JP4915498B2 - 有機ケイ素化合物 - Google Patents

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本発明は、付加重合性単量体に対して重合開始能を有することを特徴とする新規なケイ素化合物、その製造法およびこれを用いて得られる重合体に関する。
重合体は、汎用的な構造形成材料としてのみならず、高度な機能や性能を有する高付加価値型材料として様々な分野で利用されるようになってきた。それに伴い、高分子材料を精密な設計のもとに製造することの重要性が増している。シルセスキオキサンを無機成分として含む有機−無機複合材料として、ジメチルシロキシ基を有するかご型のシルセスキオキサン誘導体が注目されている。これは、有機/無機ハイブリッド材料の前駆体、低誘電材料、光学結晶、液晶表示素子を形成する材料等への利用が期待されているためであり、その理由はこのシルセスキオキサン誘導体がシリカやゼオライトに似た構造を有することにある。そして、ジメチルシロキシ基に水酸基、エポキシ基またはメタクリロイルオキシ基が結合したかご型シルセスキオキサンが報告されている(非特許文献1〜3を参照)。これらの官能基を利用して、有機重合体とシルセスキオキサンとの、いわゆる有機−無機複合材料が調製されている。メタクリロイルオキシ基を有するかご型シルセスキオキサンを、単独でまたは他のアクリル系単量体の共存下でラジカル重合させることにより、有機−無機複合材料を得ることができる。
高分子材料の機能を目的に合わせて最適化するためには、重合体の分子的な性質や分子集合体としての性質を精密に解析することが必要であり、そのためには構造の明確な重合体を用いなければならない。しかしながら、従来の有機−無機複合材料は、上記の複合材料を含めて、構造制御された重合体を有機成分として含んでいない。多くはシルセスキオキサンと有機重合体との機械的なブレンド等により得られているので、複合体の分子集合体としての構造を制御することは極めて困難であった。そこで、重合開始剤を用いることによって重合体の構造を制御することが試みられるようになった。非特許文献4には、α−ハロエステル基がスチレン系単量体およびメタアクリル酸系単量体に対するリビングラジカル重合の良好な開始剤であることが開示されている。しかしながら、α−ハロエステル基を有するシルセスキオキサン誘導体は、現在まで知られていなかった。
J. Am. Chem. Soc., 122 (2000), 6979- Chemistry of Materials, 8 (1996), 1592- Macromolecules, 29 (1996), 2327- Chem. Rev., 101 (2001), 2921-
本発明の目的は、広い範囲の付加重合性単量体に対してリビングラジカル重合開始能を有する新規なケイ素化合物、およびこれを用いて得られる重合体を提供することによって、従来の有機−無機複合材料に関する上記の問題点を解決することである。
本発明者らは、広い範囲の付加重合性単量体に対してリビングラジカル重合開始能を有する官能基を有する、下記の式(1)で示されるケイ素化合物を見出した。そして、このケイ素化合物が、上記の問題点を解決するために有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明の特定発明は下記の[1]項で示される。
[1] 式(1)で示されるケイ素化合物:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは付加重合性単量体に対する重合開始能を有する基である。
本発明が提供するケイ素化合物は、シルセスキオキサン誘導体であって、優れたリビング重合性のラジカル重合開始機能を有する。本発明のケイ素化合物は、特に(メタ)アクリル酸誘導体およびスチレン誘導体に対して、優れたリビングラジカル重合促進機能を示す。例えば、本発明のケイ素化合物により(メタ)アクリル系単量体の重合を開始させて、本発明のシルセスキオキサン構造の2点を起点に(メタ)アクリル系ポリマーを形成させることが可能である。このようにして得られた中心部にシルセスキオキサン構造の有機基を有する重合体については、そのシルセスキオキサン構造の有機基同士の相互作用を積極的に利用することも可能である。これにより構造の明確な有機−無機複合材料が得られるだけでなく、この重合体の分子集合体としての構造を制御することも可能である。さらに、この重合体は単独で用いることができるし、これを既存の重合体と混合することにより樹脂改質剤として利用することも可能である。本発明のケイ素化合物は、重合開始剤としての機能以外の特性も有する。例えば、α−ハロエステルが強い求電子性を有するため、本発明のケイ素化合物に求核試薬を反応させることにより、求核試薬に応じた種々のシルセスキオキサン誘導体を合成することが可能である。従って、本発明のケイ素化合物は、有機合成における中間体としても有用である。
まず、本発明で用いる用語について説明する。「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意に選択できることを意味する。任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいと記述するときには、連続する複数の−CH−が−O−で置き換えられる場合を含まない。任意のAがBまたはCで置き換えられてもよいという表現は、任意のAがBで置き換えられる場合および任意のAがCで置き換えられる場合に加えて、任意のAがBで置き換えられると同時に、残りのAのうちの任意のAがCで置き換えらる場合をも含むことを意味する。例えば、任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルオキシアルキルなどが含まれる。アルキルおよびアルキレンは、いずれも直鎖の基であってよいし、分岐された基であってもよい。シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、どちらも架橋環構造の基であってもよいし、そうでなくてもよい。(メタ)アクリル酸誘導体は、アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体の総称として用いられる。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの総称として用いられる。(メタ)アクリロイルオキシは、アクリロイルオキシおよびメタアクリロイルオキシの総称として用いられる。
本発明は、上記の[1]項と下記の[2]〜[53]項とで構成される。
[2] Aが付加重合性単量体に対するリビングラジカル重合開始能を有する基である、[1]項に記載のケイ素化合物。
[3] それぞれのRが水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−1)、式(2−2)、式(2−3)および式(2−4)のいずれかで示される基である、[1]項に記載のケイ素化合物:

Figure 0004915498
ここに、Zは3〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである:

Figure 0004915498
ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり;Rの結合位置は、Zおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である:

Figure 0004915498
ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;

Figure 0004915498
ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
[4] それぞれのRが水素、および1〜30個の炭素原子を有するアルキルから独立して選択される基であり;このアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[5] それぞれのRが任意の水素がハロゲンまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよび非置換のナフチルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[6] それぞれのRが任意の水素がハロゲンまたは1〜12個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜12であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[7] それぞれのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、[3]項に記載のケイ素化合物。
[8] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[3]項に記載のケイ素化合物。
[9] すべてのRがフェニルである、[3]項に記載のケイ素化合物。
[10] すべてのRがフェニルであり、そしてRがメチルである、[3]項に記載のケイ素化合物。
[11] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−1)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物:

Figure 0004915498
ここに、Zは3〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そしてXはハロゲンである。
[12] すべてのRがフェニルであり;そして、Zが炭素原子の数が3〜10であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである、[11]項に記載のケイ素化合物。
[13] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;そして、Zが−C−または−C−O−C−であり;RおよびRがメチルであり;そしてXが臭素である、[11]項に記載のケイ素化合物。
[14] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−2)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物:

Figure 0004915498
ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり;Rの結合位置は、Zおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
[15] すべてのRがフェニルであり;Zが−C−Zであり;そして、Zが単結合、または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、[14]項に記載のケイ素化合物。
[16] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;Zが−C−であり;Xが塩素または臭素であり;そしてaが0である、[14]項に記載のケイ素化合物。
[17] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−3)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物:

Figure 0004915498
ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
[18] すべてのRがフェニルであり;Zが−C−Zであり、そしてZが単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、[17]項に記載のケイ素化合物。
[19] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;Zが−C−であり;Zが−CH−であり;Xが塩素または臭素であり;そしてaが0である、[17]項に記載のケイ素化合物。
[20] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−4)で示される基である、[3]項に記載のケイ素化合物:

Figure 0004915498
ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
[21] すべてのRがフェニルであり;Zが−C−Zであり、そしてZが単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、[20]項に記載のケイ素化合物。
[22] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;Zが−C−であり;RおよびRがエチルであり;Zが−CH−であり;そしてaが0である、[20]項に記載のケイ素化合物。
[23] 工程(a)、工程(b)および工程(c)を順次実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであって、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである;
<工程(a)>
式(3−1)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式において、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である;
<工程(b)>
遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6)で示される化合物を反応させることにより、式(7)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式において、Zは式(2−1−1)におけるZと同一の意味を有し、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する;
<工程(c)>
式(7)で示される化合物に、式(8)で示される化合物を反応させることにより、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498
ここに、R、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンである。
[24] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[23]項に記載の製造方法。
[25] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[23]項に記載の製造方法。
[26] 工程(d)、工程(b)および工程(c)を順次実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである。
<工程(d)>
式(3−2)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRおよびRは、式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
<工程(b)>
遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6)で示される化合物を反応させることにより、式(7)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式において、Zは式(2−1−1)におけるZと同一の意味を有し、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
<工程(c)>
式(7)で示される化合物に、式(8)で示される化合物を反応させることにより、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498
ここに、R、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンである。
[27] すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[26]項に記載の製造方法。
[28] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[26]項に記載の製造方法。
[29] 工程(e)についで工程(f)を実施することを特徴とする、式(1−3)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−3−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(e)>
式(4)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(5)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式において、RおよびRは式(1−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である;
<工程(f)>
式(5)で示される化合物と式(2−3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(1−3)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498
ここに、Z、R、a、ZおよびXは式(2−3−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−3−1)におけるこれらの結合位置と同一である。
[30] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[29]項に記載の製造方法。
[31] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[29]項に記載の製造方法。
[32] 式(1−3)で示されるケイ素化合物と式(9)で示される化合物とを反応させることを特徴とする、式(1−4)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜45であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;Aは式(2−4−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;

Figure 0004915498
ここに、RおよびRは式(1−4)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Aは式(2−3−1)で示される基である;

Figure 0004915498
ここに、Z、R、aおよびZは式(2−4−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−4−1)におけるこれらの結合位置と同一である;

Figure 0004915498
ここに、RおよびRは式(2−4−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはMの原子価と同じ値である。
[33] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[32]項に記載の製造方法。
[34] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[32]項に記載の製造方法。
[35] 工程(g)についで工程(h)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであって、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである;
<工程(g)>
遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(2−1−2)で示される化合物とを反応させることによって、式(2−1−3)で示される化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRは、式(1−1)におけるRと同一の意味を有し;Z、R、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
<工程(h)>
式(2−1−3)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRは、式(1−1)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
[36] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[35]項に記載の製造方法。
[37] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[35]項に記載の製造方法。
[38] 工程(i)についで工程(j)を実施することを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498

ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−2−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または1〜8個の炭素原子を有するアルキレンであり、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対してオルト位、メタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
<工程(i)>
遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(2−2−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(2−2−3)で示される化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRは、式(1−2)におけるRと同一の意味を有し;Z、R、aおよびXは、式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環への−SOおよびRの結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一である。
<工程(j)>
式(2−2−3)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRは、式(1−2)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
[39] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[38]項に記載の製造方法。
[40] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[38]項に記載の製造方法。
[41] 工程(k)についで工程(l)を実施することを特徴とする、式(1−3)で示されるケイ素化合物の製造方法:

Figure 0004915498
ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−3−1)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
<工程(k)>
遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(2−3−2)で示される化合物とを反応させるとこにより、式(2−3−3)で示される化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRは、式(1−3)におけるRと同一の意味を有し;Z、R、a、ZおよびXは、式(2−3−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−3−1)におけるこれらの結合位置と同一である;
<工程(l)>
式(2−3−3)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることで、式(1−3)で示されるケイ素化合物を得る工程:

Figure 0004915498

Figure 0004915498
ここに、これらの式におけるRは、式(1−3)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
[42] すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、[41]項に記載の製造方法。
[43] すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、[41]項に記載の製造方法。
[44] [1]項に記載のケイ素化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として付加重合性単量体を重合することによって得られる重合体。
[45] [3]項に記載のケイ素化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として付加重合性単量体を重合することによって得られる重合体。
[46] 式(P−1)で示される重合体:

Figure 0004915498
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−1−P)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであって、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;Xはハロゲンであり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[47] 式(P−2)で示される重合体:

Figure 0004915498
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基炭素原子の数が1〜8であってと任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−2−P)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SO−P−Xの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり;Rの結合位置は、Zおよび−SO−P−Xのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[48] 式(P−3)で示される重合体:

Figure 0004915498
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−3−P)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり;Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[49] 式(P−4)で示される重合体:

Figure 0004915498
ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−4−P)で示される基である:

Figure 0004915498
ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり;Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
[50] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[46]項に記載の重合体。
[51] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[47]項に記載の重合体。
[52] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[48]項に記載の重合体。
[53] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つである、[49]項に記載の重合体。
本発明のケイ素化合物は式(1)で示される。以下の説明では、式(1)で示される化合物を化合物(1)と表記することがある。他の式で表される化合物についても、同様の簡略化法によって表記することがある。

Figure 0004915498
式(1)におけるRは、水素、アルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基である。すべてのRが同じ1つの基であることが好ましいが、2種以上の異なる基で構成されていてもよい。8個のRが異なる基で構成される場合の例は、2種以上のアルキルで構成される場合、2種以上のアリールで構成される場合、2種以上のアリールアルキルで構成される場合、水素と少なくとも1種のアリールとで構成される場合、少なくとも1種のアルキルと少なくとも1種のアリールとで構成される場合、少なくとも1種のアルキルと少なくとも1種のアリールアルキルとで構成される場合、少なくとも1種のアリールと少なくとも1種のアリールアルキルとで構成される場合である。これらの例以外の組み合わせでもよい。少なくとも2種の異なるRを有する化合物(1)は、これを製造する際に2種以上の原料を用いることにより得ることができる。この原料については後に述べる。
がアルキルであるとき、その炭素原子の数は1〜45である。好ましい炭素原子の数は1〜30である。より好ましい炭素原子の数は1〜8である。その任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよい。アルキルの好ましい例は、1〜30個の炭素原子を有する非置換のアルキル、2〜29個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、炭素原子の数が1〜8であり、そして1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられるアルキル、およびここに挙げたこれらの基において任意の水素がフッ素で置き換えられる基である。シクロアルキレンの好ましい炭素原子の数は3〜8である。
1〜30個の炭素原子を有する非置換のアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、およびトリアコンチルである。
1〜30個の炭素原子を有するフッ素化アルキルの例は、2−フルオロエチル、2、2−ジフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、およびパーフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシルである。
2〜29個の炭素原子を有するアルコキシアルキルおよびフッ素化アルコキシアルキルの例は、3−メトキシプロピル、メトキシエトキシウンデシル、2−フルオロエチルオキシプロピル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシプロピル、2−フルオロ−1−フルオロメチルエチルオキシプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシプロピル、ヘキサフルオロイソプロピルオキシプロピル、ヘプタフルオロイソプロピルオキシプロピル、ヘキサフルオロブチルオキシプロピル、ヘプタフルオロブチルオキシプロピル、オクタフルオロイソブチルオキシプロピル、オクタフルオロペンチルオキシプロピル、2−フルオロエチルオキシブチル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシブチル、2−フルオロ−1−フルオロメチルエチルオキシブチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシブチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシブチル、ヘキサフルオロイソプロピルオキシブチル、ヘキサフルオロブチルオキシブチル、ヘプタフルオロブチルオキシブチル、オクタフルオロイソブチルオキシブチル、オクタフルオロペンチルオキシブチル、2−フルオロエチルオキシイソブチル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシイソブチル、2−フルオロ−1−フルオロメチルエチルオキシイソブチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシイソブチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシイソブチル、ヘキサフルオロイソプロピルオキシイソブチル、ヘキサフルオロブチルオキシイソブチル、ヘプタフルオロブチルオキシイソブチル、オクタフルオロイソブチルオキシイソブチル、およびオクタフルオロペンチルオキシイソブチルである。
炭素原子の数が1〜8のアルキルにおいて、1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられた基の例は、シクロヘキシルメチル、アダマンタンエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ビシクロヘプチル、およびシクロオクチルである。シクロヘキシルは、メチルの−CH−がシクロへキシレンで置き換えられた例である。シクロヘキシルメチルは、エチルのβ位の−CH−がシクロへキシレンで置き換えられた例である。
である。
式(1)におけるRが置換もしくは非置換のアリールである場合の例は、任意の水素がハロゲンまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよび非置換のナフチルである。ハロゲンの好ましい例は、フッ素、塩素および臭素である。フェニルの置換基であるアルキルにおいては、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはフェニレンで置き換えられてもよい。即ち、好ましいアリールの具体的な例は、フェニル、非置換のナフチル、アルキルフェニル、アルキルオキシフェニル、少なくとも1つの−CH−がフェニレンで置き換えられるアルキルを置換基として有するフェニル、およびこれらの基において任意の水素がハロゲンで置き換えられる基である。なお、本発明においては、特に断らずに単にフェニルと表記するときは、非置換のフェニルを意味する。
ハロゲン化フェニルの例は、ペンタフルオロフェニル、4−クロロフェニル、および4−ブロモフェニルである。
アルキルフェニルの例は、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−ヘプチルフェニル、4−オクチルフェニル、4−ノニルフェニル、4−デシルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、4−(1−メチルエチル)フェニル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、および2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニルである。
アルキルオキシフェニルの例は、(4−メトキシ)フェニル、(4−エトキシ)フェニル、(4−プロポキシ)フェニル、(4−ブトキシ)フェニル、(4−ペンチルオキシ)フェニル、(4−ヘプチルオキシ)フェニル、(4−デシルオキシ)フェニル、(4−オクタデシルオキシ)フェニル、4−(1−メチルエトキシ)フェニル、4−(2−メチルプロポキシ)フェニル、および4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニルである。
アルキル中の少なくとも1つの−CH−がフェニレンで置き換えられた基を置換基として有するフェニルの例は、4−フェノキシフェニル、3−(フェニルメチル)フェニル、ビフェニル、およびターフェニルである。ターフェニルは、エチル中の2つの−CH−がフェニレンで置き換えられた基を置換基として有するフェニルである。
ベンゼン環の水素の一部がハロゲンで置き換えられ、さらに他の水素がアルキルまたはアルキルオキシで置き換えられるフェニルの例は、3−クロロ−4−メチルフェニル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニル、2,3,6−トリクロロ−4−メチルフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、2,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3,5−ジブロモ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−エトキシフェニル、および2,3−ジフルオロ−4−プロポキシフェニルである。
次に、式(1)におけるRが置換もしくは非置換のアリールアルキルである場合の例を挙げる。アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよい。アリールアルキルの好ましい例はフェニルアルキルである。このとき、フェニル基の任意の水素はハロゲンまたは1〜12個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよい。このアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、シクロアルキレンまたはフェニレンで置き換えられてもよい。そして、アルキレン基の好ましい炭素数は1〜12であり、より好ましい炭素数は1〜8である。
非置換のフェニルアルキルの例は、フェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、11−フェニルウンデシル、1−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、3−フェニルブチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−フェニルブチル、2−メチル−2−フェニルプロピル、および1−フェニルヘキシルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたフェニルアルキルの例は、4−フルオロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルメチル、2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エチル、3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)プロピル、2−(2−フルオロフェニル)プロピル、および2−(4−フルオロフェニル)プロピルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素が塩素で置き換えられたフェニルアルキルの例は、4−クロロフェニルメチル、2−クロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,3,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,5−トリクロロフェニルメチル、2,3,4,6−テトラクロロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニルメチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2,4,5−クロロフェニル)エチル、2−(2,3,6−クロロフェニル)エチル、3−(3−クロロフェニル)プロピル、3−(4−クロロフェニル)プロピル、3−(2,4,5−トリクロロフェニル)プロピル、3−(2,3,6−トリクロロフェニル)プロピル、4−(2−クロロフェニル)ブチル、4−(3−クロロフェニル)ブチル、4−(4−クロロフェニル)ブチル、4−(2,3,6−トリクロロフェニル)ブチル、4−(2,4,5−トリクロロフェニル)ブチル、1−(3−クロロフェニル)エチル、1−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)プロピル、2−(2−クロロフェニル)プロピル、および1−(4−クロロフェニル)ブチルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素が臭素で置き換えられたフェニルアルキルの例は、2−ブロモフェニルメチル、4−ブロモフェニルメチル、2,4−ジブロモフェニルメチル、2,4,6−トリブロモフェニルメチル、2,3,4,5−テトラブロモフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルメチル、2−(4−ブロモフェニル)エチル、3−(4−ブロモフェニル)プロピル、3−(3−ブロモフェニル)プロピル、4−(4−ブロモフェニル)ブチル、1−(4−ブロモフェニル)エチル、2−(2−ブロモフェニル)プロピル、および2−(4−ブロモフェニル)プロピルである。
フェニル基の少なくとも1つの水素が1〜12個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられたフェニルアルキルの例は、2−メチルフェニルメチル、3−メチルフェニルメチル、4−メチルフェニルメチル、4−ドデシルフェニルメチル、3,5−ジメチルフェニルメチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(2,5ジメチルフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(3−エチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(2−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)プロピル、2−(2−メチルフェニル)プロピル、2−(4−エチルフェニル)プロピル、2−(2−エチルフェニル)プロピル、2−(2,3−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)ブチル、(4−(1−メチルエチル)フェニル)メチル、2−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)エチル、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)プロピル、および2−(3−(1−メチルエチル)フェニル)プロピルである。
炭素原子の数が1〜12であり、そして少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、3−(トリフルオロメチル)フェニルメチル、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチルである。
1〜12個の炭素原子を有するアルキル中の1つの−CH−が−O−で置き換えられた基をフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、4−メトキシフェニルメチル、3−メトキシフェニルメチル、4−エトキシフェニルメチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピル、3−(2−メトキシフェニル)プロピル、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル、11−(4−メトキシフェニル)ウンデシル、1−(4−メトキシフェニル)エチル、および2−(3−(メトキシメチル)フェニル)エチルである。
炭素原子の数が1〜12であり、1つの−CH−がシクロアルキレンで置き換えられ、そしてもう1つの−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、シクロペンチルフェニルメチル、シクロペンチルオキシフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルエチル、シクロヘキシルフェニルプロピル、およびシクロヘキシルオキシフェニルメチルである。
炭素原子の数が1〜12であり、1つの−CH−がフェニレンで置き換えられ、そしてもう1つの−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキルをフェニル基の置換基として有するフェニルアルキルの例は、2−(4−フェノキシフェニル)エチル、2−(4−フェノキシフェニル)プロピル、2−(2−フェノキシフェニル)プロピル、4−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルプロピル、2−(2−ビフェニリル)プロピル、および2−(4−ビフェニリル)プロピルである。
フェニル基の少なくとも2つの水素が異なる基で置き換えられたフェニルアルキルの例は、3−(2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチルフェニル)プロピル、3−クロロ−2−メチルフェニルメチル、4−クロロ−2−メチルフェニルメチル、5−クロロ−2−メチルフェニルメチル、6−クロロ−2−メチルフェニルメチル、2−クロロ−4−メチルフェニルメチル、3−クロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルフェニルメチル、(2,3,4,6−テトラクロロ−5−メチルフェニル)メチル、2,3,4,5−テトラクロロ−6−メチルフェニルメチル、4−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,6−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4,6−トリクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、3−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、4−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、5−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、6−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、3−ブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラブロモ−4−メチルフェニルメチル、11−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ウンデシルである。
そして、フェニルアルキルにおけるフェニル基の最も好ましい例は、非置換のフェニル基、並びにフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルおよびメトキシの少なくとも1つを置換基として有するフェニル基である。
フェニルアルキルを構成するアルキレン基において、少なくとも1つの−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられたフェニルアルキルの例は、3−フェノキシプロピル、フェニルシクロヘキシル、およびフェノキシシクロヘキシルである。
なお、Rには、付加重合性単量体の重合を阻害することがなければ、脂肪族不飽和結合が含まれていてもよい。
のより好ましい具体例は、エチル、2−フルオロエチル、2、2−ジフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、2−メチルプロピル、2,4,4−トリメチルペンチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ハロゲン化フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、メトキシフェニル、非置換のナフチル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルブチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、ペンタフルオロフェニルプロピル、4−エチルフェニルエチル、3−エチルフェニルエチル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニルエチル、4−メトキシフェニルプロピル、およびフェノキシプロピルである。Rの最も好ましい具体例はフェニルである。
本発明においては、Rは液晶の配向制御に用いられる基であってもよい。このような例を以下に示す。

Figure 0004915498
配向制御に用いられる基には、ステロイド骨格を有する基が存在していてもよい。このようなステロイド骨格を有する基としては、コレステリル、アンドロステリル、βコレステリル、エピアンドロステリル、エリゴステリル、エストリル、11α−ヒドロキシメチルステリル、11α−プロゲステリル、ラノステリル、メラトラニル、メチルテストロステリル、ノレチステリル、プレグネノニル、β−シトステリル、スチグマステリル、テストステリル、酢酸コレステロ−ルエステル等を挙げることができる。これらの基は、フェニルを介してケイ素に結合していても良く、ケイ素に直接結合した基であってもよい。
式(1)におけるRは、独立して1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルまたはシクロへキシルである。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、2−メチルブチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−メチルヘプチル、および2−エチルヘキシルである。これらのうち好ましい例は1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。そして、Rの最も好ましい例はメチルである。
式(1)におけるAは、付加重合性単量体に対する重合開始能、好ましくはリビングラジカル重合開始能を有する基である。このようなAの例は、α−ハロエステル基を有する基、ハロゲン化スルフォニル基を有する基、ハロアルキルフェニル基を有する基、MgBr基を有する基、ジチオカルバメート基を有する基、およびニトロキシル基を有する基である。ハロアルキルフェニル基の例は、クロロメチルフェニル、ブロモメチルフェニル、およびヨードメチルフェニルである。
MgBr基は、次のようにして導入することができる。まず、スチリル基、ビニル基等の二重結合を有するシルセスキオキサン誘導体を合成する。次にボラン−ジメチルサルファイド錯体を用いて、この誘導体の二重結合部位のヒドロホウ素化を行い、ホウ素を有するシルセスキオキサン誘導体とする。そしてこのホウ素を有するシルセスキオキサン誘導体に、ペンタン−1,5−ジイル−ジ(マグネシウムブロマイド)を反応させることによって、MgBr基を導入することができる。
ニトロキシル基は、次のようにして導入することができる。まず、スチリル基を有するシルセスキオキサン誘導体を合成する。これに、重合に関与しない安定なラジカルを生成するニトロキサイド化合物、例えばジ−t−ブチルニトロキサイド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ、N−t−ブチル−1−ジエチルホスホン−2,2−ジメチルプロピルニトロキサイド等を加え、更に(N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチルサリシリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミナート)マンガン(III)クロライド(Jacobsen触媒)を導入する。次に、ラジカル発生剤として、例えばジ−t−ブチルパーオキサイドおよび水素化ホウ素ナトリウムを共存させることによってスチリルラジカルを発生させ、目的とするニトロキシル基を導入することができる。得られたシルセスキオキサン誘導体は、スチレンやメチル(メタ)アクリレートの重合開始剤として利用することができる。
式(1)におけるAは可逆的付加開裂型連鎖移動(RAFT、reversible addition-fragmentation chain transfer)に代表される交換連鎖移動ラジカル重合開始基も含まれる。このようなAの例は、ジチオエステル基を有する基である。
ジチオエステル基は、次のようにして導入することができる。ベンジルブロマイドと金属マグネシウムを反応させることによって臭化マグネシウムフェニルとし、これに二硫化炭素を添加することで臭化マグネシウムジチオフェニルとする。そして当該化合物に対して、ハロアルキルフェニル基、あるいはα−ハロエステル基を有するシルセスキオキサン誘導体を反応させることで、目的とするジチオエステル基を導入することができる。得られたシルセスキオキサン誘導体は、重合活性触媒、例えば過酸化ベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリルを用いることで、スチレン、アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、スチレンスルホン酸、メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドの交換連鎖移動ラジカル重合開始剤として利用することができる。
Aの好ましい例は、α−ハロエステル基を有する基、ハロゲン化スルフォニル基を有する基、ハロアルキルフェニルを有する基およびジチオカルバメート基を有する基である。
α−ハロエステル基を有する基は、α−ハロカルボニルオキシを末端に有する基を意味する。このα−ハロカルボニルオキシをラジカル重合の開始基とする重合方法として、原子移動ラジカル重合法(Atom transfer radical polymerization method)が知られている。この方法で用いられる重合触媒は、周期律表の第8族、9族、10族または11族元素を中心の金属原子とする金属錯体である。この原子移動ラジカル重合において、α−ハロカルボニルオキシを有する基が優れた重合開始能を有することが知られている。この重合がリビング重合的であることもよく知られている。即ち、α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物は、遷移金属錯体の存在下で、優れた重合開始能を有し、リビング重合性を維持し続けることができる。そして、あらゆるラジカル重合性単量体に対して重合を開始させることが可能である。特に(メタ)アクリル酸誘導体またはスチレン系誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。
なお、α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物は、末端にα−ハロカルボニルオキシを有するので、各種の有機反応を適用して多数の誘導体に導くことが可能である。例えば、リチウム、マグネシウムまたは亜鉛等とこのケイ素化合物とを反応させることにより、有機金属官能基を有するシルセスキオキサン誘導体に導くことができる。具体的には、α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物に亜鉛を反応させて、有機亜鉛官能基を有するシルセスキオキサン誘導体に導いた後、アルデヒドやケトンを付加させることによって、アルコール類に変換させることができる。従って、有機亜鉛官能基を有するシルセスキオキサン誘導体は、いわゆるリフォマッキー反応に用いる中間原料として有用である。
α−ハロカルボニルオキシ基は強い求電子性を有するので、種々の求核試薬を用いてアミノ基、メルカプト基等に変換することが可能である。さらに、α−ハロカルボニルオキシ基をエナミンで処理してイミン塩とし、このイミン塩を加水分解することによってケトンに変換させることができる。即ち、α−ハロカルボニルオキシ基を有する本発明のケイ素化合物は、ストーク−エナミン反応に用いる中間原料としても有用である。このケイ素化合物を脂肪族または芳香族系のグリニヤール試薬と反応させることにより、種々の有機官能基や重合性官能基を有するシルセスキオキサン誘導体とすることも可能である。従って、α−ハロカルボニルオキシ基を有する本発明のケイ素化合物は、重合開始剤としてだけでなく、種々の有機合成に有用な中間体として利用することができる。
式(1)におけるAは、アニオン重合開始能を有する基またはカチオン重合開始能を有する基であってもよい。例えばハロアルキルフェニル基は過塩素酸銀の共存下でカチオン重合の開始剤となり、MgBr基はスチレンやメチル(メタ)アクリレートのアニオン重合開始剤として利用することができる。式(1)におけるAは、通常のラジカル重合開始能を有する基であってもよい。このようなAとして、有機過酸化物を有する基、アゾ基を有する基、またはベンゾフェノンを有する基を挙げることができる。
α−ハロエステル基を有する基の好ましい例は式(2−1)で表される基である。

Figure 0004915498
式(2−1)における記号の意味は次の通りである。Zは3〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい。Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルである。そして、Xはハロゲンである。
α−ハロエステル基を有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は、式(1−1)で示される化合物である。

Figure 0004915498
式(1−1)におけるRおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。そして、Aは式(2−1−1)で示される基である。

Figure 0004915498
Si原子に有機基を結合させるに当たり、加水分解されない誘導体を得るための代表的な方法は、Si−ハロゲンに対してグリニヤー試薬を反応させる方法とSi−Hに対して脂肪族不飽和結合を有する化合物を反応させる方法である。後者は、通常ヒドロシリル化反応法と称される。そして本発明においては、原料の入手しやすさの点で、ヒドロシリル化反応法の方が適用しやすい。即ち、シルセスキオキサン誘導体に官能基を導入する好ましい方法は、Si−H官能のシルセスキオキサン誘導体と末端に不飽和結合を有する化合物とを、ヒドロシリル化反応によって結合させる方法である。即ち、式(2−1−1)は、式(2−1)の好ましい例である。
式(2−1−1)において、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンである。Zのより好ましい例は1〜8個の炭素原子を有するアルキレンである。そして、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい。このようなアルキレンのより好ましい例は、−CH−、−C−、−C−および−CH−O−C−である。Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルである。Rの好ましい例は水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素が1〜14個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル、および任意の水素が1〜14個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と1〜14個の炭素原子を有するアルキレン基とで構成され、そしてこれらの基の合計の炭素原子の数が7〜20であるフェニルアルキルである。Rのより好ましい例は水素および1〜20個の炭素原子を有するアルキルである。Rの更に好ましい例は水素、メチルおよびエチルである。Rの好ましい例、より好ましい例および更に好ましい例は、Rの好ましい例、より好ましい例および更に好ましい例のそれぞれから水素を除いた範囲である。そして、RおよびRの最も好ましい例はメチルである。Xはハロゲンであり、その例は塩素、臭素およびヨウ素である。原子移動ラジカル重合の開始基としては、塩素および臭素が最も好ましい。
ハロゲン化スルフォニル基をラジカル重合の開始基とする重合方法として、原子移動ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization)法が知られている。この方法では、周期律表第8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる。この原子移動ラジカル重合において、ハロゲン化スルフォニルが優れた重合開始能を有することが知られている。そして、この重合がリビング重合的であることもよく知られている。即ち、ハロゲン化スルフォニルを有する本発明のケイ素化合物は、遷移金属触媒の存在下で、優れた重合開始能を有し、リビング重合性を維持し続けることができる。そして、あらゆるラジカル重合性単量体に対して重合を開始させることが可能である。特に、(メタ)アクリル酸誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。
なお、ハロゲン化スルフォニル基は強い求電子性を有するので、ハロゲン化スルフォニル基を有する本発明のケイ素化合物に、種々の求核試薬を利用して各種の誘導体を合成することができる。たとえば、酸性条件下、加水分解によるスルフォン酸への変換、加水分解によるスルフォン酸への変換についで水酸化ナトリウムと処理することによるスルホン酸塩への変換、塩基性条件下、種々のアルコール類を処理することによるスルフォン酸エステルへの変換、アンモニアあるいはアミンで処理することによるスルフォン酸アミドへの変換が可能である。これらの特徴から、本発明のケイ素化合物を保護基として利用する事も可能であるし、またスルフォン酸アミドの誘導体の一部はスルファ剤として、たとえば抗細菌薬としての利用も可能である。また各種の還元剤、例えば水素化リチウムアルミニウムを還元剤としてメルカプト基への変換を行うことも可能であるし、各種芳香族系のグリニヤール試薬によって、芳香族スルホンを誘導することもできる。即ち、このケイ素化合物は、重合開始剤としての属性のみならず、各種の有機合成に有用な中間体として活用することができる。
ハロゲン化スルフォニルを有する基の好ましい例は式(2−2)で表される基である。

Figure 0004915498
式(2−2)における記号の意味は次の通りである。Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである。Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数である。Xはハロゲンである。ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位である。Rの結合位置は、Zおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
ハロゲン化スルフォニルを有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は、式(1−2)で示される化合物である。

Figure 0004915498
式(1−2)におけるRおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。そして、Aは式(2−2−1)で示される基である。

Figure 0004915498
式(2−2−1)において、−C−Z−は式(2−2)におけるZの好ましい例である。Zは単結合および1〜3個の炭素原子を有するアルキレンである。Zの最も好ましい例は単結合である。ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位である。Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである。Rの個数を表すaは、0、1、または2であるが、0が最も好ましい。Rの結合位置は、Zおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。Xはハロゲンであり、その例は塩素、臭素およびヨウ素である。原子移動ラジカル重合の開始基としては、塩素および臭素が最も好ましい。
ハロアルキルフェニルをラジカル重合の開始基とする重合方法として、原子移動ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization)法が知られている。この方法では、周期律表第8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる。この原子移動ラジカル重合において、ハロアルキルフェニルが優れた重合開始能を有することが知られている。そして、この重合がリビング重合的であることもよく知られている。即ち、ハロアルキルフェニルを有する本発明のケイ素化合物は、遷移金属錯体の存在下で、優れた重合開始能を有し、リビング重合性を維持し続けることができる。そして、あらゆるラジカル重合性単量体に対して重合を開始させることが可能である。特にスチレン系誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。
なお、ハロアルキルフェニルは強い求電子性を有するので、ハロアルキルフェニルを有する本発明のケイ素化合物に、種々の求核試薬を利用してアミノ基、水酸基、メルカプト基等を導入することができる。即ち、このケイ素化合物は、有用な中間体として活用されることができる。
ハロアルキルフェニルを有する基の好ましい例は式(2−3)で表される基である。

Figure 0004915498
式(2−3)における記号の意味は次の通りである。Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである。Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数である。Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである。Xはハロゲンである。そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
ハロアルキルフェニルを有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は、式(1−3)で示される化合物である。

Figure 0004915498
式(1−3)におけるRおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。そして、Aは式(2−3−1)で示される基である。

Figure 0004915498
式(2−3−1)において、−C−Z−は式(2−3)におけるZの好ましい例である。Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである。Zの好ましい例は、単結合、−CH−、−COO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−および−CHOCH−である。Zの最も好ましい例は単結合である。Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数である。Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである。Zの特に好ましい例は−CH−である。Xはハロゲンであり、その例は塩素、臭素およびヨウ素である。原子移動ラジカル重合の開始基としては、塩素および臭素が最も好ましい。そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
ジチオカルバメート基を重合開始基とする光重合方法として、フォトイニファタ (Photo Initiator-transfer agent-terminator)重合法が知られている。このフォトイニファタ重合において、ジチオカルバメート基が光によりラジカル解離し、優れた重合開始能および増感能を有することはよく知られている。この光重合がリビング重合的であることもよく知られている。従って、ジチオカルバメート基を有する本発明のケイ素化合物は、光照射されているかぎり、重合開始能を維持し続けることが可能であり、あらゆるラジカル重合性単量体に対して光重合開始能力を有する。特に(メタ)アクリル酸誘導体に対して優れたリビング重合性を発現させることが可能である。そして、ジチオカルバメート基は、その光重合開始基としての特性の他、耐放射線性、除草効果等の薬理活性、錯体形成能、親水性等を有するので、これらの特性を活用することも可能である。
ジチオカルバメート基を有する基の好ましい例は式(2−4)で表される基である。

Figure 0004915498
式(2−4)における記号の意味は次の通りである。Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである。Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数である。Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである。RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよい。そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
ジチオカルバメート基を有する本発明のケイ素化合物の好ましい例は、式(1−4)で示される化合物である。

Figure 0004915498
式(1−4)におけるRおよびRは、式(1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Aは式(2−4−1)で示される基である。

Figure 0004915498
式(2−4−1)におけるZ、R、Zおよびaは、式(2−3−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置も、式(2−3−1)における場合と同一である。RおよびRは独立して、水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールである。水素以外のRまたはRの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、2−メチルブチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、デシル、フェニル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。RおよびRのどちらもがこれらの基の1つであってもよいし、片方がこれらの基の1つであり、もう一方が水素であってもよい。
およびRは、互いに結合してNと共に環を形成してもよい。このような場合のジチオカルバメート基の例は、N−シクロトリメチレンジチオカルバメート基、N−シクロテトラメチレンジチオカルバメート基、N−シクロペンタメチレンジチオカルバメート基、N−シクロヘキサメチレンジチオカルバメート基、N−シクロヘプタメチレンジチオカルバメート基、N−シクロオクタメチレンジチオカルバメート基である。好ましいジチオカルバメート基は、N,N−ジメチルジチオカルバメート基、N,N−ジエチルジチオカルバメート基、N−メチルジチオカルバメート基およびN−エチルジチオカルバメート基である。そしてN,N−ジエチルジチオカルバメート基が最も好ましい。
次に、本発明のケイ素化合物の具体例の一部を、表1に示す記号を用いて表2〜表4に示す。
<表1>

Figure 0004915498
化合物(1−1)の例を式(1−1−1)を用いて表2に示す。式(1−1−1)は式(1−1)においてRがフェニルであり、Rが−CHである場合の式である。

Figure 0004915498
この式にけるAは式(2−1−1)で表される基である。

Figure 0004915498
<表2>
Figure 0004915498
化合物(1−2)の例を式(1−2−1)を用いて表3に示す。式(1−2−1)は式(1−2)においてRがフェニルであり、Rが−CHであり、そしてAが式(2−2−2)で表される基である場合の式である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
<表3>
Figure 0004915498
化合物(1−3)の例を式(1−3−1)を用いて表4に示す。式(1−3−1)は式(1−3)においてRがフェニルであり、Rが−CHであり、そしてAが式(2−3−2)で表される基である場合の式である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
<表4>
Figure 0004915498
化合物(1−4)の例を式(1−4−1)を用いて表5に示す。式(1−4−1)は式(1−4)においてRがフェニルであり、Rが−CHであり、そしてAが式(2−4−2)で表される基である場合の式である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
<表5>
Figure 0004915498
なお、化合物(1−1)、化合物(1−2)化合物(1−3)および化合物(1−4)は、表2〜表5に記載された例によって制限されない。
次に、本発明のケイ素化合物のうち、化合物(1−1)の製造方法について説明する。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(1−1)におけるAは式(2−1−1)で示される基である。そして、R、Rおよび式(2−1−1)における記号の意味は前記の通りである。
本発明で用いる好ましい原料は化合物(3−1)である。

Figure 0004915498
式(3−1)において、Rは式(1)中のRと同一の意味を有し、Mは1価のアルカリ金属原子である。アルカリ金属の好ましい例はナトリウムおよびカリウムである。最も好ましい例はナトリウムである。
化合物(3−1)は、3つの加水分解性基を有するシラン化合物を、有機溶剤、水およびアルカリ金属水酸化物の存在下で、加水分解、縮合させることによって得られる。この方法では、短時間、かつ高収率で化合物(3−1)を製造することができる(WO03/024870パンフレットを参照)。化合物(3−1)を製造するに際し、3つの加水分解性基を有するシラン化合物を少なくとも2つ用いることにより、式(3−1)中の8個のRが少なくとも2つの異なる基で構成されている化合物(3−1)を得ることができる。化合物(3−1)は高い反応性を示すことから、この化合物を原料として用いれば、容易かつ高収率でその誘導体を合成することができる。例えば、化合物(3−1)にSi−H官能のオルガノジクロロシランを反応させることによって、Si−H官能のシルセスキオキサン誘導体を製造することができる。
Si−H官能のオルガノジクロロシランは式(4)で示される。Rは、式(1)におけるRと同一の意味を有し、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルまたはシクロへキシルである。Rの特に好ましい例はメチルである。即ち、化合物(4)の特に好ましい例はメチルジクロロシランである。化合物(3−1)に化合物(4)を反応させることによって化合物(5)が得られる。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
化合物(3−1)に化合物(4)を反応させて化合物(5)を合成するには、求核置換を利用する方法を採用することができる。この方法は例えば、J. Am. Chem. Soc., 112 (1990), 1931-に記載されている。この求核置換反応に用いる溶剤の選択条件は、化合物(3−1)および化合物(4)と反応しないこと、および充分脱水されていることである。溶剤の例は、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルムである。最も好ましい溶剤は、よく脱水されたテトラヒドロフランおよびよく脱水されたトルエンである。これらの溶剤は混合して用いてもよい。化合物(4)の好ましい使用量は、化合物(3−1)に対する当量比で1〜50倍である。化合物(4)のより好ましい使用量は、化合物(3−1)に対する当量比で1〜25倍である。この反応において、反応の進行を速やかに行うための触媒的な役割として、トリエチルアミンを用いてもよい。トリエチルアミンを用いる場合には、化合物(3−1)に対する当量比で0.05〜50倍であることが好ましい。
副反応を併発せず、定量的な求核置換反応が進行しさえすれば、反応温度には特に制限は無い。しかしながら、原料の仕込み時においては、低温条件下、たとえば氷浴中で行ってもよい。その後の反応は、室温条件下で行ってもよいし加熱条件下で行ってもよい。具体的には、反応温度は0〜150℃の範囲であり、より好ましくは0〜50℃の範囲である。反応時間は、定量的な求核置換反応が進行するために充分な時間であれば特に制限はない。通常1〜15時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。
さらに、化合物(3−1)は、反応活性基として−ONaを有するため、誘導体の合成反応にクロロシラン類を用いても塩化水素を発生しない。従って、反応操作を容易にすることができ、完全に反応させることが可能である。
本発明で用いるもう一つの好ましい原料は化合物(3−2)である。

Figure 0004915498
式(3−2)におけるRは式(1)におけるRと同一の意味を有する。このような化合物は、酸と化合物(3−1)を反応させることにより、容易に得られる。この時の酸との反応においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。化合物(3−1)と有機溶剤を混合し、この混合物に酸を滴下することにより反応を進行させる方法を用いることができる。
この反応に用いられる有機溶剤の選択条件は、反応の進行を阻害しないことだけである。この有機溶剤の例は脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、四塩化炭素等)、および酢酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)であり、より好ましい例はテトラヒドロフラン、および酢酸エチルである。
溶剤に混合するときの化合物(3−1)の好ましい割合は、溶剤に対する重量比で0.0005〜0.50である。この比率が0.50以下であれば、副成塩の濃度を低くすることができ、反応を進行させるのに有利である。この比率が0.0005以上であれば容積効率がよくコスト上好ましい。そして、より好ましい比率は、0.01〜0.10である。
この反応に用いられる酸はプロトン供与体(ブレンステッド酸)であり、化合物(3−1)と反応し、化合物(3−2)を得ることのできる化合物であれば特に制限はない。例えば、シアン酸、イソシアン酸、チオシアン酸、イソチオシアン酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、炭酸、塩酸、臭素酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、シュウ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、マレイン酸、クロロギ酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シクロヘキサンカルボン酸、ピバル酸、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸、フタル酸、ケイ皮酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、S−チオ酢酸、ジチオ酢酸、S−チオ安息香酸、ジチオ安息香酸、チオ炭酸、トリチオ炭酸、キサントゲン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸を例示することができるが、好ましくは有機酸であり、より好ましくはカルボン酸であり、さらに最も好ましくは酢酸である。
これらの酸を化合物(3−1)に対して4倍モル以上使用すれば反応を完結することができる。この使用割合がこの範囲であれば、好ましくない副反応を引き起こす可能性が小さく、後処理工程で用いる中和剤の量が少量で済み効率的である。さらに該使用割合は化合物に対して4倍モル以上10倍モル以下、より好ましくは4倍モル以上5倍モル以下であることが好ましい。
反応温度は室温でもよく、反応を促進させるために必要に応じて加熱してもよい。または、反応による発熱または好ましくない反応等を制御する目的で、必要に応じて冷却してもよい。
反応時間は0.5〜8時間である。しかしながら一般的に反応時間は原料の反応性の他、原料濃度、反応温度、装置の形状(攪拌効率)、生成物または副生成物の形状等の影響を受けるので、この反応時間の範囲は本発明を限定することを意味しない。
化合物(3−1)の場合と同様に求核置換を利用し、化合物(3−2)を化合物(4)と反応させて化合物(5)を合成することができる。化合物(4)の好ましい使用量は、化合物(3−2)のSi−OH(シラノール)基の全てに反応させる場合、化合物(3−2)対する当量比で3〜15倍である。この反応時においては、シラノールの水素とクロロシランの塩素が反応することにより塩化水素が発生するため、この塩化水素を反応系から除去する必要がある。塩化水素を除去する方法に制限はないが、トリエチルアミンを用いることが最も好ましい。トリエチルアミンの好ましい使用量は、化合物(3−2)に対する当量比で3〜15倍である。反応に際して用いる好ましい溶剤は、化合物(3−1)を用いる反応における場合と同様である。好ましい反応温度は、副反応が併発せず、定量的な求核置換反応を進行させることができる温度である。ただ、原料の仕込み時においては、低温条件下、例えば氷浴中で行うことが最も好ましく、その後は室温下で行ってもよい。反応時間は、定量的な求核置換反応が進行するに充分な時間であれば特に制限はない。通常10〜15時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。
本発明のケイ素化合物を合成する際には、前記の化合物(5)を用いるヒドロシリル化反応法を用いることが好ましい。即ち、遷移金属触媒の存在下における化合物(5)と化合物(6)との反応である。

Figure 0004915498
この式におけるZは式(2−1−1)中のZと同一の意味を有する。
用いられる遷移金属触媒の例は、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンである。これらの中で、白金触媒がより好ましい。これらの触媒は、溶剤に溶解させた均一系触媒、またはカーボンもしくはシリカ等に担持させた固体触媒として使用することができる。ホスフィン、アミン、酢酸カリウム等を共存させた形態で使用してもよい。遷移金属触媒の好ましい使用量は、化合物(5)中のSi−H基1モルに対して、遷移金属触媒原子として1×10−6〜1×10−2モルである。
化合物(6)の使用量は、化合物(5)中のSi−H基に対する当量比で1〜5倍であることが好ましい。ヒドロシリル化反応はほぼ定量的に進む反応であるから、この当量比を大きくする意味はあまりない。しかしながら、反応時間を短くする効果は期待できるので、化合物(6)を多量に用いることによる悪影響は費用効率だけである。一方、Si−H基の一部を未反応のまま残そうとする場合には、前記当量比を1より小さくするだけでよい。このようにして、式(7)で示される化合物が得られる。

Figure 0004915498
式(7)におけるRおよびRは式(1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有し、Zは式(6)におけるZと同一の意味を有する。
ヒドロシリル化反応における好ましい反応温度は、用いる溶剤の沸点以下である。化合物(6)は、重合性の不飽和結合を有する化合物である。この化合物がヒドロシリル化反応中に自発的に重合するのを防止するためには、好ましい反応温度は20〜80℃である。この重合反応を抑制する目的で、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体またはN−ニトロソフェニルアミン塩誘導体等の重合禁止剤を用いてもよい。最も好ましい重合禁止剤は4−tert−ブチルピロカテコ−ルである。その好ましい使用量は、反応液の総重量を基準として1〜100,000ppmである。この使用量の更に好ましい範囲は、100〜20,000ppmである。
このヒドロシリル化反応に用いられる有機溶剤は、原料をこれと反応することなく容易に溶解するものであれば特に制限はない。有機溶剤の好ましい例は、脂肪族炭化水素(例:ヘキサンおよびヘプタン)、芳香族炭化水素(例:トルエンおよびキシレン)、および環状エーテル(例:テトラヒドロフランおよびジオキサン)である。化合物(5)の溶解性を考慮するとトルエンが最も好ましい。そして、触媒の活性をコントロールする目的で、2−プロパノール等のアルコール類を添加してもよい。
化合物(7)は次の方法によって製造することもできる。まず、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の存在下、トルエン中において化合物(5)とアルケニル基を有する化合物(6−T)とをヒドロシリル化反応させることにより化合物(7−T)を製造する。次に、室温中または僅かに加温(40℃)した条件下で、大過剰のメタノールを用いるアルコーリシスによって保護基のトリメチルシリル基を外して、水酸基を有する化合物(7)に誘導する。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
これらの式において、Zは式(6)におけるZと同一の意味を有し、RおよびRは式(7)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、そしてTMSはトリメチルシリル基を示す。
そして、化合物(7)に、α位の炭素にハロゲンが結合している化合物(8)を反応させることにより化合物(1−1)が得られる。

Figure 0004915498
式(8)におけるR、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Xはハロゲンである。このハロゲンの例は塩素、臭素およびヨウ素であり、塩素および臭素が好ましい。XとXは同一であっても異なっていてもよい。
この反応に際して副生するハロゲン化水素は、脱水や二重結合部位への付加等の副反応を誘発するので、これを除去するために有機塩基を共存させて反応を行う。有機塩基の例は、ピリジン、ジメチルアニリン、トリエチルアミンおよびテトラメチル尿素である。副反応を抑制し、反応を速やかに進行させることができれば、他の有機塩基でもよい。そして、有機塩基の最も好ましい例はトリエチルアミンである。この反応は定量的に進行する求核置換反応であるが、化合物(8)の使用量は化合物(7)に対する当量比で1〜10倍であることが好ましい。化合物(8)の使用量を多くすることで、全ての化合物(7)を反応させることが可能であるし、反応時間を短くすることもできる。
この反応は通常、アルゴンガスや窒素ガスのような不活性気体雰囲気中で、原料に対して不活性な乾燥した有機溶剤を用いて行う。有機溶剤の例は、環式エーテル(THF、ジオキサン等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンクロライド、クロロホルム等)および四塩化炭素である。そして、有機溶剤の好ましい例はメチレンクロライドである。反応温度には特に制限はない。しかしながら、この反応は発熱を伴いながら激しく進行するため、通常は低温条件下で行う方がよい。好ましい反応温度は100℃以下であり、最も好ましい反応温度は35℃以下である。実際には、変則的な反応温度調節下で反応させてもよい。例えば、初期においては、ドライアイス−メタノール浴または氷浴を用いて反応系を冷却しながら反応させ、その後室温付近まで昇温させて引き続き反応させてもよい。反応時間には特に制限は無い。通常、1〜10時間で目的とするケイ素化合物を得ることができる。
化合物(1−1)は、化合物(6)と化合物(8)との反応工程を先に実施する方法でも製造することができる。まず、化合物(6)と化合物(8)とを反応させ、式(2−1−2)で示す化合物を合成する。

Figure 0004915498
式(2−1−2)におけるZは、式(6)におけるZと同一の意味を有し、X、RおよびRは、式(8)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
次に、化合物(2−1−2)と化合物(4)とをヒドロシリル化反応させて式(2−1−3)で示される化合物を合成し、さらに化合物(3−1)または化合物(3−2)と反応させて、化合物(1−1)を合成する。化合物(2−1−3)を合成する方法は例えば、Macromol. Rapid Commun., 23 (2002), 612-に記載されている。

Figure 0004915498
式(2‐1‐3)におけるZは、式(6)におけるZと同一の意味を有し、Rは、式(1−1)と同一の意味を有し、X、RおよびRは、式(8)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
化合物(6)と化合物(8)との反応は、化合物(7)と化合物(8)との反応と同様にして実施することができる。化合物(2−1−2)と化合物(4)とのヒドロシリル化反応は、化合物(6)と化合物(5)との反応と同様にして実施することができる。化合物(2−1−3)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応は、化合物(4)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応と同様に実施することができる。
以下の説明では、未反応の原料化合物および溶剤を総称して「不純物」と称することがある。不純物を除去するために蒸留法を適用すると、長時間高温条件下に保持されることによって、目的とする化合物が分解される恐れがある。従って、化合物(1−1)の純度を損ねることなく、不純物を効率的に除去するためには、再沈殿操作によって精製することが好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、化合物(1−1)および不純物をともに溶解する溶剤に、反応液を溶解させる。このときの化合物(1−1)の好ましい濃度は、大まかに言えば1〜15重量%である。次に、化合物(1−1)は溶解しないけれども不純物は溶解するような溶剤、いわゆる沈殿剤をこの溶液に加えて化合物(1−1)のみを沈殿させる。沈殿剤の好ましい使用量は、化合物(1−1)および不純物をともに溶解するために用いた溶剤の重量に基づいて20〜50倍である。この使用量範囲も大まかな基準であり、前記の化合物(1−1)の濃度範囲とともに、必ずしもこれらの範囲内でなくてもよい。
化合物(1−1)を溶解させるための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤は、化合物(1−1)を溶解させるための溶剤と相溶し、化合物(1−1)を全く溶解せず、不純物のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は低級アルコール類である。特に好ましい沈殿剤はメタノールである。そして、さらに精製度をあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。
重合性の未反応物を除いた後、化合物(1−1)を更に精製するには、カラムクロマトグラフ法を適用することが好ましい。その際に使用する好ましい吸着剤は、シリカゲルである。好ましい展開溶剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトンである。より好ましい展開溶剤は、酢酸エチルとヘキサンとの混合溶剤である。なお溶剤の混合比率は、特に制限はないが、展開溶剤に対する目的物の移動率(Rf値)が0.1〜0.7の範囲となるように調整すればよい。
化合物(1−2)の製造方法について説明する。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(1−2)中のAは式(2−2−1)で示される基である。そして、R、Rおよび式(2−2−1)における記号の意味は前記の通りである。
まず、化合物(4)と化合物(2−2−2)とをヒドロシリル化反応させて、式(2−2−3)で示される化合物を合成する。

Figure 0004915498

Figure 0004915498

Figure 0004915498
これらの式において、Zは単結合または1〜8個の炭素原子を有するアルキレンであり、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−、または−COO−で置き換えられてもよく;R、Xおよびaは、式(2−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、ベンゼン環への−SO−の結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり、Rの結合位置は、Zおよび−SO−のそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、Rは式(1−2)におけるRと同一の意味を有する。
ついで、化合物(2−2−3)と前記の化合物(3−1)または化合物(3−2)とを反応させて、化合物(1−2)を製造する。
化合物(4)と化合物(2−2−2)とのヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6)との反応と同様にして実施することができる。化合物(2−2−3)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応は、化合物(4)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応と同様に実施することができる。反応混合物中の化合物(1−2)の精製には、前記の再沈殿操作による精製法または/およびカラムクロマトグラフ法を用いることができる。
化合物(1−3)の製造方法について説明する。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(1−2)中のAは式(2−3−1)で示される基である。そして、R、Rおよび式(2−3−1)における記号の意味は前記の通りである。
化合物(1−3)の好ましい製造方法は、化合物(2−3−2)と前記の化合物(5)とをヒドロシリル化反応させる方法である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(2−3−2)における記号は、式(2−3−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
化合物(5)と化合物(2−3−2)とのヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6)との反応と同様にして実施することができる。反応混合物中の化合物(1−3)の精製には、前記の再沈殿操作による精製法または/およびカラムクロマトグラフ法を用いることができる。
化合物(1−4)は、化合物(1−3)に式(9)で示されるジチオカルバミン酸金属塩を反応させることにより得ることができる。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(1−4)中のA4は式(2−4−1)で示される基である。そして、R、Rおよび式(2−4−1)における記号の意味は前記の通りである。

Figure 0004915498
式(9)におけるRおよびRは、式(2−4−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり、そしてpはMの原子価と同じ値である。Mの例は、Li、Na、K、Cu、Mg、CaおよびZnである。Mの好ましい例はNaおよびKである。
化合物(1−3)と化合物(9)との反応は、定量的な求核置換反応であり、副反応は起こらない。しかしながら、ジチオカルバミン酸塩の好ましい使用量は、化合物(1−3)中のハロゲンに対する当量比で1〜5倍である。この塩を多く用いることにより、反応時間を短くすることができる。反応は、通常、窒素ガスのような不活性気体雰囲気下、原料に対して不活性な乾燥した有機溶剤中で行う。有機溶剤の例は、低級アルコール(例:メタノール)、環状エーテル(例:テトラヒドロフランおよびジオキサン)、および芳香族炭化水素(例:トルエンおよびキシレン)である。有機溶剤の好ましい例は、テトラヒドロフランおよびメタノールである。好ましい反応温度は、ジチオカルバメートが熱分解する可能性を考慮すると、120℃以下である。更に好ましい温度は100℃以下である。反応時間には特に制限はないが、通常1〜10時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。この反応では必要に応じて相間移動触媒を反応に用いることができる。相間移動触媒の例は、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルアンモニウムクロライド、ジオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミンおよびジメチルアニリンである。
反応混合物中の化合物(1−4)の精製には、前記の再沈殿操作による精製法または/およびカラムクロマトグラフ法を用いることができる。ジチオカルバミン酸塩と化合物(1−3)との反応および化合物(1−4)の精製は、紫外線がカットされた蛍光灯および紫外線カットフィルムが装着されたドラフト内で実施されねばならない。そして、化合物(1−4)は、光増感基であるジチオカルバメートを有しているため、非水環境下で窒素やアルゴン等の不活性気体を封入した遮光容器に入れ、冷暗所にて保存されなければならない。
化合物(1−4)は、ジチオカルバミン酸金属塩とハロゲン化アルキル基との反応工程を先に実施する方法でも製造することができる。この製造法は、最初に化合物(2−3−2)と化合物(9)とを反応させて、式(2−4−2)で示される化合物とする方法である。

Figure 0004915498
式(2−4−2)における記号は式(2−4−1)におけるこれらの記号と記号と同一の意味を有し、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置も式(2−4−1)におけるこれらの記号の結合位置と同一である。
この反応自体は、基本的に前記の化合物(1−3)と化合物(9)との反応と同じであり、この反応の場合と同様にして実施できる。しかしながら、重合性の基を有する化合物を取り扱う点で、前記の製造法での化合物(5)と化合物(2−3−2)との反応における場合と同様の注意が必要である。即ち、反応温度をかなり低く20〜80℃くらいにする必要があるし、重合禁止剤の使用も必要である。そして、反応および精製工程のみならず、生成物の保管に際してもできるだけ紫外線を遮断しなければならない。そして、この化合物(2−4−2)と前記の化合物(5)とのヒドロシリル化反応により、化合物(1−4)を得ることができる。このヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6)との反応と同様にして実施することができる。
化合物(1−3)は、化合物(3−1)または化合物(3−2)を用いる反応を最終反応工程とする製造方法によっても製造することができる。まず遷移金属触媒の存在下で、化合物(4)と化合物(2−3−2)とをヒドロシリル化反応させて、化合物(2−3−3)を製造する。

Figure 0004915498
式(2−3−3)において、Rは式(4)におけるRと同一の意味を有し;他の記号は式(2−3−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;そして、ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−3−2)におけるこれらの記号の結合位置と同一である。
そして、化合物(2−3−3)と、化合物(3−1)または化合物(3−2)とを反応させ、化合物(1−3)を製造する。化合物(4)と化合物(2−3−2)とのヒドロシリル化反応は、化合物(5)と化合物(6)とのヒドロシリル化反応と同様にして実施することができる。化合物(2−3−3)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応は、化合物(4)と化合物(3−1)または化合物(3−2)との反応と同様にして実施することができる。
次に、化合物(1)を用いて重合を開始させることができる付加重合性単量体について説明する。この付加重合性単量体は、付加重合性の二重結合を少なくとも1つ有する単量体である。付加重合性の二重結合を1つ有する単量体の例の1つは、(メタ)アクリル酸誘導体である。その具体例は、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリレート2−アミノエチル、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−((4−(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル−ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート、および2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンである。
付加重合性の二重結合を1つ有する単量体のもう1つの例は、スチレン系単量体である。その具体例は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−アミノスチレン、p−スチレンクロロスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその塩、ビニルフェニルメチルジチオカルバメート、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレン、1−(2-((4−ビニルフェニル)メトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、および3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレンである。
付加重合性の二重結合を1つ有する単量体のその他の例は、フッ素含有ビニル単量体(パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等)、ケイ素含有付加重合性単量体(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、マレイミド系単量体(マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等)、ニトリル基を有する単量体(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、アミド基を有する単量体(アクリルアミド、メタクリルアミド等)、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン等)、共役ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレン等)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニル等)、ハロゲン化ビニリデン(塩化ビニリデン等)、ハロゲン化アリル(塩化アリル等)、アリルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、メチルビニルケトン、およびビニルイソシアナートである。さらに、重合性二重結合を1分子中に1つ有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジオルガノシロキサンまたはアルキレングリコ−ルのマクロマーであるマクロ単量体も挙げられる。
付加重合性二重結合を2つ有する単量体の例は、ジビニルベンゼンおよびジ(メタ)アクリレート系単量体である。ジ(メタ)アクリレート系単量体の例は、1,3−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン ジ(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕ビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕テトラブロモビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクロキシポリエトキシ〕ビスフェノールA、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオール ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール誘導体のジ(メタ)アクリレート、およびビス〔(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕テトラメチルジシロキサンである。さらに、分子中に重合性二重結合を2つ有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジオルガノシロキサンまたはアルキレングリコ−ルのマクロマーであるマクロ単量体もあげられる。
付加重合性二重結合を3つ以上有する単量体の例は、トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール モノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアネート) トリ(メタ)アクリレート、トリス(ジエチレングリコール)トリメレート トリ(メタ)アクリレート、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタエチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソブチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソオクチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、オクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン、およびオクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)オクタシルセスキオキサンである。更に、分子中に重合性二重結合を3個以上を有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジオルガノシロキサンまたはアルキレングリコ−ルのマクロマーであるマクロ単量体も挙げられる。
上記の単量体は単独で用いてもよいし、複数を共重合させてもよい。共重合させる際にはランダム共重合でも、ブロック共重合でもよい。そして、本発明で用いる好ましい単量体は、(メタ)アクリル酸誘導体およびスチレン誘導体である。より好ましい単量体は(メタ)アクリル酸誘導体である。複数の(メタ)アクリル酸誘導体を共重合させてもよいし、複数のスチレン誘導体を共重合させてもよい。少なくとも1つの(メタ)アクリル酸誘導体と少なくとも1つのスチレン誘導体を共重合させてもよい。
次に、化合物(1−1)、化合物(1−2)または化合物(1−3)を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として、付加重合性単量体を原子移動ラジカル重合させる方法について説明する。本発明における原子移動ラジカル重合法はリビングラジカル重合法の一つである。リビングラジカル重合法が記載されている文献の例は、J. Am. Chem. Soc., 117 (1995), 5614-、Macromolecules, 28 (1995), 7901-、およびScience, 272 (1996), 866-である。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体の好ましい例は、周期律表第7族、8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましい触媒は、0価の銅の錯体、1価の銅の錯体、2価のルテニウムの錯体、2価の鉄の錯体および2価のニッケルの錯体である。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物の例は、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅である。銅化合物を用いる場合には、触媒活性を高めるために、2,2’−ビピリジルもしくはその誘導体、1,10−フェナントロリンもしくはその誘導体、ピリジルメタンイミン(N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミン等)、ポリアミン(テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等)、またはL−(−)−スパルテイン等の多環式アルカロイドが配位子として添加される。2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合には、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。これら以外の好適な触媒の例は、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、および2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)である。
重合反応には溶剤を用いてもよい。用いられる溶剤の例は、炭化水素(例:ベンゼン、トルエン等)、エーテル(例:ジエチルエーテル、THF、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素(例:塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、ケトン(例:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール(例:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等)、ニトリル(例:アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル(例:酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カーボネート系溶剤(例:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、アミド系溶剤(例:N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶剤(例:HCFC−141b、HCFC−225等)、ハイドロフルオロカーボン系溶剤(例:HFCs等)、パーフルオロカーボン系溶剤(例:パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン等)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶剤(例:フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン等)、酸素含有フッ素系溶剤(例:フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール等)、および水である。ここに挙げた括弧内の化合物は、それぞれの溶剤の好ましい例である。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。なお、用いることができる溶剤はこれらの例に制限されない。
原子移動ラジカル重合は、付加重合性単量体の種類、溶剤の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下で行うことができる。重合触媒または生成ラジカルは、酸素と接触すると失活する恐れがある。そのような場合には重合速度が低下したり、良好なリビング重合体が得られなかったりするため、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが肝要である。この反応では、あらかじめ、減圧下で重合系内の溶存酸素を除去する必要がある。そして、溶存酸素の除去工程の後、そのまま減圧下において重合工程へ移行することも可能である。原子移動ラジカル重合には慣用の方法を採用することができ、重合方法によって特に制限されない。例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、または塊状−懸濁重合法等を採用することができる。そして、重合温度は0〜200℃の範囲であり、好ましい重合温度は、室温〜150℃の範囲である。
化合物(1−1−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−1)で示される。以下の説明では、式(P−1)で示される重合体を重合体(P−1)で表記する。

Figure 0004915498
式(1−1−2)において、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは前記の式(2−1−1)で示される基である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(P−1)において、R11およびRは式(1−1−2)におけるこれらの記号と同じ意味を有し、Bは式(2−1−P)で示される基である:

Figure 0004915498
式(2−1−P)において、Z、R、RおよびXは、式(2−1−1)におけるこれらの記号と同じ意味を有し、そしてPは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
化合物(1−2−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−2)で示される。以下の説明では、式(P−2)で示される重合体を重合体(P−2)で表記する。

Figure 0004915498
式(1‐2‐2)において、R11およびRは式(1−1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、そしてAは前記の式(2−2−1)で示される基である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(P−2)において、R11およびRは、式(1−2−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、そしてBは式(2−2−P)で示される基である。

Figure 0004915498
式(2−2−P)において、Z、R、a、RおよびXは、式(2−2−1)におけるこれらの記号と同じ意味を有し、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖であり、そしてベンゼン環への−SO−およびRの結合位置は、式(2−2−1)におけるそれぞれの結合位置と同一である。
化合物(1−3−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−3)で示される。以下の説明では、式(P−3)で示される重合体を重合体(P−3)で表記する。

Figure 0004915498
式(1−3−2)において、R11およびRは式(1−1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、そしてAは前記の式(2−3−1)で示される基である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(P−3)において、R11およびRは、式(1−3−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、そしてBは式(2−3−P)で示される基である。

Figure 0004915498
式(2−3−P)において、Z、R、a、ZおよびXは、式(2−3−1)におけるこれらの記号と同じ意味を有し、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖であり、そしてベンゼン環へのZおよびRの結合位置は、式(2‐3−1)におけるそれぞれの結合位置と同一である。
用いる単量体を適当に選ぶことによって、重合体(P−1)の構造を制御することが可能である。例えば、単量体の単独重合を行えば、ホモポリマーが結合したシルセスキオキサン誘導体が得られる。複数の単量体の混合物を重合するとランダム共重合体が結合したシルセスキオキサン誘導体が得られる。単量体を逐次的に添加する方法、例えば、最初の単量体の重合が完結した後に、2番目の単量体を添加して重合を完結させる方法を採用すれば、ブロック共重合体が結合したシルセスキオキサン誘導体を得ることができる。この段階的な重合を複数の単量体を用いて繰り返し行うことで、マルチブロック共重合体が結合したシルセスキオキサン誘導体を得ることができる。そして、必要に応じて多官能単量体を共存させることにより、三次元網目構造を有する架橋重合体とすることもできる。
通常の付加重合性単量体を重合させる時に、重合性官能基を有すると同時に開始剤としての機能をも有する化合物を併用することにより、高分岐型ポリマーが結合したシルセスキオキサンを得ることができる。このような化合物の例は、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)スチレン、および2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレンである。(メタ)アクリル基またはスチリル基を有するケイ素化合物を併用することにより、重合体の構造中にケイ素原子を含む構成単位を導入することができる。このケイ素化合物の例は、トリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサンおよびシルセスキオキサンである。原子移動ラジカル重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体を共重合させた後、得られた重合体を開始剤として、さらに他の重合様式(例えばニトロキシル重合や光イニファタ重合)で付加重合性単量体を重合させて、グラフト共重合体を形成させることもできる。原子移動ラジカル重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体の例は、1−(2-(4−ビニルフェニルメトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、およびビニルフェニルメチルジチオカルバメートである。
グリシジル基を有する単量体(例:グリシジル(メタ)アクリレート)、オキセタニル基を有する単量体(例:3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン)、またはジオキソラン環を有する単量体(例:4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン)と共重合させた後、得られた重合体に熱潜在性または光潜在性カチオン重合開始剤として脂肪族スルフォニウム塩、芳香族スルフォニウム塩または芳香族アイオドニウム塩を添加すれば、カチオン重合により三次元網目構造を有する架橋重合体とすることもできる。熱潜在性カチオン重合開始剤である脂肪族スルフォニウム塩の例は、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートおよび2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートであり、これらは旭電化工業株式会社より販売されている。熱潜在性あるいは光潜在性カチオン重合開始剤である芳香族スルフォニウム塩は、三新化学工業株式会社および旭電化工業株式会社から数多くの製品が販売されている。ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートも芳香族スルフォニウム塩の例である。芳香族アイオドニウム塩の例は、(4−ペンタデシルオキシフェニル)フェニルアイオドニウムヘキサフルオロアンチモネートである。光潜在性カチオン重合を行う際には光増感剤、例えばアデカオプトマーSP−100(旭電化工業株式会社製)を併用してもよい。またカチオン重合による三次元網目構造を有する架橋重合体を得る際には、単官能あるいは多官能のグリシジル系架橋剤、あるいは単官能あるいは多官能のオキセタン系架橋剤を共存させていてもよい。
次に重合体(P−1)の精製方法について説明する。この重合体の単離・精製は、未反応の付加重合性単量体を効率よく除去することによってなされる。種々の方法があるが、再沈殿操作による精製法が好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、重合体(P−1)および未反応の単量体を含む重合反応液に、重合体(P−1)は溶解しないけれども未反応の単量体は溶解するような溶剤、いわゆる沈殿剤をこの溶液に加えて重合体(P−1)のみを沈殿させる。沈殿剤の好ましい使用量は、前記の重合反応液の重量に基づいて20〜50倍である。
好ましい沈殿剤は、重合時に用いる溶剤と相溶し、重合体(P−1)を全く溶解せず、未反応の単量体のみを溶解し、そして沸点が比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は低級アルコールおよび脂肪族炭化水素である。特に好ましい沈殿剤はメタノールおよびヘキサンである。そして、未反応単量体の除去効率をさらにあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。この方法により、重合体(P−1)のみを貧溶剤中で析出させることが可能であり、濾過操作によって未反応単量体と重合体とを容易に分離することができる。
上記の方法により単離した重合体(P−1)には重合触媒である遷移金属錯体が残存するため、重合体の着色、物性面への影響および環境安全性等の問題が生ずることがある。従って、重合反応終了時にこの触媒残渣を除去する必要がある。触媒残渣は、活性炭等を用いる吸着処理により除去することができる。活性炭以外の吸着剤の例は、イオン交換樹脂(酸性、塩基性またはキレート形)、および無機系吸着剤である。無機系吸着剤は、固体酸、固体塩基、または中性の性格を有する。そしてこれは、多孔質構造の粒子であるため、非常に高い吸着能を有する。低温から高温までの広い温度範囲で使用可能であることも、無機系吸着剤の特徴の1つである。
無機系吸着剤の例は、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート、活性アルミナ、酸性白土、活性白土等の粘土系吸着剤、ゼオライト(zeolite)系吸着剤、ドーソナイト(dawsonite)類化合物、およびハイドロタルサイト(hydrotalcite)類化合物である。ゼオライトには天然産と合成品があるが、いずれでもよい。二酸化ケイ素には結晶性、無定形、非晶質、ガラス状、合成品、天然品等の種類があるけれども、本発明においては、種類に関係なく、粉体状の二酸化ケイ素が使用可能である。天然アルミニウムシリケートの例は、軽石、フライアッシュ、カオリン、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土である。合成アルミニウムシリケートは、比表面積も大きく吸着能力が高いハイドロタルサイト類化合物は、アルミニウム・マグネシウム水酸化物の含水炭酸塩である。
酸性吸着剤および塩基性吸着剤は、活性炭と併用されることが好ましい。酸性吸着剤の例は、酸性白土、活性白土、アルミニウムシリケートである。塩基性吸着剤の例は、活性アルミナ、前記のゼオライト系吸着剤、ハイドロタルサイト類化合物である。これらの吸着剤は単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。そして、原子移動ラジカル重合により製造される重合体(P−3)は、活性アルミナと接触させることにより精製することができる。活性アルミナは、アルドリッチ社等からの市販品を用いることができる。活性アルミナをこれ以外の吸着剤と併用して吸着処理を行う場合は、吸着剤を混合して接触させることもできるが、それぞれ別々の工程で接触させてもよい。吸着剤と接触させる際は反応液そのままでもよく、反応液を溶剤で希釈しても構わない。希釈溶剤は、重合体の貧溶剤でないことのみを条件として、一般的な溶剤から選択されてよい。吸着剤処理の温度については特に制限はない。一般的には、0℃〜200℃で処理すればよい。好ましい温度範囲は室温〜180℃である。そして吸着剤の使用量は、重合体(P−1)の重量に基づいて、0.1〜500重量%の範囲である。経済性と操作面を考慮すると、好ましい範囲は0.5〜10重量%である。
吸着剤と重合体溶液の固液接触には、撹拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式の方法が利用できる。この他に、吸着剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動化して吸着を行う流動層式等の連続式の方法も利用できる。さらに必要に応じて、撹拌による混合分散操作に、容器の振とうまたは超音波の利用等の、分散効率を向上させる操作を組み合わせることができる。重合体溶液を吸着剤に接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸着剤を除去し、必要に応じて水洗処理を行い、精製された重合体溶液を得る。吸着剤による処理は、最終生成物である重合体(P−1)に対して行えばよいが、この重合体を製造するための中間生成物に対して行ってもよい。例えば、原子移動ラジカル重合により得られるブロック共重合体の各重合段階において、この重合体を単離し、吸着処理を行なうことも可能である。吸着剤による処理を行った重合体(P−1)は、貧溶剤中で析出させたり、溶剤等の揮発成分を減圧下で溜去することにより分離してもよい。
触媒残渣は、非水溶性溶剤と錯化剤水溶液とを用いるか、または非水溶性溶剤と電解質成分を更に含む錯化剤水溶液とを用いて精製処理することにより除去することができる。即ち、重合体(P−1)を非水溶性溶剤に溶解した後、この重合体(P−1)の溶液に錯化剤水溶液または更に電解質成分を含む錯化剤水溶液を加えて撹拌・混合し、遷移金属成分をこの錯化剤との錯体に変換させてこれを水層に抽出することにより、重合体(P−1)に残留する触媒成分濃度を著しく低減させることができる。
また、重合反応液を対象に精製処理してもよい。重合反応液の粘度が高い場合には、これに非水溶性溶剤を加えて適当な溶液粘度にしてから精製処理してもよい。即ち、重合反応終了時に重合体(P−1)を含む重合反応液を所定量の非水溶性溶剤によって希釈した後、この溶液に錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液を加えて撹拌・混合し、遷移金属成分を錯塩化して前記水溶液に移行させ、その後に遠心分離や静置分離等の物理的操作により、前記水溶液と重合体(P−1)を含む非水溶性溶剤を分離させる。このような精製処理によって、重合体(P−1)に残留する触媒成分濃度を著しく低減させることができる。
この精製処理の操作手順は必ずしも上記の通りでなくてもよい。例えば、重合体(P−1)または重合体(P−1)を含む重合反応液に錯化剤または錯化剤および電解質成分を加えてから非水溶性溶剤を加え、更に水を加えてもよい。どのような操作手順で精製処理を行っても、最終的には最初に説明した操作手順の場合と同じ抽出処理になり、同じ効果が得られる。
以下の説明では、重合体(P−1)を非水溶性溶剤で溶解した溶液、重合体(P−1)を含む重合反応液、またはこの重合反応液を非水溶性溶剤で希釈した溶液を重合体(P−1)溶液と称することがある。重合体(P−1)溶液と錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液との混合・接触は、攪拌機が付設された回分式の槽型処理槽で撹拌することが好ましい。振とう型の槽型処理槽を用いてもよい。重合体(P−1)溶液中の重合体濃度は、均一溶液であり、錯化剤水溶液との撹拌混合が可能な粘度であることが条件であるが、40重量%以下であることが好ましい。重合体(P−1)溶液中の重合体濃度を増加させた場合には、重合体の析出や増粘が問題となる場合があるが、その際には、70〜100℃程度に加熱できるスチームコイルまたはスチームジャケット等の加熱装置が付設された処理槽を用いて、加熱下に処理すればよい。重合体(P−1)溶液中の重合体濃度が低く室温下で均一溶液であれば、室温で撹拌・接触を行うこともできる。
重合体(P−1)溶液と錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液との油水分離には、比重差を利用する遠心分離または静置分離、あるいは電気的性質の違いを利用する静電浄油等を利用することができる。本発明では、二相の油水分離が必要となるため、二相分離型のデカンタの使用が最も好適であるが、その他の遠心分離器の使用も当然可能である。また無機系吸着剤を併用する場合、スラッジ等の固形分が含まれるため、その際には三相分離型のデカンタを使用することとなるが、その際もその他の遠心分離器の使用は当然可能である。そして、上記工程により処理を行った重合体は、貧溶剤中で析出させたり、溶剤等の揮発成分を減圧下で溜去することにより単離することができる。
重合体(P−1)溶液と錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液との混合・接触および油水分離工程の回数は、重合体(P−1)に残留する触媒成分濃度を著しく低減させることが可能であるなら、特に限定されるものではない。即ち、混合・接触および油水分離工程を1工程とした場合、1工程毎に重合体(P−1)中の遷移金属成分を分析することにより、目的とする含有量まで低減させたところをこの工程の回数としてもよい。
重合体(P−1)に含まれる遷移金属成分に対する錯化剤の添加割合については、一般的には遷移金属成分に対する錯化剤のモル比が1〜1000当量であることが好ましい。重合体(P−1)中の遷移金属含有量は、重合反応液の仕込み時にあらかじめ計算で予測することができるため、処理する重合体(P−1)に含まれる遷移金属含有量によって、上記の錯化剤量を決定すればよい。そして錯化剤水溶液中の錯化剤の濃度は、0.001〜20重量%の範囲であることが好ましい。
さらに電解質成分を含む錯化剤水溶液にあっては、水溶液の比重を増加させることによる油水分離効率の向上が主たる目的であり、分離に要する時間が短縮されるのであれば、その使用量は特に限定されない。一般的には、飽和 (Saturated)あるいは半飽和 (half Saturated)させて用いることができる。
このような工程は、最終生成物である重合体(P−1)に対して行えばよいが、この重合体を製造するための中間生成物に対して行ってもよい。例えば、原子移動ラジカル重合により得られるブロック共重合体の各重合段階において、この重合体を単離し、このような処理を行なうことも可能である。
この精製工程で用いられる非水溶性溶剤の例は、アニソール、ベンゼン、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、1−クロロナフタレン、ジベンジルナフタレン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルエーテル、酢酸エチル、メシチレン、酢酸メチル、酢酸イソアミル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、テトラクロロエチレン、テトラリン、トルエン、トリクロロエチレン、およびキシレンである。より好ましい例はクロロホルム、酢酸エチルおよびトルエンである。
用いられる錯化剤水溶液は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アンモニア、アミン、アミノカルボン酸、アミノ酸、リン酸類、ホスホン酸類、および無機硫黄化合物から選択される少なくとも1つの化合物の水溶液である。これらの化合物のうち無機硫黄化合物以外の化合物は、必要に応じて塩の形態、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属塩、鉄(III)やバナジウム等の重金属塩、塩酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、カルボキシル基に対して金属や塩基性物質が当量以上あるいは以下の部分中和塩、これらの塩の混合物として用いることもできる。
脂肪族カルボン酸の例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバジル酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1、グリコール酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アロイソクエン酸、グルコン酸、ピルビン酸、オキサル酸、ジグリコール酸およびチオジグリコール酸である。芳香族カルボン酸の例は、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、マンデル酸、サリチル酸、5−スルホサリチル酸、α−カルボキシ−o−アニス酸、およびo−(カルボキシメチルチオ)安息香酸である。
アミンの例は、ジエチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、ピペリジン、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミン、N,N′−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、meso−2,3−ジアミノブタン、rac−2,3−ジアミノブタン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、3,3′−ジアミノジプロピルアミン、トリエチレンテトラアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2,2’−ジヒドロキシジエチレンアミン、およびポリアミドアミンである。
アミノカルボン酸の例は、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、N−メチルイミノジ酢酸、N−(3,3’−ジメチルブチル)イミノジ酢酸、フェニルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジプロピオン酸、ヒドロキシプロピルイミノジ酢酸、2−ヒドロキシシクロヘキシルイミノジ酢酸、メトキシエチルイミノジ酢酸、2−ヒドロキシベンジルイミノジ酢酸、N−(o−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(m−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(p−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(カルバモイルメチル)イミノジ酢酸、シアノメチルイミノジ酢酸、アミノエチルイミノジ酢酸、2−エトキシカルボニルアミノエチルイミノジ酢酸、ホスホノメチルイミノジ酢酸、ホスホノエチルイミノジ酢酸、スルホエチルイミノジ酢酸、o−スルホフェニルイミノジ酢酸、m−スルホフェニルイミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、カルボキシエチルイミノジ酢酸、カルボキシメチルイミノジプロピオン酸、ニトリロトリプロピオン酸、N,N’−エチレンジアミン、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸、N,N′−ジ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミンジ酢酸、N−n−ブチルエチレンジアミントリ酢酸、N−シクロヘキシルエチレンジアミントリ酢酸、N’−ヒドロキシエチル−N,N,N’−トリ酢酸、ベンジルエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸−亜鉛、エチレンジアミンテトラ酢酸−2ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸−カルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸−マグネシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸−2カリウム、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸N,N’−ジプロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ(2−プロピオン酸)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン−N,N’−ジグルタル酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、テトラメチレンジアミンテトラ酢酸、ペンタメチレンジアミンテトラ酢酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ酢酸、オクタメチレンジアミンテトラ酢酸、1,2−シクロペンタンジアミンテトラ酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサン−1,4−ジアミンテトラ酢酸、1,3,5−トリアミノシクロヘキサ酢酸、o−フェニレンジアミンテトラ酢酸、2−ヒドロキシトリメチレンジアミンテトラ酢酸、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、ヒダントイン酸、(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸、(S,S)−エチレンジアミンジグルタル酸、(S)−アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、(S,S)−イミノジコハク酸、(S)−グルタミン酸−N,N−ジ酢酸、(S)−α−アラニン−N,N−ジ酢酸、およびタウリン−N,N−ジ酢酸である。
アミノ酸の例は、グリシン、ザルコキシン、グリシンメチルエステル、バリン、アラニン、β−アラニン、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、ε−ポリリジン、ヒスチジン、アルギニン、グルタミン酸、ポリグルタミン酸、アスパラギン酸、1,2−ジアミノプロピオン酸、プロリン、トリプトファン、およびN−エチルグリシンである。
リン酸類の例は、ヘキサメタリン酸、テトラメタリン酸および縮合リン酸である。ホスホン酸類の例は、エチリデンジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、メチルジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、および1,2−プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)である。
無機硫黄化合物の例は、チオ硫酸塩(例:チオ硫酸ナトリウム)、ポリチオン酸塩(例:SO−(S)−SO(n=1〜4))、亜二チオン酸塩(例:亜二チオン酸塩ナトリウム)、亜硫酸塩(例:亜硫酸ナトリウム)、および二チオン酸塩(例:二チオン酸ナトリウム)である。
使用する水については、重合体の汚染防止を考慮すること以外に選択条件はない。50μm以下のフィルターを通した水が好ましく、イオン交換樹脂で処理した純水がより好ましい。
電解質成分の例は、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、リン酸のナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウムであり、これらはカリウム塩でもよい。上記の錯化剤水溶液に用いる化合物の中にも電解質成分として利用することができるものが含まれている。電解質成分を用いるときには、これらの少なくとも1つを錯化剤水溶液に加える。
残留触媒を除去するためには、上記の方法に活性炭等を用いる吸着処理を併用してもよい。イオン交換樹脂や無機系吸着剤と重合体溶液の固液接触を併用する場合は、撹拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式の方法が利用できる。この他に、吸着剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動化して吸着を行う流動層式等の連続式の方法も利用できる。さらに必要に応じて、撹拌による混合分散操作に、容器の振とうまたは超音波の利用等の、分散効率を向上させる操作を組み合わせることができる。重合体溶液を吸着剤に接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸着剤を除去し、必要に応じて水洗処理を行い、さらに精製度を上げることができる。
重合体(P−1)の分子量および分子量分布の解析方法について説明する。通常、付加重合体の分子量は、ポリスチレンやポリ(メチルメタクリレート)のような直鎖状のポリマーを標準試料とした校正曲線を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。しかしながら、重合体(P−1)はシルセスキオキサンを起点にした付加重合性単量体の重合体、すなわち分岐型の高分子化合物に属する。そのため、重合体(P−1)の構造のままでは、その分子量を求めるに当たって、ポリスチレンやポリ(メチルメタクリレート)のような直鎖状の重合体を標準試料とした較正曲線を用いることは分子量解析の精度上、問題点を有すると考えられる。しかし、重合体(P−1)は末端部分がシルセスキオキサンであるため、酸性条件下または塩基性条件下で、容易に分解することができる。すなわち、シルセスキオキサンから付加重合体を切り離した後に、その分子量を測定することによって、重合体部分の分子量解析の精度をさらに向上させることができる。酸性条件下で重合体(P−1)を分解する場合には、フッ化水素酸を用いることが好ましい。塩基性条件下で重合体(P−1)を分解する場合には、水酸化カリウムを用いることが好ましい。重合体(P−1)の分解は、均一系および不均一系のどちらでも行うことができる。例えば、重合体(P−1)を溶解できる有機溶剤(THF、アセトニトリル等)とフッ化水素酸との均一混合系で、重合体(P−1)のシルセスキオキサン部分を切り離すことができる。トルエンとフッ化水素酸との不均一混合系においても、シルセスキオキサン部分の分解を行うことが可能である。この際には、相間移動触媒の併用が好ましい。相間移動触媒の例は、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルアンモニウムクロライド、ジオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン、ジメチルアニリンである。水酸化カリウムを用いる場合は、THF、エタノールおよび水の混合溶剤中で分解をすることも可能である。
これらの方法により切り離した付加重合体についてGPCにより測定すれば、重合体(P−1)における付加重合体部分の分子量、いわゆるグラフト鎖の分子量を求めることができる。粘度とGPCデータから得られる普遍校正曲線を用いることにより、重合体(P−1)そのものの分子量を求めることも可能である。重合体(P−1)の絶対分子量は、末端基定量法、膜浸透圧法、超遠心法、光散乱法等によっても求めることができる。
重合体(P−1)のグラフト鎖の好ましい分子量は、ポリ(メチル メタアクリレート)換算で、数平均分子量が500〜1,000,000の範囲である。さらに好ましい範囲は1000〜100,000である。ただ、この範囲の上限値および下限値に特別な意味があるわけではない。そして分子量分布は、分散度(Mw/Mn)で1.01〜2.0の範囲であることが好ましい。
グラフト鎖の分子量は、付加重合性単量体と開始基であるα−ハロエステル基との割合により調整することができる。すなわち、付加重合性単量体/α−ハロエステル基のモル比および単量体の消費率から、次の計算式を用いて、重合体(P−1)のグラフト鎖の理論分子量を予測することができる。
Mn=(単量体の消費率(モル%)/100)×MW×(α−ハロエステル基に対する付加重合性単量体のモル倍率)+MW
この計算式において、Mnは理論数平均分子量、MWは付加重合性単量体の分子量、MWはα−ハロエステル基の分子量である。前記の数平均分子量範囲を有する重合体を得ようとする場合には、付加重合性単量体/α−ハロエステル基のモル比を、およそ2/1〜およそ40000/1、好ましくはおよそ10/1〜およそ5000/1の範囲から選択できる。またこの数平均分子量は、重合時間を変化させることによって調整することもできる。
付加重合性単量体/化合物(1−1−2)のモル比および単量体の消費率から、次の計算式を用いて、重合体(P−1)そのものの理論分子量を予測することもできる。

Mn=(単量体の消費率(モル%)/100)×MW×(化合物(1−1−2)に対する付加重合性単量体のモル倍率)+MW

この計算式において、Mnは理論数平均分子量、MWは付加重合性単量体の分子量、MWは化合物(1−1−2)の分子量である。
単量体の消費率(以下、「転化率」と称することがある。)を求める方法としては、GPC、H−NMR、ガスクロマトグラフィーのいずれの方法も採用することができる。
上記の重合体(P−1)に関する説明は、重合体(P−2)および重合体(P−3)にも適用される。
次に、化合物(1−4)を開始剤として付加重合性単量体を光重合させる方法、いわゆるフォトイニファタ重合法について説明する。このフォトイニファタ重合において、ジチオカルバメート基が光によりラジカル解離し、優れた重合開始能および増感能を有することはよく知られている。この場合の光重合がラジカル重合であり、しかもリビング重合的であることもよく知られている。これらの情報は、例えば、Polymer Bulletin, 11(1984), 135-、Macromolecules, 19(1986), 287-に開示されている。従って、ジチオカルバメート基を有する本発明のケイ素化合物は、光照射されているかぎり、重合開始能を維持し続けることが可能であり、あらゆるラジカル重合性単量体に対して光重合開始能力を有する。
ジチオカルバメート基は、光重合の際に重合開始剤、連鎖移動剤および重合停止剤のそれぞれの機能を併せ持つこともよく知られており、その反応機構もすでに判明している。ジチオカルバメート基を有する本発明の化合物(1−4)は、光照射により、シルセスキオキサンに結合したアルキルフェニル基上のラジカルとジチオカルバメートラジカルに解離する。そして、アルキルフェニル基上のラジカルは開始反応に関与し、ジチオカルバメートラジカルは停止反応に関与することになる。光照射をやめるか、単量体が消費されつくされると、ジチオカルバメートラジカルが停止剤として成長末端に付加し、再びジチオカルバメート基を形成する。従って、このようにして生成した重合体も、光重合開始能を有する高分子光開始剤として用いることができる。本発明のジチオカルバメート基を有するケイ素化合物は、ジチオカルバメート基をラジカル解離させるのに必要なエネルギーを有する波長250〜500nmの紫外線、より好ましくは波長300〜400nmの紫外線を照射して分解させることによって、それと共存する付加重合性単量体の重合を開始させることができる。
重合反応の実施形態は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、または塊状−懸濁重合等から適宜採用することができる。溶液重合で製造する場合の溶剤としては、連鎖移動定数が小さく、かつ付加重合性単量体およびその重合体を溶解することができる溶剤が好ましい。このような好ましい溶剤の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタンである。そして、250〜500nmの紫外線領域に特性吸収を持たない溶剤が、どちらかと言えば好ましい。重合温度は0〜200℃の範囲であり、好ましくは室温〜150℃の範囲であるが、特に限定されない。
フォトイニファタ重合は、付加重合性単量体の種類、溶剤の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下で行うことができる。通常は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、たとえば不活性ガスの流通下で行うことが肝要である。予め、減圧下で重合系内の溶存酸素を除去する必要があるため、溶存酸素の除去工程の後、そのまま減圧下において重合工程へ移行することも可能である。
化合物(1−4−2)を開始剤として用いるとき、上記の方法により得られる重合体は式(P−4)で示される。以下の説明では、式(P−4)で示される重合体を重合体(P−4)で表記する。

Figure 0004915498
式(1−4−2)において、R11およびRは、式(1−1−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Aは前記の式(2−4−1)で示される基である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
式(P−4)において、R11およびRは、式(1−4−2)におけるこれらの記号と同一の意味を有し、Bは式(2−4−P)で示される基である。

Figure 0004915498
式(2−4−P)において、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖であり、その他の記号は式(2−4−1)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有し、そしてベンゼン環へのRおよびZの結合位置は式(2−4−1)におけるそれぞれの結合位置と同一である。
原子移動ラジカル重合法により重合体(P−1)を得る場合と同様の方法で、重合体(P−4)の構造を制御することが可能である。通常の付加重合性単量体の重合時にイニシエータ−単量体、例えばN, N−ジエチルジチオカルバモイルメチルスチレンあるいはN−エチルジチオカルバモイルメチルスチレン等を併用することで、高分岐型重合体が結合したシルセスキオキサン誘導体を得ることができる。フォトイニファタ重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体と共重合させた後、得られた重合体を開始剤として、さらに他の重合様式(例えば、原子移動ラジカル重合法)で付加重合性単量体を重合させることにより、グラフト共重合体を形成させることもできる。フォトイニファタ重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体の例は、1−(2−((4−エテニルフェニル)メトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−((4−(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、p―クロロメチルスチレン、2−(2−ブロモプロパノイルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレンである。
なお、フォトイニファタ重合終了後に、その末端のジチオカルバメート基を処理することによって、重合体(P−4)を紫外線に対して不活性化することができる。不活性化する方法の例は、重合体(P−4)を酸性溶液または塩基性溶液で処理する方法、250℃以上の高温で数分間処理する方法、波長220nm以下の高エネルギーの電磁線を照射する方法、紫外線吸収基を有する単量体を添加後に光重合させる方法、単に紫外線吸収剤を添加する方法である。得られた重合体(P−4)に紫外線を照射しながら、連鎖移動定数の大きな試薬(チオール誘導体、チウラム、ザンデート類、ニトロキシド類等)を添加することによって、末端ジチオカルバメート基を置換することも可能である。
重合体(P−4)の単離・精製方法について説明する。この化合物の単離・精製は、未反応の付加重合性単量体を効率よく除去することによってなされる。種々の方法があるが、前記の再沈殿操作による精製法が好ましい。この方法により、重合体(P−4)のみを貧溶剤中で析出させることが可能であり、濾過操作によって容易に未反応単量体と重合体とを分離することができる。溶剤や未反応単量体等の揮発成分を減圧条件下で溜去することにより、重合体を単離してもよい。重合体(P−4)を溶解させるための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤は、重合体(P−4)の溶剤と相溶し、重合体(P−4)を全く溶解せず、不純物または未反応単量体のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は、低級アルコール類、脂肪族炭化水素類である。特に好ましい沈殿剤はメタノールまたはヘキサンである。そして、さらに精製度をあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。
重合体(P−4)の分子量および分子量分布は、重合体(P−1)について説明した方法と同様にして解析することができる。シルセスキオキサンに結合した付加重合性単量体の重合体、いわゆるグラフト鎖の数平均分子量は、500〜1,000,000の範囲である。さらに好ましい範囲は1000〜100,000である。ただ、この範囲の上限値および下限値に特別な意味があるわけではない。そして、グラフト鎖の分子量分布は、分散度で1.01〜3.0の範囲であることが好ましい。また粘度とGPCデータから得られる普遍校正曲線を用いることにより、重合体(P−4)の分子量を求めることも可能である。重合体(P−4)の絶対分子量は、末端基定量法、膜浸透圧法、超遠心法、光散乱法等によっても求めることができる。重合体(P−4)におけるグラフト鎖の分子量は、重合体(P−1)の場合と同様にして調整することができる。
本発明の重合体は、単独でも用いることができるし、これを既存の重合体に混合すれば、樹脂改質剤としての効果を期待できる。既存の重合体のうち熱可塑性樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、液晶ポリマー、およびポリテトラフロロエチレンである。熱硬化性樹脂の例は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、およびシリコーン樹脂である。本発明の重合体を含む樹脂組成物は、各種成形加工法(プレス成形法、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法など)により成形させることもできるし、各種の有機溶剤に溶解または分散させてコーティング材料として用いることもできる。
また、本発明の重合体を各種有機溶剤に溶解させてコーティング剤とし、これを用いて各種基材(金属、プラスチック、ガラス等)に塗布・乾燥することにより、多孔質体を形成させることもできる。コーティング方法については限定されるものではないが、リバースコート、グラビアコート、ロッドコート、バーコート、ダイコート、スプレーコート、キスコート、リバースキスコート、エアナイフコート、カーテンコート、ディップコート、ディップスピンコートなどの湿式コーティング法、粉体コート(静電コート)などの乾式コーティング法を採用することができる。
実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。実施例で用いる記号の意味は次の通りである。
Ph:フェニル
TMS:トリメチルシリル
Mn:数平均分子量
Mw:重量平均分子量
EDTA・2Na:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物
実施例における分子量のデータは、すべてGPC(ゲルパ−ミエーションクロマトグラフィ−法)によって求めたポリスチレン換算値である。GPCの測定条件を次に示す。
装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500 (インテリジェント示差屈折率計 RI-1530)
溶剤:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1ml/min
カラム温度:40℃
使用カラム: 東ソー株式会社製の下記のカラム(直列につないで使用)
TSKguardcolumn HXL-L(GUARDCOLUMN)
TSKgel G1000HxL(排除限界分子量(ポリスチレン):1,000)
TSkgel G2000HxL(排除限界分子量(ポリスチレン):10,000)
較正曲線用標準試料:Polymer Laboratories社製、Polymer Standards (PL), Polystyrene
なお、実施例6〜19においては、 昭和電工株式会社製のShodex KF-G(GUARDCOLUMN)と2本のShodex KF-804L(排除限界分子量(ポリスチレン):400,000)を直列につないで用い、較正曲線用標準試料として昭和電工株式会社製Shodex STANDARD M-75(ポリメチルメタアクリレート)を用いた。他の条件は上記と同じである。
[実施例1]
<化合物(3−1−1):式(3−1)においてRがフェニルであり、そしてMがNaである化合物の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を備えた内容積50リットルの反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(6.54kg)、2−プロパノール(26.3リットル)、純水(0.66kg)、および水酸化ナトリウム(0.88kg)を仕込み、乾燥窒素でシールした。撹拌しながら加熱し、還流状態で5時間反応させた。反応終了後、反応容器から加熱器を取り外し、この容器を室温下に15時間放置して、反応混合物を冷却した。このようにして得られた反応混合物から、デカンテーションによって上澄み液を除去した。そして、反応容器に残った白色固体を、2−プロパノール(9.87kg)で1回洗浄した。これをポリテトラフルオロエチレンシートで内張したステンレス製バットに移し、減圧乾燥機を用いて、庫内温度80℃、圧力6.7×10−4MPaで24時間乾燥して、2.22kgの白色粉末状の化合物(A−1)を得た。
[実施例2]
<化合物(A−1)へのトリメチルシリル基の導入>
還流冷却器を取り付けた50mlの4つ口フラスコに、化合物(A−1)(1.2g)、テトラヒドロフラン(10g)、およびトリエチルアミン(1.6g)を投入し、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーによる攪拌下で、溶液温度を15℃〜20℃に保ちながらトリメチルクロロシラン(2.2g)を約1分間で滴下した。滴下終了後、15℃で3.5時間撹拌を続けた。反応終了後、純水で洗浄し、真空乾燥して白色固形物(1.2g)を得た。これを化合物(A−T)とする。
化合物(A−T)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、H−NMR、および29Si−NMRにて構造解析を行った。GPCチャートから、白色固形物は単分散性を示し、ポリスチレン換算での数平均分子量が970、重量平均分子量が990であることが確認された。H−NMRチャートから、フェニル基とトリメチルシリル基が2:1の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRチャートから、フェニル基を有し、T構造に由来するピークが、−76.12ppmと−78.95ppmに1:1の積分比で2本、トリメチルシリル基に由来するピークが10.62ppmに1本(いずれもテトラメチルシランを基準)存在することが確認された。これらの結果は、化合物(A−T)が式(3−T)で示される構造であることを支持している。従って、化合物(A−1)は式(3−1−1)で示される構造を有する化合物である。なお、T構造は1個のケイ素原子に3個の酸素原子が結合している部分構造、即ち−Si(O−)を示す用語である。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
[実施例3]
<化合物(5−1):式(5)においてRがフェニルであり、Rがメチルである有機ケイ素化合物の合成>
滴下漏斗、温度計、および還流冷却器を取り付けた内容積300ミリリットルの3つ口フラスコに、撹拌子、実施例1の方法を利用して得られた化合物(3−1−1)(11.6g)、テトラヒドロフラン(100g)仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、メチルジクロロシラン(3.4g)を滴下した。滴下終了後室温で1時間攪拌した。反応終了後、純水50gを投入して、生成した塩化ナトリウムを溶解するとともに、未反応のメチルジクロロシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移し有機層と水層とに分離した。得られた有機層を飽和食塩水により洗浄した後、中性になるまで水洗を繰り返した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレータで減圧濃縮した。そして得られた残渣をメタノールで洗浄し、乾燥して6.9gの白色粉末状固体を得た。この化合物は下記解析データから、式(5−1)で表される構造を有していることが示唆された。
1H NMR (400MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.37 (s, 6H), 4.99 (s, 2H), 7.15〜7.56 (m, 40H).
29Si NMR (79MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): -32.78 (s, 2Si), -77.91 (s, 4Si), -79.39 (t, 4Si).

Figure 0004915498
実施例4
<ヒドロキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
還流冷却器、滴下漏斗、温度計および攪拌子を備えた300mlの3つ口フラスコに、実施例3の方法を利用して得られた化合物(5−1)(15g)、テトラヒドロフラン(150g)、および白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/キシレン溶液(白金含有量:3.0重量%、50μl)を仕込み、乾燥窒素でシールした。さらに、還流状態まで加熱し、マグネチックスターラーで攪拌した。その後、エチレングリコールモノアリルエーテル(4g)、およびトルエン(4g)の混合溶液を滴下し、1時間反応を継続した。そして、反応液をサンプリングしIR分析を行った結果、Si−H基を示唆する2138cm−1の吸収が消失していることを確認した。ついで反応液に粉末活性炭(0.8g)を加え1.5時間攪拌した。そして活性炭を濾過により除去したのち減圧濃縮を行い白色粉末状固体15.4gを得た。この化合物は下記の解析データから、式(7−1)で表される構造を有していることが示唆された。
1H NMR (400MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.31 (d, 6H), 0.73 (s, 4H), 1.69 (s, 4H), 1.92 (s, 2H), 3.29 (s, 8H), 3.52 (s, 4H), 7.21〜7.53 (m, 40H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.90, 13.68, 23.73, 62.68, 72.40, 74.40, 128.72〜135.07.
29Si NMR (79MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): -17.43, -78.69, -79.54, -79.63, -79.71.

Figure 0004915498
[実施例5]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
アルゴン雰囲気下、内容積300mlのなす型フラスコに、実施例4で得られた化合物(7−1)(10g)、モレキュラーシーブス(4A)により乾燥したトリエチルアミン(2.98g)および乾燥メチレンクロライド(90ml)を仕込んだ。マグネチックスターラーを用い、室温で撹拌しながら化合物(7−1)を溶解させた後、溶液をドライアイス−メタノール浴を用いて冷却し、液温を−78℃に保持した。ついで、この溶液に2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイド(6.78g)を速やかに加え、−78℃にて1時間撹拌した後、室温下で更に2時間撹拌した。反応終了後、トリエチルアミン−臭酸塩を濾過により除去した。得られた反応液にメチレンクロライド(50ml)を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液(1%、100ml)による2回の洗浄、および水(100ml)による2回の洗浄を順次行ってから、無水硫酸マグネシウム(5g)にて乾燥した。その後、ロータリーエバポレータを用い、室温下でこの溶液を濃縮して液量を約15mlとした。この濃縮液(15ml)にメタノール(100ml)を加えて、白色固体成分を相分離させた。その後、−35℃の冷凍庫に静置して、白色固体成分の相分離を十分に行わせた後、デカンテーションによってこの成分を取得した。この白色固体成分を40℃で3時間減圧乾燥して白色粉末状固体を得た(11.8g)。
この白色粉末状固体のGPC純度は、99.7%であった。下記に示すH−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRの結果から、この化合物が式(1−1−3)で示される構造を有することがわかった。
1H NMR (400MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.31 (s, 6H), 0.74 (s, 4H), 1.667 (t, 4H), 1.85 (s, 12H), 3.33 (t, 4H), 3.43 (t, 4H), 4.02 (t, 4H), 7.19〜7.53 (m, 40H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.99, 13.74, 23.80, 31.72, 56.73,66.15, 68.92, 74.45, 128.81〜135.20.
29Si NMR (79MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): -17.36, -78.69, -79.54, -79.63, -79-71.

Figure 0004915498
[実施例6]
<重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルに臭化第一銅を導入し、さらに実施例5で得られた化合物(1−1−3)、メタクリル酸メチルおよびL−(−)−スパルテインのアニソール溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行い、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液における化合物(1−1−3)、メタクリル酸メチル、臭化第一銅およびL−(−)−スパルテインの割合を、この順のモル比で1:600:2:4とし、アニソールの使用量をメタクリル酸メチルの濃度が50重量%となる量とした。
<重合>
上記の耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は70℃であり、重合時間は0.5時間であった。この重合反応系におけるモノマー転化率は、濃度が既知のポリ(メチル メタアクリレート)のGPC測定から得られたピーク面積を基準として解析した。得られた重合体(a)をヘキサンによる再沈殿精製により回収し、この重合体(a)の酢酸エチル溶液(5重量%)を調製し、EDTA・2Na水溶液(2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行うことによって銅錯体の吸着除去を行った。さらにこの溶液をヘキサンに滴下して重合体を再沈殿させ、これを減圧乾燥(80℃、6時間)した。この重合反応系におけるモノマー転化率およびモノマー転化率より誘導される重合体(a)の理論数平均分子量、GPC測定により実測された数平均分子量および分子量分布の解析結果は、表(6−1)に示す通りであった。
<グラフト鎖の理論分子量解析>
なおグラフト鎖の理論分子量は、重合の開始末端であるエステル結合がフッ化水素酸処理による加水分解によって切断され、重合の停止末端がすべてBrとなっていると仮定し、下記式により計算した結果は、表6−2に示す通りであった。
<計算式>
グラフト鎖の理論Mn=(単量体消費率(モル%)/100)×MW×(α−ブロモエステル基に対する付加重合性単量体のモル比)+MW
<計算に用いたパラメータ>
MW=100(メタクリル酸メチル)
α−ブロモエステル基に対する付加重合性単量体のモル比=300
MW=167.01 (BrC(CH3)2CO2H)
<グラフト鎖の分子量測定>
フッ化水素酸(0.17ml)とアセトニトリル(0.83ml)の混合溶液を調製した。撹拌子を導入したポリプロピレン製マイクロチューブ(1.5ml)内において、この混合溶液に重合体(a)(10mg)を溶解させ、マグネチックスターラーを備えたインキュベータ内において40℃、24時間撹拌した。その後、減圧乾燥器にて80℃、3時間乾燥して、重合体を回収した。この重合体のGPC測定を行った結果は、表(6−2)に示す通りであった。
[実施例7〜11]
重合時間を表(6−1)に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして重合を行い、重合体(b)〜重合体(f)のそれぞれの褐色で粘ちょうな溶液を得た。そして、それぞれの重合体について、実施例6の場合と同様にして精製を行い、モノマー転化率、理論数平均分子量、数平均分子量および分子量分布を求め、結果を表(6−1)に示した。グラフト鎖の理論数平均分子量計算、重合体のフッ化水素酸処理、GPC測定によるグラフト鎖の数平均分子量および分子量分布解析についても実施例6の場合と同様にして行い、その結果を表(6−2)に示した。
<表6−1>
Figure 0004915498
<表6−2>
Figure 0004915498
[実施例12]
<重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルに臭化第一銅を導入し、さらに化合物(1−1−3)、メタクリル酸メチルおよびL−(−)−スパルテインのアニソール溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行い、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液における化合物(1−1−3)、メタクリル酸メチル、臭化第一銅およびL−(−)−スパルテインの割合を、この順のモル比で1:300:2:4とし、アニソールの使用量をメタクリル酸メチルの濃度が50重量%となる量とした。
<重合>
上記の耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(2a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は70℃であり、重合時間は0.25時間であった。この重合反応系におけるモノマー転化率は、濃度が既知のポリ(メチル メタアクリレート)のGPC測定から得られたピーク面積を基準として解析した。得られた重合体をヘキサンによる再沈殿精製により回収し、この重合体(2a)の酢酸エチル溶液(5重量%)を調製し、EDTA・2Na水溶液(2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行うことによって銅錯体の吸着除去を行った。さらにこの溶液をヘキサンに滴下して重合体(2a)を再沈殿させ、これを減圧乾燥(80℃、6時間)した。この重合反応系におけるモノマー転化率およびモノマー転化率より誘導される重合体(2a)の理論数平均分子量、GPC測定により実測された数平均分子量および分子量分布の解析結果は、表(7−1)に示す通りであった。
<グラフト鎖の理論分子量解析>
なおグラフト鎖の理論分子量は、重合の開始末端であるエステル結合がフッ化水素酸処理による加水分解によって切断され、重合の停止末端がすべてBrとなっていると仮定し、下記式により計算した結果は、表7−2に示す通りであった。
<計算式>
グラフト鎖の理論Mn=(単量体消費率(モル%)/100)×MW×(α−ブロモエステル基に対する付加重合性単量体のモル比)+MW
<計算に用いたパラメータ>
MW=100(メタクリル酸メチル)
α−ブロモエステル基に対する付加重合性単量体のモル比=150
MW=167.01 (BrC(CH3)2CO2H)
<グラフト鎖の分子量測定>
フッ化水素酸(0.17ml)とアセトニトリル(0.83ml)の混合溶液を調製した。撹拌子を導入したポリプロピレン製マイクロチューブ(1.5ml)内において、この混合溶液に重合体(2a)(10mg)を溶解させ、マグネチックスターラーを備えたインキュベータ内において40℃、24時間撹拌した。その後、減圧乾燥器にて80℃、3時間乾燥して、重合体を回収した。回収した重合体のGPC測定を行った結果は、表(7−2)に示す通りであった。
[実施例13〜18]
重合時間を表(7−1)に示すように変更した以外は、実施例12と同様にして重合を行い、重合体(2b)〜重合体(2g)のそれぞれの褐色で粘ちょうな溶液を得た。そして、それぞれの重合体について、実施例12の場合と同様にして精製を行い、モノマー転化率、理論数平均分子量、数平均分子量および分子量分布を求め、結果を表7−1に示した。グラフト鎖の理論数平均分子量計算、重合体のフッ化水素酸処理、GPC測定によるグラフト鎖の数平均分子量および分子量分布解析についても実施例12の場合と同様にして行い、その結果を表(7−2)に示した。
<表7−1>
Figure 0004915498
<表7−2>
Figure 0004915498
[実施例19]
<化合物(3−2−1):化合物(3−1−1)を原料とする、シラノールを有するフェニルシルセスキオキサンの合成>
滴下漏斗、温度計を備えた内容積100mlの反応容器に、実施例1で得られた化合物(3−1−1)(6g)、およびテトラヒドロフラン(50ml)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。そして撹拌しながら氷酢酸(2.4g)を溶液温度が22〜27℃に保ちながら約10秒間で滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌を継続したのちイオン交換水(20g)を滴下した。滴下終了後10分間撹拌を継続したのち、分液漏斗に移し有機層と水層を分離した。このようにして得られた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水で1回洗浄したのち、イオン交換水で水洗を繰り返し中性とした。次いで有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、減圧濃縮して白色粉末状固体を5.3g得た。
このようにして得られた白色粉末状固体について、IR分析を行ったところ3300cm−1にSi−OHの伸縮に基づく吸収を確認した。29Si−NMRを測定した結果、−69.32ppmにPhSi(OH)O2/2で表される構造に由来するシグナルを、−79.45ppmにPhSiO3/2で表される構造に由来するシグナルをそれぞれ1本ずつ確認した。H−NMRを測定した結果、フェニル基以外のシグナルは確認されなかった。GPCにより平均分子量を測定した結果、ポリスチレン換算で数平均分子量は760、重量平均分子量は780であった。以上のデータは得られた白色粉末状固体が式(3−2−1)の構造であることを示唆している。

Figure 0004915498
[実施例21]
<化合物(5−1):ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物の合成>
実施例1で得られた化合物(3−1−1)の代わりに、実施例19で得られた化合物(3−2−1)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、化合物(5−1)を合成することができる。
[実施例21]
<ヒドロキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
エチレングリコールモノアリルエーテルの代わりに、アリルアルコール(化合物(5−1)に対して4.0当量以上)を用いる以外は実施例4と同様の操作を行うことにより、式(7−2)で示される化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
[実施例22]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
実施例4で得られた化合物(7−1)の代わりに、実施例21で得られた化合物(7−2)を用いる以外は、実施例5と同様の操作を行うことにより、式(1−1−4)で示されるケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
[実施例23]
<クロロメチルフェニルエチル基を有するケイ素化合物の合成>
エチレングリコールモノアリルエーテルの代わりに、クロロメチルスチレン(化合物(5−1)に対して4.0当量以上)を用いる以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、式(1−3−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
この式におけるCMSは、下記の式のいずれかで示される基である。

Figure 0004915498
[実施例24]
<ジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物の合成>
実施例23で得られた化合物(1−3−3)を原料として、テトラヒドロフラン中で、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム・3水和物(クロロメチルフェニルエチル基に対して1.0当量以上)を反応させることにより、式(1−4−3)で示されるジチオカルバモイル基を有するケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
この式におけるBDCは、下記の式のいずれかで示される基である。

Figure 0004915498
[実施例25]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピルメチルジクロロシランの合成>
アリルアルコールを原料として、トリエチルアミン(水酸基に対して1.0当量以上)の存在下、メチレンクロライド中で、2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロマイド(水酸基に対して1.0当量以上)を反応させることにより、式(10)で示される化合物を合成する。さらに、化合物(10)とメチルジクロロシラン(アリル基に対して1.0当量以上)とを、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/キシレン溶液(Si−H基1モルに対して遷移金属触媒原子として1×10−6〜1×10−2モル)を触媒としてヒドロシリル化反応を行うことにより、式(11−1)で示される2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピルメチルジクロロシランを合成することができる。

Figure 0004915498

Figure 0004915498
[実施例26]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
メチルジクロロシランの代わりに、実施例25で得られる2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピルメチルジクロロシラン(化合物(3−1−1)に対して4.0当量以上)を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、式(1−1−4)で示されるケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
[実施例27]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
化合物(3−1−1)の代わりに、化合物(3−2−1)を用いる以外は、実施例26と同様の操作を行うことにより、式(1−1−4)で示されるケイ素化合物を合成することができる。
[実施例28]
<2‐ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピルメチルジクロロシランの合成>
アリルアルコールの代わりにエチレングリコールモノアリルエーテルを用いる以外は、実施例25と同様の操作を行うことにより、式(11−2)で示される2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピルメチルジクロロシランを合成することができる。

Figure 0004915498
[実施例29]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
実施例25で得られる2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピルメチルジクロロシランの代わりに、実施例28で得られる2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピルメチルジクロロシラン(化合物(3−1−1)に対して4.0当量以上)を用いる以外は、実施例26と同様の操作を行うことにより、式(1−1−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
[実施例30]
<2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシエトキシプロピル基を有するケイ素化合物の合成>
化合物(3−1−1)の代わりに、化合物(3−2−1)を用いる以外は、実施例29と同様の操作を行うことにより、式(1−1−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。
[実施例31]
<クロロメチルフェニルエチルメチルジクロロシランの合成>
アリルアルコールの代わりにクロロメチルスチレンを用いる以外は、実施例25と同様の操作を行うことにより、式(11−3)で示されるクロロメチルフェニルエチルジメチルクロロシランを合成することができる。

Figure 0004915498
この式におけるCMSは、下記のいずれかで示される基である。

Figure 0004915498
[実施例32]
<クロロメチルフェニルエチル基を有するケイ素化合物の合成>
実施例25で得られる2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピルメチルジクロロシランの代わりに、実施例31で得られるクロロメチルフェニルエチルメチルジクロロシラン(化合物(3−1−1)に対して4.0当量以上)を用いる以外は、実施例26と同様の操作を行うことにより、式(1−3−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
この式におけるCMSは、式(11−3)におけるCMSと同一である。
[実施例33]
<クロロメチルフェニルエチル基を有するケイ素化合物の合成>
化合物(3−1−1)の代わりに、化合物(3−2−1)を用いる以外は、実施例32と同様の操作を行うことにより、式(1−3−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。
[実施例34]
<クロロスルフォニルフェニルエチルメチルジクロロシランの合成>
アリルアルコールの代わりにクロロスルフォニルスチレンを用いる以外は、実施例25と同様の操作を行うことにより、式(11−4)で示されるクロロスルフォニルフェニルエチルメチルジクロロシランを合成することができる。

Figure 0004915498
この式におけるTsClは、下記のいずれかで示される基である。

Figure 0004915498
[実施例35]
<クロロスルフォニルエチル基を有するケイ素化合物の合成>
実施例25で得られる2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシプロピルメチルジクロロシランの代わりに、実施例34で得られるクロロスルフォニルフェニルエチルメチルジクロロシラン(化合物(3−1−1)に対して4.0当量)を用いる以外は、実施例26と同様の操作を行うことにより、式(1−2−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。

Figure 0004915498
この式におけるTsClは、式(11−4)におけるTsClと同一である。
[実施例36]
<クロロスルフォニルエチル基を有するケイ素化合物の合成>
化合物(3−1−1)の代わりに、化合物(3−2−1)を用いる以外は、実施例35と同様の操作を行うことにより、式(1−2−3)で示されるケイ素化合物を合成することができる。
[実施例37]
<秩序構造体薄膜の調製>
実施例7で得られた重合体(a)の0.25gをテトラヒドロフラン0.75gに溶解させて重合体濃度25重量%の溶液を得た。同様にして、実施例12および13で得られた重合体(2a)および(2b)のそれぞれの溶液を得た。得られたそれぞれの溶液をガラス基板に塗布し、室温下で24時間乾燥して薄膜を得た。得られた薄膜の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行ったところ、図1〜図3に示すような秩序構造体であることが分かった。SEM画像から見積もられた孔径は表8に示す通りであった。
<表8>
Figure 0004915498
重合体(2a)の薄膜の走査型電子顕微鏡による写真 重合体(2b)の薄膜の走査型電子顕微鏡による写真 重合体(a)の薄膜の走査型電子顕微鏡による写真

Claims (47)

  1. 式(1)で示されるケイ素化合物:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1)、式(2−2)、式(2−3)および式(2−4)のいずれかで示される付加重合性単量体に対する重合開始能を有する基である。

    Figure 0004915498

    ここに、Z は3〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH −は−O−で置き換えられてもよく;R は水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、R は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、X はハロゲンである:

    Figure 0004915498

    ここに、Z は炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH −が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;X はハロゲンであり;ベンゼン環への−SO の結合位置は、Z の結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり;R の結合位置は、Z および−SO のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である:

    Figure 0004915498

    ここに、Z は炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH −が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Z は炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH −が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;X はハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZ の結合位置はZ の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R の結合位置はZ およびZ のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;

    Figure 0004915498

    ここに、Z は炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH −が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Z は炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH −が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;R およびR は独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、R およびR は互いに結合してNと共に環を形成してもよく;そして、ベンゼン環へのZ の結合位置はZ の結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、R の結合位置はZ およびZ のそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
  2. Aが式(2−1)、式(2−2)、式(2−3)および式(2−4)のいずれかで示される付加重合性単量体に対するリビングラジカル重合開始能を有する基である、請求項1に記載のケイ素化合物。
  3. それぞれのRが水素、および1〜30個の炭素原子を有するアルキルから独立して選択される基であり;このアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  4. それぞれのRが任意の水素がハロゲンまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニルおよび非置換のナフチルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−、シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  5. それぞれのRが任意の水素がハロゲンまたは1〜12個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜12であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;フェニル基の置換基であるアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−シクロアルキレン、またはフェニレンで置き換えられてもよく;そして、フェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  6. それぞれのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから独立して選択される基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;そして、フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよい、請求項に記載のケイ素化合物。
  7. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項に記載のケイ素化合物。
  8. すべてのRがフェニルである、請求項に記載のケイ素化合物。
  9. すべてのRがフェニルであり、そしてRがメチルである、請求項に記載のケイ素化合物。
  10. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−1)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは3〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そしてXはハロゲンである。
  11. すべてのRがフェニルであり;そして、Zが炭素原子の数が3〜10であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項10に記載のケイ素化合物。
  12. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;そして、Zが−C−または−C−O−C−であり;RおよびRがメチルであり;そしてXが臭素である、請求項10に記載のケイ素化合物。
  13. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−2)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり;Rの結合位置は、Zおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
  14. すべてのRがフェニルであり;Zが−C−Zであり;そして、Zが単結合、または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項13に記載のケイ素化合物。
  15. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;Zが−C−であり;Xが塩素または臭素であり;そしてaが0である、請求項13に記載のケイ素化合物。
  16. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−3)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
  17. すべてのRがフェニルであり;Zが−C−Zであり、そしてZが単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項16に記載のケイ素化合物。
  18. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;Zが−C−であり;Zが−CH−であり;Xが塩素または臭素であり;そしてaが0である、請求項16に記載のケイ素化合物。
  19. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aが式(2−4)で示される基である、請求項に記載のケイ素化合物:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは炭素原子の数が2〜10であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
  20. すべてのRがフェニルであり;Zが−C−Zであり、そしてZが単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンである、請求項19に記載のケイ素化合物。
  21. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルであり;Zが−C−であり;RおよびRがエチルであり;Zが−CH−であり;そしてaが0である、請求項19に記載のケイ素化合物。
  22. 工程(a)、工程(b)および工程(c)を順次実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであって、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである;
    <工程(a)>
    式(3−1)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式において、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である;
    <工程(b)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6)で示される化合物を反応させることにより、式(7)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式において、Zは式(2−1−1)におけるZと同一の意味を有し、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する;
    <工程(c)>
    式(7)で示される化合物に、式(8)で示される化合物を反応させることにより、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    ここに、R、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンである。
  23. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項22に記載の製造方法。
  24. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項22に記載の製造方法。
  25. 工程(d)、工程(b)および工程(c)を順次実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであり、そしてこのアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである。
    <工程(d)>
    式(3−2)で示される化合物に式(4)で示される化合物を反応させることにより、式(5)で示される化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRおよびRは、式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
    <工程(b)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(5)で示される化合物に式(6)で示される化合物を反応させることにより、式(7)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式において、Zは式(2−1−1)におけるZと同一の意味を有し、RおよびRは式(1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
    <工程(c)>
    式(7)で示される化合物に、式(8)で示される化合物を反応させることにより、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    ここに、R、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンである。
  26. すべてのRが1〜8個の炭素原子を有するアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;1〜8個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;そして、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項25に記載の製造方法。
  27. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項25に記載の製造方法。
  28. 工程(e)についで工程(f)を実施することを特徴とする、式(1−3)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−3−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(e)>
    式(4)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(5)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式において、RおよびRは式(1−3)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である;
    <工程(f)>
    式(5)で示される化合物と式(2−3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(1−3)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    ここに、Z、R、a、ZおよびXは式(2−3−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−3−1)におけるこれらの結合位置と同一である。
  29. すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項28に記載の製造方法。
  30. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項28に記載の製造方法。
  31. 式(1−3)で示されるケイ素化合物と式(9)で示される化合物とを反応させることを特徴とする、式(1−4)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、炭素原子の数が1〜45であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基と任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;Aは式(2−4−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;

    Figure 0004915498

    ここに、RおよびRは式(1−4)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Aは式(2−3−1)で示される基である;

    Figure 0004915498

    ここに、Z、R、aおよびZは式(2−4−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−4−1)におけるこれらの結合位置と同一である;

    Figure 0004915498

    ここに、RおよびRは式(2−4−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であり;そして、pはMの原子価と同じ値である。
  32. すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項31に記載の製造方法。
  33. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項31に記載の製造方法。
  34. 工程(g)についで工程(h)を実施することを特徴とする、式(1−1)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−1−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであって、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;そして、Xはハロゲンである;
    <工程(g)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(2−1−2)で示される化合物とを反応させることによって、式(2−1−3)で示される化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRは、式(1−1)におけるRと同一の意味を有し;Z、R、RおよびXは式(2−1−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有する。
    <工程(h)>
    式(2−1−3)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(1−1)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRは、式(1−1)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
  35. すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項34に記載の製造方法。
  36. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項34に記載の製造方法。
  37. 工程(i)についで工程(j)を実施することを特徴とする、式(1−2)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−2−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または1〜8個の炭素原子を有するアルキレンであり、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SOの結合位置は、Zの結合位置に対してオルト位、メタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよび−SOのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である。
    <工程(i)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(2−2−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(2−2−3)で示される化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRは、式(1−2)におけるRと同一の意味を有し;Z、R、aおよびXは、式(2−2−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環への−SOおよびRの結合位置は式(2−2−1)におけるこれらの結合位置と同一である。
    <工程(j)>
    式(2−2−3)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることにより、式(1−2)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRは、式(1−2)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
  38. すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項37に記載の製造方法。
  39. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項37に記載の製造方法。
  40. 工程(k)についで工程(l)を実施することを特徴とする、式(1−3)で示されるケイ素化合物の製造方法:

    Figure 0004915498

    ここに、それぞれのRは水素、1〜45個の炭素原子を有するアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリール基とアルキレン基とで構成されるアリールアルキルから独立して選択される基であり;1〜45個の炭素原子を有するアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;アリールアルキルのアルキレン基において、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−は−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよく;Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Aは式(2−3−1)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;そして、ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置である;
    <工程(k)>
    遷移金属触媒の存在下で、式(4)で示される化合物と式(2−3−2)で示される化合物とを反応させるとこにより、式(2−3−3)で示される化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRは、式(1−3)におけるRと同一の意味を有し;Z、R、a、ZおよびXは、式(2−3−1)におけるこれらの記号と同一の意味を有し;ベンゼン環へのZおよびRの結合位置は式(2−3−1)におけるこれらの結合位置と同一である;
    <工程(l)>
    式(2−3−3)で示される化合物と、式(3−1)で示される化合物または式(3−2)で示される化合物とを反応させることで、式(1−3)で示されるケイ素化合物を得る工程:

    Figure 0004915498

    Figure 0004915498

    ここに、これらの式におけるRは、式(1−3)におけるRと同一の意味を有し;Mは1価のアルカリ金属原子である。
  41. すべてのRが炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基である、請求項40に記載の製造方法。
  42. すべてのRがフェニルであり;Rがメチルである、請求項40に記載の製造方法。
  43. 請求項1に記載のケイ素化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つの付加重合性単量体を重合することによって得られる重合体。
  44. 式(P−1)で示される重合体:

    Figure 0004915498

    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−1−P)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは1〜18個の炭素原子を有するアルキレンであって、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Rは水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、または7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり;Xはハロゲンであり;そして、P(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つの付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
  45. 式(P−2)で示される重合体:

    Figure 0004915498

    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基炭素原子の数が1〜8であってと任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−2−P)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環への−SO−P−Xの結合位置は、Zの結合位置に対して、オルト位、メタ位またはパラ位であり;Rの結合位置は、Zおよび−SO−P−Xのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、P(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つの付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
  46. 式(P−3)で示される重合体:

    Figure 0004915498

    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−3−P)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Xはハロゲンであり;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり;Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、P(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つの付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
  47. 式(P−4)で示される重合体:

    Figure 0004915498

    ここに、すべてのR11は炭素原子の数が1〜8であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、任意の水素がハロゲン、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル、非置換のナフチル、および任意の水素がフッ素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはメトキシで置き換えられてもよいフェニル基と炭素原子の数が1〜8であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレン基とで構成されるフェニルアルキルから選択される同一の基であり;フェニルまたはフェニルアルキルのフェニル基が複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし異なる基であってもよく;Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニルおよびシクロへキシルから独立して選択される基であり;そして、Bは式(2−4−P)で示される基である:

    Figure 0004915498

    ここに、Zは単結合または炭素原子の数が1〜8であって、任意の−CH−が−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよいアルキレンであり;Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであって、aは0〜2の整数であり;Zは炭素原子の数が1〜3であって、任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキレンであり;RおよびRは独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは6〜10個の炭素原子を有するアリールであって、RおよびRは互いに結合してNと共に環を形成してもよく;ベンゼン環へのZの結合位置はZの結合位置に対してメタ位またはパラ位であり;Rの結合位置はZおよびZのそれぞれの結合位置を除く任意の位置であり;そして、P(メタ)アクリル酸誘導体の群およびスチレン誘導体の群から選択される少なくとも1つの付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖である。
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