JP4865261B2 - 光導電性部材 - Google Patents

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Description

本件では、画像形成部材、より詳細には、正及び負に帯電する電子写真用画像形成部材と、この部材上への画像形成法とを示す。
その内容を全て本件に引用して援用する、米国特許第6,255,027号、米国特許第6,177,219号、及び米国特許第6,156,468号には、例えば、バインダ中に分散した多くの光散乱粒子から成る正孔障壁層を含む感光体が示されている。例えば、その内容を全て本件に引用して援用する、米国特許第6,156,468号の実施例1には、VARCUM(登録商標)(オキシケム・カンパニー(OxyChem Company)製)である特定の線状フェノールバインダ中に分散した二酸化チタンである正孔障壁層が示されている。
米国特許第6,255,027号明細書 米国特許第6,177,219号明細書 米国特許第6,156,468号明細書
本明細の特徴は、高濃度の1つ以上の光発生顔料を含む光導電性画像形成部材の提示である。高濃度とは、例えば約30〜約60重量%であり、こうすることによって光発生層表面の上部、約0.5μmで電荷を発生させる。
本明細の更にもう一つの特徴は、厚さが、例えば約5〜100μm、又は約5〜約60μm、又は約15〜約50μmの電子写真用画像形成部材の提示である。この部材は非常に高い光感度と、良好な放電特性と、改善された暗減衰、つまり、例えば先行技術における多くの類似の部材に比べて少ない暗減衰とを備え、更にこの部材は可視及び赤外レーザに適合する。
本明細の更にもう一つの特徴は、電荷輸送、より詳細には電子輸送化合物、特に、光発生層の被覆に用いる溶媒マトリックスに可溶な化合物を含む光発生層を含む電子写真用画像形成部材の提示と、光発生顔料の分散が良好で、沈殿や凝集を生じたり構造を形成することなく、また電子輸送化合物が更に電子輸送経路となることで、部材を適当な厚さとすることのできる部材の提示である。
本明細の更にもう一つの特徴は、電荷の拡散が無く/少なく、より小さい暗減衰特性を持ち、これによってより高い解像度が可能な光導電性部材の提示である。この部材は、プライウッド(合板模様:plywooding)効果、光屈折の問題が殆ど無い。
更に、本明細のもう一つの特徴では、光発生層が、NTDI(N,N’−ビス(1,2−ジメチルプロピル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド)、置換基がビス(2−ヘプチルイミド)ペリノンである置換NTDI、BCFM(ブトキシカルボニルフルオレニリデンマロノニトリル)、BIB−CN類(ベンゾフェノンビスイミド)、BIB−CN類の置換誘導体などの電子輸送分子を含む画像形成部材を提示する。
より詳細には、本件では、カラーを含む静電デジタル法に有用な多層型光導電性画像形成部材を開示する。この部材は、必要に応じて支持基材と、光発生層と、電荷輸送層と、必要に応じて保護用オーバーコート層とを含み、光発生層は、1つ以上の光発生顔料と、必要に応じてポリマバインダと、電子輸送成分との混合物を含む。実施の形態において、使用する光発生顔料の量と電子輸送成分の量とをそれぞれ調節して、例えば光発生層の光感度を調節可能なものとすることができる。より詳細には、実施の形態において、光発生層中に存在する感度の高い光発生顔料の量又は濃度を予め定め、また変えて、例えばその画像形成部材を多くの異なる光感度とすることができる。
実施の形態において本件に示す画像形成部材の長所としては、光発生層中の第2の光発生顔料の長い粉砕時間を無くし、これにより暗減衰特性の増加を無く/小さくし、低電界での容量荷電特性(capacitive charging characteristics)を保つことが挙げられる。部材の電気的性質は良好で、光発生層中に電子輸送成分が無く、本件に示すような光発生顔料の量の調節を行わない同様な部材に比べて、更に向上する場合もある。また、障壁層がある場合、特に、例えば約1〜約20μmと厚い層である場合には、主に、光発生層から障壁層への電子輸送成分の拡散/浸透による障壁層の電子移動度の向上によって、残留電圧を低くすることができる。更に、光発生層が電子輸送成分を含む実施の形態では、例えば、光の大部分を上部の約2〜約5μmで吸収するよう顔料濃度を比較的高く保つ一方で、光発生層をより厚くすることができる。この層はまた電荷欠損点が少なく、部材の製造とその被覆強さを改善することができる。更に、光発生層中に電子輸送成分があることで、電子移動度を高めて光発生層を厚くすることができる。この厚い層は、厚さ約0.1〜約2μm程の薄い層より被覆が容易である。
実施の形態において本発明の画像形成部材は、優れたサイクル/環境安定性、優れた摩耗特性、例えば100万画像形成サイクルもの長い寿命、少ないミクロクラッキング(microcracking)、多くの溶媒、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエンなどと接した場合の悪影響が無い/少ない、良好な、場合によっては向上した電気的特性、優れた画像形成部材表面の性質を示し、この部材はドラム及びベルト感光体のいずれにも用いることができる。
本発明には、画像形成法、特に、デジタル式などの電子写真画像形成及び印刷法も含まれる。より詳細には、本発明の光導電性画像形成部材は、様々な公知の画像形成及び印刷法、例えば電子写真画像形成法、特に、荷電した潜像を適当な電荷極性のトナー組成物を用いて可視像化する電子写真画像形成及び印刷法などに使用できる。画像形成部材は実施の形態において、例えば約475〜約950nm、特に約650〜約850nmの波長域に感度を持つため、光源としてダイオードレーザが使用できる。更に本発明の画像形成部材は、カラー電子写真への応用、特に高速カラーコピー及び印刷法に有用である。
その実施の形態においては、以下のものが開示される。支持基材と光発生層と電荷輸送層とを含む光導電性部材であって、光発生層が、光発生成分と電子輸送成分とを含み、電子輸送成分が、カルボニルフルオレノンマロノニトリル、ニトロ化フルオレノン、ジイミド、1,1−ジオキソ−2−(アリール)−6−フェニル−4−(ジシアノメチリデン)チオピラン、カルボキシベンジルナフタキノン、及びジフェノキノンから成る群より選ばれ、カルボニルフルオレノンマロノニトリルは次の構造式(式中、各Rはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれる。また、各Rはそれぞれ、水素、炭素数1〜約40のアルキル、炭素数1〜約40のアルコキシ、フェニル、置換フェニル、ナフチル、アンスリル、炭素数約6〜約40のアルキルフェニル、炭素数約6〜約40のアルコキシフェニル、炭素数約6〜約30のアリール、炭素数約6〜約30の置換アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれてもよい。)で示され、

ニトロ化フルオレノンは次の構造式(式中、各Rはそれぞれ、アルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれ、R基の少なくとも2つはニトロである。また、各Rはそれぞれ、水素、炭素数1〜約40のアルキル、炭素数1〜約40のアルコキシ、フェニル、置換フェニル、ナフチル、アンスリル、炭素数約6〜約40のアルキルフェニル、炭素数約6〜約40のアルコキシフェニル、炭素数約6〜約30のアリール、炭素数約6〜約30の置換アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれ、R基の少なくとも2つはニトロであってもよい。また、それぞれのアリールは炭素数約6〜約30で、それぞれのアルキルは、炭素数1〜約25で、それぞれのアルコキシは、炭素数1〜約25で、それぞれのハロゲンは塩素であってもよい。また、アリールはフェニルまたはナフチルで、アルキルはメチルまたはエチルで、アルコキシはエトキシまたはプロポキシであってもよい。)で示され、

ジイミドは、次の構造式(式中、Rは、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロゲン、又はアリールであり、Rは、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、又はアリールであり、R〜Rは、R及びRについて本件に示したものと同じである。また、Rは、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、又はフェニル、ナフチル、アンスリル等のアリールであり、Rは、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、又はフェニル、ナフチル、アンスリル等のアリールであり、Rは、炭素数1〜約50であり、R〜Rは、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロゲン、又はフェニル、ナフチル、アンスリル等のアリールであり、R〜Rは、同一でもそれぞれ異なっていてもよく、それぞれ1〜約25の炭素原子を含んでもよい。また、Rは、アルキル、分岐アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、又はアリールであり、Rは、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、R、Rは、それぞれ炭素数1〜約15であり、R〜Rは、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、又はアリールであってもよい。)で示される、N,N’−ビス(ジアルキル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドと、N,N’−ビス(ジアリール)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドとから成る群より選ばれ、

1,1−ジオキソ−2−(アリール)−6−フェニル−4−(ジシアノメチリデン)チオピランは次の構造式(式中、各Rはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれる。また、各Rはそれぞれ、水素、炭素数1〜約40のアルキル、炭素数1〜約40のアルコキシ、フェニル、ナフチル、アンスリル、炭素数約6〜約40のアルキルフェニル、炭素数約6〜約40のアルコキシフェニル、炭素数約6〜約30のアリール、及びハロゲンから成る群より選ばれてもよい。)で示され、

カルボキシベンジルナフタキノンは次のいずれかの構造式(式中、各Rはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれる。また、各Rはそれぞれ、水素、炭素数1〜約40のアルキル、炭素数1〜約40のアルコキシ、フェニル、ナフチル、アンスリル、炭素数約6〜約40のアルキルフェニル、炭素数約6〜約40のアルコキシフェニル、炭素数約6〜約30のアリール、炭素数約6〜約30の置換アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれてもよい。)で示され、


ジフェノキノンは次の構造式(式中、各Rはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれ、必要に応じて、各R置換基は、具体的に又は一般的に示されていない適当な基である。また、各Rはそれぞれ、水素、炭素数1〜約40のアルキル、炭素数1〜約40のアルコキシ、炭素数約6〜約40のアルキルフェニル、炭素数約6〜約40のアルコキシフェニル、及びハロゲンから成る群より選ばれてもよい。)で示される光導電性部材。
また、電子輸送成分は次の構造式(式中、R及びRはそれぞれ、水素、ヘテロ原子含有基、及び、必要に応じて少なくとも1つのヘテロ原子部分で置換された炭化水素基から成る群より選ばれ、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、窒素含有基、硫黄含有基、ヒドロキシル基、ケイ素含有基、水素、ハロゲン、ヘテロ原子含有基、及び、必要に応じて少なくとも1つのヘテロ原子部分で置換された炭化水素基から成る群より選ばれる。)で示される光導電性画像形成部材。
支持基材が伝導性金属基材を含む光導電性画像形成部材。;伝導性基材が、アルミニウム、アルミニウム化ポリエチレンテレフタラート、又はチタン化ポリエチレンテレフタラートである光導電性画像形成部材。;光発生体層の厚さが約100nm〜約5μmである光導電性画像形成部材。;正孔などの電荷を輸送する層の厚さが約20〜約75mmである光導電性画像形成部材。;光発生層が、必要に応じた樹脂状バインダ中に分散した約5〜約95重量%の光発生顔料を含む光導電性画像形成部材。;光発生樹脂状バインダが、塩化ビニルと酢酸ビニルとヒドロキシ及び/又は酸含有モノマー類との共重合体、ポリエステル類、ポリビニルブチラール類,ポリカーボネート類、ポリスチレン−b−ポリビニルピリジン、及びポリビニルホルマール類から成る群より選ばれ、電子輸送材料の量が約5〜約40重量%である光導電性画像形成部材。;電荷輸送層がアリールアミン分子を含む光導電性画像形成部材。;電荷輸送アリールアミンが、例えば次の構造式で示され、

式中、Xは、アルキル、アルコキシ、及びハロゲンから成る群より選ばれ、アリールアミンが樹脂状バインダ中に分散している光導電性画像形成。;アルキルが約1〜約10の炭素原子を含む画像形成部材。;アルキルが1〜約5の炭素原子を含む画像形成部材。;アリールアミンのアルキルがメチルであり、ハロゲンが塩素であり、樹脂状バインダが、ポリカーボネート類とポリスチレンとから成る群より選ばれる、光導電性画像形成部材。;アリールアミンがN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンである光導電性画像形成部材。
光発生層が金属フタロシアニン類又は無金属フタロシアニン類を含む光導電性画像形成部材。;光発生層が、チタニルフタロシアニン類、ペリレン類、アルキルヒドロキシガリウムフタロシアニン類、ヒドロキシガリウムフタロシアニン類、又はそれらの混合物を含む光導電性画像形成部材。;光発生層がV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含む光導電性画像形成部材。;本件に示す画像形成部材上に静電潜像を生ずる工程と、潜像を現像する工程と、現像した静電画像を適当な被印刷体に転写する工程と、を含む画像形成法。;正孔障壁層が、ビスフェノールS(4,4’−スルホニルジフェノール)のフェノール化合物である画像形成部材。;フェノール化合物がビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)である画像形成部材。;フェノール化合物がビスフェノールE(4,4’−エチリデンビスフェノール)である画像形成部材。;接着層が、重量平均分子量Mwが約4万〜約75,000、数平均分子量Mnが約3万〜約45,000であるポリエステルを含む画像形成部材。;光発生体層の厚さが、約100nm〜約5μmであり、輸送層の厚さが、約20〜約65μmである画像形成部材。;光発生層が、樹脂状バインダ中に分散した、約10〜約90重量%の量の光発生顔料を含み、必要に応じて、樹脂状バインダが、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体類、ポリエステル類、ポリビニルブチラール類、ポリカーボネート類、ポリスチレン−b−ポリビニルピリジン、及びポリビニルホルマール類から成る群より選ばれる画像形成部材。;バインダが、重量平均分子量500〜80000のポリカーボネート類である画像形成部材。;電荷輸送層が、適当な公知の又は将来開発される成分を含む画像形成部材。;光発生層が金属フタロシアニン類と無金属フタロシアニン類との混合物を含む画像形成部材。;光発生層が、2種類の顔料の混合物を含み、第1の顔料は第2の顔料より光感度が高く、第2の顔料は第1の顔料より光感度が低く、第1の顔料は約1〜約99重量%の量で存在し、第2の顔料は約99〜約1重量%の量で存在する画像形成部材。;光発生層が、効果的な量のチタニルフタロシアニン類、ペリレン類、ヒドロキシガリウムフタロシアニン類、その他公知の光発生顔料、それらの混合物、特に2つの顔料の混合物を含み、より光感度の高い顔料の濃度が、例えば約40〜約95重量%であり、第1の顔料の量が約5〜約60重量%であり、電子輸送成分の量が約2〜約60重量%、より詳細には約5〜約40重量%であり、ポリマバインダの量が、例えば約10〜約90重量%、より詳細には約30〜約70重量%である画像形成部材。
順に、基材と、単一電子写真用光導電性絶縁層とを含み、電子写真用光導電性絶縁層が、光発生顔料を含む光発生粒子と、電子輸送材料とを含み、電子輸送材料が、例えば、N,N’−ビス(2,2−ジメチルプロピル)−1、4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(NTDI)、置換NTDI、ブトキシカルボニルフルオレニリデンマロノニトリル、(4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)−9−フルオレニリデン)マロノニトリル(2−EHCFM)、溶解度の高いBCFM、(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルなどのフルオレニリデン、本件に示す電子輸送成分、から成る群より選ばれる、光導電性画像形成部材。;光発生層に電子輸送成分とポリマバインダとが含まれる光導電性画像形成部材。;厚さが約15〜約60μmであって、高い光感度、効率の良い電荷発生、良好な絶縁性を持つことが可能である一方、光のない又は光の僅かな暗環境中において非常に電荷が漏れにくく、優れた暗減衰特性、より詳細には本件に示すように暗減衰の小さい光導電性部材。;光発生層混合物中の各成分の量として、光発生成分が約20〜約60重量%、ポリマバインダが約30〜約70重量%、電子輸送成分が約5〜約40重量%であり、成分の合計が約100%である部材。;光発生顔料として、約550〜約950nmの波長の光を吸収する無金属フタロシアニンを用いる部材。;支持基材が、金属を含む伝導性基材を含む画像形成部材。;伝導性基材が、アルミニウム、アルミニウム化ポリエチレンテレフタラート、又はチタン化ポリエチレンテレフタラートである画像形成部材。;光発生混合物層に用いるバインダが、ポリエステル類、ポリビニルブチラール類、ポリカーボネート類、ポリスチレン−b−ポリビニルピリジン、ポリビニルホルマール類、PCZポリカーボネート類、等から成る群より選ばれる画像形成部材。;電子輸送成分が、BCFM、4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル、2−メチルチオエチル=9−ジシアノメチレンフルオレン−4−カルボキシラート、2−(3−チエニル)エチル=9−ジシアノメチレンフルオレン−4−カルボキシラート、2−フェニルチオエチル=9−ジシアノメチレンフルオレン−4−カルボキシラート、又は、11,11,12,12−テトラシアノアントラキノジメタンである画像形成部材。;電子輸送成分が、NTDI、BCFMであり、電荷輸送成分が、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン分子である正孔輸送成分である画像形成部材。;電子輸送成分が、N,N’−ビス(3−メトキシプロピル)−3,3’,4,4’−ベンゾフェノン=テトラカルボン酸ジイミドである画像形成部材。
光発生顔料として用いるX多形無金属フタロシアニンが、X線回折計を用いた測定で、ブラッグ角(2θ±0.2度)に最大ピークを持つ画像形成部材。;光発生成分が、無金属フタロシアニンと第2の光発生顔料との混合物を含む画像形成部材。;画像形成部材を約500〜約950nmの波長の光に露光する画像形成法。;荷電コンポーネントと、現像コンポーネントと、転写コンポーネントと、定着コンポーネントと、を含む画像形成装置であって、この装置が、本件に示す光導電性画像形成部材を含む画像形成装置。;障壁層が基材上の被覆として含まれ、接着層を障壁層の上に被覆する画像形成部材。;電子輸送成分とポリマバインダと光発生顔料との混合物を含む光導電性画像形成部材。;1つ以上の光発生顔料と、電子輸送成分と、ポリマバインダとを含む光導電性画像形成部材であって、1つ以上の顔料が、x無金属フタロシアニン、3価金属フタロシアニン類(クロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)など)、金属フタロシアニン類(ヒドロキシガリウムフタロシアニン(OHGaPc)など)、チタニルフタロシアニン(OTiPc)、ベンズイミダゾールペリレン(BZP)、535+ダイマーを含み、電荷輸送成分が、Ae−18、AB−16、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、それらの混合物である正孔輸送分子を含み、この混合物の含有率を、例えば、ある正孔輸送成分が約1〜約99%、第2の正孔輸送成分が約99〜約1重量%であって、その合計が約100%、ある正孔輸送成分が約40〜約65%、第2の正孔輸送成分が約65〜約40重量%であって、その合計が約100%、ある正孔輸送成分が約30〜約65%、第2の正孔輸送成分が約30〜約65重量%、第3の正孔輸送成分が約30〜約65重量%であって、その合計が約100%、とすることができる。
画像形成部材には、適当で効果的な基材が用いられる。基材は不透明又は実質的に透明で、必要な機械的性質を備えたどのような適当な材料を含むものでも良い。このように、例えば基材は、市販のポリマであるMYLAR(登録商標)、MYLAR(登録商標)被覆チタンなどの、無機又は有機ポリマ材料を含む絶縁材料の層、酸化インジウムスズ、アルミニウム、チタンなどの半導体表面層を備えた有機又は無機材料の層を含み、あるいは、アルミニウム、クロム、ニッケル、真鍮などの導電性材料のみから成るものでも良い。基材は、可撓性、シームレス、又は堅牢で、多くの様々な形状、例えば、板状、ドラム、スクロール、エンドレス可撓性ベルトなどとすることができる。実施の形態において、基材はシームレス可撓性ベルトの形である。基材の裏には、特に基材が可撓性の有機ポリマ材料である場合、必要に応じて通常の抗カール層を被覆する。本発明の画像形成部材に用いられる基材層の例は、本件に示すような不透明又は実質的に透明な材料で、必要な機械的性質を備えたどのような適当な材料を含むものでも良い。このように基材は、市販のポリマであるMYLAR(登録商標)、MYLAR(登録商標)含有チタン又はその他適当な金属、等の、無機又は有機ポリマ材料を含む絶縁材料の層、酸化インジウムスズ、又はその上に配置したアルミニウムなどの、半導体表面層を備えた有機又は無機材料の層、あるいは、アルミニウム、クロム、ニッケル、真鍮などの伝導性材料を含むものであっても良い。本件に示すような基材層の厚さは、経済的配慮など多くの要因に応じて決まるため、この層は相当な厚さ、例えば約300〜約700μmなど、300μm以上の厚さ、あるいは最小の厚さとすることができる。実施の形態において、この層の厚さは約75〜約300μmである。部材の厚さは、例えば約5〜約70μm、より詳細には約15〜約45μmとすることができる。
バインダ樹脂は様々な適当な量、例えば、光発生層又は電荷輸送層中に約5〜約70重量%、より詳細には約10〜約70重量%、更に詳細には約30〜約50重量%含まれる。バインダ樹脂は、数多くの公知のポリマ類、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリ塩化ビニル、ポリアクリラート類及びメタクリラート類、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体、フェノキシ樹脂、ポリウレタン類、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンなど、より詳細には、ビスフェノールZカーボネート(PCZ)(重量平均分子量約2万のPCZ−200、重量平均分子量約51,000のPCZ−500、重量平均分子量約4万のPCZ−400、重量平均分子量約8万のPCZ−800、及びそれらの混合物)より選ばれる。実施の形態では、被覆用溶媒として、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、エーテル類、アミン類、アミド類、エステル類などを選ぶと良い。具体的には、溶媒として、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メトキシエチルなど、より詳細には、テトラヒドロフラン(THF)、モノクロロベンゼン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、及びそれらの混合物を用いる。
必要に応じて、基材上に接着層を設けても良い。下引接着層に用いられる典型的な材料としては、例えば、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、等が挙げられる。典型的なポリエステル類としては、例えば、VITEL(登録商標)PE100及びPE200(グッドイヤー・ケミカルズ(Goodyear Chemicals)製)、MOR−ESTER49,000(登録商標)(ノートン・インターナショナル(Norton International)製)が挙げられる。下引層はどのような適当な厚さでも良く、例えば約0.001〜約10μmである。約0.1〜約3μmの厚さが好ましい。必要に応じて、下引層に適量の添加剤、例えば約1〜約10重量%の、酸化亜鉛、二酸化チタン、窒化ケイ素、カーボンブラックなどの導電性又は非導電性粒子を加えて、例えば電気的及び光学的性質を向上させても良い。下引層は、適当な溶媒を用いて支持基材上に被覆できる。典型的な溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンなど、またそれらの混合物が挙げられる。
光発生成分、特に顔料の例は、無金属フタロシアニン類、金属フタロシアニン類、ペリレン類、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、及び、ベンズイミダゾールペリレン(望ましくは、ビスベンズイミダゾ(2,1−a:1’,2’−b)アントラ(2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’)ジイソキノリン−6、11−ジオンと、ビスベンズイミダゾ(2,1−a:2’,1’−a)アントラ(2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’)ジイソキノリン−10,21−ジオンとの、例えば約60/40、50/50、40/60混合物)、クロロガリウムフタロシアニン類、ヒドロキシガリウムフタロシアニン類、チタニルフタロシアニン類などであり、また適当な公知の光発生成分(例えば、本件に掲げた同時係属中の出願を参照)も含まれる。
使用される電荷輸送成分は、本件に示すもの、また本件に掲げた同時係属中の出願に示されるものであって、例えば、アリールアミン類、より詳細には、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、9,9−ビス(2−シアノエチル)−2,7−ビス(フェニル−m−トリルアミノ)フルオレン、トリトリルアミン、ヒドラゾン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−N”−(1−ビフェニル)アミン、等である。
電子輸送分子の具体例は、本件に示すような、(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル、2−メチルチオエチル=9−ジシアノ メチレンフルオレン−4−カルボキシラート、2−(3−チエニル)エチル=9−ジシアノメチレンフルオレン−4−カルボキシラート、2−フェニルチオエチル=9−ジシアノメチレンフルオレン−4−カルボキシラート、11、11,12,12−テトラシアノアントラキノジメタン、1,3−ジメチル−10−(ジシアノメチレン)アントロン、等である。
光発生顔料は様々な含有量であり、例えば、約10〜約70重量%、より詳細には約20〜約60重量%とすることができる。電子輸送成分は様々な含有量であり、例えば約2〜約75重量%、より詳細には約5〜約50重量%とすることができる。ポリマバインダの含有量は、約10〜約90重量%、より詳細には約30〜約70重量%とすることができる。
光発生層において、光発生成分は約0.05〜約60重量%と、電子輸送成分の含有量は約1〜約75重量%と、合計約100重量%とすることができる。前記成分は、約10〜約70重量%のポリマバインダに含有することができる。また、必要に応じ、光発生層の膜厚は約0.1〜約50μmとすることができる。光発生層は、約370〜約950nmの波長の光を吸収することができる。
光発生層において、光発生成分は約0.5〜約60重量%と、電子輸送成分の含有量は約1〜約70重量%とすることができる。前記成分は、約10〜約75重量%のポリマバインダに分散することができる。また、必要に応じ、光発生層の膜厚は約0.1〜約50μmとすることができる。
電荷輸送層のポリマバインダの例としては、本件に示す成分、例えば米国特許第3,121,006号に示されているものが挙げられる。ポリマバインダ材料の具体例としては、ポリカーボネート類、アクリラートポリマ類、ビニルポリマ類、セルロースポリマ類、ポリエステル類、ポリシロキサン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、エポキシ樹脂、またそれらのブロック、ランダム、又は交互共重合体が挙げられる。望ましい電気的に不活性なバインダは、重量平均分子量約2万〜約10万、より詳細には重量平均分子量(Mw)約5万〜約10万のポリカーボネート樹脂や、本件に示すPCZなどのポリマバインダを含むものである。
更に本発明の画像形成部材は、ヒ化ガリウムダイオードレーザや、一般に約660〜約830nmの波長で機能する発光ダイオード(LED)アレイを用いる電子印刷法、またコンピュータに繋ぐカラープリンタなどのカラー装置に使用可能である。これらの方法は一般に、画像形成部材上に静電潜像を生成する工程と、次に、例えば、熱可塑性樹脂、顔料などの着色剤、電荷添加剤、及び表面添加剤を含むトナー組成物を用いて画像を現像する工程と、続いて、画像を適当な被印刷体へ転写する工程と、例えば熱によって画像をそこに恒久的に定着する工程と、を含む。部材を印刷モードで使用する場合、露光工程をレーザデバイス又はイメージバーで行うことができる以外、画像形成法は同じである。
XRPDは次のように求めた。すなわち、1710型フィリップス(Philips)X線粉末回折計で、Cu−Kα波長(0.1542nm)のX線を用いてX線粉末回折像(XRPD)を作成した。
光導電性画像形成部材は、いくつかの方法で製造可能であり、例えば成分を分散物として被覆する方法、より詳細には本件に示す方法で製造できる。このように、本発明の感光性画像形成部材は、実施の形態においていくつかの公知の方法で製造可能であり、例えば加工パラメータは所望とする部材に応じて変わる。画像形成部材の、光発生、電子輸送、及び電荷輸送成分は、スプレーコータ、浸漬コータ、押出コータ、ローラーコータ、巻き線棒(ワイヤバー)コータ、スロットコータ、ドクターブレードコータ、グラビアコータなどを用いて、選択した基材上に溶液又は分散液として被覆し、約40〜約200℃で適当な時間、例えば約10分間〜約10時間、静止状態又は気流中で乾燥することができる。
この光導電性部材は、公知の成分及び層、上塗り保護層など、その他の成分層を含んでも良い。
<実施例1>
[感光体デバイス]
洗剤で洗い、脱イオン水で濯いで清浄にしたアルミニウムドラムに、多層型感光体デバイスを形成した。54重量%二酸化チタン(STR60N(登録商標)、堺化学工業(株)製)と、6重量%のSiO(P100、エスプリ(Esprit))と、40重量%のフェノール樹脂(VARCUM(登録商標)29159、オキシケム・カンパニー(OxyChem Company)製、Mw約3,600、粘度約200cP)とを、1−ブタノールとキシレンとの1:1重量混合物に分散させた、酸化チタン/フェノール樹脂分散液を、アルミニウム基材上に、160mm/分の引っ張り速度で浸漬塗布し、次に160℃で15分間乾燥させて、下引層を設けた。生成した下引層(UCL)の乾燥厚さは4μmであった。
上記で生成した下引層に、ツキアゲ(Tsukiage)リングコーティング法を用いて電荷発生体被覆溶液を塗布した。電荷発生体被覆溶液を同じ粘度になるよう調製し、同じ80mm/分の引っ張り速度として層の厚さを一定に保ち、厚さ約1〜約1.5μmの電荷発生層を生成した。
比較用デバイス1:固体重量比40:60の、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と、ポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)。
デバイス1:固体重量比30:10:60の、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と、電子輸送体である4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリルと、バインダであるポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)。
デバイス2:固体重量比20:20:60の、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と、電子輸送体である4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリルと、バインダであるポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)。
115gのテトラヒドロフラン(THF)中で、3gのV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子と、12gのポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)バインダ(PCZ200)とを、数百g(約700〜800g)の直径3mmのスチール又はイットリウム−ジルコニウム球と共に約2〜約72時間ロールミルにかけて光発生層分散液を調製した。
比較用デバイス1:別個に、0.5gのポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)(PCZ500、帝人化成(株)製)を、15.45gのTHF溶媒と共に計り取った。この混合物をガラス瓶に入れて固体が溶解するまで回転させた後、4.05gの上記の顔料分散液を加えて電荷発生体被覆溶液とし、粉砕ビーズを用いずに回転させて混合した。得られた分散液を、浸漬塗布により、200mm/分の引っ張り速度で下引層上に直接塗布して、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)とを固体重量比40:60で含む、THF溶媒中総固体含量5重量%の電荷発生層とした。このデバイスを、強制換気オーブン中120℃で5分間乾燥した。得られた乾燥層の厚さは1.5μmであった。
比較用デバイス2:別個に、0.58gのポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)(PCZ500、帝人化成(株)製)を、16.17gのTHF溶媒と共に計り取った。この混合物をガラス瓶に入れて固体が溶解するまで回転させた後、3.12gの上記の顔料分散液を加えて電荷発生体被覆溶液とし、この溶液を粉砕ビーズを用いずに回転させて混合した。得られた分散液を、浸漬塗布により、200mm/分の引っ張り速度で下引層上に直接塗布して、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)とを固体重量比36:64で含む、THF溶媒中総固体含量5重量%の電荷発生層とした。このデバイスを、強制換気オーブン中120℃で5分間乾燥した。得られた乾燥層の厚さは1.5μmであった。
デバイス類:電子輸送成分を多くした電荷発生体被覆溶液を同様に調製して、比較用デバイス1のように下引層に塗布した。
デバイス1:別個に、電荷発生体被覆溶液を調製した。0.10gの4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリルと、0.53gのPCZ500とを、16.34gのTHF溶媒と共にガラス瓶に計り取り、固体が溶解するまで回転させた。次に、3.03gの顔料分散液を加えて、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と、電子輸送体である4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリルと、バインダであるポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)とを、固体重量比30:10:60で含む、THF溶媒中総固体含量5重量%の電荷発生体被覆溶液とした後、粉砕ビーズを用いずに回転させて混合した。
デバイス2:別個に、電荷発生体被覆溶液を調製した。0.20gの4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリルと、0.55gのPCZ500とを、17.23gのTHF溶媒と共にガラス瓶に計り取り、固体が溶解するまで回転させた。次に、2.02gの上記の顔料分散液を加えて、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と、電子輸送体又は電子輸送成分である4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリルと、バインダであるポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)とを、固体重量比20:20:60で含む、THF溶媒中総固体含量5重量%の電荷発生体被覆溶液とし、粉砕ビーズを用いずに回転させて混合した。
最後に、浸漬塗布法を用いて、31重量%のN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミンと、16重量%のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと、51重量%のPCZ300とを含む、MCB:THF(重量比25:75)溶媒系中、最終固体濃度20重量%の溶液で、全てのデバイスに電荷輸送被覆溶液をオーバーコートした。180mm/分の引っ張り速度で、厚さ27μmの電荷輸送層ができた。
<実施例2>
実施例1のデバイスを、荷電−消去サイクルを100回行い、直後に更に100サイクル、順に、2回の荷電−消去サイクルと、1回の荷電−露光−消去サイクルを行うよう設定した、サイクルスキャナを用いて電気的試験を行った。サイクルと共に次第に光強度を上げて光誘導放電曲線を作成し、これより光感度を求めた。スキャナには、ドラムデバイスの表面に100ナノクーロン/cmの電荷を置くよう設定した単ワイヤコロトロン(幅5cm)を取り付けた。実施例1のデバイスを負荷電モードで試験した。露光強度は、一連の中性フィルタ(neutral density filter)で調節することで次第に強くし、露光波長は、バンドフィルタで780±5nmに調節した。露光光源は1,000ワットのキセノンアークランプ白色光源であった。感光体の暗放電は、100ナノクーロン/cmで1回荷電サイクルを行った(消去なし)後、7秒間表面電位を測定して求めた。光感度(dV/dx)は、低い露光強度における初期放電率から算出し、初期電圧(約0〜約0.7エルグ/cmの露光)の約70%において求めた。
ドラムを、40rpmの速度で回転させて表面速度を62.8mm/秒、又はサイクル時間を1.5秒とした。電子写真模擬実験は、周囲条件(RH30%、22℃)に環境調節した防光チャンバ内で行った。
実施例1のデバイス1及びデバイス2より、光感度の選択的調節が示された。例えば、顔料負荷が下がると感光体の感度は下がったが、残留電圧は、電子輸送材料(ETM)を入れることで必要な移動度が保たれるため、それに伴って上がらなかった。顔料濃度が40%から20%へ下がると、電荷発生層(CGL)中の電子輸送をETMが代わって促進した。被覆工程により電荷輸送小分子がCTLからCGLへ拡散すると、電荷(特に正孔)輸送層(CTL)への効率の良い電荷注入が可能となった。付随する暗放電電圧の低下は、顔料負荷の低下に比例した。デバイス1と比較用デバイス2(同じバインダ系中において僅かに顔料負荷を高くして調製)との比較より、電子輸送材料の添加による輸送の向上が、光感度を一定に保ったまま残留電圧を低下させることがわかった。
<実施例3>
[ウェブの例]
画像形成部材を次のように製造した。厚さ3.5ミル(約89μm)の二軸延伸ポリエチレンナフタレート基材(KALEDEX(登録商標)2000)上に、厚さ0.02μmのチタン層を被覆し、その上に、50gの3−アミノプロピルトリエトキシシランと、41.2gの水と、15gの酢酸と、684.8gの200プルーフの変性アルコールと、200gのへプタンとを含む正孔障壁層溶液をグラビアアプリケータを用いて塗布した。次にこの層を、コータの強制換気乾燥機中135℃で約5分間乾燥させた。得られた障壁層の乾燥厚さは500オングストロームであった。
テトラヒドロフラン/モノクロロベンゼン/ジクロロメタン(体積比60:30:10)混合物に、溶液の全重量に対して0.2重量%のコポリエステル接着剤(ARDEL D100、Toyota Hsutsu Inc.製)を含む接着層を、グラビアアプリケータを用いて障壁層上に塗布した。次に接着層を、コータの強制換気乾燥機中135℃で約5分間乾燥させた。得られた接着層の乾燥厚さは200オングストロームであった。
次に、光発生層分散液を上記の接着層上に被覆した。0.45gのLUPILON200(PCZ200、三菱ガス化学(株)製)と、50mlのテトラヒドロフランとを4オンス(118.4cc)のガラス瓶に入れた。この溶液に、2.4gのV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンと、300gの直径1/8インチ(3.2mm)のステンレススチール製ショットを加えた。次にこの混合物を、約20〜約24時間ボールミルにかけた。続いて、1.71gのPCZ500と、0.672gのN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミン電荷輸送分子(HTM)と、0.168gの4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリル電子輸送材料(ETM)とを、22gのテトラヒドロフランに溶解し、次に19.26gのV型OHGaPcスラリーを加えた。次に、粉砕媒体を用いずに一晩(約18〜20時間)このスラリーを回転させて混合した後、生成したスラリーをバード(bird)アプリケータを用いて接着界面に塗布し、電荷発生層とした。電荷発生層を、強制換気オーブン中120℃で20分間乾燥して、最終的な乾燥厚さ約3μmの乾燥電荷発生層とした。この画像形成部材ウェブに、電荷発生層に接して電荷輸送層を上塗りした。電荷輸送層は、褐色ガラス瓶に、重量比40:10:50の、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミン電荷輸送分子(HTM)と、ETMと、バインダであるPCZ−500とを入れて調製した。得られた混合物をテトラヒドロフランに溶解して、15重量%の固体を含む溶液とした。この溶液を電荷発生層上に塗布して、最終的な乾燥厚さ約17μmの電荷輸送層被覆とした。上記の層全てを塗布して得られた画像形成部材を、強制換気オーブン中120℃で40分間焼きなました後、室温(約25℃)まで放冷した。
顔料:バインダ:CTM(CTMは次の表のとおり)の比を様々な重量比として、同様なウェブを用いた感光体を製造した。顔料はV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンであり、バインダはPCZ500であり、電荷輸送マトリックス(CTM)は、重量比4:1の、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミン電荷輸送分子(HTM)と4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデンマロノニトリル電子輸送材料(ETM)とから成るものであった。生成した層の厚さは(次の表2参照)、容量測定及び透過電子分光法で求めた。
<実施例4>
実施例3の感光体デバイスについて実施例2の電気的試験法を行った。アルミニウムドラムにデバイスを取り付け、導電性銀ペーストを用いて接地させた。デバイスF〜デバイスJは、高い顔料:バインダ比を持つ比較デバイス3と同様の特性を持つことに注目されたい。暗減衰と残留電圧はデバイスEにおいて僅かに高く、これより、バインダに対する活性輸送材料(HTM、ETM)と顔料の比が、例えば、示されたように高い光感度を保ちながら、低い残留電圧と小さい暗減衰などの良好な放電特性を保つために重要であることが分かった。光誘導放電特性より、バインダ比が大きくなるにつれ(顔料負荷は一定に保つ)電荷発生層中で十分な輸送が生じ、一方、デバイスも下引及び輸送層界面の両方で良好な電荷注入を示すことがわかった。

Claims (4)

  1. 支持基材と、フェノール樹脂および二酸化チタンを含む厚さ1〜20μmの正孔障壁層と、光発生層と、電荷輸送層と、を含む光導電性部材であって、
    前記光発生層は、光発生成分と、電子輸送成分と、
    を含み、
    前記電子輸送成分は、カルボニルフルオレノンマロノニトリルであり、
    前記カルボニルフルオレノンマロノニトリルは次の構造式(式中、各Rはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ,アリール、及びハロゲンから成る群より選ばれる。)で示され、

    前記電荷輸送層は、電荷輸送成分を含み、
    前記電荷輸送成分は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、9,9−ビス(2−シアノエチル)−2,7−ビス(フェニル−m−トリルアミノ)フルオレン、トリトリルアミン、ヒドラゾン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミンから成る群より選ばれる、
    ことを特徴とする光導電性部材。
  2. 請求項1に記載の部材であって、
    前記基材は、ドラム又はベルトを含み、
    前記光発生層は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンを含み、
    前記電子輸送成分は、(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル又は(4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)−9−フルオレニリデン)マロノニトリルであり、
    前記光発生層及び前記電荷輸送層は、ポリカーボネートバインダを含むことを特徴とする部材。
  3. 請求項1に記載の部材であって、
    前記電子輸送成分は、(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルであり、
    前記電荷輸送層は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン分子である正孔輸送分子を含むことを特徴とする部材。
  4. 請求項1に記載の部材であって、
    前記電荷輸送成分は、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミンであることを特徴とする部材。
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