JP3930110B2 - 車両のクルーズコントロール装置 - Google Patents

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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両において、電気的に一定速走行、または前走車との車間距離を保って追従走行するクルーズコントロール装置に関し、詳しくは、追従走行時のクルーズコントロール(クルコン)セット車速の更新、ブレーキ操作する際のクルコン作動への自動復帰に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、交通事故の増大傾向に対して車の安全性の飛躍的向上、即ち最初から危険な状態に陷らないように予防安全を図るため、積極的に運転操作をアシストする総合的な運転支援システム、所謂ADAシステム(Active DriveAssist system)が開発されている。このADAシステムは、車両に搭載した前方監視カメラの画像信号により道路状況、障害物、交通環境等を認識して、この画像データにより車両の車線逸脱、追突、障害物との接触等の可能性を予測する。そして予測した場合の運転支援のあり方として、車はあくまで人間が操縦するという考えに基づき、先ず警報を発してドライバに回避操作を促す。警報を発してもドライバが適切に回避操作しない場合は、ブレーキ、スロットルまたはステアリングの運転操作系を安全側に自動的に制御したり、運転操作を一時的に代行するようにアシストすることが提案されている。
【0003】
また、上記ADAシステムによれば、画像データにより前走車の存在、その前走車の速度、前走車との車間距離、相対速度等を検出できるため、常に安全車間距離を保つよう制御して自車両を前走車に追従走行することが可能になる。そこでクルーズコントロール装置にADAシステムを組合せると、前走車が無い場合や前走車が有っても遠い場合は、通常のクルコン制御による一定速走行を行い、前走車が近くに有る場合は安全車間距離を保って追従走行を行うように制御することができる。
【0004】
ところで一般にクルーズコントロール装置は、ブレーキ操作すると、自動的にクルコン作動を解除し、ブレーキ操作による減速中にスロットル開度を逆に増大制御することを防ぐようになっている。このためブレーキ操作後に再び一定速走行する場合には、ドライバがクルコンをON操作することが必要になるが、このブレーキ操作時のクルコン自動解除を追従走行にもそのまま適応すると、以下のような不具合を招く。
【0005】
即ち、一定速走行で前走車に追い着いて追従走行に移行する過程では、スロットル開度が減少して自動的に減速するように制御されるが、このときドライバがブレーキ操作して、早めに追従走行への移行を図ることがある。この場合に、ブレーキ操作によりクルコン作動を解除すると、ドライバの意志に反して追従走行機能も解除することになって好ましくない。またこの場合にはドライバがON操作する必要があって、使いにくくなる。
【0006】
また一定速走行から追従走行に移行した後、前走車が無くなると、再び一定速走行に戻る。このとき一定速走行でのセット車速が高いままの場合は、追従走行から一定速走行に戻る際に極端に加速することがあって、安全性の点で好ましくない。そこでこの種のクルーズコントロール装置は、上述の点を改善することが望まれる。
【0007】
従来、上記追従走行の制御に関しては、例えば特開平4−260836号公報の先行技術がある。この先行技術において、自車と先行車との車間距離に応じ自車速を制御して自動追従走行するものにおいて、自車速の変動が微小な場合は、追従走行をキャンセルして現在の自車速を保持し、ドライバのフィーリング悪化を防ぐことが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記先行技術にあっては、自車速の保持制御であるから、ドライバのブレーキ操作や、追従走行から一定速走行への移行の際の不具合に対処することができない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、一定速走行と追従走行の機能を備えた方式において、不必要な自動解除、急加速等の不具合を防止して自然で実用性の高い車両のクルーズコントロール装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による車両のクルーズコントロール装置は、車速を検出する車速検出手段と、前走車までの車間距離を検出する車間距離検出手段と、車両を加減速する加減速手段と、上記前走車までの車間距離が設定値以上の場合は車速を予め設定するセット車速に保つ一定速モードとし、上記前走車までの車間距離が上記設定値より小さい場合は上記前走車との車間距離を所定に保つ追従モードとし、これらのモードに基づき上記加減速手段により車両の加減速を制御するとともに、上記追従モードが所定時間以上続いた場合は上記セット車速を上記所定時間内の平均車速より高い車速に更新する制御手段とを有するものである。
【0011】
上記請求項1記載の車両のクルーズコントロール装置は、車速検出手段で車速を検出し、車間距離検出手段で前走車までの車間距離を検出する。そして、制御手段は、上記前走車までの車間距離が設定値以上の場合は車速を予め設定するセット車速に保つ一定速モードとし、上記前走車までの車間距離が上記設定値より小さい場合は上記前走車との車間距離を所定に保つ追従モードとし、これらのモードに基づき加減速手段により車両の加減速を制御するとともに、上記追従モードが所定時間以上続いた場合は上記セット車速を上記所定時間内の平均車速より高い車速に更新する。このため、追従モードによる走行から一定速モードによる走行に移行した際の不必要な急加速が防止される。
【0012】
また、請求項2記載の本発明による車両のクルーズコントロール装置は、車速を検出する車速検出手段と、前走車までの車間距離を検出する車間距離検出手段と、ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、ブレーキ圧を検出するブレーキ圧検出手段と、車両を加減速する加減速手段と、上記前走車までの車間距離が設定値以上の場合は車速を予め設定するセット車速に保つ一定速モードとし、上記前走車までの車間距離が上記設定値より小さい場合は上記前走車との車間距離を所定に保つ追従モードとし、これらのモードに基づき上記加減速手段により車両の加減速を制御するとともに、上記追従モードでブレーキ操作を検出した際、ブレーキ操作開始時の車速より低い下限車速を設定し、ブレーキ圧が設定圧以下で、かつ車速が上記下限車速以上の場合、ブレーキ解放時に、ブレーキ操作で解除するクルーズコントロールの作動を復帰させる制御手段とを有するものである。
【0013】
上記請求項2記載の車両のクルーズコントロール装置は、車速検出手段で車速を検出し、車間距離検出手段で前走車までの車間距離を検出し、ブレーキ操作検出手段でブレーキ操作を検出し、ブレーキ圧検出手段でブレーキ圧を検出する。そして、制御手段は、上記前走車までの車間距離が設定値以上の場合は車速を予め設定するセット車速に保つ一定速モードとし、上記前走車までの車間距離が上記設定値より小さい場合は上記前走車との車間距離を所定に保つ追従モードとし、これらのモードに基づき加減速手段により車両の加減速を制御するとともに、上記追従モードでブレーキ操作を検出した際、ブレーキ操作開始時の車速より低い下限車速を設定し、ブレーキ圧が設定圧以下で、かつ車速が上記下限車速以上の場合、ブレーキ解放時に、ブレーキ操作で解除するクルーズコントロールの作動を復帰させる。このため、ドライバの意図しない不必要なクルーズコントロールの自動解除が防止できる。
【0014】
さらに、請求項3記載の本発明による車両のクルーズコントロール装置は、請求項2記載の車両のクルーズコントロール装置において、上記制御手段は、上記追従モードが所定時間以上続いた場合は上記セット車速を上記所定時間内の平均車速より高い車速に更新するもので、ドライバの意図しない不必要なクルーズコントロールの自動解除が防止できるとともに、追従モードによる走行から一定速モードによる走行に移行した際の不必要な急加速が防止される。
【0015】
また、請求項4記載の本発明による車両のクルーズコントロール装置は、請求項1,2,3のいずれか一つに記載の車両のクルーズコントロール装置において、上記車間距離検出手段は、前走車までの車間距離をカメラからの画像信号を所定に処理して検出するもので、カメラを用いるADAシステムと組合せて正確な車間距離を検出する。さらに、請求項5記載の本発明による車両のクルーズコントロール装置は、請求項2記載の車両のクルーズコントロール装置において、上記制御手段は、上記ブレーキ操作開始時の車速に所定の係数を乗算して上記下限車速を設定する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施の形態によるクルーズコントロール装置は、ADAシステムとともに車両に搭載されており、図2において、車両、ADAシステム、クルーズコントロール装置の全体の概略について説明する。
【0017】
先ず、車両1はエンジン2がクラッチ4、変速機5、プロペラ軸6、ディファレンシャル装置7、車軸8等を介し後輪9に連結して走行可能に構成されている。車両1の運転操作系として、アクセルペダル11がエンジン2のスロットル弁3を開閉してエンジン出力を変化するように設けられている。またブレーキ装置12が、ブレーキペダル13の操作でブレーキ圧をブレーキ管路14により前後輪10,9のホイールシリンダ側に導入して制動するように設けられている。更に、ステアリング装置15が、ハンドル16の操作で上記前輪10を操舵するように設けられている。
【0018】
ADAシステム20は、2台のCCDカメラ21が接続された画像認識ユニット22と、ADA制御ユニット23及び警報器(アラーム)24、スロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26、ステアリングアクチュエータ27で主に構成されている。
【0019】
上記2台のCCDカメラ21は車両の前部左右に離間して配置され、車両前方の風景や物体をステレオ式に撮像するようになっている。上記画像認識ユニット22は上記CCDカメラ21の撮像した画像信号をステレオ画像処理して風景や物体の三次元的な位置を算出し、三次元座標の距離分布とその時間的変化から道路形状や前走車等の障害物までの距離や前走車の速度V2及び前走車との車間距離L等を求めるように形成されている。
【0020】
上記ADA制御ユニット23は上記画像認識ユニット22からの距離データや速度データから車線逸脱、追突、障害物との接触等の可能性があるか否かを予測し、これらの危険ありを予測すると上記警報器24で警報を発してドライバにその危険を知らせるように構成されている。
【0021】
またドライバが適切に回避行動しないことを判断すると、上記スロットルアクチュエータ25にスロットル信号を出力し、スロットル弁3を強制的に開閉してエンジン出力を変化する。またブレーキ管路14中の上記ブレーキアクチュエータ26にブレーキ信号を出力し、ブレーキ圧を加減圧して自動ブレーキする。更には、上記ステアリングアクチュエータ27に操舵信号を出力し、自動操舵する。そして上述の車線逸脱、追突等の危険を自動的に回避するようになっている。
【0022】
クルーズコントロール装置30は、上記ADAシステム20と組合わせて構成されており、上記クルーズコントロール装置30は、メインスイッチ31、車速セットスイッチ32、クルコンセットスイッチ100、ブレーキ操作検出手段としてのブレーキスイッチ33、自車両の車速V1を検出する車速検出手段としての車速センサ34、ブレーキ圧Pbを検出するブレーキ圧検出手段としてのブレーキ圧センサ35、これらセンサやスイッチの信号及び上記画像認識ユニット22の画像データからクルコン作動時に後述する走行モード判定結果に従い、表示器44やスロットルアクチュエータ25およびブレーキアクチュエータ26の加減速手段へ制御信号を出力する制御手段としてのクルコンユニット40から主要に構成されている。
【0023】
上記ADAシステム20と兼用される上記CCDカメラ21と上記画像認識ユニット22は前走車までの実車間距離Lを検出する車間距離検出手段として設けられる。
【0024】
図1において、上記クルコンユニット40の機能ブロック図について説明する。
上記クルコンユニット40は、上記車速センサ34の車速V1と上記画像認識ユニット22の画像データが入力する安全車間距離算出部41を有し、自車両の車速V1、前走車の車速V2、前走車の急ブレーキを想定した減速度G2、クルコンの発生する最大減速度G0により安全車間距離Lsを、以下のように算出する。
Ls=V12 /(2・G0)−V22 /(2・G2)+α
ここで、式中のαは余裕をとるための設定距離である。
【0025】
また、上記クルコンユニット40には、上記メインスイッチ31、車速セットスイッチ32、クルコンセットスイッチ100、ブレーキスイッチ33の信号、上記安全車間距離算出部41からの安全車間距離Ls、上記画像認識ユニット22からの実車間距離L等が入力される走行モード判定部42が形成されている。
【0026】
上記走行モード判定部42は、上記メインスイッチ31、車速セットスイッチ32やクルコンセットスイッチ100のON,OFFでクルコン作動または非作動を判定し、クルコン作動時に画像データにより前走車が無いか、前走車が有っても実車間距離Lが安全車間距離Lsより離れている場合(すなわち設定値以上の場合)に一定速モードと判定するようになっている。
【0027】
また、前走車との実車間距離Lが安全車間距離Lsより小さくなると、すなわち設定値より小さい場合は追従モードと判定し、これらモード信号が加減速制御部43に入力されるようになっている。
【0028】
さらに、上記走行モード判定結果に基づく走行中に、上記ブレーキスイッチ33の信号でドライバのブレーキ操作を判断し、ブレーキ操作時にはクルコン作動を自動解除して、ドライバのOFF操作が無くともクルコンを非作動にするようになっている。
【0029】
上記加減速制御部43は、上記一定速モードでは上記車速セットスイッチ32によるセット車速V0と車速V1を比較し、両者の大小関係により、加速が必要な際はスロットル弁3の開度を増加する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力し、減速が必要な際は上記スロットル弁3の開度を減少する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力するとともに、必要に応じブレーキアクチュエータ26にブレーキ圧を付加して減速させる信号を出力する。
【0030】
これによりエンジン出力が電気的に変化し、また必要な自動ブレーキが作動して車両の車速V1をセット車速V0に保って走行するように制御するようになっている。
【0031】
また、上記追従モードでは実車間距離Lと安全車間距離Lsを比較し、両者の大小関係により、上記一定速モードと同様に、加速が必要な際は上記スロットル弁3の開度を増加する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力し、減速が必要な際は上記スロットル弁3の開度を減少する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力するとともに、必要に応じブレーキアクチュエータ26にブレーキ圧を付加して減速させる信号を出力する。
【0032】
これによりエンジン出力が電気的に変化し、また必要な自動ブレーキが作動して前走車との実車間距離Lを安全車間距離Lsに保って追従走行するように制御するようになっている。
【0033】
そして上記一定速モードや上記追従モードのクルコン作動、非作動やセット解除の状態、セット車速V0等を表示部44で表示または警報するように構成されている。
【0034】
上記走行モード判定部42での追従モードの信号は、更にセット車速更新部45と自動復帰部46に入力される。
【0035】
上記セット車速更新部45は、追従モードの場合にその継続時間Tcを計測し、所定時間T1以上続くと、所定時間内の平均速度Vnに基づいて新たに更新車速Vrを自動設定し、この更新車速Vrを加減速制御部43に入力してセット車速V0を更新するようになっている。
【0036】
また、上記自動復帰部46は、追従モードでのブレーキ操作時に、ブレーキ圧Pbを判断し、且つ車速V1に所定の係数βを乗じた下限車速VLと比較することで、早めに追従走行へ移行したい又は車間距離を一時的に大きくとりたいドライバのブレーキ操作による一時的な車速低下と判断し、ブレーキ操作終了時にクルコン作動解除を自動復帰して、クルコン作動させる。ここでβは、例えば0.7などβ<1の値である。そして更新車速Vr、追従モードの自動復帰の状態等を上記表示部44で表示または警報するように構成されている。
【0037】
次に、作用について説明する。先ず、車両1のドライバが変速機5を前進速にシフトした状態でアクセルペダル11を踏込むと、エンジン2のスロットル弁3の開度に応じたエンジン出力が変速機5に入力し、その変速動力が後輪9に伝達して走行する。このときハンドル16を操作すると、自由に操舵し、ブレーキペダル13を踏込むと、ブレーキ圧Pbが前後輪10,9のホイールシリンダ側に導入して制動する。こうしてドライバの操作により車両1は、任意の車速V1で走行する。
【0038】
このとき前述のようにADAシステム20は車線逸脱、追突、障害物との接触等の可能性があるとその危険を警報装置24で警報し、ドライバの回避操作がなければスロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26、ステアリングアクチュエータ27へ信号を出力して自動的に危険を回避する。
【0039】
一方、メインスイッチ31等が操作されてクルーズコントロール装置30がクルコン作動状態にあればADAシステム20と協動してドライバからアクセル操作やブレーキ操作を行わなくても車両1は一定速走行又は追従走行に制御される。
【0040】
次にクルーズコントロール装置30の制御態様を図3のフローチャートにより説明する。メインスイッチ31をONするとクルーズコントロール装置30とADAシステム20が起動されフラッグ類の初期設定(ステップS1)、及びスイッチ類の操作状況、V1のリード(ステップS2)が行われる。
【0041】
そして、上記メインスイッチ31の操作をチェックし(ステップS3)、メインスイッチがONならステップS4に進み、OFFなら制御は終了する。
【0042】
ステップS4においてクルコンセットスイッチ100のON,OFFをチェックしONならステップS5に進みOFFならステップS2に戻る。
【0043】
ステップS5では、走行モード、すなわち一定速走行か追従走行かを判定し、一定速走行の時はフラッグF=0、追従走行の場合はF=1にセットする演算が行われるが、このフローを図4のフローチャートにより説明する。
【0044】
画像認識ユニット22の画像データから前走車の有無をチェックし(ステップS11)、前走車が居なければステップS16に進み走行モードを示すフラッグFは一定速走行モードF=0にセットされる。
【0045】
次に前走車が居る場合はステップS12において自車両の車速V1、前走車の車速V2、実車間距離Lをリードし、ステップS13において前走車の急ブレーキを想定した減速度G2、クルコンの発生する最大減速度G0、により前述の式で示したように安全車間距離Lsを求めた上でステップS14で実車間距離Lと比較する。
【0046】
実車間距離Lが安全車間距離Lsより小さい場合(図8(b)に示すような場合)は追従モードとみなされステップS15に進みフラッグFはF=1にセットされ、安全車間距離Ls以上の場合(図8(a)に示すような場合)は一定速走行モードとみなされステップS16に進みF=0にセットされる。こうすることにより前走車が居ても遠い場合は一定速走行、近い場合は追従走行と判定される。
【0047】
ステップS6でセット車速が設定されるが、同時に長時間追従走行が続いた時のセット車速更新機能を持っており、図5のフローチャートにより説明する。先ずステップS21において現在の走行モードをチェックし、F=1で追従走行であればステップS22に進み、F=0で一定速走行であればステップS26に進む。
【0048】
追従走行の場合、ステップS22においては追従走行開始(F=1になった時)からの継続時間(Δtは演算の時間間隔)の計算を行う。
【0049】
次にステップS23に進んで予め設定した時間内の平均車速Vnを求め、これに係数α(例えば1.2)を乗算して平均車速Vnより少し高い新しい更新車速VRを求める。
【0050】
次にステップS24に進み、前記継続時間Tcが予め設定した所定時間T1以上になったか否かをチェックし、T1以上であればステップS30へ進み、T1以下の場合はルーチンを抜け、それまでのセット車速V0が維持される。次に、ステップS30において、更新車速VRがドライバが初期設定(後述のステップS29)した設定車速V0i以下である場合は、ステップS25においてセット車速V0は所定時間内の平均車速より少し高めの前記更新車速VRに更新される。一方、V0i以下の場合はそれまでのV0のままとされる。
【0051】
また一定速走行の場合はステップS26においてTcは0としてクリアされ、ステップS27で車速セットスイッチのON,OFFがチェックされる。ONの場合はセット車速はその時点の車速V1に更新され(ステップS28)、更に、ドライバによる初期設定車速V0iとしてストアされる(ステップS29)。また、車速セットスイッチがOFFの場合は従来のセット車速が維持される。
【0052】
図3における次のステップS7は追従走行時にドライバのブレーキ操作があっても一時的なものと判定された場合にはクルコンセットを解除せず、ブレーキ操作終了時にクルコン作動に自動復帰させるためのフローであるが図6のフローチャートで説明する。
【0053】
ステップS31においてブレーキ操作の有無をブレーキスイッチ33のONかOFFかでチェックし、上記ブレーキスイッチ33がONの場合はステップS32に進む。OFFの場合はステップS41に進み後述のフラッグKをK=0としてこのフローを終了する。
【0054】
ステップS32では、走行モードがF=1か否かを判定し、F=1(追従走行)の場合はステップS33に進む。F=0(一定速走行)の場合はステップS38に進みK=0とし、ステップS39、ステップS40に進み従来のクルコンと同様にクルコンセットの解除とセット車速の消去が行われフローは終了する。
【0055】
ステップS33においてはドライバのブレーキ操作によるブレーキ圧Pbを予め設定したブレーキ設定圧Pcと比較し、ブレーキ圧Pbが上記ブレーキ設定圧Pc以下であればステップS34に進む。ブレーキ圧Pbが上記ブレーキ設定圧Pcより大きければ急ブレーキとみなされステップS38に進み前述のようにクルコンセットの解除(ステップS39)とセット車速の消去(ステップS40)が行われ、このフローを終了する。
【0056】
そして上記ステップS33からステップS34に進むと、ブレーキ開始時点か否かをフラッグKにて判定する。
【0057】
ブレーキ開始時点、すなわちフラッグKがK=0であればステップS35に進み、その時点の車速V1に係数β(例えば0.7)を乗算して、ブレーキ開始時の車速V1より低めの下限車速VLが設定される。ステップS34においてK=0でない場合はブレーキ開始後であり、ステップS36にスキップして下限車速VLはブレーキ開始時に設定された値が用いられる。
【0058】
ステップS36ではブレーキ中の車速V1が下限車速VLと比較され、下限車速以上であれば一時的なブレーキ操作とみなされクルコンセットは解除されないままステップS37に進みフラッグKはK=1にセットされてこのフローは終了する。
【0059】
しかしステップS36において下限車速より小さい場合はステップS38に進み、前述のようにクルコンセットの解除(ステップS39)とセット車速の消去(ステップS40)が行われこのフローを終了する。
【0060】
以上のように、追従走行中では、ドライバのブレーキ操作があった場合でもブレーキ圧が低かったり車速の減速の程度が少ない場合は一時的なブレーキ操作と判断し、後述のようにブレーキ操作が終了するまでクルコン作動は中断する。そして車速V1は低下するが、ブレーキ操作が終了するとクルコン作動が自動的に回復し追従走行に復帰する。
【0061】
次に図3におけるステップS8は各走行モードにおけるクルーズ制御のサブルーチンであり、このフローを図7のフローチャートにより説明する。
【0062】
ステップS51においてF=1か否かをチェックし、F=1(追従モード)ならステップS52へ進みブレーキスイッチ33のON,OFFをチェックする。そして、上記ブレーキスイッチ33がONの場合は制御は行わずこのルーチンは終了する。
【0063】
一方、上記ブレーキスイッチ33がOFFの場合はステップS53に進み前走車との実車間距離Lと安全車間距離Lsとを比較し、L≧Lsの場合はステップS54へ進み車両1が加速するようにスロットル弁3の開度を増加する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力し、L<Lsの場合はステップS55へ進み車両1が減速するように上記スロットル弁3の開度を減少する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力するとともに、必要に応じブレーキアクチュエータ26にブレーキ圧を付加して減速させる信号を出力する。このようにして車両1は安全な車間距離を保って追従走行される。
【0064】
また、ステップS51においてF=1でないならステップS56に進み、セット車速V0≦車速V1をチェックし、V0≦V1の場合はステップS57に進み車両1が加速するようにスロットル弁3の開度を増加する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力し、一方、V0>V1の場合は車両1が減速するように上記スロットル弁3の開度を減少する信号を上記スロットルアクチュエータ25に出力するとともに、必要に応じブレーキアクチュエータ26にブレーキ圧を付加して減速させる信号を出力する。このようにして車両1は一定速走行される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、定速走行と追従走行の機能を備えた方式において、不必要な自動解除、急加速等の不具合を防止して自然で実用性が高いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】クルーズコントロール装置の機能ブロック図
【図2】車両、ADAシステム及びクルーズコントロール装置の全体の概略を示す説明図
【図3】クルーズコントロール装置によるクルーズ制御のフローチャート
【図4】走行モード決定サブルーチンのフローチャート
【図5】セット車速のセット、更新のフローチャート
【図6】ブレーキ時のクルコンセット解除のフローチャート
【図7】各走行モードのクルーズ制御態様作成サブルーチンのフローチャート
【図8】一定速走行と追従走行の場合を示す説明図
【符号の説明】
1 車両
21 CCDカメラ(車間距離検出手段)
22 画像認識ユニット(車間距離検出手段)
25 スロットルアクチュエータ(加減速手段)
26 ブレーキアクチュエータ(加減速手段)
30 クルーズコントロール装置
31 メインスイッチ
32 車速セットスイッチ
33 ブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)
34 車速センサ(車速検出手段)
35 ブレーキ圧センサ(ブレーキ圧検出手段)
40 クルコンユニット(制御手段)
41 安全車間距離算出部
42 走行モード判定部
43 加減速制御部
44 表示器
45 セット車速更新部
46 自動復帰部
100 クルコンセットスイッチ

Claims (5)

  1. 車速を検出する車速検出手段と、前走車までの車間距離を検出する車間距離検出手段と、車両を加減速する加減速手段と、上記前走車までの車間距離が設定値以上の場合は車速を予め設定するセット車速に保つ一定速モードとし、上記前走車までの車間距離が上記設定値より小さい場合は上記前走車との車間距離を所定に保つ追従モードとし、これらのモードに基づき上記加減速手段により車両の加減速を制御するとともに、上記追従モードが所定時間以上続いた場合は上記セット車速を上記所定時間内の平均車速より高い車速に更新する制御手段とを有することを特徴とする車両のクルーズコントロール装置。
  2. 車速を検出する車速検出手段と、前走車までの車間距離を検出する車間距離検出手段と、ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、ブレーキ圧を検出するブレーキ圧検出手段と、車両を加減速する加減速手段と、上記前走車までの車間距離が設定値以上の場合は車速を予め設定するセット車速に保つ一定速モードとし、上記前走車までの車間距離が上記設定値より小さい場合は上記前走車との車間距離を所定に保つ追従モードとし、これらのモードに基づき上記加減速手段により車両の加減速を制御するとともに、上記追従モードでブレーキ操作を検出した際、ブレーキ操作開始時の車速より低い下限車速を設定し、ブレーキ圧が設定圧以下で、かつ車速が上記下限車速以上の場合、ブレーキ解放時に、ブレーキ操作で解除するクルーズコントロールの作動を復帰させる制御手段とを有することを特徴とする車両のクルーズコントロール装置。
  3. 上記制御手段は、上記追従モードが所定時間以上続いた場合は上記セット車速を上記所定時間内の平均車速より高い車速に更新することを特徴とする請求項2記載の車両のクルーズコントロール装置。
  4. 上記車間距離検出手段は、前走車までの車間距離をカメラからの画像信号を所定に処理して検出するものであることを特徴とする請求項1,2,3のいずれか一つに記載の車両のクルーズコントロール装置。
  5. 上記制御手段は、上記ブレーキ操作開始時の車速に所定の係数を乗算して上記下限車速を設定することを特徴とする請求項2記載の車両のクルーズコントロール装置。
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