JPH09114111A - 電子写真有機感光体の製造方法および製造装置 - Google Patents

電子写真有機感光体の製造方法および製造装置

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JPH09114111A
JPH09114111A JP27386795A JP27386795A JPH09114111A JP H09114111 A JPH09114111 A JP H09114111A JP 27386795 A JP27386795 A JP 27386795A JP 27386795 A JP27386795 A JP 27386795A JP H09114111 A JPH09114111 A JP H09114111A
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substrate
temperature
drying
electrophotographic organic
producing
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JP27386795A
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Yukihiro Maruta
幸寛 丸田
Akio Arai
明夫 新井
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特性のばらつきの小さく、歩留りの高い、また
コスト的にも有利な、有機感光層塗膜の加熱乾燥ができ
る製造方法および製造装置を提供する。 【解決手段】導電性基体上に少なくとも有機感光層を有
する電子写真有機感光体の製造方法において、前記基体
表面に塗布された有機感光層塗膜の乾燥は、感光層塗膜
の表面温度は基体の温度よりも常に低い状態であり、塗
膜中の溶剤の沸点より低い温度の雰囲気中で行う。前記
乾燥は、前記基体11を囲って捲かれたコイル3に流さ
れる高周波電流による高周波誘導加熱による前記基体の
加熱によってなされと良い。5は高周波発振器、4は整
合器、20は基体の昇降装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子写真装置に
用いられる導電性基体上に有機感光層を有する電子写真
有機感光体の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機電子写真感光体は通常アルミ等の導
電性基体(以下、基体と記す)上に有機感光層を形成し
てなる。感光層の層構成には、露光により電荷を発生す
る電荷発生層とその電荷を輸送する電荷輸送層とからな
る機能分離型と2つの機能を同時に行う単層型の2種類
が有る。
【0003】これらの感光層は有機感光材料と有機バイ
ンダが溶剤に混合された塗液を基体上に浸漬法、スプレ
ー法、リングコート法、しごき法等により均一な厚さに
塗布した後(以下、この状態を、塗膜と記し、塗液や感
光層と区別する)塗膜に含まれている溶剤を除去し、塗
膜を硬化させるために乾燥し、感光層を形成することに
より製造される。塗布方法に係わらず、塗膜の乾燥は一
定温度の雰囲気中に所定時間保持することにより行われ
る。一般には塗膜を持つ基体をオーブンに一定数仕込む
バッチ式あるいは基体をトンネル炉を通過させる連続式
が行われている。
【0004】いずれの方式においても、所定の温度の熱
風を感光体に吹き付け、加熱し、塗膜中の溶剤を蒸発さ
せ、また塗膜を硬化させているが、このような熱風乾燥
は2つの問題点を有している 第1の問題点は、熱風乾燥のように塗膜側から加熱され
ることに起因するものである。乾燥装置内で塗膜に熱風
を当てられた基体あるいはシート状基体感光体は、基体
は金属等であるため熱伝導が良く、比較的早く温度が上
昇する。この熱により基体下部の樹脂が硬化していく。
同時に、熱風が直接あるいは間接的に当てられた塗布膜
表面は、膜内部に溶剤が残っていて未硬化状態であるに
も関わらず、先に乾燥硬化が開始され、さらに温度の不
均一のためその乾燥状態にもムラが生じている。更に乾
燥が進み、膜内部の樹脂の硬化が開始され始めると、内
部で気化された溶剤ガスは表面は既に乾燥硬化されてい
るため抜け難く、表面の微細形状を悪化させており、乾
燥までの時間を長くしている原因である。最終的に気化
された溶剤は表面のムラに反映される形で乾燥されて行
くため、上記のムラをより一層拡大していくことにな
る。このようなムラはアンダーコート層、電荷発生層、
電荷輸送層の何れにおいても発生し、アンダーコート層
ではナイロンの様な吸水性のある樹脂の場合、含有水分
量のばらつきや膜厚むら、樹脂結着状態の差を発生さ
せ、電荷発生層においては顔料粒子の凝集や、分散状態
にムラを発生させ、電荷輸送層においては樹脂結着状態
や電荷輸送材の分散状態にばらつきが発生する。
【0005】第2の問題点は、一般に生産連続ラインや
バッチ式オーブンでは加熱炉内部での温風の流れが一様
でなく、且つ多数の基体を処理するため、設定温度にな
るまでの時間が基体毎に異なり、また同一基体内でも大
きなばらつきがあることである。すなわち不均一加熱が
溶剤の蒸発速度を部分的に異なるものとし、そのため、
膜中の樹脂の硬化状態、感光材等の分散状態が不均一に
なったり、濃度ばらつきを生じたりする。乾燥炉内での
熱風は常に不均一にあたり、特に円筒状基体の場合には
シート状基体の様に熱風が均一にあてられない分この影
響は大きくなる。このような乾燥工程におけるばらつき
は電子写真特性のばらつきとなり、画像欠陥を生じさせ
る。特に、機能分離型感光体では各層毎にばらつきが増
幅され、その影響は大きくなる。
【0006】さらに、熱風は乾燥装置内部に蓄積された
埃や塵を撒き散らし、未乾燥塗膜表面は塵が付着し易い
ため、常に連続で熱風が当てられる乾燥炉内では、クリ
ーン度によっては歩留まり低下の大きな要因にもなって
いることである。オーブン乾燥では常に新鮮な空気を取
り入れ、溶剤を含んだ空気はすぐ排気する必要がある。
これが炉内で対流すると乾燥ムラが生じ、次工程塗布膜
の塗布品質が低下する。
【0007】連続式乾燥は各塗液の塗布毎の他に基体の
洗浄後にも行われており、連続生産ラインが可能である
等の利点を有する反面、乾燥工程においては全生産ライ
ンに占める設備スペース、生産過程に占める割合、使用
エネルギーに占める割合は最も大きくなっているのが現
状である。さらに設備コストや稼働開始時の立上げや温
度変更に時間を要し、最終的な製品コストを上昇させる
要因になっている。
【0008】形状が薄い、シート状やフィルム状感光体
の場合、比較的長時間の加熱を行え、予熱や徐冷を含め
て比較的均一な乾燥は可能である。しかし、円筒状感光
体の場合、乾燥装置内を移動させる場合、予熱部、一定
温度保持部、徐冷部を含め、基体サイズに依存して乾燥
装置が大きくなっていく。また、温度プロファイルは一
様であり、変更ないし、複雑化は困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記諸点に鑑み、本発
明の目的は、本質的に、特性のばらつきの小さく、歩留
りの高い、またコスト的にも有利な、感光層塗膜の加熱
乾燥ができる製造方法および製造装置を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、導電性基体上に少なくとも有機感光層を有する電
子写真有機感光体の製造方法において、前記基体表面に
塗布された有機感光層塗膜の乾燥は、感光層塗膜の表面
温度は基体の温度よりも常に低い状態であり、塗膜中の
溶剤の沸点より低い温度の雰囲気中で行われることとす
る。
【0011】前記乾燥は、前記基体を囲って捲かれたコ
イルに流される高周波電流による高周波誘導加熱による
前記基体の加熱によってなされることとする。前記高周
波誘導加熱において、前記乾燥は、前記基体への誘導電
流の侵入深さが前記基体の厚さに略等しい状態で行われ
ると良い。前記高周波誘導加熱に用いられる電子写真有
機感光体製造装置において、前記基体の塗膜側に対向
し、コイルの間に設置された放射温度計の温度出力を、
前記コイルの電流にフィードバックすることにより前記
基体の温度を所定の値に制御すると良い。
【0012】前記乾燥中は、円筒状の基体をその中心軸
に沿って前記コイルとは相対揺動運動させ、また前記基
体をその中心軸を回転軸として回転させると良い。前記
乾燥は、前記基体は気体の供給口および排気口を備えた
容器内に置かれ、換気されながら行われると良い。前記
装置は、少なくとも、感光層塗液を保有する塗液容器、
塗液自由表面の上方に設けられた高周波誘導コイルおよ
び基体の鉛直方向の引き上げ機構および引き上げ速度の
制御装置とを有し、基体の塗液への浸漬、引き上げ塗布
および高周波誘導加熱乾燥とを、連続して実施できると
良い。
【0013】
【発明の実施の形態】発明者は、有機感光体の乾燥条件
を検討、解析し検討を行った結果、塗液の感光材料の分
散状態、およびバインダの材質や量などが適正で、均一
であり、また基体上への塗布が適正に行われ塗膜の厚さ
が均一であれば、従来の乾燥方法で問題となっていた特
性の不均一、ばらつきを解決できる乾燥方法を見出し
た。
【0014】本発明に係るの基本製造方法は、前記基体
表面に塗布された有機感光層塗膜の乾燥において、感光
層塗膜の表面温度は基体の温度よりも常に低い状態で、
また塗膜中の溶剤の沸点より低い温度の雰囲気中で行わ
ることである。このように乾燥が行われれば、塗膜中の
温度分布は基体界面で最高であり、表面で最低となり、
塗膜の硬化は基体界面から始まり、塗膜中の溶剤は硬化
していない塗膜中を容易に通り抜け表面から雰囲気中に
蒸発でき、溶剤は残らない。塗膜の面方向の温度分布に
わずかの不均一が生じていても溶剤は残らず、組成やバ
インダの結合状態の膜の厚さ方向の分布は、少しの温度
不均一によっては、変わらず、従って感光特性の面方向
の不均一やバラツキは生じない。
【0015】このような加熱乾燥方法は、基体が導電性
材料からなり、円筒状であれば、高周波誘導コイルによ
り円筒状基体の円周方向にうず電流を発生させ、ジュー
ル熱により基体自体を発熱させ、基体自体を熱源とし
て、塗膜を乾燥させることにより実現できる。このよう
な高周波誘導加熱によれば基体を支える治具以外は加熱
源となるいかなる物も接触することなく加熱乾燥可能と
なる。
【0016】図1は、本発明の製造装置に係る高周波誘
導加熱乾燥における誘導コイルの温度制御の主要部を示
す模式図である。基体11の回転対称軸(鉛直方向)を
同じく軸とする誘導コイル3の中に塗膜12を円筒面に
塗布された基体11が設置される。基体11は昇降装置
20のチャック21により支持されている。誘導コイル
3は整合器4を介して高周波発振器5に接続されてい
る。誘導コイル3の間から放射温度計6が基体11を覗
くように設置されている。放射温度計6の出力は制御装
置7に入力され、基体11の温度を制御するため誘導コ
イル3に流す電流にフィードバックされる。基体11の
回りの雰囲気は塗膜12中の溶剤の沸点よりも低くされ
ている。
【0017】円筒状基体に誘導される電流はコイルに流
れる交流電流の周波数を適当に選ぶことにより基体の肉
厚部分に有効にうず電流を発生させることができる。円
筒状金属基体ではループ電流が円周方向に沿って一様に
流れるので、シート状の基体とは違い、円周方向に沿っ
ての温度均一性は良い。交流電流の周波数は400Hz〜
250kHz が望ましい。または次式のδにより表される
高周波誘導による誘導電流の侵入深さが0.3〜4mm、
望ましくは円筒状基体の肉厚に等しければ、有効にコイ
ルからのエネルギーがうず電流損として効率良く基体の
加熱に使われる。
【0018】
【数1】δ=(1/πfσμ)1/2 但し f:周波数(Hz)、σ:導電率( S/M)、μ:透
磁率( H/m)。アルミニウム基体の肉厚1mmのときの誘
導コイル3および高周波発振器5に与える入力電力に対
する加熱効率および加熱所要時間を調べた。その結果
を、肉厚1mmの場合を表1に、肉厚4mmの場合を表2に
示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】アルミニウム基体に対しては、誘導する電
源周波数が0.05〜400kHzで電流侵入深さδが
0.1〜5mmであれば加熱が可能であるが、肉厚1mm
の場合は表1より、6.5〜250kHz、肉厚4mmの
場合は表2より、0.4〜250kHzであればさらに
効率がよくなることが判った。また高周波誘導による電
流侵入深さが基体肉厚に等しければ最も良い効率が得ら
れることがわかる。電流侵入深さδより基体肉厚が薄い
場合、無効電力が高くなり、誘導整合回路で電力が消費
されてしまう。アルミは導電率がコイルの材質である銅
に近く理論効率はコイルによるエネルギー( L・i2
2、L: コイルインダクタンス、i: 電流実効値) にた
いして約20%程度で、一般的な変換効率としては低い
が、5〜30 kw 程度の発振器容量で数十秒で数kgのア
ルミニウム基体全体の加熱乾燥温度への到達が可能であ
る。これは従来のオーブン乾燥に比べエネルギーコスト
で20% 、さらに加熱時のみ使用すればよく、ムダにな
るエネルギーが極めて少なくなることが判った。また連
続生産においてもインラインで再現性良く行え、実用的
であることが判った。
【0022】さらに、コイル長より長い基体はコイル内
を鉛直方向に振幅が基体長の昇降運動(揺動)をさせる
ことにより全体を加熱できる。さらに揺動の速度を大き
くすることにより、基体全体に均一にジュール熱の発生
が行える。しかし、熱伝導と空気中への放熱の関係か
ら、基体が水平の場合は基体中央部の温度が端より高く
なり、基体が垂直の場合は上部の温度が下部よりも高く
なる。このため、水平時には、基体中央部を移動させる
ときに速度を比較的早く動かすことにより、また垂直時
には、基体下部で速度を比較的遅く動かすことにより、
簡単に且つ均一な温度管理が行えるようになった。
【0023】基体の温度検出はコイル隙間より放射温度
計を通して非接触で測定、制御可能である。上記のよう
な基体の向きによる温度変動要因に対してはフィードフ
ォワード制御により、予測の出来ない温度変動要因に対
してはフィードバック制御により、基体の揺動速度ある
いは誘導加熱パワーを制御した。コイルに発生する磁界
はコイルに近い程強いため、基体外径がコイル内径に近
い程、効率よく加熱できる。コイルからの距離の誤差か
らくる発熱の差は基体を回転させることにより解消でき
る。また、基体内側の円筒空間の上下開口部を塞いだ
り、基体の周囲を断熱材で囲うことにより温度変動を抑
えることができる。
【0024】誘導電流により発生する磁界はコイル内部
にのみ発生し外部には影響を与えない。また、上記周波
数範囲は人体にも機器に対して問題なく、さらに、発振
機器から100m の距離で20dB以下となるよう遮蔽壁
を設けることにより電波法規上大きな障害とはならな
い。また、コイル全体を樹脂で被覆、電源、整合器をク
リーンルーム外に設置、防爆領域外とすることにより安
全上問題はない。
【0025】なお、気化した溶剤蒸気が膜表面付近に滞
留すると、その部分の乾燥を遅らせ膜特性のバラツキを
生じさせるので、これを避けるため、基体表面に平行に
清浄な低湿度のガス(乾燥空気、窒素ガスなど)を流
し、溶剤蒸気を除去することは必要である。 実施例1 アルミニウムの円筒状基体のサイズは、外径150mm、
内径145mm(肉厚2.5mm)、長さ800mmとした。
誘導コイルの内径は160mmとした。
【0026】円筒状基体において、量産ラインにおける
熱風乾燥装置と本発明の加熱方法(誘導加熱とヒートパ
イプ加熱) での加熱立ち上がり時間、乾燥所要時間、エ
ネルギー効率を実験により調査した。電荷発生層はフタ
ロシアニン系顔料の分散した塩化ビニル系樹脂バインダ
とし、これらを塩素系溶剤に混合した塗液を用い、厚さ
0.5μm に塗布した。電荷輸送層はヒドラゾンまたは
ブタジエンの分散したポリカーボネート樹脂とし、これ
らを塩素系溶剤に混合した塗液を用い、厚さ35μm に
塗布した。希釈溶剤はジクロロメタンを用いている。
【0027】電荷発生層の加熱温度は60℃、電荷輸送
層の加熱設定温度は100℃とした。乾燥完了の見極め
は重量─示差熱分析装置により膜分析を行い、残留溶剤
および膜の硬化を確認した。作製した感光体について
は、感光体電気特性を計測し、レーザプリンタに装着し
て画像品質の評価を行った。これらの評価から、乾燥の
必要時間を決定した。乾燥立上げ時間は装置の許す限り
短くする様に設定した。膜分析から乾燥・硬化は膜の耐
熱温度を超えない範囲で加熱温度・時間に依存するが、
概算で加熱保持温度が10℃上昇すると時間が半分短縮
可能である。また長時間の乾燥は逆に膜の酸化、劣化を
引き起こすため、必要充分な時間に抑える必要がある。
【0028】比較のため、同じ塗膜を塗布した同じサイ
ズの基体をオーブンによる熱風乾燥して作製した感光体
についても同様の評価を行った。表3は誘導加熱乾燥と
熱風乾燥による乾燥の評価と特性の評価結果である。
【0029】
【表3】
【0030】表3より、誘導加熱乾燥は熱風乾燥に比
べ、いずれの層の場合でも、立上げ時間、保持時間、温
度ばらつきの点で優れていることが判る。加熱温度ムラ
が少なければ、出来るだけ早く温度を上げることにより
加熱時間の短縮が可能であり、表3に示される様に、加
熱ムラの少ない誘導加熱乾燥に効果のあることが判っ
た。
【0031】また、基体側温度を設定温度に保持したと
き、塗布膜側表面の雰囲気温度について条件を求めた。
この結果、雰囲気温度が塗膜に含まれる溶剤の沸点より
低ければ乾燥時間は変わらないが、雰囲気温度が沸点以
上になると溶剤の気化は過激となり、乾燥後の感光層に
微細な凹凸がみられ、これは画像に濃度ムラを生じさせ
た。
【0032】電気特性においても、帯電ムラ、残留電位
ムラ、感度ムラすべてに誘導加熱により作製した感光体
が優れていることはあきらかである。 実施例2 図2は本発明の電子写真感光体の製造装置に係り、特に
引き上げ塗布/乾燥複合装置の主要部を模式的に示す図
である。
【0033】塗液容器8の中の塗液9の液面から300
mmの高さに内径160mm、長さ(高さ)100mmの誘導
コイル3を設けた。液面高さは液面コントローラにより
オーバーフローを制御した。昇降装置20はそれぞれ所
定速度の降下および引き上げができる。アンダーコート
層、電荷発生層および電荷輸送層の塗液毎にそれぞれ装
置を作製し、用いた。
【0034】1例として、基体11は外径150mm、内
径145mm、肉厚2.5mm、長さ800mmとし、実施例
1と同じ塗液を用いた。アンダーコート層と電荷発生層
の塗布・乾燥の場合は、誘導コイル3には周波数20kH
z の交流電流を流し、基体の温度を40℃となるよう制
御し、引き上げ速度は8mm/sとした。電荷輸送層の塗布
・乾燥の場合は、基体の温度を90℃とし、引き上げ速
度は3mm/sとした。引き上げ速度は塗液の粘性と塗膜の
設計膜厚と基体の導電率と肉厚から決まる。
【0035】乾燥は基体11の下端から一定速度で行わ
れ、全体が同時に乾燥されるのではないが、塗布後の時
間経過は全ての部分で同じ経過をたどるので、アンダー
コート層および感光層にムラは生じなかった。従って、
感光特性は均一であった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、感光体基体表面に塗布
された有機感光層塗膜の乾燥を、塗膜中の溶剤の沸点よ
り低い温度の雰囲気中で、感光層塗膜の表面温度は基体
の温度よりも常に低い状態で行うため、塗膜の硬化は基
体側から表面側に向かって進み、表面側が先に硬化する
ことはなく、溶剤が塗膜中に残留することはない。従っ
て、感光特性は均一となる。
【0037】特に円筒状基体に対しては、材質、直径、
肉厚、長さに関わらず、高周波誘導加熱は基体自体が熱
源となるために上記の温度プロフィルを確実に実現でき
る。また、高周波誘導加熱は誘導コイルに流す電流の周
波数と、電流値を変更するだけで加熱条件を変えること
ができ、異なる感光体に容易に対応した加熱条件を予め
定めておけば、瞬時にその条件を実施できる。従って、
多品種を同じ製造装置で時間の損失無く製造することに
適しており、低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置に係る高周波誘導加熱乾燥の
ための温度制御の主要部を示すの模式図
【図2】本発明の製造装置に係る引き上げ塗布/乾燥の
主要部を示す模式図
【符号の説明】
11 基体 12 塗膜 20 昇降装置 21 チャック 3 誘導コイル 4 整合器 5 高周波発振器 6 放射温度計 7 制御装置 8 塗液容器 8a 液面コントローラ 9 塗液

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に有機感光層を塗布、感想さ
    せる電子写真有機感光体の製造方法に関するもので、前
    記基体表面に塗布された有機感光層塗膜の乾燥におい
    て、感光層塗膜の表面温度は基体の温度よりも常に低い
    状態であり、塗膜中の溶剤の沸点より低い温度の雰囲気
    中で行われることを特徴とする電子写真有機感光体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の電子写真有機感光体製造
    方法において、前記乾燥は、前記基体を囲って捲かれた
    コイルに流される高周波電流による高周波誘導加熱によ
    る前記基体の加熱によってなされることを特徴とする電
    子写真有機感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の電子写真有機感光体製造
    方法において、前記乾燥は、前記基体への誘導電流の侵
    入深さが前記基体の厚さに略等しい状態で行われること
    を特徴とする電子写真有機感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2または3に記載の電子写真有機感
    光体製造方法において、乾燥中は、円筒状の基体をその
    中心軸に沿って前記コイルとは相対揺動運動させ、また
    前記基体をその中心軸を回転軸として回転させることを
    特徴とする電子写真有機感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項2ないし4に記載の電子写真有機感
    光体製造方法において、前記基体は気体の供給口および
    排気口を備えた容器内に置かれ、換気されながら前記乾
    燥が行われることを特徴とする電子写真有機感光体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】請求項2ないし5に記載の電子写真有機感
    光体製造方法に用いる電子写真有機感光体製造装置にお
    いて、前記基体の塗膜側に対向し、コイルの間に設置さ
    れた放射温度計の温度出力を、前記コイルの電流にフィ
    ードバックすることにより前記基体の温度を所定の値に
    制御する温度制御機構を備えたことを特徴とする電子写
    真有機感光体の製造装置。
  7. 【請求項7】請求項2ないし6に記載の電子写真有機感
    光体製造方法に用いる電子写真有機感光体製造装置にお
    いて、前記装置は、感光層塗液を保有する塗液容器、塗
    液自由表面の上方に設けられた高周波誘導コイルおよび
    基体の鉛直方向の引き上げ機構および引き上げ速度の制
    御装置とを有し、基体の塗液への浸漬、引き上げ塗布お
    よび高周波誘導加熱乾燥とを、連続して実施する機構を
    備えたことを特徴とする電子写真有機感光体の製造装
    置。
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