明 細 書
ポリシノレセスキォキサングラフト重合体の製造方法、粘着剤および粘着シ ート
技術分野
[0001] 本発明は、ィニファータ基を導入したポリシノレセスキォキサン化合物にビニルイ匕合 物を添加して、電離放射線を照射または加熱することを特徴とするポリシルセスキォ キサングラフト重合体の製造方法、得られたポリシルセスキォキサングラフト重合体を 用いる粘着剤及び粘着シート、並びに光ィニファータ基を導入したポリシルセスキォ キサン化合物に関する。
背景技術
[0002] 従来、各種の部材ゃ機器に貼着するラベルシートとして、基材シートに粘着剤を塗 布して形成してなる粘着剤層を有する粘着シートが知られている。
この粘着シートは、押圧するだけで直ぐに貼り付けることができるという利便性から、 印刷ラベル用、包装貼付用等として多くの産業分野で広く利用されている。例えば、 自動車や電気 ·電子製品の生産ラインにおける生産管理においては、部品にバーコ ード印字された粘着シート (ラベル)を貼付することが行われている。
[0003] ところで、この自動車や電気 ·電子製品の生産ラインにおける生産管理等において は、部品によっては熱処理が施される工程があり、ラベルを使用する場合には、該ラ ベルに対して耐熱性が求められる。
このような耐熱用途のバーコードラベルとしては、従来、ポリイミドフィルムゃポリエ 一テルイミドフィルムが用いられている力 これらのフィルムは高価であり、得られるバ 一コードラベルがコスト高になるという欠点がある。また、バーコードラベルの基材とし て、一般的に用いられているポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンフィノレ ムは、安価であるものの、耐熱性に劣るという問題がある。
[0004] このような問題を解決すベ 特開 2002—275438号公報には、ポリエチレンナフ タレートフィルムからなる基材の一方の側の面に印字用コート層を有し、かつ該基材 の反対側の面に、温度 150°Cにおける粘着力が 0. 5N/25mm以上である耐熱性
粘着剤層を有することを特徴とする耐熱性ラベルが提案されている。ここでは、耐熱 性粘着剤層を構成する粘着剤として、ゴム系やアクリル系の粘着剤等が使用されて いる。
[0005] また、特開 2003—138229号公報には、基材シートの少なくとも一方の面に,耐熱 性の水系粘着剤を含む感熱性粘着剤層を形成してなることを特徴とする粘着シート が記載されている。耐熱性の水系粘着剤として、アクリル系重合体ェマルジヨン又は ゴム系ラテックスを主成分とし、粘着付与樹脂ェマルジヨンを配合した一般的な水系 粘着剤が用いられている。
し力しながら、これらの文献に記載された粘着シートに用いられる粘着剤は、耐熱 性等の面からは十分なものとはレ、レ、がたく、より耐熱性及び粘着力に優れる新しレヽ粘 着剤の開発が求められていた。
[0006] 一方、光ィニファータ基を導入した化合物をィニファータ(開始剤)として、紫外線を 照射することによりスチレン等のビュル化合物をリビングラジカル重合する方法が知ら れている [Polymer Bulletin, 7, 197 (1982)、 Polymer Bulletin, 1 1 , 135 (1 984)、 Macromolecules, 27, 5527 (1994) , Macromolecules, 31 , 5559 (19 98)、 J. Polym. Sci. ; Part A; Polym. Chem. , 40, 1885 (2002)、 Polymer Journal, 34, 10, 736 (2002)、 Macromolecules, 36, 2990 (2003) ]。
[0007] 本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性 と凝集力とを兼ね備えた粘着剤となり得るポリシノレセスキォキサングラフト重合体の製 造方法、ィニファータ基が導入されたポリシノレセスキォキサン化合物、並びに得られ るポリシルセスキォキサングラフト重合体を用いる粘着剤及び粘着シートを提供する ことを課題とする。
発明の開示
[0008] 本発明者らは、ィニファータ基を導入したラダー型構造を有するポリシノレセスキォキ サン化合物をィニファータとして用い、このものにアクリルアミド等のビュル化合物を 添加して電離放射線を照射すると、重合反応が進行して,溶剤可溶の無色透明のポ リシノレセスキォキサングラフト重合体が効率よく得られることを見出した。また、得られ たポリシルセスキォキサングラフト重合体は、優れた耐熱性及び凝集力をもつ粘着剤
成分として有用であることを見出し、本発明を完成するに至つた。
[0009] 力べして本発明の第 1によれば、分子内に、式(1)
[0010] [化 1]
[0011] (式中、 Aは連結基を表し、 R1は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、 R2は 水素原子又は炭素数 1一 18のアルキル基を表し、 R3は極性基又は置換基を有して いてもよいァリール基を表し、 R4は水素原子、炭素数 1一 6のアルキル基、エステル 基又はァシル基を表す。 kl、 k2及び k3は、それぞれ独立して任意の自然数を表し、 kl、 k2及び k3がそれぞれ 2以上のとき、式:一 CH -C (R2) (R3)—で表される基は同
2
一であっても、相異なっていてもよレ、。 1、 m、 nはそれぞれ独立して 0又は任意の自然 数を表す。ただし、 m=n=0の場合を除く。)で表される繰り返し単位を有するポリシ ルセスキォキサングラフト重合体の製造方法であって、式(2)
[0012] [化 2]
[0013] (式中、 A、
1、 m及び nは、前記と同じ意味を表す。 Qはィニファータ基を表す 。)で表される繰り返し単位を有するポリシノレセスキォキサン化合物と、式(3): CH =
2
。( )ー (式中、 R2、 R3は前記と同じ意味を表す。)で表されるビニルイ匕合物とを含 む混合物に電離放射線を照射、または該混合物を加熱することを特徴とするポリシ ルセスキォキサングラフト重合体の製造方法が提供される。
[0014] 本発明のポリシルセスキォキサングラフト重合体の製造方法は、前記 Qが、式: _S_ 〇(=3)_∑(式中、 Zは置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、置換 基を有していてもよいァリールォキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または 置換基を有してレ、てもよレ、フエ二ル基を表す。)で表される光ィニファータ基である前 記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキォキサンィ匕合物と、式(3): CH =〇( )_ (式中、 R2、 R3は前記と同じ意味を表す。)で表されるビュル化合
2
物とを含む混合物に、電離放射線を照射するのが好ましい。
[0015] 本発明のポリシルセスキォキサングラフト重合体の製造方法は、式 (4):〔XCH (R4 ) A] Si (OR5) (式中、 A及び R4は前記と同じ意味を表し、 Xはハロゲン原子を表し、
3
R5は炭素数 1一 6のアルキル基を表す。)で表されるアルコキシシラン化合物、及び 前記式 (4)で表されるアルコキシシラン化合物 1重量部に対し、 0— 100倍量の式(5 ): R'SKOR6) (式中、 R1は前記と同じ意味を表し、 R6は炭素数 1一 6のアルキル基
を表す。)で表されるアルコキシシラン化合物とを、酸触媒又は塩基触媒の存在下に 縮合させる工程と、
得られた重縮合物に、式(6) : M〔SC ( = S)_Z〕a (式中、 Zは前記と同じ意味を表し 、 Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または遷移金属原子を表し、 aは Mの原子価を表す。)で表される化合物を反応させることにより、分子内に、式(2' ) [0016] [化 3]
[0017] (式中、 Aは連結基を表し、 R1は置換基を有してレ、てもよい炭化水素基を表し、 R4は 水素原子、炭素数 1一 6のアルキル基、エステル基又はァシル基を表す。 1、 m、 ま それぞれ独立して 0又は任意の自然数を表す。ただし、 m=n=0の場合を除く。 Zは 置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいァ リールォキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していてもよ V、フエ二ル基を表す。 )で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキォキサン化合 物を得る工程と、
得られたポリシルセスキォキサン化合物と、式(3) : CH =〇( )_ (式中、 R2、 R
2
3は前記と同じ意味を表す。)で表されるビニル化合物とを含む混合物に電離放射線 照射する工程とを有するのがより好ましレ、。
[0018] 本発明のポリシルセスキォキサ 重合体の製造方法は、数平均分子量が 2 , 500— 1 , 000, 000であるポ ォキサングラフト重合体を製造するもので あるのが好ましい。
[0019] 本発明の第 2によれば、式(2' )
[0020] [化 4]
[0021] (式中、 Aは連結基を表し、 R1は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、 R4は 水素原子、炭素数 1一 6のアルキル基、エステル基又はァシル基を表す。 1、 m、 nは それぞれ独立して 0又は任意の自然数を表す。ただし、 m=n=0の場合を除く。 Zは 、置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、置換基を有していてもよい ァリールォキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していても ょレ、フエ二ル基を表す。 )で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキォキサン化 合物が提供される。
[0022] 本発明の第 3によれば、本発明の製造方法により得られたポリシルセスキォキサン グラフト重合体を含有することを特徴とする粘着剤が提供される。
本発明の第 4によれば、基材シートと、該基材シート上に本発明の粘着剤から形成 されてなる粘着剤層とを有することを特徴とする粘着シートが提供される。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]図 1は、実施例 1一 9 (1)で得たポリシルセスキォキサン化合物(BzCl— PSQ)の
1H_NMRスペクトル図である。
[図 2]図 2は、実施例 1一 9 (1)で得たポリシルセスキォキサン化合物(BzCl— PSQ)の IRスペクトル図である。
[図 3]図 3は、実施例 1一 9 (2)で得たポリシルセスキォキサン化合物(Ini— PSQ)の1 H—NMRスペクトル図である。
[図 4]図 4は、実施例 1一 9 (2)で得たポリシルセスキォキサン化合物(Ini— PSQ)の I Rスペクトル図である。
[図 5]図 5は、実施例 5で得た重合体 5の H—NMRスぺクトル図である。
[図 6]図 6は、実施例 5で得た重合体 5の IRスぺクトノレ図である。
発明を実施するための最良の形態
[0024] 以下、本発明を、 1)ポリシルセスキォキサングラフト重合体の製造方法、 2)粘着剤 、及び 3)粘着シートに項分けして詳細に説明する。
[0025] 1)ポリシノレセスキォキサングラフト重合体の製造方法
本発明のポリシルセスキォキサングラフト重合体の製造方法は、分子内に、前記式 (1)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキォキサングラフト重合体の製造方 法であって、前記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリシノレセスキォキサン化 合物と、前記式 (3)で表されるビニル化合物とを含む混合物に電離放射線を照射、 または該混合物を加熱することを特徴とする。
[0026] 前記式( 1 )中、 Aは連結基を表す。
連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のアルキレン 基、置換基を有してレ、てもよレ、ァリーレン基等が挙げられる。
[0027] 飽和のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリ メチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基等の炭素数 1一 20 の飽和のアルキレン基が挙げられる。不飽和のアルキレン基の具体例としては、ビニ レン基、プロぺニレン基、ブテニレン基、ペンテ二レン基等の炭素数 2— 20の不飽和 のアルキレン基が挙げられる。ァリーレン基の具体例としては、 o—フエ二レン基、 m—
フエ二レン基、 p—フエ二レン基等が挙げられる。
[0028] 前記飽和及び不飽和のアルキレン基の置換基としては、アミノ基、メチノレアミノ基、 ジメチルァミノ基等の置換基を有してレ、てもよレ、ァミノ基;水酸基;メルカプト基;アミド 基、 N, N—ジメチルアミド基等の置換基を有していてもよいアミド基;カルボキシル基
;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のァ ルコキシ基;メチルチオ基、ェチルチオ基等のアルキルチオ基;メトキシカルボニル基 、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。また、前記ァ リーレン基の置換基としては、シァノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等 のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、ェチルチオ 基等のアルキルチオ基;等が挙げられる。これらの置換基は、アルキレン基又はァリ 一レン基の任意の位置に結合していてもよぐ同一若しくは相異なって複数個が結合 していてもよい。
[0029] これらの中でも、本発明においては、耐熱性及び粘着力に優れるグラフト重合体が 得られることから、 Aとしては、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のアルキレ ン基が好ましぐ置換基を有していてもよい飽和のアルキレン基がより好ましぐ炭素 数 1一 20の飽和のアルキレン基が特に好ましい。
[0030] R1は置換基を有してレ、てもよレ、炭化水素基を表す。
R1の置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、メチル基、ェチ ル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基、 sec—ブチル基、イソブチル基、 t_ブチル基、 n—ペンチル基、 n—へキシル基、 n—へプチル基、 n—ォクチル基、 n—ノ ニル基、 n -デシル基等のアルキル基;ビュル基、 1_プロぺニル基、 2_プロぺニル基 、イソプロぺニル基、 3—ブテュル基、 4_ペンテュル基、 5_へキセニル基等のアルケ ニル基;ェチュル基、プロパルギル基、ブチュル基等のアルキニル基;フエ二ル基、 1 一ナフチル基、 2_ナフチル基等のァリール基;等が挙げられる。
[0031] R1の炭化水素基の置換基としては、前記 Aのアルキレン基及びァリーレン基の置 換基として例示したものと同様のものが挙げられる。また置換基は、炭化水素基の任 意の位置に結合していてもよぐ同一若しくは相異なって複数個が結合していてもよ い。
[0032] R2は水素原子;又はメチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチ ル基、 t_ブチル基、 n_ペンチル基、 n キシル基、 n プチル基、 n—ォクチル基 、 n ノニル基、 n デシル基、 n—ドデシノレ基等の炭素数 1一 18のアルキル基を表す。
[0033] R3は、極性基又は置換基を有してレ、てもよレ、ァリール基を表す。
極性基としては、カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プ 口ポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、 t—ブト キシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ァセチル基、プロピオニル基、ベン ゾィル基等のアシノレ基;シァノ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルス ルホニル基、ェチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フエニルスルホニル基 、 p メチルフエニルスルホニル基等のァリールスルホニル基;等が挙げられる。
[0034] 置換基を有していてもよいァリール基としては、フエニル基、 2_クロ口フエ二ル基、 3 —クロ口フエニル基、 4—クロ口フエ二ル基、 4 メチルフエニル基、 4ーメトキシフエ二ノレ 基、 4-t ブトキシフエ二ル基、 2, 4, 6-トリメチルフエニル基等の置換基を有してい てもよレ、フエニル基; 1—ナフチル基、 2—ナフチル基等の置換基を有してレ、てもよレヽ ナフチル基等が挙げられる。
[0035] R4は、水素原子、炭素数 1一 6のアルキル基、エステル基又はァシル基を表す。炭 素数 1一 6のアルキル基としては、メチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピノレ 基、 n ブチル基、 t_ブチル基、 n ペンチル基、 n キシル基等が挙げられる。エス テル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルカルボニル 基等が挙げられる。ァシル基としては、ァセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
[0036] 1、 m、 nは、それぞれ独立して 0又は任意の自然数を表す。但し、 m=n = 0の場合 を除く。
kl、 k2及び k3は、それぞれ独立して任意の自然数を表し、 kl、 k2及び k3がそれ ぞれ 2以上のとき、式: -CH -C (R2) (R3)—で表される基は同一であっても、相異な
2
つていてもよい。
[0037] 前記式(2)中、
R
4、 A、 1、 m及び nは前記と同じ意味を表す。
Qはィニファータ基を表す。
Qは、電離放射線を照射することにより、ポリシルセスキォキサン化合物をリビングラ
ジカル重合反応のマクロ開始剤とすることができる基(光ィ二ファータ基)であっても、 加熱することによりポリシノレセスキォキサン化合物をリビングラジカル重合反応のマク 口開始剤とすることができる基 (熱ィ二ファータ基)であってもよいが、 目的とするグラフ ト重合体を効率よく得ることができることから、光ィニファータ基であるのが好まし 式
: -s-c ( = S) -Zで表される基がより好ましレ、。
[0038] 式中、 Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、置換基を有して レ、てもよぃァリールォキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有 してレ、てもよレ、フエ二ル基を表す。
[0039] 前記置換基を有してレ、てもよレ、炭化水素基の炭化水素基としては、メチル基、ェチ ル基等のアルキル基;シク口ペンチル基、シクロへキシル基などのシク口アルキル基; フエニル基、 1_ナフチル基、 2_ナフチル基等のァリール基;等が挙げられる。また、 前記炭化水素基の置換基としては、本発明のポリシルセスキォキサングラフト重合体 を製造する一連の反応に対して不活性な基であれば特に制限されない。例えば、フ ッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子(前記炭化水素基がアルキル基、シクロアルキ ル基、ァリール基の場合);メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;メチル基、ェチ ル基などのアルキル基(前記炭化水素基がシクロアルキル基、ァリール基の場合); 等が挙げられる。
[0040] アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、 n-プロピル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいァリールォキシ基としては、フエノキシ基、 2—クロロフエノ キシ基、 4ークロロフエノキシ基、 3—メチルフエノキシ基、 1一ナフチルォキシ基、 2—ナ フチルォキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、アミノ基、ジメチノレアミノ基、ジェチルァ ミノ基、メチルェチルァミノ基、フエニルァミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいフエニル基としては、フエ二ル基、 2—メチルフエニル基、 3—メチルフヱニル基、 4ーメチルフヱニル基等が挙げられる。
これらの中でも、 Zとしては、置換基を有するァミノ基が好ましぐジメチルァミノ基、 ジェチルァミノ基がより好ましぐジェチルァミノ基が特に好ましい。
[0041] 分子内にィニファータ基(Q)を有する化合物 (ィニファータ: la)は、電離放射線を
照射又は加熱するとィニファータ基(Q)が解離し、ラジカル(la*、 Q*)が生成する。 そして、このラジカル(la*)力^ビングラジカル重合反応の重合開始剤(マクロ開始剤 )となり、系内に存在するラジカル重合性モノマー(M 1 )が速やかに重合する。反応系 内にラジカル重合性モノマーがなくなると、重合末端とラジカル (Q *)とが反応して、 新しいィニファータ(lb)が生成する。このものに、別の重合性モノマー(M 2 )を添カロし て、電離放射線を照射又は加熱すると、ィニファータ基(Q)が再び解離し、ラジカル( Q *)が生成する。そして、このラジカル(lb *)がリビングラジカル重合反応の重 合開始剤(マクロ開始剤)となり、系内に存在するラジカル重合性モノマー(M 2 )が速 やかに重合する。反応系内にラジカル重合性モノマーがなくなると、重合末端とラジ カル (Q *)とが反応して、新しいィニファータ(lc)が生成する(下記反応式参照)。
[0042] [化 5コ h X
A ~ Q ~ (ヌは A , A* + Q*
0 (la*)
h λ
A ~ "-" (M^Q U¾ A A— (M,)x* + Q*
(ib) (lb*) ~ (Mi)x* + yM2 ^ A ~ (M,) - M2)F~Q
(l b*) (lc)
[0043] 以上のようにして、種類の異なるラジカル重合性モノマーを段階的にラジカル重合 することで、所望のモノマー組成と分子量を有するブロック共重合体を効率よく製造 すること力 Sできる。
[0044] 得られるポリシノレセスキォキサン化合物(2)の繰り返し単位は、下記式(a)—(c)の いずれかで表される。
分子内に、少なくとも(b)及び/又は(c)の繰り返し単位を有していれば特に制限さ
れない。上記に示す(a)及び (b)、(a)及び (c)、(b)及び(c)、又は(a)、 (b)及び (c )の繰り返し単位を有する共重合体の場合、この共重合体は、ランダム共重合体、部 分ブロック共重合体、完全ブロック共重合体等、どのような共重縮合物であってもよい
[0045] [化 6]
[0046] また、本発明においては、前記(c)で表される繰り返し単位は、上下 180° 回転し た形で結合していてもよい。例えば、前記(c)で表される繰り返し単位は、下記(d)に 示す繰り返し単位等であってもよレ、。
[0047] [化 7]
(d)
[0048] 本発明においては、前記ポリシノレセスキォキサン化合物(2)として、前記式(2' )で 表される繰り返し単位を有するポリシルセスキォキサンィ匕合物(以下、「ポリシルセス キォキサン化合物(2' )」と略記する。 )を用いるのが好ましい。
[0049] ポリシノレセスキォキサン化合物(2' )は、次のようにして製造することができる。
まず、式 (4):〔XCH (R4)A〕Si (OR5) で表されるアルコキシシランィ匕合物(以下、「
3
アルコキシシラン化合物 (4)」という。)、及びアルコキシシランィ匕合物 (4) 1重量部に 対し、 0— 100倍量の、式(5): R'SKOR6) で表されるアルコキシシラン化合物(以下
3
、「アルコキシシランィ匕合物(5)」という。)を、酸触媒又は塩基触媒の存在下に縮合さ せる。次いで、得られた共重縮合物に、式 (6): MSC ( = S) Zで表される化合物を反 応させることにより、ラダー型構造を有するポリシノレセスキォキサン化合物(2' )を得る こと力 Sできる。
[0050] アルコキシシランィ匕合物(4)において、式 (4)中、 A及び R4は前記と同じ意味を表 す。
Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表し、 R5はメチル基、ェ チル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基、イソブチル基、 sec—ブチル基 、 t_ブチル基、 n—ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、 n キシル基等
の炭素数 1一 6のアルキル基を表す。 )
[0051] アルコキシシラン化合物(4)の具体例としては、 p—クロロメチルフエニルトリメトキシ シラン、 p—クロロメチルフエニルトリエトキシシラン、 p_ (2—クロロェチノレ)フエニルトリメ トキシシラン、 p— (2—クロロェチル)フエニルトリエトキシシラン、 p— (3—クロ口プロピル) フエニルトリメトキシシラン、 p— (3—クロ口プロピル)フエニルトリエトキシシラン、 p—ブロ モメチルフエニルトリメトキシシラン、 p_ブロモメチルフエニルトリエトキシシラン、 p_ (2 —ブロモェチノレ)フエニルトリメトキシシラン、 p_ (2—ブロモェチノレ)フエニルトリエトキシ シラン、 p_ (3—ブロモプロピル)フエニルトリメトキシシラン、 p_ (3—ブロモプロピル)フ ェニノレトリエトキシシラン、
[0052] p—クロロメチルフエニルメチルトリメトキシシラン、 p—クロロメチルフエニルメチルトリエ トキシシラン、 p— (2—クロロェチル)フエニルメチルトリメトキシシラン、 p— (2—クロロェ チル)フエニルメチルトリエトキシシラン、 p_ (3—クロ口プロピノレ)フエニルメチルトリメト キシシラン、 p— (3—クロ口プロピル)フエニルメチルトリエトキシシラン、 p—ブロモメチル フエニルメチルトリメトキシシラン、 p—ブロモメチルフエニルメチルトリエトキシシラン、 p _ (2—ブロモェチノレ)フエニルメチルトリメトキシシラン、 p_ (2—ブロモェチノレ)フエニル メチルトリエトキシシラン、 p— (3—ブロモプロピル)フエニルメチルトリメトキシシラン、 p— (3—ブロモプロピノレ)フエニルメチルトリエトキシシラン、 2_ (p—クロロメチルフエニル) ェチルトリメトキシシラン、 2— (p—クロロメチルフエニル)ェチルトリエトキシシラン、 2— ( p—クロロメチルフエ二ノレ)ェチルトリプロポキシシラン、 2- (p—クロロメチルフエ二ノレ)ェ チルトリブトキシシラン、 2_ (p_ブロモメチルフエニル)ェチルトリメトキシシラン、 2_ (p —ブロモメチルフエ二ノレ)ェチルトリエトキシシラン、 2_ (p_ブロモメチルフエ二ノレ)ェチ ノレトリプロポキシシラン、
[0053] 2_ (m_クロロメチルフエ二ノレ)ェチルトリメトキシシラン、 2_ (m—クロロメチルフエ二 ノレ)ェチルトリエトキシシラン、 2_ (m—クロロメチルフエ二ノレ)ェチルトリプロポキシシラ ン、 2_ (m_クロロメチルフヱ二ノレ)ェチルトリブトキシシラン、 2_ (m_ブロモメチルフエ 二ノレ)ェチルトリメトキシシラン、 2_ (m_ブロモメチルフエ二ノレ)ェチルトリエトキシシラ ン、 2_ (m_ブロモメチルフエ二ノレ)ェチルトリプロポキシシラン、 3_ (p—クロロメチルフ ェニル)プロビルトリメトキシシラン、 3— (p—クロロメチルフエ二ノレ)プロピルトリエトキシ
シラン、 3— (p—クロロメチルフエ二ノレ)プロピルトリプロポキシシラン、 3— (p—クロロメチ ノレフエ二ノレ)プロピルトリブトキシシラン、 3_ (p_ブロモメチルフエ二ノレ)プロピルトリメト キシシラン、 3_ (p_ブロモメチルフエ二ノレ)プロピルトリエトキシシラン、 3_ (m—ブロモ メチルフエ二ノレ)プロピルトリプロポキシシラン、 3_ (m—クロロメチルフヱ二ノレ)プロピル トリメトキシシラン、 3— (m—クロロメチルフエニル)プロピルトリエトキシシラン、 3— (m— クロロメチルフエ二ノレ)プロピルトリプロポキシシラン、 3_ (m—クロロメチルフエ二ノレ)プ 口ピルトリブトキシシラン、 3— (m—ブロモメチルフエニル)プロピルトリメトキシシラン、 3 _(m_ブロモメチルフエ二ノレ)プロピルトリエトキシシラン、 3_(m_ブロモメチルフエ二 ル)プロピルトリプロポキシシラン、
[0054] 4— (p—クロロメチルフエニル)ブチルトリメトキシシラン、 4— (p—クロロメチルフエニル )ブチルトリエトキシシラン、 4— (p—クロロメチルフエニル)ブチルトリプロポキシシラン、 4_ (p—クロロメチルフエニル)ブチルトリブトキシシラン、 4_ (p_ブロモメチルフエニル) ブチルトリメトキシシラン、 4_ (p_ブロモメチルフエニル)ブチルトリエトキシシラン、 4_ (p_ブロモメチルフエ二ノレ)ブチルトリプロポキシシラン、 4_ (p_ブロモメチルフエニル )フエニルトリメトキシシラン、 4— (p—ブロモメチルフエニル)フエニルトリエトキシシラン 、 4— (p—ブロモメチルフエニル)フエニルトリメトキシシラン、 4— (p—ブロモメチルフエ二 ル)フエニルトリエトキシシラン、 4- (p_ブロモメチルフエニル)フエニルメチルトリメトキ シシラン、 4— (p—ブロモメチルフエ二ノレ)フエニルメチルトリエトキシシラン、 4— (p—ブ ロモメチルフエ二ノレ)フエニルトリメトキシシラン、 4— (p—ブロモメチルフエ二ノレ)フエ二 ノレメチルトリエトキシシラン、 2_〔4 ' _ (p_ブロモメチルフエニル)フエ二ノレ〕ェチルトリメ トキシシラン、 2—〔4 '— (p—ブロモメチルフエニル)フエニル〕ェチルトリエトキシシラン、 2- [4'- (p—ブロモメチルフエ二ノレ)フエニル〕ェチルトリメトキシシラン、 2—〔4 '— (p— ブロモメチルフエニル)フエニル〕ェチルトリエトキシシラン、及びこれらの 2種以上の 組合せ等が挙げられる。
[0055] アルコキシシランィ匕合物(5)において、式(5)中、 R1は前記と同じ意味を表し、 R6は 炭素数 1一 6のアルキル基を表す。 R6としては、前記 R5の具体例として列挙したもの と同様のものが挙げられる。
[0056] アルコキシシラン化合物(5)の具体例としては、フエニルトリメトキシシラン、 4_クロ口
フエニルトリメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、 2—メトキシフエニルトリエトキシ シラン等の(置換)フエニルトリアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチノレトリ エトキシシラン、ェチルトリメトキシシラン、ェチルトリエトキシシラン、 n プロピルトリメト キシシラン、 n プロピルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類;シァノ メチルトリメトキシシラン、シァノメチルトリエトキシシラン、 2—シァノエチルトリメトキシシ ラン、 2—シァノエチルトリエトキシシラン、 3_シァノプロピルトリメトキシシラン、 3—シァ ノプロピルトリエトキシシラン、 4—シァノブチルトリメトキシシラン、 4—シァノブチルトリエ ラン、ァセトキシメチルトリエトキシシラン、 3—ァセトキシプロピルトリメトキシシラン、 3_ ァセトキシプロピルトリエトキシシラン等のァセトキシ基を有するシラン類;及びこれら 2 種以上の組合せ等が挙げられる。
[0057] アルコキシシランィ匕合物 (4)とアルコキシシラン化合物(5)との混合割合は任意に 設定することができる力 通常、重量部比で、アルコキシシランィ匕合物 (4):アルコキ シシラン化合物(5) = 100: 0— 1: 99の範囲である。
[0058] アルコキシシランィ匕合物 (4)とアルコキシシラン化合物(5)との反応に用いる有機溶 媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチ ル、酢酸ェチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチ ノレェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノン等のケトン類;メチルアルコ 一ノレ、ェチノレアノレコーノレ、 n—プロピノレアノレコーノレ、イソプロピノレアノレコーノレ、 n—ブチ ノレアノレコーノレ、イソブチルアルコール、 sec—ブチルアルコール、 t_ブチルアルコー ル等のアルコール類;水;等が挙げられる。これらの溶媒は 1種単独で、あるいは 2種 以上を混合して用いることができる。
[0059] 用いる酸触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸; p_トルエンスルホン酸、 p トルェ ンスルホン酸 1水和物、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、蟮酸 等の有機酸が挙げられる。
[0060] また塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水 酸化カルシウムなどの金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、力リウ ムメトキシド、カリウム t ブトキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等
の金属アルコキシド;メチルァミン、ェチルァミン、ブチルァミン等の 1級ァミン;ジェチ ノレァミン、ジブチルァミン等の 2級ァミン;トリェチルァミン、ジイソプロピルェチルァミン 等の 3級ァミン;ピリジン、 1 , 8—ジァザビシクロ [5. 4. 0]ゥンデセ _7—ェン(DBU)な どの含窒素複素環化合物;等が挙げられる。
[0061] 酸触媒又は塩基触媒の使用量は、アルコキシシラン化合物(4)に対して、通常、 0 . 001重量%— 10重量%、好ましくは 0. 01重量%— 5重量%の範囲である。
[0062] 反応温度は、通常 0°Cから用いられる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは 40°C 一 130°Cの範囲である。反応温度があまりに低いと縮合反応の進行が不十分となる 場合がある一方で、反応温度が高くなりすぎるとゲルィ匕抑制が困難となる。反応は、 通常数分から数時間で完結する。
[0063] 得られた共重縮合物に、式(6) : M〔SC ( = S)— Z〕aで表される化合物を反応させる と、前記アルコキシシランィ匕合物 (4)由来のハロゲン (X)部分力 光ィニファータ基( 一 SC ( = S)— Z)で置換されたポリシルセスキォキサン化合物(2' )を得ることができる
[0064] 式(6)中、 Zは前記と同じ意味を表す。
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子;マグネシウム、カルシゥ ム等のアルカリ土類金属原子;または鉄、マンガン、亜鉛、銅等の遷移金属原子;を 表し、アルカリ金属原子が好ましい。
aは Mの原子価を表す。
[0065] 式(6)で表される化合物の具体例としては、ジメチルジチォカルバミン酸ナトリウム、 ジェチルジチォカルバミン酸ナトリウム等の Mがアルカリ金属原子である化合物;ビス (ジメチルジチォカルバミン酸)マグネシウム、ビス(ジェチルジチォカルバミン酸)マ グネシゥム等の Mがアルカリ土類金属原子である化合物;ビス(ジメチルジチォカル ノ ミン酸)銅、ビス(ジェチルジチォカルバミン酸)銅等の Mが遷移金属原子である化 合物;等が挙げられる。
[0066] これらの中でも、反応性が高 また得られるポリシノレセスキォキサン化合物力 ポリ シルセスキォキサングラフト重合体の合成を効率よく行うことができることから、 Mがァ ルカリ金属原子である化合物が好ましぐジメチルジチォカルバミン酸ナトリウム、ジェ
チルジチォカルバミン酸ナトリウムがより好ましい。
[0067] 前記共重縮合物と式 (6) : M〔SC ( = S)— Z〕aで表される化合物との反応は、通常、 不活性溶媒中で行うことができる。
用いる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類 ; n-ペンタン、 n-へキサン、 n-ヘプタン、 n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロ ペンタン、シクロへキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ジ ェチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、 1, 2—ジメトキシェタン、ジブチルエーテ ル、テトラヒドロフラン、ジォキサン、ァニソール、フエニルェチルエーテル、ジフエニル エーテル等のエーテル類;クロ口ホルム、四塩化炭素、 1, 2—ジクロロェタン、クロ口べ ンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸ェチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピ オン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルェチルケトン、ジェチルケトン、メチル イソブチルケトン、シクロへキサノン等のケトン類; N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N -ジメチルァセタミド、 N—メチルピロリドン等のアミド類;ァセトニトリル、ベンゾニトリル 等の二トリル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;等が挙げられ る。これらの溶媒は 1種単独で、あるいは 2種以上を混合して用いることができる。
[0068] 溶媒の使用量は、特に制約はないが、用いる共重縮合物 lgに対して、通常 1一 10 00ml,好ましくは 5— 100mlである。
[0069] 反応温度は、特に制約はないが、通常 0°Cから用いる溶媒の沸点までの温度範囲 、好ましくは 15— 60°C、より好ましくは室温である。
反応時間は、通常数分から数十時間、好ましくは 1一 20時間である。
反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより、本発明に用いるポリシルセスキォ キサン化合物(2' )を得ることができる。
[0070] 以上のようにして、線状にのびたラダー型構造と称される繰り返し単位構造を有す るポリシルセスキォキサンィ匕合物(2)を得ることができる。ラダー型構造を有してレ、る か否かは、例えば、反応生成物の赤外線吸収スペクトルや X線回折測定を行うことに よって確言忍すること力 Sできる。
本発明においては、ポリシノレセスキォキサン化合物(2)の中でも、分子末端に光ィ 二ファータ基を有するポリシルセスキォキサンィ匕合物(2 ' )が特に好ましレ、。
[0071] ポリシルセスキォキサン化合物(2)の数平均分子量は、通常 500— 30, 000、好ま しくは 1 , 000— 20, 000の範囲である。数平均分子量は、例えば、 SEC (サイズ.ェ タスクルージョン'クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により求めること ができる。
また、ポリシノレセスキォキサン化合物(2)の分子量分布(MwZMn)は、特に制限 されないが、通常 1. 0-3. 0、好ましくは 1. 1-2. 0の範囲である。
[0072] 次に、得られたポリシルセスキォキサンィ匕合物(2)と、式(3): CH =C (R2) -R3 (¾;
2
中、 R2、 R3は、前記と同じ意味を表す。)で表されるビニルイ匕合物(以下、「ビエル化 合物(3)」と略記する。)との混合物に電離放射線照射、または該混合物を加熱して、 リビングラジカル重合反応させることにより、前記式(1)で表される繰り返し単位を有 するポリシルセスキォキサングラフト重合体を得ることができる。
[0073] 電離放射線としては、例えば、紫外線、電子線等が挙げられ、なかでも紫外線が好 ましい。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンァー ク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。
反応温度は特に制約されないが、通常 0°Cから用いる溶媒の沸点までの温度範囲 、好ましくは 20— 100°Cである。
加熱する場合の加熱温度は、通常 110— 190°C、好ましくは、 120— 180°Cである
[0074] 用いるビニル化合物(3)としては、ラジカル重合性のビニル基(二重結合)を有する 化合物であれば特に制限されなレ、。例えば、前記式(3)において、 R3がアルコキシ カルボニル基であるアクリル系化合物; R3が置換基を有していてもよいァリール基で ある芳香族ビュル化合物; R3がシァノ基であるビュル二トリルイ匕合物; R3がアシノレ基 であるビニルケトン化合物; R3がアルコキシ基であるビュルエーテル化合物; R3がァ ルキルスルホニル基又はァリールスルホニル基であるビニルスルホン化合物; R3がァ セトキシ基であるビュルエステルイ匕合物;等が挙げられる。
[0075] アクリル系化合物としては、分子内に (メタ)アタリロイル基を有する化合物であれば 特に制限はない。
アクリル系化合物の具体例としては、メチル (メタ)アタリレート、ェチル (メタ)アタリレ
ート、 n—プロピル(メタ)アタリレート、イソプロピル(メタ)アタリレート、 n_ブチル(メタ) アタリレート、イソブチル(メタ)アタリレート、 t_ブチル(メタ)アタリレート、 n—ペンチル( メタ)アタリレート、 n_へキシル(メタ)アタリレート、 2_ェチルへキシル(メタ)アタリレー ト、ォクチル (メタ)アタリレート、ノニル (メタ)アタリレート、デシル (メタ)アタリレート、ゥ ンデシル(メタ)アクレート、ドデシル(メタ)アタリレート、メトキシメチル(メタ)アタリレー ト、メトキシエチレングリコール (メタ)アタリレート、メトキシポリエチレングリコール (メタ) アタリレート、ノユルフェノキシェチル(メタ)アタリレート、 3—クロ口一 2—ヒドロキシプロピ ル(メタ)アタリレート、フエノキシェチル(メタ)アタリレート、フエノキシポリエチレンダリ コール(メタ)アタリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アタリレート、シクロへ キシル(メタ)アタリレート、テトラヒドロフルフリノレ(メタ)アタリレート、イソボルニル(メタ) アタリレート、ベンジル(メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシェチル(メタ)アタリレート、 2_ ( メタ)アタリロイルォキシェチルー 2—ヒドロキシェチルフタル酸、グリセリンモノ(メタ)ァ タリレート、 2—ヒドロキシブチル(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)ァク リレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリ ε—力プロラタトンモノ(メタ )アタリレート、ジアルキルアミノエチル (メタ)アタリレート、グリシジル (メタ)アタリレート 、モノ [ (メタ)ァクロイルォキシェチノレ]アシッドホスフェート、トリフルォロェチル (メタ)ァ タリレート、 2, 2, 3, 3—テトラフノレ才ロプロピノレ (メタ)アタリレート、 2, 2, 3, 4, 4, 4_ へキサフルォロブチル (メタ)アタリレート、パーフルォロォクチルェチル (メタ)アタリレー ト、ジシクロペンテニルォキシアルキル (メタ)アタリレート、トリシクロデカニルォキシェ チル (メタ)アタリレート、イソボルニルォキシェチル (メタ)アタリレート、モルホリン (メタ)ァ タリレート、 Ν, Νしジメチルアクリルイミド、 Ν, Νしジメチルアクリルアミド等の単官能 性 (メタ)アタリレートイ匕合物;
2, 2_ジメチノレ一 3—ヒドロキシプロピノレー 2, 2_ジメチノレ一 3—ヒドロキシプロピオネート のジ (メタ)アタリレート、エチレングリコールジ (メタ)アタリレート、テトラエチレングリコー ルジ (メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールジ (メタ)アタリレート、プロピレングリコー ルジ (メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールジ (メタ)アタリレート、 1, 4_ブタンジォ ールジ (メタ)アタリレート、 1, 6—へキサンジオールジ (メタ)アタリレート、グリセリンジ (メ タ)アタリレート、ネオペンチルグリコールジ (メタ)アタリレート、ビスフエノーノレ Αのェチ
レンォキシド付加物のジ (メタ)アタリレート、ビスフエノーノレ Aのプロピレンォキシド付加 物のジ (メタ)アタリレート、 2, 2しジ(ヒドロキシプロポキシフエニル)プロパンのジ (メタ) トリシクロデカンジメチロールのジ (メタ)アタリレート、ジシクロペンタジェンジ (メタ)アタリ レート、ペンタンジ (メタ)アタリレート、トリシクロデカンジメタノールジ (メタ)アタリレート、 2, 2しジ(グリシジルォキシフヱニル)プロパンの (メタ)アクリル酸付加物、 2—ヒドロキ シ _1_ (メタ)アタリロキシ _3_ (メタ)アタリロキシプロパン等の 2官能性 (メタ)アタリレート 化合物;
[0077] トリメチロールプロパントリアタリレート、トリメチロールプロパントリ(ォキシェチル)(メ タ)アタリレート、ペンタエリスリトールトリ (メタ)アタリレート、ペンタエリスリトールテトラァ( メタ)アタリレート、ジペンタエリスリトールへキサ (メタ)アタリレート、テトラメチロールメタ ントリ (メタ)アタリレート、テトラメチロールメタンテトラ (メタ)アタリレート、トリス(アタリロキ シ)イソシァヌレート、トリス(2—ヒドロキシェチル)イソシァヌレートのトリ (メタ)アタリレー ト、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシァヌレートのトリ (メタ)アタリレート等の多官能性 (メ タ)アタリレートイ匕合物;等が挙げられる。
[0078] 芳香族ビニル化合物としては、スチレン、 α—メチルスチレン、 4ーメチルスチレン、 4 ーメトキシスチレン、 4_tーブトキシスチレン、 3_クロロスチレン等が挙げられる。
ビュル二トリル化合物としては、アクリロニトリル、メタタリロニトリル等が挙げられる。 ビニルケトン化合物としては、ビュルメチルケトン、ビュルフヱニルケトン等が挙げられ る。ビュルエーテル化合物としては、ェチルビニルエーテル、プロピルビュルエーテ ル等が挙げられる。ビニルスルホン化合物としては、ビュルメチルスルホン等が挙げ られる。
また、ビュルエステル化合物としては酢酸ビュル等が挙げられる。これらの中でも、 耐熱性及び凝集力に優れるグラフト重合体が効率よく得られることから、アクリル系化 合物の使用が特に好ましい。
[0079] 本発明においては、上記ビュルィ匕合物(3)の 2種以上を組み合わせて用いることも できる。この場合には、重合反応液に種類の異なるビュルィ匕合物(3)を段階的に添 加することにより、分子末端に、ビニルイヒ合物(3)のブロック共重合体がグラフトした
グラフト共重合体を得ることができる。
[0080] ビュル化合物(3)の使用量は、用いるポリシルセスキォキサンィ匕合物(2) 1重量部 に対し、通常、 1一 1000重量部、好ましくは 5— 200重量部の範囲である。
[0081] 用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されなレ、。例えば、ベ ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類; n—ペンタン、 n—へキサン、 n—へ プタン、 n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロへキサン、シクロ ヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ジェチルエーテル、ジイソプロピノレ エーテル、 1 , 2—ジメトキシェタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジ ォキサン、ァニソール、フエニルェチルエーテル、ジフエニルエーテル等のエーテル 類;クロ口ホルム、四塩化炭素、 1 , 2—ジクロロェタン、クロ口ベンゼン等のハロゲン化 炭化水素類;酢酸ェチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエス テル類;アセトン、メチルェチルケトン、ジェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シク 口へキサノン等のケトン類; N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセタミド、 N_メチルピロリドン等のアミド類;ァセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル類;ジメチ ルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;等が挙げられる。これらの溶媒は 1種 単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0082] 溶媒の使用量は、ポリシノレセスキォキサン化合物(2) lgあたり、通常、 0. 1— 1 , 00 Oml、好ましくは 1一 100mlである。
[0083] 反応時間は、規模にもよるが、通常数分から数十時間、好ましくは 15分から数時間 である。
[0084] また、 2種類以上のビニル化合物(3)を重合反応液に順次添加して、 2種類以上の ビュル化合物(3)のブロック共重合体がグラフトしたグラフト共重合体を得る場合には 、ビニル化合物(3)の種類に応じて、重合反応温度及び反応時間を変化させることも できる。
[0085] 重合後、周知の方法に従って、残存モノマー及び/又は溶媒を留去し、適当な溶 媒中で再沈殿させ、沈殿した重合体を濾過又は遠心分離して目的とする重合体を単 離すること力 Sできる。
[0086] 再沈殿に使用する溶媒としては、水; n-ペンタン、 n-へキサン、 n_ヘプタン、シク
口へキサン等の炭素数 5— 8の炭化水素類又は脂環式炭化水素類;ジェチルエーテ ノレ、ジォキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭素 数 1一 6のアルコール類等が挙げられる。これらの中では、水、ジェチルエーテル、 n 一へキサン、メタノール又はこれらの混合溶媒が好適である。
[0087] 以上のようにして、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシノレセスキォキサン グラフト重合体を得ることができる。
[0088] 得られるポリシノレセスキォキサングラフト重合体の数平均分子量は特に限定される もので ίまなレヽカ S、通常、 2, 500— 1 , 000, 000、好ましく ίま 3, 000— 500, 000であ る。
[0089] 本発明の製造方法によれば、リビング重合により重合反応が進行するため、分子量 分布の狭レ、重合体を得ることができる。
得られるポリシルセスキォキサングラフト重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常
1. 0—5. 0、好ましくは 1. 3—2. 5の範囲である。
[0090] 得られるポリシノレセスキォキサングラフト重合体は、熱重量分析 (TGA)測定におい て、 400°Cまで加熱したときの重量損失率 (WL )が 30%以下、好ましくは 25%以
400
下である。
また、得られるポリシノレセスキォキサングラフト重合体は、従来のアクリル系粘着剤と 同等又は同等以上の凝集力を示す。
[0091] 3)粘着剤
本発明の粘着剤は、本発明の製造方法により得られるポリシルセスキォキサンダラ フト重合体を含有することを特徴とする。
本発明の粘着剤は、本発明の製造方法により得られるポリシルセスキォキサンダラ フト重合体の 1種又は 2種以上を適当な溶剤に溶解することにより製造することができ る。
[0092] 用いる溶剤としては、本発明の製造方法により得られるポリシルセスキォキサンダラ フト重合体を溶解するものであれば特に制限されない。
例えば、酢酸ェチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステ ル類;アセトン、メチルェチルケトン、ジェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
へキサノン等のケトン類; N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセタミド、 N- メチルピロリドン等のアミド類;ァセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル類;ジメチルス ノレホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族 炭化水素類; n-ペンタン、 n-へキサン、 n-ヘプタン、 n-オクタン等の脂肪族炭化水 素類;シクロペンタン、シクロへキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭 化水素類;ジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、 1, 2—ジメトキシェタン、ジブ チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジォキサン等のエーテル類;クロ口ホルム、四塩化 炭素、 1, 2—ジクロロェタン、クロ口ベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;等が挙げら れる。これらの溶媒は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができ る。
[0093] 溶剤の使用量は任意である力 本発明の製造方法により得られるポリシルセスキォ キサングラフト重合体 100重量部に対して、通常、 1一 10, 000重量部、好ましくは 1 0— 1, 000重量部である。
[0094] 本発明の粘着剤は、主成分として本発明の製造方法により得られるポリシルセスキ ォキサングラフト重合体を含み、さらに所望により、他の粘着剤、粘着付与剤、酸化 防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤等を添加することができる。
[0095] 本発明の粘着剤は、主成分として本発明の製造方法により得られるポリシルセスキ ォキサングラフト重合体を含むものであるため、耐熱性に極めて優れ、かつ、優れた 凝集力を有している。
[0096] 4)粘着シート
本発明の粘着シートは、基材シートと、該基材シート上に本発明の粘着剤から形成 されてなる粘着剤層とを有することを特徴とする。
用いる基材シートとしては、ダラシン紙、コート紙、キャスト紙等の紙基材;ポリエチレ ンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレ 一トフイルム等のポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム 等のポリオレフインフィルム;ポリ塩化ビュルフィルム;ポリウレタンフィルム;合成紙、セ ルロース系シートやフィルム、種々の材料からなる不織布、織布、編布等が挙げられ る。また、これらの基材シートは、所望により表面に適当な文字や図柄等の印刷を施
しておくこともでさる。
[0097] 基材シート上に粘着剤層を形成する方法としては、(i)基材シート上に、本発明の 粘着剤を所定の厚みとなるように塗工し、 40— 150°Cで乾燥する方法、( 剥離シー ト(又は工程紙)上に、本発明の粘着剤を所定の厚みとなるように塗工し、該塗工面 に基材シートを貼合わせて 40— 150°Cで乾燥した後、剥離シートを剥離する方法、 等により製造することができる。 Gi)の方法による場合、剥離シートは、所望により剥離 することなくそのまま付着させておいて、粘着シートの使用時に剥離するようにしても よい。
[0098] 用いる剥離シートとしては、ダラシン紙、コート紙、キャスト紙等の紙基材;ポリエチレ ンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレ 一トフイルム等のポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム 等のポリオレフインフィルム;等が挙げられる。これらの剥離シートは、表面にシリコー ン樹脂等の剥離剤を塗布したものであってもよい。
[0099] 粘着剤を基材シート又は剥離シート上に塗工する方法は特に限定されず、公知の 塗工方法を採用できる。塗工方法としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート 法、リバースグラビア法、キスコート法、ナイフコート法、バーコート法、ダイコート法、 カーテンコート法などが挙げられる。得られる粘着剤層の厚みは、通常 5— 100 / m 、好ましくは 10— 60 μ mである。
[0100] 本発明の粘着シートは、耐熱性及び凝集力に優れる本発明の粘着剤から形成され てなる粘着剤層を有するため、優れた粘着力と凝集力を有し、高温環境下で使用し ても、粘着力が低下することがない。
実施例
[0101] 次に実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の 実施例に限定されるものではない。
なお、数平均分子量 (Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、得られた重合体を、テ トラヒドロフラン (THF)を展開溶媒とするサイズ'ェクスクルージョン'クロマトグラフィ 一(SEC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
実施例 1一 9
(1)ラダー型ポリシルセスキォキサン化合物(BzCl— PSQ)の合成
[0102] [化 8]
(B z C 1 P S Q)
[0103] (式中、 pは自然数を表す。 )
ナスフラスコに、トルエン Z水混合溶液(体積比 = 2Zl) 15mL、フヱニルトリメトキ シシラン 4. 00g (0. 02モノレ)、 p—クロロメチノレフェニノレトリメトキシシラン 5. 0g (0. 02 モル)、及びメタンスルホン酸 0. 202§ (5モル%)を仕込み、室温で 12時間撹拌した 。反応終了後、反応液から有機層を分取して、溶媒を減圧留去して得られた残留物 を大量の n キサンに滴下した。沈殿した固体を濾別'乾燥し、 目的とするポリシノレ セスキォキサン化合物(BzCl— PSQ)を得た(収率 93%)
[0104] 得られた重合体の構造の確認は、 ^-NMR及び IRスペクトルを測定することによ り行った。ポリシルセスキォキサン化合物(BzCl— PSQ)の1 H— NMR (CDC1 )及び I
3
Rスペクトル (KBr)を図 1及び図 2にそれぞれ示す。図 1中、縦軸はピーク強度を、横 軸はケミカルシフト(ppm)をそれぞれ示す。また、図 2中、縦軸はピーク強度を、横軸 は波数(cm— をそれぞれ示す。得られたポリシルセスキォキサン化合物(BzCl— PS Q)の数平均分子量(Mn)は 1, 300、分子量分布(Mw/Mn)は 1. 25であった。
(2)ジチォ力ルバメート某が導入されたポリシノレセスキォキサングラフト化合物(Ini— PSQ)の合成
[0105] [化 9]
( I n i - P S Q)
[0106] (式中、 pは自然数を表す。 )
ナスフラスコにテトラヒドロフラン(THF) 20ml (1)で得られた BzCl_PSQを lg (2 . 2モル)、ジェチルジチォカルバミン酸ナトリウム 0. 49g (2. 2モル)、及びメタンスル ホン酸 0. 202g (5モル。/。)を入れ、室温で 6時間撹拌した。反応終了後、反応液から 有機層を分取して、溶媒を減圧留去して得られた残留物を大量の n キサンに滴 下した。沈殿した固体を濾別'乾燥し、 目的とするポリシノレセスキォキサン化合物(Ini 一 PSQ)を得た (収率 90%)。
[0107] 得られたポリシルセスキォキサン化合物(Ini_PSQ)の1 H_NMR (CDC1 )及び IR
3 スペクトル (KBr)を図 3及び図 4にそれぞれ示す。図 3中、縦軸はピーク強度を、横 軸はケミカルシフト(ppm)をそれぞれ示す。図 4中、縦軸はピーク強度を、横軸は波 数 (cm— をそれぞれ示す。
また、得られたポリシルセスキォキサン化合物(Ini— PSQ)の数平均分子量(Mn) は 2, 100であり、分子量分布(Mw/Mn)は 1. 3であった。
[0108] (3)重合体の製造
ガラス管に窒素雰囲気下、(2)で得られた Ini— PSQを開始剤とし、下記第 1表に示 す溶媒 100ml、及びモノマーを添加し、紫外線照射装置 (理工化学産業 (株)製 R
H400)により紫外線を照射しながら室温で 3時間撹拌した。
反応終了後、反応液を大量の n—へキサンに滴下し、沈殿した固体を濾別'乾燥し 、重合体 1一 9をそれぞれ得た。カップリングによるゲル化は確認されなかった。得ら れた重合体 1一 9の収率(%)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(MwZMn)を 下記第 1表に示す。
表中、 MMAはメチルメタタリレートを、 DMAはドデシルメタタリレートを、 DMAAm は N—ジメチルアクリルアミドを、 n— BAは n_ブチルアタリレートをそれぞれ表す。 また、開始剤量のモル数は、開始剤 lgあたりの開始点のモル数である。
[表 1] 第 1 表
[0110] 実施例 5で得た重合体 5の1 H—NMRスペクトル(CDC1 )及び IRスぺクトノレ(KBr)
3
を図 5及び図 6にそれぞれ示す。図 5中、縦軸はピーク強度を、横軸はケミカルシフト (ppm)をそれぞれ示す。また、図 6中、縦軸はピーク強度を、横軸は波数 (cm— ^を それぞれ示す。
[0111] 実施例 10
ガラス管に、窒素雰囲気下、実施例 4で得られた重合体 4 (Ini— PSQと DMAとの共 重合体) 31. 8g、トルエン 100ml、及び MMA12. 5gを添加し、紫外線を照射しな 力 室温で 3時間撹拌した。
反応終了後、反応液を大量の n—へキサンに滴下し、沈殿した固体を濾別'乾燥し
、重合体 10 (Ini— PSQと DMAと MMAとの共重合体)を得た(収率 70%)。得られた 重合体 10の数平均分子量(Mn)は 20, 000、分子量分布(MwZMn)は 2. 60であ つた。
[0112] 比較例 1 ラジカル重合によるメチルメタクリレートードデシルメタタリレート共重合体の 製造
窒素雰囲気下、ラジカル開始剤として AIBN 0. 3g (l . 82mmol)、 DMA (ドデシ ノレメタタリレート) 81. 4g (320mmol)、 MMA (メチノレメタタリレート) 16. Og (160mm ol)、及び酢酸ェチル 100mlをガラス管に仕込み、 75°Cで 15時間撹拌した。
反応終了後、反応液を大量の n—へキサンに滴下し、沈殿した固体を濾別'乾燥し て重合体 11を得た (収率 80%)。
得られた重合体 11の数平均分子量 (Mn)は 27, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 70であった。
[0113] ¾fe例 11. 12、比較例 2 粘着吝 IIの調製
上記実施例 4, 10及び比較例 1で得た重合体の固形分 100重量部に対して、酢酸 ェチル 200mlを加えて十分に混合することにより、粘着剤をそれぞれ調製した。
[0114] 実施例 13, 14、比較例 3 粘着シートの作製
上記実施例 11, 12及び比較例 2で得た各粘着剤を、厚さ 38 / mのシリコーン樹脂 による剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の片面 に、乾燥被膜の厚さが 20 x mとなるように塗布し、 100°Cで 2分間加熱して粘着剤層 を形成した。次いで、 50 x mの PETフイノレムを貝占り付けることにより、実施例 13, 14 及び比較例 3の粘着シートをそれぞれ作製した。
[0115] 粘着物性試験
上記で得たそれぞれの粘着シートについて、 JIS Z0237に準拠して、保持力、粘 着力、プローブタックの測定を行った。測定結果を第 2表に示す。
[0116] 熱重量 ¾失試験
熱重量分析装置(島津製作所 (株)製)を用い、熱重量分析 (TGA)測定を行った。 測定は重合体を 10mg精秤し、空気気流(100ml/分)下、 10°C/分で昇温するこ とにより測定した。測定結果を第 2表に示す。第 2表中、 WL は 300°Cにおける重
量損失率を示す。
[0117] [表 2] 第 2 表
[0118] 本発明の製造方法によれば、ィニファータを用いるグラフト重合により、無機骨格で あるポリシロキサン骨格へ種々の有機基が導入されたポリシルセスキォキサングラフト 重合体を効率よぐ簡便に製造することができる。
本発明により得られるポリシノレセスキォキサングラフト重合体は、優れた耐熱性及び 凝集力を兼ね備えた粘着剤成分として有用である。
本発明の新規ポリシルセスキォキサンィ匕合物は、本発明のポリシノレセスキォキサン グラフト重合体の製造原料 (ィニファータ)として好適に用いることができる。