどが挙げられる。
(ブロック共重合体)
本発明に係るプロトン伝導膜として使用することが可能な「ミクロ相分離構造を形成可能なブロック共重合体」としては、ポリマーセグメント(A)と(B)を有する共重合体を形成する主鎖骨格が芳香環を結合基で共有結合させた構造を有し、かつポリマーセグメント(A)の骨格が側鎖にスルホン酸基を含有することを特徴とするものである。上述のようなミクロ相分離構造を基質の構造を規定して制御する手段として、互いに非相溶なポリマーを共有結合させて一つのポリマー鎖を形成させるブロック共重合体の利用がある。イオン伝導性成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメント(B)からなる共重合体を用いるのが好適である。
(スルホン酸基を有するポリアリーレン)
本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンについて具体的に説明する。
−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(ここで、lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−などが挙げられる。
ル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
はフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
本発明で用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、式(A)で表される繰り
返し構成単位を0.05〜99.95モル%、好ましくは10〜99.5モル%の割合で、式(B)で表される繰り返し構成単位を0.05〜99.95モル%、好ましくは0.5〜90モル%の割合で含有していることが望ましい。
スルホン酸基を有するブロック共重合体は、上記一般式(A)で表される骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しない構造単位と、上記一般式(B)の構造単位からなるポリアリーレンを予め合成し、この共重合体をスルホン化することにより合成することができる。
ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、A、B、m、nは、それぞれ上記一般式(A)中のA、B、m、nと同義である。
き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
ハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基また
はアリール基を示す。)で表される基を示す。Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Tは単結合または2価の有機基であって、電子吸引性基であっても電子供与基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
ロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベ
ンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
フェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロ
ロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカ
フルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
または特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
基とを組み合わせた化合物、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ
金属塩と、過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−
ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる
。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
ロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、γ−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
度が低く実用的ではない。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)
、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることができる。
(プロトン伝導膜)
本発明のプロトン伝導膜は、ブロック共重合体、例えば、上述した本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレン共重合体(以下、単に「スルホン酸基を有するポリアリーレン」という)を溶剤に溶解して溶液とした後、キャスティングにより基体上に流延し、フィルム状に成形する方法(キャスティング法)などにより、フィルム状に成形して製造される。基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
DMI)などの非プロトン系極性溶剤が挙げられ、特に溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。非プロトン系極性溶剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が
高過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
るプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
スルホン酸不含のポリアリーレン重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(
THF)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
交流抵抗は、5mm幅の短冊状のプロトン伝導膜試料の表面に、白金線(f=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、25℃、60℃、相対湿度80%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数からプロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
4.耐メタノール水溶液性
(メタノール水溶液に対する溶解性および膨潤性)
メタノール水溶液に対する耐性評価は、スルホン化ポリアリーレン単体のフィルムを所定濃度(6、64重量%)のメタノール水溶液に20時間室温浸漬し、浸積前後の面積測定により行った。尚、評価フィルムは、スルホン化ポリアリーレンのNMP16重量%溶液からキャスト、150℃で乾燥、水洗により溶媒除去したフィルムを40×30mmにカットしたものをサンプルとした。
(メタノール透過性)
メタノール透過抑制能の評価は、上記浸積試験と同様のフィルムを直径50mmのプロトン伝導膜試料を所定のセルにセットし、表面側から規定濃度のメタノール水溶液を供給、裏面側から減圧しながら透過液を回収する浸透気化測定装置(パーベーパレーション)により行った。すなわち、メタノール水溶液濃度10wt%、温度25℃の減圧条件下でのメタノールFluxおよび分離係数から特性評価を実施した。
積(m2)×透過液濃度(%)
分離係数=(透過液濃度/(100−透過液濃度))/(供給液濃度/(100−供給液濃度)
合成例1
(オリゴマーの調製)
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、および窒素導入の三方コックを取り付けた2Lの三つ口のフラスコに、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン(4,4'-DHBP)99.4g(0.46mol)、4,4'-ジクロロジフェニルスルホン(4,4'-D
CDS)148.2g(0.52mol)、炭酸カリウム86.9g(0.63mol)
、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)500mL、およびトルエン200mLを加え、オイルバスで加熱を行い、窒素雰囲気下で撹拌しながら150℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。次いで、反応温度を徐々に180℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、180℃で8時間反応を続けた後、4,4'-DCDS9.2g(0.032mol)を加え、さらに2時間反応さ
せた。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過によって除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。これにより沈殿した生成物を濾別して回収し、乾燥した後、DMI500mLに溶解した。この溶液をメタノール4Lに加えて再沈殿させ、
目的の化合物175g(収率77%)を得た。
(ポリアリーレン共重合体の合成)
合成例1で得られたオリゴマー17.6g(1.8mmol)、2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン(DCPPB)25.4g(58.4mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.18g(1.8mmol)、よう化ナトリウム1.17g(7.8mmol)、トリフェニルホスフィン6.30g(24.0mmol)、および亜鉛末9.41g(144mmol)をフラスコに加え、乾燥窒素置換した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン100mlをフラスコに加え、80℃に加熱し、攪拌しながら4時間重合を行った。得られた重合溶液をNMPで希釈した後、セライトを濾過助剤に用いて濾過し、濾液を大過剰のメタノール1000mLに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して風乾し、さらにNMP200mLに再溶解し、大過剰のメタノール1500mLに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して真空乾燥し、目的の共重合体35.7g(92%)を得た。GPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は45300、重量平均分子量は155100であった。
(スルホン酸基を含有するポリアリーレン共重合体の合成−1)
合成例2で得た共重合体16gを攪拌装置、温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコに加え、次いで濃度98%の硫酸160mlを加え、フラスコ内の温度を25℃に保ちながら窒素気流下で24時間攪拌した。得られた溶液を大量のイオン交換水の中に注ぎ入れ、重合体を沈殿させた。次いで、洗浄水のpHが5になるまで重合体の洗浄を繰り返した後、乾燥して、18g(収率91%)のスルホン酸基含有重合体を得た。このスルホン酸基含有重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は40200、重量平均分子量は161700であり、スルホン酸当量は2.1meq/g
であった(モノマー仕込み比から計算したスルホン酸当量は2.3meq/g)。
(スルホン酸基を含有するポリアリーレン共重合体の合成−2)
合成例1で用いた方法と同様な手順でビスフェノールとジハライドの仕込み比を変更して、オリゴマーの調整を行った。GPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は20000であった。上記オリゴマーを使用し、合成例2、3の方法に従いスル
ホン酸基を含有するポリアリーレン共重合体の合成を行った。このスルホン酸基含有重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は47700、重量平均分子量は180000であり、スルホン酸当量は2.1meq/gであった(モノマー仕
込み比から計算したスルホン酸当量は2.3meq/g)。
合成例3で得られたスルホン酸基を含有するポリマー5.0gをNMP20.6gおよびメタノール10.3gを50ccのスクリュー管に加え、ウエーブローターで24時間攪拌を行い、粘度5000cpの均一なポリマー溶液を得た。
上記の溶液をPETフィルム上にバーコーダー法によりキャストし、80℃で30分間、150℃で60分間、乾燥することで、膜厚90μmの均一且つ透明な固体電解質フィルムを得た。フィルムの内部構造は、フィルムの超薄切片を切り出し、該切片を硝酸鉛で染色した後、日立製作所製HF-100FA透過型電子顕微鏡(以下TEM)で観察した。
ような相分離構造を有している。また、Aからなる島相ドメインはネットワーク状に連結し、膜を貫いて連続していることが観測された。
った。寸法変化量は1.15倍(6重量%)、1.20倍(64重量%)、伝導度は、0.103s/cm(60℃/80%RH)、0.051s/cm(25℃/80%RH)であった。
合成例4で得られたスルホン酸基を含有するポリマーを実施例1と同様の方法でポリマー溶液を調製し、製膜、評価を行った。
った。寸法変化量は1.11倍(6重量%)、1.16倍(64重量%)、伝導度は、0.023s/cm(60℃/80%RH)、0.005s/cm(25℃/80%RH)であった。
パーフルオロアルキルスルホン酸(商品名:Nafion117(登録商標)、DuPont社製)のキャストフィルム(膜厚180μm)のメタノールFluxは260(g/h/m2)であった。寸法変化量は1.28倍(6重量%)、2.18倍(64重量%
)であった。伝導度は、0.090s/cm(60℃/80%RH)、0.049s/cm(25℃/80%RH)であった。
Claims (6)
- イオン伝導性成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメント(B)からなる膜であり、
(i)該膜中でAとBとが共に連続的なミクロ相分離構造を形成し、
(ii)Bからなる連続相がAからなるドメインを部分的に囲い込んでなり、
(iii)ポリマーセグメント(A)と(B)を有する共重合体を形成する主鎖骨格が芳香環を結合基で共有結合させた構造を有し、
(iv)ポリマーセグメント(A)がネットワーク状に連結してなり、
(v)ポリマーセグメント(A)のドメイン量と、ポリマーセグメント(B)のドメインとの体積比は、40/60<A/B<90/10である
ことを特徴とする直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。 - ポリマーセグメント(A)と(B)が共有結合しているブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
- ポリマーセグメント(A)の骨格が側鎖にスルホン酸基を含有することを特徴とする請求項2に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
- 上記共重合体は、ポリマーセグメント(A)および(B)として、
下記一般式(A)で表される繰り返し構成単位および下記一般式(B)で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜;
- 上記共重合体は、下記一般式(D)で表される化合物と;
下記一般式(E)で表される化合物とを;
ブロック共重合させたのち、一般式(D)で表されるモノマーから誘導される構成単位中のAr'にスルホン酸基を導入させたものであることを特徴とする請求項4に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。 - 前記共重合体を、非プロトン系極性溶剤を含む溶媒に溶解したのち、フィルム状に製膜して得られた物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003430833A JP4665396B2 (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | ミクロ相分離構造によりメタノール透過抑制が改良されたプロトン伝導膜 |
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