JP4008871B2 - 円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4008871B2
JP4008871B2 JP2003328828A JP2003328828A JP4008871B2 JP 4008871 B2 JP4008871 B2 JP 4008871B2 JP 2003328828 A JP2003328828 A JP 2003328828A JP 2003328828 A JP2003328828 A JP 2003328828A JP 4008871 B2 JP4008871 B2 JP 4008871B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
roll
cylindrical substrate
peripheral speed
coating roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003328828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005087971A (ja
Inventor
孝嗣 小幡
久幸 内海
純一 和所
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2003328828A priority Critical patent/JP4008871B2/ja
Priority to US10/942,096 priority patent/US7393415B2/en
Priority to CNB2004100825049A priority patent/CN100346885C/zh
Publication of JP2005087971A publication Critical patent/JP2005087971A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4008871B2 publication Critical patent/JP4008871B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/05Organic bonding materials; Methods for coating a substrate with a photoconductive layer; Inert supplements for use in photoconductive layers
    • G03G5/0525Coating methods

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置に関し、特に複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられ、円筒状の導電性支持体に塗工液を塗布して作製される電子写真感光体の製造方法に関する。
複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置に用いられる電子写真感光体は、中空円筒状の導電性支持体の外周面に有機の感光層が塗布されて形成されている。最近、電子写真感光体の多くは、高性能化の要求に応じて開発が重ねられた結果、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、さらに一部の感光体ではその外層に耐久性を向上させるための保護層が順次塗布された積層構造を有する感光層が設けられるに至っている。
本明細書では、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層で構成される層を総称して感光層と呼ぶ。なお中間層および/または保護層は、電子写真感光体の性能向上のために設けられるものであり、必須のものではないので、電荷発生層と電荷輸送層とからなる層および電荷発生層と電荷輸送層とが一層で構成される層もまた感光層と呼ぶ。
この電子写真感光体に設けられる感光層は、薄膜でかつ均一な厚さであることを要求される。したがって、感光層をより薄くかつ均一な厚さで塗布して高機能化を実現するべく、またより低コストでの塗布を可能にするべく、新しい塗布方法の開発検討が行われている。
電子写真感光体用素管である導電性支持体の外周面に感光層を塗布する方法としては、従来からスプレー塗布法、浸漬塗布法、ブレード塗布法等が知られている。しかしながら、従来知られている塗布法では、均一な塗膜が得られなかったり、生産効率が悪いなどの問題がある。
たとえばスプレー塗布法は、塗工液をスプレーノズルから微細粒として噴出させて塗布を行うので、塗布後の外観は良好であるけれども、1回の塗布によって形成される層の厚みが薄いので、所望の層厚を得るためには、複数回の塗布を繰り返さなければならない。また、一度に多量の塗工液を塗布すると塗工液が垂れて、厚みの不均一な塗布層が形成されるという問題がある。さらに、塗工液を噴出させて塗布することによって塗工液中の揮発成分が容易に揮散してしまうので、塗工液の粘度が上がり、形成された塗布層にオレンジピール(表面にオレンジ肌状のうねりが生ずる現象)が発生するという問題がある。
また浸漬塗布法は、電子写真感光体用素管である円筒状の導電性支持体の一端部を保持し、円筒の軸線を塗工液の液面に対して垂直にした状態で塗工液に浸漬し、その後塗工液から引上げることによって、導電性支持体の表面に感光層を塗布する方法であり、電子写真感光体の製造に多用されている。しかしながら、浸漬塗布法によって塗布される層厚(膜厚と呼ぶこともある)は、塗工液から導電性支持体を引上げる引上速度、塗工液の粘度、塗工液に含まれる揮発成分の蒸発速度などに大きく依存するので、これらを厳密に制御しなければならない。また導電性支持体を塗工液から上下方向に引上げるので、重力の作用によって塗工液が導電性支持体の表面を伝わって垂れ落ち、導電性支持体の引上げ方向上側の膜厚が下側の膜厚よりも薄くなるという問題がある。
このような膜厚の不均一を解消するには、引上速度を厳密に制御する必要があるけれども、その制御は難しく、さらには均一な厚みを有する塗膜を形成するには、浸漬後の引上速度を遅くせざるを得ないという基本的な問題もある。また、本来塗布する必要のない導電性支持体の内部および端面にまで塗膜が形成されるので、導電性支持体の内部および端面に形成された塗膜を剥離しなければならないという問題もある。さらに、塗工液に導電性支持体を浸漬するので、塗工液を貯留する槽には、導電性支持体の全長が浸漬されるに足る量の塗工液を常に収容しておかなければならない。このように、塗膜形成に必要とされる量を超える量の塗工液を、常に準備しておかなければならないので、塗工液の使用効率が悪くなるという問題がある。そこで、塗工液の使用効率を高めるために、使用の機会毎に新たな塗工液を準備するのではなく、既に使用実績があり貯留槽に収容されている塗工液に、新たに作製した必要量の塗工液を追加し、何度も同じ塗工液を使用する方法がとられている。しかしながら、塗工液の粘度や特性は、経時変化するとともに新たに加えられた塗工液との微妙な差異によって変化するので、塗布作業毎に毎回塗布条件の最適化を行わなければならず、作業効率が低下していた。
またブレード塗布法は、導電性支持体を臨み、導電性支持体に近接する位置にブレードを配置し、ブレードに塗工液を供給し、ブレードによって導電性支持体に塗工液を塗布し、導電性支持体を1回転させた後ブレードを後退させる塗布法である。この方法では高い生産性を得ることができるけれども、ブレードを後退させる際、塗工液の表面張力によって導電性支持体に塗布された塗膜の一部が盛上がり、膜厚が不均一になるという問題がある。
また、上記以外の方法として、塗布ロールに膜厚を規制した塗工液の膜を形成し、塗布ロールを臨み塗布ロールに近接もしくは当接するように配置される導電性支持体と塗布ロールとを、それぞれ回転させながら塗布ロールから導電性支持体に塗工液を転写塗布するロールコート法もある。しかしながら、ロールコート法においても、塗布後、塗布ロールと導電性支持体とを引離す際、塗工液の表面張力によって余分な塗工液が導電性支持体に付着する現象、いわゆる液引き現象が生じやすく、この液引き現象に起因して塗膜に継ぎ目が残り、膜厚が不均一となった結果、画像の欠陥が生じるという問題がある。なお、ここで継ぎ目とは、塗布ロールと導電性支持体との離間時に、余分な塗工液が付着して膜厚が不均一になった部分のことである。
この継ぎ目の発生を防止する従来技術がいくつか提案されている。たとえば、円筒状基体を1回転以上回転させて塗布を終了した後、円筒状基体を塗料供給ロールから離間し、円筒状基体を回転させ続けて塗膜面のレベリング(膜厚の均一化)を図る方法がある(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に開示される方法では、あらかじめレベリングされるべき塗料溜まりの量を見越して、精密な膜厚制御を行わなければならず、また完全に継ぎ目をなくすことは困難であるという問題がある。
また、塗布後、塗布ロールと円筒状基体とを離間する際に塗布ロール上の塗料膜厚を減少させることによって、継ぎ目の発生を防止する方法がある(たとえば、特許文献2参照)。また塗布後、塗布ロール上の塗料の膜厚と、塗布ロールと円筒状基体とで形成される間隙との関係を規定し、その状態から塗布ロール上の塗料の量を減少させ、塗布ロールと円筒状基体との塗料の繋がりを切断する方法がある(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献2および特許文献3に開示される方法では、いずれによっても画像欠陥の発生を完全に防止するに足る水準まで継ぎ目を抑制することができない。さらに、これらの方法は、塗布時および離間時において、塗布条件を厳密に制御しなければならないので、高い生産効率を望むことができないという問題がある。
また塗布後、塗布ロールと円筒状基体との離間速度を制御する方法が提案されている(たとえば、特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4に開示される方法によっても、先の特許文献2および特許文献3の方法と同様に、画像欠陥の発生を完全に防止するに足る水準まで継ぎ目を抑制することができない。
また、塗布ロールと円筒状基体との周速を変えることによって塗膜にリブを形成させ、その状態で塗布ロールと円筒状基体とを離間する方法も提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、特許文献5に開示される方法では、塗膜にリブを形成させるので、低沸点の溶媒を用いると、リブを解消して均一化するためのレベリング時間が不足するので塗膜が波打ち、また高沸点の溶媒を用いると、上記レベリング時間を充分にとることができるけれども、乾燥に長時間を必要とするので、生産効率が極めて悪くなるという問題がある。さらに、リブを形成させるためには、ロール径、周速、ギャップ、塗料粘度、表面張力等の種々の条件を厳密に決めなければならないので、塗布条件の決定が難しく、かつ塗工液組成、装置構成の設定許容範囲が狭められるという問題がある。特に、電荷発生層および中間層は形成された膜厚が薄いので、リブを形成する条件設定が非常に難しく、かつリブを形成させても短時間で乾燥が進み、レベリングのための時間を充分に確保することができず、均一な膜厚の層を得ることが困難である。
特開平3−12261号公報 特開平11−216405号公報 特開2000−325863号公報 特開平11−276958号公報 特開2000−84472号公報
本発明の目的は、簡単な制御で、塗布ロールと円筒状基体とを離間させる際の継ぎ目の発生を抑制し、円筒状基体に効率よく均一な厚みの塗膜を形成する円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置を提供することである。
また本発明のもう一つの目的は、簡単な制御で、塗布ロールと導電性支持体とを離間させる際の継ぎ目の発生を抑制し、導電性支持体に効率よく均一な厚みの感光層を形成する電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明は、塗布ロールに供給される塗工液を、塗布ロールから円筒状基体に転写することによって塗布する円筒状基体に対する塗工液の塗布方法において、
塗布ロールと円筒状基体とをそれぞれ回転させて塗布ロールから円筒状基体に塗工液を転写した後、塗布ロールと円筒状基体とを離間させるとき、
塗布ロールで円筒状基体に塗工液を塗布している状態における円筒状基体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、塗布ロールと円筒状基体とのいずれか一方の周速V1が他方の周速V2よりも速くなるように制御することを特徴とする円筒状基体に対する塗工液の塗布方法である。
また本発明は、塗布ロールと円筒状基体とのいずれか一方の速い方の周速V1と他方の遅い方の周速V2との比R(=V1/V2)が、1.2以上、15.0以下であることを特徴とする。
また本発明は、いずれか一方の速い方の周速V1が、円筒状基体の周速であり、他方の遅い方の周速V2が、塗布ロールの周速であることを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールと円筒状基体とを離間させた後、円筒状基体の回転を、予め定める時間継続することを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールと円筒状基体を離間させた直後に形成される、円筒状基体上の塗膜と塗布ロール上の塗膜とが表面張力の作用によって伸びた、円筒状基体と塗布ロールとの間の塗工液の連接である橋かけ構造を、切断することを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールに供給される塗工液を、塗布ロールから円筒状基体に転写することによって塗布する円筒状基体に対する塗工液の塗布装置において、
塗布ロールと、
塗布ロールに塗工液を供給する塗工液供給手段と、
塗布ロールから塗工液が転写される円筒状基体と、
円筒状基体を回転駆動させる第1駆動手段と、
塗布ロールを回転駆動させる第2駆動手段と、
円筒状基体が回転する周速を検出する第1周速検出手段と、
塗布ロールが回転する周速を検出する第2周速検出手段と、
円筒状基体の回転回数を検出する回転回数検出手段と、
円筒状基体を塗布ロールに対して近接離反するように移動させることのできる離間手段と、
回転回数検出手段の検出出力に応答し、塗布ロールに対して円筒状基体が離反する方向に移動するように離間手段の動作を制御するとともに、塗布ロールで円筒状基体に塗工液を塗布している状態における円筒状基体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、円筒状基体が回転する周速と塗布ロールが回転する周速とのうちいずれか一方の周速が他方の周速よりも速くなるように第1および第2駆動手段の動作を制御する制御手段とを含むことを特徴とする円筒状基体に対する塗工液の塗布装置である。
また本発明は、塗布ロールに供給された塗工液の膜厚を調整する膜厚調整手段をさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、膜厚調整手段は、塗布ロールを臨んで配置される円筒状部材と、円筒状部材と塗布ロールとの間隙を調整する調整部材とを含むことを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールは、少なくとも表層部が弾性を有する素材から成り、
塗布ロールから円筒状基体に塗工液を転写している状態では、第1駆動手段による円筒状基体の回転方向と第2駆動手段による塗布ロールの回転方向とが逆であり、円筒状基体と塗布ロールとが塗工液を介して当接するように配置されることを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールと円筒状基体を離間させた直後に形成される、円筒状基体上の塗膜と塗布ロール上の塗膜とが表面張力の作用によって伸びた、円筒状基体と塗布ロールとの間の塗工液の連接である橋かけ構造を、切断することを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールに供給される塗工液であって、電子写真感光体の感光層を形成する塗工液を、塗布ロールから導電性支持体に転写することによって塗布する電子写真感光体の製造方法において、
塗布ロールと導電性支持体とをそれぞれ回転させて塗布ロールから導電性支持体に感光層を形成する塗工液を転写した後、塗布ロールと導電性支持体とを離間させるとき、
塗布ロールで導電性支持体に塗工液を塗布している状態における導電性支持体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、塗布ロールと導電性支持体とのいずれか一方の周速V1が他方の周速V2よりも速くなるように制御することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
また本発明は、塗布ロールと導電性支持体とのいずれか一方の速い方の周速V1と他方の遅い方の周速V2との比R(=V1/V2)が、1.2以上、15.0以下であることを特徴とする。
また本発明は、感光層は、電荷輸送物質を含む電荷輸送層と電荷発生物質を含む電荷発生層とを備える少なくとも2層以上の積層構造から成り、塗工液が、電荷輸送層を形成するための電荷輸送層形成用塗工液であることを特徴とする。
また本発明は、塗工液が、感光層の最外層を構成する保護層を形成するための保護層形成用塗工液であることを特徴とする。
また本発明は、塗布ロールに供給される塗工液であって、電子写真感光体の感光層を形成する塗工液を、塗布ロールから導電性支持体に転写することによって塗布する電子写真感光体の製造方法において、
塗布ロールと導電性支持体とをそれぞれ回転させて塗布ロールから導電性支持体に感光層を形成する塗工液を転写した後、塗布ロールと導電性支持体とを離間させるとき、
塗布ロールで導電性支持体に塗工液を塗布している状態における導電性支持体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、塗布ロールと導電性支持体とのいずれか一方の周速V1が他方の周速V2よりも速くなるように制御することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
また本発明は、保護層が、樹脂から成る樹脂層であることを特徴とする。
本発明によれば、塗布ロールと円筒状基体とをそれぞれ回転させて塗布ロールから円筒状基体に塗工液を転写した後、塗布ロールと円筒状基体とを離間させるとき、塗布ロールと円筒状基体とのいずれか一方の周速V1が他方の周速V2よりも速くなるように、好ましくは速い方の周速V1と遅い方の周速V2との比R(=V1/V2)が、1.2以上、15.0以下になるように制御される。このように周速に差異を設けるという簡単な制御によって、塗布ロールと円筒状基体とを離間する際、塗布ロール上の塗工液と円筒状基体上の塗工液とによる液引き現象の発生を防止することができるので、円筒状基体に継ぎ目がなく、均一な厚みの塗膜を形成することができる。
また本発明によれば、いずれか一方の速い方の周速V1が、円筒状基体の周速であり、他方の遅い方の周速V2が、塗布ロールの周速であるように設定される。ロールコート法が用いられるとき、塗布される対象物である円筒状基体の直径よりも塗布ロールの直径の方が大きくなるように設定されるのが一般的である。このようなとき、直径の小さい円筒状基体の方を、速い周速で回転させるように選択することによって、周速差を与える制御を一層簡単に実現することが可能になる。
また本発明によれば、塗布ロールと円筒状基体とを離間させた後、円筒状基体の回転を予め定める時間継続するので、塗工液の溶媒が高沸点であり、塗布ロールと円筒状基体とを離間した後も塗工液が流動性を有している場合においても、回転継続中に塗膜表面が乾燥され、重力の作用に起因する塗膜の垂れを防止し、均一な塗膜を形成することできる。
また本発明によれば、円筒状基体に対する塗工液の塗布装置は、回転回数検出手段の検出出力に応答し、塗布ロールに対して円筒状基体が離反する方向に移動するように制御するとともに、円筒状基体が回転する周速と塗布ロールが回転する周速とのうちいずれか一方の周速が他方の周速よりも速くなるように制御することができる。このように簡単な制御で円筒状基体に継ぎ目がなくかつ均一な塗膜を形成できるので、たとえば均一な厚みの塗膜を有する電子写真感光体、現像ローラ、帯電ローラなどの製造に好適な塗布装置を提供できる。
また本発明によれば、塗布ロールに供給された塗工液の膜厚を調整する膜厚調整手段をさらに含むので、幅広い膜厚の塗膜を形成することに対応可能になり、たとえば積層型電子写真感光体の電荷発生層(厚み0.1〜1μ)から電荷輸送層(数十μ)までの幅広い膜厚の範囲で均一な厚みの塗膜を同じ塗布装置で形成することできる。また好ましくは膜厚調整手段が、塗布ロールを臨んで配置される円筒状部材と、円筒状部材と塗布ロールとの間隙を調整する調整部材とを含んで構成されることによって、簡単な構造であるにも関わらず、円筒状基体の軸線方向に膜厚が均一になるように精度良く制御できる。また膜厚調整手段の円筒状部材の回転数および円筒状部材と塗布ロールとのギャップで膜厚を制御できるので、より細かくかつより薄く膜厚を制御することが可能になる。
また本発明によれば、塗布装置は、塗布ロールが、少なくとも表層部が弾性を有する素材から成り、塗布ロールから円筒状基体に塗工液を転写している状態では、円筒状基体の回転方向と塗布ロールの回転方向とが逆であり、円筒状基体と塗布ロールとが塗工液を介して当接するように配置される、いわゆるナチュラルロールコーティングの構成を有する。このことによって、極めて薄い塗膜を均一な膜厚でコーティングできる。
ナチュラルロールコーティングと異なり塗布ロールと円筒状基体とを特定のギャップを開けて塗布する方法では、円筒状基体自身の寸法精度、駆動手段の精度によって、回転ぶれの生じることがあり、このような回転ぶれが起こると、特に膜厚が薄い塗膜では均一な厚みに形成できなくなる。
一方、ナチュラルロールコーティングの構成を有する塗布装置では、弾性体である塗布ロールと円筒状基体とが、ニップ圧をかけて当接されているので、上記の様な回転ぶれが塗布ロール表層部の弾性素材によって吸収されて無視できる程度となり、極めて薄い塗膜を均一にコーティングできる。たとえば、積層型電子写真感光体の感光層における中間層、電荷発生層のような薄膜(0.1〜数μ)も均一な厚みに塗布できる。
また、表層部が弾性素材からなる塗布ロールと円筒状基体とは、ニップ圧をかけて当接されているので、塗布ロールが摩擦体の役目を果たし、塗布ロールの回転トルクが円筒状基体の回転トルクよりも大きいときには、円筒状基体の周速が塗布ロールの周速に律せられることになる。このような塗布ロールと円筒状基体とが当接して回転されている状態から円筒状基体を離間すると、離間と同時に塗布ロールと円筒状基体との間で作用していた摩擦力が無くなる。摩擦力が無くなることによって、円筒状基体は、塗布ロールの周速とは関係無く、駆動源の出力に従う周速で回転を行うようになる。したがって、それぞれの駆動手段による塗布ロールの周速と円筒状基体の周速とが異なるように予め設定しておくことによって、離間時に円筒状基体の周速を制御するための信号を与えなくても、離間と同時に円筒状基体の周速を瞬時に変化させることができる。
また本発明によれば、円筒状基体に導電性支持体を用い、塗工液として電子写真感光体の感光層を形成する塗工液、すなわち画像情報に対応する光で露光されることによって静電潜像の形成される感光層を形成する塗工液を用いることによって、感光層に継ぎ目がなく、かつ均一な厚みに形成できるので、画像欠陥を生じることのない電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
また本発明によれば、電子写真感光体の感光層が、電荷輸送物質を含む電荷輸送層と電荷発生物質を含む電荷発生層とを備える少なくとも2層以上の積層構造から成り、塗工液として電荷輸送層を形成するための電荷輸送層形成用塗工液が用いられて、電荷輸送層がロールコートされる。電荷輸送層は、感光層の最外層もしくは最外層に近い層を構成するので、耐磨耗性が求められる。耐磨耗性の向上と電荷輸送層形成用塗工液の粘度の上昇とは相関し、粘度の高い塗工液の塗布、すなわち電荷輸送層の形成にはロールコートが適している。また感光層を、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造にすることによって、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、さらに繰返し使用時の安定性も増した高耐久性を有する電子写真感光体を得ることができる。さらに特定の機能をそれぞれ別の層に付与し、各層を積層することによって総合的に機能を発現させることができるので、一層高機能な電子写真感光体を得ることができる。
また本発明によれば、塗工液として保護層を形成するための保護層形成用塗工液が用いられて、保護層がロールコートされる。一般的に保護層は、熱または光によって硬化する樹脂、ゾル−ゲル法による無機酸化物などを含み、硬化反応またはゲル化反応を利用して形成される。したがって、保護層形成用塗工液には、硬化剤またはゲル化剤が含まれるので、塗工液が槽中に保管されている間にも少しずつ反応が進行する。その結果、塗液のポットライフが短くなり、浸漬塗布法では多量に塗工液を作製しなければならないにも関わらず、短期間で塗工液を交換する必要があった。保護層形成用塗工液をロールコートすることによって、塗工液を塗工に必要な量だけ作製すれば良いので、溶液のポットライフは問題とならない。さらに浸漬塗布の場合のように、槽中に塗工液を充填し保管する必要がないので、塗液の使用効率を高くすることができる。
図1は本発明の実施の一形態である円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1の構成を簡略化して示す平面図であり、図2は図1に示す円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1の電気的接続を簡略化して示すブロック図であり、図3は図1に示す円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1の部分断面図である。
円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1(以後、塗布装置1と略称する)は、塗布ロール2(アプリケータロールとも呼ぶ)と、塗布ロール2に塗工液3を供給する塗工液供給手段4と、塗布ロール2から塗工液3が転写される円筒状基体5と、円筒状基体5を回転駆動させる第1駆動手段6と、塗布ロール2を回転駆動させる第2駆動手段7と、円筒状基体5が回転する周速を検出する第1周速検出手段8と、塗布ロール2が回転する周速を検出する第2周速検出手段9と、円筒状基体5の回転回数を検出する回転回数検出手段10と、円筒状基体5を塗布ロール2に対して近接離反するように移動させることのできる離間手段11と、回転回数検出手段10の検出出力に応答し、塗布ロール2に対して円筒状基体5が離反する方向に移動するように離間手段11の動作を制御するとともに、円筒状基体5が回転する周速と塗布ロール2が回転する周速とのうちいずれか一方の周速が他方の周速よりも速くなるように第1および第2駆動手段6,7の動作を制御する制御手段12と、さらに塗布ロール2を臨んで配置される円筒状部材13および円筒状部材13と塗布ロール2との間隙を調整する調整部材14とを有する膜厚調整手段15を含んで構成され、上記各部材は基台16上に配設される。
基台16上には、一対の第1チョック21a,21bが設けられ、この第1チョック21a,21bには不図示の軸受が備えられ、該軸受に一対の軸棒部材22a,22bが回転自在にそれぞれ支持される。円筒状基体5は、軸受を介して第1チョック21a,21bに支持される軸棒部材22a,22bに着脱自在に装着される。前述の第1チョック21a,21bは、基台16上の不図示の軌道に乗るように設けられ、軌道に案内されて円筒状基体5の軸線に対して直交する方向である矢符23方向に移動することができる。
一方の軸棒部材22aの円筒状基体5が装着される側と反対側の端部24は、第1駆動手段6である電動機の出力軸に連結される。したがって、一方の軸棒部材22aは、第1駆動手段6の駆動力によって、回転駆動され、円筒状基体5が軸棒部材22a,22bに装着されているとき、円筒状基体5が第1駆動手段6によって回転駆動される。第1駆動手段6の出力軸の軸棒部材22aが連結される側と反対側には、回転回数検出手段10であるエンコーダが装着され、この回転回数検出手段10によって、第1駆動手段6の回転回数、ひいては円筒状基体5の回転回数を検出することができる。また一方の軸棒部材22aには、第1周速検出手段8である回転速度センサーが装着され、この第1周速検出手段8によって、第1駆動手段6の回転速度、ひいては円筒状基体5の周速を検出することができる。
塗布ロール2は、軸棒部材22a,22bに装着された円筒状基体5を臨み、円筒状基体5の軸線に対して軸線が平行になるように配置される。塗布ロール2は、基台16上に固設される一対の第2チョック25a,25bに備えられる不図示の軸受に、その軸棒26を介して回転自在に支持される。塗布ロール2の軸棒26の一方の端部27は、第2駆動手段7である電動機の出力軸に連結される。したがって、塗布ロール2は、第2駆動手段7の駆動力によって、回転駆動される。また塗布ロール2の軸棒26には、第2周速検出手段9である回転速度センサーが装着され、この第2周速検出手段9によって、第2駆動手段9の回転速度、ひいては塗布ロール2の周速を検出することができる。
本実施の形態では、塗布装置1は、第1駆動手段6による円筒状基体の回転方向(矢符27方向)と、第2駆動手段7による塗布ロール2の回転方向(矢符28方向)とが、同一方向であり、円筒状基体5の外周面と塗布ロール2の外周面とによって若干の間隙が形成される、いわゆるリバースロールコーティングに構成される。
第2チョック25a,25bには、基台16表面に平行方向かつ外方に向って立上がるように支持部材29a,29bがそれぞれ設けられ、支持部材29a,29bには、第1チョック21a,21bが配置される方に向けてエアシリンダ30a,30bがそれぞれ装着される。エアシリンダ30a,30bのロッドの先端部は、基台16表面に平行方向かつ外方に向って立上がるようにして第1チョック21a,21bに形成される第1突起部31a,31bに取付けられる。エアシリンダ30a,30bは、不図示の配管によって空圧ユニット32に接続され、空圧ユニット32から供給されるエアによって、ロッドを矢符23方向に進退させることができる。このエアシリンダ30a,30bのロッドの進退によって、軌道に乗るように設けられる第1チョック21a,21bが、固設される第2チョック25a,25bに対して近接離反するように矢符23方向に移動、すなわち、第1チョック21a,21bに支持される円筒状基体5が、第2チョック25a,25bに支持される塗布ロール2に対して近接離反するように移動する。エアシリンダ30a,30b、配管および空圧ユニット32は、離間手段11を構成する。
本実施の形態では、塗工液供給手段4は、塗工液3をその内部空間に貯留するパンによって構成され、パンに貯留される塗工液3の液面が、塗布ロール2の外周面の少なくとも一部に接触することのできる配置になるように基台16上に設けられる。このことによって、回転する塗布ロール2が、パンに貯留される塗工液3を、その外周面に付着させて塗布に用いることができる。
本実施の形態の塗布装置1は、前述のように塗布ロール2に供給された塗工液3の膜厚を調整する膜厚調整手段15をさらに含む。膜厚調整手段15の円筒状部材13には、本実施の形態ではメタリングロール13が用いられる。メタリングロール13は、その軸棒34を介して、不図示の軸受をそれぞれ備える一対の第3チョック35a,35bに回転自在に支持される。第3チョック35a,35bは、第1チョック21a,21bと同様に、基台16上の不図示の軌道に乗るように設けられ、軌道に案内されて矢符23方向に移動することができる。
調整部材14(14a,14b)は、第1チョック21a,21bに形成された第1突起部31a,31bと同様にして、第2チョック25a,25bに形成される第2突起部36a,36bおよび第2突起部36a,36bに対向するように第3チョック35a,35bに形成される第3突起部37a,37bと、第2突起部36a,36bと第3突起部37a,37bとの間に設けられるおねじ部材38とを含んで構成される。おねじ部材38は、たとえば頭部が第2突起部36a,36bに回転自在に装着され、おねじの刻設された部分が第3突起部37a,37bに形成されるめねじ部に螺合される。おねじ部材38の頭部を回転させることによって、おねじ部材38の回転運動が、おねじ部材38に螺合する第3突起部37a,37bの形成された第3チョック35a,35bの直進運動に変換されて矢符23方向に移動する。このことによって、第3チョック35a,35bが、第2チョック25a,25bに対して近接離反するように移動、すなわち塗布ロール2に対してメタリンロール13が近接離反するように移動し、塗布ロール2とメタリングロール13とによって形成される間隙である塗工液3の膜厚を調整することができる。
なお、調整部材14は、おねじ部材38を用いる構成に限定されるものではなく、第2チョック25a,25bと第3チョック35a,35bとの間に、エアシリンダまたは油圧シリンダなどを設け、これを動作させることによって塗布ロール2とメタリングロール13との間隙を調整するように構成されても良い。
メタリングロール13の軸棒34の一端部は、第3駆動手段39である電動機の出力軸に連結される。メタリングロール13は、第3駆動手段39の駆動力によって、回転駆動することができる。またメタリングロール13の軸棒34には、第3周速検出手段40である回転速度センサーが装着され、この第3周速検出手段40によって、第3駆動手段39の回転速度、ひいてはメタリングロール13の周速を検出することができる。
塗布ロール2の外周面に付着した塗工液3はメタリングロール13との間の間隙を通過し、この間隙を通過する際に間隙の大きさに従って塗工液3の膜厚が調整される。膜厚の調整された塗工液3が、塗布ロール2から円筒状基体5に転写される。塗布ロール2とメタリングロール13とによる膜厚調整は、より詳細には、塗布ロール2とメタリングロール13とを、矢符28および矢符45方向にそれぞれ回転させながら、2つのロール間隙を狭めたり、またはメタリングロール13の周速を上げることによっても、塗工液3の膜厚を調整(この場合は減少)させることができる。なお、メタリングロール13は、1本に限定されることなく2本以上配してもよく、また回転方向が隣接するロールに対して同方向に回転されてもよく逆方向に回転されてもよく、さらに回転させることなく固定した状態で膜厚調整に用いることもできる。
一般的に、図1および図3に示すような塗布装置1における乾燥塗膜の厚さLは、式(1)で与えられるので、式(1)に基づいて塗膜厚さを調整することができる。
L=Kαηg・√(R)・√(R )/Rγ …(1)
ここで、K;係数(ロール径に固有な係数)
α;塗工液の固形分濃度(vol%)
γ;塗工液の表面張力
η;塗工時のせん断速度における粘度
g;は塗布ロールとメタリングロールとの間隙寸法
;メタリングロールの周速
;塗布ロールの周速
R;円筒状基体の周速
塗布装置1には、さらに塗工液3のクリーニング手段41が設けられる。クリーニング手段41は、メタリングロール13の表面に付着する塗工液3を掻取り、塗工液供給手段4であるパンに回収する。クリーニング手段41は、クリーニングブレード42と、クリーニングブレード42を支持する第4チョック43a,43bと、もう一つの調整部材44a,44bとを含んで構成される。
第4チョック43a,43bは、前述の第1チョック21a,21bと同様にして基台16上に設けられ、矢符23方向に移動することができる。クリーニングブレード42は、板状の部材であり、その長手方向が、メタリングロール13の軸線方向に延びるように配置され、その短手方向の端部によって、メタリングロール13表面に付着する塗工液3を掻取る。クリーニングブレード42は、第4チョック43a,43bの支持部で角変位可能に支持され、その短手方向がメタリングロール13に臨む角度を変化させることによってクリーニングブレード42とメタリングロール13との間隙の大きさを調整し、塗工液3の掻取量を調整することができる。またもう一つの調整部材44a,44bを調整することによって、第3チョック35a,35bと第4チョック43a,43bとの距離、すなわちメタリングロール13とクリーニングブレード42とで形成される間隙の大きさを調整し、塗工液3の掻取量を調整しても良く、さらに前述のクリーニングブレード42の角変位と併用しても良い。なおもう一つの調整部材44a,44bは、前述の調整部材14(14a,14b)と同様に構成されるので、説明を省略する。
図2を参照して塗布装置1の電気的接続を説明する。制御手段12は、中央処理装置(略称CPU)を備える処理回路である。また制御手段12には、メモリ50が備えられ、メモリ50には、塗布装置1の全体動作を制御するプログラムならびに塗布によって製造する対象物および塗工液3の種類と特性とに応じて予め定められる塗布条件が、テーブルデータとしてストアされている。
塗布条件とは、円筒状基体5に対して塗布ロール2で塗布する際における第1駆動手段6による円筒状基体5の周速u1、第2駆動手段7による塗布ロール2の周速u2、第3駆動手段39によるメタリングロール13の周速u3、円筒状基体5と塗布ロール2との周速比r(=u1/u2)、塗布開始後円筒状基体5と塗布ロール2とを離間させるタイミングを決定するための円筒状基体5の回転回数、さらに円筒状基体5と塗布ロール2とを離間させるときにおける、円筒状基体5の周速V1、塗布ロール2の周速V2、円筒状基体5と塗布ロール2との周速比R(=V1/V2)および離間手段11による離間速度などである。
回転回数検出手段10、第1周速検出手段8、第2周速検出手段9および第3周速検出手段40が、制御手段12に接続され、それぞれの検出出力である円筒状基体5の塗布開始後の回転回数、円筒状基体5の周速、塗布ロール2の周速およびメタリングロール13の周速が入力される。また制御手段12には、離間手段11、第1駆動手段6、第2駆動手段7および第3駆動手段39が接続される。制御手段12は、回転回数検出手段10、第1周速検出手段8、第2周速検出手段9および第3周速検出手段40からの検出出力に応じ、制御プログラムおよび予め定められる塗布条件に基づいて離間手段11、第1駆動手段6、第2駆動手段7および第3駆動手段39の動作を制御する。
以下塗布装置1による円筒状基体5に対する塗工液3の塗布方法について説明する。円筒状基体5に対する塗工液3の塗布は、塗布ロール2の外周面が塗工液供給手段4であるパンに貯留される塗工液3中を通過することによって、塗布ロール2表面上に形成される塗工液3の膜厚を、膜厚調整手段15で調整した後、円筒状基体5を塗布ロール2に予め定める間隙を有するように近接させ、塗布ロール2上に形成された塗膜が、該塗膜に接触する円筒状基体5に転写されるようにして行われる。
塗布を開始後、円筒状基体5は、膜厚を均一にするために、回転回数が1回以上、20回以下の範囲になるように回転される。なお回転回数は、1.5〜10回が好ましく、より好ましくは2〜5回である。円筒状基体5の回転回数が、1回未満であると未塗布の外周面が残るので均一な塗膜が得られない。20回を超えると、作業時間が長くかかり、生産効率が低下する。したがって、回転回数を1〜20回とした。
なお、円筒状基体5に転写される塗工液3の膜厚は、前述の膜厚調整手段15によるメタリングロール13と塗布ロール2との間隙の大きさの他にも、塗布ロール2と円筒状基体5の周速、塗工液3の物性、円筒状基体5および塗布ロール2の表面の材質、円筒状基体5と塗布ロール2との間隙の大きさなどの調整によって制御することができる。
塗布ロール2で円筒状基体5に塗布する際、すなわち塗布ロール2から円筒状基体5へ塗膜を転写しているときの円筒状基体5の周速u1と塗布ロール2の周速u2との比r(=u1/u2)は、0.7〜1.4に設定されることが好ましい。
以下、比rの範囲限定理由を説明する。一般的に、円筒状基体5表面における塗工液の流動状態は、円筒状基体5の周速u1と塗布ロール2の周速u2との比rによって異なり、比rが高くなると塗工液が連続的に凹凸となるリブが形成され、塗膜の厚さが不均一になる。このリブ発生の下限条件は、キャピラリー数Caと形態パラメータH0/D(H0:円筒状基体5と塗布ロール2との間隔の1/2、D:円筒状基体5の半径)との関係で整理され、結果的にキャピラリー数Caおよび形態パラメータH0/Dに対する影響因子であるロール径、間隙の大きさ、周速、塗工液の粘度、表面張力によって定まることが知られている。円筒状基体5に均一な膜厚の塗膜を形成するには、このようなリブの発生を防止することが重要であり、円筒状基体5と塗布ロールと2との周速の比rを、0.7〜1.4の範囲内に設定して塗膜を形成することによって、ほとんどの条件下でリブを生じることなく均一な塗膜を形成できる。
本発明の塗布方法において最も特徴とするところは、塗布開始後の円筒状基体5の回転回数が予め定める回数に達したことを回転回数検出手段10によって検出すると同時に、その検出出力に応じて制御手段12が、離間手段11の動作を制御して円筒状基体5を塗布ロール2から離間させ、また第1および第2駆動手段6,7の動作を制御して円筒状基体5の周速V1が、塗布ロール2の周速V2よりも速くなるようにする。このとき、円筒状基体5の周速V1と塗布ロール2の周速V2との比R(=V1/V2)が、1.2〜15.0になるようにすることが好ましい。
塗布ロール2と円筒状基体5とを離間させると同時にいずれか一方の周速が他方の周速よりも速くなるように制御するけれども、ここでは、円筒状基体5の寸法が、塗布ロール2の寸法よりも小さいので、高速度化の対象とするには寸法の小さい円筒状基体5の方が有利であるので、円筒状基体5の周速V1が、塗布ロール2の周速V2よりも速くするように設定される。
塗布ロール2で円筒状基体5に塗工液を塗布している状態における円筒状基体5の周速u1および塗布ロール2の周速u2と、離間と同時に設定される円筒状基体5の周速V1および塗布ロール2の周速V2とは、それぞれ同一であっても良く、また異なる値に定められても良い。たとえば、前述の比r(=u1/u2)が、1.4になるように設定されて塗布されている場合、塗布ロール2と円筒状基体5とを単に離間させるだけで、円筒状基体5の周速の方が、塗布ロール2の周速よりも速い状態を実現することができる。しかしながら、多くの場合、塗布状態では円筒状基体5の周速u1と塗布ロール2の周速u2とは同じ値、すなわち比rが1.0に設定されるので、塗布ロール2の周速を離間の前後で同一(u2=V2)になるようにし、円筒状基体5の周速を離間と同時に速くして周速V1が周速u1よりも速くなるように制御する方法がとられる。
本実施の形態では、周速比Rの制御は、回転回数検出手段10によって所定の回転回数に達したことが検出されると同時に、該出力に応答し、制御手段12が、メモリ50にストアされている塗布条件に該当するテーブルデータを読出し、テーブルデータに指定されている周速V1およびV2になるように、第1および第2駆動手段6,7に対して回転動作制御信号を出力して行われる。
周速比Rの制御方法は、上記に限定されるものではなく、たとえば、塗布時には円筒状基体の回転軸に負荷をかけて周速を遅くしておき、離間時にその負荷を取除くことによって、円筒状基体の周速を速くする方法、また反対に離間時に塗布ロールに負荷をかけることによって塗布ロールの周速を遅くして相対的に円筒状基体の周速を速くする方法、また回転軸に負荷をかける手段として、回転軸に摩擦体を設置しブレーキを配置する方法もしくは回転軸をクラッチで繋ぎそのクラッチの接続強度により負荷を変更する方法などを用いて円筒状基体もしくは塗布ロールの周速を変化させる方法であっても良い。
塗布ロール2と円筒状基体5とを離間させる際における円筒状基体5の周速V1と塗布ロール2の周速V2とが同じであると、両者を離間させているにも関わらず円筒状基体5上の塗膜と塗布ロール2上の塗膜とが表面張力の作用によって伸び、円筒状基体5と塗布ロール2との間に塗工液の連接部を形成する。この塗工液の連接部は、円筒状基体5と塗布ロール2との間に、あたかも橋をかけたように形成されるので、便宜上これを橋かけ構造と呼ぶ。
一般的に膜厚が薄いと、その部分の溶剤濃度が早く減少するので、膜厚の薄い部分は他の部分より表面張力が高くなる。前述の橋かけ構造部分は、その膜厚が薄いので、塗工液が、円筒状基体5および塗布ロール2表面上の塗膜から橋かけ構造部分に流れる。さらに、円筒状基体5と塗布ロール2との離間が進み、橋かけ構造が切れると、橋かけ構造の切断部にエッジが形成され、前述と同様にエッジ部に塗工液が流れてエッジ部分の塗工液量が増加する。このようにして塗工液量が増加したエッジ部分は、円筒状基体を回転させてレベリングを行っても充分に均一化されず、膜厚の厚い継ぎ目を形成する。
一方本発明の特徴であるところの、円筒状基体5と塗布ロール2との離間の際、円筒状基体5の周速V1を塗布ロール2の周速V2より速くすると、塗膜を形成する塗工液には、離間方向に張力が加えられるだけでなく、回転方向にも急激にせん断力が加えられるので、橋かけ構造が形成されることなく塗工液が切断される。その結果、前述のような塗膜の継ぎ目が形成されることがないので、円筒状基体5の表面に均一な厚みの塗膜が形成される。特に、離間する際の円筒状基体5と塗布ロール2との周速の比R(=V1/V2)を、1.2〜15.0の範囲に設定することによって、確実に継ぎ目の発生を防止することができる。比Rの範囲は、好ましくは1.3〜8.0である。周速の比Rが1.2未満であると、せん断力が不足するので、継ぎ目の発生を充分に防止することができず均一な厚みの塗膜が得られない。周速の比Rが15.0を超えると、円筒状基体5の離間前後における速度上昇の程度が大きくなり過ぎるので、加速度に起因して塗膜が波うつようになり、均一な厚みの塗膜を得ることができなくなる。したがって、周速比Rを1.2〜15.0とした。
離間手段11による塗布ロール2と円筒状基体5との離間速度は、特に限定されるものではないけれども、好ましくは5mm/sec〜350mm/secの範囲に設定される。離間速度が、5mm/sec未満であると、塗膜に作用させる張力を充分に得られない恐れがある。350mm/secを超えると、塗膜に作用させる張力は充分であるけれども、離間時の加速度によって円筒状基体5表面の塗膜が波うち、均一な厚みの塗膜を得ることができなくなる恐れがある。
また塗布ロール2と円筒状基体5とを離間させることによって、せん断力と張力とを作用させて橋かけ構造を形成することなく両者の塗膜を切断後、円筒状基体5の回転を、予め定める時間継続し、円筒状基体5表面の塗膜をある程度乾燥させることが好ましい。たとえば円筒状基体5に塗布された塗工液の溶媒が高沸点の場合、円筒状基体5への塗工液塗布後、塗布ロール2と円筒状基体5とを離間した後も、塗膜を構成する塗工液が流動性を有しているので、重力の作用によって、塗膜が下方に垂れて均一な厚みの塗膜が形成できなくなることがある。なお、溶媒として比較的揮発性の高い溶剤を用いた場合、溶剤が揮発することによる乾燥を防止するために、塗布ロール2および円筒状基体5の部分または基台16上に塗布装置1全体を覆うカバー部材を設けて略密閉状態とすることも、均一な厚みの塗膜を形成するために有効である。
図4は、本発明の実施の第2形態である塗布装置60のロール構成部分の断面図である。本実施の形態の塗布装置60は、実施の第1形態の塗布装置1に類似するので、構成を示す平面図を省略するとともに、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の塗布装置60においては、塗布ロール61は、少なくとも表層部が弾性を有する素材から成り、塗布ロール61から円筒状基体5に塗工液3を転写している状態では、第1駆動手段6による円筒状基体5の回転方向(矢符62)と、第2駆動手段7による塗布ロール61の回転方向(矢符28)とが逆であり、円筒状基体5と塗布ロール61とが塗工液3を介して当接するように配置、すなわち特定のニップ圧を持って配置されることを特徴とする。このように、本実施の形態の塗布装置60は、塗布ロール61と円筒状基体5とが、逆方向に回転するナチュラルロールコーティングに構成される。
塗布ロール2の少なくとも表層部を構成する弾性素材としては、シリコーンゴム、有機ポリサルファイドゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、ニトロスルホン化ポリエチレン、スチレン・ブタジエンゴムなどのゴム、またシリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂、また前述のゴムにフッ素樹脂などをコーティングしたものが挙げられる。
また塗布装置60では、クリーニング手段が省かれ、もう一つのメタリングロール63が設けられ、メタリングロール13が、塗布ロール2の逆方向の矢符64方向に回転し、もう一つのメタリングロール63が、塗布ロール2と同一方向であってメタリングロール13と逆方向の矢符65方向に回転する。塗布ロール2とメタリングロール13との間隙、および2本のメタリングロール13,63の間隙は、調整部材14a,14bおよび調整部材44a,44bによって、所望の値になるように調整される。
また実施の第1形態の塗布装置1と異なる構成は、塗工液供給手段4に貯留される塗工液3に、もう一つのメタリングロール63の一部が浸漬されることである。もう一つのメタリングロール63に付着した塗工液3が、メタリングロール13を介して塗布ロール61に供給され、該塗布ロール61から円筒状基体5に転写塗布される。塗膜厚さは、メタリングロール13,63間およびメタリングロール13と塗布ロール2との間に形成される間隙寸法を主とし、その他塗工液の物性、各ロールの周速、ニップ圧、塗布ロール2の材質などによって決定される。
ナチュラルロールコーティングの場合、前述したような第1および第2駆動手段6,7の動作制御によって、離間時における塗布ロール61と円筒状基体5との周速を、周速V1と周速V2とに設定する以外に以下のような周速比R制御をすることもできる。たとえば、離間前の円筒状基体5の周速u1が、塗布ロール61の周速u2よりも速い設定である場合、塗布ロール61の表層が弾性体で構成されるので、塗布ロール61と円筒状基体5とをニップ圧をかけて当接させることによって、塗布ロール61が円筒状基体5に対する摩擦体、すなわちブレーキの役目を果たす。この状態から円筒状基体5と塗布ロール61とを離間すると、同時に円筒状基体5に働いていた摩擦力であるブレーキ作用が無くなる。この摩擦力が無くなることによって、円筒状基体5は、塗布ロール61よりも速い周速で回転することができるようになり、円筒状基体5の周速を離間と同時に瞬時に変化させて、塗布ロール61の周速よりも速くすることができる。
本発明の塗布装置には、さらに以下に示す種々の変形例が許容される。たとえば、図5は、本発明の実施の第3形態である塗布装置70のロール構成部分の断面図である。本実施の形態の塗布装置70は、ナチュラルロールコーティング方式である実施の第2形態の塗布装置60に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
塗布装置70においては、メタリングロール13が、塗工液供給手段4であるパン中に貯留される塗工液3にその一部を浸漬するように配置されて矢符71方向に回転し、メタリングロール13を臨み、メタリングロール13の上方に所定の間隙を有するように配置される塗布ロール61に塗工液3を供給する。塗布ロール61に供給された塗工液3の膜厚は、メタリングロール13よりも塗布ロール61の矢符28で示す回転方向下流側に配置されるもう一つのメタリングロール63によって、塗膜厚さが調整され、塗布ロール61から円筒状基体5に転写塗布される。なお塗布装置70は、クリーニング手段を備え、クリーニングブレード42によって、矢符72方向に回転するもう一つのメタリングロール63表面の塗工液3がクリーニングされる。
図6は、本発明の実施の第4形態である塗布装置75のロール構成部分の断面図である。本実施の形態の塗布装置75は、実施の第1形態の塗布装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
塗布装置75では、円筒状基体5が、塗布ロール2を臨み、塗布ロール2の上方に配置される。またメタリングロールを備えておらず、クリーニング手段41が膜厚調整手段の機能を兼備えることを特徴とする。クリーニング手段41のクリーニングブレード42が、塗布ロール2の外周面に対して所定の間隙を有するように配置され、クリーニングブレード42によって、塗布ロール2表面の膜厚を調整するとともに、余剰の塗工液3をパンに向って掻取る。なお、本実施の形態の塗布装置75は、塗布ロール2と円筒状基体5とが、同一方向に回転するリバースロールコーティング方式であり、塗布ロール2と円筒状基体5とは、間隙を有するように配置されて、塗工液3の塗布が行われる。
塗布ロール2,61と膜厚調整手段であるメタリングロール13またはクリーニングブレード42との間隙寸法は、塗布する塗工液の種類、円筒状基体5の表面に最終的に形成する膜厚に応じて、1μm〜1000μmの範囲で設定可能に構成される。塗工液が塗布される際の円筒状基体5、塗布ロール2,61およびメタリングロール13の周速は、1m/min〜600m/minの範囲において選択されることが好ましい。円筒状基体5および塗布ロール2,61の周速が遅いと、その外周面に形成される塗膜が乾燥しやすいので、膜厚均一性が不充分となり、逆に周速が速すぎると、遠心力によって塗工液が飛散する恐れがあるからである。また、円筒状基体5、塗布ロール2,61およびメタリングロール13の周速は、それぞれ同じであっても良く、また異なっても良い。
また、塗工液供給手段は、パンに塗工液3を貯留する方法に限定されることなく、インキング装置およびスポンジロールのような接触型の供給装置、ディスペンサまたはダイノズルなどの非接触型の注入装置が使用されても良い。
本発明の円筒状基体に対する塗工液の塗布方法は、電子写真感光体の製造に好適に用いられる。以下に電子写真感光体を製造する場合について例示する。電子写真感光体の製造では、円筒状基体として導電性を有する円筒状の導電性支持体(電子写真感光体用素管)を用い、塗工液には、感光層を形成する感光層形成用塗工液を用いる。
ここでいう電子写真感光体の感光層は、いわゆる電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一の層内に含有される単層型であっても良く、また電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層して成る積層型であっても良い。また、前述の層は、1層からのみ成る必要がなく、要求特性を発現させるために構成の異なる層を2層以上積層して成るものであっても良い。
また、導電性支持体と、電荷発生物質および電荷輸送物質の含有層または積層型を成す電荷発生層および電荷輸送層(これらを総称して便宜上光導電層と呼ぶ)との間に中間層が設けられても良い。この中間層を形成することによって、導電性支持体から光導電層への電荷の注入を防止することができるので、電子写真感光体の帯電性の低下を防ぐことができる。この中間層の形成された電子写真感光体によれば、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑制されるので、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止できる。また導電性支持体表面の欠陥を中間層が被覆することによって、均一な表面が得られるので、光導電層の成膜性を高めることができる。また光導電層の導電性支持体からの剥離を抑え、導電性支持体に対する接着性を向上させることができる。
また、光導電層の表面には、保護層が設けられてもよい。保護層を設けることによって、光導電層の耐刷性を向上させることができるとともに、電子写真感光体表面を帯電させる際のコロナ放電により発生するオゾンまたは窒素酸化物などの化学的悪影響を防止することができる。さらに、導電性支持体の導電性のむらを抑制するために、導電性支持体上部にカーボンペーストまたは銀ペーストなどの導電性を付与した塗膜を形成しても良い。なお、本発明の電子写真感光体は、以上に述べた層構成に限定されることなく、種々の層構成を採ることが許される。
以下導電性支持体および塗工液について詳細に説明する。
円筒状の導電性支持体(電子写真感光体用素管)の材料としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリオキシメチレンおよびポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、炭素粒子、金属粒子などの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、入射するレーザ光と電子写真感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥の発生することがある。導電性支持体の表面に前述のような乱反射処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
電荷発生層は、光を吸収することによって電荷を発生させる電荷発生物質を主成分として含有する。電荷発生物質として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴまたはチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドまたはペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンまたはピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンまたは無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシンなどに代表されるアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーンなどに代表されるチアジン系色素、カプリブルーまたはメルドラブルーなどに代表されるオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素等の種々の有機顔料、染料、さらにアモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料を挙げることができる。これらの電荷発生物質は、1種が単独でまたは2種以上が組合わされて使用される。
電荷発生層の形成方法としては、電荷発生物質を導電性支持体上に真空蒸着する方法、または溶剤中に電荷発生物質を分散して得られる電荷発生層形成用塗工液を導電性支持体上に塗布する方法などがある。これらの中でも、結着剤であるバインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質を公知の方法によって分散し、得られた塗工液を導電性支持体上に塗布する方法が好ましい。以下、塗布方法について説明する。
バインダ樹脂には、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、およびこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂は、前述のものに限定されることなく、一般に用いられる公知の樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。
溶剤には、たとえばテトラクロロプロパンまたはジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタンまたはジオキサンなどのエーテル類ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが用いられる。また、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤を用いることもできる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生層全体の重量を100%とするとき、電荷発生物質が10重量%〜99重量%の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質が10重量%未満であると、感度が低下する。電荷発生物質が99重量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少するので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生する。
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質を分散させる前処理として、電荷発生物質を粉砕機によって予め粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを挙げることができる。
電荷発生物質をバインダ樹脂溶液中に分散させる場合、用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが望ましい。
さらに電荷発生層には、必要に応じてホール輸送材料、電子輸送材料、酸化防止剤、分散安定剤、増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。このことによって、電位特性が向上するとともに、塗工液としての安定性が高まり、また電子写真感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
電荷発生層は、前述したように電荷発生層形成用塗工液を調製し、調整された塗工液を本発明の塗布方法で塗布することによって形成される。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質をバインダ樹脂中に含有させることによって得られる。電荷輸送物質としては、ホール輸送物質および電子輸送物質を用いることができる。ホール輸送物質としては、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセンなどまたはポリシラン等が挙げられる。
電子輸送物質としては、たとえば、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタール酸誘導体、ジフェノキノン誘導体等の有機化合物、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料が挙げられる。電荷輸送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独または2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送層のバインダ樹脂には、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが選ばれる。具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用しても良い。これらの樹脂は、単独で使用されてもよく、また2種以上混合されて使用されてもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、また成膜性および電位特性などにも優れているので、これらをバインダ樹脂に用いることが特に好ましい。
電荷輸送物質(A)とバインダ樹脂(B)との比率(A/B)は、重量比で10/12〜10/30である。前記比率(A/B)が10/30未満でありバインダ樹脂の比率が高くなると、現状の電荷輸送物質の電荷輸送能では、充分な応答性が得られなくなる。また前記比率A/Bが10/12を超えバインダ樹脂の比率が低くなると、バインダ樹脂の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、感光層の摩耗量が増加する。したがって、比率(A/B)を、10/12以上10/30以下とした。
電荷輸送層には、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤または表面改質剤などの添加剤を添加しても良い。可塑剤としては、たとえばビフェニル、塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、各種フルオロ炭化水素、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤などを挙げることができる。表面改質剤としては、シリコンオイル、フッ素樹脂等が挙げられる。
また電荷輸送層には、機械的強度の増強および電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加しても良く、さらに必要に応じて酸化防止剤および増感剤などの各種添加剤を添加しても良い。このことによって、電位特性が向上するとともに、塗工液としての安定性が高まり、また電子写真感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
酸化防止剤には、ヒンダードフェノール誘導体またはヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。ヒンダードフェノール誘導体は、電荷輸送物質に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲で使用されることが好ましい。ヒンダードアミン誘導体は、電荷輸送物質に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲で使用されることが好ましい。ヒンダードフェノール誘導体とヒンダードアミン誘導体とは、混合されて使用されてもよい。この場合、ヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量は、電荷輸送物質に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲にあることが好ましい。ヒンダードフェノール誘導体の使用量、ヒンダードアミン誘導体の使用量、またはヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量が、電荷輸送物質に対して0.1重量%未満であると、塗工液の安定性の向上および電子写真感光体の耐久性の向上に充分な効果を発現することができない。また50重量%を超えると、電子写真感光体の特性に悪影響を及ぼす。
電荷輸送層は、適当な溶剤中に前記電荷輸送物質および前記バインダ樹脂、ならびに必要に応じて前述の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層形成用塗工液を調製し、この塗工液を前述した本発明の塗布法によって、電荷発生層上に塗布することによって形成される。
塗工液に用いられる溶剤には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンまたはジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、THF、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類、安息香酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤からなる群から選ばれる1種が単独で、または2種以上が混合されて使用される。また前述した溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層の膜厚が5μm未満であると、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、電子写真感光体の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
積層型感光体の場合、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層しても良く、反対に電荷輸送層の上に電荷発生層を積層しても良い。また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する層は、前述の電荷輸送層を形成する場合と同様の方法で形成される。たとえば、電荷発生物質とホール輸送物質と電子輸送物質とバインダ樹脂とを、前述の適当な溶剤に溶解または分散させて光導電層形成用塗工液を調製し、この光導電層形成用塗工液を本発明の塗布法によって塗布することによって形成される。単層型感光体の光導電層の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。光導電層の膜厚が5μm未満であると、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下する。光導電層の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。
また電子写真感光体には、導電性支持体と光導電層との間に、中間層が設けられても良い。導電性支持体と光導電層との間に中間層が無い場合、導電性支持体から光導電層に電荷が注入され、その帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像にかぶりなどの欠陥が発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合、露光によって表面電荷が減少した部分にトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じる。すなわち、導電性支持体または光導電層の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ポチなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となる。
しかしながら、中間層を設けることによって、導電性支持体から光導電層へ電荷が注入することを抑制できるので、光導電層の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止できる。また中間層を設けることによって、導電性支持体表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、光導電層の成膜性を高めることができる。また光導電層の導電性支持体からの剥離を抑え、導電性支持体と光導電層との接着性を向上させることができる。
中間層には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。樹脂層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、、エチルセルロースなどを挙げることができる。
中間層は、金属酸化物などの粒子を含有してもよい。これらの粒子を含有させることによって、中間層の体積抵抗値を調節し、導電性支持体から光導電層への電荷の注入をさらに抑制することができるとともに、各種環境下において電子写真感光体の電気特性を維持することができる。金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどの粒子を挙げることができる。中間層に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、たとえば、前述の樹脂が溶解した樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層形成用塗工液を調製し、この塗工液を導電性支持体上に塗布することによって中間層を形成することができる。
樹脂溶液の溶剤には、前述の有機溶剤の他に、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム系なども用いられる。また、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤を用いることもできる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルまたは超音波分散機などを用いる一般的な方法を使用することができる。
中間層形成用塗工液中の樹脂および金属酸化物の合計含有量Cは、中間層形成用塗工液に使用されている溶剤の含有量Dに対し、C/Dが重量比で1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂と金属酸化物との比率(樹脂/金属酸化物)は、重量比で90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。中間層の膜厚が0.01μmより薄いと、実質的に中間層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体から光導電層への電荷の注入を防止することができなくなるので、光導電層の帯電性の低下が生じる。中間層の膜厚が20μmよりも厚いと、中間層を均一に形成することが難しく、また電子写真感光体の感度も低下するので好ましくない。
また、感光層の最外層として保護層が設けられてもよい。保護層を設けることによって、感光層の耐刷性を向上させることができるとともに、電子写真感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾンまたは窒素酸化物などの感光層への化学的悪影響を防止することができる。保護層には、たとえば樹脂、無機フィラー含有樹脂または無機酸化物などからなる層が用いられる。
保護層に使用される樹脂としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの樹脂に硬度の高い無機フィラーまたは有機フィラーを添加することができる。これらフィラーの平均粒径は、0.02μm〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。平均粒径が、0.02μm未満であると、表面保護層の耐摩耗性が弱くなり、電子写真感光体の寿命が短くなる。平均粒径が、3μmを超えると、光が保護層によって散乱しやすくなり、解像度の低下を引き起こす。
保護層に添加されるフィラーの具体例としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、硫酸バリウム、ITO、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、カーボンブラック、フッ素系樹脂微粉末、ポリシロキサン系樹脂微粉末、高分子電荷輸送材料微粉末のうちから選択される1種または2種以上の混合物を挙げることができる。これらのフィラーは、分散性向上、表面性改質などの理由から無機物、有機物で表面処理されても良い。一般に撥水性処理として、シランカップリング剤で処理したもの、フッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理もしくは高分子材料などと共重合処理させたものなどが挙げられ、無機物処理として、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものなどが挙げられる。
フィラーは、バインダー樹脂および/または電荷輸送材料、分散溶媒とともに粉砕、もしくはそのまま分散され、保護層として塗布される。塗布によって形成された保護層中のフィラー含有量は、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。5重量%未満であると、耐摩耗性が充分ではなく、50重量%を超えると、保護層の透明性が損なわれ、感度低下を招来する。
分散溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用される。粉砕工程を加える場合はボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いる。
また保護層中には、ホールあるいは電子を効率よく輸送することを目的に、前述した電荷輸送物質であるホール輸送物質あるいは電子輸送物質を添加しても良い。また、帯電性の向上等を目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールが、同一分子中に存在する化合物などを添加することもできる。さらに、可塑剤および/またはレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものを用いることができ、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、またはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
また、保護層を少なくとも硬化型樹脂からなる層で構成するには、材料の分野で公知である種々の架橋反応、たとえばラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合などを用いることができる。また、表面エネルギの低い硬化した保護層を実現させるために、公知の方法でシリコーン構造、パーフルオロアルキル構造、長鎖アルキル構造などを有する材料を架橋反応させても良い。
前述のように保護層に電荷輸送機能を併せて持たせるために、電荷輸送機能を有する物質または高分子型電荷輸送物質を架橋反応させても良い。たとえば架橋性オルガノポリシロキサン樹脂と、それに結合可能でかつ電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物とを混ぜて硬化し、ポリシロキサン樹脂とすることによって、優れた耐久性と電気特性とが実現されている。
保護層の膜厚は、0.5μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上3μm以下である。保護層の膜厚が0.5μmより薄いと、ブレードまたは帯電ローラの接触などによる外力をうけたとき、保護層が下層の光導電層との界面から剥離しやすくなる。これは、保護層の膜厚が薄い場合、外力をうけた時に保護層自体では抗し切れずに光導電層との界面に常時力が負荷され、それが、長期にわたると負荷されている力によって界面にずれが生じやすくなるためと考えられる。また、摩耗により保護層全てが電子写真感光体の寿命前に消失する可能性がある。保護層の膜厚が5μmよりも厚いと、キャリアが保護層内を移動する過程において拡散するので、文字太り等が生じやすくなり、かつ感度低下および繰返しによる残留電位上昇が起こる。
次に、図7は、画像形成装置80の構成を簡略化して示す側面配置図である。この画像形成装置80は、前述した本発明の塗布方法により製造された電子写真感光体を備えることを特徴とする。図7を参照して、画像形成装置80について説明する。なお、画像形成装置は、以下の記載内容に限定されるものではない。
画像形成装置80は、前述した本発明の塗布方法により製造された電子写真感光体81であって、図示しない装置本体に回転自在に支持される電子写真感光体81と、電子写真感光体81を回転軸線82まわりに矢符83方向に回転駆動させる図示しない駆動手段とを備える。駆動手段は、たとえば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を電子写真感光体81の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、電子写真感光体81を所定の周速度で回転駆動させる。
電子写真感光体81の周囲には、帯電器84と、図示しない露光手段と、現像器85と、転写器86と、クリーナ87とが、矢符83で示される電子写真感光体81の回転方向上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。クリーナ87は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
帯電器84は、電子写真感光体81の外周面を所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電器84は、たとえばローラ帯電方式などの接触式の帯電手段によって実現される。
露光手段は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光88を、電子写真感光体81の帯電器84と現像器85との間に照射することによって、帯電された電子写真感光体81の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光88は、主走査方向である電子写真感光体81の回転軸線82方向に繰返し走査され、これに伴って電子写真感光体81の表面に静電潜像が順次形成される。
現像器85は、露光によって電子写真感光体81の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、電子写真感光体81を臨んで設けられ、電子写真感光体81の外周面にトナーを供給する現像ローラ85aと、現像ローラ85aを電子写真感光体81の回転軸線82と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング85bとを備える。
転写器86は、現像によって電子写真感光体81の外周面に形成される可視像であるトナー画像を、図示しない搬送手段によって矢符88方向から電子写真感光体81と転写器86との間に供給される記録媒体である転写紙89上に転写させる転写手段である。転写器86は、たとえば、帯電手段を備え、転写紙89にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー画像を転写紙89上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ87は、転写器86による転写動作後に電子写真感光体81の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、電子写真感光体81の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード87aと、クリーニングブレード87aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング87bとを備える。
また、画像形成装置80には、電子写真感光体81と転写器86との間を通過した転写紙89が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器90が設けられる。定着器90は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ90aと、加熱ローラ90aに対向して設けられ、加熱ローラ90aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ90bとを備える。
この画像形成装置80による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、電子写真感光体81が駆動手段によって矢符83方向に回転駆動されると、露光手段からの光88の結像点よりも電子写真感光体81の回転方向上流側に設けられる帯電器84によって、電子写真感光体81の表面が正または負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段から、電子写真感光体81の表面に対して画像情報に応じた光88が照射される。電子写真感光体81は、この露光によって、光88が照射された部分の表面電荷が除去され、光88が照射された部分の表面電位と光88が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、その表面に静電潜像が形成される。
次いで、光源からの光88の結像点よりも電子写真感光体81の回転方向下流側に設けられる現像器85から、静電潜像の形成された電子写真感光体81の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー画像が形成される。
電子写真感光体81への露光と同期して、電子写真感光体81と転写器86との間に、転写紙89が供給される。転写器86によって、供給された転写紙89にトナーと逆極性の電荷が与えられ、電子写真感光体81の表面に形成されたトナー画像が、転写紙89上に転写される。
トナー画像の転写された転写紙89は、搬送手段によって定着器90に搬送され、定着器90の加熱ローラ90aと加圧ローラ90bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー画像が転写紙89に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙89は、搬送手段によって画像形成装置80の外部へ排紙される。
一方、転写器86によるトナー画像の転写後も電子写真感光体81の表面上に残留するトナーは、クリーナ87によって電子写真感光体81の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された電子写真感光体81の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、電子写真感光体81の表面上の静電潜像が消失する。その後、電子写真感光体81はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
画像形成装置80に備わる電子写真感光体81は、前述の塗布方法によって製造されるので、その感光層が継ぎ目の無い均一な厚みに形成される。電子写真感光体81の感光層が均一化されているので、感光層の露光によって静電潜像が形成されるとき、さらに静電潜像に現像剤が供給されてトナー画像が形成されるとき、画像欠陥の発生が防止される。このように、本発明の塗布方法により製造される電子写真感光体81を備えることによって、画像欠陥を生じることのない画像形成装置80が実現される。
以下本発明の実施例について説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
(試験1)
試験1においては、直径:30mm、長さ:340mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体を準備し、該導電性支持体の表面に、浸漬塗布法によって中間層と電荷発生層とを積層して形成し、さらに電荷発生層の外層として、電荷輸送層を形成した。電荷輸送層の形成に際しては、本発明の塗布方法による実施例1の電子写真感光体と、本発明方法から外れる塗布方法による比較例1〜5の電子写真感光体とを製造し、その電荷輸送層の塗膜厚みの均一性を評価した。
(実施例1)
酸化アルミニウム(Al)および二酸化ジルコニウム(ZrO)で表面処理を行った樹状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9重量部および共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)9重量部を、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加えた後、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層形成用塗工液を調製した。この中間層形成用塗工液を塗工槽に満たし、導電性支持体を塗工槽に浸漬した後引上げることによって、膜厚1.0μmの中間層を導電性支持体上に形成した。
次いで、電荷発生物質であるオキソチタニウムフタロシアニンとしてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンの2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBM−S)1重量部と、メチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗工液を調製した。この電荷発生層形成用塗工液を、先に形成した中間層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した中間層上に塗布することによって、膜厚0.4μmの電荷発生層を中間層上に形成した。
さらに、電荷輸送物質である構造式(I)で示されるトリフェニルアミンダイマー(
Triphenylamine dimer;略称:TPD)10重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ300)16重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1重量部と、ジフェニルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−50)0.008重量部とを、キシレン104重量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗工液を調製した。
この電荷輸送層形成用塗工液を、図4に示したナチュラルロールコーティング方式の塗布装置60を用いた本発明の塗布方法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した。塗工液を導電性支持体に転写塗布している状態における塗布ロール61、メタリングロール13,63および導電性支持体5の周速を、すべて10m/minとした。また、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を170μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を100μmとした。
まず、全ロール61,13,63および導電性支持体5を回転させつつ、塗工液供給手段4から電荷輸送層形成用塗工液をメタリングロール63の外周面に供給し、2つのメタリングロール13,63によって均一な厚みの塗膜を形成させた。その後、塗布ロール61を回転させながら、前述の間隙寸法になるまでメタリングロール13を近接させ、メタリングロール13表面の塗膜を塗布ロール61に転写した。次いで、前述のようにして中間層と電荷発生層とを形成した導電性支持体5を、回転させながら塗布ロール61に接触させて塗布を開始した。
塗布開始後、導電性支持体が、予め定めておいた所定の回転回数である2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の10m/minから18m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の10m/minのままとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロール61の周速V2との周速比R(=V1/V2)が、1.8となるように調整した。また塗布ロール61と導電性支持体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続した。その後、120℃にて1時間乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、実施例1の電子写真感光体を作製した。
Figure 0004008871
(比較例1)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を、塗布しているときの周速と同じ10m/min、すなわち周速比R(=V1/V2)を、1.0とした以外は実施例1と同様にして、比較例1の電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を160m/min、すなわち周速比Rを、16.0とした以外は実施例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体の作製を試みたけれども、離間時における導電性支持体の周速が速くなりすぎたので、塗工液が導電性支持体の表面から飛散し、電子写真感光体として使用不能なレベルのものであった。
(比較例3)
塗布ロールと導電性支持体との間隙を80μmとし、塗布ロールと導電性支持体とを同一方向に回転させるリバースロールコーティング方式の塗布装置を用い、かつ導電性支持体を離間する際における導電性支持体の周速V1を10m/min、すなわち周速比Rを1.0とし、塗布を開始から1.5秒後にメタリングロールと塗布ロールとの間隙を10μmにし、さらに0.5秒後に塗布ロールから導電性支持体を離間させた以外は実施例1と同様にして、比較例3の電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
塗布ロールと導電性支持体との間隙を80μmとし、塗布ロールと導電性支持体とを同一方向に回転させるリバースロールコーティング方式の塗布装置を用い、かつ導電性支持体を離間する際における導電性支持体の周速V1を10m/min、すなわち周速比Rを1.0とし、導電性支持体を塗布ロールから離間させる離間速度を85mm/secにした以外は実施例1と同様にして、比較例4の電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
塗布ロールと導電性支持体との間隙を80μmとし、塗布ロールと導電性支持体とを同一方向に回転させるリバースロールコーティング方式の塗布装置を用い、塗布しているときの導電性支持体の周速u1を25m/min、すなわち周速比r(=u1/u2)を2.5とし、かつ導電性支持体を塗布ロールから離間させる際の導電性支持体の周速V1も25m/min、すなわち周速比Rも2.5とした以外は実施例1と同様にして、比較例5の電子写真感光体を作製した。なお、比較例5の電子写真感光体では、導電性支持体への電荷輸送層形成用塗工液の塗布時にリブの生成が観測された。
(試験1の評価)
以上の実施例1ならびに比較例1および3〜5で作製した各電子写真感光体の軸線方向と周方向の膜厚分布を多機能マルチチャンネル分光光度計(大塚電子株式会社製:MCPD2000)で測定した。
測定結果を図8および図9に示す。図8は軸線方向の膜厚測定結果を示す図であり、図9は周方向の膜厚測定結果を示す図である。軸線方向の膜厚分布は比較例5を除き、いずれの電子写真感光体においてもほぼ一定であった。周方向の膜厚分布は、比較例1のように周速比R=1.0で離間する方法を行うと膜厚分布が大きく異なる継ぎ目が発生する。比較例1と同じ周速比R=1.0であっても、リバースロールコーティング方式による比較例3,4では、わずかに継ぎ目が改善されるけれども、実使用には耐えないレベルであった。周速比R=2.5の比較例5では継ぎ目はほぼ改善されたけれども、塗布しているときの周速比r=2.5と大きいので、軸線方向にリブに起因する規則正しい膜厚変化が確認された。それに対して、実施例1の本発明の塗布方法では、継ぎ目がなく、かつ軸線方向の膜厚分布もほぼ均一な電子写真感光体が得られた。
(試験2)
試験2においては、試験1と同じ導電性支持体を準備し、該導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層の各層を積層型に形成した。各層をそれぞれ形成するに際し、本発明の塗布方法による実施例2〜5および本発明方法から外れる塗布方法による比較例6〜14の中間品または電子写真感光体を作製し、各層の塗膜厚みの均一性を評価した。
(実施例2)
酸化アルミニウム(化学式:Al)および二酸化ジルコニウム(化学式:ZrO)で表面処理を行った樹状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)10重量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)10重量部とを、エタノール42重量部とブチルカルビトール18重量部とベンジルアルコール30重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層形成用塗工液を調製した。
この中間層形成用塗工液を、図4に示したナチュラルロールコーティング方式の塗布装置60を用いた本発明の塗布方法にて、導電性支持体に塗布した。塗工液を導電性支持体に転写塗布している状態での塗布ロール61、メタリングロール13,63および導電性支持体5の周速を、6m/minとした。また、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を80μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を40μmとした。
まず、全ロール61,13,63および導電性支持体5を回転させつつ、前述の実施例1と同様にして塗布を開始した。塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の6m/minから9m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の6m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比R(=V1/V2)が、1.5となるように調整した。また塗布ロール61と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続した。その後、120℃にて1時間乾燥させ、中間層塗膜を形成させた。このようにして、中間層塗膜の形成された実施例2の電子写真感光体の中間品を作製した。
(比較例6)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を、塗布しているときの周速と同じ6m/min、すなわち周速比R=1.0とした以外は、実施例2と同様にして、中間層塗膜の形成された比較例6の電子写真感光体の中間品を作製した。
(実施例3)
電荷発生物質であるオキソチタニウムフタロシアニンとしてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンの4重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBM−S)4重量部と、シクロヘキサノン92重量部とを混合し、ペイントシェーカにて10時間分散処理して電荷発生層形成用塗工液を調製した。
この電荷発生層形成用塗工液を、実施例2と同一の塗布装置60を用いた本発明の塗布方法にて、先の実施例2で形成した中間層上に塗布した。塗工液を導電性支持体の中間層上に転写塗布している状態での塗布ロール61、メタリングロール13,63および導電性支持体5の周速を、4m/minとした。また、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を60μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を30μmとした。
まず、全ロール61,13,63および導電性支持体5を回転させつつ、前述の実施例2と同様にして塗布を開始した。塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の4m/minから6m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の4m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比R(=V1/V2)が、1.5となるように調整した。また塗布ロール61と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続した。その後、120℃にて30分間乾燥させ、電荷発生層塗膜を形成させた。このようにして、中間層塗膜の上に電荷発生層塗膜の形成された実施例3の電子写真感光体の中間品を作製した。
(比較例7)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を、塗布しているときの周速と同じ4m/min、すなわち周速比R=1.0とした以外は実施例3と同様にして、中間層塗膜の上に電荷発生層塗膜の形成された比較例7の電子写真感光体の中間品を作製した。
(実施例4)
電荷輸送物質である前記構造式(I)で示されるTPD10重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ300)16重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1重量部と、ジフェニルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−50)0.006重量部とを、トルエン42重量部とシクロヘキサノン42重量部とに溶解させ、電荷輸送層形成用塗工液を調製した。
この電荷輸送層形成用塗工液を、図1〜図3に示すリバースロールコーティング方式の塗布装置1を用いた本発明の塗布方法にて、先の実施例3で形成した電荷発生層上に塗布した。塗工液を導電性支持体の電荷発生層上に転写塗布している状態での塗布ロール2、メタリングロール13および導電性支持体5の周速を、10m/minとした。また、メタリングロール13と塗布ロール2との間隙を100μm、塗布ロール2と導電性支持体5との間隙を80μmとした。
まず、全ロール2,13および導電性支持体5を回転させつつ、前述の実施例2と同様にして塗布を開始した。塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール2から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の10m/minから20m/minに増速した。塗布ロール2の周速は、離間前後において同一の10m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比Rが、2.0となるように調整した。また塗布ロール2と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続した。その後、120℃にて1時間乾燥させ、電荷輸送層塗膜を形成させた。このようにして、電荷発生層塗膜の上に電荷輸送層塗膜の形成された実施例4の電子写真感光体を作製した。
(比較例8)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を、塗布しているときの周速と同じ10m/min、すなわち周速比R=1.0とした以外は実施例4と同様にして、電荷発生層塗膜の上に電荷輸送層塗膜の形成された比較例8の電子写真感光体を作製した。
(比較例9)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を160m/min、すなわち周速比R=16.0とした以外は実施例4と同様にして、比較例9の電荷輸送層の形成を試みたけれども、離間時における導電性支持体の周速が速くなりすぎたので、塗工液が導電性支持体の表面から飛散し、電子写真感光体として使用不能なレベルのものであった。
(比較例10)
塗布ロールから導電性支持体を離間した後、直ちに導電性支持体の回転を停止した以外は実施例4と同様にして、電荷発生層塗膜の上に電荷輸送層塗膜の形成された比較例10の電子写真感光体を作製した。
(比較例11)
塗布している状態での、導電性支持体の周速u1を15m/min、すなわち周速比r(=u1/u2)を1.5とし、メタリングロールと塗布ロールとの間隙を120μmとし、塗布ロールと導電性支持体との間隙を95μmとした以外は、実施例4と同様にして、電荷発生層塗膜の上に電荷輸送層塗膜の形成された比較例11の電子写真感光体を作製した。
(比較例12)
塗布している状態での、導電性支持体の周速u1を6m/min、すなわち周速比r=0.6とし、メタリングロールと塗布ロールとの間隙を80μmとし、塗布ロールと導電性支持体との間隙を60μmとした以外は、実施例4と同様にして、電荷発生層塗膜の上に電荷輸送層塗膜の形成された比較例12の電子写真感光体を作製した。
(実施例5)
メチルトリメトキシシラン30重量部、ジメチルジメトキシシラン5重量部に2.5%酢酸水溶液20重量部、ブチルカルビトール100重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)50重量部を混合し、室温にて16時間加水分解反応させた。その後、酸化防止剤(三共社製:サノールLS2626)1重量部、構造式(II)で示される電荷輸送性構造単位含有化合物5重量部、コロイダルシリカ(メタノール分散品、固形分30質量%)20重量部、硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート1重量部を加えて溶解し、保護層形成用塗工液を調製した。
この保護層形成用塗工液を、図4に示したナチュラルロールコーティング方式の塗布装置60を用いた本発明の塗布方法にて、導電性支持体に形成された電荷輸送層上に塗布した。塗工液を導電性支持体に転写塗布している状態での塗布ロール61、メタリングロール13,63および導電性支持体5の周速を、6m/minとした。また、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を70μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を40μmとした。
まず、全ロール61,13,63および導電性支持体5を回転させつつ、前述の実施例2と同様にして塗布を開始した。塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の6m/minから9.6m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の6m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比R=1.6となるように調整した。また塗布ロール61と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続した。その後、120℃にて90分間、硬化および乾燥させ、保護層塗膜を形成させた。このようにして、保護層塗膜の形成された実施例5の電子写真感光体を作製した。
Figure 0004008871
(比較例13)
塗布ロールと導電性支持体とを離間する際における導電性支持体の周速V1を、塗布しているときの周速と同じ6m/min、すなわち周速比R=1.0とした以外は実施例5と同様にして、保護層塗膜の形成された比較例13の電子写真感光体を作製した。
(試験2の評価)
以上の実施例2〜5ならびに比較例6〜8および10〜13で作製した各電子写真感光体の中間品または電子写真感光体おける周方向の膜厚分布、また比較例11および12で作製した各電子写真感光体の軸線方向の膜厚分布を、多機能マルチチャンネル分光光度計(大塚電子株式会社製: MCPD2000)で測定した。なお、実施例3および比較例7の電荷発生層塗膜の膜厚は、上記装置でXYZ表色系における3刺激値のうちの1要素であるY値を測定し、そのY値からあらかじめ作成した検量線に従い厚さを求めた。
測定結果を図10〜図14に示す。図10は中間層の周方向の膜厚測定結果を示す図であり、図11は電荷発生層の周方向の膜厚測定結果を示す図であり、図12は電荷輸送層の周方向の膜厚測定結果を示す図であり、図13は保護層の周方向の膜厚測定結果を示す図である。また、図14は電荷輸送層の軸線方向の膜厚測定結果を示す図である。
図10における実施例2と比較例6の対比、図11における実施例3と比較例7との対比、図12における実施例4と比較例8との対比および図13における実施例5と比較例13との対比から判るように、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層のいずれを塗布形成する場合においても、塗布ロールと導電性支持体とを離間する際に、導電性支持体と塗布ロールとの周速を同じまま、すなわち周速比R=1.0で離間すると、大きな継ぎ目が発生したけれども、本発明塗布方法のように導電性支持体と塗布ロールとを離間させるとき、導電性支持体の周速V1を塗布ロールの周速V2よりも速くすることによって、その継ぎ目の発生を防止し、均一な厚みの塗膜を形成できることを明らかにした。この効果は、ナチュラルロールコーティングとリバースコーティングとに関わらず得ることができる。
また、比較例10に示すように、導電性支持体と塗布ロールとを離間させた後、導電性支持体の回転を直ちに停止すると、導電性支持体上の塗膜が重力方向に垂れ、膜厚が極めて不均一になることが判った。また、比較例11および12に示すように、塗布している状態での導電性支持体の周速u1と塗布ロールの周速u2とが大きくことなると、すなわち両者の比r(=u1/u2)が、1.5または0.6のように1.0から大きくずれると、塗膜の状態が乱れるので、継ぎ目の発生は抑制されているけれども、特に軸線方向に無視できない程度の膜厚変化が発生した。
(試験3)
試験3においては、実施例および比較例として作製した電子写真感光体を画像形成装置に装着し、該電子写真感光体によって形成された画像の品質を評価した。試験に使用した実施例の電子写真感光体は、前述の実施例1および4,5ならびに以下のように作製した実施例6のものである。また試験に使用した比較例の電子写真感光体は、前述の比較例1,3〜5および12のものである。
(実施例6)
酸化アルミニウム(化学式:Al)および二酸化ジルコニウム(化学式:ZrO)で表面処理を行った樹状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)10重量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)10重量部とを、エタノール42重量部とブタノール38重量部とベンジルアルコール30重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層形成用塗工液を調製した。
この中間層用形成用塗工液を、直径30mm、全長340mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体上に、図4に示したナチュラルロールコーティング方式の塗布装置60を用いた本発明の塗布方法にて塗布した。
塗工液を導電性支持体に転写塗布している状態での塗布ロール61、メタリングロール13,63および導電性支持体5の周速を、7m/minとした。また、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を80μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を40μmとした。
まず、全ロール61,13,63および導電性支持体5を回転させつつ、前述の実施例1と同様にして塗布を開始した。塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の7m/minから10.5m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の7m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比R(=V1/V2)が、1.5となるように調整した。また塗布ロール61と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続し、中間層塗膜を形成させた。
次いで、電荷発生物質であるオキソチタニウムフタロシアニンとしてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン5重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBM−S)3重量部と、シクロヘキサノン92重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗工液を調製した。この電荷発生層形成用塗工液を、塗布装置60を用いた本発明の塗布法にて、先に形成した中間層上に塗布することによって、膜厚0.5μmの電荷発生層を中間層上に形成した。
電荷発生層形成用塗工液を中間層上に転写塗布している状態でのメタリングロール13の周速を5m/min、塗布ロール61および導電性支持体5の周速を10m/minとし、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を60μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を30μmとした。
塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の10m/minから15m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の10m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比R=1.5となるように調整した。また塗布ロール61と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続し、電荷発生層塗膜を形成させた。
さらに、電荷輸送物質である前記構造式(I)で示されるTPD10重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ300)16重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1重量部と、ジフェニルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−50)0.008重量部とを、トルエン40重量部とテトラリン44重量部とに溶解させ、電荷輸送層形成用塗工液を調製した。この電荷輸送層形成用塗工液を、塗布装置60を用いた本発明の塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布することによって、膜厚25μmの電荷輸送層を電荷発生層上に形成した。
電荷輸送層形成用塗工液を電荷発生層上に転写塗布している状態でのメタリングロール13の周速を25m/min、塗布ロール61および導電性支持体5の周速を15m/minとし、メタリングロール13ともう一つのメタリングロール63との間隙を160μm、メタリングロール13と塗布ロール61との間隙を80μmとした。
塗布開始後、導電性支持体5が回転回数2回に達したとき、導電性支持体5を塗布ロール61から、離間速度を50mm/secで離間させた。離間と同時に、導電性支持体5の周速を先の15m/minから30m/minに増速した。塗布ロール61の周速は、離間前後において同一の15m/minとした。したがって、離間させるときの導電性支持体5の周速V1と、塗布ロールV2との周速比R=2.0となるように調整した。また塗布ロール61と円筒状基体5とを離間した状態で、導電性支持体5の回転を20秒間継続した。その後、130℃にて1時間乾燥させ、電荷輸送層塗膜を形成させた。このようにして、実施例6の電子写真感光体を作製した。
(試験3の評価)
以上の各電子写真感光体を、画像形成装置である小型デジタル複写機(シャープ株式会社製:AR−450)に搭載した。それぞれの電子写真感光体を搭載した小型デジタル複写機によって、日本工業規格(JIS)P0138に規定されるA3判の普通紙上に、ハーフトーン画像を形成した。ここで、ハーフトーン画像とは、画像の濃淡を白黒のドットによって階調表現した画像のことである。得られた画像を目視観察し、画像欠陥や画質を評価した。
その結果、比較例1、3および4で作製した電子写真感光体では、濃さの違いはあるけれども、いずれも継ぎ目の部分が画像上の濃淡として明確に現れた。また比較例5で作製した電子写真感光体では、継ぎ目の部分における画像欠陥はほとんどなかったけれども、塗膜に形成されたリブに対応するように電子写真感光体の軸線方向に画像の濃淡が線状に現れた。また比較例12で作製した電子写真感光体も、継ぎ目の部分における画像欠陥はほとんどなかったけれども、膜厚の不均一に起因する画像の濃淡が島状に現れた。これらに対して、本発明の実施例1、4〜6として作製した電子写真感光体では、継ぎ目およびリブの発生が防止されているので、これらに起因する画像欠陥および画像の濃淡がなく、浸漬塗布法のみで作製した電子写真感光体と同等以上の画質であった。
本発明の実施の一形態である円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1の構成を簡略化して示す平面図である。 図1に示す円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1の電気的接続を簡略化して示すブロック図である。 図1に示す円筒状基体に対する塗工液の塗布装置1の部分断面図である。 本発明の実施の第2形態である塗布装置60のロール構成部分の断面図である。 本発明の実施の第3形態である塗布装置70のロール構成部分の断面図である。 本発明の実施の第4形態である塗布装置75のロール構成部分の断面図である。 像形成装置80の構成を簡略化して示す側面配置図である。 軸線方向の膜厚測定結果を示す図である。 周方向の膜厚測定結果を示す図である。 中間層の周方向の膜厚測定結果を示す図である。 電荷発生層の周方向の膜厚測定結果を示す図である。 電荷輸送層の周方向の膜厚測定結果を示す図である。 保護層の周方向の膜厚測定結果を示す図である。 電荷輸送層の軸線方向の膜厚測定結果を示す図である。
符号の説明
1,60,70,75 塗布装置
2,61 塗布ロール
3 塗工液
4 塗工液供給手段
5 円筒状基体
6 第1駆動手段
7 第2駆動手段
8 第1周速検出手段
9 第2周速検出手段
10 回転回数検出手段
11 離間手段
12 制御手段
13,63 メタリングロール
14,44 調整部材
15 膜厚調整手段
39 第3駆動手段
40 第3周速検出手段
41 クリーニング手段
42 クリーニングブレード
50 メモリ
80 画像形成装置
81 電子写真感光体

Claims (16)

  1. 塗布ロールに供給される塗工液を、塗布ロールから円筒状基体に転写することによって塗布する円筒状基体に対する塗工液の塗布方法において、
    塗布ロールと円筒状基体とをそれぞれ回転させて塗布ロールから円筒状基体に塗工液を転写した後、塗布ロールと円筒状基体とを離間させるとき、
    塗布ロールで円筒状基体に塗工液を塗布している状態における円筒状基体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、塗布ロールと円筒状基体とのいずれか一方の周速V1が他方の周速V2よりも速くなるように制御することを特徴とする円筒状基体に対する塗工液の塗布方法。
  2. 塗布ロールと円筒状基体とのいずれか一方の速い方の周速V1と他方の遅い方の周速V2との比R(=V1/V2)が、
    1.2以上、15.0以下であることを特徴とする請求項1記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布方法。
  3. いずれか一方の速い方の周速V1が、円筒状基体の周速であり、
    他方の遅い方の周速V2が、塗布ロールの周速であることを特徴とする請求項1または2記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布方法。
  4. 塗布ロールと円筒状基体とを離間させた後、円筒状基体の回転を、予め定める時間継続することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布方法。
  5. 塗布ロールと円筒状基体を離間させた直後に形成される、円筒状基体上の塗膜と塗布ロール上の塗膜とが表面張力の作用によって伸びた、円筒状基体と塗布ロールとの間の塗工液の連接である橋かけ構造を、切断することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布方法。
  6. 塗布ロールに供給される塗工液を、塗布ロールから円筒状基体に転写することによって塗布する円筒状基体に対する塗工液の塗布装置において、
    塗布ロールと、
    塗布ロールに塗工液を供給する塗工液供給手段と、
    塗布ロールから塗工液が転写される円筒状基体と、
    円筒状基体を回転駆動させる第1駆動手段と、
    塗布ロールを回転駆動させる第2駆動手段と、
    円筒状基体が回転する周速を検出する第1周速検出手段と、
    塗布ロールが回転する周速を検出する第2周速検出手段と、
    円筒状基体の回転回数を検出する回転回数検出手段と、
    円筒状基体を塗布ロールに対して近接離反するように移動させることのできる離間手段と、
    回転回数検出手段の検出出力に応答し、塗布ロールに対して円筒状基体が離反する方向に移動するように離間手段の動作を制御するとともに、塗布ロールで円筒状基体に塗工液を塗布している状態における円筒状基体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、円筒状基体が回転する周速と塗布ロールが回転する周速とのうちいずれか一方の周速が他方の周速よりも速くなるように第1および第2駆動手段の動作を制御する制御手段とを含むことを特徴とする円筒状基体に対する塗工液の塗布装置。
  7. 塗布ロールに供給された塗工液の膜厚を調整する膜厚調整手段をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布装置。
  8. 膜厚調整手段は、塗布ロールを臨んで配置される円筒状部材と、円筒状部材と塗布ロールとの間隙を調整する調整部材とを含むことを特徴とする請求項7記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布装置。
  9. 塗布ロールは、少なくとも表層部が弾性を有する素材から成り、
    塗布ロールから円筒状基体に塗工液を転写している状態では、第1駆動手段による円筒状基体の回転方向と第2駆動手段による塗布ロールの回転方向とが逆であり、円筒状基体と塗布ロールとが塗工液を介して当接するように配置されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布装置。
  10. 塗布ロールと円筒状基体を離間させた直後に形成される、円筒状基体上の塗膜と塗布ロール上の塗膜とが表面張力の作用によって伸びた、円筒状基体と塗布ロールとの間の塗工液の連接である橋かけ構造を、切断することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の円筒状基体に対する塗工液の塗布装置。
  11. 塗布ロールに供給される塗工液であって、電子写真感光体の感光層を形成する塗工液を、塗布ロールから導電性支持体に転写することによって塗布する電子写真感光体の製造方法において、
    塗布ロールと導電性支持体とをそれぞれ回転させて塗布ロールから導電性支持体に感光層を形成する塗工液を転写した後、塗布ロールと導電性支持体とを離間させるとき、
    塗布ロールで導電性支持体に塗工液を塗布している状態における導電性支持体の周速および塗布ロールの周速を同じ値とし、その後離間し、塗布ロールと導電性支持体とのいずれか一方の周速V1が他方の周速V2よりも速くなるように制御することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  12. 塗布ロールと導電性支持体とのいずれか一方の速い方の周速V1と他方の遅い方の周速V2との比R(=V1/V2)が、
    1.2以上、15.0以下であることを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 感光層は、電荷輸送物質を含む電荷輸送層と電荷発生物質を含む電荷発生層とを備える少なくとも2層以上の積層構造から成り、
    塗工液が、電荷輸送層を形成するための電荷輸送層形成用塗工液であることを特徴とする請求項11または12記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 塗工液が、感光層の最外層を構成する保護層を形成するための保護層形成用塗工液であることを特徴とする請求項11または12記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 塗布ロールと円筒状基体を離間させた直後に形成される、円筒状基体上の塗膜と塗布ロール上の塗膜とが表面張力の作用によって伸びた、円筒状基体と塗布ロールとの間の塗工液の連接である橋かけ構造を、切断することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  16. 保護層が、樹脂から成る樹脂層であることを特徴とする請求項14記載の電子写真感光体の製造方法。
JP2003328828A 2003-09-19 2003-09-19 円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法 Expired - Fee Related JP4008871B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003328828A JP4008871B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法
US10/942,096 US7393415B2 (en) 2003-09-19 2004-09-16 Method and apparatus for applying coating liquid to cylindrical substrate and method for producing electrophotographic photoreceptor and electrophotographic photoreceptor produced by the production method
CNB2004100825049A CN100346885C (zh) 2003-09-19 2004-09-20 涂布方法、涂布装置、电子照相感光体及其制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003328828A JP4008871B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005087971A JP2005087971A (ja) 2005-04-07
JP4008871B2 true JP4008871B2 (ja) 2007-11-14

Family

ID=34458283

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003328828A Expired - Fee Related JP4008871B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7393415B2 (ja)
JP (1) JP4008871B2 (ja)
CN (1) CN100346885C (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3977821B2 (ja) * 2004-04-26 2007-09-19 シャープ株式会社 電子写真感光体の製造方法および製造装置
JP4726583B2 (ja) * 2005-09-06 2011-07-20 東北リコー株式会社 円筒状基体への塗布装置及び塗布方法、並びに電子写真感光体の製造方法
JP4732943B2 (ja) * 2006-04-04 2011-07-27 シャープ株式会社 電子写真感光体およびその製造方法
US7808154B2 (en) * 2007-01-19 2010-10-05 Konica Minolta Opto, Inc. Actuator unit, driving device for information recording/reading head, information recording/reading apparatus, and method for driving the actuator unit
JP2008279347A (ja) * 2007-05-09 2008-11-20 Inoac Corp ホットメルト塗布装置およびホットメルト塗布方法
JP5441341B2 (ja) * 2008-01-23 2014-03-12 キヤノン株式会社 液体塗布装置、および液体塗布装置の制御方法
WO2010021401A1 (ja) * 2008-08-22 2010-02-25 株式会社ブリヂストン 帯電ローラの製造方法および該方法により製造された帯電ローラ
US8617659B2 (en) * 2008-08-29 2013-12-31 Corning Incorporated Methods of applying a layer to a honeycomb body
US8143149B2 (en) * 2009-05-18 2012-03-27 Boris Gilman Method of forming a flexible nanostructured material for photovoltaic panels
JP2011104889A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 光学フィルム製造用ロール金型の保護皮膜の製造方法
JP5483597B2 (ja) * 2010-12-08 2014-05-07 信越ポリマー株式会社 ローラの製造方法
JP5691777B2 (ja) * 2011-04-14 2015-04-01 株式会社Ihi 粉末圧延装置及び粉末圧延方法
JP2014160238A (ja) * 2013-01-28 2014-09-04 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法
CN104216231B (zh) * 2013-06-05 2019-02-12 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 涂布装置和涂布方法
KR20160130280A (ko) * 2014-04-08 2016-11-10 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 몰드의 제조 방법 및 롤 형상 몰드의 제조 장치, 및 미세 요철 구조를 표면에 갖는 물품의 제조 방법
US9581920B2 (en) * 2015-01-28 2017-02-28 Canon Kabushiki Kaisha Coating film-removing method for cylindrical substrate and manufacturing method for electrophotographic photosensitive member
TWI645163B (zh) * 2016-10-18 2018-12-21 日商村田製作所股份有限公司 旋轉編碼器及製造旋轉編碼器之編碼機構之方法
US11077461B2 (en) * 2017-06-15 2021-08-03 The Boeing Company Apparatus and methods for use in applying a fluid to a surface
CN112588510A (zh) * 2020-11-05 2021-04-02 安徽墙煌彩铝科技有限公司 一种三辊逆向涂装装置

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3989937A (en) * 1974-11-01 1976-11-02 Formica Corporation Interactive roll gap-reverse roll speed control of the applicator of a material treater
JPH0312261A (ja) 1989-06-12 1991-01-21 Canon Inc 円筒状物体の塗布方法
JP2924674B2 (ja) * 1994-12-08 1999-07-26 東洋製罐株式会社 水性塗料及びそれを用いる塗装方法
JPH1138651A (ja) 1997-07-16 1999-02-12 Dainippon Ink & Chem Inc 電子写真用感光体ドラムの製造方法
JPH11235543A (ja) 1997-12-02 1999-08-31 Dainippon Ink & Chem Inc 円筒状基体への塗料塗布方法及び装置、並びに電子写真用感光体ドラムの製造方法
JPH11216405A (ja) 1998-01-29 1999-08-10 Dainippon Ink & Chem Inc 円筒状基体への塗料塗布方法及び装置、並びに電子写真用感光体ドラムの製造方法
JPH11276958A (ja) 1998-03-27 1999-10-12 Dainippon Ink & Chem Inc 円筒状基体への塗料塗布方法及び装置、並びに電子写真用感光体ドラムの製造方法
JP2000084472A (ja) 1998-09-11 2000-03-28 Dainippon Ink & Chem Inc 円筒状基体への塗料塗布方法及び電子写真用感光体ドラムの製造方法
JP2000325862A (ja) 1999-05-20 2000-11-28 Dainippon Ink & Chem Inc 円筒状基体への塗料塗布方法、並びに電子写真用感光体ドラムの製造方法
JP2000325863A (ja) 1999-05-20 2000-11-28 Dainippon Ink & Chem Inc 円筒状基体への塗料塗布方法および電子写真用感光体ドラムの製造方法
US20030049377A1 (en) * 2001-09-11 2003-03-13 Chesnut W. Richard Machine and method for making a rotogravure printing medium

Also Published As

Publication number Publication date
US7393415B2 (en) 2008-07-01
JP2005087971A (ja) 2005-04-07
CN1597138A (zh) 2005-03-23
CN100346885C (zh) 2007-11-07
US20050112278A1 (en) 2005-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4008871B2 (ja) 円筒状基体に対する塗工液の塗布方法および塗布装置ならびに電子写真感光体の製造方法
KR101645777B1 (ko) 전자사진 감광체, 프로세스 카트리지 및 전자사진 장치, 전자사진 감광체의 제조 방법
CN111198484B (zh) 电子照相感光构件、处理盒和电子照相设备
US7781137B2 (en) Method and apparatus for producing electrophotographic photoreceptor
JPH04243266A (ja) 画像形成部材のためのオーバーコート
JP6918663B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
EP2508949B1 (en) Electrophotographic photoreceptor, process cartridge, and electrophotographic device
JP6444085B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2007188003A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2010026240A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP4488960B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法および製造装置
JP3841286B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法、該製造方法により作製された電子写真感光体並びにそれを用いた電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ
JP4732943B2 (ja) 電子写真感光体およびその製造方法
JP2011197261A (ja) 電子写真感光体下引層用塗布液とその製造方法およびその用途
JP2011150247A (ja) 電子写真感光体の評価方法、それを満足する電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP2009186672A (ja) 電子写真感光体及びそれを搭載する画像形成装置
JP2006047695A (ja) 電子写真感光体の製造方法およびその方法で製造される電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置
JP2006133303A (ja) 電子写真感光体の製造方法および該製造方法によって製造される電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置
JP2008176055A (ja) 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置
JP4606343B2 (ja) 積層体の製造方法および電子写真感光体ならびに画像形成装置
JP2006337926A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2006337545A (ja) 塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法
JP2014178365A (ja) 電子写真感光体およびその製造方法
JP4921243B2 (ja) プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2015230406A (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070320

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070703

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070830

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4008871

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130907

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees