JP4821320B2 - 電気化学キャパシタ - Google Patents

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Description

本発明は、新規な電気化学キャパシタに関する。さらに詳しくは、腐食が発生することなくかつ低抵抗で出力密度の大きい、低温での温度特性の良好な新規な電気化学キャパシタ(特に、レドックスキャパシタ)に関する。
近年エネルギー貯蔵デバイスとして大容量キャパシタ技術が注目されている。大容量キャパシタは、主に電極/電解質の界面に生ずる電気二重層を蓄電に利用する電気二重層キャパシタと、金属酸化物や導電性高分子を電極として使用し、電極表面の酸化還元反応(
擬似電気二重層容量)を利用するレドックスキャパシタからなり、これらを総称して電気
化学キャパシタと呼ばれることが多い。
これらのうち、金属酸化物を利用するレドックスキャパシタはエネルギー密度が高く、例えば金属酸化物として酸化ルテニウム水和物を用い、電解質として硫酸水溶液を使用したものは、電気二重層キャパシタの数倍のエネルギー密度を有するものが得られることが知られている。
金属酸化物を電極に用いる電気化学キャパシタは大きな容量が得られるが、一方で電解液に高濃度の硫酸水溶液を使用する場合、腐食対策が必要である。従来活性炭を電極とし、高濃度硫酸水溶液を電解液として用いる電気二重層キャパシタが良く知られているが、この場合集電体としてゴムと導電性カーボンとの複合材を用いる方法が広く用いられている。この種の複合材は腐食対策としては有効なものの、金属に比べ抵抗が大きく充放電時の抵抗損失を発生するため大きな入出力密度を得ることが困難な問題があった。一方電極材である金属酸化物を容量の大きな電極として形成するためには、結着材が必要である。通常用いられる結着材としてはテフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン、ゴム系エマルジョン等が知られているがこれらの材料はプロトン導電性を有さないため、上記と同様に充放電時の抵抗損失を発生させる大きな要因となっている。またプロトン伝導性を有するパーフルオロアルキレンスルホン酸系高分子化合物(商品名;ナフィオン)を結着材として用いる試みも行われているが、パーフルオロ系アイオノマーは電極材の結着作用が弱く、集電体となる金属やカーボンと界面で剥離し易く接合が困難な問題がある。
またキャパシタの重要な特性として広い作動温度域を有することが重要であるが、特に電解質イオンの移動度低下が生じやすい低温での特性向上が重要である。
たとえば、パーフルオロアルキレンスルホン酸系高分子化合物(商品名;ナフィオン)を電解質膜として用いた場合の低温特性の改良が試みられており(J. Power Sources, 36(1991)341-361、非特許文献1)、酸水溶液やエチレングリコール水溶液による処理が行われ
ているが、酸水溶液では改良効果は認められるが、新たに酸腐食の問題が懸念され、またその他の処理では大きな改良効果は認められていない。
また、電解質層としては、濃硫酸水溶液に代わりうる高いプロトン伝導性を有し、電極との電気的接合も良好で腐食のおそれの無い材料が必要とされていた。
J. Power Sources, 36(1991)341-361
本発明の課題は、前述のような耐腐食性、入出力特性、温度特性に対する問題点を解決して、優れた蓄電性能を備える電気化学キャパシタを提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明者らは、硫酸水溶液を用いたキャパシタに代わるキャパシタについて鋭意検討した結果、特定のスルホン酸基含有ポリアリーレンを特定の含水状態で電解質層として用いるか、あるいは、同ポリマーを電極用の結着材として用いると、該ポリアリーレンに水が拘束されて、0℃以下でも凍結することが少なくなることを見出した。
そして、このような特定のスルホン酸基含有ポリアリーレンを含む電解質層または電極用の結着材として用いた電気化学キャパシタは、耐腐食性に優れ、入出力特性に優れるとともに、広範な温度、特に低温での温度特性にも優れる、高容量キャパシタとなることを見出した。
すなわち、本発明の構成は以下のとおりである。
(1)1対の、金属集電体と接続した金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着
材を含む電極層と、
両電極層に挟持された高分子電解質膜とを備える膜−電極−集電体よりなる構造体を有する電気化学キャパシタにおいて、
前記高分子結着材および高分子電解質膜は−30℃〜0℃に融解点を有する水分を保持し、
前記プロトン伝導性を有する高分子結着材および/または高分子電解質膜は、
下記一般式(A)で表される構造単位、および下記一般式(B)で表される構造単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレン;
Figure 0004821320
(式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(
CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Ar
は−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を
有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
Figure 0004821320
(式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10
の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲ
ン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−
からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、
アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
を含む電気化学キャパシタ。
(2)上記金属集電体が厚さ10〜100μmのチタンないしステンレスよりなる(1)の電気化学キャパシタ。
(3)上記電極層中のプロトン伝導性結着材の含有量が、金属酸化物100重量部に対しプ
ロトン伝導性結着材が2.5重量部以上50重量部以下である(1)の電気化学キャパシタ。
(4)上記スルホン酸基を有するポリアリーレンが、スルホン酸基を0.3〜5meq/g
の範囲で含有するポリアリーレンである(1)〜(3)の電気化学キャパシタ。
(5)金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着材を含む電極層と、
両電極層に挟持された高分子電解質膜の乾燥重量(高分子結着材と高分子電解質膜の合計)100重量部に対し、0.5〜50重量部の含水量を有する(1)〜(4)の電気化学キャパシタ。
本発明によれば、耐腐食性、出力特性、低温での温度特性に優れた良好な蓄電性能を示す電気化学キャパシタを提供することができる。
以下、本発明に係る電気化学キャパシタについて具体的に説明する。
まず本発明に係る電気化学キャパシタの膜−電極構造体に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンについて具体的に説明する。
(スルホン酸基を有するポリアリーレン)
まず本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンについて具体的に説明する。本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、下記一般式(A)で表されるスルホン酸基を有する構造単位と、下記一般式(B)で表されるスルホン酸基を有さない構造単位とを含むことが特徴であり、下記一般式(C)で表される重合体である。
<スルホン酸ユニット>
Figure 0004821320
一般式(A)において、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO
−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO2−が好ましい。
Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、
−O−が好ましい。
Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置
換基(pは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。
芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。−SO3
Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基(pは1〜1
2の整数を示す)は、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基であ
る場合には2個以上置換していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有す
るフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
を有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
<疎水性ユニット>
Figure 0004821320
一般式(B)において、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO
−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、
−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ここで、−CR’2−で表される構造の具体的な例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、などが挙げられる。これらのうち、直接結合または、−CO−、−SO2−、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族
炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリ
デン基、−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
s、tは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
s、tの値と、A、B、D、R1〜R16の構造についての好ましい組み合わせとしては

(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基で
あり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、
Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構
造が挙げられる。
<ポリマー構造>
Figure 0004821320
一般式(C)において、A、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよびR1
〜R16は、それぞれ上記一般式(A)および(B)中のA、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよびR1〜R16と同義である。x、yはx+y=100モル%とした場
合のモル比を示す。
本発明で用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、式(A)で表される構造単位すなわちxのユニットを0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(B)で表される構造単位すなわちyのユニットを99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
<ポリマーの製造方法>
スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
(B法)例えば、特開2001−342241に記載の方法で、上記一般式(A)で表される骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(
B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、この重
合体をスルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
(C法)一般式(A)において、Arが−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−60625号公報に記載の方法で、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(A法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーの具体的な例として、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
(B法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
たとえば、以下に示す化合物が例示される。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
Figure 0004821320
Figure 0004821320
Figure 0004821320
また、スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しない化合物の具体例としては、下記の様な化合物が挙げられる。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
また、いずれの方法においても用いられる、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの具体的な例として、
r=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−
クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフ
ェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物にお
いて塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
r=1の場合、例えば特開2003−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
r≧2の場合、例えば特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346146号公報、特開2005−112985号公報、特開2005−112985号公報、特願2004−211739、特願2004−211
740に記載の化合物を挙げることができる。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
Figure 0004821320
スルホン酸基を有するポリアリーレンを得るためは、まず、これらの、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、前駆体のポリアリーレンを得ることが必要である。この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金
属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩
を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩
」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体的な例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物を挙げることができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、この前駆体のポリアリーレンを、スルホン酸基を有するポリアリーレンに変換して得ることができる。この方法としては、下記の3通りの方法がある。
(A法)前駆体のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを、特開2004−137444号公報に記載の方法で脱エステル化する方法。
(B法)前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
(C法)前駆体のポリアリーレンに、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。
上記のような方法により製造される、一般式(C)のスルホン酸基を有するポリアリーレンの、イオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く、また発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下し充放電特性の低下を招くことがある。
このようなスルホン酸基を有するポリアリーレンは、吸水させたときに、融解温度−30〜0℃の水分を有するものである。通常、水は0℃で凍結するが、上記ポリアリーレンは、スルホン酸基を有しているので、吸水させると水がスルホン酸基と強く相互作用して、0℃以下の温度でも凍結しにくくなる(つまり凝固点降下)。このように、単に吸着しているだけではなく、スルホン酸基と強く相互作用している水を半束縛水という。
上記のイオン交換容量は、例えば一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
このようにして得られるスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
(電気化学キャパシタ)
本発明に係る電気化学キャパシタは、
1対の、金属集電体に固定された金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着材を含む電極層と、
両電極層に挟持された高分子電解質膜とを備える膜−電極−集電体を有するものであり、
前記プロトン伝導性を有する高分子結着材および高分子電解質膜もしくはいずれか一方として、前記したスルホン酸基を有するポリアリーレンを含むものであり、膜−電極中に融解温度−30〜0℃の水分を有するものである。
本発明で使用される高分子電解質膜としては、プロトン伝導性を有するものが使用され
、通常上記したポリアリーレンが使用される。なお、後述する高分子結着材として、上記スルホン酸基を有するポリアリーレンを使用する場合、高分子電解質膜として前記ポリアリーレン以外のものを使用することも可能である、
前記スルホン酸基を有するポリアリーレン以外に使用可能なプロトン伝導性材料としては、従来より用いられていたNafion、Flemion、Aciplexに代表されるパーフルオロカーボン重合体、ポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子に、スルホン酸基またはリン酸基を導入したポリマーなどの有機系ポリマーが挙げられる。これをまとめて酸性プロトン伝導性物質ということもある。
本発明に使用される電極は、金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着材を含んでいる。
本発明に使用される金属酸化物としては、レドックスキャパシタに使用される金属酸化物であれば、貴金属酸化物、非金属酸化物のいずれも使用することができる。
貴金属酸化物としては、RuO2、IrO2、RuO2とIrO2の複合物、RuO2とTiO2の複合物、RuO2とZrO2の複合物、RuO2とNb25の複合物、RuO2とSnO2の複合物
、ルテニウムとバナジウムの複合酸化物、ルテニウムとモリブデンの複合酸化物、ルテニウムとカルシウムの複合酸化物等を挙げることができる。
非貴金属酸化物系としてNiO、WO3、Co34、MoO3、TiO2、Fe34等を挙げることができる。
さらに金属酸化物は、水和物であってもよく、具体的には、RuO2・nH2O、(Ru+
Ir)OX・nH2O、Ru(1-y)Cry2・nH2O、MnO2・nH2O、V25・nH2O、NiO・nH2O等を挙げることができる。
これらの金属酸化物のうち、高容量が得られることから非結晶性の水和金属酸化物系が好ましく、特に非結晶性のRuO2・nH2Oおよび(Ru+Ir)Ox・nH2Oが好ましい。
金属酸化物の電子伝導性を増強するために、カーボンブラックやグラファイト等の導電性付与剤を同時に加えてもよい。
金属酸化物は通常粒子状のものが使用され、好適には0.01〜5μmのものが望ましい。プロトン伝導性を有する高分子結着材としては、本発明で電解質層に使用される上述したスルホン酸基を有するポリアリーレンを用いる。
電解質層に前記したスルホン酸基を有するポリアリーレンを使用する場合、結着材は必ずしも前記したスルホン酸基を有するポリアリーレンではなくともよい。スルホン酸基を有するポリアリーレン以外の結着材としては、たとえば、前記した酸性プロトン伝導性物質を用いることができる。
なお、好適には、結着材および電解質膜の双方とも上記スルホン酸基を有するポリアリーレンを用いることが望ましい。
プロトン伝導性を有する電解質膜および/または高分子結着材を用いることにより、電極と電解質の界面における水素イオンの交換反応が円滑に進み良好な蓄電特性が得られる。
また本発明に用いられる高分子結着材は電極材への添加量が少量であっても電極粒子間の良好な結着性が確保できるため、良好なプロトン伝導性と同時に良好な電子伝導性も得られるため、高エネルギー密度の良好な充放電性能が得られる。
更に本発明の高分子結着材の使用により集電体となる金属との良好な接着性が確保できるため、集電体−電極界面での抵抗損失も最小限に抑えることができる。
電極中に含まれる高分子結着材の量は、金属酸化物に対して2.5〜50重量%、好適には5〜25重量%の範囲にあることが望ましい。前記範囲の下限未満では集電体金属との接着性が低下することがあり、上限を超えた場合、電極粒子間の電子伝導性が低下するため、充放電特性の低下を招くことがある。
また本発明の結着材の分子量として、重量平均分子量で1万以上100万以下、さらに
は10000〜200000であることが望ましい。
本発明の集電体で使用される金属として、チタン、ニッケル、ステンレス、ニオブ等を挙げることができる。これらの中でサイクル特性、経時変化等の安定性からチタン、ステンレス、ニオブが好ましく、集電体への加工性、コスト等の観点からチタン、ステンレスが特に好ましい。
本発明に用いられる集電体の金属の厚みとして5〜100μm程度のものを用いることができる。
本発明の電極−集電体の接合体は、高分子結着材と金属酸化物粒子を、揮発性溶媒に分散または溶解させてペースト状としたのち、たとえばポリエステルフィルムなどの剥離性の高い基材表面に、塗布・乾燥したのち、基材を剥離させ、集電体に重ねて熱プレスを行うことにより電極−集電体の接合体を作製することができる。更に集電体の表面に、ペーストを直接、塗布乾燥させることで、電極−集電体の接合体を作製することもできる。
得られた電極−集電体の接合体に更に熱ロール圧延等の処理を行い電極の圧縮処理を行っても良い。
本発明では、上記電極−集電体の接合体と高分子電解質膜との構造体が使用される。
高分子電解質膜は、上述した酸性プロトン伝導性物質を溶剤に溶解して溶液とした後、必要に応じて添加剤を加え混合もしくは溶解させキャスティングにより基体上に流延し、フィルム状に成形する方法(キャスティング法)などにより、フィルム状に成形して製造される。
基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムア
ミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
メチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)などの非プロトン系極性溶剤が挙げられ、特に溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。非プロトン系極性溶剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、溶媒として上記した非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いてもよい。アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどが挙
げられ、特にメタノールが幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好ましい。アルコールは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子電解質膜を調製する際には、酸性イオン伝導性成分を含有する高分子化合物、上記溶媒以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
また、高分子電解質膜を調製する際には、酸性イオン伝導性成分を含有する高分子化合物、上記溶媒および有機酸以外に、ポリマー中の酸性イオン伝導性成分と相互作用する添加剤を併用してもよい。スルホン酸基を有するポリアリーレンを含有する溶液に加える添加剤は、スルホン酸基を有するポリアリーレンに対して酸―塩基相互作用、すなわち塩形成可能であり、水もしくは極性溶媒に可溶な有機もしくは無機化合物が選択される。
また、スルホン酸基を有するポリアリーレンを溶剤に溶解して溶液を直接電極表面に塗布し乾燥して高分子電解質膜を形成してもよい。
高分子電解質膜の膜厚としては、キャパシタの容量、大きさ、出力などにより適宜選択されるが、通常15〜150μm程度であればよい。
得られた高分子電解質膜と電極−集電体の接合体とは、キャパシタとして使用する際に、高分子電解質膜と1対の電極−集電体の接合体で挟持し、熱プレスや熱圧延により電解質膜と電極界面を接合して、膜−電極−集電体の構造体が形成される。得られた膜−電極−集電体の構造体を水に浸漬して含水させる。
前記したスルホン基を有するポリアリーレンを電解質膜および/または電極の結着材に使用することにより、含水時に−30℃〜0℃の融解温度を有する水分を多く含有させることができる。その理由は明確ではないものの通常水和性のアイオノマーではイオン基に強く結合した水和水(不凍水)の他に半束縛的で0℃以下に融解温度を持つ水、0℃に融解温度を持つ自由水が存在するものと考えられる。
このため0℃以下に融解温度を有する水分が含まれていると、低温での特性低下を極めて小さくすることが可能となる。
本発明に係るプロトン伝導膜は、通常含水された状態で使用される。本発明において金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着材を含む電極層と両電極層に挟持された高分子電解質膜の乾燥重量(高分子結着材と高分子電解質膜の合計)100部に対し、0.5〜50重量部、好ましくは1.5〜20重量部の含水量を有することが望ましい。含水量が少ないものは低温特性の低下が大きく、多すぎると室温以上でのサイクル特性が低下することがある。含水量は得られた接合体の含水時間、水温、ポリアリーレン中のスルホン酸基の量等で制御することができる。
含水方法としては、特に制限されるものではないが、電解質膜および/または結着材を含む電極を、浸水させればよい。浸水時の温度としては特に制限されるものではないが、通常20〜95℃の温度で、0.5〜60分間浸水させておくことが望ましい。
含水した該構造体は、所定のキャパシタ缶内に収容されて、電気化学キャパシタとして使用される。必要に応じて、該構造体は2層以上の積層体としてもよく、また、膜-電極
構造体を巻回させて収容させても良い。2層以上に積層したり、巻回体を使用すれば、容量を増大させることが可能となる。また、積層体とする際に、隣り合う集電体を共用して、1枚の集電体の表裏に電極を形成する構造にしても良い。
また該構造体を形成する際に予め電解質膜ないし電極−集電体の接合体を含水させた後熱プレス等により電解質膜と電極界面を接合して、膜−電極−集電体の構造体を形成させてもよい。
なお、上記のように、高分子結着材および高分子電解質膜の双方に上記ポリアリーレンが含まれていてもよく、双方に含まれていても良い。
次に、添付の図面を参照しながら本発明に係る電気化学キャパシタについて説明する。
図1は電気化学キャパシタに用いる膜−電極−集電体構造体の一構成例を示す概略断面図である。
電気化学キャパシタは、例えば図1に示す構成の膜−電極−集電体構造体を備えている。
前記膜−電極−集電体構造体は、正極1と負極2との間に高分子電解質膜3を有しており、正極1と負極2とは、いずれも集電体層4と、集電体層4上に形成された電極層5とを備え、電極層5側で高分子電解質膜3に接している。電極層5は、上述した金属酸化物および結着材としてプロトン伝導性ポリマーを含んでいる。
高分子電解質膜3および/または電極層5中の結着材は、上述したスルホン酸基を有するポリアリーレン膜により構成される。
また、集電体層4は金属箔からなる。従来の電気化学キャパシタでは、電解液に硫酸液が使用され、腐食される虞があるので金属箔を使用することは困難であった。しかしながら、本発明では、上記したように、特定のプロトン伝導膜を使用しているので、特定の硫酸水溶液による腐食の恐れがなく、このため従来の電気化学キャパシタのような導電性カーボンとゴムの複合物等の特殊で低抵抗の材料を用いる必要はなく、SUS、ニッケル等の金属箔の使用が可能である。
電極層5と集電体4との接合は、金属酸化物粉末と結着材となるプロトン電導性の高分子の均一に混合した電極ペーストを集電体4に直接塗工して形成するか、上述したように例えばポリエステルフィルム上にペーストを塗工し乾燥した電極を集電体の金属箔と熱プレスにより形成し、電極−集電体の接合体を形成する。
そして、高分子電解質膜3を、電極−集電体の接合体である正極1および負極2で挟持させた状態で加熱プレスにより電極−電解質膜界面を接合させ構造体が形成される。然る後、該構造体をイオン交換水等の純水中に浸漬させ、該構造体を含水させる。該構造体を含水させて後、外装ケースである封止缶8にセットされ、必要に応じて、波形バネ9によって固定され、封口することにより、電気化学キャパシタが形成される。
封止缶の材質は、硫酸による腐食を考慮する必要がないのでSUSを使用することができる。
外装ケースは、キャパシタの形状に応じて、図1に示すボタン形状のほかに、円筒型、角型など、種々の形状を採用することが可能である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例において、スルホン酸当量、分子量およびプロトン伝導度は以下のようにして求めた。
1.スルホン酸当量
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量の重合体を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有しないポリアリーレン重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸
基を有するポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.プロトン伝導度の測定
交流抵抗は、5mm幅の短冊状の高分子電解質膜試料の表面に、白金線(f=0.5m
m)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定か
ら求めた。具体的な条件としては、25℃、60℃、相対湿度80%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。
抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
4.キャパシタ中の−30℃〜0℃に融解温度を示す水分量の測定
同一条件で2個の試験用の構造体を作成し、1個をSUS製の封止缶に封止し電気特性の評価を行った。残りの1個で水分量の評価を行った。
含水操作により得られた構造体を、示差走査熱量計(Thermal Analyst 2000;Dupont
Instraments製)において、5℃/minで−100℃まで降温させ、次に200℃まで
昇温させる。そのときの水の融解ピークの熱量から、−30℃〜0℃に融解温度を示す水分量を算出する。また半束縛水と自由水では融解ピークが異なるため分離評価を行った。
測定前後の重量評価から水和水(不凍水)の量を計算し、全体の含水量とそれぞれの水の比率を求めた。
[合成例1]
(オリゴマーの調製)
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4'−ジクロロベンゾフェノン(4,4'−DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(
0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は11,200であった。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホラン
などに可溶で、Tgは110℃、熱分解温度は498℃であった。
得られた化合物は式(I)で表されるオリゴマー(以下、「BCPAFオリゴマー」とい
う)であった。
Figure 0004821320
[合成例2]
(ネオペンチル基を保護基としたポリアリーレン共重合体(PolyAB−SO3 neo-Pe)の調製)
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた500mLの三つ口のフラスコに、4−[4−(2,5−ジクロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゼ
ンスルホン酸neo-ペンチル(A−SO3 neo-Pe)39.58g(98.64ミリモル)と合成例1で合成した、BCPAFオリゴマー(Mn=11200)15.23g(0.136
ミリモル)、Ni(PPh3)2Cl2 1.67g(0.26ミリモル)、PPh3 10.49
g(4.00ミリモル)、NaI 0.45g(0.30ミリモル)、亜鉛末 15.69g(
24.0ミリモル)、乾燥NMP 129mLを窒素下で加えた。反応系を攪拌下に加熱し(最終的には75℃まで加温)、3時間反応させた。重合反応液をTHF 250mLで希
釈し、30分攪拌し、セライトをろ過助剤に用い、ろ過紙、ろ液を大過剰のメタノール1500mLに注ぎ、凝固させた。凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞ
れ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた
。風乾後、加熱乾燥により目的の黄色繊維状のネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体(PolyAB-SO3neo-Pe)47.0g(収率92%)を得た。GPCによる分子量はMn=47,600、Mw=159,000であった。
こうして得られたPolyAB-SO3neo-Pe 5.1gをNMP60mLに溶解し、90℃に加
温した。反応系にメタノール50mLと濃塩酸8mLの混合物を一時に加えた。懸濁状態となりながら、温和の還流条件で10時間反応させた。蒸留装置を設置し、過剰のメタノールを溜去させ、淡緑色の透明溶液を得た。この溶液を大量の水/メタノール(1:1重
量比)中に注いで、ポリマーを凝固させた後、洗浄水のPHが6以上となるまで、イオン
交換水でポリマーを洗浄した。こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホン酸エステル基(−SO3R)は定量的にスルホン酸基(−SO3H)に転換していることがわかった。
得られたスルホン酸基を有するポリアリーレン共重合体のGPCによる分子量は、Mn=53,200、Mw=185,000であり、スルホン酸等量は2.2meq/gであった。
〔合成例3〕疎水性ユニットの合成
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル48.8g(284mmol)、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン89.5g(266mmol)、炭酸カリウム47.8g(346mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346mL、トルエン173mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル9.2g(53mmol)を加え、さらに5時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的物109gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は9,500であった。
得られた化合物は式(I)で表されるオリゴマーであることを確認した。
Figure 0004821320
〔合成例4〕スルホン化ポリマーの合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジク
ロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.2g(337mmol)、合成
例3で得られたMn9,500の疎水性ユニット48.7g(5.1mmol)、ビス(ト
リフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナト
リウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mm
ol)、亜鉛53.7g(821mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら
3時間攪拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体122gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は135,000であった。得られた重合体は式(II)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。
Figure 0004821320
得られたスルホン化ポリマーの8重量%NMP溶液をガラス板上にキャストして製膜した。風乾、真空乾燥し、乾燥膜厚40μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔合成例5〕スルホン化ポリマーの合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジク
ロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.2g(337mmol)、合成
例3で得られたMn9,500の疎水性ユニット48.7g(5.1mmol)、4-クロ
ロベンゾフェノン1.5g(6.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジ
クロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmo
l)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mmol)、亜鉛53.7g(821mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体122gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は80000であった。得られた重合体は式(II)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。
Figure 0004821320
[実施例1−6]
まず、合成例2で合成したスルホン酸基を有するポリアリーレンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、キャスト法により乾燥膜厚40μmの高分子電解質膜を調製した。該高分子電解質膜のプロトン伝導度を25℃、100%RH下で測定したところ3.8×10-1S/cmの伝導度が得られた。
次に、二酸化ルテニウム水和物(アルドリッチ)粒子と、合成例5で合成したスルホン酸基を有するポリアリーレンをN-メチル-2-ピロリドンに溶解してなるイオン伝導性高分子
バインダーとを、粒子:バインダー=1:0.15の重量比で均一に混合して電極ペース
トを調製した。
次に、前記電極ペーストを5mg/cm2の二酸化ルテニウム水和物量となるように厚さ20
μmのチタン箔上にブレードコーターにて塗工し、60℃で10分間乾燥した後、100℃で減圧乾燥することにより二酸化ルテニウム水和物層を備える電極−集電体接合体を形成した。
次に、前記高分子電解質膜を8mm径に打ち抜き、電解質膜−電極接合体用の電解質膜を得た。
次に、正極、負極の電極−集電体接合体に高分子電解質膜が挟持された状態でテフロン(登録商標)フィルムに包み、170℃、5kg/cm2のプレス条件で5分間加圧し、電解質膜−電極界面が接合された構造体を得た。該構造体は同一条件で12個作成(1実施例
当たり2個)した。
該構造体を、表1および2に示す所定の温度、時間で純水に浸漬し、含水処理を行った。ここで温度、時間を変えることにより含水量を変量したものを作成し各実施例とした。含水処理の後、構造体表面の余剰の水分を除去し、該構造体を前記図1に示すようなSU
S製の封止缶にセットし、かしめ装置にて封口し、電気化学キャパシタを形成した。同時に同一条件でもう1個の構造体も作成し、示査走査熱量計で水分量測定を行った。
電気化学キャパシタの性能としては、インピーダンス評価を行った。インピーダンス測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、10mVの測定電圧で1Hz〜20kHzのインピーダンスを測定し、1kHzのインピーダンスの直流成分をキャパシタのインピーダンスとして求めた。
キャパシタの放電容量の温度依存性を求めるため、(株)パワーシステム製 Model
CDT5R2-4 を用い、充放電電流を1mA/cm2の電流密度で0−1Vでの充放電
を25℃、−25℃の恒温槽中で行った。充電は定時間(2000秒)行い1mA/cm2の定電流放電により放電容量を評価した。
なお、放電容量はエネルギー換算法により求めた。また放電容量(F/g)の単位重量は
正負両極の電極材(水和酸化ルテニウム)の重量で割ったものである。特に放電容量では単極重量当たりの容量として表記される場合があるが、この場合は4倍の値となる。
結果を表1および2に示す。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
[実施例7−12]
まず、合成例4で合成したスルホン酸基を有するポリアリーレンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、キャスト法により乾燥膜厚40μmの高分子電解質膜を調製した。該高分子電解質膜のプロトン伝導度を25℃、100%RH下で測定したところ4.1×10-1S/cmの伝導度が得られた。
次に、二酸化ルテニウム水和物(アルドリッチ)粒子と、合成例5で合成したスルホン酸基を有するポリアリーレンをN-メチル-2-ピロリドンに溶解してなるイオン伝導性高分子
バインダーとを、粒子:バインダー=1:0.08の重量比で均一に混合して電極ペース
トを調製した。
次に、前記電極ペーストを5mg/cm2の二酸化ルテニウム水和物量となるように厚さ20
μmのチタン箔上にブレードコーターにて塗工し、60℃で10分間乾燥した後、100℃で減圧乾燥することにより二酸化ルテニウム水和物層を備える電極−集電体接合体を形成した。
次に、前記高分子電解質膜を8mm径に打ち抜きこれを60℃の純水に10分間浸漬し可塑化処理を行った、電極−集電体接合体も同様に正極用、負極用にそれぞれ8mm径に打ち抜き25℃の純水中で30分間浸漬し可塑化処理を行った。
次にこれらの可塑化処理を行った、正極、負極の電極−集電体接合体及び高分子電解質膜を、正極、負極の電極−集電体接合体に高分子電解質膜が挟持された状態でテフロン(登録商標)フィルムに包み、170℃、5kg/cm2のプレス条件で5分間加圧し、電解質膜−電極界面が接合された構造体を得た。該構造体は同一条件で12個作成(1実施例当
たり2個)した。
該構造体を表3および4に示す所定の温度、時間で純水に浸漬し、含水処理を行った。ここで温度、時間を変えることにより含水量を変量したものを作成し各実施例とした。含水処理の後、構造体表面の余剰の水分を除去し、該構造体を前記図1に示すようなSUS製の封止缶にセットし、かしめ装置にて封口し、電気化学キャパシタを形成した。同時に同一条件でもう1個の構造体も作成し、示査走査熱量計で水分量測定を行った。
電気化学キャパシタの性能としては、インピーダンス評価、キャパシタの放電容量の温度依存性を前記実施例1〜6と同様にして行った。
結果を表3および4に示す
Figure 0004821320
Figure 0004821320
[合成例6]
(スルホン化ポリエーテルエーテルケトンの合成)
ビクトレックス社製のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)3.0gを濃硫酸(150mL)中に溶解させ、攪拌しながら50℃で24時間反応を行った。得られた混合物を大量の脱イオン水中に投入して、スルホン化ポリマーを沈殿させた。沈殿物を濾別し、続いて洗浄に使用した脱イオン水のpHが中性になるまで洗浄を行った後、乾燥してスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを合成した。得られた重合体のイオン交換容量は2.2meq/gであった。
[合成例7]
(スルホプロピル化ポリ1,4-ビフェニレンエーテルエーテルスルホンの合成)
乾燥した6gのポリ1,4-ビフェニレンエーテルエーテルスルホンと、脱水したクロ
ロホルム150mlをオートクレーブに投入し、60℃で約2時間保持し、ポリマーを溶解させた。次いで、この溶液に、プロパンスルトン5.7g(0.047mol)を加えた。この溶液に、攪拌しながら無水塩化アルミニウムを約1時間かけて加えた。無水塩化アルミニウムを添加後、24時間、130℃で攪拌を行った。析出したポリマーをろ過し、クロロホルム約150mLで洗浄後、減圧乾燥した。乾燥後のポリマーを水約300mLに懸濁させ、ミキサーで激しく攪拌させながら、洗浄、ろ過を5回繰り返した。洗浄、ろ過後の重合体を、減圧下、90℃で乾燥を行った。得られたスルホプロピル化ポリ1,4-
ビフェニレンエーテルエーテルスルホンのイオン交換容量は1.9meq/gであった。
[比較例5−8]
合成例6で得られたスルホン化ポリエーテルエーテルケトンの15重量%NMP溶液を、ガラス板上にキャストして製膜した後、風乾、真空乾燥し、乾燥膜厚40μmのプロトン伝導膜を得た。このスルホン酸基を有するポリエーテルエーテルケトンからなる高分子電解質膜のプロトン伝導度を25℃、100%RH下で測定したところ1.0×10-1S/cmの伝導度であった。
酸化ルテニウム水和物(アルドリッチ)粒子と、合成例6で合成したスルホン酸基を有するポリエーテルエーテルケトンをN-メチル-2-ピロリドンに溶解してなるイオン伝導性高分子バインダーとを、粒子:バインダー=1:0.15の重量比で均一に混合して電極ペーストを調製した。
次に、前記電極ペーストを5mg/cm2の二酸化ルテニウム水和物量となるように厚さ20
μmのチタン箔上にブレードコーターにて塗工し、60℃で10分間乾燥した後、100℃で減圧乾燥することにより二酸化ルテニウム水和物層を備える電極−集電体接合体を形成した。
次に、前記高分子電解質膜を8mm径に打ち抜いた。電極−集電体接合体も同様に正極用、負極用にそれぞれ8mm径に打ち抜いた。
次に、正極、負極の電極−集電体接合体に高分子電解質膜が挟持された状態でテフロン(登録商標)フィルムに包み、260℃、10kg/cm2のプレス条件で3分間加圧し、電解質膜−電極界面が接合された構造体を得た。該構造体は同一条件で8個作成(1実施
例当たり2個)した。
該構造体を表5および6に記載の所定の温度、時間で純水に浸漬し、含水処理を行った
。ここで温度、時間を変えることにより含水量を変量したものを作成し各実施例とした。含水処理の後、構造体表面の余剰の水分を除去し、該構造体を前記図1に示すようなSUS製の封止缶にセットし、かしめ装置にて封口し、電気化学キャパシタを形成した。同時に同一条件でもう1個の構造体も作成し、示査走査熱量計で水分量測定を行った。
電気化学キャパシタの性能としては、実施例1〜6と同様に、キャパシタの放電容量の温度依存性を前記実施例1〜6と同様にして行った。
結果を表5および6に示す。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
比較例9−12
合成例7で得られたスルホプロピル化ポリ1,4-ビフェニレンエーテルエーテルスル
ホンをN,N-ジメチルホルムアミドーシクロヘキサノンーメチルエチルケトン混合溶媒
(容積比20:80:25)に溶解し、ガラス板上にキャストして製膜した後、風乾、真空乾燥し、乾燥膜厚40μmのプロトン伝導膜を得た。このスルホン酸基を有するスルホプロピル化ポリ1,4-ビフェニレンエーテルエーテルスルホン高分子電解質膜のプロト
ン伝導度を25℃、100%RH下で測定したところ0.9×10-1S/cmの伝導度であ
った。
次に、二酸化ルテニウム水和物(アルドリッチ)粒子と、合成例2で合成したスルホン酸基を有するスルホプロピル化ポリ1,4-ビフェニレンエーテルエーテルスルホン高分
子電解質をN-メチル-2-ピロリドンに溶解してなるイオン伝導性高分子バインダーとを、
粒子:バインダー=1:0.15の重量比で均一に混合して電極ペーストを調製した。
次に、前記電極ペーストを5mg/cm2の二酸化ルテニウム水和物量となるように暑さ15
μmのステンレス箔上にブレードコーターにて塗工し、60℃で10分間乾燥した後、100℃で減圧乾燥することにより二酸化ルテニウム水和物層を備える電極−集電体接合体を形成した。
次に、前記高分子電解質膜を8mm径に打ち抜いた。電極−集電体接合体も同様に正極用、負極用にそれぞれ8mm径に打ち抜いた。
次に、正極、負極の電極−集電体接合体に高分子電解質膜が挟持された状態でテフロン(登録商標)フィルムに包み、200℃、10kg/cm2のプレス条件で5分間加圧し、電解質膜−電極界面が接合された構造体を得た。該構造体は同一条件で8個作成(1実施
例当たり2個)した。該構造体を所定の温度、時間で純水に浸漬し、含水処理を行った。
ここで表7および表8の条件で温度、時間を変えることにより含水量を変量したものを作成し各実施例とした。
含水処理の後、構造体表面の余剰の水分を除去し、該構造体を前記図1に示すようなSUS製の封止缶にセットし、かしめ装置にて封口し、電気化学キャパシタを形成した。同時に同一条件でもう1個の構造体も作成し、示査走査熱量計で水分量測定を行った。
そして、比較例5〜8と同様にして、インピーダンス評価およびキャパシタの出力性能評価を行った。結果を表7および8に示す。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
[比較例]
二酸化ルテニウム水和物(アルドリッチ)粒子と、テフロン(登録商標)ディスパージョン(ポリフロンTFE−D1(ダイキン工業製)、固形分含量;60%)とを、粒子:テフロン(登録商標)バインダー=1:0.08の重量比となるように均一に混合して電
極ペーストを調製した。
次に、前記電極ペーストを5mg/cm2の二酸化ルテニウム水和物量となるように厚さ20
μmのチタン箔上にブレードコーターにて塗工し、90℃で60分間乾燥した後、100℃で減圧乾燥を行った。その後電極とチタン箔との密着性を確保するために、150℃の圧延ロールに通すことにより二酸化ルテニウム水和物層を備える電極−集電体接合体を形成した。
次に、実施例7−12で用いた高分子電解質膜を8mm径に打ち抜いた。電極−集電体接合体も同様に正極用、負極用にそれぞれ8mm径に打ち抜いた。
次に、正極、負極の電極−集電体接合体に高分子電解質膜が挟持された状態でテフロン(登録商標)フィルムに包み、200℃、10kg/cm2のプレス条件で5分間加圧し、電解質膜−電極界面が接合された構造体を得た。該構造体は、比較例1〜4の条件で8個作成(1比較例当たり2個)した。該構造体を所定の温度、時間で純水に浸漬し、含水処理を行った。ここで温度、時間を変えることにより含水量を変量したものを作成し各比較例とした。
含水処理の後、構造体表面の余剰の水分を除去し、該構造体を前記図1に示すようなSUS製の封止缶にセットし、かしめ装置にて封口し、電気化学キャパシタを形成した。同時に同一条件でもう1個の構造体も作成し、示査走査熱量計で水分量測定を行った。
また別に電極−集電体接合体については90℃の熱水に30分浸漬させた後、示査走査熱量計で水分量測定を行い、0〜−30℃に融解点を有する水分がゼロであることを確認した。
そして、比較例5〜8と同様にして、インピーダンス評価およびキャパシタの出力性能評価を行った。結果を表9および10に示す。
Figure 0004821320
Figure 0004821320
本発明の電気化学キャパシタに用いる電極構造体の一構成例を示す説明的断面図である。
符号の説明
1 … 正極
2 … 負極
3 … 高分子電解質膜
4 … 集電体層
5 … 電極層
8 … 缶
9 … 波形バネ
10… ガスケット

Claims (5)

  1. 1対の、金属集電体と接続した金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着材を含む電極層と、
    両電極層に挟持された高分子電解質膜とを備える膜−電極−集電体よりなる構造体を有する電気化学キャパシタにおいて、
    前記高分子結着材および高分子電解質膜は−30℃〜0℃に融解点を有する水分を保持し、
    前記プロトン伝導性を有する高分子結着材および高分子電解質膜は、
    下記一般式(A)で表される構造単位、および下記一般式(B)で表される構造単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレン;
    Figure 0004821320
    (式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
    Figure 0004821320
    (式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
    を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。
  2. 上記金属集電体が厚さ10〜100μmのチタンないしステンレスよりなることを特徴とする請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
  3. 上記電極層中のプロトン伝導性結着材の含有量が、金属酸化物100重量部に対しプロトン伝導性結着材が2.5重量部以上50重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
  4. 上記スルホン酸基を有するポリアリーレンが、スルホン酸基を0.3〜5meq/gの範囲で含有するポリアリーレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学キャパシタ。
  5. 金属酸化物およびプロトン伝導性を有する高分子結着材を含む電極層と、
    両電極層に挟持された高分子電解質膜の乾燥重量(高分子結着材と高分子電解質膜の合計)100重量部に対し、0.5〜50重量部の含水量を有することを特徴とする請求項1〜4に記載の電気化学キャパシタ。
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