JPH1026835A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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JPH1026835A
JPH1026835A JP18078596A JP18078596A JPH1026835A JP H1026835 A JPH1026835 A JP H1026835A JP 18078596 A JP18078596 A JP 18078596A JP 18078596 A JP18078596 A JP 18078596A JP H1026835 A JPH1026835 A JP H1026835A
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JP
Japan
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coating
speed
photoreceptor
forming
substrate
Prior art date
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Pending
Application number
JP18078596A
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English (en)
Inventor
Takashi Koyanagi
崇 小柳
Takaharu Nakayama
隆治 中山
Yasuyuki Kikuchi
康之 菊池
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布上端部に上端タレ部を短縮した電子写真
感光体の製造方法を提供する。 【解決手段】 電子写真感光体形成用塗料を感光体基体
の表面に浸漬塗布を行う電子写真感光体の製造方法に於
いて、前記塗料中に感光体基体を浸漬した後、該感光体
基体を引き上げて塗布を行なうに際して、前記引き上げ
塗布開始点から30mmまでの距離だけ、一定膜厚を形
成するための引き上げ速度以上の複数段階の速度範囲で
引き上げ操作を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体の
製造方法に関するものである、特に浸漬塗布法により感
光体基材表面に感光層を形成する工程に於いて、その塗
布上端部にその他の部分よりも膜厚の低い部分を発生抑
制する塗膜形成工程を行う方法に関するものである。
【従来の技術】近年、有機系電子写真感光体は安全性、
生産プロセスの容易さ、生産コスト等の多くの面での利
点を有するために、今まで用いられてきたセレン、硫化
カドミウム、酸化亜鉛等の無機物質を光導電体として用
いた無機系電子写真感光体に代わって広く使用されるよ
うになってきている。電子写真感光体は主に単層型と機
能分離型(積層型)に分類されるが、機能分離型電子写
真感光体の方が感度に優れているために現在の主流とな
っている。機能分離型の層構成は感光体基体上に電荷発
生層と電荷輸送層を有する。必要に応じて基体表面には
アンダーコート層を設ける場合もあり、更に必要に応じ
て電荷輸送層上にオーバーコート層を形成する場合もあ
る。
【0002】また電子写真感光体を製造する場合、電子
写真感光体形成用塗料を用いて円筒状支持基体上に塗膜
を形成する方法としては、浸漬塗布法、スライド塗布
法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、カーテン塗布法、
ロール塗布法、ブレード塗布法、スパイラル塗布法及び
リング塗布法等が知られている。これらの中でも浸漬塗
布法は電子写真感光体形成用塗料を満たした塗工槽の中
に、電子写真感光体基体を一定速度又は逐次変化する速
度、或いは一定速度と逐次変化する速度の組み合わせ等
で浸漬した後に、この感光体基体を一定速度又は逐次変
化する速度或いは一定速度と逐次変化する速度の組み合
わせ等で引き上げることによって感光体基体表面に感光
層形成用塗料を塗布し、所望の感光層を形成する方法で
ある。この浸漬塗布法は複雑な設備を必要とせず、また
生産性及びコストの面でも他の方法よりも優れているた
めに、電子写真感光体の製造に広く用いられている。
【0003】しかしながら、浸漬塗布法では条件にもよ
るが、塗布開始領域、即ち塗布上端より約30mmまで
の範囲では下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層それぞ
れに関して、その膜厚が他の部分よりも、低い値を示す
という現象が認められ、この部分は上端タレ又はドロッ
プオフゾーンと呼ばれている。これは特に膜厚の厚い場
合、例えば高感度型電子写真感光体の電荷輸送層を浸漬
塗布によって形成する場合に顕著であり、その上端タレ
の度合い、距離共に大きな値を示す。特に高感度型の電
子写真感光体では規定の膜厚よりも±5%以上の差が生
じた場合には画像に影響が生じるために、その上端タレ
領域は画像領域として使用することが出来ず、非画像領
域として取り扱うか又は後工程としてその部分を拭き取
るなどの操作が必要であった。しかしこの様な手段を適
用しても電子写真感光体上には画像領域としては使用で
きない不要な部分が存在することとなり、コスト面又は
複写機、レーザービームプリンター等装置の小型化とい
う面からも不利であった。この現象は塗布に使用する塗
料の粘度・固形分濃度と塗布時の乾燥速度とのバランス
で発生することが理論的、経験的にも分かっている。こ
こで浸漬塗布法により基体表面に形成される各感光層の
膜厚と引き上げ速度及び感光層形成用塗料の濃度の間に
は以下に示す関係の成立することが挙げられる。
【0004】
【数1】 μ=k・C(η・Vc)a …〔1〕 μ :形成された感光層の膜厚 k,a:定数 C :感光層形成用塗料の濃度(wt%) η :感光層形成用塗料の粘度 Vc :感光体基体の引き上げ速度
【0005】上記式〔1〕より感光層の膜厚を変化させ
るためには感光体形成用塗料の濃度又は粘度、或いは感
光体基体の引き上げ速度を変化させれば良いことが分か
る。しかしながら、感光体形成用塗料の濃度又は粘度を
変化させた場合には、感光層の形成に悪影響の出る場合
がある。例えば、生産ラインでの連続運転中に電荷発生
層形成用塗料の濃度又は粘度を低下させた場合には、塗
布ムラの発生や顔料の過分散又は凝集が起こることが知
られている。電荷輸送層形成用塗料の濃度又は粘度を低
下させた場合には、電荷輸送層の膜厚形状の不均一化又
は電子写真感光体の上端タレ部が大きくなり、画像領域
が制限されてしまうといった問題が発生する。また反対
に、感光層形成用塗料の濃度又は粘度を上昇させた場合
には、感光体基体の引き上げ速度を低下させなければ同
じ感光層膜厚を維持することが出来ないため生産性が低
下する。
【0006】そこでこの上端タレ部の発生を抑制する手
段としては、特開平1−124859号公報に記載され
ているように塗料に使用する溶剤の種類、塗料粘度、感
光体基体の引き上げ速度範囲を規定する方法、特開平1
−171674号公報に記載されているように感光体基
材の引き上げを開始した時点から一定の時間だけ塗料の
供給量を漸次増加させる方法、特開平4−219169
号公報及び特開平5−7812号公報に記載されている
ように感光体基体の引き上げ工程の際に送風装置を使用
する方法、特開平5−11464号公報に記載されてい
るように電荷輸送層の塗布開始点を下引き層及び電荷発
生層の塗布開始点よりも感光体基体上端面に近い方向へ
移動させる方法、特開平5−55034号公報に記載さ
れているように、感光体基体を引き上げる際に感光体ド
ラム上端面よりも80mmまでの範囲を35〜55℃の
範囲に維持する方法、特開平6−266126号公報に
記載されているように電荷輸送層形成用塗料中へ増粘剤
を添加する方法、特開平7−152166号公報に記載
されているように溶液粘度を低下させる作用を有するス
メクタイトを含有する電荷輸送層形成用塗料を使用する
方法、特開平7−175229号公報に記載されている
ように厚膜の電荷輸送層を形成する際に、浸漬塗工及び
乾燥工程をそれぞれ2回に渡って行う方法、そして特開
平7−239669号公報に記載されているように浸漬
塗工の際に塗布速度を2段化して、2段目の塗工速度
(V2)の前により速い1段目の塗工速度(V1)によ
る短時間の(Tv1)の浸漬塗工工程を行う方法等が提
案されている。
【0007】上記の方法の中で、原材料、液性、塗工条
件を制限する方法は材料やプロセスの開発の自由度を低
下させる。また塗料の供給量を変化させる方法は塗工槽
内の温度の不均一化が起こり、塗工により形成した膜厚
の不均一化を招くことが知られている。送風装置などを
使用して塗布環境内に人為的に風を起こす方法は均一な
環境を制御することが非常に困難であり、制御が不十分
であるとかえって膜厚の不均一化が起こる。電荷輸送層
の塗布開始点を下引き層及び電荷発生層の塗布開始点よ
りも感光体基体上端面に近い方向へ移動させる方法で
は、電荷輸送層のみからなる部分は画像領域に使用でき
ず、結局非画像領域の短縮化は出来ない。感光体基体の
上端部分を加温する方法は、確かに電荷輸送層形成用塗
料の硬化速度、即ち溶剤の蒸発速度は高くなるが、同時
に溶液粘度は低下するため、乾燥ムラが出来やすく、ま
た塗料の温度不均一化及び塗膜の不均一化の原因となり
かねない。電荷輸送層形成用塗料に各種添加剤を加える
方法は電気特性、特に残留電位の上昇を招きやすい、加
えて塗料が非ニュートン性液体に変化する場合があり塗
工工程が著しく困難になるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ここで上記〔1〕式よ
り上端タレ部だけ塗布速度を変化させるという方法は容
易に想像されるが、本発明者等の検討によると前に述べ
たような2段階の塗工速度を有するモード(一回だけの
塗布速度変化)では膜厚のオーバーシュート(凹凸部の
発生)が起こりやすく、凹凸部の発生が起こらないよう
な条件では上端タレ部はほとんど改善されないことが分
かった。またより大きな効果を狙って速度の変化率を大
きくした場合には、塗工槽液面に振動が発生し塗膜に悪
影響を及ぼすことも判明した。
【0009】しかしながらこの方法は塗工工程開始時の
初期の塗工速度を変化させるだけで良く、電気特性悪化
のリスクや設備的にも大きな負担はかける必要が無い等
多くの利点がある。本発明の目的は、浸漬塗布法により
電子写真感光体基材表面に感光層を形成する工程に於い
て、比較的容易かつ設備的にも大きな負担とはならない
方法により上端タレ部の長さを短縮することが可能な塗
工プロセスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、電子写真感光体形成用塗料を感光体基体の表面に浸
漬塗布を行う電子写真感光体の製造方法に於いて、前記
塗料中に感光体基体を浸漬した後、該感光体基体を引き
上げて塗布を行なうに際して、前記引き上げ塗布開始点
から30mmまでの距離だけ、一定膜厚を形成するため
の引き上げ速度以上の複数段階の速度範囲で引き上げ操
作を行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法に
存する。以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、浸漬塗布工程に
於ける、感光体ドラムの引き上げ操作の初期にその引き
上げ速度を、一定で均一な膜厚を形成する速度以上にし
て、なおかつそれを多段階に渡って変化させることにあ
る。これに対して、前述したようにこの段数が1段だけ
では、オーバーシュートという現象が発生し、塗膜上端
に凹凸部が発生してしまうことが分かっている。これは
引き上げ速度に対して塗膜の乾燥速度が速すぎるために
起こる現象である。この現象を抑えるためには、以下の
ような手段が挙げられる。 (1)レベリング剤を増量する。 (2)均一で溶剤蒸気がリッチな塗布環境を設けて塗膜
の乾燥速度を遅くすることにより、発生した凹凸部をレ
ベリング効果で平坦化する。 (3)高沸点溶剤を適量添加し塗膜の乾燥速度を調整す
る。
【0012】しかしながら、(1)の方法に関しては、
ごく少量のレベリング剤の添加は必要であるが、多量の
添加は電気特性的に好ましくなく、塗布欠陥を引き起こ
すことも分かっている。また(2)の方法はレベリング
効果があるため、均一な塗膜の形成に対しても非常に有
効な手段である。これに対して(3)の方法は、諸特性
の要求性能を満たすためにある程度の制約はあるものの
比較的容易な方法であるため採用されることが多い。
【0013】そこで本発明者等は上端タレ部の短縮を目
的として、浸漬塗布法の引き上げ工程に於ける、引き上
げ操作初期の速度条件、即ち多段階での速度変化等の設
備面から検討を行った。また(2)及び(3)の方法も
合わせて採用することで、より一層大きな効果が上げら
れることも分かった。まず初期速度(基体を引き上げ始
める速度)Vi、各遷移速度をVn、一定膜厚の塗膜を
形成するための引き上げ速度、即ち、一般には塗布開始
点から30mm以降の引き上げ速度の平均をVcと定義
し、更にそれらの速度の比を以下の様に定義する。
【0014】
【数2】 VRi=Vi/Vc,VR1=(Vi−Vl)/Vc, VRn={V(n−1)−Vn}/Vc …〔II〕 (n:2以上の自然数)
【0015】これらの速度条件〔II〕であるが、初期速
度倍率VRiに関して、このパラメーターは塗膜の立ち
上がりの傾きとオーバーシュート部(膜の凸部)の発生
に影響を与える。この数値が大きければ大きいほど塗膜
の立ち上がりの傾きとオーバーシュート部(凸部)は大
きな数値を示し、また前述したように塗工槽液面に発生
する振動の強度も増加する。従って、初期速度倍率は1
以上(VcがViより大きい)とする必要が有り、1.
1より大きく、1.8以上の範囲に設定するのが好まし
い。また1.2〜1.6の範囲にすることが更に好まし
い。速度の変化段数nは凹凸部の発生に関係するパラメ
ーターであり、2以上であれば任意の数値で良く、3以
上であることが更に好ましい。また段数という概念に拘
らず、連続的に変化させても良い。次いで速度変化率V
Rnも凹凸部の発生に関連するパラメーターであって、
一定の数値又は段階的にいずれの場合であっても良い
が、好ましくは0.15以下である。そしてこれらの多
段階での速度変更を行う領域は、上端タレ部の領域、即
ち塗布開始点から30mmまでの領域である。実際には
塗膜の流下やレベリング効果等を勘案しなければならな
いため、塗布開始点から15mmまでの領域で速度変更
を行うのが好ましい。
【0016】そして感光体基体の引き上げ工程に於いて
は、その引き上げ開始後に溶剤蒸気濃度調整用シールド
を作動させて乾燥速度を調節することが好ましい。図1
に本発明に用いる浸漬塗布装置の一例の概略を示す。感
光体基体1は把持機構2によってアーム3に固定されて
いる。このアーム3はベルト4により例えばボールねじ
を介して上下に可動して、基体1を感光層形成用塗料を
満たした塗工槽5の中へ基体の上端側を少なくとも一部
残して浸漬する。続いて基体1を引き上げることで基体
4の外表面の被塗布面に感光層が形成される。この操作
は感光体基体上に形成する感光層の数だけ繰り返され
る。塗工槽5への塗料の供給はポンプ6によりフィルタ
ー7を介して行われる、また溢れ出た塗料は塗料受け8
で集められ、タンク9に貯蔵される。フィルター7はダ
スト等を除去するためのもので、10は塗料を均一に保
つための撹拌装置である。そして11が溶剤蒸気濃度調
整用のシールドであり、これを動作(上昇)させるタイ
ミングは任意であるが、引き上げ操作の開始より遅い方
が好ましい。更に引き上げ操作の開始後3秒以上経過し
ていることが好ましい。よって、本発明によれば、従来
の製造設備をあまり変更する必要なく、生産性を低下さ
せずに、上端タレ部を短縮した電子写真感光体の製造方
法が達成できる。
【0017】ここで、本発明の着想を説明する。即ち、
塗布開始点からの距離と引き上げ速度との関係を概念的
に示す図6において、実線で示した2段階の速度を有す
る塗工法では、塗布開始点からの距離と膜厚との関係を
概念的に示す図7の実線の様な膜厚形状になってしまう
(凹凸部の発生)。この現象は特に30μm或いはそれ
以上の乾燥膜厚を得ようとすると顕著である。
【0018】そこで本発明者等は図7の凹凸部は図6の
速度パターンに不都合があると考えた。つまり、塗膜の
凸部が発生する原因は速度パターンの高速部の後半が、
また凹部は低速部(一定速度)部の初期が影響を及ぼし
ていると推論し、図6にある点線に示した速度コントロ
ールを着想し鋭意検討した結果、本発明に到った。更に
詳しく記すと、図6の点線部のような改良した速度コン
トロールを行った場合、斜線部(a)の領域が無くなる
のに対応して、図7の斜線部(a′:凸部)も消失し、
また図6の斜線部(b)の発生に対応して斜線部
(b′:凹部)もまた消失することを見出した。このこ
とから上端タレ部の問題を解決し、凹凸部のない膜厚形
状が得られることが分かった。尚、実際の速度コントロ
ールは必ずしも連続的である必要はなく、機械的に制御
が容易である多段方式を採用しても同様な効果が得られ
ることも分かった。続いて本発明により製造する電子写
真感光体を詳細に説明する。
【0019】電子写真感光体基体としては、周知の電子
写真感光体に採用されているものがいずれも使用でき
る。具体的に挙げれば、アルミニウム、ニッケル、ステ
ンレス、銅等の金属製円筒状基体、シートあるいはこれ
ら金属箔をラミネートしたもの、またガラス、プラスチ
ック、紙等からなる基体にこれらの金属を蒸着させ導電
性を持たせたもの等が挙げられる。更に金属粉末、カー
ボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質
を適当なバインダーと共に表面塗布を行うことで導電処
理を行った又は金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維
などを含有し導電性を有したプラスチック、紙等からな
る円筒状又はフィルム状基体等が挙げられる。
【0020】アルミニウムを主成分とする感光体基体が
好ましい。その材質は様々なものが使用できるが好まし
くはAl−Mn系合金であるJIS3003、Al−S
i系合金であるJIS6063等が挙げられる。一般に
アルミニウムからなる感光体基体は表面切削処理または
しごき加工等によって成型される。更にこれら感光体基
体を加熱処理したもの、又はアルマイト処理したものも
例示される。
【0021】上記の電子写真感光体の感光層としては、
単層型の有機感光層、また電荷発生層と電荷輸送層が積
層された構造の機能分離型感光層のどちらであっても良
い。本発明における電子写真感光体形成用塗料としては
電荷発生材料及び/または電荷輸送材料を含む感光層形
成用塗料が使用される。通常、機能分離型感光層の場合
は上記の電子写真感光体基体上に電荷発生層及び電荷輸
送層が順次形成されるが、必要に応じて感光体基体上に
はアンダーコート層が設けられる。
【0022】アンダーコート層形成用塗料はポリビニル
アルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリア
クリル酸、アルロース類、ゼラチン、でんぷん、ポリウ
レタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルブチラー
ル、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルカ
ルバゾール等の高分子材料単独、またはこれらの共重合
体等を適切な溶媒、即ち水、各種アルコール、エーテ
ル、ケトン、炭化水素類等に溶解することで調製され
る。これらアンダーコート層形成用塗料を感光体基体上
に塗布・乾燥することで下引き層が形成される。又アン
ダーコート層中には必要に応じてシリカ、アルミナ、酸
化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ等の各
種公知の無機酸化物や各種有機顔料が添加される。
【0023】上記電荷発生材料としては、アゾ系顔料、
ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ系
顔料、シアニン系顔料、スクエアリリウム系顔料、ペリ
ノン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、
多環キノン系顔料、インジゴイド系顔料、フタロシアニ
ン系顔料、カルボニウム系顔料、キノンイミン系顔料、
メチン系顔料、キノリン系顔料、ニトロ系顔料、ニトロ
ソ系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、ナフ
タルイミド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料等公
知の電荷発生材料が挙げられる。これら電荷発生材料は
公知の各種バインダー樹脂、増感剤等を含む適切な有機
溶媒中へ分散することで電荷発生層形成用塗料が得られ
る。これら電荷発生層形成用塗料を先に述べた方法で塗
布を行い、電荷発生層を形成する。
【0024】上記電荷輸送材料としては電子の輸送媒体
或いはホールの輸送媒体を使用することができ、またそ
の混合物も使用できる。電子の輸送媒体としてはニトロ
基、シアノ基、エステル基等の電子吸引性基を有する電
子吸引性化合物、例えば、2,4,6−トリニトロフル
オレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン
等のニトロ化フルオレノン類或いはテトラシアノジメタ
ン、ジフェノキノン誘導体等が挙げられる。また、ホー
ルの輸送媒体としては電子供与性の有機光導電性化合
物、例えば、カルバゾール、インドール、イミダゾー
ル、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピ
ラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール等の複素環化合
物、トリフェニルメタンとその誘導体、トリフェニルア
ミンとその誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フ
ェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラ
ゾン誘導体或いはこれらの構造を主鎖又は側鎖に有する
高分子材料等が挙げられる。そしてこれら電荷輸送材料
は公知の各種バインダー樹脂、その他添加剤等を含む適
切な有機溶媒中へ分散又は溶解することによって電荷輸
送層形成用塗料が得られる。これら電荷輸送層形成用塗
料を先に述べた方法で塗布を行い、電荷輸送層を形成す
る。
【0025】又上記電荷発生層又は電荷輸送層形成用塗
料を調製するための溶媒として、沸点が100℃以上の
溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロ
ヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−ペンタノン、
トルエン、キシレン、1,4−ジオキサン、酢酸ブチ
ル、ジメチルスルホキシド、2,4−ペンタンジオン、
3−オキソブタン酸メチル等公知の有機溶媒が挙げら
れ、また沸点が100℃以下の溶剤としてはジメトキシ
メタン、ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケ
トン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,
2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、メタノー
ル、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル等公知
の有機溶媒が挙げられる。感光層形成用塗料溶剤として
は、上記の沸点100℃以上(溶剤A)及び沸点100
℃以下(溶剤B)の溶剤を2種類以上混合したものが好
ましい。好ましいAとBの比率は、A:B=95:5か
らA:B=30:70の間であり、更に好ましくはA:
B=90:10からA:B=50:50の間である。上
述の本発明を利用した電子写真感光体の製造方法は、浸
漬塗布法による感光層形成の際、その塗布上端部にその
他の部分よりも膜厚の低い部分が発生する現象を抑制す
る効果が非常に顕著である。従って、かつ良好な画像特
性を有する電子写真感光体を製造することが可能であ
る。
【0026】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下に示す実施例には
限定されるものではない。なお、以下において「部」は
「重量部」を示す。 実施例1 電子写真感光体基体としてアルミニウムからなる導電性
円筒状基体を用い、この表面に、以下のようにして作成
した電荷発生層形成用塗料及び電荷輸送層形成用塗料を
順次塗布、乾燥を行い、電子写真感光体を作成した。ま
ず電荷発生層形成用塗料の材料は以下の通りである。即
ち、
【0027】
【表1】 ビスアゾ化合物 10部 ポリビニルブチラール樹脂 5部 (電気化学工業(株)、商品名#6000−C) フェノキシ樹脂 2.5部 (ユニオンカーバイト社製、商品名PKHH) ジメトキシエタン 360部 4−メトキシ−4−メチル−ペンタノン−2 40部
【0028】これら材料をサンドグラインダーミルにて
分散処理及び混合溶解し、約2.0センチポアズの粘度
を有する電荷発生層形成用塗料を作成した。この電荷発
生層形成用塗料を導電性円筒状基体の外周面に、乾燥膜
厚が0.5μmになるように浸漬塗布を行って電荷発生
層を形成した。続いて電荷輸送層形成用塗料の材料は以
下の通りである。
【0029】
【表2】 ヒドラゾン化合物 110部 ポリカーボネート樹脂 100部 テトラヒドロフラン 240部 1,4−ジオキサン 120部
【0030】これらの材料をセパラブルフラスコ中で混
合溶解し、約250センチポアズの粘度を有する電荷輸
送層形成用塗料を得た。そしてこの電荷輸送層形成用塗
料を電荷発生層表面に乾燥膜厚が36.0μmになるよ
うに下記条件で浸漬塗布を行った後、100℃、24分
間、続いて130℃、48分間の乾燥を行って電子写真
感光体を形成した。なお、この場合溶剤蒸気濃度調節用
シールドを作動させ、乾燥速度の調節も同時に行ってい
る。この電子写真感光体を実際の複写機に搭載し、コピ
ープロセスを繰り返し行った。その結果、画像ムラのな
い良好な画像が得られた。
【0031】電荷輸送層の浸漬塗布の初期の引き上げ速
度、前記した速度条件〔II〕において変化段数n=5、
初期速度倍率VRi=1.40、速度変化率VRn=
0.08(一定)(n=1,2,3,4,5)とした。
各塗布速度を示すと、平均膜厚が36μmとなるように
Vc=20.0(cm/min)であり、Vi=28.
0(cm/min)、V1=26.4(cm/mi
n)、V2=24.8(cm/min)、V3=23.
2(cm/min)、V4=21.6(cm/mi
n)、V5=Vc=20.0(cm/min)である。
塗布開始点からの距離と速度倍率(Vn÷Vc)との関
係をこれ以降の実施例、比較例とあわせて図2に示す。
【0032】実施例2 変化段数n=5、初期速度倍率VRi=1.40、速度
変化率VR1=0.02、VR2=0.02、VR3=
0.08、VR4=0.08、VR5=0.20とした
以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を形成し
た。なお、各塗布速度は、Vc=20.0(cm/mi
n)であり、Vi=28.0(cm/min)、V1=
27.6(cm/min)、V2=27.2(cm/m
in)、V3=25.6(cm/min)、V4=2
4.0(cm/min)、V5=Vc=20.0(cm
/min)である。
【0033】実施例3 変化段数n=5、初期速度倍率VRi=1.20、速度
変化率VRn=0.04(一定)(n=1,2,3,
4,5)とした以外は実施例1と同様にして電子写真感
光体を形成した。 比較例1 塗布上端での速度変化を行わず、一定の速度で塗布を行
った以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を形成
した。
【0034】比較例2 変化段数n=1、初期速度倍率VRi=1.40とした
以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を形成し
た。 比較例3 変化段数n=1、初期速度倍率VRi=1.20とした
以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を形成し
た。
【0035】実施例4 変化段数n=5、初期速度倍率VRi=1.40、速度
変化率VR1=0.02、VR2=0.02、VR3=
0.12、VR4=0.12、VR5=0.12とした
以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を形成し
た。 比較例4 変化段数n=5、初期速度倍率VRi=1.40、速度
変化率VR1=0.02、VR2=0.02、VR3=
0.02、VR4=0.17、VR5=0.17とした
以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を形成し
た。
【0036】結果これらの塗布条件による上端タレの評
価は、得た感光体の膜厚を表面粗さ計で測定し、均一な
部分(塗布開始点から30mm以降)の平均膜厚に対し
て上端タレ部が2μmだけ低い膜厚を示した地点と塗布
開始点の距離(距離:D)及び塗布開始点から15mm
地点の膜厚と均一な部分の平均膜厚との差(膜厚差:
M)を用いた。その結果を次表に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表中、距離Dは均一な膜厚領域の平均膜厚
値から2μmだけ低い値を示し、上端タレ部の点と塗布
開始点との距離であり、小さい値であるほど好ましい。
膜厚Mは塗布開始点から15mmの距離の膜厚と均一な
膜厚領域の平均膜厚値との差であり、数値的には0が最
も好ましい。またこの数値は例えば以下の条件を満たす
ことが好ましい。 −2.0<M<+2.0(μm) また、上端タレ部の膜厚形状を実施例1〜3は図3に、
比較例1〜3は図4に、実施例4と比較例4を図5に示
す。
【0039】
【発明の効果】以上の様に本発明によれば製造設備をあ
まり変更する必要なく、生産性を低下させずに、上端タ
レ部を短縮した電子写真感光体の製造方法が達成でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる浸漬塗布装置の一例の概略図。
【図2】実施例、比較例における塗布開始点からの距離
と速度倍率との関係を示す図。
【図3】実施例1〜3における上端タレ部の膜厚形状を
示す図。
【図4】比較例1〜3における上端タレ部の膜厚形状を
示す図。
【図5】実施例4と比較例4における上端タレ部の膜厚
形状を示す図。
【図6】塗布開始点からの距離と引き上げ速度との関係
を概念的に示す図。
【図7】塗布開始点からの距離と膜厚との関係を示す概
念図。
【符号の説明】
1 感光体基体 2 把持機構 3 アーム 4 ベルト 5 塗工槽 6 ポンプ 7 フィルター 8 塗料受け 9 タンク 10 撹拌装置 11 シールド

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体形成用塗料を感光体基体
    の表面に浸漬塗布を行う電子写真感光体の製造方法に於
    いて、前記塗料中に感光体基体を浸漬した後、該感光体
    基体を引き上げて塗布を行なうに際して、前記引き上げ
    塗布開始点から30mmまでの距離だけ、一定膜厚を形
    成するための引き上げ速度以上の複数段階の速度範囲で
    引き上げ操作を行うことを特徴とする電子写真感光体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 電子写真感光体形成用塗料の溶剤とし
    て、沸点100℃以下及び沸点100℃以上の2種類以
    上溶媒を使用することを特徴とする請求項1記載の電子
    写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 電子写真感光体形成用塗料を収容する塗
    工槽が、該塗工槽の上部空間を包囲可能な溶剤蒸気濃度
    調整用シールドを有しており、感光体基体の引き上げ開
    始後に溶剤蒸気濃度調整用シールドを作動させることを
    特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体の製造
    方法。
JP18078596A 1996-07-10 1996-07-10 電子写真感光体の製造方法 Pending JPH1026835A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003015328A (ja) * 2001-06-27 2003-01-17 Canon Inc 表面層形成用塗布液、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2003173034A (ja) * 2001-12-06 2003-06-20 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法、該製造方法によって得られた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2004093809A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Canon Inc 電子写真感光体
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JP2008062131A (ja) * 2006-09-05 2008-03-21 Ricoh Co Ltd 浸漬塗工方法と浸漬塗工装置、及び電子写真感光体

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