JPH07150101A - 有機光導電体用の架橋ポリビニルブチラールバインダー - Google Patents

有機光導電体用の架橋ポリビニルブチラールバインダー

Info

Publication number
JPH07150101A
JPH07150101A JP6148176A JP14817694A JPH07150101A JP H07150101 A JPH07150101 A JP H07150101A JP 6148176 A JP6148176 A JP 6148176A JP 14817694 A JP14817694 A JP 14817694A JP H07150101 A JPH07150101 A JP H07150101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
photoconductor
self
charge
opc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6148176A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3604731B2 (ja
Inventor
Khe Chanh Nguyen
クヘ・チャン・ンギュイエン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HP Inc
Original Assignee
Hewlett Packard Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=22184592&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH07150101(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Hewlett Packard Co filed Critical Hewlett Packard Co
Publication of JPH07150101A publication Critical patent/JPH07150101A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3604731B2 publication Critical patent/JP3604731B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/05Organic bonding materials; Methods for coating a substrate with a photoconductive layer; Inert supplements for use in photoconductive layers
    • G03G5/0528Macromolecular bonding materials
    • G03G5/0532Macromolecular bonding materials obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsatured bonds
    • G03G5/0542Polyvinylalcohol, polyallylalcohol; Derivatives thereof, e.g. polyvinylesters, polyvinylethers, polyvinylamines
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/05Organic bonding materials; Methods for coating a substrate with a photoconductive layer; Inert supplements for use in photoconductive layers
    • G03G5/0528Macromolecular bonding materials
    • G03G5/0592Macromolecular compounds characterised by their structure or by their chemical properties, e.g. block polymers, reticulated polymers, molecular weight, acidity

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 有機光導電体(OPC)用自己架橋ホ゜リヒ゛ニルフ゛チラール
(PVB)ハ゛インタ゛ーである。このハ゛インタ゛ーの非架橋形態のもの
は、米国Monsanto Co.のButvarTM、積水化学のSlekTM
して市販されている。約150から300℃でこのPVBを約2
時間単に熱硬化させると、このPVBの自己架橋が可能で
ある。他の自己架橋方法、例えば電子ヒ゛ーム放射、UV放
射、X線放射も同様の結果をもたらす。架橋の完了のた
めには、架橋剤も架橋可能なコホ゜リマーも触媒も不要であ
る。 【効果】 自己架橋後のPVBは優れた機械的耐久性と優
れた耐溶剤性を有する。加えて自己架橋PVBのカ゛ラス転移
温度(Tg)は約65℃から約170℃に上昇する。更に従来の
光導電体顔料を自己架橋PVB中に分散すると良好に分散
し、結果として得られるOPCは良好な電荷受容性、低い
暗減衰、良好な光放電特性を有する。また自己架橋PVB
を有するOPCは接着性の向上を示し、本発明により製造
された多層OPCは改善された層間接着性と、より長い経
済寿命を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般に、電子写真用の光
導電体に関する。本発明は、良好な速度及び安定性と、
乾式及び湿式トナー電子写真用の多層光導電体に対する
向上した接着性とを有する、正帯電性の有機光導電体材
料である。
【0002】
【従来の技術】電子写真においては、帯電した表面上に
ある領域を選択的に露光することによって、光導電性材
料の表面上に潜像が形成される。露光表面上の領域と非
露光表面上の領域との間には、静電荷密度の差が生じさ
せられる。顔料成分と熱可塑性成分とを含む静電トナー
によって、可視画像が発現される。こうしたトナーは、
光導電体表面、現像電極及びトナーの相対的な静電荷に
応じて、露光された光導電体表面又は未露光の光導電体
表面のどちらかに選択的に付着させられる。この光導電
体は正に帯電させられても負に帯電させられてもよく、
トナーの系も同様に、正又は負に帯電した粒子を含むこ
とができる。レーザプリンタの場合に好ましい具体例
は、光導電体とトナーが同一の極性を有するが、異なっ
た電荷レベルを有するということである。
【0003】この場合、用紙シート又は中間転写媒体に
は、トナーの電荷とは逆の静電電荷が与えられ、光導電
体表面からの現像画像のパターンのままで、光導電体表
面からトナーを用紙シート又は中間転写媒体上に転写さ
せながら、光導電体表面付近を通過させられる。直接転
写の後で、或いは中間転写媒体を使用した場合には間接
転写の後で、1組の融着ローラがトナーを用紙に定着さ
せ、プリント画像を生じさせる。
【0004】従って、この重要な光導電体表面は、電子
写真技術分野において、様々な研究開発の主題となって
きた。電子写真用光導電体表面に適するものとして、数
多くの光導電体材料が開示されている。例えば、アモル
ファスシリコン(Si)、亜セレン酸ヒ素(As2Se3)、硫
化カドミウム(CdS)、セレン(Se)、酸化チタン(TiO
2)、及び酸化亜鉛(ZnO)のような無機化合物が、光導
電体として働く。しかしながらこれらの無機材料は、低
製造コスト、レーザダイオード又は他の発光ダイオード
(LED)に対する高速応答、及び非毒性による安全性
といった、電子写真技術分野における現在の必要条件を
満たさない。
【0005】そこで、光導電体表面についての電子写真
技術分野における最近の進歩は、有機光導電体(OP
C)の如き有機材料を使用することによってもたらされ
ている。典型的には、現在市販されているOPCは負帯
電タイプであり、電荷発生層の上部表面に堆積されたよ
り厚い電荷移動材料層の下側に、一般に約1マイクロメ
ートル未満の厚さの薄い電荷発生材料層を有する。こう
した負帯電タイプのOPCは、下記の用途における電子
写真複写機及びプリンタの場合に十分な性能を示す。
【0006】a.1色又は2色の乾燥粉末現像剤を使用
するか、又はモノクロ複写専用の液体現像剤を使用す
る、下位機種(毎分4〜10枚のコピー)と上位機種(毎
分50枚を越えるコピー)の電子写真システム。
【0007】b.100サイクル未満の推定耐用寿命を有
する、高画像品質(約1800 DPI以上)のカラープルーフ
ィングシステム(color proofing system)、リソグラ
フプレート印刷システム、及びマスター電子写真印刷シ
ステム。
【0008】しかしながら、従来技術の負荷電性OPC
は、次のような幾つかの欠点をも有している。 1. 負コロナ帯電プロセス中に大量のオゾンが発生さ
れ、環境上の問題点を生じさせる。この問題は、活性炭
フィルタのようなオゾン吸収剤を設置することによっ
て、またコロナ帯電の代わりに接触式負帯電を使用する
ことによって対処されてきた。しかしながらこうしたオ
ゾン対応策は、それ自体の欠点を有し、工業向けの解決
策としては有利なものではない。
【0009】2.負コロナ帯電によって得られる電荷パ
ターンの均一性は一般に、正コロナ帯電によって得られ
る電荷パターンの均一性に比べて劣っている。そして電
荷パターンの均一性が低いほどノイズが多く、最終画像
における精細度は低い。
【0010】3.乾燥微粉末プロセスと液体トナープロ
セスを含む微粒子トナープロセスでは、設計者は、負荷
電トナーの場合よりも正荷電トナーの場合の方が、高い
電荷安定性を得ることが可能である。従って、正帯電性
OPC((+)OPC)は、レーザプリンタの場合のよ
うな、放電領域が現像される画像にとって好ましい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特定の形態のフタロシ
アニン顔料粉末は、優れた光導電性を示すことが知られ
ている。こうしたフタロシアニン顔料は、導電性基体上
に付着させられる電子写真用光導電体における高分子バ
インダーマトリックス中に、混合物として使用されてき
た。こうしたフタロシアニン/バインダー光導電体で
は、光電荷の発生と電荷移動がフタロシアニン顔料粒子
内で起こり、一方バインダーは不活性である。従ってこ
の光導電体は、フタロシアニン/バインダーの単層で形
成することが可能である。こうした単層の光導電体は、
フタロシアニン顔料の正孔(正電荷)移動性のために、
非常に優れた正帯電OPCであることが知られている。
【0012】この場合にこれらの単層光導電体では、電
荷移動分子を添加することも、別個の電荷移動層を備え
ることも不必要である。フタロシアニン顔料含量は、電
荷発生機能と電荷移動機能の両方を果たすのに十分であ
るためには恐らく約10から30重量%の範囲内であり、そ
の場合のバインダー含量は約90から70重量%の範囲内で
ある。上記の単一の光導電体層は、必要とされる電荷受
入と、その結果として生じる画像のコントラストとを得
るために、約3μmを越える厚さであることが一般的で
ある。
【0013】そこで本発明の最初の課題は、高サイクル
高品質の電子写真プロセスにおいて、電荷受入、暗減衰
(dark decay)及び光放電(photodischarge)を含む安
定した電気的特性を示す(+)OPCを提供することで
ある。書込ヘッドがLEDアレイ又はレーザダイオード
である現在のディジタル画像化システムは、非常に短い
露出時間(50ナノ秒未満)に亙る非常に高い光密度(約
100erg/cm2)を有し、その結果、約10から30erg/cm2
の光強度と、数100マイクロ秒から数ミリ秒の間の露出
時間を用いる光入力複写機に比較してより厳しい条件を
OPCに対してもたらすことになる。
【0014】残念ながら、こうした安定した電気的特性
を与える製品は、現在の市場には存在しない。これは、
電子写真プロセスにおいて頻繁にコロナ帯電装置と強烈
な光源とに露出される時に、こうした(+)OPCが不
安定性を示すからである。本発明者は、レーザ印刷プロ
セスのために必要とされる強力な吸収と高い光強度と短
い露出時間という条件において、上記不安定性が更に増
すことを発見している。この光導電体の不安定性は、比
較的少ない数のレーザ印刷反復サイクルの後の、暗減衰
の著しい増加として示される。またこの不安定性は、反
復サイクル後の表面電位の低減として現れる。こうした
不安定性は、画像コントラストの劣性変化を引き起こ
し、画像品質の信頼性に関する問題点を生じさせる。
【0015】好ましくは、望ましい電子写真性能は、各
々のビーム毎に0.05マイクロ秒に同期させられた、ビー
ムスキャナと集束レンズとを含む光学システムを通過し
た周波数780nm又は830nmのレーザダイオードビームを使
用する場合に、約60から100V/μmの電荷受入と、約5
V/秒未満の低い暗減衰と、表面電荷の少なくとも90%
の光放電として定義されることが可能である。
【0016】アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸
ビニルやポリビニルブチラールを含むビニルポリマー、
ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、メタクリル酸メチル、ポリスル
ホン、ポリアリラート、フタル酸ジアリル樹脂、ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニルやフッ素樹脂を含むハロゲン化
ポリマー等のような、フタロシアニン顔料用の従来のバ
インダーが使用される時には、許容可能な電荷受入と光
放電とが得られる。しかしながら、電荷受入と光放電と
に関して適切な性能を生じさせるこれらのポリマーの中
で、上記のLEDアレイ又はレーザダイオードの厳格な
露出条件の下で望ましい安定性を示すものは1つもな
い。
【0017】従来のOPCは、現時点では、特に磁性担
体とトナーを含む2成分現像剤を使用する高速度高サイ
クルの用途、及びポリウレタンのような丈夫なクリーニ
ングブレード材料を使用する用途において脆弱な耐磨耗
性を示す、熱可塑性バインダーで作られる。一般に、機
械的に磨耗する表面を有するOPCは、低い電荷受入
と、高い暗減衰率と、低速度と、低いコントラストとい
う、低劣な電気写真特性を示す。
【0018】本発明の第2の課題は、機械的強度に基づ
く卓越した耐久性と、耐溶剤性と、熱安定性とを有する
OPCを提供することである。このOPCは、高サイク
ル用途における耐磨耗性を確保するために、機械的に丈
夫でなければならない。このOPCは、液体トナー用途
において変質又は損失を受けないように、耐溶剤性でな
ければならない。更にこのOPCは、様々な温度におい
て、又は様々な温度であった後に、特に現在のレーザプ
リンタの場合には典型的には約70℃である高温度におい
て、又はその高温度であった後に、予測可能で反復可能
な性能を確保するために、熱的に安定していなければな
らない。
【0019】また、従来の熱可塑性バインダーは、液体
トナー用途に使用される溶剤中で、より高い可溶性を示
す。例えば、上位機種用途に関連した1200 DPIを越える
非常に高い解像度を得るために必要とされる湿潤環境に
おいては、液体担体がOPCバインダーを部分的に溶解
させる傾向があり、このことは低劣な解像度をもたら
す。更に水性インク印刷用途では、水はこうした従来の
バインダーで作られたOPCの導電性に対して悪影響を
与え、この作用は温度が高ければ高いほど増大する。
【0020】また、従来の熱可塑性バインダーは、電子
写真に関して重要な電気特性における著しい熱劣化を示
し、これは電荷受入の減少と暗減衰率の増大とコントラ
スト電位の低減の形で反映される。
【0021】本発明の第3の課題は、バインダー材料に
加えて、上記OPCの寿命に悪影響を及ぼす可能性があ
る架橋剤や架橋可能コポリマー材料、或いは架橋触媒を
更に与える必要なしに、OPC用の架橋バインダーを提
供することである。
【0022】従って、OPCに関するこれらの機械的、
化学的、熱的な耐久性要件を満たすためには、独自の架
橋可能ポリマーバインダー材料が得られなければならな
い。
【0023】一般には、エポキシ、フェノール樹脂、ポ
リウレタン等のような架橋ポリマーが知られている。た
とえば電子部品パッケージング産業における繊維強化プ
ラスチックの場合には、ガラス転移温度(Tg)における
大きな改善が、熱、放射(電子ビーム、紫外線、X線
等)及び/又は水蒸気を用いて架橋することによって得
られる。しかしながらOPC用途に関しては、電荷発生
分子(染料、顔料等)や電荷移動分子の如き光導電成分
が、従来の架橋プロセスで使用される熱、高エネルギー
照射及び水蒸気に弱いので、一般的な架橋の原理を自由
に適用することは不可能である。従って、架橋を行った
後では、これらの分子は電荷発生分子又は電荷移動分子
として働く形態においては、架橋生成物中に存在しない
可能性がある。これが、ヒドラゾン、アリールアミン、
ピラゾリン、もしくはトリフェニルメタンのような正孔
輸送分子の場合でも、ジフェニルスルホン、フルオレノ
ン、もしくはキノンのような電子輸送分子の場合でも、
或いは光導電体が単層もしくは多重層の場合でも、架橋
光導電体バインダーにおける従来の試みがこれまで成功
していない理由である。こうした試みは全て、架橋バイ
ンダー中における輸送分子の適合性の不十分さをもたら
し、結果的に好ましからざる光放電特性を生じさせる。
【0024】本発明の第4の課題は、他のポリマー層に
対する優れた付着性を有するOPC用の架橋バインダー
を提供することである。こうして、層間の界面において
容易に分離して剥がれすぎることのない、多層OPCを
作ることが可能である。
【0025】従来の熱可塑性プラスチックバインダーの
中では、ポリビニルブチラール(PVB)が、光導電体
技術分野の用途における様々な種類の光導電性顔料につ
いて、良好な分散性と良好な薄膜形成性とにおいて、最
良のバインダーであると考えられている。しかし依然と
して、単層(+)OPC中でのフタロシアニン顔料用に
熱可塑性PVBを使用しても、780nmレーザダイオード
に対する光応答、電気的安定性、熱及び液体トナーに対
する環境安定性とに関して、他の従来の熱可塑性バイン
ダーと比較して優れた性能が与えられるわけではない。
更に、2層光導電体の電荷発生層のためのバインダーと
して熱可塑性PVBを使用することは、一般に、電荷発
生層(CGL)のバインダーと、電荷移動層(CTL)
のバインダー(一般にポリカーボネート、ポリエステ
ル、ポリイミド、ポリスチレン等のフェニルポリマー)
との間の非相溶性に伴う付着不良に起因した、乏しい接
着性をもたらす。
【0026】本発明は、長寿命の用途のための架橋可能
バインダーを使用する種類の、赤外線感知光導電体の製
造方法を提供することを目標とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、OPC用の自
己架橋ポリビニルブチラール(PVB)バインダーであ
る。非架橋形態のこのバインダーは、米国Monsanto Co.
からButvarTMとして、また日本の積水化学株式会社から
SlekTMとして入手可能である。本発明者は、約2時間に
亙って約150から300℃においてこのPVBを単に熱硬化
させることによって、このPVBを自己架橋させること
が可能であることを見い出した。他の自己架橋方法、例
えば電子ビーム放射、紫外線放射、又はX線放射も、熱
を用いて本発明者が得たのと同様の結果をもたらすと考
えられる。この架橋を完了させるためには、架橋剤も架
橋可能なコポリマーも触媒も必要としない。
【0028】自己架橋後に、上記のPVBは優れた機械
的耐久性と優れた耐溶剤性とを有する。これに加えて、
この自己架橋PVBのガラス転移温度(Tg)は、約65℃
から約170℃に上昇する。更に、従来の光導電体顔料を
この自己架橋PVB中に分散すると、これらは良好に分
散し、その結果として得られるOPCは、良好な電荷受
容性と、低い暗減衰と、そして一般に、良好な光放電特
性とを有する。
【0029】特に、x-無金属(x-metal free)フタロシ
アニン(x-H2Pc)顔料を使用する(+)単層OPCのた
めの用途に関しては、150から300℃の熱硬化プロセスに
よってバインダーの自己架橋条件下に置かれる時に、78
0nmレーザに暴露した場合に著しい光応答の向上が得ら
れることが観察される。この場合には、上記のx-H2Pc-P
VB系は、顔料の形態変化をもたらさないことが確認され
た。架橋x-H2Pc-PVBにおける光応答の向上は、十分には
解明されていない。しかしながら、架橋プロセス後のP
VB中の高反応性ヒドロキシ(-OH)基の還元に関係が
あるのではないかと推定されている。一般的に言って、
無金属フタロシアニン顔料における光―物理プロセス
は、そのN原子の孤立電子対の挙動に大きく依存してい
る。熱可塑性PVBの遊離-OH基とこれらのN原子との
間の相互作用(例えば、水素結合)は、光励起プロセス
又は熱励起プロセスの下での自由キャリヤの発生を制限
する可能性がある。更に本発明者は、例えば焼成条件
(焼成温度と焼成時間)を変化させることによるデバイ
ス内での-OH含量の調整により、光応答と暗減衰との間
でのバランス調整が可能となること、即ち、最低の暗減
衰で最高の光応答の実現が可能となることをも見い出し
た。
【0030】x-H2Pc/自己架橋PVBを用いた(+)単
層OPCにおける光応答の増大はまた、自己架橋電荷発
生層(CGL)を使用する(−)2層OPC構造におい
ても認められる。この層もまた、反復サイクルと熱及び
湿度における環境変化とに対するデバイスの安定性の著
しい改善をもたらす。
【0031】また、自己架橋PVBを有するOPCは付
着性の改善を示し、従って本発明によって形成された多
層OPCは、改善された層間結合とより長い経済寿命と
を得るものである。
【0032】
【実施例】添付図面を参照すると、これらの図面には、
本発明の幾つかの実施例の略断面図が示されている。O
PCには、導電性基体1と光導電体層2とが備えられ
る。光導電体層2は、独立した電荷発生層2aと、独立し
た電荷移動層2bとを含むことが可能である。電荷障壁層
3を、基体1と光導電体層2との間に任意に配置可能で
ある。更に光導電体層2の上方には、電荷注入バリヤー
層4と放出層5とを順に、任意に配置可能である。更に
は、OPCで一般的に使用される他の層(例えば湾曲防
止層、オーバーコート層等)の使用も可能である。
【0033】導電性基体1は不透明であっても概ね透明
であっても良く、必要とされる機械的特性を有する様々
な適切な材料から構成されてよい。更に、この基体自体
は均質であっても層状であっても良く、層状である場合
には、導電性の表面を有する。従ってこの基体は、非導
電性の材料の層と、無機又は有機組成物を含む導電性材
料の層とから構成できる。非導電性の材料としては、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリウレタン等を含む、この目的のための様々な公
知の樹脂が使用可能である。この電気絶縁性又は導電性
の基体は、硬質であっても、柔軟性であっても良く、例
えば円筒、シート、ロール、継ぎ目なし柔軟性ベルト等
の、任意の様々な形状を有することが可能である。この
基体の導電性部分は、例えば真空蒸着法のような任意の
適切な被覆方式によってその基体の絶縁部分上に形成さ
れることが可能な、導電性金属層であってもよい。この
導電性層は均質の金属であってもよい。典型的な金属に
は、アルミニウム、銅、金、ジルコニウム、ニオブ、タ
ンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、
ステンレススチール、クロム、タングステン、モリブデ
ン等と、これらの混合物又は合金とを含む。
【0034】光導電体2は、単層であっても2層であっ
てもよい。単層である場合には、この単層が電荷発生機
能と電荷移動機能の両方を果たす。2層である場合に
は、一方の層が電荷発生機能を果たし、他方の層が電荷
移動機能を果たす。
【0035】任意の適切な電荷発生(光電荷発生)層2A
を、基体1又は障壁層3に設けることができる。光電荷
発生層用の材料の例は、薄膜形成ポリマー材料中に分散
させられた非晶質セレンと、三方晶系セレンと、セレン
−テルルとセレン―テルル―ヒ素とヒ化セレンとを含む
グループから選択されたセレン合金とのような、無機光
導電性粒子と、米国特許第3,357,989号に開示されたx
形態の無金属フタロシアニンと、金属フタロシアニン
(バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニ
ルフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、ハロ
インジウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニ
ン、亜鉛フタロシアニン、イットリウムフタロシアニ
ン)ようなフタロシアニン顔料と、スクアリリウム(sq
uarylium)と、「Monastral Red」、「Monastral Viole
t」、「Monastral Red Y」の商品名でDu Pontから市販
されている製品の如きキナクリドン(quinacridone)
と、「Hostaperm orange」、「Vat orange 1」、「Vat
orang 3」の商品名で市販されている製品の如きジブロ
モアンタントロン(dibromoanthanthrone)顔料と、ベ
ンゾイミダゾールペリレンと、米国特許第3,442,781号
に開示された置換2,4-ジアミノトリアジンと、「Indofa
st Double Scarlet」、「Indofast Violet Lake B」、
「Indofast Brilliant Scarlet」、「Indofast Orang
e」の商品名でAllied Chemical Corporationから入手可
能な製品の如き多核芳香族キノンと、ベンゾフラノン
と、チオピロロピロール(thiopyrrollopyrole)等を含
む。光導電性層の光電荷発生層の特性を増強又は低減さ
せる多層光電荷発生組成物を使用することが可能であ
る。このタイプの構成の例は、米国特許第4,415,639号
に開示されている。当業界で公知の他の適切な光電荷発
生材料も、必要に応じて使用可能である。
【0036】光電荷発生組成物又は顔料を、樹脂質バイ
ンダー組成物中に様々な量で含むことが可能である。光
電荷発生材料は、バインダー成分を基準として約8重量
%から約50重量%の範囲内で含まれることが好ましい。
【0037】光電荷発生層2Aは、一般に約0.1マイクロ
メートルから約5.0マイクロメートルの範囲内の厚さを
有し、好ましくは約0.3マイクロメートルから約3.0マイ
クロメートルの範囲内の厚さを有する。光電荷発生層2A
の厚みは、バインダー含量に関係付けられる。一般的
に、バインダー含量が大きければ大きいほど、光電荷発
生のために必要とされる層の厚みは増大しなければなら
ない。本発明の目的が実現される場合には、これらの範
囲外の厚みを選択することも可能である。
【0038】光電荷発生層2A被覆混合物を混合して、予
め乾燥された基体1又は障壁層3に対してその光電荷発
生層2A被覆混合物を塗布するために、任意の適切な従来
の方式を使用することが可能である。典型的な塗布方式
は、吹き付け、浸し塗り、ローラ塗り、ワイヤ巻回ロッ
ドコーティング等を含む。被覆を塗布する際に使用され
る溶剤を殆ど全て除去するための塗布被覆の乾燥は、炉
による乾燥、赤外放射乾燥、空気乾燥等のような任意の
適切な従来の方式によって行われてよい。
【0039】電荷移動層2Bは、電荷発生層2Aからの光励
起正孔又は電子の注入を促進することが可能であり、ま
た表面電荷を選択的に放電させるために有機層を通して
上記正孔又は電子の移動を可能にする、任意の適切な透
明有機ポリマー材料又は非ポリマー材料を含んでもよ
い。電荷移動層2Bは、正孔又は電子を移動させる働きを
するばかりでなく、磨耗又は化学的腐食から光電荷発生
層2Aを保護し、従ってOPCの動作寿命を引き延ばす。
電荷移動層2Bは、電子写真で使用される波長(例えば40
0nmから900nm)の光に露出される時には、どんな場合に
も、僅かな放電を生じるだけでなければならない。一般
に電荷移動層2Bは、その層を通して露光が行われる時に
入射照射の殆どがその層2Bの下に位置する電荷発生層2A
によって利用されることを確保するために、光導電体が
その範囲内で使用されなければならない波長範囲内にお
いて透明である。透明基体と共に使用されるときには、
その基体を通過する光すべてによって、その基体を通し
て画像の露光又は消去が行われることが可能である。こ
の場合には、電荷移動層2Bは使用波長範囲内の光を通過
させる必要はない。電荷発生層2Aと組み合わされた電荷
移動層2Bは、照射が無い場合には電荷移動層2Bの上部表
面に印加された静帯電を伝導しない程度の絶縁性を有す
る絶縁体である。
【0040】電荷移動層2Bは、通常は電気的に不活性な
薄膜形成ポリマー材料を電気的に活性にするために、こ
れらのポリマー材料中に分散させられた活性化化合物又
は電荷移動分子を含んでもよい。これらの電荷移動分子
は、光電荷発生正孔の注入を促進することが不可能であ
り且つこれらの正孔を移動させることが不可能であるポ
リマー材料に加えることが可能である。多層光導電体に
使用される特に好ましい移動層は、少なくとも1つの電
荷移動芳香族アミンを約25重量%から75重量%と、これ
らの芳香族アミンがその中に溶解可能なポリマー薄膜形
成樹脂を約75重量%から約25重量%を含む。
【0041】従来のOPCの場合には、塩化メチレン又
は他の適切な溶媒中に可溶性である任意の適切な不活性
バインダーを使用可能である。塩化メチレン中に可溶で
ある典型的な不活性樹脂バインダーは、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリエステル、ポリ
アリレート、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリス
ルホン等を含む。分子量は約20,000から約1,500,000の
間で変化することが可能である。これらのバインダーを
溶解させることが可能な他の溶媒は、テトラヒドロフラ
ン、トルエン、トリクロロエチレン、1,1,2-トリクロロ
エタン、1,1,1-トリクロロエタン等を含む。
【0042】電荷移動層の厚さは、一般的に、約10μm
から約50μmの範囲内であってよく、好ましくは、約20
μmから約35μmの範囲内であってよい。最適の厚さは約
23μmから約31μmの範囲内であってよい。
【0043】本発明のOPCの場合には、電荷発生層2B
のバインダー樹脂は自己架橋ポリビニルブチラール(P
VB)でなければならない。その他の層も自己架橋PV
Bを含むことが可能である。
【0044】PVBは次式を有し、
【0045】
【化1】
【0046】前式中で、Rは、従来の官能性置換基を有
するか又は有しないアルキル、アリル、アリールであ
り、 l= 50から95mol% m= 0.5から15mol% n= 5から35mol% である。
【0047】このPVB架橋は、単純にそのPVBを約
150から300℃に加熱することによって行われる。その焼
成時間は厚みとバインダー含量に応じて決まり、数分か
ら数時間の間であってよい。他の架橋方法、例えば、電
子ビーム、紫外線又はX線の照射によっても、熱を使用
して得られた結果と同様の結果が得られると考えられ
る。この架橋反応は、同じ一つのPVBポリマー鎖上の
別々の場所からの-OH基と-O-基、又は、別々のPVBポ
リマー鎖からの-OH基と-O-基が相互に反応して橋かけ結
合を形成することに起因すると考えられる。
【0048】導電性基体1の上部表面には、障壁層3を
塗布することが可能である。正荷電OPC用の電子障壁
層3は、光レセプターの画像形成表面から正孔が上記導
電層に向かって移動することを可能にする。負荷電OP
Cの場合には、反対側の光導電層に対して導電層から正
孔注入が生じることを防止するために、バリヤーを形成
することが可能な任意の適切な正孔障壁層を使用可能で
ある。この障壁層の厚さは、約20Åから約4000Åの範囲
内であってよく、好ましくは約150Åから約2000Åの範
囲内であってよい。
【0049】任意のオーバーコート層である電荷注入バ
リヤー層4と放出層5は、電気絶縁性又は僅かに半導性
である無機又は有機のポリマーから形成可能である。こ
れらのオーバーコート層の厚みは約2μmから約8μmの
範囲内であってよく、好ましくは約3μmから約6μmの
範囲内であってよい。この厚さの最適範囲は約3μmか
ら約5μmである。
【0050】架橋試験手順 架橋反応の量を間接的に調べた。本発明者の試験Iで
は、始めにOPCのサンプルの重量(M1)を測定し、そ
の後で、そのサンプルをジクロロメタン溶媒浴中に沈め
た。その後、数時間に亙って上記浴中にサンプルを浸漬
状態のままとし、浸漬後に80℃で1時間に亙って乾燥さ
せた。その後、サンプルの重量(M2)を再び測定し、差
(M1−M2)を確定した。サンプルの損失部分が既に上記
溶媒中に溶解されてしまい、架橋によって保護されるこ
とがなかったと仮定すれば、式(M1−M2)/M1は架橋%
を表す。
【0051】PVBに関する幾つかの架橋試験の結果
が、次の表1に示されている。
【0052】
【表1】
【0053】上記表1から、サンプル2が200℃での硬
化後に80%自己架橋したことが明らかである。
【0054】OPC試験手順 a)レーザ応答: 十分に摩砕されたOPCサンプル
を、180mmの直径を有するAlドラムの周りに巻き付け
た。このドラムを、毎秒3インチにセットした速度で回
転させた。このOPCを、最初に、開始位置(0度位
置)においてコロナ帯電によって帯電させ、その次に、
780nmレーザに露出した(20度において出力2mW)。30
度の位置に置かれた静電プローブ(Trek,Model 362)に
よって、レーザ走査に露出されたOPCの表面電位(V
e)と露出されていないOPCの表面電位(Vo)とを検
出した。このVo値(ボルト)は電荷受入に相当し、Ve値
はレーザ応答に相当する。
【0055】b)寿命試験: OPCサンプルに対し
て、上記と同一の条件を用いて「帯電、レーザ露出、L
ED消去」の反復サイクルを行った。サイクルに伴った
VeとVoの帯電の変化がOPC寿命の情報を与えるだろ
う。尚、Vo(1)=1番目のサイクルのVo、Vo(1000)
=1000番目のサイクルのVoである。
【0056】c)熱安定性試験: Alドラムの内側に加
熱器を組み込むことによって、加熱状態下で試験aと試
験bとを行った。熱電対と温度調整装置とを使用して、
設定温度を調整した。
【0057】実施例 実施例1 レーザ応答及び暗減衰に対する架橋の影響の
調査 ステンレススチールのビーズ(4mm)とボールミルとを
使用して、16gのx-H2Pcと、84gのポリビニルブチラー
ル(Aldrich Chemical)と、900gのジクロロメタンと
を24時間に亙って共に粉砕した。その懸濁液を、ドクタ
ーブレードを使用してAl/マイラー基体上に塗布し、室
温で4時間に亙って乾燥させた。そのOPCサンプル
を、OPCの同一の多数の断片にわけた。これらのOP
Cを、様々な温度で様々な時間に亙って炉内で焼成し
た。その後で、焼成したOPCサンプルを、上記の試験
a、b、cに使用した。その結果を次の表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】架橋の度合いが低いサンプルに比較して、
架橋の度合いが高いサンプルほど、良好なレーザ応答と
低い暗減衰とを生じさせる。
【0060】実施例2 架橋の寿命試験効果の調査 上記の実施例1に説明されたOPCサンプルの幾つかに
1000サイクル寿命試験を行った。その結果を次の表3に
示す。
【0061】
【表3】
【0062】この表は、架橋したサンプルが、非架橋の
サンプルに比べて高い電気的安定性を有することを明ら
かにしている。
【0063】実施例3 架橋に対する高焼成温度におけ
る焼成時間の影響の調査 225から250℃の温度において様々な焼成時間に亙ってO
PCサンプルを焼成したということを除いて、実施例1
で説明したOPC調合を繰り返した。これらのOPCサ
ンプルを、室温と55℃とにおいて、レーザ応答試験a)
と寿命試験b)とによって試験した。この場合にサンプ
ルの電気的安定性は、比率DV(R.T.)=室温(R.T.)で
測定されたVo(1000)/Vo(1)と、DV(55)=サンプ
ルを加熱することによって55℃で測定されたVo(1000)
/Vo(1)とによって定義される。この結果を次の表4
に示す。
【0064】
【表4】
【0065】これらの結果から見て、焼成時間の変化
が、OPCサンプルのヒドロキシ含量の変化を結果的に
生じさせる可能性があるということを理解されたい。2
時間に亙って80℃で焼成されたサンプルは、低いレーザ
応答と低い熱安定性、即ち、低寿命を示している。10分
間から30分間に亙って225℃と250℃で焼成したサンプル
は、レーザ応答の改善と、寿命と熱安定性の改善とを示
した。これは、サンプルが(特に表面において)部分的
に架橋させられたことに起因すると考えられる。これが
意味することは、表面がOPCのその他の大部分に比べ
て少ない量のヒドロキシ(-OH)しか含まないか、或い
は全くヒドロキシ基を含まないということである。2時
間に亙って250℃で焼成されたサンプルは、全くヒドロ
キシ基を含まなかった。このことは、この特定の焼成条
件が非常に良好なレーザ応答を与えるが、OPCの大部
分におけるヒドロキシ基の欠如のために低劣な熱安定性
と寿命とをもたらすということに帰結した。
【0066】実施例4 架橋した電荷発生層を含む2重
層OPCの調製 ステンレススチールビーズとボールミルとを使用して、
5gのx-H2Pcと、5gのポリビニルブチラール(PV
B)と、190gのジクロロメタンとを48時間に亙って共
に粉砕した。その懸濁液を、ドクターブレードを使用し
てAl/マイラー基体上に塗布し、80℃で20分間に亙って
乾燥させた後に0.5μmの厚さを得た。そのOPCサンプ
ルを、OPCの同一の2つの断片に分けた。一方のOP
Cの断片を更に2時間に亙って200℃で焼成し、その層
の不溶性を検出することによって試験した。
【0067】その後で、400gのp-トリルアミンと、600
gのポリカーボネート(MakralonTM)とを、5600gのジ
クロロメタン中に共に溶解させた。その結果として得ら
れた溶液を、上記で調製した電荷発生薄膜の上部表面上
に浸漬によりコーティングし、135℃で20分間に亙って
乾燥させ、電荷発生薄膜の上部表面上に約18μmの厚さ
の電荷移動薄膜を形成した。
【0068】これら2つのサンプルのレーザ電子写真性
能を表5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】この結果から、架橋CGLサンプルが安定
性の改善を示すことが理解される。なお、これらのサン
プルは負コロナ帯電器によって帯電させられたものであ
ることに留意されたい。
【0071】実施例5 付着試験 更に、上記のサンプル1とサンプル2とに、引張りタイ
プの付着試験を行った。この試験では、1片の強力な接
着テープを電荷移動薄膜の上部表面に張り付け、その接
着テープを、電荷移動薄膜が剥がれて電荷発生薄膜から
1cm離れるまで、垂直方向に上向きに引っ張った。この
分離を生じさせるのに要した力を測定し、その結果の一
部を表6に示す。
【0072】
【表6】
【0073】これらの結果は、自己架橋サンプル2が非
架橋サンプル1の13倍を越える大きさの、非常に大きな
付着性を有することを示している。
【0074】実施例6 IRスペクトル 図5と図6は、様々な温度で焼成した、2種類のポリビ
ニルブチラールであるButvarTM B-76と同B-98(Monsant
o Chemical)のFt-IRスペクトルを示す。
【0075】両方の場合とも、3500(cm-1)の波数にお
いて検出された-OH基の還元と共に、架橋PVBが形成
されたということが、上記の結果から認識される。
【0076】本発明の好ましい実施例を上記に示し、説
明してきたが、本発明は上記実施例だけに限定されるも
のではなく、特許請求の範囲内で様々な形で実施可能で
あるということが明確に理解されねばならない。
【0077】以下に本発明の種々の構成要件の組み合わ
せから成る実施態様を例示的に示す。 1.自己架橋ポリビニルブチラールバインダー成分。
【0078】2.電子写真用の有機光導電体であって、
導電性基体と、前記基体上に約1マイクロメートル以上
の厚さの層を形成する、自己架橋ポリビニルブチラール
を含むバインダー成分と、及び前記バインダー成分全体
に亙って均一に分布した顔料成分とからなる、前記光導
電体。
【0079】3.前記バインダー成分が、約150から300
℃の熱に暴露することによって自己架橋する、上記2に
記載の光導電体。
【0080】4.前記バインダー成分が、電子ビーム放
射への暴露によって自己架橋する、上記2に記載の光導
電体。
【0081】5.前記バインダー成分が、紫外線放射へ
の暴露によって自己架橋する、上記2に記載の光導電
体。
【0082】6.前記バインダー成分が、X線放射への
暴露によって自己架橋する、上記2に記載の光導電体。
【0083】7.前記バインダー成分の層の上に追加の
層を形成するポリマー成分をも更に含む、上記2に記載
の光導電体。
【0084】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、自己架橋後
のPVBは優れた機械的耐久性と優れた耐溶剤性を有す
ると共に、ガラス転移温度も上昇する。また従来の光導
電体顔料は自己架橋PVB中に良好に分散し、結果とし
て得られるOPCは良好な電荷受容性、低い暗減衰、良
好な光放電特性を有する。さらに、自己架橋PVBを有
するOPCは向上した接着性を示し、本発明により製造
された多層OPCは改善された層間接着性と、より長い
経済寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例の略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例の略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例の略断面図である。
【図5】様々な温度で焼成したポリビニルブチラールBu
tvarTM B-76(Monsanto Chemical)のFt-IRスペクトル
を示すグラフである。
【図6】様々な温度で焼成したポリビニルブチラールBu
tvarTM B-98(Monsanto Chemical)のFt-IRスペクトル
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 光導電体層 2A 電荷発生層 2B 電荷移動層 3 電荷障壁層 4 電荷注入バリヤー層 5 放出層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己架橋ポリビニルブチラールバインダ
    ー成分。
JP14817694A 1993-06-29 1994-06-29 有機光導電体用の架橋ポリビニルブチラールバインダー Expired - Fee Related JP3604731B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US8437793A 1993-06-29 1993-06-29
US084377 1993-06-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07150101A true JPH07150101A (ja) 1995-06-13
JP3604731B2 JP3604731B2 (ja) 2004-12-22

Family

ID=22184592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14817694A Expired - Fee Related JP3604731B2 (ja) 1993-06-29 1994-06-29 有機光導電体用の架橋ポリビニルブチラールバインダー

Country Status (4)

Country Link
US (2) US5506082A (ja)
EP (1) EP0632333B2 (ja)
JP (1) JP3604731B2 (ja)
DE (1) DE69414921T3 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0632333B2 (en) * 1993-06-29 2003-10-01 Hewlett-Packard Company, A Delaware Corporation Cross-linked polyvinyl butyral binder for organic photoconductor
DE69531122T2 (de) * 1994-03-25 2004-05-19 Hewlett-Packard Co., Palo Alto Polymere Bindemittel mit gesättigten Ringeinheiten für positiv geladene, organische Einschichtphotorezeptoren
US5571650A (en) * 1995-09-05 1996-11-05 Lexmark International, Inc. Organic positive photoconductor
US5733698A (en) * 1996-09-30 1998-03-31 Minnesota Mining And Manufacturing Company Release layer for photoreceptors
DE19917965A1 (de) 1999-04-21 2000-10-26 Daimler Chrysler Ag Strahlungshärtbare Verbundschichtplatte oder -folie
WO2002043765A2 (en) * 2000-11-28 2002-06-06 Transform Pharmaceuticals, Inc. Pharmaceutical formulations comprising paclitaxel, derivatives, and pharmaceutically acceptable salts thereof
US7704342B2 (en) * 2001-12-27 2010-04-27 Solutia, Inc. Glass lamination process
US7037631B2 (en) * 2003-02-19 2006-05-02 Xerox Corporation Photoconductive imaging members
DE10315640A1 (de) * 2003-04-04 2004-10-14 Ignatov, Konstantin Verfahren zur kontrollierten Freisetzung von Komponenten in eine Lösung
US6825255B2 (en) * 2003-05-01 2004-11-30 Solutia Incorporated Polyvinyl butyral sheet having antiblocking characteristics
US7060358B2 (en) 2003-06-09 2006-06-13 Solutia, Incorporated Polyvinyl butyral sheet with bifunctional surface modifying agent
US7041375B2 (en) * 2003-06-09 2006-05-09 Solutia Incorporated Polyvinyl butyral sheet with bifunctional surface modifying agent
US20070077478A1 (en) * 2005-10-03 2007-04-05 The Board Of Management Of Saigon Hi-Tech Park Electrolyte membrane for fuel cell utilizing nano composite
US20100278715A1 (en) * 2009-04-29 2010-11-04 Th Llc Systems, Devices, and/or Methods Regarding Specific Precursors or Tube Control Agent for the Synthesis of Carbon Nanofiber and Nanotube
JP6918663B2 (ja) * 2017-09-26 2021-08-11 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA461075A (en) * 1949-11-15 Stoeff Stamatoff Gelu Stabilization of polyvinyl acetal resins
US2358355A (en) * 1942-02-11 1944-09-19 Du Pont Treatment of polyvinyl butyral resins
US4296190A (en) * 1977-06-24 1981-10-20 Ricoh Co., Ltd. Photosensitive material for use in electrophotography with a radiation cured binder resin
US4355886A (en) * 1980-05-13 1982-10-26 Xerox Corporation Polyvinyl acetal coated carrier particles for magnetic brush cleaning
DE3246605A1 (de) * 1982-12-16 1984-06-20 Hoechst Ag, 6230 Frankfurt Feinteilige polyvinylacetale, verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung fuer einbrennbeschichtungen
JPS59171963A (ja) * 1983-03-18 1984-09-28 Fuji Photo Film Co Ltd 電子写真製版材料
US4654179A (en) * 1985-07-02 1987-03-31 Monsanto Company Polyvinyl butyral sheet roughness control
JPS6465554A (en) * 1987-09-05 1989-03-10 Fujitsu Ltd Electrophotographic sensitive body
JPH01116553A (ja) * 1987-10-29 1989-05-09 Mita Ind Co Ltd 電子写真用有機感光体
US4965313A (en) * 1988-06-24 1990-10-23 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Novel photocurable and heat-curable polyvinyl butyral resin
JPH02251857A (ja) * 1989-03-24 1990-10-09 Bando Chem Ind Ltd 電子写真用有機感光体
JP2784657B2 (ja) * 1989-03-29 1998-08-06 コニカ株式会社 電子写真感光体
US5087540A (en) * 1989-07-13 1992-02-11 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Phthalocyanine photosensitive materials for electrophotography and processes for making the same
JP2934972B2 (ja) * 1990-02-05 1999-08-16 コニカ株式会社 電子写真感光体及び塗布液
EP0498448B1 (en) 1991-02-08 1998-05-20 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member and electrophotographic apparatus, device unit and facsimile machine using the same
DE69225766T2 (de) 1991-10-25 1998-12-03 Canon K.K., Tokio/Tokyo Elektrophotographisches, lichtempfindliches Element, elektrophotographisches Gerät, Vorrichtungseinheit und Faksimiliegerät unter Verwendung desselben
US5332537A (en) * 1992-12-17 1994-07-26 Pcc Airfoils, Inc. Method and binder for use in powder molding
EP0632333B2 (en) * 1993-06-29 2003-10-01 Hewlett-Packard Company, A Delaware Corporation Cross-linked polyvinyl butyral binder for organic photoconductor

Also Published As

Publication number Publication date
JP3604731B2 (ja) 2004-12-22
DE69414921T3 (de) 2004-04-15
EP0632333B2 (en) 2003-10-01
DE69414921T2 (de) 1999-06-24
DE69414921D1 (de) 1999-01-14
EP0632333B1 (en) 1998-12-02
US6136486A (en) 2000-10-24
US5506082A (en) 1996-04-09
EP0632333A1 (en) 1995-01-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1515191B1 (en) Dual charge transport layer and photoconductive imaging member including the same
JPS61156130A (ja) 電子写真用像形成部材
JP3604731B2 (ja) 有機光導電体用の架橋ポリビニルブチラールバインダー
JP2006085172A (ja) 光導電性画像形成部材
JP2002031900A (ja) 電子写真感光体とその製造方法および電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ
JPH04268565A (ja) 電子写真画像形成部材のための電荷発生層および電荷輸送層、およびその製造方法
US5437950A (en) Electrophotographic imagimg member with enhanced photo-electric sensitivity
JP2004310102A (ja) 光導電性画像形成部材
JP4898411B2 (ja) 画像形成部材
US6770410B2 (en) Imaging member
JP3968120B2 (ja) 電子写真撮像部材
US5350654A (en) Photoconductors employing sensitized extrinsic photogenerating pigments
EP1672007B1 (en) Imaging member
JP2001175007A (ja) 感光体、画像形成方法及び画像形成装置
US7291432B2 (en) Imaging members
JP2006163394A (ja) 多層型フォトレセプタ
EP2009503B1 (en) Imaging member
JPH10123735A (ja) 内照式電子写真用感光体
US5922498A (en) Charge generating layer containing acceptor molecule
JPH04277751A (ja) 電子写真像形成部材
JPH10254151A (ja) 電荷減少に耐性の電子写真画像形成部材
US10649353B2 (en) Tethered metal dioxide for imaging members
TWI595333B (zh) 電子相片用感光體
JPS59220743A (ja) 電子写真感光体
JPH08166677A (ja) 電子写真感光体製造用塗布液及びそれを用いた電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040217

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20040517

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20040521

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040817

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040914

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees