JP2007063394A - かご状シルセスキオキサン重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合体が有機溶媒可溶性及び良好な成膜性を有し、かつ成膜後に焼成した膜が有機溶媒に不溶であり、かつ耐クラック性を満たすようなかご状シルセスキオキサン重合体を提供すること。
【解決手段】本発明のかご状シルセスキオキサン重合体は、かご状シルセスキオキサン構造が少なくとも2箇所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合しているシルセスキオキサン重合体であって、該かご状シルセスキオキサン構造は、環状構造を含む官能基を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、かご状シルセスキオキサン構造を有する重合体、それを含む組成物及びそれを硬化してなる耐薬品性に優れた硬化体に関する。
従来より、シルセスキオキサン構造を有する化合物は、無機材料の特徴である高耐熱性及び低誘電率を有することから、樹脂へ分散させることにより、難燃性材料や絶縁材料などの用途に使用されている。
特に、該シルセスキオキサン構造に有機基を導入した化合物は、無機材料の特徴に加えて、有機材料の特徴である成形性、有機溶媒可溶性などを有していることから、各種成膜材料や電気絶縁材料として有用である。
しかしながら、該シルセスキオキサン構造に有機基を導入した化合物及びそれらを重合して得られる重合体は、有機基の部分が熱分解を起こし易いため、耐熱性が低下してしまう傾向にある。また、有機基の部分が有機溶媒等に可溶であるため、成形性は向上するものの、耐薬品性が不十分である傾向にある。
例えば、特許文献1には、有機基が導入されたシルセスキオキサンと無水マレイン酸との共重合体が例示されている。これらの共重合体は、硬化して得られる硬化体とした後も、溶媒などに溶解してしまう傾向にあり、耐薬品性向上のためには溶解阻止剤を添加しなければいけないという問題があった。
また、特許文献2には、オクタキス(シルセスキオキサン)とジイン化合物とを重合してなる化合物が高い耐熱性を示すことが記載されている。これらの重合体は、三次元ネットワーク構造とすることにより、該重合体は有機溶媒可溶性及び成形性を保ち、かつ硬化して得られる硬化体の溶媒への溶解は抑えられる。しかしながら、該硬化体は溶媒と接触すると、クラックが生じるという問題点があった。
このように、重合体が有機溶媒可溶性及び良好な成形性を保ちつつ、該重合体を硬化して得られる硬化体が、溶媒に不溶であり、かつ耐クラック性を満たすことは困難であった。
特開2004−352743号公報 特許第2884073号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、重合体が有機溶媒可溶性及び良好な成膜性を有し、かつ成膜後に焼成した膜が有機溶媒に不溶であり、かつ耐クラック性を満たすようなかご状シルセスキオキサン重合体を提供することを目的とする。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体は、かご状シルセスキオキサン構造が平均2箇所を超える箇所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合しているシルセスキオキサン重合体であって、該かご状シルセスキオキサン構造は、環状構造を含む官能基を有することを特徴とする。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体においては、前記環状構造を含む官能基は、炭素数1〜30個の脂肪族環状構造を含む官能基であることが好ましい。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体においては、前記環状構造は、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びアダマンチル基からなる群より選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体においては、前記環状構造がノルボルニル基であることが好ましい。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体においては、前記かご状シルセスキオキサン構造に結合している全官能基数(A)に対する前記かご状シルセスキオキサン構造に結合している環状構造を含む官能基数(B)の割合である(B)/(A)が、0.01≦(B)/(A)≦0.75を満たすことが好ましい。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体においては、数平均分子量が、500以上500000以下であることが好ましい。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体においては、前記かご状シルセスキオキサン構造と前記他のかご状シルセスキオキサン構造とを結合する構造が、下記一般式(1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2007063394
式中、R、R、R’、R’は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜30個の官能基からなる群より選ばれた少なくとも1つであり、それぞれ同じであっても異なっていても良い。R及びRは炭素数1〜30個のアルキレン基を表す。aは1以上10以下の自然数であり、bは0又は1である。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体の製造方法は、上記かご状シルセスキオキサン重合体の製造方法であって、分子内に少なくとも1つのケイ素−水素結合を有するかご状シルセスキオキサンと、分子内に少なくとも1つの不飽和結合を有する環状構造を含む化合物及び分子内に少なくとも2つの不飽和結合を有する化合物と、を反応させることを特徴とする。
本発明の硬化体形成用組成物は、上記かご状シルセスキオキサン重合体を溶媒に溶解及び/又は分散させて得られることを特徴とする。
本発明の硬化体は、上記硬化体形成用組成物を硬化してなることを特徴とする。
本発明の誘電部材は、上記硬化体を含むことを特徴とする。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体は、溶媒溶解時に十分な流動性を有していることから、成膜性に優れた重合体である。また、該重合体を硬化して得られた硬化体は、耐薬品性に優れ、クラックや溶出などのないものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、かご状シルセスキオキサン構造が平均2個所を超える個所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合しているかご状シルセスキオキサン重合体は、有機溶媒可溶性かつ良好な成膜性を有し、かつ該重合体から得られる硬化体が、溶媒への溶解性が著しく低いことを見出した。また、該かご状シルセスキオキサン構造に、環状構造を含む官能基を結合させることにより、溶媒に接触した後もクラックなどが生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明における、耐薬品性向上のメカニズムは明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、かご状シルセスキオキサン構造が平均2個所を超える個所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合することにより、三次元ネットワーク構造を形成しやすくなり、その結果、溶媒への溶解性が低下すると考えられる。そして、嵩高い置換基である環状構造を有する官能基を導入すると、成膜後の硬化体の薬品接触時の応力を緩和する役割を果たすため、クラックなどが生じにくくなると考えられる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明におけるかご状シルセスキオキサン構造とは、下記一般式(2)で表されるかご状シルセスキオキサン及び下記一般式(3)で表されるかご状シルセスキオキサンの部分開裂構造体である。
(RSiO3/2 ・・・(2)
(RSiO3/2(RXSiO3/2 ・・・(3)
Rは炭素数1個以上30個以下の官能基、水素原子、ハロゲン原子又は他のシルセスキオキサン構造への結合手であり、同じであっても、異なっていても良い。炭素数1個以上30個以下の官能基は、ハロゲン原子、ヘテロ原子及び金属原子を含んでも良い。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。ヘテロ原子としては、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。金属原子としては、ケイ素及びチタンが挙げられる。炭素数1個以上30個以下の官能基は、Rが結合するケイ素原子に直接結合していても、ヘテロ原子を介して結合していても良い。
一般式(3)におけるXは、OR(Rは炭素数1個以上30個以下の官能基及び第四級アンモニウムラジカル)構造、炭素数1個以上30個以下の官能基又はハロゲンで定義された基の中から選ばれる基であり、複数のXは同じでも異なっていても良い。また、(RXSiO3/2中の複数のXが互いに連結して連結構造を形成しても良い。なお、nは6以上14以下の整数、lは2以上12以下の整数、kは2又は3である。
一般式(2)において、n=6の場合は下記一般式(4)で表される構造などが挙げられ、n=8の場合は下記一般式(5)で表される構造などが挙げられ、n=10の場合は下記一般式(6)で表される構造などが挙げられ、n=12の場合は下記一般式(7)で表される構造などが挙げられ、n=14の場合は下記一般式(8)で表される構造などが挙げられる。
Figure 2007063394
Figure 2007063394
Figure 2007063394
Figure 2007063394
Figure 2007063394
また、一般式(3)において、l=4かつk=3の場合は下記一般式(9)で表される構造などが挙げられ、l=6かつk=2の場合は下記一般式(10)あるいは(11)で表される構造などが挙げられる。
Figure 2007063394
Figure 2007063394
Figure 2007063394
本発明において、上記一般式(2)及び(3)のR,Rの炭素数は、かご状シルセスキオキサンと他のかご状シルセスキオキサンとの反応を考慮すると、30個以下であることが好ましい。より好ましくはRの炭素数は1個以上20個以下であり、さらに好ましくは1個以上10個以下である。
上記炭素数1個以上30個以下の官能基には、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基などが挙げられる。上記脂肪族飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの第一級炭化水素基、イソブチル基、イソペンチル基などの第二級炭化水素基、t−ブチル基などの第三級炭化水素基などが挙げられる。上記脂肪族不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基などの二重結合を含む炭化水素基、エチニル基などの三重結合を含む炭化水素基などが挙げられる。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体は、1個のかご状シルセスキオキサン構造が、平均2箇所を超える箇所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合する構造を有し、かつ環状構造を含む官能基を有している。
本発明における環状構造を含む官能基とは、官能基中に環状構造を有していれば、限定されない。反応性の良さ、取り扱いの良さなどから、炭素数1個以上30個以下のものが好ましい。このような官能基として、環状構造を形成する原子が、炭素原子のみで構成される同素環式官能基、炭素原子及びヘテロ原子からなる複素環式官能基及び芳香族炭化水素基などが挙げられる。
同素環式官能基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基、シクロオクチル基のような単環式官能基やノルボルニル基、アダマンチル基のような多環式官能基が挙げられる。複素環式官能基としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、テトラヒドロフラン、ジオキサン構造を有する官能基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環構造を含む官能基などが挙げられる。
本発明の環状構造を含む官能基としては、耐薬品性、生成物の純度の観点から、同素環式官能基が特に好ましく、なかでもノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基が好ましい。反応性の観点から、ノルボルニル基が最も好ましい。
本発明におけるかご状シルセスキオキサン重合体中の1個のかご状シルセスキオキサン構造が他のかご状シルセスキオキサン構造と結合する個数(N)は、平均2個を超える数であれば限定されない。平均2個を超える数であれば、得られるかご状シルセスキオキサン重合体が三次元ネットワーク構造をとり易く、その結果得られる硬化体の耐薬品性が向上する。なお、本発明における1個のかご状シルセスキオキサン構造が他のかご状シルセスキオキサンと構造結合する個数(N)は、核磁気共鳴スペクトル(以下NMRと略称する)により、算出することができる。
本発明における他のシルセスキオキサン構造への結合手の構造は、1個のかご状シルセスキオキサン構造が、平均2個所を超える個所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合し得る構造であれば、限定されない。このような構造として、炭素数1個以上30個以下のアルキレン基、オキシアルキレン基などの2価のアルキル基を含む構造、シロキサン、ジシロキサンなどのケイ素原子を含む構造、及び酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子などが挙げられる。また、これらは1種であっても、2種以上であっても良い。その中で特に、下記一般式(1)で表される構造が好ましい。
Figure 2007063394
式中、R、R、R’、R’は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜30個の官能基からなる群より選ばれた少なくとも1つであり、それぞれ同じであっても異なっていても良い。R及びRは炭素数1〜30個のアルキレン基を表す。aは1以上10以下の自然数であり、bは0又は1である。また、反応性の良さ、取扱いの良さからa=1、b=1の場合が好ましい。R及びRはエチレン基、プロピレン基が好ましい。
本発明における、かご状シルセスキオキサン構造に結合する全官能基数(A)に対するかご状シルセスキオキサン構造に結合する環状構造を含む官能基数(B)の割合である(B)/(A)は、硬化体の耐薬品性やかご状シルセスキオキサン間の結合を考慮すると、0.01以上0.75以下であることが好ましい。耐薬品性及び結合点の個数の観点から、0.06以上0.7以下がより好ましく、0.1以上0.6以下が特に好ましい。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体の数平均分子量は、硬化体の耐薬品性や成型性を考慮すると、500以上500000以下であることが好ましい。本発明において、該分子量は1000以上250000以下がより好ましく、5000以上100000以下が特に好ましい。数平均分子量は、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
以下、本発明に用いる重合体の製造方法について説明する。
本発明の重合体は、かご状シルセスキオキサンと分子内に少なくとも1個の不飽和結合を有する環状構造を含む化合物及び分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有する化合物とを反応させることによって、得ることができる。
本発明で用いられる重合法は、特に制限はないが、通常のケイ素―炭素結合形成反応に用いられる、触媒を用いたヒドロシリル化反応が好適に用いられる。反応は、かご状シルセスキオキサンに該2種類の化合物を同時に反応させても良く、分子内に少なくとも1個の不飽和結合を有する環状構造を含む化合物を反応させた後に、分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有する化合物と反応させても良い。所望の環状構造を含む官能基の導入量の制御が容易である観点から、分子内に少なくとも1個の不飽和結合を有する環状構造を含む化合物を反応させた後に、分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有する化合物と反応させる方法が、好適である。
そこで、以下に触媒を用いたヒドロシリル化反応によって、分子内に少なくとも1個の不飽和結合を有する環状構造を含む化合物を反応させた後に、分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有する化合物と反応させる方法を例にあげて本発明に用いることができる重合体の製造条件について説明する。
本発明において使用される反応溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2個以上6個以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2個以上6個以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5個以上10個以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6個以上10個以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチルのような炭素数3個以上6個以下のエステル化合物;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの炭素数1個以上6個以下のカルボン酸;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1個以上10個以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2個以上10個以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物;水が挙げられる。また、無溶媒中でも実施することができる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種あるいは2種以上の溶媒混合物を用いても良い。特に好ましい溶媒としては、炭素数2個以上6個以下のエーテル化合物及び炭素数6個以上10個以下の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。
本発明における反応触媒は、特に制限されないが、ラジカル開始剤や遷移金属触媒などの公知の化合物から適宜選択できる。具体的なこれらの化合物には、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチルなどのラジカル開始剤;活性白金、Pt(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、塩化白金酸、Pt(COD)(式中、CODは1,5−シクロオクタジエニル基を表す)、H(C)PtClなどの白金触媒;RhCl(PPh(式中、PPhはトリフェニルホスフィン基を表す)、RhCl(CO)(PPh、RhCl(CO)(PEt(式中、PEtはトリエチルホスフィン基を表す。)、HRh(CO)(PPh、[Rh(CO)Cl]、Rh(acac)(CO)(式中、acacはアセチルアセトナート基を表す)などのロジウム触媒;[Ni(CO)(Cp)](式中、Cpはシクロペンタジエニル基を表す)、Ni(acac)などのニッケル触媒;HCo(PPh、HCo[Si(OEt)](PPh(式中、Etはエチル基を表す)、コバルトカーボンなどのコバルト触媒;RuCl、RuCl(PPh、RuHCl(PPhなどのルテニウム触媒;PdCl、パラジウムカーボンなどのパラジウム触媒などが挙げられる。また、必要に応じて1種あるいは2種以上の混合物を用いることができる。この中でも特に、反応性の高さの観点から白金触媒が好ましく、特に活性白金、Pt(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン、塩化白金酸が好ましい。
本発明における反応温度は、15℃以上120℃以下であることが好ましい。より好ましくは20℃以上100℃以下であり、特に好ましくは30℃以上90℃以下である。
反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
重合終了後における、本発明の重合体の回収は、重合溶液中の溶媒を減圧留去することに行うことができる。
本発明の重合体の精製方法としては、重合反応溶液中の不溶解な触媒を減圧濾過、加圧濾過などで除去する方法が挙げられる。また、濾別不可能な残留金属原子などを除去する方法として重合反応溶液を貧溶媒に加え析出させる、いわゆる再沈精製法を実施することができる。また良溶媒への再溶解と再沈精製を繰り返すことも可能であり、残留金属原子を必要十分な濃度に達するまで除去することができる。
さらに特別に高純度な共重合体が必要な場合は二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。重合体中の残量金属原子濃度は上記すべての精製法を用いて、1500重量ppm以下にすることができる。好ましくは300重量ppm以下、より好ましくは10重量ppm以下である。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体は、該重合体が均一に溶解及び/又は分散し得る溶媒と混合することにより、硬化体形成用組成物とすることができる。
本発明の重合体と溶媒とを含む硬化体形成用組成物におけるかご状シルセスキオキサン重合体の濃度は、硬化体が製造され得る濃度であれば、特に制限されない。その中でも、所望の膜厚の硬化体の製造が可能であるか、硬化体の膜厚の均一性を考慮すると、かご状シルセスキオキサン重合体の濃度が1重量%以上90重量%以下が好ましい。得られる硬化体の膜厚の観点から、2重量%以上80重量%以下がより好ましい。
本発明における硬化体形成用組成物を構成する溶媒は、本発明の重合体を均一に溶解及び/又は分散させ得るものであれば限定されない。このような溶媒として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2個以上6個以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2個以上6個以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5個以上10個以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6個以上10個以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチルのような炭素数3個以上6個以下のエステル化合物;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの炭素数1個以上6個以下のカルボン酸;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1個以上10個以下の含塩素化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2個以上10個以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物;水が挙げられる。重合体の溶解性の観点から、炭素数6個以上10個以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2個以上6個以下エーテル化合物が好ましく、炭素数6個以上10個以下の芳香族炭化水素化合物が特に好ましい。
本発明の重合体と溶媒とを含む硬化体形成用組成物は、硬化体を製造する際もしくは得られる硬化体に悪影響を及ぼさない範囲で、その他の化合物を含有しても良い。
その他の化合物とは、例えば不飽和結合を有する化合物である。このような化合物としては、メチルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エトキシエチルメタアクリレート、シクロペンチルメタアクリレート、2−ニトロエチルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、ノーマルプロピルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、2−シアノエチルメタアクリレート、ノーマルブチルメタアクリレート、イソブチルメタアクリレート、セカンダリーブチルメタアクリレート、ターシャリーブチルメタアクリレートなどのメタアクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、1,1−ジメチルブチルアクリレート、2,2−ジニトロプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2−ニトロエチルアクリレート、2,2−ジニトロブチルアクリレート、フェニルメチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−(メチルチオ)エチルアクリレート、4−メトキシフェニルアクリレートなどのアクリル酸エステル、オルソメチルスチレン、メタメチルスチレン、パラメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、オルソエチルスチレン、メタエチルスチレン、パラエチルスチレン、2,5−ジエチルスチレン、ペンタエチルスチレン、パラシクロヘキシルスチレンなどのアルキル置換スチレン及びスチレンモノマー、1,4−ブタジエンなどのジエン化合物などの化合物などが挙げられる。
上記その他化合物の量としては、得られる硬化体の強度と耐薬品性の観点から、本発明の重合体と溶媒とからなる硬化体形成用組成物の量を100とした場合、通常15重量%以下である。
次に、本発明における硬化体の製造方法について説明する。
本発明の硬化体は、本発明のかご状シルセスキオキサン重合体と溶媒とを含む硬化体形成用組成物を基材上に被覆した後に、かご状シルセスキオキサン重合体に残存する不飽和結合同士が反応し得る温度以上にて硬化することによって、得ることができる。また、かご状シルセスキオキサン重合体に残存する不飽和結合同士が反応し得る温度以上にて該硬化体形成用組成物を直接硬化することによっても、得ることができる。また、これらの方法はいずれも必要に応じて、触媒を添加することができる。得られる膜の均一性の観点から、硬化体形成用組成物を基材上に被覆した後に、かご状シルセスキオキサン重合体に残存する不飽和結合同士が反応し得る温度以上にて硬化する方法が好適に用いられる。そこで、硬化体形成用組成物を基材上に被覆した後に、かご状シルセスキオキサン重合体に残存する不飽和結合同士が反応し得る温度以上にて硬化する方法を例に挙げて、本発明の硬化体の製造方法について説明する。
該製造方法で使用される基材は、硬化体形成の際に損傷しない基材であれば、限定されない。このような基材として、金属、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂などが挙げられる。取扱いの良さから、ガラスが好適に用いられる。
該製造方法における硬化体形成用組成物の基材上への被覆方法は、公知の被覆方法を用いることができる。具体的には、スピンコート、ディップコート、ブレードコート、ロールコート、スプレーコートなどが挙げられる。
該製造方法における反応温度は、不飽和結合同士の反応や熱分解などの副反応を考慮すると、30℃以上500℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上450℃以下であり、特に好ましくは、50℃以上400℃以下である。該製造方法における反応雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でも良い。重合体の熱分解の観点から、不活性ガス雰囲気下が好ましい。該硬化体の製造に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好適には1時間から8時間の範囲で実施される。なお、本発明における成膜性については、クラックなどを生じることなく、5μm以上の成膜が可能であるときに、良好な成膜性を有するとする。
本発明に係るかご状シルセスキオキサン重合体から製造される硬化体は、無機化合物の特徴である高耐熱性と有機化合物の特徴である良好な成膜性を有しており、かつ透明性、低誘電率性、耐薬品性、低脱ガスなどの特徴を有することから、誘電体膜、半導体層間絶縁膜、回路基板フォトレジスト膜、セラミックセンサー用耐熱膜、耐熱塗料、難燃・耐火塗料、建材類コート剤、プラズマディスプレイパネル用誘電体膜などに使用することができる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
・試薬
実施例及び比較例において用いた試薬であるPSS−オクタキス(ジメチルシリロキシ)substituted(Aldrich社製)、ノルボルニレン(ACROS ORGANICS社製)、活性白金(Aldrich社製、10重量%)、Pt(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン3%キシレン溶液(Aldrich社製)、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(チッソ社製)、トルエン(和光純薬工業社製、有機合成用)、テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製、安定剤不含、有機合成用)、メタノール(和光純薬工業社製、特級)については、特別な精製を実施せずに反応に用いた。
・かご状シルセスキオキサン重合体の精製
重合により得られたかご状シルセスキオキサン重合体含有反応溶液を、メタノールに注ぎ、室温で10分間撹拌し、白色固体が沈殿した後に、デカンテーションにより上澄み液を除去することにより精製を行った。白色固体が沈殿しない場合は、遠心分離器(久保田製作所社製)を用いて遠心分離を行い、白色固体を沈殿させた後に、同様の操作を行い、精製を行った。
・重量平均分子量測定
本発明における重量平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件により測定を行った。
カラム:Shodex KF−804L(昭和電工社製)
移動相:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製、安定剤不含)
流速:0.6mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製)
検出器:RID−6A(RI:示差屈折計、島津製作所社製)
SPD−10A(UV−VIS:紫外可視吸光計、島津製作所社製)
また、該分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(Aldrich社製)を用いて作成した。
・NMR測定
NMR測定は、JEOL社製、JNM−GSX400を用いた。測定に用いた溶媒は、重クロロホルム(和光純薬工業社製、純度99.8重量%)であり、共重合体5.0×10−3gに対して重クロロホルム5.0×10−4リットルの濃度で測定を行った。測定温度は30℃にて行った。内部標準は、重クロロホルムの重水素化されていないピークである7.26ppmを基準とした。
・(B)/(A)割合の算出
本発明における該かご状シルセスキオキサン構造に結合する全官能基数(A)と該環状構造を含む官能基数(B)の割合である(B)/(A)は、前述のNMR測定により求めた。前述の測定条件において、ノルボルニル基に由来するピークは、δ1.0〜1.7に観測された。また、ヒドロシリル化反応後に生成するSi−CHCH−Siのピークは、δ0.5に観測された。そしてこれらの積分比から、(B)/(A)を求めた。
・1個のかご状シルセスキオキサン構造が他のかご状シルセスキオキサン構造と結合する個数(N)
本発明における1個のかご状シルセスキオキサン構造が他のかご状シルセスキオキサン構造と結合する個数(N)は、前述のNMR測定により求めた。前述の測定条件において、ヒドロシリル化反応後に生成するSi−CHCH−Siのピークは、δ0.5に観測された。また、不飽和結合が1つ残存しているビニル基に由来するピークは、δ5.0〜6.3に観測された。そして、不飽和結合が残存していないものは、すべて他のかご状シルセスキオキサンと結合していると仮定して算出した。
・膜厚測定
本発明における硬化体の膜厚測定は、反射分光膜厚計FE−3000(大塚電子社製)により測定を行った。測定手法は絶対反射率、測定モードはマニュアルにて行った。リファレンスとしてアルミニウムを用い、標準反射板としてAl吸着ホルダを用いた。アルゴリズムは、ピークバレイ+最小二乗法を用い、スムージングポイントは7点、最小二乗法演算波長範囲は240〜800nm、ピーク&バレイ法演算波長範囲は500〜800nmにて演算を行った。
・被覆方法
本発明における硬化体形成用組成物の被覆方法は、MIKASA COATER(MIKASA製、1H−D7)を用いるスピンコート法により行った。無アルカリガラス(コーニング社製、1737 AMLCD)に該硬化体形成用組成物を滴下し、1000rpmで30秒間被覆を行った。
・硬化体製造方法
本発明における硬化体の製造方法は、上記方法により該硬化体形成用組成物をスピンコートした無アルカリガラスを、縦型焼成炉(光洋リンドバーグ社製、VF−1000)を用いて焼成することにより行った。焼成は、窒素雰囲気下で行い、150℃で60分間、続いて350℃で60分間焼成することにより硬化体を得た。
・耐薬品性試験
本発明における硬化体の耐薬品性試験は、上記方法で得られた硬化体(膜厚4ミクロン以上)を、剥離液(東京応化工業社製)中、90℃で6時間浸漬した後の硬化体表面を顕微鏡にて観察し、該硬化体が剥がれ落ちることなく、かつ10cm四方の硬化体にクラックなどが存在しない場合を耐薬品性が良好であるとした。
(実施例1)
窒素雰囲気下、セプタム及び還流器を付けた三口フラスコに、PSS−オクタキス(ジメチルシリロキシ)substituted(4.914mmol)、ノルボルニレン(7.378mmol)、トルエン(40ml)、Pt(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン3%キシレン溶液(40μl)を入れ、60℃で2時間加熱撹拌した。続いて、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(39.351mmol)を加え、90℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後に、反応溶液をメタノール(800ml)に注ぎ、室温で10分間撹拌し、上澄み液をデカンテーションし、真空乾燥器中で乾燥することにより、目的のかご状シルセスキオキサン重合体(実施例1)を得た。
(実施例2)
窒素雰囲気下、セプタム及び還流器を付けた三口フラスコに、PSS−オクタキス(ジメチルシリロキシ)substituted(2.435mmol)、ノルボルニレン(9.851mmol)、トルエン(20ml)、Pt(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン3%キシレン溶液(20μl)を入れ、60℃で2時間加熱撹拌した。続いて、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(19.68mmol)を加え、90℃で8時間加熱撹拌した。実施例1と同様の条件で回収、精製を行い目的のかご状シルセスキオキサン重合体(実施例2)を得た。
(実施例3)
窒素雰囲気下、セプタム及び還流器を付けた三口フラスコに、PSS−オクタキス(ジメチルシリロキシ)substituted(4.913mmol)、ノルボルニレン(7.399mmol)、テトラヒドロフラン(50ml)、活性白金(1.733g)を入れ、60℃で2時間加熱撹拌した。続いて、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(31.947mmol)を加え、60℃で9時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後に、反応溶液をメタノール(800ml)に注ぎ、室温で10分間撹拌したが、沈殿が析出しなかったため、遠心分離器を用いて遠心分離を行った後に、上澄み液をデカンテーションし、真空乾燥器中で乾燥することにより、目的のかご状シルセスキオキサン重合体(実施例3)を得た。
実施例1〜3で得られたかご状シルセスキオキサン重合体における(B)/(A)及び数平均分子量および1個のかご状シルセスキオキサン構造が他のかご状シルセスキオキサン構造と結合する個数(N)の値を、表1に示した。
実施例1〜3で製造したかご状シルセスキオキサン重合体(2.5g)をそれぞれトルエン(2.5g)に溶解させることによって、硬化体形成用組成物を得た後に、1000rpmで30秒間無アルカリガラスにスピンコートし、縦型焼成炉にて窒素雰囲気下、150℃で60分間、続いて350℃で60分間焼成することにより、目的の硬化体(1)、(2)、(3)を得た。
硬化体(1)〜(3)について、反射分光膜厚計FE−3000を用いて膜厚測定を行った。結果を表2に示した。
硬化体(1)〜(3)を、セパラブルフラスコに入れ、剥離液(500ml)を加えた後に、90℃で6時間加熱した。室温まで冷却した後に、蒸留水にて硬化体を洗浄し、顕微鏡で観察することにより、耐薬品性試験を行った。表2にその結果を示した。
(比較例1)
窒素雰囲気下、セプタム及び還流器を付けた三口フラスコに、PSS−オクタキス(ジメチルシリロキシ)substituted(4.980mmol)、テトラヒドロフラン(50ml)、活性白金(1.733g)、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(39.431mol)を入れ、60℃で22時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後に、反応溶液をメタノール(800ml)に注ぎ、室温で10分間撹拌したが、沈殿が析出しなかったため、遠心分離器を用いて遠心分離を行った後に、上澄み液をデカンテーションし、真空乾燥器中で乾燥することにより、かご状シルセスキオキサン重合体(比較例1)を得た。
(比較例2)
窒素雰囲気下、セプタム及び還流器を付けた三口フラスコに、PSS−オクタキス(ジメチルシリロキシ)substituted(2.462mmol)、ノルボルニレン(18.88mmol)、テトラヒドロフラン(50ml)、活性白金(1.720g)を入れ、60℃で2時間加熱撹拌した。続いて、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(39.411mol)を加え、60℃で22時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後に、反応溶液をメタノール(800ml)に注ぎ、室温で10分間撹拌したが、沈殿が析出しなかったため、遠心分離器を用いて遠心分離を行った後に、上澄み液をデカンテーションし、真空乾燥器中で乾燥することにより、かご状シルセスキオキサン重合体(比較例2)を得た。
比較例1,2で製造したかご状シルセスキオキサン重合体における(B)/(A)、数平均分子量及び1個のかご状シルセスキオキサン構造が他のかご状シルセスキオキサン構造と結合する個数(N)の値を、表1に示した。
比較例1,2で製造した重合体(2.5g)をそれぞれトルエン(2.5g)に溶解させることによって、硬化体形成用組成物を得た後に、1000rpmで30秒間無アルカリガラスにスピンコートし、縦型焼成炉にて窒素雰囲気下、150℃で60分間、続いて350℃で60分間焼成を行うことにより、硬化体(4)、(5)を得た。
硬化体(4)、(5)について反射分光膜厚計FE−3000を用いて膜厚測定を行った。結果を表2に示した。
硬化体(4)、(5)を、セパラブルフラスコに入れ、剥離液(500ml)を加えた後に、90℃で6時間加熱した。室温まで冷却した後に、蒸留水にて硬化体を洗浄し、顕微鏡で観察することにより、耐薬品性試験を行った。表2に結果を示した。
Figure 2007063394
Figure 2007063394
実施例1〜3のかご状シルセスキオキサン重合体を用いて製造した硬化体(1)〜(3)では、所望の膜厚の膜が得られ、かつ耐薬品性試験後もクラックや溶出などは見られなかった。一方、比較例1の重合体より製造した硬化体(4)では、耐薬品性試験後に、無数のクラックが観察された。また、比較例2の重合体より製造した硬化体(5)では、所望の膜厚の膜を得ることが困難であり、かつ耐薬品性試験後に膜が溶出した。以上のことから、本発明に係るかご状シルセスキオキサン重合体を用いて得られる硬化体は、溶媒不溶性と耐クラック性を併せ持つことがわかった。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における数値、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明のかご状シルセスキオキサン重合体は、溶媒に可溶であり、かつ溶媒溶解時に十分な流動性を有していることから、成膜性に優れた重合体として使用される。また、該重合体を硬化することによって得られる硬化体は、耐薬品性に優れていることから、誘電体材料分野で使用される。また、本発明における硬化体は、透明性、低誘電率性も併せ持つことから、誘電体膜、半導体層間絶縁膜、回路基板フォトレジスト膜、セラミックセンサー用耐熱膜、耐熱塗料、難燃・耐火塗料、建材類コート剤、プラズマディスプレイパネル用誘電体膜などに使用される。

Claims (11)

  1. かご状シルセスキオキサン構造が平均2箇所を超える箇所で他のかご状シルセスキオキサン構造と結合しているシルセスキオキサン重合体であって、該かご状シルセスキオキサン構造は、環状構造を含む官能基を有することを特徴とするかご状シルセスキオキサン重合体。
  2. 前記環状構造を含む官能基は、炭素数1〜30個の脂肪族環状構造を含む官能基であることを特徴とする請求項1記載のかご状シルセスキオキサン重合体。
  3. 前記環状構造は、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びアダマンチル基からなる群より選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のかご状シルセスキオキサン重合体。
  4. 前記環状構造がノルボルニル基であることを特徴とする請求項3記載のかご状シルセスキオキサン重合体。
  5. 前記かご状シルセスキオキサン構造に結合している全官能基数(A)に対する前記かご状シルセスキオキサン構造に結合している環状構造を含む官能基数(B)の割合である(B)/(A)が、0.01≦(B)/(A)≦0.75を満たすことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のかご状シルセスキオキサン重合体。
  6. 数平均分子量が、500以上500000以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のかご状シルセスキオキサン重合体。
  7. 前記かご状シルセスキオキサン構造と前記他のかご状シルセスキオキサン構造とを結合する構造が、下記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のかご状シルセスキオキサン重合体。
    Figure 2007063394
    式中、R、R、R’、R’は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜30個の官能基からなる群より選ばれた少なくとも1つであり、それぞれ同じであっても異なっていても良い。R及びRは炭素数1〜30個のアルキレン基を表す。aは1以上10以下の自然数であり、bは0又は1である。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載のかご状シルセスキオキサン重合体の製造方法であって、分子内に少なくとも1つのケイ素−水素結合を有するかご状シルセスキオキサンと、分子内に少なくとも1つの不飽和結合を有する環状構造を含む化合物及び分子内に少なくとも2つの不飽和結合を有する化合物と、を反応させることを特徴とするかご状シルセスキオキサン重合体の製造方法。
  9. 請求項1から請求項7のいずれかに記載のかご状シルセスキオキサン重合体を溶媒に溶解及び/又は分散させて得られることを特徴とする硬化体形成用組成物。
  10. 請求項9記載の硬化体形成用組成物を硬化してなることを特徴とする硬化体。
  11. 請求項10記載の硬化体を含むことを特徴とする誘電部材。
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