JP4470738B2 - シルセスキオキサン誘導体 - Google Patents

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/21Cyclic compounds having at least one ring containing silicon, but no carbon in the ring

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  • Silicon Polymers (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明はシルセスキオキサン誘導体に関する。このシルセスキオキサン誘導体は、電子材料、光学材料、電子光学材料、または触媒担持体として用いることができ、一般的な有機重合体の特性を向上させるための添加剤としても利用できる。この特性の例は、難燃性、耐熱性、耐候性、耐光性、電気絶縁性、表面特性、硬度、力学的強度および耐薬品性である。
【0002】
なお、本発明においては、3官能の加水分解性ケイ素化合物を加水分解し縮合させることによって得られる化合物の総称として、シルセスキオキサンを用いる。そして、以下の説明においては、シルセスキオキサンを記号PSQで示すことがある。
【0003】
【背景技術】
PSQに関しては、これまで数多くの研究が行われてきた。Baneyらの総説では、存在が確認されたPSQの構造として、ラダー構造、完全縮合型構造、不完全縮合型構造および不定形構造が示されている(非特許文献1)。完全縮合型構造は、複数の環状構造によって閉じた空間が形成される構造であり、その閉じた空間の形状は限定されていない。不完全縮合型構造は、完全縮合型構造の少なくとも1箇所以上が塞がれておらず、空間が閉じていない構造である。
【0004】
Feher等は、シクロペンチルトリクロロシランまたはシクロヘキシルトリクロロシランをアセトン中で加水分解することにより、不完全縮合型構造のPSQを得ている(非特許文献2)。Shchegolikhinea等は、フェニルトリブトキシシランをブタノール中で等モルの水酸化ナトリウムと等モルの水を用いて加水分解することにより、末端がSi−O−Naとなった環状四量体のPSQを得ている(非特許文献3)。
【0005】
しかし、Shchegolikhinea等の方法を用いて、完全縮合型構造または不完全縮合型構造を有するPSQを合成した例は報告されていない。完全縮合型構造または不完全縮合型構造を有するPSQのうち、容易に合成され、単離されている化合物の種類は多くない。その中でも市販されているものの数はさらに限定されている。最近では、完全縮合型構造または不完全縮合型構造を有するPSQに、種々の官能基が導入されたPSQ誘導体が、ハイブリッドプラスチック社より市販されており、多くの用途が提案されている(非特許文献4)。
【0006】
【非特許文献1】
:Chem. Rev. 95, 1409(1995)
【非特許文献2】
:Organometallics, 10, 2556(1991)
【非特許文献3】
:Organometallics, 19, 1077(2000)
【非特許文献4】
:POSS CHEMICAL CATALOG, Hybrid Plastics (Feb. 2001)
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、市販されているPSQ誘導体の基本骨格は、SiO3/2で示される結合状態以外の有機ケイ素基を有するものを含めて数種類に過ぎない。従って、完全縮合型構造または不完全縮合型構造を有するPSQ誘導体を、広い用途において効果的に活用するためには、新規な骨格を有するPSQ誘導体が提供されることが望ましい。従来と比べてより短時間で、かつより低コストで製造できることも重要である。さらに、既存のPSQ誘導体には、一般的な有機重合体との相溶性がよくないという問題点があった。均一に混合することができなかったり、塗膜にした場合に白化したり、塗膜からブリードアウトすることがあるので、その添加量に限界があった。そのために、PSQに期待される特性を十分に付与できないものもあった。従って、PSQの用途を広げるためには、一般的な有機重合体との相溶性が改善される必要がある。本発明は、従来のPSQ誘導体に関するこのような問題点を解決するために、新規なPSQ誘導体を提供する
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、下記の構成からなる本発明によって解決される。
[1]式(1)で示されるシルセスキオキサン誘導体。
Figure 0004470738
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜45であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、ナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルと任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基である;このとき、フェニルの置換基である1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH −は−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置き換えられてもよい;少なくとも1つのYは式(2)で示される基から選択される基であり、残りのYは水素である;そして、少なくとも2つのYが式(2)で示される基であるとき、それらは同一の基であってもよく、少なくとも2つの異なる基で構成されてもよい;
Figure 0004470738
ここに、RおよびRは独立してRと同様に定義される基である;そして、ZはRと同様に定義される基、官能基または官能基を有する基である。このとき、官能基は水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、アルケニルおよびトリフルオロメチルから選択されるSi原子に直接結合する基であり、官能基を有する基はアルキレン、アルキルシクロアルキレン、アルキルフェニレンおよびアルキルフェニルアルキレンから選択される2価基とこれを介してSi原子に結合する官能基であるハロゲン、−OH、フッ素化アルキル、アルコキシ、カルボキシル、アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−オキサプロパンジオイル、ポリアルキレンオキシ、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、アルケニル、シクロアルケニル、−NH 、−CN、−NCO、−SHおよび−PH から選択される基とで構成される基である。なお、2価基におけるアルキレンおよびアルキルにおいては、1つの−CH −が−O−で置き換えられてもよい。
【0009】
[2]それぞれのRが、水素、炭素原子の数が1〜45であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、ナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルと任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であって、フェニルの置換基である1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH −が−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置き換えられてもよく、RおよびRが独立してメチル、イソプロピル、tert−ブチルまたはフェニルである、[1]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0010】
[3]それぞれのRが、水素、および炭素原子の数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキルから独立して選択される基である、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0011】
[4]それぞれのRが、炭素原子の数が2〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルケニル、および炭素原子の数が1〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられるアルキルから独立して選択される基である、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0012】
[5]それぞれのRが、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよびナフチルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0013】
[6]それぞれのRが、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と1〜12の炭素原子を有するアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0014】
[7]それぞれのRが、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と2〜12の炭素原子を有するアルケニレン基とで構成されるフェニルアルケニルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そのアルケニレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0015】
[8]それぞれのRが、炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから独立して選択される基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0016】
[9]すべてのRが、炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから選択される同一の基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0017】
[10]すべてのRが、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから選択される同一の基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0018】
[11]すべてのRがフェニルである、[2]項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
12][1]項に記載の式(2)におけるZがハロゲン化アルキルである、[1]〜[11]のいずれか1項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0030】
13][1]項に記載の式(2)におけるZがアルケニル、またはアルケニル、−OH、カルボキシル、アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−オキサプロパンジオイル、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルおよび−NHのいずれかとアルキレン、アルキルシクロアルキレン、アルキルフェニレンおよびアルキルフェニルアルキレンから選択される2価基とで構成される基であって、これらの2価基におけるアルキレンおよびアルキルにおいて、1つの−CH −が−O−で置き換えられてもよい、[1]〜[11]のいずれか1項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
【0031】
【0032】
【0033】
【発明の実施の形態】
以下の説明では、式(1)で示されるシルセスキオキサン誘導体を化合物(1)と表記することがある。式(3)で示される化合物を化合物(3)と表記することがある。他の式で示される化合物についても同様の表現法で表記することがある。本発明においては、アルキルおよびアルキレンはどちらも、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、これらの基において任意の水素がハロゲンや環式の基などと置き換えられる場合も、任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、シクロアルケニレンなどで置き換えられる場合も同様である。本発明で用いる「任意の」は、位置のみならず個数も任意であることを示す。そして、複数の水素または−CH−が置き換えられるときには、それぞれ異なる基で置き換えられてもよい。例えば、「アルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい」と記述されるとき、このアルキルの定義範囲には、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルなどが含まれる。このとき、アルコキシアルケニルにおけるアルコキシおよびアルケニレン、並びにアルケニルオキシアルキルにおけるアルケニルおよびアルキレンのいずれの基も、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。なお、本発明において、任意の−CH−が−O−で置き換えられると記述するときは、連続する複数の−CH−は−O−で置き換えられない。
【0034】
本発明のPSQ誘導体は、式(1)で示される。
Figure 0004470738
【0035】
式(1)において、それぞれのRは水素、炭素数1〜45のアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、ナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルと任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH −が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基である。すべてのRが同一の基であることが好ましいが、8個のRが少なくとも2つの異なる基で構成されていてもよい。なお、以下の説明におけるアリールは上記のフェニルまたはナフチルを意味し、アリールアルキルは上記のフェニルアルキルを意味する。
【0036】
8個のRが異なる基で構成される場合の例は、少なくとも2つのアルキルで構成される場合、少なくとも2つのアリールで構成される場合、少なくとも2つのアリールアルキルで構成される場合、水素と少なくとも1つのアリールとで構成される場合、少なくとも1つのアルキルと少なくとも1つのアリールとで構成される場合、少なくとも1つのアルキルと少なくとも1つのアリールアルキルとで構成される場合、少なくとも1つのアリールと少なくとも1つのアリールアルキルとで構成される場合などである。これらの例以外の組み合わせでもよい。少なくとも2つの異なるRを有する化合物(1)を製造する方法については後述する。
【0037】
Rがアルキルであるとき、その炭素数は1〜45である。好ましい炭素数は1〜30である。より好ましい炭素数は1〜8である。そして、このアルキルの任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよい。このようなアルキルの好ましい例は、炭素数1〜30の非置換のアルキル、炭素数2〜29のアルコキシアルキル、1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられる炭素数1〜8のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルケニルオキシアルキル、炭素数2〜20のアルキルオキシアルケニル、1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられる炭素数1〜8のアルキル、およびここに挙げたそれぞれの基において任意の水素がフッ素で置き換えられる基である。シクロアルキレンおよびシクロアルケニレンにおいて、好ましい炭素数は3〜8であり、隣り合わない2つの炭素が架橋されてもよい。
【0038】
炭素数1〜30の非置換のアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、およびトリアコンチルである。
【0039】
炭素数1〜30のフッ素化アルキルの例は、トリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、およびパーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシルである。
【0040】
炭素数2〜29のアルコキシアルキルの例は、3−メトキシプロピル、メトキシエトキシウンデシルおよび3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルである。
【0041】
1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられる炭素数1〜8のアルキルの例は、シクロヘキシルメチル、アダマンタンエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ビシクロヘプチルおよびシクロオクチルである。シクロヘキシルは、メチルの−CH−がシクロへキシレンで置き換えられる例である。シクロヘキシルメチルは、エチルの−CH−がシクロへキシレンで置き換えられる例である。
【0042】
炭素数2〜20のアルケニルの例は、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、10−ウンデセニルおよび21−ドコセニルである。
【0043】
炭素数2〜20のアルケニルオキシアルキルの例は、アリルオキシウンデシルである。
【0044】
1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられる炭素数1〜8のアルキルの例は、2−(3−シクロヘキセニル)エチル、5−(ビシクロヘプテニル)エチル、2−シクロペンテニル、3−シクロヘキセニル、5−ノルボルネン−2−イルおよび4−シクロオクテニルである。
【0045】
式(1)におけるRが任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルであるとき、ハロゲンの好ましい例は、フッ素、塩素および臭素である。この1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいては、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置き換えられてもよい。即ち、Rがアリールである場合の好ましい例は、フェニル、ナフチル、アルキルフェニル、アルキルオキシフェニル、アルケニルフェニル、少なくとも1つの−CH−がフェニレンで置き換えられるアルキルを置換基として有するフェニル、およびここに挙げたそれぞれの基において任意の水素がハロゲンで置き換えられる基である。なお、本発明においては、特に断らずに単にフェニルと称するときは、非置換のフェニルを意味する。ナフチルは非置換のナフチルを意味する。
【0046】
ハロゲン化フェニルの例は、ペンタフルオロフェニル、4−クロロフェニルおよび4−ブロモフェニルである。
【0047】
アルキルフェニルの例は、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−ヘプチルフェニル、4−オクチルフェニル、4−ノニルフェニル、4−デシルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、4−(1−メチルエチル)フェニル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニルおよび2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニルである。
【0048】
アルキルオキシフェニルの例は、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−プロポキシフェニル、4−ブトキシフェニル、4−ペンチルオキシフェニル、4−ヘプチルオキシフェニル、4−デシルオキシフェニル、4−オクタデシルオキシフェニル、4−(1−メチルエトキシ)フェニル、4−(2−メチルプロポキシ)フェニルおよび4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニルである。
【0049】
アルケニルフェニルの例は、4−ビニルフェニル、4−(1−メチルビニル)フェニルおよび4−(3−ブテニル)フェニルである。
【0050】
少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられ、このアルキルの少なくとも1つの−CH−がフェニレンで置き換えられるフェニルの例は、4−(2−フェニルビニル)フェニル、4−フェニルオキシフェニル、3−フェニルメチルフェニル、ビフェニルおよびターフェニルである。4−(2−フェニルビニル)フェニルは、エチルフェニルのエチル基において、1つの−CH−がフェニレンで置き換えられ、もう1つの−CH−が−CH=CH−で置き換えられる例である。
【0051】
水素の一部がハロゲンで置き換えられ、他の水素がアルキル、アルキルオキシまたはアルケニルで置き換えられるフェニルの例は、3−クロロ−4−メチルフェニル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニル、2,3,6−トリクロロ−4−メチルフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、2,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3,5−ジブロモ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−エトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−プロポキシフェニルおよび4−ビニル2,3,5,6−テトラフルオロフェニルである。
【0052】
次に、式(1)におけるRが、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−O−、−CH=CH−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとフェニル基とで構成されるフェニルアルキルであるとき、フェニル基の任意の水素はハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよい。この1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよい。そして、アルキレン基の好ましい炭素数は1〜12であり、より好ましい炭素数は1〜8である。
【0053】
非置換のフェニルアルキルの例は、フェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、11−フェニルウンデシル、1−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、3−フェニルブチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−フェニルブチル、2−メチル−2−フェニルプロピル、および1−フェニルヘキシルである。
【0054】
フェニル基の少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、4−フルオロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルメチル、2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エチル、3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)プロピル、2−(2−フルオロフェニル)プロピル、および2−(4−フルオロフェニル)プロピルである。
【0055】
フェニル基の少なくとも1つの水素が塩素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、4−クロロフェニルメチル、2−クロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,3,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,5−トリクロロフェニルメチル、2,3,4,6−テトラクロロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニルメチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2,4,5−クロロフェニル)エチル、2−(2,3,6−クロロフェニル)エチル、3−(3−クロロフェニル)プロピル、3−(4−クロロフェニル)プロピル、3−(2,4,5−トリクロロフェニル)プロピル、3−(2,3,6−トリクロロフェニル)プロピル、4−(2−クロロフェニル)ブチル、4−(3−クロロフェニル)ブチル、4−(4−クロロフェニル)ブチル、4−(2,3,6−トリクロロフェニル)ブチル、4−(2,4,5−トリクロロフェニル)ブチル、1−(3−クロロフェニル)エチル、1−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)プロピル、2−(2−クロロフェニル)プロピル、および1−(4−クロロフェニル)ブチルである。
【0056】
フェニル基の少なくとも1つの水素が臭素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、2−ブロモフェニルメチル、4−ブロモフェニルメチル、2,4−ジブロモフェニルメチル、2,4,6−トリブロモフェニルメチル、2,3,4,5−テトラブロモフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルメチル、2−(4−ブロモフェニル)エチル、3−(4−ブロモフェニル)プロピル、3−(3−ブロモフェニル)プロピル、4−(4−ブロモフェニル)ブチル、1−(4−ブロモフェニル)エチル、2−(2−ブロモフェニル)プロピル、および2−(4−ブロモフェニル)プロピルである。
【0057】
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられるフェニルアルキルの例は、2−メチルフェニルメチル、3−メチルフェニルメチル、4−メチルフェニルメチル、4−デシルフェニルメチル、3,5−ジメチルフェニルメチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(2,5ジメチルフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(3−エチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(2−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)プロピル、2−(2−メチルフェニル)プロピル、2−(4−エチルフェニル)プロピル、2−(2−エチルフェニル)プロピル、2−(2,3−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)ブチル、4−(1−メチルエチル)フェニルメチル、2−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)エチル、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)プロピル、および2−(3−(1−メチルエチル)フェニル)プロピルである。
【0058】
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられ、このアルキルの水素がフッ素で置き換えられるフェニルアルキルの例は、3−トリフルオロメチルフェニルメチル、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)プロピル、および1−メチル−1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチルである。
【0059】
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられ、このアルキルの−CH−が−CH=CH−で置き換えられるフェニルアルキルの例は、2−(4−ビニルフェニル)エチル、1−(4−ビニルフェニル)エチル、および1−(2−(2−プロペニル)フェニル)エチルである。
【0060】
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられ、このアルキルの−CH−が−O−で置き換えられるフェニルアルキルの例は、4−メトキシフェニルメチル、3−メトキシフェニルメチル、4−エトキシフェニルメチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピル、3−(2−メトキシフェニル)プロピル、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル、11−(4−メトキシフェニル)ウンデシル、1−(4−メトキシフェニル)エチル、(3−メトキシメチルフェニル)エチル、および3−(2−ノナデカフルオロデセニルオキシフェニル)プロピルである。
【0061】
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられ、このアルキルの−CH−がシクロアルキレン(および−O−)で置き換えられるフェニルアルキルの例は、シクロペンチルフェニルメチル、シクロペンチルオキシフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルエチル、シクロヘキシルフェニルプロピル、およびシクロヘキシルオキシフェニルメチルである。
【0062】
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられ、このアルキルの−CH−がフェニレン(および−O−)で置き換えられるフェニルアルキルの例は、2−(4−フェノキシフェニル)エチル、2−(4−フェノキシフェニル)プロピル、2−(2−フェノキシフェニル)プロピル、4−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルプロピル、2−(2−ビフェニリル)プロピル、および2−(4−ビフェニリル)プロピルである。
【0063】
フェニル基の少なくとも2つの水素が異なる基で置き換えられるフェニルアルキルの例は、3−(2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチルフェニル)プロピル、3−クロロ−2−メチルフェニルメチル、4−クロロ−2−メチルフェニルメチル、5−クロロ−2−メチルフェニルメチル、6−クロロ−2−メチルフェニルメチル、2−クロロ−4−メチルフェニルメチル、3−クロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,4,6−テトラクロロ−5−メチルフェニルメチル、2,3,4,5−テトラクロロ−6−メチルフェニルメチル、4−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,6−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4,6−トリクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、3−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、4−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、5−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、6−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、3−ブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラブロモ−4−メチルフェニルメチル、および11−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ウンデシルである。
【0064】
そして、フェニルアルキルにおけるフェニル基の最も好ましい例は、非置換のフェニル基、並びに置換基としてフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルおよびメトキシの少なくとも1つを有するフェニル基である。アルキレン基の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられるフェニルアルキルの例は、3−フェノキシプロピル、1−フェニルビニル、2−フェニルビニル、3−フェニル−2−プロペニル、4−フェニル−4−ペンテニル、13−フェニル−12−トリデセニル、フェニルシクロヘキシル、およびフェノキシシクロヘキシルである。
【0065】
フェニル基の水素がフッ素またはメチルで置き換えられるフェニルアルケニルの例は、4−フルオロフェニルビニル、2,3−ジフルオロフェニルビニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルビニル、および4−メチルフェニルビニルである。
【0066】
これらの基のうちRの好ましい例は、炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから選択される基である。そして、Rのより好ましい例は、ここに挙げたフェニルの群、フェニルアルキルの群およびナフチルから選択される基である。そして、フェニルまたはフェニルアルキルにおけるフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。そして、式(1)におけるすべてのRが、これらの好ましい例から選択される同一の基であることが好ましい。
【0067】
Rの更に好ましい具体例は、フェニル、ハロゲン化フェニル、少なくとも1つのメチルを有するフェニル、メトキシフェニル、ナフチル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルブチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、ペンタフルオロフェニルプロピル、4−エチルフェニルエチル、3−エチルフェニルエチル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニルエチル、4−ビニルフェニルエチル、1−(4−ビニルフェニル)エチル、4−メトキシフェニルプロピルおよびフェノキシプロピルである。これらの例のうちフェニルが最も好ましい。
【0068】
次に、式(1)におけるYについて説明する。Yの少なくとも1つは式(2)で示される基から選択される基であり、Yの残りは水素である。Yの少なくとも2つが式(2)で示される基であるとき、複数のYは同一の基であってもよく、少なくとも2つの異なる基で構成されてもよい。
Figure 0004470738
【0069】
式(2)において、RおよびRは独立して式(1)におけるRと同様に定義される基である。RまたはRの好ましい例は、メチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびフェニルである。
【0070】
式(2)におけるZは、式(1)におけるRと同様に定義される基、官能基または官能基を有する基である。Rと同様に定義される基のうち、炭素数1〜45のアルキル、ベンゼン環の任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよびナフチルから選択される基が好ましい。これらの基の好ましい例は、Rについて示したものと同じである。
【0071】
【0072】
Zのより好ましい例は、官能基または官能基を有する基である。官能基は水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、アルケニルおよびトリフルオロメチルから選択されるSi原子に直接結合する基であり、官能基を有する基は、アルキレン、アルキルシクロアルキレン、アルキルフェニレンおよびアルキルフェニルアルキレンから選択される2価の基とこれを介してSi原子に結合する官能基であるハロゲン、−OH、フッ素化アルキル、アルコキシ、カルボキシル、アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−オキサプロパンジオイル、ポリアルキレンオキシ、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、アルケニル、シクロアルケニル、−NH 、−CN、−NCO、−SHおよび−PH から選択される基とで構成される基である。なお、2価基におけるアルキレンおよびアルキルにおいては、1つの−CH −が−O−で置き換えられてもよい。ハロゲンの例はフッ素、塩素および臭素である。アルケニルの例はビニルおよびアリルである。シクロアルケニルの例はシクロペンタジエニル、シクロヘキセニルおよびノルボルネニルである。
【0073】
官能基のより好ましい例は、水素、ハロゲンおよび−OHであり、官能基を有する基における官能基の好ましい例は、ハロゲン、−OH、カルボキシル、アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−オキサプロパンジオイル、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、アルケニルおよび−NHである。ハロゲンを有する基の好ましい例は、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化フェニルアルキルである。これらのより好ましい官能基は、更に別の官能基に導くために利用することができ、化合物(1)を重合体の原料とするときにも利用することができる。
【0074】
次に、Zの好ましい例を具体的に示す。
Figure 0004470738

【0075】
これらの式において、kは0または1であり、mは1〜4の整数であり、nは0〜15の整数である。Xはハロゲンであり、pは1〜5の整数である。qは2または3であり、rは2〜200の整数である。tは1〜3の整数である。そして、Eは水素または1〜4の炭素原子を有するアルキルである。上記の例において、ベンゼン環への−X、−CH−X、−OH、−COOH、−CFおよび−OCFの結合位置はそれぞれ任意である。好ましいハロゲンはフッ素および塩素である。rの好ましい範囲は2〜100であり、より好ましい範囲は2〜20である。
【0076】
次に化合物(1)の製造方法について説明する。化合物(1)は、化合物(3)を用いることによって容易に製造することができる。化合物(3)は、加水分解性の基を3つ有するケイ素化合物を、アルカリ金属水酸化物の存在下、テトラヒドロフラン(以下、THFで表記する。)やアルコールのような含酸素有機溶剤中で加水分解し重縮合させることにより、容易にしかも収率よく製造することができる。加水分解性の基を3つ有するケイ素化合物の多くは市販されている。市販されていない化合物は、公知の技術(例えば、ハロゲン化シランとグリニャール試薬との反応等)により合成することができる。そして、化合物(3)を合成するに際し、加水分解性の基を3つ有するケイ素化合物を少なくとも2つ用いれば、式(3)における8個のRが少なくとも2つの異なる基で構成された化合物(3)が得られる。
Figure 0004470738
【0077】
式(3)において、Rは式(1)におけるRと同じ意味を有し、Mは1価のアルカリ金属原子である。アルカリ金属原子の例は、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムなどであり、ナトリウムが好ましい。
【0078】
化合物(3)から化合物(1)を製造する方法の1つは、まず化合物(3)に化合物(4)を反応させて化合物(5)とし、これに官能基と不飽和炭化水素基を有する化合物をヒドロシリル化反応させる方法である。
Figure 0004470738
Figure 0004470738
【0079】
式(4)におけるRおよびRは、式(2)におけるこれらの記号と同じ意味を有する。式(5)において、Tの少なくとも一つは式(4)からClを除いた次に示す基であり、残りのTは水素である。
Figure 0004470738
【0080】
化合物(4)はクロロシランであるが、他のハロゲン化シランであっても同じように使用できる。化合物(4)は市販品として入手できる。市販されていない化合物(4)は、公知の技術、例えばハロゲン化シランをグリニヤール試薬と反応させる方法により容易に得ることができる。入手のし易さを考慮すると、化合物(4)の好ましい例は、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、メチルエチルクロロシラン、メチルヘキシルクロロシラン、ジイソプロピルクロロシラン、ジtert−ブチルクロロシラン、ジシクロペンチルクロロシラン、ジシクロヘキシルクロロシラン、ジノルマルオクチルクロロシラン、メチルフェニルクロロシランおよびジフェニルクロロシランである。
【0081】
化合物(3)と化合物(4)の反応では、有機溶剤を用いることが好ましい。即ち、化合物(3)を有機溶剤に混合し、この混合物に化合物(4)を滴下する。反応終了後、必要に応じて化合物(4)を蒸留により除去したのち、水を加えて、副成したアルカリ金属の塩化物を溶解する。そして有機層を水洗し、脱水剤で乾燥してから、蒸留によりこの有機層から溶剤を除去することにより化合物(5)を得ることが出来る。また、化合物(5)は必要に応じて再結晶させるか、または有機溶剤で不純物を抽出することにより、純度を向上させることができる。
【0082】
反応時に用いる前記の溶剤は、反応の進行を阻害しないことを条件に選択され、それ以外には特に制限はない。好ましい溶剤は、脂肪族炭化水素(へキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エ−テル(ジエチルエーテル、THF、1,4−ジオキサンなど)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、四塩化炭素など)およびエステル(酢酸エチルなど)である。これらの溶剤は単独で用いても、その複数を組み合わせて用いてもよい。より好ましい溶剤は芳香族炭化水素およびエーテルであり、さらに好ましい溶剤はトルエンおよびTHFである。そして、化合物(4)と容易に反応する不純物(例:水)の含有量が極めて少ない溶剤が好ましい。
【0083】
溶剤に混合するときの化合物(1)の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて0.05〜50重量%である。反応の進行を阻害するほど副成塩の濃度が高くならないようにするためには、この割合が50重量%以下であることが好ましい。コストに悪影響を与えるほど容積効率を悪くしないためには、この割合が0.05重量%以上であることが好ましい。そして、より好ましい割合は、1〜10重量%である。化合物(4)の使用量は、化合物(1)に対してモル比4以上とすること以外に制限はないが、後処理工程を考慮すると、大過剰に用いることは望ましくない。なお、この化合物(1)に対する化合物(4)の使用割合は、Tの一部を−Hで残す場合にはモル比4より小さくてもよい。また、化合物(4)の反応性が低い場合には、その使用割合がモル比4以上であっても、Tの一部が水素である化合物(5)が得られることがある。反応温度は室温でもよく、反応を促進させるために必要に応じて加熱してもよい。反応による発熱または好ましくない反応等を制御する必要がある場合には冷却してもよい。
【0084】
この反応は、トリエチルアミン等のアミノ基を有する化合物または塩基性を示す有機化合物を添加することによって、容易に促進させることができる。トリエチルアミン等の好ましい添加割合は、トリエチルアミンを用いる場合には、溶剤の重量に基づいて0.005〜10重量%であり、より好ましい割合は0.01〜3重量%である。しかしながら、トリエチルアミン等は反応を容易に進行させることができればよいので、その添加割合に特別な制限はない。
【0085】
得られた化合物(5)に官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物をヒドロシリル化反応させることにより、化合物(1)を合成することができる。不飽和炭化水素基の例は、2〜30の炭素原子を有するアルケニル、2〜30の炭素原子を有するアルキニル、6〜10の炭素原子を有するアリールアルケニル、および6〜10の炭素原子を有するアリールアルキニルである。具体的には、ビニル、アリル、イソプロペニル、3−ブテニル、2,4−ペンタジエニル、ブタジエニル、5−ヘキセニル、ウンデセニル、エチニル、プロピニル、ヘキシニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニルエチル、5−ビシクロヘプテニル、ノルボルネニル、4−シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、スチリル、スチリルエチル、スチリルオキシ、アリルオキシプロピル、1−メトキシビニル、シクロペンテニルオキシ、3−シクロヘキセニルオキシ、アクリロイル、アクリロイルオキシ、メタクリロイル、メタクリロイルオキシなどが挙げられる。
【0086】
エポキシ基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエート、グリシジルイタコネート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2,6−ジメチル−2,3−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−6−ヘプテン、1,2−エポキシ−3−ブテン、2-シクロヘキセン-1-グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジグリシジルジカルボキシレート、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキシド、1,4−ジメチル−4−ビニルシクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、ビニルノルボルネンモノオキシドおよびジシクロペンタジエンモノオキシドである。入手し易さを考慮すると、4−ビニルシクロヘキセンオキシドおよびアリルグリシジルエーテルが好ましい。
【0087】
−OHと不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールエタンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1−ビニルシクロブタノール、2−ビニルシクロブタノール、3−ビニルシクロブタノール、ビニルフェノール、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、4−(2−プロペニル)−1,2−ベンゼンジオール、および4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3−ブテン−2−オンである。これらの化合物の−OHは、エステル化、アセタール化、ケタール化、またはシリルエーテル化によって保護されていてもよい。また入手し易さを考慮すると、これらのうち好ましい化合物は、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、2−アリルフェノール、および4−アリルフェノールである。
【0088】
メルカプト基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、アリルメルカプタンおよび2−メチル−2−プロペン−1−チオールである。
【0089】
カルボキシル基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、2−メチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−n−プロピル−3−ペンテン酸、4−ペンテン酸、3−メチル−4−ペンテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸、4−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、2,6−ヘプタジエン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、プロピオル酸、2−ブチン酸、マレイン酸、フマル酸、アセチレンカルボン酸、2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、および4−アリル−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸である。なお、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸とを示す。これらの化合物におけるカルボキシル基は、エステル化またはトリアルキルシリル化によって保護されていてもよい。そして、これらのうち好ましい化合物は、入手し易さを考慮すると、(メタ)アクリル酸、4−ペンテン酸、10−ウンデセン酸および4−ビニル安息香酸である。
【0090】
2−オキサプロパンジオイル基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、アリルこはく酸無水物、イソブチルこはく酸無水物、イソブテニルこはく酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物である。入手し易さを考慮すると、これらのうち好ましい化合物は、アリルこはく酸および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物である。
【0091】
パーフルオロアルキル基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、CCH=CH2、n−CCH=CH2、n−C613CH=CH2、n−C817CH=CH2、n−C1021CH=CH2、n−C1225CH=CH2、n−C1429CH=CH2、n−C613CH2CH2CH=CH2 ペンタフルオロプロピルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロブチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、およびヘキサデカフルオロノニルメタクリレートである。
【0092】
(メタ)アクリロイル基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、アリル(メタ)アクリレート、2−ブテニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ブテニル(メタ)アクリレート、3−メチル−2−ブテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−ヘプテニル(メタ)アクリレート、4−ヘキセニル(メタ)アクリレート、およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとビニルシクロヘキセンモノエポキシドとの1:1の付加物である。なお、(メタ)アクリロイルはアクリロイルまたはメタクリロイルを示す。(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを示す。このようなアクリル系化合物は、例えば(メタ)アクリル酸クロライドとアルケニルアルコールとの反応、(メタ)アクリル酸アルキルとアルケニルアルコールとのエステル交換反応、イソシアネート基含有アクリル系モノマーとアルケニルアルコールとの付加反応などによって合成することができる。
【0093】
シアノ基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、アクリロニトリル、アリルシアニド、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、エチルアクリロニトリル、2−ブテンニトリル、2−メチルー3−ブテンニトリル、4−メチルー3−ペンテンニトリル、および5−ヘキセンニトリルである。そして、これらのうち好ましい化合物は、入手し易さを考慮するとアクリロニトリル、アリルシアニドおよびメタクリロニトリルである。
【0094】
イソシアナート基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の例は、ビニルイソシアナート、アリルイソシアナート、3−イソシアナート−2−メチル−1−プロペン、メタクリロイルイソシアナート、イソシアナートエチルメタクリレート、ビニルベンジルイソシアナート、3−イソシアナート−1−ブテン、3−イソシアナート−3−メチル−1−ブテン、4−イソシアナート−2−メチル−1−ブテン、4−イソシアナート−3,3−ジメチル−1−ブテン、4−イソシアナート−4−メチル−1−ペンテン、および5−イソシアナート−1−ペンテンである。入手し易さを考慮すると、これらのうちの好ましい化合物は、ビニルイソシアナート、アリルイソシアナートおよびメタクリロイルイソシアナートである。
【0095】
アルキレンオキシと不飽和炭化水素基を有する化合物は、日本油脂株式会社等によって一般に市販されている。例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルの例は、PKA−5001、PKA−5002、PKA−5003、PKA−5004、およびPKA−5005である。メトキシポリエチレングリコールアリルエーテルの例は、PKA−5006、PKA−5007、PKA−5008、PKA−5009、およびPKA−5010である。ポリプロピレングリコールモノアリルエーテルの例は、PKA−5014である。ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテルの例は、PKA−5011、PKA−5012、およびPKA−5013である。市販品がない場合は、ポリアルキレングリコールまたはそのモノエーテル化合物に水素化ナトリウムを反応させてナトリウムアルコラートとし、次いでこれにアリルブロマイドを作用させることにより、アルキレンオキシ基を有するアリルエーテルを得ることができる。
【0096】
上記の官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物から1つを選んで化合物(5)にヒドロシリル化反応させれば、同一の官能基を有する化合物(1)が得られる。少なくとも2つの異なる官能基を有する化合物(1)を合成するには、官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物を少なくとも2つ用いて化合物(5)と反応させればよい。官能基を有する基であるZとRであるZが混在している化合物(1)を得るためには、官能基と不飽和炭化水素基と有する化合物と、官能基を持たないRと不飽和炭化水素基とを有する化合物との混合物を、この化合物(5)に反応させればよい。その際には、それらを混合物として1度に反応させるか、または1つずつ逐次的に反応させる。逐次的に反応させるときには、官能基の反応性が邪魔になる場合があるが、そのときにはトリメチルシリルなどの保護基を用いてあらかじめ官能基を保護すればよい。
【0097】
化合物(1)における官能基の数を1〜3にしたいとき、化合物(3)に対してモル比1〜3の化合物(4)を反応させると、官能基としてSi−H基とSi−OH基とを有する化合物(5)が得られる。従って、この方法は1種類の官能基のみを1〜3個有する化合物(1)を得る目的のためには都合が悪い。この目的を達成するためには、式(4)で表される化合物と式(4)においてHの替わりにRが結合している化合物を混合して化合物(3)に反応させればよい。もう1つの方法は、化合物(4)をSi−OH基が残らないように化合物(3)に反応させる方法である。この場合は4つのSi−H基を有する化合物(5)が得られるので、官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物と官能基を持たず不飽和炭化水素基のみを有する化合物との混合物を、この化合物(5)に反応させればよい。
【0098】
ヒドロシリル化反応に用いる溶剤は、反応の進行を阻害しないことを条件に選択され、その他には特に制限はない。好ましい溶剤の例は、化合物(3)と化合物(4)との反応の際に用いられる溶剤の例と同じであり、それらを単独で使用しても、2つ以上を組合わせて使用してもよい。より好ましい溶剤は芳香族炭化水素類であり、その中でもトルエンが最も好ましい。
【0099】
化合物(5)に官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物を反応させるとき、溶剤に対する化合物(5)の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて0.05〜80重量%である。より好ましい割合は30〜70重量%である。化合物(5)に対する官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物の使用割合は、目的によって異なる。4個のSi−H基のすべてに反応させる場合には、収率を高めるために好ましい割合は、化合物(5)に対してモル比4以上である。異なる官能基を導入する場合、または官能基と不飽和炭化水素基とを有する化合物と官能基を持たずRと不飽和炭化水素基とを有する化合物との混合物を化合物(5)に反応させる場合でも、Si−H基を残さないようにするには、その合計使用量の割合をモル比4以上にしなければならない。そして、一部のSi−H基を残すときには、不飽和炭化水素基を有する化合物の合計の使用割合を、化合物(5)に対してモル比4より小さくすればよい。化合物(5)におけるSi−H基が4個に満たない場合には、その個数に合わせて上記と同様に配慮すればよい。
【0100】
反応温度は室温でもよい。反応を促進させるために必要に応じて加熱してもよい。反応による発熱または好ましくない反応等を制御するために必要であれば、冷却してもよい。必要であれば、ヒドロシリル化触媒を添加することによって、反応をより容易に進行させることができる。好ましいヒドロシリル化触媒の例は、カールステッド(Karstedt)触媒、スパイヤー(Spier)触媒、ウィルキンソン触媒(Wilkinson)などであり、これらは一般的によく知られた触媒である。
【0101】
これらのヒドロシリル化触媒は、反応性が高いので少量添加すれば十分反応を進めることができる。通常、含有する遷移金属がヒドロシリル基に対して10−9〜1モル%となる範囲で使用すればよい。好ましい添加量は10−7〜10−3モル%である。反応を進行させ、容認できる時間内で終了させるために必要な触媒添加量は、含有遷移金属がヒドロシリル基に対して10−9モル%以上となる量である。製造コストを低く抑えることを考慮すると、添加触媒量を含有遷移金属がヒドロシリル基に対して1モル%以下となる量にする必要がある。
【0102】
化合物(3)を用いて化合物(1)を製造する別の方法は、化合物(3)と化合物(6)とを反応させる方法である。化合物(6)には、市販されているものがある。市販されていない場合でも、ハロゲン化シランをグリニャール試薬と反応させる方法やハロゲン化ヒドロシランと官能基を有する不飽和炭化水素類をヒドロシリル化反応を行う等の公知技術により、化合物(6)を合成することができる。
Figure 0004470738
化合物(6)が市販品として入手可能の場合にはこの方法も有効である。
【0103】
この反応は、基本的には、化合物(3)と化合物(4)の反応と全く同じようにして実施することができる。化合物(6)の好ましい使用量も、反応の収率を高めるためには、化合物(3)に対してモル比4以上である。化合物(3)に対して1つの化合物(6)を反応させれば、同一の官能基を有する化合物(1)が得られる。少なくとも2つの異なる官能基を有する化合物(1)を合成するには、少なくとも2つの化合物(6)を反応させればよい。官能基を有する基であるZとRであるZが混在している化合物(1)を得るためには、化合物(6)と式(6)においてZがRである化合物との混合物を反応させればよい。このとき、化合物(6)の反応性の違いを考慮して、それらを混合物として1度に反応させるか、または1つずつ逐次的に反応させる。逐次的に反応させるときには、官能基の反応性が邪魔になる場合があるが、そのときにはトリメチルシリルなどの保護基を用いてあらかじめ官能基を保護すればよい。少なくとも2つ化合物(6)を用いる場合には、その合計使用量を化合物(3)に対してモル比4以上とする。このモル比が4より小さいとき、または化合物(6)の反応性が低いときは、Yの一部が水素の化合物(1)が得られる。
【0104】
化合物(6)の例は、アセトキシエチルジメチルクロロシラン、3−アセトキシプロピルジメチルクロロシラン、3−(トリメチルシロキシ)プロピルジメチルクロロシラン、10−(カルボメトキシ)デシルジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルメチルクロロシラン、ジクロロメチルジメチルクロロシラン、ビス(クロロメチル)メチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルジメチルクロロシラン、4−クロロブチルジメチルクロロシラン、11−ブロモウンデシルジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルクロロシラン、3−シアノプロピルジイソプロピルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、アリルジメチルシラン、5−ヘキセニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルジフェニルクロロシラン、フェニルエチニルジイソプロピルクロロシラン、トリビニルクロロシラン、メターアリルフェニルプロピルジメチルクロロシラン、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]ジメチルクロロシラン、5−ノルボルネン−2−イル(エチル)ジメチルクロロシラン、3−イソシアナートプロピルジメチルクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジメチルクロロシラン、ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルジメチルクロロシラン、および1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルジメチルクロロシランである。
【0105】
化合物(1)の官能基が付加重合性または縮重合性の基であるとき、化合物(1)を重合体にすることができる。採用できる重合方法は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、メタルイニシエーティッド重合法、縮重合法などの一般的な方法である。このとき他のモノマーと共重合させてもよい。共重合体においては、化合物(1)を示唆する構成単位の配置形態は、ランダム、ブロック、交互などのいずれであってもよい。他のポリマーに化合物(1)をグラフト重合させることもできる。重合性の基の例は、アルケニル、−OH、カルボキシル、2−オキサプロパンジオイル、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、オキセタニレンおよびアミノである。
【0106】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されない。実施例における化学式では、Phはフェニルであり、Meはメチルであり、TMSはトリメチルシリルであり、Acはアセチルである。なお、実施例における平均分子量は、THFを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によってを測定し、標準ポリスチレンを用いて作製した校正曲線から算出した値であり、未補正である。すべての核磁気共鳴スペクトルは、重クロロホルムを溶媒、テトラメチルシランを内部標準物質として「JEOL GSX−400」を用いて測定した。赤外線吸収スペクトル分析(IR)は「JASCO FT/IR−7000」を用いて測定した。
【0107】
実施例1
<化合物(3−1)の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を備えた内容積50リットルの反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(6.54kg)、2−プロピルアルコール(26.3リットル)、純水(0.66kg)、および水酸化ナトリウム(0.88kg)を仕込み、乾燥窒素でシールした。撹拌しながら加熱し、還流状態で5時間反応させた。反応終了後室温で15時間放置し、得られた反応混合物からデカンテーションによって上澄み液を除去した。得られた残渣から、孔径0.1μmのメンブランフィルターを備えた加圧濾過器を用いて白色固体を分離し、この白色固体を2−プロピルアルコール(9.87kg)で1回洗浄した。この物質をポリテトラフルオロエチレンシートで内張したステンレス製トレーに移し、減圧乾燥機を用いて、庫内温度80℃、圧力6.7×10−4MPaで24時間乾燥して、白色粉末状の固体2.22kgを得た。
【0108】
実施例2
<化合物(3−1)の構造確認>
滴下漏斗、還流冷却器、温度計を備えた内容積50mlの反応容器に、上記の白色粉末状の固体(1.2g)、THF(10g)、およびトリエチルアミン(1.6g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーによる撹拌下で、溶液温度を15℃〜20℃に保ちながらクロロトリメチルシラン(2.2g)を約1分間で滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、15℃で3.5時間撹拌を続けた。その後、脱イオン水(10g)を加えて、副成した塩化ナトリウムを溶解、未反応のクロロトリメチルシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物は有機層と水層に分液漏斗で分離した。得られた有機層は脱イオン水を用いて洗浄し、洗浄液のpHが中性になるまで水洗を繰り返した。そして有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して、1.2gの白色固形物を得た。
【0109】
得られた白色固形物を、GPC、H−NMR、および29Si−NMRによって分析し、構造解析を行った。GPCチャートから、白色固形物が単分散性を示し、ポリスチレン換算での数平均分子量が970、重量平均分子量が990であることが確認された。H−NMR分析の結果、フェニル基とトリメチルシリル基が 8:4 の積分比で存在することが確認された。29Si−NMR 分析結果から、フェニルを有するT構造を示唆するシグナルが −76.12ppm と −78.95ppmに 1:1の積分比で2本、トリメチルシリル基を示唆するシグナルが10.62ppm に1本存在することが確認された。T構造は、ケイ素原子が3個の酸素原子と結合している構造である。以上の分析結果は式(a)の構造を支持していた。従って、トリメチルシリル化される前の化合物は、式(3−1)で示される化学構造を有すると判断される。
【0110】
Figure 0004470738
Figure 0004470738
【0111】
実施例3
<ヒドロシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体の合成 >
滴下漏斗、温度計、および還流冷却器を備えた内容積1000ミリリットルの反応容器に、実施例1で得られた化合物(3−1)(69g)、およびトルエン(520g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーによる撹拌下で、溶液温度を23〜38℃に保ちながら、クロロジメチルシラン(80g)を約11分間で滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、撹拌しながらオイルバスで加熱し、還流状態で3時間反応した。反応終了後、反応液温度が50℃以下になるまで冷却した。次いで単蒸留で未反応のクロロジメチルシランを除去したのち、反応液の液量が約1/2になるまで濃縮を行なった。そして反応液温度が50℃以下になるまで冷却した後、脱イオン水(150g)を滴下漏斗から滴下した。滴下終了後10分間撹拌したのち分液漏斗で有機層と水層を分離した。有機層は1回あたり100mlの脱イオン水で2回洗浄した。得られた有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過、減圧濃縮して白色固体71gを得た。この白色固体をノルマルヘプタン(355ml)で1回抽出し不純物を除去したのち、濾過、減圧乾燥して、白色粉末状固体55gを得た。
【0112】
得られた白色粉末状固体は、KBr錠剤法によるIR分析の結果、2142cm−1にSi−Hの伸縮に基づく吸収を確認した。29Si−NMR分析の結果、−3.81ppm にジメチルシリル基のシグナルを確認した。H−NMR分析の結果、Ph基、SiH基、Me基に基づく積分比がそれぞれ 40:4:24であることを確認した。GPC分析の結果、数平均分子量は930、重量平均分子量は980であった。以上のデータは、白色粉末状固体が式(7)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0113】
Figure 0004470738
【0114】
実施例4
<グリシジル基を有するシルセスキオキサン誘導体の製造>
温度計、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた内容積50ミリリットルの反応容器に、実施例3で得られた化合物(7)(2.0g)、アリルグリシジルエーテル(1.4g)、およびトルエン(3.4g)を仕込み、乾燥窒素でシールした。マグネチックスターラーで攪拌しながら、反応液温度が70℃になるように加熱した。そしてマイクロシリンジでカルステッド触媒(2.0μl)を添加したのち、1時間撹拌を継続した。そして反応液をサンプリングしIR分析を行なった結果、Si−H基を示唆する2138cm−1の吸収が消失していることを確認した。次いで、反応液は減圧濃縮して粘稠な液体2.5gを得た。
【0115】
得られた粘稠な液体について、29Si−NMR分析を行なった結果、グリシドキシプロピルジメチルシリル基に相当する11.42ppmのシグナルを確認した。GPC分析の結果、数平均分子量は1100、重量平均分子量は1170であった。以上のデータは、粘稠な液体が式(8)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0116】
Figure 0004470738
【0117】
実施例5
<ヒドロキシル基を有するシルセスキオキサン誘導体の製造>
実施例4で用いたものと同じ反応容器に、化合物(7)(5.2g)、2−アリルオキシエタノール(6.6g)、およびトルエン(5.2g)を仕込み、乾燥窒素でシールした。マグネチックスターラーで攪拌しながら、反応液温度が42℃になるように加熱した。そしてマイクロシリンジを用いてカルステッド触媒(33μl)を添加したのち、反応液温度を60℃に加熱して2時間撹拌を継続した。そして、反応液をサンプリングしIR分析を行なった結果、Si−H基を示唆する2138cm−1の吸収が消失していることを確認した。ついで反応液を減圧濃縮したのち残渣を酢酸エチル(28g)で20重量%に希釈した。そして粉末活性炭(0.4g)を加え1.5時間攪拌を継続した。そして活性炭を濾過により除去したのち減圧濃縮を行い粘稠で透明の液体6.6gを得た。
【0118】
得られた粘稠な液体について、液膜法によりIR分析を行なった結果、3450cm−1にヒドロキシル基のO−H伸縮振動による吸収を確認した。29Si−NMR分析を行なった結果、(3−(2−ヒドロキシエチルオキシ)プロピル)ジメチルシリル基に相当する11.42ppmのピークを確認した。GPC分析を行なった結果、数平均分子量は1180、重量平均分子量は1230であった。以上のデータは、粘稠な液体が式(9)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0119】
Figure 0004470738
【0120】
実施例6
<アセトキシ基を有するシルセスキオキサン誘導体の製造>
実施例4で用いたものと同じ反応容器に、化合物(7)(10.4g)、2−アリルオキシエタノールと塩化アセチルから調製した酢酸 2−アリルオキシエチルエステル(6.9g)、およびトルエン(17.3g)を仕込み、乾燥窒素でシールした。マグネチックスターラーで攪拌しながら、反応液温度が56℃になるように加熱した。そしてマイクロシリンジを用いてカルステッド触媒(10μl)を添加したのち、反応液温度を80℃にして4時間撹拌を継続した。そして、反応液をサンプリングしIR分析を行なった結果、Si−H基を示唆する2138cm−1の吸収が消失していることを確認した。ついで反応液を減圧濃縮行い粘稠の液体15.3gを得た。
【0121】
得られた粘稠な液体について、液膜法によりIR分析を行なった結果、1739cm−1にC=O伸縮に基づく吸収を確認した。29Si−NMR分析を行なった結果、(3−(2−アセトキシエトキシ)プロピル)ジメチルシリル基に相当する11.41ppmのシグナルを確認した。13C−NMR分析を行なった結果、170.83ppmにC=O基に由来するシグナルを確認した。GPC分析を行なった結果、数平均分子量は1460、重量平均分子量は1510であった。以上のデータは、粘稠な液体が式(10)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0122】
Figure 0004470738
【0123】
実施例7
<カルボキシル基を有するシルセスキオキサン誘導体の製造>
実施例4で用いたものと同じ反応容器に、化合物(7)(5.2g)、4−ペンテン酸トリメチルシリルエステル(3.0g)、およびトルエン(7.5g)を仕込み、乾燥窒素でシールした。マグネチックスターラーで攪拌しながら、反応液温度が80℃になるように加熱した。そしてマイクロシリンジでカルステッド触媒(4.0μl)を添加したのち1時間撹拌を継続した。そして、反応液をサンプリングしてIR分析を行なった結果、Si−H基を示唆する2138cm−1の吸収が消失していることを確認した。そして減圧濃縮を行い、粘稠な液体7.7gを得た。得られた粘稠な液体にメチルアルコール(6.1g)を添加し、マグネチックスターラーを用いて溶液温度27℃で4時間撹拌を継続した。ついで、この溶液に粉末活性炭(0.23g)を添加して1時間撹拌を継続した。活性炭を濾過により除去したのち減圧濃縮を行い、白色固体6.2gを得た。
【0124】
得られた白色固体について、13C−NMR分析を行った結果、180.44ppm にカルボキシル基を示唆するピークを確認した。GPC分析を行なった結果、数平均分子量は1490、重量平均分子量は1550であった。以上のデータは、白色固体が式(11)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0125】
Figure 0004470738
【0126】
実施例8
<メタクリルオキシ基含有シルセスキオキサン誘導体の製造>
実施例4で用いたものと同じ反応容器に、実施例1で製造した化合物(3−1)(1.2g)、THF(20g)、およびトリエチルアミン(8.1g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、反応液温度を5〜10℃に保ちながらメタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(18g)を約11分間で滴下漏斗から滴下したのち、5時間撹拌を継続した。反応終了後、脱イオン水(10g)を滴下漏斗から滴下したのち、有機層と水層を分液漏斗で分離した。有機層は脱イオン水で繰り返し水洗して中性とした。このようにして得られた有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して粘稠な液体15gを得た。そして、この粘稠な液体はノルマルヘキサン−酢酸エチル混合溶剤(容量比5:1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体1.5gを得た。
【0127】
得られた白色固体について、KBr錠剤法によりIR分析を行なった結果、1718cm−1にC=O伸縮に基づく吸収を確認した。29Si−NMR分析を行なった結果、11.02ppmに3−メタクリロキシプロピルジメチルシリル基を示唆するピークを確認した。GPC分析を行なった結果、数平均分子量は1180、重量平均分子量は1210であった。以上のデータは、白色固体が式(12)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0128】
Figure 0004470738
【0129】
実施例9
<3−クロロプロピル基含有シルセスキオキサン誘導体の製造>
実施例4で用いたものと同じ反応容器に、化合物(3−1)(5.8g)、THF(50g)、トリエチルアミン(5.0g)を仕込み乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、反応液温度を28〜41℃に保ちながら3−クロロプロピルジメチルクロロシラン(10.3g)を約3分間で滴下漏斗から滴下したのち、4時間撹拌を継続した。次いで脱イオン水(30g)をゆっくりと滴下した。反応終了後、有機層と水層を分液漏斗で分離した。そして有機層を0.1規定の塩酸水溶液で1回洗浄したのち、脱イオン水で3回水洗した。得られた有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して8.0gの粘稠な液体を得た。この粘稠な液体はメチルアルコール(120g)で再結晶を行い、白色固体4.2gを得た。
【0130】
得られた白色固体について、KBr錠剤法によりIR分析を行なった結果、787cm−1にC−Cl基の伸縮に基づく吸収を確認した。H−NMR分析を行なった結果、3.0ppmに−CHCl基に由来のトリプレットに分裂したシグナルを確認した。13C−NMR分析を行なった結果、47.36ppmに−CHCl基に由来のシグナルを確認した。29Si−NMR分析を行なった結果、10.84ppmに3−クロロプロピルジメチルシリル基のシグナルを確認した。GPC分析を行なった結果、数平均分子量が1130、重量平均分子量が1140であった。以上のデータは、白色固体が式(13)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0131】
Figure 0004470738
【0132】
【産業上の利用可能性】
本発明により、式(1)で示される新規なシルセスキオキサン誘導体およびこれを短時間で高収率に製造する方法が提供される。本発明のシルセスキオキサン誘導体は、一般的な有機重合体との相溶性の改善が期待され、更に官能基を有する場合には、一般的な有機重合体のための反応性改質剤として極めて利用価値の高いものである。

Claims (13)

  1. 式(1)で示されるシルセスキオキサン誘導体。
    Figure 0004470738
    ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜45であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、ナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルと任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基である;このとき、フェニルの置換基である1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH −は−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置き換えられてもよい;少なくとも1つのYは式(2)で示される基から選択される基であり、残りのYは水素である;そして、少なくとも2つのYが式(2)で示される基であるとき、それらはは同一の基であってもよく、少なくとも2つの異なる基で構成されてもよい;
    Figure 0004470738
    ここに、RおよびRは独立してRと同様に定義される基である;そして、ZはRと同様に定義される基、官能基または官能基を有する基である。このとき、官能基は水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、アルケニルおよびトリフルオロメチルから選択されるSi原子に直接結合する基であり、官能基を有する基はアルキレン、アルキルシクロアルキレン、アルキルフェニレンおよびアルキルフェニルアルキレンから選択される2価基とこれを介してSi原子に結合する官能基であるハロゲン、−OH、フッ素化アルキル、アルコキシ、カルボキシル、アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−オキサプロパンジオイル、ポリアルキレンオキシ、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、アルケニル、シクロアルケニル、−NH 、−CN、−NCO、−SHおよび−PH から選択される基とで構成される基である。なお、2価基におけるアルキレンおよびアルキルにおいては、1つの−CH −が−O−で置き換えられてもよい。
  2. それぞれのRが、水素、炭素原子の数が1〜45であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、ナフチル、および任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルと任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であって、フェニルの置換基である1〜10の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH −が−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置き換えられてもよく、RおよびRが独立してメチル、イソプロピル、tert−ブチルまたはフェニルである、請求項1に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  3. それぞれのRが、水素、および炭素原子の数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキルから独立して選択される基である、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  4. それぞれのRが、炭素原子の数が2〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルケニル、および炭素原子の数が1〜20であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH−がシクロアルケニレンで置き換えられるアルキルから独立して選択される基である、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  5. それぞれのRが、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよびナフチルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  6. それぞれのRが、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と1〜12の炭素原子を有するアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  7. それぞれのRが、任意の水素がハロゲンまたは1〜10の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と2〜12の炭素原子を有するアルケニレン基とで構成されるフェニルアルケニルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよく;そのアルケニレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  8. それぞれのRが、炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンと基で構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから独立して選択される基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  9. すべてのRが、炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから選択される同一の基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  10. すべてのRが、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、任意の水素がフッ素、1〜4の炭素原子を有するアルキル、ビニルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であり、そして任意の−CH−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルおよびナフチルから選択される同一の基であり;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  11. すべてのRがフェニルである、請求項2に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  12. 請求項1に記載の式(2)におけるZがハロゲン化アルキルである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
  13. 請求項1に記載の式(2)におけるZがアルケニル、またはアルケニル、−OH、カルボキシル、アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−オキサプロパンジオイル、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルおよび−NHのいずれかとアルキレン、アルキルシクロアルキレン、アルキルフェニレンおよびアルキルフェニルアルキレンから選択される2価基とで構成される基であって、これらの2価基におけるアルキレンおよびアルキルにおいて、1つの−CH −が−O−で置き換えられてもよい、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシルセスキオキサン誘導体。
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