JP3604731B2 - 有機光導電体用の架橋ポリビニルブチラールバインダー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は一般に、電子写真用の光導電体に関する。本発明は、良好な速度及び安定性と、乾式及び湿式トナー電子写真用の多層光導電体に対する向上した接着性とを有する、正帯電性の有機光導電体材料である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真においては、帯電した表面上にある領域を選択的に露光することによって、光導電性材料の表面上に潜像が形成される。露光表面上の領域と非露光表面上の領域との間には、静電荷密度の差が生じさせられる。顔料成分と熱可塑性成分とを含む静電トナーによって、可視画像が発現される。こうしたトナーは、光導電体表面、現像電極及びトナーの相対的な静電荷に応じて、露光された光導電体表面又は未露光の光導電体表面のどちらかに選択的に付着させられる。この光導電体は正に帯電させられても負に帯電させられてもよく、トナーの系も同様に、正又は負に帯電した粒子を含むことができる。レーザプリンタの場合に好ましい具体例は、光導電体とトナーが同一の極性を有するが、異なった電荷レベルを有するということである。
【0003】
この場合、用紙シート又は中間転写媒体には、トナーの電荷とは逆の静電電荷が与えられ、光導電体表面からの現像画像のパターンのままで、光導電体表面からトナーを用紙シート又は中間転写媒体上に転写させながら、光導電体表面付近を通過させられる。直接転写の後で、或いは中間転写媒体を使用した場合には間接転写の後で、1組の融着ローラがトナーを用紙に定着させ、プリント画像を生じさせる。
【0004】
従って、この重要な光導電体表面は、電子写真技術分野において、様々な研究開発の主題となってきた。電子写真用光導電体表面に適するものとして、数多くの光導電体材料が開示されている。例えば、アモルファスシリコン(Si)、三セレン化二ヒ素(As2Se3)、硫化カドミウム(CdS)、セレン(Se)、酸化チタン(TiO2)、及び酸化亜鉛(ZnO)のような無機化合物が、光導電体として働く。しかしながらこれらの無機材料は、低製造コスト、レーザダイオード又は他の発光ダイオード(LED)に対する高速応答、及び非毒性による安全性といった、電子写真技術分野における現在の必要条件を満たさない。
【0005】
そこで、光導電体表面についての電子写真技術分野における最近の進歩は、有機光導電体(OPC)の如き有機材料を使用することによってもたらされている。典型的には、現在市販されているOPCは負帯電タイプであり、電荷発生層の上部表面に堆積されたより厚い電荷移動材料層の下側に、一般に約1マイクロメートル未満の厚さの薄い電荷発生材料層を有する。こうした負帯電タイプのOPCは、下記の用途における電子写真複写機及びプリンタの場合に十分な性能を示す。
【0006】
a.1色又は2色の乾燥粉末現像剤を使用するか、又はモノクロ複写専用の液体現像剤を使用する、下位機種(毎分4〜10枚のコピー)と上位機種(毎分50枚を越えるコピー)の電子写真システム。
【0007】
b.100サイクル未満の推定耐用寿命を有する、高画像品質(約1800 DPI以上)のカラープルーフィングシステム(color proofing system)、リソグラフプレート印刷システム、及びマスター電子写真印刷システム。
【0008】
しかしながら、従来技術の負荷電性OPCは、次のような幾つかの欠点をも有している。
1. 負コロナ帯電プロセス中に大量のオゾンが発生され、環境上の問題点を生じさせる。この問題は、活性炭フィルタのようなオゾン吸収剤を設置することによって、またコロナ帯電の代わりに接触式負帯電を使用することによって対処されてきた。しかしながらこうしたオゾン対応策は、それ自体の欠点を有し、工業向けの解決策としては有利なものではない。
【0009】
2.負コロナ帯電によって得られる電荷パターンの均一性は一般に、正コロナ帯電によって得られる電荷パターンの均一性に比べて劣っている。そして電荷パターンの均一性が低いほどノイズが多く、最終画像における精細度は低い。
【0010】
3.乾燥微粉末プロセスと液体トナープロセスを含む微粒子トナープロセスでは、設計者は、負荷電トナーの場合よりも正荷電トナーの場合の方が、高い電荷安定性を得ることが可能である。従って、正帯電性OPC((+)OPC)は、レーザプリンタの場合のような、放電領域が現像される画像にとって好ましい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特定の形態のフタロシアニン顔料粉末は、優れた光導電性を示すことが知られている。こうしたフタロシアニン顔料は、導電性基体上に付着させられる電子写真用光導電体における高分子バインダーマトリックス中に、混合物として使用されてきた。こうしたフタロシアニン/バインダー光導電体では、光電荷の発生と電荷移動がフタロシアニン顔料粒子内で起こり、一方バインダーは不活性である。従ってこの光導電体は、フタロシアニン/バインダーの単層で形成することが可能である。こうした単層の光導電体は、フタロシアニン顔料の正孔(正電荷)移動性のために、非常に優れた正帯電OPCであることが知られている。
【0012】
この場合にこれらの単層光導電体では、電荷移動分子を添加することも、別個の電荷移動層を備えることも不必要である。フタロシアニン顔料含量は、電荷発生機能と電荷移動機能の両方を果たすのに十分であるためには恐らく約10から30重量%の範囲内であり、その場合のバインダー含量は約90から70重量%の範囲内である。上記の単一の光導電体層は、必要とされる電荷受入と、その結果として生じる画像のコントラストとを得るために、約3μmを越える厚さであることが一般的である。
【0013】
そこで本発明の最初の課題は、高サイクル高品質の電子写真プロセスにおいて、電荷受入、暗減衰(dark decay)及び光放電(photodischarge)を含む安定した電気的特性を示す(+)OPCを提供することである。書込ヘッドがLEDアレイ又はレーザダイオードである現在のディジタル画像化システムは、非常に短い露出時間(50ナノ秒未満)に亙る非常に高い光密度(約100erg/cm2)を有し、その結果、約10から30erg/cm2の光強度と、数100マイクロ秒から数ミリ秒の間の露出時間を用いる光入力複写機に比較してより厳しい条件をOPCに対してもたらすことになる。
【0014】
残念ながら、こうした安定した電気的特性を与える製品は、現在の市場には存在しない。これは、電子写真プロセスにおいて頻繁にコロナ帯電装置と強烈な光源とに露出される時に、こうした(+)OPCが不安定性を示すからである。本発明者は、レーザ印刷プロセスのために必要とされる強力な吸収と高い光強度と短い露出時間という条件において、上記不安定性が更に増すことを発見している。この光導電体の不安定性は、比較的少ない数のレーザ印刷反復サイクルの後の、暗減衰の著しい増加として示される。またこの不安定性は、反復サイクル後の表面電位の低減として現れる。こうした不安定性は、画像コントラストの劣性変化を引き起こし、画像品質の信頼性に関する問題点を生じさせる。
【0015】
好ましくは、望ましい電子写真性能は、各々のビーム毎に0.05マイクロ秒に同期させられた、ビームスキャナと集束レンズとを含む光学システムを通過した波長780nm又は830nmのレーザダイオードビームを使用する場合に、約60から100V/μmの高い電荷受入と、約5V/秒未満の低い暗減衰と、表面電荷の少なくとも90%の光放電として定義され得る。
【0016】
アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニルやポリビニルブチラールを含むビニルポリマー、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、メタクリル酸メチル、ポリスルホン、ポリアリラート、フタル酸ジアリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルやフッ素樹脂を含むハロゲン化ポリマー等のような、フタロシアニン顔料用の従来のバインダーが使用される時には、許容可能な電荷受入と光放電とが得られる。しかしながら、電荷受入と光放電とに関して適切な性能を生じさせるこれらのポリマーの中で、上記のLEDアレイ又はレーザダイオードの厳格な露出条件の下で望ましい安定性を示すものは1つもない。
【0017】
従来のOPCは、現時点では、特に磁性担体とトナーを含む2成分現像剤を使用する高速度高サイクルの用途、及びポリウレタンのような丈夫なクリーニングブレード材料を使用する用途において脆弱な耐磨耗性を示す、熱可塑性バインダーで作られる。一般に、機械的に磨耗する表面を有するOPCは、低い電荷受入と、高い暗減衰率と、低速度と、低いコントラストという、低劣な電気写真特性を示す。
【0018】
本発明の第2の課題は、機械的強度に基づく卓越した耐久性と、耐溶剤性と、熱安定性とを有するOPCを提供することである。このOPCは、高サイクル用途における耐磨耗性を確保するために、機械的に丈夫でなければならない。このOPCは、液体トナー用途において変質又は損失を受けないように、耐溶剤性でなければならない。更にこのOPCは、様々な温度において、又は様々な温度であった後に、特に現在のレーザプリンタの場合には典型的には約70℃である高温度において、又はその高温度であった後に、予測可能で反復可能な性能を確保するために、熱的に安定していなければならない。
【0019】
また、従来の熱可塑性バインダーは、液体トナー用途に使用される溶剤中で、より高い可溶性を示す。例えば、上位機種用途に関連した1200 DPIを越える非常に高い解像度を得るために必要とされる湿潤環境においては、液体担体がOPCバインダーを部分的に溶解させる傾向があり、このことは低劣な解像度をもたらす。更に水性インク印刷用途では、水はこうした従来のバインダーで作られたOPCの導電性に対して悪影響を与え、この作用は温度が高ければ高いほど増大する。
【0020】
また、従来の熱可塑性バインダーは、電子写真に関して重要な電気特性における著しい熱劣化を示し、これは電荷受入の減少と暗減衰率の増大とコントラスト電位の低減の形で反映される。
【0021】
本発明の第3の課題は、バインダー材料に加えて、上記OPCの寿命に悪影響を及ぼす可能性がある架橋剤や架橋可能コポリマー材料、或いは架橋触媒を更に与える必要なしに、OPC用の架橋バインダーを提供することである。
【0022】
従って、OPCに関するこれらの機械的、化学的、熱的な耐久性要件を満たすためには、独自の架橋可能ポリマーバインダー材料が得られなければならない。
【0023】
一般には、エポキシ、フェノール樹脂、ポリウレタン等のような架橋ポリマーが知られている。たとえば電子部品パッケージング産業における繊維強化プラスチックの場合には、ガラス転移温度(Tg)における大きな改善が、熱、放射(電子ビーム、紫外線、X線等)及び/又は水蒸気を用いて架橋することによって得られる。しかしながらOPC用途に関しては、電荷発生分子(染料、顔料等)や電荷移動分子の如き光導電成分が、従来の架橋プロセスで使用される熱、高エネルギー照射及び水蒸気に弱いので、一般的な架橋の原理を自由に適用することは不可能である。従って、架橋を行った後では、これらの分子は電荷発生分子又は電荷移動分子として働く形態においては、架橋生成物中に存在しない可能性がある。これが、ヒドラゾン、アリールアミン、ピラゾリン、もしくはトリフェニルメタンのような正孔輸送分子の場合でも、ジフェニルスルホン、フルオレノン、もしくはキノンのような電子輸送分子の場合でも、或いは光導電体が単層もしくは多重層の場合でも、架橋光導電体バインダーにおける従来の試みがこれまで成功していない理由である。こうした試みは全て、架橋バインダー中における輸送分子の適合性の不十分さをもたらし、結果的に好ましからざる光放電特性を生じさせる。
【0024】
本発明の第4の課題は、他のポリマー層に対する優れた付着性を有するOPC用の架橋バインダーを提供することである。こうして、層間の界面において容易に分離して剥がれすぎることのない、多層OPCを作ることが可能である。
【0025】
従来の熱可塑性プラスチックバインダーの中では、ポリビニルブチラール(PVB)が、光導電体技術分野の用途における様々な種類の光導電性顔料について、良好な分散性と良好な薄膜形成性とにおいて、最良のバインダーであると考えられている。しかし依然として、単層(+)OPC中でのフタロシアニン顔料用に熱可塑性PVBを使用しても、780nmレーザダイオードに対する光応答、電気的安定性、熱及び液体トナーに対する環境安定性とに関して、他の従来の熱可塑性バインダーと比較して優れた性能が与えられるわけではない。更に、2層光導電体の電荷発生層のためのバインダーとして熱可塑性PVBを使用することは、一般に、電荷発生層(CGL)のバインダーと、電荷移動層(CTL)のバインダー(一般にポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン等のフェニルポリマー)との間の非相溶性に伴う付着不良に起因した、乏しい接着性をもたらす。
【0026】
本発明は、長寿命の用途のための架橋可能バインダーを使用する種類の、赤外線感知光導電体の製造方法を提供することを目標とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、OPC用の自己架橋ポリビニルブチラール(PVB)バインダーである。非架橋形態のこのバインダーは、米国Monsanto Co.からButvarTMとして、また日本の積水化学株式会社からSlekTMとして入手可能である。本発明者は、約2時間に亙って約150から300℃においてこのPVBを単に熱硬化させることによって、このPVBを自己架橋させることが可能であることを見い出した。他の自己架橋方法、例えば電子ビーム放射、紫外線放射、又はX線放射も、熱を用いて本発明者が得たのと同様の結果をもたらすと考えられる。この架橋を完了させるためには、架橋剤も架橋可能なコポリマーも触媒も必要としない。
【0028】
自己架橋後に、上記のPVBは優れた機械的耐久性と優れた耐溶剤性とを有する。これに加えて、この自己架橋PVBのガラス転移温度(Tg)は、約65℃から約170℃に上昇する。更に、従来の光導電体顔料をこの自己架橋PVB中に分散すると、これらは良好に分散し、その結果として得られるOPCは、良好な電荷受容性と、低い暗減衰と、そして一般に、良好な光放電特性とを有する。
【0029】
特に、x−無金属(x−metal free)フタロシアニン(x−H2Pc)顔料を使用する(+)単層OPCのための用途に関しては、150から300℃の熱硬化プロセスによってバインダーの自己架橋条件下に置かれる時に、780nmレーザに暴露した場合に著しい光応答の向上が得られることが観察される。この場合には、上記のx−H2Pc−PVB系は、顔料の形態変化をもたらさないことが確認された。架橋x−H2Pc−PVBにおける光応答の向上は、十分には解明されていない。しかしながら、架橋プロセス後のPVB中の高反応性ヒドロキシ(−OH)基の還元に関係があるのではないかと推定されている。一般的に言って、無金属フタロシアニン顔料における光―物理プロセスは、そのN原子の孤立電子対の挙動に大きく依存している。熱可塑性PVBの遊離−OH基とこれらのN原子との間の相互作用(例えば、水素結合)は、光励起プロセス又は熱励起プロセスの下での自由キャリヤの発生を制限する可能性がある。更に本発明者は、例えば焼成条件(焼成温度と焼成時間)を変化させることによるデバイス内での−OH含量の調整により、光応答と暗減衰との間でのバランス調整が可能となること、即ち、最低の暗減衰で最高の光応答の実現が可能となることをも見い出した。
【0030】
x−H2Pc/自己架橋PVBを用いた(+)単層OPCにおける光応答の増大はまた、自己架橋電荷発生層(CGL)を使用する(−)2層OPC構造においても認められる。この層もまた、反復サイクルと熱及び湿度における環境変化とに対するデバイスの安定性の著しい改善をもたらす。
【0031】
また、自己架橋PVBを有するOPCは付着性の改善を示し、従って本発明によって形成された多層OPCは、改善された層間結合とより長い経済寿命とを得るものである。
【0032】
【実施例】
添付図面を参照すると、これらの図面には、本発明の幾つかの実施例の略断面図が示されている。OPCには、導電性基体1と光導電体層2とが備えられる。光導電体層2は、独立した電荷発生層2aと、独立した電荷移動層2bとを含むことが可能である。電荷障壁層3を、基体1と光導電体層2との間に任意に配置可能である。更に光導電体層2の上方には、電荷注入バリヤー層4と放出層5とを順に、任意に配置可能である。更には、OPCで一般的に使用される他の層(例えば湾曲防止層、オーバーコート層等)の使用も可能である。
【0033】
導電性基体1は不透明であっても概ね透明であっても良く、必要とされる機械的特性を有する様々な適切な材料から構成されてよい。更に、この基体自体は均質であっても層状であっても良く、層状である場合には、導電性の表面を有する。従ってこの基体は、非導電性の材料の層と、無機又は有機組成物を含む導電性材料の層とから構成できる。非導電性の材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン等を含む、この目的のための様々な公知の樹脂が使用可能である。この電気絶縁性又は導電性の基体は、硬質であっても、柔軟性であっても良く、例えば円筒、シート、ロール、継ぎ目なし柔軟性ベルト等の、任意の様々な形状を有することが可能である。この基体の導電性部分は、例えば真空蒸着法のような任意の適切な被覆方式によってその基体の絶縁部分上に形成されることが可能な、導電性金属層であってもよい。この導電性層は均質の金属であってもよい。典型的な金属には、アルミニウム、銅、金、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレススチール、クロム、タングステン、モリブデン等と、これらの混合物又は合金とを含む。
【0034】
光導電体2は、単層であっても2層であってもよい。単層である場合には、この単層が電荷発生機能と電荷移動機能の両方を果たす。2層である場合には、一方の層が電荷発生機能を果たし、他方の層が電荷移動機能を果たす。
【0035】
任意の適切な電荷発生(光電荷発生)層2Aを、基体1又は障壁層3に設けることができる。光電荷発生層用の材料の例は、
薄膜形成ポリマー材料中に分散させられた非晶質セレンと、三方晶系セレンと、セレン−テルルとセレン―テルル―ヒ素とヒ化セレンとを含むグループから選択されたセレン合金とのような、無機光導電性粒子と、
米国特許第3,357,989号に開示されたx形態の無金属フタロシアニンと、金属フタロシアニン(バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、ハロインジウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、イットリウムフタロシアニン)ようなフタロシアニン顔料と、
スクアリリウム(squarylium)と、
「Monastral Red」、「Monastral Violet」、「Monastral Red Y」の商品名でDu Pontから市販されている製品の如きキナクリドン(quinacridone)と、「Hostaperm orange」、「Vat orange 1」、「Vat orang 3」の商品名で市販されている製品の如きジブロモアンタントロン(dibromoanthanthrone)顔料と、ベンゾイミダゾールペリレンと、
米国特許第3,442,781号に開示された置換2,4−ジアミノトリアジンと、
「Indofast Double Scarlet」、「Indofast Violet Lake B」、「Indofast Brilliant Scarlet」、「Indofast Orange」の商品名でAllied Chemical Corporationから入手可能な製品の如き多核芳香族キノンと、ベンゾフラノンと、チオピロロピロール(thiopyrrollopyrole)等を含む。光導電性層の光電荷発生層の特性を増強又は低減させる多層光電荷発生組成物を使用することが可能である。このタイプの構成の例は、米国特許第4,415,639号に開示されている。当業界で公知の他の適切な光電荷発生材料も、必要に応じて使用可能である。
【0036】
光電荷発生組成物又は顔料を、樹脂質バインダー組成物中に様々な量で含むことが可能である。光電荷発生材料は、バインダー成分を基準として約8重量%から約50重量%の範囲内で含まれることが好ましい。
【0037】
光電荷発生層2Aは、一般に約0.1マイクロメートルから約5.0マイクロメートルの範囲内の厚さを有し、好ましくは約0.3マイクロメートルから約3.0マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。光電荷発生層2Aの厚みは、バインダー含量に関係付けられる。一般的に、バインダー含量が大きければ大きいほど、光電荷発生のために必要とされる層の厚みは増大しなければならない。本発明の目的が実現される場合には、これらの範囲外の厚みを選択することも可能である。
【0038】
光電荷発生層2A被覆混合物を混合して、予め乾燥された基体1又は障壁層3に対してその光電荷発生層2A被覆混合物を塗布するために、任意の適切な従来の方式を使用することが可能である。典型的な塗布方式は、吹き付け、浸し塗り、ローラ塗り、ワイヤ巻回ロッドコーティング等を含む。被覆を塗布する際に使用される溶剤を殆ど全て除去するための塗布被覆の乾燥は、炉による乾燥、赤外放射乾燥、空気乾燥等のような任意の適切な従来の方式によって行われてよい。
【0039】
電荷移動層2Bは、電荷発生層2Aからの光励起正孔又は電子の注入を促進することが可能であり、また表面電荷を選択的に放電させるために有機層を通して上記正孔又は電子の移動を可能にする、任意の適切な透明有機ポリマー材料又は非ポリマー材料を含んでもよい。電荷移動層2Bは、正孔又は電子を移動させる働きをするばかりでなく、磨耗又は化学的腐食から光電荷発生層2Aを保護し、従ってOPCの動作寿命を引き延ばす。電荷移動層2Bは、電子写真で使用される波長(例えば400nmから900nm)の光に露出される時には、どんな場合にも、僅かな放電を生じるだけでなければならない。一般に電荷移動層2Bは、その層を通して露光が行われる時に入射照射の殆どがその層2Bの下に位置する電荷発生層2Aによって利用されることを確保するために、光導電体がその範囲内で使用されなければならない波長範囲内において透明である。透明基体と共に使用されるときには、その基体を通過する光すべてによって、その基体を通して画像の露光又は消去が行われることが可能である。この場合には、電荷移動層2Bは使用波長範囲内の光を通過させる必要はない。電荷発生層2Aと組み合わされた電荷移動層2Bは、照射が無い場合には電荷移動層2Bの上部表面に印加された静帯電を伝導しない程度の絶縁性を有する絶縁体である。
【0040】
電荷移動層2Bは、通常は電気的に不活性な薄膜形成ポリマー材料を電気的に活性にするために、これらのポリマー材料中に分散させられた活性化化合物又は電荷移動分子を含んでもよい。これらの電荷移動分子は、光電荷発生正孔の注入を促進することが不可能であり且つこれらの正孔を移動させることが不可能であるポリマー材料に加えることが可能である。多層光導電体に使用される特に好ましい移動層は、少なくとも1つの電荷移動芳香族アミンを約25重量%から75重量%と、これらの芳香族アミンがその中に溶解可能なポリマー薄膜形成樹脂を約75重量%から約25重量%を含む。
【0041】
従来のOPCの場合には、塩化メチレン又は他の適切な溶媒中に可溶性である任意の適切な不活性バインダーを使用可能である。塩化メチレン中に可溶である典型的な不活性樹脂バインダーは、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリスルホン等を含む。分子量は約20,000から約1,500,000の間で変化することが可能である。これらのバインダーを溶解させることが可能な他の溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン等を含む。
【0042】
電荷移動層の厚さは、一般的に、約10μmから約50μmの範囲内であってよく、好ましくは、約20μmから約35μmの範囲内であってよい。最適の厚さは約23μmから約31μmの範囲内であってよい。
【0043】
本発明のOPCの場合には、電荷発生層2Bのバインダー樹脂は自己架橋ポリビニルブチラール(PVB)でなければならない。その他の層も自己架橋PVBを含むことが可能である。
【0044】
PVBは次式を有し、
【0045】
【化1】
【0046】
前式中で、Rは、従来の官能性置換基を有するか又は有しないアルキル、アリル、アリールであり、
l= 50から95mol%
m= 0.5から15mol%
n= 5から35mol%
である。
【0047】
このPVB架橋は、単純にそのPVBを約150から300℃に加熱することによって行われる。その焼成時間は厚みとバインダー含量に応じて決まり、数分から数時間の間であってよい。他の架橋方法、例えば、電子ビーム、紫外線又はX線の照射によっても、熱を使用して得られた結果と同様の結果が得られると考えられる。この架橋反応は、同じ一つのPVBポリマー鎖上の別々の場所からの−OH基と−O−基、又は、別々のPVBポリマー鎖からの−OH基と−O−基が相互に反応して橋かけ結合を形成することに起因すると考えられる。
【0048】
導電性基体1の上部表面には、障壁層3を塗布することが可能である。正荷電OPC用の電子障壁層3は、光レセプターの画像形成表面から正孔が上記導電層に向かって移動することを可能にする。負荷電OPCの場合には、反対側の光導電層に対して導電層から正孔注入が生じることを防止するために、バリヤーを形成することが可能な任意の適切な正孔障壁層を使用可能である。この障壁層の厚さは、約20Åから約4000Åの範囲内であってよく、好ましくは約150Åから約2000Åの範囲内であってよい。
【0049】
任意のオーバーコート層である電荷注入バリヤー層4と放出層5は、電気絶縁性又は僅かに半導性である無機又は有機のポリマーから形成可能である。これらのオーバーコート層の厚みは約2μmから約8μmの範囲内であってよく、好ましくは約3μmから約6μmの範囲内であってよい。この厚さの最適範囲は約3μmから約5μmである。
【0050】
架橋試験手順
架橋反応の量を間接的に調べた。本発明者の試験Iでは、始めにOPCのサンプルの重量(M1)を測定し、その後で、そのサンプルをジクロロメタン溶媒浴中に沈めた。その後、数時間に亙って上記浴中にサンプルを浸漬状態のままとし、浸漬後に80℃で1時間に亙って乾燥させた。その後、サンプルの重量(M2)を再び測定し、差(M1−M2)を確定した。サンプルの損失部分が既に上記溶媒中に溶解されてしまい、架橋によって保護されることがなかったと仮定すれば、式(M1−M2)/M1は架橋%を表す。
【0051】
PVBに関する幾つかの架橋試験の結果が、次の表1に示されている。
【0052】
【表1】
【0053】
上記表1から、サンプル2が200℃での硬化後に80%自己架橋したことが明らかである。
【0054】
OPC試験手順
a)レーザ応答: 十分に摩砕されたOPCサンプルを、180mmの直径を有するAlドラムの周りに巻き付けた。このドラムを、毎秒3インチにセットした速度で回転させた。このOPCを、最初に、開始位置(0度位置)においてコロナ帯電によって帯電させ、その次に、780nmレーザに露出した(20度において出力2mW)。30度の位置に置かれた静電プローブ(Trek,Model 362)によって、レーザ走査に露出されたOPCの表面電位(Ve)と露出されていないOPCの表面電位(Vo)とを検出した。このVo値(ボルト)は電荷受入に相当し、Ve値はレーザ応答に相当する。
【0055】
b)寿命試験: OPCサンプルに対して、上記と同一の条件を用いて「帯電、レーザ露出、LED消去」の反復サイクルを行った。サイクルに伴ったVeとVoの帯電の変化がOPC寿命の情報を与えるだろう。尚、Vo(1)=1番目のサイクルのVo、Vo(1000)=1000番目のサイクルのVoである。
【0056】
c)熱安定性試験: Alドラムの内側に加熱器を組み込むことによって、加熱状態下で試験aと試験bとを行った。熱電対と温度調整装置とを使用して、設定温度を調整した。
【0057】
実施例
実施例1 レーザ応答及び暗減衰に対する架橋の影響の調査
ステンレススチールのビーズ(4mm)とボールミルとを使用して、16gのx−H2Pcと、84gのポリビニルブチラール(Aldrich Chemical)と、900gのジクロロメタンとを24時間に亙って共に粉砕した。その懸濁液を、ドクターブレードを使用してAl/マイラー基体上に塗布し、室温で4時間に亙って乾燥させた。そのOPCサンプルを、OPCの同一の多数の断片にわけた。これらのOPCを、様々な温度で様々な時間に亙って炉内で焼成した。その後で、焼成したOPCサンプルを、上記の試験a、b、cに使用した。その結果を次の表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
架橋の度合いが低いサンプルに比較して、架橋の度合いが高いサンプルほど、良好なレーザ応答と低い暗減衰とを生じさせる。
【0060】
実施例2 架橋の寿命試験効果の調査
上記の実施例1に説明されたOPCサンプルの幾つかに1000サイクル寿命試験を行った。その結果を次の表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
この表は、架橋したサンプルが、非架橋のサンプルに比べて高い電気的安定性を有することを明らかにしている。
【0063】
実施例3 架橋に対する高焼成温度における焼成時間の影響の調査
225から250℃の温度において様々な焼成時間に亙ってOPCサンプルを焼成したということを除いて、実施例1で説明したOPC調合を繰り返した。これらのOPCサンプルを、室温と55℃とにおいて、レーザ応答試験a)と寿命試験b)とによって試験した。この場合にサンプルの電気的安定性は、比率
DV(R.T.)=室温(R.T.)で測定されたVo(1000)/Vo(1)と、
DV(55)=サンプルを加熱することによって55℃で測定されたVo(1000)/Vo(1)とによって定義される。この結果を次の表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
これらの結果から見て、焼成時間の変化が、OPCサンプルのヒドロキシ含量の変化を結果的に生じさせる可能性があるということを理解されたい。2時間に亙って80℃で焼成されたサンプルは、低いレーザ応答と低い熱安定性、即ち、低寿命を示している。10分間から30分間に亙って225℃と250℃で焼成したサンプルは、レーザ応答の改善と、寿命と熱安定性の改善とを示した。これは、サンプルが(特に表面において)部分的に架橋させられたことに起因すると考えられる。これが意味することは、表面がOPCのその他の大部分に比べて少ない量のヒドロキシ(−OH)しか含まないか、或いは全くヒドロキシ基を含まないということである。2時間に亙って250℃で焼成されたサンプルは、全くヒドロキシ基を含まなかった。このことは、この特定の焼成条件が非常に良好なレーザ応答を与えるが、OPCの大部分におけるヒドロキシ基の欠如のために低劣な熱安定性と寿命とをもたらすということに帰結した。
【0066】
実施例4 架橋した電荷発生層を含む2重層OPCの調製
ステンレススチールビーズとボールミルとを使用して、5gのx−H2Pcと、5gのポリビニルブチラール(PVB)と、190gのジクロロメタンとを48時間に亙って共に粉砕した。その懸濁液を、ドクターブレードを使用してAl/マイラー基体上に塗布し、80℃で20分間に亙って乾燥させた後に0.5μmの厚さを得た。そのOPCサンプルを、OPCの同一の2つの断片に分けた。一方のOPCの断片を更に2時間に亙って200℃で焼成し、その層の不溶性を検出することによって試験した。
【0067】
その後で、400gのp−トリルアミンと、600gのポリカーボネート(MakralonTM)とを、5600gのジクロロメタン中に共に溶解させた。その結果として得られた溶液を、上記で調製した電荷発生薄膜の上部表面上に浸漬によりコーティングし、135℃で20分間に亙って乾燥させ、電荷発生薄膜の上部表面上に約18μmの厚さの電荷移動薄膜を形成した。
【0068】
これら2つのサンプルのレーザ電子写真性能を表5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】
この結果から、架橋CGLサンプルが安定性の改善を示すことが理解される。なお、これらのサンプルは負コロナ帯電器によって帯電させられたものであることに留意されたい。
【0071】
実施例5 付着試験
更に、上記のサンプル1とサンプル2とに、引張りタイプの付着試験を行った。この試験では、1片の強力な接着テープを電荷移動薄膜の上部表面に張り付け、その接着テープを、電荷移動薄膜が剥がれて電荷発生薄膜から1cm離れるまで、垂直方向に上向きに引っ張った。この分離を生じさせるのに要した力を測定し、その結果の一部を表6に示す。
【0072】
【表6】
【0073】
これらの結果は、自己架橋サンプル2が非架橋サンプル1の13倍を越える大きさの、非常に大きな付着性を有することを示している。
【0074】
実施例6 IRスペクトル
図5と図6は、様々な温度で焼成した、2種類のポリビニルブチラールであるButvarTM B−76と同B−98(Monsanto Chemical)のFt−IRスペクトルを示す。
【0075】
両方の場合とも、3500(cm−1)の波数において検出された−OH基の還元と共に、架橋PVBが形成されたということが、上記の結果から認識される。
【0076】
本発明の好ましい実施例を上記に示し、説明してきたが、本発明は上記実施例だけに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な形で実施可能であるということが明確に理解されねばならない。
【0077】
以下に本発明の種々の構成要件の組み合わせから成る実施態様を例示的に示す。
1.自己架橋ポリビニルブチラールバインダー成分。
【0078】
2.電子写真用の有機光導電体であって、
導電性基体と、
前記基体上に約1マイクロメートル以上の厚さの層を形成する、自己架橋ポリビニルブチラールを含むバインダー成分と、及び
前記バインダー成分全体に亙って均一に分布した顔料成分とからなる、前記光導電体。
【0079】
3.前記バインダー成分が、約150から300℃の熱に暴露することによって自己架橋する、上記2に記載の光導電体。
【0080】
4.前記バインダー成分が、電子ビーム放射への暴露によって自己架橋する、上記2に記載の光導電体。
【0081】
5.前記バインダー成分が、紫外線放射への暴露によって自己架橋する、上記2に記載の光導電体。
【0082】
6.前記バインダー成分が、X線放射への暴露によって自己架橋する、上記2に記載の光導電体。
【0083】
7.前記バインダー成分の層の上に追加の層を形成するポリマー成分をも更に含む、上記2に記載の光導電体。
【0084】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、自己架橋後のPVBは優れた機械的耐久性と優れた耐溶剤性を有すると共に、ガラス転移温度も上昇する。また従来の光導電体顔料は自己架橋PVB中に良好に分散し、結果として得られるOPCは良好な電荷受容性、低い暗減衰、良好な光放電特性を有する。さらに、自己架橋PVBを有するOPCは向上した接着性を示し、本発明により製造された多層OPCは改善された層間接着性と、より長い経済寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例の略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例の略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例の略断面図である。
【図5】様々な温度で焼成したポリビニルブチラールButvarTM B−76(Monsanto Chemical)のFt−IRスペクトルを示すグラフである。
【図6】様々な温度で焼成したポリビニルブチラールButvarTM B−98(Monsanto Chemical)のFt−IRスペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性基体
2 光導電体層
2A 電荷発生層
2B 電荷移動層
3 電荷障壁層
4 電荷注入バリヤー層
5 放出層
Claims (7)
- 電子写真用の有機光導電体であって、
導電性基体と、
前記基体上に1マイクロメートル以上の厚さの層を形成する、30%以上の自己架橋率を有するポリビニルブチラールからなるバインダー成分と、
前記バインダー成分全体にわたって均一に分散した顔料成分とからなる、光導電体。 - 電子写真用の有機光導電体であって、
導電性基体と、
前記基体上に1マイクロメートル以上の厚さの層を形成する、30%以上の自己架橋率を有するポリビニルブチラールからなるバインダー成分と、
前記バインダー成分全体にわたって均一に分散したx−無金属フタロシアニン顔料成分とからなる、光導電体。 - 前記バインダー成分が、150から300℃の熱への暴露によって自己架橋している、請求項1又は2に記載の光導電体。
- 前記バインダー成分が、電子ビーム放射への暴露によって自己架橋している、請求項1又は2に記載の光導電体。
- 前記バインダー成分が、紫外線放射への暴露によって自己架橋している、請求項1又は2に記載の光導電体。
- 前記バインダー成分が、X線放射への暴露によって自己架橋している、請求項1又は2に記載の光導電体。
- 前記バインダー成分からなる層の上に追加の層を形成するポリマー成分を更に含む、請求項1又は2に記載の光導電体。
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