JP3556353B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、円筒状基体の外周面に、有機材料を主要成分とする少なくとも電荷発生層,電荷輸送層を順次塗布形成してなる電子写真感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、カールソンが米国特許第2297691号に明らかにしたように、物質の光導電性と静電現象とを巧妙に組み合わせたものであり、光導電性の感光体を暗所でコロナ放電などにより表面を一様に帯電し、画像露光して感光体表面に画像の静電潜像に形成し、この静電潜像に着色した電荷粉体(トナー)を付着させて可視像に変え、この可視像を紙などの支持体上に転写し定着させることによりコピー画像を得る画像形成法の一種である。現在では、この電子写真法はコピーを取るための複写機やコンピューターなどの出力装置であるレーザービームプリンターなどに広く応用されている。
【0003】
このような感光体の特性としては、電気特性としては、暗所で表面電荷を保持し、画像露光時には速やかに電荷キャリアの発生と輸送がなされて表面電荷が消失して良好な静電潜像が形成されることが要求され、画像特性としては、部分的な黒点や白点,広い部分に薄くトナーが付着するカブリ,濃度ムラやメモリーなどが発生しないことが要求される。
【0004】
このような感光体としては、従来、光導電性材料としてセレン,セレン/テルル合金,セレン/ヒ素合金,硫化カドミウム,酸化亜鉛などの無機材料を用いた無機系感光体が広く使用されていたが、近年、有機系光導電性材料の研究が進み、可とう性,製造の容易性,分光感度の多様性,無公害性などの多くの長所を活かして種々の有機系感光体が開発され実用に供されている。
【0005】
有機系感光体はその層構成から単層型感光体と機能分離(積層)型感光体とに大別される。単層型感光体は光導電層が一層であるが、光導電層を形成する素材で性能が優れたものがまだ見出されてないので一般的ではなく、機能分離(積層)型感光体が現在の有機感光体の主流を占めている。
機能分離型感光体の層構成は少なくとも電荷発生層と電荷輸送層との積層からなる。これらの各層は、それぞれの層を構成する有機系光導電性材料を結着剤とともに有機溶剤に溶解または分散させて塗布液として調製し、この塗布液を基体の上に順次塗布,乾燥することにより形成される。塗布方法としては、スプレー法,バーコート法,ロールコート法,ブレードコート法,リングコート法,キスコート法,浸漬法などが挙げられる。このようにして形成される層に膜厚ムラや膜成分ムラがあると電気的に感度ムラや帯電ムラが生じ、得られる画像に黒点や白点,あるいは濃度ムラ,カブリなどの欠陥が発生するので、膜厚均一で均質な層を形成することが重要である。
【0006】
なかでも、電荷発生層は、一般的には、その膜厚が薄い方が感光体としての電気特性が良くなることが知られており、通常、5μm以下の薄膜とされる。その理由は、膜厚を厚くすると、電荷発生層では電荷キャリアの輸送能力が小さいために、受光して発生した電荷キャリアが層内を移動しにくく、感光体としての感度の低下や残留電位の上昇が生じ、また、繰り返し使用時の電気特性の悪化や変動などの問題が生じ、さらに、電荷発生材に基づく熱励起キャリアの量が多くなり、感光体の電位保持能が低下するなどの問題が生じるからである。従って、現実的には電荷発生層の膜厚は0.5μm以下の薄膜とされる。ところが、膜厚が薄くなればなるほど塗布ムラが発生し易くなり、また、凝集した電荷発生材に基づく膜中での微細な部分での膜質のムラが発生して問題となる。
【0007】
上述の塗布方法のうち、浸漬法は被塗布物を塗布液に浸漬した後、被塗布物を塗布液より引き上げることにより被塗布物表面に塗布液を付着させて湿潤膜を形成し、続いてこの湿潤膜から溶剤を揮発乾燥させることにより皮膜を形成する方法であり、比較的簡単に均一な膜厚の皮膜を得ることができ生産性に優れているため、感光体の製造に多く利用されている。
【0008】
浸漬法により湿潤塗布膜を形成する場合、膜厚を決める要因として塗布速度(引き上げ速度),塗布液の比重,塗布液粘度,被塗布物表面と塗布液の接触角が実験的に知られており、湿潤塗布膜膜厚hは下記式で表される。
【0009】
【数1】
h=K(ηv/ρgsinα)
[式中、v:塗布速度;ρ:塗布液比重;η:塗布液粘度;g:重力加速度;α:接触角;K:定数;n:乗数]
しかし、特に、電荷発生層のような有機の電荷発生材が薄膜中に分散している塗布膜を形成する場合には、上記のパラメーターを充分に管理しても、要求される膜厚の均一性および膜中の電荷発生材の均一な分散状態を得ることは非常に難しいことが知られている。この原因の一つとしては以下のことが考えられる。すなわち、前記の式からも判るように、膜厚の薄い塗布膜を形成するためには塗布速度を遅くするか塗布液粘度を下げることが必要である。しかし、塗布速度を遅くするためには装置の精度を高めることが必要であり、装置が高価となるのみらず、生産性の点からも好ましくない。一方、塗布液の粘度を低くするためには、塗布液中に分散している電荷発生材量に対する分散溶剤量を多くして分散溶剤の比率を高くすればよいが、分散溶剤の比率が高くなると湿潤塗布膜はタレ,タワミなどを起こし易くなり、塗布ムラが生じる。また、このような濃度の希薄な分散液においては、分散安定性が低下し分散粒子が凝集し易くなることから、塗布液中の電荷発生材の分散状態が不均一となり、形成される塗布膜中の電荷発生材の分布状態が不均一となる。さらに、生産性を高める目的で、分散溶剤として比較的沸点が低く蒸気圧が高い溶剤を用いる場合には、塗布膜膜厚を薄くすればするほど塗布ムラの程度がひどくなるという問題点がある。
【0010】
このような浸漬法による塗布ムラを無くす方法として、特開平3−20749号公報では、単位面積当たりの熱容量をCcal/cm・℃とし、かつ、材質の熱伝導率をρcal/cm・sec・℃としたとき、C/ρが0.250以下である円筒状基体を有機顔料粒子を分散した塗布液中に浸漬し引き上げて塗布した後乾燥することによって、膜厚5μm以下の電荷発生層を形成する方法が開示されている。また、特開平5−197170号公報では、円筒状導電性基体表面に電荷発生層を浸漬塗布形成する際に、塗布液面上に基体の外径よりもわずかに大きい径の孔を有するドーナツ状円板を具備する塗布槽、または、塗布液面の位置の内壁に環状凹部を具備する塗布槽に基体を浸漬することによって、オーバーフローの際の塗布液の流れを良くし、スジ状の塗布ムラを無くす方法が開示されている。また、特開平6−123989号公報では、塗布槽上部に塗布液の成分である溶剤の溜を設けるか、または、別の溶剤溜から溶剤蒸気の供給通路を塗布槽上部に連通させることにより、塗布液自身からの溶剤の蒸発を抑制し、塗布液粘度の変化を阻止することによって塗布ムラを無くす方法が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基体のC/ρを0.250以下とする方法では、例えば、現在多用されているアルミニウム系材料からなる円筒状基体の場合には、肉厚を約2.4mm以下と薄くすることが必要となる。このように肉厚が薄くなると、基体の総熱容量が小さくなるために、電荷発生層の湿潤塗布膜の乾燥速度が環境温度の変化に追随して極めて敏感に変動する。このために、塗布膜表面に当てられる輻射熱のバラツキや対流による塗布膜表面近傍の空気の流れなどに影響されて乾燥速度が局所的に微妙に変化して乾燥ムラが生じ、電荷発生層に塗布ムラが生じて、感光体に電位ムラが発生し易くなる。このような欠点を防ぐためには、、円筒状基体表面に対して円周方向に沿って輻射熱および空気の対流が均一になるようにすることが必要となり、基体の周辺を基体を中心として完全に対称にする必要がある。しかしながら、例えば、個々の基体毎に乾燥室を円筒状とすることは、生産性の面で問題があり、装置も複雑となって経済的にも高くなる。また、肉厚がこのように薄くなると、基体の機械的強度が弱くなるという欠点が生じ、特に、感光体への帯電方式がローラーでの接触帯電方式である場合には、基体への強い応力に耐えるように基体を内面から補強する手段を採らなければならなくなるという問題も生じる。
【0012】
また、塗布液面上に基体の外径よりもわずかに大きい径の孔を有するドーナツ状円板を具備する塗布槽、または、塗布液面の位置の内壁に環状凹部を具備する塗布槽を用いる方法は、すじ状の塗布ムラをなくすことはできるが、塗布ムラにはリング状のムラやその他のすじ状でないムラがあり、全ての塗布ムラの発生を防ぐことはできない。さらに、この方法においては、ドーナツ状円板の加工精度を良くしなければならず、また、ドーナツ状円板の中心を円筒状基体の中心軸と一致させなければならないという問題もある。また、基体を塗布液に浸漬し引き上げ終わるまでブレないように鉛直に上下させなければならない。従って、このような塗工装置は非常に高価なものとなり、工業的には実用的でない。
【0013】
また、塗布槽上部に塗布液の成分である溶剤の溜を設けるか、または、別の溶剤溜から溶剤蒸気の供給通路を塗布槽上部に連通させる方法は、塗布装置が複雑になるという問題があり、さらに、塗布膜からの溶剤の蒸発が抑制されることにより、塗布膜の一部にタレやタワミが発生して膜が不均一となる現象が発生する傾向がある。
【0014】
上述のように、従来の技術では、円筒状基体上に薄膜の電荷発生層を塗布膜として浸漬法で形成する場合、塗布ムラをなくし、かつ、湿潤塗布膜を均一に乾燥して、膜厚均一で均質な膜を形成することは難しい。
この発明は、上述の点に鑑みてなされたものであって、円筒状基体上に薄膜の電荷発生層を膜厚均一に均質に浸漬法で塗布形成し、濃度ムラや微小黒点,白点のない良好な画像の得られる電子写真感光体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、この発明によれば、円筒状基体の外周面に有機材料を主要材料とする少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷発生層塗布液に前記基体を浸漬して湿潤塗布膜を形成する時に、塗布槽上部に塗布液上面に近接して前記基体外周面をほぼ均等な間隔をおいて取り巻く塗工補助治具を付設された塗布装置を用い、塗布液浸漬後の湿潤塗布膜の形成された基体を前記塗工補助治具内を通過するように引き上げることによって解決される。
【0016】
ここで塗工補助治具としては、基体の外径より僅かに大きい内径を有し、かつ、筒壁に均等の間隔で開けられた同一面積、同一形状の通気孔を有する円筒状治具,基体の外径より僅かに大きい内径を有する複数のドーナツ状円板をそれぞれの中心軸が同軸となるように隙間を均等に開けて平行に積み重ねて配列した治具,線状物体を基体の外径より僅かに大きい内径を有する円筒状に、ピッチが常に一定になるようにスパイラルに巻いた治具,または、小径側縁部の内径が基体の外径より僅かに大きい複数の円錐台状の筒を、小径側を上にし、かつ、それぞれの中心軸が同軸となるように隙間を均等に開けて積み重ねて配列した治具が用いられる。
【0017】
塗布直後の湿潤塗布膜を有する基体を、このような塗工補助治具内を通過させることにより、治具外からの不均一な輻射熱の影響を除くことができ、基体は円周に沿って均一な輻射熱を受けて湿潤塗布膜中の溶剤は均一に蒸発し、蒸発した溶剤蒸気の流れは治具外部の対流の影響を受けて乱されることなく均等に外部に流れ出る。その結果、電荷発生層のような薄膜でも膜厚均一で均質な塗布膜として形成することができる。
【0018】
図1は、この発明に係わる浸漬塗布装置の要部を説明する斜視図で、塗布槽1の上縁からオーバーフローしている塗布液2の上面に近接して前述のような塗工補助治具3が付設されており、円筒状基体4はこの塗工補助治具3を通って塗布液2に浸漬され引き上げられる。
この場合、基体外周面に形成された湿潤塗布膜中の溶剤は塗工補助治具内を通過中に蒸発するが、塗工補助治具を通過して外部へ出る時点では、塗布膜に残存している溶剤は10重量%以下となるまで蒸発していることが望ましい。
【0019】
塗布直後の湿潤塗布膜を有する基体を、このような塗工補助治具内を通過させて、塗布膜中の溶剤を90重量%以上蒸発させることにより塗布膜は安定するので、その後の塗布膜の乾燥は基体にあたる輻射熱のバラツキなどをあまり厳格に考慮することは必要でなくなる。
ところが、上述のような塗工補助治具を付設した浸漬塗布装置を用いて電荷発生層を塗布形成した感光体でも実用上電位ムラや画像不良が問題となる場合がある。この問題について、鋭意検討を行った結果、本発明者らは円筒状基体に浸漬法で電荷発生層を塗布形成する際、塗布槽から基体を引き上げる時に、湿潤塗布膜から蒸発していく溶剤蒸気と膜中の電荷発生材である有機顔料との間の静電気力により、湿潤塗布膜中の有機顔料の分散状態が乱されるためであることを見出した。
【0020】
電荷発生材としての有機顔料を溶剤に分散すると、顔料粒子は電荷を有するようになる。顔料粒子の電荷の符号は、顔料粒子と溶剤とのフェルミ準位の相対的位置によって決まり、電荷量は両者のフェルミ準位のエネルギー差で決まるが、溶剤が蒸発していく場合には、その溶剤の蒸発速度にも左右される。
このような現象を避けるためには、両者間の静電気力をなくすればよい。そのためには、塗工補助治具に電圧を印加して蒸発する溶剤蒸気の電荷を中和するとよい。塗工補助治具の形状と材質によっては電流を流してもよい。または、塗布液に浸漬し引き上げて塗布膜を形成する基体を接地して、湿潤塗布膜中の顔料粒子の電荷を除去するとよい。また、基体に電場をかけることにより、蒸発する溶剤蒸気の電荷の塗布膜への影響をなくすとよい。塗工補助治具あるいは基体に印加する電場の極性や強さは、有機顔料や溶剤の種類および溶剤の蒸発速度により適切に決めることが必要である。
【0021】
このような手段を採ることにより実用上充分均質な電荷発生層を塗布形成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、導電性の円筒状基体の外周面に少なくとも電荷発生層,電荷輸送層を順次塗布形成する感光体の製造において、特に塗布ムラのない電荷発生層の塗布形成に好適なこの発明の実施の形態について詳述する。
まず、この発明の製造方法に用いられる浸漬塗布装置の一例を、図2の説明図に示す。塗布槽1と貯留槽10とは連結管11および13で連結されており、塗布液2は貯留槽10の底部から連結管11を通ってポンプ12により塗布槽1の底部に送り込まれ、上部よりオーバーフローして連結管13を通って貯留槽10に還流することにより貯留槽10と塗布槽1との間を循環する。塗布槽1の上部に塗布液2のオーバーフロー面(上面)に近接して塗工補助治具3が配置されている。昇降機19の基体装着部20に円筒状基体4を上端部でセットし、駆動モーター21を作動させて円筒状基体4を塗布槽1に浸漬し、塗工補助治具3を通して鉛直方向に引き上げることにより塗布膜が形成される。14は塗工補助治具3に通電するための電流供給器を示し、15は塗工補助治具3への電圧供給器を示し、16は電圧調整用のボリュームを示す。また、17は円筒状基体4への電圧供給器を示し、18は電圧調整用のボリュームを示す。
【0023】
この発明の要点は、使用する浸漬塗布装置に以下に述べる塗工補助治具を付設することにある。
図3は、このような塗工補助治具の具体例の説明図である。
図3(a)は、円筒状基体の外径より僅かに大きい内径の円筒5からなる塗工補助治具3aを示す。塗工補助治具3a内を通過する湿潤塗布膜を有する基体は周囲の円筒壁から均等に輻射熱を受けることになる。また、湿潤塗布膜から蒸発した溶剤蒸気の流れは筒壁により外部の対流の影響を受けることなく乱れは生じない。溶剤蒸気は治具上面からも外部に出るが大部分筒壁に均等に設けられた通気孔6より外部に出ていく。通気孔6の径があまり大きいと治具外の対流が基体と治具の間の溶剤蒸気の流れに影響を及ぼすようになり、孔の径が小さすぎると溶剤蒸気が治具外に出にくくなり、湿潤塗布膜からの溶剤の蒸発速度が遅くなり塗膜のタレやタワミを生じ易くなる。これらの点を考慮すると、孔の径は2mm以下が好ましい。好ましい孔の径と数の範囲を示すと、30メッシュ〜200メッシュの金網に相当するものが好ましい。この治具の製作にあたっては、円筒に孔を開けてもよく、上記のような金網を円筒状に加工してもよい。また、孔の形状は円または多角形でもよく、特に限定されるものではない。
【0024】
図3(b)は、複数枚のドーナツ状円板7を隙間hを空けて積み重ねた塗工補助治具3bを示す。この場合、積み重ねた円板の内径を結んで形成される架空の形状は円筒内壁に相当すると考えられ、前述の塗工補助治具3aの場合と同様の効果が得られる。湿潤塗布膜から蒸発した溶剤蒸気は隙間から外部に出ていくが、外部の対流の影響を避けるためには隙間hは3mm以下が望ましい。
【0025】
図3(c)は、線状物体8,例えば,クロムステンレス鋼線などを円筒状にスパイラルに巻いて形成された塗工補助治具3cを示す。この治具の利点は、湿潤塗布膜からの蒸発した溶剤蒸気はスパイラルの隙間から外部に出ていくので、溶剤蒸気の流れがスパイラルになり流れ易く、基体の円周方向の温度分布が均一化され、湿潤塗布膜からの溶剤の蒸発がより均一になり、塗布膜の均一性,均質性が向上する点にある。この治具は線または幅の狭い板をスパイラルに巻いたものでスプリングに似た形状である。溶剤蒸気の外部への出口の総面積は、スパイラルに巻かれて形成されている架空の円筒の表面積の1/2以下であることが望ましい。スパイラルに巻かれた形状のピッチは特に規定されるものではない。
【0026】
図3(d)は、小径側縁部の内径が基体の外径より僅かに大きい円錐台状筒9の複数個を、小径側を上にし、かつ、それぞれの中心軸が同軸となるように隙間lを開けて積み重ねて配列した塗工補助治具3dを示す。この治具の利点は、積み重ねた状態で上に位置する円錐台状筒の下部の大径側縁部が、下に位置する円錐台状筒の上部の小径側縁部よりも下にくるように隙間lを選ぶことにより、治具内部にある基体にあたる外部からの輻射熱のうち直角にあたる成分が遮断されるので、その分輻射熱による基体の温度の不均一性が改善され、より膜厚均一で均質な塗布膜が得られることになる点である。さらに、湿潤塗布膜より蒸発した溶剤蒸気が再度凝縮して液体となった場合、その液体は円錐状壁に沿って流れ、容易に除去されるという利点もある。
【0027】
次に、この発明に係わる感光体について詳述する。
この発明における円筒状基体としては、材質的には導電性が付与された材料であればよく、例えば、アルミニウム,バナジウム,ニッケル,銅,亜鉛,パラジウム,インジウム,錫,白金,ステンレス鋼,クロム,真鍮などから作られた金属ドラムや導電性プラスチックからなるドラム,あるいは導電性材料を分散させたプラスチックからなるドラムなどが用いられる。
【0028】
このような基体上には、必要に応じて、基体から感光層への電荷キャリアの注入の防止や感光層の接着性の向上などの目的で、ブロッキング層あるいは下引き層と呼ばれる層が設けられる。このような層としては、アルミニウムを陽極酸化処理して得られるアルマイト層,ポリアミド(ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン610,共重合ナイロン,アルコキシメチル化ナイロンなど),カゼイン,ポリビニルアルコール,エチレン−アクリル酸共重合体,ゼラチン,ポリビニルブチラールなどの皮膜形成性高分子樹脂、または、金属酸化物(酸化亜鉛,酸化チタン,酸化アルミニウムなど),窒化珪素,炭化珪素やカーボンブラックなどの導電性もしくは半導電性もしくは誘電性の粒子を分散した樹脂などからなる層が挙げられる。ブロッキング層あるいは下引き層を樹脂を主成分とする材料で形成する場合には、上述のような材料を溶解,分散した塗布液を塗布,乾燥することにより形成される。塗布装置としては、この発明の浸漬塗布装置を用いてもよく、また、その他の従来より公知の塗布方法の塗布装置を用いてもよい。
【0029】
電荷発生層は、電荷発生材を適当な結着剤とともに有機溶剤に分散,溶解した塗布液をこの発明の浸漬塗布装置を用いて塗布形成される。電荷発生材としては、光を吸収して電荷キャリアを発生する材料であればよく、光波長領域に応じて適切な材料を選んで用いることができる。好ましい材料としては、ピリリウム系化合物,チオピリリウム系化合物,トリアリールメタン系化合物,チアジン系化合物,アニン系化合物,フタロシアニン系化合物,インジゴ系化合物,チオインジゴ系化合物,キナクリドン系化合物,ペリレン系化合物,ペリノン系化合物,アズレニウム塩系化合物,スクアリウム塩系化合物,ピロロピロール系化合物,スクアリック酸系化合物,アゾ系化合物(スーダンレッド,ダイアンブルー,ジナスグリーンBなど),多環キノン系化合物(アルゴールイエロー,ピレンキノン,インダンスレンブリリアントバイオレットRRPなど)などが挙げられる。これらの材料は、単独で、あるいは二種以上組み合わせて混合して用いることができる。また、これらの材料の結晶型に多形が存在するときには、電荷発生機能を向上させるものであればいずれでもよい。
【0030】
電荷発生層の結着剤としては、広範なフィルム形成性絶縁性樹脂から選択できる。好ましい結着剤としては、フェノール樹脂,ポリエステル樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリペプチド樹脂,セルロース系樹脂,ポリビニルピロリドン,ポリエチレンオキサイド,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリビニルアセテート,スチレン−ブタジエン共重合体,塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体,シリコン−アルキッド樹脂,フェノール−ホルムアルデヒド樹脂,スチレン−アルキッド樹脂,ポリビニルアルコール,アクリル系共重合体樹脂,メタクリル系共重合体樹脂,シリコーン樹脂,メタアクリロニトリル共重合樹脂,ポリビニルブチラールなどが挙げられる。これらの高分子結着剤は、単独で、あるいは二種以上組み合わせて混合して用いることができる。結着剤の含有量は80重量%以下,より好ましくは,40重量%以下である。
【0031】
電荷発生層の塗布液に用いる有機溶剤としては、メタノール,エタノール,イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン,ジオキサン,エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム,塩化メチレン,ジクロロエチレン,四塩化炭素,トリクロロエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン,トルエン,キシレン,リグロイン,モノクロロベンゼン,ジクロロベンゼンなどの芳香族類が挙げられる。電荷発生層の膜厚は5μm以下,より好ましくは0.01μm〜1μmの薄膜とされる。
【0032】
電荷輸送層は、電荷発生層で発生し注入されてくる電荷キャリアを輸送する能力を有する電荷輸送材と結着剤を、さらに必要に応じて、公知のレベリング材,可塑材,増感材などを加えて、有機溶剤に溶解,分散した塗布液を塗布して形成される。電荷輸送材としては、従来より知られている種々の材料を用いることができる。例えば、米国特許第4150987号明細書,米国特許第4278747号明細書,西ドイツ国公開明細書第2939483号,英国特許公開明細書第2034493号,ヨーロッパ特許公開明細書第13172号などに記載されているようなヒドラゾン系化合物、特開昭49−105536号公報に記載されているようなピラゾリン系化合物、特開昭54−112637号公報に記載されているようなオキサジアゾール系化合物、特開昭50−31773号公報に参照されているようなスチリル化合物、米国特許第3567450号明細書,特公昭49−35702号公報,西ドイツ国特許明細書第1110518号,米国特許第3180703号明細書,米国特許第3240597号明細書,米国特許第3658520号明細書,米国特許第4232103号明細書,米国特許第4175961号明細書,米国特許第4012376号明細書,特開昭55−144250号公報,特開昭56−119132号公報,特公昭39−27577号公報に記載されているようなアリールアミン化合物、米国特許第3542546号明細書に記載されているようなオキサゾール系化合物、米国特許第3180729号明細書,特開昭49−105536号公報に記載されているようなピラゾリン,ヒドラゾロン系化合物、米国特許第3615402号明細書,米国特許第3820989号明細書,米国特許第3542544号明細書,特公昭45−555号公報,特公昭51−10983号公報に記載さているようなポリアリールアルカン系化合物、特公昭34−10966号公報に記載さているようなポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、特開昭50−85337号公報に記載されているようなN−アクリルアミドメチルカルバゾールの重合体、特開昭50−93432号公報に記載されているような6−ビニルインドロ(2,3−6)キノキリンポリマー、特公昭43−18674号公報,特公昭43−19192号公報に記載されているようなビニル重合体、特開昭56−90883号公報,特開昭56−161550号公報に記載されているようなトリフェニルメタンポリマー、特公昭43−19193号公報に記載されているようなスチレン系共重合体,ポリアセナフテン,ポリインデン,アセナフチレンとスチレンの共重合体、特公昭56−13940号公報に記載されているようなホルムアルデヒド系縮合樹脂などを挙げることができる。これらの電荷輸送材はそれ自体皮膜形成能を有する場合には結着剤を併用しなくてもよい。電荷輸送層の膜厚は、5μm〜40μmとされる。電荷輸送層はこの発明の浸漬塗布装置で塗布形成することは必ずしも必要ではなく、公知の通常の浸漬塗布装置、あるいは、その他の方法,例えば,スプレーコーター,ワイヤバーコーター,アプリケーター,ドクターブレード,ローラーコーター,カーテンコーター,ビードコーターなどの塗布装置を用いて塗布してもよい。
【0033】
【実施例】
以下、この発明の具体的な実施例について説明するが、この発明はこれに限定されるものではない。
温湿度調節装置および除塵装置が付設され、円筒状の基体がベルトコンベアで搬入搬出される機構を有する直方体形状のトンネル型無塵室内にこの発明に係わる浸漬塗布装置を配置して感光体層を塗布する。トンネル型無塵室内には、温湿度調節装置および除塵装置により温湿度が調整され除塵された空気が、天井側から吹き出し床側より排出される。無塵室内への空気の吹き出し,排出を止めた状態で、浸漬塗布装置の円筒状基体の周囲の気体の流れを線香の煙で観察した。浸漬塗布装置の駆動部が停止している状態では煙は比較的安定した層流状態で流れた。次に、実際の浸漬塗布時に準じて浸漬塗布装置の駆動部を動かすと、煙の流れに乱れが生じた。さらに、無塵室への空気の吹き出し,排出を行うと、当然のことながら、著しく煙の流れが乱れた。また、浸漬塗布装置の円筒状基体の周囲で黒体で輻射熱の測定を行ったところ、0.1度のバラツキが認められた。実際の感光体製造に際しては、無塵室内に空気を流しながら、ベルトコンベアで基体を搬送しながら、塗布が行われるから、輻射熱,空気の対流,駆動機構,温湿度調節装置,除塵装置などが複雑に影響し、輻射熱のバラツキ,空気の対流の乱れが存在する雰囲気で塗布が行われていることになる。
【0034】
実施例1
基体として、下記表1に示すような材質,寸法,表面性状の8種類の円筒状基体を用いる。
【0035】
【表1】
Figure 0003556353
【0036】
これらの基体表面を清浄化した後、温湿度調節装置および除塵装置により温湿度が調整され除塵された空気が流されている上述のようなトンネル型無塵室にベルトコンベアで搬入し、無塵室内に配置されたこの発明に係わる浸漬塗布装置で塗工補助治具として図3(a)に示したような円筒状治具を用いた装置に装着し、塗布槽中のX型無金属フタロシアニン1重量部,ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製;SLEC−BM2)1重量部,ジクロロメタン98重量部からなる分散液に浸漬した後、10mm/秒の速さで鉛直方向に引き上げて塗布膜を塗布形成する。基体に塗布された湿潤塗布膜中の溶剤は、塗工補助治具の上端部を通過する時点で膜中の残留溶剤が10重量%以下となるまでに蒸発した。その後、ベルトコンベアに載せて無塵室内を搬送中に塗布膜は乾燥して膜厚0.1μmの電荷発生層が形成された。続いて、この電荷発生層上に、電荷発生層の場合と同様にして、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン10重量部,ジクロロメタン10重量部からなる塗布液を塗布し、乾燥膜厚が20μmの電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
【0037】
比較のために、同様の種類の基体上に塗工補助治具を用いない浸漬塗布装置で各層を塗布形成して感光体を作製した。
これらの感光体について、感光体電気特性が測定できるように改造した複写機に搭載し、感光体を回転駆動させながら、印加電圧−6kVのコロナ帯電器で感光体表面を帯電して暗部電位を測定し、次いで露光して明部電位を測定して電位ムラを評価した。電位ムラは、明部電位について円筒状の基体の長手方向の平均値を出し、この平均値と最大値との差および最小値との差を出す。また、明部電位について円筒状の基体の円周方向の平均値を出し、この平均値と最大値との差および最小値との差を出し、暗部電位についても、同様に、長手方向の平均値と最大値との差および最小値との差,円周方向の平均値と最大値との差および最小値との差を出し、これらの差のうちの最も大きい値をもってその感光体の電位ムラとする。さらに、複写機で画像出しを行って、得られた画像の画像濃度、画像欠陥を代表するものとして微小黒点を、反射型色濃度計およびコロニーカウンター装置により数値化して把握し、画像濃度ムラおよび微小黒点数を評価した。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0003556353
【0039】
表2に見られるように、円筒状の塗工補助治具を使用して作製した感光体は、基体の材質,肉厚,表面処理の違いに左右されることなく、電位ムラ,画像濃度ムラ,画像の微小黒点数ともに、塗工補助治具を使用しなかった感光体に比して良好であった。塗工補助治具を使用したことにより、特に、薄膜の電荷発生層が膜厚均一に均質に形成されたためと考えられる。
【0040】
実施例2
実施例1において、浸漬塗布装置の塗工補助治具を図3(a)に示した円筒状治具から図3(c)に示したようなクロムステンレス鋼線からなる円筒状スパイラル治具に代え、電荷発生層塗布時に円筒状スパイラル治具に30V印加して電流を流したこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0041】
また、比較のために治具に電流を流さずに電荷発生層を塗布した感光体を作製した。
これらの感光体について、実施例1に準じて電位ムラ,画像濃度ムラ,微小黒点数を評価した。その結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0003556353
【0043】
表3に見られるように、円筒状スパイラル治具を使用して作製した感光体は、基体の材質,肉厚,表面処理の違いに左右されることなく、電位ムラ,画像濃度ムラ,画像の微小黒点数ともに少なく良好である。さらに、電荷発生層塗布時に塗工補助治具に電流を流して作製した感光体は、電流を流さずに作製した感光体に比して、電位ムラ,画像濃度ムラがさらに少なくなり、画像の微小黒点数も減少する傾向が見られる。塗工補助治具を用いたこと,さらに塗工補助治具に電流を流すことの効果は明らかである。
【0044】
実施例3
実施例1において、浸漬塗布装置の塗工補助治具を図3(a)に示した円筒状治具から図3(d)に示したような円錐台状筒を重ねた治具に代え、電荷発生層塗布液および電荷輸送層塗布液の溶剤をテトラヒドロフランに代え、さらに、電荷発生層塗布時に基体に10Vの電圧を印加したこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0045】
また、比較のために基体に電圧を印加せずに電荷発生層を塗布した感光体を作製した。
これらの感光体について、実施例1に準じて電位ムラ,画像濃度ムラ,微小黒点数を評価した。その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
Figure 0003556353
【0047】
表4に見られるように、円錐台状筒を重ねた塗工補助治具を使用して作製した感光体は、基体の材質,肉厚,表面処理の違いに左右されることなく、電位ムラ,画像濃度ムラ,画像の微小黒点数ともに少なく良好である。さらに、電荷発生層塗布時に基体に電圧を印加すると、電位ムラ,画像濃度ムラがさらに少なくなり、画像の微小黒点数も減少する傾向が見られる。塗工補助治具を用いたこと,さらに基体に電圧を印加することの効果は明らかである。
【0048】
【発明の効果】
この発明によれば、円筒状基体の外周面に有機材料を主要材料とする少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷発生層塗布液に前記基体を浸漬して湿潤塗布膜を形成する時に、塗布槽上部に塗布液上面に近接して前記基体外周面をほぼ均等な間隔をおいて取り巻く塗工補助治具を付設された浸漬塗布装置を用い、塗布液浸漬後の湿潤塗布膜の形成された基体を前記塗工補助治具内を通過するように引き上げる。そして、塗工補助治具として、基体の外径より僅かに大きい内径を有し、かつ、筒壁に均等の間隔で開けられた同一面積、同一形状の通気孔を有する円筒状治具,基体の外径より僅かに大きい内径を有する複数のドーナツ状円板をそれぞれの中心軸が同軸となるように隙間を均等に開けて平行に積み重ねて配列した治具,線状物体を基体の外径より僅かに大きい内径を有する円筒状に、ピッチが常に一定になるようにスパイラルに巻いた治具,または、小径側縁部の内径が基体の外径より僅かに大きい複数の円錐台状の筒を、小径側を上にし、かつ、それぞれの中心軸が同軸となるように隙間を均等に開けて積み重ねて配列した治具を用いることにより、膜厚均一で均質な薄膜の電荷発生層を形成することができ、電位ムラ,画像濃度ムラ,画像欠陥の少ない優れた電子写真感光体を製造することが可能となる。
【0049】
さらに、上記のような浸漬塗布装置を用い、電荷発生層塗布時に、塗工補助治具に電圧を印加することにより、または、基体を接地するか基体に電圧を印加することにより、電荷発生層の均質性がさらに向上し、より優れた感光体を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる浸漬塗布装置の一実施例の要部を説明する斜視図
【図2】この発明に係わる浸漬塗布装置の一実施例の概略断面図
【図3】この発明に係わる塗工補助治具の斜視図で、図3(a),図3(b),図3(c),図3(d)にそれぞれ異なる変形例を示す
【符号の説明】
1 塗布槽
2 塗布液
3a,3b,3c,3d 塗工補助治具
4 円筒状基体
5 円筒
6 通気孔
7 ドーナツ状円板
8 線状物体
9 円錐状筒
10 貯留槽
11,13 連結管
12 ポンプ
14 電流供給器
15,17 電圧供給器
16,18 ボリューム
19 昇降機
20 基体装着部
21 駆動モーター

Claims (8)

  1. 円筒状基体の外周面に有機材料を主要材料とする少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷発生層塗布液に前記基体を浸漬して湿潤塗布膜を形成する時に、塗布槽上部に塗布液上面に近接して前記基体外周面をほぼ均等な間隔をおいて取り巻き、基体の外径より僅かに大きい内径を有する円筒であり、その筒壁に均等の間隔で開けられた同一面積、同一形状の通気孔を有する塗工補助治具を付設された塗布装置を用い、塗布液浸漬後の湿潤塗布膜の形成された基体を前記塗工補助治具内を通過するように引き上げることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 円筒状基体の外周面に有機材料を主要材料とする少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷発生層塗布液に前記基体を浸漬して湿潤塗布膜を形成する時に、塗布槽上部に塗布液上面に近接して前記基体外周面をほぼ均等な間隔をおいて取り巻き、基体の外径より僅かに大きい内径を有する複数のドーナツ状円板をそれぞれの中心軸が同軸となるように隙間を均等に開けて平行に積み重ねて配列した塗工補助治具を付設された塗布装置を用い、塗布液浸漬後の湿潤塗布膜の形成された基体を前記塗工補助治具内を通過するように引き上げることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  3. 円筒状基体の外周面に有機材料を主要材料とする少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷発生層塗布液に前記基体を浸漬して湿潤塗布膜を形成する時に、塗布槽上部に塗布液上面に近接して前記基体外周面をほぼ均等な間隔をおいて取り巻き、線状物体を基体の外径より僅かに大きい内径を有する円筒状に、ピッチが常に一定になるように、スパイラルに巻いた塗工補助治具を付設された塗布装置を用い、塗布液浸漬後の湿潤塗布膜の形成された基体を前記塗工補助治具内を通過するように引き上げることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  4. 円筒状基体の外周面に有機材料を主要材料とする少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷発生層塗布液に前記基体を浸漬して湿潤塗布膜を形成する時に、塗布槽上部に塗布液上面に近接して前記基体外周面をほぼ均等な間隔をおいて取り巻き、小径側の内径が基体の外径より僅かに大きい複数の円錐台状の筒を、小径側を上にし、かつ、それぞれの中心軸が同軸となるように隙間を均等に開けて積み重ねて配列した塗工補助治具を付設された塗布装置を用い、塗布液浸漬後の湿潤塗布膜の形成された基体を前記塗工補助治具内を通過するように引き上げることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  5. 湿潤塗布膜が形成された基体が塗工補助治具を通過して外部へ出る時点で前記塗布膜に残存含有されている溶剤が10重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 塗工補助治具に電場をかけることにより塗工補助治具内で湿潤塗布膜より蒸発する荷電された溶剤蒸気を中和もしくは除去することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 塗布液に浸漬し引き上げて塗布膜を形成する円筒状基体を接地しておくことによりその基体上に塗布された湿潤塗布膜中の荷電された電荷発生材粒子の電荷を除去することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 塗布液に浸漬し引き上げて塗布膜を形成する円筒状基体に電場をかけることにより、塗布膜より蒸発する荷電された溶剤蒸気の塗布膜への影響をなくすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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