JP2004093809A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Tomohiro Kimura
木村 知裕
Shintetsu Go
呉 信哲
Hiroyuki Tanaka
田中 博幸
Kunihiko Sekido
関戸 邦彦
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Abstract

【課題】導電性支持体上に、中間層、感光層を積層してなる電子写真用感光体において、感度、耐久性の低下という重大な問題点を解決可能な優れた電子輸送性化合物を中間層中に含む電子写真感光体を提供することにある。
【解決手段】導電性基体上に感光層を有し、基体と感光層との間に中間層を有する電子写真感光体において、中間層がポリイミド構造を有する樹脂と環状ケトン構造を有するアミド系の有機溶剤を含有し、かつこのアミド系有機溶剤の含有量が20ppm.〜8000ppm.であることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性支持体、中間層、感光層からなる電子写真用感光体に関し、特に中間層が改良された電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機感光体には、アゾ顔料やフタロシアニン顔料等の電荷発生材を分散した電荷発生層と、ヒドラゾン化合物、トリアリールアミン化合物、スチルベン化合物等の正孔輸送材を含む電荷輸送層とを導電性支持体上に設ける積層型と、これら電荷発生材と正孔輸送材とを共に含有する感光層を導電性支持体上に設ける単層型とがある。
【0003】
しかし、導電性基体上にこれらの感光層を設けるだけでは、感光層の剥がれが生じたり、導電性基体表面の欠陥(傷等の形状的欠陥、不純物等の材質的欠陥)が画像にそのまま反映し、黒点状画像欠陥や白抜けといった問題の原因となる場合が多い。
【0004】
これらの問題点を補うため、多くの感光体では、中間層と呼ばれる層が感光層と基体との間に設けられている。
【0005】
中間層の多くは、絶縁性有機高分子が薄膜状に設けられていたり、アルマイトの様な絶縁性酸化物膜が設けられていたりしているが、絶縁性であるため、感度の低下を引き起こしたり、中間層/感光層界面に蓄積される空間電荷によって残留電位の上昇等の感光体疲労の原因ともなる。
【0006】
これらを防ぐため、中間層中に無機の導電性粒子を分散させる方法、イオン伝導性高分子を用いる方法、中間層中に電子輸送性化合物を含ませる方法等が知られている。
【0007】
無機粒子としては、酸化チタンや酸化スズが用いられるが、分散液の調製や、液安定性に問題があり、また分散不良の際の画像欠陥も問題になる。可溶性ポリアミド等のイオン伝導特性を有する中間層の場合、環境による特性の不安定さが問題になる。
【0008】
電子輸送性化合物としては、トリニトロフルオレノン、TCNQ等が知られているが、これらは安全性、安定性、相溶性に問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これらの特性改良を目的として、多環キノン顔料等の有機顔料(特開平9−015889、特開平9−258468号公報、特開平9−211879号公報、特開平9−197702号公報、特開平9−127716号公報等)や、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物(特開平5−27469号公報)を中間層に含有する感光体も提案されているが、このような中間層を設けた場合にも、感度、耐久性の低下という重大な問題点が残されている。
【0010】
本発明の目的は、導電性支持体上に、中間層、感光層を積層してなる電子写真用感光体において、上記課題を解決可能な優れた電子輸送性化合物を中間層中に含む電子写真感光体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性基体上に感光層を有し、基体と感光層との間に中間層を有する電子写真感光体において、中間層がポリイミド構造を有する樹脂と環状ケトン構造を有するアミド系の有機溶剤を含有し、かつこのアミド系有機溶剤の含有量が20ppm.〜8000ppm.であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0012】
本発明においては前記中間層中にポリイミド構造を有する樹脂と環状ケトン構造を有するアミド系の有機溶剤を含有している電子写真感光体を提供することによって上記問題点を解決することが可能となった。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明における感光体の説明を行う。
【0014】
本発明の中間層は例えば次式(1)に示されるような一般式で表わされるポリイミドを含有しているものである。
【外2】
Figure 2004093809
式(1)
(表中R1〜R4は同一または異なって、水素原子,置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基及びシアノ基を示す。)
【0015】
また、Aは様々なものが挙げられるが、中でも下記式(2)または(3)で示される基であることが特に好ましい。
Figure 2004093809
【0016】
式(2)中のAr1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基及び置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。また、式(3)中のAr2及びAr3は同一または異なって、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基及び置換もしくは無置換の芳香族複素環基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、置換もしくは無置換のアルキレン基、カルボニル基及びスルホニル基を表す。上記Ar1,Ar2及びAr3の芳香族炭化水素環基としてはフェニレン基、ビフェニレン基及びナフチレン基などが挙げられ、芳香族複素環基としてはピリジンジイル基及びチオフェンジイル基などが挙げられ、Xのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びイソプロピレン基などが挙げられる。また、これらの基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル及びプロピルなどのアルキル基、フッ素、塩素及び臭素などのハロゲン原子、トリフルオロメチルなどのハロメチル基、メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのアルキルアミノ基、アセチル及びベンゾイルなどのアシル基、及びシアノ基などが挙げられる。
【0017】
またnは正の整数を表わす。
【0018】
これらに相当する構造としては例えば次表1に示すようなものが挙げられる。
【0019】
【表1】
表1
Figure 2004093809
【0020】
式(1)で示されるイミド構造は、電子輸送能を有しており、その効果により負帯電型積層感光体や負帯電型単層感光体の場合、感光層中で発生した電子を本発明の中間層を経由して基体側に速やかに注入、移動させることができ、その結果として感光層や中間層の界面またはバルク内における電子の滞留が減少し、繰り返し使用による電位の安定化や環境変動に対する電位の安定化に効果が認められる。特に繰り返し使用時の電位安定性に関しては、既に特許3083049に記載されている。しかしながら、例えば、高速度の電子写真プロセスなどの過酷な条件下での電位の安定化には、中間層の電子注入や電子輸送効果をさらに高める必要がある。電子注入や電子輸送効果をさらに高める手段としては、芳香環を増加してイミド構造の共役性を高める方法もあるが、溶解性や成膜性など実用性に乏しくなる。
【0021】
本発明におけるポリイミド樹脂は1種類の構造のみで用いるだけでなく2種類以上のものの混合系や2種類以上の共重合系で使用することも可能である。
【0022】
本発明における中間層に含有される環状ケトン構造を有するアミド系有機溶剤としては例えばN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタムなどが有る。
【0023】
これらの溶剤が前記ポリイミド樹脂からなる中間層中に適量含有された場合にはこれらの溶剤によりポリアミド樹脂のガラス転移点が下がることにより樹脂分子の柔軟性が増し、このため分子間の電荷受け渡しが行いやすくなり、従って電子写真特性が向上するものと考えられる。
【0024】
ただしこれらの溶剤の中間層中における含有量は20ppm.から8000ppm.の範囲が適当であり。これより多く含有している場合には環境変動による電位の変動が大きくなりまたこれより少ない場合には残留電位の上昇が見られ、また基体との接着性が低下し、感光層の剥がれなどの原因になる。
【0025】
本発明における中間層に含有される環状ケトン構造を有するアミド系有機溶剤使用する方法としては、これをそのまま樹脂の溶解に使用する溶媒として用いても良く、あるいは他の溶剤に混合して添加剤のように使用する方法も可能である。
【0026】
式(1)で示される繰り返し単位を有するポリイミド構造と、ポリアミド酸構造またはポリアミド酸エステル構造、またはポリアミド酸アミド構造を有する樹脂は、例えばAの構造が(A−1)のものはテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの有機極性溶媒中での開環重付加反応により合成され、また、テトラカルボン酸二無水物と事前にN−シリル化したジアミンとの開環重付加反応によっても合成される。他の合成例として、テトラカルボン酸二無水物をエステル化、塩素化した後、ジアミンとの有機極性溶媒中での重合反応により合成してもよく、特にエステル化にはポリアミド酸とアルコールを適当な触媒の存在下でエステル化することにより合成できる。
【0027】
例えば式1に挙げられたポリイミド構造は次の式1−1〜式1−2に示すポリアミド酸またはポリアミド酸エステル構造から得る事ができる。
【0028】
【外3】
Figure 2004093809
(1−1)
【0029】
【外4】
Figure 2004093809
(1−2)
【0030】
式(1−1)及び式(1−2)中のR5及びR6は同一または異なって、水素原子、置換もしくは無置換のメチル、エチル及びプロピルなどのアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシアルキル基及び置換もしくは無置換のアラルキル基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基を有するシリル基を示す。)
【0031】
ポリイミド構造は、上記ポリアミド酸またはポリアミド酸エステルを熱処理することにより合成できる。処理温度は50〜250℃であることが好ましく、処理時間は5分〜2時間であることが好ましい。この処理温度や処理時間が全ての繰り返し単位に対する上記式(1)の繰り返し単位を有するポリイミド構造の比率に大きな影響を与える。この比率は、例えば、樹脂粉末や樹脂塗布膜の赤外吸収スペクトルを測定し、ナフチレン基特有のものである1500cm−1付近における吸収の吸光度とイミド基特有のものである1670〜1720cm−1における吸収の吸光度の比を求めることによって、或いは、サンプルのH−NMRスペクトルを測定し、カルボン酸及びカルボン酸エステル基のプロトンの量を求めることによって得ることができる。
【0032】
本発明の中間層は、必要に応じて他の樹脂、添加剤及び導電性物質などを本発明の効果が得られる範囲の量で含有することができる。他の樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル及びフェノール樹脂などが挙げられ、添加剤としては、2,5,7−トリニトロフルオレノン及びベンゾキノンなどの電子受容性有機化合物などが挙げられ、また、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物及び金属硫化物が挙げられる。
【0033】
いずれの場合も、本発明の中間層中の本発明の樹脂の含有量は、含有される中間層全重量に対し、10〜90重量%であることが好ましく、特には30〜90重量%であることが好ましい。
【0034】
本発明の中間層の厚さは、電子写真特性及び支持体上の欠陥などを考慮して適宜設定され得るものであるが、0.1〜50μmであることが好ましく、特には0.5〜30μmであることが好ましい。
【0035】
本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する、いわゆる単層型、及び電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する、いわゆる積層型に大別される。積層型は、更に、導電性支持体、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有するタイプと導電性支持体、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に有するタイプに分けられる。本発明においては、積層型、特に電荷発生層の上に電荷輸送層を積層したタイプであることが好ましい。
【0036】
電荷発生層は、モノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾなどのアゾ顔料、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ系顔料、アントアントロン及びピレンキノンなどの多環キノン系顔料、ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミドなどのペリレン系顔料、スクワリリウム系色素、ピリリウム及びチアピリリウム塩類、及びトリフェニルメタン系色素などの電荷発生物質を適当な溶剤を用いて結着樹脂、例えばポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン及びセルロース系樹脂などの樹脂中に分散させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷発生層の膜厚は通常5μm以下であることが好ましく、特には0.05〜2μmであることが好ましい。
【0037】
電荷輸送層は、成膜性を有する樹脂の溶液に下記のような電荷輸送物質を溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成される。電荷輸送物質は電子輸送物質と正孔輸送物質に大別される。電子輸送物質としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタンなどの電子受容性物質やこれらを高分子化したものが挙げられる。正孔輸送物質としては、ピレン及びアントラセンなどの多環芳香族化合物;カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾル及びトリアゾールなどの複素環化合物、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン及びN,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾールなどのヒドラゾン系化合物、α−フェニル−4′−N,N−ジアミノスチルベン及び5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]ジシクロヘプテンなどのスチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールアミン系化合物、トリフェニルアミンあるいはこれらの化合物からなる基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなど)が挙げられる。成膜性を有する樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル及びポリスチレンなどが挙げられる。電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0038】
単層型の場合には、前述したような電荷発生物質と電荷輸送物質とを結着樹脂中に分散及び溶解させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。単層型の場合、感光層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0039】
また、本発明ではポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンなどの有機光導電性ポリマー層、前述した電荷発生物質の蒸着層、セレン蒸着層、セレン−テルル蒸着層、アモルファスシリコン層なども感光層として用いることができる。
【0040】
本発明に用いられる導電性支持体としてはアルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄等の金属または合金、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金等の金属あるいは酸化インジウム、酸化スズ等の導電材料の薄膜を形成したもの等が例示できる。これらの支持体表面は電気的特性改善あるいは半導体レーザー等コヒーレント光照射時に問題となる干渉縞等の防止のため、陽極酸化等の電気化学的な処理やブラスト、切削等の処理が行われていても良い。また、導電性粒子(例えばカーボンブラック、銀粒子、酸化錫含有無機粒子など)を適当なバインダー樹脂と共に上記のようなプラスチック、金属または合金支持体上に被覆した支持体を用いる事もできる。導電性支持体の形状は特に制約はなく必要に応じて板状、ドラム状、ベルト状のものが用いられる。
【0041】
更に、本発明においては、感光層上に保護層として樹脂層や導電性粒子を含有する樹脂層を積層することもできる。
【0042】
上述した各種層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びプレードコーティング法などが挙げられる。
【0043】
本発明の電子写真用感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンターなどの電子写真装置一般に適応し得るが、更に電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリなどの装置にも幅広く適用し得るものである。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明の詳細な説明を行う。
【0045】
(実施例1)
直径30mm×長さ375.5mmのアルミニウムシリンダ−を用意する。
このアルミニウムシリンダー上に前記構造式(1)及び(1‐1)〜(1‐2)においてR1〜R6が水素H、Aの構造が(A‐1)である次式の化学式(2‐1)及び(2‐2)で表わされる2種類の材料の混合物10質量部に、N−メチル−2−ピロリドンとシクロヘキサノンの混合比1:2の混合溶剤90質量部を加えた溶液を浸漬塗布により塗工した後に150℃の温度で30分間乾燥し化学式(2‐3)で表わされるイミド樹脂を含有する膜厚1μmの中間層を形成した。
【0046】
【外5】
Figure 2004093809
(2−1)
【0047】
【外6】
Figure 2004093809
(2−2)
【0048】
【外7】
Figure 2004093809
(2‐3)
(l、mおよびnは正の整数を表わす。)
【0049】
次にこの中間層上にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料6質量部、ポリビニルブチラ−ル樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業株式会社製)3質量部およびシクロヘキサノン40質量部からなる混合液をサンドミルで10時間分散した後テトラヒドロフラン60質量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合し、前記中間層上に浸漬塗布し、さらに100℃で10分間乾燥して膜厚約0.1μの電荷発生層を形成した。
【0050】
次に下記構造式(3)で示されるトリアリ−ルアミン化合物50質量部およびビスフェノ−ルZ型ポリカ−ボネ−ト樹脂50質量部をモノクロルベンゼン400質量部に溶解した溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃の雰囲気中で1時間加熱乾燥して膜厚17μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0051】
【外8】
Figure 2004093809
(3)
【0052】
(比較例1)
比較例として中間層塗工液に使用した溶剤のうちN−メチル−2−ピロリドンの代わりにジメチルフォルムアミドを用いた他は実施例1と同様にして作製したものを比較例1とする。
【0053】
(実施例2〜5)
実施例1において中間層の乾燥温度を180℃30分、150℃10分、150℃5分、120℃30分としたものをそれぞれ実施例2〜5とする。
【0054】
(比較例2)
また実施例1における中間層の乾燥温度を120℃10分としたものを比較例2とする。
【0055】
これらの実施例1〜5及び比較例1、2に関して赤外吸収スペクトルを測定し、ジフェニルエーテル特有のものである1500cm−1付近の吸収の吸光度とイミド基特有のものである1240cm−1付近や1670〜1720cm−1における吸収の吸光度の比率から算出した所、いずれも70%以上のイミド化率があることが判明した。
【0056】
さらにこれらのものについてガスクロマトグラフィー法により皮膜中に存在するN−メチル−2−ピロリドンの量を測定したところ次表2のようになった。
【0057】
(含有量の測定はHewtett Packard社製ガスクロマトグラフィーシステムHP6890を使用し、オーブン温度50℃、フロント注入口温度:50℃、圧力:20psi、バック注入口温度:250℃、圧力:20psi。カラム:キャピラリーカラムモデルHP19091Z−433HP−1。
【0058】
検出器(FID):温度250℃、水素流量:40mリットル/min.、エアー流量:450mリットル/min.の条件でトルエンを検量線用基準物質として検量線を作成して膜内のN−メチル−2−ピロリドンの量を求め、元の被膜の重量と比較することによって行った。)
【0059】
さらにこれらの実施例1〜5及び比較例1、2について常温常湿環境(23℃55%RH)でマイナス帯電−露光−現像−転写−クリーニングプロセスを有する反転現像方式の複写機(GP−405改造機。キヤノン製;露光量を0.28μJ/cmに調整。)に装着して暗部電位VD及び明部電位VLを測定し、さらに高温高湿環境(30℃、80%Rh)での電位(暗部電位VD、明部電位VL)評価及び低温低湿環境(15℃、10%Rh)、での連続5時間の帯電−露光を繰り返した前後の電位変動量(ΔV)を求めた。評価結果を表−2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 2004093809
【0061】
これから分かるように中間層中のN−メチル−2−ピロリドン含有量が本発明の範囲内であるものは電位の安定性に優れ、環境の変動や連続耐久使用に対しても高い電位安定性を有することが分かる。
【0062】
(実施例6〜10)
前記式(1)においてAの部分の構造が表1におけるA−9の構造からなる下記化学式(4)で表わされるポリイミドを含有する材料を使用して実施例1〜5と同様に乾燥温度を振った中間層を形成したものを用意する。
【0063】
【外9】
Figure 2004093809
(4)
(nは正の整数)
この中間層上に実施例1〜5と同様の感光層を形成した。
これらを実施例6〜10とする。
【0064】
(比較例3及び4)
さらにこの材料について比較例1及び2と同様にして中間層および感光層を形成した感光体を比較例3及び4とする。
【0065】
これらの実施例6〜10及び比較例3、4に関して同様の評価を行ったところ実施例1〜5及び比較例1、2と同様の結果が得られた。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、低温低湿下から高温高湿下に至る全環境において、環境安定性や繰り返し使用による安定性に対して優れた電位特性及び画像特性を有し、且つ、生産安定性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を提供することができる。

Claims (3)

  1. 導電性基体上に感光層を有し、基体と感光層との間に中間層を有する電子写真感光体において、中間層がポリイミド構造を有する樹脂と環状ケトン構造を有するアミド系の有機溶剤を含有し、かつこのアミド系有機溶剤の含有量が20ppm.〜8000ppm.であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. アミド系溶剤がN−メチル−2−ピロリドンである請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリイミド構造を有する樹脂が次式(1)に示されるような一般式で表わされるポリイミドを含有している請求項1記載の電子写真感光体。
    【外1】
    Figure 2004093809
    式(1)
    (図中R1〜R4は同一または異なって、水素原子,置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基及びシアノ基を示す。
    また、Aが下記式(2)または(3)で示される基であり、
    −Ar1−          (2)
    −Ar2−X−Ar3−    (3)
    式(2)中のAr1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基及び置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。また、式(3)中のAr2及びAr3は同一または異なって、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基及び置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表わし、Xは酸素原子、硫黄原子、置換もしくは無置換のアルキレン基、カルボニル基及びスルホニル基を表す。上記Ar1,Ar2及びAr3の芳香族炭化水素環基はフェニレン基、ビフェニレン基及びナフチレン基であり、芳香族複素環基はピリジンジイル基及びチオフェンジイル基である。Xのアルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びイソプロピレン基であり。また、これらの基が有してもよい置換基は、メチル、エチル及びプロピルなどのアルキル基、フッ素、塩素及び臭素などのハロゲン原子、トリフルオロメチルなどのハロメチル基、メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのアルキルアミノ基、アセチル及びベンゾイルなどのアシル基、及びシアノ基である。
    nは正の整数を表わす。)
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