JP4682644B2 - シリコーン樹脂成型体用ワニス及びシリコーン樹脂成型体 - Google Patents

シリコーン樹脂成型体用ワニス及びシリコーン樹脂成型体 Download PDF

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Description

本発明は、シリコーン樹脂成型体用ワニス及びその三次元架橋体であるシリコーン樹脂成型体に関し、詳しくは無機ガラスを代替して、レンズ、光ディスク光ファイバー、及びフラットパネルディスプレイ基板等の光学用途や住宅等の窓材に適用可能な、耐候性に優れ、且つ軽量、高衝撃強度の部材に関する。
無機ガラスは、高い透明性と耐熱性、寸法安定性を有するが故に、空間を分離しながらも空間を分隔しながらも可視光を透過して視認性を妨げない構造体として古より幅広い産業分野で利用されてきた。それらの産業分野としては、各種容器、自動車、航空機、列車等の輸送機械や住宅建築物の窓材、レンズ、光ディスク、光ファイバー、及びフラットパネルディスプレイ基板等の光学部材等が例示することができる。このように優れた特徴を持つ無機ガラスではあるが、比重が2.5以上と重いこと、衝撃に弱く割れ易いことが2大欠点であった。特に近年になってあらゆる産業分野で軽量、薄肉化といったダウンサイジングが進行した結果、ユーザーから上記欠点の改善を求める声がますます強まってきている。このような産業界からの要望に応える材料として透明な熱可塑性、及び熱硬化性樹脂に期待が集まっている。ここで透明な熱可塑性樹脂としては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)及び各種脂環式ポリオレフィン樹脂等を例示することができる。中でもPMMAは、「有機ガラス」とも呼ばれ、透明性に優れ、且つガラスの二大欠点を克服した材料として注目され、多くの分野で無機ガラスの牙城を崩しつつある。しかしながら、これら透明プラスチックは無機ガラスに比較して耐熱性や耐侯性が著しく劣っており、用途が限定されるという問題があった。
一方、透明な熱硬化性プラスチックとしては、エポキシ樹脂、硬化型(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン樹脂等を例示することができ、これらは、一般に上記の熱可塑性プラスチックよりも高い耐熱性を有している。この中でエポキシ樹脂は、硬化収縮率が小さく成形性に優れているが、成形物の耐衝撃性が低く脆いという欠点がある。また、硬化型(メタ)アクリレート樹脂は、耐熱性と成形性、成形物のバランスに優れているが、吸水率及びそれによる寸法変化率が大きいことが欠点である。
熱硬化性樹脂の中でもシリコーン樹脂は、耐熱性、耐候性及び耐水性の点で優れているため、上記の各プラスチックの問題点を解決し、無機ガラスを代替する可能性が最も高い材料である。特に、3官能性のシロキサン単位のみから構成されるポリオルガノシルセスキオキサンは、その構造からラダー(はしご)型ポリマーともよばれ、ポリイミドにも劣らない耐熱性を示すことが知られている。
そのようなポリオルガノシルセスキオキサンの一例としては、フェニルトリクロロシランを有機溶剤中、加水分解してフェニルトリヒドロキシシランとし、該加水分解生成物を水のない溶媒中にてアルカリ性転移及び縮合触媒を用いて加熱し、脱水縮重合させて得られる籠型オクタフェニルシルセスキオキサン、該籠型オクタフェニルシルセスキオキサンを分離し、再度アルカリ性転移及び縮合触媒を用いて加熱重合せしめた固有粘度の低いフェニルシロキサンプレポリマー、又はそれらを更にアルカリ性転移及び縮合触媒を用いて加熱重合せしめた固有粘度の高いフェニルシルセスキオキサン重合体を製造する方法が、特許文献1,2や非特許文献1に開示されている。
しかしながら、こうしたポリオルガノシルセスキオキサンも含めたシリコーン樹脂は、シロキサン結合の柔軟性が大きいために、構造体に必要とされる弾性率を発現されるために
は架橋密度が大きくしなければならない。ところが、架橋密度が大きくなると硬化収縮率が著しく増大し、生成物が脆性化するので好ましくない。また、硬化収縮率が著しく増大するため、厚肉の成形物を得るのが極めて困難である。こうした理由により、架橋密度の大きいシリコーン樹脂は、コーティング用途に限定され、成形用途に用いるのは架橋密度の低いシリコーンゴムに留まっているのが現状である。かかる問題点を解決するために成型加工性に優れたアクリル樹脂と共重合化する方法が提案されている。例えば、非ラダー型のシリコーン樹脂としては、側鎖にアルコキシシランと共重合させることで、アクリルポリマーを有機成分とし、ポリシロキサンを無機成分とするハイブリッド体を形成する技術が、非特許文献2に開示されている。しかし、シリコーン樹脂は、本来アクリルと相溶性が充分ではないため、機械的強度等に問題がない場合でも光線透過率等の光学的特性が損なわれる場合が多い。
アクリル樹脂との相溶性が良好なシリコーン樹脂を形成する技術が特許文献3,4に開示されている。しかしながら、アクリル樹脂を使用しているため、透明性、機械的強度等に問題がない場合でも耐候性が損なわれる場合が多い。
特公昭40−15989号公報 特開昭50−139900号公報 特開2003−137944号公報 特開2004−123936号公報 J.Polymer Sci.PartCNo.1,PP.83-97(1963) 日本化学会誌、571-580(1998)
したがって、本発明の目的は、耐候性、透明性に優れたシリコーン樹脂成型体用ワニスを用いて形成されるフィルム及びシート状シリコーン樹脂成型体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記に示すようなシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物及び溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニスを用いることにより、耐候性などに優れたフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の構成からなる。
(1)式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(1−1)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y1は式(a−1)で示される基である。Raがビニル、アリルまたはスチリルであって、X11が炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
Figure 0004682644
式(2−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、X21の少なくとも2つは水素であり、X21の残りはR1である。
Figure 0004682644
式(3−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、Lは単結合、−O−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニレン、4,4’−オキシ−1,1’−ジフェニレン、または式(c)で示される基である。そして式(c)において、R2はR1と同様に定義される基であり、mは1〜30の整数である。
Figure 0004682644
式(4−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチル、iso−ブチル、又はトリフルオロプロピルであり、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
Figure 0004682644
式(5−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルである。R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
Figure 0004682644
式(6−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
Figure 0004682644
式(7−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
(2)Rが非置換のフェニルである、(1)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(3)式(1−2)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(8−2)で示される化合物を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
(4)Rが非置換のフェニルである、(3)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(5)式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及びカルボン酸もしくはエポキシドを用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(1−3)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y3は式(a−3)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X13は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。(6)Rが非置換のフェニルである、(5)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(7)式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体及びジアミンを用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(1−4)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y4は式(a−4)または(b−1)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。R5は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
(8)ジアミンのうち少なくとも1種類以上が式(9−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体である、(7)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(9−1)において、すべてのR6は炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニルまたは炭素数6〜20のアリールであり、任意の−CH2−は酸素で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。R7は単結合または炭素数1〜15の2価の有機基、R8は炭素数1〜15の3価の有機基である。
(9)Rが非置換のフェニルである、(7)または(8)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(10)式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(1−3)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y3は式(a−3)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X13は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
Figure 0004682644
式(1−4)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y4は式(a−4)または(b−1)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。R5は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
(11)Rが非置換のフェニルである、(10)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(12)式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(1−5)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(1−4)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y4は式(a−4)または(b−1)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。R5は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
Figure 0004682644
式(1−5)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y5は式(a−5)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X15は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
(13)Rが非置換のフェニルである、(12)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(14)式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体及び式(9−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するシリコーン樹脂成型体用ワニス。
Figure 0004682644
式(1−4)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y4は式(a−4)または(b−1)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。R5は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
Figure 0004682644
式(9−1)において、すべてのR6は炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニルまたは炭素数6〜20のアリールであり、任意の−CH2−は酸素で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。R7は単結合または炭素数1〜15の2価の有機基、R8は炭素数1〜15の3価の有機基である。
(15)R6がフルオロアルキルまたはフルオロアリールである(14)のシリコーン樹
脂成型体用ワニス。
(16)R6がトリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシル、ペンタフルオロフェニル及び4−フルオロフェニルの何れかである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(17)R8がベンゼントリイルまたはトリフルオロベンゼントリイルである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(18)Rが非置換のフェニルである、(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(19)Rが非置換のフェニルで、R6がフルオロアルキルまたはフルオロアリールである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(20)Rが非置換のフェニルで、R6がトリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシル、ペンタフルオロフェニル及び4−フルオロフェニルの何れかである(13)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(21)Rが非置換のフェニルで、R8がベンゼントリイルまたはトリフルオロベンゼントリイルである(14)のシリコーン樹脂成型体用ワニス。
(22)(1)〜(21)のいずれかのシリコーン樹脂成型体用ワニスを用いてなるフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体。
本発明のポリシルセスキオキサンを用いたフィルム成型体は、耐候性が優れ、透明性及び機械的強度が良いことから、無機ガラスを代替して、レンズ、光ディスク光ファイバー、及びフラットパネルディスプレイ基板等の光学用途や住宅等の窓材に用いることが出来る。
以下の説明においては、「シルセスキオキサン」を記号「PSQ」で表記することがある。従って、「シルセスキオキサン誘導体」は「PSQ誘導体」と表記される。式(1−1)で示されるPSQ誘導体を化合物(1−1)と表記することがある。式(2−1)で示される化合物を化合物(2−1)と表記することがある。他の式で示されるPSQ誘導体および化合物についても、同様の方法で簡略化して表記することがある。なお、化合物を示す式において同じ記号で表される基が複数あるときは、定義された基から選ばれる限り、それらは同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。例えば、式(1−1)において、Rは、独立して、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチルから選ばれる基であり、同一の基でも異なる基でもよい。その他の式においても同様である。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明中のアルキルは、いずれの場合も直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよく、または一部もしくは全てが環状の基であってもよい。また2価の有機基の具体例として、メチレン、エタンジイル、プロパンジイル、ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、シクロブタンジイル、シクロペンタンジイル、シクロヘキサンジイル、ベンゼンジイル(フェニレン)を挙げることができる。
更に、水素原子がフッ素で置換されたジフルオロメチレン、テトラフルオロエタンジイル、ヘキサフルオロプロパンジイル、オクタフルオロブタンジイル、パーフルオロペンタンジイル、パーフルオロヘキサンジイル、パーフルオロヘプタンジイル、ヘキサフルオロシ
クロブタンジイル、パーフルオロシクロペンタンジイル、パーフルオロシクロヘキサンジイル、フルオロベンゼンジイル(フルオロフェニレン)等の2価の基を挙げることができる。
これらの炭化水素基において結合基の位置は任意である。例えば、エタンジイルの場合、1,2−エタンジイルと1,1−エタンジイルの両方の場合を含む。ベンゼンジイルは、1,4−ベンゼンジイル、1,3−ベンゼンジイル、および1,2−ベンゼンジイルの場合を含む。また、これら炭化水素の任意の−CH2−を、酸素、エステル結合、アミド結合あるいはカルボニル基で置換してもよい。このような場合、2個以上の酸素が連続する場合は化学的に不安定であるため好ましくない。化合物(1−1)を用いるとき、反応の相手にSi−H基を少なくとも2つ有する化合物を選ぶことにより、ヒドロシリル化反応を利用して重合体とすることができる。得られる重合体の化学構造を枝分かれのない直線状にするためには、化合物(1−1)の反応の相手にSi−H基を2つ有する化合物を選ぶことが好ましい。このような化合物として、シルセスキオキサン誘導体またはシロキサンを有する化合物を選択することにより、耐熱性、耐候性などの優れた重合体を得ることができる。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第1の態様は、式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを用いて得られる重合体である。これらの化合物を溶剤、触媒を用いてヒドロシリル化重合させることによって重合体(重合体1)を得ることが出来る。
Figure 0004682644
式(1−1)において、すべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、特に好ましくは非置換のフェニルである。Y1は式(a−1)で示される基であり、Raがビニル、アリルまたはスチリルであって、X11が炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
本発明で用いる化合物(1−1)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−1)として具体的には、後述の合成例1、2で示す化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
Figure 0004682644
式(2−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、X21の少なくとも2つは水素であり、X21の残りはR1である。
Figure 0004682644
式(3−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、Lは単結合、−O−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニレン、4,4’−オキシ−1,1’−ジフェニレン、または式(c)で示される基である、そして式(c)において、R2はR1と同様に定義される基であり、mは1〜30の整数である。
Figure 0004682644
式(4−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチル、iso−ブチル、又はトリフルオロプロピルであり、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
化合物(4−1)は特開2005-015738号公報に記載されている方法を参照して製造することができる。
化合物(4−1)として具体的には、後述の合成例1、2で示す化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
Figure 0004682644
式(5−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルである。R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
化合物(5−1)は、国際公開第2004/024741号パンフレットに記載されている方法を参照して製造することができる。
化合物(5−1)として具体的には、後述の合成例1で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
Figure 0004682644
式(6−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
化合物(6−1)として具体的には、後述の合成例2で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
Figure 0004682644
式(7−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
なお、上記の化合物はハイブリッド・プラスチック社から入手することもできる。
ヒドロシリル化重合に用いる溶剤は、反応の進行を阻害しないものであれば特に制限されない。好ましい溶剤は、ヘキサンやヘプタンなどの炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤などである。これらの溶剤は単独で使用しても、その複数を組み合わせて使用してもよい。これらの溶剤の中でも、芳香族炭
化水素系溶剤、その中でもトルエンが最も好ましい。溶剤は必ずしも必要ではないが、使用する場合には溶剤に対する本発明の化合物の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて0.05〜80重量%である。より好ましい割合は30〜70重量%である。割合は、目的によって異なる。
ヒドロシリル化重合は室温で実施してもよい。重合を促進させるために加熱してもよい。重合による発熱または好ましくない重合等を制御するために冷却してもよい。ヒドロシリル化重合では、必要に応じて触媒を用いることができる。ヒドロシリル化触媒を添加することによって、重合をより容易に進行させることができる。好ましいヒドロシリル化触媒の例は、カルステッド(Karstedt)触媒、スパイヤー(Spier)触媒、ヘキサクロロプラチニック酸などであり、これらは一般的によく知られた触媒である。これらのヒドロシリル化触媒は、反応性が高いので少量添加すれば十分反応を進めることができる。その使用量は、触媒に含まれる遷移金属のヒドロシリル基に対する割合で、10-9〜1モル%である。好ましい添加割合は10-7〜10-3モル%である。10-9モル%は、重合を進行させることができ、容認できる時間内で終了させるために必要な添加割合の下限である。製造コストを低く抑えることを考慮すれば、この割合は1モル%以下である方がよい。
ヒドロシリル化重合により得られる重合体の分子量は3000〜20万が好適である。3000以下では溶剤に溶解しにくく、20万以上では容易にゲル化してしまう。またより好ましくは分子量3000〜20000である。なお本発明における塗布液においては分子量の異なる重合体を2種類以上混合して使用してもよい。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第2の態様は、式(1−2)で示されるシルセスキオキサン誘導体と、式(8−2)で示される化合物を用いて得られる重合体である。これらの化合物を溶剤、触媒を用いて脱水縮合化反応させることによって重合体(重合体2)を得ることができる。
Figure 0004682644
式(1−2)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、特に好ましくは非置換のフェニルである。Y2は式(a−2)で示される基である。X12が炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
化合物(1−2)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−2)として具体的には、後述の合成例4で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
Figure 0004682644
式(8−2)におけるR1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニル、R3はフェニル、ナフタレン、又はアントラセンである。
化合物(8−2)として具体的には、後述の合成例4で示す1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンが挙げられるが、これには限定されない。
脱水縮合反応に用いる溶剤は、化合物(1−2)および化合物(8−2)を溶解しやすい、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶剤や酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤と、重合体を溶解しやすいヘキサンやヘプタンなどの炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶剤を混合して使用するのが好ましい。ただし両者を溶解できるものであればこれに制限されるわけではない。溶剤に対する本発明の化合物の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて1重量%〜80重量%である。より好ましい割合は20〜50重量%である。
脱水縮合反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジーiso−プロピルアミン、N、N−ジエチルヘキシルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカー7−エン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン等のアミン類やテトラメチルグアニジウムー2−エチルヘキソエート等があげられる。触媒濃度としては、基質に対して0.01〜10.0%である。好ましくは0.1〜1.0%である。
脱水縮合反応は、共沸脱水により進行することができる。
化合物(1−2)と化合物(8−2)の反応のモル比は、化合物(1−2)の割合が10モル%〜80モル%である。好ましくは50モル%〜75モル%である。
脱水縮合反応により得られる重合体の分子量は、3000〜100万が好適である。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第3の態様は、式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体と、カルボン酸もしくはエポキシドを用いて得られる重合体である。式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体と、カルボン酸もしくはエポキシドのいずれかもしくは2種類以上を有機溶媒中で反応させることによって重合体(重合体3)を得ることができる。
Figure 0004682644
式(1−3)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、特に好ましくは非置換のフェニルである。Y3は式(a−3)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X13は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
化合物(1−3)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−3)として具体的には、後述の合成例3で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
用いられるカルボン酸はテトラカルボン酸類もしくはジカルボン酸類より選ばれる多価のカルボン酸である。用語「テトラカルボン酸類」を、テトラカルボン酸の他、テトラカルボン酸のエステル、酸無水物および酸ハライドをも含む総称として用いる。ジカルボン酸類も同様に定義される用語である。
テトラカルボン酸類は、脂肪族系、脂環式系、芳香族系のいずれの群に属するものであってもよい。これらはシロキサン基を含むものであっても光学活性であってもよい。テトラカルボン酸二無水物には異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。2つ以上のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。2つ以上のテトラカルボン酸二無水物を用いるときには、同じ種類から2つ以上を選択してもよいし、異なる種類からそれぞれ少なくとも1つを選択してもよい。なお、本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物を下記に例示するが、下記の例示化合物に限定されるものではない。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物の例は、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物である。脂環式系テトラカルボン酸二無水物の例は、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロヘプタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロオクタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3、4−ジカルボキシ−1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン−1−琥珀酸二無水物、3,3'−ビシクロヘキシル−1,1',2,2'−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、およびテトラシクロ[6.2.11,3.02,7]ドデカン−4,5,9,10−テトラカルボン酸二無水物である。更に、下記の構造式で示される酸二無水物を挙げることができる。これらの
化合物においては、任意の水素がメチル、エチルなどの低級アルキルで置き換えられてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の例は、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン酸二無水物(2,3,6,7−ナフタレン酸無水物等)、3,3'−4,4'−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3'−4,4'−ジフェニルエタンテトラカルボン酸二無水物、3,3'−4,4'−ジフェニルプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3'−4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルメチル)ジフェニルメタン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルメチル)ジフェニルエタン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルメチル)ジフェニルプロパン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエタン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'−パ−フルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルスルフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルエ−テル二無水物、およびビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルメタン二無水物である。
ジカルボン酸類は、脂肪族系、脂環式系、芳香族系のいずれの群に属するものであってもよい。これらはシロキサン基を含むものであっても光学活性であってもよい。ジカルボン酸類には異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。2つ以上のジカルボン酸類を併用してもよい。2つ以上のジカルボン酸類を用いるときには、同じ種類から2つ以上を選択してもよいし、異なる種類からそれぞれ少なくとも1つを選択してもよい。なお、本発明に使用するジカルボン酸を下記に例示するが、下記の例示化合物に限定されるものではない。
脂肪族ジカルボン酸の例は、マロン酸、蓚酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ムコン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライイン酸、セバシン酸、およびスベリン酸である。
脂環式系のジカルボン酸の例は、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ジフェニル−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ジフェニル−1,3−シクロブタンジカルボン酸、1−シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロブテン−3,4−ジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ジオキソ−1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、4,8−ジオキソ−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2,6−スピロ[3.3]ヘプタンジカルボン酸、1,3−
アダマンタン二酢酸、およびカンファ−酸である。
芳香族ジカルボン酸の例は、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラキノンジカルボン酸、2,5−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、1,5−ビフェニレンジカルボン酸、4,4"−タ−フェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ビベンジルジカルボン酸、4,4'−スチルベンジカルボン酸、4,4'−トランジカルボン酸、4,4'−カルボニル二安息香酸、4,4'−スルホニル二安息香酸、4,4'−ジチオ二安息香酸、p−フェニレン二酢酸、3,3'−p−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシ桂皮酸、p−フェニレンジアクリル酸、3,3'−(4,4'−(メチレンジ−p−フェニレン))ジプロピオン酸、4,4'−(4,4'−(オキシジ−p−フェニレン))ジプロピオン酸、4,4'−(4,4'−(オキシジ−p−フェニレン))二酪酸、(イソプロピリデンジ−p−フェニレンジオキシ)二酪酸、およびビス(p−カルボキシフェニル)ジメチルシランである。
複素環を含むジカルボン酸の例は、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、4,5−チアゾールジカルボン酸、2−フェニル−4,5−チアゾールジカルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−3,4−ジカルボン酸、1,2,5−オキサジアゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、および3,5−ピリジンジカルボン酸である。
エポキシドは、脂肪族、脂環式系、芳香族のいずれの群に属するものであってもよく、またこれらはシロキサン基を含むものであっても光学活性であってもよい。また、エポキシドには異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。2つ以上のエポキシドを併用してもよい。そして、2つ以上のエポキシドを用いるときには、同じ種類から2つ以上を選択してもよいし、異なる種類からそれぞれ少なくとも1つを選択してもよい。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第4の態様は、式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体と、ジアミンを用いて得られる重合体である。化合物(1−4)とジアミンとを有機溶媒中で反応させることによって重合体(重合体4)を得ることができる。
Figure 0004682644
式(1−4)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチルであり、特に好ましくは非置換のフェニルである。Y4は式(a−4)または(b−1)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。R5は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、X14は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
化合物(1−4)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−4)として具体的には、後述の合成例3,5で示す化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
ジアミンとしては、脂肪族、脂環式系、芳香族のいずれの群に属するものであってもよく、またこれらはシロキサン基またはシルセスキオキサンを含むものであっても光学活性であってもよい。脂肪族ジアミンの例は、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、およびヘキサメチレンジアミンである。これらのアルキレンジアミンにおいて、任意の−CH2−が−O−で置き換えられた構造のジアミンでもよい。また、ジアミンには異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。2つ以上のジアミンを併用してもよい。そして、2つ以上のジアミンを用いるときには、同じ種類から2つ以上を選択してもよいし、異なる種類からそれぞれ少なくとも1つを選択してもよい。なお本発明に使用するジアミン下記に例示するが、下記の例示化合物に限定されない。
脂環式系ジアミンの例は、1,4−ジアミノジシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(2−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン−7−エン、2,5−ジアミノ−7−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノ−7−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、2,5−ジアミノ−7−チアビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6−ジアミノビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノオキサビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノチアビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6−ジアミノビシクロ[3.2.2]ノナン、2,6−ジアミノビシクロ[3.2.2]ノナン−8−エン、2,6−ジアミノ−8−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、2,6−ジアミノ−8−オキサビシクロ[3.2.2]ノナン、および2,6−ジアミノ−8−チアビシクロ[3.2.2]ノナンである。
芳香族ジアミンの例は、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,6−ジアミノピリジン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−ブチルアミン、N,N−ビス−(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2、2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,2−ビス(3−ジアミノフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ジアミノフェニル)エタン、4,4'−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4'−ジアミノジフェニルエ−テル、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)メタン、1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エタン、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ブタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルケトン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、1,3−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ベンゼン、4,4'−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ビフェニル、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−カルバモイル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−スルファモイル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−カルボキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−スルファモイル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−カルボキシ−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(2,2−{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−メチル−γ−アミノペンチル)ベンゼン、ビスp−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)メタン、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)エタン、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)プロパン、ビス(4−アミノベンゾルオキシ)シクロヘキサン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチルベンジジン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、1,2−ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノフェニル)メチル)ベンゼン、1,4−ビス((3−アミノフェニル)メチル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノフェニル)エチル)ベンゼン、1,4−ビス((3−アミノフェニル)エチル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノ−3−メチル−フェニル)メチル)ベンゼン、1,4−ビス((4−アミノ−3−メチル−フェニル)エチル)ベンゼン、4,4'−(4−アミノフェニル)ビフェニル、ビス−((4−(4−アミノフェニルメチル)フェニル)メタン、ビス−((4−(4−アミノフェニルメチル)フェニル)エタン、ビス−((4−(3−アミノフェニルメチル)フェニル)メタン 、ビス−((4−(3−アミノフェニルメチル)フェニル)エタン、2,2−ビス−((4−(4−アミノフェニルメチル)フェニル)プロパン、および2,2−ビス−((4−(3−アミノフェニルメチル)フェニル)プロパンである。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第5の態様は、式(1−3)で示されるシルセスキオキサン誘導体と式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られる重合体である。化合物(1−3)と化合物(1−4)を有機溶媒中で反応させることによって重合体(重合体5)を得ることができる。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第6の態様は、式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体と式(1−5)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られる重合体である。化合物(1−4)と化合物(1−5)を有機溶媒中で反応させることによって重合体(重合体6)を得ることができる。
Figure 0004682644
式(1−5)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチルであり、特に好ましくは非置換のフェニルである。Y5は式(a−5)で示される基である。R4は炭素数1〜20の2価の有機基であり、X15は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
化合物(1−5)は、国際公開第03/024870号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
化合物(1−5)として具体的には、後述の合成例5で示す化合物が挙げられるが、これには限定されない。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスに含まれる重合体の第7の態様は、式(1−4)で示されるシルセスキオキサン誘導体と、式(9−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体を用いて得られる重合体である。化合物(1−4)と化合物(9−1)を有機溶媒中で反応させることによって重合体(重合体7)を得ることができる。
Figure 0004682644
式(9−1)において、すべてのR5は炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニルまたは炭素数6〜20のアリールであり、任意の−CH2−は酸素で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましくはフルオロアルキルまたはフルオロアリールであり、より好ましくはトリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシル、ペンタフルオロフェニル及び4−フルオロフェニルの何れかである。
6は単結合または炭素数1〜15の2価の有機基である。
7は炭素数1〜15の3価の有機基であり、好ましくはベンゼントリイルまたはトリフルオロベンゼントリイルである。
なお、式(9−1)の化合物は、通常の有機化学的手法で容易に合成することによって得ることができる。すなわち、市販の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体(a)を、適当な官能基を持つトリクロロシラン誘導体で閉環する(b)。この化合物(b)にアミノ基へ誘導可能な官能基(具体的にはニトロ基等)を2つ有する任意の有機基を反応させ(c)、得られた(c)をアミノ基へ変換することで合成するのが最も一般的である。式(9−1)の化合物においてR6がエステル結合の場合の合成例を以下に示す。
Figure 0004682644
重合体3〜7を合成するための反応において、用いられる溶媒は、重合反応を阻害することなく、モノマーとポリマーを溶解することができるものであれば特に制限されない。具体例として、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンを挙げることができる。好ましくは、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランである。これらの溶媒は、単独で用いても複数混合して使用してもよい。
さらに必要により、塗布性改善などの目的で表面張力の低い溶媒を併用してもよい。具体例として、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、テトラリン、イソホロン、エチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(エチレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、ジエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルなど)、エチレングリコ−ルモノアルキルまたはフェニルアセテ−ト、トリエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、マロン酸ジアルキル(マロン酸ジエチルなど)を挙げることができる。これらの溶媒は、先の良溶媒に対して貧溶媒的なものが多い。従って、溶解成分が析出しない程度の量を添加することが好ましい。
上記いずれかのシリコーン樹脂組成物を適当な溶剤に溶解することでシリコーン樹脂成型体用ワニスができる。
本発明における塗布液において使用される溶剤は、該重合体を溶解可能な溶剤であればよく、特に制限はない。具体例として、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロペンタ
ノン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、テトラリン、イソホロン、エチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(エチレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、ジエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルなど)、エチレングリコ−ルモノアルキルまたはフェニルアセテ−ト、トリエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、マロン酸ジアルキル(マロン酸ジエチルなど)を挙げることができる。好ましくは、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。これらの溶剤は、単独で用いても複数混合して使用してもよい。
本発明のワニスにおけるシリコーン樹脂組成物の濃度は、特に限定されないが1重量%〜95重量%であることが好ましい。例えばアプリケーター法によって塗布する場合は、20重量%〜80重量%で用いるのが好適である。
本発明のシリコーン樹脂成型体用ワニスを用いて成型する事により、フィルム状及びシート状シリコーン樹脂成型体を得ることができる。
フィルム状及びシート状成型体の大きさや厚さは特に制限されないが、0.01mm〜5mmの厚さが好ましく、0.03mm〜3mmの厚さがより好ましい。
フィルム状及びシート状シリコーン樹脂成型体の形成は、シリコーン樹脂成型体用ワニスを基板上へ塗布する工程と、これに続く焼成工程により行われる。基板としては、ガラス基板、プラスチック基板、またはフィルム状基板などを用いることができる。塗布の方法としてスピンナー法、ドクターコーター法、ディッピング法または滴下法などが一般に知られており、これらの方法により目的の厚さのフィルム又はシートが得られるように塗布する。また、シリコーン樹脂成型体用ワニスを焼成する方法として、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法やホットプレート上で加熱処理する方法などが一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。また、加熱処理工程は一般に40〜300℃程度の温度下で行うことが好ましい。加熱後、焼成されたシート又はフィルムを基板から剥がすことにより、フィルム状及びシート状シリコーン樹脂成型体が得られる。
本発明のフィルム状及びシート状シリコーン樹脂成型体は、透明性、耐候性に優れ、且つ軽量、高衝撃強度であるという特長を有しており、例えば、レンズ、光ディスク光ファイバー、及びフラットパネルディスプレイ基板等の光学用途や住宅等の窓材に適用可能である。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
温度計、冷却管、撹拌機、油浴を備えた2Lの四つ口フラスコに化合物(1) 170.0g(141.0mM)、化合物(2)51.9g(46.9mM)、化合物(3)45.9g(35.3mM)、トルエン1071gを入れ、窒素シール下、80℃で加熱攪拌した。反応液が80℃に達したら、カルステッド触媒 100μlを添加して同温度で2
時間攪拌した。撹拌終了後、油浴を氷浴に取替え反応液を10℃以下まで冷却した。反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターにてトルエン溶媒を除去した。その後、さらに40℃、0.4kPaで8時間乾燥し、白色固体 265.0gを得た。得られた固体の分子量は、重量平均分子量(Mw):3200であった。ここでいう分子量とは、GPC装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500 (インテリジェント示差屈折率計 RI-1530)において、以下の条件で測定した値である。カラム:東ソー製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用、カラム温度:40℃、展開溶剤:THF、流量:1ml/min、標準物質:分子量既知のポリスチレン(以下同じ)。
Figure 0004682644
Figure 0004682644
Figure 0004682644
(合成例2)
温度計、冷却管、撹拌機、油浴を備えた2Lの四つ口フラスコに化合物(1) 170.3g(141.2mM)、化合物(2)51.3g(46.4mM)、化合物(4)11.6g(35.3mM)、トルエン932.8gを入れ、窒素シール下、80℃で加熱攪拌した。反応液が80℃に達したら、カルステッド触媒 100μlを添加して同温度で3時間攪拌した。撹拌終了後、油浴を氷浴に取替え反応液を10℃以下まで冷却した。反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターにてトルエン溶媒を除去した。その後、さらに40℃、0.4kPaで8時間乾燥し、白色固体 233.0gを得た。得られた固体の分子量は、Mw:14600であった。
Figure 0004682644
Figure 0004682644
Figure 0004682644
(合成例3)
温度計、マグネチックスターラー、スターラーチップを備えた10mlの三つ口フラスコに化合物(6) 0.50g、N,N−ジメチルアセトアミド 0.75g、シクロヘキサノン 0.75gを入れ、窒素シール下、室温で攪拌して化合物(6)を溶解させた。次に、
化合物(7) 0.50gを入れ、そのまま室温で4時間攪拌し、極淡黄色透明のポリアミック酸溶液を得た。
Figure 0004682644
(合成例4)
化合物(5)5.00g(4.22mM)、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン0.95g(4.22mM)、酢酸エチル29.8g、トルエン29.8gを100mlの四つ口フラスコに入れ、窒素シール下50℃に加熱攪拌した。液温が50℃に達したら、触媒(テトラメチルグアニジウム−2−エチルヘキサン酸)0.059gを投入した。触媒投入後、共沸脱水を16hr行った。反応液を室温まで冷却した後、1μmのPTFEメンブランフィルターを用いてろ過した。ろ液から室温、減圧下(0.4kPa)にて溶媒を留去して、白色固体5.8gを得た。得られた固体の分子量は、Mw=44700であった。
Figure 0004682644
(合成例5)
温度計、マグネチックスターラー、スターラーチップを備えた10mlの三つ口フラスコに化合物(8) 0.2g、ジメチルアセトアミド 1.8gを入れ、窒素シール下、室温で攪拌して化合物(8)を溶解させた。次に、化合物(7) 0.21gを入れ、そのまま室温で4時間攪拌した。
Figure 0004682644
(合成例6)
まず、特公昭40−15989号公報に記載された方法を使用して篭型オクタフェニルシルセスキオキサンの製造例を示す。105gのフェニルトリクロロシラン(0.5モル)を500ccのベンゼンに溶解し、水で加水分解が完了するまで振とうする。加水分解生成物を水洗後、市販の30%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド溶液16.6cc(0.03モル)を加え、この混合物を4時間還流温度に加熱した。次いで全体を冷却し、約96時間放置した。こ
の時間経過後、得られたスラリーを再び24時間還流温度に加熱し、次いで冷却し濾過した。かくして篭型オクタフェニルシルセスキオキサン約75gを得た。
次に、反応容器中に上記の篭型オクタフェニルシルセスキオキサン8重量部と1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン8重量部と、トルエン32重量部と、水酸化セシウム0.16重量部と、重合禁止剤(精工化学社製メトキノン)0.03重量部を仕込み、この混合物を還流温度にて強撹拌し7時間加熱した。仕込み時は篭型オクタフェニルシルセスキオキサンの白色粉末はトルエンに溶解しなかったが、反応が進むにつれ徐々に溶解し、7時間後にはすべて溶解した。この溶液を室温まで冷却し、不溶な未反応の水酸化セシウムを濾過により除去した後、メタノール500重量部に注ぎ込み、末端にメタクリル基を有したシリル化ポリフェニルシルセスキオキサンを沈殿せしめた。沈殿生成物を濾別した後、真空乾燥して、白色固体の末端にメタクリル基を有した単一構造の篭型シリル化ポリフェニルシルセスキオキサン14重量部を得た。
合成例1にて得られた重合体 4.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 6.0gに溶解し、この溶液を0.2μmのPTFE製のフィルターでろ過した。得られた溶液をワニス1とした。
合成例2にて得られた重合体 4.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 7.0gに溶解し、この溶液を0.2μmのPTFE製のフィルターでろ過した。得られた溶液をワニス2とした。
合成例3にて得られたポリアミック酸溶液を0.2μmのPTFE製のフィルターでろ過した。得られた溶液をワニス3とした。
合成例6で得たメタクリル基を有した篭型シリル化ポリフェニルシルセスキオキサン:50重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:50重量部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート:2重量部を混合し、透明なシリコーン樹脂組成物を得た。得られた溶液をワニス4とした。
(シリコーン樹脂成型体の作成)
合成例1において得られたワニス1、合成例2で得られたワニス2、合成例3で得られたワニス3をそれぞれ実施例1,2,3とし、合成例6で得られたワニス4を比較例1として、それぞれ、市販のポリイミドフィルム上に、アプリケーターにて塗布し、150℃にて60分間予備焼成した。次いで、250℃にて60分間焼成後、ポリイミドフィルム上から剥離し耐候性試験サンプルとした。形成されたシリコーン樹脂成型体は90〜100μmの膜厚を有していた。
(耐候性試験)
耐候性試験は、キセノンウェザーオメーター(アトラス社製、Ci65A型)を用い、JIS K 7350−2に準拠して行い、ブラックパネル温度83±3℃、相対湿度50%、水噴霧なしにより促進耐候性試験を行った。250時間後及び500時間後に耐候性試験サンプルの外観を目視により観察した。結果を表1に示した。
表中表記について、
○:膜表面荒れ、クラックの発生や変色なし、
△:膜表面荒れ、クラックの発生はないが変色有り、
×:膜表面荒れもしくはクラックの発生や変色が有りである。
(機械的強度)
機械的強度の評価は、ASTM D 882に順じ、フィルムの荷重と伸長率曲線(応力―歪曲線)を求め、求めたチャートより破断強度及び破断伸度を計算した。試験は、温度23±1℃、湿度50±3%の室内に48時間以上放置したサンプルを使用した。結果は、表1に示した。
引張条件:チャック間50mm、引張速度500mm/min.
(透明性の評価)
透明性の評価は、ASTM D 1003に順じ、フィルムのヘイズ値(曇り度)を測定した。結果は、表1に示した。
試験機:日本電色工業社製TYPE NDH−20D
測定値で曇り度は、2%以下で透明であり、透明性の良いフィルムが得られている。

Figure 0004682644
以下、参考例として、本発明のワニスに含まれるシリコーン樹脂組成物の製造に用いるシルセスキオキサン誘導体の製造法を例示する。
[参考例1]
<化合物(3−1−1)の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を備えた内容積50リットルの反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(6.54kg)、2−プロパノール(26.3リットル)、純水(0.66kg)、および水酸化ナトリウム(0.88kg)を仕込み、乾燥窒素でシールした。撹拌しながら加熱し、還流状態で5時間反応させた。反応終了後、反応容器から加熱器を取り外し、この容器を室温下に15時間放置して、反応混合物を冷却した。このようにして得られた反応混合物から、デカンテーションによって上澄み液を除去した。そして、反応容器に残った白色固体を、2−プロパノール(9.87kg)で1回洗浄した。これをポリテトラフルオロエチレンシートで内張したステンレス製バットに移し、減圧乾燥機を用いて、庫内温度80℃、圧力6.7×10-4MPaで24時間乾燥して、2.22kgの白色粉末状の化合物(3−1−1)を得た。
[参考例2]
<化合物(3−1−1)へのトリメチルシリル基の導入>
還流冷却器を取り付けた50mlの4つ口フラスコに、化合物(3−1−1)(1.2g)、テトラヒドロフラン(10g)、およびトリエチルアミン(1.6g)を投入し、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーによる攪拌下で、溶液温度を15℃〜20℃に保ちながらトリメチルクロロシラン(2.2g)を約1分間で滴下した。滴下終了後、15℃で3.5時間撹拌を続けた。反応終了後、純水で洗浄し、真空乾燥して白色固形物(1.2g)を得た。これを化合物(3−T)とする。
Figure 0004682644
Figure 0004682644
[参考例3]
<化合物(a)の合成>
滴下漏斗、温度計、および還流冷却器を取り付けた内容積300ミリリットルの3つ口フラスコに、撹拌子、実施例1の方法を利用して得られた化合物(3−1−1)(11.6g)、テトラヒドロフラン(100g)仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチッ
クスターラーで撹拌しながら、メチルジクロロシラン(3.4g)を滴下した。滴下終了後室温で1時間攪拌した。反応終了後、純水50gを投入して、生成した塩化ナトリウムを溶解するとともに、未反応のメチルジクロロシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移し有機層と水層とに分離した。得られた有機層を飽和食塩水により洗浄した後、中性になるまで水洗を繰り返した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレータで減圧濃縮した。そして得られた残渣をメタノールで洗浄し、乾燥して6.9gの白色粉末状固体を得た。この化合物は下記解析データから、式(a)で表される構造を有していることが示唆された。
1H NMR (400MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): 0.37 (s, 6H), 4.99 (s, 2H), 7.15〜7.56 (m, 40H).
29Si NMR (79MHz, CDCl3, TMS 標準:δ=0.0 ppm): -32.78 (s, 2Si), -77.91 (s, 4Si),
-79.39 (t, 4Si).
Figure 0004682644
[参考例4]
<化合物(1−3−7)の製造>
下記の経路により化合物(1−3−7)を製造した。
Figure 0004682644
第1段:アリル−p−ニトロフェニルエーテルの製造
窒素雰囲気下、p−ニトロフェノール(25.0g、0.18mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(250ml)溶液に炭酸カリウム(49.7g、0.36mol)を加えて懸濁し、3−ブロモプロペン(21.7g、0.18mol)を滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した後、水を加えてジエチルエーテルで抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を溜去して得られた残査を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)で精製した。減圧下でトルエンを溜去した後、エタノールから再結晶してアリル−p−ニトロフェニルエーテル(25.7g)を得た。
第2段:化合物(b)の製造
窒素雰囲気下、化合物(a)(50.0g、43.3mmol)にトルエン(500ml)を加えて懸濁し、白金−ジビニルシロキサン錯体(3wt%トルエン溶液、25μl)を加えて90℃に加熱した。これにアリル−p−ニトロフェニルエーテル(16.3g、91mmol)を5分かけて滴下し、還流状態で2時間加熱した。放冷後、トルエン(100ml)および水(300ml)を加えて抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを溜去して、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)で精製した。減圧下でトルエンを溜去した後、エタノール/酢酸エチルから再結晶して化合物(b)18.7gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.34(s,6H)、0.85−0.88(t,4H)、1.92−1.95(m,4H)、3.85−3.88(t,4H)、6.60−6.63(d,4H)、7.15−7.52(m,40H)、7.94−7.97(d,4H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−17.8(d,2Si)、−7
8.5(s,4Si)、−79.4(t,4Si).
第3段:化合物(1−3−7)の製造
化合物(b)(10.0g、6.61mmol)、Pd/C(1g)、およびTHF(100ml)の混合物を水素雰囲気下、室温で120時間攪拌した。Pd/Cをろ別後、減圧下でTHFを溜去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製した。減圧下で酢酸エチルを溜去して化合物(1−3−7)6.3gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.31(s,6H)、0.83−0.87(t,4H)、1.82−1.87(m,4H)、3.71−3.74(t,4H)、6.51−6.57(d,8H)、7.14−7.95(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−17.5(d,2Si)、−78.6(s,4Si)、−79.6(t,4Si).
[参考例5]
<化合物(1−1−4)の製造>
下記の経路により化合物(1−1−4)を製造した。
Figure 0004682644
窒素雰囲気下、化合物(a)(50.0g、43.3mmol)にTHF(150ml)を加えて懸濁し、白金−ジビニルシロキサン錯体(3wt%トルエン溶液、320μl)を加えて90℃に加熱した。これにアリルコハク酸無水物(14.5g、103.5mmol)を5分かけて滴下し、還流状態で7時間加熱した。放冷後、減圧下で溶媒を溜去してから、得られた残渣にメタノール(150ml)を加えて、室温で2時間撹拌した。固体をろ取してTHF(150ml)に溶解し、活性炭(6g)を加えて室温で2時間撹拌した。活性炭をろ別後、減圧下でTHFを溜去して、化合物(1−1−4)55.9gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.32(s,6H)、0.70−0.79(t,4H)、1.32−1.42(m,6H)、1.74−1.80(m,2H)、1.89−1.99(m,2H)、2.24−2.37(m,2H)、2.51−2.60(m,2H)、7.15−7.56(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−18.1(d,2Si)、−78.5(s,4Si)、−79.4― −79.8(t,4Si).
[参考例6]
<化合物(1−1−5)の製造>
下記の経路により化合物(1−1−5)を製造した。
Figure 0004682644
窒素雰囲気下、化合物(a)(5.0g、4.33mmol)にトルエン(50ml)を加えて懸濁し、白金−ジビニルシロキサン錯体(3wt%トルエン溶液、30μl)を加えて90℃に加熱した。これにアリルグリシジルエーテル(1.04g、9.1mmol)を滴下し、還流状態で3時間加熱した。放冷後、トルエン(50ml)、水(100ml)を加えて抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを溜去して、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン/酢酸エチル)で精製した。減圧下で溶媒を溜去した後、エタノール/酢酸エチルから再結晶して化合物(1−1−5)1.6gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);0.30(s,6H)、0.73−0.76(t,4H)、1.66−1.72(m,4H)、2.42−2.44(m,2H)、2.64−2.66(m,2H)、2.95−2.98(m,2H)、3.15−3.19(m,2H)、3.28−3.39(m,4H)、3.44−3.48(m,2H)、7.18−7.53(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl3):δ(ppm);−17.4(s,2Si)、−78.6(s,4Si)、−79.5― −79.6(t,4Si).

Claims (4)

  1. 式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを反応させて得られるシリコーン樹脂組成物並びに溶剤を含有するワニスを用いてなるフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体であって、式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体と反応させる化合物は式(6−1)で示される化合物および式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを含む、フィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体
    Figure 0004682644
    式(1−1)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y1は式(a−1)で示される基である。Raがビニル、アリルまたはスチリルであって、X11が炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
    Figure 0004682644
    式(2−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、X21の少なくとも2つは水素であり、X21の残りはR1である。
    Figure 0004682644
    式(3−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、Lは単結合、−O−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、1,4−フェニレン、4,4'−ジフェニレン、4,4'−オキシ−1,1'−ジフェニレン、または式(c)で示される基である。そして式(c)において、R2はR1と同様に定義される基であり、mは1〜30の整数である。
    Figure 0004682644
    式(4−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチル、iso−ブチル、又はトリフルオロプロピルであり、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり;X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
    Figure 0004682644
    式(5−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルである。R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
    Figure 0004682644
    式(6−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
    Figure 0004682644
    式(7−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
  2. Rが非置換のフェニルである、請求項1記載のフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体
  3. 式(1−1)で示されるシルセスキオキサン誘導体、及び式(2−1)で示される化合物、式(3−1)で示される化合物、式(4−1)で示される化合物、式(5−1)で示される化合物、式(6−1)で示される化合物、式(7−1)で示される化合物の少なくとも1つを反応させて得られる重合体を溶剤に溶解し、基板に塗布して焼成したのち、基板からフィルムを剥離することによって得られるフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体

    Figure 0004682644
    式(1−1)におけるすべてのRは非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルであり、Y1は式(a−1)で示される基である。Raがビニル、アリルまたはスチリルであって、X11が炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
    Figure 0004682644
    式(2−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、X21の少なくとも2つは水素であり、X21の残りはR1である。
    Figure 0004682644
    式(3−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり、Lは単結合、−O−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、1,4−フェニレン、4,4'−ジフェニレン、4,4'−オキシ−1,1'−ジフェニレン、または式(c)で示される基である。そして式(c)において、R2はR1と同様に定義される基であり、mは1〜30の整数である。
    Figure 0004682644
    式(4−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチル、iso−ブチル、又はトリフルオロプロピルであり、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルであり;X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
    Figure 0004682644
    式(5−1)におけるすべてのRは、非置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチルである。R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。X31の少なくとも2つは水素であって、その残りはR1である。
    Figure 0004682644
    式(6−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
    Figure 0004682644
    式(7−1)において、R1は炭素数1〜4のアルキルまたは非置換のフェニルである。
  4. Rが非置換のフェニルである、請求項3記載のフィルム状又はシート状シリコーン樹脂成型体
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