JP2001026717A - 高い強度及び耐破壊性を有するシルセスキオキサン樹脂並びにそれらの調製方法 - Google Patents
高い強度及び耐破壊性を有するシルセスキオキサン樹脂並びにそれらの調製方法Info
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Abstract
脂を提供すること。 【解決手段】 (A)シルセスキオキサンコポリマー; (B)シリル末端炭化水素;並びに (C)ヒドロシリル化反応触媒; を含むヒドロシリル化反応硬化性組成物。
Description
が高く、モジュラスが低下しない硬化したシルセスキオ
キサン樹脂に関する。本発明は、さらに、前記硬化した
シルセスキオキサン樹脂を調製するために使用されるヒ
ドロシリル化反応硬化性組成物及び前記硬化したシルセ
スキオキサン樹脂の調製方法に関する。
度が高い従来の熱硬化した網目構造体は、典型的には、
強度、耐破壊性又はモジュラス等の機械的特性を改良し
ようとするとした場合に、1つ以上の他の特性に不利益
な影響が及ぶという欠点がある。
増加させることは、シリコーン樹脂にシリコーン流体を
添加することによりすでに行われている。米国特許第
5,034,061号には、透明な耐破砕性コーティン
グを形成するように調製されたシリコーン樹脂/流体ポ
リマーが開示されている。この組成物は、不飽和オレフ
ィン官能性R基を有するR3 SiO1/2 及びSiO4/2
単位から実質的になるシリコーン樹脂コポリマーと、ビ
ニル官能基を有するポリジオルガノシロキサン流体と、
水素官能基を有するオルガノポリシロキサン架橋剤と、
触媒を含む。この組成物は白熱ガラス電球のコーティン
グ用に特別に調製されたものであると開示されている。
4)には、シリカ充填シリコーン樹脂/流体の組み合わ
せを防振に使用することが開示されている。開示されて
いるシリコーン樹脂/流体組成物の防振能がG’(剪断
弾性率)とG”(損失剪断弾性率)の比の測定値により
例示されている。この比の大きさは、材料の振動吸収能
に反比例すると示されている。主題の材料のG’/G”
の比が、樹脂成分を使用せずに調製された組成物のもの
と比較されている。
てかなり低い弾性率を有する種類のものである。本明細
書においてシリコーン樹脂について述べる場合に、「硬
質(rigid)」なる用語は、ヤング率が少なくとも0.6
9GPaであることにより特徴付けられる特定の「剛性
(stiffness)」を、その無充填状態で示すことを意味す
る。本明細書において、「無充填」なる用語は、炭素繊
維やガラス繊維又はシリカ粉末等の強化用充填剤が樹脂
に添加されていないことを意味する。
別の方法は、シリコーン樹脂をゴム化合物により変性さ
せることによるものである。米国特許第5,747,6
08号にはゴム変性樹脂が記載されており、米国特許第
5,830,950号には、ゴム変性樹脂の調製方法が
記載されている。ゴム変性樹脂は、未硬化のオルガノシ
リコーン樹脂とシリコーンゴムとを反応させることによ
り調製される。樹脂とゴムとを、付加反応、縮合反応又
は遊離基反応により反応させることができる。得られる
ゴム変性樹脂は、その無充填状態で少なくとも0.69
GPaのヤング率を有する。しかしながら、ゴム変性樹
脂の強度及び靱性は強靱な有機ポリマーよりも概して劣
り、幾つかの用途に対して依然として不十分である。
ン樹脂は、それらの耐熱性及び防火性を利用する用途で
使用されている。それらの特性から、シルセスキオキサ
ン樹脂は、電気用積層板、自動車部品、航空機及び船舶
における構造用途のための繊維強化複合材料において使
用するのに魅力のあるものとなっている。従って、モジ
ュラスの著しい低下又は熱安定性の低下を示さずに高い
曲げ強さ、曲げ歪み、破壊靱性KIc及び破壊エネルギー
GIcを示す硬質シルセスキオキサン樹脂が求められてい
る。さらに、剛性シルセスキオキサン樹脂は低い誘電率
を有し、層間絶縁材料として有用である。硬質シルセス
キオキサン樹脂は耐摩耗性コーティングとしても有用で
ある。これらの用途は、シルセスキオキサン樹脂が高い
強度及び靱性を示すことを必要とする。
下を示さずに高い強度及び破壊靱性を示す硬化したシル
セスキオキサン樹脂を調製することに使用できる硬化性
組成物を提供することである。本発明のさらなる目的
は、硬化したシルセスキオキサン樹脂の調製方法を提供
することである。
セスキオキサン樹脂及びそれらの調製方法に関する。こ
の硬化したシルセスキオキサン樹脂は周知の樹脂よりも
高い強度及び靱性を有する。剛性を著しく低下させずに
強度及び靱性の向上が達成された。硬化したシルセスキ
オキサン樹脂は、架橋剤としてのシリル末端炭化水素に
よるシルセスキオキサンコポリマーのヒドロシリル化反
応により調製される。従来のヒドリドシラン又はヒドリ
ドシロキサン架橋剤の代わりにこの架橋剤を使用した場
合には、得られる硬化したシルセスキオキサン樹脂は驚
くべきほど高い機械的特性を示す。
キサン樹脂を調製するために使用されるヒドロシリル化
反応硬化性組成物に関する。この硬化性組成物は、
(A)シルセスキオキサンコポリマー、(B)架橋剤と
してのシリル末端炭化水素、(C)触媒、(D)任意の
触媒抑制剤、(E)第1の任意にシリコーンゴム、
(F)第2の任意のシリコーンゴム、及び(G)任意の
溶剤を含む。
c SiO(4-a-b-c)/2 [式中、0.8≦(a+b+c)
≦3.0であり、かつ、成分(A)がR1 基を1分子当
たり平均して少なくとも2個有することを条件として、
aは0又は正の数、bは0又は正の数、cは0又は正の
数であり、各R1 は水素原子及び脂肪族不飽和を有する
1価炭化水素基から独立に選ばれる官能基であり、各R
2 及び各R3 は非官能性基及びR1 から独立に選ばれる
1価炭化水素基である]により表される単位を含むシル
セスキオキサンコポリマーである。好ましくは、R1 は
ビニル又はアリル等のアルケニル基である。典型的に
は、R2 及びR3 はアルキル基及びアリール基から選ば
れる非官能性基である。適切なアルキル基としては、メ
チル、エチル、イソプロピル、n−ブチル及びイソブチ
ルが挙げられる。適切なアリール基はフェニルにより例
示される。成分(A)として適切なシルセスキオキサン
コポリマーは(PhSiO3/2 )75(ViMe2 SiO
1/2 )25[式中、Phはフェニル基を表し、Viはビニ
ル基を表し、Meはメチル基を表す]により例示され
る。成分(B)は、一般式:
ある場合に成分(B)中のR1 は不飽和一価炭化水素基
であり、成分(A)中のR1 が不飽和一価炭化水素基で
ある場合に成分(B)中のR1 が水素原子であることを
条件としてR1 及びR2 は成分(A)に関する上記の通
りであり、R4 は二価炭化水素基である]により表され
るシリル末端炭化水素である。R4 はアリーレンセグメ
ントとアルキレンセグメントの両方を有していても良
い。
により調製できる。例えば、本発明に使用するシリル末
端炭化水素を調製するための1つの方法は、マグネシウ
ムとジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン等の溶剤
の組み合わせを好ましくは室温から200℃までの温
度、更に好ましくは50〜65℃の温度に加熱すること
を含む。次に、ジハロゲン化炭化水素、例えばジブロモ
ベンゼンを数時間にわたってマグネシウム及び溶剤に添
加する。
ゲン化シラン、例えばジメチルハイドロジェンクロロシ
ランを添加し、任意の有機溶剤を添加してもよい。次
に、得られた混合物を例えば50〜65℃の温度で数時
間加熱する。次に、任意の都合のよい手段、例えばNH
4 Cl飽和水溶液による中和によって、任意の過剰なハ
ロゲン化シランを除去する。次に、得られた生成物を硫
酸マグネシウム等の乾燥剤により乾燥させ、次いで蒸留
により精製することができる。成分(B)は、式:
は1〜6の整数、好ましくは1〜4の整数である]によ
り表される化合物により例示される。成分(B)として
使用するのに適切な化合物は当該技術分野で知られてお
り、商業的に入手できる。例えば、p−ビス(ジメチル
シリル)ベンゼンはGelest, Inc.[ペンシルヴァニア州
タリータウン(Tullytown )所在]から入手できる。
C)に対するケイ素結合水素原子(SiH)のモル比
(SiH:C=C)が好ましくは1.0:1.0〜1.
5:1.0となるような量で組成物に添加される。更に
好ましくは、この比は1.1:1.0〜1.5:1.0
の範囲内にある。この比が1.0:1.0未満である場
合には、硬化が不完全になるため、硬化したシルセスキ
オキサン樹脂の特性は劣ったものとなるおそれがある。
組成物中の成分(A)及び(B)の量は、1分子当たり
のC=C及びSi−H基の数に依存する。しかしなが
ら、成分(A)の量は典型的には組成物の50〜98質
量%であり、成分(B)の量は典型的には組成物の2〜
50質量%である。
る。典型的には、成分(C)は、組成物の質量を基準に
して白金1〜10ppmの白金を提供するのに十分な量
で組成物に加えられる白金触媒である。成分(C)は、
クロロ白金酸、クロロ白金酸のアルコール溶液、ジクロ
ロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、塩化
白金、酸化白金、白金化合物とオレフィン等の不飽和有
機化合物との錯体、白金化合物と不飽和炭化水素基を含
有するオルガノシロキサンとの錯体、例えばカルステッ
ト触媒(すなわち、クロロ白金酸と1,3−ジビニル−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び1,3
−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンの錯体)、並びに白金化合物とオルガノシロキサン
の錯体(錯体はオルガノシロキサン樹脂内に埋め込まれ
る)等の白金触媒により例示される。適切なヒドロシリ
ル化反応触媒は米国特許第3,419,593号に記載
されている。
は組成物の10〜100質量%を構成する。組成物は、
1つ以上の任意成分をさらに含んでもよい。成分(D)
は任意の触媒抑制剤である。この任意の触媒抑制剤は典
型的には1液型組成物(one part composition)が調製
される場合に添加される。適切な触媒抑制剤は米国特許
第3,445,420号に開示されている。成分(D)
は好ましくは、メチルブチノール又はエチニルシクロヘ
キサノール等のアセチレン系アルコールである。成分
(D)はより好ましくはエチニルシクロヘキサノールで
ある。抑制剤の他の例として、ジエチルマレエート、ジ
エチルフマレート、ビス(2−メトキシ−1−メチルエ
チル)マレエート、1−エチニル−1−シクロヘキサノ
ール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、
2−フェニル−3−ブチン−2−オール、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、エチレン
ジアミン、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスファ
イト、トリオクチルホスフィン、ジエチルフェニルホス
ホナイト及びメチルジフェニルホスフィナイトが挙げら
れる。
反応硬化性組成物の0〜0.05質量%で存在する。成
分(D)は典型的には硬化性組成物の0.0001〜
0.05質量%で存在する。成分(D)は更に好ましく
は硬化性組成物の全量の0.0005〜0.01質量%
で存在する。成分(D)は更に好ましくは硬化性組成物
の全量の0.001〜0.004質量%で存在する。
る。ヒドロシリル化反応硬化性組成物中の成分(E)の
量は好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜2
0質量%である。成分(E)として適切なシリコーンゴ
ム及びそれらを硬化性組成物に含める方法は米国特許第
5,747,608号及び第5,830,950号に開
示されている。シリコーンゴムは、実験式:
1、2又は3であり、qは1又は2であり、zは6以上
の整数であり、yは0又は10以下の整数である]によ
り表される。各R1 は、上記のような本発明の硬化した
シルセスキオキサンを形成するように硬化反応に関与す
る官能基である。成分(E)中の各R5 基は、R2 につ
いての上記の非官能性基から独立に選ばれる。
の平均的な非官能性線状鎖長、すなわちR1 基間の平均
鎖長を表す。従って、成分(E)は種々の重合度を有す
るシリコーンゴムの混合物であることができる。この場
合の種々の重合度を有するシリコーンゴムは全て上記実
験式により表されるものである。本発明に関して使用さ
れるほとんどのシリコーンゴムは、鎖の末端基にのみR
1 基を有する。そのような場合において、本明細書で
は、「重合度」(「DP」)はzの値と同じである。D
Pは、末端の官能性シロキシ基を含まない。
メチル基、フェニル基、又はそれらの組み合わせであ
る。成分(A)、すなわちシルセスキオキサンコポリマ
ーのR 2 基及び成分(E)、すなわち第1のシリコーン
ゴムのR5 基が高い百分率で主としてメチル又は主とし
てフェニルである場合には、(A)シルセスキオキサン
コポリマー及び(E)第1のシリコーンゴムは概して混
和性である。この混和性によって、硬化したシルセスキ
オキサン樹脂構造全体にわたって比較的均質な状態でゴ
ムを分散させることができる。
ーンゴムは、実験式:R5 2 R6 SiO(R5 2 Si
O)m (R5 R6 SiO)n SiR6 R5 2[式中、各R
5 は上記の通りであり、1分子当たり少なくとも2個の
R6 基がR1 でなくてはならないことを条件として各R
6 はR1 及びR5 から選ばれ、mは150〜1,00
0、好ましくは246〜586であり、nは1〜10で
ある]により表されるポリジオルガノシロキサンであ
る。硬化性組成物中の成分(F)の量は、好ましくは0
〜15質量%、更に好ましくは2〜8質量%である。
成分を含むヒドロシリル化反応硬化性組成物を、成分
(G)、すなわち任意の溶剤に溶解させることができ
る。典型的には、溶剤の量は好ましくは硬化性組成物の
0〜90質量%、更に好ましくは0〜50質量%であ
る。溶剤は、メチルアルコール、エチルエルコール、イ
ソプロピルアルコール及びt−ブチルアルコール等のア
ルコール;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイ
ソブチルケトン等のケトン;ベンゼン、トルエン及びキ
シレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン及びオ
クタン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、
プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレン
グリコールn−プロピルエーテル及びエチレングリコー
ルn−ブチルエーテル等のグリコールエーテル;ジクロ
ロメタン、1,1,1−トリクロロエタン及び塩化メチ
レン等のハロゲン化炭化水素;クロロホルム;ジメチル
スルホキシド、ジメチルホルムアミド;アセトニトリル
及びテトラヒドロフランであることができる。トルエン
が好ましい。
応硬化性組成物の調製方法に関する。この方法は、上記
成分(A)〜(G)を含んでなる組成物を混合すること
を含む。混合は任意の適切な手段により行うことができ
る。硬化性組成物は、1液型組成物又は多液型組成物
(multi part composition)、例えば2液型組成物(tw
o part composition)として調製できる。
れる場合に、1液型組成物の調製方法は概して、(I)
(C)触媒及び(D)抑制剤を予備混合して錯体を形成
し、そして(II)前記錯体と成分(A)、(B)及び
望ましい任意成分(E)〜(G)を混合することを含
む。
を、(i)(C)触媒及び(D)抑制剤を予備混合して
錯体を形成する工程、(ii)成分(A)、(B)、
(E)、(F)及び(G)を混合する工程、(iii)
工程(ii)の生成物から溶剤を除去して低粘度液状組
成物を形成する工程、その後に(iv)前記錯体と工程
(iii)の生成物を混合する工程により調製できる。
第1液を調製し、(2)成分(B)を含む第2液を調製
し、成分(C)を第1液又は第2液と混合し、その後に
第1液と第2液を別々にしておくことにより調製でき
る。第1及び第2液は使用直前に混合される。
分(A)、(E)、(F)及び(G)を混合して第1液
を形成し、(2’)成分(C)と第1液及び成分(B)
を含む第2液からなる群から選ばれる液とを混合するこ
とにより調製される。第1及び第2液を、その後、使用
直前に混合されるまで別々にしておく。上記方法のそれ
ぞれは、硬化前に組成物を脱気する工程をさらに含んで
もよい。脱気は典型的には、組成物を軽度の減圧下に置
くことにより行われる。
キサン樹脂の調製方法に関する。この方法は、上記ヒド
ロシリル化反応硬化性組成物を硬化させるのに十分な温
度及び時間で上記ヒドロシリル化反応硬化性組成物を加
熱することを含む。硬化性組成物を硬化前に脱気するこ
とができ、硬化の前又は間に任意の溶剤を除去すること
ができる。例えば硬化性組成物を穏やかに加熱するか又
は軽度の減圧下におくことによる任意の都合のよい手段
によって溶剤を除去できる。
おいて、ヒドロシリル化反応硬化性組成物を脱気した
後、そのヒドロシリル化反応硬化性組成物を次に60℃
の空気循環炉内で加熱した。空気循環炉内で30分後に
混合物はゲル化していた。残留溶剤が抜け出るように、
例えば、60℃でさらに24時間加熱を続けた後、温度
を次に100℃(6時間)に上昇させ、160℃(6時
間)に上昇させ、200℃(4時間)に上昇させ、26
0℃(8時間)に上昇させた。次にオーブンの運転を止
め、キャストプレートをオーブン内で放冷した。この硬
化サイクルは、硬化前に溶剤をより完全に除去すること
によって、かなり短くすることができる。
を硬化させることにより調製した硬化したシルセスキオ
キサン樹脂は、従来のシルセスキオキサン樹脂の機械的
特性よりも非常に優れた機械的特性を有する。典型的に
は、硬化したシルセスキオキサン樹脂について、曲げ歪
みが14%以下、曲げ強さは7,000psi以下、曲
げ弾性率は220ksi以下、KIcは1.08MPam
1/2 以下、GIcは788N/m以下である。
ゼンの調製
のマグネシウム(Mg)及び406gのテトラヒドロフ
ラン(THF)を入れた。このフラスコに、攪拌機、コ
ンデンサー、2基の滴下漏斗及び温度計を備え付け、加
熱用マントルにより加熱し、乾燥窒素によりパージし
た。10gのBrCH2 CH2 Brを添加してマグネシ
ウムを活性化した。526gのTHF中に270gのジ
ブロモベンゼンを含む溶液を一方の滴下漏斗に加え、4
00gのTHFを他方の滴下漏斗に加えた。
00mlのTHFを添加し、ジブロモベンゼン溶液を徐
々に加えた。約20分後、強い発熱が観察され、加熱を
停止した。THFを添加して発熱を調節した。ジブロモ
ベンゼンの添加を停止して発熱の調節を助けた。発熱が
制御されている状態にある場合、ジブロモベンゼンの添
加速度を調節して良好な量の還流を維持した。ジブロモ
ベンゼンの添加を完了するまでに約1時間30分を要し
た。
65℃で5時間加熱した後、加熱器を止め、フラスコを
窒素中で攪拌しながら一晩冷却した。フラスコが室温に
冷めたら、さらに500mlのTHFを添加し、そして
氷水浴によりフラスコを冷却しながらジメチルクロロシ
ランを徐々に添加した。ジメチルクロロシランの損失を
最低限に抑えるのを助けるために、ドライアイスコンデ
ンサーをコンデンサーの上部に取り付けた。良好な還流
が維持されるようにジメチルクロロシランの添加を調節
した。ジメチルクロロシランの添加後、フラスコを60
℃で一晩加熱した。フラスコを室温に冷却し、そして1
000mlのトルエンを添加した。飽和NH4 Cl水溶
液を徐々に添加して過剰のジメチルクロロシランを加水
分解及び濃縮させ、次に、いくぶん透明な下相が得られ
るまで混合物を多量の水で洗浄した。
より乾燥させ、そしてフラスコ内の温度が150℃に達
するまで溶剤のほとんどを蒸留により除去した。濃縮さ
れた粗生成物を減圧蒸留によりさらに精製した。蒸留に
よって、純度>96%のp−ビス(ジメチルシリル)ベ
ンゼン140gが得られた。THFとトルエンの混合溶
剤中に純度80%で28g、純度41.5%で25g、
及び純度16%で15gの生成物が得られた。全収率は
約55%であった。
の形成を、分子量194の主たる化学種を観察すること
によりGC−MSから確認した。FT−IR及びNMR
を使用して生成物の構造をさらに確認した。生成物の赤
外スペクトルは、強いSiH吸収を2125cm-1付近
に、メチルCH伸縮を2800〜3000cm-1に、メ
チル傘状変形を1260cm-1付近及び1415cm-1
に、Si−Ph振動を1120cm-1付近及び1440
cm-1に示した。シロキサンはほとんど確認されなかっ
た。生成物の 1H−NMRスペクトルから3種のプロト
ンが示され、それらの比は芳香環上の水素とSiHとC
H3 に対応する2:1:6であった。メチルプロトンと
SiHプロトンの分裂パターンは、予想した構造と整合
していた。13C−NMRからおよその比が1:2:2で
3種の炭素が示された。これも予想した構造と整合して
いた。CDCl3 中で29Siは7.9ppmに1つのピ
ークを示した。
より行った。下記例で作製した硬化した樹脂の試験片を
平滑で視認できる引っ掻き傷のない表面が得られるまで
磨いた。全ての試料を、同じ表面状態となるように同じ
手順で磨いた。磨かれた試料を80℃で一晩乾燥させ、
そして試験前に試験温度及び湿度で少なくとも24時間
状態調節した。試験温度は21℃であった。各試料に対
し、少なくとも3つの試験片を試験した。
化した樹脂の靱性を、応力−歪曲線下の面積として得
た。ピーク力を使用して曲げ強さを、
力、Pは最大荷重、Lは支点間距離、b及びdは試験片
の幅及び厚さである]のように計算した。最大歪は、最
大変位を使用して、
である]のように計算した。荷重−変位曲線の最も急勾
配の初期直線部分の傾きをヤング率とした。
エネルギー開放速度G Icを線形弾性破壊機構(Linear E
lastic Fracture Mechanism (LEFM))を仮定してKIcか
ら計算した。各試料について6つの試験片を得た。試験
片の中央部にノッチを刻み、鋭い安全剃刀の刃を軽くた
たいてノッチに打ちこむことによりノッチの谷部から幅
の約半分まで延びる自然な亀裂を生じさせた。試料を試
験前に室温で少なくとも24時間状態調節し、変形を完
全に解消させた。図1は、破壊靱性試験のために使用し
た硬化したシルセスキオキサン樹脂の試験片を表す。図
1において、Pは最大荷重を表し、aは事前亀裂(pre-
crack)の幅を表し、Wは9.525mmである試験片の
幅を表し、L1は38mmであり、L2は51mmであ
る。この試験の変位速度は10mm/分であった。図1
に示されている幾何学的条件及び荷重条件に対し、支点
間距離と幅の比が4であると、
そして
比a/Wである)である。試験後、事前亀裂の長さを求
めた。0.45〜0.55の間の値を有する試験片のみ
を有効であると見なした。厚さによるxの変動は10%
未満であった。試料の寸法を、大きさを約50倍に拡大
した概算したプラスチックゾーンと比較することにより
試験の有効性をさらに確保した:
KIcからGIcを式:
実験を単純化するために無視した]により計算した。ポ
アソン比が0.3であるガラス状ポリマーに対し、GIc
は約9%分大きくなる。しかしながら、ポアソン比の2
乗の変動は同様な剛性の樹脂の間で通常小さいため、G
Ic値のこの相対的評価は分かりにくくはないであろう。
ゼンと式:(PhSiO3/2 )75(ViMe2 SiO
1/2 )25[式中、Phはフェニル基であり、Viはビニ
ル基を表し、Meはメチル基を表す]により表されるシ
ルセスキオキサンコポリマーとを付加反応により反応さ
せた。樹脂コポリマーはトルエン溶液の状態にあった。
実験室でこの樹脂溶液を130℃で4時間、次に140
℃で2時間乾燥させ、質量変化を追跡することにより求
めたところ、この樹脂溶液の固形分は81.54質量%
であった。SiH:C=C比が1.1:1.0となるよ
うに67.5gの樹脂溶液を12.87gのp−ビス
(ジメチルシリル)ベンゼンと混合し、そして10pp
mのクロロ白金酸を添加した。混合物中のこのPt濃度
は全質量を基準にしたものである。混合物を、開放式の
平らな金型に注ぎ入れ、減圧オーブン内50℃で15分
間脱気した。次に、金型を60℃の空気循環炉に移し
た。空気循環炉内で30分後、混合物はゲル化してお
り、温度を60℃に24時間保ってトルエンを逃がし
た。次に、温度を100℃(6時間)に、160℃(6
時間)に、200℃(4時間)に、260℃(8時間)
に上昇させた。次に、空気循環炉の運転を止め、キャス
トプレートを炉内で放冷した。得られた硬化したシルセ
スキオキサン樹脂を、参考例2〜3に記載の試験方法に
より評価した。ヤング率、破断歪、曲げ強さ、KIc及び
GIc値を表1に示す。
メチルシロキシ)シランに置き換えたことを除き、実施
例1に記載の方法によって、付加反応により硬化したシ
ルセスキオキサン樹脂を調製した。得られた硬化したシ
ルセスキオキサン樹脂を参考例4〜5に記載の方法によ
り評価した。ヤング率、破断歪、曲げ強さ、KIc及びG
Ic値を表1に示す。
(ジメチルシロキシ)シランに置き換えたことを除き、
実施例1に記載の方法によって、付加反応により硬化し
たシルセスキオキサン樹脂を調製した。得られた硬化し
たシルセスキオキサン樹脂を参考例2〜3に記載の方法
により評価した。ヤング率、破断歪、曲げ強さ、KIc及
びGIc値を表1に示す。
たシルセスキオキサン樹脂の試験片を表す。
Claims (20)
- 【請求項1】 (A)実験式:R1 a R2 b R3 c Si
O(4-a-b-c)/2 [式中、0.8≦(a+b+c)≦3.
0であり、かつ、成分(A)がR1 基を1分子当たり平
均して少なくとも2個有することを条件として、aは0
又は正の数、bは0又は正の数、cは0又は正の数であ
り、各R1 は水素原子及び脂肪族不飽和を有する1価炭
化水素基から独立に選ばれる官能基であり、各R2 は非
官能性基及びR1 から選ばれる1価炭化水素基であり、
各R3 は非官能性基及びR1 から選ばれる1価炭化水素
基である]により表される単位を含むシルセスキオキサ
ンコポリマー; (B)一般式: 【化1】 [式中、成分(A)中のR1 が水素原子である場合に成
分(B)中のR1 は不飽和一価炭化水素基であり、か
つ、成分(A)中のR1 が不飽和一価炭化水素基である
場合に成分(B)中のR1 が水素原子であることを条件
としてR1 及びR2は成分(A)に関する上記の通りで
あり、R4 は二価炭化水素基である]により表されるシ
リル末端炭化水素;並びに (C)ヒドロシリル化反応触媒;を含むヒドロシリル化
反応硬化性組成物。 - 【請求項2】 (D)ヒドロシリル化反応触媒抑制剤; (E)実験式: 【化2】 [式中、各R1 は上記の通りであり、成分(E)中の各
R5 基はR2 に対する非官能性基から独立に選ばれ、p
は1、2又は3であり、qは1又は2であり、zは6以
上の整数であり、yは0又は10以下の整数である]に
より表される第1のシリコーンゴム; (F)0〜15質量%の、実験式: 【化3】 [式中、各R5 は上記の通りであり、1分子当たり少な
くとも2個のR6 基がR 1 でなくてはならないことを条
件として各R6 はR1 及びR5 から選ばれ、mは150
〜1,000であり、nは1〜10である]により表さ
れる第2のシリコーンゴム;並びに (G)溶剤;からなる群から選ばれる1つ以上の成分を
さらに含む請求項1記載の組成物。 - 【請求項3】 成分(A)及び(B)が、成分(A)及
び(B)中のケイ素結合水素原子(SiH)及び不飽和
炭化水素基(C=C)が1.0:1.0〜1.5:1.
0の範囲のSiH:C=Cモル比で硬化性組成物中に存
在するような量で、硬化性組成物に加えられている請求
項1又は2記載の硬化性組成物。 - 【請求項4】 SiH:C=Cモル比が1.1:1.0
〜1.5:1.0の範囲である請求項3記載の硬化性組
成物。 - 【請求項5】 成分(B)が、下記式により表される化
合物: 【化4】 [式中、R1 は上記定義の通りであり、xは1〜6の整
数である]から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に
記載の硬化性組成物。 - 【請求項6】 成分(B)がp−ビス(ジメチルシリ
ル)ベンゼンである請求項5記載の硬化性組成物。 - 【請求項7】 成分(C)が白金触媒である請求項1〜
6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 - 【請求項8】 成分(C)が硬化性組成物の質量を基準
にして1〜10ppmの白金金属を提供するのに十分な
量で硬化性組成物に添加されている請求項7記載の硬化
性組成物。 - 【請求項9】 成分(D)が0.0001〜0.05質
量%の量で硬化性組成物に添加されている請求項1〜8
のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 - 【請求項10】 成分(E)が5〜20質量%の量で硬
化性組成物に添加されている請求項1〜8のいずれか1
項に記載の硬化性組成物。 - 【請求項11】 成分(F)が2〜8質量%の量で硬化
性組成物に添加されている請求項1〜8のいずれか1項
に記載の硬化性組成物。 - 【請求項12】 (A)実験式:R1 a R2 b R3 c S
iO(4-a-b-c)/2 [式中、0.8≦(a+b+c)≦
3.0であり、かつ、成分(A)がR1 基を1分子当た
り平均して少なくとも2個有することを条件として、a
は0又は正の数、bは0又は正の数、cは0又は正の数
であり、各R1 は水素原子及び脂肪族不飽和を有する1
価炭化水素基から独立に選ばれる官能基であり、各R2
は非官能性基及びR1 から選ばれる1価炭化水素基であ
り、各R3 は非官能性基及びR1から選ばれる1価炭化
水素基である]により表される単位を含むシルセスキオ
キサンコポリマー; (B)一般式: 【化5】 [式中、成分(A)中のR1 が水素原子である場合に成
分(B)中のR1 は不飽和一価炭化水素基であり、か
つ、成分(A)中のR1 が不飽和一価炭化水素基である
場合に成分(B)中のR1 が水素原子であることを条件
としてR1 及びR2は成分(A)に関する上記の通りで
あり、R4 は二価炭化水素基である]により表されるシ
リル末端炭化水素;並びに (C)ヒドロシリル化反応触媒;を混合することを含む
ヒドロシリル化反応硬化性組成物の調製方法。 - 【請求項13】 ヒドロシリル化反応硬化性組成物が、 (D)ヒドロシリル化反応触媒抑制剤; (E)実験式: 【化6】 [式中、各R1 は上記の通りであり、成分(E)中の各
R5 基はR2 用の非官能性基から独立に選ばれ、pは
1、2又は3であり、qは1又は2であり、zは6以上
の整数であり、yは0又は10以下の整数である]によ
り表される第1のシリコーンゴム; (F)0〜15質量%の、実験式:R5 2 R6 SiO
(R5 2 SiO)m (R 5 R6 SiO)n SiR6 R5
2 [式中、各R5 は上記の通りであり、1分子当たり少
なくとも2個のR6 基がR1 でなくてはならないことを
条件として各R6はR1 及びR5 から選ばれ、mは15
0〜1,000であり、nは1〜10である]により表
される第2のシリコーンゴム;並びに (G)溶剤;からなる群から選ばれる1つ以上の任意成
分をさらに含む請求項12記載の方法。 - 【請求項14】 (II)硬化に十分な温度及び時間で
工程(I)の生成物を加熱することにより硬化したシル
セスキオキサン樹脂を形成する工程をさらに含む請求項
12又は13に記載の方法。 - 【請求項15】 工程(I)の生成物を工程(II)の
前に脱気する工程をさらに含む請求項14記載の方法。 - 【請求項16】 ヒドロシリル化反応硬化性組成物が1
液型ヒドロシリル化反応硬化性組成物であり、成分
(C)及び(D)を予備混合することにより錯体を形成
し、その後にその錯体を工程(I)の組成物に混合する
請求項15記載の方法。 - 【請求項17】 工程(I)の組成物が成分(G)を含
み、工程(I)の組成物に前記錯体が混合される前に前
記組成物から成分(G)が除去される請求項16記載の
方法。 - 【請求項18】 ヒドロシリル化反応硬化性組成物が2
液型ヒドロシリル化反応硬化性組成物であり、この2液
型組成物が、(1)成分(A)を含む第1液を調製する
こと及び(2)成分(B)を含む第2液を調製すること
を含んで成り、成分(C)が工程(I)に先立って前記
第1液及び第2液から選ばれる液と混合される請求項1
5記載の方法。 - 【請求項19】 前記第1液が、成分(A)、(E)、
(F)及び(G)を混合することにより調製され、成分
(C)が前記第1液と成分(B)を含む前記第2液とか
らなる群から選ばれる液と混合される請求項18記載の
方法。 - 【請求項20】 請求項12〜19のいずれか1項に記
載の方法により得られる硬化したシルセスキオキサン樹
脂。
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