JP4887626B2 - ケイ素化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、付加重合性単量体に対して重合開始能を有することを特徴とする新規なケイ素化合物、その製造法およびこれを用いて得られる重合体に関する。
重合体は、汎用的な構造形成材料としてのみならず、高度な機能や性能を有する高付加価値型材料として様々な分野で利用されるようになってきた。それに伴い、高分子材料を精密な設計のもとに製造することの重要性が増している。シルセスキオキサンを無機成分として含む有機−無機複合材料として、ジメチルシロキシ基を有するかご型のシルセスキオキサン誘導体が注目されている。これは、有機/無機ハイブリッド材料の前駆体、低誘電材料、光学結晶、液晶材料などへの利用が期待されているためであり、その理由はこのシルセスキオキサン誘導体がシリカやゼオライトに似た構造を有することにある。そして、ジメチルシロキシ基に水酸基(文献1)、エポキシ基(文献2)またはメタクリロイルオキシ基(文献3)が結合したかご型シルセスキオキサンが報告されている。これらの官能基を利用して、有機重合体とシルセスキオキサンとの、いわゆる有機−無機複合材料が調製されている。メタクリロイルオキシ基を有するかご型シルセスキオキサンを、単独でまたは他のアクリル系単量体の共存下でラジカル重合させることにより、有機−無機複合材料を得ることができる。
高分子材料の機能を目的に合わせて最適化するためには、重合体の分子的な性質や分子集合体としての性質を精密に解析することが必要であり、そのためには構造の明確な重合体を用いなければならない。しかしながら、従来の有機−無機複合材料は、上記の複合材料を含めて、構造制御された重合体を有機成分として含んでいない。多くはシルセスキオキサンと有機重合体との機械的なブレンド等により得られているので、複合体の分子集合体としての構造を制御することは極めて困難であった。そこで、重合開始剤を用いることによって重合体の構造を制御することが試みられるようになった。文献4には、α−ハロエステル基がスチレン系単量体およびメタアクリル酸系単量体に対する、リビングラジカル重合の良好な開始剤であることが開示されているが、α−ハロエステル基を有するシルセスキオキサン誘導体は、現在まで知られていなかった。
文献1:J.Am.Chem.Soc.,122(2000),6979−
文献2:Chemistry of Materials,8(1996),1592−
文献3:Macromolecules,29(1996),2327−
文献4:Chem.Rev.,101,2921−2990(2001)
本発明者らは、広い範囲の付加重合性単量体に対してリビングラジカル重合開始能を有する新規なケイ素化合物を見いだした。そして、このケイ素化合物が、従来の有機−無機複合材料に関する上記の問題点を解決するために有効であることを知った。即ち、本発明は下記の構成を有する。
[1] 式(1)で示されるケイ素化合物:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは単量体に対する重合開始能を有する基である。
[2] [1]項に記載の式(1)において、それぞれのRが水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが単量体に対するリビングラジカル重合開始能を有する基である、[1]項に記載のケイ素化合物。
[3] [1]項に記載の式(1)において、それぞれのRが水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)のいずれかで示される基である、[1]項に記載のケイ素化合物:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
Figure 0004887626
ここに、RおよびRは独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてRおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
Figure 0004887626
ここに、Zは2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは3〜8の炭素原子を有するアルケニレンであり、そしてこれらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリール、または7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;Rは1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである。
[4] それぞれのRが水素および炭素原子の数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキルから独立して選択される基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[5] それぞれのRが炭素原子の数が2〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルケニルおよび炭素原子の数が1〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられるアルキルから独立して選択される基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[6] それぞれのRが任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよび非置換のナフチルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[7] それぞれのRが任意の水素がハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜12であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり:フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[8] それぞれのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[9] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[10] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[11] すべてのRがフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり、そしてRおよびRがメチルである、[3]項に記載のケイ素化合物。
[12] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Aが式(2−1)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[13] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;Aが式(2−1)で示される基であり;式(2−1)におけるZがZ−C−であり;そして、Zが単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、[3]項に記載のケイ素化合物。
[14] すべてのRがフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルであり;Aが式(2−1)で示される基であり;そして、式(2−1)において、Zが−CH−であり、Zが−C−であり、Xが塩素または臭素であり、そしてaが0である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[15] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Aが式(2−2)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[16] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;Aが式(2−2)で示される基であり;そして、式(2−2)において、ZがZ−C−であり、Zが単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、[3]項に記載のケイ素化合物。
[17] すべてのRがフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルであり;Aが式(2−2)で示される基であり;そして、式(2−2)において、RおよびRがエチルであり、Zが−CH−であり、Zが−C−であり、そしてaが0である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[18] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり:RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−3)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[19] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;Aが式(2−3)で示される基であり;そして、式(2−3)におけるZが炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである、[3]項に記載のケイ素化合物。
[20] すべてのRがフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルであり;Aが式(2−3)で示される基であり;そして、式(2−3)において、Zが−C−、−C−または−C−O−C−であり、RおよびRがメチルであり、そしてXが臭素である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[21] 工程(a)についで工程(b)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(a)>
式(3−1)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
Figure 0004887626
Figure 0004887626
ここに、これらの式におけるR、RおよびRは、式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する;
<工程(b)>
遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6−1)で示される化合物を反応させ、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:
Figure 0004887626
ここに、この式における記号は式(2−1−1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有し、置換基の結合位置は式(2−1−1)における置換基の結合位置と同一である。
[22] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[21]項に記載の製造方法。
[23] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[21]項に記載の製造方法。
[24] 工程(c)についで工程(b)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(c)>
式(3−2)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
Figure 0004887626
Figure 0004887626
ここに、これらの式にいて、R、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
<工程(b)>
遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6−1)で示される化合物を反応させ、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:
Figure 0004887626
ここに、この式における記号は式(2−1−1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有し;置換基の結合位置は式(2−1−1)における置換基の結合位置と同一である。
[25] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり:RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[24]項に記載の製造方法。
[26] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[24]項に記載の製造方法。
[27] 式(1−1)で示されるケイ素化合物と式(7)で示される化合物とを反応させることを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;Aは式(2−2−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、RおよびRは独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてRおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり;そして、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
Figure 0004887626
ここに、R、RおよびRは式(1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Aは式(2−1−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Z、Z、Rおよびaは式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一である;
Figure 0004887626
ここに、RおよびRは式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはMの原子価と同じ値である。
[28] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[27]項に記載の製造方法。
[29] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[27]項に記載の製造方法。
[30] 工程(a)または工程(c)によって式(5)で示される化合物を得、さらに工程(d)についで工程(e)を実施することを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−2−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてRおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(a)>
式(3−1)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
Figure 0004887626
Figure 0004887626
ここに、これらの式におけるR、RおよびRは、式(1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有する;
<工程(c)>
式(3−2)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
Figure 0004887626
ここに、Rは式(1−2)におけるRと同一の意味を有し、Mは1価のアルカリ金属原子である;
<工程(d)>
式(6−1)で示される化合物と式(7)で示される化合物とを反応させて、式(6−2)で示される化合物を得る工程。
Figure 0004887626
ここに、これらの式におけるZ、Z、R、a、RおよびRは式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一であり;Xはハロゲンであり;Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはMの原子価と同じ値である;
<工程(e)>
遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6−2)で示される化合物を反応させ、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得る工程。
[31] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[30]項に記載の製造方法。
[32] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[30]項に記載の製造方法。
[33] 工程(f)に次いで工程(g)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法。
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(f)>
遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(6−1)で示される化合物とを反応させて、式(8−1)で示される化合物を得る工程:
Figure 0004887626
Figure 0004887626
ここに、これらの式において、R、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Z、Z、Rおよびaは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−1−1)におけるこれらの結合位置と同一であり;Xはハロゲンである;
<工程(g)>
式(8−1)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させて、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:
Figure 0004887626
Figure 0004887626
ここに、これらの式において、Rは式(1−1)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
[34] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[33]項に記載の製造方法。
[35] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[33]項に記載の製造方法。
[36] 工程(d)によって式(6−2)で示される化合物を得、さらに工程(h)に次いで工程(i)を実施することを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−2−1)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてRおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(d)>
式(6−1)で示される化合物と式(7)で示される化合物とを反応させて、式(6−2)で示される化合物を得る工程。
Figure 0004887626
ここに、これらの式におけるZ、Z、R、a、RおよびRは式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一であり;Xはハロゲンであり;Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはMの原子価と同じ値である;
<工程(h)>
遷移金属触媒の存在下で、式(6−2)で示される化合物と式(4)で示される化合物とを反応させ、式(8−2)で示される化合物を得る工程:
Figure 0004887626
ここに、これらの式において、RおよびRは式(1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;その他の記号は式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;そして、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一である;
<工程(i)>
式(8−2)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させて、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得る工程:
Figure 0004887626
ここに、これらの式において、Rは式(1−2)におけるRと同一の意味を有し;そして、Mは1価のアルカリ金属原子である。
[37] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[36]項に記載の製造方法。
[38] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[36]項に記載の製造方法。
[39] 式(9)で示される化合物に式(10)で示される化合物を反応させることを特徴とする、式(1−3)で示されるケイ素化合物の製造方法:
Figure 0004887626
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−3)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは3〜8の炭素原子を有するアルケニレンであり、そしてこれらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリール、または7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;Rは1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである;
Figure 0004887626
ここに、式(9)におけるR、R、RおよびZは式(1−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;式(10)において、R、RおよびXは式(2−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンである。
[40] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRが1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である、[39]項に記載の製造方法。
[41] すべてのRがエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;RおよびRがメチルである、[39]項に記載の製造方法。
[42] [1]項に記載のケイ素化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として付加重合性単量体を重合することによって得られる重合体。
[43] [3]項に記載のケイ素化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として付加重合性単量体を重合することによって得られる重合体。
[44] 式(P−1)で示される重合体。
Figure 0004887626
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−1−P)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[45] 式(P−2)で示される重合体。
Figure 0004887626
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−2−P)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてRおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[46] 式(P−3)で示される重合体。
Figure 0004887626
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−3−P)で示される基である:
Figure 0004887626
ここに、Zは2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは3〜8の炭素原子を有するアルケニレンであり、これらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;Rは1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;Xはハロゲンであり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[47] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[44]項に記載の重合体。
[48] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[45]項に記載の重合体。
[49] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[46]項に記載の重合体。
まず、本発明で用いる用語について説明する。「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意に選択できることを意味するが、個数が0である場合を含まない。任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいと記述するときには、連続する複数の−CH−が−O−で置き換えられる場合を含まない。例えば、任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、アルキルオキシアルケニルおよびアルケニルオキシアルキルが含まれる。アルキルおよびアルキレンは、いずれも直鎖の基であってよいし、分岐された基であってもよい。このことは、任意の−CH−が他の2価基で置き換えられる場合にも適用される。例えば、前記のアルキルオキシアルケニルおよびアルケニルオキシアルキルにおけるアルキル、アルケニレン、アルケニルおよびアルキレンのいずれも、直鎖の基であってよいし、分岐された基であってもよい。シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、どちらも架橋環構造の基であってもよいし、そうでなくてもよい。(メタ)アクリル酸誘導体は、アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体の総称として用いられる。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの総称として用いられる。(メタ)アクリロイルオキシは、アクリロイルオキシおよびメタアクリロイルオキシの総称として用いられる。
本発明のケイ素化合物は式(1)で示される。以下の説明では、式(1)で示される化合物を化合物(1)と表記することがある。他の式で表される化合物についても、同様の簡略化法によって表記することがある。
Figure 0004887626
式(1)におけるそれぞれのRは、水素、アルキル、置換もしくは非置換のアリールおよび置換もしくは非置換のアリールアルキルから独立して選択される基である。すべてのRが同じ1つの基であることが好ましいが、異なる2つ以上の基で構成されていてもよい。7個のRが異なる基で構成される場合の例は、2つ以上のアルキルで構成される場合、2つ以上のアリールで構成される場合、2つ以上のアリールアルキルで構成される場合、水素と少なくとも1つのアリールとで構成される場合、少なくとも1つのアルキルと少なくとも1つのアリールとで構成される場合、少なくとも1つのアルキルと少なくとも1つのアリールアルキルとで構成される場合、少なくとも1つのアリールと少なくとも1つのアリールアルキルとで構成される場合などである。これらの例以外の組み合わせでもよい。少なくとも2つの異なるRを有する化合物(1)は、これを製造する際に2つ以上の原料を用いることにより得ることができる。この原料については後に述べる。
がアルキルであるとき、その炭素原子の数は1〜40である。好ましい炭素原子の数は1〜30である。より好ましい炭素原子の数は1〜8である。その任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよい。このようなアルキルの好ましい例は、1〜30の炭素原子を有する非置換のアルキル、2〜30の炭素原子を有するアルコキシアルキル、炭素原子の数が1〜8であり、そして1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられるアルキル、2〜20の炭素原子を有するアルケニル、3〜20の炭素原子を有するアルケニルオキシアルキル、3〜20の炭素原子を有するアルキルオキシアルケニル、炭素原子の数が1〜8であり、そして1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられるアルキル、およびここに挙げたこれらの基において任意の水素がフッ素で置き換えられる基である。シクロアルキレンおよびシクロアルケニレンの好ましい炭素原子の数は3〜8である。
1〜30の炭素原子を有する非置換のアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシルおよびトリアコンチルである。
1〜30の炭素原子を有するフッ素化アルキルの例は、2−フルオロエチル、2、2−ジフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、およびパーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシルである。
2〜29の炭素原子を有するアルコキシアルキルおよびフッ素化アルコキシアルキルの例は、3−メトキシプロピル、メトキシエトキシウンデシル、2−フルオロエチルオキシプロピル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシプロピル、2−フルオロ−1−フルオロメチルエチルオキシプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシプロピル、ヘキサフルオロイソプロピルオキシプロピル、ヘプタフルオロイソプロピルオキシプロピル、ヘキサフルオロブチルオキシプロピル、ヘプタフルオロブチルオキシプロピル、オクタフルオロイソブチルオキシプロピル、オクタフルオロペンチルオキシプロピル、2−フルオロエチルオキシブチル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシブチル、2−フルオロ−1−フルオロメチルエチルオキシブチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシブチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシブチル、ヘキサフルオロイソプロピルオキシブチル、ヘキサフルオロブチルオキシブチル、ヘプタフルオロブチルオキシブチル、オクタフルオロイソブチルオキシブチル、オクタフルオロペンチルオキシブチル、2−フルオロエチルオキシイソブチル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシイソブチル、2−フルオロ−1−フルオロメチルエチルオキシイソブチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシイソブチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシイソブチル、ヘキサフルオロイソプロピルオキシイソブチル、ヘキサフルオロブチルオキシイソブチル、ヘプタフルオロブチルオキシイソブチル、オクタフルオロイソブチルオキシイソブチルおよびオクタフルオロペンチルオキシイソブチルである。
炭素原子の数が1〜8であり、そして1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられるアルキルの例は、シクロヘキシルメチル、アダマンタンエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ビシクロヘプチルおよびシクロオクチルである。シクロヘキシルは、メチルの−CH−がシクロヘキシレンで置き換えられる例である。シクロヘキシルメチルは、エチルのβ位の−CH−がシクロヘキシレンで置き換えられる例である。
2〜20の炭素原子を有するアルケニルの例は、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、10−ウンデセニルおよび21−ドコセニルである。3〜20の炭素原子を有するアルケニルオキシアルキルの例はアリルオキシウンデシルである。炭素原子の数が1〜8であり、そして1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられるアルキルの例は、2−(3−シクロヘキセニル)エチル、5−(ビシクロヘプテニル)エチル、2−シクロペンテニル、3−シクロヘキセニル、5−ノルボルネン−2−イルおよび4−シクロオクテニルである。
式(1)におけるRが置換もしくは非置換のアリールである場合の好ましい例は、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよび非置換のナフチルである。ハロゲンの好ましい例は、フッ素、塩素および臭素である。フェニルの置換基であるアルキルにおいては、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置き換えられてもよい。即ち、好ましいアリールの更に具体的な例は、フェニル、非置換のナフチル、アルキルフェニル、アルキルオキシフェニル、アルケニルフェニル、少なくとも1つの−CH−がフェニレンで置き換えられるアルキルを置換基として有するフェニル、およびこれらの基において任意の水素がハロゲンで置き換えられる基である。なお、本発明においては、特に断らずに単にフェニルと表記するときは、非置換のフェニルを意味する。
ハロゲン化フェニルの例は、ペンタフルオロフェニル、4−クロロフェニルおよび4−プロモフェニルである。
アルキルフェニルの例は、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−ヘプチルフェニル、4−オクチルフェニル、4−ノニルフェニル、4−デシルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、4−(1−メチルエチル)フェニル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニルおよび2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニルである。
アルキルオキシフェニルの例は、(4−メトキシ)フェニル、(4−エトキシ)フェニル、(4−プロポキシ)フェニル、(4−ブトキシ)フェニル、(4−ペンチルオキシ)フェニル、(4−ヘプチルオキシ)フェニル、(4−デシルオキシ)フェニル、(4−オクタデシルオキシ)フェニル、4−(1−メチルエトキシ)フェニル、4−(2−メチルプロポキシ)フェニルおよび4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニルである。アルケニルフェニルの例は、4−ビニルフェニル、4−(1−メチルビニル)フェニルおよび4−(3−ブテニル)フェニルである。
少なくとも1つの−CH−がフェニレンで置き換えられるアルキルを置換基として有するフェニルの例は、4−(2−フェニルビニル)フェニル、4−フェノキシフェニル、3−(フェニルメチル)フェニル、ビフェニルおよびターフェニルである。4−(2−フェニルビニル)フェニルは、エチルフェニルのエチル基において、1つの−CH−がフェニレンで置き換えられ、もう1つの−CH−が−CH=CH−で置き換えられる例である。
水素の一部がハロゲンで置き換えられ、さらに他の水素がアルキル、アルキルオキシまたはアルケニルで置き換えられるフェニルの例は、3−クロロ−4−メチルフェニル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニル、2,3,6−トリクロロ−4−メチルフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、2,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3,5−ジブロモ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−エトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−プロポキシフェニルおよび4−ビニル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニルである。
次に、式(1)におけるRが置換もしくは非置換のアリールアルキルである場合の例を挙げる。アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。アリールアルキルの好ましい例はフェニルアルキルである。このとき、フェニル基の任意の水素はハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよい。このアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよい。そして、アルキレン基の好ましい炭素数は1〜12であり、より好ましい炭素数は1〜8である。
非置換のフェニルアルキルの例は、フェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、11−フェニルウンデシル、1−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、3−フェニルブチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−フェニルブチル、2−メチル−2−フェニルプロピルおよび1−フェニルヘキシルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、4−フルオロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルメチル、2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エチル、3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)プロピル、2−(2−フルオロフェニル)プロピルおよび2−(4−フルオロフェニル)プロピルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素が塩素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、4−クロロフェニルメチル、2−クロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,3,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,5−トリクロロフェニルメチル、2,3,4,6−テトラクロロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニルメチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2,4,5−クロロフェニル)エチル、2−(2,3,6−クロロフェニル)エチル、3−(3−クロロフェニル)プロピル、3−(4−クロロフェニル)プロピル、3−(2,4,5−トリクロロフェニル)プロピル、3−(2,3,6−トリクロロフェニル)プロピル、4−(2−クロロフェニル)ブチル、4−(3−クロロフェニル)ブチル、4−(4−クロロフェニル)ブチル、4−(2,3,6−トリクロロフェニル)ブチル、4−(2,4,5−トリクロロフェニル)ブチル、1−(3−クロロフェニル)エチル、1−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)プロピル、2−(2−クロロフェニル)プロピルおよび1−(4−クロロフェニル)ブチルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素が臭素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、2−ブロモフェニルメチル、4−ブロモフェニルメチル、2,4−ジブロモフェニルメチル、2,4,6−トリブロモフェニルメチル、2,3,4,5−テトラブロモフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルメチル、2−(4−ブロモフェニル)エチル、3−(4−ブロモフェニル)プロピル、3−(3−ブロモフェニル)プロピル、4−(4−ブロモフェニル)ブチル、1−(4−ブロモフェニル)エチル、2−(2−ブロモフェニル)プロピルおよび2−(4−ブロモフェニル)プロピルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜12の炭素原子を有するアルキルで置き換えられるフェニルアルキルの例は、2−メチルフェニルメチル、3−メチルフェニルメチル、4−メチルフェニルメチル、4−ドデシルフェニルメチル、3,5−ジメチルフェニルメチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(2,5ジメチルフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(3−エチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(2−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)プロピル、2−(2−メチルフェニル)プロピル、2−(4−エチルフェニル)プロピル、2−(2−エチルフェニル)プロピル、2−(2,3−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)ブチル、(4−(1−メチルエチル)フェニル)メチル、2−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)エチル、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)プロピルおよび2−(3−(1−メチルエチル)フェニル)プロピルである。
炭素原子の数が1〜12であり、そして少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられるアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、3−(トリフルオロメチル)フェニルメチル、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)プロピルおよび1−メチル−1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチルである。
炭素原子の数が1〜12であり、そして1つの−CH−が−CH=CH−で置き換えられるアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、2−(4−ビニルフェニル)エチル、1−(4−ビニルフェニル)エチルおよび1−(2−(2−プロペニル)フェニル)エチルである。
炭素原子の数が1〜12であり、そして1つの−CH−が−O−で置き換えられるアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、4−メトキシフェニルメチル、3−メトキシフェニルメチル、4−エトキシフェニルメチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピル、3−(2−メトキシフェニル)プロピル、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル、11−(4−メトキシフェニル)ウンデシル、1−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(3−(メトキシメチル)フェニル)エチルおよび3−(2−ノナデカフルオロデセニルオキシフェニル)プロピルである。
炭素原子の数が1〜12であり、1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられ、そしてもう1つの−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、シクロペンチルフェニルメチル、シクロペンチルオキシフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルエチル、シクロヘキシルフェニルプロピルおよびシクロヘキシルオキシフェニルメチルである。
炭素原子の数が1〜12であり、1つの−CH−がフェニレンで置き換えられ、そしてもう1つの−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、2−(4−フェノキシフェニル)エチル、2−(4−フェノキシフェニル)プロピル、2−(2−フェノキシフェニル)プロピル、4−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルプロピル、2−(2−ビフェニリル)プロピルおよび2−(4−ビフェニリル)プロピルである。
フェニル基の少なくとも2つの水素が異なる基で置き換えられるフェニルアルキルの例は、3−(2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチルフェニル)プロピル、3−クロロ−2−メチルフェニルメチル、4−クロロ−2−メチルフェニルメチル、5−クロロ−2−メチルフェニルメチル、6−クロロ−2−メチルフェニルメチル、2−クロロ−4−メチルフェニルメチル、3−クロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルフェニルメチル、(2,3,4,6−テトラクロロ−5−メチルフェニル)メチル、2,3,4,5−テトラクロロ−6−メチルフェニルメチル、4−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,6−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4,6−トリクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、3−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、4−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、5−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、6−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、3−ブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラブロモ−4−メチルフェニルメチルおよび11−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ウンデシルである。
そして、フェニルアルキルにおけるフェニル基の最も好ましい例は、非置換のフェニル基、並びにフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルおよびメトキシの少なくとも1つを置換基として有するフェニル基である。
フェニルアルキルを構成するアルキレン基において、少なくとも1つの−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられるフェニルアルキルの例は、3−フェノキシプロピル、1−フェニルビニル、2−フェニルビニル、3−フェニル−2−プロペニル、4−フェニル−4−ペンテニルおよび13−フェニル−12−トリデセニルである。
フェニル基の水素がフッ素またはメチルで置き換えられるフェニルアルケニルの例は、4−フルオロフェニルビニル、2,3−ジフルオロフェニルビニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルビニルおよび4−メチルフェニルビニルである。
の更に好ましい例は、エチル、2−フルオロエチル、2、2−ジフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ハロゲン化フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、メトキシフェニル、非置換のナフチル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルブチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、ペンタフルオロフェニルプロピル、4−エチルフェニルエチル、3−エチルフェニルエチル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニルエチル、4−ビニルフェニルエチル、1−(4−ビニルフェニル)エチル、4−メトキシフェニルプロピルおよびフェノキシプロピルである。
の特に好ましい例は、エチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルである。Rの最も好ましい例はフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルである。
式(1)におけるRおよびRは、独立して1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルまたはシクロヘキシルである。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、2−メチルブチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−メチルヘプチルおよび2−エチルヘキシルである。そして最も好ましいアルキルはメチルである。
式(1)におけるAは、単量体に対する重合開始能、好ましくはリビングラジカル重合開始能を有する基である。このようなAの例は、ハロアルキルフェニル基を有する基、MgBr基を有する基、ジチオカルバメート基を有する基、およびα−ハロエステル基を有する基である。ハロアルキルフェニルを有する基は、塩化銅/アミン錯体の存在下ではラジカルを発生し、過塩素酸銀の共存下ではカチオン重合の開始剤となる。ハロアルキルフェニル基の例は、クロロメチルフェニル、ブロモメチルフェニル、ヨードメチルフェニルなどである。
MgBr基は、次のようにして導入することができる。まず、スチリル基、ビニル基などの二重結合を有するシルセスキオキサン誘導体を合成する。次にボラン−ジメチルサルファイド錯体を用いて、この誘導体の二重結合部位のヒドロホウ素化を行い、ホウ素を有するシルセスキオキサン誘導体とする。そしてこのホウ素を有するシルセスキオキサン誘導体に、ペンタン−1,5−ジイル−ジ(マグネシウムブロマイド)を反応させることによって、MgBr基を導入することができる。得られたグリニヤータイプのシルセスキオキサン誘導体は、スチレンやメチル(メタ)アクリレートのアニオン重合開始剤として利用することが可能である。
Aのより好ましい例は、ハロアルキルフェニルを有する基、ジチオカルバメート基を有する基およびα−ハロエステル基を有する基である。
ハロアルキルフェニルをラジカル重合の開始基とする重合方法として、原子移動ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization)法が知られている。この方法では、周期律表第8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる。この原子移動ラジカル重合において、ハロアルキルフェニルが優れた重合開始能を有することが知られている。そして、この重合がリビング重合的であることもよく知られている。即ち、ハロアルキルフェニルを有する本発明のケイ素化合物は、遷移金属錯体の存在下で、優れた重合開始能を有し、リビング重合性を維持し続けることができる。そして、あらゆるラジカル重合性単量体に対して重合を開始させることが可能である。特にスチレン系誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。なお、ハロアルキルフェニルは強い求電子性を有するので、ハロアルキルフェニルを有する本発明のケイ素化合物に、種々の求核試薬を利用してアミノ基、水酸基、メルカプト基などを導入することができる。即ち、このケイ素化合物は、有用な中間体として活用されることができる。
ハロアルキルフェニルを有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は式(1−1)で示される化合物である。
Figure 0004887626
式(1−1)において、R、RおよびRは式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Aは式(2−1)で示される基である。
Figure 0004887626
式(2−1)におけるXは、Cl、Br、Iなどのハロゲンである。原子移動ラジカル重合の開始基としては、ClおよびBrがより好ましい。Zは1〜3の炭素原子を有するアルキレンである。Zの例は、メチレン、1,2−エチレン、1,1−エチレン、1,3−トリメチレン、エチルメチレン、1−メチル−1,2−エチレンおよび2−メチル−1,2−エチレンである。そして、Zの好ましい例はメチレンである。Zは2〜10の炭素原子を有するアルキレンである。このアルキレンにおいては、1つの−CH−が−O−で置き換えられてもよい。そして、ベンゼン環へのZの結合位置は、Zの結合位置に対してメタ位またはパラ位である。Rは1〜3の炭素原子を有するアルキルである。Rの例はメチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。そして、好ましいRはメチルである。Rの個数を示すaは、0、1、または2であるが、0が好ましい。ベンゼン環に対するRの結合位置は、ZおよびZの結合位置以外の任意の位置である。
Si原子に有機基を結合させるに当たり、加水分解されない誘導体を得るための代表的な方法は、Si−ハロゲンに対してグリニヤー試薬を反応させる方法とSi−Hに対して脂肪族不飽和結合を有する化合物を反応させる方法である。後者は、通常ヒドロシリル化反応法と称される。そして本発明においては、原料の入手しやすさの点で、ヒドロシリル化反応法の方が適用しやすい。即ち、シルセスキオキサン誘導体に官能基を導入する好ましい方法は、Si−H官能のシルセスキオキサン誘導体と末端に不飽和結合を有する化合物とを、ヒドロシリル化反応によって結合させる方法である。従って、式(2)におけるZの好ましい例は、Z−Cで示される基である。
即ち、式(2−1)の好ましい例は式(2−1−1)である。
Figure 0004887626
式(2−1−1)中のZは、単結合または1〜8の炭素原子を有するアルキレンである。これらのアルキレンにおいては、1つの−CH−が−O−で置き換えられてもよい。即ち、式(2−1)中のZの好ましい例は、−C−、−C−、−OC−、−OC−、−CHOC−、−CHOC−、−COC−および−COC−である。しかしながら、Zの選択範囲はこれらに限定されない。式(2−1−1)において、Z以外の記号は式(2−1)における記号と同一の意味を有し、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−1)におけるこれらの結合位置と同一である。
ジチオカルバメート基を重合開始基とする光重合方法として、フォトイニファタ(Photo Initiator−transfer agent−terminator)重合法が知られている。このフォトイニファタ重合において、ジチオカルバメート基が光によりラジカル解離し、優れた重合開始能および増感能を有することはよく知られている。この光重合がリビング重合的であることもよく知られている。従って、ジチオカルバメート基を有する本発明のケイ素化合物は、光照射されているかぎり、重合開始能を維持し続けることが可能であり、あらゆるラジカル重合性単量体に対して光重合開始能力を有する。特に(メタ)アクリル酸誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。そして、ジチオカルバメート基は、その光重合開始基としての特性の他、耐放射線性、除草効果等の薬理活性、錯体形成能、親水性などを有するので、これらの特性を活用することも可能である。
ジチオカルバメート基を有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は、式(1−2)で示される化合物である。
Figure 0004887626
式(1−2)において、R、RおよびRは式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Aは式(2−2)で示される基である。
Figure 0004887626
式(2−2)におけるZ、Z、Rおよびaは、式(2−1)におけるこれらの記号と同様に定義され、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置も、式(2−1)における場合と同様に定義される。RおよびRは独立して、水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールである。水素以外のRまたはRの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、2−メチルブチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、デシル、フェニル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。RおよびRのどちらもがこれらの基の1つであってもよいし、片方がこれらの基の1つであり、もう一方が水素であってもよい。
およびRは、互いに結合してNと共に環を形成してもよい。このような場合のジチオカルバメート基の例は、N−シクロトリメチレンジチオカルバメート基、N−シクロテトラメチレンジチオカルバメート基、N−シクロペンタメチレンジチオカルバメート基、N−シクロヘキサメチレンジチオカルバメート基、N−シクロヘプタメチレンジチオカルバメート基、N−シクロオクタメチレンジチオカルバメート基等である。好ましいジチオカルバメート基は、N,N−ジメチルジチオカルバメート基、N,N−ジエチルジチオカルバメート基、N−メチルジチオカルバメート基およびN−エチルジチオカルバメート基である。そしてN,N−ジエチルジチオカルバメート基が最も好ましい。
式(2−2)におけるZも、式(2−1)における場合と同様にZ−Cで示される基であることが好ましい。即ち、式(2−2)の好ましい例は式(2−2−1)である。
Figure 0004887626
式(2−2−1)において、Zは式(2−1−1)におけるZと同様に定義され、Z以外の記号は式(2−2)における記号と同一の意味を有し、そしてベンゼン環へのZおよびRの結合位置は、式(2−2)における結合位置と同一である。
α−ハロエステル基を有する基は、α−ハロカルボニルオキシを末端に有する基を意味する。このα−ハロカルボニルオキシをラジカル重合の開始基とする重合方法として、原子移動ラジカル重合法(Atom transfer radical polymerization method)が知られている。この方法で用いられる重合触媒は、周期律表の第8族、9族、10族または11族元素を中心の金属原子とする金属錯体である。この原子移動ラジカル重合において、α−ハロカルボニルオキシを有する基が優れた重合開始能を有することが知られている。この重合がリビング重合的であることもよく知られている。即ち、α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物は、遷移金属錯体の存在下で、優れた重合開始能を有し、リビング重合性を維持し続けることができる。そして、あらゆるラジカル重合性単量体に対して重合を開始させることが可能である。特に(メタ)アクリル酸誘導体またはスチレン系誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。
なお、α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物は、末端にα−ハロカルボニルオキシを有するので、各種の有機反応を適用して多数の誘導体に導くことが可能である。例えば、リチウム、マグネシウムまたは亜鉛などとこのケイ素化合物とを反応させることにより、有機金属官能基を有するシルセスキオキサン誘導体に導くことができる。具体的には、α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物に亜鉛を反応させて、有機亜鉛官能基を有するシルセスキオキサン誘導体に導いた後、アルデヒドやケトンを付加させることによって、アルコール類に変換させることができる。従って、有機亜鉛官能基を有するシルセスキオキサン誘導体は、いわゆるリフォマッキー反応に用いる中間原料として有用である。
α−ハロカルボニルオキシ基は強い求電子性を有するので、種々の求核試薬を用いてアミノ基、メルカプト基などに変換することが可能である。さらに、α−ハロカルボニルオキシ基をエナミンで処理してイミン塩とし、このイミン塩を加水分解することによってケトンに変換させることができる。即ち、α−ハロカルボニルオキシ基を有する本発明のケイ素化合物は、ストーク−エナミン反応に用いる中間原料としても有用である。このケイ素化合物を脂肪族または芳香族系のグリニヤール試薬と反応させることにより、種々の有機官能基や重合性官能基を有するシルセスキオキサン誘導体とすることも可能である。従って、α−ハロカルボニルオキシ基を有する本発明のケイ素化合物は、重合開始剤としてだけでなく、種々の有機合成に有用な中間体として利用することができる。
α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は、式(1−3)で示される化合物である。
Figure 0004887626
式(1−3)において、R、RおよびRは式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Aは式(2−3)で示される基である。
Figure 0004887626
この式におけるXはハロゲンであり、その例は塩素、臭素およびヨウ素である。原子移動ラジカル重合の開始基としては、塩素および臭素が最も好ましい。Rは水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルである。Rの好ましい例は水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、任意の水素が1〜14の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、および任意の水素が1〜14の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と1〜14の炭素原子を有するアルキレン基とで構成され、そしてこれらの基の合計の炭素原子の数が7〜20であるフェニルアルキルである。Rのより好ましい例は水素および1〜20の炭素原子を有するアルキルである。Rの更に好ましい例は水素、メチルおよびエチルであり、最も好ましい例はメチルである。Rは1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルである。Rの好ましい例は1〜20の炭素原子を有するアルキル、任意の水素が1〜14の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、および任意の水素が1〜14の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と1〜14の炭素原子を有するアルキレン基とで構成され、そしてこれらの基の合計の炭素原子の数が7〜20であるフェニルアルキルである。Rのより好ましい例は1〜20の炭素原子を有するアルキルである。Rの更に好ましい例はメチルおよびエチルであり、最も好ましい例はメチルである。そして、Zは2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは炭素数3〜8の炭素原子を有するアルケニレンである。これらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい。Zの好ましい例は、炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである。このようなアルキレンの例は、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C−O−C−および−C−O−C−である。Zのより好ましい例は、−C−、−C−、−C10−および−C−O−C−である。
次に、本発明のケイ素化合物のうち、化合物(1−1)および化合物(1−2)の具体例の一部を、表1に示す記号を用いて表2〜表4に示す。これらの例は、下記の式(1−1−1)および式(1−2−1)において、Rがエチル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、シクロペンチルまたはフェニルであり、Zが単結合、−CH−、−C−またはこれらのアルキレン中の1つの−CH−が−COO−で置き換えられた基である場合の例である。
Figure 0004887626
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表2〜表4の例は、本発明のケイ素化合物の好ましい例である。しかしながら、これらの例は本発明のケイ素化合物の範囲を限定するものではない。例えば、前記のRが3,3,3−トリフルオロプロピル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルなどのフッ素含有基である化合物なども好ましい。そして、上記の例のうちでは、Rがフェニルである化合物が最も好ましい。
次に、本発明のケイ素化合物のうち、化合物(1−3)の具体例の一部を、表5に示す記号を用いて表6〜表13に示す。これらの例は、下記の式(1−3−1)において、R11がエチル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、3,3,3−トリフルオロプロピルまたはフェニルであり、Zが−(CH−、−(CH−、−(CH−または−C−O−C−である場合の例である。これらの例は、本発明のケイ素化合物の好ましい例である。そして、R11が3,3,3−トリフルオロプロピルまたはフェニルである化合物が最も好ましい。
Figure 0004887626
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なお、化合物(1−3)は、表6〜表13に記載された例によって制限されない。R11がトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルである化合物も好ましい。
次に、本発明のケイ素化合物のうち、化合物(1−1)および化合物(1−2)の製造方法について説明する。
好ましい原料の1つは化合物(3−1)である。
Figure 0004887626
式(3−1)におけるRは、式(1)におけるRと同一の意味を有する。このような化合物は、トリクロロシラン化合物を加水分解し、さらに熟成させることによって合成することができる。例えば、Frank J.Feherらは、シクロペンチルトリクロロシランを水−アセトン混合溶剤中で、室温下または環流温度下で反応させ、さらに2週間熟成させることにより、式(3−1)においてRがシクロペンチルである化合物を得ている(Organometallics,10,2526−(1991)、またはChemical European Journal,3,No.6,900−(1997)参照)。シラノール(Si−OH)の反応性を利用すれば、化合物(3−1)にSi−H官能のジオルガノクロロシランを反応させることによって、Si−H官能のシルセスキオキサン誘導体を製造することができる。
Si−H官能のジオルガノクロロシランは式(4)で示される。化合物(4)の好ましい例はジメチルクロロシランである。化合物(3−1)に化合物(4)を反応させることによって化合物(5)が得られる。
Figure 0004887626
式(4)および式(5)におけるR、RおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
化合物(3−1)と化合物(4)から化合物(5)を合成するには、求核置換を利用する方法を採用することができる。この方法は例えば、J.Am.Chem.Soc.,112,1931−(1990)に記載されている。この求核置換反応に用いる溶剤の選択条件は、化合物(3−1)および化合物(4)と反応しないこと、および充分脱水されていることである。溶剤の例は、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミドなどである。最も好ましい溶剤は、よく脱水されたテトラヒドロフランである。化合物(4)の好ましい使用量は、化合物(3−1)のSi−OH(シラノール)基の全てに反応させる場合、化合物(3−1)対する当量比で3〜15倍である。そして、この反応時においては、シラノールの水素とクロロシランの塩素が反応することにより塩化水素が発生するため、この塩化水素を反応系から除去する必要がある。塩化水素を除去する方法に制限はないが、トリエチルアミンを用いることが最も好ましい。トリエチルアミンの好ましい使用量は、化合物(3−1)に対する当量比で3〜15倍である。好ましい反応温度は、副反応が併発せず、定量的な求核置換反応を進行させることができる温度である。ただ、原料の仕込み時においては、低温条件下、例えば氷浴中で行うことが最も好ましく、その後は室温下で行ってもよい。反応時間は、定量的な求核置換反応が進行するに充分な時間であれば特に制限はない。通常10〜15時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。
本発明で用いるもう一つの好ましい原料は化合物(3−2)である。
Figure 0004887626
式(3−2)において、Rは式(1)中のRと同一であり、Mは1価のアルカリ金属原子である。アルカリ金属の好ましい例はナトリウムおよびカリウムである。最も好ましい例はナトリウムである。
化合物(3−2)は、3官能の加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解することによってシルセスキオキサンオリゴマーを得、これを有機溶剤中で1価のアルカリ金属水酸化物と反応させることにより得られる。3官能の加水分解性基を有するシラン化合物を、有機溶剤、水およびアルカリ金属水酸化物の存在下で、加水分解、縮合させることによっても得られる。いずれの方法の場合も、短時間、かつ高収率で化合物(3−2)を製造することができる(例えば、WO02/094839パンフレットを参照)。化合物(3−2)を製造するに際し、3官能の加水分解性基を有するシラン化合物を少なくとも2つ用いることにより、式(3−2)中の7個のRが少なくとも2つの異なる基で構成されている化合物(3−2)を得ることができる。化合物(3−2)は、化合物(3−1)のシラノール基よりも高い反応性を示す。従って、この化合物を原料として用いれば、容易かつ高収率でその誘導体を合成することができる。さらに、反応活性基として−ONaを有するため、誘導体の合成反応にクロロシラン類を用いても、塩化水素を発生しない。従って、反応操作を容易にすることができ、完全に反応させることが可能である。即ち、化合物(5)は、化合物(3−2)と化合物(4)とから容易に得ることができる。
化合物(3−2)に化合物(4)を反応させて化合物(5)とする反応も、化合物(3−1)を用いる場合と同様にして実施することができる。化合物(4)の好ましい使用量は、化合物(3−2)に対する当量比で3〜15倍である。この反応においては、塩化水素除去を目的としてトリエチルアミンなどを使用する必要はない。しかしながら、反応の進行を速やかに行うための触媒的な役割として、トリエチルアミンを用いてもよい。トリエチルアミンを用いる場合には、化合物(3−2)に対する当量比で3〜15倍であることが好ましい。反応に際して用いる好ましい溶剤は、化合物(3−1)を用いる反応における場合と同様である。
副反応を併発せず、定量的な求核置換反応が進行しさえすれば、反応温度には特に制限は無い。しかしながら、原料の仕込み時においては、低温条件下、たとえば氷浴中で行ってもよい。その後の反応は、室温条件下で行ってもよいし加熱条件下で行ってもよい。具体的には、反応温度は0〜150℃の範囲であり、より好ましくは0〜50℃の範囲である。反応時間は、定量的な求核置換反応が進行するために充分な時間であれば特に制限はない。通常1〜15時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。
本発明のケイ素化合物の好ましい合成法は、前記の化合物(5)を用いるヒドロシリル化反応による方法である。ハロアルキルフェニルを有する化合物は、ヒドロシリル化反応だけで合成することができる。即ち、遷移金属触媒の存在下における化合物(5)と化合物(6−1)との反応である。
Figure 0004887626
式(6−1)における記号は前記の式(2−1−1)における記号と同様に定義される記号であり、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−1−1)におけるこれらの記号の結合位置と同一である。
用いられる遷移金属触媒の例は、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなどである。これらの中で、白金触媒がより好ましい。これらの触媒は、溶剤に溶解させた均一系触媒、またはカーボンもしくはシリカなどに担持させた固体触媒として使用することができる。ホスフィン、アミン、酢酸カリウムなどを共存させた形態で使用してもよい。遷移金属触媒の好ましい使用量は、化合物(5)中のSi−H基1モルに対して、遷移金属触媒原子として1×10−6〜1×10−2モルである。
化合物(6−1)の使用量は、化合物(5)中のSi−H基に対する当量比で1〜5倍であることが好ましい。ヒドロシリル化反応はほぼ定量的に進む反応であるから、この当量比を大きくする意味はあまりない。しかしながら、反応時間を短くする効果は期待できるので、化合物(6−1)を多量に用いることによる悪影響は費用効率だけである。一方、Si−H基の一部を未反応のまま残そうとする場合には、前記当量比を1より小さくするだけでよい。このようにして、式(1−1)で示される化合物が得られる。
Figure 0004887626
式(1−1)におけるR、RおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。そしてAは、前記の式(2−1−1)で示される基である。
Figure 0004887626
ヒドロシリル化反応における好ましい反応温度は、用いる溶剤の沸点以下である。化合物(6−1)は、重合性の不飽和結合を有する化合物である。この化合物がヒドロシリル化反応中に自発的に重合するのを防止するためには、好ましい反応温度は20〜80℃である。この重合反応を抑制する目的で、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体またはN−ニトロソフェニルアミン塩誘導体などの重合禁止剤を用いてもよい。最も好ましい重合禁止剤は4−tert−ブチルピロカテコールである。その好ましい使用量は、反応液の総重量を基準として1〜100,000ppmである。この使用量の更に好ましい範囲は、100〜20,000ppmである。
このヒドロシリル化反応に用いられる有機溶剤は、原料をこれと反応することなく容易に溶解するものであれば特に制限はない。有機溶剤の好ましい例は、脂肪族炭化水素(例:ヘキサンおよびヘプタン)、芳香族炭化水素(例:トルエンおよびキシレン)、および環状エーテル(例:テトラヒドロフランおよびジオキサン)である。化合物(5)の溶解性を考慮するとトルエンが最も好ましい。そして、触媒の活性をコントロールする目的で、2−プロパノールなどのアルコール類を添加してもよい。
以下の説明では、未反応の原料化合物や溶剤を併せて不純物と称することがある。不純物を除去するために蒸留法を適用すると、長時間高温条件下に保持することによって、二重結合を有する未反応物の自発的重合を誘起する恐れがある。従って、化合物(1−1)の純度を損ねることなく、不純物を効率的に除去するためには、再沈殿操作による精製法の利用が好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、化合物(1−1)および不純物をともに溶解する溶剤に、反応液を溶解させる。このときの化合物(1−1)の好ましい濃度は、大まかに言えば1〜15重量%である。次に、化合物(1−1)は溶解しないけれども不純物は溶解するような溶剤、いわゆる沈殿剤をこの溶液を加えて化合物(1−1)のみを沈殿させる。沈殿剤の好ましい使用量は、化合物(1−1)および不純物をともに溶解するために用いた溶剤の重量に基づいて20〜50倍である。この使用量範囲も大まかな基準であり、前記の化合物(1−1)の濃度範囲とともに、必ずしもこれらの範囲内である必要があるわけではない。
化合物(1−1)を溶解させるための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤は、化合物(1−1)を溶解させるための溶剤と相溶し、化合物(1−1)を全く溶解せず、不純物のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は低級アルコール類である。特に好ましい沈殿剤はメタノールである。そして、さらに精製度をあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。
重合性の未反応物を除いた後、化合物(1−1)を更に精製するには、カラムクロマトグラフ法が好ましい。その際に使用する好ましい吸着剤は、シリカゲルなどである。好ましい展開溶剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトンなどである。より好ましい展開溶剤は、酢酸エチルとヘキサンとの混合溶剤である。なお溶剤の混合比率は、特に制限はないが、展開溶剤に対する目的物の移動率(Rf値)が0.1〜0.7の範囲となるように調整すればよい。
上記のヒドロシリル化反応工程で得られた化合物(1−1)に、式(7)で示されるジチオカルバミン酸金属塩を反応させることにより、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
式(7)におけるRおよびRは、式(2−2−1)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり、そしてpはMの原子価と同じ値である。Mの例は、Li、Na、K、Cu、Mg、Ca、Znなどである。Mの好ましい例はNaおよびKである。
Figure 0004887626
この式におけるAは前記の式(2−2−1)で示される基であり、この他の記号は式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
化合物(1−1)と化合物(7)との反応は、定量的な求核置換反応であり、副反応は起こらない。しかしながら、ジチオカルバミン酸塩の好ましい使用量は、化合物(1−1)中のハロゲン含有量に対する当量比で1〜5倍である。この塩を多く用いることにより、反応時間を短くすることができる。反応は、通常、窒素ガスのような不活性気体雰囲気中、原料に対して不活性な乾燥した有機溶剤中で行う。有機溶剤の例は、低級アルコール(例:メタノール)、環状エーテル(例:テトラヒドロフランおよびジオキサン)、および芳香族炭化水素(例:トルエンおよびキシレン)である。有機溶剤の好ましい例は、テトラヒドロフランおよびメタノールである。好ましい反応温度は、ジチオカルバメートが熱分解する可能性を考慮すると、120℃以下である。更に好ましい温度は100℃以下である。反応時間には特に制限はないが、通常1〜10時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。必要に応じてベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルアンモニウムクロライド、ジオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミンまたはジメチルアニリンなどの相間移動触媒を反応に用いることができる。
反応混合物中の化合物(1−2)は、前記の再沈殿操作による精製法または/およびカラムクロマトグラフ法により精製される。ジチオカルバミン酸塩と化合物(1−1)との反応および化合物(1−2)の精製は、紫外線がカットされた蛍光灯および紫外線カットフィルムが装着されたドラフト内で実施されねばならない。そして、化合物(1−2)は、光増感基であるジチオカルバメートを有しているため、非水環境下、窒素やアルゴンなどの不活性気体を封入した遮光容器内で冷暗所にて保存されなければならない。
化合物(1−2)は、ジチオカルバミン酸金属塩とハロゲン化アルキル基との反応工程を先に実施する方法でも製造することができる。この製造法は、最初に前記の化合物(6−1)と化合物(7)とを反応させて、式(6−2)で示される化合物とする方法である。
Figure 0004887626
この式における記号は式(2−2−1)における記号と同様に定義される。ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は、式(2−2−1)におけるこれらの記号の結合位置と同一である。
この反応自体は、基本的に前記の化合物(1−1)と化合物(7)との反応と同じであり、この反応の場合と同様にして実施できる。しかしながら、重合性の基を有する化合物を取り扱う点で、前記の製造法での化合物(5)と化合物(6−1)との反応における場合と同様の注意が必要である。即ち、反応温度をかなり低く20〜80℃くらいにする必要があるし、重合禁止剤の使用も必要である。そして、反応および精製工程のみならず、生成物の保管に際してもできるだけ紫外線を遮断しなければならない。そして、前記の化合物(5)と化合物(6−2)とのヒドロシリル化反応により、化合物(1−2)を得ることができる。このヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6−1)との反応と同様にして実施することができる。
化合物(1−1)は、化合物(3−1)または化合物(3−2)を用いる反応を最終反応工程とする製造方法によっても製造することができる。まず遷移金属触媒の存在下で、化合物(4)と化合物(6−1)とをヒドロシリル化反応させて、化合物(8−1)を製造する。
Figure 0004887626
式(8−1)において、RおよびRは式(4)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、他の記号は式(6−1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有する。ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は、式(6−1)におけるこれらの記号の結合位置と同一である。
そして、化合物(8−1)と、化合物(3−1)または化合物(3−2)とを反応させて、化合物(1−1)を製造することができる。化合物(4)と化合物(6−1)とのヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6−1)とのヒドロシリル化反応と同様にして実施することができる。化合物(8−1)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応は、化合物(4)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応と同様にして実施することができる。
化合物(1−2)も、化合物(3−1)または化合物(3−2)を用いる反応を最終反応工程とする製造方法によって製造することができる。即ち、まず化合物(6−1)と化合物(7)とから化合物(6−2)を得、次にこの化合物(6−2)と化合物(4)とのヒドロシリル化反応によって化合物を製造する。
Figure 0004887626
式(8−2)において、RおよびRは式(4)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、他の記号は式(6−2)における記号と同一の意味を有する。ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は、式(6−2)におけるこれらの記号の結合位置と同一である。
そして最後に、この化合物(8−2)と化合物(3−1)または化合物(3−2)とを反応させることにより、化合物(1−2)を製造することができる。化合物(6−2)と化合物(4)とのヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6−1)とのヒドロシリル化反応と同様にして実施することができる。化合物(8−2)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応は、化合物(4)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応と同様にして実施することができる。なお、化合物(8−2)の製造方法としては、前記の化合物(8−1)と化合物(7)とを反応させる方法も考えられる。
次に、本発明のケイ素化合物のうちの化合物(1−3)の製造方法について説明する。
この方法で用いられる好ましい原料は、式(9)で示されるケイ素化合物である。
Figure 0004887626
この式におけるR、RおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、Zは式(2−3)におけるZと同様に定義される基である。そして、この化合物(9)にα位の炭素にハロゲンが結合している化合物(10)を反応させることにより化合物(1−3)が得られる。
Figure 0004887626
この式におけるR、RおよびXは、式(2−3)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、Xはハロゲンである。このハロゲンの例は塩素、臭素およびヨウ素であり、塩素および臭素が好ましい。XとXは同一であっても異なっていてもよい。
次のスキーム1(またはスキーム2)およびスキーム3に示す合成経路は、化合物(1−3)を製造する方法の具体例の1つである。以下のスキームにおいて、Pt(dvds)は白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であり、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、THFはテトラヒドロフランであり、そしてTEAはトリエチルアミンである。
<スキーム1>
Figure 0004887626
即ち、スキーム1では、トリエチルアミンの存在下、THFを溶剤とし、室温中において化合物(3−1−1)とジメチルクロロシランとを反応させて化合物(5−1)とする。化合物(3−1−1)は、Organometallics,10,2526−(1991)に記載されている。
<スキーム2>
Figure 0004887626
スキーム2では、トリエチルアミンの非存在下で、トルエンを溶剤とし、加熱還流下において化合物(3−2−1)とジメチルクロロシランとを反応させて化合物(5−1)とする。化合物(3−2−1)はWO02/094839パンフレットに記載されている。スキーム1とスキーム2のいずれの方法も採用することができる。これらのスキームは化合物(1−1)および化合物(1−2)の製造にも共通する具体例である。
<スキーム3>
Figure 0004887626
そして、スキーム3において、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の存在下、トルエン中で化合物(5−1)とアルケニル基を有するアルコールとをヒドロシリル化反応させることにより、水酸基を有する化合物(9−1)とすることができる。なお、これらの合成経路は、化合物(9)を製造するための一例であり、本発明を限定するものではない。
さらに化合物(9)は、下記の方法によって製造することもできる。まず、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の存在下、トルエン中において化合物(5−1)とトリメチルシリル基で保護されたアルケニル基を有するアルコールとをヒドロシリル化反応させることにより化合物(9−T)を製造する。次いで、室温中または僅かに加温(40℃)した条件下で、大過剰のメタノールを用いるアルコーリシスによって、水酸基を有する化合物(9−1)に誘導する。なお、以下のスキームにおいて、TMSはトリメチルシリル基である。
<スキーム4>
Figure 0004887626
このようにして得られる化合物(9)に化合物(10)を反応させることによって、本発明の化合物の好ましい例である化合物(1−3)を得ることができる。
Figure 0004887626
式(1−3)において、R、RおよびRは式(9)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Aは前記の式(2−3)で示される基である。
化合物(9)は化合物(10)と容易に反応してエステルとなる。反応に際して副生するハロゲン化水素は、脱水や二重結合部位への付加等の副反応を誘発するので、これを除去するために有機塩基を共存させて反応を行う。有機塩基の例は、ピリジン、ジメチルアニリン、トリエチルアミンおよびテトラメチル尿素である。副反応を抑制し、反応を速やかに進行させることができれば、他の有機塩基でもよい。そして、有機塩基の最も好ましい例はトリエチルアミンである。この反応は定量的に進行する求核置換反応であるが、化合物(10)の使用量は化合物(9)に対する当量比で1〜10倍であることが好ましい。化合物(10)の使用量を多くすることで、全ての化合物(9)を反応させることが可能であるし、反応時間を短くすることもできる。
この反応は通常、アルゴンガスや窒素ガスのような不活性気体雰囲気中で、原料に対して不活性な乾燥した有機溶剤を用いて行う。有機溶剤の例は、環式エーテル(THF、ジオキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(メチレンクロライド、クロロホルムなど)および四塩化炭素である。そして、有機溶剤の好ましい例はメチレンクロライドである。反応温度には特に制限はない。しかしながら、この反応は発熱を伴いながら激しく進行するため、通常は低温条件下で行う方がよい。好ましい反応温度は100℃以下であり、最も好ましい反応温度は35℃以下である。実際には、変則的な反応温度調節下で反応させてもよい。例えば、初期においては、ドライアイス−メタノール浴または氷浴を用いて反応系を冷却しながら反応させ、その後室温付近まで昇温させて引き続き反応させてもよい。反応時間には特に制限は無い。通常、1〜10時間で目的とするケイ素化合物を得ることができる。
以下の説明では、未反応の原料化合物および溶剤を総称して「不純物」と称することがある。未反応の原料化合物や溶剤を除去するために蒸留法を適用すると、長時間高温条件下に保持されることによって、目的とする化合物が分解される恐れがある。従って、化合物(1−3)の純度を損ねることなく、不純物を効率的に除去するためには、再沈殿操作によって精製することが好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、化合物(1−3)および不純物をともに溶解する溶剤に、反応液を溶解させる。このときの化合物(1−3)の好ましい濃度は、大まかに言えば1〜15重量%である。次に、化合物(1−3)は溶解しないけれども不純物は溶解するような溶剤、いわゆる沈殿剤をこの溶液に加えて化合物(1−3)のみを沈殿させる。沈殿剤の好ましい使用量は、化合物(1−3)および不純物をともに溶解するために用いた溶剤の重量に基づいて20〜50倍である。この使用量範囲も大まかな基準であり、前記の化合物(1−3)の濃度範囲とともに、必ずしもこれらの範囲内でなくてもよい。
化合物(1−3)を溶解させるための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤は、化合物(1−3)を溶解させるための溶剤と相溶し、化合物(1−3)を全く溶解せず、不純物のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は低級アルコール類である。特に好ましい沈殿剤はメタノールである。そして、さらに精製度をあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。
次に、化合物(1)を用いて重合を開始させることができる付加重合性単量体について説明する。この付加重合性単量体は、付加重合性の二重結合を少なくとも1つ有する単量体である。付加重合性の二重結合を1つ有する単量体の例の1つは、(メタ)アクリル酸誘導体である。その具体例は、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリレート2−アミノエチル、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−((4−(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,1 .17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル−ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13.9.15,15.17, 13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17, 13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13, .15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートおよび2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンである。
付加重合性の二重結合を1つ有する単量体のもう1つの例は、スチレン系単量体である。その具体例は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−アミノスチレン、p−スチレンクロロスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその塩、ビニルフェニルメチルジチオカルバメート、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレン、1−(2−((4−ビニルフェニル)メトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,1 .17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13, .15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,1 .17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、および3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15, 15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレンである。
付加重合性の二重結合を1つ有する単量体のその他の例は、フッ素含有ビニル単量体(パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなど)、ケイ素含有ビニル系単量体(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど)、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、マレイミド系単量体(マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなど)、ニトリル基を有する単量体(アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、アミド基を有する単量体(アクリルアミド、メタクリルアミドなど)、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)、共役ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニルなど)、ハロゲン化ビニリデン(塩化ビニリデンなど)、ハロゲン化アリル(塩化アリルなど)、アリルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、メチルビニルケトンおよびビニルイソシアナートである。さらに、重合性二重結合を1分子中に1つ有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジオルガノシロキサンまたはアルキレングリコールのマクロマーであるマクロ単量体も挙げられる。
付加重合性二重結合を2つ有する単量体の例は、ジビニルベンゼンおよびジ(メタ)アクリレート系単量体である。ジ(メタ)アクリレート系単量体の例は、1,3−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン ジ(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕ビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕テトラブロモビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクロキシポリエトキシ〕ビスフェノールA、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオール ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール誘導体のジ(メタ)アクリレートおよびビス〔(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕テトラメチルジシロキサンである。さらに、分子中に重合性二重結合を2つ有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジオルガノシロキサンまたはアルキレングリコールのマクロマーであるマクロ単量体もあげられる。
付加重合性二重結合を3つ以上有する単量体の例は、トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール モノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアネート)トリ(メタ)アクリレート、トリス(ジエチレングリコール)トリメレート トリ(メタ)アクリレート、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタエチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソブチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソオクチルトリシクロ[7.3.3.1 ,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、オクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン、およびオクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)オクタシルセスキオキサンである。更に、分子中に重合性二重結合を3個以上を有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジオルガノシロキサンまたはアルキレングリコールのマクロマーであるマクロ単量体も挙げられる。
上記の単量体は単独で用いてもよいし、複数を共重合させてもよい。共重合させる際にはランダム共重合でも、ブロック共重合でもよい。そして、本発明で用いる好ましい単量体は、(メタ)アクリル酸誘導体およびスチレン誘導体である。より好ましい単量体は(メタ)アクリル酸誘導体である。複数の(メタ)アクリル酸誘導体を共重合させてもよいし、複数のスチレン誘導体を共重合させてもよい。少なくとも1つの(メタ)アクリル酸誘導体と少なくとも1つのスチレン誘導体を共重合させてもよい。
次に、化合物(1−1)または化合物(1−3)を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として、付加重合性単量体を原子移動ラジカル重合させる方法について説明する。本発明における原子移動ラジカル重合法はリビングラジカル重合法の一つである。リビングラジカル重合法が記載されている文献の例は、J.Am.Chem.Soc.,1995,117,5614、およびMacromolecules,1995,28,7901、Science,1996,272,866である。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体の好ましい例は、周期律表第7族、8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましい触媒は、0価の銅の錯体、1価の銅の錯体、2価のルテニウムの錯体、2価の鉄の錯体および2価のニッケルの錯体である。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物の例は、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などである。銅化合物を用いる場合には、触媒活性を高めるために、2,2’−ビピリジルもしくはその誘導体、1,10−フェナントロリンもしくはその誘導体、ピリジルメタンイミン(N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミンなど)、ポリアミン(テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンなど)、またはL−(−)−スパルテイン等の多環式アルカロイドが配位子として添加される。2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合には、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。これら以外の好適な触媒の例は、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、および2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)である。
重合反応には溶剤を用いてもよい。用いられる溶剤の例は、炭化水素(例:ベンゼン、トルエンなど)、エーテル(例:ジエチルエーテル、THF、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素(例:塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン(例:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール(例:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなど)、ニトリル(例:アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル(例:酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶剤(例:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶剤(例:N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶剤(例:HCFC−141b、HCFC−225など)、ハイドロフルオロカーボン系溶剤(例:HFCsなど)、パーフルオロカーボン系溶剤(例:パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサンなど)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶剤(例:フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタンなど)、酸素含有フッ素系溶剤(例:フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコールなど)、および水である。ここに挙げた括弧内の化合物は、それぞれの溶剤の好ましい例である。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。なお、用いることができる溶剤はこれらの例に制限されない。
原子移動ラジカル重合は、付加重合性単量体の種類、溶剤の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下で行うことができる。重合触媒または生成ラジカルは、酸素と接触すると失活する恐れがある。そのような場合には重合速度が低下したり、良好なリビング重合体が得られなかったりするため、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが肝要である。この反応では、あらかじめ、減圧下で重合系内の溶存酸素を除去する必要がある。そして、溶存酸素の除去工程の後、そのまま減圧下において重合工程へ移行することも可能である。原子移動ラジカル重合には慣用の方法を採用することができ、重合方法によって特に制限されない。例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、または塊状一懸濁重合法などを採用することができる。そして、重合温度は0〜200℃の範囲であり、好ましい重合温度は、室温〜150℃の範囲である。
化合物(1−1−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−1)で示される。以下の説明では、式(P−1)で示される重合体を重合体(P−1)で表記する。
Figure 0004887626
式(1−1−2)において、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基である。RおよびRは1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロヘキシルから独立して選択される基である。そして、Aは式(2−1)で示される基である。
式(P−1)において、R11、RおよびRは式(1−1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Bは式(2−1−P)で示される基である。
Figure 0004887626
この式において、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。そして、その他の記号は式(2−1)における記号と同一の意味を有する。
化合物(1−3−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−3)で示される。以下の説明では、式(P−3)で示される重合体を重合体(P−3)で表記する。
Figure 0004887626
これらの式において、R11、RおよびRは式(1−1−2)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、Aは式(2−3)で示される基であり、そしてBは式(2−3−P)で示される基である。
Figure 0004887626
この式において、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖であり、この他の記号は式(2−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
用いる単量体を適当に選ぶことによって、重合体(P−3)の構造を制御することが可能である。例えば、単量体の単独重合を行えば、ホモポリマーが結合したシルセスキオキサンが得られる。複数の単量体を同時に添加して重合するとランダム共重合体が結合したシルセスキオキサンが得られる。単量体を逐次的に添加する方法、例えば、最初の単量体の重合が完結した後に、2番目の単量体を添加して重合を完結させる方法を採用すれば、ブロック共重合体が結合したシルセスキオキサンを得ることができる。この段階的な重合を複数の単量体を用いて繰り返し行うことで、マルチブロック共重合体が結合したシルセスキオキサンを得ることができる。そして、必要に応じて多官能単量体を共存させることで、三次元網目構造を有する架橋重合体とすることもできる。
通常の付加重合性単量体を重合させる時に、重合性官能基を有すると同時に開始剤としての機能をも有する化合物を併用することにより、高分岐型ポリマーが結合したシルセスキオキサンを得ることができる。このような化合物の例は、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)スチレンおよび2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレンである。(メタ)アクリル基またはスチリル基を有するケイ素化合物を併用することにより、重合体の構造中にケイ素原子を含む構成単位を導入することができる。このケイ素化合物の例は、トリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサンおよびシルセスキオキサンである。原子移動ラジカル重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体を共重合させた後、得られた重合体を開始剤として、さらに他の重合様式(例えばニトロキシル重合や光イニファタ重合)で付加重合性単量体を重合させて、グラフト共重合体を形成させることもできる。原子移動ラジカル重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体の例は、1−(2−(4−ビニルフェニルメトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジンおよびビニルフェニルメチルジチオカルバメートである。
グリシジル基を有する単量体(例:グリシジル(メタ)アクリレート)、オキセタニル基を有する単量体(例:3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン)、またはジオキソランを有する単量体(例:4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン)と共重合させた後、得られた重合体に熱潜在性または光潜在性カチオン重合開始剤として脂肪族スルフォニウム塩、芳香族スルフォニウム塩または芳香族アイオドニウム塩を添加すれば、カチオン重合により三次元網目構造を有する架橋重合体とすることもできる。熱潜在性カチオン重合開始剤である脂肪族スルフォニウム塩の例は、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートおよび2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートであり、これらは旭電化工業株式会社より販売されている。熱潜在性あるいは光潜在性カチオン重合開始剤である芳香族スルフォニウム塩は、三新化学工業株式会社および旭電化工業株式会社から数多くの製品が販売されている。ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートも芳香族スルフォニウム塩の例である。芳香族アイオドニウム塩の例は、(4−ペンタデシルオキシフェニル)フェニルアイオドニウムヘキサフルオロアンチモネートである。光潜在性カチオン重合を行う際には光増感剤、例えばアデカオプトマーSP−100(旭電化工業株式会社製)を併用してもよい。またカチオン重合による三次元網目構造を有する架橋重合体を得る際には、単官能あるいは多官能のグリシジル系架橋剤、あるいは単官能あるいは多官能のオキセタン系架橋剤を共存させていてもよい。
次に重合体(P−3)の精製方法について説明する。この重合体の単離・精製は、未反応の付加重合性単量体を効率よく除去することによってなされる。種々の方法があるが、再沈殿操作による精製法が好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、重合体(P−3)および未反応の単量体を含む重合反応液に、重合体(P−3)は溶解しないけれども未反応の単量体は溶解するような溶剤、いわゆる沈殿剤をこの溶液に加えて重合体(P−3)のみを沈殿させる。沈殿剤の好ましい使用量は、前記の重合反応液の重量に基づいて20〜50倍である。
好ましい沈殿剤は、重合時に用いる溶剤と相溶し、重合体(P−3)を全く溶解せず、未反応の単量体のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は低級アルコール類および脂肪族炭化水素である。特に好ましい沈殿剤はメタノールおよびヘキサンである。そして、未反応単量体の除去効率をさらにあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。この方法により、重合体(P−3)のみを貧溶剤中で析出させることが可能であり、濾過操作によって容易に未反応単量体と重合体とを分離することができる。
上記の方法により単離した重合体(P−3)には重合触媒である遷移金属錯体が残存するため、重合体の着色、物性面への影響および環境安全性などの問題が生ずることがある。従って、重合反応終了時にこの触媒残渣を除去する必要がある。触媒残渣は、活性炭などを用いる吸着処理により除去することができる。活性炭以外の吸着剤の例は、イオン交換樹脂(酸性、塩基性またはキレート形)、および無機系吸着剤である。無機系吸着剤は、固体酸、固体塩基、または中性の性格を有する。そしてこれは、多孔質構造の粒子であるため、非常に高い吸着能を有する。低温から高温までの広い温度範囲で使用可能であることも、無機系吸着剤の特徴の1つである。
無機系吸着剤の例は、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート、活性アルミナ、酸性白土、活性白土等の粘土系吸着剤、ゼオライト(zeolite)系吸着剤、ドーソナイト(dawsonite)類化合物、およびハイドロタルサイト(hydrotalcite)類化合物である。ゼオライトには天然産と合成品があるが、いずれでもよい。二酸化ケイ素には結晶性、無定形、非晶質、ガラス状、合成品、天然品などの種類があるけれども、本発明においては、種類に関係なく、粉体状の二酸化ケイ素が使用可能である。天然アルミニウムシリケートの例は、軽石、フライアッシュ、カオリン、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土などである。合成アルミニウムシリケートは、比表面積も大きく吸着能力が高いハイドロタルサイト類化合物は、アルミニウム・マグネシウム水酸化物の含水炭酸塩である。
酸性吸着剤および塩基性吸着剤は、活性炭と併用されることが好ましい。酸性吸着剤の例は、酸性白土、活性白土、アルミニウムシリケートなどである。塩基性吸着剤の例は、活性アルミナ、前記のゼオライト系吸着剤、ハイドロタルサイト類化合物などである。これらの吸着剤は単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。そして、原子移動ラジカル重合により製造される重合体(P−3)は、活性アルミナと接触させることにより精製することができる。活性アルミナは、アルドリッチ社などからの市販品を用いることができる。活性アルミナをこれ以外の吸着剤と併用して吸着処理を行う場合は、吸着剤を混合して接触させることもできるが、それぞれ別々の工程で接触させてもよい。吸着剤と接触させる際は反応液そのままでもよく、反応液を溶剤で希釈しても構わない。希釈溶剤は、重合体の貧溶剤でないことのみを条件として、一般的な溶剤から選択されてよい。吸着剤処理の温度については特に制限はない。一般的には、0℃〜200℃で処理すればよい。好ましい温度範囲は室温〜180℃である。そして吸着剤の使用量は、重合体(P−3)の重量に基づいて、0.1〜500重量%の範囲である。経済性と操作面を考慮すると、好ましい範囲は0.5〜10重量%である。
吸着剤と重合体溶液の固液接触には、撹拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式の方法が利用できる。この他に、吸着剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動化して吸着を行う流動層式などの連続式の方法も利用できる。さらに必要に応じて、撹拌による混合分散操作に、容器の振とうまたは超音波の利用などの、分散効率を向上させる操作を組み合わせることができる。重合体溶液を吸着剤に接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸着剤を除去し、必要に応じて水洗処理を行い、精製された重合体溶液を得る。吸着剤による処理は、最終生成物である重合体(P−3)に対して行えばよいが、この重合体を製造するための中間生成物に対して行ってもよい。例えば、原子移動ラジカル重合により得られるブロック共重合体の各重合段階において、この重合体を単離し、吸着処理を行なうことも可能である。吸着剤による処理を行った重合体(P−3)は、貧溶剤中で析出させたり、溶剤などの揮発成分を減圧下で溜去することにより分離してもよい。
重合体(P−3)の分子量および分子量分布の解析方法について説明する。通常、付加重合体の分子量は、ポリスチレンやポリ(メチルメタクリレート)のような直鎖状のポリマーを標準試料とした校正曲線を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。しかしながら、重合体(P−3)はシルセスキオキサンを起点にしたビニル系単量体の重合体、すなわち分岐型の高分子化合物に属する。そのため、重合体(P−3)の構造のままでは、その分子量を求めるに当たって、ポリスチレンやポリ(メチルメタクリレート)のような直鎖状の重合体を標準試料とした較正曲線を用いることは分子量解析の精度上、問題点を有すると考えられる。しかし、重合体(P−3)は末端部分がシルセスキオキサンであるため、酸性条件下または塩基性条件下で、容易に分解することができる。すなわち、シルセスキオキサンから付加重合体を切り離した後に、その分子量を測定することによって、重合体部分の分子量解析の精度をさらに向上させることができる。酸性条件下で重合体(P−3)を分解する場合には、フッ化水素酸を用いることが好ましい。塩基性条件下で重合体(P−3)を分解する場合には、水酸化カリウムを用いることが好ましい。重合体(P−3)の分解は、均一系および不均一系のどちらでも行うことができる。例えば、重合体(P−3)を溶解できる有機溶剤(THF、アセトニトリルなど)とフッ化水素酸との均一混合系で、重合体(P−3)のシルセスキオキサン部分を切り離すことができる。トルエンとフッ化水素酸との不均一混合系においても、シルセスキオキサン部分の分解を行うことが可能である。この際には、相間移動触媒の併用が好ましい。相間移動触媒の例は、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルアンモニウムクロライド、ジオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなどである。水酸化カリウムを用いる場合は、THF、エタノールおよび水の混合溶剤中で分解をすることも可能である。
これらの方法により切り離した付加重合体についてGPCにより測定すれば、重合体(P−3)における付加重合体部分の分子量、いわゆるブラフト鎖の分子量を求めることができる。粘度とGPCデータから得られる普遍校正曲線を用いることにより、重合体(P−3)そのものの分子量を求めることも可能である。重合体(P−3)の絶対分子量は、末端基定量法、膜浸透圧法、超遠心法、光散乱法などによっても求めることができる。
重合体(P−3)のグラフト鎖の好ましい分子量は、ポリ(メチル メタアクリレート)換算で、数平均分子量が500〜1,000,000の範囲である。さらに好ましい範囲は1000〜100,000である。ただ、この範囲の上限値および下限値に特別な意味があるわけではない。そして分子量分布は、分散度(Mw/Mn)で1.01〜2.0の範囲であることが好ましい。
グラフト鎖の分子量は、ビニル系単量体と開始基であるα−ハロエステル基との割合により調整することができる。すなわち、ビニル系単量体/α−ハロエステル基のモル比および単量体の消費率から、次の計算式を用いて、重合体(P−3)のグラフト鎖の理論分子量を予測することができる。
Mn=(単量体の消費率(モル%)/100)×MW×(α−ハロエステル基に対するビニル系単量体のモル倍率)+MW
この計算式において、Mnは理論数平均分子量、MWはビニル系単量体の分子量、MWはα−ハロエステル基の分子量である。前記の数平均分子量範囲を有する重合体を得ようとする場合には、ビニル系単量体/α−ハロエステル基のモル比を、およそ2/1〜およそ40000/1、好ましくはおよそ10/1〜およそ5000/1の範囲から選択できる。またこの数平均分子量は、重合時間を変化させることによって調整することもできる。
またビニル系単量体/化合物(1−3−2)のモル比および単量体の消費率から、次の計算式を用いて、重合体(P−3)そのものの理論分子量を予測することもできる。
Mn=(単量体の消費率(モル%)/100)×MW×(化合物(1−3−2)に対するビニル系単量体のモル倍率)+MW
この計算式において、Mnは理論数平均分子量、MWはビニル系単量体の分子量、MWは化合物(1−3−2)の分子量である。
単量体の消費率(以下、「転化率」と称することがある。)を求める方法としては、GPC、H−NMR、ガスクロマトグラフィーのいずれの方法も採用することができる。
上記の重合体(P−3)に関する説明は、重合体(P−1)にも適用される。
次に、式(2−2)で示されるジチオカルバメート基を有するケイ素化合物を開始剤としてビニル系単量体を光重合させる方法、いわゆるフォトイニファタ重合法について説明する。このフォトイニファタ重合において、ジチオカルバメート基が光によりラジカル解離し、優れた重合開始能および増感能を有することはよく知られている。この場合の光重合がラジカル重合であり、しかもリビング重合的であることもよく知られている。これらの情報は、例えば、Polymer Bulletin,11(1984),135−、Macromolecules,19(1986),287−に開示されている。従って、ジチオカルバメート基を有する本発明のケイ素化合物は、光照射されているかぎり、重合開始能を維持し続けることが可能であり、あらゆるラジカル重合性単量体に対して光重合開始能力を有する。
ジチオカルバメート基は、光重合の際に重合開始剤、連鎖移動剤および重合停止剤のそれぞれの機能を併せ持つこともよく知られており、その反応機構もすでに判明している。ジチオカルバメート基を有する本発明の化合物(1−2)は、光照射により、ケイ素化合物に結合したアルキルフェニル基上のラジカルとジチオカルバメートラジカルに解離する。そして、アルキルフェニル基上のラジカルは開始反応に関与し、ジチオカルバメートラジカルは停止反応に関与することになる。光照射をやめるか、単量体が消費されつくされると、ジチオカルバメートラジカルが停止剤として成長末端に付加し、再びジチオカルバメート基を形成する。従って、このようにして生成した重合体も、光重合開始能を有する高分子光開始剤として用いることができる。本発明のジチオカルバメート基を有するケイ素化合物は、ジチオカルバメート基をラジカル解離させるのに必要なエネルギーを有する波長250〜500nmの紫外線、より好ましくは波長300〜400nmの紫外線を照射して分解させることによって、それと共存するビニル系単量体の重合を開始させることができる。
重合反応の実施形態は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、または塊状−懸濁重合などから適宜採用することができる。溶液重合で製造する場合の溶剤としては、連鎖移動定数が小さく、かつビニル系単量体およびその重合体を溶解することができる溶剤が好ましい。このような好ましい溶剤の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタンなどである。そして、250〜500nmの紫外線領域に特性吸収を持たない溶剤が、どちらかと言えば好ましい。重合温度は0〜200℃の範囲であり、好ましくは室温〜150℃の範囲であるが、特に限定されない。
フォトイニファタ重合は、ビニル系単量体の種類、溶剤の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下で行うことができる。通常は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、たとえば不活性ガスの流通下で行うことが肝要である。予め、減圧下で重合系内の溶存酸素を除去する必要があるため、溶存酸素の除去工程の後、そのまま減圧下において重合工程へ移行することも可能である。
化合物(1−2−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−2)で示される。以下の説明では、式(P−2)で示される重合体を重合体(P−2)で表記する。
Figure 0004887626
これらの式において、R11、RおよびRは式(1−1−2)におけるこれらの記号と同様に定義される基であり、Aは式(2−2)で示される基であり、そしてBは式(2−2−P)で示される基である。
Figure 0004887626
この式におけるPはビニル系単量体の重合体からなる基であり、この他の記号は式(2−2)における記号と同様の意味を有し、そしてベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−2)におけるこれらの結合位置と同一である。
原子移動ラジカル重合法により重合体(P−3)を得る場合と同様の方法で、重合体(P−2)の構造を制御することが可能である。通常のビニル系単量体重合時にイニシエーター単量体、例えばN,N−ジエチルジチオカルバモイルメチルスチレンあるいはN−エチルジチオカルバモイルメチルスチレンなどを併用することで、高分岐型重合体が結合したシルセスキオキサンを得ることができる。フォトイニファタ重合に関与しない開始基を有するビニル系単量体と共重合させた後、得られた重合体を開始剤として、さらに他の重合様式(例えば、原子移動ラジカル重合法)でビニル系単量体を重合させることにより、グラフト共重合体を形成させることもできる。フォトイニファタ重合に関与しない開始基を有するビニル系単量体の例は、1−(2−((4−エテニルフェニル)メトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−((4−(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、p−クロロメチルスチレン、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレンなどである。
なお、フォトイニファタ重合終了後に、その末端のジチオカルバメート基を処理することによって、重合体(P−2)を紫外線に対して不活性化することができる。不活性化する方法の例は、重合体(P−2)を酸性溶液または塩基性溶液で処理する方法、250℃以上の高温で数分間処理する方法、波長220nm以下の高エネルギーの電磁線を照射する方法、紫外線吸収基を有する単量体を添加後に光重合させる方法、単に紫外線吸収剤を添加する方法などである。得られた重合体(P−2)に紫外線を照射しながら、連鎖移動定数の大きな試薬(チオール誘導体、チウラム、ザンデート類、ニトロキシド類など)を添加することによって、末端ジチオカルバメート基を置換することも可能である。
重合体(P−2)の単離・精製方法について説明する。この化合物の単離・精製は、未反応のビニル系単量体を効率よく除去することによってなされる。種々の方法があるが、前記の再沈殿操作による精製法が好ましい。この方法により、重合体(P−2)のみを貧溶剤中で析出させることが可能であり、濾過操作によって容易に未反応単量体と重合体とを分離することができる。溶剤や未反応単量体などの揮発成分を減圧条件下で溜去することにより、重合体を単離してもよい。重合体(P−2)を溶解させるための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤は、重合体(P−2)の溶剤と相溶し、重合体(P−2)を全く溶解せず、不純物または未反応単量体のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は、低級アルコール類、脂肪族炭化水素類である。特に好ましい沈殿剤はメタノールまたはヘキサンである。そして、さらに精製度をあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。
重合体(P−2)の分子量および分子量分布は、重合体(P−3)について説明した方法と同様にして解析することができる。シルセスキオキサンに結合したビニル系単量体の重合体、いわゆるグラフト鎖の数平均分子量は、500〜1,000,000の範囲である。さらに好ましい範囲は1000〜100,000である。ただ、この範囲の上限値および下限値に特別な意味があるわけではない。そして、グラフト鎖の分子量分布は、分散度で1.01〜3.0の範囲であることが好ましい。また粘度とGPCデータから得られる普遍校正曲線を用いることにより、重合体(P−2)の分子量を求めることも可能である。重合体(P−2)の絶対分子量は、末端基定量法、膜浸透圧法、超遠心法、光散乱法などによっても求めることができる。重合体(P−2)におけるグラフト鎖の分子量は、重合体(P−3)の場合と同様にして調整することができる。
実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
実施例で用いる記号の意味は次の通りである。
Ph:フェニル
CH:シクロヘキシル
CP:シクロペンチル
Et:エチル
iBu:イソブチル
iOc:イソオクチル
TFPr:トリフルオロプロピル
TDFOc:トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル
TMS:トリメチルシリル
Mn:数平均分子量
Mw:重量平均分子量
そして、実施例における分子量のデータは、すべてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)によって求めたポリスチレン換算値である。以下に、GPCの測定条件を示す。
装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計RI−1530)
溶剤:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1ml/min
カラム温度:40℃
使用カラム:東ソー株式会社製の下記のカラム(直列につないで使用)
TSKguardcolumn HXL−L(GUARDCOLUMN)
TSKgel G1000HxL(排除限界分子量(ポリスチレン):1,000)
TSkgel G2000HxL(排除限界分子量(ポリスチレン):10,000)
較正曲線用標準試料:Polymer Laboratories社製、Polymer Standards(PL),Polystyrene
なお、実施例17〜34および109〜114においては、昭和電工株式会社製のShodex KF−G(GUARDCOLUMN)と2本のShodex KF−804L(排除限界分子量(ポリスチレン):400,000)を直列につないで用い、較正曲線用標準試料として昭和電工株式会社製Shodex STANDARD M−75(ポリメチルメタアクリレート)を用いた。他の条件は上記と同じである。
<化合物(3−2−1):ナトリウムが結合したフェニルシルセスキオキサン誘導体の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた内容積2リットルのセパラブル4つ口フラスコに、氷水(640.7g)およびトルエン(200g)を仕込み、撹拌しながらフラスコ内を0℃に冷却した。これに、フェニルトリクロロシラン(211.5g)と、モレキュラシーブスで1昼夜乾燥したトルエン(130g)との混合溶液を、フラスコ内の温度が2℃を超えないように、1時間で滴下した後、さらに室温で30分間撹拌した。得られた反応液を純水で水洗し、減圧下に加熱することにより低沸点成分を留去して、固体状の化合物(120.7g)を得た。この化合物のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は、約3100であった。これを化合物(A)とする。
還流冷却器および温度計を取り付けた500ml−4つ口フラスコに、化合物(A)(12.9g)、モレキュラシーブスで1昼夜乾燥したTHF(250ml)、および水酸化ナトリウム(4.0g)を仕込んだ。この混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら加熱して、67℃で還流状態とした。加熱還流下で約4時間経過後、微粉の析出により溶液が白濁し始め、そのまま更に1時間還流を続けて反応を終了させた。析出した粉末状固体を濾過により分離した後、THFで洗浄し、真空乾燥して10.1gの化合物(A−1)を得た。
<化合物(A−1)へのトリメチルシリル基の導入>
還流冷却器を取り付けた200mlの4つ口フラスコに、化合物(A−1)(2.0g)、トルエン(100g)、トリエチルアミン(1.7g)、およびトリメチルクロロシラン(1.4g)を投入し、マグネチックスターラーにより室温で2時間撹拌した。反応終了後、純水で洗浄し、真空乾燥してトリメチルシリル基が導入された化合物(2.1g)を得た。これを化合物(A−T)とする。
化合物(A−T)について、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、質量分析およびIR分析により構造解析を行った。H−NMRチャート、および13C−NMRチャートから、フェニル基とトリメチルシリル基が7:3の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRから、トリメチルシリル基を示唆する11.547ppm、フェニル基の結合したT構造を示唆する77.574ppm、−78.137ppm、−78.424ppm(いずれもテトラメチルシランを基準)のピークが1:3:3の比で3種類存在することが確認された。質量分析スペクトルの測定結果から、絶対分子量は式(3−2−T)の化学構造式の理論分子量と一致した。IR分析スペクトルの測定結果から、1430cm−1および1590cm−1にSi−Phの変角振動、1960cm−1〜1760cm−1に置換ベンゼン環の倍振動、1200cm−1〜950cm−1にSi−O−Siの伸縮振動、および1250cm−1にSi−CHの振動のそれぞれに帰属される吸収が確認された。これらの結果は、化合物(A−T)が式(3−2−T)で示される構造であることを支持している。従って、化合物(A−1)は式(3−2−1)で示される構造を有する化合物である。なお、T構造は1個のケイ素原子に3個の酸素原子が結合している部分構造、即ち−Si(O−)を示す用語である。
Figure 0004887626
<化合物(5−1):ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物の合成>
滴下漏斗、温度計を取り付けた内容積50ミリリットルの3つ口フラスコに、撹拌子、実施例1の方法を利用して得られた化合物(3−2−1)(15.0g)、THF(85g)仕込み乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、ジメチルクロロシラン(12.8g)を滴下漏斗から約10分間で滴下した。このとき、内容物が40℃を越えないように滴下速度を調整した。滴下終了後、室温で3時間撹拌を継続し反応を完結させた。次いで、純水30gを内容物が40℃を越えないように注意しながら投入して、未反応のジメチルクロロシランを加水分解し、塩化ナトリウムを溶解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移し有機層と水層とに分離した。得られた有機層を飽和食塩水により洗浄した後、中性になるまで水洗を繰り返した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、13.9gの白色固体を得た。
得られた白色固体の構造を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、H−NMR、29Si−NMRおよびIR分析により解析した。GPCチャートから、白色固体が単分散性であり、その分子量がポリスチレン換算で重量平均分子量1000であることが確認された。H−NMRチャートから、フェニル基とメチル基が15:6の積分比で、ヒドロシリル基とメチル基が1:6の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRチャートから、フェニル基を有したT構造を示唆するピークが−77.3,−77.6,−78.2ppmに1:3:3の積分比で3種類、ジメチルシリル基を示唆するピークが−2.8ppmに1本の計4本存在することが確認された。さらにKBr錠剤法により測定したIRスペクトルから、1430cm−1および1590cm−1にSi−Phの変角振動、1960〜1760cm−1に置換ベンゼン環の倍振動、および2139cm−1にSi−Hの伸縮振動のそれぞれに帰属される吸収が確認された。これらの結果は、化合物(3−2−1)とジメチルクロロシランとの反応により得られた化合物が式(5−1)で表される構造を有することを示唆している。
Figure 0004887626
<クロロメチルフェニルエチル基を有するケイ素化合物の合成>
撹拌器、環流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた100ml−ガラスフラスコに、化合物(5−1)(1.0g、Si−Hとして、2.7x10−3モル)、クロロメチルスチレン(0.5g、3.3x10−3モル)、4−tert−ブチルピロカテコール(2.0mg)、およびトルエン(1.6g)を仕込んだ。窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、オイルバスにて60℃まで昇温した。その後、白金触媒(カルステッド触媒:白金・ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体・キシレン溶液、Pt含有率:3重量%、8.7μL)をシリンジにて導入し、ヒドロシリル化反応を行った。IRを用いて反応追跡を行った結果、4時間経過後、Si−Hに基づく吸収(ν=2270cm−1)の消失を確認し、反応終点とした。500ml−ガラスビーカーにメタノール300gを入れ、撹拌しながら前記反応液を徐々に滴下した後、冷凍庫内(−35℃)で一晩静置した。その後、デカンテーションによる溶剤除去を行った後、さらにメタノール洗浄を2回行った。沈殿物を回収した後、THFに再溶解させ、加圧濾過を行った後、ロータリーエバポレータにて溶剤除去を行ない、半透明な粘ちょう性液体1.0gを得た(収率:73%)。得られた粘ちょう性液体をカラムクロマトグラフ法にて精製・分離し、目的物を得た。下記に示すIRおよびNMRの結果から、この化合物が式(11)で示されるクロロメチルフェニルエチル基を有するケイ素化合物であることが確認された。
IR:ν=1267,710(C−Cl),1170−1000(Si−O−Si)cm−1
H NMR(CDCl,CDCl標準:δ=7.3ppm):δ=6.8〜7.8(−C−),6.8〜7.8(Si−[C]),4.4〜4.7(−C−[CH]−Cl),2.6〜2.7(−Si−CH−[CH]−C−),2.2〜2.4(−Si−[CH]−CH−C−),1.3〜1.5(−Si−CH−[CH]−C−),0.81.1(−Si−[CH]−CH−C−),0.0〜0.4((−Si−[CH])−)ppm
Figure 0004887626
この式におけるCMSは、下記の式のいずれかで示される基である。
Figure 0004887626
<ジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物の合成>
撹拌機、サンプル採取管および温度計を備えた100ml−ガラスフラスコに、乾燥窒素ガス雰囲気下で、実施例4で得られた化合物(11)(1.42g、クロロメチルフェネチル基として、2.70×10−3モル)、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム・3水和物(0.74g、3.24×10−3モル)、およびTHF(60ml)を仕込み、攪拌しながら反応させた。反応は発熱を伴って進行し、塩化ナトリウムが沈殿した。IRを用いて反応追跡を行った結果、5時間経過後にクロロメチル基に基づく吸収(ν=710(CH−Cl)cm−1)の消失を確認した。反応終了後、反応液に過剰量の水を投入し、有機層をジエチルエーテルにて抽出した。その後、有機層を分離・回収し、ロータリーエバポレータにて溶剤除去を行った。得られた回収物をTHFに再溶解させ、加圧濾過を行った後、ロータリーエバポレータにて溶剤除去を行い、淡黄色の粘ちょう性液体1.50gを得た(収率:87%)。この粘ちょう性液体をカラムクロマトグラフ法にて精製した。反応前後のGPC測定の結果、化合物Eに基づくGPCピークは明らかに高分子量側へシフトした。また、反応前後においてGPCピークは何れも単一ピークを示し、分子量分布になんら変化は見られなかった。下記に示すIRおよびNMRの結果から、この化合物が式(12)で示されるジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物であることが確認された。
IR:ν=920(C−S),1210(C−S),1300([C−N]−C=S),1485([N−C]=S)cm−1
H NMR(CDCl):δ=7.0〜7.4(−C−),7.0〜7.4(Si−[C]),4.4〜4.6(−C−[CH]−S−),4.0〜4.2,3.6〜3.8(−N([CH]CH),2.5〜2.7(−Si−CH−[CH]−C−),2.2〜2.4(−Si−[CH]−CH−C−),1.3〜1.4(−Si−CH−[CH]−C−),1.2〜1.3(−Si−CH−N(CH[CH])),0.8〜1.1(−Si−[CH]−CH−C−),0,0〜0.3((−Si−[CH])−)ppm.
Figure 0004887626
この式におけるBDCは、下記の式のいずれかで示される基である。
Figure 0004887626
<重合用溶液(A)の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、撹拌機が装着された200ml−シュレンク管に、乾燥窒素ガス雰囲気下、実施例5で得られた化合物(12)(0.17g)、メタクリル酸メチル(6.4ml)、蒸留トルエン(13.9ml)、デカン(1.1ml)を入れ、室温中で充分撹拌して、重合用溶液(A)を調製した。
<重合>
乾燥窒素ガス雰囲気下、ガラス製シリンジを用い、重合用溶液(A)(3ml)を採取し、4ml−ガラスアンプルに導入した後、拡散ポンプが装着された高真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1×10−2Pa)を行って、真空のままハンドバーナーにて封管した。封管されたアンプルを回転式光重合装置(理工科学産業社製、400W超高圧水銀灯:UVL−400HA)にセットし、光重合を行って、淡黄色の粘ちょうな重合体溶液を得た。このときの重合条件は、光源距離:150mm、紫外線照度(波長:365nm):4.7mW/cm、回転速度:10rpm、重合時間:10分であった。この重合体溶液について、ヘキサン(100ml)を用いて再沈殿精製を行った後、沈殿物を吸引濾過にて回収した。沈殿物を減圧乾燥器にて80℃で3時間乾燥して、0.063gの重合体(a)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。なお、測定条件は下記の通りである。
装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計RI−1530)
溶剤:THF
流速:1ml/min
カラム温度:40℃
使用カラム:昭和電工株式会社製、Shodex KF−G(GUARDCOLUMN)+Shodex KF−804L(排除限界分子量(ポリスチレン):400000)×2本
較正曲線用標準試料:ポリ(メチル メタクリレート);Shodex STANDARD M−75
<熱分析>
重合体(a)のガラス転移温度および熱分解温度を求め、結果を表14に示した。測定条件は以下の通りある。
ガラス転移温度:パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC7を用いた。昇温速度10℃/mim、測定温度範囲10〜180℃
熱分解温度:パーキンエルマー社製熱重量測定装置TGA7を用いた。昇温速度20℃/min、測定温度範囲50〜800℃
<重合>
重合時間を20分に替えた以外は、実施例6と同様にして光重合を行い、0.102gの重合体(b)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。
<グラフト鎖の分子量測定>
フッ化水素酸(0.17ml)とアセトニトリル(0.83ml)の混合溶液を調製した。この混合溶液に重合体(b)(15mg)を溶解させ、室温下で48時間撹拌した。その後、減圧乾燥器にて80℃で3時間乾燥して、重合体を回収した。この重合体のGPC測定を行った結果は下記に示す通りであった。
数平均分子量(Mn):4000
重量平均分子量(Mw):7000
分散度(Mw/Mn):2.9
<熱分析>
重合体(a)の場合と同様にして、重合体(b)の熱分析を行った。示差走査型熱量計によるガラス転移温度、および熱重量測定による熱分解温度は表14に示す通りであった。
<重合>
重合時間を30分に替えた以外は、実施例6と同様にして光重合を行い、0.129gの重合体(c)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。
<熱分析>
重合体(a)の場合と同様にして、重合体(c)の熱分析を行った。示差走査型熱量計によるガラス転移温度、および熱重量測定による熱分解温度は表14に示す通りであった。
<重合>
重合時間を60分に替えた以外は、実施例6と同様にして光重合を行い、0.181gの重合体(d)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。
<グラフト鎖の分子量測定>
重合体(b)の場合と同様にして、重合体(d)のグラフト鎖の分子量を測定した結果は、下記に示す通りであった。
数平均分子量(Mn):6000
重量平均分子量(Mw):12000
分散度(Mw/Mn):2.1
<熱分析>
重合体(a)の場合と同様にして、重合体(d)の熱分析を行った。示差走査型熱量計によるガラス転移温度、および熱重量測定による熱分解温度は表14に示す通りであった。
<重合>
重合時間を120分に替えた以外は、実施例6と同様にして光重合を行い、0.0.255gの重合体(e)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。
<熱分析>
重合体(a)の場合と同様にして、重合体(e)の熱分析を行った。示差走査型熱量計によるガラス転移温度、および熱重量測定による熱分解温度は表14に示す通りであった。
<重合>
重合時間を193分に替えた以外は、実施例6と同様にして光重合を行い、0.307gの重合体(f)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。
<グラフト鎖の分子量測定>
重合体(b)の場合と同様にして、重合体(f)のグラフト鎖の分子量を測定した結果は、下記に示す通りであった。
数平均分子量(Mn):9000
重量平均分子量(Mw):21000
分散度(Mw/Mn):2.8
<熱分析>
重合体(a)の場合と同様にして、重合体(f)の熱分析を行った。示差走査型熱量計によるガラス転移温度、および熱重量測定による熱分解温度は表14に示す通りであった。
<重合>
重合時間を240分に替えた以外は、実施例6と同様にして光重合を行い、0.491gの重合体(g)を得た。この重合体のGPC測定を行った結果は、表14に示す通りであった。
<熱分析>
重合体(a)の場合と同様にして、重合体(g)の熱分析を行った。示差走査型熱量計によるガラス転移温度、および熱重量測定による熱分解温度は表14に示す通りであった。
Figure 0004887626
<ヒドロキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
還流冷却器、滴下漏斗、温度計および攪拌子を備えた200ml−四つ口フラスコに、実施例3の方法を利用して得られた化合物(5−1)(50.0g)、エチレングリコールモノアリルエーテル(27.7g)およびトルエン(77.7g)を導入し、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーにて撹拌しながら、マイクロシリンジを用い、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/キシレン溶液(白金含有量:3.0重量%、14μl)を室温にて添加した。反応は発熱を伴いながら進行し、3時間撹拌に付した。その後、反応液の一部を採取し赤外吸収スペクトル解析を行った結果、Si−Hに帰属されるピーク(2,130cm−1)の消失を確認したため、この時間を反応終点とした。得られた反応混合物をロータリーエバポレータにて減圧濃縮した。得られた残渣にメタノール(176g)を加え、次いで粉末活性炭(0.58g)を加え、室温にて2時間撹拌させた。このメタノール溶液を濾過し、得られた溶液を減圧濃縮し、白色固体(63.0g、収率:99.1%)を得た。
上記の白色固体のGPC純度は、97.1%であり、下記に示すIR、H−NMR、13C−NMRおよび29SiNMRの結果から、この化合物が式(13)で示される構造を有することが分かった。
IR(KBr法):ν=3,450(−OH),1430(Si−Ph),1135〜1090(Si−Ph),1090〜1000(Si−O−Si)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):7.55〜7.08(m,35H,Ph−Si),3.65(t,6H,−[CH]−OH),3.45(t,6H,−[CH]−O−C−),3.40(t,6H,−C−O−[CH]−),2.76(t,3H,−OH),1.67(tt,6H,−CH−[CH]−CH−),0.67(t,6H,Si−[CH]−),0.27(s,18H,−OSi[(CH]−).
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):133.8〜127.4(Ph−Si),73.7(−[CH]−O−C−),71.6(−C−O−[CH]−),61.5(−[CH]−OH),23.0(−CH−[CH]−CH−),13.7(Si−[CH]−),−0.27(−OSi[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):12.05(−O[Si](CHCH−),−77.42,−77.69,−78.06(Ph−SiO1.5).
Figure 0004887626
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
アルゴン雰囲気下、100ml−なす型フラスコに、実施例13で得られた化合物(13)(3.0g)、モレキュラーシーブス(4A)により乾燥したトリエチルアミン(0.96g)および乾燥メチレンクロライド(35ml)を仕込んだ。マグネチックスターラーを用い、室温で撹拌しながら化合物(13)を溶解させた後、溶液をドライアイス−メタノール浴を用いて冷却し、液温を−78℃に保持した。次いで、この溶液に2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイド(2.17g、化合物(13)に対して4.5当量)を速やかに加え、−78℃にて1時間撹拌した後、室温下で更に2時間撹拌した。反応終了後、トリエチルアミン−臭酸塩を濾過により除去した。得られた反応液にメチレンクロライド(100ml)を加え、水(300ml)による1回の洗浄、炭酸水素ナトリウム水溶液(1%、300ml)による2回の洗浄、および水(300ml)による2回の洗浄を順次行ってから、無水硫酸マグネシウム(5g)にて乾燥した。その後、ロータリーエバポレータを用い、室温下でこの溶液を濃縮して液量を約5mlとした。この濃縮液(5ml)にメタノール(50ml)を加えて、粘ちょう性液体成分を相分離させた。その後、−35℃の冷凍庫に静置して、粘ちょう性液体成分の相分離を十分に行わせた後、デカンテーションによってこの成分を取得した。得られた粘ちょう性液体成分にメチレンクロライド(5ml)を加えて再溶解させ、これにメタノール(50ml)を加えることにより、未反応の2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイドを抽出除去した。得られた粘ちょう性液体成分に、多量のメチレンクロライドを加え、メチレンクロライド可溶部分を回収した。得られたメチレンクロライド可溶部分を40℃で6時間減圧濃縮して、透明な粘ちょう性液体を得た(1.087g、収率:27.8%)。
この透明な粘ちょう性液体のGPC純度は、99.1%であり、下記に示すH−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRの結果から、この化合物が式(14)で示される構造を有することがわかった。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):7.55〜7.09(m,35H,Ph−Si),4.25(t,6H,−[CH]−O−(C=O)−),3.57(t,6H,−[CH]−O−C−),3.35(t,6H,−C−O−[CH]−),1.91(s,18H,−C(Br)[(CH]),1.61(tt,6H,−CH−[CH]−CH−),0.62(t,6H,Si−[CH]−),0.27(s,18H,−OSi[(CH]−).
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):171.5(C=O),133.8〜127.4(Ph−Si),73.7(−[CH]−O−C−),67.7(−C−O−[CH]−),64.9(−[CH]−O−(C=0)−),55.4(−[C](Br)(CH),30.5(−C(Br)[(CH]),23.0(−CH−[CH]−CH−),13.6(Si−[CH]−),−0.30(−OSi[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):11.98(−O[Si](CHCH−),−77.50,−77.84,−78.15(Ph−SiO1.5).
Figure 0004887626
<ヒドロキシブチル基を有するケイ素化合物の合成>
還流冷却器、滴下漏斗、温度計および攪拌子を備えた200ml−四つ口フラスコに、実施例3の方法を利用して得られた化合物(5−1)(16.6g)、3−ブテン−1−オール(4.9g)およびトルエン(21.5g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーにて撹拌しながら、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/キシレン溶液(白金含有量:3.0wt.−%、15μl)を、マイクロシリンジを用いて室温にて添加した。反応は発熱を伴いながら進行した。3時間撹拌を続けた後反応液の一部を採取し、赤外吸収スペクトル解析を行ったところ、Si−Hに帰属されるピーク(2,130cm−1)の消失が確認されなかった。さらに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/キシレン溶液を追加(45μl)し、3時間撹拌した。そして、赤外吸収スペクトル解析を行った結果、Si−Hに帰属されるピーク(2,130cm−1)の消失が確認されたため、この時間を反応終点とした。得られた反応混合物をロータリーエバポレータにて減圧濃縮し、茶褐色の固体(19.5g、収率:98.5%)を得た。
得られた化合物のGPC純度は、94.6%であり、下記に示すH−NMR、13C−NMRおよび29SiNMRの結果から、この化合物)が式(15)で示される構造を有することが分かった。
H NMR(400MHz,DMSO−d,TMS標準:δ=0.0ppm):7.62〜7.08(m,35H,Ph−Si),4.38(t,3H,−OH),3.40(td,6H,−[CH]−OH),1.53(tt,6H,−[CH]−CH−OH),1.37(tt,6H,Si−CH−[CH]−),0.72(tt,6H,Si−[CH]−),0.27(s,18H,−OSi[(CH]−).
13C NMR(100MHz,DMSO−d,TMS標準:δ=0.0ppm):133.2〜127.7(Ph−Si),60.3(−[CH]−OH),36.1(−[CH]−CH−OH),19.0(Si−CH−[CH]−),17.3(Si−[CH]−),−0.19(−OSi[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,DMSO−d,TMS標準:δ=0.0ppm):12.57(−O[Si](CHCH−),−77.02,−77.64,−78.91(Ph−SiO1.5).
Figure 0004887626
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシブチル基を有するケイ素化合物の合成>
アルゴン雰囲気下、100ml−なす型フラスコに、実施例15で得られた化合物(15)(1.5g)、モレキュラーシーブス(4A)により乾燥したトリエチルアミン(0.52g)および乾燥メチレンクロライド(13.5g)を仕込んだ。マグネチックスターラーを用い、室温で撹拌しながら化合物Eを溶解させた後、溶液をドライアイス−メタノール浴を用いて冷却し、液温を−78℃に保持した。次いで、この溶液に2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイド(1.17g、化合物(15)に対して4.2当量)を速やかに加え、−78℃にて1時間撹拌した後、室温下で更に2時間撹拌した。反応終了後、トリエチルアミン−臭酸塩を濾過により除去した。得られた反応液にメチレンクロライド(50ml)を加え、水(150ml)による1回の洗浄、炭酸水素ナトリウム水溶液(1%、150ml)による2回の洗浄、および水(150ml)による2回の洗浄を順次行ってから、無水硫酸マグネシウム(2.5g)にて乾燥した。その後、ロータリーエバポレータを用い、室温下でこの溶液を濃縮して液量を約2.5mlとした。この濃縮液(2.5ml)にメタノール(25ml)を加えて、粘ちょう性液体成分を相分離させた。その後、−35℃の冷凍庫に静置し、粘ちょう性液体成分の相分離を十分に行わせた後、デカンテーションによってこの成分を取得した。得られた粘ちょう性液体成分にメチレンクロライド(2.5ml)を加えて再溶解させ、これにメタノール(25ml)を加えることにより、未反応の2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイドを抽出除去した。得られた粘ちょう性液体成分に、多量のメチレンクロライドを加え、メチレンクロライド可溶部分を回収した。得られたメチレンクロライド可溶部分を減圧濃縮(40℃、6時間)して、透明な粘ちょう性液体を得た(0.37g、収率:18.4%)。
この化合物のGPC純度は、99.4%であり、下記に示すH−NMR、 C−NMRおよび29Si−NMRの結果から、この化合物が式(16)で示される構造を有することがわかった。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS標準;δ=0.0ppm):7.58〜7.10(m,35H,Ph−Si),4.06(t,6H,−[CH]−O−(C=O)−),1.88(s,18H,−C(Br)[(CH]),1.63(tt,6H,−「CH]−CH−O−),1.40(tt,6H,Si−CH−[CH]−),0.65(t,6H,Si−[CH]−),0.26(s,18H,−OSi[(CH]−).
13C MR(100MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):171.9(C=O),134.1〜127.8(Ph−Si),65.8(−[CH]−O−),56.1(−[C](Br)(CH),31.9(−[CH]−CH−O−),30.9(−C(Br)[(CH]),19.5(Si−CH−[CH]−),17.6(Si−[CH]−),0.40(−OSi[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):12.53(−O[Si](CHCH−),−76.59,−76.91,−77.24(Ph−SiO1.5).
Figure 0004887626
<重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルに臭化第一銅を導入し、さらに化合物(16)/メタクリル酸メチル/L−(−)−スパルテイン/アニソール溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液における化合物(16)、メタクリル酸メチル、臭化第一銅およびL−(−)−スパルテインの割合を、この順のモル比で1:900:3:6とし、アニソールの使用量をメタクリル酸メチルの濃度が50wt%となる量とした。
<重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(1a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は70℃であり、重合時間は1.0時間であった。この重合反応系におけるモノマー転化率は、重合体(1a)の溶液を重水素化クロロホルムにて希釈した後、H−NMR測定を行って、モノマーおよびポリマーのそれぞれにおける置換基のプロトン比の関係から求めた。得られた重合体をヘキサンによる再沈殿精製により回収し、この重合体のTHF溶液(1wt.%)を調製した。これを活性アルミナが充填されたカラムを通過させることによって銅錯体の吸着除去を行った。さらにこの溶液をヘキサンに滴下して重合体を再沈殿させ、これを減圧乾燥(80℃、6時間)した。この重合反応系におけるモノマー転化率およびモノマー転化率より誘導される重合体(1a)の理論数平均分子量、GPC測定により実測された数平均分子量および分子量分布の解析結果は、表15に示す通りであった。
実施例18〜21
重合時間を表15に示すように変更した以外は、実施例17と同様にして重合を行い、重合体(1b)〜重合体(1e)のそれぞれの褐色で粘ちょうな溶液を得た。そして、それぞれの重合体について、実施例8の場合と同様にして精製し、モノマー転化率、理論数平均分子量、数平均分子量および分子量分布を求め、結果を表15に示した。
Figure 0004887626
<重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルに臭化第一銅を導入し、さらに実施例14で得られた化合物(14)/メタクリル酸メチル/L−(−)−スパルテイン/アニソール溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液における化合物(14)、メタクリル酸メチル、臭化第一銅およびL−(−)−スパルテインの割合を、この順のモル比で1:900:3:6とし、アニソールの使用量をメタクリル酸メチルの濃度が50wt%となる量とした。
<重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(2a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は70℃であり、重合時間は0.5時間であった。この重合反応系におけるモノマー転化率は、重合体(2a)の溶液を重水素化クロロホルムにて希釈した後、H−NMR測定を行って、モノマーおよびポリマーのそれぞれにおける置換基のプロトン比の関係から求めた。得られた重合体をヘキサンによる再沈殿精製により回収し、この重合体のTHF溶液(1wt.%)を調製した。これを活性アルミナが充填されたカラムを通過させることによって銅錯体の吸着除去を行った。さらにこの溶液をヘキサンに滴下して重合体を再沈殿させ、これを減圧乾燥(80℃、6時間)した。この重合反応系におけるモノマー転化率およびモノマー転化率より誘導される重合体(2a)の理論数平均分子量、GPC測定により実測された数平均分子量および分子量分布の解析結果は、表16−1に示す通りであった。
<グラフト鎖の理論分子量解析>
なおグラフト鎖の理論分子量は、重合の開始末端であるエステル結合がフッ化水素酸処理による加水分解によって切断され、重合の停止末端がすべてBrとなっていると仮定し、下記式により計算した結果は、表16−2に示す通りであった。
<計算式>
グラフト鎖の理論Mn=(単量体消費率(モル%)/100)×MW×(α−ブロモエステル基に対するビニル系単量体のモル比)+MW
<計算に用いたパラメータ>
MW=100(メタクリル酸メチル)
α−ブロモエステル基に対するビニル系単量体のモル比=300
MW=167.01(BrC(CHCOH)
<グラフト鎖の分子量測定>
フッ化水素酸(0.17ml)とアセトニトリル(0.83ml)の混合溶液を調製した。撹拌子を導入したポリプロピレン製マイクロチューブ(1.5ml)内において、この混合溶液に重合体(2a)(10mg)を溶解させ、マグネティックスターラーを備えたインキュベータ内において40℃、24時間撹拌した。その後、減圧乾燥器にて80℃、3時間乾燥して、重合体を回収した。この重合体のGPC測定を行った結果は、表16−2に示す通りであった。
実施例23〜27
重合時間を表16−1に示すように変更した以外は、実施例22と同様にして重合を行い、重合体(2b)〜重合体(2f)のそれぞれの褐色で粘ちょうな溶液を得た。そして、それぞれの重合体について、実施例22の場合と同様にして精製を行い、モノマー転化率、理論数平均分子量、数平均分子量および分子量分布を求め、結果を表16−1に示した。グラフト鎖の理論数平均分子量計算、重合体のフッ化水素酸処理、GPC測定によるグラフト鎖の数平均分子量および分子量分布解析についても実施例22の場合と同様にして行い、その結果を表16−2に示した。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
<重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルに臭化第一銅を導入し、さらに化合物(14)/メタクリル酸メチル/L−(−)−スパルテイン/アニソール溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液における化合物(14)、メタクリル酸メチル、臭化第一銅およびL−(−)−スパルテインの割合を、この順のモル比で1:450:3:6とし、アニソールの使用量をメタクリル酸メチルの濃度が50wt%となる量とした。
<重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(3a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は70℃であり、重合時間は0.25時間であった。この重合反応系におけるモノマー転化率は、重合体(3a)の溶液を重水素化クロロホルムにて希釈した後、H−NMR測定を行って、モノマーおよびポリマーのそれぞれにおける置換基のプロトン比の関係から求めた。得られた重合体をヘキサンによる再沈殿精製により回収し、この重合体のTHF溶液(1wt.%)を調製した。これを活性アルミナが充填されたカラムを通過させることによって銅錯体の吸着除去を行った。さらにこの溶液をヘキサンに滴下して重合体を再沈殿させ、これを減圧乾燥(80℃、6時間)した。この重合反応系におけるモノマー転化率およびモノマー転化率より誘導される重合体(3a)の理論数平均分子量、GPC測定により実測された数平均分子量および分子量分布の解析結果は、表17−1に示す通りであった。
<グラフト鎖の理論分子量解析>
なおグラフト鎖の理論分子量は、重合の開始末端であるエステル結合がフッ化水素酸処理による加水分解によって切断され、重合の停止末端がすべてBrとなっていると仮定し、下記式により計算した結果は、表17−2に示す通りであった。
<計算式>
グラフト鎖の理論Mn=(単量体消費率(モル%)/100)×MW×(α−ブロモエステル基に対するビニル系単量体のモル比)+MW
<計算に用いたパラメータ>
MWや=100(メタクリル酸メチル)
α−ブロモエステル基に対するビニル系単量体のモル比=150
MW=167.01(BrC(CHCOH)
<グラフト鎖の分子量測定>
フッ化水素酸(0.17ml)とアセトニトリル(0.83ml)の混合溶液を調製した。撹拌子を導入したポリプロピレン製マイクロチューブ(1.5ml)内において、この混合溶液に重合体(3a)(10mg)を溶解させ、マグネティックスターラーを具備したインキュベータ内において40℃、24時間撹拌した。その後、減圧乾燥器にて80℃、3時間乾燥して、重合体を回収した。回収した重合体のGPC測定を行った結果は、表17−2に示す通りであった。
実施例29〜34
重合時間を表17−1に示すように変更した以外は、実施例28と同様にして重合を行い、重合体(3b)〜重合体(3g)のそれぞれの褐色で粘ちょうな溶液を得た。そして、それぞれの重合体について、実施例28の場合と同様にして精製を行い、モノマー転化率、理論数平均分子量、数平均分子量および分子量分布を求め、結果を表17−1に示した。グラフト鎖の理論数平均分子量計算、重合体のフッ化水素酸処理、GPC測定によるグラフト鎖の数平均分子量および分子量分布解析についても実施例28の場合と同様にして行い、その結果を表17−2に示した。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
<フェニルトリメトキシシランを原料とするナトリウムが結合したフェニルシルセスキオキサン化合物(A−1)の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた内容積1リットルの4つ口フラスコに、フェニルトリメトキシシラン(99g)、水酸化ナトリウム(10g)、2−プロパノール(500ml)を仕込み撹拌子を投入した。室温にてマグネチックスターラーで攪拌しながら滴下漏斗より脱イオン水11gを約2分間で滴下し、その後、2−プロパノールが還流する温度までオイルバスて加熱した。還流が開始してから1.5時間撹拌を継続し反応を完結させた。その後、フラスコをオイルバスより引き上げ、室温で1晩静置して生成した固体を完全に析出させた。析出した固体は孔径0.1マイクロメートルのメンブランフィルターを具備した加圧濾過器により濾過した。次いで得られた固体を2−プロパノールで1回洗浄し、減圧乾燥機にて70℃、4時間乾燥を行い、白色固体の化合物(A−1)(66g)を得た。
<フェニルトリメトキシシランを原料として得られた化合物(A−1)へのトリメチルシリル基の導入>
滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた内容積50ミリリットルの4つ口フラスコに、撹拌子、実施例35で得られた化合物(A−1)(1.2g)、テトラヒドロフラン(12g)、トリエチルアミン(1.8g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら室温で滴下漏斗よりクロロトリメチルシラン(2.3g)を約1分間で滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌を継続し反応を完結させた。ついで純水10g投入し生成した塩化ナトリウム、未反応のクロロトリメチルシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移し有機相と水相とに分離し、得られた有機相を脱イオン水により洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して白色固体の化合物(A−T)(1.2g)を得た。
化合物(A−T)について、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、質量分析、X線結晶構造解析、およびIR分析により構造解析を行った。H−NMRチャート、および13C−NMRチャートから、フェニル基とトリメチルシリル基が7:3の積分比で存在する事が確認された。29Si−NMRから、トリメチルシリル基を示唆する11.547ppm、フェニル基を有しT構造を示唆する−77.574ppm、−78.137ppm、−78.424ppm(いずれもテトラメチルシランを基準)のピークが1:3:3の比で3種類存在することが確認された。質量分析スペクトルの測定結果から、この化合物の絶対分子量は前記の式(3−2−T)に示す構造体の理論分子量と一致した。X線結晶構造解析による結晶構造解析の結果から、この化合物が前記の式(3−2−T)に示す構造体であることが示唆された。IR分析スペクトルの測定結果から、1430cm−1および1590cm−1にSi−Phの変角振動、1960〜1760cm に置換ベンゼン環の倍振動、1200〜950cm−1にSi−O−Siの伸縮振動、1250cm−1にSi−CHの振動にそれぞれ帰属される吸収が確認された。これらの結果は、トリメチルシリル基を結合させた化合物(A−T)が前記の式(3−2−T)で表される構造を有することを支持している。このことから、化合物(A−1)が前記の式(3−2−1)で表される構造を有していることが分かった。
<ナトリウムが結合したシクロヘキシルシルセスキオキサン化合物の合成>
フェニルトリメトキシシランの代わりにシクロヘキシルトリメトキシシランを用いる以外は、実施例35と同様の操作を行うことにより、式(17)で示されるナトリウムが結合したシクロヘキシルシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(17)へのトリメチルシリル基の導入>
化合物(A−1)の代わりに化合物(17)を用いる以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、式(18−T)で示されるトリメチルシリル基を有するシクロヘキシルシルセスキオキサン化合物を得ることができる。さらに、実施例36と同様の操作により化合物(18−T)の構造解析を行うことで、前記化合物(17)の生成を確認することができる。
Figure 0004887626
<ナトリウムが結合したシクロペンチルシルセスキオキサン化合物の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた内容積200mlの4つ口フラスコに、シクロペンチルトリメトキシシラン(19.0g)、THF(100ml)、水酸化ナトリウム(1.7g)および脱イオン水(2.3g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら加熱した。67℃で還流が開始してから10時間撹拌を続けて、反応を終了させた。その後、フラスコをオイルバスから引き上げ、室温で1晩静置して生成した固体を完全に析出させた。析出した固体を濾過、真空乾燥して粉末状固体の化合物(4.2g)を得た。
<トリメチルシリル基の導入>
環流冷却器を取り付けた内容積100mlの4つ口フラスコに、実施例39で得られた化合物(1.0g)、THF(30ml)、トリエチルアミン(0.5g)およびトリメチルクロロシラン(0.7g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら室温で2時間撹拌した。反応終了後、実施例36の構造確認における場合と同様に処理して、粉末状固体の化合物(0.9g)を得た。
得られた化合物を、H−NMR、29Si−NMRおよびX線結晶構造解析により分析した。H−NMRから、シクロペンチル基とトリメチルシリル基が7:3の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRから、トリメチルシリル基を示唆する8.43ppm、シクロペンチル基を有しT構造を示唆する−66.37ppm、−67.97ppm、−67.99ppmの3種類のピークが確認された。−67.97ppm、−67.99ppmのピーク強度の和と、−66.37ppmのピーク強度の比は6:1であった。これらの結果とX線結晶構造解析による結晶構造とから、分析の対象である粉末状固体の化合物は式(19)で示されるケイ素化合物であると確認された。従って、実施例7で得られた化合物は、式(20)で表される構造を有すると示唆された。
Figure 0004887626
<ナトリウムが結合したエチルシルセスキオキサン化合物の合成>
フェニルトリメトキシシランの代わりにエチルトリメトキシシランを用いる以外は、実施例35と同様の操作を行うことにより、式(21)で示されるナトリウムが結合したエチルシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(21)へのトリメチルシリル基の導入>
化合物(A−1)の代わりに化合物(21)を用いる以外は、実施例36と同様の操作を行うことにより、式(22)で示されるトリメチルシリル基を有するエチルシルセスキオキサン化合物を得ることができる。さらに、実施例4と同様の操作により化合物(22)の構造解析を行うことで、前記化合物(21)の生成を確認することができる。
Figure 0004887626
<ナトリウムが結合したイソブチルシルセスキオキサン化合物の合成>
還流冷却器、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積200mlの4つ口フラスコに、イソブチルトリメトキシシラン(18.7g)、THF(100ml)、水酸化ナトリウム(1.8g)および脱イオン水(2.4g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら加熱した。67℃で還流が開始してから10時間撹拌を続けて、反応を終了させた。定圧下で固体が析出するまで反応液を濃縮した後、得られた濃縮液を室温で1晩静置して、固体を完全に析出させた。これを濾過し、真空乾燥して粉末状固体の化合物(5.1g)を得た。
<トリメチルシリル基の導入>
環流冷却器を取り付けた内容積200mlの4つ口フラスコに、実施例43で得られた粉末状固体の化合物(1.0g)、THF(20ml)、トリエチルアミン(0.5g)およびトリメチルクロロシラン(0.8g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら室温で2時間撹拌した。反応終了後、実施例4の構造確認における場合と同様に処理して、粉末状固体の化合物(0.9g)を得た。
上記の粉末状固体について、H−NMRおよび29Si−NMRにより構造解析を行った。H−NMRチャートから、イソブチル基とトリメチルシリル基が7:3の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRから、トリメチルシリル基を示唆する8.72ppm、イソブチル基を有しT構造を示唆する−67.38ppm、−68.01ppm、−68.37ppmのピークが1:3:3の比で3種類存在することが確認された。これらの結果から、分析の対象である粉末状固体の化合物は、式(23)で示されるケイ素化合物であると確認された。従って、実施例43で得られた化合物は、式(24)で表される構造を有すると示唆された。
Figure 0004887626
<ナトリウムが結合したイソオクチルシルセスキオキサン化合物の合成>
フェニルトリメトキシシランの代わりにイソオクチルトリメトキシシランを用いる以外は、実施例35と同様の操作を行うことにより、式(25)で示されるナトリウムが結合したイソオクチルシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(25)へのトリメチルシリル基の導入>
化合物(A−1)の代わりに化合物(25)を用いる以外は、実施例36と同様の操作を行うことにより、式(26)で示されるトリメチルシリル基を有するイソオクチルシルセスキオキサン化合物を得ることができる。さらに、実施例36と同様の操作により化合物(26)の構造解析を行うことで、前記化合物(25)の生成を確認することができる。
Figure 0004887626
<ナトリウムが結合したトリフルオロプロピルシルセスキオキサン化合物の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた内容積1リットルの4つ口フラスコに、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(100g)、THF(500ml)、脱イオン水(10.5g)および水酸化ナトリウム(7.9g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら、室温からTHFが還流する温度までオイルバスにより加熱した。還流開始から5時間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、フラスコをオイルバスから引き上げ、室温で1晩静置した後、再度オイルバスにセットし固体が析出するまで定圧下で加熱濃縮した。析出した生成物は孔径0.5μmのメンブランフィルターを備えた加圧濾過器を用いて濾過した。次いで、得られた固形物をTHFで1回洗浄し、減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、74gの白色粉末状の固形物を得た。
<トリメチルシリル基の導入>
滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた内容積50mlの4つ口フラスコに、実施例47で得られた白色粉末状の固形物(1.0g)、THF(10g)、およびトリエチルアミン(1.0g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、室温でクロロトリメチルシラン(3.3g)を約1分間で滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間撹拌を継続して反応を完結させた。ついで純水10g投入し生成した塩化ナトリウム、未反応のクロロトリメチルシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移し有機相と水相とに分離し、得られた有機相を脱イオン水により洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して白色固体の化合物(0.9g)を得た。
得られた白色粉末状の固形物について、GPC、H−NMR、29Si−NMR、および13C−NMRにより構造解析を行った。GPCチャートから白色粉末状の固形物は単分散性を示し、その分子量はポリスチレン換算で重量平均分子量1570であり、純度98重量%であることが確認された。H−NMRチャートから、トリフルオロプロピル基とトリメチルシリル基が7:3の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRチャートから、トリフルオロプロピル基を有しT構造を示唆するピークが1:3:3の比で3つ、トリメチルシリル基を示唆するピークが12.11ppmに1つ存在することが確認された。 C−NMRチャートでも131〜123ppm、28〜27ppm、6〜5ppmにトリフルオロプロピル基を示唆するピークが存在し、1.4ppmにトリメチルシリル基を示唆するピークが存在することが確認された。質量分析スペクトルの測定結果から、絶対分子量は式(27)に示す構造体の理論分子量(m/z=1287)、式(27)の構造体よりトリメチルシリル基が一個脱離した理論分子量(m/z=1271)および式(27)の構造体よりトリフルオロプロピル基が一個脱離した理論分子量(m/z=1189)と一致した。X線構造解析による結晶構造解析の結果から、式(27)に示す構造体であることが示唆された。これらの結果は、構造解析の対象である白色粉末状の固形物が式(27)の構造を有することを示している。従って、トリメチルシリル化される前の化合物は、式(28)の構造であると判断される。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
<ナトリウムが結合したトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルシルセスキオキサン化合物の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた内容積50mlの4つ口フラスコに、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(4.9g)、THF(15ml)、水酸化ナトリウム(0.2g)、イオン交換水(0.2g)と仕込み撹拌子を投入し、75℃で加熱還流した。還流開始から5時間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、定圧下で加熱濃縮し、減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、4.0gの粘ちょう性液体を得た。
<トリメチルシリル基の導入>
内容積50mlの3つ口フラスコに、実施例49で得られた粘ちょう性液体(2.6g)、THF(10g)、トリエチルアミン(1.0g)およびトリメチルクロロシラン(3.3g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら室温で3時間撹拌した。反応終了後、実施例48の構造確認における場合と同様に処理して、1.3gの粘ちょう性液体を得た。
得られた化合物をGPCにより分析した。測定を行った結果、粘ちょう性液体は単分散であり、その分子量はポリスチレン換算で重量平均分子量3650(未補正)で純度100%であることが確認された。この結果と実施例35〜48の結果とから総合的に判断して、分析の対象である粘ちょう性液体は式(29)で示されるケイ素化合物であると推定された。従って、実施例49で得られた化合物は、式(30)で表される構造を有することが示唆される。
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するシクロヘキシルシルセスキオキサンの合成>
化合物(A−1)の代わりに実施例37で得られる化合物(17)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、式(31)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するシクロペンチルシルセスキオキサンの合成>
化合物(A−1)の代わりに実施例39で得られる化合物(20)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、式(32)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するエチルシルセスキオキサンの合成>
化合物(A−1)の代わりに実施例41で得られる化合物(21)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、式(33)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するイソブチルシルセスキオキサンの合成>
化合物(A−1)の代わりに実施例41で得られる化合物(21)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、式(34)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するイソオクチルシルセスキオキサンの合成>
化合物(A−1)の代わりに実施例43で得られる化合物(24)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、式(35)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するトリフルオロプロピルシルセスキオキサンの合成>
滴下漏斗、温度計、攪拌機を備えた内容積300mlの反応容器に、実施例47の方法を利用して得られた化合物(28)(10g)、およびハイドロクロロフルオロカーボン系混合溶剤HCFC−225(80ml)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。室温下で撹拌しながら、クロロジメチルシラン(12.5g)を約5分間で滴下した。滴下終了後、溶液温度が50℃になるように加熱し、50℃に到達してから5時間撹拌を継続した。溶液温度が30℃以下になるまで冷却した後、イオン交換水(60g)を約5分間で滴下した。滴下終了後、10分間撹拌した後、分液漏斗に移し有機層と水層を分離した。このようにして得られた有機層を、イオン交換水各60gで3回水洗した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、白色粉末状の固形物を得た(8.8g、収率:80.3%)。なお、上記のハイドロクロロフルオロカーボン系混合溶剤HCFC−225は、CFCFCHClとCClFCFCHClFの混合物である。
この白色粉末状の固体のGPC純度は100%、数平均分子量は1,430、重量平均分子量は1,440であった。下記に示すH−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRの結果から、この化合物が式(36)で示される構造を有することがわかった。
IR(KBr法):νv.s=2,140(C=O),νv.s=1,319,1,215(−CF),1,0909.5=1,319,1,215(−CF),1,090〜1,000(Si−O−Si)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):4.79(s,3H,−OSi[H](CH)2.11(m,14H,−[CH]−CF),0.88(m,14H,Si−[CH]−CH−CF),0.27(s,18H,−OSiH[(CH]).
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):127.1(−[CF]),27.6(−[CH]−CF),23.3(−CH−[CH]−CH−),13.8(Si−[CH]−),4.5(Si−[CH]−CH−CF),−0.2(−OSiH[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):−2.38(−O[Si]H(CH),−66.39,−68.68,−69.20(CF−SiO1.5).
Figure 0004887626
<ヒドロシリル基を有するトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルシルセスキオキサンの合成>
化合物(A−1)の代わりに実施例50で得られる化合物(30)を用いる以外は、実施例56と同様の操作を行うことにより、式(37)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(5−1):化合物(38)を原料とするヒドロシリル基を有するフェニルシルセスキオキサンの合成
式(38)で示される化合物(トリシラノールフェニルPOSS、米国Hybrid Plastics社製)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、テトラヒドロフラン中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例3に記載の化合物(5−1)を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(31):化合物(39)を原料とするヒドロシリル基を有するシクロヘキシルシルセスキオキサンの合成
式(39)で示される化合物(トリシラノールシクロヘキシルPOSS、米国Hybrid Plastics社製)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、テトラヒドロフラン中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例51に記載の化合物(31)を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(32):化合物(40)を原料とするヒドロシリル基を有するシクロペンチルシルセスキオキサンの合成
式(40)で示される化合物(トリシラノールシクロペンチルPOSS、米国Hybrid Plastics社製)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、テトラヒドロフラン中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例52に記載の化合物(32)を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(33):化合物(41)を原料とするヒドロシリル基を有するエチルシルセスキオキサンの合成
式(41)で示される化合物(トリシラノールエチルPOSS、米国Hybrid Plastics社製)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、テトラヒドロフラン中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例53に記載の化合物(33)を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(34):化合物(42)を原料とするヒドロシリル基を有するイソブチルシルセスキオキサンの合成
式(42)で示される化合物(トリシラノールイソブチルPOSS、米国Hybrid Plastics社製)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、テトラヒドロフラン中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例54に記載の化合物(34)を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(35):化合物(43)を原料とするヒドロシリル基を有するイソオクチルシルセスキオキサンの合成
式(43)で示される化合物(トリシラノールイソオクチルPOSS、米国Hybrid Plastics社製)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、テトラヒドロフラン中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例55に記載の化合物(35)を得ることができる。
Figure 0004887626
<化合物(36):化合物(44)を原料とするヒドロシリル基を有するトリフルオロプロピルシルセスキオキサンの合成>
滴下ロート、還流冷却器、温度計および攪拌子を備えた300ml−4つ口フラスコを氷浴中に設置した。この4つ口フラスコに実施例47で得られた化合物(28)5gを入れ、酢酸ブチル(50g)に溶解させた後、酢酸(0.5g)を滴下した。氷浴のまま1時間撹拌した。室温に戻した後反応液を脱イオン水(100ml)にて洗浄(3回)した。ロータリーエバポレータを用いて溶剤を留去し、そのまま減圧乾燥(50℃、1時間)を行なって、粘ちょう性の液体を得た(4.3g)。得られた化合物のGPC測定を行った結果、単一ピークを示し、不純物等の存在は確認されなかった。さらにIRを用いて解析した結果、シラノール基の存在を示唆する吸収(3400cm−1付近)を確認した。従って、得られた化合物は式(44)で示される構造を有することが示唆された。
Figure 0004887626
上記の化合物(44)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、HCFC−225中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例56に記載の化合物(36)を得ることができる。
<化合物(37):化合物(45)を原料とするヒドロシリル基を有するトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルシルセスキオキサンの合成>
実施例47で得られた化合物(28)の代わりに実施例50で得られる化合物(30)を用いる以外は、実施例64と同様の操作を行うことにより、式(45)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0004887626
上記の化合物(45)を原料とし、トリエチルアミン(シラノールに対して1.0当量以上)の存在下、HCFC−225中において、ジメチルクロロシラン(シラノールに対して1.0当量以上)を反応させる方法により、実施例57に記載の化合物(37)を得ることができる。
<化合物(11):クロロメチルフェニルエチル基を有するシルセスキオキサンの合成>
化合物(38)を原料として誘導された実施例3に記載の化合物(5−1)を用いる以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、実施例4に記載の式(11)で示される化合物を誘導することができる。そして、この化合物(11)を原料とし、実施例5と同様の操作により、前記の式(12)で示されるジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物を得ることができる。
実施例67〜72
実施例51〜56または実施例59〜64に記載の方法により誘導されるヒドロシリル基を有するシルセスキオキサン化合物を原料とし、実施例4と同様の操作を行うことにより、式(46)および表18で示されるクロロメチルフェニルエチル基を有するシルセスキオキサンを誘導することができる。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
化合物(37)を原料とし、溶剤をトルエンからHCFC−225に変更する以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、式(46−7)で示されるクロロメチルフェニルエチル基を有するシルセスキオキサンを誘導することができる。
Figure 0004887626
実施例74〜78
実施例51〜55または実施例59〜63に記載の方法により誘導されるヒドロシリル基を有するシルセスキオキサン化合物を原料とし、実施例13と同様の操作を行うことにより、式(47)および表19で示されるヒドロキシエトキシプロピル基を有するシルセスキオキサンを誘導することができる。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
<化合物(47−6):ヒドロキシエトキシプロピル基を有するヘプタトリフルオロプロピルシルセスキオキサンの合成>
滴下漏斗、温度計、攪拌機を備えた内容積100mlの反応容器に、化合物(29)(2.5g)、エチレングリコールモノアリルエーテル(2.7g)、およびトルエン(3.0g)を仕込み、乾燥窒素でシールした。マグネチックスターラーで攪拌しながら、マイクロシリンジを用い、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(17μl)を室温にて添加した。更に2時間撹拌した後、サンプリングして赤外吸収スペクトル分析を行い、Si−H基に由来する2130cm−1のピークが消失していることを確認して、反応の終点とした。反応液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、茶褐色の粘性体2.6gを得た。
この透明な粘ちょう性液体のGPC純度は99.9%、数平均分子量は1790、重量平均分子量は1910であり、下記に示すH−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRの結果から、この化合物が式(47−6)で示される構造を有することがわかった。
IR(KBr法):ν=3,450(−OH),νv.s=1,319,1,215(−CF),1,090〜1,000(Si−O−Si)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):3.69(broad,6H,−[CH]−OH),3.51(t,6H,−[CH]−O−C−),3.41(t,6H,−C−O−[CH]−),2.70(broad,3H,−OH),2.05(m,14H,−[CH]−CF),1.60(tt,6H,−CH−[CH]−CH−),0.82(m,14H,Si−[CH]−CH−CF),0.60(t,6H,Si−[CH]−),0.14(s,18H,−OSi[(CH]−).
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):126.9(−[CF]),73.4(−[CH]−O−C−),71.7(−C−O−[CH]−),61.5(−[CH]−OH),27.6(−[CH]−CF),23.0(−CH−[CH]−CH−),13.6(Si−[CH]−),4.5(Si−[CH]−CH−CF),−0.25(−OSi[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):12.27(−O[Si](CHCH−),−66.75,−68.76,−69.92(CF−SiO1.5).
Figure 0004887626
化合物(37)を原料とし、溶剤をトルエンからHCFC−225に変更する以外は、実施例13と同様の操作を行うことにより、式(47−7)で示されるヒドロキシエトキシプロピル基を有するシルセスキオキサンを誘導することができる。
Figure 0004887626
実施例81〜86
<ヒドロキシブチル基を有するケイ素化合物の合成>
実施例51〜56または実施例59〜64に記載の方法により誘導されるヒドロシリル基を有するシルセスキオキサン化合物を原料とし、実施例15と同様の操作を行うことにより、式(48)および表20で示されるヒドロキシブチル基を有するシルセスキオキサンを誘導することができる。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
化合物(37)を原料とし、溶剤をトルエンからHCFC−225に変更する以外は、実施例15と同様の操作を行うことにより、式(48−7)で示されるヒドロキシブチル基を有するシルセスキオキサンを誘導することができる。
Figure 0004887626
実施例88〜92
実施例74〜78に記載の方法により誘導されるヒドロキシエトキシプロピル基を有するシルセスキオキサンを原料として、実施例14と同様の操作を行うことにより、式(49)および表21で示される2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
アルゴン雰囲気下、100ml−なす型フラスコに、実施例79に記載の方法によって誘導された化合物(47−6)(3.15g)、モレキュラーシーブス(4A)により乾燥したトリエチルアミン(0.925g)および乾燥メチレンクロライド(36.2ml)を仕込んだ。マグネチックスターラーを用い、室温で撹拌しながら化合物(47−6)を溶解させた後、溶液をドライアイスメタノール浴を用いて冷却し、液温を−78℃に保持した。次いで、この溶液に2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイド(2.17g、化合物(47−6)に対して4.5当量)を速やかに加え、−78℃にて1時間撹拌した後、室温下で更に2時間撹拌した。反応終了後、トリエチルアミン−臭酸塩を濾過により除去した。得られた反応液にメチレンクロライド(100ml)を加え、水(300ml)による1回の洗浄、炭酸水素ナトリウム水溶液(1%、300ml)による2回の洗浄、および水(300ml)による2回の洗浄を順次行ってから、無水硫酸マグネシウム(5g)にて乾燥した。その後、ロータリーエバポレータを用い、室温下でこの溶液を濃縮して液量を約5mlとした。この濃縮液(5ml)にヘプタン(50ml)を加えて、粘ちょう性液体成分を相分離させた。その後、−35℃の冷凍庫に静置して、粘ちょう性液体成分の相分離を十分に行わせた後、デカンテーションによってこの成分を取得した。得られた粘ちょう性液体成分にメチレンクロライド(5ml)を加えて再溶解させ、これにヘプタン(50ml)を加えることにより、未反応の2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイドを抽出除去した。得られた粘ちょう性液体成分に、多量のメチレンクロライドを加え、メチレンクロライド可溶部分を回収した。活性アルミナカラムを用いて、得られたメチレンクロライド可溶部分の精製を行った後、さらに40℃で6時間減圧濃縮して、透明な粘ちょう性液体を得た(2.581g、収率:63.6%)。
この透明な粘ちょう性液体のGPC純度は、96.2%であり、下記に示すH−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRの結果から、この化合物が式(49−6)で示される構造を有することがわかった。
IR(KBr法):νv.s=1,738(C=O),νv.s=1,319,1,215(−CF),1,090〜1,000(Si−O−Si)cm−1
H NMR(400MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):4.31(t,6H,−[CH]−O−(C=O)−),3.67(t,6H,−[CH]−O−C−),3.44(t,6H,−C−O−[CH]−),2.08(m,14H,−[CH]−CF),1.94(s,18H,−C(Br)[(CH]),1.60(tt,6H,−CH−[CH]−CH−),0.84(m,14H,Si−[CH]−CH−CF),0.61(t,6H,Si−[CH]−),0.15(s,18H,−OSi[(CH]−).
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS標準:δ=0.0ppm):171.7((C=O),126.9(−[CF]),73.6(−[CH]−O−C−),68.2(−C−O−[CH]−),65.1(−[CH]−O−(C=O)−),55.6(−[C](Br)(CH),30.7(−C(Br)[(CH]),27.7(−[CH]−CF),23.3(−CH−[CH]−CH−),13.8(Si−[CH]−),4.8(Si−[CH]−CH−CF),−0.2(−OSi[(CH]−).
29Si NMR(79MHz,CDCl,TMS標準:δ:0.0ppm):12.65(−O[Si](CHCH−),−66.35,−68.34,−69.59(CF−SiO1.5).
Figure 0004887626
化合物(37)を原料とし、溶剤を乾燥メチレンクロライドから乾燥HCFC−225に変更する以外は、実施例14と同様の操作を行うことにより、式(49−7)で示される2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
Figure 0004887626
実施例95〜100
実施例81〜86に記載の方法により得られるヒドロキシブチル基を有するシルセスキオキサンを原料とする以外は、実施例16と同様の操作を行うことにより、式(50)および表22で示される2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシブチル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
化合物(48−7)を原料とし、溶剤を乾燥メチレンクロライドから乾燥HCFC−225に変更する以外は、実施例16と同様の操作を行うことにより、式(50−7)で示される2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシブチル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
Figure 0004887626
実施例102〜107
実施例67〜72に記載の方法により得られるクロロメチルフェニルエチル基を有するシルセスキオキサンを原料とする以外は、実施例5と同様の操作を行うことにより、式(51)および表23で示されるジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
化合物(46−7)を原料とし、溶剤をテトラヒドロフランから乾燥HCFC−225に変更する以外は、実施例5と同様の操作を行うことにより、式(51−7)で示されるジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
Figure 0004887626
<重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルに臭化第一銅を導入し、さらに化合物(49−6)/メタクリル酸メチル/L−(−)−スパルテイン/キシレン溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液における化合物(49−6)、メタクリル酸メチル、臭化第一銅およびL−(−)−スパルテインの割合を、この順のモル比で1:900:3:6とし、キシレンの使用量をメタクリル酸メチルの濃度が30wt%となる量とした。
<重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(4a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は70℃であり、重合時間は1.0時間であった。その後、重合体(4a)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のポリ(メチルメタアクリレート)溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。得られた重合体をヘキサンを用いる再沈殿法によって精製し、この重合体のTHF溶液(1wt.%)を調製した。これを活性アルミナが充填されたカラムを通過させることによって銅錯体の吸着除去を行った。さらにこの溶液をヘキサンに滴下して重合体を再沈殿させ、これを減圧乾燥(80℃、6時間)した。この重合反応系におけるモノマー転化率、このモノマー転化率より誘導される重合体(4a)の理論数平均分子量、GPC測定により実測された数平均分子量および分子量分布を表24−1に示した。
<グラフト鎖の理論分子量解析>
なおグラフト鎖の理論分子量は、重合の開始末端であるエステル結合がフッ化水素酸処理による加水分解によって切断され、重合の停止末端がすべてBrとなっていると仮定し、下記の式により計算した。結果を表24−2に示した。
<計算式>
グラフト鎖の理論Mn=(単量体消費率(モル%)/100)×MW×(α−ブロモエステル基に対するビニル系単量体のモル比)+MW
<計算に用いたパラメータ>
MW=100(メタクリル酸メチル)
α−ブロモエステル基に対するビニル系単量体のモル比=300
MW=167.01(BrC(CHCOH)
<グラフト鎖の分子量測定>
フッ化水素酸(0.17ml)とアセトニトリル(0.83ml)の混合溶液を調製した。撹拌子を導入したポリプロピレン製マイクロチューブ(1.5ml)内において、この混合溶液に重合体(4a)(10mg)を溶解させ、マグネティックスターラーを備えたインキュベータ内において40℃、24時間撹拌した。その後、減圧乾燥器にて80℃、3時間乾燥して、重合体を回収した。この重合体のGPC測定を行った結果を表24−2に示した。
実施例110〜114
重合時間を表24−1に示すように変更した以外は、実施例109と同様にして重合を行い、重合体(4b)〜重合体(4e)のそれぞれの褐色で粘ちょうな溶液を得た。そして、それぞれの重合体について、実施例109の場合と同様にして精製を行い、モノマー転化率、理論数平均分子量、数平均分子量および分子量分布を求め、結果を表24−1に示した。グラフト鎖の理論数平均分子量計算、重合体のフッ化水素酸処理、GPC測定によるグラフト鎖の数平均分子量および分子量分布解析についても実施例109の場合と同様にして行い、その結果を表24−2に示した。なお、実施例111および114については、グラフト鎖に関するデータが得られなかった。
Figure 0004887626
Figure 0004887626
本発明が提供するケイ素化合物は、シルセスキオキサン誘導体であって、優れたリビング重合性のラジカル重合開始機能を有する。本発明のケイ素化合物は、特にスチレン誘導体および(メタ)アクリル酸誘導体に対して、優れたリビングラジカル重合促進機能を示す。例えば、本発明のケイ素化合物により(メタ)アクリル系単量体の重合を開始させて、本発明のシルセスキオキサン構造の3点を起点に(メタ)アクリル系ポリマーを形成させることが可能である。このようにして得られた末端にシルセスキオキサン構造の有機基を有する重合体については、そのシルセスキオキサン構造の有機基同士の相互作用を積極的に利用することも可能である。これにより構造の明確な有機一無機複合材料が得られるだけでなく、この重合体の分子集合体としての構造を制御することも可能である。そして、本発明のケイ素化合物は、更に重合開始剤としての機能以外の特性も有する。例えば、α−ハロエステルが強い求電子性を有するため、本発明のケイ素化合物に求核試薬を反応させることにより、求核試薬に応じた種々のシルセスキオキサン誘導体を合成することが可能である。従って、本発明のケイ素化合物は、有機合成における中間体としても有用である。

Claims (46)

  1. 式(1)で示されるケイ素化合物:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)のいずれかで示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z 1 は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH 2 −が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z 2 は炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH 2 −が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R 6 は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZ 1 の結合位置はZ 2 の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R 6 の結合位置はZ 1 およびZ 2 のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    Figure 0004887626
    ここに、R 4 およびR 5 は独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてR 4 およびR 5 は互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Z 1 は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH 2 −が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z 2 は炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH 2 −が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R 6 は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;そして、ベンゼン環へのZ 1 の結合位置はZ 2 の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R 6 の結合位置はZ 1 およびZ 2 のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    Figure 0004887626
    ここに、Z 4 は2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは3〜8の炭素原子を有するアルケニレンであり、そしてこれらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH 2 −は−O−で置き換えられてもよく;R 7 は水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリール、または7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;R 8 は1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、X 1 はハロゲンである。
  2. それぞれのR1が水素および炭素原子の数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキルから独立して選択される基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  3. それぞれのR1が炭素原子の数が2〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルケニルおよび炭素原子の数が1〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH2−がシクロアルケニレンで置き換えられるアルキルから独立して選択される基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  4. それぞれのR1が任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよび非置換のナフチルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  5. それぞれのR1が任意の水素がハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜12であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  6. それぞれのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  7. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  8. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  9. すべてのR1がフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり、そしてR2およびR3がメチルである、請求項に記載のケイ素化合物。
  10. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Aが式(2−1)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  11. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;Aが式(2−1)で示される基であり;式(2−1)におけるZ2がZ3−C24−であり;そして、Z3が単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項に記載のケイ素化合物。
  12. すべてのR1がフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルであり;Aが式(2−1)で示される基であり;そして、式(2−1)において、Z1が−CH2−であり、Z2が−C24−であり、Xが塩素または臭素であり、そしてaが0である、請求項に記載のケイ素化合物。
  13. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチルおよび任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Aが式(2−2)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  14. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;Aが式(2−2)で示される基であり;そして、式(2−2)において、Z2がZ3−C24−であり、Z3が単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項に記載のケイ素化合物。
  15. すべてのR1がフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルであり;Aが式(2−2)で示される基であり;そして、式(2−2)において、R4およびR5がエチルであり、Z1が−CH2−であり、Z2が−C24−であり、そしてaが0である、請求項に記載のケイ素化合物。
  16. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−3)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  17. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;Aが式(2−3)で示される基であり;そして、式(2−3)におけるZ4が炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項に記載のケイ素化合物。
  18. すべてのR1がフェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルであり;Aが式(2−3)で示される基であり;そして、式(2−3)において、Z4が−C24−、−C36−または−C24−O−C36−であり、R7およびR8がメチルであり、そしてX1が臭素である、請求項に記載のケイ素化合物。
  19. 工程(a)についで工程(b)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、A1は式(2−1−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(a)>
    式(3−1)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式におけるR1、R2およびR3は、式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する;
    <工程(b)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6−1)で示される化合物を反応させ、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    ここに、この式における記号は式(2−1−1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有し、置換基の結合位置は式(2−1−1)における置換基の結合位置と同一である。
  20. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項19に記載の製造方法。
  21. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項19に記載の製造方法。
  22. 工程(c)についで工程(b)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、A1は式(2−1−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(c)>
    式(3−2)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式にいて、R1、R2およびR3は式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
    <工程(b)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6−1)で示される化合物を反応させ、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    ここに、この式における記号は式(2−1−1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有し;置換基の結合位置は式(2−1−1)における置換基の結合位置と同一である。
  23. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項22に記載の製造方法。
  24. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項22に記載の製造方法。
  25. 式(1−1)で示されるケイ素化合物と式(7)で示される化合物とを反応させることを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;A2は式(2−2−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、R4およびR5は独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてR4およびR5は互いに結合してNと共に環を形成してもよく;Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり;そして、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    Figure 0004887626
    ここに、R1、R2およびR3は式(1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;A1は式(2−1−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1、Z3、R6およびaは式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZ1およびR6の結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一である;
    Figure 0004887626
    ここに、R4およびR5は式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;M1は周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはM 1 の原子価と同じ値である。
  26. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項25に記載の製造方法。
  27. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項25に記載の製造方法。
  28. 工程(a)または工程(c)によって式(5)で示される化合物を得、さらに工程(d)についで工程(e)を実施することを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、A2は式(2−2−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R4およびR5は独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてR4およびR5は互いに結合してNと共に環を形成してもよく;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;そして、ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(a)>
    式(3−1)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式におけるR1、R2およびR3は、式(1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有する;
    <工程(c)>
    式(3−2)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    ここに、R1は式(1−2)におけるR1と同一の意味を有し、Mは1価のアルカリ金属原子である;
    <工程(d)>
    式(6−1)で示される化合物と式(7)で示される化合物とを反応させて、式(6−2)で示される化合物を得る工程。
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式におけるZ1、Z3、R6、a、R4およびR5は式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZ1およびR6の結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一であり;Xはハロゲンであり;M1は周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはM1の原子価と同じ値である;
    <工程(e)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6−2)で示される化合物を反応させ、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得る工程。
  29. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項28に記載の製造方法。
  30. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項28に記載の製造方法。
  31. 工程(f)に次いで工程(g)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法。
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、A1は式(2−1−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(f)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(6−1)で示される化合物とを反応させて、式(8−1)で示される化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式において、R1、R2およびR3は式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Z1、Z3、R6およびaは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZ1およびR6の結合位置は式(2−1−1)におけるこれらの結合位置と同一であり;Xはハロゲンである;
    <工程(g)>
    式(8−1)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させて、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式において、R1は式(1−1)におけるR1と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
  32. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項31に記載の製造方法。
  33. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項31に記載の製造方法。
  34. 工程(d)によって式(6−2)で示される化合物を得、さらに工程(h)に次いで工程(i)を実施することを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、A2は式(2−2−1)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R4およびR5は独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてR4およびR5は互いに結合してNと共に環を形成してもよく;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;そして、ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(d)>
    式(6−1)で示される化合物と式(7)で示される化合物とを反応させて、式(6−2)で示される化合物を得る工程。
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式におけるZ1、Z3、R6、a、R4およびR5は式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZ1およびR6の結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一であり;Xはハロゲンであり;M1は周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはM1の原子価と同じ値である;
    <工程(h)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(6−2)で示される化合物と式(4)で示される化合物とを反応させ、式(8−2)で示される化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式において、R2およびR3は式(1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;その他の記号は式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;そして、ベンゼン環へのZ1およびR6の結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一である;
    <工程(i)>
    式(8−2)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させて、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得る工程:
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、これらの式において、R1は式(1−2)におけるR1と同一の意味を有し;そして、Mは1価のアルカリ金属原子である。
  35. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項34に記載の製造方法。
  36. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項34に記載の製造方法。
  37. 式(9)で示される化合物に式(10)で示される化合物を反応させることを特徴とする、式(1−3)で示されるケイ素化合物の製造方法:
    Figure 0004887626
    ここに、それぞれのR1は水素、炭素原子の数が1〜40であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルまたは非置換のナフチル基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり、ここに、1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、A3は式(2−3)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z4は2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは3〜8の炭素原子を有するアルケニレンであり、そしてこれらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく;R7は水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリール、または7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;R8は1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、X1はハロゲンである;
    Figure 0004887626
    Figure 0004887626
    ここに、式(9)におけるR1、R2、R3およびZ4は式(1−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;式(10)において、R7、R8およびX1は式(2−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;X2はハロゲンである。
  38. すべてのR1が炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3が1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項37に記載の製造方法。
  39. すべてのR1がエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される同一の基であり;R2およびR3がメチルである、請求項37に記載の製造方法。
  40. 請求項1に記載のケイ素化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として付加重合性単量体を重合することによって得られる重合体。
  41. 式(P−1)で示される重合体。
    Figure 0004887626
    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、B1は式(2−1−P)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、P1は付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
  42. 式(P−2)で示される重合体。
    Figure 0004887626
    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;
    そして、B2は式(2−2−P)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z1は炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Z3は単結合、または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH2−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R4およびR5は独立して水素、1〜12の炭素原子を有するアルキル、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10の炭素原子を有するアリールであり、そしてR4およびR5は互いに結合してNと共に環を形成してもよく;R6は1〜3の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;ベンゼン環へのZ1の結合位置はZ3の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R6の結合位置はZ1およびZ3のそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、P2は付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
  43. 式(P−3)で示される重合体。
    Figure 0004887626
    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;R2およびR3は1〜8の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、B3は式(2−3−P)で示される基である:
    Figure 0004887626
    ここに、Z4は2〜20の炭素原子を有するアルキレンまたは3〜8の炭素原子を有するアルケニレンであり、これらのアルキレンおよびアルケニレンにおける任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく;R7は水素、1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;R8は1〜20の炭素原子を有するアルキル、6〜20の炭素原子を有するアリールまたは7〜20の炭素原子を有するアリールアルキルであり;X1はハロゲンであり;そして、P3は付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
  44. 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、請求項41に記載の重合体。
  45. 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、請求項42に記載の重合体。
  46. 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、請求項43に記載の重合体。
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