JP5231012B2 - ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビニル系重合体の重合完了時に、極性溶媒下で酸素処理することを特徴とする、ビニル系重合体の製造方法に関する。
精密重合の一つであるリビング重合は分子量・分子量分布の制御等が可能であり、末端官能性ポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等の様々な機能性材料を製造するために利用される。リビング重合の一つである原子移動ラジカル重合は、ビニル系モノマーの選択性が広くかつ温和な条件で重合可能であることから、特に利用価値が高い。例えば原子移動ラジカル重合の一例として、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒とする重合系が挙げられる(例えば、非特許文献1〜4参照)。これらの重合法により製造されるビニル系重合体は、重合体末端にハロゲン基を有することを特徴とする。
ハロゲン基含有ビニル系重合体は、様々な機能性材料の製造中間体等としての利用が可能である。例えば、ハロゲン基をアルケニル基含有基に変換することでアルケニル基を有するビニル系重合体が製造される。アルケニル基含有ビニル系重合体は分子内に複数個のヒドロシリル基を有する化合物と反応させることにより架橋し、硬化物を与える。また、アルケニル基を反応性シリル基含有ヒドロシラン化合物と反応させることにより、ビニル系重合体中に反応性シリル基を導入することができる。これらの反応には、通常、白金等の金属錯体を触媒とするヒドロシリル化反応が利用される。また、ハロゲン基を(メタ)アクリロイル基等の重合性炭素−炭素二重結合を持つ基に変換することで、光ラジカル硬化や熱ラジカル硬化により硬化する樹脂や、他の重合体にグラフトさせるマクロモノマーとしての利用も可能となる。
これらのように、ハロゲン基含有ビニル系重合体は様々な機能性材料の製造中間体等としての利用が可能であるが、中間体としての用途を幅広く持つためには重合体の精製が必要である。例えば、ハロゲン基をアルケニル基に変換したビニル系重合体の利用を考える場合、ビニル系重合体中に残存する重合触媒等はヒドロシリル化反応の触媒毒として作用するため、重合体を精製することが必要となる。残存する重合触媒等はビニル系重合体を著しく着色させるという根本的な問題も抱えている。また、ハロゲン基を(メタ)アクリロイル基等の重合性炭素−炭素二重結合を持つ基に変換し、光ラジカル硬化により硬化物を得る場合には、ビニル系重合体の着色は、硬化性に影響を与えてしまう。
我々は、重合触媒等の除去及びヒドロシリル化活性を高める方法として吸着処理法を開発している(特許文献1参照)。これらの方法により、効率的に重合触媒等を除去し、ヒドロシリル化活性を高め、樹脂の着色を抑えることができる。
吸着処理法を基本として、重合触媒を効率的に除去する方法として、種々の方法が知られている。特許文献2では、固体添加物の存在下で50℃以上250℃以下に加熱する工程と、引き続き固液分離する方法により効率的に重合触媒を除去することにより、少ない固体添加量で、残存金属を数100ppmのレベルまで除去している。
特許文献3では、加熱する工程にて酸素等の酸化剤で処理する効果について述べられている。残存金属が数100ppmから数10ppmのレベルまで除去され、後の工程を経たヒドロシリル化硬化物の硬化性が向上することや、残存金属の使用する溶媒の極性について述べられている。これによると比誘電率は5以下が望ましいとあり、残存金属を貧溶媒で排除する効果がその後の分離工程での残存金属の分離性に影響を与えているとしている。
ただし、これらの方法も重合触媒を完全に除去することができず、同様の工程を複数回経ることにより問題のない残存金属量の重合体を得ている。重合触媒を分離する方法は、遠心分離やろ過等の固液分離操作による方法が一般的であるが、これらの分離操作前後において重合体のロスは避けられないため、複数回の工程を経ることは、重合体の収率が低下することを意味している。また、工程点数が増えることは製造設備上好ましくないという根本的な問題も抱えている。
一方で、ハロゲン基含有ビニル系重合体は、機能性材料としての機能を発揮させるために種々の分子末端を変換することが必要である。ヒドロシリル化反応硬化型の機能性材料とする場合には、ハロゲン基をアルケニル基に変換した後、ヒドロシリル化反応により、末端をシリル末端とする。また、ラジカル硬化型とする場合には、ハロゲン基を(メタ)アクリロイル基にする方法等が挙げられる。これらの末端変換反応は、官能化剤や溶媒の添加、官能化反応、過剰な官能化剤の分離除去等の素工程を経る。1回の変換で目的の官能基末端を得られない場合には、これらの末端変換反応を複数回経る。
これらの末端変換反応を行う場合、重合体に残存する重合触媒は変換反応を阻害したり、阻害しないまでも重合体を着色するという問題を抱えている。例えば、ヒドロシリル化反応は、酸や塩基、種々の金属により反応活性が著しく阻害されることが知られている。また、(メタ)アクリロイル基を導入する方法として、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とし、アクリル酸カリウム塩、メタクリル酸カリウム塩を添加する反応等が知られている(特許文献4、5参照)。この反応では、重合体に重合触媒が残存していると重合体が著しく着色されてしまうという問題を抱えている。さらに、官能化剤や溶剤の除去操作にて重合体を加温処理する場合には、重合体の着色はさらに促進されてしまう。
従って、末端変換反応を行うまでに、重合触媒をできるだけ除去しておくことが品質上、非常に重要であることがわかる。上記特許文献2、3に述べられた重合触媒の除去方法では、これらの工程を複数回経ることが必要であり、特に(メタ)アクリロイル基を導入する官能基導入反応では、残存する重合触媒が微量でも重合体が着色してしまうという問題を抱えており、より効率のよい重合触媒の除去方法が望まれていた。
重合触媒を効率的に除去するにあたり、固体添加物の効果と共に酸素や酸化剤の効果が挙げられる。特許文献6には、酸化剤添加の効果が述べられている。重合体をトルエンに希釈し、種々の酸化剤処理を行っている。酸化剤除去の必要がない最も取り扱いやすい空気との接触では、重合体に体積比で9倍のトルエンを添加し、室温下、空気で8時間バブルさせながら攪拌しており、処理後の残存Cu濃度で10ppm以下の結果を得ている。このように室温での空気との接触を特徴とする例は、特許文献7にも見られる。ただし、これらは実験室での少量スケールでの可能性を述べたものであり、工業スケールで実施するには問題がある。何故ならば、引火点を持った可燃性溶媒であるトルエンが存在する系に21%酸素濃度の空気を接触させることは、安全確保の点から問題があるからである。また、これらのトルエン等の芳香族溶媒は遷移金属錯体である重合触媒の不溶化効果を狙って選定される。この効果のためには低極性の溶媒が望ましいとされている。また、これらの例はトルエンに希釈した後の段階での酸化剤や酸素の効果を述べたものである。
ただし、本願の後述の比較例等に述べるように、トルエン等の低極性溶媒下では酸化剤や酸素の効果が十分でない場合があることがわかった。また、トルエン等の低極性溶媒下の酸素処理では、遷移金属錯体である重合触媒が十分に除去できず、重合触媒を残存したまま、後の溶剤蒸発や官能基導入を行うため、最終製品が著しく着色してしまう等の問題があった。
特開平11−193307号公報 特開2004−149563号公報 特開2003−327620号公報 特開2000−072815号公報 特開2000−072816号公報 特開2002−69121号公報 特表2004−500448号公報 Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614 Matyjaszewskiら、Macromolecules 1995,28,7901 Matyjaszewskiら、Science 1996,272,866 Sawamotoら、Macromolecules 1995,28,1721
本発明の目的は、ビニル系重合体から重合触媒を効率よく除去し、官能基導入反応を阻害することなく、また官能基導入反応や加熱等の操作において重合体が着色する等の品質低下を起こすことなく、よりよい品質の重合体を得る製造方法を提供することである。
本発明者らは、ビニル系重合体を含有する重合体から遷移金属触媒である重合触媒を効率的に除去する方法について鋭意検討した結果、重合体を極性溶媒下で酸素処理する方法が本課題を解決するに適した方法であることを見出し、本発明を完成した。溶媒の爆発範囲を外した酸素濃度ガスで処理することにより、安全に、かつ重合体が着色する等の問題のないより良い品質の重合体を提供できる利点がある。
すなわち、本発明は、重合完了時に極性溶媒下で酸素処理することを特徴とするビニル系重合体の製造方法に関する。
本発明では、極性溶媒の20℃での比誘電率εrが10以上であることが好ましい;
酸素処理に供されるビニル系重合体と共存する揮発性物質全体の極性が、20℃での比誘電率で10以上であることが好ましい;
導入する酸素が、10%体積濃度以下の酸素と不活性ガスの混合ガスであることが好ましい;
酸素処理の時間が1時間以上であることが好ましい。
また、本発明では、ビニル系重合体が(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい;
ビニル系重合体がハロゲン基を有するビニル系重合体であることが好ましい;
ビニル系重合体の数平均分子量が500〜100000であることが好ましい;
ビニル系重合体の分子量分布が1.8未満であることが好ましい。
さらに、本発明では、ビニル系重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されたものであることが好ましい;
原子移動ラジカル重合の触媒である遷移金属錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム又は鉄の錯体より選ばれることが好ましい;
遷移金属錯体が銅の錯体であることが好ましい。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のビニル系重合体の製造方法は、重合完了時に極性溶媒下で酸素処理することを特徴とするものである。
具体的には、重合完了時に極性溶媒下で酸素処理してビニル系重合体を処理することにより、溶媒を含んでなるビニル系重合体(好ましくは原子移動ラジカル重合を利用して製造されるビニル系重合体)から、遷移金属等の重合触媒等を除去する方法である。
まず、本発明の製造方法を好適に適用できる、原子移動ラジカル重合について具体的に説明する。
本発明における原子移動ラジカル重合とは、リビングラジカル重合の一つであり、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒として、ビニル系モノマーをラジカル重合する方法である。原子移動ラジカル重合法は、分子量、分子量分布の制御が可能であり、重合末端にハロゲン基を導入することも可能であることから、ハロゲン基含有ビニル系重合体の製造方法に最も適している。
原子移動ラジカル重合は、例えば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報等が挙げられる。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、
−CHX、C−C(H)(X)CH
−C(X)(CH
(ただし、上の化学式中、Cはフェニル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
−C(H)(X)−CO
−C(CH)(X)−CO
−C(H)(X)−C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)R
(式中、R、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
−C−SO
(上記の各式において、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
等が挙げられる。
有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤としてビニル系モノマーの原子移動ラジカル重合を行うことにより、一般式(1)を末端に有するビニル系重合体が得られる。
−C(R)(R)(X) (1)
(式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。)
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基とともに重合を開始しない特定の反応性官能基を併せ持つ有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に特定の反応性官能基を、他方の主鎖末端にハロゲン基含有構造(1)を有するビニル系重合体が得られる。
このような特定の反応性官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。これらの反応性官能基の反応性を利用して、一段階又は数段階の反応を経ることにより、ビニル系重合体に他の適当な官能基を導入することができる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(2)に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(R)=CH (2)
(式中、Rは水素、又はメチル基、R、Rは水素、又は、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、又はアラルキル、又は他端において相互に連結したもの、Rは、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、又はo−,m−,p−フェニレン基、Rは直接結合、又は炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
置換基R、Rの具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。RとRは他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式(2)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCHC(O)O(CHCH=CH
CC(H)(X)C(O)O(CHCH=CH
(HC)C(X)C(O)O(CHCH=CH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHCH=CH
Figure 0005231012
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
XCHC(O)O(CHO(CHCH=CH
CC(H)(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
(HC)C(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
Figure 0005231012
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−CH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CH−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−O−(CHCH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−CH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
C=C(R)−R−C(R)(X)−R10−R (3)
(式中、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、又は、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
は直接結合、又は炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。Rが直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、
CH=CHCHX、
CH=C(CH)CHX、
CH=CHC(H)(X)CH、CH=C(CH)C(H)(X)CH
CH=CHC(X)(CH、CH=CHC(H)(X)C
CH=CHC(H)(X)CH(CH
CH=CHC(H)(X)C、CH=CHC(H)(X)CH
CH=CHCHC(H)(X)−COR、
CH=CH(CHC(H)(X)−COR、
CH=CH(CHC(H)(X)−COR、
CH=CH(CHC(H)(X)−COR、
CH=CHCHC(H)(X)−C
CH=CH(CHC(H)(X)−C
CH=CH(CHC(H)(X)−C
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH=CH−(CH−C−SOX、
o−,m−,p−CH=CH−(CH−O−C−SOX、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(4)に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(H)(R)CH−[Si(R112−b(Y)O]−Si(R123−a(Y) (4)
(式中、R、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は(R’)SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11又はR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,又は3を、また、bは0,1,又は2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式(4)の化合物を具体的に例示するならば、
XCHC(O)O(CHSi(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OCH
XCHC(O)O(CHSi(CH)(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCHC(O)O(CHO(CHSi(OCH
CC(H)(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH
(HC)C(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH
XCHC(O)O(CHO(CHSi(CH)(OCH
CC(H)(X)C(O)O(CHO(CH−Si(CH)(OCH
(HC)C(X)C(O)O(CHO(CH−Si(CH)(OCH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CH−Si(CH)(OCH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−XCH−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−XCH−C−(CH−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−O−(CHSi(OCH
o,m,p−XCH−C−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−Si(OCH
o,m,p−XCH−C−O−(CH−O−(CH−Si(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CHSi(OCH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(5)で示される構造を有するものが例示される。
(R123−a(Y)Si−[OSi(R112−b(Y)−CH−C(H)(R)−R−C(R)(X)−R10−R (5)
(式中、R、R、R、R、R10、R11、R12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CHO)SiCHCHC(H)(X)C
(CHO)(CH)SiCHCHC(H)(X)C
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−C
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−C
(CHO)Si(CHC(H)(X)−C
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−C
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
N−(CH−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
Figure 0005231012
(式中、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
ハロゲン基を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、以下のもの等が挙げられる。
Figure 0005231012
Figure 0005231012
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては、特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も、触媒として好適である。
原子移動ラジカル重合は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
また、限定はされないが、重合は、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃、より好ましくは50〜120℃の範囲である。
ビニル系重合体の製造に用いられるビニル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくはアクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、さらに好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸ブチルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを、他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお、上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
本発明におけるビニル系重合体としては、ビニル系重合体及びその変性体が挙げられ、原子移動ラジカル重合を利用して製造されることが好ましい。ビニル系重合体としては、具体的には、既に例示したビニル系モノマーの重合体等が挙げられるが、生成物の物性等から、スチレン系(共)重合体及び(メタ)アクリル酸系(共)重合体が好ましく、より好ましくはアクリル酸エステル系(共)重合体及びメタクリル酸エステル系(共)重合体であり、さらに好ましくはアクリル酸エステル系(共)重合体であり、特に好ましくはアクリル酸ブチル系(共)重合体である。
ビニル系重合体の分子量は特に限定されないが、数平均分子量として500以上100000以下が好ましく、1000以上100000以下がより好ましく、5000以上50000以下がより好ましい。
また、ビニル系重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、特に限定されないが、1.8未満であることが好ましく、1.05以上1.50以下がより好ましく、1.10以上1.40以下がさらに好ましい。
当該分子量及び分子量分布は、ポリスチレンゲルカラムと、移動相としてのクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で求めることができる。
本発明においては、上記原子移動ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば、特開2004−149563号公報、国際公開01/85804号パンフレット等に記載されている方法により、ビニル系重合体の主鎖を形成する重合反応に引き続き、同様の原子移動ラジカル重合反応条件下でビニル系重合体に官能基を導入することもできる。例えば、
(1)官能基を有するビニル系モノマーを、原子移動ラジカル重合条件下で、所定のビニル系モノマーと共重合させる方法、
(2)官能基を有するラジカル重合性の低いオレフィン化合物を、ビニル系重合体の末端ハロゲン基に原子移動ラジカル重合条件下で反応させる方法、
等が挙げられる。
なお、官能基としては、特に限定されないが、例えばアルケニル基、水酸基、シリル基、アミノ基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、エポキシ基等が挙げられる。また、官能基を有するラジカル重合性の低いオレフィン化合物としては、特に限定されないが、例えば1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等が挙げられる。
次に、本発明のビニル系重合体の製造方法について、具体的に説明する。
当該製造方法においては、上記ビニル系重合体の重合完了時に、極性溶媒下で酸素処理するものである。
ここで「重合完了時」とは、重合反応が完了し重合触媒が反応上不要となった時点(例えば原子移動ラジカル重合の場合、その重合条件下での反応完了時)を意味する。
上記のようにして重合された、ハロゲン基を有するビニル系重合体(官能基が導入されたビニル系重合体)は、精製することが好ましい。
ここで「精製」とは、重合後(好ましくは原子移動ラジカル重合後)に、ビニル系重合体又はその混合物中の不純物を系外に除去する処理であって、ビニル系重合体の物理的若しくは化学的変性物又はその混合物に対して行われる処理であってもよい。
当該精製処理としては、例えば、重合で使用される触媒残さの除去、重合等で使用される溶媒の除去、重合触媒等の不溶成分の除去、水抽出・吸着剤処理等による処理、加熱処理等が例示される。また、ハロゲン基等の除去、官能基導入等の化学的変性もその一つであり、未反応の官能基導入剤の除去や官能基導入時の副生成物の除去も含まれる。
当該精製処理を行う場合、可能な限り、前の工程において重合触媒を除去しておくことが品質上好ましい。つまり、重合反応が完了し重合触媒が反応上不要となった時点(例えば原子移動ラジカル重合の場合、その重合条件下での反応完了時)から、可能な限り重合触媒を除去することが好ましい。
そこで、上記精製処理を行う前に、可能な限り重合触媒を除去するために、本発明のビニル系重合体の製造方法、つまり、重合完了時に極性溶媒下で酸素処理することを用いる。
本発明で用いる極性溶媒は、重合体に新たに添加してもよいし、重合溶媒として使用した溶媒をそのまま用いても構わない。
当該極性溶媒としては、例えば、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ヘキサノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、酢酸、ニトロベンゼン、フェノール等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
溶媒の極性は、SP値(溶解度パラメーター)、比誘電率等で示されるが、比誘電率が一般的である。比誘電率とは、真空状態とその溶媒の誘電率の割合を示す値(εr)である。真空での誘電率ε0=8.854×10−12F/mに、その溶媒の比誘電率を乗じたε0εrが溶媒の誘電率を表す。
各溶媒の比誘電率は、電磁気学的な測定により求めることができるが、本明細書中においては、「化学便覧基礎編」(改訂3版、社団法人日本化学会編、昭和59年、丸善株式会社発行)に記載の値を用いている。
なお、当該文献に記載されていないため、比誘電率が不明である溶媒や揮発成分については、同軸反射法により測定した比誘電率値を適用できる。
本発明で用いる極性溶媒の20℃での比誘電率εrは、重合体の精製度確保の観点から、10以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上である。
なお、極性溶媒の比誘電率とは、純粋な極性溶媒そのものの比誘電率を意味するものであり、重合溶媒として使用後の溶媒や残存モノマー混合物等の比誘電率を意味するものではない。
20℃での比誘電率εrが10以上である好ましい極性溶媒としては、例えば、アセトニトリル、アセチルアセトン、メタノール、エタノール、1−ヘキサノール、ホルムアミド、塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、酢酸、ニトロベンゼン、フェノール等が挙げられる。
極性溶媒の添加量は、特に限定されないが、極性溶媒の極性の効果を発揮させるために、重合体100重量部に対して1重量部以上が好ましく、より好ましくは2重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上である。上限に特に制限はないが、後の工程での極性溶媒の除去を考慮すると、100重量部以下が好ましい。
重合反応によっては、本発明の酸素処理に供される重合反応物には、極性溶媒の他に未反応モノマー等が含有される場合がありうる。このような場合においても極性溶媒の極性の効果を発揮させるためには、酸素処理に供されるビニル系重合体と共存する揮発性物質全体の極性が、20℃における比誘電率で10以上となっていることが好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。
ここでいう揮発性物質全体の極性、すなわち、揮発性物質全体の20℃における比誘電率とは、揮発性物質の20℃における各比誘電率の合計を指す。揮発性物質の各比誘電率とは、各揮発性物質そのものの比誘電率に各体積分率(揮発性物質全体の体積を100%とした時)を掛けた値を指す。
ここでの揮発性物質としては、揮発性を奏する物質を指し、重合反応(重合反応条件下での反応)で使用された揮発性物質、例えば未反応のモノマーや上記官能基を有するラジカル重合性の低いオレフィン化合物等、及び、極性溶媒が挙げられる。
本発明における酸素処理とは、得られた重合体を、酸素と接触させる処理方法である
酸素と接触させる処理方法としては、特に限定されないが、取り扱いやすさの点より、酸素含有不活性ガスに接触させる方法が好ましい。
不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば窒素、ヘリウム等が挙げられる。酸素含有不活性ガスは、上記不活性ガスに酸素をさらに含有させたものである。
酸素含有不活性ガスと接触させる方法としては、気相部に充満した酸素含有不活性ガスを接触させる方法、攪拌により酸素含有不活性ガスとの接触を促進する方法、液相部より酸素含有不活性ガスをチャージする方法等が挙げられる。
攪拌する方法は、攪拌翼を使う方法にとどまらず、振とう、超音波の利用等、様々な方法が挙げられる。また、気液反応装置のように接触的にガスと液体を接触混合する方法も可能である。例えば、ガス分散型の装置であれば、充填塔、ぬれ壁等が挙げられる。また、液分散型の装置であれば、スプレー塔、スクラバー等が挙げられる。また、気泡塔や流動層反応機等を用いても良い。上記方法は、必要とする重合体の精製性と酸素との接触効率、取り扱い易さ等から選定すればよい。
酸素処理温度は、特に限定されないが、酸素との接触効率向上の観点から、20℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。上限は、特に限定されないが、好ましくは100℃以下である。
酸素処理は、遷移金属錯体への十分な効果を発揮させるために、一定時間以上行うことが好ましい。酸素処理時間は、重合体と酸素含有ガスとの接触方法にもよるが、最も簡単な気相部に充満した酸素含有ガスと液相部の重合体を攪拌により促進する場合には、好ましくは40分間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、接触させることが好適である。
溶媒を含んだ重合体と酸素を接触させる上で、酸素濃度を規定することは安全確保上重要である。引火点を持つ溶媒や可燃性ガスの燃焼・爆発性は、通常、空気(窒素78%、酸素21%)との割合で示される。例えば水素の爆発範囲は、水素の空気中での体積割合が4〜75%の時であり、これ以外の濃度の水素と空気の混合濃度では爆発あるいは燃焼しない。またプロパンの爆発範囲は、プロパンの空気中での体積割合が2.1〜9.5%である。このように空気との溶媒あるいは可燃性ガスの爆発範囲は、ある濃度の範囲で示されるが、空気と溶媒あるいは可燃性ガスの混合が完全に均一にならない場合には、局所的にこれらの空気との爆発範囲を超えてしまうため、爆発・燃焼の可能性が無視できない。古くから事故が多発している水素の爆発は、条件上は水素の爆発範囲を外した管理を行っているはずが、装置内に局所的に残留した空気と水素で爆発範囲の混合ガスを形成してしまうため爆発に至る例がほとんどである。
このような操作条件や装置形状に起因する不安全さを取り除いた管理を行うために導入される考え方が、爆発限界酸素濃度である。これは、酸素と窒素の混合濃度を規定して、この濃度以下の酸素を含有する酸素窒素混合ガスであれば、溶媒や可燃性ガスの濃度によらず爆発・燃焼しない領域を示すものである。この爆発限界酸素濃度で規定した酸素濃度の酸素及び窒素等の不活性ガスの混合気体であれば、前述の局所的な溶媒あるいは可燃性ガスの濃度ムラによらず安全性を確保することができる。
爆発限界酸素濃度は、計算によって求めることができる。例えば、柳生は、完全燃焼時の必要酸素量及び溶媒の空気中での爆発下限界濃度より爆発限界酸素濃度を求める方法を示している(安全工学協会、柳生明生著、ガス及び蒸気の爆発限界、安全工学協会、1963)。これによると、各溶媒における爆発限界酸素濃度は、例えばトルエンでは11〜12%、アセトニトリルでは11〜12%、アクリル酸ブチルでは13〜14%、アクリル酸エチルでは11〜12%となる。つまり、本発明で用いる上記極性溶媒における爆発限界酸素濃度は、おおよそ11%程度となる。
酸素処理するにあたり、これらの爆発限界酸素濃度の値から、導入する酸素は、10%体積濃度以下の酸素と不活性ガスの混合ガスであることが好ましく、より好ましくは8%体積濃度以下の酸素と不活性ガスの混合ガスである。
ただし、酸素濃度はこれに規定されるものではない。採用する極性溶媒の爆発限界酸素濃度より酸素濃度を決定することが重要である。また、より安全性を確保するためには、実際に酸素を接触させる温度や圧力条件下での実測値を採用することがより好ましい。
重合体を酸素処理する場合には、実際には、溶媒が重合体に希釈された状態であるため、溶媒の活量係数は1以下となる。つまり、溶媒が純成分で存在する状態よりも揮発性が低いため、溶媒が重合体に希釈された状態での爆発限界酸素濃度は、より安全サイド(不爆発側)になると想定される。しかし、重合体に希釈された状態での溶媒の爆発限界酸素濃度を計算したり、実験的に求めることは容易ではなく、また、重合体の共重合組成や残存モノマーの割合等、様々な条件が異なると爆発限界酸素濃度も異なる。そこで、本明細書では、処理に用いる酸素混合ガスの爆発限界酸素濃度は、用いる溶媒が純成分である場合の値を採用し、溶媒が重合体に溶解している点については考慮しないこととした。よって、実際の系は、より安全サイド(不爆発側)となる。
上記のように、極性溶媒下で酸素処理を行うことにより、重合体からの重合触媒の分離性を向上させることができる。
分離にあたっては、遠心分離方式、ろ過方式等の固液分離操作が用いられる。また、重力を利用する沈降方式等を用いてもよい。
重合体は極性溶媒を添加したまま、これらの固液分離操作に供してもよいが、極性溶媒を蒸発等の操作により回収し、さらに別の溶媒で希釈することが望ましい。
ここで、再希釈する際の溶媒については、低極性の溶媒(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、ジエチルエーテル等の炭化水素化合物等)を使うことが望ましい。
また、固液分離する前に、固体添加物(例えば、珪藻土等のろ過助剤;合成ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカゲル、シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート、活性アルミナ、酸性白土、活性白土等の粘土系吸着剤;珪酸アルミニウムナトリウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオライト系吸着剤;ドーソナイト類化合物、ハイドロタルサイト類化合物等の無機系吸着剤等)を添加する、又は加熱処理する等の前処理を行うことにより、不溶化した遷移金属錯体の凝集が促進されて固液分離が容易となる。
なお、精製処理も、酸素含有不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
また、極性溶媒下で酸素処理を実施した上で、さらに、酸化防止剤存在下で加熱し、固液分離により金属錯体を除去する精製処理を行うことで、重合触媒をより効率的に精製除去できる。
なお、重合触媒を、好ましくは25ppm以下、より好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、特に好ましくは2ppm以下まで除去することが好適である。
本発明により得られるビニル系重合体は、さらに末端変換反応(官能基導入反応)に供することができる。本発明により得られるビニル系重合体は重合触媒が効率的に除去されているため、高確率で官能基を導入できるうえ、着色も抑えられるという利点がある。
官能基導入方法としては公知の方法を適用でき、特に限定されるわけではないが、特開2004−149563号公報、特開2000−072815号公報等に記載されている方法、例えば、官能基を有する特定の化合物によりビニル系重合体の末端ハロゲン基を置換する方法;ビニル系重合体の末端ハロゲンと、一般式:M+−OC(O)C(R)=CH(式中、Rは水素、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、又は4級アンモニウムイオンを表す。)で表される化合物とを反応させる方法等により各種官能基が導入されうる。
本発明の極性溶媒下での酸素処理を行うことにより、ビニル系重合体(好ましくは原子移動ラジカル重合を利用して製造されるビニル系重合体)から、重合触媒をより効果的に分離することができる。特に、ある値以上の比誘電率を持った極性溶媒を添加した重合体を、この溶媒の純成分での爆発限界酸素濃度以下の酸素濃度の酸素と窒素等の不活性ガスの混合ガスと接触させることにより、安全かつ効率的に遷移金属錯体を分離することができる。これにより、より良い品質の重合体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜変更実施可能である。
下記の実施例及び比較例中、「部」は「重量部」を表す。
また、酸素窒素混合ガスの酸素濃度は、体積基準での割合である。
下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
重合体1分子当たりの臭素基の数は、H−NMRによる濃度分析を行い、GPCにより求まる数平均分子量により算出した。
重合体中の残存溶媒濃度は、ガスクロマトグラフィー法により算出した。
また、「Cu濃度」は、重合体を高温で酸処理した後、金属分を水抽出し、ICP−AES法(高周波誘導結合プラズマ−発光分光分析法)にて重合体中のCu濃度を算出した。
比較例1
(アクリル酸n−ブチルの重合)
アクリル酸n−ブチルの仕込量を100部として、以下の処方で重合体を合成した。攪拌機付き反応槽にCuBr(0.84部)、アセトニトリル(8.79部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(20.0部)、エチル2−ブロモブチレート(1.90部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.034部;以下、単にトリアミンともいう)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(80.0部)を連続的に滴下した。これらのモノマーの滴下途中にトリアミン(0.102部)を分割添加した。モノマー反応率が95%以上に達した時点で、残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、臭素基末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリル量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルは1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は11600、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりの臭素基の数は0.8個以上であった。
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して100部のメチルシクロヘキサンで希釈し、11900rpmの遠心分離機(9000G以上)にて滞留時間2分で処理したところ、濃緑色の外観であった。そこで、更にろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を1.0部添加し、80℃で2時間加熱した。得られた重合体溶液にさらに200部のメチルシクロヘキサンを加えて希釈し、ろ過助剤(ラヂオライト#300、昭和化学工業(株)社製)を加えてろ過した。得られた重合体を濃縮したところ、緑色の外観であり、残存するCu濃度は40ppmであった。
9000G以上の超遠心処理とろ過の2通りの固液分離で処理しても、残存Cu濃度は40ppmであり、また、溶媒を重合体の重量基準で3倍量使用する等、生産性が極めて悪かった。
実施例1
(アクリル酸n−ブチルの重合)
アクリル酸n−ブチルの仕込量を100部として、以下の処方で重合体を合成した。攪拌機付き反応槽にCuBr(0.42部)、アセトニトリル(8.79部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(20.0部)、エチル2−ブロモブチレート(1.90部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.034部;以下、単にトリアミンともいう)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(80.0部)を連続的に滴下した。これらのモノマーの滴下途中にトリアミン(0.119部)を分割添加した。モノマー反応率が95%以上に達した時点で、重合体を6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスに40分間接触させ、重合活性を停止させた。重合活性の停止はモノマーの転化率が頭打ちとなっていることにより確認した。残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、臭素基末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリル量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルは1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は11600、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりの臭素基の数は0.8個以上であった。
ここで、モノマー反応率95%時点での混合系における揮発性物質全体の極性を表1に示す。なお、表1において、アセトニトリルの比誘電率は、「化学便覧基礎編」(改訂3版、社団法人日本化学会編、昭和59年、丸善株式会社発行)に記載の値である。アクリル酸n−ブチル等のアクリル酸エステルについての比誘電率や導電率についてのデータはないが、同様のエステル系炭化水素と同構造であるため(ジブチルエーテルで3.06)、これらの比誘電率は2〜4程度であると考えられる。そこで、これらの推定値よりもアクリル酸n−ブチルはより低極性であると仮定して、1.0とした。次に、モノマー反応率95%時点での残存するモノマーを考慮し、各比誘電率に各体積分率を掛けて、混合系における各成分の比誘電率を求め、各成分の比誘電率の合計として、混合系における揮発性物質全体の極性を求めたところ、比誘電率は25.3であった。このことから、系中に存在する低極性モノマーにより、高極性の溶媒が薄められ極性が低下することはなかったことがわかる。また、下記表2,3においても同様にして、混合系における揮発性物質全体の極性を求めた。
Figure 0005231012
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して100部のトルエンで希釈し、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を1.0部添加し、80℃で2時間加熱した。2時間の処理の1時間毎に、重合体のトルエン溶液の体積比で0.5倍量の6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスを印加した。2時間の攪拌の後、加えたろ過助剤を除去した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液は薄黄緑色を呈していた。重合体のトルエン溶液に吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SL、共に協和化学(株)社製)を夫々1.0部加え、100℃に加熱し2時間攪拌した。酸素窒素混合ガスを1回目の操作と同様にして印加した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液はほぼ無色透明であり、残存するCu濃度は2ppmであった。
このように、重合後に極性溶媒下での酸素処理を事前に行うことにより、重合触媒の精製性が向上し、重合体に対して100部の溶媒で精製処理することにより、残存Cu濃度が2ppm以下の重合体を得ることができた。なお、ここでは精製用の溶媒としてトルエンを使っているが、比誘電率はメチルシクロヘキサン(2.02)、トルエン(2.24)であり、メチルシクロヘキサンはトルエンよりも低極性である。特開2003−327620号公報等で述べられているように、Cuの精製に関しては低極性の方が精製性が高い。つまり、実施例1は比較例1に比べ低極性でない溶媒を使った精製を行っているが、Cuの精製性は実施例1の方が高い。つまり、重合直後の極性溶媒下での酸素処理が効果を発揮していることがわかる。
実施例2
(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートの共重合)
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートの仕込量合計を100部として以下の処方で重合体を合成した。攪拌機付き反応槽にCuBr(0.46部)、アセトニトリル(8.34部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(5.53部)、アクリル酸エチル(7.95部)、2−メトキシエチルアクリレート(6.52部)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(1.94部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.04部;以下、単にトリアミンともいう)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(22.13部)、アクリル酸エチル(31.81部)、2−メトキシエチルアクリレート(26.06部)を連続的に滴下した。これらのモノマーの滴下途中にトリアミン(0.131部)を分割添加した。モノマー反応率が96%に達した時点で、重合体を6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスに15分間接触させ、重合活性を停止させた。重合活性の停止はモノマーの転化率が頭打ちとなっていることにより確認した。残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、臭素基末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリル量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルは1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は20200、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりの臭素基の数は1.6個以上であった。
ここで、モノマー反応率96%時点での揮発性物質全体の極性は表2に示すとおり、比誘電率=25.3であった。
Figure 0005231012
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して150部のトルエンで希釈し、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を0.5部、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SEN、共に協和化学(株)社製)を夫々2.0部加え、100℃に加熱し3時間攪拌した。3時間の処理の1時間毎に、重合体のトルエン溶液の体積比で0.5倍量の6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスを印加した。3時間の攪拌の後、加えたろ過助剤及び吸着剤を除去した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液は濃茶褐色を呈しており、残存するCu濃度は200ppmであった。重合体のトルエン溶液にろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を0.5部、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SEN、共に協和化学(株)社製)を夫々2.0部加え、100℃に加熱し3時間攪拌した。酸素窒素混合ガスを1回目の操作と同様にして印加した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液は茶褐色を呈しており、残存するCu濃度は49ppmであった。再度、ろ過助剤及び吸着剤を加え、100℃で攪拌する操作を行った。条件は1回目、2回目と同じである。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液はほぼ透明であり、残存するCu濃度は3ppmであった。
トルエン溶媒下で精製処理を行ったが、外観上好ましい重合体のトルエン混合液を得るために3回処理を行った。極性溶媒存在下での酸素処理は、処理時間がある程度長い方が好ましい。
実施例3
(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートの共重合)
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートの仕込量合計を100部として以下の処方で重合体を合成した。攪拌機付き反応槽にCuBr(0.46部)、アセトニトリル(8.34部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(5.53部)、アクリル酸エチル(7.95部)、2−メトキシエチルアクリレート(6.52部)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(1.94部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.04部;以下、単にトリアミンともいう)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(22.13部)、アクリル酸エチル(31.81部)、2−メトキシエチルアクリレート(26.06部)を連続的に滴下した。これらのモノマーの滴下途中にトリアミン(0.150部)を分割添加した。モノマー反応率が95%に達した時点で、重合体を6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスに2時間接触させた。モノマーの転化率が頭打ちとなっていることにより重合活性停止も確認した。残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、臭素基末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリル量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルは1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は23900、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりの臭素基の数は1.6個以上であった。
ここで、モノマー反応率95%時点での揮発性物質全体の極性は表3に示すとおり、比誘電率=25.3であった。
Figure 0005231012
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して150部のトルエンで希釈し、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を0.5部、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SEN、共に協和化学(株)社製)を夫々1.5部加え、100℃に加熱し3時間攪拌した。3時間の処理の1時間毎に、重合体のトルエン溶液の体積比で0.5倍量の6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスを印加した。3時間の攪拌の後、加えたろ過助剤及び吸着剤を除去した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液は薄黄緑色を呈しており、残存するCu濃度は52ppmであった。重合体のトルエン溶液にろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を0.5部、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SEN、共に協和化学(株)社製)を夫々1.5部加え、100℃に加熱し3時間攪拌した。酸素窒素混合ガスを1回目の操作と同様にして印加した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液はほぼ透明であり、残存するCu濃度は13ppmであった。
実施例4
(アセトニトリルの添加)
実施例2で得られた重合体100部(残モノマー、アセトニトリル脱揮後のもの)に対して、8.54部のアセトニトリルを密閉容器内に夫々添加し混合した。重合体のアセトニトリル混合液を80℃に加温し、6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスに5時間接触させた。
この重合体はモノマーが残存しないため、揮発性物質全体の極性はアセトニトリルの比誘電率=37.5であった。
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して150部のトルエンで希釈し、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を0.5部、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SEN、共に協和化学(株)社製)を夫々1.5部加え、100℃に加熱し2時間攪拌した。2時間の処理の1時間毎に、重合体のトルエン溶液の体積比で0.5倍量の6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスを印加した。2時間の攪拌の後、加えたろ過助剤及び吸着剤を除去した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液は薄黄色を呈しており、残存するCu濃度は45ppmであった。
つまり、実施例2と同じ重合体を使ってアセトニトリルの存在下で酸素処理することにより、精製操作が簡略化でき、精製後の残存Cu濃度が低く抑えられた。
実施例5
(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートの共重合)
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートの仕込量合計を100部として以下の処方で重合体を合成した。攪拌機付き反応槽にCuBr(0.46部)、アセトニトリル(8.34部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(5.53部)、アクリル酸エチル(7.95部)、2−メトキシエチルアクリレート(6.52部)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(1.94部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.04部;以下、単にトリアミンともいう)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(22.13部)、アクリル酸エチル(31.81部)、2−メトキシエチルアクリレート(26.06部)を連続的に滴下した。これらのモノマーの滴下途中にトリアミン(0.150部)を分割添加した。モノマー反応率が96%に達した時点で、重合体を6%酸素濃度の酸素窒素混合ガスに2時間接触させた。モノマーの転化率が頭打ちとなっていることにより重合活性停止も確認した。残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、臭素基末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリル量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルは1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は22400、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりの臭素基の数は1.6個以上であった。
ここで、モノマー反応率96%時点での揮発性物質全体の極性は、前記表3と同様であり、比誘電率=25.3であった。
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して150部のトルエンで希釈し、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を0.5部、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SEN、共に協和化学(株)社製)を夫々1.5部加え、80℃に加熱し15分間攪拌した。15分間の攪拌の後、加えたろ過助剤及び吸着剤を除去した。ろ過助剤及び吸着剤を除去した後の重合体とトルエンの混合液は薄黄色を呈しており、残存するCu濃度は24ppmであった。
比較例2
(アクリル酸n−ブチルの重合)
アクリル酸n−ブチルの仕込量を100部として以下の処方で重合体を合成した。攪拌機付き反応槽にCuBr(0.84部)、アセトニトリル(8.79部)を加え、窒素雰囲気下65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(20.0部)、エチル2−ブロモブチレート(1.90部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.034部;以下、単にトリアミンともいう)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(80.0部)を連続的に滴下した。これらのモノマーの滴下途中にトリアミン(0.102部)を分割添加した。モノマー反応率が95%以上に達した時点で、残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、臭素基末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリル量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルは1000ppm以下であった。
得られた重合体からアセトニトリルを脱揮回収した後、再びアセトニトリルを35.2部、1,7−オクタジエンを21.4部添加し、さらにトリアミンを0.34部添加して80℃で加熱攪拌した。6時間後にアセトニトリルと未反応の1,7−オクタジエンを脱揮回収し、アルケニル末端を有する重合体を得た。得られた重合体中のアセトニトリルと1,7−オクタジエン量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルと1,7−オクタジエン合計残量は1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は25500、分子量分布は1.3であった。重合体1分子当たりのアルケニル基の数は2.05個以上であった。
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して100部の酢酸ブチルで希釈し、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SL、共に協和化学(株)社製)を夫々0.5部、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を1.0部添加し、100℃で3時間加温した。この時、気相部の酸素濃度が6%になるように、酸素と窒素の混合ガスにて調整した。加温処理後の混合液をろ過処理し、得られた清澄液を減圧加熱し、酢酸ブチルを蒸発回収した。蒸発完了後の重合体中の酢酸ブチル濃度は2000ppmであった。重合体に残存するCu濃度は430ppmであった。
実施例6
(アクリル酸n−ブチルの重合)
比較例2において、アセトニトリルと未反応の1,7−オクタジエンを脱揮回収する直前の、アルケニル末端を有する重合体を含有する混合物を窒素雰囲気下で回収した。この混合物を回収した反応槽中の気相部の酸素濃度が6%になるように調整し、80℃で2時間加温しながら攪拌した。この後に、アセトニトリルと未反応の1,7−オクタジエンを脱揮回収し、アルケニル末端を有する重合体を得た。重合体中のアセトニトリルと1,7−オクタジエン量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、重合体中のアセトニトリルと1,7−オクタジエンの合計残量は1000ppm以下であった。得られた重合体を分析したところ、この重合体の数平均分子量は25500、分子量分布は1.3であった。重合体1分子当たりのアルケニル基の数は2.05個以上であった。酸素処理時(酸素濃度6%で、80℃×2時間加熱)での混合系における揮発性物質(アセトニトリルと1,7−オクタジエンの混合物)全体の極性は、表4に示すとおり、24.2であった。
ここで、1,7−オクタジエンの比誘電率は、同軸反射法を使用して測定した値であり、混合系における揮発性物質の各比誘電率の合計は、実施例1と同様にして、各比誘電率に各体積分率を掛けて求めた。
Figure 0005231012
(重合体の精製)
得られた重合体100部に対して100部の酢酸ブチルで希釈し、吸着剤(キョーワード500SH及びキョーワード700SL、共に協和化学(株)社製)を夫々0.5部、ろ過助剤(ラヂオライト#900、昭和化学工業(株)社製)を1.0部添加し、100℃で3時間加温した。この時、気相部の酸素濃度が6%になるように、酸素と窒素の混合ガスにて調整した。加温処理後の混合液をろ過処理し、得られた清澄液を減圧加熱し、酢酸ブチルを蒸発回収した。蒸発完了後の重合体中の酢酸ブチル濃度は2000ppmであった。重合体に残存するCu濃度は190ppmであった。
実施例6では、重合体の反応溶媒であるアセトニトリルと未反応の1,7−オクタジエンを脱揮回収する前に、酸素雰囲気下で処理している。このように、重合後に極性溶媒存在下で酸素処理を行うと、その後、精製して得られる重合体の残存Cu濃度が大きく低減できることがわかる。
本発明の極性溶媒下での酸素処理を行うことにより、ビニル系重合体(好ましくは原子移動ラジカル重合を利用して製造されるビニル系重合体)から、重合触媒をより効果的に分離することができる。特に、ある値以上の比誘電率を持った極性溶媒を添加した重合体を、この溶媒の純成分での爆発限界酸素濃度以下の酸素濃度の酸素と窒素等の不活性ガスの混合ガスと接触させることにより、安全かつ効率的に遷移金属錯体を分離することができる。これにより、より良い品質の重合体を得ることができる。

Claims (10)

  1. 重合完了時に、20℃での比誘電率εrが10以上である極性溶媒下で酸素処理することを特徴とするビニル系重合体の製造方法であって、
    前記ビニル系重合体が(メタ)アクリル系重合体であるビニル系重合体の製造方法
  2. 酸素処理に供されるビニル系重合体と共存する揮発性物質全体の極性が、20℃での比誘電率で10以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 酸素処理に用いる酸素含有不活性ガスが、10%体積濃度以下の酸素と不活性ガスの混合ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 酸素処理の時間が1時間以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. ビニル系重合体がハロゲン基を有するビニル系重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. ビニル系重合体の数平均分子量が500〜100000であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. ビニル系重合体の分子量分布が1.8未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. ビニル系重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されたものである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 原子移動ラジカル重合の触媒である遷移金属錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム又は鉄の錯体より選ばれることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  10. 遷移金属錯体が銅の錯体であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
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