JP7175577B2 - 車両制御システム - Google Patents
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Description
実施形態に係る車両制御システムの詳細を図面を参照して説明する。以下の説明において、自動運転とは、車両が走行経路に沿って自動で走行することをいう。例えば、自動運転には、運転者が運転操作をすることなく、予め設定された目的地に向かって自動で車両を走行させることが含まれる。但し、必ずしも車両の全ての制御を自動で行う必要はなく、運転者が運転操作の主体とならない走行であれば、自動運転に含まれる。例えば、アダクティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどによる走行も自動運転に該当する。手動運転とは、運転者が運転操作の主体となって車両を走行させることをいう。
車両制御システム1は、図1に示すように、ECU100(Electronic Control Unit)、ナビゲーションシステム20、車外情報検知部30、運転者状態検知部40、車速センサ50、操作系及びMMI600(Man-Machine Interface)を備えている。ECU100は、車両の制御を行う電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。ECU100は、切替制御部110、運転者状態判定部120、駆動源制御部130、ステアリング制御部140、及びブレーキ制御部150を備える。ECU100により、自動運転の制御は勿論、自動運転と手動運転との切替が行われる。ECU100は、ナビゲーションシステム20、車外情報検知部30、運転者状態検知部40、車速センサ50、エンジンなどの駆動源200、操作系及びMMI600に接続されて、各部との信号の入出力や各部の制御を行う。操作系には、アクセル300、ステアリング400、及びブレーキ500が含まれる。本実施形態に係る車両制御システム1の特徴の一つは、EUC100の切替制御部110が制御割合変更部112又は応答ゲイン制御部114を有することにある。制御割合変更部112は、アクセル300及びステアリング400の少なくとも一方に対する自動運転と手動運転の制御割合を、経時的に自動運転の制御割合が小さく、手動運転の制御割合が大きくなるように変化させる。この制御割合は車速に応じて変化される。応答ゲイン制御部114は、自動運転中に手動運転への切替要求がなされたとき、アクセル300及びステアリング400の少なくとも一方の応答ゲインを一時的に所定の割合にまで低下させてから復帰させる。さらに、その応答ゲインの低下割合は車速に応じて変化される。以下、各部の構成を順に説明する。
ナビゲーションシステム(GPS:Global Positioning System)20は、運転者によって設定された目的地までの走行経路を運転者に案内する。GPS20は、車両の現在地を把握する測位部22と、地図情報24とを備える。測位部22は、例えば、複数のGPS衛星からの信号を受信することにより、車両の現在地の情報を演算する。地図情報24は、例えば、道路の位置情報、道路の種別情報、道路形状の情報等が含まれる。この地図情報24は、通信によって外部から取得したものでもよいし、車載のデータベースに予め格納されたものでもよい。
車外情報検知部30は、車両の周囲の状況を検知する。車外情報検知部30の具体的としては、カメラ、レーザレーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダなどの機器が挙げられる。これらの機器は、異種の機器を組み合わせても良いし、同種の機器を複数用いても良い。例えば、複数台のカメラとミリ波レーダとを組み合わせる構成としても良い。これらの車外情報検知部30は、少なくとも車両の前方と後方とに設けられ、前方と後方の双方の周囲の情報を取得する。車外情報検知部30により、車両の周囲に存在する他の車両、歩行者、障害物、車線を示す白線など、自車両の自動走行に必要な情報を検知する。車外情報検知部30の検知信号は、ECU100に出力される。
運転者状態検知部40は、運転者の状態を検知するためのセンサである。このセンサには、例えば、運転者を撮像するカメラが用いられる。カメラによる検知結果は、運転者の状態を撮像した画像情報として検知することができる。特に、運転者の視線の動きを検出するカメラが好適に利用できる。その他、運転者状態検知部40としては、運転者の心拍情報又は脳波情報を検知するウェアラブルセンサが利用できる。具体例としては、運転者の指に装着するリング型、運転者の手首に装着するリストバンド型、運転者の頭部に装着するメガネ型又はヘッドバンド型などのウェアラブルセンサが挙げられる。運転者状態検知部40の検知信号は、ECU100に出力される。
ステアリング400は、例えばステアリングホイール、反力アクチュエータ、転舵アクチュエータ、操舵角センサ、操舵トルクセンサ、及び転舵角センサを備える。ステアリングホイールは、運転席に設けられて、手動運転時に運転者により操舵される。反力アクチュエータは、ステアリングホイールに操舵反力を付与する。操舵反力は転舵輪からステアリングホイールに作用するトルクの大きさに応じて決定される。転舵アクチュエータは転舵輪を転舵するためのトルクを出力する。操舵角センサは、ステアリングホイールの操舵角を検知する。操舵トルクセンサは、ステアリングホイールの操舵トルクを検知する。転舵角センサは、転舵輪の転舵角を検出する。各センサの検知信号はECU100に出力される。
アクセル300は、アクセルペダルと、アクセルペダルセンサと、アクセル用アクチュエータとを備える。アクセルペダルは、運転席の床面に設けられ、手動運転時に運転者に踏まれることで操作される。アクセルペダルセンサは、アクセルペダルの位置、即ちアクセルペダルの踏込み量を検知する。手動運転時、例えば駆動源200がエンジンであれば、アクセルペダルの踏み込み量に応じてスロットル開度が制御される。アクセル用アクチュエータは、アクセルペダルに踏み込み力を付与する。アクセルペダルセンサの検知信号はECU100に出力される。
ブレーキ500は、ブレーキペダル、ブレーキペダルセンサ、ブレーキ用アクチュエータ、マスターシリンダ、及びブレーキ本体を備える。ブレーキペダルは、運転席の床面に設けられ、手動運転時に運転者に踏まれることで操作される。ブレーキペダルセンサは、ブレーキペダルの位置、即ちブレーキペダルの踏込み量を検知する。マスターシリンダは、液圧ブレーキシステムにおいて、ブレーキペダルの踏力を液圧に変換して、ブレーキ本体のピストンやホイールシリンダにブレーキ液を圧送する。ブレーキ本体は、ピストン又はホイールシリンダと、ブレーキパッドと、ディスク又はドラムとを含む。ブレーキ用アクチュエータは、ブレーキペダルに踏み込み力を付与する。ブレーキペダルセンサの検知信号はECU100に出力される。
車速センサ50は、車両の走行速度を検知するセンサである。車速センサ50には、例えば、車輪速センサが用いられる。車速センサ50の検知信号はECU100に出力される。
MMI600は、運転者と車両制御システム1との間で情報の入出力を行うインターフェイスである。MMI600の具体例としては、画像情報を出力するディスプレイ、音声情報を出力するためのスピーカ、運転者が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネル、運転者の音声入力システム等が挙げられる。MMI600は運転者の操作に応じた信号をECU100へ出力する。
切替制御部110は、切替要求である所定のトリガに基づいて、自動運転と手動運転とを切替のための所定の処理を行い、所定のタイミングで自動運転と手動運転とを切り替える制御を行う。所定のトリガには、運転者が切替スイッチ610を操作したことや、アクセル300、ステアリング400又はブレーキ500を運転者が一定量以上操作したことの他、荒天や故障などにより自動運転を行うために必要な機器(車外情報検知部30など)が正常に動作しないことが挙げられる。
制御割合変更部112は、経時的に自動運転の制御割合が小さく、手動運転の制御割合が大きくなるように自動運転と手動運転の制御割合を変化させる。この制御割合は車速に応じて変化される。例えば、車速が速いほど自動運転の制御割合が高く、車速が遅いほど手動運転の操作割合が高くなるように制御割合が変化される。自動運転と手動運転の制御割合とは、全面的に自動運転を行っている場合の操作系(アクセル300及びステアリング400の少なくとも一方)の動作量に対して、一部を自動運転による制御で操作系の動作量を実行し、残部を手動運転による操作系の動作量で補完する場合において、自動運転の制御による操作系の動作量の実行割合と手動運転による操作系の動作量の補完割合との比率である。例えば、全面的な自動運転では、自動運転で設定される目標速度に対応したスロット開度が10である場合、アクセルペダルの踏み込み量に関わらず自動運転の制御によりスロット開度が10とされるのであれば、自動運転:手動運転の制御割合は10:0である。これに対し、自動運転で設定される目標速度に対応したスロットル開度が10である場合、自動運転の制御によりスロット開度を8とし、手動運転により補完されるスロット開度が2であれば、自動運転:手動運転の制御割合は8:2である。つまり、自動運転で設定される目標速度に対応したスロットル開度が10である場合、自動運転の制御によるスロット開度が8で、手動運転により補完されるスロット開度が2であれば、車速は目標速度となる。一方、自動運転の制御によるスロット開度が8で、手動運転により補完されるスロット開度が1であれば、自動運転と手動運転とを併用した制御によるスロットル開度は10に満たないため、目標速度よりも車速が低下することになる。逆に、スロットル開度が2を超えるアクセルの踏み込み量を運転者が操作しても、目標速度の範囲内でしか車速は増加しない。上記の制御割合の変化は、段階的な変化であっても連続的な変化であってもよい。この制御割合を経時的に自動運転の制御割合が小さく、手動運転の制御割合が大きくなるように変化させると、最終的に自動運転:手動運転の制御割合は0:10となり、全面的な手動運転への切替が可能になる。なお、上記制御割合の変化と同等の機能を実現するには、次述する応答ゲインの変更を用いて行ってもよい。
一方、応答ゲイン制御部114は、アクセル300及びステアリング400の少なくとも一方の応答ゲインを一時的に所定の割合に低下させてから復帰させる。アクセル300は、その踏み込み量に応じてスロットルの開度が決定される。ステアリング400も、その操舵角や操舵トルクに応じて、転舵輪の転舵量が決定される。このアクセル300の踏み込み量に対するスロットルの開度やステアリング400の操舵角(操舵トルク)に対する転舵輪(車輪の一部)の転舵量が応答ゲインである。通常、アクセル300やステアリング400の一定の操作量に対しては、スロットルの開度や転舵輪の転舵量といった動作量は特定値となるように操作量と動作量の関係が決められている。応答ゲイン制御部114では、切替制御部110に上記トリガが入力されたら、上記操作量と動作量との関係である応答ゲインを所定の値に低下させてスロットル開度や転舵輪の転舵量を調整する。その際、応答ゲインの低下割合は車速に応じて変化される。例えば、車速が速いほど、応答ゲインの低下割合を大きくし、逆に車速が遅いほど、応答ゲインの低下割合を小さくすればよい。つまり、車速が速いほど操作系の動作量が小さく、車速が遅いほど操作系の動作量が大きくなる。車速が速いほど応答ゲインを大きく低下させて、一時的に車速が低下してでも運転者が操作し易い車速にて手動運転を開始できるようにするためである。低下された応答ゲインは、所定の低下状態から、初期の値に復帰される。応答ゲインが復帰されることで、自動運転から手動運転への完全な切替が可能になる。応答ゲインが復帰される際の変化は、段階的な変化であっても連続的な変化であってもよい。この復帰に伴う応答ゲインの単位時間当たりの変化量は、例えば車速が早いほど単位時間当たりの変化量を小さくし、車速が遅いほど単位時間当たりの変化量を大きくすればよい。車速に対応した応答ゲインの低下割合や初期の値に復帰させる際の変化量は、例えば演算テーブルや演算式を用いて求めればよい。
駆動源制御部130は、車両の駆動源200の動作を制御する電子制御ユニットである。例えば、駆動源200がエンジンの場合、駆動源制御部130は、エンジンに対する燃料の供給量及び空気の供給量をコントロールすることで車両の駆動力を制御する。空気の供給量は、スロットル開度を変えることで調整する。車両がハイブリッド車又は電気自動車である場合、駆動源制御部130は、駆動源200となるモータの制御を行うモータ制御部として機能する。駆動源制御部130は、ECU100からの制御信号に応じて車両の駆動力を制御する。本例では、自動運転時、目標設定速度に応じたスロットル開度が得られるようにスロットル開度を調整するが、エンジンのスロットル開度に合わせてアクセル用アクチュエータによりアクセルペダルの踏み込み量を変化させることはしない。手動運転時、アクセルペダルセンサによりアクセル300の踏み込み量が検知されると共に、アクセル用アクチュエータを制御することで、アクセルペダルに踏み込み力を付与する。
ステアリング制御部140は、車両のステアリング400を制御する電子制御ユニットである。ステアリング制御部140は、操舵角センサ、操舵トルクセンサ、及び転舵角センサの検知結果に応じて、反力アクチュエータ、転舵アクチュエータを駆動して転舵輪の転舵を行う。ステアリング制御部140は、ECU100からの制御信号に応じて操舵トルクを制御する。本例では、自動運転時、転舵アクチュエータを駆動して転舵輪の転舵を行うが、転舵輪の転舵角に合わせて反力アクチュエータによりステアリングホイールを回転することはしない。手動運転時、反力アクチュエータによりステアリングホイールに操舵力を付与して、運転者が操舵感を感じることができるようにしている。
ブレーキ制御部150は、車両のブレーキ500の動作を制御する電子制御ユニットである。例えば、ブレーキ制御部150は、液圧ブレーキシステムに付与する液圧を調整することで、車両の車輪へ付与する制動力をコントロールする。ブレーキ制御部150は、ECU100からの制御信号に応じて車輪への制動力を制御する。本例では、自動運転時、目標車速に応じた車速を実現できるよう、ブレーキペダルを変位させることなく液圧ブレーキシステムに付与する液圧を調整するが、この液圧の変化(ブレーキ本体の動作)に合わせてブレーキ用アクチュエータによりブレーキペダルの踏み込み量を変化させることはしない。手動運転時、ブレーキペダルセンサによりブレーキ500の踏み込み量が検知されると共に、ブレーキ用アクチュエータを制御することで、ブレーキペダルに踏み込み力を付与する。
自動運転から手動運転への切替は、次の各部の動作により、以下の手順により行われる。
ここで、運転者の切替スイッチ610の操作などにより、意図的に自動運転から手動運転への切替が選択されたときの切替手順を図2を参照して説明する。図2の横軸に示す経過時間は相対的な単位時間で、図2の縦軸は各種パラメータの相対的な動作量である。ここでは、主にアクセル300とスロットル開度との関係について説明を行う。図2に示すように、時間t0までは自動運転により、目標速度に対応したスロットル開度とされると共に、運転者のアクセルペダルの踏み込み量及び変位角は0%である。時間t0で切替スイッチ610によるトリガが切替制御部110に入力されると、アクセル用アクチュエータでアクセルペダルに補助踏力を付与して、そのときのスロットルの開度に対応したアクセルペダルの変位角とする。時間t1で補助踏力及びアクセルペダルの変位角がスロットルの開度に対応したアクセルペダルの補助踏力及び変位角となる値に到達している。但し、時間t1までは運転者によるアクセルペダルの踏み込みが行われていない。ステアリング400も同様に反力アクチュエータにより補助トルクを付与して、そのときの転舵輪の目標転舵角に対応したステアリングホイールの操舵角とする。以下の説明もアクセル300とスロットル開度との関係について行い、ステアリングホイールの操舵角と転舵輪の転舵角との関係については説明を省略する。
次に、荒天などにより、自動運転を行うために必要な機器(車外情報検知部30など)が正常に動作しないため不可避的に自動運転から手動運転への切替が行われるときの切替手順を説明する。この場合、自動運転が困難であるため、目標速度に対応したスロットル開度としたり、転舵輪の目標転舵角に応じた動作を行うことができない。そのため、以下の処理を経て速やかに手動運転に切り替える。
上記の実施形態に係る車両制御システム1は、以下の効果を奏することができる。
20 ナビゲーションシステム(GPS)
22 測位部
24 地図情報
30 車外情報検知部
40 運転者状態検知部
50 車速センサ
100 ECU
110 切替制御部
112 制御割合変更部
114 応答ゲイン制御部
120 運転者状態判定部
130 駆動源制御部
140 ステアリング制御部
150 ブレーキ制御部
200 駆動源
300 アクセル
400 ステアリング
500 ブレーキ
600 MMI
610 切替スイッチ
Claims (2)
- 車両の走行制御を自動的に行う自動運転と運転者の操作により前記車両を走行させる手動運転とを切り替える車両制御システムであって、
前記車両の自動運転中に手動運転への切替要求がなされたとき、アクセル及びステアリングの少なくとも一方に対する自動運転と手動運転の制御割合を、経時的に自動運転の制御割合が小さく、手動運転の制御割合が大きくなるように変化させる制御割合変更部を備え、
前記制御割合は、前記切替要求がなされたときの車速に応じて変化される、
車両制御システム。 - 運転者の状態を検知するための運転者状態検知部と、
前記運転者状態検知部で検知した運転者の情報に基づき、手動運転を行うのに適切か否かを判断する運転者状態判定部と、をさらに備え、
自動運転が困難である状況において、
前記運転者状態判定部で手動運転を行うのに適していないと判断された場合、運転者に自動運転が継続できないことを警告し、
前記運転者状態判定部で手動運転を行うのに適していると判断された場合、前記制御割合変更部により、前記制御割合を、経時的に自動運転の制御割合が小さく、手動運転の制御割合が大きくなるように変化させる、請求項1に記載の車両制御システム。
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