JPH05320219A - ポリビニルアルコール系樹脂の製造法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系樹脂の製造法

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JPH05320219A
JPH05320219A JP15984891A JP15984891A JPH05320219A JP H05320219 A JPH05320219 A JP H05320219A JP 15984891 A JP15984891 A JP 15984891A JP 15984891 A JP15984891 A JP 15984891A JP H05320219 A JPH05320219 A JP H05320219A
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JP
Japan
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polymerization
pva
vinyl acetate
vinyl ester
ester
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JP15984891A
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English (en)
Inventor
Seiya Ogawa
誠也 小川
Norimasa Yamamoto
憲正 山本
Sadanobu Kato
貞信 加藤
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/12Hydrolysis

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定のパーオキシエステル系化合物を重合開
始剤としてビニルエステルを重合し、得られるビニルエ
ステル系樹脂をケン化するポリビニルアルコール系樹脂
の製造法。 【効果】 得られるポリビニルアルコールは、着色が少
なく、かつそのポリビニルアルコールを更に加熱しても
着色の増大が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
系樹脂(以下、PVA ということがある)の製造法、更に
詳しくはビニルエステルの重合において、特定のパーオ
キシエステル系化合物を重合開始剤として使用するPVA
の製造法に関する。
【0002】本発明の方法により得られるPVA は、着色
が少なく、かつ熱安定性に優れ、加熱により着色し難い
という特長を有する。
【0003】
【従来の技術】PVA は、ビニロン繊維、フィルム、成形
品、接着剤等の原料用をはじめとして、繊維加工剤、紙
加工剤、乳化分散剤等として広い分野において工業的に
使用されている代表的な水溶性高分子である。
【0004】PVA は、種々の重合方式(溶液、塊状、懸
濁、乳化重合等)によりビニルエステルを重合して得ら
れるビニルエステル系樹脂をケン化して得ることがで
き、ビニルエステルの重合に際しては、重合開始剤とし
て2,2′−アゾビスイソブチルニトリル、2,2′−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2′−アゾビスジメチルイソブチレートの如きアゾ系開
始剤や、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキ
サイドの如き有機過酸化物系開始剤、過酸化水素、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き無機過酸化物系
開始剤等が使用されている。工業的に主として実施され
ているPVA の製造方法は、通常酢酸ビニルをメタノール
等の低級アルコール溶媒中でラジカル重合開始剤を用い
て溶液重合し、得られたポリ酢酸ビニルのアルコール溶
液をメタノール等の低級アルコールの蒸気と接触せしめ
て、該溶液中の未反応酢酸ビニルを除去する。次いで、
そのポリ酢酸ビニルのアルコール溶液に苛性ソーダのよ
うなアルカリを添加混合してケン化し、得られる粉粒状
PVA を含むスラリーを中和・濾過・加熱乾燥するもので
ある。
【0005】しかしながら、上記の如き方法により製造
されるPVA は、PVA の製造時やそのPVA を用いて得られ
る製品の製造加工時の加熱乾燥工程あるいはその後にお
ける熱履歴により淡黄色等に着色し易く、PVA 自体及び
このPVA を用いて得られる製品の商品価値を著しく損な
う結果となる。
【0006】このようなPVA の着色を防止もしくは抑制
する方法としては、酢酸ビニルの重合の際、重合反応
溶液中にキレート試薬であるエチレンジアミンテトラ酢
酸、オキシン、ジチゾンなどを少量添加する方法(特公
昭37-7954 号公報)、重合系にクエン酸、酒石酸など
の有機酸またはそれらの塩を添加する方法(特公昭37-1
0590号公報)ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液中に亜
塩素酸ソーダを添加してケン化する方法(特公昭36-195
91号公報)乾燥前のPVA に硫酸などの強酸を添加して
加熱乾燥する方法(特開昭52-26589号公報)などが提案
されている。
【0007】しかし、これ等従来の方法は、得られるPV
A の着色防止効果が充分でなかったり、そのPVA を用い
て得られる製品の製造加工工程あるいはその後における
熱履歴により着色したりして、満足出来る程度の効果が
得られていない。更に、これ等の方法は系内に「異物」
を加えることに他ならず、設備腐蝕の原因となったり、
得られるPVA の品質に影響を与えることがあり、いずれ
も好ましい方法とはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PVA の品質
上等の点より好ましくない異物を添加したりすることな
く、着色が極めて少なく、熱安定性に優れ、加熱により
着色し難いPVA を製造する方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、着色の極め
て少なく、熱安定性に優れ、加熱により着色し難いPVA
を得る方法につき種々の検討の結果、ビニルエステルの
重合に際し、重合開始剤として特定のパーオキシエステ
ル系化合物を用いることにより、目的を達成できるとの
知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、下記一般式(I)で示さ
れるパーオキシエステル系化合物を重合開始剤としてビ
ニルエステルを重合して得られるビニルエステル系樹脂
をケン化することを特徴とするポリビニルアルコール系
樹脂の製造法である。
【0011】一般式(I)
【化2】 〔式中R1、R2、R3、R4、R5及びR6はいずれも水素原子又
は炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法により得られるPVA 系樹脂には、ビニルエステルの
1種以上を重合あるいは共重合し、又はビニルエステル
と共重合可能なビニルエステル以外の単量体1種以上と
ビニルエステル1種以上とを共重合して得られるビニル
エステル系樹脂(以下、ポリビニルエステルということ
がある)の、ビニルエステル単位の全てあるいは一部を
ケン化して、ビニルアルコール単位に変換したPVA 系樹
脂を包含する。
【0013】また、本発明の方法により得られるPVA 系
樹脂は、共重合に使用したビニルエステル以外の単量体
に由来する単位を含有することができる。
【0014】本発明の方法において使用されるビニルエ
ステルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル等があり、中でも酢酸ビニル
が好ましい。
【0015】前記のビニルエステルと共重合可能なビニ
ルエステル以外の単量体としては、例えば、α−オレフ
ィン類〔エチレン、プロピレン等〕、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル類〔(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等〕、不飽
和アミド類〔(メタ)アクリルアミド、N−メチロール
アクリルアミド等〕、不飽和酸類〔(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸
等〕、不飽和酸のアルキル(メチル、エチル、プロピル
等)エステル、不飽和酸の無水物〔無水マレイン酸
等〕、不飽和酸の塩〔ナトリウム、カリウム、アンモニ
ウム等〕、グリシジル基含有単量体〔アリルグリシジル
エーテル、グリシジルメタアクリレート等〕、スルホン
酸基含有単量体〔2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸、その塩類等〕、リン酸基含有単量体
〔アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート、アシ
ッドホスホオキシプロピルメタアクリレート等〕アルキ
ルビニルエーテル類等が挙げられるが、特にこれ等に限
定されるものではない。
【0016】本発明により得られるPVA の平均重合度及
びケン化度は、特に制限はなく、それぞれ200 〜4000及
び50モル%以上が一般的である。
【0017】本発明の方法により得られるPVA におい
て、ビニルアルコール単位とビニルエステル単位の合計
が占める割合は、所望により任意に選択出来るが、通常
50モル%以上である。
【0018】本発明の方法においてビニルエステルを重
合する方式に制限はなく、例えば溶液重合、塊状重合、
懸濁重合、乳化重合等いずれの方式も適用できる。
【0019】本発明の方法でビニルエステルの重合に用
いられる重合開始剤は、前記一般式(I)で示されるパ
ーオキシエステル系化合物であって、例えば、t−ブチ
ルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバ
レート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノネート、t
−ヘキシルパーオキシネオヘキサノネート、t−ブチル
パーオキシネオデカノネート、t−ヘキシルパーオキシ
ネオデカノネート等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。前記一般式(I)で示される化合物の
中でも、t−ヘキシルパーオキシネオデカノネート、t
−ブチルパーオキシネオデカネートあるいはこれらの併
用が好ましい。
【0020】本発明の方法においては、前記一般式
(I)で示されるパーオキシエステル系化合物の1種あ
るいは2種以上を組み合せて用いることが出来ることは
勿論、必要に応じて、それらにアゾ系、一般式(I)で
示されるパーオキシエステル系化合物以外の有機過酸化
物系あるいは無機過酸化物系等の重合開始剤を1種又は
2種以上併用することが可能である。2種以上の重合開
始剤を使用する場合、使用する重合開始剤の全量の少な
くとも50モル%が前記一般式(I)で示される化合物で
あることが、着色が少なく、熱安定性に優れ、加熱によ
り着色し難いPVA を得るために好ましい。
【0021】この一般式(I)で示される化合物は形
状、純分に制限なく、純品は勿論、分解防止のための微
量の安定剤を含有するもの、溶剤、重合に使用する単量
体、水等で溶解、希釈、あるいはエマルジョン化したも
の等いずれも使用でき、重合方式やその貯蔵、取り扱い
等に都合のよい形状、純分等が適宜選択される。
【0022】本発明の方法における重合開始剤の使用割
合は、主として、所望の重合速度、生産性等を考慮して
決めればよい。例えば、その使用割合が高いと、重合速
度が速く、単位時間に発生する重合熱の除去能力が不足
した場合、重合反応のコントロールが出来なくなる危険
な状態が発生しやすく、また使用割合が低いと重合速度
が遅く、単位時間に得られる重合体の量が少ない、即ち
安全性や生産性が低いという問題が発生することがある
ので、これらの問題のない範囲の適量を選択する。
【0023】しかしながら、その適量は、重合方式、単
量体類の重合性、重合媒体の種類、重合系における該媒
体と単量体類の比率、重合系への添加剤(連鎖移動剤、
分散剤、乳化剤等)の種類や量、重合温度等多くの要因
の組み合わせにより異なるので一概に決めることは出来
ないが、好ましくは使用する単量体に対して0.00001〜
0.05モル%である。
【0024】本発明において、必要に応じて使用される
重合媒体は、重合方式にもとずき適宜選択され、特に制
限はなく、例えば溶液重合ではアルコール類(メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等)、エステル類
(酢酸メチル、酢酸エチル等)あるいは有機溶剤混合物
が使用でき、また懸濁重合、乳化重合では、例えば分散
剤(PVA 、セルロース誘導体等)、乳化剤(PVA 、界面
活性剤等)、各種添加剤(連鎖移動剤、pH調節剤等)を
含む水等が使用できる。
【0025】本発明の方法における重合系には、必要に
応じて、連鎖移動剤を少量添加することが可能であり、
連鎖移動剤としては硫黄原子を含有する化合物(メルカ
プタン類、2−メルカプトエタノール、チオグリコール
酸アルキル等)、ハロゲン置換炭化水素(四臭化メタ
ン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等)、アルデヒド
化合物(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等)等が
例示される。本発明の方法でビニルエステルを重合する
に際し、重合開始剤、単量体類、重合媒体、各種添加剤
等の重合に使用する原料全ての種類及び量を含有する系
で重合反応を開始し、そのまま終了まで重合を継続する
ことは勿論、使用する原料の一部の種類及び/または量
を含有する系で重合を開始し、次いで重合途中の該重合
系へ原料の残りの量を供給して重合することも出来る。
更に重合開始後、重合系へ原料を供給する方法として
は、各原料を各々単独または混合して行なうことが可能
であり、各原料はその残りの量を重合開始後に連続した
り、1回又は2回以上に分割したりして供給することが
出来る。
【0026】本発明の方法によるビニルエステルの重合
に関しては、重合系への原料の供給は、時期、その時期
に対応する量的配分およびその方法などにより制限され
ることはない。
【0027】重合により得られるポリビニルエステル
は、例えばメタノール等の溶剤蒸気を接触させる方法、
減圧処理する方法等により残存する未反応単量体を除去
した後、ケン化することが好ましい。
【0028】ポリビニルエステルをケン化する方法は特
に制限はなく、例えばポリビニルエステルの溶液にケン
化触媒を添加混合する方法、ポリビニルエステルが分散
している系にケン化触媒を添加混合する方法等があり、
いずれの方法においても無水系あるいは含水系でケン化
することが出来る。ケン化触媒にはアルカリ類(苛性ソ
ーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコラート、炭酸ソーダ
等)、酸類(硫酸、燐酸、塩酸等)を用いることがで
き、ケン化系に添加するケン化触媒の量は、主として所
望するケン化反応速度、PVA のケン化度等によって任意
に選択することができ、通常ポリビニルエステルを構成
するビニルエステル単位1モルに対し該触媒1モル以下
で充分である。但し、ケン化反応を行なう系に含まれる
ポリビニルエステルがビニルエステル単位以外のケン化
触媒を消費する単位を有していたり、ケン化反応を行な
う系がポリビニルエステル以外の該触媒を消費する物質
を含有している場合には、該触媒がそれにより消費され
る量を上乗せした量のケン化触媒を添加することが好ま
しい。
【0029】ケン化触媒は、使用量の全量をケン化反応
開始時に添加してもよいし又使用量を2回以上に分割し
て添加してもよい。ポリビニルエステルがケン化されて
所望のケン化度に達したとき、ケン化系を中和して、ケ
ン化反応を停止することが可能である。
【0030】本発明におけるポリビニルエステルのケン
化反応は、ポリビニルエステルのアルコール溶液にケン
化触媒としてアルカリ類、中でも苛性ソーダを加えてケ
ン化する方法が、ケン化速度が速く生産性に優れている
点より好適である。
【0031】ケン化により得られるPVA は、必要に応じ
て後処理(中和、析出、洗浄、濾過等)を経て加熱、減
圧等の方法により乾燥されて粉粒状で得ることができる
が、乾燥せずに水溶液あるいは水と有機溶剤の混合液と
して得ることも出来る。
【0032】ビニルエステルとして酢酸ビニルを用いる
ときも、以上述べたビニルエステルの場合と同様にし
て、酢酸ビニルの重合に際し前記一般式(I)で示され
る化合物を重合開始剤として用いることにより着色が少
なく、熱安定性に優れ、加熱処理によって着色し難いPV
A を得ることが出来る。
【0033】本発明の方法は、製造の各工程が連続式あ
るいはバッチ式のいずれであっても適用可能であり、か
つ従来の製造装置、方法、操作等により実施することが
できる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。尚、以下、特にことわらない限り「g」
は重量グラムを、「%」は重量%を意味する。
【0035】実施例1 攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器中に、酢
酸ビニル1600g及びメタノール2400gを仕込み、その液
中に窒素ガスをバブリングした後、重合開始剤としてt
−ヘキシルパーオキシネオデカノネート(日本油脂社
製、商品名パーヘキシルND、無色透明液体)0.8g(酢酸
ビニルに対して0.000158モル%)を仕込み、窒素雰囲気
下、内温(液温)60℃で4.5時間溶液重合を行った。重
合停止時の重合反応により得られた溶液の固形分濃度は
28.4%であり、酢酸ビニルの重合率は71%であった。
【0036】得られた重合反応溶液中にメタノール蒸気
を吹き込んで未反応酢酸ビニルを除去した後、メタノー
ルにて希釈して濃度55%のポリ酢酸ビニルのメタノール
溶液を調整した。このメタノール溶液1200gに、濃度3
%の苛性ソーダのメタノール溶液250gを添加混合し、温
度40℃で1時間ケン化反応を行った。その後、酢酸にて
ケン化系を中和後、濾過して、熱風乾燥機中窒素気流下
105 ℃で80分間乾燥し、揮発分2.8%のPVA を得た。こ
のPVA のケン化度は97.1モル%、平均重合度は630 であ
った。
【0037】得られたPVA の白度を測定し、結果を表1
に示した。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 実施例1と同じ重合装置に、酢酸ビニル1600g、メタノ
ール2400gを仕込み、窒素ガスをバブリング後、t−ブ
チルパーオキシネオデカノネート(日本油脂社製、商品
名パーブチルND、無色透明液体)0.8g(酢酸ビニルに対
して0.000176モル%)を仕込み、窒素雰囲気下、内温
(液温)60℃で5.5時間重合した。重合停止時の重合反
応により得られた溶液の固形分濃度は28%であり、酢酸
ビニルの重合率は70%であった。
【0040】実施例1と同様に未反応酢酸ビニルを除去
した後、濃度55%のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を
調整した。このメタノール溶液1200gに、濃度3%の苛
性ソーダのメタノール溶液250gを添加混合し、温度40℃
で1時間ケン化反応を行った。得られたPVA は実施例1
と同様に処理した。このPVA のケン化度は97.0モル%、
平均重合度は640 、揮発分は3.4%であった。このPVA
の白度の測定結果を表1に示した。
【0041】比較例1 t−ヘキシルパーオキシネオデカノネートの代りに、重
合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル
1.6g(酢酸ビニルに対して0.000524モル%)を使用した
以外は実施例1と同様の操作を行った。酢酸ビニルの重
合率は70%、得られたPVA のケン化度は97.4モル%、平
均重合度は630 、揮発分は4.2%であった。実施例1と
同じくこのPVA の白度を測定し、結果を表1に示した。
【0042】比較例2 t−ヘキシルパーオキシネオデカノネートの代りに、重
合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカ
ーボネート(日本油脂社製、商品名パーロイルOPP 、無
色透明液体)1.6g(酢酸ビニルに対して0.000124モル
%)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
酢酸ビニルの重合率は70%、得られたPVAのケン化度は9
7.6モル%、平均重合度は650 、揮発分は3.8%であっ
た。実施例1と同じく白度を測定し、結果を表1に示し
た。
【0043】実施例3 実施例1と同じ重合装置に、酢酸ビニル2625g、メタノ
ール875gを仕込み、窒素ガスをバブリング後、t−ブチ
ルパーオキシネオデカノネート0.4g(酢酸ビニルに対し
て0.0000481 モル%)を仕込み、窒素雰囲気下、内温
(液温)60℃で3.5時間重合した。重合停止時の重合反
応により得られた溶液の固形分濃度は53.3%であり、酢
酸ビニルの重合率は71%であった。
【0044】実施例1と同様に未反応酢酸ビニルを除去
した後、濃度35.5%のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液
を調整した。このメタノール溶液1200gに、濃度3%の
苛性ソーダのメタノール溶液125gを添加し、温度40℃で
1時間ケン化反応を行った。得られたPVA は実施例1と
同様に処理した。このPVA のケン化度は98.0モル%、平
均重合度は1780、揮発分は3.5%であった。このPVA の
白度の測定結果を表1に示した。
【0045】実施例4 実施例1と同じ重合装置に、酢酸ビニル2625g、メタノ
ール875gを仕込み、窒素ガスをバブリング後、t−ブチ
ルパーオキシネオデカノネート0.4g(酢酸ビニルに対し
て0.0000537 モル%)を仕込み、窒素雰囲気下、内温
(液温)60℃で3.5時間重合した。重合停止時の重合に
より得られた溶液の固形分濃度は53.6%であり、酢酸ビ
ニルの重合率は71.5%であった。
【0046】実施例1と同様に未反応酢酸ビニルを除去
した後、濃度35.5%のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液
を調整した。このメタノール溶液1200gに、濃度3%の
苛性ソーダのメタノール溶液125gを添加し、温度40℃で
1時間ケン化反応を行った。得られたPVA は実施例1と
同様に処理した。このPVA のケン化度は98.4モル%、平
均重合度は1710、揮発分は5.0%であった。このPVA の
白度の測定結果を表1に示した。
【0047】比較例3 t−ヘキシルパーオキシネオデカノネートの代りに、重
合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル
0.26g(酢酸ビニルに対して0.0000519 モル%)を使用
した以外は実施例1と同様の操作を行った。酢酸ビニル
の重合率は70%、得られたPVA のケン化度は98.2モル
%、平均重合度は1700、揮発分は4.4 %であった。実施
例1と同じく白度を測定し、結果を表1に示した。
【0048】比較例4 t−ヘキシルパーオキシネオデカノネートの代りに、重
合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカ
ーボネート0.53g(酢酸ビニルに対して0.0000479 モル
%)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
酢酸ビニルの重合率は75.5%、得られたPVA のケン化度
は98.1モル%、平均重合度は1550、揮発分は3.9%であ
った。実施例1と同じくこのPVA の白度を測定し、結果
を表1に示した。
【0049】実施例5 攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた反応容器中で攪拌
下のイオン交換水2100gに、懸濁分散剤として重合度17
50、ケン化度88.2モル%のPVA (電気化学工業社製B−
17)18g、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシネ
オデカネート0.45g(酢酸ビニルに対して0.00165 モル
%)を添加し、上記のPVA を溶解しながら液温を40℃ま
で昇温した。攪拌下のこの系に酢酸ビニル1500gを添加
後60℃まで昇温して、5時間懸濁重合を行った。その後
攪拌を継続したまま、密閉した反応容器内を2時間絶対
圧200mmHg まで減圧し、未反応酢酸ビニルを除去した。
酢酸ビニルの重合率は67%であった。得られた小粒状の
ポリ酢酸ビニルは濾過して、熱風乾燥機中窒素気流下11
0 ℃で2時間乾燥した。得られたポリ酢酸ビニルの揮発
分は1.5%であった。
【0050】このポリ酢酸ビニル600gをメタノール3400
gに溶解し、濃度15%のポリ酢酸ビニルのメタノール溶
液を調整した。このメタノール溶液2000gに、濃度10%
の苛性ソーダのメタノール溶液15gを添加して温度30℃
で3時間ケン化反応を行った。酢酸にてケン化系を中和
後、濾過して、熱風乾燥機中窒素気流下100 ℃で2時間
乾燥し、得られたPVA のケン化度は99.2モル%、平均重
合度は2470、揮発分は2.0 %であった。得られたPVA の
白度を測定し、結果を表1に示した。
【0051】比較例5 t−ヘキシルパーオキシネオデカネートの代りに重合開
始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.75
gを使用した以外は実施例5と同様の操作を行った。酢
酸ビニルの重合率は70%、得られたPVA のケン化度は9
9.1モル%、平均重合度は2430、揮発分は2.3 %であっ
た。得られたPVA の白度を測定し、結果を表1に示し
た。
【0052】実施例6 攪拌下に、酢酸ビニル1200g、メタノール260g、無水マ
レイン酸3.6g、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート
2gを重合缶に仕込み、内温(液温)60℃で重合を開始
した。重合開始から6時間かけて約60℃の重合系に、酢
酸ビニル400g、メタノール400g及び無水マレイン酸32.8
gよりなる混合溶液を連続的に添加し、更に重合を2時
間継続した。重合停止時の重合率は47%であった。
【0053】実施例1と同様に未反応酢酸ビニルを除去
した後、濃度35.5%のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液
を調整した。このメタノール溶液400gに、濃度3%の苛
性ソーダのメタノール溶液42gを添加し、温度40℃で1
時間ケン化反応を行った。得られた変性PVA は実施例1
と同様に処理した。得られた変性PVA は、平均重合度14
10、ケン化度91.4モル%、揮発分3.5%であった。得ら
れた変性PVA の白度を測定し、結果を表1に示した。
【0054】比較例6 t−ヘキシルパーオキシネオデカネートの代りに重合開
始剤として2,2′アゾビスイソブチロニトリル2gを
使用した以外は実施例6と同様の操作を行った。酢酸ビ
ニルの重合率は46%、得られた変性PVA の平均重合度は
1430、ケン化度91.8モル%、揮発分は3.2 %であった。
得られた変性PVA の白度を測定し、結果を表1に示し
た。
【0055】実施例7 実施例1と同じ重合装置に、酢酸ビニル1600g、メタノ
ール2400gを仕込み、窒素ガスをバブリング後、t−ヘ
キシルパーオキシネオデカノネート0.4g(酢酸ビニル
に対して0.000079モル%)及びt−ブチルパーオ
キシネオデカネート0.4g(酢酸ビニルに対して0.00
00881モル%)を仕込み、窒素ガス雰囲気下、内温
(液温)60℃で4.5時間重合した。重合停止時の重合体
溶液の固形分濃度は53.3%であり、酢酸ビニルの重合率
は71%であった。実施例1と同様に未反応酢酸ビニルを
除去した後、濃度35.5%のポリ酸ビニルのメタノール溶
液を調整した。このメタノール溶液1200gに、濃度3%
の苛性ソーダのメタノール溶液250gを添加し、温度40℃
で1時間ケン化反応を行った。得られたPVA は実施例1
と同様に処理した。PVA のケン化度は97.8モル%、重合
度は630 、揮発分は3.1%であった。白度の測定結果を
表1に示した。
【0056】比較例7 比較例1で得られた乾燥前のPVA100g(揮発分55%含
有)を攪拌下に、濃度1%の硫酸のメタノール溶液4g
を噴霧し、その後窒素気流下、100 ℃で2時間乾燥し
た。得られたPVA の揮発分は2.5%であった。このPVA
の白度の測定結果を表1に示した。
【0057】以上の実施例1〜7及び比較例1〜7で得
られたPVA それぞれにつき後記の方法による着色度を測
定し、結果を表1に併記した。
【0058】〔測定方法〕 (1) 白度 白度(W値)の測定は、各実施例及び比較例で得られた
PVA それぞれの60メッシュパス品について、日本電色工
業製測色色差計Z-Σ80を用いJIS K 7103に準じて行っ
た。白度は数値の大きいほうが着色の少ないことを示
す。 (2) 着色度 着色度(ΔN値)の測定は、各実施例及び比較例で得ら
れたPVA それぞれの60メッシュパス品を熱風乾燥機中で
加熱処理(150 ℃で2時間)し、そのPVA について、日
本電色工業製測色色差計Z-Σ80を用いJIS K 7103に準じ
て行った。着色度は数値の小さいほうが着色の少ないこ
とを示す。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、製造装置や品質に悪影
響を与えることなく、着色が少なく、熱安定性に優れ、
加熱により着色し難いPVA を得ることができる。本発明
によって得られるPVA を、ビニロン繊維、フィルム、成
形品、接着剤等の原料用をはじめとして、繊維加工剤、
紙加工剤、乳化分散剤などの用途に用いることにより、
得られる製品の付加価値を高めることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) で示されるパーオキシ
    エステル系化合物を重合開始剤としてビニルエステルを
    重合して得られるビニルエステル系樹脂をケン化するこ
    とを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂の製造法。
    一般式(I) 【化1】 〔式中R1、R2、R3、R4、R5及びR6はいずれも水素原子又
    は炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
  2. 【請求項2】 ビニルエステルが酢酸ビニルである請求
    項1記載のポリビニルアルコール系樹脂の製造法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表されるパーオキシエス
    テル系化合物がt−ヘキシルパーオキシネオデカノネー
    ト及び/またはt−ブチルパーオキシネオデカノネート
    である請求項1記載のポリビニルアルコール系樹脂の製
    造法。
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