JP4180562B2 - 電子写真感光体の製造方法および塗膜の乾燥方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法および塗膜の乾燥方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法および塗膜の乾燥方法に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に用いられる電子写真感光体(以後、単に感光体とも呼ぶ)は、中空円筒状の導電性基体の外周面に有機の感光層が塗布されて形成される。電子写真感光体の多くは、高性能化の要求に応じて開発が重ねられ、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層などが積層されて積層構造を有する。本発明においては、下引層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層で構成される層を総称して感光層と呼ぶ。なお下引層および保護層は、電子写真感光体の性能向上のために設けられるものであって必須のものではないので、電荷発生層と電荷輸送層との2層からなる層および電荷発生層と電荷輸送層とが1層で構成される層についても感光層と呼ぶ。
電子写真感光体を用いる画像形成方法としては、以下のような感光体の光導電現象を利用した電子写真方式の画像形成方法が広く用いられている。まず感光体を暗所に置き、帯電手段によって感光体の表面を一様に帯電させた後、画像情報に対応する露光を行い、露光部の表面電荷を選択的に放電させる。これによって、感光体の非露光部のみに表面電荷が残存する状態となり、露光部の表面電荷量と非露光部の表面電荷量とに差異が生じ、静電潜像が形成される。次に、形成された静電潜像に、トナーと呼ばれる着色された荷電微粒子を静電引力などによって付着させ、可視像であるトナー像を形成する。形成されたトナー像を必要に応じて紙などの転写材上に転写し、定着させることによって画像を形成する。
以上の一連の電子写真プロセスを経て画像を形成する画像形成装置に用いられる感光体には、基本的な特性として、電気特性に優れること、たとえば、電荷保持能力に優れ、暗所での電荷の放電が少ないこと、光感度に優れ、光照射によって速やかに電荷を放電することなどが要求される。また感光体には、長期にわたって均質な画像を形成することができるように、繰返し使用がされても前述の電気特性が安定していること(繰返し安定性)、温度、湿度の変化があっても均質な画像を形成することができるように前述の電気特性が安定していること(環境安定性)なども求められる。繰返し安定性および環境安定性を高くするためには、電気的および機械的外力に対する耐久性を高めることが必要である。
電気的および機械的外力に対する耐久性には、たとえば、帯電時のコロナ放電によって発生するオゾン、NOx(窒素酸化物)などの活性物質の付着による表面層の劣化に対する耐久性、紙などの転写材によって転写時に発生する磨耗、傷などに対する耐磨耗性などがあり、これらは特に感光体の最表面層の表面状態によって決定される。たとえば、表面状態が平滑でなく、むらがある場合、転写時における摩擦力が表面層の一部で大きくなって表面損傷が発生するなどの問題が生じ、機械的外力に対する耐久性が低下する。また、たとえば表面層に空孔がある場合、帯電時に発生する活性物質が付着する表面積が増加して、電気的外力に対する耐久性が低下する。したがって、特に感光体の最表面の層を平滑とすることが、繰返し安定性および環境安定性を向上させるためには不可欠である。
電子写真感光体は、有機機能性材料、バインダ樹脂などの感光層の成分を溶媒に溶解または分散させた塗布液をスプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などによって導電性基体上に均一な厚さで塗布(以後、導電性基体上に塗布された塗布液を塗膜と呼ぶ)する塗布工程と、塗膜を乾燥させることによって塗膜に含まれる溶媒を除去する乾燥工程とを経て製造される。従来乾燥工程は、溶媒の沸点以上の温度の熱風を吹き付けるオーブン内に、塗膜が形成された導電性基体を一定数仕込んで乾燥させるバッチ式、複数のヒータが設置される熱処理炉内に、塗膜が形成された導電性基体を通過させる連続式などによって行われる。
しかしながら、上記のように熱風、ヒータなどによって塗膜の乾燥を行うと、塗膜の表面において熱風、ヒータからの熱などが直接当たる部分と間接的に当たる部分とが発生してしまい、塗膜表面に加熱むらが生じ、これによって乾燥後の塗膜の表面状態にもむらが生じる。また塗膜表面は、塗膜内部よりも先に乾燥されてしまい、乾燥による硬化によって表面が非常に緻密な硬化膜になる。このような硬化膜は、加熱され気化された塗膜内部の溶媒のガスを塗膜表面から抜け難くし、塗膜表面および内部に気泡、ピンホールなどの発生、塗膜表面に上層に塗布した塗膜を剥離させやすくする塗膜のはじきなどの欠陥を生じさせることがある。感光体の表面層にこのような欠陥があると、クラック、剥離などが生じやすくなり、電気的および機械的外力に対する耐久性が低下するので、良好な繰返し安定性および環境安定性を得ることができない。
また硬化膜は、塗膜内部の溶媒のガスを塗膜表面から抜け難くするので、塗膜内部について乾燥させる時間を極めて長くする。たとえば硬化膜を有する塗膜の熱風、ヒータなどによる乾燥には、1時間から数時間かかる。このように乾燥に長い時間を要すると、感光体を大量に生産するために生産ラインにおいて大型の連続乾燥炉、バッチ式オーブンなどが必要となるだけでなく、その運用および管理にも大きなコストがかかる。このような問題を解決するために乾燥時間を短くすると、塗膜内部に溶媒が残留してしまい、電気特性が低下する。
このような問題を解決する方法として、遠赤外ヒータを用いて塗膜の構成材料そのものに遠赤外線を吸収させて加熱し塗膜を乾燥する方法(たとえば、特許文献1〜3参照)、高周波または誘電加熱を用いて塗膜の構成材料分子を振動させて加熱し塗膜を乾燥する方法(たとえば、特許文献4参照)、金属製の導電性基体を誘導加熱によって加熱し、導電性基体からの発熱によって塗膜を乾燥する方法(たとえば、特許文献5参照)などが提案されている。
特許文献1〜5に開示される塗膜の乾燥方法は、塗膜材料そのものを直接的に加熱し、または導電性基体を加熱することによって塗膜内部を間接的に加熱し乾燥させる方法であるので、加熱むらを少なくすることができるとされる。またこのような方法では、塗膜の内部から乾燥させることができ、塗膜表面に硬化膜を発生しにくいので、塗膜内部についても溶媒を除去して乾燥できるとともに、乾燥時間を短くすることができるとされる。
しかしながらこれらの乾燥方法では、熱風、ヒータなどによる加熱方法と比べて熱効率が非常に高く、塗膜の温度が急激に上昇してしまうことがあり、塗膜の温度の管理が難しい。塗膜の温度が急激に上昇してしまうと、塗膜の温度が感光体の耐熱温度以上に上昇して感光体の電気特性が低下したり、溶媒の沸点を超えて塗膜が加熱されて気泡が多量に発生したりするという問題がある。また上記加熱方法による直接の加熱対象は、塗膜または導電性基体であるので、塗膜周辺の雰囲気の温度は、塗膜または導電性基体の温度上昇のみによって上昇する。したがって、前述のように塗膜の温度が急激に上昇してしまうと、雰囲気の温度上昇が塗膜の温度上昇に追いつかず、雰囲気と塗膜との温度差が大きくなり過ぎてしまう。塗膜内部で気化した溶媒のガスは、塗膜表面から抜けようとする過程において塗膜表面近傍で滞留する。塗膜と雰囲気との間の温度差が大きくなると、この滞留した溶媒のガスが塗膜表面から雰囲気中に抜ける際に再液化して塗膜表面にむらを生じさせることがある。また、再液化した溶媒のガスを乾燥させるためにさらに時間を要するので、乾燥時間が延長されるという問題も生じる。
特開平3−233885号公報 特公平5−50742号公報 特開平11−311871号公報 特開昭58−102238号公報 特開2003−275670号公報
本発明の目的は、感光層を形成する塗膜として、ピンホール、気泡、表面のむらなどのない平滑な塗膜を短時間で形成することができる電子写真感光体の製造方法および塗膜の乾燥方法を提供することである。
本発明は、導電性基体と感光層とを含む電子写真感光体の製造方法において、
感光層の成分と溶媒とを含む塗布液を導電性基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
加熱手段と送風手段とが交互に設けられた一対のベース基板間を、加熱手段により少なくとも誘導加熱法で加熱し、送風手段により温度が50℃以上130℃以下の気流を供給し、軸線方向が水平方向に平行になるように円筒形状の導電性基体を保持し、導電性基体を軸線周りに回転させながら一定速度で搬送して形成された塗膜を乾燥させる乾燥工程とを含み、
酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、
前記溶媒中には、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
また本発明は、前記乾燥工程では、
形成された塗膜を、温度が50℃以上130℃以下の気流中で誘導加熱法および遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させることを特徴とする。
また本発明は、導電性基体が円筒形状であり、
前記乾燥工程は、
導電性基体を軸線方向が水平方向に平行になるように保持し、導電性基体を軸線周りに回転させながら行われることを特徴とする。
また本発明は、前記乾燥工程では、
前記加熱法による加熱出力、気流の温度および気流の風量から選択される1つ以上を、塗膜の温度に応じて調整することを特徴とする。
本発明によれば、塗膜を形成する塗布液の溶媒中には、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれる。50℃以上130℃以下の気流中において少なくとも誘導加熱法によって加熱して塗膜を乾燥し、該塗膜を感光層とする電子写真感光体が形成される。乾燥工程は、加熱手段と送風手段とが交互に設けられた一対のベース基板間を、加熱手段により少なくとも誘導加熱法で加熱し、送風手段により温度が50℃以上130℃以下の気流を供給し、軸線方向が水平方向に平行になるように円筒形状の導電性基体を保持し、導電性基体を軸線周りに回転させながら一定速度で搬送して形成された塗膜を乾燥させる。このような常温よりも高温の気流中で乾燥工程を行うことによって、乾燥の初期段階では塗膜の昇温を加速して乾燥を短時間で行うことができる。またこのような塗膜の加熱のために設定される温度よりも低い温度の気流中で乾燥工程を行うことによって、塗膜の温度が急激に上昇するのを防止することができる。したがって、塗膜の温度が電子写真感光体の耐熱温度以上に上昇することを防ぎ、電子写真感光体としての電気特性の低下を防止できる。また塗膜の温度が溶媒の沸点を超えて上昇するのを防ぐことができるので、気泡の発生などが防止されて平滑な塗膜を感光層として有する電子写真感光体を製造することができる。
また乾燥工程が少なくとも誘導加熱法によって加熱することによって行われるので、乾燥の初期段階において短時間で塗膜温度を上昇させることができる。また、塗膜を内部から乾燥させることができるので、短時間での乾燥が可能になるとともに塗膜表面の硬化膜が形成されにくくなる。以上のように、内部の溶媒についても充分に除去することができるので、電子写真感光体の電気特性低下を防止することができるとともに、短時間で感光層を形成する塗膜の乾燥を行うことができる。
さらに塗布液中の溶媒として、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれる。このような溶媒を用いると、塗布液中の溶媒の蒸発速度が緩やかになるので、塗布工程中および塗布工程から乾燥工程へ移るまでの間に、また、乾燥工程で常温よりも高温の気流中に置かれても、塗膜表面が塗膜内部に比べて急速に乾燥することを防止でき、塗膜表面での硬化膜の形成を防止することができる。
以上のように、感光層を形成する塗膜として平滑な塗膜を有する電子写真感光体を短時間で製造することができる。
また本発明によれば、乾燥工程では、形成された塗膜を、温度が50℃以上130℃以下の気流中で誘導加熱法および遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させる。これによって、塗膜を内部から乾燥させることができるので、短時間での乾燥が可能になるとともに塗膜表面に硬化膜が形成されるのを防止することができる。
また本発明によれば、軸線が水平になるように保持される円筒形状の導電性基体を軸線周りに回転させながら乾燥工程が行われるので、温度上昇によって粘度が低下し流動性が増加した塗布液が重力によって導電性基体をつたって重力方向に垂れることを防止でき、円筒形状の導電性基体の円周方向および軸方向の膜厚を均一にすることができる。また、たとえば遠赤外線法によって加熱を行う場合、遠赤外線の当たらない部分においては加熱されないので、円筒形状の導電性基体を軸線周りに回転させることによって加熱むらの発生を防止し、乾燥後の塗膜表面のむらを低減することができる。
また本発明によれば、前記加熱法による加熱出力、気流の温度および気流の風量が、塗膜の温度に応じて調整されるので、塗膜の温度管理が容易となる。具体的には、塗膜の温度が、電子写真感光体の耐熱温度および溶媒の沸点のいずれか低いほうの温度よりも低い温度であって、なるべく高い温度である設定温度になるまでは、前記熱法による加熱出力をできるだけ大きく、また気流の温度を高くして、設定温度になるまでの時間を短縮する。塗膜の温度が設定温度に達すると、塗膜がその温度を超えないように、加熱出力を初期段階よりも小さくして、気流の温度を低くする。気流の風量は気流の温度に応じて適宜調整する。このように加熱出力、気流の温度および気流の風量を調整することによって、塗膜の温度が上昇し過ぎるのを防ぐことができるとともに、乾燥に要する時間の短縮化を図ることができる。
電子写真感光体(以後、単に感光体とも呼ぶ)は、導電性基体と感光層とを含み、有機機能性材料、バインダ樹脂などの感光層の成分を溶媒に溶解または分散させた塗布液を導電性基体上に均一な厚さで塗布する塗布工程と、塗布された塗布液中に含まれる溶媒を除去することによって乾燥させる乾燥工程とを経て製造される。なお本発明において、導電性基体上に塗布された塗布液を塗膜と呼ぶ。また、有機機能性材料、バインダ樹脂などの感光層の成分を溶解または分散しうる性質の液体全体を溶媒と呼び、溶媒を構成する1種または2種以上の物質を溶剤と呼ぶ。
本発明の感光体の製造方法は、感光層の成分と溶媒とを含む塗布液を導電性基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、形成された塗膜を、温度が50℃以上130℃以下の気流中で遠赤外線加熱法、マイクロ波加熱法、誘電加熱法および誘導加熱法のうちから選択される1つ以上の加熱方法によって加熱することによって乾燥させる乾燥工程とを含み、酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、前記溶媒中には相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする。
電子写真感光体は、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層などが積層された積層構造を有する。本発明においては、下引層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層で構成される層を総称して感光層と呼ぶ。なお下引層および保護層は、電子写真感光体の性能向上のために設けられるものであって必須のものではないので、電荷発生層と電荷輸送層との2層からなる層および電荷発生層と電荷輸送層とが別個に設けられずに1層で構成される層についても感光層と呼ぶ。
本発明の製造方法によって製造される電子写真感光体は、特に限定されるものではなく、種々の変形が許容される。このような感光体としては、たとえば、導電性基体の上に電荷発生層と電荷輸送層とが形成されるものであってもよく、導電性基体の上に下引層が形成され、その上に電荷発生層と電荷輸送層とが形成されるものであってもよく、また電荷発生層と電荷輸送層との上に保護層が形成されるものであってもよい。
以下本発明の製造方法によって製造可能な感光体の導電性基体と、感光層の各層を形成するための感光層の成分および塗布液とについて説明する。
導電性基体としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料を用いることができる。導電性基体としては、これらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどの表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、炭素粒子、金属粒子などの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。ただし、加熱源として少なくとも誘導加熱を用いる場合は金属材料が最も適する。また、導電性基体の表面には、必要に応じて、感光体として使用した際に形成される画像の画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を行ってもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、入射するレーザ光の波長が揃っているので、入射するレーザ光と電子写真感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥が発生することがある。導電性基体の表面に上記のような乱反射処理を行うことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
電荷発生層、電荷輸送層、下引層、保護層などの感光層は、感光層の各成分が分散または溶解した溶媒を塗布液として導電性基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程によって形成される。それぞれの層は、塗布工程で形成された後、必要に応じて乾燥工程に供される。乾燥工程については後ほど詳述する。
電荷発生層は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。電荷発生物質としては、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などのアゾ系顔料、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどのトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシンなどのアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーンなどのチアジン系色素、カプリブルー、メルドラブルーなどのオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素などの種々の有機顔料、染料、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生物質を溶解または分散して得られる電荷発生層形成用塗布液、中でも結着剤であるバインダ樹脂を溶媒中に溶解または混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質を公知の方法によって分散して得られる塗布液を、導電性基体上または下引層上に塗布することによって形成される。
電荷発生層形成用塗布液に用いられるバインダ樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、およびこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる樹脂を用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。共重合体樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂としては、前述のものに限定されることなく、一般に用いられる公知の樹脂を使用することができる。
電荷発生物質およびバインダ樹脂を溶解または分散しうる溶媒に用いられる溶剤としては、たとえば、1,3−ジクロロプロパン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸n−ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジフェニルスルフィドなどの含硫黄溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグライム系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で使用することができ、2種以上混合した混合溶剤として用いることもできる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生層全体の重量を100%とするとき、電荷発生物質が10重量%以上99重量%以下の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質が10重量%未満であると、感光体の感度が低下する恐れがある。電荷発生物質が99重量%を超えると、電荷発生層の強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少するので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生する。
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質を分散させる前処理として、電荷発生物質を粉砕機によって予め粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが望ましい。
さらに電荷発生層には、必要に応じてホール輸送材料、電子輸送材料、酸化防止剤、分散安定剤、増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。このことによって、電位特性が向上するとともに、塗布液としての安定性を向上させることができる。また電子写真感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、スプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などを挙げることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下する恐れがある。電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が電子写真感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する恐れがある。
次に、電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質を、バインダ樹脂中に含有させることによって得られる。電荷輸送層は1層に限定されることなく、2層以上の構成にしてもよい。このように多層とすることによって、電荷輸送層の必要な機能を別々の層に担わせることができ、1層で構成する場合よりも材料の幅が広がる。また同一層内での各種材料の相性を考慮する必要がほとんどなくなるので、高機能な感光体を容易に提供できる。
電荷輸送物質としては、ホール輸送物質および電子輸送物質を用いることができる。ホール輸送物質としては、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセン、ポリシランなどが挙げられる。
電子輸送物質としては、たとえば、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタール酸誘導体、ジフェノキノン誘導体などの有機化合物、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料が挙げられる。電荷輸送物質は、上記に挙げたものに限定されることなく、その使用に際しては単独または2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送層は、電荷発生層と同様に、溶媒中に電荷輸送物質を溶解または分散して得られる電荷輸送層形成用塗布液、中でも結着剤であるバインダ樹脂を溶媒中に溶解または混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷輸送物質を公知の方法によって溶解または分散して得られる塗布液を、電荷発生層上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層のバインダ樹脂には、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが選ばれる。バインダ樹脂としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの樹脂を単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、また成膜性、電気特性などにも優れるので特に好ましい。
電荷輸送物質の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)は、12/10以上30/10以下(=1.2以上3.0以下)であることが好ましい。前記比率(B/A)が、30/10(=3.0)を超えてバインダ樹脂の含有比率が高くなると、電荷輸送層形成用塗布液の粘度が増大し、塗布速度低下を招き生産性が著しく悪くなる恐れがある。さらにこの粘度の増大を抑えるために電荷輸送層形成用塗布液中の溶剤の量を多くすると、形成された電荷輸送層に白濁が生じるブラッシング現象が発生する。また、前記比率(B/A)が、12/10(=1.2)未満となり、バインダ樹脂の比率が低くなると、バインダ樹脂の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、電荷輸送層の摩耗量が増加するので、耐久寿命が短くなる。ただし電荷輸送層が多層で構成される場合、この比率は各層の担う機能に応じて任意に変えることができる。
電荷輸送層には、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤、表面改質剤などの添加剤を添加しても良い。可塑剤としては、たとえばビフェニル、塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、各種フルオロ炭化水素、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤などが挙げられる。表面改質剤としては、シリコーンオイル、フッ素樹脂などが挙げられる。
また電荷輸送層には、機械的強度の増強および電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。さらに必要に応じて酸化防止剤および光安定剤のなどの各種添加剤を添加してもよい。このことによって、帯電時に発生するオゾン、NOxなどの活性物質の付着による電荷輸送層の劣化が軽減され、電子写真感光体を繰返し使用する際の耐久性を向上することができる。また、電荷輸送層形成用塗布液としての安定性が高まり、液寿命が延びるとともに、該塗布液で製造した電子写真感光体も、不純物が軽減されるので耐久性が向上する。
酸化防止剤および光安定剤としては、ヒンダードフェノール誘導体またはヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。ヒンダードフェノール誘導体は、電荷輸送物質の重量に対して0.001以上0.10以下の範囲の重量比で使用されることが好ましい。ヒンダードアミン誘導体は、電荷輸送物質の重量に対して0.001以上0.10以下の範囲の重量比で使用されることが好ましい。またヒンダードフェノール誘導体とヒンダードアミン誘導体とを混合して使用してもよい。この場合、ヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量が、電荷輸送物質の重量に対して0.001以上0.10以下の範囲の重量比であることが好ましい。
ヒンダードフェノール誘導体の使用量もしくはヒンダードアミン誘導体の使用量またはヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量が、電荷輸送物質の重量に対して重量比で0.001未満であると、電荷輸送層形成用塗布液の安定性の向上および電子写真感光体の耐久性の向上に充分な効果を発現することができない。また重量比で0.10を超えると、感光体の電気特性に悪影響を及ぼす。
電荷輸送層は、適当な溶剤からなる溶媒中に前記電荷輸送物質および前記バインダ樹脂、ならびに必要に応じて前述の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層形成用塗布液を調製し、この塗布液をスプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などで電荷発生層上に塗布することによって形成される。そして、形成された塗膜は直ちに乾燥工程に供され、その後必要に応じて保護層が設けられて電子写真感光体となる。
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,3−ジクロロプロパン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類、安息香酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含硫黄溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤からなる群などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また前述した溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層の膜厚が5μm未満であると、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下する恐れがある。電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、電子写真感光体の解像度が低下する恐れがある。
積層型感光体の場合、導電性基体上に形成された電荷発生層の上に電荷輸送層を積層してもよく、反対に導電性基体上に形成された電荷輸送層の上に電荷発生層を積層してもよい。また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層は、前述の電荷輸送層を形成する場合と同様の方法で形成される。たとえば、電荷発生物質と、電荷輸送物質であるホール輸送物質または電子輸送物質と、バインダ樹脂とを、前述の適当な溶剤からなる溶媒に溶解または分散させて感光層形成用塗布液を調製し、この感光層形成用塗布液を、前述した種々の塗布法によって塗布することによって形成される。単層型感光体の感光層の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層の膜厚が5μm未満であると、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。
また電子写真感光体には、前述のように導電性基体と電荷発生層および電荷輸送層との間に、下引層が設けられてもよい。下引層が設けられることによって、導電性基体から感光層への電荷の注入を防止することができるので、感光体の帯電保持能の低下を防ぐことができる。また下引層が形成された感光体を画像形成に用いると、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑制されるので、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止できる。さらに導電性基体表面の欠陥を下引層が被覆することによって、導電性基体表面を平滑にすることができるので、電荷発生層および電荷輸送層の成膜性を高めることができる。また電荷発生層および電荷輸送層の導電性基体からの剥離を抑え、導電性基体に対する接着性を向上させることができる。
下引層としては、各種樹脂材料からなる樹脂層、アルマイト層などが挙げられる。樹脂層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどを挙げることができる。
また下引層は、金属酸化物などの粒子を含有してもよい。これらの粒子を含有させることによって、下引層の体積抵抗値を調節し、導電性基体から感光層に対する電荷の注入をさらに抑制することができるとともに、温度、湿度などの変化があっても電子写真感光体の電気特性を維持することができる。金属酸化物粒子としては、たとえば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどの粒子を挙げることができる。下引層に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、たとえば、前述の樹脂が溶解した樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて下引層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体上に塗布することによって下引層を形成することができる。
樹脂溶液の溶媒としては、前述した有機溶剤の他に、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグライム系溶剤などを用いることができる。また、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤を用いることもできる。
金属酸化物粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを用いる一般的な方法を使用することができる。
下引層形成用塗布液中における樹脂と金属酸化物との合計含有量の重量をCとし、下引層形成用塗布液中における溶剤の含有量の重量をDとするとき、溶剤の含有量Dに対する樹脂と金属酸化物との合計含有量Cの比率(C/D)は、1/99以上40/60以下(=0.01以上0.67以下)であることが好ましく、より好ましくは2/98以上30/70以下(=0.02以上0.43以下)である。
また下引層形成用塗布液中における金属酸化物含有量(重量F)に対する樹脂含有量(重量E)の比率(E/F)は、1/99以上90/10以下(=0.01以上9.0以下)であることが好ましく、より好ましくは5/95以上70/30以下(=0.05以上2.33以下)である。
下引層の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。下引層の膜厚が0.01μm未満であると、実質的に下引層として機能しなくなり、導電性基体の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができない。また導電性基体から感光層に対する電荷の注入を防止することができなくなるので、感光層の帯電性の低下が生じる。下引層の膜厚が20μmを超えると、下引層を均一に形成することが難しく、また電子写真感光体の感度も低下するので好ましくない。
下引層形成用塗布液の塗布方法としては、スプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などを挙げることができる。塗布した下引層の塗膜は、乾燥工程に供されるか、あるいは特別な乾燥処理を行わず次の電荷発生層塗布工程に供される。
また、電荷発生層および電荷輸送層の外周に保護層が設けられてもよい。保護層を設けることによって、電子写真感光体の耐磨耗寿命を向上させることができるとともに、電子写真感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、NOxなどの感光層に対する化学的悪影響を防止することができる。
保護層としては、たとえば硬化型樹脂、無機フィラー含有樹脂、無機酸化物などからなる層が用いられる。保護層に使用される樹脂としてはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。
保護層に添加されるフィラーとしては、たとえば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、硫酸バリウム、インジウム−スズ酸化物(ITO)、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、カーボンブラック、フッ素系樹脂微粉末、ポリシロキサン系樹脂微粉末、高分子電荷輸送材料微粉末などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのフィラーは、分散性向上、表面性改質などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。このような表面処理のうち撥水性処理したフィラーとしては、シランカップリング剤で処理したもの、フッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸で処理したもの、高分子材料などと共重合処理させたものなどが挙げられる。また無機物で処理されたものとしては、たとえば、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカなどで処理したものなどが挙げられる。
また保護層中には、ホールまたは電子を効率よく輸送することを目的に、前述した電荷輸送物質であるホール輸送物質または電子輸送物質を添加してもよい。また、帯電性の向上などを目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールとが同一分子中に存在する化合物などを添加することもできる。さらに、可塑剤および/またはレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、たとえば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの、一般に樹脂の可塑剤として使用されているものを用いることができる。可塑剤の使用量としては、前記樹脂に対して0.1重量%以上30重量%以下が適当である。レベリング剤としては、たとえば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、オリゴマーなどが使用できる。レベリング剤の使用量としては、前記樹脂に対して、0.001重量%以上1重量%以下が適当である。
また、保護層を少なくとも硬化型樹脂を含む層で構成するためには、材料の分野で公知である種々の架橋反応、たとえば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合などを用いることができる。また、表面エネルギの低い硬化した保護層を実現させるために、公知の方法でシリコーン構造、パーフルオロアルキル構造、長鎖アルキル構造などを有する材料を架橋反応させてもよい。
前述のように保護層に電荷輸送機能を併せて持たせるために、電荷輸送機能を有する物質または高分子型電荷輸送物質を架橋反応させてもよい。このような保護層として、たとえば、架橋性オルガノポリシロキサン樹脂と、それに結合可能でかつ電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物とを混ぜて硬化させたポリシロキサン樹脂からなる層が用いられることによって、優れた耐久性と電気特性とを有する保護層を実現することができる。
保護層は、適当な溶剤からなる溶媒中に前記樹脂ならびに必要に応じて前述のフィラーなどの添加剤を溶解または分散させて保護層形成用塗布液を調製し、この塗布液をスプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などで電荷輸送層などの上に塗布することによって形成される。そして、形成された塗膜は乾燥工程に供される。
保護層形成用塗布液の溶媒に用いられる溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグライム系溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族有機溶剤、ベンゼン、ピリジンなどの芳香族有機溶剤、水などを用いることができ、これらの中でも水、アルコール類およびグライム系溶剤が好ましい。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。なお保護層形成物質と保護層の下に設けられる下層の形成物質とが同じ溶剤に可溶である場合、導電性基体から遠い方の層として形成される保護層は、ロールコーティング法によって下層の上に塗布されることが好ましい。
保護層の膜厚は、0.5μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上3μm以下である。保護層の膜厚が0.5μmより薄いと、ブレードまたは帯電ローラの接触などによる外力を受けたとき、保護層が下層との界面から剥離しやすくなる。これは、保護層の膜厚が薄い場合、外力をうけた時に保護層自体では抗し切れずに下層との界面に常時力が負荷され、それが長期にわたると負荷されている力によって界面にずれが生じやすくなるためであると考えられる。また保護層の膜厚が薄いと、摩耗により保護層すべてが電子写真感光体の寿命前に消失する可能性がある。保護層の膜厚が5μmよりも厚いと、キャリアが保護層内を移動する過程において拡散するので、文字太りなどが生じやすくなり、感光体の感度低下および繰返しによる残留電位上昇が起こる恐れがある。
なお、前述のように電荷輸送層に必要に応じて用いられる酸化防止剤および/または光安定剤は、電荷発生層および電荷輸送層と保護層とのいずれに含有されてもよく、また3層すべてに含有されてもよい。
以上のように導電性基体上に塗布されて形成される各層は、必要に応じて乾燥工程に供される。本来は、導電性基体上に形成されるすべての層が乾燥工程に供されることが好ましいけれども、乾燥工程に要するコストなどの面から、選択される1つ以上の層が乾燥工程に供されればよい。乾燥工程に供されない層には、特別な処理が行われることなく、たとえば室温で1時間放置されて、次の層が塗布される。
なお、選択される1つ以上の層について乾燥が行われる場合、選択される層は少なくとも最表面の層を含むことが好ましい。最表面層の表面状態にむらがあり平滑でない場合、電気的および機械的外力に対する耐久性が低下してしまい、繰返し安定性および環境安定性が低下してしまうからである。ここで最表面層が保護層である場合、保護層は他の層と比較して薄いので、保護層の表面状態は保護層の下層の表面状態によっても影響を受けやすい。したがって保護層の下層についても乾燥工程に供されることが好ましい。
感光体の感光層を形成する塗膜の乾燥工程とは、種々の塗布方法によって塗布した塗膜中の溶媒を、実質的にそのほとんどすべてを蒸発させ、またその工程内で塗膜中の気泡の発生を抑えつつ、塗膜が平滑な表面を有するように処理する工程である。現在、その多くは熱風乾燥炉を用いて行われているけれども、熱風乾燥の場合、熱は塗膜表面から伝導していくので、まず塗膜表面が乾燥し始め、塗膜表面が乾燥硬化し、硬化膜を形成してしまう。このように表面に緻密な硬化膜が形成されると、塗膜内部で気化した溶媒が非常に抜け難くなり、乾燥に1時間から数時間と、非常に長い時間が必要となってしまう。したがって、このような硬化膜を形成しないように、短時間で乾燥を行える方法が求められる。
なお本発明においては、感光層が乾燥工程に供される場合、感光層の成分が分散または溶解した溶媒を塗布液として導電性基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程において、溶媒として、前述した溶剤の中でも、酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率である該溶剤の相対蒸発速度、すなわち下記式(1)に示す相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれるものを用いる。
(相対蒸発速度)
=(酢酸n−ブチルが蒸発する時間)/(溶剤が蒸発する時間) …(1)
相対蒸発速度1.7以上の蒸発速度が大きい溶剤のみの場合、乾燥の初期段階における高温の気流によって塗膜表面が乾燥硬化し、塗膜内部の溶媒が乾燥しにくくなる。そこでこのように相対蒸発速度が1.7未満の蒸発速度が小さい溶剤を溶媒中に30%以上含有させることによって、塗膜表面は硬化せず、塗膜内部の溶媒を効率的に拡散気化させることが可能となる。またこのような溶媒が用いられると、乾燥工程で常温(25℃)よりも高温の雰囲気下に置かれても、また、塗布工程中および塗布工程から乾燥工程へ移るまでの間にも、塗膜表面が塗膜内部に比べて急速に乾燥することを防止でき、塗膜表面における硬化膜の形成を防止することができる。したがって、塗膜表面が乾燥硬化する前に内部の溶媒を効率よく乾燥させることができる。
相対蒸発速度が1.7未満の溶剤のさらに好適な含有量としては、乾燥工程に供する時間、溶剤の種類などによって適宜選択することができる。相対蒸発速度が1.7未満の溶剤の含有量が多いほど、塗膜表面の硬化膜の形成を防止することができるので良好である。しかしながら、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの極めて蒸発しにくい溶剤を単独で使用すると、蒸発速度が小さくなりすぎる恐れがある。このような極めて蒸発速度が小さい溶剤を用いる場合、短時間での乾燥を行うために、相対蒸発速度が大きい溶剤をある程度混合するほうが好ましい。表1に代表的な溶剤の相対蒸発速度を示す。
Figure 0004180562
図1は、本発明の感光体の製造方法に用いられる乾燥装置1の構成を簡略化して示す側面図である。乾燥装置1は、導電性基体5上に塗布される塗膜に遠赤外線を照射する遠赤外線加熱手段2と、誘導加熱によって導電性基体5を加熱する電磁誘導加熱手段3と、温風を供給するための送風ノズル4と、乾燥させる塗膜が形成される円筒状の導電性基体5を回転させる回転手段6とを含んで構成される。
遠赤外線加熱手段2は、不図示の出力電源を備え、導電性基体5上に塗布される塗膜に遠赤外線を照射して塗膜を加熱する加熱手段である。遠赤外線加熱手段2としては、たとえば、セラミックヒータ、シーズヒータ、ハロゲンランプヒータ、石英管ヒータなどを用いることができる。これらの中でも、寿命が長く、ヒータの形状を容易に変えることのできるセラミックヒータが特に好ましい。また遠赤外線加熱手段2は、導電性基体5上に塗布される塗膜を均一に加熱するために、円筒形状の導電性基体5の軸方向よりも長く設けられる。遠赤外線加熱手段2の導電性基体5を臨む側の反対側には、不図示の反射板が設けられる。反射板は、加熱された塗膜の熱の外部への放出を防止し、エネルギ効率を高めることができる。塗膜に照射する遠赤外線としては、4〜1000μmの波長のものを使用することができる。また遠赤外線は、塗膜中の溶媒が有機化合物である場合、溶媒への吸収率が高い4〜25μmの波長の領域で最大エネルギを有することが好ましい。
電磁誘導加熱手段3としては、たとえば、平板型の誘導コイルなどを用いることができる。電磁誘導加熱手段3は、不図示の出力電源からコイルに電流を流し、該電流によって磁界を発生させる。導電性基体5には、コイルによって発生した磁界を打ち消すように渦電流が流れる。電磁誘導加熱手段3は、このように導電性基体5に電流を流し、該渦電流の損失によって生じる熱を利用して導電性基体5を発熱させる。電磁誘導加熱手段3の導電性基体5を臨む側の反対側には、不図示の反射板が設けられる。反射板は、遠赤外線加熱手段2の導電性基体5を臨む側の反対側に設けられる反射板と同様に、加熱された塗膜の熱の放出を防止し、エネルギ効率を高めることができる。導電性基体5への加熱は、電磁誘導加熱手段3に与えられる加熱出力および周波数、導電性基体5の材質、厚さなどによって決定される。たとえば、導電性基体5として厚さが1mm程度のアルミニウム製の円筒状導電性基体を用いる場合、導電性基体5を最も効率よく加熱するためには、電磁誘導加熱手段3に与えられる高周波が6.5〜250MHzであることが好ましい。
本発明の感光体の製造方法に用いられる乾燥装置1では、加熱が遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3によって行われる。遠赤外線加熱手段2は、塗膜内部の溶媒を加熱するものであり、電磁誘導加熱手段3は、導電性基体5を加熱し、その発熱を塗膜に伝えることで塗膜を加熱するものである。このような加熱手段を用いると、塗膜を内部から乾燥させることができるので、短時間での乾燥が可能になるとともに塗膜表面に硬化膜が形成されるのを防止することができる。
乾燥装置1に備えられる送風ノズル4は、導電性基体5に塗布される塗膜に対して50℃以上130℃以下の気流を供給する。送風ノズル4としては、たとえば、ブロワー、エアーシャワーなどが用いられる。送風ノズル4には、気流を濾過することによって清浄な気流を導電性基体5に供給する不図示のヘパフィルターが設けられる。ヘパフィルターは、送風ノズル4から導電性基体5に供給される気流中のほこり、ちりなどの異物を除去し、これらが塗膜に付着するのを防止し、感光体として使用する際に発生する画像欠陥を防止する。送風ノズル4から供給される気流の風速は、1m/min以上100m/min以下であることが好ましく、5m/min以上50m/min以下であることがさらに好ましい。風速が1m/min未満であると、導電性基体5に供給される気流が少なく、温度制御および気化した塗膜中の溶媒の排出が困難となる。風速が100m/minを超えると、気流の力によって未乾燥の塗膜形状が変化し、乾燥後の塗膜としてもむらが生じてしまう。また送風ノズル4から供給される気流の風量は、温度制御および気化した塗膜中の溶媒を排出するために0.1m/min以上10m/min以下であることが好ましい。風量が0.1m/min未満であると、導電性基体5に供給される気流が少なく、温度制御および気化した塗膜中の溶媒の排出が困難となる恐れがある。風量が10m/minを超えると、気流による冷却効果によって塗膜温度が上がりにくくなる恐れがある。
このような送風ノズル4を備える乾燥装置1を用いると、気流の温度が50℃以上130℃以下と常温よりも高温の気流中で乾燥工程が行われるので、乾燥の初期段階において塗膜の昇温を加速させることができ、乾燥を短時間で行うことができる。
感光体の乾燥工程において溶媒が蒸発する際、溶媒の蒸気が塗膜から外部に放出されるけれども、塗膜表面近傍の雰囲気が飽和蒸気量まで達すると、塗膜からの溶媒の蒸発が止まるだけでなく、再液化が生じるという問題が生じている。このことによって塗膜表面を部分的に溶解するためむらが発生し、またこれらの蒸気が対流のみで拡散させる必要があるので、乾燥時間も長時間となってしまう。
本発明の感光体の製造方法では、送風ノズル4から導電性基体5上の塗膜に気流を供給しながら、導電性基体5上の塗膜を遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3によって加熱する。このような気流中で乾燥が行われると、塗膜からの溶媒蒸気を効率的に外部に放出できるので、効率よく乾燥を行うことができ、表面のむらを発生しない。
さらに、本発明の加熱方法は上述のように、塗膜周囲の雰囲気を加熱せず塗膜自体または導電性基体を直接加熱するので、非常に熱効率がよい。しかしながらその反面、塗膜温度が急激に上昇してしまうので温度制御が難しい。ここで、塗膜の設定乾燥温度よりも低い温度の気流があると、塗膜の温度上昇が気流温度以上では緩和されるので、塗膜の温度制御が容易になる。したがって、気流の温度を50℃以上130℃以下に適宜設定することによって、塗膜の温度が感光体の耐熱温度、中でも比較的耐熱温度の低い電荷発生物質の耐熱温度以上および溶媒の沸点を超えて上昇することを防止することができ、電子写真感光体の電気特性の低下および塗膜表面および内部の気泡の発生を防止することができる。
なお、気流の温度が50℃未満であると、塗膜の温度上昇が遅くなって短時間での乾燥が困難となる。このような気流中で塗膜の乾燥を短時間で行うために加熱出力を大きくすると、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3は塗膜内部から加熱する手段であるので、塗膜表面においては適温となっていても内部の温度が上昇し過ぎてしまうことがある。塗膜中の溶媒の沸点を超えて加熱が行われると、気泡が多量に発生し、塗膜にむらが発生する。感光体の耐熱温度以上の温度で加熱が行われると、特に電荷発生物質の性質が劣化し、感光体としての電気特性を低下させる。
気流の温度が130℃を超えると、熱風乾燥と同様の状態となり、塗膜内部の溶媒が蒸発する前に塗膜表面が乾燥し硬化するので、塗膜内部に溶媒が残存する恐れがある。またこの気流中で塗膜を加熱すると、塗膜の温度が高くなりすぎて、塗膜内部の温度が上昇し過ぎる場合と同様の問題が発生する。
乾燥装置1に備えられる回転手段6は、軸線が水平になるように円筒形状の導電性基体5を保持するとともに、不図示のモータによって導電性基体5を軸線周りに回転させる。導電性基体5と遠赤外線加熱手段2との距離および導電性基体5と電磁誘導加熱手段3との距離は、塗膜の構成材料(特に溶媒中の溶剤)の種類、加熱手段からの加熱出力に応じて適宜設定される。
乾燥装置1に、塗膜を形成した円筒形状の導電性基体5を導入すると、塗膜の温度が上昇するに従って、塗膜の粘度が低下し流動性が増す。塗膜の流動性が増加すると、導電性基体5をつたって重力方向に塗膜が垂れてしまい、導電性基体5の円周方向の膜厚が不均一となってしまう。本発明の製造方法で用いる乾燥装置1では、この円筒形状の導電性基体5を軸線方向が水平方向と平行となるように保持しつつ軸線周りに回転させることによって、塗膜に対する重力の影響を均一化でき、円周方向の膜厚を均一にして乾燥を行うことができる。また、乾燥装置1では、導電性基体5の遠赤外線加熱手段2から照射される遠赤外線が当たらない部分は加熱されない。しかしながら、回転手段6によって導電性基体5を回転させることによって、導電性基体5全体の加熱むらを防ぐことができ、全体を均一に加熱することができる。なお、回転手段6による導電性基体5の回転数は、毎分1回転以上500回転以下であることが好ましく、毎分5回転以上200回転以下であることがさらに好ましい。毎分1回転未満であると、回転させる効果が得られず、塗膜の垂れがおこって塗膜の厚みにむらが生じる。毎分500回転を超えると、遠心力によって塗膜が飛散してしまう。
また乾燥装置1には、塗膜の温度を測定する不図示の温度計と、温度計から測定される温度に応じて遠赤外線加熱手段2、電磁誘導加熱手段3および送風ノズル4を制御する不図示の制御手段とが備えられる。温度計としては、非接触の放射温度計などを用いることができる。制御手段は、中央処理装置(略称CPU)、チップ、集積回路などによって実現される。制御手段では、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3からの加熱出力を調整し、送風ノズル4から塗膜へ供給する気流の温度を調整する。
乾燥工程では、塗膜を乾燥させるのに好適な温度(感光体の耐熱温度未満かつ溶媒の沸点以下の温度であって、できるだけ高い温度)まで上昇させた後、その温度を保持して溶媒を気化させる。乾燥工程の初期段階において、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3による加熱は、塗膜および導電性基体の熱容量によって塗膜および導電性基体の温度上昇に費やされる。乾燥装置1に備えられる制御手段は、この乾燥工程の初期段階における遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3からの加熱出力を大きくする。このことによって塗膜および導電性基体の温度を短時間で上昇させる。また制御手段は、送風ノズル4から塗膜へ供給する気流の温度を高くするとともに、その風量を大きくする。このことによって、塗膜を乾燥させる雰囲気の温度を高め、塗膜の温度上昇に要する時間を短縮する。
ここで、この初期段階の加熱出力をそのまま維持し続けると、塗膜の温度が常に上昇することとなり、乾燥工程の途中段階において、感光体の耐熱温度以上に塗膜温度が上昇したり、塗膜中の溶媒の沸点を超えて塗膜温度が上昇したりしてしまう。感光体の耐熱温度以上に塗膜が加熱されてしまうと、耐熱温度の低い電荷発生物質の効果が発揮されないなどの問題が生じて感光体の電気特性が低下する。また、塗膜中の溶媒の沸点を超えて塗膜温度が上昇すると、溶媒が気泡を多量に発生して、塗膜表面に気泡、むらなどが生じる。したがって、乾燥装置1に備えられる制御手段は、塗膜温度が前記好適な温度に達した時点または達する直前に、それ以上の温度とならないように遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3からの加熱出力を初期段階よりも小さくする。
また制御手段は、送風ノズル4から塗膜へ供給する気流の温度を低くすることによって雰囲気の温度を低くし、またその気流の温度の程度によって気流の風量を適宜調整して塗膜の必要以上の温度上昇を防ぐ。なお、乾燥工程の途中段階においては、塗膜中の溶媒の乾燥が進み、塗膜中に残存する溶媒の量が減少することによって、溶媒を気化させるのに要する気化熱も減少する。したがって制御手段では、このことも考慮して加熱出力をさらに小さくし、送風ノズル4からの塗膜への供給気流温度をさらに低くする。気流の温度が塗膜温度よりも高い場合、気流の風量を大きくすると塗膜の温度上昇を促進し、風量を小さくすると温度上昇を緩やかに行うことができる。気流の温度が塗膜温度より低い場合、気流の風量を大きくすると塗膜の温度を低下させ、風量を小さくすると温度低下を緩やかに行うことができる。このように、気流の風量は、気流の温度と塗膜の温度とを考慮しつつ調整する必要がある。
乾燥装置1は、このような制御手段を備えるので、塗膜が前記好適な温度に達するまでの段階である乾燥工程の初期段階においては、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3からの加熱出力を大きくする。また、塗膜が前記好適な温度に達した段階または達する直前の段階である乾燥工程の途中段階においては、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3からの加熱出力を初期段階よりも小さくするように調整することができる。また同様に、乾燥工程の初期段階においては、送風ノズル4から塗膜へ供給する気流の温度を高くして、乾燥工程の途中段階においては、送風ノズル4から塗膜へ供給する気流の温度を低くするように調整することができる。
このように乾燥工程内において加熱手段の加熱出力および気流の温度、風量を変化させることによって、塗膜の温度を厳密に制御することができ、むら、剥離、クラックなどのない平滑性の良好な塗膜からなる感光層を有する感光体を極めて短時間で提供することができる。
なお、制御手段による制御は、遠赤外線加熱手段2、電磁誘導加熱手段3および送風ノズル4のすべてについて行われることが好ましいけれども、遠赤外線加熱手段2、電磁誘導加熱手段3および送風ノズル4から選択されるいずれか1つ以上について行われればよい。たとえば、送風ノズル4から供給される気流の温度および風量は一定とし、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3の加熱出力のみを調整するものであってもよい。また、加熱手段2および電磁誘導加熱手段3の加熱出力は一定であって、送風ノズル4から供給される気流の温度および風量が調整されるものであってもよい。
乾燥装置1の電磁誘導加熱手段3は、本実施形態においては平板型の誘導コイルであるけれども、導電性基体5への加熱を均一に行うために、中空円筒形状の導電性基体5の内部に備えられる構成、円筒形状の導電性基体5の周囲を覆うように備えられる構成であってもよい。
乾燥装置1の加熱手段としては、遠赤外線加熱手段2および電磁誘導加熱手段3を用いる構成に限定されることなく、マイクロ波加熱法および誘電加熱法の加熱方法を実現できる手段であってもよい。
マイクロ波加熱法および誘電加熱法は、加熱原理はどちらも同じである。これらの加熱法による加熱は、高周波の電圧を加えることによって、誘電体の分子中の双極子を電界の反転に追従させて激しく運動させ、この運動による摩擦熱によって発熱させるという原理で行われる。マイクロ波加熱法と誘電加熱法とは、使用する電磁波の周波数が異なる。マイクロ波加熱では、UHF(ultrahigh frequency)帯(300MHz〜3GHz)の電磁波を使用し、誘電加熱では、1〜200MHzの電磁波を使用する。これらのマイクロ波加熱および誘電加熱は、電磁波をサンプルにむらなく照射できるように設計された炉内で行われる。
なお、マイクロ波加熱および誘電加熱は、その加熱原理によって、アースされていない金属、導電体などのエッジ部分からスパークが発生する可能性がある。したがって、有機溶媒の乾燥をさせる際には充分な量の気流によって気化した溶剤を速やかに排出する必要がある。さらに加熱される物質は双極子のある誘電体のみであり、塗膜構成物質の固有の値である誘電正接tanδによって決定されるので、溶媒として使用する材料を選択する必要がある。したがって、本加熱法はtanδが大きな水を溶媒中に50%以上含んだ塗膜の乾燥に最適であり、水系の塗布液を使用する場合のある下引層、ゾルーゲル法を使用する保護層の乾燥に適している。
前述のように加熱手段としてマイクロ波加熱法によって加熱するマイクロ波加熱手段および誘電加熱法によって加熱する誘電加熱手段を用いる場合、その特性上、導電性基体からスパークが発生しやすく、このスパークによって発火、爆発などが起こることがある。またこのスパークの防止は難しいものとされている。本発明の製造方法に含まれる乾燥工程では、温度が50℃以上130℃以下である気流を塗膜に供給しながら塗膜の乾燥が行われるので、効率よく溶媒のガスを排出することができるとともに、気化、滞留した溶媒への引火、爆発を防止することができる。
遠赤外線加熱手段2の導電性基体5を臨む側の反対側および電磁誘導加熱手段3の導電性基体5を臨む側の反対側に設けられる反射板は、設けられなくてもよいが、これらが設けられることによってエネルギ効率を高めることができる。
本発明の方法で製造される感光体は、導電性基体の形状が円筒状のものだけに限定されることなく、円柱状のものであってもよく、またシート状のものであってもよい。導電性基体がシート状の場合、不図示の載置台に載置して、同様の方法で塗膜を加熱し、乾燥させることができる。
図2は、本発明の感光体の製造方法に用いられる乾燥装置11の構成を概略的に示す側面図である。図2に示す乾燥装置11は、本発明の製造方法に用いる乾燥工程を感光体の量産に適用する場合に最適である連続式の乾燥炉である。なお、図2において、導電性基体12が搬送される方向であるx方向および導電性基体12の軸線方向に垂直な方向をz方向と定義する。乾燥装置11は、軸線が水平に保持される円筒形状の導電性基体12を基準としてz方向に離隔して設けられる一対のベース基板13a,13bと、ベース基板13aに設けられる複数の加熱手段14aおよび複数の送風ノズル15aと、ベース基板13bに設けられる複数の加熱手段14bおよび複数の送風ノズル15bと、導電性基体12を軸線方向に回転させながら一対のベース基板13a,13b間をx方向に一定速度で搬送する不図示の移動手段とを備える。加熱手段14aおよび14bならびに送風ノズル15aおよび15bは、以下特定の加熱手段または送風ノズルを指定して説明する場合を除いて、アルファベットを省略して記載する。
加熱手段14は、遠赤外線加熱手段、マイクロ波加熱手段、誘電加熱手段および誘導加熱手段のうちから選択される1種または2種以上の加熱手段である。送風ノズル15は、前述の乾燥装置1に備えられる送風ノズル4と同様であるので説明を省略する。移動手段は、軸線方向が水平方向に平行になるように円筒形状の導電性基体12を保持し、導電性基体12を軸線周りに回転させながら一対のベース基板13a,13b間をx方向に一定速度で搬送する
このような乾燥装置11では、一対のベース基板13a,13bに設けられる加熱手段14および送風ノズル15の間を一定速度で導電性基体12が回転しながら移動し、導電性基体12に形成される塗膜を乾燥させる。このような乾燥装置11を用いると、複数の導電性基体12に形成される塗膜を短時間で乾燥することができるので、量産に適する。
なお、複数の加熱手段14および送風ノズル15は交互に設けられることが、塗膜の温度制御を容易にする面から好ましい。さらに、導電性基体12の進入口から出口までを、複数の加熱手段14および送風ノズル15からなるいくつかのユニットに分割し、そのユニットごとに加熱手段14の加熱出力および送風ノズル15の気流の条件を最適な条件とすることが好ましい。たとえば、進入口から塗膜温度が好適な温度になる位置までのユニットにおいては、加熱手段14からの加熱出力を大きく、送風ノズル15から供給する気流の温度を高くして、塗膜の温度の上昇を加速させて短時間での乾燥を図る。一方、塗膜温度が好適な温度となる位置から出口付近のユニットにおいては、加熱手段14からの加熱出力を小さく、送風ノズル15から供給する気流の温度を低くして、塗膜の温度が上昇し過ぎないようにする。このことによって、短時間で乾燥を終了させるとともに乾燥工程における加熱手段14および送風ノズル15の制御を容易とすることが可能となる。
以上のような塗膜の乾燥方法は、電子写真感光体の導電性基体上に形成される感光層の塗膜を乾燥する方法だけに限定されることなく、塗膜の成分と溶媒とを含む塗布液を基体上に塗布した塗膜を乾燥させる方法にも用いることができる。なお、誘導加熱法によって加熱を行う場合、基体としては導電性のものを用いる必要がある。
以下、本発明の実施例について説明する。
参考例1)
電荷輸送物質である下記構造式(2)で示される電荷輸送物質10重量部と、下記構造式(3)で示されるトリフェニルアミンダイマー(Triphenylamine dimer;略称:TPD:内標準物質)0.1重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)18重量部とを、シクロヘキサノン112重量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、ロールコーティング法によって板厚0.5mmのアルミニウム基板上に20μmの厚さで塗布して塗膜サンプルを得た。この得られた塗膜サンプルを直ちに、ヒータ温度240℃のセラミックヒータ(商品名:Y−1型、ヤマキ電器株式会社製)の直下10cmに設置し、温度80℃、風速10m/min、風量0.5m/minの気流を均一に塗膜サンプルに供給し、塗膜サンプルを15分間乾燥させた。
Figure 0004180562
Figure 0004180562
参考例2)
セラミックヒータを2450MHzのマイクロ波加熱(富士電波工機株式会社製実験機)に変え、塗膜サンプルを実験装置内にセットし、実効出力1.2kWで加熱した以外は、参考例1と同様にして塗膜サンプルを乾燥した。
(実施例
セラミックヒータを高周波誘導加熱装置(商品名:MU−1700B フラットタイプ加熱コイル付き、セキスイメディカル電子株式会社製)に変え、塗膜サンプルをコイルの上方にセットし、発振周波数320kHz、出力100Wで加熱した以外は、参考例1と同様にして塗膜サンプルを乾燥した。
参考
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒をトルエン72重量部、シクロヘキサノン40重量部(溶媒中のシクロヘキサノン含有率36重量%)とした以外は参考例1と同様にして塗膜サンプルを作製し乾燥した。
(比較例1)
セラミックヒータを130℃の熱風乾燥機(商品名:WFO−1001SD、東京理化器械株式会社製)に変えた以外は、参考例1と同様にして塗膜サンプルを乾燥した。
(比較例2)
気流を供給せずに加熱した以外は、参考例1と同様にして塗膜サンプルを乾燥した。
(比較例3)
気流を供給せずに加熱した以外は、参考例2と同様にして塗膜サンプルの乾燥を始めたけれども、基板部分にスパークが発生していることが確認され、気化、滞留した溶媒に引火、爆発の可能性があったので、塗膜サンプルの乾燥を中止した。
(比較例4)
気流を供給せずに加熱した以外は、実施例と同様にして塗膜サンプルを乾燥した。
(比較例5)
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒をトルエン112重量部とした以外は、参考例1と同様にして塗膜サンプルを作製し乾燥した。
(比較例6)
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒をトルエン84重量部、シクロヘキサノン28重量部(溶媒中のシクロヘキサノン含有率25重量%)とした以外は参考例1と同様にして塗膜サンプルを作製し乾燥した。
〔評価1〕
実施例1、参考例1〜3および比較例1〜6の塗膜サンプルの一部を切り出してアセトンで抽出し、その抽出液を高速液体クロマトグラフィー装置(商品名:Agilent1100シリーズ、横河アナリティカルシステムズ株式会社製)によって、TPDを内標準物質として、残存溶媒量を定量した。なお、残存溶媒量は塗膜中の固形分の重量に対する残存溶媒の重量の比率で表す。実施例、参考例および比較例の乾燥工程の条件および乾燥工程によって得られた塗膜の状態を表2に示す。
Figure 0004180562
熱風乾燥による乾燥を行った比較例1では乾燥後にも残存溶媒が10%以上残存していた。また、熱風による乾燥では、塗膜表面に加熱むらが生じることによって乾燥後の塗膜の表面状態にもむらが生じた。実施例1および参考例1,2で示す塗膜形成方法による乾燥工程では、遠赤外線加熱、マイクロ波加熱もしくは誘導加熱のような塗膜または基体を直接加熱する方法であったので、塗膜サンプル溶媒に使用した溶剤が、相対蒸発速度が1.7未満と小さいシクロヘキサノンであっても、15分程度の短い時間で塗膜サンプルの乾燥を行うことができた。また、得られた塗膜の表面も平滑で良好なものであった。
比較例2および4の結果から、遠赤外線加熱または誘導加熱のような加熱方法によって乾燥を行った場合であっても気流が供給されない状態であると、塗膜内部から気化した溶媒が塗膜表面近傍で滞留し、雰囲気との温度差によって再液化して乾燥に長時間を要した。乾燥後の塗膜についても、かなりの量の溶媒が塗膜中に残存してしまった。また比較例3のように気流のない状態でマイクロ波加熱によって乾燥を行うと、アルミニウム基板からスパークが発生し、滞留した溶媒ガスを発火・爆発させる可能性が生じたので、乾燥を途中で中止する結果となった。
また、参考のように相対蒸発速度の小さいシクロヘキサノンを溶媒中に30重量%以上含有させると、15分程度で塗膜サンプルをほぼ乾燥させることができた。一方、比較例5のような相対蒸発速度が1.7以上と大きいトルエンのみを溶媒として用いる場合、また比較例6のように相対蒸発速度が1.7未満のシクロヘキサノンを30%未満しか含有しない場合、塗膜内部の乾燥が終了する前に、塗膜の表面が乾燥硬化して硬化膜を形成し、内部の溶媒が気化しにくくなったので、残存溶媒量が多く検出された。また短時間で塗膜の温度を上昇させたことによって、多量の気泡の発生も確認された。
参考
基板上にシートカップル熱電対(商品名:C060−T、株式会社チノー製)を貼り付けたアルミニウム基板を用いたこと以外は参考例1と同様にして乾燥し、塗膜温度の経時変化を測定した。
参考
最初の1分間はヒータ温度260℃、気流温度110℃、風速20m/min、風量1.0m/minで、1分経過から5分経過まではヒータ温度220℃、気流温度80℃、風速10m/min、風量0.5m/minで、5分経過から15分経過まではヒータ温度210℃、気流温度70℃、風速10m/min、風量0.5m/minで乾燥した以外は、参考と同様にして塗膜サンプルを乾燥し、塗膜温度の経時変化を測定した。
(比較例7)
ヒータ温度260℃、気流温度40℃とした以外は、参考と同様にして塗膜サンプルを乾燥し、塗膜温度の経時変化を測定した。
(比較例8)
ヒータ温度200℃、気流温度を135℃とした以外は、参考と同様にして塗膜サンプルを乾燥し、塗膜温度の経時変化を測定した。
〔評価2〕
以上の参考4,5および比較例7,8では、塗膜温度の経時変化をシートカップル熱電対により測定し、また、乾燥開始後5分(300秒)、10分(600秒)、15分(900秒)における残存溶媒量を評価1と同様の手法により定量した。
図3は、参考4,5および比較例7、8の乾燥工程における塗膜温度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。また、乾燥開始後5分、10分、15分における塗膜中の残存溶媒量を評価1と同様の方法によって定量した結果を表3に示す。
Figure 0004180562
乾燥工程において、加熱出力および気流の温度、風量を調整すると(参考)、加熱出力および気流の温度、風量が一定の条件下で乾燥させる場合(参考)よりも、効率的に塗膜の乾燥を行うことができる。なおこのように加熱出力および気流の温度、風量を調整することによって、約10分で残存溶媒量が0.1重量%以下となり乾燥をほぼ終了できた。これは、乾燥工程の初期段階において加熱出力を大きく、気流の温度を高く、また高い温度の気流の風量を大きくすることによって、塗膜表面の乾燥が防止され、硬化膜を形成しないうちに塗膜内部に含まれる溶媒を除去することができたからであると考えられる。
また比較例7の結果から、気流温度が40℃と低いとヒータの温度を高くしても塗膜温度を充分に上げることができなかったので、塗膜を充分に乾燥することができず塗膜中の残存溶媒量が多くなった。一方、比較例8の結果から、気流温度が135℃と高いと、ヒータの温度を低くしても塗膜温度は充分に上昇するけれども、熱風乾燥炉と同様に初期に塗膜表面が乾燥して溶剤が残存しただけでなく、塗膜温度が上昇し過ぎて溶媒であるシクロヘキサノンの沸点(156℃)を超えて加熱されたことによって塗膜に気泡が生じ、また電荷輸送物質の耐熱温度(約150℃)を超えてしまった。
参考
直径40mm、長さ340mmのアルミニウム製の円筒状導電性基体を準備し、以下のようにして各層を塗布形成した。
a:下引層
酸化チタン(商品名:TTO55A、石原産業株式会社製)21重量部と共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)39重量部とを、メタノール329重量部と1,3−ジオキソラン611重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させて下引層形成用塗布液を調製した。この下引層形成用塗布液を塗工槽に満たし、導電性基体を塗工槽に浸漬した後引上げる浸漬塗布法によって、膜厚1.0μmの下引層を形成し、室温で1時間放置後、次の電荷発生層の塗布を行った。
b:電荷発生層
電荷発生材料としてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンを2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学工業株式会社製)1重量部と、メチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗工液を、下引層と同様の浸漬塗布法にて、下引層上に塗布することによって、膜厚0.4μmの電荷発生層を下引層上に形成した。室温で1時間放置後、次の電荷輸送層の塗布を行った。ここで、ブラッグ角2θとは、入射X線と回折X線との成す角度のことであり、いわゆる回折角を表す。
c:電荷輸送層
電荷輸送物質である前記構造式(2)で示される電荷輸送物質10重量部と、前記構造式(3)で示されるトリフェニルアミンダイマー(略称:TPD)0.1重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ300三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)18重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(略称:BHT)0.5重量部とを、シクロヘキサノン130重量部に溶解させ、第1電荷輸送層形成用塗布液を調製した。得られた第1電荷輸送層形成用塗布液を、ロールコーティング法にて、電荷発生層上に塗布して塗膜を形成し、次のようにして乾燥工程を行った。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布後直ちに乾燥装置にセットし、円筒形状の導電性基体の軸線方向を水平方向に平行に保持するとともに導電性基体を毎分50回転で回転させ、乾燥工程のはじめの3分間、ヒータ温度260℃のセラミックヒータ(商品名:Y−1型、ヤマキ電器株式会社)の直下10cmに設置し、温度100℃、風速20m/min、風量1.0m/minの気流を均一に塗膜に供給し、その後、ヒータ温度220℃、気流温度80℃、風速10m/min、風量0.5m/minで、塗膜をはじめの3分間を含め計15分間乾燥させて、参考の電子写真感光体を作製した。
参考
セラミックヒータを2450MHzの電磁波を照射するマイクロ波加熱(富士電波工機株式会社製実験機)に変えて、実効出力1.2kWで加熱した以外は参考と同様にして、参考の電子写真感光体を作製した。
(実施例
セラミックヒータを高周波誘導加熱装置(商品名:MU−1700B フラットタイプ加熱コイル付き、セキスイメディカル電子株式会社製)に変え、発振周波数320kHz、出力100Wで加熱した以外は参考と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
(比較例9)
乾燥工程において、円筒状導電性基体を回転しなかった以外は参考と同様にして、比較例9の電子写真感光体を作製した。
(比較例10)
乾燥工程において、円筒状導電性基体の軸線方向を鉛直方向に平行な方向に保持し、軸線周りに回転させ、乾燥を行った以外は参考と同様にして、比較例10の電子写真感光体を作製した。
〔評価3〕
参考および比較例9で作製した電子写真感光体の周方向における電荷輸送層の膜厚分布を多機能マルチチャンネル分光光度計(商品名:MCPD2000、大塚電子株式会社製)によって測定した。また、参考および比較例10で作製した電子写真感光体の軸線方向における電荷輸送層の膜厚分布を、前記多機能マルチチャンネル分光光度計によって測定した。
図4は参考および比較例9で作製した電子写真感光体の周方向の膜厚分布を示す図であり、図5は参考および比較例10で作製した電子写真感光体の軸線方向の膜厚分布を示す図である。なお図5において軸方向の位置が0の位置は、鉛直方向に平行に支持された導電性基体の重力方向と反対側の一端である。参考のように、円筒形状の導電性基体の軸線方向を水平方向に平行に保持するとともに、軸線周りに回転させながら乾燥を行うと、周方向および軸線方向の両方とも膜厚がほぼ一定である良好な膜厚分布を得ることができた。一方、比較例9のように導電性基体の軸線方向を水平方向に平行に保持したものの、軸線周りに回転させなかった感光体は、温度上昇によって粘度が低下し流動性が増加した塗布液が重力によって導電性基体をつたって重力方向に垂れてしまい、円周方向の膜厚が不均一となった。また比較例10のように、導電性基体を軸線周りに回転させても軸線方向を鉛直方向に平行に保持されて乾燥工程が行われると、重力方向に塗布液が垂れてしまい軸線方向の膜厚が不均一となった。
〔評価4〕
実施例2および参考例6,7で作製した電子写真感光体について、評価1と同様にして残存溶媒量を定量した。また、各感光体をレーザプリンタ(商品名:DM−4501、シャープ株式会社製)にそれぞれ搭載し、レーザプリンタの機体内部に、画像形成過程における電子写真感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(商品名:CATE751、ジェンテック社製)を設け、温度35℃/相対湿度80%の高温高湿環境下、5℃/20%の低温低湿環境下において、帯電直後の表面電位である帯電電位Vo(V)およびレーザ光によって露光を行った直後の表面電位である露光電位VL(V)を測定した。さらにこの電位測定を、画像形成前の初期段階と、1万枚の画像形成を行った疲労後との両方で行った。なお、電子写真感光体表面の帯電は、負帯電プロセスで行った。
さらに、初期段階と、1万枚の画像形成を行った疲労後とで、画質評価用のハーフトーン画像を形成し、画像欠陥および画質を評価した。得られたハーフトーン画像を目視観察し、白抜け、黒帯、画像ぼけなどの画像欠陥の程度によって画質を評価した。画質の評価基準は、以下のようであった。
A:良好。画像欠陥無し。
B:やや不良。無視できる程度の画像欠陥有り。
C:不良。明らかな画像欠陥有り。
以上のようにして測定した各条件下での帯電電位Voおよび露光電位VL、ならびに形成画像の評価を表4に示す。なお、初期段階の帯電電位Vo(V)と疲労後の帯電電位Vo(V)との差の絶対値が、高温高湿環境下において50V以下、低温低湿環境下において50V以下であれば、繰返し安定性は実使用上問題ない。また、初期段階の露光電位VL(V)と疲労後の露光電位VL(V)との差の絶対値が、高温高湿環境下において30V以下、低温低湿環境下において30V以下であれば、繰返し安定性は実使用上問題ない。
さらに、高温高湿環境下での帯電電位Vo(V)と低温低湿環境下での帯電電位Vo(V)との差の絶対値が、初期段階においては30V以下、疲労後においては40V以下であれば、環境安定性は実使用上問題ない。また高温高湿環境下での露光電位VL(V)と低温低湿環境下での露光電位VL(V)との差の絶対値が、初期段階においては60V以下、疲労後においては80V以下であれば、環境安定性は実使用上問題ない。
Figure 0004180562
表4から、実施例2および参考例6,7で作製した電子写真感光体は、感光層内部の溶媒をほぼ全て乾燥することができた。実施例2および参考例6,7で作製した電子写真感光体は、高温高湿環境下、低温低湿環境下のいずれにおいても、初期段階の帯電電位Vo(V)と疲労後の帯電電位Vo(V)との差の絶対値が18V以下と小さい。また、高温高湿環境下、低温低湿環境下のいずれにおいても、露光電位VL(V)と疲労後の露光電位VL(V)との差の絶対値が15V以下と小さい。したがって、実施例2および参考例6,7で作製した電子写真感光体は繰返し安定性に優れる。
また、高温高湿環境下での帯電電位Vo(V)と低温低湿環境下での帯電電位Vo(V)との差の絶対値が28以下と小さく、高温高湿環境下での露光電位VL(V)と低温低湿環境下での露光電位VL(V)との差の絶対値が初期段階においては20V以下、疲労語においては63V以下と小さい。したがって、実施例2および参考例6,7で作製した電子写真感光体は環境安定性にも優れる。
さらに、実施例2および参考例6,7で作製した感光体によって形成した画像は、白抜け、黒帯、画像ぼけなどの画像欠陥がなく、良好なものであった。
以上のように、本発明の電子写真感光体の製造方法を用いることによって、ピンホール、気泡、表面のむらなどの発生しない平滑な塗膜からなる感光層を短時間で形成することができる。また本発明の製造方法で作製された感光体は、繰返し安定性および環境安定性に優れるとともに、良好な画像を形成できることが確認できた。
本発明の感光体の製造方法に用いられる乾燥装置1の構成を概略的に示す側面図である。 本発明の感光体の製造方法に用いられる乾燥装置11の構成を概略的に示す側面図である。 参考およびならびに比較例7および8の乾燥工程における塗膜温度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。 参考および比較例9で作製した電子写真感光体の周方向の膜厚分布を示す図である。 参考および比較例10で作製した電子写真感光体の軸線方向の膜厚分布を示す図である。
符号の説明
1,11 乾燥装置
2 遠赤外線加熱手段
3 電磁誘導加熱手段
4,15a,15b 送風ノズル
5,12 導電性基体
6 回転手段
13a,13b ベース基板
14a,14b 加熱手段

Claims (4)

  1. 導電性基体と感光層とを含む電子写真感光体の製造方法において、
    感光層の成分と溶媒とを含む塗布液を導電性基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
    加熱手段と送風手段とが交互に設けられた一対のベース基板間を、加熱手段により少なくとも誘導加熱法で加熱し、送風手段により温度が50℃以上130℃以下の気流を供給し、軸線方向が水平方向に平行になるように円筒形状の導電性基体を保持し、導電性基体を軸線周りに回転させながら一定速度で搬送して形成された塗膜を乾燥させる乾燥工程とを含み、
    酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、
    前記溶媒中には、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記乾燥工程では、
    形成された塗膜を、温度が50℃以上130℃以下の気流中で誘導加熱法および遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 導電性基体が円筒形状であり、
    前記乾燥工程は、
    導電性基体を軸線方向が水平方向に平行になるように保持し、導電性基体を軸線周りに回転させながら行われることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記乾燥工程では、
    前記加熱法による加熱出力、気流の温度および気流の風量から選択される1つ以上を、塗膜の温度に応じて調整することを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法。
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