JP4682644B2 - シリコーン樹脂成型体用ワニス及びシリコーン樹脂成型体 - Google Patents
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Description
熱硬化性樹脂の中でもシリコーン樹脂は、耐熱性、耐候性及び耐水性の点で優れているため、上記の各プラスチックの問題点を解決し、無機ガラスを代替する可能性が最も高い材料である。特に、3官能性のシロキサン単位のみから構成されるポリオルガノシルセスキオキサンは、その構造からラダー(はしご)型ポリマーともよばれ、ポリイミドにも劣らない耐熱性を示すことが知られている。
は架橋密度が大きくしなければならない。ところが、架橋密度が大きくなると硬化収縮率が著しく増大し、生成物が脆性化するので好ましくない。また、硬化収縮率が著しく増大するため、厚肉の成形物を得るのが極めて困難である。こうした理由により、架橋密度の大きいシリコーン樹脂は、コーティング用途に限定され、成形用途に用いるのは架橋密度の低いシリコーンゴムに留まっているのが現状である。かかる問題点を解決するために成型加工性に優れたアクリル樹脂と共重合化する方法が提案されている。例えば、非ラダー型のシリコーン樹脂としては、側鎖にアルコキシシランと共重合させることで、アクリルポリマーを有機成分とし、ポリシロキサンを無機成分とするハイブリッド体を形成する技術が、非特許文献2に開示されている。しかし、シリコーン樹脂は、本来アクリルと相溶性が充分ではないため、機械的強度等に問題がない場合でも光線透過率等の光学的特性が損なわれる場合が多い。
(1)式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(2)Rが非置換のフェニルである、(1)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(3)式(1−2)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(8−2)で示される化合物を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(5)式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及びカルボン酸もしくはエポキシドを用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(7)式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体及びジアミンを用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(8)ジアミンのうち少なくとも1種類以上が式(9−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体である、(7)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(9)Rが非置換のフェニルである、(7)または(8)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(10)式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(11)Rが非置換のフェニルである、(10)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(12)式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(1−5)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(13)Rが非置換のフェニルである、(12)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(14)式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(9−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(15)R6がフルオロアルキルまたはフルオロアリールである(14)のシリコーン樹
脂成型体用ワニス。
(16)R6がトリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシル、ペンタフルオロフェニル及び4−フルオロフェニルの何れかである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(17)R8がベンゼントリイルまたはトリフルオロベンゼントリイルである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(18)Rが非置換のフェニルである、(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(19)Rが非置換のフェニルで、R6がフルオロアルキルまたはフルオロアリールである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(20)Rが非置換のフェニルで、R6がトリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシル、ペンタフルオロフェニル及び4−フルオロフェニルの何れかである(13)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(21)Rが非置換のフェニルで、R8がベンゼントリイルまたはトリフルオロベンゼントリイルである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(22)(1)〜(21)のいずれかのシリコーン樹脂成型体用ワニスを用いてなるフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体。
クロブタンジイル、パーフルオロシクロペンタンジイル、パーフルオロシクロヘキサンジイル、フルオロベンゼンジイル(フルオロフェニレン)等の2価の基を挙げることができる。
本発明で用いる化合物(1−1)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−1)として具体的には、後述の合成例1、2で示す化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
化合物(4−1)は特開2005-015738号公報に記載されている方法を参照して製造することができる。
化合物(4−1)として具体的には、後述の合成例1、2で示す化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
化合物(5−1)は、国際公開第2004/024741号パンフレットに記載されている方法を参照して製造することができる。
化合物(5−1)として具体的には、後述の合成例1で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
化合物(6−1)として具体的には、後述の合成例2で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
化水素系溶剤、その中でもトルエンが最も好ましい。溶剤は必ずしも必要ではないが、使用する場合には溶剤に対する本発明の化合物の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて0.05〜80重量%である。より好ましい割合は30〜70重量%である。割合は、目的によって異なる。
化合物(1−2)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−2)として具体的には、後述の合成例4で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
化合物(8−2)として具体的には、後述の合成例4で示す1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンが挙げられるが、これには限定されない。
化合物(1−3)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−3)として具体的には、後述の合成例3で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
化合物においては、任意の水素がメチル、エチルなどの低級アルキルで置き換えられてもよい。
アダマンタン二酢酸、およびカンファ−酸である。
化合物(1−4)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−4)として具体的には、後述の合成例3,5で示す化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン−7−エン、2,5−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノ−7−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6−ジアミノビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノオキサビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノチアビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノビシクロ[3.2.2]ノナン、2,6−ジアミノビシクロ[3.2.2]ノナン−8−エン、2,6−ジアミノ−8−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、2,6−ジアミノ−8−オキサビシクロ[3.2.2]ノナン、および2,6−ジアミノ−8−チアビシクロ[3.2.2]ノナンである。
フェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−カルバモイル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−スルファモイル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−カルボキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−スルファモイル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−カルボキシ−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(2,2−{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−メチル−γ−アミノペンチル)ベンゼン、ビスp−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)メタン、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)エタン、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)プロパン、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)シクロヘキサン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチルベンジジン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、1,2−ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノフェニル)メチル)ベンゼン、1,4−ビス((3−アミノフェニル)メチル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノフェニル)エチル)ベンゼン、1,4−ビス((3−アミノフェニル)エチル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノ−3−メチル−フェニル)メチル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノ−3−メチル−フェニル)エチル)ベンゼン、4,4'−(4−アミノフェニル)ビフェニル、ビス−((4−(4−アミノフェニルメチル)フェニル)メタン、ビス−((4−(4−アミノフェニルメチル)フェニル)エタン、ビス−((4−(3−アミノフェニルメチル)フェニル)メタン 、ビス−((4−(3−アミノフェニルメチル)フェニル)エタン、2,2−ビス−((4−(4−アミノフェニルメチル)フェニル)プロパン、および2,2−ビス−((4−(3−アミノフェニルメチル)フェニル)プロパンである。
化合物(1−5)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−5)として具体的には、後述の合成例5で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
R6は単結合または炭素数1〜15の2価の有機基である。
R7は炭素数1〜15の3価の有機基であり、好ましくはベンゼントリイルまたはトリフルオロベンゼントリイルである。
なお、式(9−1)の化合物は、通常の有機化学的手法で容易に合成することによって得ることができる。すなわち、市販の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体(a)を、適当な官能基を持つトリクロロシラン誘導体で閉環する(b)。この化合物(b)にアミノ基へ誘導可能な官能基(具体的にはニトロ基等)を2つ有する任意の有機基を反応させ(c)、得られた(c)をアミノ基へ変換することで合成するのが最も一般的である。式(9−1)の化合物においてR6がエステル結合の場合の合成例を以下に示す。
本発明における塗布液において使用される溶剤は、該重合体を溶解可能な溶剤であればよく、特に制限はない。具体例として、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロペンタ
ノン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、テトラリン、イソホロン、エチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(エチレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、ジエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルなど)、エチレングリコ−ルモノアルキルまたはフェニルアセテ−ト、トリエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、マロン酸ジアルキル(マロン酸ジエチルなど)を挙げることができる。好ましくは、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。これらの溶剤は、単独で用いても複数混合して使用してもよい。
フィルム状及びシート状成型体の大きさや厚さは特に制限されないが、0.01mm〜5mmの厚さが好ましく、0.03mm〜3mmの厚さがより好ましい。
フィルム状及びシート状シリコーン樹脂成型体の形成は、シリコーン樹脂成型体用ワニスを基板上へ塗布する工程と、これに続く焼成工程により行われる。基板としては、ガラス基板、プラスチック基板、またはフィルム状基板などを用いることができる。塗布の方法としてスピンナー法、ドクターコーター法、ディッピング法または滴下法などが一般に知られており、これらの方法により目的の厚さのフィルム又はシートが得られるように塗布する。また、シリコーン樹脂成型体用ワニスを焼成する方法として、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法やホットプレート上で加熱処理する方法などが一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。また、加熱処理工程は一般に40〜300℃程度の温度下で行うことが好ましい。加熱後、焼成されたシート又はフィルムを基板から剥がすことにより、フィルム状及びシート状シリコーン樹脂成型体が得られる。
温度計、冷却管、撹拌機、油浴を備えた2Lの四つ口フラスコに化合物(1) 170.0g(141.0mM)、化合物(2)51.9g(46.9mM)、化合物(3)45.9g(35.3mM)、トルエン1071gを入れ、窒素シール下、80℃で加熱攪拌した。反応液が80℃に達したら、カルステッド触媒 100μlを添加して同温度で2
時間攪拌した。撹拌終了後、油浴を氷浴に取替え反応液を10℃以下まで冷却した。反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターにてトルエン溶媒を除去した。その後、さらに40℃、0.4kPaで8時間乾燥し、白色固体 265.0gを得た。得られた固体の分子量は、重量平均分子量(Mw):3200であった。ここでいう分子量とは、GPC装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500 (インテリジェント示差屈折率計 RI-1530)において、以下の条件で測定した値である。カラム:東ソー製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用、カラム温度:40℃、展開溶剤:THF、流量:1ml/min、標準物質:分子量既知のポリスチレン(以下同じ)。
温度計、冷却管、撹拌機、油浴を備えた2Lの四つ口フラスコに化合物(1) 170.3g(141.2mM)、化合物(2)51.3g(46.4mM)、化合物(4)11.6g(35.3mM)、トルエン932.8gを入れ、窒素シール下、80℃で加熱攪拌した。反応液が80℃に達したら、カルステッド触媒 100μlを添加して同温度で3時間攪拌した。撹拌終了後、油浴を氷浴に取替え反応液を10℃以下まで冷却した。反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターにてトルエン溶媒を除去した。その後、さらに40℃、0.4kPaで8時間乾燥し、白色固体 233.0gを得た。得られた固体の分子量は、Mw:14600であった。
温度計、マグネチックスターラー、スターラーチップを備えた10mlの三つ口フラスコに化合物(6) 0.50g、N,N−ジメチルアセトアミド 0.75g、シクロヘキサノン 0.75gを入れ、窒素シール下、室温で攪拌して化合物(6)を溶解させた。次に、
化合物(7) 0.50gを入れ、そのまま室温で4時間攪拌し、極淡黄色透明のポリアミック酸溶液を得た。
化合物(5)5.00g(4.22mM)、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン0.95g(4.22mM)、酢酸エチル29.8g、トルエン29.8gを100mlの四つ口フラスコに入れ、窒素シール下50℃に加熱攪拌した。液温が50℃に達したら、触媒(テトラメチルグアニジウム−2−エチルヘキサン酸)0.059gを投入した。触媒投入後、共沸脱水を16hr行った。反応液を室温まで冷却した後、1μmのPTFEメンブランフィルターを用いてろ過した。ろ液から室温、減圧下(0.4kPa)にて溶媒を留去して、白色固体5.8gを得た。得られた固体の分子量は、Mw=44700であった。
温度計、マグネチックスターラー、スターラーチップを備えた10mlの三つ口フラスコに化合物(8) 0.2g、ジメチルアセトアミド 1.8gを入れ、窒素シール下、室温で攪拌して化合物(8)を溶解させた。次に、化合物(7) 0.21gを入れ、そのまま室温で4時間攪拌した。
まず、特公昭40−15989号公報に記載された方法を使用して篭型オクタフェニルシルセスキオキサンの製造例を示す。105gのフェニルトリクロロシラン(0.5モル)を500ccのベンゼンに溶解し、水で加水分解が完了するまで振とうする。加水分解生成物を水洗後、市販の30%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド溶液16.6cc(0.03モル)を加え、この混合物を4時間還流温度に加熱した。次いで全体を冷却し、約96時間放置した。こ
の時間経過後、得られたスラリーを再び24時間還流温度に加熱し、次いで冷却し濾過した。かくして篭型オクタフェニルシルセスキオキサン約75gを得た。
合成例1において得られたワニス1、合成例2で得られたワニス2、合成例3で得られたワニス3をそれぞれ実施例1,2,3とし、合成例6で得られたワニス4を比較例1として、それぞれ、市販のポリイミドフィルム上に、アプリケーターにて塗布し、150℃にて60分間予備焼成した。次いで、250℃にて60分間焼成後、ポリイミドフィルム上から剥離し耐候性試験サンプルとした。形成されたシリコーン樹脂成型体は90〜100μmの膜厚を有していた。
耐候性試験は、キセノンウェザーオメーター(アトラス社製、Ci65A型)を用い、JIS K 7350−2に準拠して行い、ブラックパネル温度83±3℃、相対湿度50%、水噴霧なしにより促進耐候性試験を行った。250時間後及び500時間後に耐候性試験サンプルの外観を目視により観察した。結果を表1に示した。
表中表記について、
○:膜表面荒れ、クラックの発生や変色なし、
△:膜表面荒れ、クラックの発生はないが変色有り、
×:膜表面荒れもしくはクラックの発生や変色が有りである。
機械的強度の評価は、ASTM D 882に順じ、フィルムの荷重と伸長率曲線(応力―歪曲線)を求め、求めたチャートより破断強度及び破断伸度を計算した。試験は、温度23±1℃、湿度50±3%の室内に48時間以上放置したサンプルを使用した。結果は、表1に示した。
引張条件:チャック間50mm、引張速度500mm/min.
透明性の評価は、ASTM D 1003に順じ、フィルムのヘイズ値(曇り度)を測定した。結果は、表1に示した。
試験機:日本電色工業社製TYPE NDH−20D
測定値で曇り度は、2%以下で透明であり、透明性の良いフィルムが得られている。
<化合物(3−1−1)の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を備えた内容積50リットルの反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(6.54kg)、2−プロパノール(26.3リットル)、純水(0.66kg)、および水酸化ナトリウム(0.88kg)を仕込み、乾燥窒素でシールした。撹拌しながら加熱し、還流状態で5時間反応させた。反応終了後、反応容器から加熱器を取り外し、この容器を室温下に15時間放置して、反応混合物を冷却した。このようにして得られた反応混合物から、デカンテーションによって上澄み液を除去した。そして、反応容器に残った白色固体を、2−プロパノール(9.87kg)で1回洗浄した。これをポリテトラフルオロエチレンシートで内張したステンレス製バットに移し、減圧乾燥機を用いて、庫内温度80℃、圧力6.7×10-4MPaで24時間乾燥して、2.22kgの白色粉末状の化合物(3−1−1)を得た。
<化合物(3−1−1)へのトリメチルシリル基の導入>
還流冷却器を取り付けた50mlの4つ口フラスコに、化合物(3−1−1)(1.2g)、テトラヒドロフラン(10g)、およびトリエチルアミン(1.6g)を投入し、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーによる攪拌下で、溶液温度を15℃〜20℃に保ちながらトリメチルクロロシラン(2.2g)を約1分間で滴下した。滴下終了後、15℃で3.5時間撹拌を続けた。反応終了後、純水で洗浄し、真空乾燥して白色固形物(1.2g)を得た。これを化合物(3−T)とする。
<化合物(a)の合成>
滴下漏斗、温度計、および還流冷却器を取り付けた内容積300ミリリットルの3つ口フラスコに、撹拌子、実施例1の方法を利用して得られた化合物(3−1−1)(11.6g)、テトラヒドロフラン(100g)仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチッ
クスターラーで撹拌しながら、メチルジクロロシラン(3.4g)を滴下した。滴下終了後室温で1時間攪拌した。反応終了後、純水50gを投入して、生成した塩化ナトリウムを溶解するとともに、未反応のメチルジクロロシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移し有機層と水層とに分離した。得られた有機層を飽和食塩水により洗浄した後、中性になるまで水洗を繰り返した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレータで減圧濃縮した。そして得られた残渣をメタノールで洗浄し、乾燥して6.9gの白色粉末状固体を得た。この化合物は下記解析データから、式(a)で表される構造を有していることが示唆された。
1H NMR (400MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.37 (s, 6H), 4.99 (s, 2H), 7.15〜7.56 (m, 40H).
29Si NMR (79MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): -32.78 (s, 2Si), -77.91 (s, 4Si),
-79.39 (t, 4Si).
窒素雰囲気下、p−ニトロフェノール(25.0g、0.18mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(250ml)溶液に炭酸カリウム(49.7g、0.36mol)を加えて懸濁し、3−ブロモプロペン(21.7g、0.18mol)を滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した後、水を加えてジエチルエーテルで抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を溜去して得られた残査を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)で精製した。減圧下でトルエンを溜去した後、エタノールから再結晶してアリル−p−ニトロフェニルエーテル(25.7g)を得た。
窒素雰囲気下、化合物(a)(50.0g、43.3mmol)にトルエン(500ml)を加えて懸濁し、白金−ジビニルシロキサン錯体(3wt%トルエン溶液、25μl)を加えて90℃に加熱した。これにアリル−p−ニトロフェニルエーテル(16.3g、91mmol)を5分かけて滴下し、還流状態で2時間加熱した。放冷後、トルエン(100ml)および水(300ml)を加えて抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを溜去して、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)で精製した。減圧下でトルエンを溜去した後、エタノール/酢酸エチルから再結晶して化合物(b)18.7gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.34(s,6H)、0.85−0.88(t,4H)、1.92−1.95(m,4H)、3.85−3.88(t,4H)、6.60−6.63(d,4H)、7.15−7.52(m,40H)、7.94−7.97(d,4H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−17.8(d,2Si)、−7
8.5(s,4Si)、−79.4(t,4Si).
化合物(b)(10.0g、6.61mmol)、Pd/C(1g)、およびTHF(100ml)の混合物を水素雰囲気下、室温で120時間攪拌した。Pd/Cをろ別後、減圧下でTHFを溜去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製した。減圧下で酢酸エチルを溜去して化合物(1−3−7)6.3gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.31(s,6H)、0.83−0.87(t,4H)、1.82−1.87(m,4H)、3.71−3.74(t,4H)、6.51−6.57(d,8H)、7.14−7.95(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−17.5(d,2Si)、−78.6(s,4Si)、−79.6(t,4Si).
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.32(s,6H)、0.70−0.79(t,4H)、1.32−1.42(m,6H)、1.74−1.80(m,2H)、1.89−1.99(m,2H)、2.24−2.37(m,2H)、2.51−2.60(m,2H)、7.15−7.56(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−18.1(d,2Si)、−78.5(s,4Si)、−79.4― −79.8(t,4Si).
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.30(s,6H)、0.73−0.76(t,4H)、1.66−1.72(m,4H)、2.42−2.44(m,2H)、2.64−2.66(m,2H)、2.95−2.98(m,2H)、3.15−3.19(m,2H)、3.28−3.39(m,4H)、3.44−3.48(m,2H)、7.18−7.53(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−17.4(s,2Si)、−78.6(s,4Si)、−79.5― −79.6(t,4Si).
Claims (4)
- 式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを反応させて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するワニスを用いてなるフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体であって、式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体と反応させる化合物は式(6−1)で示される化合物および式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを含む、フィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体。
- Rが非置換のフェニルである、請求項1記載のフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体。
- 式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを反応させて得られる重合体を溶剤に溶解し、基板に塗布して焼成したのち、基板からフィルムを剥離することによって得られるフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体。
- Rが非置換のフェニルである、請求項3記載のフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体。
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