JP2005216613A - 複合膜およびその製造方法 - Google Patents

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Toshitaka Otsuki
敏敬 大月
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敏 小松
Yuji Naito
雄二 内藤
Kohei Goto
幸平 後藤
Nobuyuki Kaneoka
長之 金岡
Yoichi Asano
洋一 浅野
Masaru Iguchi
勝 井口
Naoki Mitsuda
直樹 満田
Hiroshi Soma
浩 相馬
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Abstract

【課題】 高い含水率を有しながら寸法安定性を維持し、低い加湿下でのプロトン伝導性を改善した複合膜を提供する。
【解決手段】
パーフルオロアルキル基を有さないプロトン伝導性重合体からなるプロトン伝導膜を2種以上積層した複合膜であり、
少なくとも1つのプロトン伝導膜が、スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体からなることを特徴とする複合膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体の膜と、他の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体の膜とを積層することにより、高い含水率を有しながら寸法安定性を維持し、低い加湿下でのプロトン伝導性を改善した複合膜に関する。
石油資源の枯渇化と、化石燃料の大量消費に伴う地球温暖化等の地球環境問題の深刻化に伴い、クリーンなエネルギー源として燃料電池が注目され、開発が加速されているとともに、一部では実用化も始まっている。特に燃料電池を自動車等に搭載する場合、固体高分子型燃料電池が好適に用いられている。
固体高分子型燃料電池に用いる電解質膜としては、現在パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子(例として、デュポン社製ナフィオンなど)が一般的に使用されている。しかしながら、パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質膜は、非常に高価な上、構造にフッ素を含むため廃棄が困難であり、また高温での使用時に水分が失われプロトン伝導性が低下するなどの多くの問題を有していた。
そこで、前記パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子に替わるものとして、スルホン化した非パーフルオロ炭化水素系高分子は、出発原料が安く、安価に固体高分子型燃料電池用の電解質膜が得られると期待されている。
スルホン化した非パーフルオロ炭化水素系高分子の例としては、たとえばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸を導入したポリマーなどが知られている。
さらに、米国特許第5,403,675号明細書(特許文献1)では、スルホン化された剛直ポリフェニレン(すなわち、ポリアリーレン構造を主成分とするスルホン化物)からなる固体高分子電解質が提案されている。このポリマーは、芳香族化合物を重合して得られるフェニレン連鎖からなるポリマー(同明細書カラム9記載の構造)を主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入しているもので、高温での耐久性が期待されている。
米国特許第5,403,675号明細書
前記固体高分子型燃料電池では、高分子電解質膜中の水を媒介としてプロトンが移動するため、プロトン伝導性を維持するために膜中の水分量が重要となる。したがって固体高分子型燃料電池では、膜中の水分を維持するため使用する燃料を加湿して用いる必要がある。
しかしながら、以上のように従来より使用されていたポリマーは、スルホン酸基の導入量の増加によって、プロトン伝導度や含水量も向上するものの、含水ポリマー構造による加湿下での膜の膨潤による寸法変化、耐熱水性、化学的耐久性に劣るという問題点がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、スルホン酸基を含有するポ
リアリーレン系重合体の膜と、非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜を積層することにより、高い含水率を有しながら寸法安定性を維持し、低加湿下でのプロトン伝導性を改善した複合膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、2種類以上の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜が積層されてなる複合膜に関する。すなわち、
(1)本発明に係る複合膜は、パーフルオロアルキル基を有さないプロトン伝導性重合体からなる2種以上のプロトン伝導膜を積層した多層複合膜であり、
少なくとも1つのプロトン伝導膜が、スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体からなることを特徴とする。
(2)スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体が下記一般式(1)で表される繰り返し単位および下記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる。
(式中、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、mは0〜10の整数を示し
、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)。
(式(2)中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、Tは単結合または2価の有機基を示し、pは0以上の正の整数を示す。)
(3)残りのプロトン伝導膜が、ポリスチレン、ポリフェニレン、ポリアゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびポリフェニレンオキシド(PPO)からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー骨格を有し、かつスルホン酸基を有するものからなる。
本発明に用いる非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜のうち少なくとも一つにスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜を用いることを特徴とする。スルホン酸基を有するポリアリーレンがスルホン酸基を有するブロック(親水性部位)と有しないブロック(疎水性部位)からなることにより、膜中でミクロな相分離構造をとり、高いプロトン伝導性を維持しつつ靭性に優れた膜を与える。この膜ともう一種類の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜を積層することにより、高い含水率を有しながら寸法安定性を維持し、低加湿下でのプロトン伝導性を改善した複合膜を与える。
また、本発明に係る複合膜の製造方法は、
(4)スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体からなるプロトン伝導膜と、残りのプロトン伝導膜とを接着させるに際して、アルコール系溶媒または非プロトン性極性溶媒に溶解したパーフルオロアルキル基を有さないプロトン伝導性重合体を接着剤として使用することを特徴とする。
なお、本出願人は、特開2002−8447号公報にて、テトラフルオロエチレン共重合体膜と、スルホン化ポリアリーレン膜とが積層された複合膜を提案している。しかしながら、かかる複合膜は、非常に高価な上、構造にフッ素を含むため廃棄が困難であり、また高温での使用時に水分が失われプロトン伝導性が低下するなど、満足しうるものではなかった。また、十分なプロトン伝導性を得るだけのスルホン酸基を導入した上記(3)に記載した骨格を有するポリマーの膜は、含水状態での寸法変化が大きく、伝導膜としての使用は困難であった。
本発明の複合膜は、2種類以上の積層する非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜のうち、少なくとも1種の膜にスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜を用いることにより、高い含水率を有しながら寸法安定性を維持し、低加湿下でのプロトン伝導性を改善することができる。したがって、本発明の複合膜は、伝導膜として、広い温度、湿度範囲にわたって高いプロントン伝導性を有し、脆くなく強度において優れており、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの伝導膜として利用可能であり、この工業的意義は極めて大きい。
本発明の複合膜は、パーフルオロアルキル基を有さない2種以上のプロトン伝導膜を積層した多層複合膜であり、
少なくとも1つのプロトン伝導膜が、スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体からなることを特徴とする。
スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体
本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、下記一般式(1)で表される繰り返し構成単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し構成単位とを含んでおり、下記一般式(3)で表される重合体である。
式中、Aは2価の電子吸引性基を示し、具体的には−CO−、−SO2−、−SO−、
−CONH−、−COO−、−(CF2l−(ここで、lは1〜10の整数である)、−C(CF32−などが挙げられる。Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、電子供与基の具体例としては、−(CH2)−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH=
CH−、−C≡C―および
などが挙げられる。なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニ
ル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基として具体的に
はフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
式(2)中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは単結合または2価の電子吸引性基を示し、Tは単結合または2価の有機基を示す。
式(2)において、pは0以上の正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
(式(3)中、W、T、A,B、Ar、m、n、k、pおよびR1〜R8は、それぞれ上記一般式(1)および(2)中のW、T、A,B、Ar、m、n、k、pおよびR1〜R8と同義である。xおよびyは、x+y=100モル%とした場合のモル比を示す。)
本発明で用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、式(1)で表される繰り返し構成単位を0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(2)で表される繰り返し構成単位を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法)
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、上記一般式(1)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(2)で表される構造単位となりうるオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを加水分解して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
また、スルホン酸基を有する重合体は、上記一般式(1)で表される骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しない構造単位と、上記一般式(2)の構造単位からなるポリアリーレンを予め合成し、この重合体をスルホン化することにより合成することもできる。
上記一般式(1)の構造単位となりうるモノマー(例えば下記一般式(4)で表されるモノマー、モノマー(4)ともいう。)と、上記一般式(2)の構造単位となりうるオリゴマー(例えば下記一般式(5)で表されるオリゴマー、オリゴマー(5)ともいう。)とを共重合させてスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを合成する場合には、モノマー(4)としては、例えば下記一般式(4)で表されるスルホン酸エステルが用いられる。
式(4)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2Z(
ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、A、B、Ar、m、nおよびkは、それぞれ上記一般式(1)中のA、B、Ar、m、nおよびkと同義である。Raは炭素原子数1〜20、好ましくは
4〜20の炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ネオペンチル基
、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
Arは−SO3bで表される置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
置換基−SO3bは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3bが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
ここで、Rbは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的
には上記炭素原子数1〜20の炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
式(4)で表されるスルホン酸エステルの具体例としては、以下の様な化合物が挙げられる。
また、上記一般式(4)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体として、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わり、
かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
一般式(4)中のRb基は1級のアルコール由来で、β炭素が3級または4級炭素であ
ることが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
また、上記一般式(4)で表されるモノマー(4)と同様の骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しない化合物の具体例としては、下記の様な化合物が挙げられる。
上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置
き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
オリゴマー(5)としては、例えば下記一般式(5)で表される化合物が用いられる。
式(5)中、R'およびR''は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除く
ハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基また
はアリール基を示す。)で表される基を示す。Zが示すアルキル基としてはメチル基、エ
チル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは単結合または2価の電子吸引性基を示し、電子吸引基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
Tは単結合または2価の有機基であって、電子吸引性基であっても電子供与基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
pは0以上の正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
上記一般式(5)で表される化合物として具体的には、p=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−ク
ロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
またp=1の場合、上記一般式(5)で表される具体的な化合物としては、例えば4,
4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベ
ンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
さらに上記一般式(5)で表される化合物の例としては、2,2−ビス[4−{4−(
4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(5)で表される化合物は、例えば以下に示す方法で合成することができる。
まず電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカ
リ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
通常、アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロ
フェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロ
ロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカ
フルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
(式中、Wは一般式(5)に関して定義した通りである。)
または特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールとで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体を例えば、4−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得る。ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドは上記で例示した化合物が適用できる。フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。
なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とするのが、好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物は上記に例示した化合物を使用できる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ
安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
また、一般式(5)において、pが2以上である化合物は、例えば、一般式(5)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれる少なくとも1種の
基とを組み合わせた化合物、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ
金属塩と、過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−
ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
このような化合物の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
上記において、pは0以上の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(3)はモノマー(4)とオリゴマー(5)を触媒の存在下に反応させることにより合成されるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子
となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(1)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−
シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる
。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計((4)+(5)、以下同じ)1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100
モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
モノマー(4)とオリゴマー(5)とを反応させる際に使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、γ−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
モノマー(4)を用いて得られたスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンは、スルホン酸エステル基を加水分解して、スルホン酸基に変換することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンとすることができる。
加水分解は、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチル
ピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、上記一般式(4)で表されるモノマー(4)と同様の骨格を有しスルホン酸エステル基を有しないモノマーと上記一般式(5)で表されるオリゴマー(5)を共重合させることによりポリアリーレン系共重合体を予め合成し、このポリアリーレン系共重合体をスルホン化することにより合成することもできる。この場合、上記合成方法に準じた方法によりスルホン酸基を有しないポリアリーレンを製造した後、スルホン化剤を用い、スルホン酸基を有しないポリアリーレンにスルホン酸基を導入することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンを得ることができる。
このスルホン化の反応条件としては、スルホン酸基を有しないポリアリーレンを、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、スルホン化剤を用い、常法によりスルホン酸基を導入することにより得ることが出来る。
スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記スルホン酸基を有しないポリアリ
ーレンを、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化することができる〔Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730 (1993); Polymer Preprints, Japan, Vol. 43, No.3, p.736 (1994); Polymer Preprints, Japan, Vol. 42, No.7, p.2490〜2492 (1993)
〕。
すなわち、このスルホン化の反応条件としては、上記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えばn−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
上記のような方法により製造されるスルホン酸基を有するポリアリーレン(3)中の、スルホン酸基量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く実用的ではない。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
上記のスルホン酸基量は、例えばモノマー(4)とオリゴマー(5)の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
このようにして得られるスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
スルホン酸基を有するポリアリーレンには、老化防止剤、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を含有させて使用してもよく、老化防止剤を含有することで電解質としての耐久性をより向上させることができる。
本発明で使用することのできるヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)
、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることができる。
本発明において、スルホン酸基を有するポリアリーレン100重量部に対してヒンダードフェノール系化合物は0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
ポリアリーレン以外の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体
本発明に使用される他の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体としては特に限定されないが、ポリスチレン、ポリフェニレン、ポリアゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリエーテルスルホン(PES),ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリスルホン(PSF),ポリエーテルイミド(PEI),ポリフェニレンスルフィド(PPS),ポリフェニレンオキシド(PPO)等の重合体で主鎖または側鎖にスルホン酸基を有するもの、もしくは上記重合体でスルホン酸基有する側鎖導入したものが挙げられる。これらの高分子化合物は単独重合体でも共重合体でも良い。
非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体のイオン交換容量(スルホン化の目安になる)は1.0〜3.0 meq/gであるのが好ましい。イオン交換容量が1.0 meq/g未満であると、
イオン伝導率が不十分であり、また3.0 meq/g超であると、耐熱分解性や耐熱水性が不十
分である。
複合膜
本発明に係る複合膜は、以上説明した2種類以上の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなるプロトン伝導膜が積層されてなり、少なくとも一つにスルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜が使用されている。
複合膜の構成は、少なくと1層にスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜を有
していればよい。したがって、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜のみの2膜から構成される複合膜であっても、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜と他の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなるプロトン伝導膜と2層複合膜であってもよい。さらに、中間層に非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなるプロトン伝導膜を有し、上下を、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜で挟んだサンドイッチ構造、中間層にスルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜を配し、上下を非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなるプロトン伝導膜で挟んだサンドイッチ構造であってもよく、さらには、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜の表面に、2枚以上の他の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなるプロトン伝導膜が積層されたものであってもよい。
積層するそれぞれの膜の乾燥膜厚は、それぞれ、通常、10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。また、得られる複合膜としての乾燥膜厚は、通常、10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
複合膜全体としてのイオン交換容量(スルホン化の目安になる)は、膜の構成によるが、通常1.5〜3.0meq/gであるのが好ましい。イオン交換容量がこのような範囲にあると、
プロトン伝導性が高い。
複合膜の製造方法
本発明の複合膜は、2種類以上の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜をそれぞれ製膜し積層して製造する。
それぞれの膜を成型するには、それぞれ、スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体、他の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体をそれぞれ、アルコール系溶媒また
は非プロトン性極性溶媒に溶解したのち、キャスティングによりフィルム状に成形したり、もしくは溶融押出法などにより成形することができる。
ここで、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜をキャスティングするための溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン系極性溶剤やメタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。
積層するそれぞれの膜の乾燥膜厚は、それぞれ、通常、10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。また、得られる複合膜としての乾燥膜厚は、通常、10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
ここで、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜と非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜とを積層するには、膜間の接着剤として、非プロトン系極性溶剤やアルコール系溶剤に溶解したスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびそれ以外の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体もしくはいずれか一方を用いる方法(接着法)がある。
接着法;
接着法に用いられる溶剤としては、上記スルホン酸基を有するポリアリーレンを溶解することができる非プロトン性極性溶媒またはアルコール系溶剤を用いることができる。
接着法では、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜および非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体もしくはいずれか一方を上記非プロトン系極性溶剤またはアルコール系溶剤に溶解して接着剤とし、これをもちいてそれぞれの膜を積層する。この際、接着剤中のポリマー濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。接着法では、上記のようにして得られた接着剤を積層するの接合表面に塗布、あるいは接着剤中に積層する膜を浸漬し、次いで、室温〜80℃、好ましくは常温で、10〜180分、好ましくは10〜60分乾燥し、次いで、両膜を積層して、数100g/cm2
度の加圧下、50〜200℃、好ましくは50〜150℃で加熱して接着する。接着法では、この接合面が、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜および非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体もしくはいずれか一方であるので、得られる複合膜は、プロトン伝導度の低下が極めて少なくなるという効果を奏する。
上記接着法のほかに、スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体からなる膜またはその他非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜をあらかじめ作成しておき、スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体または他の非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体を溶解した塗布液をワニスとして、膜の表面に塗布し乾燥することによって、積層することも可能である。
塗布する接着剤の厚さは特に制限されるものではなく、接着できる程度の厚さであればよい。また、実質的に、プロトン伝導膜と同じ成分から構成されるので、前記膜厚に含めた厚さとして、接着剤層を設けてもよい。
本発明の複合膜は、スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体からなる膜とその他非パーフルオロカーボンスルホン酸系重合体からなる膜を積層することにより、高い含水率を有しながら寸法安定性を維持し、低い加湿下でのプロトン伝導性を改善した複合膜である。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例において、スルホン酸当量、分子量、プロトン伝導度、および耐熱水性(含水率、寸法安定性)は以下のようにして求めた。
1.スルホン酸当量
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有しないポリアリーレン重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.プロトン伝導度の測定
交流抵抗は、5mm幅の短冊状のプロトン伝導膜試料の表面に、白金線(f=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度50%、70%、90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
4.耐熱水性(含水率および寸法安定性)
フィルムを2.0cm×3.0cmにカットし秤量して、試験用のテストピースとする。このフィルムを、ポリカーボネート製の250ml瓶に入れ、そこに約100mlの蒸留水を加え、プレッシャークッカー試験機(HIRAYAMA MFS CORP製 PC-242HS)を用いて、120℃で24時間加温する。試験終了後、各フィルムを熱水中から取り出し、軽く表面の水をキムワイプで拭き取り寸法を測定し、寸法変化率を求める。さらに、この膜の重量を秤量し含水率を求める。
[合成例1]
(オリゴマーの調製)
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4'−ジクロロベンゾフェノン(4,4'−DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン1
50mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP10.0g(0.04
0モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は11,200であった。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホラン
などに可溶で、Tgは110℃、熱分解温度は498℃であった。
得られた化合物は式(6)で表されるオリゴマー(以下、「BCPAFオリゴマー」という)であった。重合平均分子量よりpは21であった。
[合成例2]
ネオペンチル基を保護基としたポリアリーレン共重合体(PolyAB−SO3 neo-Pe)の調製
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、4−[4−(2,5−ジクロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゼンス
ルホン酸neo-ペンチル(A−SO3 neo-Pe)39.58g(98.64ミリモル)とBCPAFオリゴマー(Mn=11200)15.23g(1.36ミリモル)、Ni(PPh32Cl2 1.67g(2.55ミリモル)、PPh3 10.49g(40ミリモル)、NaI 0.45g(3ミリモル)、亜鉛末 15.69g(240ミリモル)、乾燥NMP 390mLを窒素下で加えた。反応系を攪拌下に加熱し(最終的には75℃まで
加温)、3時間反応させた。重合反応液をTHF 250mLで希釈し、30分攪拌し、
セライトをろ過助剤に用い、ろ過紙、ろ液を大過剰のメタノール1500mLに注ぎ、凝固させた。凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞれ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた。風乾後、加熱乾燥により目的の黄色繊維状のネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体(PolyAB-SO3neo-Pe)47.0g(収率99%)を得た。GPCによる分子量はMn=47,600、Mw=159,000であった。
こうして得られたPolyAB-SO3neo-Pe 5.1gをNMP60mLに溶解し、90℃に加
温した。反応系にメタノール50mLと濃塩酸8mLの混合物を一時に加えた。懸濁状態となりながら、温和の還流条件で10時間反応させた。蒸留装置を設置し、過剰のメタノールを溜去させ、淡緑色の透明溶液を得た。この溶液を大量の水/メタノール(1:1重量比)中に注いで、ポリマーを凝固させた後、洗浄水のPHが6以上となるまで、イオン交換水でポリマーを洗浄した。こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホン酸エステル基(−SO3a)は定量的にスルホン酸基(−SO3H)に転換していることがわかった。
得られたスルホン酸基を有するポリアリーレン共重合体はのGPCによる分子量は、Mn=53,200、Mw=185,000であり、スルホン酸等量は1.9meq/gであった
[合成例3]
(ポリアリーレン系共重合体の合成)
上記合成例1で得られた式(6)のオリゴマー 28.1g(2.5mmol)、2,5−ジクロロ−4'−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン(DCPPB)35.
9g(82.5mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド 1.
67g(2.6mmol)、ヨウ化ナトリウム 1.66g(11.1mmol)、トリ
フェニルホスフィン8.92g(34.0mmol)、亜鉛末13.3g(204mmol)をフラスコにとり、乾燥窒素置換した。N−メチル−2−ピロリドン160mlを加え、80℃に加熱し、4時間攪拌し、重合をおこなった。重合溶液をTHFで希釈し、塩酸/メタノールで凝固回収し、メタノール洗滌を繰り返し、THFで溶解、メタノールへ再沈殿による精製し、濾集した重合体を真空乾燥し目的の共重合体51.0g(90%)を得た。GPC(THF)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は38,900、重
量平均分子量は160,000であった。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンの合成)
上記共重合体50gを攪拌装置、温度計を取り付けた1000mlのセパラブルフラスコに入れ、濃度98%硫酸500mlを加え、内温を25℃に保ちながら窒素気流下で24時間攪拌した。得られた溶液を大量のイオン交換水の中に注ぎ入れ、重合体を沈殿させた。洗浄水のpHが5になるまで重合体の洗浄を繰り返した。乾燥して、56g(95%)のスルホン酸基含有重合体を得た。スルホン酸基含有重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は45,500、重量平均分子量は176,000であった。得られたスルホン酸基含有重合体のスルホン酸等量は2.1meq/gであった。
(実施例1)
合成例2にて合成したスルホン酸基を有するポリアリーレンを、NMP溶媒でPETフィルム上に流延、乾燥し、膜厚20μmのフィルムを調製した。
また、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を濃硫酸を用いイオン交換容量2.2meq/gにスルホン化した。得られたスルホン化ポリエーテルエーテルケトンをNMP溶媒で同
様にフィルム化した。膜厚は20μmであった。
スルホン酸基を有するポリアリーレンの10%NMP溶液を、上記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜の接合面に塗布し、室温で予備乾燥後、スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜にスルホン化ポリエーテルケトンフィルムを重ね、スペーサーを介して加熱プレスを用い、100g/cm2で予備プレス3分、さらに1kg/cm2の圧力で加圧下、100℃で30分、硬化接着を行った。
得られた積層複合膜の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で用いたスルホン酸基を有するポリマーの代わりに、合成例3にて合成したポリマーを用いた以外は、実施例1と同様にして複合膜を得た。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で用いたスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜(複合膜ではない、
膜厚50μm)について、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2で用いたスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる膜(複合膜ではない、膜厚50μm)について、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1および2で用いたスルホン化ポリエーテルエーテルケトンからなる膜(複合膜ではない、膜厚50μm)について、同様の評価を行った。結果を表1に示す。

Claims (4)

  1. パーフルオロアルキル基を有さないプロトン伝導性重合体からなる2種以上のプロトン伝導膜を積層した多層複合膜であり、
    少なくとも1つのプロトン伝導膜が、スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体からなることを特徴とする複合膜。
  2. スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体が下記一般式(1)で表される繰り返し単位および下記一般式(2)で表される繰り返し単位からなることを特徴とする請求項1記載の複合膜。
    (式中、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、mは0〜10の整数を示し
    、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)。
    (式(2)中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、Tは単結合または2価の有機基を示し、pは0以上の正の整数を示す。)
  3. 残りのプロトン伝導膜が、
    ポリスチレン、ポリフェニレン、ポリアゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびポリフェニレンオキシド(PPO)からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー骨格を有し、かつスルホン酸基を有するものからなることを特徴とする請求項1または2記載の複合膜。
  4. スルホン酸基を含有するポリアリーレン系重合体からなるプロトン伝導膜と、残りのプロトン伝導膜とを接着させるに際して、アルコール系溶媒または非プロトン性極性溶媒に溶解したパーフルオロアルキル基を有さないプロトン伝導性重合体を接着剤として使用することを特徴とする複合膜の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006054080A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Hitachi Chem Co Ltd 炭化水素系ポリマーを含有する電解質層を用いた多層電解質膜、これを用いた膜−電極接合体、この製造方法及びこれを用いた燃料電池
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