JP2001233914A - 酢酸ビニル系重合体の製造法 - Google Patents

酢酸ビニル系重合体の製造法

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JP2001233914A
JP2001233914A JP2000043010A JP2000043010A JP2001233914A JP 2001233914 A JP2001233914 A JP 2001233914A JP 2000043010 A JP2000043010 A JP 2000043010A JP 2000043010 A JP2000043010 A JP 2000043010A JP 2001233914 A JP2001233914 A JP 2001233914A
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vinyl acetate
polymerization
monomer
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acetate polymer
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JP2000043010A
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Hiroshi Hanatani
浩 花谷
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量分布が狭く、また加熱処理による着色
が抑制された酢酸ビニル系重合体を得ることができる製
造法を提供すること。 【解決手段】 酢酸ビニル系モノマーを重合した後に生
成する酢酸ビニル系重合体溶液から残存するモノマーを
除去する工程において、空気又は酸素を共存させながら
モノマーの除去を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酢酸ビニル系重合
体の製造法に関し、更に詳しくは、分子量分布の狭い
(シャープな)酢酸ビニル系重合体、特にビニルアルコ
ール系重合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリビニルアルコール系樹脂
やエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のビニルア
ルコール系重合体は、ポリ酢酸ビニルやエチレン−酢酸
ビニル共重合体等の酢酸ビニル系重合体をケン化するこ
とによって製造されている。
【0003】そして、かかる酢酸ビニル系重合体、特に
ビニルアルコール系重合体においては、その分子量分布
が特性の重要な要因にもなっている。
【0004】即ち、得られるビニルアルコール系重合体
の熱安定性の向上、機械的物性の向上等の特性を要求さ
れる時、或いは該重合体の製造時に低分子量の重合体が
製造廃液に混入して活性汚泥処理等の廃液処理に悪影響
を及ぼす恐れもあり、かかる分子量分布が狭い(シャー
プ)方が良く、酢酸ビニル系重合体の製造時において、
かかる分子量分布のコントロールが試みられている。
【0005】一般的には、重合工程の後工程で、重合禁
止剤を添加して後重合を抑制する方法が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では、重合禁止剤の種類や添加条件等により、得ら
れる重合体に着色が生じることがあり、更にはかかる禁
止剤の種類によっては衛生性等の安全性にも十分に配慮
する必要があり、重合禁止剤の使用については、その種
類や添加条件等に各種の制限が課せられるのが常であ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は上記
の現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、酢酸ビニル系モ
ノマーを重合又は共重合した後に生成する酢酸ビニル系
重合体溶液から残存するモノマーを除去する工程におい
て、空気又は酸素を共存させながらモノマーの除去を行
うことにより、分子量分布が狭く、また加熱処理等によ
る着色が抑制された酢酸ビニル系重合体が得られること
を見出して本発明を完成するに至った。
【0008】尚、本発明で言う残存するモノマーとは、
重合又は共重合後に残存する酢酸ビニル系のモノマーは
勿論のこと、共重合の時は、これ以外の他の残存モノマ
ーも含むものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明の酢酸ビニル系重合体の製造法は、
上記の如く酢酸ビニル系モノマーを重合又は共重合した
後に生成する酢酸ビニル系重合体溶液から残存するモノ
マーを除去する工程において、空気又は酸素を共存させ
ながらモノマーの除去を行うことを特徴とするもので、
酢酸ビニル系モノマーを重合又は共重合するに当たって
は、特に限定されずに公知の方法により重合することが
できる。
【0011】例えば、酢酸ビニル単独或いは他のモノマ
ー、重合触媒及び溶媒を重合缶等の反応系に仕込んで重
合を行えばよい。
【0012】かかる他のモノマーとしては、例えばエチ
レン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−
ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あ
るいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン
酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレ
フィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエー
テル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリ
ドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレ
ン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メ
タ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メ
タ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アク
リレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート
等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリ
オキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプ
ロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキ
レン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1
−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピ
ル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポ
リオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、
ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレ
ンビニルアミン等を挙げることができる。
【0013】また、重合触媒としては、ラジカル開始剤
であれば特に制限なく用いられるが、好ましくは2,
2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス−(2,4,4−トリメチル
バレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチル
パーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーピバレ−
ト等のアルキルパーエステル類、ビス−(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート、ジ
−シクロヘキシルパーオキシ−ジ−カーボネート、ビス
(2−エチルヘキシル)ジ−sec−ブチルパーオキシ
−ジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシ−ジ
−カーボネート等のパーオキシ−ジ−カーボネート類、
アセチルパーオキシド、ジ−ラウロイルパーオキシド、
ジ−デカノイルパーオキシド、ジ−オクタノイルパーオ
キシド、ジ−プロピルパーオキシド等のパーオキシド類
などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を
用いることができる。
【0014】かかる重合触媒の使用量は、酢酸ビニル1
00重量部に対して、0.002〜0.2重量部(更に
は0.002〜0.2重量部、特には0.01〜0.1
重量部)が好ましく、0.002重量部未満では、触媒
効率が悪く重合時間が長くなったり、重合が進まない場
合があり、逆に0.2重量部を越えると、重合の制御が
困難となったり、重合終了後も触媒が残存して後重合を
起こすことがあり好ましくない。
【0015】更に、かかる溶媒(重合溶媒)としては、
炭素数4以下のアルコール又は炭素数4以下のアルコー
ルを主とする混合溶媒が好適に用いられ、該アルコール
としては、メタノール、エタノール、プロパノール等が
挙げられるが、中でもメタノールが好適に用いられ、該
溶媒の量としては、酢酸ビニル100重量部に対して、
1〜100重量部(更には1〜80重量部、特には1〜
60重量部)が好ましく、かかる溶媒の量が1重量部未
満では、重合液粘度が高く除熱が難しくなって重合の制
御が困難となり、逆に100重量部を越えると、得られ
る酢酸ビニル系重合体の重合度が低く、物性的に脆くな
って好ましくない。
【0016】重合を開始するにあたっては、酢酸ビニル
モノマーまたは酢酸ビニルモノマーと他のモノマー、重
合触媒及び重合溶媒を(重合)反応缶に仕込むのである
が、かかる酢酸ビニルまたは酢酸ビニルモノマーと他の
モノマー、重合触媒及び溶媒の仕込み方法としては任意
の手段が採用され、代表的には、酢酸ビニルまたは酢
酸ビニルモノマーと他のモノマー、重合触媒、溶媒の全
てを事前に混合した後、一括して仕込む方法、(少量
の)溶媒に溶解した重合触媒、酢酸ビニルまたは酢酸ビ
ニルモノマーと他のモノマー、溶媒を別々に仕込む方
法、酢酸ビニルまたは酢酸ビニルモノマーと他のモノ
マー、重合触媒と溶媒の混合液を別々に仕込む方法、
酢酸ビニルまたは酢酸ビニルモノマーと他のモノマーと
溶媒の混合液、重合触媒と溶媒の混合液を別々に仕込む
方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
尚、かかる他のモノマーがエチレンのようなガス状物の
時には、モノマーにバブリング又は密閉下に圧力調整し
て仕込むことが好ましい。
【0017】かくして、重合缶内に酢酸ビニルモノマー
または酢酸ビニルモノマーと他のモノマー、重合触媒及
び溶媒が仕込まれて重合が始まるわけであるが、重合温
度は特に限定されないが、通常は50〜70℃(更には
55〜80℃)が好ましく、かかる温度が40℃未満で
は重合に長時間を要し、生産性の面で問題であり、重合
触媒が多く残存して後重合を起こしやすく、逆に80℃
を越えると重合制御が困難となり好ましくない。また、
重合終了まで一定温度で重合する必要はなく、触媒の追
加仕込とともに変更してもかまわない。
【0018】また、重合時間は、回分式の場合、4〜2
0時間(更には6〜12時間)が好ましく、該重合時間
が4時間未満では高生産性(高重合率)を得ようとする
と重合制御が難しくなり、逆に20時間を越えると生産
性の面で問題があり好ましくない。連続式の場合、重合
缶内での平均滞留時間は2〜10時間(更には2〜8時
間)が好ましく、該滞留時間が2時間未満では高生産性
(高重合率)を得ようとすると重合制御が難しくなり、
10時間を越えると生産性の面で問題があり好ましくな
い。
【0019】重合率は、特に制限されないが、生産性の
面から重合制御が可能な範囲でできるだけ高く設定さ
れ、好ましくは20〜80%である。該重合率が20%
未満では、生産性も面や未重合の酢酸ビニルが多量に存
在する等の問題があり、逆に80%越えると分子量分布
が広くなる傾向にあり好ましくない。
【0020】かくして重合が終わって、酢酸ビニル系重
合体溶液が生成するのであるが、本発明においては、か
かる重合体溶液から残存するモノマーを除去する工程に
おいて、空気又は酸素を共存させながらモノマーの除去
を行うことを特徴とするもので、かかる方法について詳
細に説明する。
【0021】上記で得られた酢酸ビニルモノマー等のモ
ノマーを含有する酢酸ビニル系重合体溶液は、次いで、
かかるモノマーを除去するための処理(工程)に供され
る。
【0022】かかる工程は、通常は目皿が設けられたス
トリッピング塔等を用いて行われ、具体的には、かかる
塔の上部から上記のモノマーを含有する酢酸ビニル系重
合体溶液を供給すると同時に塔の下部より溶剤(メタノ
ール等のアルコール系溶剤)を供給して、該塔内で向流
接触させて、塔上部からモノマーと溶剤を共沸により系
外に除去すると共に塔下部よりモノマーの除去された酢
酸ビニル系重合体を得ようとするもので、本発明におい
ては、このような工程において、向流接触時の塔内に空
気又は酸素を共存させるのである。
【0023】共存させる方法としては、特に限定され
ず、イ)塔の任意の位置から空気又は酸素を供給する方
法、ロ)酢酸ビニル系重合体溶液が塔内に供給される前
に該溶液に空気又は酸素を混合しておく方法、ハ)溶剤
が塔内に供給される前に該溶剤に空気又は酸素を混合し
ておく方法等を挙げることができるが、工業的には、
イ)の方法が好ましいが、これに限定されるものではな
い。
【0024】本発明においては、上記の如く酢酸ビニル
系モノマーを重合又は共重合した後に生成する酢酸ビニ
ル系重合体溶液から残存するモノマーを除去する工程に
おいて、空気又は酸素を共存させながらモノマーの除去
を行うことを特徴とするもので、共存させる空気又は酸
素の量は特に限定されないが、残存モノマー1000k
gに対して、酸素換算で1〜300リットル(更には1
0〜300リットル、特には10〜200リットル)と
することが好ましく、かかる共存量が1リットル未満で
は、本発明の作用効果を十分に得ることができないこと
があり、逆に300リットルを越えるときは着色の恐れ
があり好ましくない。尚、上記の体積(リットル)は、
0℃、1気圧で換算した時の値である。
【0025】また、空気又は酸素と酢酸ビニル系重合体
溶液の接触時間は、0.1〜2時間(更には0.2〜
1.5時間、特に0.5〜1.5時間)が好ましく、か
かる時間が0.1時間未満では、本発明の作用効果を十
分に得ることができないことがあり、逆に2時間を超え
ると生産性の面で不利となって好ましくない。
【0026】かくして本発明の製造法で、分子量分布の
狭い酢酸ビニル系重合体が得られるわけであるが、本発
明の作用効果をより顕著に得るために、従来公知の重合
禁止剤、例えば、ハイドロキノン、アニリン、アントラ
セン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロ
ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンゾフェノン、N,N−
ジメチルホルムアミド等をモノマーを含有する酢酸ビニ
ル系重合体液に対して、1〜200ppm(更には5〜
100ppm、特には5〜50ppm)共存させること
も好ましく、かかる量が1ppm未満では重合の禁止作
用が十分ではなく、逆に200ppmを越えると着色の
原因となったり、衛生上の問題が発生して好ましくな
い。
【0027】このように本発明においては、重合禁止剤
を用いる場合においても、その添加量を抑制することが
でき、上記の如く、着色防止や衛生上の面等から有利で
ある。
【0028】本発明の製造法で得られる酢酸ビニル系重
合体としては、具体的にポリ酢酸ビニル、エチレン−酢
酸ビニル共重合体等を挙げることができ、これらは、接
着剤、粘着剤、塗料、繊維・織物の加工剤、紙・皮革の
加工剤、各種材料のバインダー、セメント・モルタルの
混和液等に利用され、特にポリビニルアルコールやエチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の原料としても有用
であり、かかるポリビニルアルコールの製造法について
以下説明する。
【0029】ポリ酢酸ビニルからポリビニルアルコール
を得るにあたっては、ポリ酢酸ビニルをケン化すれば良
く、ケン化に当たっては、ポリ酢酸ビニルをアルコール
に溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコー
ルとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙
げられる。
【0030】アルコール中の共重合体の濃度は20〜5
0重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のア
ルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触
媒を用いることが必要である。かかる触媒の使用量は酢
酸ビニルに対して1〜100ミリモル当量にすることが
必要である。
【0031】かかる場合、ケン化温度は特に制限はない
が、通常は10〜70℃、更には30〜50℃の範囲か
ら選ぶのが好ましい。反応は通常0.5〜3時間にわた
って行なわれ、好ましいケン化度は10〜100モル%
で、特に好ましくは50〜100モル%、殊に好ましく
は70〜100モル%の範囲から選択される。
【0032】かくして、分子量分布の狭いポリビニルア
ルコールが得られ、かかるポリビニルアルコールは、熱
処理等による着色も少なく、分散剤、接着剤、糊剤、乳
化剤、懸濁剤、フィルム、繊維、紙加工剤、各種コーテ
ィング用途等に用いることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0034】尚、実施例中、「部」、「%」とあるの
は、特に断りのない限り重量基準である。
【0035】実施例1 コンデンサー及び攪拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル
モノマー800部及びメタノール200部を仕込んだ
後、攪拌しながら加熱して1時間還流させた。その後、
重合触媒として過酸化ベンゾイル0.15部を添加して
5時間重合を行った後、10℃のメタノール400部を
重合缶に供給して重合を停止させて、酢酸ビニル系重合
体溶液(ポリ酢酸ビニル40%、酢酸ビニルモノマー1
7%、メタノール43%)を得た。この時の酢酸ビニル
の重合率は、70%であった。
【0036】次いで、直径200mm、高さ6000m
m、実段数15のストリッピング塔の上部から上記で得
られた酢酸ビニル系重合体溶液を28kg/hの速度で
連続的に供給すると同時に、塔の下部より30kg/h
の速度でメタノール(ベーパー状)を供給して塔内で向
流接触させた。このとき、塔内に該メタノールに予め約
240ミリリットル(0℃、1気圧換算;以下、同様)
/hの空気を共存させた。この時の、塔内での酢酸ビニ
ルモノマー1000kgに対する酸素の共存量は、50
リットル(0℃、1気圧換算;以下、同様)となる。
【0037】かかる方法により、塔の下部より酢酸ビニ
ルモノマーが除去された酢酸ビニル系重合体溶液(ポリ
酢酸ビニル40%、メタノール60%)を得た。かかる
酢酸ビニル系重合体溶液中のポリ酢酸ビニルの分子量分
布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量,Mn:数平均
分子量)をGPCで測定したところ、Mw/Mn=2.
3であった。
【0038】更に、該酢酸ビニル系重合体溶液に水酸化
ナトリウムを加えて40℃でケン化し、105℃で乾燥
して、ケン化度99.9モル%、重合度1700のポリ
ビニルアルコールを得た。かかるポリビニルアルコール
の分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量,M
n:数平均分子量)を、再酢化して、GPCで測定した
ところ、Mw/Mn=2.2であった。
【0039】上記で得られたポリビニルアルコールを1
20℃で3時間熱処理を行ったが、着色は認められず良
好であった。
【0040】実施例2 実施例1において、メタノール(ベーパー状)に予め共
存させる空気の量を約950ミリリットル/hとした
(この時の、塔内での酢酸ビニルモノマー1000kg
に対する酸素の共存量は、200リットルとなる)以外
は同様に行って、酢酸ビニルモノマーが除去された酢酸
ビニル系重合体溶液(ポリ酢酸ビニル40%、メタノー
ル60%)を得た。かかる酢酸ビニル系重合体溶液中の
ポリ酢酸ビニルの分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量
平均分子量,Mn:数平均分子量)をGPCで測定した
ところ、Mw/Mn=2.2であった。
【0041】更に、該酢酸ビニル系重合体溶液を実施例
と同様にケン化・乾燥をして、ケン化度99.9モル
%、重合度1700のポリビニルアルコールを得た。か
かるポリビニルアルコールの分子量分布(Mw/Mn、
Mw:重量平均分子量,Mn:数平均分子量)を、再酢
化して、GPCで測定したところ、Mw/Mn=2.1
であった。
【0042】上記で得られたポリビニルアルコールを1
20℃で3時間熱処理を行ったが、やはり着色は認めら
れず良好であった。
【0043】実施例3 実施例1において、ストリッピング塔の上部に供給する
酢酸ビニル系重合体溶液に予め20ppmのハイドロキ
ノンを共存させた以外は同様に行って、酢酸ビニルモノ
マーが除去された酢酸ビニル系重合体溶液(ポリ酢酸ビ
ニル40%、メタノール60%)を得た。かかる酢酸ビ
ニル系重合体溶液中のポリ酢酸ビニルの分子量分布(M
w/Mn、Mw:重量平均分子量,Mn:数平均分子
量)をGPCで測定したところ、Mw/Mn=2.2で
あった。
【0044】更に、該酢酸ビニル系重合体溶液を実施例
と同様にケン化・乾燥をして、ケン化度99.9モル
%、重合度1700のポリビニルアルコールを得た。か
かるポリビニルアルコールの分子量分布(Mw/Mn、
Mw:重量平均分子量,Mn:数平均分子量)を、再酢
化して、GPCで測定したところ、Mw/Mn=2.1
であった。
【0045】上記で得られたポリビニルアルコールを1
20℃で3時間熱処理を行ったが、やはり着色は認めら
れず良好であった。
【0046】実施例4 コンデンサー及び攪拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル
モノマー800部及びメタノール200部を仕込んだ
後、攪拌しながら加熱して1時間還流させた。その後、
重合触媒として過酸化ベンゾイル0.04部を添加して
3時間重合を行った後、10℃のメタノール400部を
重合缶に供給して重合を停止させて、酢酸ビニル系重合
体溶液(ポリ酢酸ビニル17%、酢酸ビニルモノマー4
0%、メタノール43%)を得た。この時の酢酸ビニル
の重合率は、30%であった。
【0047】次いで、実施例1と同様にストリッピング
塔に供給して、塔の下部より30kg/hの速度でメタ
ノール(ベーパー状)を供給して塔内で向流接触させ
た。このとき、塔内に該メタノールに予め約560ミリ
リットル/hの空気を共存させた。この時の、塔内での
酢酸ビニルモノマー1000kgに対する酸素の共存量
は、50リットルとなる。
【0048】かかる方法により、塔の下部より酢酸ビニ
ルモノマーが除去された酢酸ビニル系重合体溶液(ポリ
酢酸ビニル30%、メタノール70%)を得た。かかる
酢酸ビニル系重合体溶液中のポリ酢酸ビニルの分子量分
布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量,Mn:数平均
分子量)をGPCで測定したところ、Mw/Mn=2.
2であった。
【0049】更に、該酢酸ビニル系重合体溶液を実施例
1と同様にケン化・乾燥をして、ケン化度99.9モル
%、重合度2500のポリビニルアルコールを得た。か
かるポリビニルアルコールの分子量分布(Mw/Mn、
Mw:重量平均分子量,Mn:数平均分子量)を、再酢
化して、GPCで測定したところ、Mw/Mn=2.1
であった。
【0050】上記で得られたポリビニルアルコールを1
20℃で3時間熱処理を行ったが、やはり着色は認めら
れず良好であった。
【0051】比較例1 実施例1において、空気の供給を行わなかった以外は同
様に行って、酢酸ビニルモノマーが除去された酢酸ビニ
ル系重合体溶液(ポリ酢酸ビニル40%、メタノール6
0%)を得た。かかる酢酸ビニル系重合体溶液中のポリ
酢酸ビニルの分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均
分子量,Mn:数平均分子量)をGPCで測定したとこ
ろ、Mw/Mn=2.6であった。
【0052】更に、該酢酸ビニル系重合体溶液を実施例
と同様にケン化・乾燥をして、ケン化度99.9モル
%、重合度1650のポリビニルアルコールが得られ
た。かかるポリビニルアルコールの分子量分布(Mw/
Mn、Mw:重量平均分子量,Mn:数平均分子量)
を、再酢化して、GPCで測定したところ、Mw/Mn
=2.5であった。
【0053】上記で得られたポリビニルアルコールを1
20℃で3時間熱処理を行ったが、着色が認められた。
【0054】
【発明の効果】本発明の製造方法では、酢酸ビニル系モ
ノマーを重合した後に生成する酢酸ビニル系重合体溶液
から残存するモノマーを除去する工程において、空気又
は酸素を共存させながらモノマーの除去を行っているた
め、分子量分布の狭い酢酸ビニル系重合体を得ることが
でき、また加熱処理による着色が抑制された酢酸ビニル
系重合体を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月10日(2001.1.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】重合率は、特に制限されないが、生産性の
面から重合制御が可能な範囲でできるだけ高く設定さ
れ、好ましくは20〜80%である。該重合率が20%
未満では、生産性や未重合の酢酸ビニルが多量に存在す
る等の問題があり、逆に80%を越えると分子量分布が
広くなる傾向にあり好ましくない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AA02Q AA03Q AA06Q AA15Q AA19Q AC03Q AC04Q AE02Q AE09Q AE18Q AF15Q AG04P AJ01Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AK03Q AK08Q AK13Q AK19Q AK20Q AK32Q AL03Q AL04Q AL08Q AL61Q AL62Q AM02Q AM15Q AM21Q AN04Q AN05Q AP01Q AQ08Q BA08 BA33 BA56 CA01 CA04 DA04 FA03 FA06 GB01 GB09 JA01 JA03 JA11 JA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸ビニル系モノマーを重合又は共重合
    した後に生成する酢酸ビニル系重合体溶液から残存する
    モノマーを除去する工程において、空気又は酸素を共存
    させながらモノマーの除去を行うことを特徴とする酢酸
    ビニル系重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 空気又は酸素の共存量が残存モノマー1
    000kgに対して酸素換算で1〜300リットル(0
    ℃、1気圧換算)であることを特徴とする1記載の酢酸
    ビニル系重合体の製造法。
  3. 【請求項3】 更に、重合禁止剤を共存させることを特
    徴とする1または2記載の酢酸ビニル系重合体の製造
    法。
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