JP5028828B2 - ポリアリーレン系ブロック共重合体及びその用途 - Google Patents

ポリアリーレン系ブロック共重合体及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアリーレン系ブロック共重合体に関し、高分子電解質、なかでも燃料電池用プロトン伝導膜として好適に用いられるポリアリーレン系ブロック共重合体及びその用途に関するものである。
一次電池、二次電池、あるいは固体高分子型燃料電池等の伝導膜として、プロトン伝導性を有する高分子を用いる高分子電解質膜が用いられている。例えば、ナフィオン(デュポン社の登録商標)をはじめとする側鎖に超強酸としてのパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルカンである脂肪族系高分子を有効成分とする高分子電解質が、燃料電池用の膜材料として用いた場合に、発電特性が優れることから従来、主に使用されている。しかしながら、この種の材料は非常に高価であること、耐熱性が低いこと、膜強度が低く何らかの補強をしないと実用的でないこと等の問題が指摘されている。
こうした状況において、上記高分子電解質に替わり得る安価で特性の優れた高分子電解質の開発が近年活発化し、ポリフェニレンを主鎖構造に有するポリアリーレン系高分子電解質の検討がなされている。
例えば、繰返し構造として、置換基を持ったフェニレン単位を有し、該置換基が、スルホフェノキシベンゾイル基等のような、可とう性のある側鎖にスルホン酸基を有する芳香族基であるポリアリーレン系高分子電解質(特許文献1)が提案されている。しかしながら、このポリアリーレン系高分子電解質は、剛直なポリフェニレン骨格からなり、破断伸び等の機械的特性の面で問題を有している。
このような剛直なポリフェニレン骨格を有するスルホン化ポリフェニレンとしては、例えば、非特許文献1には、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジブロモビフェニルをウルマン縮合することで得られるポリマーが開示され、このポリマーが高いプロトン伝導度を有することが示されている。
上記機械強度の改善策としては、例えば、特許文献2、3には繰返し単位として、上記と同様の末端にスルホン酸基を有する芳香族系置換基を持ったフェニレン単位と、主鎖中に屈曲構造を有する単位等とを有するポリアリーレン系高分子電解質等が提案されており、主鎖中に屈曲構造を有する単位を有することで、破断伸び等の機械的特性が改善されている。
米国特許5403675号(第9〜11カラム) 特開2001−342241号公報(第1〜4頁) 特開2003−113136号公報(第1〜4頁) Polymer Materials Science & Engineering,2003,89,438
しかしながら、前記のようなポリアリーレン系高分子電解質を固体高分子型燃料電池用プロトン伝導膜に用いた場合、プロトン伝導度の湿度依存性が大きく、吸水膨潤時の寸法変化率が大きいという問題があった。
本発明の目的は、電解質膜として用いるときにプロトン伝導度の湿度依存性が小さく、吸水膨潤時の寸法変化率が小さいポリアリーレン系ブロック共重合体、該ブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質、該高分子電解質を用いてなる高分子電解質膜、高分子電解質と多孔質基材とを用いてなる高分子電解質複合膜、該高分子電解質を用いてなる触媒組成物およびこれらを用いてなる高分子電解質型燃料電池を提供することにある。
本発明者等は、燃料電池のプロトン伝導膜あるいは触媒層に好適な高分子電解質として、より優れた性能を示す高分子を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、イオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体であり、該イオン交換基を有するブロックのイオン交換基の結合形態と、そのシーケンスを特定の構造とすることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は[1]イオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとをそれぞれ一つ以上有し、該イオン交換基を有するブロックの主鎖が、複数の芳香環が直接連結してなるポリアリーレン構造を有し、さらにイオン交換基が、前記主鎖を構成する芳香環に直接結合しているブロックである、ポリアリーレン系ブロック共重合体、を提供する。このようなポリアリーレン系ブロック共重合体から得られる高分子電解質膜は、プロトン伝導度の湿度依存性が小さく、吸水膨潤時の寸法変化率も小さく、燃料電池として非常に有用な高分子電解質膜となる。
ここで、「ブロックの主鎖」とは、ポリアリーレン系ブロック共重合体としたときに、該共重合体の主鎖となりうる分子鎖のことを表し、「ポリアリーレン構造」とは、上記のように複数の芳香環が互いに直接結合(単結合)にて連結してなる構造を示すものである。
さらに本発明は、上記ポリアリーレン系ブロック共重合体において、好ましいイオン交換基を有するブロックと、好ましいイオン交換基を実質的に有さないブロックとして、下記の[2]、[3]に示すポリアリーレン系ブロック共重合体を提供する。
[2]上記イオン交換基を有するブロックが、下記一般式(1)で表される構造単位を有することを特徴とする、上記[1]記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
Figure 0005028828
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar1は2価の芳香族基を表し、ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で、置換されていても良い。Ar1は主鎖を構成する芳香環に、少なくとも一つのイオン交換基が直接結合する。)
[3]上記イオン交換基を実質的に有さないブロックが下記一般式(2)で表される繰返し構造を含むことを特徴とする上記[1]または[2]に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
Figure 0005028828
(式中、a、b、cは互いに独立に0か1を表し、nは5以上の整数を表す。Ar2、Ar3、Ar4、Ar5は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で、置換されていても良い。X、X'は、互いに独立に直接結合または2価の基を表す。Y、Y'は、互いに独立に酸素原子または硫黄原子を表す。)
さらに、上記イオン交換基を有するブロックとして、一般式(1)で表されるイオン交換基を有する芳香環繰返し単位の重合度mは大きいと、燃料電池用高分子電解質膜として実用的なイオン交換容量の高分子電解質膜が得られるため好ましく、下記[4]に示すポリアリーレン系ブロック共重合体を提供する。
[4]上記イオン交換基を有するブロックが、上記一般式(1)のmが20以上の構造単位を有する上記[2]または[3]に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
また、イオン交換基としては酸性基であると、より好ましく、
[5]イオン交換基がスルホン酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、カルボン酸基のいずれかの酸基であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体、
を提供する。
上記イオン交換基の中でも、とりわけ酸性度が高いスルホン酸基が好ましく、上記イオン交換基を有するブロックとして、下記の[6]に示すブロックであると好ましい。
[6]イオン交換基を有するブロックが、下記一般式(3)で表されることを特徴とする上記[2]〜[5]のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
Figure 0005028828
(式中、mは前記と同等の定義である。R1は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基から選ばれる置換基を表す。pは0以上3以下の整数である。)
ここで、ブロックの主鎖を構成するフェニレン基には、置換基R1を有していてもよく、該置換基としては、後述する重合反応過程で、実質的に反応しない基であることが好ましい。また、pが2または3であるとき、同一のベンゼン環に、複数あるR1は同一でも異なっていてもよい。また、該ブロックにおいて、繰返し単位1つ当たりの、R1およびpは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記に示すように、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体におけるイオン交換基を有するブロックは、好ましいイオン交換基であるスルホン酸基を有する、上記一般式(1)における重合度mが大であると好ましく、好適なブロックとして、下記の[7]、[8]に示すポリアリーレン系ブロック重合体を挙げることができる。
[7]イオン交換基を有するブロックが、下記一般式(4)で表されることを特徴とする上記[2]〜[6]のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
Figure 0005028828
(式中、R2は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基から選ばれる置換基を表す。m2は3以上の整数であり、p1、p2はそれぞれ0以上3以下の整数である。)
また、上記一般式(4)で、ブロックの主鎖を構成するフェニレン基には、置換基R2を有していてもよく、該置換基としては、後述する重合反応過程で、実質的に反応しない基であることが好ましい。また、p1あるいはp2が、2または3であるとき、同一のベンゼン環に、複数あるR2は同一でも異なっていてもよい。また、上記一般式(4)で表されるブロックにおいて、主鎖を構成するフェニレン基1つ当たりの、R2、p1、p2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
[8]上記イオン交換基を有するブロックが、上記一般式(3)で表される構造を有し、主鎖の芳香環の連結構成を以下で定義される3つの連結様式、(3a)、(3b)、(3c)で表し、その連結様式の構成比を下記(I)式に示すTP値で示したとき、TP値が0.6以下である上記[6]または[7]に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
Figure 0005028828
(式中、R1、pは前記一般式(3)と同等の定義である。)

Figure 0005028828
(式中、naは上記(3a)で表される連結構成の個数、nbは上記(3b)で表される連結構成の個数、ncは上記(3c)で表される連結構成の個数である。)
さらに、上記[1]〜[8]のいずれかに示すポリアリーレン系ブロック重合体の製造に係る下記[9]〜[13]を提供する。
[9]Q−Ar1−Q(式中、Ar1は前記一般式(1)と同等の定義であり、Qは脱離基を示す。)で表される化合物および/または下記一般式(5)で表される化合物と、下記一般式(6)で表される化合物とを、共重合するポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法。
Figure 0005028828
(式中、R2、p1、p2は前記一般式(4)と同等の定義であり、Qは脱離基を示す。)
Figure 0005028828
(式中、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、a、b、c、n、X、X’、Y、Y’は前記一般式(2)と同等の定義であり、Qは脱離基を示す。)
[10]Q−Ar1−Q(式中、Ar1は前記一般式(1)と同等の定義であり、Qは脱離基を示す。)で表される化合物および/または上記一般式(5)で表される化合物またはその塩と、上記一般式(6)で表される化合物とを、ニッケル錯体の共存下に共重合する、上記[9]記載のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法。
[11]上記ニッケル錯体が、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)と2,2’−ビピリジルからなる錯体である上記[10]に記載の製造方法。
[12]上記ニッケル錯体が、ハロゲン化ニッケルと2,2’−ビピリジルからなる錯体であり、さらに、亜鉛を共存させることを特徴とする上記[10]に記載の製造方法。
[13]上記[9]〜[12]のいずれかの製造方法により得られるポリアリーレン系ブロック共重合体。
さらに、上記イオン交換基を実質的に有さないブロックは、上記一般式(2)におけるX、X’が特定の基であると製造上好ましく、下記[13]を挙げることができる。
[14]上記イオン交換基を実質的に有さないブロックが下記一般式(2a)で表される繰返し構造を含むブロックであることを特徴とする上記[1]〜[8]、[13]のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
Figure 0005028828
(式中、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、a、b、c、n、Y、Y’は前記一般式(2)と同等の定義であり、Xa、Xbはそれぞれ独立に、直接結合、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン基及び9,9−フルオレンジイル基からなる群から選ばれる2価の基を示す。)
上記に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体の中でも、燃料電池用プロトン伝導膜に係る用途として、
[15]イオン交換容量が、0.5meq/g〜4.0meq/gであることを特徴とする上記[1]〜[8]、[13]〜[14]のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
が好適であり、さらに、
[16]上記のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質。
を提供する。ここで、「有効成分」とは、後述する燃料電池に係る、高分子電解質(複合)膜あるいは触媒層としたときに、実質的にプロトン伝導に係る成分であることを示すものである。
上記[16]記載の高分子電解質は、燃料電池に係る部材として好ましく用いられ、具体的は、下記[17]〜[19]が例示される。
[17]上記の高分子電解質を用いてなることを特徴とする高分子電解質膜。
[18]上記の高分子電解質と、多孔質基材とを、用いてなることを特徴とする高分子電解質複合膜。
[19]上記の高分子電解質を含むことを特徴とする触媒組成物。
さらに本発明は、上記の部材を用いてなる下記の高分子電解質型燃料電池を提供する。
[20]上記[17]の高分子電解質膜または上記[18]の高分子電解質複合膜を用いてなることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
[21]上記[19]の触媒組成物を用いて得られる触媒層を備えることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体は、高分子電解質型燃料電池の高分子電解質膜(プロトン伝導膜)として用いるときにプロトン伝導度の湿度依存性が小さく、吸水膨潤時の寸法変化率が小さい。かかる効果は、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を高分子電解質型燃料電池の触媒層に含むときも好適である。特に、上記プロトン伝導膜として用いた場合、その燃料電池は高い発電効率を示すものが得られる。このように、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体は、特に燃料電池の用途において、工業的に有利である。
本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体は、イオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとをそれぞれ一つ以上を有し、イオン交換基を有するブロックが、芳香環が直接連結してなるポリアリーレン構造を有し、さらにイオン交換基が、前記主鎖の芳香環に直接結合しているブロックであることを特徴とする。
ここで、「イオン交換基」とは、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を膜として用いたとき、イオン伝導、特にプロトン伝導に係る基であり、「イオン交換基を有する」とは繰り返し単位当たり有しているイオン交換基が、概ね平均0.5個以上であることを意味し、「イオン交換基を実質的に有さない」とは繰り返し単位あたり有しているイオン交換基が概ね平均0.1個以下であることを意味する。
該ポリアリーレン系ブロック共重合体は、膜の形態に転化したときに、プロトン伝導度の湿度依存性が著しく小さい膜を得ることができ、これは燃料電池用部材として、電池起動時の低湿状態においても、電池が長時間稼動し、ある程度の湿度まで向上した場合においても安定的な発電性能を得ることができる。また、該膜は、吸水に係る寸法安定性にも優れており、電池の稼動・停止の繰返しに伴う、高分子電解質膜の吸水膨潤、乾燥収縮によるストレスが著しく小さくなることから、該膜の劣化を抑制することができ、電池自体の長寿命化を達成するものである。
本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体に係る、イオン交換基を有するブロックとしては、上記一般式(1)で表されるブロックが好適である。さらに、上記一般式(1)で表されるブロックと他の繰返し構造との共重合ブロックであって、繰返し単位当たりのイオン交換基数で計算して、平均0.5個以上有するものでもよい。他の繰返し構造との共重合ブロックの場合、一般式(1)で表されるブロックの含有率は、50モル%〜100モル%が好ましく、70モル%〜100モル%であると燃料電池用の高分子電解質として、プロトン伝導度が十分であるので特に好ましい。
ここで、一般式(1)におけるmは5以上の整数を表し、5〜1000の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜1000であり、特に好ましくは20〜500である。mの値が5以上であると、燃料電池用の高分子電解質として、プロトン伝導度が十分であるので好ましい。mの値が1000以下であれば、製造がより容易であるので好ましい。
また、イオン交換基を有するブロックが他の繰返し構造との共重合ブロックの場合、該共重合ブロックの中に、上記一般式(1)で表されるブロックを含むものである。
上記一般式(1)におけるAr1は、2価の芳香族基を表す。該2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル基、キノキサリンジイル基、チオフェンジイル基等の2価の芳香族複素環基等が挙げられる。好ましくは2価の単環性芳香族基である。
また、Ar1は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていても良い。
ここで、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルキル基等が挙げられる。
また、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、イコシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルコキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリール基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリールオキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20のアシル基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアシル基が挙げられる。
Ar1は、主鎖を構成する芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有する。イオン交換基としては、酸基が通常使用される。該酸基としては、弱酸、強酸、超強酸等の酸基が挙げられるが、強酸基、超強酸基が好ましい。酸基の例としては、例えば、ホスホン酸基、カルボン酸基等の弱酸基;スルホン酸基、スルホンイミド基(−SO2−NH−SO2−R。ここでRはアルキル基、アリール基等の一価の置換基を表す。)等の強酸基が挙げられ、中でも、強酸基であるスルホン酸基、スルホンイミド基が好ましく使用される。また、フッ素原子等の電子吸引性基で該芳香環および/またはスルホンイミド基の置換基(−R)上の水素原子を置換することにより、フッ素原子等の電子吸引性基の効果で前記の強酸基を超強酸基として機能させることも好ましい。
これらのイオン交換基は、部分的にあるいは全てが、金属イオンや4級アンモニウムイオンなどで交換されて塩を形成していても良いが、燃料電池用高分子電解質膜などとして使用する際には、実質的に全てが遊離酸の状態であることが好ましい。
上記一般式(1)で示される構造単位の好ましい例としては、下記一般式(3)で表される構造単位が挙げられる。このような、構造単位を有するブロックは、後述する該ブロックの製造において、市場から容易に入手できる原料を用いることができるため、好ましい。
Figure 0005028828
(式中、mは前記と同等の定義である。R1は、同一あるいは異なり、R1は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基から選ばれる置換基を表す。pは0以上3以下の整数である。)
ここで、R1は上記Ar1の置換基として例示した、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアシル基から選ばれ、後述の重合反応において、その反応を阻害しない基である。その置換基の数pは、0または1であると好ましく、特に好ましくはpが0、すなわち置換基を有さない繰返し単位である。
次に、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体におけるイオン交換基を実質的に有さないブロックについて説明する。
該イオン交換基を実質的に有さないブロックは、上記のように、その繰返し単位当たりで計算してイオン交換基が0.1個以下であるものであり、繰返し単位当たりのイオン交換基が0、すなわちイオン交換基が実質的に皆無であると特に好ましい。
該イオン交換基を実質的に有さないブロックとして、上記一般式(2)で表される構造単位を含むブロックが好ましい。
ここで、一般式(2)におけるa、b、cは互いに独立に0か1を表す。nは5以上の整数を表し、5〜200であると好ましい。nの値が小さいと、成膜性や膜強度が不十分であったり、耐久性が不十分であったりするなどの問題が生じやすくなるため、nは10以上であると特に好ましい。また、nを5以上、好ましくは10以上とするには、一般式(2)のブロックにおけるポリスチレン換算数平均分子量で表して、2000以上、好ましくは3000以上であると充分である。
また、一般式(2)におけるAr2、Ar3、Ar4、Ar5は、互いに独立に2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としてはAr1に例示したものと同様のものが挙げられる。
また、Ar2、Ar3、Ar4は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜200のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で、置換されていても良く、これらは、上記のAr1において例示したものと同様のものが挙げられる。
上記一般式(2)におけるY、Y’は、互いに独立に酸素原子または硫黄原子を表す。 また、一般式(2)におけるX、X’は、互いに独立に直接結合または2価の基を表すものであるが、中でも、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン基または9,9−フルオレンジイル基であると好ましい。
上記一般式(2)で表される構造単位の好ましい代表例としては、例えば以下のものが挙げられる。なお、nは上記一般式(2)と同等の定義である。
Figure 0005028828
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本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体のイオン交換基を有するブロックのイオン交換基導入量は、イオン交換容量で表して、2.5meq/g〜10.0meq/gが好ましく、さらに好ましくは5.5meq/g〜9.0meq/gであり、特に好ましくは5.5meq/g〜7.0meq/gである。
該イオン交換基導入量を示すイオン交換容量が2.5meq/g以上であると、イオン交換性同士が密接に隣接することとなり、ポリアリーレン系ブロック共重合体としたときのプロトン伝導性がより高くなるので好ましい。一方、イオン交換基導入量を示すイオン交換容量が10.0meq/g以下であると、製造がより容易であるので好ましい。
また、ポリアリーレン系ブロック共重合体全体のイオン交換基の導入量は、イオン交換容量で表して、0.5meq/g〜4.0meq/gが好ましく、さらに好ましくは1.0meq/g〜2.8meq/gである。
該イオン交換基導入量を示すイオン交換容量が0.5meq/g以上であると、プロトン伝導性がより高くなり、燃料電池用の高分子電解質としての機能がより優れるので好ましい。一方、イオン交換基導入量を示すイオン交換容量が4.0meq/g以下であると、耐水性がより良好となるので好ましい。
また、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体は、分子量が、ポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく、中でも15000〜400000であることが特に好ましい。
次に、本発明の、好適なポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法について説明する。
該ポリアリーレン系ブロック共重合体における、好適なイオン交換基を有するブロックは、上記一般式(1)に表されるブロックであり、Ar1における主鎖を構成する芳香環に結合するイオン交換基の導入方法は、予めイオン交換基を有するモノマーを重合する方法であっても、予めイオン交換基を有さないモノマーからブロックを製造した後に、該ブロックにイオン交換基を導入する方法であってもよい。
イオン交換基を有するモノマーを用いて、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造を行う方法としては、例えば、ゼロ価遷移金属錯体の共存下、下記一般式(7)で示されるモノマーと、下記一般式(6)で示されるイオン交換基を実質的に有さないブロックの前駆体を縮合反応により重合することにより製造し得る。
Q−Ar1−Q (7)
(式中、Ar1は上記一般式(1)と同等の定義である。Qは、縮合反応時に脱離する基を表し、2つのQは同一であっても異なっていても良い。)

Figure 0005028828
(式中、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、a、b、c、n、X、X’、Y、Y’、Qは前記と同等の定義である。)
上記一般式(7)で示されるモノマーは、好ましいイオン交換基であるスルホン酸基で例示すると、2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4−ジブロモベンゼンスルホン酸、2,5−ジブロモベンゼンスルホン酸、3,5−ジブロモベンゼンスルホン酸、2,4−ジヨードベンゼンスルホン酸、2,5−ジヨードベンゼンスルホン酸、3,5−ジヨードベンゼンスルホン酸、2,4−ジクロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジブロモ−5−メチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジブロモ−4−メチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジヨード−5−メチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジヨード−4−メチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジクロロ−5−メトキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロ−4−メトキシベンゼンスルホン酸、2,4−ジブロモ−5−メトキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジブロモ−4−メトキシベンゼンスルホン酸、2,4−ジヨード−5−メトキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヨード−4−メトキシベンゼンスルホン酸、3,3’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、3,3’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、3,3’−ジヨードビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジヨードビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸、4,4’−ジブロモビフェニル−3,3’−ジスルホン酸、4,4’−ジヨードビフェニル−3,3’−ジスルホン酸、5,5’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、5,5’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、5,5’−ジヨードビフェニル−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
また、他のイオン交換基の場合は、上記に例示したモノマーのスルホン酸基を、カルボン酸基、ホスホン酸基等のイオン交換基に置き換えて、選択することができ、これら他のイオン交換基を有するモノマーも市場から容易に入手できるか、公知の製造方法を用いて、製造することが可能である。
さらに上記に例示するモノマーのイオン交換基が塩の形でもよく、特に、イオン交換基が塩の形であるモノマーを用いることが、重合反応性の観点から好ましい。塩の形としては、アルカリ金属塩が好ましく、特に、Li塩、Na塩、K塩の形が好ましい。
上記の一般式(6)、一般式(7)に示すQは、縮合反応時に脱離する基を表すが、その具体例としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
また、イオン交換基の導入を重合後に行い、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造を行う方法として、例えば、ゼロ価遷移金属錯体の共存下、下記一般式(8)で示される化合物と、上記一般式(6)で示されるイオン交換基を実質的に有さないブロックの前駆体を縮合反応により重合し、その後、公知の方法に準じてイオン交換性基を導入することにより製造し得る。
Q−Ar6−Q (8)
(式中、Ar6はイオン交換基を導入することで、上記一般式(1)のAr1となりえる2価の芳香族基を表し、Qは上記一般式(7)と同等の定義である)
ここで、Ar6は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基または炭素数2〜20のアシル基で置換されていても良いが、Ar6は少なくともひとつのイオン交換基を導入可能な構造を有する、2価の芳香族基である。該2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル基、キノキサリンジイル基、チオフェンジイル基等の複素環基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基としては、上記のAr1における置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
Ar6におけるイオン交換基を導入可能な構造としては、芳香環に直接結合している水素原子を有しているか、イオン交換基に変換可能な置換基を有していることを示す。イオン交換基に変換可能な置換基としては、重合反応を阻害しない限り特に制限はないが、例えば、メルカプト基、メチル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、ブロモ基等が挙げられる。
イオン交換基の導入方法としてスルホン酸基の導入方法を例として挙げると、重合して得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を濃硫酸に溶解あるいは分散することにより、あるいは有機溶媒に少なくとも部分的に溶解させた後、濃硫酸、クロロ硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄などを作用させることにより、水素原子をスルホン酸基に変換する方法を挙げることができる。これらのモノマーの代表例としては、例えば1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,3−ジクロロ−4−メトキシベンゼン、1,4−ジクロロ−3−メトキシベンゼン、1,3−ジブロモ−4−メトキシベンゼン、1,4−ジブロモ−3−メトキシベンゼン、1,3−ジヨード−4−メトキシベンゼン、1,4−ジヨード−3−メトキシベンゼン、1,3−ジクロロ−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジクロロ−3−アセトキシベンゼン、1,3−ジブロモ−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジブロモ−3−アセトキシベンゼン、1,3−ジヨード−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジヨード−3−アセトキシベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジブロモ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジヨード−3,3’−ジメトキシビフェニル等が挙げられる。
また、上記一般式(10)で示されるモノマーがメルカプト基を有すると、重合反応終了時にメルカプト基を有するブロックを得ることができ、該メルカプト基を、酸化反応によりスルホン酸基に変換することができる。このようなモノマーの代表例としては2,4−ジクロロベンゼンチオール、2,5−ジクロロベンゼンチオール、3,5−ジクロロベンゼンチオール、2,4−ジブロモベンゼンチオール、2,5−ジブロモベンゼンチオール、3,5−ジブロモベンゼンチオール、2,4−ジヨードロベンゼンチオール、2,5−ジヨードベンゼンチオール、3,5−ジヨードベンゼンチオール、2,5−ジクロロ−1,4−ベンゼンジチオール、3,5−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、4,6−ジクロロ−1,3−ベンゼンジチオール、2,5−ジブロモ−1,4−ベンゼンジチオール、3,5−ジブロモ−1,2−ベンゼンジチオール、3,6−ジブロモ−1,2−ベンゼンジチオール、4,6−ジブロモ−1,3−ベンゼンジチオール、2,5−ジヨード−1,4−ベンゼンジチオール、3,5−ジヨード−1,2−ベンゼンジチオール、3,6−ジヨード−1,2−ベンゼンジチオール、4,6−ジヨード−1,3−ベンゼンジチオール等が挙げられ、さらに上記に例示するモノマーのメルカプト基が保護されたモノマー等が挙げられる。
次に、カルボン酸基の導入方法を例として挙げると、酸化反応により、メチル基、ホルミル基をカルボン酸基に変換する方法や、ブロモ基をMgの作用により−MgBrとした後、二酸化炭素を作用させカルボン酸基に変換する等の公知の方法が挙げられる。ここで、メチル基を有する代表的なモノマーとしては、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、3,5−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、3,5−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、3,5−ジヨードトルエン等が挙げられる。
ホスホン酸基の導入方法を例として挙げると、ブロモ基を、塩化ニッケルなどのニッケル化合物の共存下、亜リン酸トリアルキルを作用させてホスホン酸ジエステル基とした後、これを加水分解してホスホン酸基に変換する方法や、ルイス酸触媒の共存下、三塩化リンや五塩化リンなどを用いてC−P結合を形成させ、続いて必要に応じ酸化及び加水分解してホスホン酸基に変換する方法とする方法、高温でリン酸無水物を作用させ、水素原子をホスホン酸基に変換する方法等の公知の方法が挙げられる。
スルホンイミド基の導入方法を例として挙げると、縮合反応、置換反応等により、前述のスルホン酸基をスルホンイミド基に変換する方法等の公知の方法が挙げられる。
ここで、Qは、縮合反応時に脱離する基であり、上記一般式(6)、一般式(7)で例示したものと同等である。
また、上記一般式(6)で表される前駆体の好適な代表例としては、下記に例示するモノマーが挙げられる。これらの例示の中で、Qは上記と同等の定義である。
Figure 0005028828
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かかる例示の化合物は、市場から容易に入手できるか、市場から容易に入手できる原料を用いて製造することが可能であり、例えば、上記(6a)で示される末端に脱離基Qを有するポリエーテルスルホンは、例えば住友化学(株)製スミカエクセルPES等の市販品を入手することも可能であり、これを式(6)で示される前駆体として用いることもできる。また、nは上記と同等の定義であり、これらの化合物のポリスチレン換算数平均分子量で2000以上、好ましくは3000以上であるものが選択される。
縮合反応による重合は、例えば遷移金属錯体の共存下に実施される。
上記遷移金属錯体は遷移金属にハロゲンや後述の配位子が配位したものであり、後述の配位子を少なくとも一つ有するものが好ましい。遷移金属錯体は市販品でも別途合成したもの何れを用いてもよい。
遷移金属錯体の合成方法は、例えば遷移金属塩や遷移金属酸化物と配位子とを反応させる方法等の公知の方法が挙げられる。合成した遷移金属錯体は、取り出して使用してもよいし、取り出すことなく、in situで使用してもよい。
配位子としては、例えばアセテート、アセチルアセトナート、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパンなどが挙げられる。
遷移金属錯体としては、例えばニッケル錯体、パラジウム錯体、白金錯体、銅錯体等が挙げられる。これら遷移金属錯体の中でもゼロ価ニッケル錯体、ゼロ価パラジウム錯体のようなゼロ価遷移金属錯体が好ましく用いられ、ゼロ価ニッケル錯体がより好ましく用いられる。
ゼロ価ニッケル錯体としては、例えばビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどが挙げられ、中でも、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が、安価という観点から好ましく使用される。
ゼロ価パラジウム錯体としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。
これらゼロ価遷移金属錯体は、上記のように合成して用いてもよいし、市販品として入手できるものを用いてもよい。
ゼロ価遷移金属錯体の合成方法は例えば、遷移金属化合物を亜鉛やマグネシウムなどの還元剤でゼロ価とする方法等の公知の方法が挙げられる。合成したゼロ価遷移金属錯体は、取り出して使用してもよいし、取り出すことなくin situで使用してもよい。
還元剤により、遷移金属化合物からゼロ価遷移金属錯体を発生させる場合、使用される遷移金属化合物としては、通常、2価の遷移金属化合物が用いられるが0価のものを用いることもできる。なかでも2価ニッケル化合物、2価パラジウム化合物が好ましい。2価ニッケル化合物としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセテート、ニッケルアセチルアセトナート、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)などが挙げられ、2価パラジウム化合物としては塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、パラジウムアセテートなどが挙げられる。
還元剤としては、亜鉛、マグネシウム、水素化ナトリウム、ヒドラジンおよびその誘導体、リチウムアルミニウムヒドリドなどが挙げられる。必要に応じて、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム、ヨウ化トリエチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を併用することもできる。
上記遷移金属錯体を用いた縮合反応の際、重合体の収率向上の観点から、用いた遷移金属錯体の配位子となりうる化合物を添加することが好ましい。添加する化合物は使用した遷移金属錯体の配位子と同じであっても異なっていてもよい。
該配位子となりうる化合物の例としては、前述の、配位子として例示した化合物等が挙げられ、汎用性、安価、縮合剤の反応性、重合体の収率、重合体の高分子量化の点でトリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジルが好ましい。特に、2,2’−ビピリジルは、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)と組合せると重合体の収率向上や、重合体の高分子量化が図れるので、この組合せが好ましく使用される。配位子の添加量は、ゼロ価遷移金属錯体に対して、通常、遷移金属原子基準で、0.2〜10モル倍程度、好ましくは1〜5モル倍程度使用される。
ゼロ価遷移金属錯体の使用量は、上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物と上記一般式(6)で示される前駆体の総モル量に対して、0.1モル倍以上である。使用量が過少であると分子量が小さくなる傾向があるので、好ましくは1.5モル倍以上、より好ましくは1.8モル倍以上、より一層好ましくは2.1モル倍以上である。使用量の上限は特に制限はないが、使用量が多すぎると後処理が煩雑になる傾向があるために、5.0モル倍以下であることが好ましい。
なお、還元剤を用いて遷移金属化合物からゼロ価遷移金属錯体を合成する場合、生成するゼロ価遷移金属錯体が上記範囲となるように設定すればよく、例えば、遷移金属化合物の量を、上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物と上記一般式(6)で示される前駆体の総モル量に対して、0.01モル倍以上、好ましくは0.03モル倍以上とすればよい。使用量の上限は限定的ではないが、使用量が多すぎると後処理が煩雑になる傾向があるために、5.0モル倍以下であることが好ましい。また、還元剤の使用量は、上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物と上記一般式(6)で示される前駆体との総モル量に対して、例えば、0.5モル倍以上、好ましくは1.0モル倍以上とすればよい。使用量の上限は限定的ではないが、使用量が多すぎると後処理が煩雑になる傾向があるために、10モル倍以下であることが好ましい。
また反応温度は、通常0〜250℃の範囲であるが、生成する高分子の分子量をより高くするためには、ゼロ価遷移金属錯体と上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物と、上記一般式(6)で示される前駆体とを45℃以上の温度で混合させることが好ましい。好ましい混合温度は通常45℃〜200℃であり、とりわけ好ましくは50℃〜100℃程度である。ゼロ価遷移金属錯体、上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物並びに上記一般式(6)で示される前駆体とを混合させた後、通常45℃〜200℃程度、好ましくは50℃〜100℃程度で反応させる。反応時間は、通常0.5〜24時間程度である。
またゼロ価遷移金属錯体と、上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物並びに上記一般式(6)で示される前駆体とを混合する方法は、一方をもう一方に加える方法であっても、両者を反応容器に同時に加える方法であっても良い。加えるに当っては、一挙に加えても良いが、発熱を考慮して少量ずつ加えることが好ましいし、溶媒の共存下に加えることも好ましい。
これらの縮合反応は、通常、溶媒存在下に実施される。かかる溶媒としては、例えばN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒。トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、n−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒。テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメルカプトエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒。酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル系溶媒。クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒などが例示される。なお、括弧内の表記は溶媒の略号を示すものであり、後述する表記において、この略号を用いることもある。
生成する高分子の分子量をより高くするためには、高分子が十分に溶解していることが望ましいので、高分子に対する良溶媒であるテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、DMF、DMAc、NMP、DMSO、トルエン等が好ましい。これらは2種以上を混合して用いることもできる。なかでもDMF、DMAc、NMP、DMSO、及びこれら2種以上の混合物が好ましく用いられる。
溶媒量は、特に限定されないが、あまりにも低濃度では、生成した高分子化合物を回収しにくくなることもあり、また、あまりにも高濃度では、攪拌が困難になることがあることから、溶媒、上記一般式(7)で示される化合物および/または上記一般式(8)で示される化合物と上記一般式(6)で示される前駆体との総量を100重量%としたとき、溶媒量が好ましくは99.95〜50重量%、より好ましくは99.9〜75重量%となるような溶媒量が好ましく使用される。
かくして本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体が得られるが、生成したポリアリーレン系ブロック共重合体の反応混合物からの取り出しは、常法が適用できる。例えば、貧溶媒を加える等してポリマーを析出させ、濾別等により目的物を取り出すことができる。また必要に応じて、更に水洗や、良溶媒と貧溶媒を用いての再沈殿等の、通常の精製方法により精製することもできる。
また、生成したポリアリーレン系ブロック共重合体のスルホン酸基が塩の形である場合、燃料電池に係る部材として使用するために、スルホン酸基を遊離酸の形にすることが好ましく、遊離酸への変換は、通常酸性溶液での洗浄により可能である。使用される酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、好ましくは塩酸である。
本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の代表例を上記一般式(3)で示した好適なイオン交換基を有するブロックで例示すると、以下の構造が挙げられる。
Figure 0005028828
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Figure 0005028828
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また、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の好適な実施形態として、上記イオン交換基を有するブロックが、下記一般式(4)で示される構造単位を有するブロックであると、上記一般式(3)に示すブロックを効率よく製造することが可能であるため、好ましい。
Figure 0005028828
(式中、R2は、同一あるいは異なり、R2は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基から選ばれる置換基を表す。m2は3以上の整数であり、p1、p2はそれぞれ0以上3以下の整数である。)
上記一般式(4)で表される構造単位を、イオン交換基を有するブロックとして含み、さらに上記一般式(2)または一般式(2a)で表される構造単位を、イオン交換基を実質的に有さないブロックとして含むポリアリーレン系ブロック共重合体は、上記のように、プロトン伝導度の湿度依存性が小さく、吸水時の寸法安定性が小さいことに加えて、後述のように高分子量体を得やすく、燃料電池に係る部材として好適な高分子電解質となりうる。
さらに、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の好適な実施形態として、上記イオン交換基を有するブロックが、上記一般式(3)で表される構造を有し、かかる構造において、以下で定義される3つの連結様式、(3a)、(3b)、(3c)で表し、その連結様式の構成比が下記(I)式に示すTP値で示したとき、TP値が0.6以下であると好ましい。
Figure 0005028828
(式中、R1、pは前記一般式(3)と同等の定義である。)
Figure 0005028828
(式中、naは上記(3a)で表される連結構成の個数、nbは上記(3b)で表される連結構成の個数、ncは上記(3c)で表される連結構成の個数である。)
かかる連結構成の、それぞれの比率は、例えば1H−NMR等により求めることができる。
ここで、上記TP値の求め方の具体例として、重合度mが6であり、pが0である例である下記一般式(3U)、(3V)、(3X)および(3Y)を挙げて説明する。このようにmが6であり、ポリアリーレン構造を形成する全てのフェニレン基が、1,4−結合で主鎖を形成すると、連結構成の総数はm−1、すなわち5個となる。
Figure 0005028828
上記一般式(3U)において、その連結構成[3U1]、[3U2]、[3U3]、[3U4]および[3U5]はいずれも上記一般式(3c)に示す連結構成であるため、na=0、nb=0およびnc=5であり、TP値は1となる。また、上記一般式(3V)において、その連結構成[3V2]、[3V3]、[3V4]および[3V5]は上記一般式(3c)に示す連結構成であるが、連結構成[3V1]は上記一般式(3b)に示す連結構成となり、na=0、nb=1およびnc=4であり、TP値は0.8となる。さらに、上記一般式(3X)において、その連結構成[3X4]および[3X5]は上記一般式(3c)に示す連結構成であるが、連結構成[3X1]、[3X3]は上記一般式(3b)に示す連結構成となり、連結構成[3X2]は上記一般式(3a)に示す連結構成となり、すなわちna=1、nb=2およびnc=2であり、TP値は0.4となる。最後に、上記一般式(3Y)において、その連結構成[3Y1]、[3Y3]および[3U5]はいずれも上記一般式(3b)に示す連結構成であり、連結構成[3Y2]、[3Y4]は上記一般式(3a)に示す連結構成となるため、na=2、nb=3およびnc=0であり、TP値は0となる。
すなわち、これらの中で好ましいイオン交換基を有するブロックとしては、上記一般式(3X)、(3Y)となる。
ここで、上記TP値は、0.5以下であると、より好ましく、0.4以下であると特に好ましい。
上記のような、好ましいTP値のイオン交換基を有するブロックを含むポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法としては、下記一般式(5)で表される化合物と、上記一般式(6)で表される化合物とを、共重合することによって達成できる。
Figure 0005028828
(式中、R2、p1、p2は上記一般式(4)と同等の定義であり、Qは脱離基を示す。)
上記一般式(5)で示される化合物は、後述の重合方法によって容易に高分子量化することが可能であり、このようにスルホン酸基を有するブロックを高分子量化することで、容易に実用的なイオン交換容量を有するポリアリーレン系ブロック共重合体を得ることができる。
また、R2はベンゼン核にある置換基であり、後述する縮合反応による重合において、それを阻害しない基であることが好ましく、前記Ar1の置換基として例示した基と同様のものが挙げられる。
ここで、一般式(5)で表される化合物の代表例としては、上記一般式(7)で例示した化合物の中でも、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジヨードビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジブロモ−3,3’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジヨード−3,3’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジブロモ−3,3’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジヨード−3,3’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられ、さらに上記に例示する化合物のイオン交換基が塩の形でもよく、特に、イオン交換基が塩の形である化合物を用いることが、重合反応性の観点から好ましい。塩の形としては、アルカリ金属塩が好ましく、特に、Li塩、Na塩、K塩の形が好ましい。
このように一般式(5)で表される化合物は、そのベンゼン核に置換基を有していてもよいが、その置換基数p1、p2は0または1が好ましく、該置換基数が0、すなわち置換基R2を有さないと、より好ましい。
上記一般式(5)で示される化合物と、上記一般式(6)で表される化合物との縮合は、上記縮合反応条件において示した溶媒および溶媒量、反応温度並びに反応時間については、「一般式(7)で示される化合物および/または一般式(8)で示される化合物」を、「一般式(5)で表される化合物」に置き換えることで、同等の条件が例示できるが、とりわけ上記一般式(5)で示される化合物に係る縮合反応に用いられる触媒としては、ニッケル錯体が好ましく、該ニッケル錯体としては、例えば、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)、ニッケル(0)(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)、ニッケル(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)等のゼロ価ニッケル錯体、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、沃化ニッケル、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、(ジメトキシエタン)塩化ニッケル等の2価ニッケル錯体が例示され、好ましくはニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)と塩化ニッケルが例示される。特に、2価ニッケル錯体を、亜鉛を還元剤として共存させることが、好ましい。
ニッケル錯体に、さらに中性配位子を共存させることが好ましく、かかる配位子としては、例えば、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の含窒素配位子などが例示され、2,2’−ビピリジルが特に好ましい。
上記ニッケル錯体の使用量は、通常、上記一般式(5)で示される化合物および一般式(6)で示される前駆体の総和に対して1〜5モル倍程度、好ましくは1.5〜3.5モル倍程度使用される。また配位子を使用する場合は、通常、ニッケル錯体に対して0.2〜2モル倍程度、好ましくは1〜1.5モル倍程度使用される。
上記の製造方法により、上記一般式(4)で表されるブロックを有する、ポリアリーレン系ブロック共重合体を得ることができるが、該製造方法において得られるポリアリーレン系ブロック共重合体のスルホン酸基が塩の形である場合、燃料電池に係る部材として使用するために、スルホン酸基を遊離酸の形にすることが好ましく、遊離酸への変換は、通常酸性溶液での洗浄により可能である。使用される酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、好ましくは塩酸である。
このようにして得られるポリアリーレン系ブロック共重合体のイオン交換基を有するブロックのイオン交換基導入量は、イオン交換容量で表して、2.5meq/g〜10.0meq/gが好ましく、さらに好ましくは5.5meq/g〜9.0meq/gであり、特に好ましくは5.5meq/g〜7.0meq/gである。
また、ポリアリーレン系ブロック共重合体全体のイオン交換基の導入量は、イオン交換容量で表して、0.5meq/g〜4.0meq/gが好ましく、さらに好ましくは1.0meq/g〜2.8meq/gである。
上述する方法によって、一般式(4)で表される構造単位を、イオン交換基を有するブロックとして含むポリアリーレン系ブロック共重合体を得ることが可能であり、該ポリアリーレン系ブロック共重合体を具体的に例示すると、下記の共重合体が挙げられる。
Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828

Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828
Figure 0005028828
これらに例示されるブロック共重合体は、上記一般式(4)で表されるブロックを、イオン交換基を有するブロックとして含むものであり、上記TP値は実質的に0となる。
上記に例示した本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体に係る製造方法としては、上記一般式(7)および/または一般式(5)で表される化合物を縮合せしめて、下記一般式(10)で表される化合物を製造してから、この化合物を上記一般式(6)で表される化合物と縮合させることでも得ることができる。
Figure 0005028828
(式中、Ar1、Qは上記一般式(1)と同等の定義であり、R2、p1、p2は上記一般式(4)と同等の定義であり、m3、m4は独立して1以上の整数を表わすが、m3+m4は5以上の整数である)
上記一般式(10)で表される化合物において、一般式(7)で表される化合物の一部または全部を、上記一般式(8)で表される化合物(上記一般式(10)のAr1の一部または全部がAr6)に置き換えてもよく、その場合はAr6を上記と同様にして、Ar1に変換することにより、一般式(10)で表される化合物を得ることができる。それを上記一般式(6)で表される化合物と縮合させることにより、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を得ることができる。
このように、上記一般式(7)で表される化合物と、上記一般式(5)および/または一般式(6)で表される化合物から、一般式(10)で示されるイオン交換基を有するブロックの前駆体を得る場合、その共重合比をコントロールすることにより、上記TP値を好ましい値にすることも容易である。
上記に示す、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体は、いずれも燃料電池用の部材として好適に用いることができる。
次に、該ポリアリーレン系ブロック共重合体を燃料電池等の電気化学デバイスのプロトン伝導膜として使用する場合について説明する。
この場合は、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体は、通常、膜の形態で使用されるが、膜へ転化する方法に特に制限はなく、例えば溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、ポリアリーレン系高分子が溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、DMF、DMAc、NMP、DMSO等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMP等がポリマーの溶解性が高く好ましい。
膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。膜厚が10μm以上の膜では実用的な強度がより優れるため好ましく、300μm以下の膜では膜抵抗が小さくなり、電気化学デバイスの特性がより向上する傾向にあるので好ましい。膜厚は、溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
また、膜の各種物性改良を目的として、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等を本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体に添加することができる。また、同一溶剤に混合共キャストする等の方法により、他のポリマーを本発明の共重合体と複合アロイ化することも可能である。
さらに燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加することも知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。また、膜の機械的強度の向上等を目的として、電子線・放射線等を照射して架橋することもできる。
また、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質を用いたプロトン伝導膜の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質を多孔質基材に含浸させ複合化することにより、複合膜とすることも可能である。複合化方法は公知の方法を使用し得る。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等が挙げられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系、芳香族系高分子、または含フッ素高分子が好ましい。
本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を用いた高分子電解質複合膜を固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜として使用する場合、多孔質基材の膜厚は、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmであり、多孔質基材の孔径は、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましくは0.02〜10μmであり、多孔質基材の空隙率は、好ましくは20〜98%、さらに好ましくは40〜95%である。
多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜として、より優れたものとなる。該孔径が0.01μm以上であると、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の充填がより容易となり、100μm以下であると、ポリアリーレン系ブロック共重合体への補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、プロトン伝導膜としての抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなり補強効果がより向上するので好ましい。
また、該高分子電解質複合膜と、上記高分子電解質膜とを積層して燃料電池のプロトン伝導膜として用いることもできる。
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、ポリアリーレン系ブロック共重合体膜の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
ここで触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金または白金系合金の微粒子を用いることが好ましい。白金または白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
また、カーボンに担持された白金を、高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液と共に混合してペースト化したものを、ガス拡散層および/または高分子電解質膜および/または高分子電解質複合膜に塗布・乾燥することにより触媒層が得られる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
ここで、高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の代わりに、本発明の、ポリアリーレン系ブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質を用い、触媒組成物として用いることもでき、この触媒組成物を用いて得られる触媒層は、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体の優れたプロトン伝導度や、吸水に係る寸法安定性を有するものとなるため、触媒層として好適である。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
かくして得られる本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を、プロトン伝導膜および/または触媒層に備えた固体高分子型燃料電池は、発電性能に優れ、長寿命の燃料電池として提供できる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
分子量の測定:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定した。なお、該GPCの分析条件としては、下記の条件1〜3に示すいずれかを用い、分子量測定値に使用した条件を付記した。
[条件1]
GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム Shodex社製 AT−80Mを2本直列に接続
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
[条件2]
GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム TOSOH社製 TSK−GEL GMHHR−M
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
[条件3]
GPC測定装置 SHIMADZU社製 CTO−10A
カラム TOSOH社製 TSK−GEM
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
吸水率の測定:
乾燥した膜を秤量し、100℃の脱イオン水に2時間浸漬した後の膜重量増加量から吸水量を算出し、乾燥膜に対する比率を求めた。
イオン交換容量(IEC)の測定:
滴定法により求めた。
プロトン伝導度の測定:
温度80℃、相対湿度50%、90%の条件で交流法で測定した。
湿度依存性:
プロトン伝導度の湿度依存性を、80℃、相対湿度50%、90%の条件でのプロトン伝導度の比として表した。
吸水膨潤時の寸法変化率:
23℃相対湿度50%の条件下で乾燥させた膜の面方向の寸法(Ld)と、80℃熱水中に膜を1時間以上浸漬し膨潤させた直後の膜の面方向の寸法(Lw)を測定し、以下のように計算して求めた。
寸法変化率[%]=(Lw−Ld)÷Ld×100[%]
実施例1
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO600ml、トルエン200mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 0005028828
(住友化学製スミカエクセルPES5200P、Mn=5.4×104、Mw=1.2×105[条件1])10.0g、2,2’−ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(266.9mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/Lの塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ濾別。その後6mol/L塩酸による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行い、減圧乾燥することにより目的とする下記ポリアリーレン系ブロック共重合体16.3gを得た。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10wt%の濃度でDMSOに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜を作製した。
Figure 0005028828

Mn 1.5×105[条件1]、1.1×105[条件2]
Mw 2.7×105[条件1]、2.0×105[条件2]
吸水率 120%
IEC 2.3 meq/g
プロトン伝導度 4.3×10-2 S/cm(相対湿度50%)
2.3×10-1 S/cm(相対湿度90%)
湿度依存性 2.3×10-1÷4.3×10-2=5.3
寸法変化率 2.7%
使用した末端クロロ型であるポリエーテルスルホンのポリスチレン換算のMnを基準に、得られたポリアリーレン系ブロック共重合体のMn及びIECから見積もると、mは平均190と算出される。
実施例2
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO380ml、トルエン100mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム8.7g(34.9mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 0005028828
(ビス(4−クロロフェニル)スルホンとビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)から、ビス(4−クロロフェニル)スルホンを過剰に用いる事により製造。Mn=2.1×104、Mw=4.4×104[条件2])4.0g、2,2’−ビピリジル14.0g(89.5mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)23.4g(85.2mmol)を加え、80℃で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/Lの塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ濾取。その後6mol/L塩酸による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とする下記ポリアリーレン系ブロック共重合体6.6gを得た。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10wt%の濃度でDMSOに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜を作製した。
Figure 0005028828

Mn 6.9×104[条件2]
Mw 1.3×105[条件2]
吸水率 140%
IEC 2.6 meq/g
プロトン伝導度 5.5×10-2 S/cm(相対湿度50%)
2.9×10-1 S/cm(相対湿度90%)
湿度依存性 2.9×10-1÷5.5×10-2=5.3
寸法変化率 6.3%
使用した末端クロロ型であるポリエーテルスルホンのポリスチレン換算のMnを基準に、得られたポリアリーレン系ブロック共重合体のMn及びIECから見積もると、mは平均90と算出される。
また、得られたポリアリーレン系ブロック共重合体50mgとピペリジン2.5mLのDMF7.5mL溶液を200℃で12時間反応させ放冷。反応液を大過剰のアセトンに注ぎ、得られた沈殿(イオン交換基を有するブロックの沈殿)の分子量を測定したところ、ポリエチレンオキシド換算のMnは1.1×104であった。この値からmは平均70と算出される
実施例3
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO130ml、トルエン50mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム1.7g(6.7mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 0005028828
(ビス(4−クロロフェニル)スルホンとビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)から、ビス(4−クロロフェニル)スルホンを過剰に用いる事により製造。Mn=2.1×104、Mw=4.4×104[条件2])5.6g、2,2’−ビピリジル2.9g(18.4mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)5.1g(18.4mmol)を加え、80℃で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/Lの塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ濾取。その後6mol/L塩酸による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とする下記ポリアリーレン系ブロック共重合体6.2gを得た。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10wt%の濃度でDMSOに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜を作製した。
Figure 0005028828

Mn 1.1×105[条件2]
Mw 2.6×105[条件2]
IEC 0.8 meq/g
使用した末端クロロ型であるポリエーテルスルホンのポリスチレン換算のMnを基準に、得られたポリアリーレン系ブロック共重合体のMn及びIECから見積もると、mは平均20と算出される。
実施例4
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO110ml、トルエン50mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム4.8g(19.3mmol)、末端クロロ型である下記ポリアリーレンエーテルスルホン
Figure 0005028828
(Aldrich社製Polyphenylsulfone、Mn=3.1×104、Mw=6.5×104[条件2])1.8g、2,2’−ビピリジル7.9g(50.6mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)13.2g(48.0mmol)を加え、80℃で5時間保温攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸に分散させ濾取。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーを5wt%の濃度でDMSOに溶解し、大量の6mol/L塩酸に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とする下記ポリアリーレン系ブロック共重合体3.1gを得た。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10wt%の濃度でNMPに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約40μmの高分子電解質膜を作製した。
Figure 0005028828
Mn 1.2×105[条件2]
Mw 3.0×105[条件2]
吸水率 120%
IEC 2.6 meq/g
プロトン伝導度 5.5×10-2 S/cm(相対湿度50%)
2.7×10-1 S/cm(相対湿度90%)
湿度依存性 2.7×10-1÷5.5×10-2=4.9
寸法変化率 3.3%
使用した末端クロロ型であるポリアリーレンエーテルスルホンのポリスチレン換算のMnを基準に、得られたポリアリーレン系ブロック共重合体のMn及びIECから見積もると、mは平均140と算出される。
実施例5
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO130ml、トルエン60mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム5.3g(21.4mmol)、末端クロロ型である下記ポリアリーレンエーテルスルホン
Figure 0005028828
(Mn=1.2×104、Mw=3.0×104[条件2])2.0g、2,2’−ビピリジル8.2g(52.3mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)14.4g(52.3mmol)を加え、80℃で5時間保温攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸に分散させ濾取。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーを10wt%の濃度でNMPに溶解し、大量の6mol/L塩酸に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とする下記ポリアリーレン系ブロック共重合体3.6gを得た。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10wt%の濃度でNMPに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜を作製した。
Figure 0005028828
Mn 1.1×105[条件2]
Mw 2.1×105[条件2]
吸水率 100%
IEC 2.8 meq/g
プロトン伝導度 5.3×10-2 S/cm(相対湿度50%)
3.0×10-1 S/cm(相対湿度90%)
湿度依存性 3.0×10-1÷5.2×10-2=5.8
寸法変化率 4.6%
使用した末端クロロ型であるポリアリーレンエーテルスルホンのポリスチレン換算のMnを基準に、得られたポリアリーレン系ブロック共重合体のMn及びIECから見積もると、mは平均60と算出される。
実施例6
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO130ml、トルエン60mL、3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム5.3g(21.3mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 0005028828
(住友化学製スミカエクセルPES5200P、Mn=5.4×104、Mw=1.2×105[条件1])2.0g、2,2’−ビピリジル8.4g(53.5mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)14.7g(53.5mmol)を加え、80℃で5時間保温攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸に分散させ濾取。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーを15wt%の濃度でNMPに溶解し、大量の6mol/L塩酸に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とする下記ポリアリーレン系ブロック共重合体0.6gを得た。
Figure 0005028828
実施例7
実施例1に準拠して製造したポリアリーレン系ブロック共重合体(IEC=2.2meq/g)と特開2005−38834号公報参考例3に記載のホスホン酸基含有ポリマーとの90:10重量比混合物を10wt%の濃度でDMSOに溶解し、高分子電解質溶液を調製した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約35μmの高分子電解質膜を作製した。
吸水率 100%
IEC 2.1 meq/g
プロトン伝導度 4.8×10-2 S/cm(相対湿度50%)
2.8×10-1 S/cm(相対湿度90%)
湿度依存性 2.8×10-1÷4.8×10-2=5.8
寸法変化率 2.1%
実施例8
4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸リチウム(119mg、0.30mmol)と住友化学製スミカエクセルPES5200P(60mg)のジメチルスルホキシド溶液(1.2ml)に亜鉛粉末(55mg、0.84mmol)を加え、60℃まで昇温した(反応液(1))。別途、無水塩化ニッケル(97mg、0.75mmol)のジメチルスルホキシド溶液(1.2ml)を60℃まで昇温し、2,2’−ビピリジル(129mg、0.83mmol)を加えて10分間撹拌した(反応液(2))。反応液(2)を反応液(1)に注ぎ込み、70℃まで昇温し4時間撹拌し、ポリアリーレン系ブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPCによる分子量分析結果を下記に示す。
Mn 8.1×104[条件3]
Mw 1.5×105[条件3]
上記のようにして得られた共重合体は、酸処理にてイオン交換基を遊離酸の基とすることにより、下記の構造のポリアリーレン系ブロック共重合体となる。
このポリアリーレン系ブロック共重合体は、本発明のイオン交換基(スルホン酸基)を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとを有するものであり、好適なプロトン伝導度、その湿度依存性並びに寸法安定性を示すものである。
Figure 0005028828
実施例9
膜電極接合体の作成
Nafion溶液(5wt%、Aldrich社製)6mLに白金を50wt%担時した白金担時カーボン833mgとエタノール13.2mLを加え、よく攪拌して触媒層溶液を調製した。この触媒層溶液をスプレー法にて実施例1で得られた高分子電解質膜上に、白金担持密度が0.6mg/cm2になるように塗布し、溶媒を除去して膜電極接合体とした。
燃料電池セルの作成
市販のJARI標準セルを用いた。膜電極接合体の両外側にガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータ、さらにその外側に集電体、エンドプレートを配置し、ボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cm2の燃料電池セルを組み立てた。
燃料電池セルの発電性能評価
燃料電池セルを80℃に保ち、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気を、セルのガス出口における背圧が0.1MPaGになるように供給した。加湿はバブラーにガスを通すことで行い、水素用バブラーの水温は45℃、空気用バブラーの水温は55℃とした。水素のガス流量は529mL/min、空気のガス流量は1665mL/minとした。電流密度が1.0A/cm2の時の電圧を測定したところ、0.6Vであった。
比較例1
特開2003−113136号公報実施例13に準拠し、IECが2.0meq/gのポリアリーレン系高分子電解質を製造した。
得られた高分子電解質を15wt%の濃度でNMPに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、塩酸処理、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜を作製した。
Mn 1.3×105[条件1]
Mw 2.7×105[条件1]
吸水率 120%
IEC 2.0 meq/g
プロトン伝導度 1.1×10-2 S/cm(相対湿度50%)
8.9×10-2 S/cm(相対湿度90%)
湿度依存性 8.9×10-2÷1.1×10-2=8.1
寸法変化率 28.8%
比較例1のポリアリーレン骨格の側鎖にスルホン酸基を有するポリアリーレン系ブロック共重合体と、実施例1に記載した主鎖にスルホン酸基を有するポリアリーレン系ブロック共重合体とを比較した場合、実施例1に記載したポリアリーレン系ブロック共重合体の方が、プロトン伝導度の湿度依存性、吸水膨潤時の寸法変化率の面で大きく優れている。
実施例10
Figure 0005028828
4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸リチウム(119mg、0.30mmol)と住友化学製スミカエクセルPES5200P(60mg)と2,2’−ビピリジル(129mg、0.83mmol)のジメチルスルホキシド溶液(2.4ml)を70℃まで昇温した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(208mg、0.75mmol)を加え、70℃で4時間保温攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/L塩酸に注ぎ、析出したポリマーを濾取した。ポリマーをメタノールで洗浄後、減圧乾燥することによりポリアリーレン系ブロック共重合体を得た。
得られた共重合体のGPCによる分子量分析結果を下記に示す。
Mn 1.4×105[条件3]
Mw 3.2×105[条件3]
このように、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸リチウムを使用することで、ポリアリーレン系ブロック共重合体の高分子量化が図れた。

Claims (17)

  1. イオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとをそれぞれ有し、前記イオン交換基を有するブロックが、下記一般式(3)で表される構造単位を有しており、前記イオン交換基を実質的に有さないブロックが、下記一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とするポリアリーレン系ブロック共重合体。
    Figure 0005028828
    (式中、mは、5以上の整数を表し、R 1 は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を表す。pは、0以上3以下の整数を表す。)
    Figure 0005028828
    (式中、a、bおよびcは、互いに独立に、0または1を表し、nは、5以上の整数を表す。Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、互いに独立に、2価の芳香族基を表し、ここで、これらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。XおよびX'は、互いに独立に、直接結合または2価の基を表す。YおよびY'は、互いに独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。)
  2. 前記一般式()におけるmが、20以上であることを特徴とする請求項に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
  3. 前記イオン交換基を有するブロックの主鎖の芳香環の連結構成を下記式(3a)、(3b)および(3c)に示される3つの連結様式で表し、これらの連結様式の構成比を下記式(I)に示されるTP値で表したとき、TP値が0.6以下であることを特徴とする請求項に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
    Figure 0005028828
    (式中、R1およびpは、前記と同義である。)
    Figure 0005028828
    (式中、naは、前記式(3a)に示される連結様式の個数を表し、nbは、前記式(3b)に示される連結様式の個数を表し、ncは、前記式(3c)に示される連結様式の個数を表す。)
  4. イオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとをそれぞれ有し、前記イオン交換基を有するブロックが、下記一般式(4)で表される構造単位を有しており、前記イオン交換基を実質的に有さないブロックが、下記一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とするポリアリーレン系ブロック共重合体。
    Figure 0005028828
    (式中、R 2 は、同一あるいは異なり、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を表す。m2は、3以上の整数を表し、p1およびp2は、それぞれ0以上3以下の整数を表す。)
    Figure 0005028828
    (式中、a、bおよびcは、互いに独立に、0または1を表し、nは、5以上の整数を表す。Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、互いに独立に、2価の芳香族基を表し、ここで、これらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。XおよびX'は、互いに独立に、直接結合または2価の基を表す。YおよびY'は、互いに独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。)
  5. 下記一般式(7)で表される化合物および/または下記一般式(5)で表される化合物もしくはその塩と、下記一般式(6)で表される化合物とを、共重合することを特徴とするポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法。
    Q−Ar1−Q (7)
    (式中、Ar1は、1,3−フェニレン基または1,4−フェニレン基を表し、ここで、この1,3−フェニレン基または1,4−フェニレン基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。Ar1は、主鎖を構成する芳香環に、少なくとも一つのイオン交換基が直接結合している。Qは、脱離基を表す。)
    Figure 0005028828
    (式中、R2は、同一あるいは異なり、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を表す。p1およびp2は、それぞれ0以上3以下の整数を表す。Qは、脱離基を表す。)
    Figure 0005028828
    (式中、a、bおよびcは、互いに独立に、0または1を表し、nは、5以上の整数を表す。Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、互いに独立に、2価の芳香族基を表し、ここで、これらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。XおよびX'は、互いに独立に、直接結合または2価の基を表す。YおよびY'は、互いに独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。Qは、脱離基を表す。)
  6. 前記一般式(7)で表される化合物および/または前記一般式(5)で表される化合物もしくはその塩と、前記一般式(6)で表される化合物とを、ニッケル錯体の共存下に共重合することを特徴とする請求項に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法。
  7. 前記ニッケル錯体が、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)と2,2’−ビピリジルとからなる錯体であることを特徴とする請求項に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法。
  8. 前記ニッケル錯体が、ハロゲン化ニッケルと2,2’−ビピリジルとからなる錯体であり、さらに、亜鉛を共存させることを特徴とする請求項に記載のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法。
  9. 請求項のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体の製造方法により得られることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
  10. 前記イオン交換基を実質的に有さないブロックが、下記一般式(2a)で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1〜およびのいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
    Figure 0005028828
    (式中、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、a、b、c、n、YおよびY’は、前記と同義であり、XaおよびXbは、それぞれ独立に、直接結合、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン基および9,9−フルオレンジイル基からなる群から選ばれる2価の基を表す。)
  11. イオン交換容量が、0.5meq/g〜4.0meq/gであることを特徴とする請求項1〜および10のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体。
  12. 請求項1〜および11のいずれかに記載のポリアリーレン系ブロック共重合体を有効成分とすることを特徴とする高分子電解質。
  13. 請求項12に記載の高分子電解質を用いてなることを特徴とする高分子電解質膜。
  14. 請求項12に記載の高分子電解質と、多孔質基材とを、用いてなることを特徴とする高分子電解質複合膜。
  15. 請求項12に記載の高分子電解質を含むことを特徴とする触媒組成物。
  16. 請求項13に記載の高分子電解質膜または請求項14に記載の高分子電解質複合膜を、プロトン伝導膜として用いてなることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  17. 請求項15に記載の触媒組成物を用いて得られる触媒層を備えることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
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