JP4306317B2 - 液晶配向膜形成用ワニス、液晶配向膜および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向膜を形成させるための組成物に関する。そして、この組成物から得られる液晶配向膜およびこの配向膜を含む液晶表示素子に関する。この組成物は、シルセスキオキサン骨格を有するジアミンを原料として用いて得られるポリマーを含有することを特徴とする。なお、「シルセスキオキサン」は、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している化合物を示す類名であるが、本発明においてはシルセスキオキサン構造およびその一部が変形したシルセスキオキサン類似構造の総称として、「シルセスキオキサン骨格」を用いる。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
液晶表示素子としては、ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、90°ツイストしたTN型液晶表示素子、通常180°以上ツイストしたSTN型液晶表示素子、薄膜トランジスターを使用したいわゆるTFT型液晶表示素子、更に昨今では、視覚特性を改良した横電界方式のイン・プレイン・スイッチング(InPlane Switching、以下、IPSで示す。)型液晶表示素子、垂直配向状態を利用したバーティカル・アラインメント(Vertical Alignment、以下、VAで示す。)型液晶表示素子、または応答速度が極めて速く、視野角も比較的広いことを特徴とするオプティカリ・コンペンセイティド・バイリフリンジェンス(Optically Compensate Birefringence、以下、OCBで示す。)型液晶表示素子が提案されている。
【0004】
これらの液晶表示素子においては、液晶分子の長軸方向を均一に配向させることが重要である。液晶分子を均一に配向させる工業的に代表的な方法としては、次のようなラビング方法が知られている。即ち、基板表面に有機被膜からなる配向膜を設け、その表面を綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一定方向にラビングし、そのラビング方向に液晶分子を配向させる方法である。このラビング方法は、安定した均一配向が比較的容易に得られ、また生産性にも優れているため工業的に主流となっている。配向膜の材料として、例えばポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリマーが知られている。そして、工業的な量産に耐え得る安定性と耐久性の観点から、化学的安定性および熱的安定性に優れているポリイミドが液晶配向膜形成用ワニスのポリマーとして最も多く用いられている。
【0005】
配向膜をラビングする配向処理方法は、簡便で生産性に優れているため、工業的に有用な方法である。しかしながら、液晶表示素子が各分野で使用されるに従って、液晶表示素子の高性能化が促進され、これに伴って様々な問題が指摘されるようになった。例えば、ラビングにより生じた配向膜表面の傷が配向欠陥として見えてしまうこと、ラビングによって配向膜が削り取られ、その削りカスなどが表示欠陥になるといった問題などがある。このようなラビングによる欠陥は、近年の大画面化に伴い、画面中にひとつでも欠陥が存在すると不良となってしまうなど、歩留まり低下に対する非常に大きな要因の一つとなっており、従来以上に厳しい耐ラビング性が要求されている。さらに近年、製造コストなどを下げるため、または軽量化のため、従来のガラス基板の替わりにプラスティックフィルムを用いて液晶配向膜形成用ワニスを200℃未満の低温で焼成する試みが行われている(特許文献1、特許文献2などを参照)。しかし、特にポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を基板上に塗布し低温で焼成した場合、ポリアミック酸の脱水閉環(イミド化)が十分に進行せず、ポリイミドの機械的強度不足による配向膜の傷等の問題がさらに深刻となっている。
【0006】
ラビング方法に関わる配向膜の問題点の例は、機械的強度が不足しているためラビングによる摩擦に対応できないこと、およびガラス基板等との密着性が不足しているため剥離してしまうことである。これらの問題点は、配向膜が炭素原子を多く含む従来の有機系ポリマーを主成分とするためと考えられる。そして、これらが改善された配向膜の開発が望まれている。機械的強度の不足については、配向膜の分子構造を変えることによってある程度の改良が可能である。しかしながら、構造を変えることにより配向膜の電気的な特性や、液晶のプレチルト角も変動してしまう傾向があるため、改良するには非常に困難を伴っていた。また、ガラス基板との密着性についてはシランカップリング剤を用いることである程度の改良は可能である。しかし、シランカップリング剤は加水分解されやすく、配向膜形成用ワニスとしての保存安定性に問題がある。剥離防止のため過剰に用いると、逆に液晶表示素子の性能を低下させるという問題点もあった。
【特許文献1】
特開昭61−205924号公報
【特許文献2】
特開平1−239525号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ラビングによる摩擦に対応できる機械的強度を有し、かつガラス基板との密着性に優れた配向膜を形成させることができ、そして保存安定性にも優れた液晶配向膜形成用ワニスを提供することである。更に、このワニスを用いて得られる配向膜、およびこの配向膜を含む液晶表示素子を提供することも本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明で用いる用語および記号について説明する。用語「任意の」は、位置だけではなく個数についても任意であることを示す。そして、例えば、アルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいと表現するときには、複数の−CH2−がそれぞれ異なる基で置き換えられてもよい。このような場合の例は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルなどである。なお、本発明においては、連続する2つの−CH2−が−O−または−S−で置き換えられて、−O−O−、−O−S−または−S−S−になることは好ましくない。アルキルおよびアルキレンは、特に断らない限り直鎖の基と分岐された基の両方を含むものとして用いられる。例えば、ブチルはn−ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルのいずれであってもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素を意味する。
【0009】
本発明者らは上記の問題点を解決するため鋭意検討した結果、シルセスキオキサン骨格を主鎖に有するポリマーを液晶配向膜形成用ワニスに含有させることが、上記の問題点を解決するために有効であることを知った。即ち、このワニスから得られた液晶配向膜は、大きな機械的強度を有し、ガラス基板との密着性にも優れるため、ラビングに対する高い耐性を有する。更にこの配向膜は保存安定性にも優れている。本発明で用いるポリマー中のシルセスキオキサン骨格は、それ自身が高度な架橋体であるため、加水分解が発生するような部位が存在しない。そのため、ガラス基板との密着性を向上させるためにシランカップリング剤を用いた液晶配向膜形成用ワニスと比べて、はるかに保存安定性がよい。更に、液晶表示素子の表示性能等に悪影響を与えることのない、信頼性の高い液晶配向膜を形成することができる。
【0010】
本発明は下記の構成を有する。
[1]式(1)で表されるジアミンとテトラカルボン酸およびその誘導体、ジカルボン酸およびその誘導体、またはテトラカルボン酸およびその誘導体とジカルボン酸およびその誘導体との混合物を反応させることによって得られるポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミドおよびポリアミドイミドの少なくとも1つであるポリマー並びに非プロトン性極性有機溶剤の少なくとも1つを含有する液晶配向膜形成用ワニス。
式(1)において、R1は任意の水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、この炭素数1〜5のアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;Q1は水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルまたは任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである;炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;そして、Q2は式(2)で表される基である。
式(2)において、A1、A2、A3およびA4は独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、1,4−シクロヘキシレンにおいては隣り合わない2つの炭素が架橋されていてもよく、そしてすべての環における任意の水素はハロゲン、−CN、−NO2または炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよい;環の置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;Z0は炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH2−は−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよい;Z1、Z2およびZ3は、独立して単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−NH−、−SiR2 2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい;Z4は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−NH−、−SiR2 2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい;Siに結合するR2は、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである;炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;そして、kは0または1であり、l、m、nおよびpは独立して0、1、2または3である。
【0011】
[2]式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである、[1]項に記載のワニス。
【0012】
[3]式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、Q1が水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである、[1]項に記載のワニス。
ここに、炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0013】
[4]式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、Q1が水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、式(2)において、A1、A2、A3およびA4が独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−フェニレン、ビシクロ[3.1.0]シクロヘキサン−3,6−ジイル、ビシクロ[2.2.2]シクロオクタン−1,4−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリダジン−3,6−ジイルである、[1]項に記載のワニス。
ここに、炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0014】
[5]式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、Q1が水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、式(2)において、A1、A2、A3およびA4が独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−フェニレン、ビシクロ[3.1.0]シクロヘキサン−3,6−ジイル、ビシクロ[2.2.2]シクロオクタン−1,4−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリダジン−3,6−ジイルであり、Z0が任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜8のアルキレンであり、Z1、Z2およびZ3が独立して単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜10のアルキレンであり、Z4が単結合、および任意の−CH2−が−O−、−COO−、−OCO−または−SiR2 2−で置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキレンである、[1]項に記載のワニス。
ここに、炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;Z1、Z2またはZ3が炭素数1〜10のアルキレンであるとき、このアルキレンにおける任意の−CH2−は、−O−、−NH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0015】
[6]ポリマーがポリアミック酸である、[1]項に記載のワニス。
【0016】
[7]ポリマーが可溶性ポリイミドである、[1]項に記載のワニス。
【0017】
[8]ポリマーがポリアミドである、[1]項に記載のワニス。
【0018】
[9]ポリマーがポリアミドイミドである、[1]項に記載のワニス。
【0020】
[10] 式(1)で表されるジアミンを用いないで得られる重合体を更に含有する、[1]項に記載のワニス。
【0021】
[11] ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドおよびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであって式(1)で表されるジアミンを用いないで得られる重合体を更に含有する、[1]項に記載のワニス。
【0022】
[12] [1]〜[11]のいずれか1項に記載のワニスを用いて形成される配向膜。
【0023】
[13] [12]項に記載の配向膜を含む液晶表示素子。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる式(1)で表されるジアミンについて説明する。以下では、式(1)で表されるジアミンをジアミン(1)と表記することがある。
式(1)に含まれるシルセスキオキサン骨格は、かご型のオクタシルセスキオキサンの変形である。1個のケイ素原子に3個の酸素原子が結合している構造をT構造と定義し、1個のケイ素原子に2個の酸素原子が結合している構造をD構造と定義すると、式(1)におけるシルセスキオキサン骨格は、T8D2構造と言うことができる。
【0025】
式(1)において、R1は任意の水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである。そして、この炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。R1の好ましい例は、フェニルおよび少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられたフェニルである。ハロゲンの好ましい例は、フッ素および塩素である。R1のより好ましい例は、フェニルおよび少なくとも1つの水素が炭素数1〜5のアルキルで置き換えられたフェニルである。R1の最も好ましい例はフェニルである。
【0026】
式(1)において、Q1は水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである。この炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0027】
Q1の好ましい例は、水素、塩素、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、および任意の水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである。このとき、炭素数1〜10のアルキルにおいては、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。そして、フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいては、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0028】
Q1のより好ましい例は、水素、塩素、−CF3、−OCF3、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、アリル、3−ブテニル、3−ペンテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルである。
【0029】
式(1)において、Q2は式(2)で表される基である。
即ち、末端にアミノ基を有する基である。式(2)において、A1、A2、A3およびA4は、独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよい。1,4−シクロヘキシレンにおいては、隣り合わない2つの炭素が架橋されていてもよい。そして、すべての環における任意の水素はハロゲン、−CN、−NO2または炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよい。環の置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0030】
A1〜A4の好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素もしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素、塩素もしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−フェニレン、ビシクロ[3.1.0]シクロヘキサン−3,6−ジイル、ビシクロ[2.2.2]シクロオクタン−1,4−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルなどである。
【0031】
A1〜A4のより好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素またはメチルで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、および少なくとも1つの水素がフッ素、塩素、メチル、エチルまたはプロピルで置き換えられた1,4−フェニレンである。これらの他、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルなども好ましい。A1〜A4の更に好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2−エチル−1,4−フェニレン、2−プロピル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレン、3−エチル−1,4−フェニレン、および3−プロピル−1,4−フェニレンである。
【0032】
式(2)におけるZ0は、炭素数1〜10のアルキレンである。そして、このアルキレンにおける任意の−CH2−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよい。Z0の好ましい例は、炭素数1〜8のアルキレンおよび炭素数1〜8のアルキレンオキシである。
【0033】
式(2)におけるZ0、Z1、Z2、Z3およびZ4は結合基である。Z0は、炭素数1〜10のアルキレンである。そして、このアルキレンにおける任意の−CH2−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよい。Z0の好ましい例は、任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜8のアルキレンである。大きな基をSiに結合させるには、通常、グリニャール反応またはヒドロシリル化反応を利用する。ヒドロシリル化反応を利用するとき、大きな基は−C2H4−を介してSiに結合する。即ち、式(2)におけるZ0の好ましい例は、Siへの結合点を(Si)で示すとき、(Si)−C2H4−(CH2)f−、(Si)−C2H4−(CH2)f−O−、(Si)−C2H4−O−(CH2)h−、(Si)−C2H4−CH2−O−(CH2)h−などである。これらの式におけるfは0〜5の整数であり、hは1〜4の整数である。そしてこのとき、式(2)におけるkは1である。グリニャール反応を利用するとき、式(2)におけるkは0である。kが1であってZ0がメチレンである場合も、グリニャール反応を利用する例である。なお、kが0であっても、A1が単結合である基には、ヒドロシリル化反応を利用する例が含まれる。
【0034】
式(2)におけるZ1、Z2およびZ3は、独立して単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜10のアルキレンである。この炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−NH−、−SiR2 2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。連続する複数の−CH2−が−SiR2 2O−、−OSiR2 2−または−OSiR2 2O−のように置き換えられてもよい。R2は炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである。この炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0035】
Z1〜Z3の好ましい例は、単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−および炭素数1〜10のアルキレンである。そして、このアルキレンにおいては、任意の−CH2−は−O−、−NH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。Z1〜Z3のより好ましい例は、単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、炭素数1〜4のアルキレン、−CF2CF2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、および−OCF2−である。
【0036】
式(2)におけるZ4は、単結合または炭素数1〜10のアルキレンである。この炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−NH−、−SiR2 2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。R2は炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである。この炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。Z4の好ましい例は、単結合、および任意の−CH2−が−O−、−COO−、−OCO−または−SiR2 2−で置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキレンである。このときR2の好ましい例は、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルルまたはフェニルである。Z4のより好ましい例は、単結合、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数1〜4のオキシアルキレン、−Si(Me)2−(CH2)3−、−Si(Ph)2−(CH2)3−および−Si(Me)2−O−Si(Me)2−(CH2)3−である。ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルである。
【0037】
式(2)を更に具体化した例を次に示す。以下の式において、Z0、Z1、Z2、Z3およびZ4は、式(2)におけるこれらの記号と同じ意味を示す。そして、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよびピリジン−2,5−ジイルを示す基は、それぞれ下記の式で表される基の代表として用いられる。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
上記の式のうちで、式(1−1)〜式(1−42)および式(1−46)〜式(1−86)がより好ましく、式(1−1)〜式(1−31)および式(1−46)〜式(1−75)が更に好ましい。
【0048】
本発明で用いるジアミン(1)は、例えば、特願2002−257738明細書に記載の方法により得られる式(1m)で表される化合物を出発物質とし、特願2003−67768明細書に記載の方法に従って、スキーム1のように製造することができる。
<スキーム1>
即ち、トリエチルアミンなどの塩基性化合物存在下、有機溶剤中で式(1m)で表される化合物と式(3)で表されるジクロロシラン誘導体を反応させて、式(1−a)で表される化合物を得ることができる。上記のスキームにおいて、R1およびQ1は式(1)におけるこれらの記号とそれぞれ同じ意味を示し、Q3は式(2)からアミノ基を除いた残基であり、Mは1価のアルカリ金属イオンであり、Yは−NH2または後処理によって−NH2または−NH2を有する基に導くことのできる基である。アミノ基は反応性が高いので、予期しない副反応が起きるのを防ぐ目的で、反応の前にトリメチルシリルなどで保護しておき、反応後に保護基を外してもよい。Yが−NO2の化合物を用いて反応させ、反応後に水素添加して−NO2を−NH2としてもよい。Yが−CNの化合物を用いて反応させ、反応後に水素添加して−CNを−CH2NH2としてもよい。Yが−Clの化合物を用いて反応させ、反応後にNH3で処理して−Clを−NH2と置き換えてもよい。
【0049】
ジアミン(1)は、スキーム2に示すように、ヒドロシリル化反応を利用することによっても得ることができる。
<スキーム2>
即ち、まず、式(1m)で表される化合物と式(3a)で表されるジクロロシラン化合物とを反応させて式(1−H)で表される化合物とする。次いで、白金触媒存在下において、式(3b)で表される末端アルケニル化合物を式(1−H)で表される化合物に反応させ、式(1−b)で表される化合物を得ることができる。上記のスキームは、式(2)におけるZ0がビニルである場合の例である。このスキームにおいて、R1、Q1、MおよびYの意味はそれぞれ前記の通りであり、Q4は式(2)からZ0およびアミノ基を除いた残基である。
【0050】
ジアミン(1)を製造するための更に別の方法は、スキーム3による方法である。
<スキーム3>
スキーム3において、Xはハロゲンであり、他の記号の意味は前記の通りである。まず、化合物(1m)に式(3c)のトリクロロシラン化合物を反応させて化合物(1−Cl)とする。そして、この化合物(1−Cl)と化合物(3d)とのグリニャール反応により、化合物(1−c)を得ることができる。
【0051】
式(2)における結合基は、通常の化学的手法により生成させることができる。例えば、特開2002−371026公報の11〜14ページ(EP1245660A2公報の14〜17ページ)に記載の方法を参考にすることができる。適当な方法がこの公報に記載されていない場合でも、一般に販売されている参考書から目的にあった方法を探すことができる。このような参考書の例は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、コンペリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などである。
【0052】
上記のスキームおよび結合基の生成方法を応用することによって、非常に多くのジアミン(1)を製造することができる。このうち、式(1−d)に限定したジアミン(1)の具体例を表1および2に示す。
式(1−d)は、式(1)においてR1がフェニル(Ph)であり、Q1がメチル(Me)である場合の例である。式(1−d)におけるQ4の意味は、前記の通りである。
【0053】
<表1>
【0054】
<表2>
【0055】
以下の説明においては、本発明の液晶配向膜形成用ワニスを本発明のワニスと表記することがある。本発明のワニスは、ジアミン(1)と、アミノ基と反応する官能基を少なくとも2つ有する化合物とを反応させることによって得られるポリマーを含有する。このようなポリマーは、例えば、ジアミン(1)とテトラカルボン酸類、ジカルボン酸類などとを反応させることによって得られる。テトラカルボン酸類は、テトラカルボン酸およびその誘導体の総称であり、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸テトラハライドなどを示す。ジカルボン酸類は、ジカルボン酸およびその誘導体の総称であり、ジカルボン、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸ジアルキルエステル、ジカルボン酸ジハライドなどを示す。以下の説明では、上記のテトラカルボン酸類とジカルボン酸類とを総称して有機酸類と表記することがある。
【0056】
ジアミン(1)とこれらの有機酸類との反応によって得られるポリマーの例は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどである。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン(1)を反応させて得られる。可溶性ポリイミドは、このポリアミック酸の脱水反応等によって得られる。ポリアミドイミドは、テトラカルボン酸二無水物およびジカルボン酸類の混合物とジアミン(1)とを反応させて得られる。ポリアミドは、ジカルボン酸類とジアミン(1)とを反応させることによって得られる。このポリアミドにおいては、アミド結合(CONH)の水素原子が他の基で置換されているポリアミドが好ましい。このうちポリアミドは、ジアミン(1)、芳香族ジハライドおよび一酸化炭素を遷移金属触媒を用いて反応させることによっても得ることができる。
【0057】
なお、ジアミン(1)と反応させてポリマーとするための化合物は、上記の有機酸類に限定されない。アミノ基と反応する官能基を少なくとも2つ有する化合物のほとんどを用いることができる。アミノ基と反応する官能基の他の例は、エポキシを有する基、スルホン酸基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基などである。例えば、ジアミン(1)とジイソシアナートとを反応させてポリ尿素としてもよい。
【0058】
上述のように、本発明のワニスはジアミン(1)を用いて得られるポリマーを含有する。このポリマーのうち液晶配向膜に好適なポリマーは、上記のテトラカルボン酸類または/およびジカルボン酸類とジアミン(1)との反応で得られるポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミドおよびポリアミドイミドである。以下の説明においては、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミドもしくはポリアミドイミドであってジアミン(1)を用いて得られるポリマー、またはこれらの2つ以上の混合物を、シルセスキオキサン骨格を有するポリマーという意味で「SQポリマー」と表記することがある。本発明のワニスは、SQポリマーおよび必要に応じて添加される他の成分を溶剤に溶解した状態の組成物である。他の成分はSQポリマー以外の成分であり、ジアミン(1)を用いないで得られる他のポリマーおよび/またはポリマー以外の添加物を意味する。
【0059】
ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどを製造する際には、ジアミン(1)に加えて他のジアミンを用いてもよい。このとき、ジアミン(1)の使用割合は、全ジアミン量を基準として0.001〜100モル%である。本明細書の実施例には加えられていないが、ジアミン(1)の効果がこのように非常に少ない割合であっても認められることが、実験によって確認されている。この割合の好ましい範囲は0.01〜75モル%であり、より好ましい範囲は0.01〜50モル%である。更に好ましい範囲は0.1〜50モル%であり、最も好ましい範囲は0.1〜20モル%である。この割合でジアミン(1)を用いることにより、耐ラビング性、液晶配向性および表示品位においてバランスが維持された液晶配向膜を形成させることができる。
【0060】
上記のテトラカルボン酸類、ジカルボン酸類および他のジアミンの具体例は、WO98/31725A1公報の5〜9ページ、WO99/33902A1公報の15〜31ページ、WO99/33923A1公報の16〜35ページ、WO99/34252A1公報の17〜36ページ、WO01/00732A1公報の15〜39ページ、WO01/14457A1公報の9〜27ページなどに記載されている。これらの記載例におけるジカルボン酸またはジカルボン酸無水物の替わりに、これらと同一の残基を有するジ酸ジハライドを用いることもできる。本発明で用いることができる有機酸類および他のジアミンは、これらの記載例に限定されない。そして、本発明の目的が阻害されない限り、これらの記載例から任意に選択して用いることに問題はない。テトラカルボン酸類、ジカルボン酸類および他のジアミンは、それぞれ2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
テトラカルボン酸二無水物の好ましい例を以下に示す。
【0062】
【0063】
上記の式において、Meはメチルを示す。
【0064】
特に好ましい他のジアミンの例を以下に示す。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
シロキサン結合を含んだシロキサン系ジアミンも、他のジアミンの例として挙げることができる。このシロキサン系ジアミンの好ましい例は、式(4)で表される化合物である。
式(4)において、R3およびR4は独立して炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルである。R5は炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH2−は−O−またはフェニレンで置き換えられてもよい。このフェニレンの任意の水素は、炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよい。そして、xは1〜10の整数である。
【0070】
式(4)におけるNH2−R5−の好ましい例は、NH2−(CH2)3−、NH2−C2H4O(CH2)2−、NH2−C2H4O(CH2)3−、NH2−(CH2)3O(CH2)2−、NH2−(CH2)3O(CH2)3−、NH2−(CH2)4O(CH2)2−、NH2−(CH2)4O(CH2)3−、NH2−(CH2)5O(CH2)2−、NH2−(CH2)5O(CH2)3−、NH2−(CH2)6O(CH2)3−、NH2−(CH2)6O(CH2)2−、NH2−Ph−C2H4−、NH2−Ph−O(CH2)2−、NH2−Ph−O(CH2)3−、NH2−CH2−Ph−O(CH2)2−、NH2−CH2−Ph−O(CH2)3−、NH2−Ph−CH2O(CH2)2−、NH2−Ph−CH2O(CH2)3−、NH2−Ph−C2H4O(CH2)2−、NH2−Ph−C2H4O(CH2)3−、NH2−Ph(CH3)−O(CH2)2−、NH2−Ph(CH3)−O(CH2)3−などである。これらの例において、Phはフェニレンであり、Ph(CH3)はメチルフェニレンである。
【0071】
他のジアミンの例として、ステロイド骨格の側鎖を有するジアミンを更に挙げることができる。このようなジアミンの例は、コレステリル、アンドロステリル、βコレステリル、エピアンドロステリル、エリゴステリル、エストリル、11α−ヒドロキシメチルステリル、11α−プロゲステリル、ラノステリル、メラトラニル、メチルテストロステリル、ノレチステリル、プレグネノニル、β−シトステリル、スチグマステリル、テストステリル、酢酸コレステロ−ルエステルなどである。
【0072】
ジアミン(1)と前記の有機酸類とを溶剤中で反応させると、SQポリマーの溶液が得られる。選択された有機酸類の種類により、SQポリマーはポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、およびこれらの2つ以上の混合物のいずれかになる。この溶液そのものを本発明のワニスとして用いてもよい。この溶液から溶剤を溜去して得られた固形物(以下「反応生成物」という。)を、反応溶剤とは異なる溶剤に溶解させて得られた溶液を本発明のワニスとしてもよい。
【0073】
本発明のワニスには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他のポリマーを混合して使用することができる。他のポリマーは、ジアミン(1)を用いないで得られるポリマーである。他のポリマーの例は、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどであり、これら以外のポリマーも用いることができる。他のポリマーの好ましい使用量は、ワニス中の全ポリマー量を基準とする割合で、0.01〜99.9重量%である。この割合のより好ましい範囲は2〜70重量%であり、更に好ましい範囲は4〜50重量%である。
【0074】
SQポリマーを製造する際には、ポリマーの反応末端を形成するために、モノアミノ化合物やジカルボン酸無水物を併用してもよい。モノアミノ化合物の例は、アルキルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミンなどであり、ジカルボン酸無水物の例は、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ナジック酸などである。本発明のワニスには、配向膜のガラス基板への密着性をさらに改善するために、シラン系またはチタン系のカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤の例は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどである。ポリジメチルシロキサンやポリジフェニルシロキサンなどのシリコーンオイルを用いてもよい。
【0075】
カップリング剤やシリコーンオイルの使用量は、ワニス中の全ポリマー量に基準とする割合で0.01〜5重量%である。この割合の好ましい範囲は0.1〜3重量%である。但し、この範囲は、シランカップリング剤などが用いられる際の一般的な基準であり、本発明に特徴的なものではない。
【0076】
本発明のワニスには、上記のカップリング剤の他、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。例えば、塗布性の向上、帯電防止の向上などを望む場合には、それぞれの目的に応じた界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤の例は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などであり、これらを配向膜の特性を損なわない範囲において用いることができる。
【0077】
本発明のワニスにおけるポリマ−成分の好ましい濃度は、ワニス全量を基準とする割合で0.1〜40重量%である。ポリマー成分の濃度がこの範囲内であれば、適切な粘度を有する液晶配向膜形成用ワニスが得られる。そしてこれを希釈することも容易なので、最適な膜厚に調整することができる。スピンナー法や印刷法の場合には、膜厚を良好に保つために、通常ポリマー成分の濃度を10重量%以下とすることが多い。その他の塗布方法、例えばディッピング法ではさらに低濃度とすることもあり得る。通常のスピンナ−法や印刷法等では、ポリマ−成分の濃度は、0.1重量%以上、好ましくは0.5〜10重量%である。しかしながら、液晶配向膜形成用ワニスの塗布方法によっては、さらに希薄な濃度で使用してもよい。
【0078】
本発明のワニスに用いる溶剤の選択条件は、ポリマー製造に用いられる原料や得られたポリマーなどを溶解する能力を持つことだけであり、他に格別の制限はない。従って、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドなどを製造する際に通常用いられる溶剤、およびこれらのポリマーを使用する際に通常用いられる溶剤から、目的に応じて適宜選択すればよい。これらの溶剤の例は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリアミドに対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤である。このような溶剤の具体例は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)、N,Nジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチルラクトン(GBL)などである。これらの溶剤は混合して用いてもよい。
【0079】
塗布性改善などを目的として、他の溶剤を併用することもできる。このような溶剤の例は、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例:エチレングリコールモノブチルエーテル(BC))、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:プロピレングリコールモノブチルエーテル)、マロン酸ジアルキル(例:マロン酸ジエチル)、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ジプロピレングリコールモノアセテートなどである。これらの溶剤は混合して用いてもよい。
【0080】
本発明の配向膜は、あらゆる液晶表示素子において、効果的に用いることができる。強い配向規制力を得るために強いラビング操作を行うモードにおいても、ラビング傷が発生や配向不良がないという本発明の効果が顕著に認められる。このようなモードの例は、IPSモード、STNモード、TNモード、OCBモード、強誘電性型、反強誘電性型などである。VAモードでは、電圧印加時における液晶分子の倒れ方を制御することを目的にラビングを行う場合があるが、このモードにおいても同様に顕著な効果が認められる。
【0081】
本発明の配向膜の製造方法は特に限定されるものではないが、具体的には下記の手順によって製造することができる。本発明のワニスを刷毛塗り法、浸漬法、スピンナー法、スプレー法または印刷法等により透明電極付きガラス基板あるいは透明電極付きプラスティック基板に塗布する。次いで、この電極付き基板の温度を50〜150℃、好ましくは80〜120℃とし溶剤を蒸発させる。その後、透明電極付きガラス基板では、この温度を150〜400℃、好ましくは180〜280℃として焼成することにより、このガラス基板表面に膜が形成される。特にプラスティック基板を使用する場合は、基板の耐熱温度を考慮すると120〜160℃程度の低温度下で焼成を行うことが好ましい。そして、この膜表面を布などで一方向にラビングすることにより本発明の配向膜が得られる。
【0082】
なお、透明電極付きガラス基板あるいはプラスティック基板に本発明のワニスを塗布する前に、この基板表面をシランカップリング剤で処理すれば、この基板表面に形成される配向膜と基板との接着性がさらに向上する。
【0083】
本発明の液晶表示素子において用いられる液晶組成物は特に限定されない。TN型、STN型、IPS型、OCB型などの液晶表示素子の場合には誘電率異方性が正の液晶組成物が用いられる。この液晶組成物の好ましい例は、特許3086228号公報、特許2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157828号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1)、特開平9−302346号公報(EP806466A1)、特開平8−199168号公報(EP722998A1)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1)、特開平10−204016号公報(EP844229A1)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報などに開示されている。
【0084】
本発明の液晶配向膜を、VA型の液晶表示素子の作製に用いる場合には、誘電率異方性が負の液晶組成物が用いられる。この液晶組成物の好ましい例は、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−10168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報などに開示されている。
【0085】
配向膜の耐ラビング性は、ラビングによるスクラッチ傷(擦り傷)のつきやすさ、およびスクラッチ傷が形成されてから配向膜が破壊されるまでの機械特性を観察または測定することによって評価することができる。即ち、本発明者らの実験によれば、荷重をかけながらラビングして、配向膜にスクラッチ傷がついたときの荷重、またはスクラッチ傷が形成された後、配向膜が破壊されるに至ったときの荷重が配向膜の耐ラビング性と関連がある。従って、これらの値を比較することにより、耐ラビング性を評価することができる。このとき、比率105%以上で高い方が耐ラビング性が高い配向膜であると考えてよい。
【0086】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中のNMRデータは、すべて重クロロホルム中で測定した値である。分子量の測定にはGPCを用い、ポリスチレンを標準溶液とし、溶出液としてDMFを用いた。なお、容量の単位リットルを記号Lで示す。
【0087】
<液晶表示素子の評価法>
以下に実施例で用いた液晶表示素子の評価法を記載する。なお、本実施例中に記載された諸物性値は、25℃における測定値である。
(1)ラビングによる削れ
液晶セルに電圧を印加し、表示を行ったとき、表示不良となっている部分を目視により観察した。
(2)液晶配向膜の基板への付着力
配向膜の基板への付着力測定には、島津製作所製、走査型スクラッチテスタSST101を用いて、配向膜の剥離荷重(剥離はじめ荷重)を測定し、その値を評価に用いた。剥離荷重の測定条件は触針曲率10μm・スクラッチスピード20μm/s・振幅100μm・触針押し付けスピード5μm/sである。
(3)プレチルト角
クリスタルローテーション法により行った。なお、測定波長は589nmである。
(4)電圧保持率
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集、p78」に記載の方法に準拠して測定した。測定時にセルに印加した電圧は、ゲート幅69μs、波高±4.5V、周波数30Hzまたは0.3Hzである。
【0088】
実施例1
表1に記載のジアミンNo.1の合成
下記のスキームによりジアミンNo.1を合成した。
このスキーム中のPhはフェニルを示す。
【0089】
第1段:アリル−p−ニトロフェニルエーテルの製造
窒素ガス雰囲気下、p−ニトロフェノール(25.0g、0.18mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(250ml)溶液に炭酸カリウム(49.7g、0.36mol)を加えて懸濁させ、3−ブロモプロペン(21.7g、0.18mol)を滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した後、水を加えてジエチルエーテルで抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別した後、減圧下、溶剤を溜去して、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:トルエン)で精製した。減圧下で溶剤を溜去した後、エタノールから再結晶してアリルオキシ−p−ニトロベンゼン(25.7g)を得た。
【0090】
第2段:式(1n)で表される化合物の製造
特願2002−257738の明細書に記載の方法に従って製造された式(1h)で表される化合物を用意した。窒素ガス雰囲気下で、化合物(1h)(50.0g、43.3mmol)をトルエン(500ml)中に懸濁させ、白金−ジビニルシロキサン錯体(3wt%トルエン溶液、25μl)を加えて90℃に加熱した。これにアリルオキシ−p−ニトロベンゼン(16.3g、91mmol)を5分かけて滴下し、その後2時間還流させた。放冷後、トルエン(100ml)を加え、さらに水を加えて有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別した後、減圧下、トルエンを溜去して、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:トルエン)で精製した。減圧下で溶剤を溜去した後、エタノール/酢酸エチルから再結晶して化合物(1n)18.7gを得た。
1H−NMR(溶剤:CDCl3):δ(ppm);0.34(s,6H)、0.85−0.88(t,4H)、1.92−1.95(m,4H)、3.85−3.88(t,4H)、6.60−6.63(d,4H)、7.15−7.52(m,40H)、7.94−7.97(d,4H).
29Si−NMR(溶剤:CDCl3):δ(ppm);−17.8(d,2Si)、−78.5(s,4Si)、−79.4(t,4Si).
【0091】
第3段:ジアミンNo.1の製造
化合物(1n)(10.0g、6.61mmol)、Pd/C(1g)、およびテトラヒドロフラン(100ml)の混合物を、水素雰囲気下、室温で120時間攪拌した。Pd/Cをろ別後、減圧下でテトラヒドロフランを溜去した。得られた残差をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル)で精製し、減圧下で溶剤を溜去してジアミンNo.1(6.3g)を得た。
1H−NMR(溶剤:CDCl3):δ(ppm);0.31(s,6H)、0.83−0.87(t,4H)、1.82−1.87(m,4H)、3.71−3.74(t,4H)、6.51−6.57(d,8H)、7.14−7.95(m,40H).
29Si−NMR(溶剤:CDCl3):δ(ppm);−17.5(d,2Si)、−78.6(s,4Si)、−79.6(t,4Si).
【0092】
実施例2
ポリアミック酸ワニスの調製(1)
200ml−4つ口フラスコに、ジアミンNo.1(0.0600g;4.22×10−5mol)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、DDMで示す。)(2.9841g;1.51×10−2mol)、および脱水N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPで示す。)(54.00g)をそれぞれ入れ、乾燥窒素気流下で攪拌して溶解した。反応系の温度を5℃に保ちながら、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBDAで示す。)(2.9600g;1.51×10−2mol)を加え、その後特に温度コントロールすることなく30時間反応させた。最後に、ブチルセロソルブ(以下、BCで示す。)を40.00g加えて、ポリマー成分の濃度が6重量%のポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスA1とする。なお、本発明の実施例では、粘度をチェックしながら増粘反応を進行させた。そして、粘度の増加が少なくなった時点でBCを添加して、増粘反応の進行を止めた。BCを添加後、加熱することによってワニスの粘度を調整し、55〜65mPa・sになったところで加熱操作を停止した。粘度の測定にはE型粘度計を使用し、25℃で測定した。そして、得られたワニスは低温にて保存した。
【0093】
実施例3
ポリアミック酸ワニスの調製(2)
ジアミンNo.1の使用量を0.6000g(4.22×10−4mol)、DDMの使用量を2.6763g(1.35×10−2mol)、そしてCBDAの使用量を2.7300g(1.39×10−2mol)とした以外は実施例2と全く同様にして、ポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスA2とする。
【0094】
実施例4
ポリアミック酸ワニスの調製(3)
原料成分を、ジアミンNo.1(0.0600g;4.22×10−5mol)、4,4’−ジアミノジフェニルエタン(以下、DDEtで示す。)(1.0554g;4.97×10−3mol)、1、1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン(以下、APMPHで示す。)(2.7086g;4.97×10−3mol)、およびピロメリット酸二無水物(以下、PMDAで示す。)(2.1780g;9.99×10−3mol)とした以外は実施例2と同様にして、ポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスB1とする。
【0095】
実施例5
ポリアミック酸ワニスの調製(4)
原料成分を、ジアミンNo.1(0.6000g;4.22×10−4mol)、DDEt(0.9431g;4.44×10−3mol)、APMPH(2.4203g;4.44×10−3mol)、およびPMDA(2.0300g;9.31×10−2mol)とした以外は実施例2と同様にして、ポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスB2とする。
【0096】
実施例6
ポリアミック酸ワニスの調製(5)
原料成分を、ジアミンNo.1(0.0600g;4.22×10−5mol)、5−((4−(4−(4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェニル)メチル−1,3−ジアミノベンゼン(以下、HHPMBで示す。)(3.9493g;9.13×10−3mol)、およびPMDA(2.0000g;9.17×10−3mol)とした以外は実施例2と同様にして、ポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスC1とする。
【0097】
実施例7
ポリアミック酸ワニスの調製(6)
原料成分を、ジアミンNo.1(0.6000g;4.22×10−4mol)、HHPMB(3.5271g;8.15×10−3mol)、およびPMDA(1.8700g;8.57×10−3mol)とした以外は実施例2と同様にして、ポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスC2とする。
【0098】
実施例8
ポリアミドワニスの調製(1)
<ポリアミドの調製>
500ml−3つ口フラスコに、実施例1に準拠して合成したジアミンNo.1(0.0600g;4.22×10−5mol)、DDEt(1.1584g;5.46×10−3mol)、APMPH(2.9728g;5.46×10−3mol)、テレフタル酸(以下、TPAで示す。)(1.8200g;1.10×10−2mol)、ピリジン(1ml)、および塩化リチウム(2.7864g;6.57×10−2mol)を入れ、NMP(200ml)に溶解させた。この溶液に亜リン酸トリフェニル(10.1983g;3.29×10−2mol)を滴下し、窒素気流中、100℃で4時間反応させた。冷却した反応液をメタノール中に投入して生成物を沈澱させ、これをろ過した。得られた粗生成物を、純水(500ml)中で2回、メタノール(500ml)中で1回、それぞれ30分程度煮沸して洗浄した。その後、120℃で8時間真空乾燥させて、ポリアミド4.8gを得た。このポリマーの重量平均分子量は10万であった。
【0099】
<ポリアミドのメチル化>
3つ口フラスコに上記のポリアミド(4.7g)を入れ、NMP(150ml)に溶解させた。この溶液にナトリウムメトキシド(0.9469g;1.75×10−2mol)を加え、室温で3時間攪拌した。この溶液にヨウ化メチル(2.9856g;2.10×10−2mol)を加え、室温でさらに2時間反応させた。反応液を純水2.5Lに投入して生成物を再沈澱させ、ろ過した。この粗生成物を、純水1Lを用いて30分間煮沸洗浄することを2回繰り返し、次いで純水−IPA混合溶剤(重量比1/1)500mlで一回洗浄した。これを120℃で9時間真空乾燥させて、ポリメチルアミド3.8g(平均分子量6万)を得た。NMR法による測定により、アミド水素のメチル基への置換率が100%であることを確認した。このポリマーをPA−1とする。NMPおよびBCを用いて、PA−1を実施例2と同様に溶解させたものをワニスD1とする。
【0100】
実施例9
ポリアミドワニスの調製(2)
<ポリアミドの調製>
ジアミンNo.1を0.6000g(4.22×10−4mol)、DDEtを1.0414g(4.91×10−3mol)、APMPHを2.6726g(4.91×10−3mol)、TPAを1.7000g(1.02×10−2mol)、塩化リチウムを2.6026g(6.14×10−2mol)、そして亜リン酸トリフェニルを9.5259g(3.07×10−2mol)用いた以外は実施例8と同様にして、ポリアミド4.7gを得た。このポリマーの重量平均分子量は10万であった。
【0101】
<ポリアミドのメチル化>
このポリアミドの全量を用い、ナトリウムメトキシドを0.8845g(1.64×10−2mol)、ヨウ化メチルを2.7887g(1.96×10−2mol)用いた以外は実施例8と同様にして、ポリメチルアミド3.7gを得た。NMR法による測定により、アミド水素のメチル基への置換率が100%であることを確認した。このポリマーをPA−2とする。NMPおよびBCを用いて、PA−2を実施例2と同様に溶解させたものをワニスD2とする。
【0102】
実施例10
ポリアミドイミドの調製(1)
50ml−3つ口フラスコに、実施例1に準拠して合成したジアミンNo.1(0.0600g;4.22×10−5mol)、DDEt(1.0690g;5.04×10−3mol)、およびAPMPH(2.7436g;5.04×10−3mol)を入れ、NMP20gに溶解した。この溶液にPMDA(1.1030g;5.06×10−3mol)を加え、窒素気流中で1時間攪拌した。次いで、テレフタル酸ジクロリド(以下、TPACで示す。)(1.0266g;5.06×10−3mol)、およびピリジン(1ml)を加えて、さらに2時間攪拌した。反応終了後、無水酢酸(20ml)を加えて、100℃で1時間反応させた。冷却した反応液をメタノール300mlに投入して生成物を沈澱させ、これを濾過した。得られた粗生成物を、純水(150ml)で2回、メタノール(150ml)で1回、それぞれ30分程度煮沸洗浄した。これを120℃で7時間真空乾燥させて、ポリアミドイミド4.8gを得た。このポリマーの重量平均分子量は11万であった。
【0103】
<ポリアミドイミドのメチル化>
このポリアミドイミド(1.0g)を3つ口フラスコに入れ、NMP(20ml)に溶解させた。これに60重量%水素化ナトリウム(保護媒体:流動パラフィン)94mg(2.3mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。この溶液にヨウ化メチル430g(3.0mmol)を添加して、室温でさらに2時間反応させた。反応液を純水300mlに投入して生成物を再沈殿させ、これをろ過した。得られた粗生成物を、純水(150ml)で2回洗浄し、次いで純水−IPA混合溶剤(重量比1/1)(50ml)で1回洗浄した。純水を用いる洗浄は、30分間煮沸下で実施した。洗浄された生成物を120℃で8時間真空乾燥させて、メチル化ポリアミドイミド960mgを得た。このポリマーの重量平均分子量は4.3万であった。また、アミド水素のメチル基への置換率は97%であった。このポリマーをPAI−1とする。NMPおよびBCを用いて、PAI−1を実施例2と同様に溶解させたワニスをワニスE1とする。
【0104】
実施例11
ポリアミドイミドの調製(2)
ジアミンNo.1を0.6000g(4.22×10−4mol)、DDEtを0.9577g(4.51×10−3mol)、APMPHを2.4578g(4.51×10−3mol)、PMDAを1.0300g(4.72×10−3mol)、そしてTPACを0.9587g(4.72×10−3mol)を用いた以外は実施例10と同様にして、ポリアミドイミド4.8gを得た。このポリマーの重量平均分子量は11万であった。次いで、実施例10と同様にして、アミド水素のメチル化反応を行い、メチル化ポリアミドイミド940mgを得た。このポリマーの重量平均分子量は4.3万であった。また、アミド水素のメチル基への置換率は97%であった。このポリマーをPAI−2とする。NMPおよびBCを用いて、PAI−2を実施例2と同様に溶解させたワニスをワニスE2とする。
【0105】
実施例2〜11のワニス中のポリマーについて、原料ジアミン全量に対するジアミンNo.1のモル比を表3に示す。
<表3>
【0106】
比較例1
ジアミンNo.1を用いないこと、およびジアミンNo.1の分だけ原料酸成分の使用量を少なくしたこと以外は実施例2に準拠して、ポリアミック酸ワニスを得た。これをワニスA0とする。
【0107】
比較例2〜5
比較例1と同様にして、実施例4、6、8および10のそれぞれに準拠して、ワニスB0、C0、D0およびE0を得た。即ち、ワニスB0およびC0はポリアミック酸ワニスであり、ワニスD0はポリメチルアミドワニスであり、そしてワニスE0はメチル化ポリアミドイミドのワニスである。
【0108】
実施例12
混合ワニスの調製(1)
ワニスA1とワニスA0とを混合して、ワニスA0中のポリマーに対するワニスA1中のポリマーの重量比が1/9の混合ワニスA1・A0を調製した。
【0109】
実施例13〜21
混合ワニスの調製(2)〜(10)
実施例12と同様に、ワニスA2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、E1およびE2のそれぞれをワニスA0と混合し、ワニスA0のポリマー成分に対するこれらのワニス中のポリマー成分の重量比が1/9になるように、混合ワニスA2・A0、B1・A0、B2・A0、C1・A0、C2・A0、D1・A0、D2・A0、E1・A0、およびE2・A0を調製した。
【0110】
比較例6〜9
ジアミン(1)を用いて得られるポリマーを含まない混合ワニスの調製
ワニスB0とワニスA0を混合し、ワニスA0中のポリマー成分に対するワニスB0中のポリマー成分の重量比が1/9となるようにして混合ワニスを調整した。これをワニスB0/A0とする。同様にして、ワニスC0〜E0のそれぞれとワニスA0とから、混合ワニスC0・A0、D0・A0、およびワニスE0・A0を調製した。
【0111】
実施例22
実施例2において得られたワニスA1をNMP−BC混合溶剤(重量比1/1)で希釈して、ポリマー成分の濃度が3重量%となるように調整した。この希釈ワニスを透明電極付基板上にスピンナーにて塗布し、80℃にて約5分間予備焼成した。次いで、210℃にて30分間焼成して膜厚60nmの塗膜を形成し、その表面を全面にわたって、ラビングすることにより配向処理を行った。これと同じ基板をもう1枚用意し、片方の基板の配向膜面上に20μmのギャップ材を散布し、もう一方の基板を、配向膜面が向き合うように重ねてからエポキシ硬化剤でシールして、ギャップ20μmのアンチパラレルセルを作成した。
【0112】
このセルに下記に示す液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、ホモジニアス配向させたセルを作製した。このセルをクロスニコル状態に配置した2枚の偏光版ではさみ、その中で回転したところ、配向欠陥のない均一で明瞭な明暗が認められ、ラビングによって液晶分子が良好に配向していることが確認された。即ち、このセル中の配向膜にはラビングによる傷は発生しなかったと判定された。この液晶表示素子のプレチルト角は1.3度であった。
【0113】
<液晶組成物A>
【0114】
次に、セルのギャップを6.8μmとした以外は同様の工程で液晶セルを作成し、この液晶セルの電圧保持率を測定した。その結果、30Hzおよび0.3Hzでの電圧保持率はそれぞれ98.0%、92.5%であった。また、Vthムラは全く観察されなかった。
【0115】
更に、透明電極付き基板上に膜厚1μmとなるようにスピンナーで塗布したこと以外は、液晶セル作成の焼成条件と同様の条件で焼成を行い、スクラッチ試験用基板とした。走査型スクラッチテスタSST101を用いて、この基板上に作成された塗膜の基板への付着力測定を行った。その結果、剥離荷重は1.18kPaであった。
【0116】
実施例23
実施例3〜21で得られたワニスを用い、実施例22に準じて液晶表示素子を作成した。このとき、一部の実施例においては、液晶組成物Aの替わりに下記の液晶組成物Bを用いた。これらの液晶表示素子について、実施例22と同様にして評価した結果を表4に示す。
【0117】
液晶組成物B
【0118】
比較例10〜18
ジアミン(1)を用いて得られたポリマーを含まない比較例1〜9のワニスを用い、実施例22に準拠して液晶表示素子を作成した。このとき、一部の実施例においては、液晶組成物Aの替わりに下記の液晶組成物Bを用いた。これらの液晶表示素子について、実施例22と同様にして評価した結果を表4に示す。
【0119】
<表4>
(注1)傷の有無の欄において、◎は配向膜面にラビングによる削り傷がなく、液晶の配向が良好であることを示し、×はラビング方向にスジ、傷が認められ、また液晶の配向に乱れが観察されたことを示す。
(注2)表示ムラの欄において、◎はVthムラが認められなかったことを示し、×はVthムラが観察されたことを示す。
【0120】
表4から明らかなように、プレチルト角1.3〜89.3°を示す液晶表示素子において、ラビング傷、削れに対するジアミン(1)の効果が確認された。従って、本発明のワニスから得られる配向膜は、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子、TFT型液晶表示素子、IPS型液晶表示素子、VA型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、強誘電性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素子などの様々なタイプの液晶表示素子において、本発明の効果を発揮できる。
【0121】
【発明の効果】
本発明のワニスから製造された液晶配向膜は、ラビングによる摩擦に対応できる機械的強度を有し、特に透明電極付き基板との密着性に優れており、かつ、保存安定性にも優れている。更に、このような液晶配向膜は、ラビング操作による配向膜面のスジや傷を防止することができるので、液晶セル特性の一つである電圧保持率を向上させることもできる。即ち、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子、TFT型液晶表示素子、IPS型液晶表示素子、VA型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、強誘電性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素子などが、より高性能な表示素子に改善され得る。
Claims (13)
- 式(1)で表されるジアミンとテトラカルボン酸およびその誘導体、ジカルボン酸およびその誘導体、またはテトラカルボン酸およびその誘導体とジカルボン酸およびその誘導体との混合物を反応させることによって得られるポリアミック酸、可溶性ポリイミド、ポリアミドおよびポリアミドイミドの少なくとも1つであるポリマー並びに非プロトン性極性有機溶剤の少なくとも1つを含有する液晶配向膜形成用ワニス。
式(1)において、R1は任意の水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、この炭素数1〜5のアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;Q1は水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルまたは任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである;炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;そして、Q2は式(2)で表される基である。
式(2)において、A1、A2、A3およびA4は独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、1,4−シクロヘキシレンにおいては隣り合わない2つの炭素が架橋されていてもよく、そしてすべての環における任意の水素はハロゲン、−CN、−NO2または炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよい;環の置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;Z0は炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH2−は−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよい;Z1、Z2およびZ3は、独立して単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−NH−、−SiR2 2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい;Z4は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−NH−、−SiR2 2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい;Siに結合するR2は、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである;この炭素数1〜10のアルキルおよびフェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルのそれぞれにおいて、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;そして、kは0または1であり、l、m、nおよびpは独立して0、1、2または3である。 - 式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである、請求項1に記載のワニス。
- 式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、Q1が水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルである、請求項1に記載のワニス。
ここに、炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。 - 式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、Q1が水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、式(2)において、A1、A2、A3およびA4が独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−フェニレン、ビシクロ[3.1.0]シクロヘキサン−3,6−ジイル、ビシクロ[2.2.2]シクロオクタン−1,4−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリダジン−3,6−ジイルである、請求項1に記載のワニス。
ここに、炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。 - 式(1)において、R1が少なくとも1つの水素がハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、Q1が水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよいフェニルであり、式(2)において、A1、A2、A3およびA4が独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がハロゲンもしくは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられた1,4−フェニレン、ビシクロ[3.1.0]シクロヘキサン−3,6−ジイル、ビシクロ[2.2.2]シクロオクタン−1,4−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリダジン−3,6−ジイルであり、Z0が任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜8のアルキレンであり、Z1、Z2およびZ3が独立して単結合、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜10のアルキレンであり、Z4が単結合、および任意の−CH2−が−O−、−COO−、−OCO−または−SiR2 2−で置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキレンである、請求項1に記載のワニス。
ここに、炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;フェニルの置換基である炭素数1〜5のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;Z1、Z2またはZ3が炭素数1〜10のアルキレンであるとき、このアルキレンにおける任意の−CH2−は、−O−、−NH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。 - ポリマーがポリアミック酸である、請求項1に記載のワニス。
- ポリマーが可溶性ポリイミドである、請求項1に記載のワニス。
- ポリマーがポリアミドである、請求項1に記載のワニス。
- ポリマーがポリアミドイミドである、請求項1に記載のワニス。
- 式(1)で表されるジアミンを用いないで得られる重合体を更に含有する、請求項1に記載のワニス。
- ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドおよびポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであって式(1)で表されるジアミンを用いないで得られる重合体を更に含有する、請求項1に記載のワニス。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のワニスを用いて形成される配向膜。
- 請求項12に記載の配向膜を含む液晶表示素子。
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