JP2008127345A - ジホスフィンコア型両親媒性デンドリマー、その製造方法、二座ホスフィン配位子及びその配位構造を有する含パラジウム錯体化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
〈1〉 一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマーであることを特徴とするジホスフィンコア型両親媒性デンドリマー。
〈2〉 一般式(III)
で表される基である]
で表されるジホスフィンオキシドコア型デンドリマーを、溶媒中で還元することを特徴とする一般式(V)
で表されるジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーの製造方法。
〈3〉 一般式(VI)
で表される基である]
で表されるジホスフィンコア型デンドリマーを、塩基を用いて加水分解した後酸と反応させ、場合によりさらに水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと反応させることを特徴とする一般式(VIII)
で表される基である]
で表されるジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーの製造方法。
〈4〉 前記〈1〉記載のジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーからなる二座ホスフィン配位子。
〈5〉 前記〈4〉記載の二座ホスフィン配位子を含む配位構造を有する一般式(X)
で表される基、L1はハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イオン又は酢酸イオンを示す]
又は一般式(XI)
で表される基、L2及びL3はそれぞれ異なって、ハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン又はアリルアニオンを示す]
で表される両親媒性デンドリマー固定型パラジウム(II)ジホスフィン錯体。
〈6〉上記〈5〉に記載の含パラジウム錯体化合物の中から選ばれた少なくとも1種からなる水中での炭素−炭素結合生成反応用触媒。
で表される基である]
(1)Uは2価炭化水素基または1,1′−フェロセニレン基を示す。2価炭化水素基には、直鎖2価脂肪族基や2価芳香族基が包含される。直鎖2価脂肪族基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基)が挙げられる。
2価芳香族基としては、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基及び2,3−ナフチレン基、(1,1′−ビナフタレン)2,2′−ジイル基が挙げられる。
(2)R1、R2、R3及びR4は2価炭化水素基を示すが、この基には、2価脂肪族基や2価芳香族基が包含される。2価脂肪族基には鎖状及び環状のものが包含される。2価芳香族基にはアリーレン基及びアラルキレン基が包含される。
2価脂肪族基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等)や、炭素数3〜8、好ましくは5〜6のシクロアルキレン基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等)が挙げられる。
2価芳香族基としては、炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)や、炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキレン基、例えば一般式(XII)で表される基等が挙げられる。
−(R6)y−Ar−(R7)z− (XII)
(式中、Arはアリーレン基を示し、R6及びR7は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキレン基を示し、y及びzは1又は0で、これらのいずれか一方は1である)
(3)Y及びZはO、S、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO2−)、アミド基[−NRCO−、−CONR−(Rは水素原子又はアルキル基)]又はカルボニル基(−CO−)を示すが、好ましくはO、S又はスルホニル基(−SO2−)である。
(4)p、q、r、s及びtはそれぞれ0又は1を示すが、好ましくはp、q及びrが1でs及びtは0、あるいはpが1でq、r、s及びtは0である。
(5)mは0以上の整数で好ましくは0〜50である。Xは水素原子、カルボキシル基(CO2H)、リチウムカルボキシレート基(CO2Li)、ナトリウムカルボキシレート基(CO2Na)又はカリウムカルボキシレート基(CO2K)を示す。但しmが0の場合、Xは水素原子以外の上記官能基に限定される。mが1以上の場合、Xは水素原子が好ましい。
(6)繰り返し構造の世代数nは1以上の整数を示すが、好ましくは1〜6である。
(7)d、e及びfのうち、少なくとも2つが1、残りは0を示す。
符号Gで表される基の一例として、d、e及びfのうち、いずれか2つが1でn=3の場合について示すと次のとおりである。
−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(CH2CH2O)m−R4−X]2]2]2
この繰り返し構造として好ましくは、化16中の各符号について、d、f及びpが1、e、q、r、s及びtが0、R1がアルキレン基であるものが挙げられる。
i)一般式(II)においてXが水素原子であるものについては、一般式(III)
で表される基である]
で表されるジホスフィンオキシドコア型デンドリマーを、溶媒中で還元することにより製造することができる。
還元操作は、好ましくはトリエチルアミン等の三級アミン存在下トリクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、クロロジフェニルシランやジクロロフェニルシランを還元剤に用い、また反応条件については、反応温度は、通常室温〜150℃の範囲で選ばれ、また反応時間は、反応温度や使用する溶媒等のその他の条件により異なり、一概に定めることはできないが、好ましくは6〜72時間程度である。また溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルやトルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素が好ましい。
で表される基である]
で表されるジホスフィンコア型デンドリマーを、溶媒中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の塩基を用いて加水分解した後、酸、例えば塩酸または硫酸で処理しカルボキシル基体を得、場合によりさらに塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと中和反応させることにより製造することができる。
本ジホスフィンコア型デンドリマーを二座ホスフィン配位子として、含パラジウム錯体化合物(触媒)を調製する場合、この調製の直前に中和反応を行うのが好ましい。
加水分解操作の溶媒としては、これらの塩基化合物を溶解させる、メタノールやエタノール等のアルコールやジオキサン、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合溶媒や、これらと水との混合溶媒が好ましい。酸処理も同様である。塩基との中和反応はこれらの溶媒のみならず、水のみでもよい。
加水分解操作は、通常室温〜100℃の温度で行われる。酸処理や中和反応は、通常室温で行われる。
加水分解操作の反応温度は使用する溶媒等のその他の条件により異なり、一概に定めることはできないが、好ましくは2〜12時間程度である。酸処理や中和反応は、多くの場合反応速度は速く、1分以内程度である。
この場合、原料となる一般式(VI)で表されるジホスフィンコア型デンドリマーは、対応するジホスフィンオキシドコア型デンドリマーを、前記i)の場合と同様に還元することにより製造される。
で表される基である]
で表される、ジホスフィンオキシドコア型両親媒性デンドリマーは、一般式(XVI)
で表される含水酸基ホスフィンオキシドと、一般式(XVII)
で表される含ハロゲンデンドロンを、溶媒中で塩基存在下、加熱することにより製造することができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
加熱温度は、通常室温から150℃の範囲で選ばれるが、50℃から100℃が好ましい。また、反応中、反応液は攪拌するのがよい。
脱酸素雰囲気下、前記配位子としてのジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーと一般式(XVIII)又は(XIX)
Pd(L1)2 (XVIII)
PdL2L3 (XIX)
(式中L1、L2、及びL3は、ハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、アリルアニオンC3H5 −を示し、またL2及びL3はそれぞれ異なる。但しアリルアニオンはL2又はL3に適用される)
の組成で表されるパラジウム(II)化合物とを溶媒中でそれぞれ反応させ、一般式(X)
や一般式(XI)
で表される、デンドリマーコア部のジホスフィン骨格を二座配位子とする両親媒性デンドリマー固定型パラジウム(II)ジホスフィン錯体を製造することができる。
また反応は、格別加熱することなく、室温程度で進行させることができるが、加熱により促進させるようにしてもよい。また、反応中、反応液は攪拌するのがよい。
反応終了後、溶媒の減圧留去により反応生成物が得られ、その1H−NMR及び31P−NMRの測定より目的物の生成が確認される。
前記触媒としてのパラジウム(II)ジホスフィン錯体の存在下に、一般式
で表されるホウ酸誘導体と、一般式
で表される有機化合物を、水中で反応させ、一般式
で表されるカップリング化合物を製造することができる。
また反応は、室温程度で進行させることもできるが、加熱により反応を促進させるのが好ましい。反応中、反応液は攪拌するのがよい。
反応終了後反応液を抽出し、分離精製、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー等でのそれにより目的物質を得ることができる。
なお、実施例において、脱酸素無水キシレン溶液、脱酸素無水ベンゼン溶液、脱酸素水溶液等における脱酸素溶媒は、アルゴンで脱気させて調製されたものである。
このようにして得られた反応溶液を、0℃にて炭酸水素ナトリウム435mgの脱酸素水(2ml)とジクロロメタン(30ml)の混合溶液に加え攪拌した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いでセライトろ過し、ろ液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製した(無色油状、収量170mg、収率86.7%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,C6D6)δ/ppm 7.36(dt,8H,J=8.5,3.0Hz),6.83(d,8H,J=8.5Hz),6.64(bs,8H),6.54(s,4H),4.68(s,8H),3.78(t,16H,J=4.9Hz),3.52(t,16H,J=4.9Hz),3.48−3.40(m,48H),3.33(t,16H,J=4.9Hz),3.11(s,24H),2.27(t,4H,J=3.8Hz)
31P−NMR(202MHz,C6D6)δ/ppm −16.0
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
反応後、反応液を減圧下で溶媒留去し、得られた油状物質を1mol/l塩酸(24ml)に滴下して目的生成物を沈降させ、これを濾別し55℃で12時間真空乾燥した(白色粉体、934mg、収率93.0%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,DMF−d7)δ/ppm 13.34(bs,8H),8.08(d,16H,J=8.2Hz),7.65(d,16H,J=8.2Hz),7.38(dt,8H,J=8.4,3.4Hz),7.08(d,8H,J=8.4Hz),6.87(d,8H,J=2.1Hz),6.78(t,4H,J=2.1Hz),5.27(s,16H),5.12(s,8H),2.08(bs,4H)
31P−NMR(202MHz,DMF−d7)δ/ppm −16.74
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
反応後、反応液を減圧下で溶媒留去し、得られた油状物質を1mol/l塩酸(48ml)に滴下して目的生成物を沈降させ、これを濾別し55℃で12時間真空乾燥した(白色粉体、1.62g、収率72.3%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,DMF−d7)δ/ppm 13.34(bs,16H),8.06(d,32H,J=8.2Hz),7.63(d,32H,J=8.2Hz),7.34(dt,8H,J=8.5,3.4Hz),7.06(d,8H,J=8.5Hz),6.85(d,16H、J=1.8Hz),6.82(d,8H,J=1.5Hz),6.76(bs,8H),6.72(bs,4H),5.25(s,32H),5.11(s,24H),2.05(bs,4H)
31P−NMR(202MHz,DMF−d7)δ/ppm −19.0
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
このようにして得られた溶液を減圧下で溶媒留去し、50℃で4日間真空乾燥し、目的生成物40.9mgを得た。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,DMF−d7)δ/ppm 13.35(s,16H),8.08(d,32H,J=8.2Hz),7.73(t,8H,J=8.2Hz),7.64(d,32H,J=8.2Hz),7.21(d,8H,J=8.2Hz),6.90−6.75(m,36H),6.04(quin,1H,J=10.5Hz),5.27(s,32H),5.18(s,8H),5.14(s,16H),4.37(bs,2H)3.62(d,1H,J=6.7Hz),2.79(bs,4H),2.64(d,1H,J=11.9Hz))
31P−NMR(202MHz,DMF−d7)δ/ppm 50.1
これらの分析結果より、この生成物は式(XX)
反応終了後、反応液をジエチルエーテルで4回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=40:1)で分離精製して以下の構造式
Claims (6)
- 一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマーであることを特徴とするジホスフィンコア型両親媒性デンドリマー。
- 一般式(III)
で表される基である]
で表されるジホスフィンオキシドコア型デンドリマーを、溶媒中で還元することを特徴とする一般式(V)
で表されるジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーの製造方法。
- 一般式(VI)
で表される基である]
で表されるジホスフィンコア型デンドリマーを、溶媒中で塩基を用いて加水分解した後酸と反応させ、場合によりさらに水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと反応させることを特徴とする一般式(VIII)
で表される基である]
で表されるジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーの製造方法。
- 請求項1記載のジホスフィンコア型両親媒性デンドリマーからなる二座ホスフィン配位子。
- 請求項4記載の二座ホスフィン配位子を含む配位構造を有する一般式(X)
で表される基、L1はハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イオン又は酢酸イオンを示す]
又は一般式(XI)
で表される基、L2及びL3はそれぞれ異なって、ハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン又はアリルアニオンを示す]
で表される両親媒性デンドリマー固定型パラジウム(II)ジホスフィン錯体。
- 請求項5に記載の含パラジウム錯体化合物の中から選ばれた少なくとも1種からなる水中での炭素−炭素結合生成反応用触媒。
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JP2006315467A JP5008063B2 (ja) | 2006-11-22 | 2006-11-22 | ジホスフィンコア型両親媒性デンドリマー、その製造方法、二座ホスフィン配位子及びその配位構造を有する含パラジウム錯体化合物 |
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