JP3796826B2 - 水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の製造法 - Google Patents

水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の新規にして有用なる製造法に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、加水分解性シリル基・酸基併有する重合体と、あるいは加水分解性シリル基・酸基と、さらには、これらの両基以外の官能基をも併有する重合体
【0003】
一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を必須成分として含む、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を混合し、前記加水分解性シリル基及び前記加水分解性基を加水分解縮合させて得られる、前記珪素化合物の加水分解縮合物であるポリシロキサンと前記重合体とからなる樹脂を、塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の製造法に関し、
【0004】
とりわけ、光沢保持性、耐雨垂れ汚染性ならびに耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久性をはじめとして、とりわけ、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐水性などの諸性能にも優れる塗膜を形成することが出来て、しかも、優れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備した水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の製造法にも関する。
【0005】
【従来の技術】
これまでにも、塗料用の水性硬化性樹脂組成物としては、塩基性基または酸基と、水酸基のような、いわゆる官能基とを併有するビニル系重合体を、酸性化合物または塩基性化合物で以て中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液と、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂またはアミノ樹脂のような、種々の硬化剤とから成るという形の水性硬化性樹脂組成物が、幅広く、使用されている。
【0006】
しかしながら、こうした、今までに使用されて来た水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液をベースとする水性硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、とりわけ、曝露時の光沢保持性、耐雨垂れ汚染性ならびに耐酸性雨性などの耐久性が不十分であり、したがって、高度の耐久性などが要求されるような用途には、全くと言ってよいほど、利用し適用することが出来ない、という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、本発明者らは、上述したような従来型技術における種々の問題点を、悉く解決するべく、鋭意、研究を開始した。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、とりわけ、光沢保持性、耐雨垂れ汚染性ならびに耐酸性雨性などの、いわゆる耐久性などに優れた硬化物を与えることが出来るし、しかも、硬化性や保存安定性などにも優れるという、新規にして有用なる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、
【0010】
加水分解性シリル基および酸基を併有する重合体、あるいは加水分解性シリル基および酸基と、さらに、これらの両基以外の官能基をも併有する重合体と、一分子中に3個の珪素 原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を必須成分として含む、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を混合し、前記加水分解性シリル基及び前記加水分解性基を加水分解縮合させて得られる、前記珪素化合物の加水分解縮合物であるポリシロキサンと前記重合体とからなる樹脂を、塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液が、とりわけ、硬化性ならびに保存安定性などに優れるものであるということを見出し、
【0011】
ひいては、上述したような発明が解決しようとする課題を、見事に、解決することが出来るということを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0012】
すなわち、本発明は、基本的には、加水分解性シリル基および酸基を併有する重合体(a−1)と、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物、又は前記一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物と分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物とを含む混合物(b)とを混合し、前記重合体(a−1)中の加水分解性シリル基及び前記珪素化合物又は珪素化合物を含む混合物中の加水分解性基を加水分解縮合させることにより、ポリシロキサンと前記重合体(a−1)とからなる樹脂(A−1)を得た後、得られた樹脂(A−1)を塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)の製造法を提供しようとするものであるし、
【0013】
そして、加水分解性シリル基および酸基と、これらの両基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)と、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物、又は前記一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物と分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物とを含む混合物(b)とを混合し、前記重合体(a−2)中の加水分解性シリル基及び前記珪素化合物又は珪素化合物の混合物中の加水分解性基を加水分解縮合させることにより、ポリシロキサンと前記重合体(a−2)とからなる樹脂(A−2)を得た後、得られる樹脂(A−2)を塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−II)の製造法をも提供しようとするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、それぞれ、一つには、加水分解性シリル基および酸基を併有する重合体(a−1)と、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物、又は前記一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物と分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物とを含む混合物(b)とを混合し、前記重合体(a−1)中の加水分解性シリル基及び前記珪素化合物又は珪素化合物を含む混合物中の加水分解性基を加水分解縮合させることにより、ポリシロキサンと前記重合体(a−1)とからなる樹脂(A−1)を得た後、得られた樹脂(A−1)を塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)の製造法を提供しようとするものであるし、
【0017】
二つには、加水分解性シリル基および酸基と、これらの両基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)と、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物、又は前記一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物と分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物とを含む混合物(b)とを混合し、前記重合体(a−2)中の加水分解性シリル基及び前記珪素化合物又は珪素化合物の混合物中の加水分解性基を加水分解縮合させることにより、ポリシロキサンと前記重合体(a−2)とからなる樹脂(A−2)を得た後、得られる樹脂(A−2)を塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−II)の製造法をも提供しようとするものである。
【0032】
さらに、本発明は、それぞれ、前記した両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基および次のような構造式(S−I)
【0033】
【化2】
Figure 0003796826
【0034】
で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基であるという形の水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の斬新なる製造法をも請求しようとするものであるし、
【0035】
さらに亦、本発明は、前記した加水分解性シリル基がアルコキシシリル基であるという形の水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の斬新なる製造法をも請求しようとするものであるし、
【0036】
さらには亦、前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(b)が、それぞれ、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシランおよびジオルガノジアルコキシシランよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランであるという形の水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の斬新なる製造法をも請求しようとするものであるし、
【0037】
あるいは前記した珪素原子に結合した加水分解性基がアルコキシ基であるという形の水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の斬新なる製造法をも請求しようとするものであるし、
【0038】
あるいは亦、それぞれ、前記した重合体(a−1)または(a−2)が、共に、ビニル系重合体であるという水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の斬新なる製造法をも請求しようとするものであるし、
【0039】
そして、前記したビニル系重合体がアクリル系重合体であるという水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液の斬新なる製造法をも請求しようとするものである。
【0048】
以下に、本発明を、さらに一層詳細に、説明するということにする。
【0049】
ここにおいて、まず、本発明に係る水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液それ自体の前駆体である、前記した樹脂(A−1)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基および酸基を併有する重合体(a−1)とは、それぞれ、加水分解性シリル基と、酸基とを併有する重合体を指称するものであるし、また、斯かる加水分解性シリル基とは、一般式(S−II)
【0050】
【化3】
Figure 0003796826
【0051】
(ただし、式中のR1 はアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R2 はハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0052】
で示されるような、加水分解されてシラノール基を生成する基を指称するものであって、該加水分解性シリル基は、直接にか、あるいはシロキサン結合を介して、炭素原子と共有結合するということによって、重合体(a−1)に結合しているものであるとする。
【0053】
また、ここでいう酸基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、カルボキシル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スルホン酸基またはスルフィン酸基で代表されるような、各種の遊離の酸基に加えて、カルボン酸無水基、燐酸無水基、スルホン酸無水基またはカルボン酸−スルホン酸混合酸無水基で代表されるような酸無水基などであるし、
【0054】
さらには、たとえば、シリルエステル基、tert−ブチルエステル基または1−アルコキシエチルエステル基のような、容易に、遊離の酸基に変換され得るエステル基の形で以てブロックされた、それぞれ、カルボキシル基、リン酸基、酸性燐酸エステル基、亜リン酸基もしくはスルホン酸基で代表されるような、各種のブロックされた酸基などである。
【0055】
前記したような各種の酸基のうちでも特に望ましく代表的なもののみを例示するにとどめれば、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基などである。
【0056】
斯かる重合体(a−1)として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体のような、各種のビニル系重合体などであるし、さらには、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体などである。
【0057】
これらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれ、ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体などであるし、さらに、斯かるビニル重合体のうちでも特に望ましいものとしては、アクリル系重合体である。
【0058】
斯かる重合体(a−1)のうちの、まず、上記したビニル系重合体を調製するには、(i) 加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基のような、いわゆる酸基を有するビニル系単量体などの、各種の酸基含有ビニル系単量体とを共重せしめたり、このような両タイプ(二タイプ)の単量体類と、これらの単量体類と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法;
【0059】
(ii) 予め調製しておいた、水酸基と酸基とを併有するビニル系重合体に、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランの如き、各種のイソシアナート基含有シラン化合物を反応せしめるという方法;
【0060】
(iii) メルカプト基と加水分解性シリル基とを併有する連鎖移動剤を使用して、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基のような酸基を有するビニル系単量体などの、各種の酸基含有ビニル系単量体を重合せしめたり、これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法;
【0061】
(iv) メルカプト基と加水分解性シリル基とを併有する連鎖移動剤を使用して、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基のような酸基を有するビニル系単量体などの、各種の酸基含有ビニル系単量体とを共重せしめたり、前記した二タイプの単量体類と、これらの単量体類と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法;
【0062】
(v) 加水分解性シリル基を有する重合開始剤を使用して、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基のような酸基を有するビニル系単量体などの、各種の酸基含有ビニル系単量体を重合せしめたり、これらの単量体類と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法;あるいは
【0063】
(vi) 加水分解性シリル基を有する重合開始剤を使用して、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基のような酸基を有するビニル系単量体などの、各種の酸基含有ビニル系単量体とを共重せしめたり、前記した二タイプの単量体類と、これらの単量体類と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法などのような、公知慣用の種々の方法を利用し適用することが出来るが、
【0064】
これらのうちでも、特に、上記(i)なる方法によるのが、最も簡便である。
【0065】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とは、前掲した構造式(S−II)で示されるような加水分解性シリル基を有するという単量体であって、斯かる単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくは3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル
【0066】
または3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランなどである。
【0067】
重合体(a−1)を調製する際に使用される、酸基含有ビニル系単量体のうちの、遊離のカルボキシル基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0068】
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルの如き、各種の不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
【0069】
無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の、飽和ポリカルボン酸の無水物類と、後掲するような各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られるような種々の単量体類などである。
【0070】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、酸基を有する単量体のうちの、ブロックされたカルボキシル基を有する単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレートもしくはトリメチルシリルクロトネートの如き、特開昭62−254876号公報に開示されているような各種のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0071】
1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンもしくは2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフランの如き、特開平5−222134号公報に開示されているような各種のヘミアセタールエステル基ないしはヘミケタールエステル基を有する単量体類;またはtert−ブチル(メタ)アクリレートもしくはtert−ブチルクロトネートの如き、各種のtert−ブチルエステル基含有単量体類などである。
【0072】
重合体(a−1)を調製する際に使用される、酸基を有する単量体のうちの、カルボン酸無水基を有する単量体として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種の、不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸の如き、各種の、不飽和モノカルボン酸の無水物類;またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸もしくは安息香酸などのような、種々の飽和カルボン酸との混合酸無水物などである。
【0073】
そしてまた、前述した(i)の方法に従って、当該ビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用することの出来る、加水分解性シリル基含有単量体および酸基含有ビニル系単量体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0074】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なる炭素数の1級ないしは2級アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル類;
【0075】
ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレートもしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0076】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;
【0077】
クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種の、クロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各種の、不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0078】
(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0079】
またはエチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくは4−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;
【0080】
あるいはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジンまたはN−ビニルピロリドンの如き、各種の3級アミド基含有単量体類;
【0081】
あるいは亦、メトキシポリエチレングリコールもしくはメトキシポリプロピレングリコールの如き、1分子中に1個の水酸基を有するポリエーテル類と、(メタ)アクリル酸とのエステル類のような、各種の含ポリエーテル含有単量体類などである。
【0082】
以上に掲げられたような種々の単量体類を用いて、当該ビニル系重合体(a−1)を調製するには、溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのような、公知慣用の種々の重合法を利用し適用することが出来るが、それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便である。
【0083】
斯かる溶液ラジカル重合法を利用し適用する際に使用できる重合開始剤としては、勿論ながら、公知慣用の種々の化合物を使用することが出来るけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0084】
2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0085】
またはtert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、
【0086】
ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などである。
【0087】
また、斯かる溶液ラジカル重合法を利用し適用する際に使用できる有機溶剤としては、公知慣用の種々の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0088】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしくはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式系の炭化水素類;
【0089】
トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルもしくは酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
【0090】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコールもしくはtert−アミルアルコール
【0091】
またはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルもしくはエチレングリコールモノn−ブチルエーテルの如き、各種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトンもしくはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0092】
あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類などであるし、さらには、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0093】
当該重合体(a−1)を調製する際に、上掲したような酸基含有単量体の使用量が多くなると、重合時において、ゲル化を惹起することが、屡々あるので、注意を要する。
【0094】
こうしたゲル化を防止するためには、エチルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネートまたはメチルオルソフォーメイトの如き、各種の加水分解性エステル類を、前記した有機溶剤類と併用するようにすればよい。
【0095】
以上に掲げたような、それぞれ、単量体類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用し、公知慣用の溶液ラジカル重合法を利用し適用することによって、目的とする加水分解性シリル基および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)を調製することが出来る。
【0096】
本発明に係る水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−II)の前駆体である、前記した樹脂(A−2)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基および酸基と、これらの両基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)とは、前記したような加水分解性シリル基と、前記したような酸基とに加えて、これらの両基以外の公知慣用の種々の官能基をも含有するという形の重合体を指称するものである。
【0097】
斯かる重合体(a−2)中に導入するべき酸基としては、前述した重合体(a−1)中に導入し得るものとして例示したような各種の基が挙げられるが、それらのうちでも特に望ましく、しかも、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基などである。
【0098】
さらに、当該重合体(a−2)中に導入するべき、これらの加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、水酸基、ブロックされた水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基、オキサゾリン基、カルボニル基、アセトアセチル基または次のような構造式(S−I)
【0099】
【化4】
Figure 0003796826
【0100】
で示される官能基などが挙げられる。
【0101】
そして、上記した2級アミド基は、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基または次のような構造式(S−III)
【0102】
【化5】
−C(O)−NH−CH(OR3)−COOR4 (S−III)
【0103】
(ただし、式中のR3 は、水素原子、炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすものとし、また、R4 は、炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表すものとする。)
【0104】
で示される官能基をも包含するものである。
【0105】
また、これらの官能基は、重合体(a−2)中に1種のみを含有させてもよいし、2種以上を含有させるということも出来る。
【0106】
これらの加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の、前掲したような各種の官能基のうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれ、水酸基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基または前掲した構造式(S−I)で示されるような種々の官能基などである。
【0107】
斯かる各種の官能基を有する重合体(a−2)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビニル系重合体などをはじめ、さらには、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体などである。
【0108】
これらのうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめれ、ビニル系重合体およびポリウレタン系重合体などであるし、さらに、斯かるビニル重合体のうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体である。
【0109】
また、当該重合体(a−2)のうちの、此のビニル系重合体を調製するには、公知慣用の種々の方法を利用し適用することが出来るが、それらのううちでも、たとえば、水酸基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基または前掲したような構造式(S−I)で示される官能基の如き、加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の各種官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する単量体と、
【0110】
加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、酸基含有単量体との、いわゆる三タイプの官能基を有する単量体類を共重合せしめるという方法であるとか、あるいは前記した三タイプの官能基を有する単量体類に加えて、これらと共重合可能なる其の他のビニル系単量体類とを共重合せしめるとう方法が、とりわけ、簡便であるので推奨する。
【0111】
こうした諸方法によって、当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体、酸基含有単量体および此等と共重合可能なる其の他のビニル系単量体として特に代表的なるものは、前記したビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用されるものとして、それぞれにつき、既に例示しているような、各種の単量体などが挙げられる。
【0112】
また、当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、水酸基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0113】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニルエーテル類;
【0114】
2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られる、各種のポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類などであるし、
【0115】
または前掲したような各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体と、酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との付加物などであるし、
【0116】
さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)などで以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイド以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加物などのような種々の水酸基含有単量体類などである。
【0117】
当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、ブロックされた水酸基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエーテルもしくは4−トリメチルシロキシブチルビニルエーテルの如き、特開昭62−283163号公報に開示されているような、各種のシリルエーテル基含有ビニル系単量体類;
【0118】
または2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランもしくは2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメチルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報に開示されているような、各種のアセタール基ないしはケタール基含有含有ビニル系単量体類;
【0119】
あるいは3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジン、2,2−ジメチル−3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンもしくは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンの如き、各種のオキサゾリジン基含有ビニル系単量体類などである。
【0120】
当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、3級アミノ基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0121】
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0122】
ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾールもしくはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0123】
N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;
【0124】
またはN−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;
【0125】
あるいは2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0126】
当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、シクロカーボネート基を有するビニル系単量体として特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、
【0127】
2,3−カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレートもしくは7,8−カーボネートオクチル(メタ)アクリレート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートもしくはジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの如き、各種の、5員環のシクロカーボネート基含有ビニル系単量体類などであるし、
【0128】
さらには、〔5−N−(メタ)アクリロイルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エチルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン−2−オンもしくは4−(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチルスチレンの如き、各種の、6員環のシクロカーボネート基含有ビニル系単量体類などである。
【0129】
当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、エポキシ基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、種々の化合物などである。
【0130】
当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、1級ないしは2級アミド基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルフォルムアミド、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレート、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドまたは2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エステル類との付加反応物の如き、各種の化合物などである。
【0131】
当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、カーバメート基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0132】
N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メチル、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸エチル、N−〔2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルカルバミン酸エチル、2−カルバモイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(N−メチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートもしくは3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと、2−ヒドロキシプロピルカーバメートとの付加反応物;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、フェノールとの付加反応物;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、エタノールとの付加反応物;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、メチルエチルケトオキシムとの付加反応物の如き、各種の化合物などである。
【0133】
また、当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、前掲した構造式(S−I)で示される官能基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートもしくは3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの如き、各種のイソシアナート基を有するビニル系単量体と、ε−カプロラクタムもしくはγ−ブチロラクタムの如き、各種のアミド化合物との付加反応物の如き、各種の化合物などである。
【0134】
さらに、当該ビニル系重合体(a−2)を調製する際に使用される、前記した官能基の2種以上の官能基を併有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、モノ−(2−ヒドロキシエチル)イタコネートまたはモノ−(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの単量体如き、各種の化合物などである。
【0135】
以上に掲げたような、それぞれ、加水分解性シリル基含有単量体と、酸基含有単量体と、これらの両基以外の官能基を有する単量体と、さらに必要に応じて、これらの諸々の単量体類と共重合可能なる其の他の単量体類とを使用して、当該ビニル系重合体(a−2)を調製するには、
【0136】
前述したビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用されるものとして既に例示しているような、溶剤類、重合開始剤、さらには、必要に応じて、重合時のゲル化を防止するための、前掲したような各種の加水分解性エステル類などを使用して、公知慣用の種々の方法で、就中、溶液ラジカル重合法に従って、共重合せしめるというようにすればよい。
【0137】
以上に掲げたような、単量体類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジカル重合法を利用し適用することによって、目的とする、加水分解性シリル基および酸基と、これらの両基以外の官能基とを併有するビニル系重合体(a−2)を調製することが出来る。
【0138】
上述のようにして調製される、それぞれ、ビニル系重合体(a−1)または(a−2)中に導入されるべき加水分解性シリル基の量としては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当たり、0.005〜3モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
【0139】
0.005モル未満の場合には、本発明により得られる樹脂を主成分とする水性硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の、とりわけ、耐久性などが低下するようになるし、一方、3モルを超えて余りにも多くなる場合には、前記した加水分解縮合反応時の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化を惹起してしまうなどの不都合があるので、いずれの場合も好ましくない。
【0140】
また、ビニル系重合体(a−1)または(a−2)中に導入されるべき酸基量としては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当たり、0.05〜13.5モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、0.07〜7.0モルなる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、0.1〜2.0モルなる範囲内が適切である。
【0141】
さらに、ビニル系重合体(a−2)中に導入されるべき、水酸基;ブロックされた水酸基;3級アミノ基;シクロカーボネート基;エポキシ基;1級アミド基;2級アミド基;カーバメート基;または前掲した構造式(S−I)で示されるような官能基などにより代表される、加水分解性シリル基および酸基以外の官能基のうちの少なくとも1種の官能基の量としては、ビニル系重合体(a−2)の固形分の1,000グラム当たり、0.1〜5モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、0.2〜3モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜2モルなる範囲内が適切である。
【0142】
5モルを超えて余りにも多くなる場合には、どうしても、硬化物の、とりわけ、耐水性ならびに耐薬品性などが低下するようになるので、好ましくない。
【0143】
また、ビニル系重合体(a−1)または(a−2)の数平均分子量としては、500〜100,000なる範囲内が、好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好ましくは、1,500〜30,000なる範囲内が適切である。
【0144】
ビニル系重合体(a−1)または(a−2)の数平均分子量が、500未満の場合には、どうしても、とりわけ、硬化性や、硬化物の機械的強度などが劣るようになるし、一方、100,000を超えて余りにも高くなるというような場合には、どうしても、本発明により得られる樹脂を主成分とする水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、塗装作業性にも劣るようになったり、また、硬化塗膜の、とりわけ、外観が低下したりするので、いずれの場合も好ましくない。
【0145】
また、ビニル系重合体(a−1)として、重合性不飽和二重結合を有する、それぞれ、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在下に、加水分解性シリル基含有単量体と、酸基含有単量体とを必須成分とする単量体混合物をラジカル重合せしめることによって得られる、加水分解性シリル基および酸基を併有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用することも出来る。
【0146】
さらに、ビニル系重合体(a−2)として、重合性不飽和二重結合を有する、それぞれ、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在下に、加水分解性シリル基含有単量体と、酸基含有単量体と、これらの両基以外の官能基を有する単量体とを、必須成分とする単量体混合物をラジカル重合せしめることによって得られる、加水分解性シリル基および酸基と、これらの両基以外の官能基を有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用することも出来る。
【0147】
重合体(a−1)のうちの、まず、ポリウレタン樹脂(a−1)を調製するには、各種のジヒドロキシ化合物と、各種のジイソシアネート化合物とに加えて、加水分解性シリル基を有するジアミン化合物または加水分解性シリル基を有するモノアミン化合物、さらには、ジメチロールプロピオン酸もしくはジメチロールブタン酸の如き、各種の酸基を有するジヒドロキシ化合物などのような、公知慣用の種々の原料成分を使用して、特開昭51−90391号公報、特開昭55−73729号公報または特開昭60−255817号公報に記述されているような諸々の方法を利用し適用するというようにすればよい。
【0148】
また、重合体(a−2)のうちの、まず、ポリウレタン樹脂を調製するには、前述したポリウレタン系重合体(a−1)を調製する際に使用されるものとして上に掲げたような公知慣用の種々の原料類に加えて、加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の、前記したような各種の官能基を含有し、しかも、イソシアネート基と反応する活性水素を有する基を、1個ないしは2個、有するような化合物を原料成分として使用し、公知慣用の種々の方法を利用し適用するというようにすればよい。
【0149】
こうしたポリウレタン系重合体(a−2)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基および酸基なる、これらの両基以外の、前記したような各種の官能基を有し、しかも、イソシアネート基と反応する活性水素を有する基を、1個ないしは2個、有するような化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、グリシドール、N−メチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチルカーバメートまたは2−ヒドロキシプロピルカーバメートの如き、各種の官能基と水酸基とを併有する化合物などである。
【0150】
前述したような方法で調製される、それぞれ、ポリウレタン系重合体(a−1)または(a−2)中に導入されるべき加水分解性シリル基量としては、それぞれの重合体の固形分1,000グラム当たり、0.005〜3モルなる範囲内が、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
【0151】
0.005モル未満の場合には、どうしても、本発明より得られる樹脂を主成分とする水性硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の、とりわけ、耐久性などが低下するようになるし、一方、3モルを超えて余りにも多くなるというような場合には、前記した加水分解縮合反応時の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化が起きてしまうなどの不都合があるので、いずれの場合も好ましくない。
【0152】
また、これらのポリウレタン系重合体(a−1)または(a−2)中に導入されるべき酸基の量としては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当たり、0.07〜5.0モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、0.07〜2.0モルなる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、0.1〜0.7モルなる範囲内が適切である。
【0153】
さらに、ポリウレタン系重合体(a−2)中に導入されるべき、加水分解性シリル基および酸基なる、これらの両基以外の官能基の少なくとも1種の量としては、ポリウレタン系重合体(a−2)の固形分の1,000グラム当たり、0.1〜5モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.2〜3モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜2モルなる範囲内が適切である。
【0154】
また、これらのポリウレタン系重合体(a−1)または(a−2)の数平均分子量としては、500〜100,000なる範囲内が、好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好ましくは、1,500〜30,000なる範囲内が適切である。
【0155】
ポリウレタン系重合体(a−1)または(a−2)の数平均分子量が、500未満の場合には、どうしても、とりわけ、硬化性や、硬化物の機械的強度などが劣るようになるし、一方、100,000を超えて余りにも高くなるというような場合には、どうしても、本発明により得られる樹脂を主成分とする水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、塗装作業性にも劣るようになったり、また、硬化塗膜の、とりわけ、外観が低下したりするので、いずれの場合も好ましくない。
【0156】
本発明において用いられる樹脂(A−1)および(A−2)を調製する際に使用される他方の成分である、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(b)とは、一般的に、たとえば、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物を指称するものである。
【0157】
ここにおいて、珪素原子に結合した加水分解性基とは、珪素原子に結合した、それぞれ、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基の如き、加水分解されて、シラノール基を生成する基を指称するものである。
【0158】
斯かる珪素化合物(b)としては、一分子に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する3官能シラン化合物を必須成分として含有するものではあるが、その他、公知慣用のいずれの化合物も使用できる。それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のような一般式(S−IV)
【0159】
【化6】
5 bSiR6 (4-b) (S−IV)
【0160】
(ただし、式中のR5 は、それぞれ、置換基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の有機基を、R6 はハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、bは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0161】
で以て示されるモノシラン化合物;
【0162】
あるいは
【0163】
【化7】
(CH3 CH2O)3 SiCH2 CH2 Si(OCH2 CH33
【0164】
または
【0165】
【化8】
(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 CH2 Si(OCH2 CH33
【0166】
などのような、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0167】
前掲したような一般式で示されるモノシラン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランもしくはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン類;
【0168】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシランもしくはn−ブチルトリエトキシシラン、
【0169】
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメトキシシランまたは
【0170】
2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシシラン類;
【0171】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランもしくはジ−n−ブチルジエトキシシランまたは
【0172】
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテルもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;
【0173】
あるいはテトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランの如き、各種のクロロシラン類などであるし、
【0174】
さらには、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセトキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類などである。
【0175】
これらの加水分解性基を有する珪素化合物のうちで、樹脂(A−1)および(A−2)を調製する際に使用される必須のものとしては、オルガノトリアルコキシシランであり、その他テトラアルコキシシラン、またはジオルガノジアルコキシシランなどのアルコキシシラン類などであるし、さらには、各種のクロルシラン類などである。
【0176】
また、当該珪素化合物(b)として、テトラエトキシシランで以て代表されるような、いわゆる4官能珪素化合物を使用する際には、重合体(a−1)または(a−2)の存在下における加水分解縮合反応時のゲル化防止;ならびに塩基性化合物による中和反応中のゲル化防止などのためにも、3官能珪素化合物と共に2官能の珪素化合物を併用するということが望ましい。
【0177】
さらに、これらの樹脂(A−1)および(A−2)を調製する際には、前掲したような各種の珪素化合物に加えて、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシランまたはトリフェニルクロロシランの如き、一分子中に、珪素原子に結合した加水分解性基を1個のみ有する、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用することが出来る。
【0178】
上述したような珪素化合物(b)の中でも、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)および(A−II)の安定性の点からは、樹脂(A−1)および(A−2)を調製する際に使用する全珪素化合物のうちの10モル%以上が、好ましくは、20モル%以上が、さらに好ましくは、40モル%以上が、フェニルトリメトキシシランまたはメチルフェニルジメトキシシランの如き、アリール基と加水分解性基とが共に結合した珪素原子を有する珪素化合物であること適切である。
【0179】
また、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)および(A−II)の硬化性と、該水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液を含有する水性硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の、とりわけ、耐久性の面からは、樹脂(A−1)および(A−2)を調製する際に使用する全珪素化合物のうちの10モル%以上が、好ましくは、20モル%以上が、さらに好ましくは、30モル%以上が、メチルトリアルコキシシラン類、メチルトリクロロシラン、フェニルトリアルコキシラン類またはフェニルトリクロロシランの如き、いわゆる3官能シラン化合物であることが適切である。
【0180】
次いで、前記した重合体(a−1)または(a−2)の存在下における、当該珪素化合物(b)の加水分解縮合反応による、それぞれ、樹脂(A−1)または(A−2)の調製方法について述べる。
【0181】
これらの樹脂(A−1)または(A−2)の調製に際して、重合体(a−1)または(a−2)と、珪素化合物(b)との使用割合は、[(a−1)または(a−2)]:(B)なる重量部比で以て、5:95〜99:1程度となるように、好ましくは、15:85〜95:5、さらに好ましくは、20:80〜85:15となるように設定するのがよい。
【0182】
重合体(a−1)または(a−2)の重量割合が約5%未満になるように設定すると、どうしても、該珪素化合物(b)に由来するシリコン成分が多すぎるために、耐アルカリ性に乏しい硬化塗膜が得られるというようになってしまうし、一方、重合体(a−1)または(a−2)の重量割合が約99%を超えて余りにも多くなるというような場合には、どうしても、珪素化合物(b)に由来するシリコン成分が少なすぎるために、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が得られ難くなって来るので、いずれの場合も好ましくない。
【0183】
こうした重合体(a−1)または(a−2)の存在下における、当該珪素化合物(b)の加水分解縮合反応を行なうに当たり、触媒を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、これらの加水分解縮合反応を容易に進行させる上からは、触媒を使用することが望ましい。
【0184】
ここにおいて、触媒を使用する場合には、公知慣用の種々の触媒のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0185】
斯かる触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0186】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0187】
鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如き、各種の金属のナフテン酸塩あるいはオクチル酸塩の如き、各種の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセトネートの如き、各種のアルミニウム化合物;
【0188】
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミンもしくはジメチルベンジルアミンまたは
【0189】
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールもしくは1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のアミン化合物類;
【0190】
テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩もしくはo−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種の4級アンモニウム塩類であって、
【0191】
さらには、代表的なる対アニオンとして、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類などである。
【0192】
使用される触媒の量としては、加水分解縮合反応に供される珪素化合物(b)に対して、0.000001〜10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.000005〜5重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.00001〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0193】
また、前記反応に用いられる水の量としては、斯かる珪素化合物(b)の珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、0.05モル以上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0194】
0.05モル未満の場合には、どうしても、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用上、好ましくないけれども、此の水の量が、5モルとか、10モルとか、珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、大過剰となるように使用することは、一向に、支障が無い。
【0195】
そして、これらの触媒および水の添加は、一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水とを混合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加してもよいことは、勿論である。
【0196】
斯かる反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧と、加圧または減圧下との、いずれの条件においても行なうことが出来る。
【0197】
そして、斯かる反応の副生成物である、アルコールや水などが、引き続いて行なわれる重合体(A−1)および(A−2)の塩基性化合物による中和反応や、得られる水性硬化性樹脂組成物の安定性などに対して問題を起こすようであるならば、蒸留などの手段によって、系外に除くということが出来るし、問題が無ければ、そのまま、系内に存在させておいて、一向に、支障は無い。
【0198】
また、斯かる反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌などが、容易に行なえるようにするためにも、有機溶剤を使用することが望ましい。
【0199】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0200】
その際に使用される有機溶剤としては、ビニル系重合体(a−1)および(a−2)を調製する際に使用できるものとして既に前掲しているような種々の化合物を使用することが出来る。そして、斯かる有機溶剤を使用して、重合体(a−1)または(a−2)の存在下に、珪素化合物(b)の加水分解縮合反応を行なう際には、重合体(a−1)または(a−2)と、該珪素化合物(b)との、前記有機溶剤中における濃度としては、両者成分の合計量を基準として、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0201】
このようにして調製される、樹脂(A−1)または(A−2)中に含まれる酸基を、塩基性化合物で以て、部分的に、あるいは完全に中和反応せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめるということによって、それぞれ、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)および(A−II)が調製される。
【0202】
斯かる中和反応の際に使用される上記した塩基性化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ル、2−アミノエタノ−ルもしくは2−ジメチルアミノエタノ−ルなどで以て代表されるような、各種の有機アミン化合物;
【0203】
アンモニアをはじめ、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどで以て代表されるような、各種の無機塩基性物質;またはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイドもしくはトリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドなどで以て代表されるような、各種の第四級アンモニウムハイドロオキサイド類などである。
【0204】
このような各種の塩基性化合物のうちでも、アンモニアおよび各種の有機アミン類の使用が、特に望ましい。
【0205】
そして、斯かる塩基性化合物の添加量としては、少なくとも、前記した樹脂(A−1)または(A−2)に対し、水分散性を付与することが可能なる量であり、前記した樹脂(A−1)または(A−2)中に含まれる酸基の当量数に対する、当該塩基性化合物の当量数の比率、
【0206】
つまり、当該塩基性化合物/[前記樹脂(A−1)または(A−2)の酸基]なる当量比で以て、0.1以上となるのが適切ではあるが、塗膜諸性能を損なわないような範囲の量として、好ましくは、概ね、0.1〜3なる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、0.3〜2なる範囲内が適切である。
【0207】
斯かる中和反応は、水の存在下で行なってもよいし、また、水が存在しない状態で行なってもよいが、水が存在しない状態では、重合体(a−1)、重合体(a−2)あるいは珪素化合物(b)の種類や組成など、さらには、中和反応の条件などによって、中和反応時に溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化が起きてしまうという場合もあるので、注意を要する。
【0208】
こうした問題が生じる場合には、中和反応を、水の共存下で行なうことが、特に望ましく、この際に添加される水の量は、前記した樹脂(A−1)または(A−2)の固形分1000グラムに対して、100グラム以上、好ましくは、200グラム以上、さらに好ましくは500グラム以上なる比率に設定するというが適切である。
【0209】
そして、斯かる中和反応を行なう際の塩基性化合物および水の添加方法は、一括添加でも、分割添加でもよいし、また、別々に、添加してもよいことは、勿論であるが、特に、塩基性化合物と水とを混合した形で以て添加するというのが最適である。
【0210】
こうした中和反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、斯かる反応の圧力としては、常圧と、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行なうことが出来る。
【0211】
このようにして調製される、それぞれ、樹脂(A−1)または(A−2)の中和反応物から、それぞれ、前記した水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)を調製するには、公知慣用の種々の方法を利用し適用することが出来る。たとえば、(A−1)または(A−2)の中和反応物に対して、単に、水を添加せしめるか、あるいは(A−1)または(A−2)の中和反応物を、水に対して加えるということによって、水中に分散せしめるか、あるいは溶解せしめことによって、それぞれ、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)を製造することが出来る。
【0212】
また、前記したように、中和反応を多量の水の存在下で行なう場合には、中和反応終了後に、殊更に、水を添加せずとも、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液を得ることが可能である。
【0213】
さらにまた、必要に応じて、このようにして調製される水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中に含まれる有機溶剤を、加熱および/または減圧によって、部分的に、あるいは完全に除去することによって、有機溶剤の含有率が低いか、あるいは有機溶剤を含有しない水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)を調製することが出来る。
【0214】
このようにして調製される水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)中に含まれる官能基は、重合体(a−1)と、珪素化合物(b)とに由来するシラノール基であり、場合によっては含有される処となる、珪素原子に結合した加水分解性基であり、さらには、重合体(a−1)に由来する遊離の酸基と、塩基性化合物により中和された酸基とである。
【0215】
上述したようにして調製される水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−II)中に含まれる官能基は、重合体(a−2)と、珪素化合物(b)とに由来する、シラノール基と、場合によっては含有される処となる、珪素原子に結合した加水分解性基と、重合体(a−2)に由来する遊離の酸基と、塩基性化合物により中和された酸基とに加えて、重合体(a−2)に由来する、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基または前掲した構造式(S−I)で示されるような官能基などの、加水分解性シリル基および酸基なる、これらの両基以外の官能基の、少なくとも1種のものとである。
【0216】
水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)を調製する過程で、重合体(a−1)または(a−2)に、酸基としての、ブロックした酸基あるいは酸無水基を導入したものを使用した場合には、斯かるブロックした酸基あるいは酸無水基のうちの少なくとも一部分は、樹脂(A−1)または(A−2)の調製の際の珪素化合物(b)の加水分解縮合過程で、あるいは塩基性化合物による中和過程で、加水分解、酸触媒分解、熱分解またはアルコリシスなどによって、遊離の酸基に変換されて、水性化のための親水性基として機能する。
【0217】
もし、酸基としての、前記したブロックした酸基あるいは酸無水基を導入した場合に、塩基性化合物による中和過程ののちも、水性化に必要な量の遊離の酸基が生成しない場合には、斯かる中和過程あるいは樹脂(A−2)調製の際の珪素化合物(b)の加水分解縮合過程の反応条件を厳しくするなどの措置によって、遊離の酸基に変換せしめるようにするという必要がある。
【0218】
また、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−II)を調製する際に、重合体(a−2)中に、それぞれ、ブロックされた水酸基、エポキシ基またはシクロカーボネート基などを導入した形のものを使用するというような場合には、樹脂(A−2)の調製の際の珪素化合物(b)の加水分解縮合反応の段階で以て、
【0219】
さらには、樹脂(A−2)に対する塩基性化合物を用いた中和反応の段階で以て、さらに加えて、水に対する中和反応物の分散ないしは溶解の段階で以て、これらの官能基の少なくとも一部分は、加水分解、酸触媒分解またはアルコリシスなどによって、遊離の水酸基に変換されるということもある。
【0220】
そして、斯かるブロックされた水酸基、エポキシ基またはシクロカーボネート基の種類とか、あるいは樹脂(A−2)の調製の際の珪素化合物(b)の加水分解縮合反応;該加水分解縮合反応のちに行なう中和反応;ならびに水に対する分散ないしは溶解の条件などによっては、斯かる各種の官能基は、完全に、遊離の水酸基に変換されるということもある。
【0221】
このようにして調製される水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)から、それを主成分とする水性硬化性樹脂組成物を調製するには、一つには、これらの(A−I)および(A−II)は、共に、いわゆる自己硬化性を有するものであるという処から、(A−I)または(A−II)を必須成分として含有する形の、自己硬化性の樹脂組成物とするというようにすればよいし、
【0222】
二つには、(A−I)または(A−II)に、さらに、前記した化合物(C)を配合せしめて、(A−I)または(A−II)中に含まれる官能基と、化合物(C)中に含まれる官能基との間の、いわゆる架橋反応をも利用するという形の硬化性樹脂組成物とすることも出来る。
【0223】
後者の形の硬化性樹脂組成物の調製に際して使用される、化合物(C)とは、前述した水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中に含まれる、前掲したような各種の官能基と反応する官能基を、少なくとも1種、有するという形の、公知慣用の種々の化合物を指称するものであり、こうした官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、イソシアネート基、ブロックされたイソシアネート基、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基、カルボニル基、アセトアセチル基、シラノール基、珪素原子に結合した加水分解性基または次のような構造式(S−III)
【0224】
【化9】
−C(O)−NH−CH(OR3)−COOR4 (S−III)
【0225】
(ただし、式中のR3 は水素原子、炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすものとし、また、R4 は炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表すものとする。)
【0226】
で示される官能基などが挙げられる。
【0227】
そして、斯かる化合物(C)中に含まれる官能基は、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中の水性樹脂に含まれる官能基の種類に応じて、適宜、選択されるというものであり、そうした組み合わせとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、シラノール基−シラノール基、シラノール基−アルコキシシリル基、アルコキシシリル基−アルコキシシリル基、カルボキシル基−エポキシ基、カルボキシル基−シクロカーボネート基、3級アミノ基−エポキシ基、水酸基−N−ヒドロキシメチルアミノ基または水酸基−イソシアネート基などである。
【0228】
そして、当該化合物(C)としては、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中の水性樹脂に含まれる官能基によっては、前掲したような種々の官能基のうちの2種以上を有するという形のものであってもよい。また、当該化合物(C)としては、比較的、分子量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類をも使用するということが出来る。このような樹脂類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂またはフッ素樹脂の如き、各種のビニル系重合体などをはじめ、さらには、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂などである。そして、当該化合物(C)として、前掲したような官能基を、2種以上、有するという形の化合物を使用するという場合には、当該化合物(C)としては、ビニル系重合体を使用するのが、最も簡便である。
【0229】
斯かる化合物(C)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物;一分子中にイソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する化合物;一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物;一分子中にアミノ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物;ポリイソシアネート化合物;ブロックポリイソシアネート化合物;ポリエポキシ化合物;ポリシクロカーボネート化合物;アミノ樹脂;1級ないしは2級アミド基含有化合物;ポリカルボキシ化合物;ポリヒドロキシ化合物;ポリアジリジン化合物;ポリアクリレート化合物;ポリカーボジイミド化合物;ブロックされた水酸基を有する化合物;ポリアミン化合物;少なくとも2個のカルボン酸無水基を有する化合物またはポリオキサゾリン化合物などであり、これらの諸々の化合物類は、単独使用であってもよいし、2種以上の併用であってもよいことは、勿論である。
【0230】
これらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する化合物;一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物;ポリイソシアネート化合物;ブロックポリイソシアネート化合物;ポリエポキシ化合物;ポリシクロカーボネート化合物;アミノ樹脂;1級ないしは2級アミド基含有化合物;ポリカルボキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物などである。
【0231】
前記した、珪素原子に結合した水酸基および/または加水分解性基を有する珪素化合物のうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲した一般式(S−IV)で以て示されるような珪素化合物;これらの珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物;これらの珪素化合物の1種の部分加水分解縮合により得られる部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合により得られる部分共加水分解縮合物などである。
【0232】
これらのうちでも、当該珪素化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランなどであるし、あるいは其れらの部分加水分解縮合物などであるし、さらには、それらの部分共加水分解縮合物などである。
【0233】
前記した、一分子中に、それぞれ、イソシアネート基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するにとどめることにするならば、
【0234】
3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランもしくは3−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシランの如き、各種の珪素化合物;
【0235】
あるいは前掲したような、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体と、後掲するような、イソシアネート基を有するビニル系単量体とから得られる種々の共重合体または此等の両単量体を、該両単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、エポキシ基と加水分解性シリル基とを併有する、それぞれ、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0236】
前記した、一分子中に、それぞれ、エポキシ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するにとどめることにするならば、
【0237】
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランもしくは3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの如き、各種の珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分加水分解縮合により得られる形の部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合により得られる形の部分共加水分解縮合物;
【0238】
「EGM−202」[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の、珪素原子に結合したメトキシ基と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状のポリシロキサンの商品名]または「KP−392」[信越化学工業(株)製の、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物の商品名];
【0239】
あるいは前掲したような、各種のエポキシ基を有するビニル単量体と、同じく、前掲したような、各種の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体とから得られる種々の共重合体または此等の両単量体を、該両単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、エポキシ基と加水分解性シリル基とを併有する形の、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0240】
前記したポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレンジイソシアネートもしくはジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネート類;
【0241】
メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α',α'−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシアネート類;
【0242】
ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナートシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナートシクロヘキサンもしくはイソホロンジイソシアネートの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート類;
【0243】
前掲したような各種のポリイソシアネート類を、多価アルコール類と付加反応せしめて得られる、イソシアネート基を有する種々のプレポリマー類;
【0244】
前掲したような各種のポリイソシアネート類を環化三量化せしめて得られる、イソシアヌレート環を有する種々のプレポリマー類;
【0245】
前掲したような各種のポリイソシアンート類と、水とを反応せしめて得られる、ビウレット構造を有する種々のポリイソシアネート類;
【0246】
さらには、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートもしくは(メタ)アクリロイルイソシアネートの如き、各種の、イソシアネート基を有するビニル単量体の単独重合体;
【0247】
または此等のイソシアネート基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られる、
【0248】
それぞれ、イソシアネート基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0249】
そして、斯かるポリイソシアネートのうちにあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート化合物、それらの各ジイソシアネート化合物から誘導される、種々のプレポリマーあるいはイソシアネート基含有ビニル系重合体などの使用が、特に望ましい。
【0250】
前記したブロック・ポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロック化せしめることによって得られる種々のブロックポリイソシアネート化合物や、
【0251】
イソシアネート基を環化二量化せしめることによって得られる、種々のウレトジオン構造を含む化合物のように、熱によって、イソシアネート基が再生するという部類の化合物などである。
【0252】
そして、ブロック・ポリイソシアネート化合物を調製する際に使用される、ブロック剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノール、エタノール、ベンジルアルコールもしくは乳酸エステルの如き、各種のカルビノール基含有化合物類;
【0253】
フェノール、サリチル酸エステルもしくはクレゾールの如き各種のフェノール性水酸基含有化合物類;またはε−カプロラクタム、2−ピロリドンもしくはアセトアニリドの如き、各種のアマイド類;
【0254】
あるいはアセトンオキシムもしくはメチルエチルケトオキシムの如き、各種のオキシム類などであるし、さらには、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルもしくはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン化合物類などである。
【0255】
前記したポリエポキシ化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたは水添ビスフェノールAの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0256】
ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールSもしくはビスフェノールFの如き、各種の芳香族系ジオールのポリグリシジルエーテル類;上掲したような芳香族系ジオール類のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体の如き、各種の、該芳香族系ジオール誘導体類のジグリシジルエーテル類;
【0257】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコールの如き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸もしくはトリメリット酸の如き、各種の、脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;
【0258】
ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネンもしくはビニルシクロヘキセンの如き、各種の、炭化水素系ジエンの種々のビスエポキシド類;ビス(3,4ーエポキシシクロヘキシルメチル)アジペートもしくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合物;またはポリブタジエンもしくはポリイソプレンの如き、各種のジエンポリマーの種々のエポキシ化物;
【0259】
「EX−612」[ナガセ化成工業(株)製の、ソルビトールポリグリシジルエーテルの商品名];または「EGM−400」[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の、3−グリシドキシプロピルを有する、環状のポリシロキサンの商品名];
【0260】
あるいは前掲したような、各種のエポキシ基を有するビニル単量体の種々の単独重合体;または此等のエポキシ基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、エポキシ基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0261】
ポリシクロカーボネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したような各種のポリエポキシ化合物を、たとえば、触媒の存在下に、二酸化炭素と反応せしめることによって、此のエポキシ基を、シクロカーボネート基に変換することにより得られる、各種の、5員環シクロカーボネート基を有するポリシクロカーボネート化合物;あるいは前掲したような、各種のシクロカーボネート基を有するビニル単量体の種々の単独重合体;
【0262】
または此等のシクロカーボネート基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、シクロカーボネート基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0263】
アミノ樹脂として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、尿素もしくはグリコウリルの如き、各種のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドの如き、各種のアルデヒド化合物(ないしはアルデヒド供給物質)と反応せしめることによって得られるような部類の、アルキロール基を有する種々のアミノ樹脂;
【0264】
あるいは斯かるアルキロール基を有するアミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノールもしくはi−ブタノールの如き、各種の低級アルコールと反応せしめて得られる、種々の、アルコキシアルキル基を有するアミノ樹脂などである。
【0265】
また、1級ないしは2級アミド基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、重合体(a−2)を調製する際に使用されるものとして既に例示しているような、1級ないしは2級アミド基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体;
【0266】
または此等の1級ないしは2級アミド基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、1級ないしは2級アミド基を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0267】
また、ポリカルボキシ化合物として、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸のような、各種の低分子量の化合物などであり、
【0268】
さらに、重合体(a−1)を調製する際に使用されるものとして既に例示しているような、カルボキシル基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体
【0269】
または此等のカルボキシル基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、カルボキシル基を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0270】
ポリヒドロキシ化合物として、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールまたはグリセリンなどの低分子化合物などであり、あるいは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールなどであるし、さらには、重合体(a−2)を調製する際に使用されるものとして既に例示しているような、水酸基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体;
【0271】
または此等の水酸基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、水酸基を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0272】
ここにおいて、化合物(C)を、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)に配合する際、化合物(C)が水溶性であったり、或る程度の親水性を有する場合には、化合物(C)が、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)の中に、均一に溶解ないしは均一に分散した組成物を得ることが出来る。
【0273】
しかしながら、化合物(C)の親水性が低いというような場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−11)と混合しても、均一に溶解ないしは分散した形の組成物を得ることが出来ない。このような場合には、公知慣用の種々の方法によって、化合物(C)中に、親水性基などを導入するということにより、当該化合物(C)の親水性を向上化せしめ、均一なる組成物を得ることが出来る。
【0274】
化合物(C)が重合体の場合には、該化合物(C)としては、無溶剤液状物、有機溶剤溶液、水溶液または水分散体のいずれの形態であっても使用することができる。そして、当該化合物(C)が、特に、ビニル重合体であるというような場合には、エマルジョン重合体として使用するのも好適である。
【0275】
前記した水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)と、化合物(C)とから成る水性硬化性樹脂組成物を調製するには、化合物(C)が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物であるという場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)の固形分の100重量部に対して、化合物(C)の固形分量が、0.1〜200重量部、好ましくは、0.5〜150重量部、一層好ましくは、1〜100重量部なる範囲内となるように、配合するというようにすればよい。
【0276】
また、化合物(C)が、一分子中にイソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合物あるいはブロックポリイソシアネート化合物であるというような場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中に含まれる、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基と反応する官能基の1当量に対して、
【0277】
化合物(C)中に含まれるイソシアネート基またはブロックイソシアネート基の量が0.1〜10当量、好ましくは、0.3〜5当量、一層好ましくは、0.5〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物(C)を配合せしめるというようにすればよい。
【0278】
また、化合物(C)が、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する化合物、ポリエポキシ化合物あるいはポリシクロカーボネート化合物であるというような場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)および(A−II)中の水性樹脂に含まれる、エポキシ基またはシクロカーボネート基と反応する官能基の1当量に対して、
【0279】
此の化合物(C)中に含まれるエポキシ基量および/またはシクロカーボネート基量の合計量が、0.2〜5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物(C)を配合せしめるようにすればよい。
【0280】
また、化合物(C)が、アミノ樹脂であるという場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)の固形分の100重量部に対して、化合物(C)の固形分量が、1〜200重量部、好ましくは、5〜150重量部、一層好ましくは、10〜100重量部なる範囲内となるように、配合するというようにすればよい。
【0281】
また、化合物(C)が、1級ないしは2級アミド基を有する化合物であるという場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中の水性樹脂に含まれる、1級ないしは2級アミド基と反応する官能基の1当量に対して、
【0282】
化合物(C)中に含まれる1級ないしは2級アミド基量が、0.2〜5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物(C)を配合せしめるというようにすればよい。
【0283】
また、化合物(C)が、ポリカルボキシ化合物であるというような場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中に含まれる、カルボキシル基と反応する官能基の1当量に対して、
【0284】
化合物(C)中に含まれるカルボキシル基量が、0.2〜5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物(C)を配合せしめるというようにすればよい。
【0285】
また、化合物(C)が、ポリヒドロキシ化合物であるというような場合には、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)中に含まれる、ヒドロキシ基と反応する官能基の1当量に対して、
【0286】
化合物(C)中に含まれる水酸基量が、0.2〜5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物(C)を配合せしめるというようにすればよい。
【0287】
上述のようにして調製される、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)を必須成分として含有することから成る、水性硬化性樹脂組成物、あるいは水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)に、さらに、化合物(C)をも配合せしめた形の、水性硬化性樹脂組成物は、着色顔料を含まない形の、いわゆるクリヤーな組成物として使用することが出来るし、あるいは公知慣用の種々の有機系あるいは無機系の顔料を含有するという形の着色組成物としても亦、使用することが出来る。
【0288】
また、本発明で得られる水性硬化性樹脂組成物には、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の各種の添加剤類などをも配合せしめた形で、種々の用途に利用することが出来る。
【0289】
こうした諸々の添加剤類のうち、硬化触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前述したような樹脂(A−1)および(A−2)を調製する際の、珪素化合物(b)の加水分解縮合反応に使用されるものとして既に掲げているような各種の触媒類を使用することが出来るし、それに加えて、テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩またはベンジルホスホニウム塩類などを使用することが出来る。
【0290】
かくして得られる、本発明で得られる水性硬化性樹脂組成物は、それを構成する水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)または(A−II)の種類により、(C)成分の有無により、あるいは(C)成分を添加した場合には、その種類と使用量とにより、最適なる硬化条件は異なるけれども、室温で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、
【0291】
あるいは80〜250℃程度の温度範囲で、30秒から2時間程度のあいだ焼き付けを行なうということによって、極めて実用性の高い硬化物を得ることが出来る。
【0292】
本発明で得られる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液は、とりわけ、耐久性などに極めて優れる硬化物を与えるものであるという処から、該水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液を必須の成分として含有することから成る、水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上塗り用塗料、建築外装用塗料あるいは建材用塗料などの、種々の塗料用として利用し適用することが出来るというものであるし、さらには、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも、利用し適用することが出来るというものである。
【0293】
さらに具体的なものとしては、自動車、自動二輪車、電車、自転車、船舶または飛行機、あるいは其の他の輸送関連機器類と、それらの諸部品類;テレビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クーラー室外機またはコンピュータ、あるいは其の他の家電関連製品類と、それらの諸部品類;各種の瓦、金属製の屋根材、窓枠、ドアまたは内外壁材の如き、種々の建材類;道路、道路標識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突またはビルディングの如き、各種の屋外構築物などが挙げられるというものであって、それぞれ、本発明で得られる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液あるいは水性硬化性樹脂組成物は、こうした用途に、有効に、利用し適用することが出来るというものである。したがって、被塗物基材の方も、上述の用途に即して、適宜、選択できるというものであり、既に明らかとなるであろう。
【0294】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0295】
参考例1〔重合体(a−1)の調製例〕
まず、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、イソプロパノールの470部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0296】
次いで、同温度で、スチレンの100部、メチルメタクリレートの300部、n−ブチルメタクリレートの334部、n−ブチルアクリレートの186部、3−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30部およびアクリル酸の50部と、イソプロパノールの450部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0297】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が53.5%で、かつ、数平均分子量が12,800なる、カルボキシル基およびトリメトキシシリル基を併有する目的重合体の溶液を得た。以下、これを(a−1−1)と略記する。
【0298】
参考例2〜4(同上)
単量体および溶剤類の種類と、その使用量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有する重合体(a−1)を得た。それらは、同表に示すように略記する。
【0299】
【表1】
Figure 0003796826
【0300】
《第1表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0301】
「MMB」………………3−メチル−3−メトキシブタノール
【0302】
「MPTMS」…………3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの略記
【0303】
「TBPOEH」………tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの略記
【0304】
【表2】
Figure 0003796826
【0305】
《第1表の脚注》
数平均分子量を示す各数値は、いずれも、百分の一となっているので、百倍(つまり、「×100」)をした値が、真のものである。
【0306】
参考例5〜7〔重合体(a−2)の調製例〕
単量体および重合開始剤の種類と、その使用量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有する重合体(a−2)を得た。それらは、同表に示すように略記する。
【0307】
【表3】
Figure 0003796826
【0308】
《第1表の脚注》
「HEMA」……………2−ヒドロキシエチルメタクリレートの略記
「DMAEMA」………2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの略記
【0309】
「2,3−CPMA」…2,3−カーボネートプロピルメタクリレートの略記
【0310】
「ABMBN」…………2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)の略記
【0311】
【表4】
Figure 0003796826
【0312】
【表5】
Figure 0003796826
【0313】
【表6】
Figure 0003796826
【0314】
《第1表の脚注》
「R−1」は、参考例8で得られる、対照用樹脂1を調製する際に使用する重合体である。
【0315】
「R−2」は、参考例9で得られる、対照用樹脂2を調製する際に使用する重合体である。
【0316】
参考例8および9〔重合体(R−1)および(R−2)の調製例〕
単量体および重合開始剤の種類と、その使用量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有する重合体(R−1)および(R−2)を得た。それらは、同表に示すように略記する。
【0317】
参考例10〔対照用樹脂1の調製例〕
まず、温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、重合体(R−1)の1,311部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0318】
次いで、同温度で、トリエチルアミンの49部と、イオン交換水の1,001部との混合物を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸留で、溶剤であるイソプロパノールを除いて、不揮発分が42.3%なる対照用の水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(以下水性樹脂という。)を得た。以下、これを対照用樹脂1と略記する。
【0319】
参考例11〔対照用樹脂2の調製例〕
【0320】
まず、温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、重合体(R−2)の1,341部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0321】
次いで、同温度で、トリエチルアミンの49部と、イオン交換水の1,001部の混合物とを、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸留で、溶剤であるイソプロパノールを除いて、不揮発分が43.7%なる対照用の水性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂2と略記する。
【0322】
実施例1
【0323】
本例は、水性樹脂(A−I)の調製例を示すためのものである。
【0324】
まず、温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、重合体(a−1−1)の1,480部、フェニルトリメトキシシラン354部およびイソプロパノールの365部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0325】
次いで、同温度で、「AP−3」[大八化学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェートの商品名]の2.9部と、イオン交換水の96部とを、5分間かけて滴下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、核磁気共鳴分析( 1H−NMR)で以て、重合体(a−1−1)中に含まれていた、トリメトキシシリル基およびフェニルトリメトキシシランの加水分解が、100%進行しているということを確認した。
【0326】
しかるのち、同温度で、トリエチルアミンの55部と、イオン交換水の1,485部とを、30分間かけて滴下してから、減圧蒸留で、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール類を除いて、不揮発分が43.1%なる、目的とする水性樹脂を得た。以下、これを(A−I−1)と略記する。
【0327】
この水性樹脂(A−I−1)を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は認められなく、保存安定性に優れるということが判明した。
【0328】
実施例2〜実施例
【0329】
これらの諸例も亦、水性樹脂(A−I)の調製例を示すためのものである。
【0330】
樹脂(A−1)を調製するための珪素化合物の種類とその使用量ならびに溶剤、触媒および水の量とを、そして、重合体(a−1)の種類とその使用量とを、さらに亦、中和反応の際の塩基性化合物の量と、水の量とを、第2表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、縮合反応、中和反応ならびに水性化を行なって、同表に示すような性状値を有する水性樹脂(A−I)を得た。それらは、同表に示すように略記する。
【0331】
【表7】
Figure 0003796826
【0332】
《第2表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0333】
「PTMS」…………………フェニルトリメトキシシランの略記
「DMDMS」………………ジメチルジメトキシシランの略記
【0334】
「保存安定性」は、上記のように調製された、それぞれの水性樹脂を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存することによって、保存後の水性樹脂において、保存前には認められなかったような、それぞれ、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状が認められるか否かを確認し、それらの結果を示すものである。
【0335】
【表8】
Figure 0003796826
【0336】
《第2表の脚注》
「MTES」……………メチルトリエトキシシランの略記
【0337】
実施例8〜10
【0338】
これらの諸例は、水性樹脂(A−II)の調製例を示すためのものである。
【0339】
樹脂(A−2)を合成するための珪素化合物の種類とその使用量ならびに溶剤、触媒および水の量とを、そして、重合体(a−2)の種類とその使用量とを、さらにまた、中和反応の際の塩基性化合物の量と、水の量とを、第2表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、縮合反応、中和反応ならびに水性化を行なって、同表に示すような性状値を有する水性樹脂(A−II)を得た。それらは、同表に示すように略記する。
【0340】
【表9】
Figure 0003796826
【0341】
《第2表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0342】
「PTMS」………………フェニルトリメトキシシランの略記
【0343】
「保存安定性」は、上記のように調製された、それぞれの水性樹脂を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存して、保存後の水性樹脂において、保存前には認められなかったゲル化や、沈澱物の析出などのような異状が無いか否かを確認し、それらの結果を示すものである。
【0344】
応用例1〜12
まず、水性樹脂(A−I)または(A−II)の一部と、顔料と、エチレングリコールモノブチルエーテルとの混合物を、サンドミルを使用して分散せしめ、顔料重量濃度(PWC)が60%なる、各種のミルベースを調製し、次いで、此のミルベースに、水性樹脂(A−I)または(A−II)の全残量を添加し、混合せしめるということによって、各種の白色ベースを調製した。
【0345】
そして、それぞれの白色ベースに対して、水および必要に応じて化合物(C)を配合せしめるということによって、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0346】
上記のようにして調製される、それぞれの白色塗料に使用した、水性樹脂(A−I)または(A−II)、顔料、エチレングリコールモノブチルエーテルおよび化合物(C)の使用比率は、第3表に示す通りである。
【0347】
かくして得られる、それぞれの白色塗料を、予め、ポリエステル/メラミン系の塗料が塗装され、焼き付けされた塗装鋼板であって、しかも、水研ぎされた此の鋼板上に、乾燥膜厚が約40マイクロ・メートル(μm)となるように、アプリケーターで塗布せしめし、同表に示すような硬化条件で以て、各種の硬化塗膜を得た。
【0348】
かくして得られた、水性硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、とりわけ、外観に優れるというものであった。それぞれの塗膜についての諸性能の評価判定を行なった。それらの結果を、まとめて、同表に示す。
【0349】
比較例1および2
まず、対照用樹脂1または2の一部と、顔料と、エチレングリコールモノブチルエーテルとの混合物を、サンドミルを使用して混合せしめるということによって、PWCが60%なる、それぞれのミルベースを調製し、次いで、此のミルベースに、対照用樹脂1または2の全残量を添加して、分散せしめるということによって、各種の白色ベースを調製する。
【0350】
そして、それぞれの白色ベースに対して、水および必要に応じて化合物(C)を配合せしめるということによって、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0351】
かくして得られる、それぞれの白色塗料に使用した、対照用樹脂1または2、顔料、エチレングリコールモノブチルエーテルおよび化合物(C)の使用比率は、同表に示す通りである。
【0352】
次いで、かくして得られた、それぞれの白色塗料を、応用例1〜12なるシリーズ中の応用例4と同様して塗布せしめ、しかるのち、同表に示すような硬化条件で以て、各種の硬化塗膜を得た。
【0353】
かくして得られた、対照用樹脂1または2を含有することから成る、こうした対照用の硬化性組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、外観に優れるというものであった。それぞれの塗膜についての諸性能の評価判定を行なった。それらの結果を、まとめて、同表に示す。
【0354】
【表10】
Figure 0003796826
【0355】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0356】
「CR−97」は、「タイペーク CR−97」の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型酸化チタンの商品名である。
「EGMBE」…………エチレングリコールモノブチルエーテルの略記
【0357】
【表11】
Figure 0003796826
【0358】
《第3表の脚注》
「耐候性」は、サンシャイン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)なる光沢値を、未曝露時における塗膜の同上の光沢値で以て除して、それを、100倍した値(光沢保持率:%)を表示しているものである。その値が大きいほど、耐候性が良好であるということを示している。
【0359】
「耐汚染性」は、屋外において、2ヵ月間に及ぶ曝露を行なったのちの塗膜と、未曝露時の塗膜との色差△Eを表示したものである。その値が、ゼロに近いほど、耐汚染性が良好であるということを示している。
【0360】
「耐酸性」は、「耐酸性雨性」の代用試験として行なうものであり、それぞれの硬化塗膜の表面上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せた試験板を、60℃の熱風乾燥器中に、30分間のあいだ保持したのち、塗膜表面を水洗乾燥してから、その表面の状態を、目視により評価判定した。その際の評価判定の基準は、次の通りである。
【0361】
◎…エッチングなし
○…若干ながら、エッチングあり
△…光沢が低下している
×…エッチングが著しい
【0362】
「耐アルカリ性」は、それぞれの試験板を、5%水酸化ナトリウム水溶液中に、室温下において、24時間のあいだ浸漬せしめしたのちに、塗膜表面を、各別に、水洗し乾燥してから、その表面状態を、目視により評価判定したものである。
【0363】
【表12】
Figure 0003796826
【0364】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0365】
「S−695」は、「ウォーターゾル S−695」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂水溶液;不揮発分=66%の商品名である。
【0366】
【表13】
Figure 0003796826
【0367】
【表14】
Figure 0003796826
【0368】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0369】
「GPTMS」…………3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの略記
「エチルシリケート40」は、コルコート(株)製の、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物の商品名である。
【0370】
【表15】
Figure 0003796826
【0371】
【表16】
Figure 0003796826
【0372】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0373】
「EX−612」は、「デナコール EX−612」の略記であって、ナガセ化成工業(株)製の、ソルビトールポリグリシジルエーテルの商品名である。
【0374】
「KP−392」は、信越化学工業(株)製の、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物の商品名である。
【0375】
「EGM−202」は、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の、珪素原子に結合したメトキシ基と、3−グリシドキシプロピル基を併有する形の、環状のポリシロキサンの商品名である。
【0376】
【表17】
Figure 0003796826
【0377】
実施例11
【0378】
本例は、本発明に係る水性樹脂についての保存安定性を評価判定することによって、此の水性樹脂の性能を検証するためのものである。
【0379】
すなわち、まず、実施例1〜10よって調製された水性樹脂(A−I)および(A−II)を、各別に、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したのち、応用例1〜12と同様の方法にして、各種の白色ベースを調製し、水および必要に応じて化合物(C)を配合せしめるということによって、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0380】
かくして調製される、それぞれの白色塗料に使用した、水性樹脂(A−I)または(A−II)、顔料、エチレングリコールモノブチルエーテルおよび化合物(C)の使用比率は、第3表に示す通りである。
【0381】
次いで、応用例1〜12と同様の方法にして、それぞれの白色塗料を試験塗板上に塗布し、同表に示すような硬化条件で以て硬化せしめるということによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0382】
かくして、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したのちの水性樹脂より調製された白色ベースを含有することから成る、本発明より得られる樹脂を主成分とする水性硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、とりわけ、外観に優れるというものであると共に、それぞれの塗膜の諸性能が、同表の結果と、殆ど差異が無かった。このように、水性樹脂(A−I)および(A−II)は、共に、保存安定性が優れるというものであった。
【0383】
以上に詳説した通り、本発明で得られる水性樹脂は、とりわけ、優れた硬化性ならびに優れた保存安定性を兼備するというものである。
【0384】
また、こうした水性樹脂を必須の成分として含有することから成る、水性硬化性樹脂組成物は、とりわけ、光沢保持性、耐雨垂れ汚染性ならびに耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久性などに優れる塗膜を形成することの出来る、極めて実用性の高いものである。
【0385】
【発明の効果】
本発明で得られる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液は、とりわけ、優れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備するものであり、斯かる水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液を必須の成分として含有することから成る、水性硬化性樹脂組成物は、とりわけ、曝露時の光沢保持性、耐雨垂れ汚染性ならびに耐酸性雨性などの、いわゆる耐久性に優れる硬化塗膜を形成することの出来る、特に、被覆用組成物として、極めて実用性の高いものである。

Claims (10)

  1. 加水分解性シリル基および酸基を併有する重合体(a−1)と、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物、又は前記一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物と分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物とを含む混合物(b)とを混合し、前記重合体(a−1)中の加水分解性シリル基及び前記珪素化合物又は珪素化合物を含む混合物中の加水分解性基を加水分解縮合させることにより、ポリシロキサンと前記重合体(a−1)とからなる樹脂(A−1)を得た後、得られた樹脂(A−1)を塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−I)の製造法。
  2. 加水分解性シリル基および酸基と、これらの両基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)と、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物、又は前記一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物と分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物とを含む混合物(b)とを混合し、前記重合体(a−2)中の加水分解性シリル基及び前記珪素化合物又は珪素化合物の混合物中の加水分解性基を加水分解縮合させることにより、ポリシロキサンと前記重合体(a−2)とからなる樹脂(A−2)を得た後、得られた樹脂(A−2)を塩基性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂分散体ないしは水性樹脂溶液(A−II)の製造法。
  3. 前記した、加水分解性シリル基および酸基なる此等の両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基および次のような構造式(S−I)
    Figure 0003796826
    で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基である、請求項2に記載の製造法。
  4. 前記した加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請求項1または2に記載の製造法。
  5. 前記した、一分子中に3個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物が、オルガノトリアルコキシシランであり、かつ分子中に2個もしくは4個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物が、ジオルガノジアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランである、請求項1または2に記載の製造法。
  6. 前記した珪素原子に結合した加水分解性基がアルコキシ基である、請求項1、2または5に記載の製造法。
  7. 前記した重合体(a−1)がビニル系重合体である、請求項1に記載の製造法。
  8. 前記した重合体(a−2)がビニル系重合体である、請求項2に記載の製造法。
  9. 前記した重合体(a−1)としての、前記したビニル系重合体がアクリル系重合体である、請求項7に記載の製造法。
  10. 前記した重合体(a−2)としての、前記したビニル系重合体がアクリル系重合体である、請求項8に記載の製造法。
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