JP4742357B2 - 2,2’−ビピリジン内包型デンドリマー、その製造方法、2,2’−ビピリジン型二座配位子及びその配位構造を有するルイス酸触媒 - Google Patents
2,2’−ビピリジン内包型デンドリマー、その製造方法、2,2’−ビピリジン型二座配位子及びその配位構造を有するルイス酸触媒 Download PDFInfo
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- 0 *c1cc(*)cc(COc2cc(C3NC=CC(OCc4cc(*)cc(*)c4)=C3)ncc2)c1 Chemical compound *c1cc(*)cc(COc2cc(C3NC=CC(OCc4cc(*)cc(*)c4)=C3)ncc2)c1 0.000 description 1
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例えば二座配位子として有効な2,2’−ビピリジン骨格をコア部に有するデンドリマーは既に報告されているが、これらは何れもデンドリマーの世代数は小さく、またその触媒としての利用はこれまで報告されていない(非特許文献9、10参照)。
(1)一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマーであることを特徴とする2,2’−ビピリジン内包型デンドリマー。
(2)一般式(III)
で表されるハロ置換デンドロンと、一般式(IV)
で表される基である]
で表される2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーの製造方法。
(3)一般式(V)
で表される水酸基置換デンドロンと、一般式(IV)
で表される基である]
で表される2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーの製造方法。
(4)前記(1)記載の2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーのうち、Xがアルコキシ基またはアルコキシカルボニル基で置換された、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基である2,2’−ビピリジン型二座配位子。
(5)前記(4)記載の2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーを二座配位子とする配位構造を有する一般式(VI)
で表される基である]
で表される含銅ルイス酸触媒。
なお、本発明において、一般式(I)、一般式(IV)及び一般式(VI)における各置換基、すなわちOG、OH及びOG´は、ビピリジン環の3,4,5,6位のいずれかと3',4',5',6'位のいずれかとに置換される。
で表される基である]
(1)R1、R2及びR3は2価炭化水素基を示すが、この基には、2価脂肪族基や2価芳香族基が包含される。2価脂肪族基には鎖状及び環状のものが包含される。2価芳香族基にはアリーレン基及びアラルキレン基が包含される。
2価脂肪族基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基等)や、炭素数3〜8、好ましくは5〜6のシクロアルキレン基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等)が挙げられる。
2価芳香族基としては、炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)や、炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキレン基、例えば一般式(VIII)で表される基等が挙げられる。
−(R4)u−Ar−(R5)v− (VIII)
(式中、Arはアリーレン基を示し、R4及びR5は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキレン基を示し、u及びvは1又は0で、これらのいずれか一方は1である。)
(2)Xは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基であって、炭化水素基には、脂肪族基や芳香族基が包含される。脂肪族基には鎖状及び環状のものが包含される。芳香族基にはアリール基及びアラルキル基が包含される。
脂肪族基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等)や、炭素数3〜8、好ましくは5〜6のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)が挙げられる。
芳香族基としては、炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)や、炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基、例えば一般式(IX)で表される基等が挙げられる。
−(R6)w−Ar’−(R7)x−H (IX)
(式中、Ar’はアリーレン基を示し、R6は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキレン基、R7は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキレン基を示し、w及びxは1又は0で、かつこれらのいずれか一方は1を示す。)
また、炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としては、2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーの製造における反応に不活性な置換基、例えばアルコキシ基、アルコキシカルボニル基等や、このような置換基から容易に変換される官能基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、ナトリウムカルボキシレート、カリウムカルボキシレート等が挙げられる。アルコキシ基には一般式(X)で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基も含まれる。
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキル基を示し、mは1以上の整数で、好ましくは1〜50である。)
(3)Y及びZはO、S、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO2−)、エステル基(−OCO−、−CO2−)、アミド基[−NRCO−、−CONR−(Rは水素原子又はアルキル基)]又はカルボニル基(−CO−)を示すが、好ましくはO、S又はスルホニル基(−SO2−)である。
(4)p、q、r、s及びtはそれぞれ0又は1を示すが、好ましくはp、q及びrが1でs及びtは0、あるいはpが1でq、r、s及びtは0である。
(5)繰り返し構造の世代数nは1以上の整数を示すが、好ましくは2〜9である。
(6)d、e及びfのうち、少なくとも2つが1、残りは0を示す。
符号Gで表わされる基の一例として、d、e及びfのうち、いずれか2つが1でn=3の場合について示すと次のとおりである。
−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−(O−X)2]2]2
この繰り返し構造として好ましくは、化15中の各符号について、d、f及びpが1、e、q、r、s及びtが0、R1がアルキレン基であるものが挙げられる。
先ず、製法Aは、一般式(III)
で表されるハロ置換デンドロンと、一般式(IV)
この製法では、塩基と水酸基置換2,2’−ビピリジンとの反応により生成したフェノラートアニオンの、ハロ置換デンドロンにおける、ハロゲン原子に隣接する炭素原子上での求核置換反応が進行するため、2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーが製造される。
反応溶媒としてはハロ置換デンドロンを溶解でき、また水酸基置換2,2’−ビピリジン及び塩基を程よく溶解できるものであり、かつ反応に関与しないものが用いられる。具体的にはアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等が好ましく、これらの溶媒は単独または混合溶媒の形で使用される。その中でも好ましい反応溶媒としては、アセトンやテトラヒドロフランやこれらの混合溶媒が挙げられる。
この溶媒を用いてハロ置換デンドロンと水酸基置換2,2’−ビピリジンとの反応を行うに際しては、好ましくは、窒素雰囲気下、ハロ置換デンドロンと水酸基置換2,2’−ビピリジンとを溶媒に添加して得られる懸濁液に塩基を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
また、ハロ置換デンドロンと水酸基置換2,2’−ビピリジンとの使用割合については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、水酸基置換2,2’−ビピリジン中に含まれる水酸基1モルあたり1〜3モル、好ましくは1〜1.3モルの範囲のハロ置換デンドロンが用いられる。
本反応により、一段階で目的とする2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーを製造することができる。
で表される水酸基置換デンドロンと、一般式(IV)
反応溶媒としては水酸基置換デンドロン及び脱水縮合剤を溶解でき、また水酸基置換2,2’−ビピリジンを程よく溶解できるものであり、かつ反応に関与しないものが用いられる。具体的にはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン等の炭化水素、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等が好ましく、これらの溶媒は単独または混合溶媒の形で使用される。その中でも好ましい反応溶媒としては、テトラヒドロフランが挙げられる。
この溶媒を用いて水酸基置換デンドロンと水酸基置換2,2’−ビピリジンとの反応を行うに際しては、好ましくは、窒素雰囲気下、水酸基置換2,2’−ビピリジンと水酸基置換デンドロンを溶媒に溶解もしくは懸濁させた溶液や懸濁液に、脱水縮合剤を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
また、水酸基置換デンドロンと水酸基置換2,2’−ビピリジンとの使用割合については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、水酸基置換2,2’−ビピリジン中に含まれる水酸基1モルあたり1〜3モル、好ましくは1〜1.3モルの範囲の水酸基置換デンドロンが用いられる。
本反応により、一段階で目的とする2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーを製造することができる。
窒素雰囲気下、前記二座配位子としての2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーとトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)[以下、銅(II)トリフラートともいう]とを、溶媒中で反応させ、一般式(VI)
で表される基である]
で表される、デンドリマーコア部の2,2’−ビピリジン骨格を二座配位子とするデンドリマー固定化銅(II)トリフラートを製造することができる。
また、反応は、格別加熱することなく、室温程度で進行させることができるが、加熱により促進させるようにしてもよい。また反応中、反応液は攪拌するのがよい。
反応終了後、溶媒の減圧留去により反応生成物が得られ、その1H−NMR測定より目的物の生成が確認され、この結果は、前記2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーは、新規な二座配位子であることを示す。
前記触媒としてのデンドリマー固定化銅(II)トリフラートの存在下に、一般式
で表されるケトン又はアルデヒドと、一般式
(R11)4Sn
(式中、R11は炭化水素基である)
で表されるスズ化合物を、溶媒中で反応させ、一般式
で表されるアルコールを製造することができる。
上記炭化水素基は特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
また、反応は、格別加熱することなく、室温程度で進行させることができるが、加熱により促進させるようにしてもよい。反応中、反応液は攪拌するのがよい。
反応終了後、反応液を減圧留去し、カラムクロマトグラフィーによる分離精製により目的物質を得ることができる。
反応後、反応液をセライト濾過し、次いで濾液を減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=95:4:1)で精製した(淡黄色固体、収量836.1mg、収率95.2%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ/ppm 8.45(d,2H,J=5.6Hz),8.06(d,2H,J=2.6Hz),8.03(d,16H,J=8.3Hz),7.46(d,16H,J=8.3Hz),6.87(dd,2H,J=5.6,2.6Hz),6.67(brs,12H),6.53(brs,6H),5.13(s,4H),5.08(s,16H),4.98(s,8H),3.90(s,24H)
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
反応後、反応液をセライト濾過し、次いで濾液を減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=95:4:1)で精製した(淡黄色固体、収量951.7mg、収率91.9%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ/ppm 8.47(d,2H,J=5.6Hz),8.06(d,2H,J=2.7Hz),6.88(dd,2H,J=5.6,2.7Hz),6.69(d,4H,J=2.2Hz),6.59−6.57(m,10H),6.41(t,4H,J=2.2Hz),5.15(s,4H),4.99(s,8H),3.79(s,24H)
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
反応後、反応液を減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=95:4:1)で精製した(淡黄色オイル状、収量236.1mg、収率52.6%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ/ppm 8.48(d,2H,J=5.6Hz),8.06(d,2H,J=2.5Hz),6.89(dd,2H,J=5.6,2.5Hz)6.61(d,4H,J=2.3Hz),6.47(t,2H,J=2.3Hz),5.14(s,4H),4.12(t,8H,J=4.8Hz),3.85(t,8H,J=4.9Hz),3.75−3.73(m,8H),3.70−3.65(m,16H),3.55(dd,8H,J=5.8,3.7Hz),3.38(s,12H)
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
反応終了後、反応液を減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で分離、精製して式(XIII)
Claims (5)
- 一般式(I)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基、アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、pは1、q、r、s及びtはそれぞれ0、nは2又は3の整数、d、e及びfのうち少なくとも2つが1、残りは0を示す)
で表される基である]
で表されるデンドリマーであることを特徴とする2,2’−ビピリジン内包型デンドリマ
ー。 - 一般式(III)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基、アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、Tはハロゲン原子、pは1、q、r、s及びtはそれぞれ0、nは2又は3の整数、d、e及びfのうち少なくとも2つが1、残りは0を示す)
で表されるハロ置換デンドロンと、一般式(IV)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基、アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、pは1、q、r、s及びtはそれぞれ0、nは2又は3の整数、d、e及びfのうち少なくとも2つが1、残りは0を示す)
で表される基である]
で表される2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーの製造方法。 - 一般式(V)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基、アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、pは1、q、r、s及びtはそれぞれ0、nは2又は3の整数、d、e及びfのうち少なくとも2つが1、残りは0を示す)
で表される水酸基置換デンドロンと、一般式(IV)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基、アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、pは1、q、r、s及びtはそれぞれ0、nは2又は3の整数、d、e及びfのうち少なくとも2つが1、残りは0を示す)
で表される基である]
で表される2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーの製造方法。 - 請求項1記載の2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーのうち、Xが一般式(X)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基またはアルコキシカルボニル基で置換された、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基である2,2’−ビピリジン型二座配位子。 - 請求項4記載の2,2’−ビピリジン内包型デンドリマーを二座配位子とする配位構造を有する一般式(VI)
R8−(OCH2CH2)m−O− (X)
(式中、R8は炭素数1〜3の低級アルキル基を示し、mは1〜50である。)
で表されるポリエチレングリコール鎖に相当するアルコキシ基またはアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、pは1、q、r、s及びtはそれぞれ0、nは2又は3の整数、d、e及びfのうち少なくとも2つが1、残りは0を示す)
で表される基である]
で表される含銅ルイス酸触媒。
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