JP4857539B2 - 重合体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は遷移金属錯体を用いた原子移動ラジカル重合によって得られる付加重合体の精製法およびそれによって得られる精製された重合体に関する。
近年、先端科学技術の発展に伴い、高分子材料は汎用的な構造形成材料としてのみならず、高度な機能や性能を有する高付加価値型材料として様々な分野で利用されるようになってきた。それに伴い、高分子材料を精密な設計のもとに製造することの重要性が増している。このような材料を得るためには、構造の明確な重合体を合成することが極めて重要である。そうでなければ、重合体の分子的な性質や分子集合体としての性質を精密に解析することが困難であるため、高分子材料の機能を目的に合わせて最適化することができない。非特許文献1および2に記載されている遷移金属錯体を用いた原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization Method)は、ラジカル重合としては優れたリビング重合性を発現し、分子量分布が狭く、分子量が厳密に制御された高分子を得ることができる。これにより、従来のラジカル重合では極めて困難であったブロックコポリマーや末端官能基化ポリマーなどに代表される構造の明確な重合体を得ることも可能となっている。
遷移金属触媒によるリビングラジカル重合は、重合性単量体への広い適応性および分子構造制御などの点で大変優れているが、用いた金属触媒が重合体中に残留することが避けられない。そして、このことが着色や物性低下などの問題発生の原因となり、実用化への大きな障害となっている。これらの問題点を解決すべく、無機系吸着剤やイオン交換樹脂を用いた遷移金属成分の除去が検討されている(特許文献1、特許文献2および非特許文献3を参照)。しかしながら、いずれの場合も固液分離の工程が必要であり、吸着剤充填カラムを用いる場合には長い処理時間を要する。イオン交換樹脂を用いる場合には、イオン交換樹脂に含まれる可溶性樹脂成分が重合体に混入する恐れもある。
特開2001−323012公報 特開2001−323015公報 Chem. Rev., 101, 2921-2990 (2001) Chem. Rev., 101, 3689-3745 (2001) Macromolecules, 33, 1476-1478 (2000)
本発明の課題は、上記の問題点を解決するために、遷移金属錯体を重合触媒として付加重合性単量体を原子移動ラジカル重合して得られる重合体から遷移金属成分を除去する方法およびこの方法によって得られる遷移金属成分含有量の少ない重合体を提供することである。
本発明者らは、錯化剤の溶液を処理剤として用いることによって、遷移金属錯体を重合触媒として得られる重合体中の遷移金属成分含有量を低減させることが可能であることを知った。即ち、本発明は下記の構成を有する。
[1] 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して得られる重合反応液、またはこの重合反応液から得られる重合体を、任意成分としての非水溶性溶剤と必須成分としての錯化剤溶液とを用いて精製処理して得られる重合体であって;錯化剤溶液が錯化剤水溶液、電解質成分を含む錯化剤水溶液、または沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液であり、そして重合体に含まれる遷移金属成分の濃度が重合体全量に対して10ppm以下である重合体。
[2] 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して重合反応液を得、この重合反応液から得られる重合体を非水溶性溶剤と錯化剤水溶液とを用いて精製処理して得られる、[1]項に記載の重合体。
[3] 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して重合反応液を得、この重合反応液から得られる重合体を非水溶性溶剤と電解質成分を含む錯化剤水溶液とを用いて精製処理して得られる、[1]項に記載の重合体。
[4] 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して得られる重合反応液を、沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液と任意成分としての非水溶性溶剤とを用いて精製処理して得られる、[1]項に記載の重合体。
[5] 錯化剤がカルボン酸およびその塩、アミンおよびその塩、アミノカルボン酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、無機ハロゲン化物、無機シアン化物、アンモニウム塩、亜硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、ポリチオン酸塩、亜二チオン酸塩並びに二チオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の重合体。
[6] 錯化剤がカルボン酸およびその塩、アミンおよびその塩、アミノカルボン酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、リン酸およびその塩並びに無機シアン化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の重合体。
[7] 錯化剤がカルボン酸およびその塩、アミンおよびその塩、アミノカルボン酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、無機シアン化物、亜硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、ポリチオン酸塩、亜二チオン酸塩並びに二チオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物であり、そして電解質成分が無機ハロゲン化物またはアンモニウム塩である、[3]項に記載の重合体。
[8] 錯化剤がカルボン酸およびその塩、アミンおよびその塩、アミノカルボン酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、リン酸およびその塩並びに無機シアン化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物であり、そして電解質成分が無機ハロゲン化物またはアンモニウム塩である、[3]項に記載の重合体。
[9] 遷移金属錯体の中心金属が周期律表第8族、第9族、第10族または第11族の元素である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の重合体。
[10] 遷移金属錯体の中心金属が鉄、ニッケル、ルテニウムまたは銅である、[9]項に記載の重合体。
[11] 遷移金属錯体の中心金属が銅である、[9]項に記載の重合体。
[12] 付加重合性単量体が(メタ)アクリル酸誘導体およびスチレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の重合体。
[13] 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して重合反応液を得、この重合反応液から得られる重合体を非水溶性溶剤に溶解して重合体溶液とし、この重合体溶液に錯化剤水溶液または電解質成分を更に含む錯化剤水溶液を加えて攪拌することにより、この溶液から遷移金属成分を水層に抽出することを特徴とする、[1]項に記載の重合体の製造方法。
[14] 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して重合反応液を得、この重合反応液に沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液を加えて攪拌し、重合体を析出させると同時に遷移金属成分をこの錯化剤溶液に抽出することを特徴とする、[1]項に記載の重合体の製造方法。
本発明によって、遷移金属錯体の含有量が著しく低減された重合体を容易に得ることができる。即ち、遷移金属錯体を用いて得られる重合体の問題点であった着色や物性低下が改善される。本発明の重合体は、遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合によるものなので分子構造の制御が容易である。従って、本発明の重合体は、目的に合わせて機能を最適化することが可能な高機能な高分子材料として実用化され得る。
まず、本発明で用いる用語について説明する。「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意に選択できることを意味するが、個数が0である場合を含まない。任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいと記述するときには、連続する複数の−CH−が−O−で置き換えられる場合を含まない。任意のAがBまたはCで置き換えられてもよいという表現は、任意のAがBで置き換えられる場合および任意のAがCで置き換えられる場合に加えて、任意のAがBで置き換えられると同時に、残りのAのうちの任意のAがCで置き換えらる場合をも含むことを意味する。例えば、任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、アルキルオキシアルケニルおよびアルケニルオキシアルキルが含まれる。アルキルおよびアルキレンは、いずれも直鎖の基であってよいし、分岐された基であってもよい。このことは、任意の−CH−が他の2価基で置き換えられる場合にも適用される。例えば、前記のアルキルオキシアルケニルおよびアルケニルオキシアルキルにおけるアルキル、アルケニレン、アルケニルおよびアルキレンのいずれも、直鎖の基であってよいし、分岐された基であってもよい。シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、どちらも架橋環構造の基であってもよいし、そうでなくてもよい。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称として用いられる。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの総称として用いられる。(メタ)アクリロイルオキシは、アクリロイルオキシおよびメタアクリロイルオキシの総称として用いられる。
次に、原子移動ラジカル重合について説明する。この重合法はリビングラジカル重合法の1つであり、リビング重合開始剤を用い、触媒として周期律表第8族、9族、10族あるいは11族元素を中心金属とする金属錯体を用いる方法である。リビング重合開始剤の例は有機ハロゲン化物およびハロゲン化スルフォニル化合物である。有機ハロゲン化物として、式(1)で示されるベンジル誘導体および式(2)で示されるα−ハロエステル基を有する化合物を挙げることができる。

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ここに、RおよびRは水素、X、および炭素原子の数が1〜20であって任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキルから独立して選択される基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。

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ここに、R、RおよびRは、独立して水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数7〜20のアリールアルキルであり、RおよびRが共に水素であることはなく、そしてXは塩素、臭素またはヨウ素である。
ハロゲン化スルフォニル化合物として、式(3)で示される化合物が挙げられる。

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ここに、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数7〜20のアリールアルキルであり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。
即ち、これらの開始剤を用いて原子移動ラジカル重合を行うと、式(1−1)〜式(3−1)のそれぞれで示される重合体を得ることができる

Figure 0004857539

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これらの式において、Pは付加重合性単量体の重合によって得られる構成単位の連鎖であり、R〜RおよびXは式(1)〜式(3)におけるそれぞれの記号と同じ意味を有する。
従って、原子移動ラジカル重合を開始する官能基と原子移動ラジカル重合を開始しない特定の官能基とを有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルフォニル化合物を、原子移動ラジカル重合の開始剤として用いることにより、重合体の一方の末端に原子移動ラジカル重合を開始しない特定の官能基を、他方の末端にX(塩素、臭素またはヨウ素)を有する重合体を得ることができる。このような特定の官能基の例は、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびアミド基である。このような特定の官能基を併せ持つ有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルフォニル化合物の具体例は、前記の特許文献1〜2、非特許文献1〜2、およびProgress In Polymer Science, 26, 337-377 (2001)に開示されている。
本発明における原子移動ラジカル重合では、マクロイニシエータと称される化合物も開始剤として用いることができる。具体的には、式(1−1)、式(2−1)および式(3−1)のそれぞれで示されるポリマーをマクロイニシエータとして用い、各種の付加重合性単量体を引き続き原子移動ラジカル重合することで、ブロックコポリマーなどへ誘導することができる。また、本発明では、原子移動ラジカル重合とは異なる重合方法により得られたマクロイニシエータも用いることができる。例えば、リビングアニオン重合法により得られたポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール、あるいはポリプロピレングリコールの末端にα−ブロモエステル基などの原子移動ラジカル重合開始基を導入したものをマクロイニシエータとして用いることもできるし、さらにシルセスキオキサン誘導体である原子移動ラジカル重合開始剤を用いることもできる。
さらに本発明では、原子移動ラジカル重合開始剤が固定化された微粒子なども開始剤として用いることができる。たとえば金属微粒子(例えば金、銀、プラチナ、パラジウム、ニッケル、鉄等)、シリカ微粒子、シルセスキオキサン微粒子、ポリマー微粒子などに上記開始剤を固定化し、これを開始剤として微粒子表面に重合体をグラフトさせることができる。
本発明に用いる原子移動ラジカル重合開始剤の具体例を次に示す。具体例における記号の意味は次の通りである。
Me:メチル
Et:エチル
Bu:ブチル
iBu:イソブチル
Oc:オクチル
iOc:イソオクチル
Ph:フェニル
Cp:シクロペンチル
Ch:シクロヘキシル
TFP:3,3,3−トリフルオロプロピル

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上記の例の他、ラダー型シルセスキオキサン誘導体であって、末端基ではなく主鎖の方に1つ以上のイニシエータが導入された化合物や、イニシエータが導入されたアモルファスタイプのシルセスキオキサン誘導体なども挙げることができる。
本発明で利用する原子移動ラジカル重合法には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合法も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合は、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules, 32, 2872 (1999)参照)。
次に、原子移動ラジカル重合に用いることができる付加重合性単量体について説明する。この付加重合性単量体は、付加重合性の二重結合を少なくとも1つ有する単量体である。付加重合性の二重結合を1つ有する単官能の単量体の例の1つは、(メタ)アクリル酸系単量体である。この具体例は(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリレート2−アミノエチル、2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、(1−(4−((4−(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル−ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンなどである。
単官能の単量体のもう1つの例はスチレン系単量体である。その具体例は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−アミノスチレン、p−スチレンクロロスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその塩、ビニルフェニルメチルジチオカルバメート、2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレン、1−(2-((4−エテニルフェニル)メトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレンなどである。
その他の単官能性単量体の例は、フッ素含有ビニル単量体(パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなど)、ケイ素含有ビニル系単量体(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど)、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、マレイミド系単量体(マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなど)、ニトリル基含有単量体(アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、アミド基含有単量体(アクリルアミド、メタクリルアミドなど)、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)、共役ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニルなど)、ハロゲン化ビニリデン(塩化ビニリデンなど)、ハロゲン化アリル(塩化アリルなど)、アリルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、メチルビニルケトン、ビニルイソシアナートなどである。さらに、重合性二重結合を1分子中に1つ有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン(例えばポリジメチルシロキサンなど)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−block−ポリプロピレングリコールなどであるマクロ単量体も挙げられる。
付加重合性二重結合を2つ有する多官能単量体の例は、1,3−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン ジ(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕ビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕テトラブロモビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクロキシポリエトキシ〕ビスフェノールA、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオール ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール誘導体のジ(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕テトラメチルジシロキサン等のジ(メタ)アクリレート系単量体、ジビニルベンゼンなどである。さらに、分子中に重合性二重結合を2つ有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン(例えばポリジメチルシロキサンなど)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)−block−ポリプロピレングリコールなどであるマクロ単量体もあげられる。
付加重合性二重結合を3つ以上有する多官能単量体の例は、トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール モノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアネート) トリ(メタ)アクリレート、トリス(ジエチレングリコール)トリメレート トリ(メタ)アクリレート、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタエチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソブチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソオクチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、オクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン、オクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)オクタシルセスキオキサンなどである。更に、分子中に重合性二重結合を2個以上有し、主鎖がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン(例えばポリジメチルシロキサンなど)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−block−ポリプロピレングリコールなどであるマクロ単量体も挙げられる。
これらの単量体は単独で用いてもよいし、複数を共重合させてもよい。共重合させる際にはランダム共重合でも、ブロック共重合でもよい。
次に、遷移金属錯体を触媒として、付加重合性単量体を原子移動ラジカル重合させる方法について説明する。本発明における原子移動ラジカル重合法は、リビングラジカル重合法の1つであり、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルフォニル化合物を開始剤として付加重合性単量体をラジカル重合する方法である。この方法については、J. Am. Chem. Soc., 117, 5614 (1995)、Macromolecules, 28, 7901 (1995)、およびScience, 272, 866 (1996)を参照することができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体の好ましい例は、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましい触媒は、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケル錯体である。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物の例は、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などである。上記金属錯体は、非特許文献1および2に記載の配位子が用いられる。より具体的には、2,2’−ビピリジルもしくはその誘導体(2,2'−ビピリジン、4,4'−ジ−n−ヘプチル−2,2'−ビピリジンなど)、1,10−フェナントロリンもしくはその誘導体、ピリジルメタンイミン(N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミンなど)、ポリアミン(テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンなど)、またはL−(−)−スパルテイン等の多環式アルカロイドが配位子として添加される。また2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合には、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)なども、触媒として好適である。
重合反応には溶剤を用いてもよい。用いられる溶剤の例は、炭化水素系溶剤(ベンゼン、トルエンなど)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶剤(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶剤(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶剤(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶剤(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶剤(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶剤(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶剤(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶剤(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、水などである。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。なお、用いることができる溶剤はこれらの例に制限されない。
原子移動ラジカル重合は、付加重合性単量体の種類および溶剤の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下で行うことができる。遷移金属錯体および生成ラジカルは、酸素と接触すると失活する恐れがある。そのような場合には重合速度が低下したり、良好なリビング重合体が得られなかったりするため、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが肝要である。この反応では、あらかじめ、減圧下で重合系内の溶存酸素を除去する必要がある。そして、溶存酸素の除去工程の後、そのまま減圧下において重合工程へ移行することも可能である。原子移動ラジカル重合には慣用の方法を採用することができ、重合方法によって特に制限されない。例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、または塊状-懸濁重合法などを採用することができる。そして、重合温度は0〜200℃の範囲であり、好ましい重合温度は、室温〜150℃の範囲である。
通常の付加重合性単量体を重合させる時に、重合性官能基を有すると同時に開始剤としての機能をも有する化合物、例えば2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレンなどを併用することにより、高分岐型ポリマーが結合した重合体を得ることができる。また、トリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、シルセスキオキサンなどであって、(メタ)アクリル基やスチリル基などの重合性官能基を有する化合物を併用することにより、重合体の構造中にケイ素原子を含む構成単位を導入することができる。原子移動ラジカル重合に関与しない開始基を有する付加重合性単量体、例えば1−(2-(4−エテニルフェニルメトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−フェニル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、1−(4−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、ビニルフェニルメチルジチオカルバメートなどを共重合させた後、得られた重合体を開始剤として、さらに他の重合様式(例えばニトロキシル重合や光イニファタ重合)で付加重合性単量体を重合させて、グラフト共重合体を形成させることもできる。
付加重合性単量体をグリシジル基を有する単量体、オキセタニル基を有する単量体、ジオキソランを有する単量体などと共重合させて得られる重合体に、熱潜在性または光潜在性カチオン重合開始剤として脂肪族スルフォニウム塩、芳香族スルフォニウム塩または芳香族アイオドニウム塩を添加してカチオン重合すれば、三次元網目構造を有する架橋重合体とすることもできる。なお、この場合には、カチオン重合に先立ってラジカル重合触媒の遷移金属錯体を除いておくことが好ましい。グリシジル基を有する単量体の例はグリシジル(メタ)アクリレートである。オキセタニル基を有する単量体の例は3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。ジオキソランを有する単量体の例は4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソランである。脂肪族スルフォニウム塩の例は、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートおよび2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートである。芳香族スルフォニウム塩の例は、サンエイド SI−15、SI−20、SI−25、SI−40、SI−45、SI−47、SI−60、SI−60L、SI−80、SI−80L、SI−100、SI−100L、SI−145、SI−150、SI−160(いずれも三新化学工業(株)製)、アデカオプトマーSP−172、アデカオプトマーSP−152(いずれも旭電化工業(株)製)、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートである。芳香族アイオドニウム塩の例は、(4−ペンタデシルオキシフェニル)フェニルアイオドニウムヘキサフルオロアンチモネートである。光潜在性カチオン重合を行う際には光増感剤、例えばアデカオプトマーSP−100(旭電化工業(株)製)を併用してもよい。またカチオン重合による三次元網目構造を有する架橋重合体を得る際には、単官能もしくは多官能のグリシジル系架橋剤、または単官能もしくは多官能のオキセタン系架橋剤を共存させていてもよい。
以下の説明では、上記のようにして得られる重合体を重合体(1)で示す。重合反応液から重合体(1)を単離するには、未反応の付加重合性単量体を効率よく除去することが必要である。そのためには、再沈殿操作による精製法が好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、重合体(1)および未反応の単量体を含む重合反応液と沈殿剤とを混合することにより重合体(1)のみを沈殿させる。この沈殿剤は、重合体(1)は溶解しないけれども未反応の単量体は溶解するような溶剤を意味する。沈殿剤の好ましい使用量は、前記の重合反応液の重量に基づいて20〜50倍である。沈殿剤の選択条件は、重合時に用いる溶剤と相溶し、重合体(1)を全く溶解せず、未反応の単量体のみを溶解し、沸点も比較的低いことである。好ましい沈殿剤の例は低級アルコール類および脂肪族炭化水素である。特に好ましい沈殿剤はメタノールおよびヘキサンである。そして、未反応単量体の除去効率をさらにあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。この方法により、重合体(1)のみを貧溶剤中で析出させることが可能であり、濾過操作によって容易に未反応単量体と重合体とを分離することができる。
上記の方法により単離した重合体(1)には重合触媒である遷移金属錯体が残存するため、重合体の着色、物性面への影響および環境安全性などの問題が生じ易い。従って、重合反応終了後にこの残留触媒を除去する必要がある。そして、本発明では非水溶性溶剤と錯化剤溶液とを用いて精製処理することにより遷移金属成分を除去する。錯化剤溶液の例は、錯化剤水溶液、電解質成分を含む錯化剤水溶液、および沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液である。即ち、重合体(1)を非水溶性溶剤に溶解した後、この重合体(1)の溶液に錯化剤水溶液または電解質成分を含む錯化剤水溶液を加えて撹拌・混合し、遷移金属成分をこの錯化剤との錯体に変換させてこれを水層に抽出する。分離した重合体(1)の溶液を水層と分離した後、これに沈殿剤を加えて重合体(1)を単離する。このようにして重合体(1)に残留する触媒成分濃度を著しく低減させることができる。重合体(1)を非水溶性溶剤に溶解した後、これを沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液に投入すれば、遷移金属錯体を沈殿剤層へ抽出すると同時に重合体(1)を析出させることができる。
重合反応液を対象に精製処理してもよい。重合反応液の粘度が高い場合には、これに非水溶性溶剤を加えて適当な溶液粘度にしてから精製処理してもよい。即ち、重合反応終了後に、重合体(1)を含む重合反応液を必要に応じて非水溶性溶剤で希釈した後、この溶液に錯化剤水溶液または電解質成分を含む錯化剤水溶液を加えて撹拌・混合し、遷移金属成分を錯塩化して水層に移行させ、その後に遠心分離や静置分離などの物理的操作により、前記水溶液と重合体(1)を含む非水溶性溶剤を分離させる。そして、この重合体(1)を含む溶液を沈殿剤中に投入することによって、未反応の単量体を除きながら重合体(1)を析出させることができる。このような精製処理によって、重合体(1)に残留する触媒成分濃度を著しく低減させることができる。
この精製処理の操作手順は必ずしも上記の通りでなくてもよい。例えば、重合体(1)または重合体(1)を含む重合反応液に錯化剤または錯化剤および電解質成分を加えてから非水溶性溶剤を加え、更に水を加えてもよい。どのような操作手順で精製処理を行っても、最終的には最初に説明した操作手順の場合と同じ抽出処理になり、同じ効果が得られる。
重合反応液を対象に精製処理する場合には、この重合反応液を、例えばその粘度を下げるなどの必要に応じて、非水溶性溶剤で希釈した後、これを沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液中に投入すれば、遷移金属錯体を沈殿剤層へ抽出すると同時に重合体(1)を析出させることができる。この精製処理法において用いる沈殿剤の選択条件は、錯化剤を溶解することと、重合体(1)を析出させることができることである。そして、この場合においても、好ましい沈殿剤の例は、前記と同じ低級アルコール類および脂肪族炭化水素である。特に好ましい沈殿剤はメタノールおよびヘキサンである。そして、遷移金属成分の除去効率をさらにあげるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。この方法により、重合体(1)のみを析出させることが可能であり、濾過操作によって容易に未反応単量体および遷移金属錯体と重合体とを分離することができる。
本発明で用いる非水溶性溶剤の例は、アニソール、ベンゼン、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、1−クロロナフタレン、ジベンジルナフタレン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルエーテル、酢酸エチル、メシチレン、酢酸メチル、酢酸イソアミル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、テトラクロロエチレン、テトラリン、トルエン、トリクロロエチレンおよびキシレンである。より好ましい例はクロロホルム、酢酸エチルおよびトルエンである。
本発明では、カルボン酸およびその塩、アミンおよびその塩、アミノカルボン酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、無機ハロゲン化物、無機シアン化物、アンモニウム塩、亜硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、ポリチオン酸塩、亜二チオン酸塩並びに二チオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を錯化剤として用いる。カルボン酸の例は脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸である。酸の塩の例は、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムやバリウムなどのアルカリ土類金属塩、および鉄(III)やバナジウムなどの重金属塩であり、更にカルボキシル基に対して金属や塩基性物質が当量以上あるいは以下の部分中和塩やこれらの塩の混合物も用いることができる。アミンの塩の例は、酢酸のような脂肪酸との塩である。
脂肪族カルボン酸の例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバジル酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1、グリコール酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アロイソクエン酸、グルコン酸、ピルビン酸、オキサル酸、ジグリコール酸およびチオジグリコール酸である。芳香族カルボン酸の例は、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、マンデル酸、サリチル酸、5−スルホサリチル酸、α−カルボキシ−o−アニス酸およびo−(カルボキシメチルチオ)安息香酸である。
アミンの例は、ジエチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、ピペリジン、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミン、N,N′−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、meso−2,3−ジアミノブタン、rac−2,3−ジアミノブタン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、3,3′−ジアミノジプロピルアミン、トリエチレンテトラアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2,2’−ジヒドロキシジエチレンアミンおよびポリアミドアミンである。
アミノカルボン酸またはその塩の例は、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、N−メチルイミノジ酢酸、N−(3,3’−ジメチルブチル)イミノジ酢酸、フェニルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジプロピオン酸、ヒドロキシプロピルイミノジ酢酸、2−ヒドロキシシクロヘキシルイミノジ酢酸、メトキシエチルイミノジ酢酸、2−ヒドロキシベンジルイミノジ酢酸、N−(o−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(m−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(p−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、N−(カルバモイルメチル)イミノジ酢酸、シアノメチルイミノジ酢酸、アミノエチルイミノジ酢酸、2−エトキシカルボニルアミノエチルイミノジ酢酸、ホスホノメチルイミノジ酢酸、ホスホノエチルイミノジ酢酸、スルホエチルイミノジ酢酸、o−スルホフェニルイミノジ酢酸、m−スルホフェニルイミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、カルボキシエチルイミノジ酢酸、カルボキシメチルイミノジプロピオン酸、ニトリロトリプロピオン酸、N,N’−エチレンジアミン、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸、N,N′−ジ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミンジ酢酸、N−n−ブチルエチレンジアミントリ酢酸、N−シクロヘキシルエチレンジアミントリ酢酸、N’−ヒドロキシエチル−N,N,N’−トリ酢酸、ベンジルエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸−亜鉛、エチレンジアミンテトラ酢酸−2ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸−カルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸−マグネシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸−2カリウム、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸N,N’−ジプロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ(2−プロピオン酸)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン−N,N’−ジグルタル酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、テトラメチレンジアミンテトラ酢酸、ペンタメチレンジアミンテトラ酢酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ酢酸、オクタメチレンジアミンテトラ酢酸、1,2−シクロペンタンジアミンテトラ酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサン−1,4−ジアミンテトラ酢酸、1,3,5−トリアミノシクロヘキサ酢酸、o−フェニレンジアミンテトラ酢酸、2−ヒドロキシトリメチレンジアミンテトラ酢酸、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、ヒダントイン酸、(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸、(S,S)−エチレンジアミンジグルタル酸、(S)−アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、(S,S)−イミノジコハク酸、(S)−グルタミン酸−N,N−ジ酢酸、(S)−α−アラニン−N,N−ジ酢酸、タウリン−N,N−ジ酢酸、およびこれらの塩である。
アミノ酸の例は、グリシン、ザルコキシン、グリシンメチルエステル、バリン、アラニン、β−アラニン、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、ε−ポリリジン、ヒスチジン、アルギニン、グルタミン酸、ポリグルタミン酸、アスパラギン酸、1,2−ジアミノプロピオン酸、プロリン、トリプトファンおよびN−エチルグリシンである。
リン酸類の例は、ヘキサメタリン酸、テトラメタリン酸および縮合リン酸である。ホスホン酸類の例は、エチリデンジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、メチルジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)および1,2−プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)である。
無機硫黄化合物の例は、チオ硫酸塩(例:チオ硫酸ナトリウム)、ポリチオン酸塩(例:SO−(S)−SO(n=1〜4))、亜二チオン酸塩(例:亜二チオン酸塩ナトリウム)、亜硫酸塩(例:亜硫酸ナトリウム)および二チオン酸塩(例:二チオン酸ナトリウム)である。
錯化剤を水溶液として用いる場合における錯化剤の好ましい例は、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、アミンの脂肪酸塩、アミノカルボン酸のアルカリ金属塩、無機シアン化物、チオ硫酸塩およびリン酸のアルカリ金属塩である。錯化剤のより好ましい例はアミノカルボン酸のアルカリ金属塩であり、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウムが特に好ましい。
錯化剤を沈殿剤溶液として用いる場合における錯化剤の好ましい例は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アミンおよびその脂肪酸塩、アミノカルボン酸並びにアミノ酸である。これらのうちアミノカルボン酸がより好ましく、エチレンジアミンテトラ酢酸が特に好ましい。
使用する水については、重合体の汚染防止を考慮すること以外に選択条件はない。50μm以下のフィルターを通した水が好ましく、イオン交換樹脂で処理した純水がより好ましい。
電解質成分の例は、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、リン酸のナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムである。これらのナトリウム塩はカリウム塩でもよい。上記の錯化剤水溶液に用いる化合物の中にも電解質成分として利用することができるものが含まれている。電解質成分の好ましい例は、これらの化合物のうちの無機ハロゲン化物およびアンモニウム塩であり、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化アンモニウムがより好ましい。
以下の説明では、重合体(1)を非水溶性溶剤で溶解した溶液、重合反応液または重合反応液を非水溶性溶剤で希釈した溶液を重合体(1)溶液と称することがある。重合体(1)溶液と錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液との混合・接触は、攪拌機が付設された回分式の槽型処理槽で撹拌することが好ましい。振とう型の槽型処理槽を用いてもよい。重合体(1)溶液中の重合体濃度は、均一溶液であり、錯化剤水溶液との撹拌混合が可能な粘度であることが条件であるが、40重量%以下であることが好ましい。重合体(1)溶液中の重合体濃度を増加させた場合には、重合体の析出や増粘が問題となる場合があるが、その際には、70〜100℃程度に加熱できるスチームコイルまたはスチームジャケットなどの加熱装置が付設された処理槽を用いて、加熱下に処理すればよい。重合体(1)溶液中の重合体濃度が低く室温下で均一溶液であれば、室温で撹拌・接触を行うこともできる。
重合体(1)溶液と錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液との油水分離には、比重差を利用する遠心分離または静置分離、あるいは電気的性質の違いを利用する静電浄油などを利用することができる。本発明では、二相の油水分離が必要となるため、二相分離型のデカンタの使用が最も好適であるが、その他の遠心分離器の使用も当然可能である。また無機系吸着剤を併用する場合、スラッジ等の固形分が含まれるため、その際には三相分離型のデカンタを使用することになるが、その際もその他の遠心分離器の使用は当然可能である。そして、上記工程により処理を行った重合体は、貧溶剤中で析出させたり、溶剤などの揮発成分を減圧下で溜去することにより単離することができる。
重合体(1)溶液と錯化剤水溶液またはさらに電解質成分を含む錯化剤水溶液との混合・接触および油水分離工程の回数は、重合体(1)に残留する触媒成分濃度を著しく低減させることが可能であるなら、特に限定されるものではない。即ち、混合・接触および油水分離工程を1工程とした場合、1工程毎に重合体(1)中の遷移金属成分を分析することにより、目的とする含有量まで低減させたところをこの工程の回数としてもよい。
重合体(1)に含まれる遷移金属成分に対する錯化剤の添加割合については、一般的には遷移金属成分に対する錯化剤のモル比が1〜1000当量であることが好ましい。重合体(1)中の遷移金属含有量は、重合反応液の仕込み時にあらかじめ計算で予測することができるため、処理する重合体(1)に含まれる遷移金属含有量によって、上記の錯化剤量を決定すればよい。そして錯化剤水溶液中の錯化剤の濃度は、0.001〜20重量%の範囲であることが好ましい。
さらに電解質成分を含む錯化剤水溶液にあっては、水溶液の比重を増加させることによる油水分離効率の向上が主たる目的であり、分離に要する時間が短縮されるのであれば、その使用量は特に限定されない。一般的には、飽和 (Saturated)あるいは半飽和 (half Saturated)させて用いることができる。
このような工程は、最終生成物である重合体(1)に対して行えばよいが、この重合体を製造するための中間生成物に対して行ってもよい。例えば、原子移動ラジカル重合により得られるブロック共重合体の各重合段階において、この重合体を単離し、このような処理を行なうことも可能である。
上記の精製処理により、本発明の重合体における遷移金属成分の含有量を重合体全量に対して10ppm以下にすることができる。そして、この含有量を5ppm以下、更には1ppm以下とすることも可能である。
残留触媒を除去するためには、上記の方法に活性炭などを用いる吸着処理を併用してもよい。活性炭以外の吸着剤の例は、イオン交換樹脂(酸性、塩基性またはキレート形)、および無機系吸着剤である。無機系吸着剤の例は、シリカ、酸化マグネシウム、活性アルミナ、酸性白土、活性白土、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、ケイソウ土などである。イオン交換樹脂や無機系吸着剤と重合体溶液の固液接触を併用する場合は、撹拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式の方法が利用できる。この他に、吸着剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動化して吸着を行う流動層式などの連続式の方法も利用できる。さらに必要に応じて、撹拌による混合分散操作に、容器の振とうまたは超音波の利用などの、分散効率を向上させる操作を組み合わせることができる。重合体溶液を吸着剤に接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸着剤を除去し、必要に応じて水洗処理を行い、さらに精製度を上げることができる。
シルセスキオキサン誘導体である原子移動ラジカル重合開始剤を用いる場合には、重合体(1)の末端部分がシルセスキオキサン構造であるため、酸性条件下または塩基性条件下で容易に分解することができる。すなわち、シルセスキオキサン構造部分から付加重合体を切り離した後に、その分子量を測定することによって、重合体部分の分子量解析の精度をさらに向上させることができる。酸性条件下で重合体(1)を分解する場合には、フッ化水素酸を用いることが好ましい。塩基性条件下で重合体(1)を分解する場合には、水酸化カリウムを用いることが好ましい。重合体(1)の分解は、均一系および不均一系のどちらでも行うことができる。例えば、重合体(1)を溶解できる有機溶剤(テトラヒドロフラン、アセトニトリルなど)とフッ化水素酸との均一混合系で、重合体(1)のシルセスキオキサン部分を切り離すことができる。トルエンとフッ化水素酸との不均一混合系においても、シルセスキオキサン部分の分解を行うことが可能である。この際には、相間移動触媒の併用が好ましい。相間移動触媒の例は、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルアンモニウムクロライド、ジオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなどである。水酸化カリウムを用いる場合は、テトラヒドロフラン、エタノールおよび水の混合溶剤中で分解をすることも可能である。なお、「シルセスキオキサン」は、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している化合物を示す類名であるが、この段落におけるシルセスキオキサンは、シルセスキオキサン構造およびその一部が変形したシルセスキオキサン類似構造の総称としての意味を有する。
得られた重合体の分子量および分子量分布の解析方法について説明する。通常、付加重合体の分子量は、ポリスチレンやポリ(メチルメタアクリレート)のような直鎖状のポリマーを標準試料とした校正曲線を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。重合体(1)の分子量および分子量分布も、GPCにより解析することが可能である。粘度とGPCデータから得られる普遍校正曲線を用いることにより、重合体(1)の分子量を求めることも可能である。重合体(1)の絶対分子量は、末端基定量法、膜浸透圧法、超遠心法、光散乱法などによっても求めることができる。
重合体(1)の好ましい分子量は、ポリスチレン換算で、数平均分子量が500〜1,000,000の範囲である。さらに好ましい範囲は1000〜100,000である。ただ、この範囲の上限値および下限値に特別な意味があるわけではない。そして分子量分布は、分散度(Mw/Mn)で1.01〜2.0の範囲であることが好ましい。
重合体(1)の分子量は、付加重合性単量体と開始剤との割合により調整することができる。すなわち、付加重合性単量体/開始剤のモル比および単量体の消費率から、次の計算式を用いて、重合体(1)の理論分子量を予測することができる。
Mn=(単量体の消費率(モル%)/100)×MW×モル比+MW
この計算式において、Mnは理論数平均分子量、MWは付加重合性単量体の分子量、MWは開始剤の分子量、モル比は開始剤に対する付加重合性単量体のモル倍率である。
前記の数平均分子量範囲を有する重合体を得ようとする場合には、開始剤に対する付加重合性単量体のモル倍率を、およそ2〜およそ40,000とする。このモル倍率の好ましい範囲は、およそ10〜およそ5,000である。数平均分子量は、重合時間を変化させることによっても調整することができる。単量体の消費率(以下、「転化率」と称することがある。)を求めるためには、GPC、H−NMR、ガスクロマトグラフィーのいずれの方法も採用することができる。
実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
実施例で用いる記号の意味は、次の通りである。
Mn:数平均分子量
Mw:重量平均分子量
Mw/Mn:分子量分布
CuBr:臭化第一銅
MMA:メタクリル酸メチル
PMMA:ポリ(メタクリル酸メチル)
St:スチレン
PSt:ポリスチレン
EDTA・2Na:エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム・二水和物

Figure 0004857539
そして、実施例中のPStおよびPMMAの分子量データは、すべてゲルパ−ミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた値である。
次に、実施例における分析条件を示す。
<GPC>
装置:東ソー株式会社製、8020 Series (検出器:示差屈折率計)
溶剤:テトラヒドロフラン
流速:0.8ml/min
カラム温度:40℃
使用カラム:昭和電工株式会社製、Shodex KF-LG (GUARDCOLUMN)+Shodex KF-804L (排除限界分子量 (PSt)= 400,000)×2本
較正曲線用標準試料:Polymer Laboratories社製 Polymer Standards (PL), Poly (methylmethacrylate)、Polymer Laboratories社製Polymer Standards (PL), Polystyrene
<高周波誘導結合プラズマ発光分析>
重合体中に残存する銅の定量は、得られた重合体に超高純度硝酸を加え、加熱分解を行った後、さらに超高純度過塩素を加えて加熱分解し、高純度塩酸および超純水を加え、加熱溶解させたものを高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES、京都光研 UOP−1 MARKII、測定波長:324.754nm)を用いて行った。
<MMA重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(36mg)を導入し、さらにMMA(5g)/EBIB(49mg)/Sp(117mg)/アニソール(4.8g)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるMMA、EBIB、CuBrおよびSpの割合は、この順のモル比で199:1:1:2であり、MMAの濃度が50.0重量%である。
<MMA重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(1a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は80℃であり、重合時間は3.0時間であった。その後、重合体(1a)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPMMA溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PMMA換算値)、分子量分布の解析結果は表1に示す通りであった。
<MMA重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(36mg)を導入し、さらにMMA(5g)/EBIB(49mg)/PrPI(74mg)/トルエン(4.8g)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるMMA、EBIB、CuBrおよびPrPIの割合は、この順のモル比で199:1:1:2であり、MMAの濃度が50.2重量%である。
<MMA重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(2a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は90℃であり、重合時間は5.0時間であった。その後、重合体(2a)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPMMA溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PMMA換算値)、分子量分布の解析結果は表1に示す通りであった。
<MMA重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(36mg)を導入し、さらにMMA(5g)/EBIB(49mg)/dHbpy(176mg)/ジフェニルエーテル(4.7g)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるMMA、EBIB、CuBrおよびdHbpyの割合は、この順のモル比で199:1:1:2であり、MMAの濃度が50.2重量%である。
<MMA重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(3a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は90℃であり、重合時間は2.0時間であった。その後、重合体(3a)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPMMA溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PMMA換算値)、分子量分布の解析結果は表1に示す通りであった。
<MMA重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(36mg)を導入し、さらにMMA(5g)/EBIB(49mg)/bpy(78mg)/ジフェニルエーテル(4.8g)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるMMA、EBIB、CuBrおよびbpyの割合は、この順のモル比で199:1:1:2であり、MMAの濃度が50.2重量%である。
<MMA重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(4a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は90℃であり、重合時間は2.0時間であった。その後、重合体(4a)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPMMA溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PMMA換算値)、分子量分布の解析結果は、表1に示す通りであった。
<表1>
Figure 0004857539
実施例1で得られた重合体(1a)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(1a−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例5と同様の操作を行い、白色の重合体(1a−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例5と同様の操作を行い、白色の重合体(1a−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
実施例2で得られた重合体(2a)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(2a−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例8と同様の操作を行い、白色の重合体(2a−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例8と同様の操作を行い、白色の重合体(2a−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
実施例3で得られた重合体(3a)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(3a−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例11と同様の操作を行い、白色の重合体(3a−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例11と同様の操作を行い、白色の重合体(3a−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
実施例4で得られた重合体(4a)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(4a−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例14と同様の操作を行い、白色の重合体(4a−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例14と同様の操作を行い、白色の重合体(4a−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであった。
<表2>
Figure 0004857539
<比較例1>
実施例1で得られた重合体(1a)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(1a)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<比較例2>
実施例2で得られた重合体(2a)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(2a)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<比較例3>
実施例3で得られた重合体(3a)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(3a)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<比較例4>
実施例4で得られた重合体(4a)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(4a)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表2に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<St重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(34mg)を導入し、さらにSt(5g)/BEB(44mg)/Sp(113mg)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるSt、BEB、CuBrおよびSpの割合は、この順のモル比で202:1:1:2である。
<St重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(1b)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は120℃であり、重合時間は3.0時間であった。その後、重合体(1b)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPSt溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PSt換算値)、分子量分布の解析結果は、表3に示す通りであった。
<St重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(34mg)を導入し、さらにSt(5g)/BEB(44mg)/PrPI(71mg)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるSt、BEB、CuBrおよびPrPIの割合は、この順のモル比で202:1:1:2である。
<St重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(2b)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は120℃であり、重合時間は4.0時間であった。その後、重合体(2b)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPSt溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PSt換算値)、分子量分布の解析結果は、表3に示す通りであった。
<St重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(34mg)を導入し、さらにSt(5g)/BEB(44mg)/dHbpy(169mg)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるSt、BEB、CuBrおよびdHbpyの割合は、この順のモル比で202:1:1:2である。
<St重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(3b)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は120℃であり、重合時間は4.0時間であった。その後、重合体(3b)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPSt溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PSt換算値)、分子量分布の解析結果は、表3に示す通りであった。
<St重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、耐熱ガラス製アンプルにCuBr(34mg)を導入し、さらにSt(5g)/BEB(44mg)/bpy(75mg)溶液を加え、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。このとき、この重合用溶液におけるSt、BEB、CuBrおよびbpyの割合は、この順のモル比で202:1:1:2である。
<St重合>
封管された耐熱ガラス製アンプルを恒温振とう浴中にセットして重合させ、重合体(4b)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は120℃であり、重合時間は5.0時間であった。その後、重合体(4b)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPSt溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PSt換算値)、分子量分布の解析結果は、表3に示す通りであった。
<表3>
Figure 0004857539
実施例17で得られた重合体(1b)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、メタノールによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(1b−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例21と同様の操作を行い、白色の重合体(1b−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例21と同様の操作を行い、白色の重合体(1b−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
実施例18で得られた重合体(2b)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、メタノールによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(2b−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例24と同様の操作を行い、白色の重合体(2b−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例24と同様の操作を行い、白色の重合体(2b−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
実施例19で得られた重合体(3b)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、メタノールによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(3b−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例27と同様の操作を行い、白色の重合体(3b−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例27と同様の操作を行い、白色の重合体(3b−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
実施例20で得られた重合体(4b)の褐色で粘ちょうな液体(2g)をトルエン(100ml)に溶解し、EDTA・2Na水溶液(濃度2重量%、100ml)と共に300ml−分液ロートにてフラッシングを行った。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、メタノールによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(4b−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)を酢酸エチル(100ml)に替えた以外は、実施例30と同様の操作を行い、白色の重合体(4b−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
トルエン(100ml)をクロロホルム(100ml)に替えた以外は、実施例30と同様の操作を行い、白色の重合体(4b−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであった。
<表4>
Figure 0004857539
<比較例5>
実施例17で得られた重合体(1b)の褐色で粘ちょうな液体をメタノールを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(1b)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<比較例6>
実施例18で得られた重合体(2b)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(2b)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<比較例7>
実施例19で得られた重合体(3b)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(3b)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
<比較例8>
実施例20で得られた重合体(4b)の褐色で粘ちょうな液体をヘキサンを用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(4b)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表4に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
実施例6で得られた白色の重合体(1a−2)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、YBA−1型ベーカーアプリケーター(ヨシミツ精機株式会社製)を用いてガラス基板上に塗布した。その後、90℃、10分間乾燥を行った後、さらに180℃、30分加熱させることで重合体(1a−2)の被膜を得た。重合体(1a−2)の被膜は、図1(a)に示すように、まったく着色が認められない透明被膜であり、全光線透過率の結果は、図2に示す通りであった。なお全光線透過率測定条件は下記に示す通りである。
<測定条件>
装置:東京電色技術センター社製 マイクロカラーアナライザー(TC-1800M)
光源:3波長形 昼白色,
照射窓測定径:500μm
実施例6で得られた白色の重合体(1a−2)を、熱重量測定装置を用いて熱分解温度を測定した結果、図3に示す通りであり、明らかに比較例10の熱分解温度に比べて高い値を示した。なお熱重量測定条件は下記に示す通りである。
<測定条件>
装置:パーキンエルマー社製 熱重量測定装置TGA7
昇温速度:20℃/min
測定温度範囲:50〜
測定雰囲気:He
<比較例9>
比較例1で得られた淡黄色の重合体(1a)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、YBA−1型ベーカーアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製)を用いてガラス基板上に塗布した。その後、90℃、10分間乾燥を行った後、さらに180℃、30分加熱させることで重合体(1a)の被膜を得た。重合体(1a)の被膜は、図1(b)に示すように、著しく着色した被膜であり、全光線透過率の結果は図2に示す通りであった。
<比較例10>
比較例1で得られた淡黄色の重合体(1a)を、熱重量測定装置を用いて熱分解温度を測定した結果、図3に示す通りであり、明らかに実施例34の熱分解温度に比べて低い値を示した。
<MMA重合用溶液の調製>
紫外線がカットされたドラフト内において、還流冷却器、温度計および攪拌装置が装着された100ml−三口フラスコにMMA(20g)/EBIB(195mg)/Sp(470mg)/アニソール(19.2g)溶液を加え、室温下でアルゴンバブリングを5分間を行った。その後、この三口フラスコへCuBr(143mg)を導入し、さらにアルゴンバブリングを続けて10分間行った。このとき、この重合用溶液におけるMMA、EBIB、CuBrおよびSpの割合は、この順のモル比で200:1:1:2であり、MMAの濃度が50重量%である。
<MMA重合>
アルゴンでシールされた三口フラスコをオイルバスにセットして重合させ、重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液を得た。このとき、重合温度は80℃であり、重合時間は5時間であった。その後、重合体(5a)の溶液をサンプリングし、テトラヒドロフランで希釈した後、GPC測定を行った。なお、この重合反応系におけるモノマー転化率は、既知濃度のPMMA溶液のGPC測定値から得られたピーク面積を基準として解析した。この重合反応系におけるモノマー転化率、理論数平均分子量およびGPC測定により実測された数平均分子量(PMMA換算値)、分子量分布の解析結果は、下記に示す通りであった。
モノマー転化率=80.3%、理論数平均分子量=16,200、数平均分子量(PMMA換算値)=17,300、分子量分布=1.33
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)をEDTA・2Na水溶液(濃度0.19重量%,40ml)と共に100ml−分液ロートにてフラッシングを行った(Cu/EDTAのモル比=1/2)。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(5a−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表5に示す通りであった。
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)をEDTA・2Na水溶液(濃度0.09重量%,40ml)と共に100ml−分液ロートにてフラッシングを行った(Cu/EDTAのモル比=1/1)。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(5a−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表5に示す通りであった。
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)をEDTA・2Na水溶液(濃度0.05重量%,40ml)と共に100ml−分液ロートにてフラッシングを行った(Cu/EDTAのモル比=1/0.5)。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(5a−3)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は、表5に示す通りであった。
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)をEDTA・2Na水溶液(濃度0.01重量%,40ml)と共に100ml−分液ロートにてフラッシングを行った(Cu/EDTAのモル比=1/0.1)。淡黄色であった有機層は速やかに透明へと変化し、水層が淡青色に変化した。さらに有機層を回収し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した後、ヘキサンによる再沈殿精製により行い、白色の重合体(5a−4)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表5に示す通りであった。
<比較例11>
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)をヘキサン(800ml)を用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(5a)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表5に示す通りであり、EDTA・2Na水溶液処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。実施例34と同様にして、得られた淡黄色の重合体(5a)を、熱重量測定装置を用いて熱分解温度を測定した結果、表6に示す通りであり、明らかに実施例36〜39の熱分解温度に比べて低い値を示した。
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)を沈殿剤(エチレンジアミン/メタノール溶液(エチレンジアミン濃度5重量%,800ml))へ投入した。沈殿層は速やかに淡青色へと変化し、白色の固体成分が析出した。この固体成分を吸引濾過により固液分離し、白色の重合体(6a−1)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表6に示す通りであった。
実施例34と同様にして、得られた白色の重合体(6a−1)を、熱重量測定装置を用いて熱分解温度を測定した結果、表6に示す通りであった。
実施例40で得られた重合体(6a−1)(0.5g)を酢酸エチル(9.5g)で希釈した溶液を沈殿剤(エチレンジアミン/メタノール溶液(エチレンジアミン濃度5重量%、200ml))へ投入し、白色の固体成分が析出させた。この固体成分を吸引濾過により固液分離し、白色の重合体(6a−2)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表6に示す通りであった。
実施例34と同様にして、得られた白色の重合体(6a−2)を、熱重量測定装置を用いて熱分解温度を測定した結果、表6に示す通りであった。
<比較例12>
実施例35で得られた重合体(5a)の褐色で粘ちょうな溶液(40g)を酢酸エチル(360g)で希釈して粘度を調整し、得られた溶液(40g)をメタノール(800ml)を用いて再沈殿させ、淡黄色の重合体(6a)を回収した。ICP−AESを用いた重合体における銅含有量の解析結果は表6に示す通りであり、エチレンジアミン/メタノール処理したものと比較して、明らかに高い銅含有量を示した。
実施例34と同様にして、得られた白色の重合体(6a)を、熱重量測定装置を用いて熱分解温度を測定した結果、表6に示す通りであり、明らかに実施例40および41の熱分解温度に比べて低い値を示した。
<表5>
Figure 0004857539
<表6>
Figure 0004857539
実施例33および比較例9において得られた被膜の写真 実施例33および比較例9において得られた被膜の全光線透過率 実施例34および比較例10における熱分解温度測定結果

Claims (2)

  1. 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して重合反応液を得、この重合反応液から得られる重合体を非水溶性溶剤に溶解して重合体溶液とし、この重合体溶液に錯化剤水溶液を加えて攪拌することにより、この溶液から遷移金属成分を水層に抽出することを特徴とし、錯化剤がエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウムであり重合体に含まれる遷移金属成分の濃度が重合体全量に対して10ppm以下である重合体の製造方法。
  2. 遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル重合法を付加重合性単量体に適用して重合反応液を得、この重合反応液に沈殿剤に錯化剤を溶解した溶液を加えて攪拌し、重合体を析出させると同時に遷移金属成分をこの錯化剤溶液に抽出することを特徴とし、錯化剤がエチレンジアミンテトラ酢酸であり重合体に含まれる遷移金属成分の濃度が重合体全量に対して10ppm以下である重合体の製造方法。
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