JPH08100035A - 水性エマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents

水性エマルジョンおよびその製造方法

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JPH08100035A
JPH08100035A JP25914494A JP25914494A JPH08100035A JP H08100035 A JPH08100035 A JP H08100035A JP 25914494 A JP25914494 A JP 25914494A JP 25914494 A JP25914494 A JP 25914494A JP H08100035 A JPH08100035 A JP H08100035A
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polymerizable unsaturated
ladder
aqueous emulsion
water
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JP25914494A
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Yoichi Nanba
洋一 南波
Miyuki Ueda
みゆき 植田
Fumio Matsui
二三雄 松井
Masami Matsuoka
正己 松岡
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐水性、耐候性、基材への密着性に優れ、剛
直性を有し、硬度、耐汚染性を有しながら製造困難であ
ったラダーシリコーンを含むポリマーの水性エマルジョ
ンおよびその製造方法の開発。 【構成】 (1)重合性不飽和基を有するラダー型ポリ
オルガノシロキサン、(2)不飽和カルボン酸および
(3)重合性不飽和化合物を重合開始剤の存在下に親水
性有機溶剤中で溶液重合し、該共重合体溶液を中和した
のち、または中和しながら水中に分散した水性エマルジ
ョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐候性、耐汚染性、密着
性の優れた水性エマルジョンおよびその製造法であっ
て、該水性エマルジョンは塗料用樹脂(建材、車輌、構
築物等)、接着剤、繊維加工剤、紙加工剤、モルタル混
和剤あるいはエマルジョン重合の保護コロイドなど広範
囲の用途を有する。
【0002】
【従来の技術】シリコーン骨格を含むアクリル系エマル
ジョンは、通常のアクリル系エマルジョンを用いた塗
料、接着剤、各種加工剤などに比して耐水性、耐候性、
基材への密着性などの点において優れていることは既に
認められている(例えば、特開平5−214277)。
このためアクリル系ポリマー骨格中にシリコーンセグメ
ントを入れることが試みられているが、配合量の増加と
共に耐水性、耐候性、基材への密着性の改善はできる
が、ポリマーの皮膜が柔軟化すると共に耐汚染性が低下
し、接着力、ことに引張り剪断強さが低下する問題があ
る。一方ラダーシリコーン(ポリオルガノシルセスキオ
キサン)は、分子が剛直であり、耐候性、硬度、耐汚染
性に優れているが、水に対する溶解度がなく、例えば側
鎖にアクリル基をもつラダーシリコーンにおいても、通
常の乳化重合法によってポリマーエマルジョンをつくる
ことは困難であった。それは乳化重合の機構上、モノマ
ーの少量が水に溶解して拡散し、乳化剤ミセル中に可溶
化して乳化重合をスタートする、という通常の乳化重合
の機構をとり得ないからであると考えられている。従っ
て、ラダーシリコーンを含むアクリル系ポリマーは有機
溶剤のポリマー溶液としてのみ用いることが行われてき
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来耐水性、
耐候性、基材への密着性に優れ、剛直性を有し、アクリ
ル系エマルジョンに共重合させた場合においても硬度、
耐汚染性を有しながら製造困難であったラダーシリコー
ンを含むポリマーの水性エマルジョンおよびその製造方
法の開発を目的とする。地球環境保全や作業環境の改善
等の観点から、塗料または加工剤等に用いられる有機溶
剤の使用量の低減化ないしできるだけ使用しない方向へ
の努力がなされ、これを法制化しようとする動きがあ
り、これに対応し、塗料等の無溶剤化や水性化が強く求
められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は従来困難であっ
たラダーシリコーンを含む水性エマルジョンおよびその
製造法に係るものである。即ち(1)重合性不飽和基を
有するラダー型ポリオルガノシロキサン、(2)不飽和
カルボン酸および(3)重合性不飽和化合物からなる中
和された共重合体の水性エマルジョンおよび(1)重合
性不飽和基を有するラダー型ポリオルガノシロキサン、
(2)不飽和カルボン酸および(3)重合性不飽和化合
物を重合開始剤の存在下に親水性有機溶剤中で溶液重合
し、該共重合体溶液を中和したのち、または中和しなが
ら水中に分散することを特徴とする水性エマルジョンの
製造方法を開発することにより上記の目的を達成した。
【0005】本発明の(1)重合性不飽和基を有するラ
ダー型ポリオルガノシロキサン(以下ラダーシリコーン
という。)は、ラダーシリコーン構造
【化1】 の側鎖R1 およびR2 にアクリル基、メタクリル基、ビ
ニル基、アリル基を含むものであり、R1 およびR2
うち、それら重合性不飽和基の含量は1〜50モル%、
好ましくは2〜30モル%であり、その他の基はC1
18のアルキル基、C6 〜C8 の芳香族基から選ばれた
ものである。重合性不飽和基の含量が1モル%未満であ
るときには重合性が不十分であり、50モル%を超える
ときには製造中にゲル化しやすく、いずれも満足するも
のは得られない。またR3 、R4 、R5 およびR6 のラ
ダーシリコーンの末端基の30モル%以上がトリアルコ
キシ(アルキル)シリル化されていることが好ましい。
末端基の70%を超える量が水酸基またはアルコキシ基
のまま放置されていると、水性エマルジョンは短い期間
でゲル化を起こしやすく、安定性に乏しいものとなる。
【0006】(2)不飽和カルボン酸としてはアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、シトラコン酸から選ばれたものであり、単独に、ま
たは併用することもできる。また、無水マレイン酸のよ
うな加水分解されて不飽和カルボン酸となる不飽和酸無
水物も不飽和カルボン酸として使用可能である。
【0007】(3)重合性不飽和化合物としては、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエステ
ル、アリルエステル、スチレン、アルファメチルスチレ
ンを単独に、また併用して用いることができる。具体的
には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−アミ
ノエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン
酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニ
ル、酢酸アリル、スチレン、アルファメチルスチレンな
どを例示できる。なお前記重合性不飽和化合物と共にそ
の5重量%以下の(メタ)アクリルアミドおよびその誘
導体、例えばメチロール(メタ)アクリルアミド、アル
コキシ(メタ)アクリルアミドを共重合することは差し
支えない。
【0008】本発明の溶液重合に用いる親水性溶剤とし
ては、アルコール、エチレングリコール誘導体、プロピ
レングリコール誘導体、グリセリン誘導体から選ばれ
る。具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジ
オール、メトキシブタノール;エチレングリコールおよ
びそのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノ
プロピルエーテル、モノブチルエーテルおよびそのモノ
アルキルエーテルアセテート;ジエチレングリコールお
よびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエ
ーテル、ブチルエーテルおよびそのアセテート;トリエ
チレングリコールおよびそのメチルエーテル、エチルエ
ーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルおよびその
アセテート;プロピレングリコールおよびそのメチルエ
ーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエ
ーテルおよびそのアセテート;ジプロピレングリコール
およびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピル
エーテル、ブチルエーテルおよびそのアセテート;トリ
プロピレングリコールおよびそのメチルエーテル、エチ
ルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルおよび
そのアセテート;グリセリンモノアセテートなどが例示
される。これらのうちエチルアルコール、イソプロピル
アルコール、エチレングリコールおよびそのモノメチル
エーテル、モノエチルエーテルそれらのアセテート、プ
ロピレングリコールおよびそのモノメチルエーテル、モ
ノエチルエーテルおよびそれらのアセテートが特に有効
である。
【0009】共重合に当たって使用する重合開始剤は通
常のラジカル重合に用いられる過酸化物、アゾ化合物な
ど、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、アゾ
ビスイソブチロニトリルなどがある。共重合体の分子量
は1,000〜100,000、好ましくは3,000
〜50,000である。共重合によって得られた酸を含
むポリマーを中和するための塩基は脂肪族アミン、含窒
素ヘテロ環化合物、芳香族アミン、無機アルカリなどの
塩基が用いられる。例えばモノエチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプ
ロピルアミン、トリプロピルアミン、モノブチルアミ
ン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、ジメチルアミノエタノール、アニリン、ジメチルア
ニリン、シクロヘキシルアミン、ピリジン、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどが用
い得るが、特にジエチルアミン、トリエチルアミン、ト
リエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールおよび
水酸化アルカリなどが適当である。
【0010】本発明の水性樹脂エマルジョンは1例を示
すと次のようにして製造できる。撹拌装置、還流コンデ
ンサー、モノマー投入口、温度計を付した重合容器に所
定量の溶剤を仕込み、重合開始剤を溶解させて昇温し、
撹拌しながらモノマー混合液を添加する。所定温度で所
定時間保って重合を行ない、重合終了後冷却して塩基で
中和する。別の容器に所定量の水を入れ、撹拌しつつ上
記共重合体溶液を添加するかもしくは逆に共重合体溶液
に水を添加すると、本発明の目的の微粒子水性エマルジ
ョンが生成する。あるいは、塩基を含む水溶液中に共重
合体溶液を強く撹拌しながら添加してもよい。得られた
エマルジョンはそのまま各種用途に使用してもよいし、
減圧で溶剤を除去して使用してもよい。
【0011】本発明の水性樹脂エマルジョンは基材に塗
布または含浸した後、水を蒸発させると耐水性、耐候
性、密着性、耐汚染性のある強靭な皮膜を形成できるた
め、コーティング剤(金属、窯業製品、プラスチック、
木材などの塗料原料、ハードコート剤、電着塗料等)、
繊維加工剤(繊維の風合加工、不織布バインダー等)、
紙加工(内添剤、コーティング等)、接着剤(金属、窯
業製品、木材、紙等)、およびモルタルの吸水率低下の
ためにセメントに混和する改質剤等として広範囲の用途
を有する。さらに重合性不飽和化合物中に水酸基、グリ
シジル基、アミノ基、アミド基、メチロール基、アルコ
キシメチロールアミド基、アセチルアセトネート基など
の官能基が含まれているときには、本発明の必須成分で
あるカルボキシル基と共に適当な架橋剤を用いて架橋す
ることができる。架橋剤は上記反応性基に適合するもの
が選ばれ、例えば水酸基を有する共重合体はメラミン樹
脂初期縮合物、イソシアネートなどの添加によって架橋
する。イソシアネートを架橋剤に使用するときにはブロ
ックイソシアネートを用いるか、または水に混和しない
高沸点溶剤にイソシアネートを溶解したものを加えて分
散させる。カルボキシル基を有する共重合体は多官能グ
リシジル化合物、多価金属塩、多価アミンなどで架橋で
きる。
【0012】共重合体の(1)ラダーシリコーン、
(2)不飽和カルボン酸、(3)重合性不飽和化合物の
重量比は1〜50:1〜30:30〜98(全重量を1
00とする)、好ましくは2〜30:3〜20:50〜
95、より好ましくは2.5〜25:5〜15:60〜
92.5である。 (1)ラダーシリコーンがこの範囲より少ないときには
ラダー型シリコーン含有ポリマーの特徴である耐水性、
耐候性、耐汚染性が不十分になり、これより多いときに
は得られた水性エマルジョンの貯蔵安定性が乏しく、ま
たしばしば重合操作中にゲル化することがある。 (2)不飽和カルボン酸がこれより少ないときには、ア
ミン中和物を水中に入れても安定なエマルジョンは生成
せず、これより多いときには塗布した皮膜の耐水性が低
下する。 (3)重合性不飽和化合物の割合は(1)、(2)の適
当な比により自ら定まるが、(3)重合性不飽和化合物
に官能基を分子中に有する化合物を選択することによっ
てポリマー分子を架橋したり、その他の性質をポリマー
に与えることができる。
【0013】
【作用】本発明は、水に対する溶解度はないが、構造が
剛直であり、耐候性、硬度、耐汚染性に優れているラダ
ーシリコーンの構造を骨格内に含むポリマーエマルジョ
ンおよびその製造法の開発を行い、これを先ずラダーシ
リコーン、不飽和カルボン酸および重合性不飽和化合物
の親水性溶剤中で溶液重合を行ったのち、中和し、この
中和された共重合体を水中に分散することにより成功し
たものである。即ちラダーシリコーンに不飽和カルボン
酸を共重合させ、これを中和後水に分散する手段を採る
ことによりラダーシリコーン含有ポリマーの水性エマル
ジョン化に成功したものであり、この様な構造をとって
もラダーシリコーン構造の有する特徴を失わない水性エ
マルジョン化に成功した。
【0014】
【実施例】
(実施例1)温度計、撹拌装置、還流冷却器を付した2
リットルのフラスコに3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン50g(0.2モル)、メチルトリエト
キシシラン445g(2.5モル)、フェニルトリメト
キシシラン20g(0.1モル)、塩酸0.002モ
ル、水108g(6モル)を仕込み、フラスコ内の温度
を60℃に昇温し、撹拌しながら5時間保持した。続い
て70℃に昇温して1時間反応させた後、メタノールに
溶解した水酸化カリウム0.004モルを滴下し、さら
に4時間反応させた。塩酸で中和後、トルエンを加え水
洗する。のちロータリーエバポレーターを使用して溶剤
と水などを除去し、析出する塩を濾過した。生成物は2
5℃の粘度が2,850cp、メタクリロキシ基の含有
量は7.1モル%、数平均分子量は6,200であっ
た。この化合物の末端は水酸基およびアルコキシ基であ
り、放置によって末端が反応してゲル化しやすいので上
記生成物100gにヘキサメチルジシロキサン2gを加
え、pH5にて1時間反応せしめ、末端の水酸基および
アルコキシ基の合計を1分子当たり平均1.5個とし
た。これをシロキサンAとする。温度計、撹拌装置、還
流冷却器を付した2リットルのフラスコにプロピレング
リコールモノメチルエーテル600g、重合開始剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル4gを入れて撹拌して溶
解し、70℃に昇温してシロキサンA70g、メタクリ
ル酸メチル400g、アクリル酸ブチル200g、メタ
クリル酸60g、メタクリル酸ヒドロキシエチル30g
の混合溶液を1時間かけて注加した。さらに100℃に
昇温し5時間保って重合を終了した。室温に冷却しトリ
メチルアミン70.5gを加えて中和した脱イオン水4
50g中へ激しく撹拌しながら注加した。生成した水性
エマルジョンは固形分濃度40.6%、粘度26,00
0cp、粒子径0.3μm、ポリマーの数平均分子量4
0,700であった。
【0015】(実施例2)温度計、撹拌装置、還流冷却
器を付した2リットルのフラスコにトリメトキシビニル
シラン30g(0.2モル)、メチルトリエトキシシラ
ン445g(2.5モル)、フェニルトリメトキシシラ
ン20g(0.1モル)、塩酸0.002モル、水10
8g(6モル)を仕込み、フラスコ内の温度を60℃に
昇温し、撹拌しながら5時間保持した。続いて70℃に
昇温して1時間反応させた後、メタノールに溶解した水
酸化カリウム0.004モルを滴下し、さらに4時間反
応させる。塩酸で中和後、トルエンを加え水洗する。の
ちロータリーエバポレーターを使用して溶剤と水などを
除去し、析出する塩を濾過した。生成物は25℃の粘度
が3,200cp、ビニル基の含有量は75モル%、数
平均分子量は3,400であった。この化合物の末端は
水酸基およびアルコキシ基であり、放置によってゲル化
しやすいので上記生成物100gにヘキサメチルジシロ
キサン2gを加え、pH5にて1時間反応せしめ、末端
の水酸基およびアルコキシ基の合計を平均1分子当たり
平均0.9個とした。これをシロキサンBとする。温度
計、撹拌装置、還流冷却器を付した2リットルのフラス
コにエチレングリコールモノメチルエーテル600g、
重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5gを入
れて撹拌溶解し、70℃に昇温してシロキサンB80
g、メタクリル酸メチル400g、アクリル酸2エチル
ヘキシル180g、メタクリル酸70g、メタクリル酸
ヒドロキシエチル20g、メタクリル酸グリシジル15
gの混合溶液を1時間かけて注加した。さらに100℃
に昇温し5時間保って重合を終了した。室温に冷却しモ
ノプロピルアミン48gを加えて中和した後、脱イオン
水500gを激しく撹拌しながら注加した。撹拌過程で
転相が起こり、水性エマルジョンが生成する。生成した
水性エマルジョンは固形分濃度41.0%、粘度30,
800cp、粒子径0.4μm、ポリマーの数平均分子
量35,000であった。このエマルジョンを50mm
Hgの減圧下で70℃で1時間保ち、エチレングリコー
ルモノメチルエーテルを水と共沸させて除去した。得ら
れたエマルジョンを水で稀釈し40.0%とした。
【0016】[応用例]応用例は塗料および繊維加工に
ついて示したが、用途はこれに限られるものではない。 (応用例1)実施例1で合成したエマルジョン100
部、80部の分散剤水溶液で練合わせたチタン白15
部、フッ素系消泡剤0.5部、3%メチルセロース水溶
液10部をペイントシェーカーに入れ、3時間振盪して
均一な分散液をつくった。これにジブチルフタレート2
0部に溶解したヘキサメチレンジイソシアネート3量体
2部を加え、激しく撹拌して分散せしめ、塗装液とし
た。シリケート系プライマーで塗装した窯業建材に上記
塗装液を乾燥厚さ10μmになる様にスプレーコート
し、室温にて24時間乾燥後、60℃で3時間乾燥して
仕上げた。塗装の試験結果を表1に示す。
【0017】(応用比較例1)シロキサンAを省略した
以外は実施例1と同一の合成処方で製造した水性エマル
ジョンを用いての塗装結果を表1に示した。表よりわか
る様に応用例1に比して、硬度、耐候性が劣った。
【0018】
【表1】 1)JIS K 5400による 2)同上 3)同上 4)JIS D 0205によるサンシャインウエザメーター3000 時間後の状態
【0019】(応用例2)実施例2で合成したエマルジ
ョンを水で稀釈し、固形分濃度4%になる様に調製し
た。この稀釈液100gにメチル化メチロールメラミン
10%水溶液20gを混合し処理液をつくった。処理液
中にナイロンタフタを浸漬し、ピックアップ50%に絞
ったのち、80℃で10分乾燥し、のち130℃で10
分間キュアリングして仕上げた。処理直後および電気洗
濯機で5、10回洗濯試験をしたのち乾燥した布の硬さ
をクラーク・ソフトネステスターで測定した。結果を表
2に示した様に硬仕上げの効果は優れており、洗濯後も
硬さの低下はほとんど認められなかった。
【0020】(応用比較例2)シロキサンBを省略した
以外は実施例2と同一の合成処方で製造した水性エマル
ジョンを用いて、繊維加工した例を表2に併記した。表
よりわかる様に応用例2に比して、硬さ、耐洗濯性が不
十分であった。
【0021】
【表2】 測定はクラーク・ソフトネステスターによる
【0022】
【発明の効果】本発明は、有機溶剤のポリマー溶液とし
てのみ用いられてきたラダーシリコーンを含むアクリル
系ポリマーの水性エマルジョンとすることに成功したも
のであり、この結果、使用に際して有機溶剤による地球
環境や作業環境の汚染、火災の危険等の問題を解決でき
た。本発明の水性エマルジョンは分子が剛直であり、耐
候性、硬度、耐汚染性に優れたラダーシリコーンを含ん
でいるため、耐水性、耐候性、基材への密着性、耐汚染
性、硬度などに優れた皮膜が形成される。このため塗料
用樹脂、接着剤、繊維加工剤、紙加工剤、モルタル混和
剤、あるいはエマルジョン重合の保護コロイドなどとし
て広範な用途を有する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】本発明の(1)重合性不飽和基を有するラ
ダー型ポリオルガノシロキサン(以下ラダーシリコーン
という。)は、ラダーシリコーン構造
【化1】 の側鎖R1 およびR2 にアクリル基、メタクリル基、ビ
ニル基、アリル基を含むものであり、R1 およびR2
うち、それら重合性不飽和基の含量は1〜50モル%、
好ましくは2〜30モル%であり、その他の基はC1
18のアルキル基、C6 〜C8 の芳香族基から選ばれた
ものである。重合性不飽和基の含量が1モル%未満であ
るときには重合性が不十分であり、50モル%を超える
ときには製造中にゲル化しやすく、いずれも満足するも
のは得られない。またR3 、R4 、R5 およびR6 のラ
ダーシリコーンの末端基の30モル%以上がトリアルキ
ルシリル化されていることが好ましい。末端基の70%
を超える量が水酸基またはアルコキシ基のまま放置され
ていると、水性エマルジョンは短い期間でゲル化を起こ
しやすく、安定性に乏しいものとなる。
フロントページの続き (72)発明者 松岡 正己 千葉県千葉市緑区大野台1−1−1昭和電 工株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)重合性不飽和基を有するラダー型
    ポリオルガノシロキサン、(2)不飽和カルボン酸およ
    び(3)重合性不飽和化合物からなる中和された共重合
    体の水性エマルジョン。
  2. 【請求項2】 (1)重合性不飽和基を有するラダー型
    ポリオルガノシロキサン、(2)不飽和カルボン酸およ
    び(3)重合性不飽和化合物を重合開始剤の存在下に親
    水性有機溶剤中で溶液重合し、該共重合体溶液を中和し
    たのち、または中和しながら水中に分散することを特徴
    とする水性エマルジョンの製造方法。
  3. 【請求項3】 重合性不飽和基を有するラダー型ポリオ
    ルガノシロキサンの末端基の30モル%以上がトリアル
    キルシリル化されている請求項2記載の水性エマルジョ
    ンの製造方法。
  4. 【請求項4】 重合性不飽和基を有するラダー型ポリオ
    ルガノシロキサンの重合性不飽和基が、アクリル基、メ
    タクリル基、ビニル基またはアリル基より選ばれた不飽
    和基である請求項2〜3記載の水性エマルジョンの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 重合性不飽和基を有するラダー型ポリオ
    ルガノシロキサン中の重合性不飽和基の含有量が側鎖の
    置換基の1〜50モル%である請求項2〜4記載の水性
    エマルジョンの製造方法。
  6. 【請求項6】 不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタ
    クリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシ
    トラコン酸から選ばれた請求項2〜5記載の水性エマル
    ジョンの製造方法。
  7. 【請求項7】 重合性不飽和化合物がアクリル酸エステ
    ル、メタクリル酸エステル、ビニルエステル、アクリル
    エステル、スチレンおよびアルファメチルスチンから選
    ばれた請求項2〜6記載の水性エマルジョンの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 (1)重合性不飽和基を有するラダー型
    ポリオルガノシロキサン 1〜50重量部、(2)不飽
    和カルボン酸 1〜30重量部および(3)重合性不飽
    和化合物 30〜98重量部(但し全量で100重量部
    とする。)である請求項2記載の水性エマルジョンの製
    造方法。
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