JP6338896B2 - 樹脂付電極層、樹脂付電極複合体及びレドックスフロー二次電池 - Google Patents
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Description
[1]
炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂層が接合されている、樹脂付電極層。
[2]
前記イオン交換樹脂が、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を含む、[1]に記載の樹脂付電極層。
[3]
第一の電極及び第二の電極を有する樹脂付電極複合体であり、
前記第一の電極が、[1]又は[2]に記載の樹脂付電極層であり、
前記第二の電極が、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層であり、
前記樹脂付電極層のイオン交換樹脂層と前記多孔質炭素電極層とが接している、樹脂付電極複合体。
[4]
第一の電極及び第二の電極を有する樹脂付電極複合体であり、
前記第一の電極及び前記第二の電極が[1]又は[2]に記載の樹脂付電極層であり、
前記第一の電極のイオン交換樹脂層と、前記第二の電極のイオン交換樹脂層とが接している、樹脂付電極複合体。
[5]
[3]又は[4]に記載の樹脂付電極複合体と、正極セル室と、負極セル室と、を備え、
前記正極セル室が、正極活物質を含有する正極電解液を含み、
前記負極セル室が、負極活物質を含有する負極電解液を含む、レドックスフロー二次電池。
[6]
炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の上に、イオン交換樹脂組成物を塗布し、イオン交換樹脂層を形成する工程を含む、樹脂付電極層の製造方法。
本実施形態の樹脂付電極層は、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂層が接合されている。ここで、「接合」とは、多孔質炭素電極層とイオン交換樹脂層とが直接外部から力を加えない状態で分離しない状態に形成することをいい、具体的には化学結合やアンカー効果や粘着力により接合された状態のことをいう。このような構成は、電圧効率、電池効率の向上の点から好ましい。
本実施形態に用いる多孔質炭素電極層は、炭素繊維を含み、多孔質であれば特に限定されないが、気孔率が40〜99.5%であることが好ましく、55〜99.5%であることがより好ましく、70〜99.5%であることがさらに好ましい。気孔率は、水銀ポロシメーターなどにより測定することができる。多孔質炭素電極層としては、特に限定されないが、例えば、カーボンフェルト、カーボンペーパー、カーボンクロスが、電解液の拡散性の観点から好ましい。カーボンフェルトとは炭素繊維からなるフェルト状の不織布であり、例えばSGL社製のGFA5が好ましく用いられる。カーボンクロスとは炭素繊維を、平織、綾織、朱子織等で織った織物であり、例えばMFCテクノロジー社製のGDL10が好ましく用いられる。カーボンペーパーとは炭素繊維を圧縮してペーパー状のシートであり、例えばMFCテクノロジー社製のGDL35が好ましく用いられる。いずれも炭素繊維からなる多孔質炭素電極層の空隙内に、電解液が効率よく流れることによって、セル内部の電気抵抗を小さくすることが出来る。多孔質炭素電極層の密度は0.01〜1.0g/cm3が好ましく、0.01〜0.8g/cm3がより好ましく、0.01〜0.5g/cm3がさらに好ましい。多孔質炭素電極層の密度が0.01g/cm3以上であると、活物質イオンの透過性が良くなる傾向にあり好ましい。多孔質炭素電極層の密度が1.0g/cm3以下であると、多孔質炭素電極層の表面積が大きくなりやすく、高い電流密度が得られやすくなり好ましい。
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、イオン交換樹脂を含む層である。イオン交換樹脂層全体に対し、イオン交換樹脂を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含む。イオン交換樹脂層は、イオン交換樹脂以外に、後述するポリアゾール系化合物、ポリフェニレンスルフィド化合物等を含んでもよい。
本実施形態に用いるイオン交換樹脂としては、イオン選択透過性を有すれば特に限定されない。イオン交換樹脂としては、例えば、活物質イオン透過性が低く、優れた電流効率を得られる観点から、分子内に芳香環を有する炭化水素系高分子化合物にイオン交換基を導入したイオン交換樹脂が好ましい。上記分子内に芳香環を有する炭化水素系高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリチオエーテルエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサジノン、ポリキシリレン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセン、ポリシアノゲン、ポリナフチリジン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステル及びポリカーボネートが挙げられる。イオン交換樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
−[CF2CX1X2]a−[CF2−CF((−O−CF2−CF(CF2X3))b−Oc−(CFR1)d−(CFR2)e−(CF2)f−X4)]g− ・・・(1)
式(1)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立してハロゲン原子及び炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基からなる群から選択され、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。X4はCOOZ、SO3Z、PO3Z2又はPO3HZである。Zは水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子もしくはカリウム原子等のアルカリ金属原子、カルシウム原子もしくはマグネシウム原子等のアルカリ土類金属原子又はアミン類(NH4、NH3R1、NH2R1R2、NHR1R2R3、NR1R2R3R4)である。R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立してアルキル基及びアレーン基からなる群から選択される。X4がPO3Z2である場合、Zは同じでも異なっていてもよい。R1及びR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基及びフルオロクロロアルキル基からなる群から選択され、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。a及びgは0≦a<1、0<g≦1、a+g=1を満たす数である。また、bは0〜8の整数である。cは0又は1である。d、e及びfはそれぞれ独立して0〜6の整数である(ただし、d、e及びfは同時に0ではない)。
ここで、式(2)中、mは1〜6の整数を表し、X4はSO3Hを表す。a及びgは0≦a<1、0<g≦1、a+g=1を満たす数である。
例えば、本実施形態の樹脂付電極層に含まれるイオン交換樹脂の当量質量EW(イオン交換基1当量あたりのイオン交換樹脂の乾燥質量グラム数)は、200〜2000(g/eq)であることが好ましく、より好ましくは300〜1100(g/eq)、更に好ましくは400〜900(g/eq)、特に好ましくは450〜750(g/eq)である。イオン交換樹脂の当量質量EWを上記範囲に調整することによって、その化学構造と相俟って、それを含むイオン交換樹脂層に優れた親水性を付与することができ、また、より低い電気抵抗、より高い親水性を有し、耐酸化性(耐ヒドロキシラジカル)やイオン選択透過性が一層向上する傾向にある。なお、本実施形態において、イオン交換樹脂の当量質量EWは後述の実施例に記載の方法で測定することができる。例えば、イオン交換樹脂がパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の場合、当量質量EWは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を塩置換し、その溶液をアルカリ溶液で逆滴定することにより測定することができる。また、前記当量質量EWは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の原料であるフッ素系モノマーの共重合比、モノマー種の選定等により調整することができる。
前記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の前駆体(以下、「樹脂前駆体」ともいう。)を製造した後、それを加水分解処理することにより得ることができる。例えば、下記一般式(3)又は(4)で表されるフッ化ビニルエーテル化合物と、下記一般式(5)で表されるフッ化オレフィンモノマーとの共重合体からなるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂前駆体を加水分解することにより得られる。
(式(3)中、Xは、F又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示し、nは0〜5の整数を示し、Aは(CF2)m−Wを示し、mは0〜6の整数を示し、nとmとは同時に0にならず、Wは加水分解によりSO3Hに転換し得る官能基を示す。)、
(式(4)中、Xは、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示し、Pは0〜12の整数を示し、Kは1〜5の整数を示し、Lは1〜5の整数を示し(ただし、L、K、mは同時に0とならない。)、mは0〜6の整数を示し、Wは加水分解によりSO3Hに転換し得る官能基を示す。)
(式(5)中、Zは、H、Cl、F、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は酸素を含んでいてもよい環状パーフルオロアルキル基を示す。)
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、上述したイオン交換樹脂の他に、ポリアゾール系化合物を含有するか、それに代えて/加えて、塩基性重合体(オリゴマーなどの低分子量物質を含む)を含有すると、樹脂組成物としての化学的安定性(主に耐酸化性等)が増加する傾向にあり、好ましい。これらの化合物は、樹脂組成物中で微細粒子状又は分子分散に近い形でイオンコンプレックスを部分的に作り、イオン架橋構造を形成することが好ましい。特に、イオン交換樹の当量質量EWが低い場合(例えば300〜500g/eqの場合)には、耐水性と電気抵抗、又は含水クラスター径が小さくなる傾向にあるため、イオン交換樹脂層がポリアゾール系化合物を含有するか、それに代えて/加えて、塩基性重合体(オリゴマーなどの低分子量物質を含む)を含有することが、イオン選択透過性等のバランス面の観点から好ましい。
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、電解質膜の耐酸化性やクラスター径の観点から、ポリフェニレンスルフィド化合物を更に含有することが好ましい。ポリフェニレンスルフィド化合物は、押し出し法によりイオン交換樹脂を含有する樹脂組成物に混合する方法やポリフェニレンスルフィド化合物の水性溶媒分散体を、イオン交換樹脂を含有する樹脂組成物の原液分散体に混合する方法により、添加できる。
本実施形態に用いるイオン交換樹脂層は、強度の観点から、補強材を有することができる。補強材としては、特に限定されず、例えば、一般的な不織布や織布、各種素材からなる多孔膜が挙げられる。前記多孔膜としては、特に限定されないが、イオン交換樹脂組成物との親和性が良好な多孔膜が好ましく、中でも、延伸されて多孔化したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系膜を利用して、これに本実施形態に用いるイオン交換樹脂組成物を実質的に隙間無く埋め込んだ補強層が、イオン交換樹脂層の強度の観点から、より好ましい。
本実施形態の樹脂付電極層の製造方法としては、特に限定されず、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層上に、イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂組成物を塗布し、イオン交換樹脂層を形成する工程を含む方法、イオン交換樹脂組成物の上に炭素繊維を含む多孔質炭素電極層を積層する工程を含む方法、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層とイオン交換樹脂とを加熱圧着法により圧着する工程を含む方法等が挙げられる。
本実施形態の樹脂付電極複合体は、第一の電極及び第二の電極を有する樹脂付電極複合体である。また、本実施形態の樹脂付電極複合体の第一の形態としては、例えば、前記第一の電極が、前述の樹脂付電極層であり、前記第二の電極が、炭素繊維を含む多孔質炭素電極層であり、前記第一の樹脂付電極層のイオン交換樹脂層と、前記第二の多孔質炭素電極層とが接している形態である。
本実施形態のレドックスフロー二次電池は、前述の樹脂付電極複合体を備えることを特徴とする以外は、正極セル室と負極セル室といった一般的なレドックスフロー電池に用いられる構成要素を備える。例えば、前記正極セル室は正極活物質を含有する正極電解液を含み、前記負極セル室は負極活物質を含有する負極電解液を含み、前記電解液中の正極活物質及び前記負極活物質の価数変化に基づき充放電する、レドックスフロー二次電池とすることができる。
パーフルオロカーボンスルホン酸(以下「PFSA」とも記す。)樹脂0.3gを、25℃、飽和NaCl水溶液30mlに浸漬し、攪拌しながら30分間放置した。次いで、飽和NaCl水溶液中の遊離プロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定した。中和滴定の終点をpH7とし、中和滴定後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっているPFSA樹脂分を純水ですすぎ、さらに上皿乾燥機により160℃で乾燥し、秤量した。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっているパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の質量をW(mg)とし、下記式より当量質量EW(g/eq)を求めた。
レドックスフロー二次電池の充放電評価用セル内に、実施例及び比較例で得られた樹脂付電極複合体を、又は隔膜と電極とを配置し、押圧で樹脂付電極複合体を、又は隔膜と電極とを挟んだ。前記セル内において、樹脂付電極複合体を、又は隔膜と電極とを境として、一方を正極セル室、他方を負極セル室とし、スペーサーで両セル室の厚みを確保した。正極セル室には、バナジウム4価(V4+)及び同5価(V5+)を含む硫酸電解液からなる正極電解液を流通させ、負極セル室にはバナジウム3価(V3+)及び同2価(V2+)を含む負極電解液を流通させ、電池の充電及び放電(充放電試験)を行った。正極及び負極共に、3Nの硫酸水溶液に、1.5Mのバナジウムイオンが溶解した電解液を使用した、また、設置した正極セル室及び負極セル室の厚みをそれぞれ3mmとした。当該充放電試験は電流密度150mA/cm2の定電流条件下で実施した。また、当該充放電試験は、開回路電圧(OCV)をモニタリングしながら、充電状態(SOC)が30〜70%の範囲で行った。当該充放電試験において、電流効率、電圧効率、電圧効率は下記式より求めた。
電圧効率(%)=充電の中間電圧/放電の中間電圧
電池効率(%)=電流効率×電圧効率
(パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂前駆の作製)
ステンレス製攪拌式オートクレーブに、C7F15COONH4の10%水溶液と純水とを仕込んだ。前記オートクレーブにおいて、十分に真空、窒素置換を行った後、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2、以下「TFE」とも記す。)ガスを導入してケージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続いて、前記オートクレーブに過硫酸アンモニウム水溶液を注入して重合を開始した。重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEガスを供給して前記オートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。また、供給したTFEに対して、質量比で0.7倍に相当する量のCF2=CFO(CF2)2−SO2Fを前記オートクレーブに連続的に供給して重合を行い、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂前駆体の粉末を得た。
得られたPFSA樹脂前駆体の粉末を、水酸化カリウム(15質量%)とメチルアルコール(50質量%)とを溶解した水溶液中に、80℃で20時間接触させて、加水分解処理を行った。その後、前記加水分解処理物を、60℃水中に5時間浸漬させる処理を行った。次に、前記浸漬処理物を、さらに60℃の2N塩酸水溶液に1時間浸漬させる処理を、毎回塩酸水溶液を更新して5回繰り返した。その後、塩酸水溶液による前記浸漬処理物を、イオン交換水で水洗、乾燥した。これにより、スルホン酸基(SO3H)を有し、上記式(2)(m=2)で表される構造を有するパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を得た。得られたパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の当量質量EWは750(g/eq)であった。
多孔質炭素電極層として、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を用いた。
多孔質炭素電極層として、実施例1で用いたカーボンフェルト(SGL社製GFA5)の代わりに、カーボンクロス(MFCテクノロジー社製GDL10)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂付電極層を得て、さらに樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は97%となり、電圧効率は83%となり、優れた電池効率81%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
多孔質炭素電極層として、実施例1で用いたカーボンフェルト(SGL社製GFA5)の代わりに、カーボンペーパー(MFCテクノロジー社製GDL35)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂付電極層を得て、さらに樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は97%となり、電圧効率は82%となり、優れた電池効率80%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
実施例1で用いた分散液Aの代わりにナフィオンTM分散液(DuPont社製DE2020)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂付電極層を得て、さらに樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は95%となり、電圧効率は86%となり、優れた電池効率82%を示した。また、該充放電試験においても短絡は見られなかった。
(樹脂付電極層の作製)
正極に、実施例1で得られた樹脂付電極層を用い、負極に、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を用いて、押圧で正極及び負極を評価用セルに挟み樹脂付電極複合体を得た。なお、得られた樹脂付電極複合体において、前記正極のイオン交換樹脂層と、前記負極のカーボンフェルトとが接していた。
(樹脂付電極層の作製)
得られた分散液Aを、公知の通常の方法にて、担体シートであるポリイミド製フィルム上にキャストし、分散液Aが乾ききっていない状態で、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を分散液A上に積層し、積層体を得た。得られた積層体に、120℃(20分)の熱風を当てて、積層体から溶媒をほぼ完全に飛ばし、乾燥させた。得られた積層体を更に、160℃10分の条件下における熱風空気雰囲気下で、熱処理することにより厚さ5μmのイオン交換樹脂(PFSA樹脂)層がカーボンフェルトに接合されている樹脂付電極層を得た。
ナフィオンTM膜(DuPont社製NRE−212CS)の両側に、カーボンフェルト(SGL社製GFA5)を配置し、押圧でそれらを評価用セルに挟んで電極複合体を得た。なお、該電極複合体における電極(カーボンフェルト)は、イオン交換樹脂層が接合されていなかった。得られた電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は96%、電圧効率75%となり、低い電池効率72%を示した。
炭素粒子からなる炭素電極層を使用した例について説明する。炭素粒子からなるケッチェンブラック(ライオン社製EC600JD)100質量部に対し、スチレン/ブタジエンラテックス(旭化成ケミカルズ社製L−7063、固形分48質量%)4質量部と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製セロゲンTMBSH−12)を含む水溶液(固形分1質量%)85質量部とを加えて混合し、電極インクを得た。この電極インクを、ナフィオンTM膜(DuPont社製NRE−212CS)の両側に塗布、乾燥させて、厚み1mm程度の炭素電極層を形成し、樹脂付電極複合体を得た。得られた樹脂付電極複合体を用いて実施例1と同様の充放電試験を行った。該充放電試験において、電流効率は96%となり、電圧効率は78%となり、低い電池効率75%を示した。
ナフィオンTM分散液(DuPont社製DE2020)を公知の通常の方法にて、担体シートであるポリイミド製フィルム上にキャストし、120℃(20分)の熱風を当てて、溶媒をほぼ完全に飛ばし、乾燥させることにより膜を得た。得られた膜を更に、160℃10分の条件下における熱風空気雰囲気下で、熱処理することにより厚さ10μmのイオン交換膜を得た。
Claims (3)
- 炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含む分散液をキャスト法で直接塗布して、前記多孔質炭素電極層にイオン交換樹脂層が接合されている、樹脂付電極層からなる第一の電極を作製する工程と、
炭素繊維を含む多孔質炭素電極層の少なくとも片面側に、イオン交換樹脂を含む分散液をキャスト法で直接塗布して、前記多孔質炭素電極層にイオン交換樹脂層が接合されている、樹脂付電極層からなる第二の電極を作製する工程と、を含み、
前記作製した第一の電極と第二の電極とを、加熱圧着で押圧することにより樹脂付電極複合体を製造する方法であり、
前記第一の電極のイオン交換樹脂層と、前記第二の電極のイオン交換樹脂層とが接している、
レドックスフロー二次電池用樹脂付電極複合体の製造方法。 - 前記イオン交換樹脂が、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の樹脂付電極複合体の製造方法により得られた樹脂付電極複合体を境として、一方を正極セル室、他方を負極セル室とし、スペーサーで両セル室の厚みを確保する、
前記正極セル室が、正極活物質を含有する正極電解液を含み、
前記負極セル室が、負極活物質を含有する負極電解液を含む、
レドックスフロー二次電池の製造方法。
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JP2015176648A (ja) | 2015-10-05 |
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