JP2010238374A - 高分子電解質膜および固体高分子電解質型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むポリアリーレン系共重合体を含有する高分子電解質膜であって、蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量が150ppm以下であることを特徴とする高分子電解質膜。
【選択図】なし
Description
また、燃料電池では、発電中にセル内で燃料の酸化によって発生する過酸化水素等により高分子電解質膜の分解を引き起こし性能低下の原因となることが知られている。そのため高分子電解質膜の化学劣化に対する耐久性の向上も求められていた。
スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むポリアリーレン系共重合体を含有する高分子電解質膜であって、蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量を150ppm以下とすることによって、高分子電解質膜の熱安定性と高温条件下でのスルホン酸基の安定性を改良し、発電耐久性を改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むポリアリーレン系共重合体を含有する高分子電解質膜であって、蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量が150ppm以下であることを特徴とする高分子電解質膜。
[2]前記スルホン酸基を有する構成単位が、下記式(1)で表されることを特徴とする[1]の高分子電解質膜。
[3]前記縮合芳香族環構造を有する構成単位が、下記式(2)で表される[1]又は[2]の高分子電解質膜。
−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示
す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
なお、構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
[5]前記[4]の膜−電極接合体を有する、固体高分子電解質型燃料電池。
[6]スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むポリアリーレン系共重合体であって、蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量が120ppm以下であるポリアリーレン系共重合体。
<ポリアリーレン系共重合体>
本発明のポリアリーレン系共重合体は、スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を有しており、また、本発明のポリアリーレン系共重合体の蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量が120ppm以下である。第15族原子の含有量の下限値はゼロであることが最も好ましいが、70ppm、好ましくは40ppm、さらに好ましくは10ppmであれば本発明の効果を得ることができる。ここで、第15族原子の含有量とは、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスのいずれか1種の原子の含有量であって、窒素原子の含有量は含まれない。本発明のポリアリーレン系共重合体は、上記の第15族原子の含有量が低いことにより、良好なプロトン伝導性に加えて、耐熱性や化学耐性にも優れる高分子電解質膜を提供することができる。
本発明のポリアリーレン系共重合体は、下記式(3)で表されるスルホン酸基を有する構造を有している。
Zは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
上記式(3)で表されるスルホン酸基を有する構造は、好ましくは下記式(4)で表される構造を有する。
式(4)において、Yは−CO−、−SO2−が好ましい。
Arの芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として2個の−SO3Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
本発明のポリアリーレン系共重合体は、下記式(5)で表される縮合芳香族環構造を有する構成単位を有している。
Bは酸素原子または硫黄原子であり、
s、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは、0または1以上の整数を示す。
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構造が挙げられる。
本発明のポリアリーレン系共重合体は、さらに好ましくは、下記式(7)で表される構造を有している。
本発明のポリアリーレン系共重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
例えば、下記式(9)で表されるモノマー、下記式(11)で表されるモノマーおよび下記式(13)で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
モノマー(A')は、下記式(9)で表される構造を有する化合物であり、ポリアリーレン系共重合体の中でスルホン酸基を有する構成単位となる。
Zは、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
上記式(9)で表されるモノマーは、好ましくは下記式(10)で表される構造を有する。
Xは塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基、酸素原子複素環置換アルキル基またはアリール基、を示す)から選ばれる原子または基を示す。
式(10)で表される化合物の具体的な例としては、下記式で表される化合物、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
モノマー(B')は、下記式(11)で表される構造を有する化合物であり、ポリアリーレン系共重合体の中で縮合芳香族環構造を有する構成単位となる。
Bは酸素原子または硫黄原子であり、
s、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは、0または1以上の整数を示す。
モノマー(B')の具体例としては、式(12)におけるrが0の場合、例えば4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1molに対して1〜3倍molのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法などにより行うことができる。
例えば、上記一般式(9)で表される骨格を有し、かつスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記モノマー(B’)を共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
式(9)において、Arが−O(CH2)hSO3Hまたは−O(CF2)hSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に記載の方法と同様に、上記式(9)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記式(11)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーと、上記式(12)で表される構造単位となるモノマーを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
以上述べた(A法)〜(C法)で合成したポリアリーレン系共重合体は、以下に述べる方法により濾過・回収することができる。
本発明の高分子電解質膜は、上記ポリアリーレン系共重合体を含有してなる。好ましくは、本発明の高分子電解質膜は、ポリアリーレン系共重合体を有機溶剤に溶解した溶液を基材上にキャストしてキャスト膜を調製し、このキャスト膜を水で洗浄して残存溶剤を取り除いた後、乾燥して得られる。高分子電解質膜の膜厚は、通常、5〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
製膜する際の溶液のポリマー濃度は、通常5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい傾向にある。一方、ポリマー濃度が40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
本発明の方法により得られる高分子電解質膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
(分子量)
以下本発明の実施例中で得られるポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル・パーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)法によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
得られたポリアリーレン系共重合体の水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に洗浄し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
得られたポリアリーレン系共重合体中の第15族原子の含有量は、ポリマー粉末を厚さ2mm、直径25mmのディスク状にプレス成型したものを用い、蛍光X線解析(スペクトリス株式会社;MagiX PRO PW2440)で分析した。
(高分子電解質膜中の第15族原子の含有量)
得られた高分子電解質膜中の第15族原子の含有量は、各実施例・比較例で得られたポリアリーレン系共重合体を用いて製造された高分子電解質膜(厚さ30μm)を直径25mmの円形に切り出し得た測定試料について蛍光X線解析(スペクトリス株式会社;MagiX PRO PW2440)で分析した。
(ガス拡散層の作製)
カーボンペーパー(商品名:TGPH−060、東レ株式会社製)を5cm×5cmのサイズに切断し、これを30mLの1.2重量%ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子分散水溶液に5分間浸漬させた後、75℃の乾燥炉にて15分間乾燥させた。この基材を370℃の電気炉にて1時間焼成させ基材層を作製した。
市販の46重量%白金担持カーボン(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)1.5g、実施例1−4および比較例1ので合成したスルホン化重合体を水:1、2−ジメトキシエタン:ノルマルプロパノール=1:8:1の混合溶媒に15重量%溶かしたワニス4g、蒸留水0.85g、1、2−ジメトキシエタン6.8gおよびノルマルプロパノール0.85gを混合し、この混合物を均一になるまで遊星ボールミル(商品名:P−5、フリッチュ社製)を使用して攪拌し、カソード触媒ペーストを調製した。
前記ガス拡散層上に、前記カソード触媒ペーストを白金塗布量が0.5mg/cm2になるようにドクターブレードを用いて塗布した。これを80℃で10分間加熱乾燥し、カソードガス拡散電極を作製した。
各実施例および比較例で得られたポリアリーレン系共重合体からなる電解質膜(膜厚30μm)を、それぞれの電解質膜に用いたポリアリーレン系共重合体を電極電解質に用いて作製した前記カソードガス拡散電極とアノードガス拡散電極で挟み、圧力30kg/cm2下で、170℃、15minの条件でホットプレス成形して、膜−電極接合体を作製した。
(発電試験)
上記で得た膜―電極接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルに組み込み、トルクレンチで300cNmで締め付け燃料電池を作製した。酸素利用率が40%になるように空気をカソードに供給し、水素利用率が70%になるように水素ガスをアノードに供給した。セル温度85℃とし、前記空気及び水素ガスは相対湿度40%になるように加湿した。前記条件下でのI−V測定で初期特性を評価した。その後水素利用率、酸素利用率、相対湿度を変えずにセル温度を100℃にし0.3 A/cm2で2000時間連続発電を実施した。最後に初期特性と同条件でI−V測定行い連続発電後の発電性能の保持率を調べた。
上記一連の発電評価を終えた燃料電池を分解し、膜−電極接合体を取り出した。この膜−電極接合体から、ガス拡散電極を剥離して電解質膜を回収した。こ電解質膜の発電試験後の分子量保持率を測定し、発電耐久性の指標とした。
発電耐久試験前後の特性評価における、電流密度0.3/cm2時の電圧の比較および、電解質膜の分析結果を表2にまとめた。
攪拌機、冷却管を備えた3Lの三口フラスコに、クロロスルホン酸(233.0g、2mol)を加え、続いて2,5−ジクロロベンゾフェノン(100.4g、400mmol)を加え、100℃のオイルバスで8時間反応させた。所定時間後、反応液を砕氷(1000g)にゆっくりと注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、淡黄色の粗結晶(3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸クロリド)を得た。粗結晶は精製せず次工程に用いた。
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル49.4g(0.29mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン88.4g(0.26mol)、炭酸カリウム47.3g(0.34mol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346ml、トルエン173mlを加えて攪拌した。フラスコをオイルバスにつけ、150℃に加熱還流させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を徐々に上げながら大部分のトルエンを除去した後、200℃で3時間反応を続けた。次に、2,6−ジクロロベンゾニトリル12.3g(0.072mol)を加え、さらに5時間反応した。
得られた目的の化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は7300であった。
撹拌機、温度計、窒素導入管を接続した1L3つ口フラスコに、合成例1で得られた3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例2で合成した化合物 15.2g(1.9mmol)、ニッケルジクロリド0.65g(5.0mmol)、亜リン酸トリオルトトリル17.6g(50.0mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム1.9g(5.0mmol)、亜鉛19.6g(300mmol)を加え、十分に窒素置換した後、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)175mLを加えた。
撹拌機、温度計、窒素導入管を接続した1L3つ口フラスコに、合成例1で得られた3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例2で合成した化合物 15.2g(1.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.62g(4.0mmol)、トリフェニルホスフィン2.62g(10.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3.0mmol)、亜鉛15.7g(240.5mmol)を加え、十分に窒素置換した後、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)175mLを加えた。
実施例2と同様に反応を行った後、イオン交換水4Lに攪拌しながらポリマーが微粒子状に凝固するように注いだ。凝固ポリマーを濾集し、圧搾して水分を除いた後、アセトン2L中で30分攪拌洗浄した。このアセトンでの洗浄を3回繰り返した。濾過回収したポリマーを1N硫酸2Lで攪拌しながら洗浄し、次いで洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で繰り返し洗浄を行った。濾過回収したポリマーを80℃で一晩乾燥し、目的のポリアリーレン系共重合体39.5gを得た。この脱保護後のポリアリーレン系共重合体の分子量は、Mn=72000、Mw=210000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。また、このポリマー中の残留金属量を蛍光X線解析により分析したところ、Na、Mg、K、Ca等アルカリ金属類、Fe、Ni、Cr、Zn、Cu等重金属類のいずれも20ppm未満、その他としてPが80ppm、Clが80ppmであった。
実施例2と同様な条件で重合反応を行い、反応停止剤としてメタノール15mlを重合溶液に添加した後、重合反応溶液をDMAc 195mLで希釈し、セライトを濾過助剤に用い濾過した。この濾液を撹拌機、温度計、ジムロート、窒素導入管を接続した別の1L3つ口フラスコに移し、臭化リチウム25.6g(294mmol)を加え、内温120℃〜130℃で5時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、実施例2と同様に精製を行い、目的のポリアリーレン系共重合体38.0gを得た。この脱保護後のポリアリーレン系共重合体の分子量は、Mn=56000、Mw=180000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。また、このポリマー中の残留金属量を蛍光X線解析により分析したところ、Na、Mg、K、Ca等アルカリ金属類、Fe、Ni、Cr、Zn、Cu等重金属類のいずれも20ppm未満、その他としてPが82ppm、Clが94ppmであった。
撹拌機、温度計、窒素導入管を接続した1L3つ口フラスコに、合成例1で得られた3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル 39.4g(98.2mmol)と、合成例2で合成した化合物 15.2g(1.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.62g(4.0mmol)、トリフェニルホスフィン10.5g(40.1mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3.0mmol)、亜鉛15.7g(240.5mmol)を加え、十分に窒素置換した後、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)175mLを加えた。以下、実施例1と同様に反応、処理を行い、目的のポリアリーレン系共重合体38.8gを得た。この脱保護後のポリアリーレン系共重合体の分子量は、Mn=65000、Mw=197000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.30meq/gであった。また、このポリマー中の残留金属量を蛍光X線解析により分析したところ、Na、Mg、K、Ca等アルカリ金属類、Fe、Ni、Cr、Zn、Cu等重金属類のいずれも20ppm未満、その他としてPが150ppm、Clが160ppmであった。
Claims (6)
- スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むポリアリーレン系共重合体を含有する高分子電解質膜であって、蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量が150ppm以下であることを特徴とする高分子電解質膜。
- 前記スルホン酸基を有する構成単位が、下記式(1)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の高分子電解質膜。
- 前記縮合芳香族環構造を有する構成単位が、下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高分子電解質膜。
なお、構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。) - 請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質膜と、触媒層と、ガス拡散層とを備えてなる膜−電極接合体。
- 請求項4に記載の膜−電極接合体を有する、固体高分子電解質型燃料電池。
- スルホン酸基を有する構成単位および縮合芳香族環構造を有する構成単位を含むポリアリーレン系共重合体であって、蛍光X線解析法により測定した第15族原子(ただし、窒素原子を除く。)の含有量が120ppm以下であることを特徴とするポリアリーレン系共重合体。
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