JPH09216922A - 耐水性付与剤 - Google Patents

耐水性付与剤

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JPH09216922A
JPH09216922A JP2262796A JP2262796A JPH09216922A JP H09216922 A JPH09216922 A JP H09216922A JP 2262796 A JP2262796 A JP 2262796A JP 2262796 A JP2262796 A JP 2262796A JP H09216922 A JPH09216922 A JP H09216922A
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JP
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water resistance
ink
polyorganosiloxane
polymer
water
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JP2262796A
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English (en)
Inventor
Nobuo Uotani
信夫 魚谷
Miyuki Ueda
みゆき 植田
Yuji Ito
裕司 伊藤
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、沈殿を生じることなく水に溶解あ
るいは分散している溶液が、形成された被膜に乾燥後に
防水性を発現させうる耐水性付与剤を提供することにあ
る。 【解決手段】 親水性のエチレン性不飽和モノマーと疎
水性のエチレン性不飽和モノマー、または両親媒性のエ
チレン性不飽和モノマーをメルカプト基含有有機基を有
するポリオルガノシロキサンの存在下で重合させて得ら
れたポリオルガノシロキサン変性の両親媒性ポリマーか
らなる耐水性付与剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオルガノシロ
キサンユニットを有する両親媒性ポリマーからなる耐水
性付与剤に関する。この耐水性付与剤は樹脂に添加する
ことによって形成される被膜表面に耐水性を付与するこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】沈殿を生じることなく水に溶解あるいは
分散している溶液が、形成された被膜に乾燥後に防水性
を発現させる試みとして、従来よりいろいろ考えられて
いる。例えば、インクジェットプリンター用インク組成
物の場合、ラテックス粒子、エマルジョン、マイクロエ
マルジョンまたは界面活性剤の凝集などのコロイド構造
の中に染料分子を分散させたコロイド状ディスパージョ
ンインクや、ヒドロキシエチル化ポリエチレンイミンの
ような耐水性向上剤の添加が検討されている。また記録
形成後に外部からのエネルギー供給または化学処理で耐
水性を向上させることも検討されており、例えば、イン
クに添加した多塩基酸の無水物と多価アルコールを加熱
で反応させて水不溶の架橋ポリマーに変換するあるいは
架橋性化合物でセルロース繊維と染料分子との間に共有
結合を形成させるなどが提案されている。水系塗料の場
合、耐水性を付与するためにフッ素あるいはシリコーン
を含む樹脂をエマルジョン化させたり、あるいはフッ素
あるいはシリコーンを含む単量体をエマルジョン重合さ
せた樹脂が提案されている(例えば、特開昭60−24
3167、特開平5−179191あるいは特開平5−
310857)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、インクジェッ
トプリンター用インク組成物の場合、このようなコロイ
ド状ディスパージョンインクを用いた場合、微細なイン
クジェットヘッドのノズル中でインクが固化してしまい
目詰まりを起こしたり、コロイド状態自体が、擬安定で
あるためにインクの寿命が短くなるという欠点があっ
た。ヒドロキシエチル化ポリエチレンイミンのような耐
水性向上剤を使用して得られた被記録物上に形成された
文字や画像の耐水性は、インクのpHに依存するという欠
点を有している。また記録形成後に外部からのエネルギ
ー供給または化学的処理で耐水性を向上させるような方
法では装置自体が複雑になりコスト的にも有利ではな
い。
【0004】水系塗料の場合、耐水性を発現させるため
には樹脂中に含まれるフッ素あるいはシリコーン含有量
を高くする必要があったり、また一般的に樹脂自体がア
クリル変性であるために、エチレン性不飽和基を有する
フッ素あるいはシリコーンを使用した場合、エチレン性
不飽和単量体との共重合性がよくないため必ずしもポリ
マー中にフッ素あるいはシリコーンのユニットが組み込
まれないという問題があった。本発明はこのような問題
点に鑑みてなされたもので、沈殿を生じることなく水に
溶解あるいは分散している溶液が、形成された被膜に乾
燥後に防水性を発現させうる耐水性付与剤を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決する手段】上記問題を解決するために、本
発明らは鋭意研究を行った結果、本発明をなすに至っ
た。即ち、本発明は1)ポリオルガノシロキサンユニッ
トを有する両親媒性ポリマーからなることを特徴とする
耐水性付与剤、2)親水性のエチレン性不飽和モノマー
と疎水性のエチレン性不飽和モノマー、または両親媒性
のエチレン性不飽和モノマーをメルカプト基含有有機基
を有するポリオルガノシロキサンの存在下で重合させて
得られたポリオルガノシロキサン変性の両親媒性ポリマ
ーからなる耐水性付与剤、3)ポリオルガノシロキサン
が、ポリシルセスキオキサンである上記2に記載の耐水
性付与剤、4)ポリオルガノシロキサンが、ポリジアル
キルシロキサンである上記2に記載の耐水性付与剤、お
よび、5)上記の耐水性付与剤を添加した場合に形成さ
れる被膜の表面のケイ素濃度が6%以上である上記1な
いし4に記載の耐水性付与剤に関する。
【0006】
【発明の実施の態様】以下本発明の耐水性付与剤につい
て詳細に説明する。本発明に用いられる両親媒性ポリマ
ーは親水性セグメントと疎水性セグメントおよびポリオ
ルガノシロキサンユニットから構成される。それぞれの
セグメントは、例えば1 種類もしくは2 種類以上のエチ
レン性不飽和親水性モノマー、1 種類もしくは 2種類以
上のエチレン性不飽和疎水性モノマーおよび 1種類もし
くは2種類以上のエチレン性不飽和両親媒性モノマー
を、ポリオルガノシロキサンユニットを誘導するメルカ
プト基を 1個以上含有するポリオルガノシロキサン化合
物の存在下でラジカル共重合により合成することができ
る。親水性セグメントおよび疎水性セグメントの割合
は、各セグメントの種類と構造により変化するので一般
的に規定することは難しく、得られたポリマーが結果的
に両親媒性を示すときの割合が、親水性セグメントおよ
び疎水性セグメントの割合となる。
【0007】本発明の耐水性付与剤であるポリオルガノ
シロキサン含有両親媒性ポリマーは、次のような構造を
有するものと考えられる。即ち、ポリオルガノシロキサ
ンの分子末端にメルカプト基が1 個存在する場合には、
ポリオルガノシロキサンユニットがエチレン性不飽和モ
ンマー重合体の片末端に付加したブロック重合体にな
り、メルカプト基がポリオルガノシロキサンの側鎖に存
在する場合、メルカプト基が1 個の場合にはグラフト型
共重合体になる。さらに、メルカプト基が1 分子中に多
数存在する場合は、櫛形共重合体になる。
【0008】本発明における両親媒性ポリマーの合成に
おけるエチレン性不飽和親水性モノマーは、一般に水に
可溶でラジカル重合能のあるものはすべて使用すること
ができ、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメ
チルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、
N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリル酸、2-ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、マレイン酸、無水マレイン
酸、ビニルオキサゾリン、N-(1,1-ジメチル-3-オキソ
ブチル)(メタ)アクリレート等を代表例として挙げる
ことができる。このような一般に水に可溶であるエチレ
ン性不飽和親水性モノマーのうちでは、(メタ)アクリ
ルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピ
ルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミドなどが好まし
い。
【0009】両親媒性ポリマーの合成におけるエチレン
性不飽和両親媒性モノマーとしては、一般に水および各
種溶媒に可溶であり、たとえば、N,N-ジエチルアクリル
アミド、 N-(メタ)アクリルモルホリン、N-ビニルピロ
リドン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルN-メチルアセ
トアミド、ビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレン
マーPEシリーズ、PE-90 、PE-200、PE-350)、メトキシ
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本
油脂(株)製ブレンマーPME シリーズ、PME-100 、PME-
200 、PME-400)、ポリプロピレングリコールモノメタ
クリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPPシリー
ズ、PP-1000 、PP-500、PP-800)、ポリエチレングリコ
ールポリプロピレングリコールモノメタクリレート
(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEP シリーズ、70PE
P-370B)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレン
グリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製
ブレンマー55PET-800 )、ポリプロピレングリコールポ
リテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:
日本油脂(株)製ブレンマーNKH-5050)、ポリプロピレ
ングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製
ブレンマーAP-400)、ポリエチレングリコールモノアク
リレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAE-350)等
を代表例として挙げることができる。このような一般に
水および各種溶媒に可溶であるエチレン性不飽和両親媒
性モノマーのうちでは、N-ビニルピロリドン、N-アクリ
ルモルホリン、ポリエチレングリコールモノメタクリレ
ート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEシリーズ、PE
-90 、PE-200、PE-350)、メトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレン
マーPME シリーズ、PME-100、PME-200 、PME-400 )、
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日
本油脂(株)製ブレンマーPPシリーズ、PP-1000 、PP-5
00、PP-800)、ポリエチレングリコールポリプロピレン
グリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製
ブレンマーPEP シリーズ、70PEP-370B)、ポリエチレン
グリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリ
レート(例:日本油脂(株)製ブレンマー55PET-800
)、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレング
リコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブ
レンマーNKH-5050)、ポリプロピレングリコールモノア
クリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAP-40
0)、ポリエチレングリコールモノアクリレート(例:
日本油脂(株)製ブレンマーAE-350)が好ましい。
【0010】またエチレン性不飽和疎水性モノマーとし
ては、一般に水を除く各種溶媒に可溶であり、たとえ
ば、(メタ)アクリル酸エステル[ 例えば(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸等] 、スチレン類[ 例
えばスチレン、メチルスチレン等] 、脂肪族ビニルエス
テル[ 例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等]、塩
化ビニル等を代表例として挙げることができる。このよ
うな一般に水を除く各種溶媒に可溶であるエチレン性不
飽和親水性モノマーのうちでは、(メタ)アクリル酸エ
ステル[ 例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)
アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウ
リル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリ
ル酸等] 、スチレン類[ 例えばスチレン、メチルスチレ
ン等] などが好ましい。
【0011】本発明におけるメルカプト基を1 個以上含
有するポリオルガノシロキサン化合物としては、主鎖骨
格が、ポリシルセスキオキサンあるいはポリジアルキル
シロキサンを挙げることができる。主鎖骨格がポリシル
セスキオキサンの場合、メルカプト基を1 個以上含有す
るポリシルセスキオキサンは、メルカプト基が側鎖に導
入されたもの(a) と主鎖の末端に導入されたもの(b) が
存在する。
【0012】側鎖にメルカプト基を1 個以上含有するポ
リシルセスキオキサン(a) は、例えば下記式(A) で表さ
れる構造を有しており、式中、Rm、Rnは側鎖有機基であ
り、-O-Rq 、-O-Rr 、-O-Rs 、-O-Rt は、主鎖の末端基
であり、p は繰り返し単位である。
【化1】 上記メルカプト基含有ポリシルセスキオキサン(a) で
は、主鎖末端基(式(A)では、-O-Rq 、-O-Rr 、-O-R
s 、-O-Rt )がトリアルキルシリル化され、トリアルキ
ルシリルオキシ基(-O-SiR1R2R3 :R1、R2、R3は、互い
に同一または相異なるアルキル基を示す)となってい
る。また、側鎖有機基(式(A) では、-Rm 、-Rn )は、
それぞれアルキル基、アラルキル基、または置換もしく
は非置換フェニル基のうちから選ばれるものと、下記式
[1] で表されるメルカプト基含有有機基からなるものと
の両者が存在している。このようなメルカプト基含有有
機基は、該メルカプタン基含有ポリシルセスキオキサン
中に、全側鎖有機基のうち、通常1 分子当たり平均して
5.0 個以下、好ましくは3.2 個以下、さらに好ましくは
1.6 個以下が望ましい。 −R4 −SH ‥‥‥‥[1] (式[1]中、R4は炭素数1〜20のアルキル基、アラ
ルキル基、または置換もしくは非置換フェニル基を表
す) このような本発明に係るメルカプト基含有ポリシルセス
キオキサンの数平均分子量は、特に限定はないが好まし
くは500 〜 50,000 であり、特に好ましくは 1,000〜 1
0,000 である。
【0013】メルカプト基が側鎖に導入されたポリシル
セスキオキサンは、特に限定されないがその一例として
本出願人が特願平 7 - 337571 号において記述された方
法により製造することができる。主鎖の末端にメルカプ
ト基を1 個以上含有するポリシルセスキオキサン(b)
は、例えば下記式(B) で表される構造を有しており、式
中、Rm、Rnは側鎖有機基であり、-O-Ru 、-O-Rv 、-O-R
w 、-O-Ry は、主鎖の末端基であり、p は繰り返し単位
である。
【化2】 本発明に係るメルカプト基含有ポリシルセスキオキサン
では、主鎖末端基(式(B) では、-O-Ru 、-O-Rv 、-O-R
w 、-O-Ry )がトリアルキルシリル化あるいは主鎖末端
基のうち 1分子当たり少なくとも 1つはメルカプト基を
含むトリ置換シリルオキシ基となっている。メルカプト
基を含まない末端トリアルキルシリルオキシ基は、-O-S
iR1R2R3 (R1、R2、R3は、互いに同一または相異なるア
ルキル基を示す)で表され、メルカプト基を含むトリ置
換シリルオキシ基は、OSi(R1)(R2)R4SH (R4はアルキル
基、アラルキル基、または置換もしくは非置換フェニル
基を示す)で表される。また、主鎖末端基にあるメルカ
プト基は特に限定されないが、該ポリシルセスキオキサ
ン中に、全主鎖末端基のうち、好ましくは通常1 分子当
たり平均して1.0 個以上4.0 個以下、特に好ましくは1.
0 個以上3.2 個以下、さらに好ましくは1.0 個以上1.6
個以下が望ましい。上記メルカプト基含有ポリシルセス
キオキサンの数平均分子量は、500 〜 50,000 であり、
好ましくは 1,000〜 10,000 である。
【0014】メルカプト基が末端に導入されたポリシル
セスキオキサン(b) は、メルカプト基が側鎖に導入され
たポリシルセスキオキサン(a) とほぼ同様の方法にて製
造することができ、製造する際の加水分解縮合用の水の
量、触媒の種類、触媒の量および反応温度は、本出願人
が特願平 7 - 337571 号において記述された方法と同様
である。メルカプト基が末端に導入されたポリシルセス
キオキサン(b) を製造する場合、メルカプト基が側鎖に
導入されたポリシルセスキオキサン(a) と異なる点につ
いて説明する。メルカプト基が末端に導入されたポリシ
ルセスキオキサン(b) の製造において、使用することの
できるトリアルコキシシランおよび/またはトリクロロ
シランは、アルキル基、アラルキル基、または置換もし
くは非置換フェニル基を有するトリアルコキシシランお
よび/またはトリクロロシランであり、メルカプト基を
有するトリアルコキシシランおよび/またはトリクロロ
シランを使用する必要はない。また、メルカプト基が末
端に導入されたポリシルセスキオキサン(b) の製造にお
いて、使用することのできるシリル化剤は、出願人が特
願平 7 - 337571号において記述したものとメルカプト
基を有するシリル化剤の両者であり、導入するメルカプ
タン量に応じてそれぞれの割合を調整すればよい。メル
カプト基を有するシリル化剤としては、例えば1, 3 -ビ
ス(3 - メルカプトプロピル)テトラメチルジシロキサ
ン、ジメチルメルカプトプロピルメトキシシラン、ジメ
チルメルカプトプロピルクロロシラン等が挙げられる。
【0015】主鎖骨格がポリジアルキルシロキサンの場
合、メルカプト基を1 個以上含有するポリジアルキルシ
ロキサンは、ポリジアルキルシロキサンの側鎖にメルカ
プト基を導入したもの(側鎖型)、ポリジアルキルシロ
キサンの両末端にメルカプト基を導入したもの(両末端
型)、ポリジアルキルシロキサンの片末端にメルカプト
基を導入したもの(片末端型)およびポリジアルキルシ
ロキサンの側鎖と両末端の両方にメルカプト基を導入し
たもの(側鎖両末端型)がある。代表例を示せば、
【化3】 等を挙げることができる。メルカプト基を含有するポリ
ジアルキルシロキサンにおけるメルカプト基は、該ポリ
ジアルキルシロキサン中に、通常1 分子当たり平均して
1.0 個以上4.0 個以下、好ましくは1.0 個以上3.2 個以
下、さらに好ましくは1.0 個以上1.6 個以下が望まし
い。このような本発明に係るメルカプト基含有ポリジア
ルキルシロキサンの数平均分子量は、500 〜 50,000 で
あり、好ましくは 1,000〜 10,000 である。
【0016】上記のメルカプト基を1 個以上含有するポ
リオルガノシロキサン化合物の使用量は、通常エチレン
性不飽和親水性モノマーおよびエチレン性不飽和疎水性
モノマー 100重量部に対して、0.1 〜 50 重量部、好ま
しくは 0.1〜 40 重量部の範囲で選べばよい。
【0017】本発明に係るポリオルガノシロキサンユニ
ットを有する両親媒性ポリマーは以下の手順にしたがっ
て合成することができる。すなわち、上記エチレン性不
飽和親水性モノマー、エチレン性不飽和疎水性モノマー
あるいはエチレン性不飽和両親媒性モノマーに所定割合
のメルカプト基を1 個以上含有するポリオルガノシロキ
サン化合物を配合し、ラジカル重合開始剤の存在下、通
常の条件に従って重合する。
【0018】上記ラジカル重合開始剤は通常、一般のラ
ジカル重合反応開始剤として使用されるものであればあ
らゆるものが使用でき、たとえばアゾ系重合開始剤[ 例
えば2,2'- アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2'- ア
ゾビス(2,4-ジメチル-4- メトキシバレロニトリル)、
2-シアノ-2- プロピルアゾ- フォルムアミド、ジメチル
2,2'- アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'- ア
ゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)等]、
パーオキサイド系重合開始剤[例えばイソブチルパーオ
キサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、t-
ブチルキュミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパー
オキサイド等]等が挙げられ、これらを組み合わせて使
用することができる。上述の重合反応は通常有機溶媒の
存在下で行われる。有機溶媒としては、例えば炭化水素
類[例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキ
サン等]、エステル類[酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸
アミル等]、ケトン類[アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等]、
エーテル類[テトラハイドロフラン、1,4-ジオキサン
等]、アルコール類[例えばメタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、1,2,6-ヘ
キサントリオール、グリセリン等]、アミド類[例えば
n,n-ジメチルホルムアミド、n-メチルホルムアミド、n,
n-ジエチルホルムアミド、n-メチルアセトアミド、n,n-
ジメチルアセトアミド、n-メチルプロピオンアミド
等]、ピロリドン類類[例えば1-メチル-2- ピロリド
ン、2-ピロリドン、ε- カプトラクタム等]、グリコー
ル類[例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール等]、グリコールエーテル類[2- メトキシ
エタノール、2-エトキシエタノール、2-( メトキシメト
キシ) エタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキ
シエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノエチルエーテル、1-メトキシ-2- プロパノー
ル、1-エトキシ-2- プロパノール、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
エチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチル
エーテル、3-メトキシ-3- メチル-1- ブタノール等]な
どが挙げられる。インクジェットプリンター用インクの
耐水性付与剤として使用する場合には、インクジェット
プリンター用インクで使用される溶媒をそのまま使用す
ることができるので、グリコール類、グリコールエーテ
ル類、アミド類、ピロリドン類が好ましい。
【0019】反応温度は特に限定しないが、ラジカル重
合反応開始剤を分解する温度であればよく、通常50〜18
0 ℃が好ましく、段階的に低温から高温まで上昇させる
方法をとってもよい。反応時間は特に限定されないが、
通常1 〜24時間が好ましい。このようして得られたポリ
オルガノシロキサンユニットを有する両親媒性ポリマー
の重量平均分子量は5,000 〜100,000 で有り、好ましく
は6,000 〜30,000であることが望ましい。本発明の耐水
性付与剤は、エマルジョン樹脂、例えばアクリル系エマ
ルジョン樹脂に1%程度添加した場合、形成される塗膜
表面のケイ素濃度は6%以上となる。好ましくは、10
%以上である。樹脂の種類、添加量にもよるが、水の接
触角は無添加に比べて20%以上増加し、100°を超
える。形成された被膜表面のケイ素濃度の測定は、一般
的に用いられる表面分析の手法を用いて行なうことがで
き特に限定されないが、たとえばX線光電子分光法、オ
ージェ電子分光法あるいは2次イオン質量分析法等を挙
げることができる。本発明の耐水性付与剤は、エマルジ
ョン樹脂に添加することにより、形成される被膜の耐水
性を改善することができる。また、インク組成物に添加
することによって形成された被膜の耐水性を向上させ
る。
【0020】次に、本発明の耐水性付与剤の有用性をイ
ンクジェットプリンター用インク組成物に使用した例で
説明する。従来よりインクジェットプリンター用インク
組成物としては安全、健康、環境などの理由から水等を
ベースとした液体のインク組成物が使用されている。基
本的に、目詰まりや沈殿を生じずに水に良く溶ける染料
あるいは顔料が、乾燥後は被記録物上で耐水性でなけれ
ばならないという問題を解決するするために、被記録物
の前処理、インクの配合、後処理などが検討、提案され
ている(特開平4−103676)。しかし、これらの
耐水性改善の試みは十分な効果を上げているとは言えな
い。本発明の耐水性付与剤を使用することにより、被記
録物上に形成された文字や画像等が耐水性を有し、かつ
ノズルの目詰まりが起こりにくく、染料あるいは顔料等
の着色剤の分散安定性に優れたインクジェットプリンタ
ー用インク添加剤を提供することができる。
【0021】本発明の耐水性付与剤の添加量はインクジ
ェットプリンター用インクに対して0.01〜20重量%の範
囲で使用されることを特徴としている。まず、用いられ
るインクジェットプリンター用インク組成物に使用でき
る着色剤としては、染料、顔料の何れも使用可能であ
り、分散染料、塩基性染料、酸性染料、反応染料、直接
染料、硫化染料、建染染料、アゾイック染料、食用染
料、油性染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。こ
れらの着色剤の添加量は、着色剤の種類、溶媒成分、イ
ンクに対して要求されている特性等に依存するが、一般
的にはインク全重量に対して 0.2〜 20 重量%、好まし
くは 0.5〜10重量%の範囲で使用される。本発明におけ
るインク組成物用溶媒は限定されないが通常主に水が用
いられるが、ノズルの目詰まりを回避するために、水中
の多価金属塩類等の硬水成分を除く必要があり、イオン
交換水が用いられる。その他の有機溶媒として、高沸点
で吸湿性の高い乾燥防止剤、たとえばグリコール類、グ
リコールエーテル類、アミド類、ピロリドン類が使用さ
れる。必要に応じて、被記録体上でのインクの浸透を高
めるための浸透剤も使用することができる。
【0022】インクを非吸収性の被記録体に印刷する場
合あるいは顔料を着色剤として使用する場合には、分散
剤やバインダーの役割を果たす樹脂が必要になる。一般
的には、インク組成物用溶媒に可溶な樹脂が使用され、
フェノール樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、エポ
キシ樹脂等が使用されているが、本発明では、樹脂とし
てポリオルガノシロキサンユニットを有する両親媒性ポ
リマーは、ユニットに親水部および疎水部を有している
ために、分散剤やバインダーとしも有用である。その他
必要に応じて防カビ剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、
浸透剤、pH調整剤、ノズル乾燥防止剤等を添加すること
ができる。ポリオルガノシロキサンユニットを有する両
親媒性ポリマーは、全インク組成物の重量で0.01%〜30
%の範囲、好ましくは全インク組成物の重量で0.05%〜
10 %の範囲、さらに好ましくは全インク組成物の重量
で 0.1%〜 8%の範囲で添加する。ポリマーの量が多す
ぎる場合には所望のインク粘度を維持することが難し
く、少なすぎる場合には撥水性の発現効果が無くなって
しまう。ここで用いられるインクジェットプリンター用
インク組成物の調製法は、限定されないが、例えば染色
剤に染料等を用いた場合には、水を40〜70℃に加熱し、
スクリュー等で攪拌、混合、溶解を行なうことにより達
せられる。また顔料等を用いた場合には、例えばボール
ミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテ
ーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波モ
ノジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等により
解砕、分散を行なうことにより達せられる。
【0023】またここで用いられるインクジェットプリ
ンター用インク組成物は調製することもできるが、市販
されているインク組成物をそのまま使用することもでき
る。すなわち市販されているインクジェットプリンター
用インク組成物にポリオルガノシロキサンユニットを有
する両親媒性ポリマーを単に添加して、スクリュー等で
攪拌、混合、溶解を行なうことにより均質な混合溶液を
得ることができる。市販されているインクジェットプリ
ンター用インク組成物としては、たとえば日本ヒューレ
ット・パッカード(株)社製プリントカートリッジ黒
(製品番号 51626A または 51645A )あるいはプリント
カートリッジカラー(製品番号 51625A あるいは 51641
A )に含まれるインク組成物、キャノン(株)社製ブラ
ック B Jカートリッジ B C - 20 、ブラック B J カー
トリッジ B C - 21 、インクカートリッジ B C I - 21
Black あるいはインクカートリッジ B C I - 21 Color
に含まれるインク組成物、セイコーエプソン(株)製イ
ンクカートリッジ(型番 MJIC 4 、M J I C 2 )、カラ
ーインクカートリッジ(型番 MJIC 4C、M J I C 2C)に
含まれるインク組成物等が挙げられる。市販されている
インク組成物に添加するポリオルガノシロキサンユニッ
トを有する両親媒性ポリマーは、全インク組成物の重量
で0.01%〜30%の範囲、好ましくは全インク組成物の重
量で0.05%〜 10 %の範囲、さらに好ましくは全インク
組成物の重量で 0.1%〜 8%の範囲である。耐水性の評
価は、ポリオルガノシロキサンユニットを有する両親媒
性ポリマーを所定量添加したインクをインクジェットプ
リンターで再生紙上に印字し、印字された画像や文字の
水の接触角を測定することにより行なうことができる。
【0024】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。 メルカプト基含有ポリシルセスキオキサンの合成の例 温度計、攪拌装置、窒素導入管および還流冷却管を取付
けた 500ccのフラスコに、3 - メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン 9.98g (50.87 mmol )、メチルトリエト
キシシラン199.55g ( 1119.13 mmol )、フェニルトリメ
トキシシラン5.95g ( 30.00 mmol )および純水 64.87g
( 3600.00 mmol )を仕込み、窒素気流下にて攪拌しなが
ら溶液の温度を 5℃に保った。攪拌しながら10%の塩酸
水溶液12.15 g を30分かけて滴下した後, 溶液温度を10
℃で 1時間保った。次に溶液の温度を70℃に上げ 3時間
反応させた後、29.16 g のヘキサエチルジシロキサン
( 179.60 mmol )を添加し、さらに70℃にて 3時間攪拌
を続けた。溶液温度を40℃に下げ 5%の水酸化カリウム
のメタノール溶液を 13.47g 加えた後、室温にて 2時間
攪拌しさらに12時間放置した。下層部分を抜き出し150
g の酢酸ブチルを添加後、攪拌しながら40℃、200 mmHg
の減圧下で濃縮を行い、150 g の液体を留去させた後、
常圧にてさらに酢酸ブチルを200 g 添加し、1 時間攪拌
を行った。得られた溶液を濾過後、さらに減圧下で濃縮
を行ない、82.68 g の無色透明な粘調な液体を得た。こ
のものの数平均分子量を G P Cで測定したところ 3,300
であった。I R スペクトルおよびラマンスペクトルから
2560 cm-1付近にメルカプト基に基づく吸収が現われ
た。得られたポリマーをポリマー Aとする。
【0025】[実施例1] ポリシルセスキオキサン含
有両親媒性ポリマーの合成 温度計、攪拌装置、窒素導入管および還流冷却管を取付
けた200cc のフラスコに、12.33 g のメチルメタクリレ
ート( 123.15 mmol ) 、12.83 g のスチレン( 126.85 m
mol ) 、47.74 g のブレンマーPME - 400 (日本油脂
(株)製)( 98.52 mmol )、31.80 g のポリマーA を加
え、窒素気流下にて 30 分間攪拌した。このように調製
した溶液を混合モノマーと呼ぶ。温度計、攪拌装置、窒
素導入管および還流冷却管を取付けた 300 cc のフラス
コに、23.66 g の混合モノマーと 102.13 g の 3- メト
キシ-3- メチル-1- ブタノールを加え、室温窒素気流下
にて 30 分間攪拌した。10重量パーセントの2, 2' - ア
ゾビスイソ酪酸ジメチル 3- メトキシ-3- メチル-1- ブ
タノール溶液 8.7g を加え、窒素気流下にて攪拌しなが
ら昇温し、80℃に 30 分保った後、さらに81.03 gの混
合モノマーを 3時間かけて添加した。再び 10 重量パー
セントの2,2' - アゾビスイソ酪酸ジメチル酢酸 3- メ
トキシ-3- メチル-1- ブタノール溶液 4.4 gを加え、 9
0 ℃にて 3時間反応を続けた。室温まで冷却後、207 g
の無色透明溶液を得た。このものの数平均分子量は 14,
000 であった。ポリマーA に起因するラマンスペクトル
の 2560 cm-1付近のメルカプト基に基づく吸収は消失し
た。また1H-NMR測定によるメチルメタクリレート、のス
チレン、ブレンマーPME-400 の比は、1:1:0.8 であり、
ポリマーA の含量は30wt%であった。得られたポリマー
をポリマーB とする。
【0026】[実施例2] ポリシルセスキオキサン含
有両親媒性ポリマーの合成 温度計、攪拌装置、窒素導入管および還流冷却管を取付
けた 500ccのフラスコに、メチルトリエトキシシラン19
9.55g ( 1119.13 mmol )、フェニルトリメトキシシラン
5.95g ( 30.00 mmol )および純水 64.87g ( 3600.00 mm
ol )を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら溶液の温度
を 5℃に保った。攪拌しながら10%の塩酸水溶液12.15
g を30分かけて滴下した後、溶液温度を10℃で 1時間保
った。次に溶液の温度を70℃に上げ 3時間反応させた
後、50.75 g の 1,3 -ビス ( 3 -メルカプトプロピル )
テトラメチルジシロキサン ( 179.60 mmol )を添加し、
さらに70℃にて 3時間攪拌を続けた。溶液温度を40℃に
下げ 5%の水酸化カリウムのメタノール溶液を 13.47g
加えた後、室温にて 2時間攪拌しさらに12時間放置し
た。下層部分を抜き出し 150 gの酢酸ブチルを添加後、
攪拌しながら40℃、200mmHgの減圧下で濃縮を行い、150
g の液体を留去させた後、常圧にてさらに酢酸ブチル
を 200 g添加し、1 時間攪拌を行った。得られた溶液を
濾過後、さらに減圧下で濃縮を行ない、84.3 gの無色透
明な粘調な液体を得た。このものの数平均分子量を G P
Cで測定したところ 3,200であった。I R スペクトルお
よびラマンスペクトルから 2560 cm-1付近にメルカプト
基に基づく吸収が現われた。得られたポリマーをポリマ
ー C - 1とする。温度計、攪拌装置、窒素導入管および
還流冷却管を取付けた200cc のフラスコに、20.02 g の
メチルメタクリレート(199.96mmol)、20.83 g のスチレ
ン(200.00mmol)、48.46 g のブレンマーPME-400 (日本
油脂(株)製)(100.00mmol)、10.06 g のポリマー C -
1を加え、窒素気流下にて 30 分間攪拌した。このよう
に調製した溶液を混合モノマーと呼ぶ。
【0027】温度計、攪拌装置、窒素導入管および還流
冷却管を取付けた 300 cc のフラスコに、19.87 g の混
合モノマーと96.91 g の3-メトキシ-3- メチル-1- ブタ
ノールを加え、室温窒素気流下にて30分間攪拌した。10
重量パーセントの2, 2' - アゾビスイソ酪酸ジメチル3-
メトキシ-3- メチル-1- ブタノール溶液8.2gを加え、窒
素気流下にて攪拌しながら昇温し、80℃に 30 分保った
後、さらに79.50 g の混合モノマーを 3時間かけて添加
した。再び 10 重量パーセントの2, 2' - アゾビスイソ
酪酸ジメチル3-メトキシ-3- メチル-1- ブタノール溶液
4.1 gを加え、90℃にて 3時間反応を続けた。室温まで
冷却後、200 g の無色透明溶液を得た。このものの重量
平均分子量は 30,000 であった。ポリマー C - 1に起因
するラマンスペクトルの 2560 cm-1付近のメルカプト基
に基づく吸収は消失した。また1H-NMR測定によるメチル
メタクリレート、スチレン、ブレンマーPME-400 の比
は、1:1:0.5 であり、ポリマー C - 1の含量は9wt %で
あった。得られたポリマーをポリマー C - 2とする。
【0028】[実施例3] ポリジメチルシロキサン含
有両親媒性ポリマーの合成 温度計、攪拌装置、窒素導入管および還流冷却管を取付
けた200cc のフラスコに、12.33 g のメチルメタクリレ
ート( 123.15 mmol ) 、12.83 g のスチレン(126.85 mm
ol ) 、47.74 g のブレンマーPME - 400 (日本油脂
(株)製)( 98.52 mmol )、31.80 g の両末端にメルカ
プト基が導入されたポリジメチルシロキサン X - 22 -
167 B (信越化学工業(株)製)を加え、窒素気流下に
て30分間攪拌した。このように調製した溶液を混合モノ
マーと呼ぶ。温度計、攪拌装置、窒素導入管および還流
冷却管を取付けた 300ccのフラスコに、23.66 g の混合
モノマーと 102.13 g の3-メトキシ-3- メチル-1- ブタ
ノールを加え、室温窒素気流下にて 30 分間攪拌した。
10重量パーセントの2, 2' -アゾビスイソ酪酸ジメチル3
-メトキシ-3- メチル-1- ブタノール溶液 8.7g を加
え、窒素気流下にて攪拌しながら昇温し、80℃に30分保
った後、さらに 81.03 gの混合モノマーを 3時間かけて
添加した。再び10重量パーセントの2, 2' - アゾビスイ
ソ酪酸ジメチルの酢酸 3- メトキシ-3- メチル-1- ブタ
ノール溶液 4.4 gを加え、90℃にて 3時間反応
を続けた。室温まで冷却後、207 g の無色透明溶液を得
た。このものの数平均分子量は 12,000 であった。 X -
22 - 167 B に起因するラマンスペクトルの 2560 cm-1
付近のメルカプト基に基づく吸収は消失した。また1H-N
MR測定によるメチルメタクリレート、スチレン、ブレン
マーPME-400の比は、1:1:0.8 であり、ポリジメチルシ
ロキサンの含量は30wt%であった。得られたポリマーを
ポリマー Dとする。
【0029】[効果例1] インクの調製および耐水性
の評価 200 mLのフラスコに C. I.ダイレクトブラック 19 を 2
g、グリセリンを 10g 、ジエチレングリコールを 8
g、イオン交換水を 80 g を添加して、 60 ℃で2時間攪
拌し後、0.8 μm 径のメンブランフィルターを用いて濾
過を行ない、インクジェットプリンター用インクを得
た。このものに、上記実施例 1〜3 で調製したポリオル
ガノシロキサンユニットを有する両親媒性ポリマー溶液
をそれぞれ0.5重量%、1.0 重量%、2.0 重量%添加
し、室温にて 10 時間攪拌した。このように調製したポ
リオルガノシロキサンユニットを有する両親媒性ポリマ
ーを含むインクをヒューレット・パッカード社製デスク
ライター 550 Cを使用して、再生紙((株) N B Sリコ
ー社製 N B S P A P E R )にべた、文字等を印字し
た。耐水性の評価は、再生紙上に印字された画像や文字
の水への接触角を測定することにより行なった。各試料
の水への接触角は下表の通りであった。また、塗膜表面
における水の接触角は協和界面科学(株)製、接触角計
CA-DT・A 型を用いて測定した。被膜表面ケイ素濃度
(表面Si含量)はX線光電子分光法によって測定し
た。
【表1】
【0030】[効果例2] 耐水性の評価 市販されているインクジェットプリンター用インクに、
上記実施例 1〜3 で調製したポリオルガノシロキサンユ
ニットを有する両親媒性ポリマー溶液を 1.0重量%添加
し、効果例1と同様に、再生紙上に印字された画像や文
字の水への接触角を測定することにより耐水性の評価を
行なった。各試料の水への接触角は下表の通りであっ
た。被膜表面ケイ素濃度(表面ケイ素含量)はX線光電
子分光法によって測定した。
【表2】
【0031】[比較例]ポリオルガノシロキサンユニッ
トを有する両親媒性ポリマーを添加しないインクの水の
接触角は、以下の通りであった。
【表3】
【0032】
【発明の効果】ポリオルガノシロキサンユニットを有す
る両親媒性ポリマーを添加し形成した表面被膜は耐水性
が著しく改善される。従って、上記の両親媒性ポリマー
は各種の樹脂に添加することによって耐水性付与するこ
とができ、本発明は優れた耐水性付与剤を提供する。ま
た、このような両親媒性ポリマーは、親水性エチレン性
不飽和モノマーと疎水性エチレン性不飽和モノマー、ま
たは両親媒性エチレン性不飽和モノマーをメルカプト基
含有の有機基を有するポリオルガノシロキン、例えばポ
リシルセスキオキサンまたはポリジアルキルシロキサン
の存在下で重合させて得られる。また、本発明の耐水性
付与剤はインジェクトプリンター用インクの耐水性付与
剤として好適に使用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオルガノシロキサンユニットを有す
    る両親媒性ポリマーからなることを特徴とする耐水性付
    与剤。
  2. 【請求項2】 親水性のエチレン性不飽和モノマーと疎
    水性のエチレン性不飽和モノマー、または両親媒性のエ
    チレン性不飽和モノマーをメルカプト基含有有機基を有
    するポリオルガノシロキサンの存在下で重合させて得ら
    れたポリオルガノシロキサン変性の両親媒性ポリマーか
    らなる耐水性付与剤。
  3. 【請求項3】 ポリオルガノシロキサンがポリシルセス
    キオキサンである請求項2記載の耐水性付与剤。
  4. 【請求項4】 ポリオルガノシロキサンがポリジアルキ
    ルシロキサンである請求項2記載の耐水性付与剤。
  5. 【請求項5】 形成された被膜表面のケイ素濃度が6%
    以上である請求項1ないし請求項4記載の耐水性付与
    剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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