JP6338896B2 - 樹脂付電極層、樹脂付電極複合体及びレドックスフロー二次電池 - Google Patents

樹脂付電極層、樹脂付電極複合体及びレドックスフロー二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂付電極層、樹脂付電極複合体、及びレドックスフロー二次電池に関する。
レドックスフロー二次電池とは、電気を備蓄及び放電する電池であり、電気使用量の平準化のために使用される大型の据え置き型電池に属する。レドックスフロー二次電池は、正極と正極活物質を含む電解液(正極セル)と、負極と負極活物質を含む負極電解液(負極セル)とを、隔膜で隔離して、両活物質の酸化還元反応を利用して充放電し、該両活物質を含む電解液を、備蓄タンクから電解槽に流通させて電流を取り出し利用される。
電解液に含まれる活物質としては、例えば、鉄−クロム系、クロム−臭素系、亜鉛−臭素系や、電荷の違いを利用するバナジウム系などが用いられている。
特に、バナジウム系二次電池は起電力が高く、バナジウムイオンの電極反応が速く、副反応である水素発生量が少なく、出力が高い等の利点を有するため、開発が本格的にすすめられている。
また、隔膜は、両極の活物質を含む電解液を隔離する膜であるが、電荷を運ぶプロトン(H)は充分透過しやすいという、プロトン伝導性に優れることが要求される。さらにプロトン伝導性向上の為、隔膜を薄膜化することが検討されているが、薄膜化により、電極の繊維が隔膜に突き刺さり、隔膜に穴が開きやすくなることで、両極の活物質が混合して短絡するという問題がある。以上のことから、従来の薄膜化には限界があり、電気抵抗が高くなること、隔膜と電極との間の電気抵抗が高くなる等の問題点がある。電池の電圧効率を上げるためには、これらの電気抵抗を小さくすることが要求される。
また、レドックスフロー二次電池では、負極セル及び正極セルにおいて、活物質イオンの酸化還元反応を利用している。従って、正極セルの活物質イオンと負極セルの活物質イオンとが隔膜を透して混合すると、電流効率が低下するので、隔膜については、活物質イオンの透過量を小さくすることが要求される。
なお、電流効率(%)は、放電電気量を充電電気量で除した比率(%)で表され、両電気量は、隔膜のイオン選択透過性及びその他電流損失に依存する。電池効率は、電流効率と電圧効率との積で表される。内部抵抗すなわちセル電気抵抗率の減少は電圧効率を向上させ、電流損失の低減は、電流効率を向上させるので、レドックスフロー二次電池において、重要な指標となる。
従来のレドックスフロー二次電池として、例えば特許文献1には、イオン選択性に優れ、耐薬品性に優れた隔膜として、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂からなるイオン交換膜を使用するレドックスフロー二次電池が開示されている。
また、電池効率を向上させる目的で、特許文献2には隔膜と、炭素粒子と結着剤からなる炭素電極層とが接合されていることを特徴としたレドックスフロー二次電池が開示されている。
国際公開第2013/100079号パンフレット 特開2013−137957号公報
バナジウム系レドックスフロー二次電池は、電池効率を高く保つために70〜80mA/cmの低い電流密度条件下で運転されるのが通常であり、リチウムイオン二次電池やナトリウム硫黄二次電池と比べて出力密度が低い。そこで、最近では出力密度を高くするために、電流密度150mA/cm以上での運転が望まれている。電流密度を大きくすると、放電及び充電の電流量に対して、活物質イオンが隔膜を透過することによる電流量のロスが相対的に小さくなるので、電流効率の観点からも望ましい。
しかしながら、特許文献1に開示された電池は、液透過性で多孔質の集電体電極(正極用、負極用)を隔膜の両側にそれぞれ配置し、押圧でそれらを挟む構造を有している為、正極―隔膜、隔膜―負極の間に隙間が生じる。それは活物質イオンの反応場である電極表面と、プロトンを透過させる隔膜との間に隙間が生じる為、電気抵抗が大きくなる傾向がある。そのため、特許文献1に開示された電池は、電気抵抗を小さくするために、隔膜を薄膜化する必要があるが、隔膜を薄膜化すると、電極の繊維が薄膜に突き刺さり、隔膜に穴が開きやすく、電流密度150mA/cmでの電池効率の点で、なお改善の余地を有する。また、特許文献2に開示された電池は、隔膜と電極とが接合されているものの、炭素粒子と結着剤からなる炭素電極との液透過性が高くないため、電流密度150mA/cmにおいて、電池効率が未だ不十分である。
上記事情に鑑み、本発明は、電流密度150mA/cmにおいて、電圧効率が高く、電流効率、電池効率に優れたレドックスフロー二次電池用樹脂付電極層及び樹脂付電極複合体、及びそれらを備えたレドックスフロー二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、炭素繊維を含む多孔質な炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂層が接合されていることを特徴とする樹脂付電極層を用いることで、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂層が接合されている、樹脂付電極層。
[2]
前記イオン交換樹脂が、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を含む、[1]に記載の樹脂付電極層。
[3]
第一の電極及び第二の電極を有する樹脂付電極複合体であり、
前記第一の電極が、[1]又は[2]に記載の樹脂付電極層であり、
前記第二の電極が、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層であり、
前記樹脂付電極層のイオン交換樹脂層と前記多孔質炭素電極層とが接している、樹脂付電極複合体。
[4]
第一の電極及び第二の電極を有する樹脂付電極複合体であり、
前記第一の電極及び前記第二の電極が[1]又は[2]に記載の樹脂付電極層であり、
前記第一の電極のイオン交換樹脂層と、前記第二の電極のイオン交換樹脂層とが接している、樹脂付電極複合体。
[5]
[3]又は[4]に記載の樹脂付電極複合体と、正極セル室と、負極セル室と、を備え、
前記正極セル室が、正極活物質を含有する正極電解液を含み、
前記負極セル室が、負極活物質を含有する負極電解液を含む、レドックスフロー二次電池。
[6]
炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の上に、イオン交換樹脂組成物を塗布し、イオン交換樹脂層を形成する工程を含む、樹脂付電極層の製造方法。
本発明によれば、電流密度150mA/cmにおいても、電圧効率が高く、優れた電池効率を有する樹脂付電極層、及び樹脂付電極層を含む樹脂付電極複合体、及び樹脂付電極複合体を備えるレドックスフロー二次電池を提供することが出来る。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
(樹脂付電極層)
本実施形態の樹脂付電極層は、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂層が接合されている。ここで、「接合」とは、多孔質炭素電極層とイオン交換樹脂層とが直接外部から力を加えない状態で分離しない状態に形成することをいい、具体的には化学結合やアンカー効果や粘着力により接合された状態のことをいう。このような構成は、電圧効率、電池効率の向上の点から好ましい。
樹脂付電極層は正極又は負極のどちらか一方に用いても、正極及び負極の両方に用いてもよい。すなわち、樹脂付電極層を正極又は負極のどちらか一方に用い、他方の正極又は負極は、多孔質炭素電極層を用いることも出来る。
(多孔質炭素電極層)
本実施形態に用いる多孔質炭素電極層は、炭素繊維を含み、多孔質であれば特に限定されないが、気孔率が40〜99.5%であることが好ましく、55〜99.5%であることがより好ましく、70〜99.5%であることがさらに好ましい。気孔率は、水銀ポロシメーターなどにより測定することができる。多孔質炭素電極層としては、特に限定されないが、例えば、カーボンフェルト、カーボンペーパー、カーボンクロスが、電解液の拡散性の観点から好ましい。カーボンフェルトとは炭素繊維からなるフェルト状の不織布であり、例えばSGL社製のGFA5が好ましく用いられる。カーボンクロスとは炭素繊維を、平織、綾織、朱子織等で織った織物であり、例えばMFCテクノロジー社製のGDL10が好ましく用いられる。カーボンペーパーとは炭素繊維を圧縮してペーパー状のシートであり、例えばMFCテクノロジー社製のGDL35が好ましく用いられる。いずれも炭素繊維からなる多孔質炭素電極層の空隙内に、電解液が効率よく流れることによって、セル内部の電気抵抗を小さくすることが出来る。多孔質炭素電極層の密度は0.01〜1.0g/cmが好ましく、0.01〜0.8g/cmがより好ましく、0.01〜0.5g/cmがさらに好ましい。多孔質炭素電極層の密度が0.01g/cm以上であると、活物質イオンの透過性が良くなる傾向にあり好ましい。多孔質炭素電極層の密度が1.0g/cm以下であると、多孔質炭素電極層の表面積が大きくなりやすく、高い電流密度が得られやすくなり好ましい。
(イオン交換樹脂層)
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、イオン交換樹脂を含む層である。イオン交換樹脂層全体に対し、イオン交換樹脂を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含む。イオン交換樹脂層は、イオン交換樹脂以外に、後述するポリアゾール系化合物、ポリフェニレンスルフィド化合物等を含んでもよい。
(イオン交換樹脂)
本実施形態に用いるイオン交換樹脂としては、イオン選択透過性を有すれば特に限定されない。イオン交換樹脂としては、例えば、活物質イオン透過性が低く、優れた電流効率を得られる観点から、分子内に芳香環を有する炭化水素系高分子化合物にイオン交換基を導入したイオン交換樹脂が好ましい。上記分子内に芳香環を有する炭化水素系高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリチオエーテルエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサジノン、ポリキシリレン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセン、ポリシアノゲン、ポリナフチリジン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステル及びポリカーボネートが挙げられる。イオン交換樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
中でも、上記分子内に芳香環を有する炭化水素系高分子化合物としては、耐熱性、耐酸化性及び耐加水分解性の観点から、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリチオエーテルエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサジノン、ポリキシリレン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセン、ポリシアノゲン、ポリナフチリジン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリイミド及びポリエーテルイミドが好ましい。上記分子内に芳香環を有する炭化水素系高分子化合物の芳香族環に導入するイオン交換基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、カルボン酸基及びリン酸基が挙げられ、スルホン酸基であることが好ましい。
また、化学的安定性の観点から、イオン交換基を有するパーフルオロカーボン高分子化合物が好適である。上記イオン交換基を有するパーフルオロカーボン高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂、パーフルオロカーボンカルボン酸樹脂、パーフルオロカーボンスルホンイミド樹脂、パーフルオロカーボンスルホンアミド樹脂、パーフルオロカーボンリン酸樹脂、又はこれら樹脂のアミン塩、金属塩が挙げられる。これらの中では、プロトン透過性と、活物質イオンの低透過性とのバランスの観点から、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂が特に好ましい。
前記パーフルオロカーボン高分子化合物としては、下記式(1)で表される化学構造を有する重合体であると好ましい。
−[CFCX−[CF−CF((−O−CF−CF(CF))−O−(CFR−(CFR−(CF−X)]− ・・・(1)
式(1)中、X、X及びXはそれぞれ独立してハロゲン原子及び炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基からなる群から選択され、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。XはCOOZ、SOZ、PO又はPOである。Zは水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子もしくはカリウム原子等のアルカリ金属原子、カルシウム原子もしくはマグネシウム原子等のアルカリ土類金属原子又はアミン類(NH、NH、NH、NHR、NR)である。R、R、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基及びアレーン基からなる群から選択される。XがPOである場合、Zは同じでも異なっていてもよい。R及びRはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基及びフルオロクロロアルキル基からなる群から選択され、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。a及びgは0≦a<1、0<g≦1、a+g=1を満たす数である。また、bは0〜8の整数である。cは0又は1である。d、e及びfはそれぞれ独立して0〜6の整数である(ただし、d、e及びfは同時に0ではない)。
更には、パーフルオロカーボン高分子化合物の中でも、下記式(2)で表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂がより好ましい。
−[CFCFa−[CF−CF((−O−(CF−X)]− ・・・(2)
ここで、式(2)中、mは1〜6の整数を表し、XはSOHを表す。a及びgは0≦a<1、0<g≦1、a+g=1を満たす数である。
また、パーフルオロカーボン高分子化合物の耐久性を改善するために、パーフルオロカーボン高分子化合物の前駆体が有する不安定末端基を、安定化処理してもよい。上記前駆体が有する不安定末端基としては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸基(−COOH)、カルボン酸塩の基(−COOM;Mは塩を形成する金属原子)、カルボン酸エステル基(−COOR;Rは1価の有機基)、カーボネート基(−OCOOR;Rは1価の有機基)、アルキル基及びメチロール基(−CHOH)が挙げられる。不安定末端基は、上記重合方法や、その重合方法に用いられる開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤の種類等によって変化する。例えば、重合方法として乳化重合を選択し、連鎖移動剤を用いない場合、不安定末端基はそのほとんどがカルボン酸基となる。上記前駆体が有する不安定末端基を安定化する方法としては、特に限定されないが、例えば、前駆体をフッ素化剤で処理して不安定末端基を−CFに変換して安定化する方法、前駆体を加熱脱炭酸して不安定末端基を−CFHに変換して安定化する方法が挙げられる。
その他のイオン交換樹脂としては、特に限定されないが、例えば、特開平6−188005号公報に記載のポリスルホン系アニオン交換樹脂、特開平5−242905号公報に記載のフッ素系又はポリスルホン系イオン交換樹脂、特開平10−208767号公報に記載のピリジウム基を有するアニオン交換型とスチレン系及びジビニルベンゼンとを共重合した架橋型重合体、特開平11−260390号公報に記載のカチオン系イオン交換樹脂(フッ素系高分子又は炭化水素系高分子)や、アニオン系イオン交換樹脂(ポリスルホン系高分子等)、等が挙げられる。
(イオン交換樹脂の当量質量EW)
例えば、本実施形態の樹脂付電極層に含まれるイオン交換樹脂の当量質量EW(イオン交換基1当量あたりのイオン交換樹脂の乾燥質量グラム数)は、200〜2000(g/eq)であることが好ましく、より好ましくは300〜1100(g/eq)、更に好ましくは400〜900(g/eq)、特に好ましくは450〜750(g/eq)である。イオン交換樹脂の当量質量EWを上記範囲に調整することによって、その化学構造と相俟って、それを含むイオン交換樹脂層に優れた親水性を付与することができ、また、より低い電気抵抗、より高い親水性を有し、耐酸化性(耐ヒドロキシラジカル)やイオン選択透過性が一層向上する傾向にある。なお、本実施形態において、イオン交換樹脂の当量質量EWは後述の実施例に記載の方法で測定することができる。例えば、イオン交換樹脂がパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の場合、当量質量EWは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を塩置換し、その溶液をアルカリ溶液で逆滴定することにより測定することができる。また、前記当量質量EWは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の原料であるフッ素系モノマーの共重合比、モノマー種の選定等により調整することができる。
(パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂)
前記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の前駆体(以下、「樹脂前駆体」ともいう。)を製造した後、それを加水分解処理することにより得ることができる。例えば、下記一般式(3)又は(4)で表されるフッ化ビニルエーテル化合物と、下記一般式(5)で表されるフッ化オレフィンモノマーとの共重合体からなるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂前駆体を加水分解することにより得られる。
式(3): CF=CF−O−(CFCFXO)−A
(式(3)中、Xは、F又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示し、nは0〜5の整数を示し、Aは(CF−Wを示し、mは0〜6の整数を示し、nとmとは同時に0にならず、Wは加水分解によりSOHに転換し得る官能基を示す。)、
式(4): CF=CF−O−(CF−CFX(−O−(CF−W)又はCF=CF−O−(CF−CFX(−(CF−O−(CF−W)
(式(4)中、Xは、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示し、Pは0〜12の整数を示し、Kは1〜5の整数を示し、Lは1〜5の整数を示し(ただし、L、K、mは同時に0とならない。)、mは0〜6の整数を示し、Wは加水分解によりSOHに転換し得る官能基を示す。)
式(5): CF=CFZ
(式(5)中、Zは、H、Cl、F、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は酸素を含んでいてもよい環状パーフルオロアルキル基を示す。)
上記式(3)中の加水分解によりSOHに転換しうる官能基を示すWとしては、特に限定されないが、SOF、SOCl、SOBrが好ましい。また、上記式において、X=CF、W=SOF、Z=Fであることがより好ましい。中でも、n=0、m=1〜6の整数であり、X=CF、W=SOF、Z=Fであることが、高い親水性及び高い樹脂濃度の溶液が得られる傾向にあるため、特に好ましい。
(ポリアゾール系化合物)
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、上述したイオン交換樹脂の他に、ポリアゾール系化合物を含有するか、それに代えて/加えて、塩基性重合体(オリゴマーなどの低分子量物質を含む)を含有すると、樹脂組成物としての化学的安定性(主に耐酸化性等)が増加する傾向にあり、好ましい。これらの化合物は、樹脂組成物中で微細粒子状又は分子分散に近い形でイオンコンプレックスを部分的に作り、イオン架橋構造を形成することが好ましい。特に、イオン交換樹の当量質量EWが低い場合(例えば300〜500g/eqの場合)には、耐水性と電気抵抗、又は含水クラスター径が小さくなる傾向にあるため、イオン交換樹脂層がポリアゾール系化合物を含有するか、それに代えて/加えて、塩基性重合体(オリゴマーなどの低分子量物質を含む)を含有することが、イオン選択透過性等のバランス面の観点から好ましい。
ポリアゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、環内に窒素原子を1個以上含む複素環化合物の重合体、並びに環内に窒素原子を1個以上と酸素及び/又は硫黄を含む複素環化合物の重合体からなる群から選択される1種以上が挙げられる。複素環の構造としては、特に限定されないが、五員環であることが好ましい。
ポリアゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミダゾール系化合物、ポリベンズイミダゾール系化合物、ポリベンゾビスイミダゾール系化合物、ポリベンゾオキサゾール系化合物、ポリオキサゾール系化合物、ポリチアゾール系化合物及びポリベンゾチアゾール系化合物からなる群から選択される1種以上が挙げられる。イオン結合の形成しやすさ及び膜強度の観点からは、これらのうちポリベンズイミダゾール系化合物が好ましい。
ポリアゾール系化合物の含有量は、イオン交換樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。ポリアゾール系化合物の含有量が0.1質量部以上である場合、イオン交換樹脂層の耐酸化性や機械強度、イオン選択透過性が一層向上する傾向にあり、ポリアゾール系化合物の含有量が20質量部以下である場合、十分な膜強度が得られる傾向にある。
(ポリフェニレンスルフィド化合物)
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、電解質膜の耐酸化性やクラスター径の観点から、ポリフェニレンスルフィド化合物を更に含有することが好ましい。ポリフェニレンスルフィド化合物は、押し出し法によりイオン交換樹脂を含有する樹脂組成物に混合する方法やポリフェニレンスルフィド化合物の水性溶媒分散体を、イオン交換樹脂を含有する樹脂組成物の原液分散体に混合する方法により、添加できる。
ポリフェニレンスルフィド化合物の含有量は、イオン交換樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。ポリフェニレンスルフィド化合物の含有量が0.1質量部以上である場合、イオン交換樹脂層の耐酸化性やイオン選択透過性が一層向上する傾向にあり、ポリフェニレンスルフィド化合物の含有量が20質量部以下である場合、十分な膜強度が得られる傾向にある。
(補強材)
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、強度の観点から、補強材を有することができる。補強材としては、特に限定されず、例えば、一般的な不織布や織布、各種素材からなる多孔膜が挙げられる。前記多孔膜としては、特に限定されないが、イオン交換樹脂組成物との親和性が良好な多孔膜が好ましく、中でも、延伸されて多孔化したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系膜を利用して、これに本実施形態に用いるイオン交換樹脂組成物を実質的に隙間無く埋め込んだ補強層が、イオン交換樹脂層の強度の観点から、より好ましい。
(樹脂付電極層の製造方法)
本実施形態の樹脂付電極層の製造方法としては、特に限定されず、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層上に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂組成物を塗布し、イオン交換樹脂層を形成する工程を含む方法、イオン交換樹脂組成物の上に炭素繊維を含む多孔質炭素電極層を積層する工程を含む方法、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層とイオン交換樹脂とを加熱圧着法により圧着する工程を含む方法等が挙げられる。
中でも、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層上に、イオン交換樹脂組成物を塗布し、イオン交換樹脂層を形成する工程を含む方法が好ましい。炭素繊維を含む多孔質炭素電極層上に、イオン交換樹脂組成物を直接塗布することによって形成されたイオン交換樹脂層は、従来の隔膜と比べて薄くすることや、イオン交換樹脂層―炭素電極層間の隙間を生まないことが可能であり、電気抵抗を小さくできる観点から好ましい。更に、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の繊維表面が予めイオン交換樹脂層により覆われていることによって、電池組み立ての際に、押圧で樹脂付電極層を挟んだ場合でも、炭素電極層の繊維がイオン交換樹脂層に突き刺さりにくくなり、短絡しにくいという観点からも好ましい。塗布法としては特に制限されず、例えば、イオン交換樹脂組成物を溶媒に分散させた分散液とし、スプレーコーティング法、キャスト法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、アプリケータやブロックコーターで塗工する塗工法、凹版印刷法、凸版印刷法、平版印刷法、グラビア印刷法、及びフレキソ印刷法等の各種塗布法により塗布する方法が挙げられる。均一な塗工層を形成させる観点から、キャスト法が好ましい。
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層の厚みは、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは3〜30μmであり、更に好ましくは5〜15μmである。イオン交換樹脂層の厚みが1μm以上であると、活物質イオンの透過を抑制し、電流効率が高くなる。またイオン交換樹脂層の厚みが50μm以下であると、プロトン透過性が高くなり、電圧効率が高くなる。なお、イオン交換樹脂層の厚みは、走査型電子顕微鏡による断面観察によって測定することができる。
また、上記方法で形成されたイオン交換樹脂層は、空気中や不活性ガス雰囲気で熱処理され、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気で処理されることが好ましい。熱処理の温度はイオン交換樹脂層の強度を向上させる観点から、好ましくは130〜200℃、より好ましくは140〜180℃、更に好ましくは150〜170℃である。熱処理の時間は、イオン交換樹脂層の強度を向上させる観点から、1〜30分が好ましく、より好ましくは2〜20分であり、更に好ましくは3〜15分、特に好ましくは5〜10分程度である。
(樹脂付電極複合体)
本実施形態の樹脂付電極複合体は、第一の電極及び第二の電極を有する樹脂付電極複合体である。また、本実施形態の樹脂付電極複合体の第一の形態としては、例えば、前記第一の電極が、前述の樹脂付電極層であり、前記第二の電極が、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層であり、前記第一の樹脂付電極層のイオン交換樹脂層と、前記第二の多孔質炭素電極層とが接している形態である。
本実施形態の樹脂付電極複合体をレドックスフロー二次電池に用いることによってイオン交換樹脂層が、従来から要求される隔膜の基本物性(プロトン透過、及び活物質イオン非透過)を果たし、更に優れた電気抵抗特性を示す。優れた電気抵抗を示す理由として、前述の樹脂付電極層のイオン交換樹脂層と前記樹脂付電極層の多孔質炭素電極層とが、隙間なく密着していることによって、前記多孔質炭素電極層と前記イオン交換樹脂層との間に発生する電気抵抗が小さく、特に電流密度150mA/cm以上における電池効率に優れる。
「隙間なく」とは、多孔質炭素電極層とイオン交換樹脂層との間隔が好ましくは10μm以下であること意味し、より好ましくは0μmである。多孔質炭素電極層とイオン交換樹脂層との間隔は断面走査型電子顕微鏡(SEM)等によって、測定することができる。
ここで、更に電気抵抗を小さくする観点から、前記第一の樹脂付電極層のイオン交換樹脂層と、前記第二の多孔質炭素電極層とは、加熱圧着等により、接合されていてもよい。
さらに、本実施形態の樹脂付電極複合体の第二の形態としては、例えば、前記第一の電極及び前記第二の電極が前述の樹脂付電極層であり、前記第一の電極のイオン交換樹脂層と、前記第二の電極のイオン交換樹脂層とが接している形態である。
前述の樹脂付電極複合体がレドックスフロー二次電池に用いられた場合、さらに優れた電気抵抗特性を示し、また電極の繊維がイオン交換樹脂層に突き刺さりにくい為、短絡を防ぐことができる。ここで、第一の樹脂付電極層と、第二の樹脂付電極層間とのプロトン伝導性を大きくする観点から、前記第一の電極のイオン交換樹脂層と、前記第二の電極のイオン交換樹脂層とが加熱圧着等により接合されていてもよい。
(レドックスフロー二次電池)
本実施形態のレドックスフロー二次電池は、前述の樹脂付電極複合体を備えることを特徴とする以外は、正極セル室と負極セル室といった一般的なレドックスフロー電池に用いられる構成要素を備える。例えば、前記正極セル室は正極活物質を含有する正極電解液を含み、前記負極セル室は負極活物質を含有する負極電解液を含み、前記電解液中の正極活物質及び前記負極活物質の価数変化に基づき充放電する、レドックスフロー二次電池とすることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例中において、各種の物性を下記の方法により評価した
1.イオン交換樹脂の当量質量EWの測定
パーフルオロカーボンスルホン酸(以下「PFSA」とも記す。)樹脂0.3gを、25℃、飽和NaCl水溶液30mlに浸漬し、攪拌しながら30分間放置した。次いで、飽和NaCl水溶液中の遊離プロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定した。中和滴定の終点をpH7とし、中和滴定後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっているPFSA樹脂分を純水ですすぎ、さらに上皿乾燥機により160℃で乾燥し、秤量した。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっているパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の質量をW(mg)とし、下記式より当量質量EW(g/eq)を求めた。
EW=(W/M)−22
以上の操作を5回繰り返した後、算出された5つの当量質量EW値の最大値及び最小値を除き、残り3つの当量質量EW値を相加平均した値を測定結果とした。
2.レドックスフロー二次電池充放電試験
レドックスフロー二次電池の充放電評価用セル内に、実施例及び比較例で得られた樹脂付電極複合体を、又は隔膜と電極とを配置し、押圧で樹脂付電極複合体を、又は隔膜と電極とを挟んだ。前記セル内において、樹脂付電極複合体を、又は隔膜と電極とを境として、一方を正極セル室、他方を負極セル室とし、スペーサーで両セル室の厚みを確保した。正極セル室には、バナジウム4価(V4+)及び同5価(V5+)を含む硫酸電解液からなる正極電解液を流通させ、負極セル室にはバナジウム3価(V3+)及び同2価(V2+)を含む負極電解液を流通させ、電池の充電及び放電(充放電試験)を行った。正極及び負極共に、3Nの硫酸水溶液に、1.5Mのバナジウムイオンが溶解した電解液を使用した、また、設置した正極セル室及び負極セル室の厚みをそれぞれ3mmとした。当該充放電試験は電流密度150mA/cmの定電流条件下で実施した。また、当該充放電試験は、開回路電圧(OCV)をモニタリングしながら、充電状態(SOC)が30〜70%の範囲で行った。当該充放電試験において、電流効率、電圧効率、電圧効率は下記式より求めた。
電流効率(%)=放電電気量/充電電気量
電圧効率(%)=充電の中間電圧/放電の中間電圧
電池効率(%)=電流効率×電圧効率
(実施例1)
(パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂前駆の作製)
ステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの10%水溶液と純水とを仕込んだ。前記オートクレーブにおいて、十分に真空、窒素置換を行った後、テトラフルオロエチレン(CF=CF、以下「TFE」とも記す。)ガスを導入してケージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続いて、前記オートクレーブに過硫酸アンモニウム水溶液を注入して重合を開始した。重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEガスを供給して前記オートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。また、供給したTFEに対して、質量比で0.7倍に相当する量のCF=CFO(CF−SOFを前記オートクレーブに連続的に供給して重合を行い、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂前駆体の粉末を得た。
(パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂、及びその分散液の作製)
得られたPFSA樹脂前駆体の粉末を、水酸化カリウム(15質量%)とメチルアルコール(50質量%)とを溶解した水溶液中に、80℃で20時間接触させて、加水分解処理を行った。その後、前記加水分解処理物を、60℃水中に5時間浸漬させる処理を行った。次に、前記浸漬処理物を、さらに60℃の2N塩酸水溶液に1時間浸漬させる処理を、毎回塩酸水溶液を更新して5回繰り返した。その後、塩酸水溶液による前記浸漬処理物を、イオン交換水で水洗、乾燥した。これにより、スルホン酸基(SOH)を有し、上記式(2)(m=2)で表される構造を有するパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を得た。得られたパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の当量質量EWは750(g/eq)であった。
得られたパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を、エタノール水溶液(水:エタノール=50:50(質量比))と共に5Lオートクレーブ中に入れて密閉し、翼で攪拌しながら160℃まで昇温して5時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、5質量%の均一なパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の分散液を作製した。次に、この100gのパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の分散液に純水100gを添加、攪拌して液を得た。その後、この液を80℃に加熱、攪拌しながら、固形分濃度が20質量%になるまで濃縮し、パーフルオロカーボンスルホン樹脂の分散液Aを得た。
(樹脂付電極層の作製)
多孔質炭素電極層として、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を用いた。
上記得られた分散液Aを、カーボンフェルト上に、キャスト法で直接塗布し、塗膜を形成した。カーボンフェルト上に形成された塗膜を、120℃(20分)の熱風を当てて、塗膜から溶媒をほぼ完全に飛ばし、乾燥させた。この塗布工程を更に2回繰り返した。カーボンフェルト上に形成された塗膜を更に、160℃10分の条件下における熱風空気雰囲気下で、熱処理することにより厚さ5μmのイオン交換樹脂(PFSA樹脂)層がカーボンフェルトに接合されている樹脂付電極層を得た。
次に、正極及び負極として、前記得られた樹脂付電極層を用い、押圧で前記正極及び負極を評価用セルに挟み樹脂付電極複合体を得た。なお、得られた樹脂付電極複合体において、前記正極のイオン交換樹脂層と、前記負極のイオン交換樹脂層とが接していた。
得られた樹脂付電極複合体を上記のとおりバナジウムレドックスフロー二次電池に用いて充放電試験を行った。該充放電試験において、電流密度150mA/cmの定電流条件下での電流効率は97%となり、電圧効率は86%となり、優れた電池効率83%を示した。また、該充放電試験において短絡は見られなかった。
得られた樹脂付電極複合体の各評価結果を表1に示す。また、表1に正極、負極に用いられた炭素電極層の種類、イオン交換樹脂層の種類を示す。
(実施例2)
多孔質炭素電極層として、実施例1で用いたカーボンフェルト(SGL社製GFA5)の代わりに、カーボンクロス(MFCテクノロジー社製GDL10)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂付電極層を得て、さらに樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は97%となり、電圧効率は83%となり、優れた電池効率81%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
(実施例3)
多孔質炭素電極層として、実施例1で用いたカーボンフェルト(SGL社製GFA5)の代わりに、カーボンペーパー(MFCテクノロジー社製GDL35)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂付電極層を得て、さらに樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は97%となり、電圧効率は82%となり、優れた電池効率80%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
(実施例4)
実施例1で用いた分散液Aの代わりにナフィオンTM分散液(DuPont社製DE2020)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂付電極層を得て、さらに樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は95%となり、電圧効率は86%となり、優れた電池効率82%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
(実施例5)
(樹脂付電極層の作製)
正極に、実施例1で得られた樹脂付電極層を用い、負極に、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を用いて、押圧で正極及び負極を評価用セルに挟み樹脂付電極複合体を得た。なお、得られた樹脂付電極複合体において、前記正極のイオン交換樹脂層と、前記負極のカーボンフェルトとが接していた。
得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は95%となり、電圧効率は83%となり、優れた電池効率79%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
(実施例6)
(樹脂付電極層の作製)
得られた分散液Aを、公知の通常の方法にて、担体シートであるポリイミド製フィルム上にキャストし、分散液Aが乾ききっていない状態で、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を分散液A上に積層し、積層体を得た。得られた積層体に、120℃(20分)の熱風を当てて、積層体から溶媒をほぼ完全に飛ばし、乾燥させた。得られた積層体を更に、160℃10分の条件下における熱風空気雰囲気下で、熱処理することにより厚さ5μmのイオン交換樹脂(PFSA樹脂)層がカーボンフェルトに接合されている樹脂付電極層を得た。
次に実施例1で用いた樹脂付電極層の代わりに、実施例6で得られた樹脂付電極層を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂電極複合体を得て、得られた樹脂付電極複合体をバナジウムレドックスフロー二次電池に用いて充放電試験を行った。該充放電試験において、電流密度150mA/cmの定電流条件下での電流効率は97%となり、電圧効率は84%となり、優れた電池効率81%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
(比較例1)
ナフィオンTM膜(DuPont社製NRE−212CS)の両側に、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を配置し、押圧でそれらを評価用セルに挟んで電極複合体を得た。なお、該電極複合体における電極(カーボンフェルト)は、イオン交換樹脂層が接合されていなかった。得られた電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は96%、電圧効率75%となり、低い電池効率72%を示した。
(比較例2)
炭素粒子からなる炭素電極層を使用した例について説明する。炭素粒子からなるケッチェンブラック(ライオン社製EC600JD)100質量部に対し、スチレン/ブタジエンラテックス(旭化成ケミカルズ社製L−7063、固形分48質量%)4質量部と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製セロゲンTMBSH−12)を含む水溶液(固形分1質量%)85質量部とを加えて混合し、電極インクを得た。この電極インクを、ナフィオンTM膜(DuPont社製NRE−212CS)の両側に塗布、乾燥させて、厚み1mm程度の炭素電極層を形成し、樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は96%となり、電圧効率は78%となり、低い電池効率75%を示した。
(比較例3)
ナフィオンTM分散液(DuPont社製DE2020)を公知の通常の方法にて、担体シートであるポリイミド製フィルム上にキャストし、120℃(20分)の熱風を当てて、溶媒をほぼ完全に飛ばし、乾燥させることにより膜を得た。得られた膜を更に、160℃10分の条件下における熱風空気雰囲気下で、熱処理することにより厚さ10μmのイオン交換膜を得た。
比較例1で用いたナフィオンTM膜(DuPont社製NRE−212CS)の代わりに比較例3で得られたイオン交換膜を用いた以外は比較例1と同様にして押圧で評価用セルに挟んで電極複合体を得た。なお、該電極複合体における電極(カーボンフェルト)は、イオン交換樹脂層が接合されていなかった。得られた電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行ったところ、充放電評価中に短絡し、電流効率、電圧効率、電池効率を求めることが不可能であった。
Figure 0006338896
表1に示す実施例1〜6及び比較例1〜3の結果から明らかなように、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂層が接合された樹脂付電極層を、負極及び正極の少なくともどちらか一方に備えた樹脂付電極複合体を用いたレドックスフロー二次電池は、150mA/cmの高い電流密度下での充放電試験において、優れた電池効率を示すことが確認された。
本発明の樹脂付電極層は、レドックスフロー二次電池に用いることによって、高い電池効率、電圧効率を維持したまま、電流密度を向上させることができ、セルの大きさを約半分に縮小できることから、省スペースでも設置可能なレドックスフロー二次電池等を提供することが出来る。

Claims (3)

  1. 炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含む分散液をキャスト法で直接塗布して、前記多孔質炭素電極層にイオン交換樹脂層が接合されている、樹脂付電極層からなる第一の電極を作製する工程と、
    炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含む分散液をキャスト法で直接塗布して、前記多孔質炭素電極層にイオン交換樹脂層が接合されている、樹脂付電極層からなる第二の電極を作製する工程と、を含み、
    前記作製した第一の電極と第二の電極とを、加熱圧着で押圧することにより樹脂付電極複合体を製造する方法であり、
    前記第一の電極のイオン交換樹脂層と、前記第二の電極のイオン交換樹脂層とが接している、
    レドックスフロー二次電池用樹脂付電極複合体の製造方法。
  2. 前記イオン交換樹脂が、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を含む、請求項1に記載の製造方法
  3. 請求項又はに記載の樹脂付電極複合体の製造方法により得られた樹脂付電極複合体境として、一方を正極セル室、他方を負極セル室とし、スペーサーで両セル室の厚みを確保する
    前記正極セル室が、正極活物質を含有する正極電解液を含み、
    前記負極セル室が、負極活物質を含有する負極電解液を含む、
    レドックスフロー二次電池の製造方法

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