JP7351133B2 - ポリビニルエステル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)炭素数1~3のアルコール系溶媒中で、下記一般式(A)で表わされる化合物の存在下で、ビニルエステル系単量体を重合することを含むことを特徴とするポリビニルエステル系重合体の製造方法。
(3)前記アルコール系溶媒の添加量が、質量比において、前記ビニルエステル系単量体1に対し、0超過10以下の範囲であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
(4)前記アルコール系溶媒がメタノールであることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
(5)前記ビニルエステル系単量体が酢酸ビニルであることを特徴とする前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
また、本明細書において、(メタ)アリルとはアリル又はメタリル、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリル、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートをそれぞれ意味する。
リビングラジカル重合の重合機構を、ビニルエステル系単量体として酢酸ビニルを用いたポリ酢酸ビニルの製造を例に、下記スキームIにより説明する。重合途中の重合物がラジカルとなって付加されたジチオカルボニル化合物1(休止種)に対して、ポリ酢酸ビニルのラジカルY・が付加し、中間体ラジカル2が生成する。さらに、中間体ラジカル2から別のポリ酢酸ビニルのラジカルY’・が脱離することにより、新たな休止種(ジチオカルボニル化合物1’)と別のポリ酢酸ビニルのラジカルY’・が生成する。このように付加及び脱離を繰り返すことで重合が進行する。なお、下記スキームI中、XはOR(Rは、炭素数1~5のアルキル基)である。
本発明の製造方法では、反応器に、ビニルエステル系単量体、炭素数1~3のアルコール系溶媒、一般式(A)で表わされる化合物及び重合開始剤を添加し、重合反応を開始させる。各原料は一度に添加してもよいし、任意の順番で添加してもよい。また、各原料の添加は、それぞれ一度にすべて添加してもよく、重合中の任意のタイミングで任意の回数に分割して添加してもよい。特に、重合開始剤は重合速度の維持を目的として、2回以上に分割して添加することがより好ましい。
なお、本発明において、ポリビニルエステル系重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレンを標準として求めることができる。
得られたポリビニルエステル系重合体のケン化は、従来より行われている公知のケン化方法を採用することができる。すなわち、ポリビニルエステル系重合体をアルコール又は水/アルコール溶媒に溶解させた状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行うことができる。
前記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートを用いることができる。
通常、無水アルコール系溶媒下、アルカリ触媒を用いたエステル交換反応が反応速度の点や脂肪酸塩等の不純物を低減できるなどの点で好適に用いられる。
アルミカップにサンプルを約1~2g量り取り、140℃の乾燥機にて30分間乾燥した後、アルミカップに残ったサンプル量から、樹脂分を算出した。
ポリビニルエステル系重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定は、株式会社島津製作所製の高速液体クロマトグラフ「Prominence」(商品名)を用いた。
ポリビニルエステル系重合体をテトラヒドロフランに溶解して、重合体濃度0.25質量%の重合体試料液を得て、テトラヒドロフランを展開溶剤として流速を1.0ml/min、カラム温度を35℃の条件にて、測定した。標準物質としての単分散分子量のポリスチレンを使用した検量線を作成し、ポリビニルエステル系重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定した。
得られた数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の値から、分散度(Mw/Mn)を算出した。
1.0M HCl・Et2O(塩化水素・ジエチルエーテル) 100mL(0.1mol in Et2O)を0℃に冷やした200mLナスフラスコに入れた。イソブチルビニルエーテル(IBVE)13mL(0.1mol)を撹拌しながらHCl・Et2Oの入ったフラスコに滴下し、約1時間、0℃下でそのまま撹拌し続けIBVE-HCl付加体を得た。不用なHClはガスとして放出して精製した。キサントゲン酸イソプロピルカリウム11.6g(0.067mol)を0℃に冷やしたナスフラスコに入れ、上記で合成したIBVE-HCl付加体溶液76mL(0.076mol)を加えた。そこから24時間、0℃~室温下でスターラーを用いて撹拌した。その後、ガラスロートを用いてろ過し、ろ液を分液ロートに移し、0.2M NaHCO3で3回、純水で2回洗浄した。これを乾燥させた三角フラスコに移し、無水硫酸ナトリウムで一晩予備乾燥した。無水硫酸ナトリウムを取り除き、乾燥させたナスフラスコにデカンテーションした。溶媒を留去した後、乾燥窒素下、CaH2上で減圧蒸留(b.p.78℃/0.6kPa)を2回行い、精製した。黄色液体として下記式(1)で表わされるS-1-isobutoxyethyl O-isopropyl xanthateを得、合成収率は51%であった。
1.0M HCl・Et2O(塩化水素・ジエチルエーテル) 100mL(0.1mol in Et2O)を0℃に冷やした200mLナスフラスコに入れた。イソブチルビニルエーテル(IBVE)13.1mL(0.1mol)を撹拌しながらHCl・Et2Oの入ったフラスコに滴下し、約1時間、0℃下でそのまま撹拌し続けIBVE-HCl付加体を得た。不用なHClはガスとして放出して精製した。エチルキサントゲン酸カリウム16.0g(0.1mol)を0℃に冷やしたナスフラスコに入れ、上記で合成したIBVE-HCl付加体溶液をすべてゆっくりと加えた。そこから12時間、0℃~室温下でスターラーを用いて撹拌した。その後、ガラスロートを用いてろ過し、ろ液を分液ロートに移し、0.2M NaHCO3で3回、純水で2回洗浄した。これを乾燥させた三角フラスコに移し、無水硫酸ナトリウムで一晩予備乾燥した。無水硫酸ナトリウムを取り除き、乾燥させたナスフラスコにデカンテーションした。溶媒を留去した後、乾燥窒素下、CaH2上で減圧蒸留(b.p.68℃/0.7kPa)を2回行い、精製した。薄黄色液体として下記式(2)で表されるS-1-isobutoxyethyl O-ethyl xanthateを得、合成収率は62%であった。
所定量の酢酸ビニル(100g,1.16mol)、メタノール(20g,6.87×10-1mol)、合成例1で作製したiPrBEX(129mg,5.5×10-4mol、メタノール1g中に溶解、対酢酸ビニル0.047mol%)をセパラブルフラスコに加えた。これに窒素を20分間、撹拌しながら吹き込んだ後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(9mg,5.48×10-5mol、メタノール1g中に溶解)を加えた。その後7時間沸点重合を行った。また3時間後と5時間後に、AIBN(仕込み時と同量)の追添加を行った。
実施例1において、メタノールに代えて酢酸エチルを用いてポリ酢酸ビニルを製造した。
所定量の酢酸ビニル(100g,1.16mol)、酢酸エチル(20g,2.27×10-1mol)、合成例1で作製したiPrBEX(129mg,5.5×10-4mol、酢酸エチル1g中に溶解、対酢酸ビニル0.047mol%)をセパラブルフラスコに加えた。これに窒素を20分間、撹拌しながら吹き込んだ後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(9mg,5.48×10-5mol、酢酸エチル1g中に溶解)を加えた。その後沸点重合を行ったが、重合時に反応が安定せず、反応温度の急上昇があった。反応は1.5時間で停止した。
iPrBEXに代えて合成例2で作製したIBEX(121mg,5.5×10-4mol、メタノール1g中に溶解、対酢酸ビニル0.047mol%)を用い、重合反応液中のポリ酢酸ビニルの数平均分子量(Mn)が72000を超えた時点で反応を止めた以外は実施例1と同様にしてポリ酢酸ビニルを製造した。
実施例2において、メタノールに代えて酢酸エチルを用いてポリ酢酸ビニルを製造したものの重合中の温度制御ができず、急激な温度上昇があり重合を停止した。
Claims (6)
- 前記一般式(A)で表わされる化合物の添加量が、前記ビニルエステル系単量体の添加量に対して0.0001~10mol%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
- 前記アルコール系溶媒の添加量が、質量比において、前記ビニルエステル系単量体1に対し、0超過10以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
- 前記アルコール系溶媒がメタノールであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
- 前記ビニルエステル系単量体が酢酸ビニルであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
- 重合停止後、ポリビニルエステル系重合体を含有する溶液を真空乾燥することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポリビニルエステル系重合体の製造方法。
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