JP7474442B2 - 長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン - Google Patents

長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン Download PDF

Info

Publication number
JP7474442B2
JP7474442B2 JP2020158604A JP2020158604A JP7474442B2 JP 7474442 B2 JP7474442 B2 JP 7474442B2 JP 2020158604 A JP2020158604 A JP 2020158604A JP 2020158604 A JP2020158604 A JP 2020158604A JP 7474442 B2 JP7474442 B2 JP 7474442B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
alkyl
confirmed
incomplete cage
measurement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020158604A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022052303A (ja
Inventor
健介 中
貴也 大野
裕顕 井本
公洋 松川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
Kyoto Institute of Technology NUC
Original Assignee
JNC Corp
Kyoto Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JNC Corp, Kyoto Institute of Technology NUC filed Critical JNC Corp
Priority to JP2020158604A priority Critical patent/JP7474442B2/ja
Publication of JP2022052303A publication Critical patent/JP2022052303A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7474442B2 publication Critical patent/JP7474442B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

特許法第30条第2項適用 第69回高分子討論会高分子学会 予稿集69巻2号にて発行 発行日 令和2年9月2日 第69回高分子討論会高分子学会 ショートプレゼンテーション発表およびオンラインポスター発表 発表日 令和2年9月16日から9月18日
本発明は、長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサンに関する。
かご型シルセスキオキサンはシロキサン結合(-Si-O-Si-)からなる立方体構造を有する無機骨格の頂点に有機置換基を有する化合物の総称である。このかご型シルセスキオキサンは剛直な無機骨格に起因する優れた耐熱性、機械的特性を示し、かご頂点の有機置換基の修飾により物性制御が可能であることから、分子レベルでの有機-無機ハイブリッド材料のナノビルディングブロックとして注目を集め、幅広い検討が行われている。
かご型シルセスキオキサンの立方体構造のうち一部が欠損したものは不完全型かご型シルセスキオキサンと呼ばれる。この不完全かご型シルセスキオキサンはかご骨格の頂点に異種置換基が導入された多置換かご型シルセスキオキサンの原料として用いることができるほか、不完全なかご骨格を維持したまま化学修飾を施すことも可能な優れた反応前駆体である。
フッ化アルキルは低い表面自由エネルギーのために、フッ化アルキルの導入により優れた撥水性、撥油性を付与することができる。また、フッ化アルキルは分極率が低いために、フッ化アルキルの導入により低屈折率化が実現できる。このようなフッ化アルキルの特徴を活かし、特許文献1のような含フッ素シルセスキオキサンを用いた防汚コーティング剤や、特許文献2のような反射防止コーティング剤等が開発されている。
また、上記以外にもフッ化アルキルの導入によって得られる効果として、フッ化アルキル間の親和力による隣接分子が凝集する効果(フルオロフィリック効果)が知られているが、上記先行技術文献中においては、このフルオロフィリック効果をかご型シルセスキオキサンの分子充填構造の制御に活用できることについては言及されていない。
特開2012-001724号公報 特開2012-086419号公報
本発明の課題は、開口部に導入されたアルキルの分散力およびフッ化アルキルとアルキルの非相溶性によって、液晶性を発現する、不完全かご型シルセスキオキサン誘導体を提供することである。
本発明者らが上記の目的を達成すべく、鋭意検討した結果、頂点官能基にフッ化アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサンの開口部に長鎖アルキルを導入した含フッ素不完全かご型シルセスキオキサンが上記課題を解決する事を見出し、本発明を完成させた。
本発明よれば、開口部に導入されたアルキルの分散力およびフッ化アルキルとアルキルの非相溶性によって、ラメラ液晶相を発現する、不完全かご型シルセスキオキサン誘導体が提供される。
実施例1で合成した化合物(4)のH‐NMRスペクトルである。 化合物(4)の29Si‐NMRスペクトルである。 化合物(4)の室温で撮影された偏光顕微鏡写真(倍率200倍)である。 化合物(4)の室温での粉末X線回折測定の結果である。 比較例1で合成した化合物(6)のH‐NMRスペクトルである。 化合物(6)の29Si‐NMRスペクトルである。 化合物(6)の室温で撮影された偏光顕微鏡写真(倍率200倍)である。 比較例2で合成した化合物(8)のH‐NMRスペクトルである。 化合物(8)の29Si‐NMRスペクトルである。 化合物(8)の室温で撮影された偏光顕微鏡写真(倍率200倍)である。 化合物(8)の室温での粉末X線回折測定の結果である。
以下、本技術の一実施形態について詳細に説明する。また本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明は下記の項などである。
[項1] 式(1)で表される不完全かご型シルセスキオキサン。
Figure 0007474442000001

式(1)において、すべてのRは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1以上10以下のアルキル群から選択される同一の基であり;Rはメチルであり;Rは独立して炭素数8以上20以下のアルキルである。
[項2] 式(1)において、すべてのRは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数3以上10以下のアルキル群から選択される同一の基である、項1に記載の不完全かご型シルセスキオキサン誘導体。
[項3] 式(1)において、すべてのRは3,3,3-トリフルオロプロピルであり、すべてのRが炭素数16のアルキルである、項1に記載の不完全かご型シルセスキオキサン誘導体。
本実施形態におけるアルキルは、いずれの場合も直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。
「少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1以上10以下のアルキル」の句は、例えばトリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3、3、3-トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、およびヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルを示す。
そして、Rの好ましい例は、3、3、3-トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルなどである。そして、Rの特に好ましい例は、3、3、3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルなどである。
アルキル鎖長の分散力に起因する安定性の面から、Rは直鎖が好ましく、Rの炭素数は8から20が好ましい。「炭素数8以上20以下のアルキル」の句は、例えばn-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-イコシルを示す。
「化合物(1)」は、式(1)で表される化合物を意味し、また、式(1)で表される化合物の少なくとも1種を意味することもある。
化合物(1)の製造方法は化合物(2)を用いることができる。
Figure 0007474442000002

化合物(2)は特開2005-015738号公報の記載を参照して合成することができ、下記の化合物(3)に対し、塩基性を示す有機化合物の存在下、有機溶剤中でdimethylchlorosilaneを作用させることにより、容易かつ収率良く製造することができる。
Figure 0007474442000003

式(3)において、Mはリチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムなどの1価のアルカリ金属原子である。Mの好ましい例はナトリウムである。Rのすべては、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1~10のアルキルの群である。そして、Rの好ましい例は、3、3、3-トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルなどである。そして、Rの特に好ましい例は、3、3、3-トリフルオロプロピルおよび3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルなどである。
上記手法によって合成した化合物(2)を遷移金属触媒の存在下、末端不飽和結合を1つ有する直鎖状不飽和炭化水素化合物とヒドロシリル化反応させることにより、化合物(2)のSi-H基と直鎖状不飽和炭化水素化合物の末端不飽和結合の間に結合が形成され、化合物(1)が得られる。
好ましいヒドロシリル化触媒の例は、カルステッド(Karstedt)触媒、スパイヤー(Spier)触媒、ヘキサクロロ白金酸などである。
末端不飽和結合を1つ有する直鎖状炭化水素化合物は、例えば1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、および1-エイコセンである。
化合物(1)のRがイソブチルおよびフェニルであり、Rがメチルであるものについてはそれぞれ市販のTrisilanolisobutyl POSSおよびTrisilanolPhenyl POSS(いずれもHybrid plastic社製)を原料に用い、塩基性を示す有機化合物の存在下、有機溶剤中でdimethylchlorosilaneを作用させることにより、容易かつ収率良く製造することができる。
本発明で得られる不完全かご型シルセスキオキサン誘導体は、液晶性を有することから無溶媒での塗布プロセスが適用可能であり、結晶性のシルセスキオキサン誘導体と比較して加工性に優れる。
以下に、本発明に対して実施例を用いて詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。なお温度の記載がない場合は、23℃で測定を行った。
[化合物の構造同定]
化合物の構造同定をNMRで行った。NMRはBruker社製のBruker DPX-400で計測した。H-NMR測定での磁場強度は400MHzであり、29Si-NMR測定での磁場強度は80MHzである。なお、29Si-NMRの測定にはDEPT法を用いた。試料はCDClに溶解させ、測定は室温で行った。この際、積算回数はH-NMRでは16回であり、29Si-NMRでは信号強度を見ながら適切なスペクトルが得られた時点で積算を終了した。
[化合物の相転移挙動の確認]
化合物の相転移挙動の確認はDSC測定によって行った。DSCは島津製作所社製のDSC-60で計測した。スキャン速度は5または10℃/minで測定を行い、試料を50℃以下の冷却が必要な場合には液体窒素を使用した。
[化合物の液晶性の確認]
化合物の液晶性の確認は偏光顕微鏡(POM)観察によって行った。偏光顕微鏡はニコン社製のOPTIPHOT POLを用い、試料の温度制御には東海ヒット社製のTHERMO PLATE TP-S-100を用いた。
[化合物の分子充填構造の評価]
化合物の分子充填構造の測定は粉末XRD測定によって行った。測定にはリガク社製全自動多目的X線回折装置Smart Labを使用した。線源にはCuのKα線を用いた。 測定範囲は2θ=3~40°、測定幅は0.01°で測定を行った。
[実施例1]
化合物(4)の合成と評価
<合成>
温度計、還流器、ガラス栓を備えた50mL四つ口フラスコに化合物3(0.5g),1-hexadecene(0.4g)、トルエン(3mL)を仕込み窒素雰囲気下でマグネチックスターラーを用いて撹拌した。カルステッド触媒(2μL)を加え、80℃まで加熱し、6時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで放冷し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。得られた残渣を、分取HPLCを用いて精製することで、白色固体(0.7g)を得た。
<構造同定>
得られた白色固体の構造を、H-NMR(図1)及び29Si-NMR(図2)を用いて決定した。H-NMR測定の結果、合成原料である化合物(5)のSi-H基に由来する4.74~4.77ppmのピークが消失しており、0.58ppm付近にヒドロシリル化反応によって形成されるSi-C結合のメチレンに対応するピークおよび1.25 ppm付近にアルキル鎖中のメチレンに由来するピークが確認された。29Si NMR測定の結果、合成原料である化合物(5)のSi-H基に由来する-2.28ppmのピークが消失しており、12.59ppmに新たなSi-C結合の形成に対応するピークが確認された。また、T構造に由来するピークが-66.27,-68.35,および-69.68ppmに3本確認された。以上の結果より、上記反応によって得られた白色固体が式(4)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007474442000004

Figure 0007474442000005
<物性評価>
得られた化合物(4)の相転移挙動の評価を示差走査熱量(DSC)測定および偏光顕微鏡(POM)観察により実施した。DSC測定の昇温過程(5℃/min)において12.5℃および27.8℃に2つの吸熱ピークが観測された。このことより、化合物(4)が固体-液体間で相転移することが確認された。室温でのPOM観察において、化合物(4)が複屈折性と流動性を有する相状態(秩序構造)であることが確認され、室温での相状態が液晶相であることが確認された(図3)。
さらに、粉末X線回折測定により、分子充填構造について詳細な評価を行った結果、ラメラ構造に特徴的な等間隔のピークが観測され、化合物(4)が室温でラメラ液晶相を発現していることが確認された(図4)。
[比較例1]
化合物(6)の合成と評価
<合成>
温度計、還流器、ガラス栓を備えた50mL四つ口フラスコに化合物(7)(0.5g),1-hexadecene(0.5g)、THF(3mL)を仕込み窒素雰囲気下でマグネチックスターラーを用いて撹拌した。カルステッド触媒(3μL)を加え、THFの還流温度下で6時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで放冷し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。得られた残渣をHPLCを用いて精製することで、無色液体2(0.4g)を得た。
<構造同定>
得られた無色液体の構造を、H-NMR(図5)及び29Si-NMR(図6)を用いて決定した。H-NMR測定の結果、合成原料である化合物(7)のSi-H基に対応する4.72~4.74ppmのピークが消失しており、0.87~0.91ppmに長鎖アルキル末端のメチルに対応するピークおよび1.27ppm付近にアルキル鎖中のメチレンに対応するピークが確認された。29Si-NMR測定の結果、合成原料である化合物(7)のSi-H基に対応する-5.43ppmのピークが消失しており、9.16ppmにヒドロシリル化反応によって形成されるSi-C結合に対応するピークが確認された。また、T構造に由来するピークが-67.3,-67.8,および-68.3ppmに3本確認された。以上の結果より、上記反応によって得られた無色液体が式(6)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007474442000006

Figure 0007474442000007
<物性評価>
得られた化合物(6)の相転移挙動の評価を示差走査熱量(DSC)測定および偏光顕微鏡(POM)観察により実施した。DSC測定の昇温過程(10℃/min)において-2.78℃および7.12℃に2つの吸熱ピークが、2.67℃に1つの発熱ピークが観測された。化合物(6)の昇温過程において2つの吸熱ピークが見られているが、これらのピークの間に発熱ピークが見られていることから、固体-液体間に液晶相に類するような相状態が存在することを示すものではなく、融解過程において試料の一部が再結晶化したことを示している。室温でのPOM観察は視野一面が暗視野であり、室温以上の温度では化合物(6)が等方性液体状態であることが確認された(図7)。
[比較例2]
化合物(8)の合成と評価
<合成>
温度計、還流器、ガラス栓を備えた50mL四つ口フラスコに化合物(9)(0.5g),1-hexadecene(0.5g)、トルエン(3mL)を仕込み窒素雰囲気下でマグネチックスターラーを用いて撹拌した。カルステッド触媒(3μL)を加え、80℃まで加熱し、6時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで放冷し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。得られた残渣を、HPLCを用いて精製することで、白色固体(0.6g)を得た。
<構造同定>
得られた白色固体の構造を、H-NMR(図8)及び29Si-NMR(図9)を用いて決定した。H-NMR測定の結果、合成原料である化合物(9)のSi-H基に由来する4.98~5.01ppmのピークが消失しており、0.64~0.68ppmにヒドロシリル化反応によって形成されるSi-C結合のメチレンに対応するピーク、0.89~0.92ppmに長鎖アルキル末端のメチルに対応するピーク,1.29ppm付近にアルキル鎖中のメチレンに対応するピークが確認された。29Si-NMR測定の結果、合成原料である化合物(9)のSi-H基に対応する-2.78ppmのピークが消失しており、11.88ppmにヒドロシリル化反応によって形成されるSi-C結合に対応するピークが確認された。また、T構造に対応するピークが-77.42,-78.01,および-78.20ppmに3本確認された。以上の結果より、上記反応によって得られた白色固体が式(8)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007474442000008

Figure 0007474442000009
<物性評価>
得られた化合物(8)の相転移挙動の評価を示差走査熱量(DSC)測定および偏光顕微鏡(POM)観察により実施した。DSC測定の昇温過程(10℃/min)において2.6℃および31.8℃に2つの吸熱ピークが、13.0℃に1つの発熱ピークが観測された。この結果は比較例1と同様の理由で固体-液体間に液晶相に類するような相状態が存在することを示すのではなく、融解過程において試料の一部が再結晶化したことを示している。室温でのPOM観察の結果からは、化合物(6)が結晶状態であることが確認された。化合物(8)が融解する42℃まで加熱しながら観察を継続したが、融解するまでの間に相転移は認められず、化合物(8)は液晶性を示さないことが確認された(図10)。さらに、室温での粉末X線回折測定により、分子充填構造について詳細な評価を行った結果、化合物(8)は結晶状態であり、ラメラ構造の存在は確認できなかった(図11)。
実施例1,比較例1,および比較例2の結果より、特異的にラメラ液晶相が発現するのは頂点置換基がトリフルオロプロピルの場合であり、不完全かご型シルセスキオキサンの頂点に導入されたフッ化アルキルに由来するフルオロフィリック効果がラメラ液晶相の発現に重要な役割を担っているといえる。
本発明によって得られた含フッ素不完全かご型シルセスキオキサン誘導体は、微細な秩序構造を活用することで半導体製造などに用いられるナノリソグラフィーに好適に使用する事が出来る。また、前記用途に加えて、従来の含フッ素シルセスキオキサン誘導体と同様に防汚コーティングや低屈折率材料にも好適に使用する事が出来る。

Claims (3)

  1. 式(1)で表される不完全かご型シルセスキオキサン誘導体。
    Figure 0007474442000010
    式(1)において、すべてのRは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1以上10以下のアルキルから選択される同一の基であり;Rはメチルであり;Rは独立して炭素数8以上20以下のアルキルである。
  2. 式(1)において、すべてのRは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数3以上10以下のアルキルから選択される同一の基である、請求項1に記載の不完全かご型シルセスキオキサン誘導体。
  3. 式(1)において、すべてのRは3,3,3-トリフルオロプロピルであり、すべてのRが炭素数16のアルキルである、請求項1に記載の不完全かご型シルセスキオキサン誘導体。
JP2020158604A 2020-09-23 2020-09-23 長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン Active JP7474442B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020158604A JP7474442B2 (ja) 2020-09-23 2020-09-23 長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020158604A JP7474442B2 (ja) 2020-09-23 2020-09-23 長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022052303A JP2022052303A (ja) 2022-04-04
JP7474442B2 true JP7474442B2 (ja) 2024-04-25

Family

ID=80948562

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020158604A Active JP7474442B2 (ja) 2020-09-23 2020-09-23 長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7474442B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004026883A1 (ja) 2002-09-17 2004-04-01 Chisso Corporation ケイ素化合物
JP2005015738A (ja) 2002-09-13 2005-01-20 Chisso Corp 官能基を有するシルセスキオキサン誘導体の製造方法およびシルセスキオキサン誘導体
JP2018080250A (ja) 2016-11-16 2018-05-24 国立大学法人京都工芸繊維大学 フッ素含有シルセスキオキサン、フッ素含有シルセスキオキサンの製造方法、及び重合体
JP2019189564A (ja) 2018-04-26 2019-10-31 国立大学法人京都工芸繊維大学 アルコキシシリル基を含むシルセスキオキサン誘導体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005015738A (ja) 2002-09-13 2005-01-20 Chisso Corp 官能基を有するシルセスキオキサン誘導体の製造方法およびシルセスキオキサン誘導体
WO2004026883A1 (ja) 2002-09-17 2004-04-01 Chisso Corporation ケイ素化合物
JP2018080250A (ja) 2016-11-16 2018-05-24 国立大学法人京都工芸繊維大学 フッ素含有シルセスキオキサン、フッ素含有シルセスキオキサンの製造方法、及び重合体
JP2019189564A (ja) 2018-04-26 2019-10-31 国立大学法人京都工芸繊維大学 アルコキシシリル基を含むシルセスキオキサン誘導体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022052303A (ja) 2022-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3406646B2 (ja) オルガノポリシロキサンおよびその製造方法
JP2010522264A (ja) 非フッ素化ポリマーにおけるアロイ化剤としてのフッ素化poss
JP6728038B2 (ja) 反応性官能性シロキサン組成物
JPH10501021A (ja) 官能化ポリオルガノシロキサン及びその一つの製造方法
KR20190087544A (ko) 결합이 조절되는, 열적 결합 첨가제 조성물, 및 이를 함유하는 윤활 조성물
Zhou et al. Confined crystallization and phase transition in semi-rigid chitosan containing long chain alkyl groups
Pan et al. Organic–inorganic hybrid bent-core liquid crystals with cubic silsesquioxane cores
JP7474442B2 (ja) 長鎖アルキルを有する不完全かご型シルセスキオキサン
Hu et al. Synthesis and characterization of chiral smectic side‐chain liquid crystalline polysiloxanes and ionomers containing sulfonic acid groups
Chen et al. Synthesis and thermal properties of ferroelectric side chain liquid crystalline polysiloxanes based on the phenyl ester mesogen and oligo (oxyethylene) spacers. 1. phenyl benzoate and Biphenyl Benzoate Mesogenic Groups
JP5990909B2 (ja) 片末端官能基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法
JPH01271431A (ja) 液晶性オルガノポリシロキサン及びその製造方法
Meng et al. Effect of terminal perfluorocarbon chain containing mesogens on phase behaviors of chiral comb-like liquid crystalline polymers
Shchegolikhina et al. cis-Tetra [(organo)(trimethylsiloxy)] cyclotetrasiloxanes: Synthesis and mesomorphic properties
JPS5945676B2 (ja) けい素橋を有するアルコキシシラン二重クラスタ−化合物類およびそれらの用途
JPH0753718A (ja) オルガノポリシロキサンおよびその製造方法
Meng et al. Synthesis and characterization of fluorine‐containing liquid crystalline polysiloxanes bearing cholesteryl cinnamate mesogens and trifluoromethyl‐substituted mesogens
Krasovskiy et al. Dicationic polysiloxane ionic liquids
JP6074265B2 (ja) 混合液晶の製造方法および混合液晶
RU2296767C1 (ru) Функциональные металлосилоксаны и способ их получения
Meng et al. Phase behaviors of comb-like liquid crystalline polysiloxanes containing fluorinated mesogenic units
Milano et al. The thioether spacer in liquid crystalline polysiloxanes with cyano‐and nitrobiphenyl mesogens
Yao et al. Influence of shorter backbone and cholesteric monomer percentage on the phase structures and thermal-optical properties of linear siloxane tetramers containing cholesterol and benzene methyl ether groups
Jiang et al. Liquid-crystalline behavior and magnetorheological effect of PVC-based ionic polymers with tetrachloroferrate anions
US2967192A (en) Lubricant composition

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201023

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20201023

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230403

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7474442

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150