JP2020029140A - 車両制御装置、車両制御方法及び車両制御システム - Google Patents

Abstract

【課題】複数の運転支援機能を、直感的に分かり易い操作で制御できる車両制御装置を提供する。【解決手段】車両制御装置１５は、車両１１の操舵を行う操舵装置１３，２３と、車両を制駆動する制駆動装置１６ａ〜１６ｄ，１７，２１，２２とを備える車両において、操舵装置及び制駆動装置の動作を制御して搭乗者による車両の運転を支援する。搭乗者による運転の支援を要求する単一の支援要求信号ＳＳを受信して、運転を支援する動作モードに移行する。そして、外界認識装置１２から取得された認識情報ＳＩを受信し、この認識情報に基づいて車両の前方における走路状況を求め、走路状況に基づいて車両を操舵するための操舵指令ＳＴを求め、走路状況に基づいて車両を制駆動するための制駆動指令ＳＤを求め、操舵装置に向けて操舵指令を出力し、制駆動装置に向けて制駆動指令を出力する。【選択図】図１

Description

本発明は、車両の運転を支援するための車両制御装置、車両制御方法、及びこの車両制御装置を用いた車両制御システムに関する。

特許文献１には、先行車までの車間距離を計測し、その値が目標車間距離となるようにスロットルあるいはブレーキを制御する車間制御型定速走行システムと、走行中の自車両を車線内に維持するためのレーンキープシステムを組み合わせた車両用走行制御装置が記載されている。この特許文献１では、両システムが作動中の状況で、運転者により車間制御型定速走行システムの解除スイッチが操作された場合、まず車間制御型定速走行システムの解除により縦方向制御を運転者へ移行し、それに続いて、時間的余裕を持たせて横方向制御を運転者へ移行するようにしている。

特開２００５−３０６３６２号公報

しかしながら、上記特許文献１の技術では、各々の運転支援システムを専用のスイッチでオン／オフする必要がある。また、この種の運転支援機能は、アクセル操作による加速を行った場合には、アクセルを戻すことで支援状態に復帰するが、ブレーキ操作を行うと安全のために支援が解除されるものがある。このため、運転状況や支援要求に応じたスイッチ操作が必要となるとともに、ブレーキ操作後にスイッチの再操作が必要になるなどして、複雑で分かり難くなっており、不慣れな人にとっては使い勝手が良くない、という課題がある。

本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の運転支援機能を、直感的に分かり易い操作で制御できる車両制御装置及び車両制御方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、直感的に分かり易い操作で、複数の運転支援機能を統合的に作動させることができる車両制御システムを提供することである。

上記の課題を解決するため、本発明の車両制御装置及び車両制御方法では、車両の操舵を行う操舵装置と、前記車両を制駆動する制駆動装置と、を備える前記車両において、前記操舵装置及び前記制駆動装置の動作を制御して搭乗者による前記車両の運転を支援するために、前記搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号を受信し、前記単一の支援要求信号に応答して、前記搭乗者による運転を支援する動作モードに移行する。そして、前記動作モードにおいて、前記車両の外界状況を認識する外界認識部から取得された認識情報を受信し、前記認識情報に基づいて、前記車両の前方における走路状況を求め、前記走路状況に基づいて、前記車両を操舵するための操舵指令を求め、前記走路状況に基づいて、前記車両を制駆動するための制駆動指令を求め、前記操舵装置に向けて前記操舵指令を出力し、前記制駆動装置に向けて前記制駆動指令を出力する。

また、本発明の車両制御システムは、車両の外界状況を認識する外界認識部と、前記車両の操舵を行う操舵装置と、前記車両を制駆動する制駆動装置と、前記操舵装置及び前記制駆動装置の動作を制御して搭乗者による前記車両の運転を支援するためのコントロールユニットであって、前記搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号を受信し、前記単一の支援要求信号に応答して、前記搭乗者による運転を支援する動作モードに移行し、前記動作モードにおいて、前記車両の外界状況を認識する外界認識部から取得された認識情報を受信し、前記認識情報に基づいて、前記車両の前方における走路状況を求め、前記走路状況に基づいて、前記車両を操舵するための操舵指令を求め、前記走路状況に基づいて、前記車両を制駆動するための制駆動指令を求め、前記操舵装置に向けて前記操舵指令を出力し、前記制駆動装置に向けて前記制駆動指令を出力する、前記コントロールユニットと、を備える。

本発明によれば、搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号により、運転を支援する動作モードに移行し、操舵装置に向けて操舵指令を出力し、制駆動装置に向けて制駆動指令を出力することで、横方向制御と縦方向制御を同時に機能させるので、複数の運転支援機能を直感的に分かり易い操作で作動させ、停止させることができる。
また、本発明によれば、搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号により、運転を支援する動作モードに移行し、操舵装置に向けて操舵指令を出力し、制駆動装置に向けて制駆動指令を出力するコントロールユニットを備えるので、直感的に分かり易い操作で、複数の運転支援機能を統合的に作動させ、停止させることができる。

本発明の実施形態に係る車両制御システムの概略構成図である。 本発明の実施形態に係る車両制御装置について説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態に係る車両制御方法を示すフローチャートである。 前方車両の有無と白線の有無による操舵装置と制駆動装置の制御状態について説明するための図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図１は、本発明の実施形態に係る車両制御システムの概略構成を示している。この車両制御システムは、車両１１の外界状況を認識する外界認識装置（外界認識部）１２と、この車両１１の操舵を行う操舵装置１３と、車両１１を制駆動する制駆動装置と、搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号ＳＳを生成するスイッチ（単一の操作部）１４と、操舵装置１３及び制駆動装置の動作を制御して搭乗者による車両１１の運転を支援するための車両制御装置（コントロールユニット）１５とを備えている。

ここで、制駆動装置とは、制動装置（ブレーキ１６ａ〜１６ｄあるいはモータ回生など）と、駆動装置（エンジン１７あるいはモータなど）のような、制動機能と駆動機能を組み合わせたものを意味している。また、スイッチ１４は、いわゆる「自動運転レベル２」の機能オン／オフスイッチであり、オン操作によって支援要求信号ＳＳを生成し、車両制御装置１５に入力する。スイッチ１４のオフ操作は、支援中止信号として働く。このスイッチ１４には、各種の操作用スイッチや何かの動きを検出する検出用スイッチ、音声入力マイクなど、車両１１の操舵と制駆動の両方の支援を要求する信号を生成するものであれば様々なものが適用できる。

更に、車両制御装置１５には、車速センサ１８、ヨーレートセンサ１９及び舵角センサ２０からそれぞれ、車速信号ＳＰ、ヨーレート信号ＳＹ及び舵角信号ＳＡが入力される。そして、この車両制御装置１５から、エンジン１７を制御するエンジンＥＣＵ２１とブレーキ１６ａ〜１６ｄを制御するブレーキＥＣＵ２２に、それぞれ制駆動指令ＳＤ（駆動指令ＳＤｂ，制動指令ＳＤａ）を出力するとともに、操舵装置１３を制御する操舵ＥＣＵ２３に操舵指令ＳＴを出力する。

上記車両制御装置１５は、搭乗者がスイッチ１４を操作することにより生成される運転の支援を要求する単一の支援要求信号ＳＳを受信し、この支援要求信号ＳＳに応答して運転を支援する動作モードに移行するようになっている。
この動作モードにおいて、車両制御装置１５は、外界認識装置１２から取得された認識情報ＳＩを受信し、この認識情報ＳＩに基づいて車両１１の前方（進行方向）における走路状況を求める。認識情報ＳＩは、車両１１の前方を走行する前方車両（先行車）に関する情報と、車両１１の前方の走路形状に関する情報とを含んでいる。走路状況は、前方車両に関する情報に基づく前方車両の有無と、走路形状に関する情報に基づく走路形状の取得の可否とを含んでいる。この走路形状とは、具体的には白線（レーンマーカー）を意味するが、これに限定されるものではなく、車両１１が走行すべき車線（コース）を判別できれば縁石や側溝などでも構わない。

更に、車両制御装置１５は、上記走路状況に基づいて、車両１１を操舵するための操舵指令ＳＴを求めるとともに、車両１１を制駆動するための制駆動指令ＳＤを求める。この際、前方車両が有ると認識した場合は、車両１１と前方車両との車間距離に基づいて制駆動指令ＳＤを求め、前方車両が無いと認識した場合は、所定の速度を維持するための制駆動指令ＳＤを求める。
すなわち、走路形状の取得が可の場合は、走路形状に沿った走行をするための操舵指令ＳＴを求め、前方車両が有り、走路形状の取得が不可の場合は、前方車両の走行経路に追従するための操舵指令ＳＴを求める。
また、前方車両が無く、走路形状の取得が不可の場合は、操舵指令ＳＴ及び制駆動指令ＳＤの出力を抑止（中断）する。

車間距離制御や車速制御中に、搭乗者によるブレーキ操作やアクセル操作がなされた場合は、これらのペダル操作に基づいて車間距離制御や車速制御の設定が補正される。例えば、ブレーキ操作が行われて前方車両との距離が離れた場合には、車間距離の設定が大きく補正される。その後、アクセル操作が行われると、車間距離が大きく設定された状態で、前方車両に追従するための車間距離制御と車速制御が実行される。
一方、アクセル操作が行われて前方車両との距離が近づいた場合には、車間距離の設定が小さく補正され、ブレーキ操作が行われると、車間距離が小さく設定された状態で、前方車両に追従するための車間距離制御と車速制御が実行される。

更に、操舵指令ＳＴ及び制駆動指令ＳＤの出力を抑止された状態から、前方車両が有り、走路形状の取得が不可に移行された場合は、車両制御装置１５は、車両１１と前方車両との車間距離に基づいて制駆動指令ＳＤを求め、前方車両の走行経路に追従するための操舵指令ＳＴを、移行の後の所定時間は緩やかな追従となるように求める。緩やかな追従とは、前方車両の走行経路に急激に追従させると搭乗者が違和感を覚えるため、例えば操舵装置１３のアクチュエータを操舵ＥＣＵ２３で駆動する際の制御ゲインを所定時間（例えば１０秒間）小さくするなどして、前方車両の走行経路にゆっくりと追従させるものである。あるいは、操舵装置１３のアクチュエータを操舵ＥＣＵ２３で駆動する際の目標値を、反応が穏やかになるように設定しても良い。

そして、車両制御装置１５から操舵装置１３（操舵ＥＣＵ２３）に向けて操舵指令ＳＴを出力し、エンジン１７（エンジンＥＣＵ２１）に向けて駆動指令ＳＤｂ、ブレーキ１６ａ〜１６ｄ（ブレーキＥＣＵ２２）に向けて制動指令ＳＤａをそれぞれ出力する。
この操舵指令ＳＴと制駆動指令ＳＤは、運転を支援する動作モードにおいて、搭乗者がスイッチ１４を操作して、この動作モードが終了するか別のモードに切り換えられるまで常に出力され続ける。すなわち、運転を支援する動作モードにおいては、運転者のブレーキ操作やステアリング操作、アクセル操作では運転支援機能は解除されない。

図２は、本発明の実施形態に係る車両制御装置について説明するためのもので、自動運転レベル２の運転支援機能に関する操作を分かり易くするために、単一の操作部であるスイッチ１４の操作により縦方向／横方向の制御モードを同時に変更するように構成されている。
車速センサ１８、ヨーレートセンサ１９及び舵角センサ２０で検出された車速信号ＳＰ、ヨーレート信号ＳＹ及び舵角信号ＳＡはそれぞれ、車両制御装置１５に入力される。また、外界認識装置１２として働く画像センサによって前方車両が検知されるとともに、白線（車線）が検知されて外界状況が車両制御装置１５に入力される。この車両制御装置１５による運転支援機能は、スイッチ１４の操作によって作動／停止が制御される。

車両制御装置１５は、モード決定部３１、縦制御部３２及び横制御部３３を備えている。モード決定部３１は、搭乗者による車両１１の前後方向の制御を補助あるいは代替する縦方向制御（ＡＣＣ：車間制御、ＡＳＣＤ：車速制御）と、横方向の制御を補助あるいは代替する横方向制御（ＬＫ：車線維持制御）の制御モードを決定するものである。

縦制御部３２は、縦方向制御を行うために、走路状況に基づいて車両１１を制駆動するための制駆動指令ＳＤ（制動指令ＳＤａ、駆動指令ＳＤｂ）を算出する。算出した制動指令ＳＤａと駆動指令ＳＤｂは、エンジンＥＣＵ２１とブレーキＥＣＵ２２にそれぞれ出力して、エンジン１７とブレーキ１６の制御を行う。
横制御部３３は、横方向制御を行うために、走路状況に基づいて車両１１を操舵するための操舵指令ＳＴを算出する。算出した操舵指令ＳＴは、操舵ＥＣＵ２３に出力して操舵装置１３の制御を行う。

次に、上記のような構成の車両制御装置１５における車両制御方法について、図３のフローチャートにより説明する。この図３に示す処理は、車両制御装置１５により、例えば５０ｍｓｅｃの時間間隔で繰り返し実行される。
まず、ステップＳ１０１では、車速センサ１８、ヨーレートセンサ１９及び舵角センサ２０から車両制御装置１５に、自車の挙動である車速信号ＳＰ、ヨーレート信号ＳＹ及び舵角信号ＳＡをそれぞれ読み込む。

次のステップＳ１０２では、外界認識装置１２として働く画像センサ（ステレオカメラ）により車両１１の前方を撮影し、自車が追従する前方車両の前後位置と左右位置を検出する。
ステップＳ１０３では、外界認識装置１２により撮影した映像から走行車線の白線（レーンマーカー）を認識し、車線中央からの横方向位置とヨー角度及び道路形状（曲率）を検出する。
続く、ステップＳ１０４では、複数の運転支援機能、本例では操舵制御と制駆動制御を一括してオン／オフするスイッチ１４の状態を読み取る。このスイッチ１４は、搭乗者の操作によってオンすると、車両動作中には搭乗者によるオフ操作以外（故障や異常状態を除く）では解除されないようになっている。

ステップＳ１０５では、スイッチ１４の状態、前方車両の前後位置と左右位置の検出結果、及び自車の車線中央からの横方向位置とヨー角度及び道路形状の検出結果から、縦方向制御と横方向制御のそれぞれの制御モードがどのモードかを決定する。
そして、外界認識装置１２により道路形状（例えば白線）を検出できず、且つ前方車両を検出できない場合にのみ制御を中断（スタンバイ）し、それ以外では縦方向制御と横方向制御が一緒に機能する。通常の縦方向制御では、前方車両を検出できない場合には一定車速制御を行うが、本実施形態では前方車両と道路形状の双方が検出できない場合には制御を中断し、道路形状のみ検出可能なときは一定車速制御を行うようにしている。

更に詳しく説明すると、図４に示すように、白線が有り（検出）且つ前方車両が有る（検出）場合には、車間距離制御を行うとともに車線中央維持制御を行う。また、白線が有り且つ前方車両が無い場合には、一定車速制御を行うとともに車線中央維持制御を行う。一方、白線が無く且つ前方車両が有る場合には、車間距離制御を行うとともに前方車両軌跡追従制御を行う。また、白線が無く且つ前方車両も無い場合には、縦方向制御と横方向制御を行わず、白線か前方車両が検出されるまで中断（スタンバイ）させる。そして、白線か前方車両が検出されると、白線の有無と前方車両の有無に応じて上述した制御動作に復帰する。

このように、縦方向制御と横方向制御が常に同時に機能し、そのオン／オフを車両に搭載された単一の操作部であるスイッチ１４によって行い、それ以外の手段、例えばブレーキやアクセルの操作があっても解除されない。従って、不慣れな人でも使い方が分かり易く、アクセルの操作は介入してもオフしないが、ブレーキの操作ではオフする、という分かり難さを無くすることができる。

また、車線に相当する、例えば白線を検知できる場合、または前方車両を検知できる場合には、縦方向制御と横方向制御を同時に機能させる。これに対し、車線に相当するものを検知できず、且つ前方車両を検知できない場合には、縦方向制御と横方向制御を同時に中断（スタンバイ）させる。このように、白線または前方車両を検出できれば同時に制御し、両方とも検出できなければ中断するので、制御系のしくみ（状態遷移）を理解し易い。
更に、縦方向制御の機能は、前方車両を検知している場合は車間距離制御を行い、前方車両は検知せず、車線に相当するものを検知している場合には車速制御を実行するので、この点でも制御系のしくみ（状態遷移）を理解し易い。

なお、上述したように、中断状態から前方車両のみを検知した場合には、横方向制御を所定時間だけ弱めると良い。例えば、白線と前方車両の両方が検出できない状態で、左車線または右車線から自車線に車両が合流してきた場合には、縦方向制御と横方向制御が同時に復帰するため、横方向制御に取って不利な状況から制御を開始することになる。
このような場合、白線に対する制御は直前のドライバー操作と一致しているが、前方車両に対する制御は運転者の直前の操作と一致しない場合があり、横方向の制御量が大きくなってステアリングのふらつきなどが発生し易く、違和感を覚えることがある。そこで、横方向制御を所定時間だけ弱めることで、先行する前方車両の横方向の運動に過敏に反応しなくなる。横方向制御を弱めるには、例えば操舵装置１３のアクチュエータに与える操舵トルクが小さくなるように補正し、車両制御装置１５から操舵ＥＣＵ２３に操舵指令ＳＴを出力して制御する。

更に、上述した図４に示したような縦方向制御と横方向制御において、運転者による直前のブレーキ操作とアクセル操作による車間距離と車速、及び運転者による直前のステアリング操作による操舵角などは、例えば車両制御装置１５内の記憶装置（図示せず）に記憶され、時間の経過とともに順次更新される。そして、最新の情報が各種の制御を行うための演算に用いられる。あるいは、最新の情報が必要に応じて補正されて各種の制御を行うための演算に用いられる。

ステップＳ１０６では、縦方向制御が、車間制御モード、車速制御モード及び中断モードの何れであるかが判断される。そして、縦方向制御モードが車間距離制御モードの場合にはステップ１０７へ、車速制御モードの場合にはステップ１０８へ、中断モードの場合はステップ１０９へ、それぞれ進む。

ステップＳ１０７では、車間距離の制御を行うことで、前方車両との車間を所望の距離に設定する。車間距離制御には周知の様々な制御が適用でき、例えば、外界認識装置１２により前方の走路状況を認識し、前方車両との車間距離を適切に制御する。また、必要に応じて、前方車両と自車の位置の勾配を求め、勾配により短縮あるいは増加すると予想される車間距離を算出し、予想される車間距離の変化量を反映した車間距離を目標車間距離として縦制御部３２に与える。この縦制御部３２からエンジンＥＣＵ２１とブレーキＥＣＵ２２に駆動指令ＳＤｂと制動指令ＳＤａを出力し、それぞれエンジン１７とブレーキ１６を補正制御する。

ステップＳ１０８では、車速の制御を行うことで、自車の走行車速を設定車速と一致させる。この車速制御にも周知の様々な制御が適用できる。単に、設定車速で定速走行するだけでなく、例えば第１目標速度で走行制御を行っている場合に、自車より先の所定地点において第１目標速度から第２目標速度への変更（減速）が必要であることを認識すると、第１目標速度で走行するように加速と減速を継続する。その後、エンジンブレーキをかけることで、所定地点において第２目標速度となるように自車の車速を制御できる。

ステップＳ１０９では、横方向制御が、車線中央維持モード、前方車両追従モード及び中断モードの何れであるかが判断される。横方向制御モードが車線中央維持モードの場合にはステップ１１０へ、前方車両追従モードの場合にはステップ１１１へ、中断モードの場合にはステップ１１２へ、それぞれ進む。

ステップＳ１１０では、外界認識装置１２で白線を認識し、車線中央を維持するように操舵を制御する車線中央維持制御を行うことで、車両１１が走行車線内の中央付近の走行を維持するようにする。この車線中央維持制御には周知の様々な制御が適用できる。例えば、白線に突起物が設置されている場合に、突起物が設置された白線を検知し、突起物が検知された白線への逸脱警報タイミングを通常より早期に行い、車線中央よりその白線から離れる側にオフセットした位置を目標位置とすることで車線中央維持制御を実行できる。

ステップＳ１１１では、外界認識装置１２で検出した前方車両の走行軌跡を、自車が追従するように、車両制御装置１５から操舵装置１３を制御する操舵ＥＣＵ２３に操舵指令ＳＴを出力して制御する。この前方車両追従制御には周知の様々な制御が適用できる。例えば、自車速度と前方車両との車間距離に応じて、走行軌跡の算出用に登録する前方車両の前後位置及び左右位置の登録位置を適切に調整することで、移動軌跡の推定精度を向上できる。
なお、前回の横方向制御モードが中断された場合には、操舵装置１３のアクチュエータを駆動する制御ゲインを所定時間、例えば１０秒間だけ低ゲインにすると良い。これによって、前方車両が無くなった場合に、急激に制御が中断されて運転者のステアリング操作に違和感が発生するのを抑制できる。

ステップＳ１１２では、自車のヨーレートセンサ１９など、ノイズ成分の多いセンサ値を平滑化するためのローパスフィルタ演算で用いる過去値を更新して終了する。
以上のように、搭乗者によるスイッチ１４の操作と運転を優先しつつ、違和感を持たせることなく運転支援を行うことができる。また、縦方向も横方向も同じタイミングで制御するため、直感的に分かり易い操作で、横方向制御と縦方向制御を統合的に作動させることができる。しかも、既存のセンサや制御装置を利用して、単一の操作部により複数の運転支援機能の作動と停止を制御できるので、安価にシステムを構築できる。

なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施可能である。例えば車間距離制御、車速制御、車線中央維持制御、及び前方車両追従制御の一例を挙げたが、これらに限定されるものではない。
また、外界認識装置１２に画像センサ（ステレオカメラ）を用いる場合を例に取って説明したが、レーダーやレーザーを組み合わせることでより前方車両、障害物などをより冗長でロバストに検出することが可能となる。
更に、ＧＰＳなどを用いて位置情報を検出して考慮することで、道路形状（曲率や勾配）のような車両１１の前方における走路状況を予め予測することができ、時間的な余裕を持って車両１１の操舵制御と制駆動制御を行うことができる。

１１…車両、１２…外界認識装置（外界認識部）、１３…操舵装置、１４…スイッチ（単一の操作部）、１５…車両制御装置（コントロールユニット）、１６，１６ａ〜１６ｄ…ブレーキ（制動装置）、１７…エンジン（駆動装置）、１８…車速センサ、１９…ヨーレートセンサ、２０…舵角センサ、２１…エンジンＥＣＵ、２２…ブレーキＥＣＵ、２３…操舵ＥＣＵ、３１…モード決定部、３２…縦制御部、３３…横制御部、ＳＳ…単一の支援要求信号、ＳＴ…操舵指令、ＳＩ…認識情報、ＳＤａ…制動指令、ＳＤｂ…駆動指令、ＳＤ…制駆動指令、ＳＰ…車速信号、ＳＹ…ヨーレート信号、ＳＡ…舵角信号

Claims (10)

1. 車両の操舵を行う操舵装置と、前記車両を制駆動する制駆動装置と、を備える前記車両において、前記操舵装置及び前記制駆動装置の動作を制御して搭乗者による前記車両の運転を支援するための車両制御装置であって、
   前記搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号を受信し、
   前記単一の支援要求信号に応答して、前記搭乗者による運転を支援する動作モードに移行し、
   前記動作モードにおいて、
   前記車両の外界状況を認識する外界認識部から取得された認識情報を受信し、
   前記認識情報に基づいて、前記車両の前方における走路状況を求め、
   前記走路状況に基づいて、前記車両を操舵するための操舵指令を求め、
   前記走路状況に基づいて、前記車両を制駆動するための制駆動指令を求め、
   前記操舵装置に向けて前記操舵指令を出力し、前記制駆動装置に向けて前記制駆動指令を出力する、
   車両制御装置。
2. 請求項１に記載の車両制御装置において、
   前記認識情報は、前記車両の前方を走行する前方車両に関する情報と、前記車両の前方の走路形状に関する情報と、を含み、
   前記走路状況は、前記前方車両に関する情報に基づく前記前方車両の有無と、前記走路形状に関する情報に基づく走路形状の取得の可否と、を含む、
   車両制御装置。
3. 請求項２に記載の車両制御装置において、
   前記前方車両が有りの場合は、前記車両と前記前方車両との車間距離に基づいて前記制駆動指令を求め、
   前記前方車両が無しの場合は、所定の速度を維持するための制駆動指令を求める、
   車両制御装置。
4. 請求項３に記載の車両制御装置において、
   前記走路形状の取得が可の場合は、前記走路形状に沿った走行をするための前記操舵指令を求め、
   前記前方車両が有り、前記走路形状の取得が不可の場合は、前記前方車両の走行経路に追従するための前記操舵指令を求める、
   車両制御装置。
5. 請求項２に記載の車両制御装置において、
   前記前方車両が無く、前記走路形状の取得が不可の場合は、前記操舵指令及び前記制駆動指令の出力を抑止する、
   車両制御装置。
6. 請求項２に記載の車両制御装置において、
   前記操舵指令及び前記制駆動指令の出力を抑止された状態から、前記前方車両が有り、前記走路形状の取得が不可に移行された場合は、
   前記車両と前記前方車両との車間距離に基づいて前記制駆動指令を求め、
   前記前方車両の走行経路に追従するための前記操舵指令を、前記移行の後の所定時間は緩やかな追従となるように求める、
   車両制御装置。
7. 請求項１に記載の車両制御装置において、
   前記搭乗者からの運転の支援の中止を要求する単一の支援中止信号を受信し、
   前記単一の支援中止信号の受信に応答して、前記動作モードでの処理を終了する、
   車両制御装置。
8. 請求項１に記載の車両制御装置において、
   前記単一の支援要求信号は、前記車両に搭載された単一の操作部のオン操作によって生成される信号である、
   車両制御装置。
9. 車両の操舵を行う操舵装置と、前記車両を制駆動する制駆動装置と、を備える前記車両において、前記操舵装置及び前記制駆動装置の動作を制御して搭乗者による前記車両の運転を支援するための車両制御方法であって、
   前記搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号を受信し、
   前記単一の支援要求信号に応答して、前記搭乗者による運転を支援する動作モードに移行し、
   前記動作モードにおいて、
   前記車両の外界状況を認識する外界認識部から取得された認識情報を受信し、
   前記認識情報に基づいて、前記車両の前方における走路状況を求め、
   前記走路状況に基づいて、前記車両を操舵するための操舵指令を求め、
   前記走路状況に基づいて、前記車両を制駆動するための制駆動指令を求め、
   前記操舵装置に向けて前記操舵指令を出力し、前記制駆動装置に向けて前記制駆動指令を出力する、
   車両制御方法。
10. 車両の外界状況を認識する外界認識部と、
    前記車両の操舵を行う操舵装置と、
    前記車両を制駆動する制駆動装置と、
    前記操舵装置及び前記制駆動装置の動作を制御して搭乗者による前記車両の運転を支援するためのコントロールユニットであって、
    前記搭乗者からの運転の支援を要求する単一の支援要求信号を受信し、
    前記単一の支援要求信号に応答して、前記搭乗者による運転を支援する動作モードに移行し、
    前記動作モードにおいて、
    前記車両の外界状況を認識する外界認識部から取得された認識情報を受信し、
    前記認識情報に基づいて、前記車両の前方における走路状況を求め、
    前記走路状況に基づいて、前記車両を操舵するための操舵指令を求め、
    前記走路状況に基づいて、前記車両を制駆動するための制駆動指令を求め、
    前記操舵装置に向けて前記操舵指令を出力し、前記制駆動装置に向けて前記制駆動指令を出力する、
    前記コントロールユニットと、
    を備える車両制御システム。