JP2008027903A - 縮合環含有高分子電解質およびその用途 - Google Patents

縮合環含有高分子電解質およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】耐水性が要求される用途に好適な縮合環含有高分子電解質を提供し、さらに当該高分子電解質を用いてなる、固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】[1]下記一般式(1)で表される構造単位を、重量分率1〜30重量%で有する高分子電解質。
Figure 2008027903

[2]イオン交換基を有さない上記一般式(1)構造単位と、イオン交換基を有する構造単位からなる、[1]の高分子電解質。
[3]上記[1]または[2]の高分子電解質を用いてなる、高分子電解質膜。
[4][3]の高分子電解質膜を有する燃料電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐水性が要求される用途に好適な縮合環含有高分子電解質に関する。さらに詳しくは、固体高分子型燃料電池に係る部材として好適な高分子電解質に関する。
高分子鎖中にイオン交換基を有する高分子電解質は、イオン交換膜、イオン伝導材料、センサ、マイクロカプセル、吸水性材料などの種々の用途に使用されている。ところで、高分子電解質は、そのイオン交換基の水和によって、吸水膨潤あるいは水系溶媒に溶解することが知られているが、高分子電解質を例えば、膜の形態で使用する用途においては、膜の膨潤あるいは膜の一部溶解などによって生じる劣化を抑制すること(耐水性)が重要視されることがある。中でも、近年開発が活発化している固体高分子型燃料電池に適用されるイオン伝導膜としては、高温・高湿状態にイオン伝導膜が曝露されることから、より耐水性に優れた高分子電解質が求められている。
このような観点から、イオン伝導膜の耐水性を向上させる目的で、種々の材料が開発されている。耐水性向上に係る1つの方法としては、高分子電解質を分子間または分子内で架橋させる手法が挙げられる。例えば、特許文献1では、燃料電池用高分子電解質のイオン交換基であるスルホン酸基の一部を高温処理にて、互いに結合させて架橋させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では高温処理に係る操作が煩雑であり、架橋反応と同時にスルホン酸基の脱離も進行し、結果としてイオン伝導性が低下する傾向がある。また、比較的耐熱性や機械強度に優れる高分子化合物を選択し、それにイオン交換基を導入してなる高分子電解質が開発されており、ポリエーテルケトンをスルホン化して得られる高分子電解質(例えば、特許文献2参照)、ポリケトンをスルホン化して得られる高分子電解質(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
特表2000−501223号公報(特許請求の範囲、実施例) 特表平11−502249号公報(特許請求の範囲) 特開2001−342241号公報(実施例)
しかしながら、耐熱性や機械強度に優れる高分子化合物にイオン交換基を導入した高分子電解質においても、そのイオン交換基導入量を増加させると、高温下では高分子電解質自体が水に溶解し、膜の形態を保持できない傾向があった。このように、これまで開示されている高分子電解質は、イオン交換基(スルホン酸基)導入量と耐水性は互いに相反する特性であることから、高イオン交換基導入量の場合においても、膜の形態を保持できる程度の耐水性を有する高分子電解質が切望されていた。
本発明の目的は、耐水性が高く、高いイオン交換基導入量(イオン伝導性)を有し、固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜に適した新規の高分子電解質、および該高分子電解質を用いてなる固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を達成するため、高分子電解質の構造単位に関して鋭意検討した結果、特定の構造単位を高分子電解質に導入すると、得られる高分子電解質の耐水性を飛躍的に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]に示す高分子電解質を提供する。
[1]下記一般式(1)で表される構造単位を、重量分率1〜30重量%で有する高分子電解質
Figure 2008027903
(式中、A環、B環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を表し、X1、X2は、それぞれ独立に、−CO−、−SO−、−SO2−のいずれかを表す。n、mは、それぞれ独立に、0、1または2を表し、n+mは1以上である。なお、nが2の場合、2つあるX1は互いに同じでも異なっていてもよい。mが2の場合、2つあるX2は互いに同じでも異なっていてもよい。Xは直接結合または2価の基を表す。)
また、本発明の高分子電解質は、上記一般式(1)で表される構造単位を有するものであるが、より耐水性を向上させる観点から、下記[2]、[3]であると好ましい。
[2]上記一般式(1)で表される構造単位が、A環、B環として、それぞれ独立に置換基としてイオン交換基を有さない芳香族炭化水素環、または置換基としてイオン交換基を有さない複素環を有する構造単位であり、さらに、他の構造単位としてイオン交換基を有する構造単位を有する、[1]に記載の高分子電解質
[3]下記一般式(5)で表される、[1]または[2]に記載の高分子電解質
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、X、n、mは上記一般式(1)と同義であり、p1、p2、q1は各々の構造単位の重量分率であり、p1+p2+q1=100重量%である。L1はイオン交換基を有する構造単位を表し、L2はイオン交換基を有さない構造単位を表す。)
また、本発明は、上記一般式(1)で表される構造単位の中でも、より好適な実施態様として下記の[4]〜[7]を提供する。
[4]上記一般式(1)において、X1が−CO−であり、n=1、m=0である構造単位を有する、上記[1]〜[3]のいずれかの高分子電解質
[5]上記一般式(1)において、X1、X2が−CO−であり、n=1、m=1である構造単位を有する、上記[1]〜[3]のいずれかの高分子電解質
[6]上記一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(2)で表される構造単位および/または下記一般式(3)で表される構造単位である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質
Figure 2008027903
(式中、Xは一般式(1)と同義である。)
[7]上記一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(2a)で表される構造単位および/または下記一般式(3a)で表される構造単位である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質
Figure 2008027903
(式中、Xは一般式(1)と同義である。)
本発明の高分子電解質は、固体高分子型燃料電池に係る部材として好適に用いることができ、下記の[8]〜[13]を提供する。
[8]上記いずれかの高分子電解質からなる高分子電解質膜
[9]上記いずれかの高分子電解質と多孔質基材とからなる、高分子電解質複合膜
[10]上記[8]の高分子電解質膜または上記[9]の高分子電解質複合膜と、触媒層とからなる、膜−電極接合体
[11]上記いずれかの高分子電解質と、触媒成分とを含有する、触媒組成物
[12]上記[11]の触媒組成物からなる触媒層を備えた、膜−電極接合体
[13]上記[8]の高分子電解質膜、上記[9]の高分子電解質複合膜、または上記[12]の触媒組成物からなる触媒層のいずれか少なくとも1つを有する、固体高分子型燃料電池
[14]上記の[10]または[12]に記載の膜−電極接合体を有する、固体高分子型燃料電池
本発明によれば、高いイオン伝導度を有しながら、耐水性に優れる高分子電解質を得ることができる。該高分子電解質は、固体高分子型燃料電池用の部材、特にイオン伝導膜として用いた場合、高い発電特性を示すので、工業的に極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[高分子電解質]
本発明の高分子電解質は、イオン交換基を有する高分子であって、前記一般式(1)で示される構造単位を有することを特徴とする。
ここで、一般式(1)におけるX1、X2は、それぞれ独立に、−CO−、−SO−、−SO2−のいずれかを表すが、中でも−CO−が好ましい。また、n、mはそれぞれ独立に0、1または2を表し、n+mは1以上である。
一般式(1)におけるA環、B環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環もしくは置換基を有していてもよい複素環を表し、その総炭素数は、通常4〜18程度である。かかる置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、および、これらの環に置換基を有する環などが挙げられ、置換基を有していてもよい複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、チオフェン環、これらの環に置換基を有する環などが挙げられる。ここで、該置換基としては、イオン交換基、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基が挙げられる。
一般式(1)における、Xは直接結合または2価の基を表し、好ましくは直接結合、エーテル結合を形成する酸素原子、チオエーテル結合を形成する硫黄原子である。
ここで、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基などの炭素数1〜10のアルキル基、及びこれらの基にイオン交換基、フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換したアルキル基が挙げられる。
また、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基、及びこれらの基にイオン交換基、フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換したアルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などのアリール基、及びこれらの基にイオン交換基、フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換したアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基などのアリールオキシ基、及びこれらの基にイオン交換基、フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換したアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基などの炭素数2〜20のアシル基、及びこれらの基にイオン交換基、フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換したアシル基が挙げられる。
上記一般式(1)で表される構造単位は、高分子電解質の主鎖に導入することで、劇的に当該高分子電解質の耐水性を向上することを可能とする。
高分子電解質における、一般式(1)で表される構造単位が占める割合は、当該高分子電解質の総重量に対する重量分率で表して、1〜30重量%であり、2〜25重量%であるとより好ましく、3〜15重量%であると、とりわけ好ましく、3〜10重量%であると特に好ましい。一般式(1)で表される構造単位の重量分率が、上記の範囲であると、優れた耐水性の高分子電解質が得られることに加え、後述する固体高分子型燃料電池に適用する部材に容易に加工することができる。
上記一般式(1)で表される構造単位における、A環およびB環は、上記に例示した置換基を有していてもよいが、好ましくは、該構造単位中にはイオン交換基を有さない、すなわちA環、B環が、それぞれ独立に、置換基としてイオン交換基を有さない芳香族炭化水素環または置換基としてイオン交換基を有さない複素環の構造単位(以下、「イオン交換基を有さない一般式(1)で表される構造単位」と呼ぶ)であり、他の構造単位としてイオン交換基を有する構造単位を有する高分子電解質であると、好ましい。
具体的に、イオン交換基を有さない一般式(1)で表される構造単位と、イオン交換基を有する構造単位とを有する高分子電解質を表すと、下記一般式(4)で表される高分子電解質が挙げられる。
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、X、n、mは上記一般式(1)と同義であり、L1はイオン交換基を有する構造単位を表す。pおよびqは、高分子電解質中における各構造単位の重量分率を示し、p+qは100重量%である。)
ここで、上記一般式(4)で表す共重合様式は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、またはそれらの組合せであってもよい。すなわち、
i)L1で表される構造単位からなる高分子鎖に部分的に一般式(1)で表される構造単位を有する共重合様式の高分子電解質
ii)L1で表される構造単位が連結してなるブロックと、一般式(1)で表される構造単位が連結してなるブロックとを有する共重合様式の高分子電解質
iii)L1で表される構造単位と、一般式(1)で表される構造単位とが交互に連結してなる共重合様式の高分子電解質
iv)高分子鎖中に、上記のi)、ii)およびiii)から選ばれる共重合様式を組合わせて有する高分子電解質
が挙げられる。
なお、L1は、イオン交換基を有する限り、種々の構造単位から選択できるが、高分子電解質の耐熱性を向上させる観点から、芳香環を有する構造単位が好ましく、2価の芳香族基であると、さらに好ましい。ここで、芳香族基とは、芳香族化合物または複素環化合物から水素を2個取り去って得られる基や、芳香族化合物または複素環化合物から水素を2個取り去って得られる基が複数個、直接結合もしくは2価の基によって連結されてなる基を含む概念である。
上記一般式(4)中の構造単位の重量分率は上記のとおり、pが70〜99重量%、qが1〜30重量%であるが、特に、pが75〜98重量%、qが2〜25重量%であると好ましい。
ここで、イオン交換基を有さない一般式(1)で表される構造単位を、具体的に例示すると、以下のものが挙げられる。なお、Xは一般式(1)と同義である。
Figure 2008027903

Figure 2008027903
上記に例示する構造単位の中でも、下記の一般式(2)で表される構造単位、一般式(3)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2008027903
(式中、Xは一般式(1)と同義である。)
一般式(2)で表される構造単位の好適な例としては、下記一般式(2a)で表される構造単位であり、上記例示の中で(A−1)、(A−2)または(A−3)が挙げられる。
一方、一般式(3)で表される構造単位の好適な例としては、下記一般式(3a)で表される構造単位であり、上記例示の中で(B−1)、(B−2)、(B−4)、(B−6)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2008027903
(式中、Xは一般式(1)と同義である。)
本発明の高分子電解質は、分子内にイオン交換基を有しており、該イオン交換基としては、酸基、塩基性基のどちらでもよいが、固体高分子型燃料電池の用途においては酸基が好ましい。該酸基としては、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(−OPO(OH)2)あるいはホスホン酸基(−PO(OH)2)などの弱酸基、スルホン酸基(−SO3H)、スルフィン酸基(−SO2H)、スルホンイミド基(−SO2NHSO2−)あるいは硫酸基(−OSO3H)などの強酸基、該強酸基のα位、β位などの近接位置に、フルオロ基などの電子吸引性基を導入して得られる超強酸基などが挙げられ、中でも強酸基または超強酸基が好ましい。
また、これらの酸基は、部分的にあるいは全てが金属イオンなどで交換されて塩を形成していてもよいが、固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜として使用する際には、実質的に全てが遊離酸の状態であることが好ましい。
さらに本発明の高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位として、イオン交換基を有さない構造単位を有していてもよく、下記一般式(5)で表される高分子電解質が挙げられる。
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、X、n、mは上記一般式(1)と同義であり、p1、p2、q1は各々の構造単位の重量分率であり、p1+p2+q1=100重量%である。L1は上記一般式(4)と同義である。L2はイオン交換基を有さない構造単位である。)
ここで、上記一般式(5)で表す共重合様式は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、またはそれらの組合せであってもよい。すなわち、
v)L1で表される構造単位と、L2で表される構造単位と、一般式(1)で表される構造単位とがランダムに連結された共重合様式の高分子電解質
vi)L1で表される構造単位と、L2で表される構造単位と交互に連結してなる高分子鎖に、部分的に一般式(1)で表される構造単位を有する共重合様式の高分子電解質
vii)L1で表される構造単位が連結してなるブロックと、L2で表される構造単位が連結してなるブロックと、一般式(1)で表される構造単位が連結してなるブロックとを有する共重合様式の高分子電解質
viii)L1で表される構造単位と一般式(1)で表される構造単位とが連結してなるブロックと、L2で表される構造単位と一般式(1)で表される構造単位とが連結してなるブロックとを有する共重合様式の高分子電解質
ix)L1で表される構造単位が連結してなるブロックと、L2で表される構造単位と一般式(1)で表される構造単位とが連結してなるブロックとを有する共重合様式の高分子電解質
x)L1で表される構造単位と一般式(1)で表される構造単位とが連結してなるブロックと、L2で表される構造単位が連結してなるブロックとを有する共重合様式の高分子電解質
xi)L1で表される構造単位とL2で表される構造単位とが連結してなるブロックと、一般式(1)で表される構造単位が連結してなるブロックとを有する共重合様式の高分子電解質
xii)高分子鎖中に、上記のv)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)およびxi)から選ばれる共重合様式が組み合わさって含む高分子電解質
などが挙げられる。
なお、L2は任意の構造単位を表すが、上記L1と同様に、高分子電解質の耐熱性を向上させる観点から、2価の芳香族基であると好ましい。
上記一般式(5)中の構造単位の重量分率は、q1は上述のとおり、1〜30重量%であり、p1は5〜80重量%、p2が5〜80重量%であると好ましく、p1が15〜60重量%、p2が15〜60重量%およびq1は2〜25重量%であるとさらに好ましい。
ここで、イオン交換基を含まない2価の基であるL2を具体的に例示すると、以下のものが挙げられる。
Figure 2008027903

Figure 2008027903
Figure 2008027903

Figure 2008027903

Figure 2008027903

Figure 2008027903

Figure 2008027903

Figure 2008027903
また、イオン交換基を含む構造単位であるL1の具体的例示としては、上記に例示したL2の具体例において、イオン交換基および下記に例示するイオン交換基を含む基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基が、芳香環に置換されてなるものが挙げられる。
Figure 2008027903
(上式中、Zはイオン交換基であり、r、sは、それぞれ独立に、0〜12の整数であり、Tは、−O−、−S−、−CO−、−SO2−のいずれかを表す。*は結合手を表す。)
また、本発明の高分子電解質中に存在するイオン交換基の量は、イオン交換容量で表して、0.5meq/g〜4.0meq/gが好ましく、さらに好ましくは0.8meq/g〜3.5meq/gである。
イオン交換容量が、0.5meq/g以上であると、イオン伝導性がより高くなることから、固体高分子型燃料電池に係るイオン伝導膜などの部材において好ましい。一方、イオン交換容量が4.0meq/g以下であると、耐水性がより一層良好となるので好ましい。
また、本発明の高分子電解質は、その分子量がポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく、中でも15000〜400000であることが特に好ましい。
次に、本発明の高分子電解質の中でも、好適な上記一般式(4)あるいは上記一般式(5)で表される高分子電解質に係る製造方法について説明する。
[ランダム共重合体の重合方法]
本発明における好適な高分子電解質を構成する、イオン交換基を有する構造単位と、一般式(1)で表される構造単位とがランダム共重合体である場合、一般式(1)で表される構造単位を誘導するモノマーと、イオン交換基有する構造単位を誘導するモノマーとを共重合させることにより製造することができる。
1種以上の、一般式(1)で表される構造単位を誘導するモノマーと、1種類以上の他の構造単位を誘導するモノマーとを共重合させて、高分子電解質を製造する場合には、一般式(1)で表される繰り返し構造単位となるモノマーとしては、例えば下記一般式(20)で表されるモノマーが用いられる。
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、n、mは上記一般式(1)と同義である。Y、Y’はそれぞれ独立に脱離基または求核基を表す。)
ここで、脱離基としては、ハロゲノ基および−OSO2G(ここでGはアルキル基、フッ素置換アルキル基、またはアリール基を示す。)からなる群から選ばれる基であり、求核基としては、水酸基またはメルカプト基が挙げられる。
また、イオン交換基を有する構造単位を誘導するモノマーとしては、下記一般式(21)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2008027903
(式中、L1aはイオン交換基を有する2価の芳香族基であり、Q、Q’はそれぞれ独立に、求核基または脱離基である。)
重合に係る単位方法としては、例えば、一般式(20)におけるYおよびY’がともに脱離基であるモノマーと、一般式(21)におけるQおよびQ’が脱離基であるモノマーとの共重合である場合、ゼロ価遷移金属触媒の存在下にカップリングさせることにより芳香環間に、単結合を生成させる方法を挙げることができる。また、一般式(20)におけるYおよびY’が脱離基であるモノマーと、一般式(21)におけるQおよびQ’が求核基であるモノマーとの共重合である場合、脱離基と求核基とが縮合してエーテル結合あるいはチオエーテル結合を生成する縮合反応を用いて共重合させる方法が挙げられる。ここで、該縮合反応を用いて共重合させる方法は、一般式(20)におけるYおよびY’がともに求核基であるモノマーと、一般式(21)におけるQおよびQ’が脱離基であるモノマーとの組合せでもよく、一般式(20)におけるYが脱離基であり、Y’が求核基であるモノマーと、一般式(21)におけるQが脱離基であり、Q’が求核基であるモノマーとの組合わせであってもよい。
まず、ゼロ価遷移金属触媒の存在下にカップリングさせる方法について説明する。
ゼロ価遷移金属錯体としては、例えばゼロ価ニッケル錯体、ゼロ価パラジウム錯体などが挙げられる。中でもゼロ価ニッケル錯体が好ましく使用される。
ここで、ゼロ価遷移金属錯体は、市販品や別途合成したものを重合反応系に供してもよいし、重合反応系中において、還元剤の作用で、遷移金属化合物から発生させてもよい。後者の場合においては、例えば、遷移金属化合物に還元剤を作用させる方法などが挙げられる。
いずれの場合でも、後述の配位子を添加することが、収率向上の観点から好ましい。
ここで、ゼロ価パラジウム錯体としては、例えばパラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)などがあげられる。ゼロ価ニッケル錯体としては、例えばニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)、ニッケル(0)(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)、ニッケル(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)などが挙げられる。中でもニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)が好ましく使用される。
また、遷移金属化合物に還元剤を作用させゼロ価遷移金属錯体を発生させる場合において、使用される遷移金属化合物としては、通常、2価の遷移金属化合物が用いられるが、ゼロ価のものも用いることもできる。中でも2価ニッケル化合物、2価パラジウム化合物が好ましい。2価ニッケル化合物としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)などが挙げられ、2価パラジウム化合物としては塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。
還元剤としては、亜鉛、マグネシウムなどの金属および、これらの金属と、例えば銅との合金、水素化ナトリウム、ヒドラジンおよびその誘導体、リチウムアルミニウムヒドリドなどが挙げられる。必要に応じて、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム、ヨウ化トリエチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどを併用することもできる。
ゼロ価遷移金属錯体の使用量は、還元剤を使用しない場合、一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとの総モル量に対して、通常0.1〜5.0モル倍である。使用量が過少であると分子量が小さくなる傾向があるので、好ましくは1.5モル倍以上、より好ましくは1.8モル倍以上、一層好ましくは2.1モル倍以上が適用される。使用量の上限は、使用量が多すぎると後処理が煩雑になる傾向があるために、5.0モル倍以下であることが望ましい。
また、還元剤を使用する場合、遷移金属化合物の使用量は、一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとの総モル量に対して、0.01〜1モル倍である。使用量が過少であると、得られる高分子電解質の分子量が小さくなる傾向にあるので、好ましくは0.03モル倍以上である。使用量の上限は、使用量が多すぎると後処理が煩雑になる傾向があるために、1.0モル倍以下であることが望ましい。
また還元剤の使用量は、一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとの総モル量に対して、通常0.5〜10モル倍である。使用量が過少であると、得られる高分子電解質の分子量が小さくなる傾向があるので、好ましくは1.0モル倍以上である。使用量の上限は、使用量が多すぎると後処理が煩雑になる傾向があるために、10モル倍以下であることが望ましい。
前記の配位子としては、例えば2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパンなどが挙げられ、汎用性、安価、高反応性、高収率の点でトリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジルが好ましい。特に、2,2’−ビピリジルは、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)と組合せると重合体の収率が向上するので、この組合せが好ましく使用される。
また配位子を共存させる場合は、ゼロ価遷移金属錯体に対して、通常、金属原子基準で、0.2〜10モル倍程度、好ましくは1.0〜5.0モル倍程度使用される。
カップリング反応は、通常、溶媒存在下に実施される。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒:ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と呼ぶ)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と呼ぶ)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」と呼ぶ)などの非プロトン性極性溶媒;テトラリン、デカリンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル系溶媒;クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル系溶媒などが挙げられる。
生成する高分子電解質の分子量をより高くするためには、得られる高分子電解質が十分に溶解できる溶媒であることが望ましいので、該高分子電解質に対する良溶媒であるテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、DMF、DMAc、DMSO、NMP、トルエンが好ましい。これらは2種以上を混合して用いることもできる。なかでもDMF、DMAc、DMSO、NMP、およぶこれらから選ばれる2種以上の混合溶媒が好ましく用いられる。なお、「良溶媒」とは、25℃において溶媒100gに対して、高分子電解質が5g以上溶解しうる溶媒を定義するものである。
溶媒は、一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとの総重量に対して、通常5〜500重量倍、好ましくは20〜100重量倍程度使用される。
また反応温度は、通常0〜250℃の範囲であり、好ましくは、10〜100℃程度であり、縮合時間は、通常0.5〜24時間程度である。中でも、生成する高分子の分子量をより高くするためには、ゼロ価遷移金属錯体と一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとを45℃以上の温度で作用させることが好ましい。好ましい作用温度は通常45℃〜200℃であり、とりわけ好ましくは50℃〜100℃程度である。
またゼロ価遷移金属錯体と、一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとを作用させる方法は、一方をもう一方に加える方法であっても、両者を反応容器に同時に加える方法であってもよい。加えるに当っては、一挙に加えてもよいが、発熱を考慮して少量ずつ加えることが好ましいし、溶媒の共存下に加えることも好ましい。このようにして混合した混合物は、通常45℃〜200℃程度、好ましくは50℃〜100℃程度で保温される。
次に、脱離基と求核基との縮合反応を用いた重合方法について説明する。
かかる縮合反応は上記のとおり、脱離基と求核基との間で生じる縮合反応であり、通常、塩基触媒の存在下に求核置換的に縮合させる方法である。
該塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられ、これらは求核基である水酸基をアルコラート基に、メルカプト基をチオラート基に変換することができれば、特に限定されるものではない。
縮合反応は、通常、溶媒存在下に実施される。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒:ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;DMF、DMAc、NMP、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、DMSOなどの非プロトン性極性溶媒;テトラリン、デカリンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル系溶媒;クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル系溶媒などが挙げられる。
生成する高分子の分子量をより高くするためには、高分子が十分に溶解していることが望ましいので、高分子に対する良溶媒であるテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、DMF、DMAc、DMSO、NMP、トルエンが好ましい。これらは2種以上を混合して用いることもできる。なかでもDMF、DMAc、DMSO、NMP、およびこれらから選ばれる2種以上の溶媒の混合物が好ましく用いられる。
また、縮合反応中に副生成物として水が生成する場合がある。この際は、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することができる。
溶媒は、一般式(20)で示されるモノマーと、一般式(21)で示されるモノマーとの総重量に対して、通常5〜500重量倍、好ましくは20〜100重量倍程度使用される。
該縮合反応は0〜350℃の温度範囲で行なうことができるが、50〜250℃の範囲であることが好ましい。0℃より低い場合には、充分に反応が進行しにくく、350℃より高い場合には、生成物の分解が進行することがある。
上記のゼロ価遷移金属触媒の存在下にカップリングさせる方法あるいは縮合反応による重合反応は、上記一般式(5)で表される高分子電解質の製造にも用いることが可能であり、その場合、一般式(21)で表されるモノマーの一部を、下記一般式(22)で表されるモノマーに置き換えれば、容易に実施することができる。
Figure 2008027903
(式中、L2aは、イオン交換基を有さない2価の芳香族基であり、Q、Q’は一般式(21)と同義である。)
[ブロック共重合体の重合方法]
次にブロック共重合体に係る製造方法を説明するが、重合に係る単位反応は上記ランダム重合の場合と同様にして、ゼロ価遷移金属触媒の存在下にカップリングさせる方法あるいは縮合反応による重合反応が好適であり、a)一般式(20)で表されるモノマーから得られるポリマー、および一般式(21)で表されるモノマーから得られるポリマーを各々製造しておき、両者を結合させてブロック共重合体を得る方法や、b)一般式(20)で表されるモノマーから得られるポリマー、または一般式(21)で表されるモノマーから得られるポリマーのどちらかを予め製造しておき、他方のポリマーを誘導するモノマーと予め製造しておいたポリマーとを反応させることによってもブロック共重合体を得ることができる。
上記のa)、b)に示すブロック共重合体の製造方法に関し、一例を挙げて説明する。
まず、a)の方法においては、例えば一般式(20)において、YおよびY’がともに脱離基である場合、ゼロ価遷移金属触媒の存在下で縮合して、下記一般式(30)で示されるポリマーを製造する。
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、n、mは上記一般式(1)と同義である。Y1およびY2は脱離基である。gは2以上の整数を表わす。)
別に、一般式(21)において、Q、Q’がともに脱離基であるモノマーを使用し、ゼロ価遷移金属触媒の存在下で縮合して、下記一般式(31)で示されるポリマーを製造する。
Figure 2008027903
(式中、L1bはイオン交換基を有する2価の芳香族基であり、Q1、Q2は共に脱離基を表す。hは2以上の整数である。)
このようにして得られた一般式(30)で表されるポリマーと、一般式(31)で表されるポリマーは互いに末端に脱離基を有するので、これらをさらにゼロ価遷移金属触媒の存在下で結合させることにより、ブロック共重合体が得られる。あるいは、脱離基と求核反応にて結合する求核基を分子内に複数有する連結剤を用いて、塩基触媒の存在下で縮合させることによっても、ブロック共重合体を得ることができる。
ここで、分子内に求核基を複数有する連結剤としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。
また、上記一般式(31)で表されるポリマーと、一般式(20)においてYおよびY’がともに脱離基であるモノマーとを、ゼロ価遷移金属触媒の存在下にカップリングさせて重合させる方法においてもブロック共重合体を得ることができる。また、上記一般式(31)で表されるポリマーと、一般式(20)においてYおよびY’がともに求核基であるモノマーとを縮合反応させて得られるものも、本発明のブロック共重合体に包含されるものとする。
また、一般式(20)におけるYが脱離基であり、Y’が求核基であるモノマーを用いて縮合反応を行うことで、下記一般式(40)で表されるポリマーを得ることができる。
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、n、mはそれぞれ一般式(1)と同義である。Y3は脱離基であり、Y4は求核基を表す。g1は1以上の整数である。X10は酸素原子または硫黄原子を表す。)
さらに、一般式(21)において、Qが脱離基であり、Q’が求核基であるモノマーを用いて縮合反応を行うことで、下記一般式(41)で表されるポリマーが得られる。
Figure 2008027903
(式中、L1cはイオン交換基を有する2価の芳香族基であり、X20は酸素原子または硫黄原子を表す。Q3は脱離基であり、Q4は求核基である。)
このようにして得られる、一般式(40)で表されるポリマーと、一般式(41)で表されるポリマーとをさらに縮合反応させることによっても、本発明のブロック共重合体を得ることができる。
また、上記一般式(41)で表されるポリマーと、一般式(20)におけるYが脱離基であり、Y’が求核基であるモノマーを用いて縮合反応を行うことによって得られるものも、本発明のブロック共重合体として包含する。
また、一般式(20)におけるY、Y’が脱離基であるモノマーと、Y、Y’が求核基であるモノマーとを用いて縮合反応を行うことで、下記一般式(50)で表されるポリマーを得ることができる。
Figure 2008027903
(式中、A環、B環、X1、X2、n、mはそれぞれ一般式(1)と同義である。Y5、Y6は脱離基または求核基を表す。g2は1以上の整数である。X11は酸素原子または硫黄原子を表す。)
5、Y6はモノマーの仕込み比率により制御することができ、Y、Y’が脱離基であるモノマーを過剰に仕込むことで、Y5、Y6が脱離基である式(50)で表されるポリマーが得られ、逆にY、Y’が脱離基であるモノマーを過剰に仕込むことで、Y5、Y6が脱離基である式(41)で表されるポリマーが得られる。
さらに、一般式(21)において、Q、Q’が脱離基であるモノマーと、Q、Q’が求核基であるモノマーとを用いて縮合反応を行うことで、下記一般式(51)で表されるポリマーが得られる。
Figure 2008027903
(式中、L1dはイオン交換基を有する2価の芳香族基であり、X21は酸素原子または硫黄原子を表す。Q5、Q6は脱離基または求核基である。)
また、上記一般式(51)において、Q5、Q6は上記一般式(50)で表されるポリマーと同等の方法で、制御することができる。
このようにして得られる、一般式(50)で表されるポリマーと、一般式(51)で表されるポリマーとをさらに縮合反応させることによっても、本発明のブロック共重合体を得ることができる。この際、Y5、Y6と、Q5、Q6の組み合わせは、Y5、Y6がともに脱離基である一般式(50)で表されるポリマーと、Q5、Q6がともに求核基である一般式(51)で表されるポリマーの組合わせ、または、Y5、Y6が求核基である一般式(50)で表されるポリマーと、Q5、Q6が脱離基である一般式(51)で表されるポリマーの組合わせが挙げられる。
上記のブロック共重合体の製造方法は、上記一般式(5)で表される、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有さない構造単位と、一般式(1)で表される構造単位の共重合体にも適用することが可能であり、その場合、上記に例示したブロック共重合体の製造方法において、一般式(20)で表されるモノマーの一部を、上記一般式(22)で表されるモノマーに置き換えるか、一般式(21)で表されるモノマーの一部を、上記一般式(22)で表されるモノマーに置き換えることで、同等の方法を用いることができる。
[高分子電解質の精製方法]
上記のようにして得られるランダム重合体あるいはブロック共重合体の、反応混合物からの取り出しは、常法が適用できる。例えば、生成した高分子電解質が不溶あるいは難溶である貧溶媒を加えるなどして生成物を析出させ、濾別などにより目的物を取り出すことができる。また必要に応じて、更に水洗や、良溶媒と貧溶媒を用いての再沈殿を繰返して精製することもできる。あるいは、上記の手法から2つ以上の手法を選んで組み合わせて行うことも可能である。なお、「貧溶媒」とは、25℃において溶媒100gに対して、高分子電解質1g以上を溶解できない溶媒を定義するものである。
[燃料電池]
次に、本発明の高分子電解質を燃料電池などの電気化学デバイスの隔膜として使用する場合について説明する。
この場合は、本発明の高分子電解質は、通常、膜の形態で使用されるが、膜へ転化する方法に特に制限はなく、例えば溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、本発明の高分子電解質を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板などの基板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、使用する高分子電解質が溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、DMF、DMAc、NMP、DMSOなどの非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMPがポリマーの溶解性が高く好ましい。
膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。膜厚が10μm以上の膜では実用的な強度がより優れるので好ましく、300μm以下の膜では膜抵抗が小さくなり、電気化学デバイスの特性がより向上する傾向にあるので好ましい。膜厚は、溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
また、膜の各種物性改良を目的として、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤などを添加することができる。また、同一溶剤に混合共キャストするなどの方法により、他のポリマーを本発明の高分子電解質と複合アロイ化することも可能である。
燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加することも知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。また、膜の機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋することもできる。
また、本発明の高分子電解質を有効成分とする高分子電解質を用いた高分子電解質膜の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために、本発明の高分子電解質を多孔質基材に含浸させ複合化することにより、高分子電解質複合膜とすることも可能である。複合化方法は公知の方法を使用し得る。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリルなどが挙げられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系、芳香族系高分子、または含フッ素高分子が好ましい。
本発明の高分子電解質を用いた高分子電解質複合膜を高分子電解質型燃料電池の隔膜として使用する場合、多孔質基材の膜厚は、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmであり、多孔質基材の孔径は、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましくは0.02〜10μmであり、多孔質基材の空隙率は、好ましくは20〜98%、さらに好ましくは40〜95%である。
多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池の隔膜として、より優れたものとなる。該孔径が0.01μm以上であると、高分子固体電解質の充填がより容易となり、100μm以下であると、高分子固体電解質への補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、固体電解質膜としての抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなり補強効果がより向上するので好ましい。
最後に本発明の燃料電池について説明する。
本発明が提供する燃料電池は、上記高分子電解質から得られる高分子電解質膜あるいは上記高分子電解質を有効成分とする高分子電解質複合膜の両面に、触媒成分および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
ここで触媒成分としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金または白金系合金の微粒子を用いることが好ましい。白金または白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられる。
また、カーボンに担持された白金を、高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液と共に混合してペースト化したものを、ガス拡散層および/または高分子電解質膜および/または高分子電解質複合膜に塗布・乾燥することにより触媒層が得られる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem.Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法などの公知の方法を用いることができる。
ここで、触媒層に係る高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の代わりに、本発明の、高分子電解質を用いて触媒組成物を調整することもできる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
このようにして製造された本発明が提供する燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[測定]
(1)分子量の測定
実施例中に記載した分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)である。

GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム 昭和電工製Shodex KD−80M+KD−803を接続
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
(2)イオン交換容量(IEC)の測定
高分子電解質をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して高分子電解質溶液を調整した。これをガラス板上に塗り広げ、これを80℃で常圧乾燥することにより、高分子電解質膜を得た。この膜を、2Nの塩酸で2時間処理し、その後イオン交換水で洗浄することで、イオン交換基を遊離酸型(プロトン型)に変換した膜を得た。その後、ハロゲン水分率計で105℃でさらに乾燥させ、絶乾重量を求めた。この膜を、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、この高分子電解質膜が浸漬された溶液に0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定し、中和点を求めた。絶乾重量と中和点に要する0.1mol/L塩酸の量から、イオン交換容量を求めた。
(3)吸水率の測定
乾燥した膜を秤量し、80℃の脱イオン水に2時間浸漬した後の膜重量増加量から吸水量を算出し、乾燥膜重量に対する比率を求めた。
(4)プロトン伝導度の測定
高分子電解質膜を、幅1.0cmの短冊状膜試料とし、その表面に白金板(幅:5.0mm)を間隔が1.0cmになるように押しあて、80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に試料を保持し、白金板間の106〜10-1Hzにおける交流インピーダンスを測定した。そして、得られた値を、下記式に代入して、各高分子電解質膜のプロトン伝導度(σ)(S/cm)を算出した。
σ(S/cm)=1/(R×d)
[式中、コール・コールプロット上において、複素インピーダンスの虚数成分が0の時の、複素インピーダンスの実数成分をR(Ω)とする。dは短冊状膜試料の膜厚(cm)を表す。]
実施例1
アルゴン雰囲気下、フラスコに、DMSO95ml、3−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム4.00g(13.02mmol)、2,5−ジクロロベンゾフェノン2.94g(11.72 mmol)、2,7−ジブロモフルオレノン0.44g(1.30 mmol)、2,2’−ビピリジル11.19g(71.63mmol)を入れて攪拌し、70℃に昇温した。次いで、これにニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)17.91g(65.12mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で5.5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の4N塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ、濾別し、濾液が中性になるまで水洗を行い、アセトン洗浄を行なった後、減圧乾燥することにより目的とするポリマー(高分子電解質)5.04g(収率98%)を得た。反応後の残存モノマーはほとんど検出されず、得られたポリマーがほぼ理論収量回収されていることから、モノマー仕込量から、2,7−フルオレノンジイル基(一般式(1)で表される構造単位)のポリマー中の重量分率を算出すると、4.5重量%である。
Mn=99000、Mw=408000、
IEC=2.48meq/g
(モノマー仕込量から算出されるIEC 2.52meq/g )
プロトン伝導度 1.7×10-1 S/cm
吸水率 159%
比較例1
アルゴン雰囲気下、フラスコに、DMSO95ml、3−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム4.00g(13.02mmol)、2,5−ジクロロベンゾフェノン3.27g(13.02 mmol)、2,2’−ビピリジル12.31g(78.79mmol)を入れて攪拌し、60℃に昇温した。次いで、これにニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)19.70g(71.63mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で9時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の4N塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ、濾別し、濾液が中性になるまで水洗を行い、アセトン洗浄を行なった後、減圧乾燥することにより目的とするポリマー(高分子電解質)5.10gを得た。
Mn=104000、Mw=270000、
IEC=2.40meq/g
(モノマー仕込量から算出されるIEC 2.54meq/g )
プロトン伝導度 1.8×10-1 S/cm
吸水率 測定不能(80℃の脱イオン水に浸漬することで、膜が溶解)
実施例2
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、DMSO175ml、トルエン100mlg、3−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム8.00g(26.05mmol)、2,5−ジクロロベンゾフェノン5.89g(23.44 mmol)、1,5−ジクロロアントラキノン0.43g(1.56mmol)、2,2’−ビピリジル21.93g(140.40mmol)を入れ、145℃にて加熱攪拌し、共沸脱水した。その後、トルエンを留去し、65℃に冷却した。次いで、これにニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)35.11g(127.63mmol)を加え、同温度で2時間攪拌した。放冷後、得られた反応液を大量のメタノールに滴下し、ポリマーを析出させて濾別した。その後、6mol/L塩酸による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗し、減圧乾燥することにより目的とするポリマー(高分子電解質)9.63g(収率95%)を得た。反応後の残存モノマーはほとんど検出されず、得られたポリマーがほぼ理論収量回収されていることから、モノマー仕込量から、1,5−アントラキノンジイル基(一般式(1)で表される構造単位)のポリマー中の重量分率を算出すると、3.2重量%である。
IEC=2.46meq/g
(モノマー仕込量から算出されるIEC 2.57meq/g )
プロトン伝導度 1.3×10-1 S/cm
吸水率 317%
実施例3
1,5−ジクロロアントラキノンを0.72g(2.60 mmol)、2,2’−ビピリジルを22.37g(143.26mmol)、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)を35.82g(130.24mmol)に変えた以外は、実施例2と同様にして実験を行い、同様にポリマー(高分子電解質)を得た。収量10.20g(収率99%)。モノマー仕込量から、1,5−アントラキノンジイル基(一般式(1)で表される構造単位)のポリマー中の重量分率を算出すると、5.2重量%である。
実施例1および2と比較例1の比較から明らかなように、本発明の高分子電解質は、上記一般式(1)で表される構造単位を導入することにより、高いプロトン伝導度と耐水性を両立しており、燃料電池としての出力特性と耐久性を併せ持ち燃料電池などの用途として極めて有用である。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を、重量分率1〜30重量%で有する高分子電解質。
    Figure 2008027903
    (式中、A環、B環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を表し、X1、X2は、それぞれ独立に、−CO−、−SO−、−SO2−のいずれかを表す。n、mは、それぞれ独立に、0、1または2を表し、n+mは1以上である。なお、nが2の場合、2つあるX1は互いに同じでも異なっていてもよい。mが2の場合、2つあるX2は互いに同じでも異なっていてもよい。Xは直接結合または2価の基を表す。)
  2. 上記一般式(1)で表される構造単位が、A環、B環として、それぞれ独立に置換基としてイオン交換基を有さない芳香族炭化水素環、または置換基としてイオン交換基を有さない複素環を有する構造単位であり、さらに、他の構造単位としてイオン交換基を有する構造単位を有する、請求項1に記載の高分子電解質。
  3. 下記一般式(5)で表される、請求項1または2に記載の高分子電解質。
    Figure 2008027903
    (式中、A環、B環、X1、X2、X、n、mは上記一般式(1)と同義であり、p1、p2、q1は各々の構造単位の重量分率であり、p1+p2+q1=100重量%である。L1はイオン交換基を有する構造単位を表し、L2はイオン交換基を有さない構造単位を表す。)
  4. 上記一般式(1)において、X1が−CO−であり、n=1、m=0である構造単位を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質。
  5. 上記一般式(1)において、X1、X2がともに−CO−であり、n=1、m=1である構造単位を有する、請求1〜3のいずれかに記載の高分子電解質。
  6. 一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(2)で表される構造単位および/または下記一般式(3)で表される構造単位である、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質。
    Figure 2008027903
    (式中、Xは一般式(1)と同義である。)
  7. 上記一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(2a)で表される構造単位および/または下記一般式(3a)で表される構造単位である、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質。
    Figure 2008027903
    (式中、Xは一般式(1)と同義である。)
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質からなる高分子電解質膜。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質と多孔質基材とからなる高分子電解質複合膜。
  10. 請求項8記載の高分子電解質膜または請求項9記載の高分子電解質複合膜と、触媒層とからなる、膜−電極接合体。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質と、触媒成分とを含有する、触媒組成物。
  12. 請求項11記載の触媒組成物からなる触媒層を備えた、膜−電極接合体。
  13. 請求項8記載の高分子電解質膜、請求項9記載の高分子電解質複合膜、または請求項12記載の触媒組成物からなる触媒層のいずれか少なくとも1つを有する、固体高分子型燃料電池。
  14. 請求項10または12に記載の膜−電極接合体を有する、固体高分子型燃料電池。
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