JP2004075944A - 方向が規制されたポリイミド、これを用いた液晶配向膜、および液晶表示素子 - Google Patents

方向が規制されたポリイミド、これを用いた液晶配向膜、および液晶表示素子 Download PDF

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Norihisa Tamura
田村 典央
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JNC Corp
JNC Petrochemical Corp
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Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
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Abstract

【課題】液晶表示素子に、▲1▼プレチルト角がラビング時の押込み強度や加熱時の温度条件による影響を受けにくく、▲2▼配向の欠陥が発生せず、▲3▼適切な電圧保持率を与え、▲4▼焼き付きが起きにくい等の効果をもたらす配向膜と、その配向膜の原料である新規なポリイミドまたはポリアミド酸誘導体を提供する。
【解決手段】下記式(1)の構成単位を有するポリイミドまたは式(2)の構成単位を有するポリアミド酸誘導体等のポリマーを含有するワニスから、前記の課題を解決する配向膜を製造することができる。
Figure 2004075944

(式中、Rは3価の有機基であり、Rの構造は構成単位ごとに異なっていてもよいが、Rの構造が繰り返し単位ごとに異ならない場合は、Rの構造には1,4−フェニレンを含まず;Rは水素または炭素数1〜10のアルキルである。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なポリイミド、ポリアミド酸、ポリアミド酸誘導体、およびこれらを含む混合物に関する。さらに本発明は、該ポリイミド、該ポリアミド酸、該ポリアミド酸誘導体またはこれらを含む混合物を含有するワニス、該ワニスから製造した配向膜、および該配向膜を用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は画面の大型化やカラー化の要求、コントラストや発色等表示品位向上の要求、さらに応答時間短縮の要求に応えるために、ツイステッド ネマティック(Twisted Nematic:TN)から、スーパー ツイステッド ネマティック(Super Twisted Nematic:STN)へ、さらに画素一つ一つに薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を取り付けたTFT型表示素子へと発展を遂げた。近年ではそのTFT型表示素子の視野角をさらに拡大するため、あるいは動画表示を目的とした高速応答を目指して、イン−プレーン スイッチング(In−Plain Switching:IPS)方式、垂直配向(Vertical Alignment:VA)方式、または光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)方式等が開発されている。
【0003】
配向膜は表示素子において液晶分子を一定方向に配向させること、液晶分子に基板平面に対して所望の傾きを付与することの、2つの役割を果たしている。基板平面に対する液晶分子の傾きはプレチルト角と呼ばれる。本明細書中でも以降この呼称を使用する。配向膜には、分子配向の経時的な、化学的な、および熱的な劣化を最小限に抑えるため、ガラス転移点(Tg)が高く耐薬品性や耐熱性に優れたポリイミド薄膜が主に使用されている。配向膜は、通常ポリアミド酸またはポリイミドの溶液をスピンナー法や印刷法等により電極付ガラス基板に塗布し、その基板を加熱してポリアミド酸を脱水閉環するか、または溶媒を蒸発させることによってポリイミドの薄膜を得、さらにラビング等の配向処理を行う工程を経て得られる。
【0004】
このような配向膜には下記のような液晶表示素子にもたらす効果が要求される。
▲1▼液晶分子に適切なプレチルト角を付与すること。しかも、該プレチルト角が、ラビング時の押込み強度や、加熱時の温度条件による影響を受けにくいこと。
▲2▼液晶分子の配向の欠陥が発生しないこと。
▲3▼液晶表示素子に適切な電圧保持率(Voltage Holding Ratio: V.H.R.)を与えること。
▲4▼液晶表示素子に画像を長時間表示させた後、別の画像に変えた時に前の画像が残像として残る「焼き付き」と呼ばれる現象が起きにくいこと。
TFT型表示素子に用いられる高品質な配向膜は、高い電圧保持率を有し、しかも焼き付き現象を起こしにくいことが特に要求されている。
【0005】
現在、下記の式(5)の繰り返し単位を持つポリイミドが一般的に配向膜に用いられている。
Figure 2004075944
(式中、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。)
しかしながらこのようなポリイミドは前記の要求▲1▼〜▲4▼を充足するとはいえないので改善が必要である。▲4▼項の「焼き付き」現象の改善は特に必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記の要求▲1▼〜▲4▼を充足する配向膜であり、この配向膜を用いた液晶表示素子である。本発明のもう一つの目的は、前記の▲1▼〜▲4▼の要求において、いくつかの要求を充足する配向膜であり、この配向膜を用いた液晶表示素子である。また本発明の目的は、この配向膜の原料であるポリイミド、ポリアミド酸またはポリアミド酸誘導体であり、そしてこのポリイミド、ポリアミド酸およびポリアミド酸誘導体の少なくとも1つを含有するワニスである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは鋭意研究開発を進め、下記の式(1)の構成単位を有するポリアミドを成分の1つとした配向膜を作製した。そしてその配向膜を用いて作製した液晶表示素子は高い電圧保持率を有し、そして焼き付き現象を起こしにくいという特性を持つことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は以下の構成を有する。
[1]下記の式(1)の構成単位を有するポリイミド。
Figure 2004075944
(式中、Rは3価の有機基であり、Rは構成単位ごとに異なる構造でもよいが、Rが単一の構造である場合は、Rの構造には1,4−フェニレンを含まない。)
【0009】
[2]下記の式(2)の構成単位を有するポリアミド酸またはその誘導体。
Figure 2004075944
(式中、Rは3価の有機基であり、Rは構成単位ごとに異なる構造でもよいが、Rが単一の構造である場合は、Rの構造には1,4−フェニレンを含まず;Rは水素または炭素数1〜10のアルキルである。)
【0010】
[3]前記[1]項に記載のポリイミドと、下記の式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび/または式(4)の構成単位を有するポリアミド酸との混合物。
Figure 2004075944
(式中、Rは4価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、これらは互いに独立して構成単位ごとに異なる構造でもよい。)
【0011】
[4]前記[2]項に記載のポリアミド酸またはその誘導体と、式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび/または式(4)の構成単位を有するポリアミド酸との混合物。
【0012】
[5]前記[1]項に記載のポリイミド、前記[2]項に記載のポリアミド酸またはその誘導体、および式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび/または式(4)の構成単位を有するポリアミド酸との混合物。
【0013】
[6]前記[1]項または[2]項に記載のポリイミド、ポリアミド酸およびポリアミド酸誘導体の少なくとも1つを含有するワニス。
【0014】
[7]前記[3]項に記載の混合物を含有するワニス。
【0015】
[8]前記[4]項に記載の混合物を含有するワニス。
【0016】
[9]前記[5]項に記載の混合物を含有するワニス。
【0017】
[10]前記[6]項に記載のワニスから製造した配向膜。
【0018】
[11]前記[7]項に記載のワニスから製造した配向膜。
【0019】
[12]前記[8]項に記載のワニスから製造した配向膜。
【0020】
[13]前記[9]項に記載のワニスから製造した配向膜。
【0021】
[14]前記[10]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
【0022】
[15]前記[11]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
【0023】
[16]前記[12]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
【0024】
[17]前記[13]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は式(1)の構成単位を有するポリイミド、式(2)の構成単位を有するポリアミド酸またはその誘導体である。これらのポリイミド、ポリアミド酸またはポリアミド酸誘導体を含む配向膜を用いれば、前述の要求を充足する液晶表示素子を得ることができる。以降、本明細書中で、式(1)の構成単位を有するポリイミドをポリイミド(1)と称することがある。式(2)の構成単位を有するポリアミド酸をその誘導体をも含めてポリアミド酸(2)と称することがある。式(3)の構成単位を有するポリイミドをポリイミド(3)と、式(4)の構成単位を有するポリアミド酸をポリアミド酸(4)と称することがある。また、ポリイミド、ポリアミド酸、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの総称としてポリマーということがある。
【0026】
式(1)または式(2)におけるRは3価の有機基である。3価の有機基の好適な例は以下に記載するNo.1〜No.86の構造である。
【0027】
Figure 2004075944
【0028】
Figure 2004075944
【0029】
Figure 2004075944
【0030】
Figure 2004075944
【0031】
Figure 2004075944
【0032】
Figure 2004075944
【0033】
式中Rは水素または1価の有機基である。1価の有機基は下記の式(6)で表される基である。
Figure 2004075944
式中Rはアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、またはフルオロアルキルであり;環A、環A、および環Aはそれぞれ独立してシクロヘキシレン、フェニレンまたはフッ素で置換されたフェニレンであり、a、bおよびcはそれぞれ独立して0または1であり;B、BおよびBはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり、アルキレンの任意のメチレンは酸素で置き換えられてもよい。フェニレンおよびシクロヘキシレンの置換位置は特に限定されないが、1価の有機基の直線性を保つためには1,4−位、1,3−位が好ましく、1,4−位が特に好ましい。シクロヘキシレンのシス/トランス異性体は混在してもよいが、直線性を保つためにはトランス異性体が好ましい。
式(6)で表される基の具体例は、式(6−1)〜式(6−700)である。
【0034】
Figure 2004075944
【0035】
Figure 2004075944
【0036】
Figure 2004075944
【0037】
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【0038】
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【0039】
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【0040】
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【0041】
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【0042】
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【0043】
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【0044】
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【0045】
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【0046】
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【0047】
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【0048】
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【0049】
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【0050】
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【0051】
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【0052】
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【0053】
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【0054】
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【0055】
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【0056】
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【0057】
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【0058】
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【0059】
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【0060】
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【0061】
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【0062】
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【0063】
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【0064】
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【0065】
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【0066】
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【0067】
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【0068】
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【0069】
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【0070】
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【0071】
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【0072】
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【0073】
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【0074】
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【0075】
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【0076】
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【0077】
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【0078】
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【0079】
Figure 2004075944
【0080】
Figure 2004075944
【0081】
式(2)におけるRは水素または炭素数1〜10のアルキルである。炭素数1〜10のアルキルの具体例はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル等である。ポリアミド酸(2)は、これを含有するワニスを基板に塗布し加熱する過程で、脱水または脱アルコールを伴って閉環しポリイミド(1)となる。この閉環反応が比較的容易に進行するためには、Rは水素または短鎖のアルキルであることが好ましい。短鎖のアルキルの具体例はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル等であり、メチルまたはエチルが特に好ましい。
【0082】
これらの構造を有するポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)から得られる配向膜を液晶表示素子に用いると、液晶表示素子は高い電圧保持率を持ち、焼き付き現象を起こしにくい。従って、すべてのTFT型表示素子用の配向膜として好適である。しきい値電圧が低い液晶組成物を含有し、低電圧で駆動するTFT型表示素子用の配向膜として特に優れている。
【0083】
前に示した3価の有機基Rの好適な構造で、置換基Rを有しない構造、またはRが水素である構造を構成単位に持つポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)から得られた配向膜は、比較的小さなプレチルト角が要求されるIPS用として特に好適である。
【0084】
液晶表示素子のプレチルト角を大きくするためには鎖長の長い基または嵩高い基が好適である。式(6)の基の具体例では式(6−1)〜式(6−700)の基すべてが好ましい。このようなRを有するポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)から得られた配向膜は、比較的大きなプレチルト角が要求されるTN、OCB、もしくはVA用として特に好適である。
【0085】
高い保持率を所望する場合、Rは炭素数が1〜12のアルキル、シクロヘキシルまたはシクロヘキシルを含む基が好適である。式(6)の基の具体例では式(6−1)〜式(6−24)、式(6−49)〜式(6−72)、式(6−97)〜式(6−168)、式(6−193)〜式(6−231)、式(6−246)〜式(6−284)、式(6−298)〜式(6−336)、式(6−350)〜式(6−700)の基が好ましい。
【0086】
配向膜に要求される特性をさらに効果的に発現させるため、薄膜化したときの表面エネルギーの値が異なるワニスを2種類以上混合する方法(ポリマーブレンド)がしばしば行われている。たとえば、特開平8−43831号公報には、2成分以上のポリマー混合液(上記ワニスと同じ)から樹脂塗膜を形成した場合、表面張力の低い成分が自発的に膜表面に偏析しやすい特性を利用して、良好な液晶配向特性を示す樹脂塗膜の表面張力を、良好な電気的特性を発現する樹脂塗膜の表面張力よりも2dyne/cm以上小さくすることにより、配向膜表面には良好な液晶配向性を示す樹脂を形成させ、バルクは良好な電気的特性を発現する樹脂成分を主成分とする構造の配向膜を得る方法が開示されている。本発明のポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)から得られた配向膜は、表面エネルギーが比較的大きな成分として特に好適である。
【0087】
本発明のポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)はそのまま単独で配向膜に使用してもよい。また、特性をさらに改善するために、通常のポリイミド(3)および/またはポリアミド酸(4)と混合して使用してもよい。この場合、混合比は任意の割合で構わないが、ポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)の効果を十分に発現させるために、ポリマーの総重量に対し好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上加えることが望ましい。
本発明の混合物はポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)を適当な溶媒に溶解した溶液と、ポリイミド(3)および/またはポリアミド酸(4)を適当な溶媒に溶解した溶液とを混合して、この溶液から溶媒を留去して得られる。この混合物から配向膜を製造するには、混合物を適当な溶媒に溶解した溶液(ワニス)にして用いる。ポリマー各成分の濃度が所望通りであれば、上記のポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)の溶液とポリイミド(3)および/またはポリアミド酸(4)の溶液を混合した溶液をそのまま配向膜の製造に用いてもよい。
【0088】
式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび式(4)の構成単位を有するポリアミド酸は、任意の酸無水物と任意のジアミンとの重縮合によって得られる。好適な酸無水物は以下に示す化合物である。
【0089】
Figure 2004075944
【0090】
Figure 2004075944
【0091】
Figure 2004075944
【0092】
上記の化合物の中には構造上異性体が存在するものがあるが、それら異性体の単一物でもよいし混合物でかまわない。また、上記の化合物を2種類以上併用してもよい。本発明に使用する酸無水物は上記の化合物以外でもよい。
好適なジアミンは以下に示す化合物である。
【0093】
Figure 2004075944
【0094】
Figure 2004075944
【0095】
Figure 2004075944
【0096】
Figure 2004075944
【0097】
Figure 2004075944
【0098】
また、ガラス基盤への密着性や配向膜の硬さを調節する等の目的のために、シロキサン結合を有するジアミンも上記のジアミンと同様に使用することができる。そのようなシロキサン系ジアミンの中でも下記の式(7)で表される化合物が特に好適である。
Figure 2004075944
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R10はメチレン、フェニレンまたはアルキルで置換されたフェニレンであり、mは1〜6の整数であり、nは1〜10の整数である。)
【0099】
これらの酸無水物およびジアミンはそれぞれを単独で使用してもよいが、所定の特性を発現させるため、2種類以上を併用するのが好ましい。本発明に使用するジアミンは上記の化合物以外でもよい。
【0100】
本発明の第二は本発明のポリイミド、ポリアミド酸またはポリアミド酸誘導体の少なくとも1つを含有するワニスである。本発明のワニスは、後段で述べる反応生成物の溶媒を留去した後、適当な溶媒に溶解させることによって得られる。配向膜を製造するにあたって、配向膜の特性を妨げない限りにおいては反応生成物をそのままワニスとして用いてもよい。
【0101】
本発明のワニスには、更に特性を改善するために、他の高分子化合物、例えばポリアミドやポリアミドイミド等を添加してもよい。さらに配向膜のガラス基板への密着性の改善や硬さの調節等を行うために、有機ケイ素化合物等を添加してもよい。これらのポリアミド、ポリアミドイミド、もしくは有機ケイ素化合物を添加する場合、本発明のポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)の効果を低下させないために、ポリマーの総重量に対する添加量は0.01〜30重量%が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましく、0.1〜5重量%がさらに好ましい。
【0102】
配向膜のガラス基板への密着性の改善や硬さの調節等を行うために、本発明のワニスへ添加される有機ケイ素化合物としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のシリコーンオイルが挙げられる。該有機ケイ素化合物のワニスへの添加量は、ワニスに含有される反応生成物固形分に対し、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0103】
本発明のワニスを調製するために使用される溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、エチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン等が挙げることができ、これらの2種以上を混合して用いても良い。また、上記溶媒以外であっても反応生成物が可溶であればこれらに限定されるものではない。
【0104】
本発明の第三は本発明のワニスから製造した配向膜である。ワニスはポリイミド、ポリアミド酸またはポリアミド酸誘導体の少なくとも1つ、および必要に応じてその他の成分を、前記の溶媒に総重量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の濃度で溶解した溶液である。この溶液を刷毛塗り法、浸漬法、スピンナー法、スプレー法、印刷法等により基板上に塗布する。その後50〜150℃、好ましくは80〜120℃で溶媒を蒸発させた後、150〜400℃好ましくは180〜280℃で加熱し、成膜する。塗布前に基盤表面上をシランカップリング剤で処理し、その上に成膜すれば膜と基板との接着性を改善できる。その後この膜表面を布等で一方向にラビングし配向膜が得られる。
【0105】
本発明の第四は本発明の配向膜を用いた液晶表示素子である。本発明の液晶配向膜を使用すれば、あらゆる液晶表示素子に関し、先に挙げた特性の改善を実現できる。
【0106】
本発明のポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)は、3価の置換基Rの構造に応じて、以下のMethod A〜Dから適当な方法を選択して容易に合成することができる。
Figure 2004075944
(式中RおよびRは前記と同様な意味を表し、Xはハロゲン、p−トルエンスルホン酸基またはトリフルオロスルホン酸基等の脱離基を表し、Yはニトロ基、ニトリル基またはアジド基等の水素添加反応や水素化分解によりアミノ基に変換できる基を表す。)
【0107】
Method A; Macromolecules,vol.31,2107(1998)等に従って式(1−1)で表されるアミノ酸を、加熱して脱水縮合させることで、ポリイミド(1)が容易に得られる。
Method B; 式(1−2)で表されるイミド化合物を、銅等の触媒の存在下もしくは非存在下、塩基を用いて縮合することにより、ポリイミド(1)が容易に得られる。
Method C; 式(2−1)で表されるアミノ酸を、亜リン酸トリフェニルやジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水剤の存在下、縮合反応を行うことにより、ポリアミド酸(2)が容易に得られる。
Method D; 式(2−2)で表される酸無水物を、パラジウム活性炭や酸化白金等の触媒存在下、水素添加反応を行うことにより、ポリアミド酸(2)が容易に得られる。
Method A〜Dに記載した重合反応の詳細は実施例にて詳述する。
【0108】
また、ポリイミド(1)は、以下のMethod Eで示すように、式(1−3)で表されるような2つの互いに反応する置換基を有するイミド化合物を重合させて合成することもできる。
Figure 2004075944
(式中Rは上記と同様の意味を表し、XおよびYは互いに反応するがX同士またはY同士では反応しない基を表す。)
【0109】
上記の方法は重合の過程で3価の有機基の構造を変化させる反応をも含む。この場合重合反応後にRの構造になるような3価の有機基を持つ原料を用いることで、ポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)を得ることができる。
【0110】
本発明のポリイミド(1)およびポリアミド酸(2)は、液晶配向膜用ポリイミド樹脂以外にも各種ポリイミドコーティング剤、ポリイミド樹脂成型品、フィルム、または繊維等に利用することができる。
【0111】
【実施例】
以下実施例により、本発明のポリイミド、ポリアミド酸、およびこれらを用いることによって得られる製品、すなわちポリイミド樹脂の配向膜を詳細に説明する。実施例中、分子量の測定はGPCを用い、ポリスチレンを標準溶液とし、溶出液はDMFを用いた。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0112】
液晶表示素子の評価法
以下に実施例で用いた液晶表示素子の評価法を記載する。実施例中に記載された諸物性の測定値は、特に断りのない限り25℃の値である。
1.プレチルト角
クリスタルローテーション法により行った。測定波長は589nmである。
2.焼き付き(残留電荷)
「三宅他、信学技報、EID91−111,p19」に記載の方法により、残留電荷を測定した。測定は50mV、1kHzの交流に周波数0.0036Hzの三角波を重畳させ行った。この残留電荷を焼き付きの指標にした。つまり残留電荷が多いほど焼き付きやすいとした。
3.電圧保持率
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78」に記載の方法により行った。測定は、ゲート幅69μsec、周波数60Hz、波高±4.5Vの矩形波を印加して行った。
【0113】
実施例1
式(1)において3価の有機基Rが下記のNo.2とNo.31によって構成され、No.2とNo.31の比率が30:70(モル%)であるポリイミドの合成
Figure 2004075944
【0114】
市販の4−アミノフタル酸1.0g(5.5mmol)と特公昭63−174958号公報に従って合成した4−アミノフェニルコハク酸2.7g(13mmol)とをNMP(10ml)中4時間還流した。冷却後反応液を水(100ml)に滴下し、生じた沈殿をろ過し、120℃で7時間真空乾燥させポリイミド2.9gを得た。これをポリイミドAとする。このポリイミドAの重量平均分子量(MW)は12000であった。
【0115】
実施例2
式(1)において3価の有機基Rが下記のNo.7によって構成されるポリイミドの合成
Figure 2004075944
【0116】
モノマーの合成;
市販の4−ブロモフタルイミド10g(44mmol)、3−ブチン−1−オール4.0g(57mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム200mg(0.28mmol)、トリフェニルホスフィン160mg(0.61mmol)、およびヨウ化銅60mg(0.32mmol)の混合物をトリエチルアミン(50ml)中で3時間還流した。冷却後、純水−酢酸エチル系で抽出操作を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残さをエタノールから再結晶することにより4−(4−ヒドロキシ−1−ブテニル)フタルイミド5.3g(収率56%)を得た。
4−(4−ヒドロキシ−1−ブテニル)フタルイミド6.0g(28mmol)をDMF中、パラジウム活性炭を触媒として水素添加反応(水素圧98.0kPa)することによって、目的とする4−(4−ヒドロキシブチル)フタルイミド6.1g(収率99%)を得た。この化合物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
この化合物4.0g(18mmol)のピリジン(40ml)溶液中に、0−5℃で塩化p−トルエンスルホン酸3.8g(20mmol)を加えた。0−5℃で4時間攪拌後、純水−酢酸エチル系で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。残さをカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=5:1)および再結晶(エタノール)することにより4−(4−p−トルエンスルホニルオキシブチル)フタルイミド2.7g(収率40%)を得た。
【0117】
ポリマーの合成;
上記の4−(4−p−トルエンスルホニルオキシブチル)フタルイミド5.0g(13mmol)をDMF(10ml)に溶解し、炭酸カリウム2.0g(14mmol)を加え、100℃で加熱攪拌した。反応はGPCで追跡し、所定の分子量(24時間でMW=約15000)になったら冷却し、反応液を純水に加えポリマーを再沈殿した。ポリマーをろ過後、純水(50ml)中で30分間還流し、洗浄した。120℃で7時間真空乾燥させポリイミド3.1gを得た。これをポリイミドBとする。このポリイミドBの重量平均分子量(MW)は13000であった。
【0118】
実施例3
式(2)においてRが前記のNo.2であり、Rがエチルであるポリアミド酸誘導体の合成
モノマーの合成;
市販の4−ニトロフタル酸無水物25.0g(0.129mol)を無水エタノール100mlに加え、3時間還流した。冷却後、この反応液に5%パラジウム活性炭2.5gを加え、室温でさらに一晩水素添加反応を行った。反応後、触媒をろ過し、溶媒を減圧留去した。残さを再結晶(エタノール)することで4−アミノフタル酸 モノエチルエステル14g(収率45%)を得た。。
【0119】
重合反応;
上記の4−アミノフタル酸 モノエチルエステル5.0g (24mmol)およびピリジ19g(240mmol)を入れ、NMP(50ml)に溶解した。ここに亜リン酸トリフェニル8.4g(27mmol) を滴下し、窒素気流中、100℃で4時間反応させた。冷却後反応物をメタノールに加え、ポリマーを再沈澱させ、ろ過した。このポリマーを120℃で7時間真空乾燥させポリアミド酸 エチルエステル3.8gを得た。これをポリアミド酸Aとする。このポリアミド酸Aの重量平均分子量は34000であった。
【0120】
実施例4
式(2)において3価の有機基Rが下記のNo.3でRが水素であるポリアミド酸の合成
Figure 2004075944
【0121】
モノマーの合成;
市販の4−ブロモフタル酸無水物10g(44mmol)をエタノール(100ml)中、硫酸を触媒としてエステル化した。このもの10g(33mmol)とシアン化銅3.9g(43mmol)との混合物をNMP(50ml)中、200℃で7時間反応させた。冷却後,反応液を10%アンモニア水(50ml)中に滴下し、酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機相を食塩水、塩化アンモニウム水溶液、およびもう一度食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去した。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン→トルエン:酢酸エチル=10:1)により精製し、4−シアノフタル酸 ジエチルエステル9.0g(収率83%)を得た。
この4−シアノフタル酸 ジエチルエステル6.8gを10%NaOH水溶液(25ml)を用い、メタノール(50ml)中、室温で一晩かけて加水分解した。溶媒を減圧留去後、6M塩酸を加え反応系を酸性にした後、酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機層を食塩水で2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去した。この粗生成物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
この4−シアノフタル酸2.8g(15mmol)を無水酢酸(14ml)中、3時間還流させた。冷却後、無水酢酸を減圧留去した後、トルエン(5ml)を加えた。生じた沈殿をろ過し、これをトルエンで再結晶することにより、4−シアノフタル酸無水物1.2g(収率47%)を得た。融点124.6−127.6℃。
【0122】
重合反応;
4−シアノフタル酸無水物1.0g(5.8mmol)をDMF(5ml)中、10%パラジウム活性炭50mgを触媒として水素添加反応させた(水素圧780kPa、室温、100時間)。反応液から触媒をろ別後、ろ液を水(50ml)に滴下し、生じた沈殿をろ過し目的とするポリアミド酸を得た。これをポリアミド酸Bとする。このポリアミド酸Bの重量平均分子量は9600であった。
【0123】
実施例5
式(2)において3価の有機基Rが下記のNo.15であるポリアミド酸の合成
Figure 2004075944
【0124】
実施例4と同様にして合成した4−ブロモフタル酸 ジエチルエステル11g(36mmol)、トリメチルシリルアセチレン4.6g(47mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム640mg(0.91mmol)、トリフェニルホスフィン480mg(1.8mmol)、およびヨウ化銅180mg(0.94mmol)の混合物をトリエチルアミン(50ml)中、60℃で2時間反応させた。冷却後、上記実施例2と同様な抽出操作を行った。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=10:1)することにより4−(トリメチルシリルエチニル)フタル酸 ジエチルエステル11g(収率98%)を得た。
4−(トリメチルシリルエチニル)フタル酸 ジエチルエステル13g(41mmol)をテトラヒドロフラン(THF、50ml)に溶解し、−60℃以下で1.0Mテトラエチルアンモニウムフルオリド溶液45mlを加え、室温で1時間攪拌した後、溶媒を減圧留去した。残さを純水−酢酸エチル系で抽出し、上記と同様の後処理を行った。カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより4−エチニルフタル酸 ジエチルエステル7.4g(収率 73%)を得た。
この4−エチニルフタル酸 ジエチルエステル3.5g(14mmol)、4−ブロモベンゾニトリル3.1g(17mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム100mg(0.14mmol)、トリフェニルホスフィン75mg(0.28mmol)、およびヨウ化銅27mg(0.14mmol)の混合物をトリエチルアミン(30ml)中、3時間還流した。冷却後、純水−トルエン系で抽出し、上記と同様の後処理を行った。残さをカラムクロマトグラフィー(トルエン)および再結晶(エタノール)することにより4−(4−シアノフェニルブテニル)フタル酸 ジエチルエステル3.2g(収率67%)を得た。
この4−(4−シアノフェニルブテニル)フタル酸 ジエチルエステル5.1gを上記実施例と同様な方法で加水分解および無水化し、目的とする4−(4−シアノフェニルエチニル)フタル酸無水物1.4g(収率35%)を得た。
【0125】
重合反応;
上記4−(4−シアノフェニルエチニル)フタル酸無水物を用い、実施例4と同様な方法で重合反応を行い、目的とするポリアミド酸を得た。このポリアミド酸をポリアミド酸Cとする。このポリアミド酸Cの重量平均分子量は15000であった。
【0126】
実施例6
式(4)で表されるポリアミド酸の合成
攪拌機、窒素導入口、温度計、及び原料導入口を供えた100mlの4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(略号DDM、ジアミン13)890mg(4.5mmol)を入れ、NMP10gに溶解した。ここにピロメリット酸無水物(略号PMDA、酸無水物1)490mg(2.2mmol)およびシクロブタンテトラカルボン酸無水物(略号CBTA、酸無水物2)440g(2.2mmol)を加え、6時間攪拌した。その後この溶液をNMP26gで希釈することにより、ポリアミド酸の濃度が約5重量%の透明溶液が得られた。この溶液の重量平均分子量は48000であり、25℃での粘度は80mPa・sであった。以下この溶液をワニスAとする。
【0127】
原料である酸無水物およびジアミンを替えた以外は上記と同様にして、式(4)で表されるポリアミド酸のNMP溶液(5重量%)を製造した。それらの組成を以下の表1に、粘度および分子量を表2に示す。
【0128】
Figure 2004075944
【0129】
(酸無水物およびジアミンのNo.はそれぞれ前記の一覧に記載のものと同一である。)
【0130】
Figure 2004075944
【0131】
応用例1
スクリューバイアルに実施例1で得られたポリイミドA1.0gを入れNMP10gに溶解した。このものに実施例6で得られたワニスAを20ml添加し、室温で1時間攪拌した。その後BC37mlを加え、約3重量%の樹脂組成物を得た。片面にITO電極を設けた透明ガラス基板上に、この組成物を滴下し、スピンナー法により塗布した(2500rpm、15秒)。塗布後80℃で5分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、オーブン中で250℃、30分間加熱処理を行い、膜厚約50nmのポリイミド樹脂薄膜を得た。該樹脂薄膜が形成されたガラス基板をラビング処理し、ラビング方向が逆平行になるようにこれらの2枚を貼り合わせ、セル厚18μmの液晶セルを組み立てた。このセルに下記の化合物からなる液晶組成物を注入し、110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで冷却し液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の残留電荷は25℃で50mVであり、20、60、および90℃における電圧保持率はそれぞれ98.3、97.7、96.3%であった。またこの表示素子を用いてプレチルト角を測定した結果、0.5度であった(これらの値を初期値とする)。このセルを110℃で20時間静置し、室温まで冷却した後、これらの値を再測定した。その結果残留電荷は63mV(25℃)であり、電圧保持率は98.1(20)、97.4(60)、95.8%(90℃)、プレチルト角は0.6度であった(これらの値を高温後値とする)。
【0132】
Figure 2004075944
【0133】
応用例2
ポリイミドAの代わりに実施例2で合成したポリイミドBを用いた以外は、応用例1と同様な方法で液晶表示素子を製作し、特性測定した。これらの特性測定結果を表3に示す。
【0134】
Figure 2004075944
【0135】
応用例6〜12
ポリイミドAをポリアミド酸Aに、ワニスAをワニスB〜Hに替え、それ以外は応用例1と同様にして液晶表示素子を製作した。これらの特性測定結果を表4に示す。
【0136】
Figure 2004075944
【0137】
応用例13〜19
ポリイミドAをポリアミド酸Bに、ワニスAをワニスB〜Hに替え、それ以外は応用例1と同様にして液晶表示素子を製作した。これらの特性測定結果を表5に示す。
【0138】
Figure 2004075944
【0139】
比較例1
スクリューバイアルに実施例6で得られたワニスA、およびワニスBをそれぞれ18.2mlおよび0.18ml量り取り、室温で1時間攪拌した。その後BC12mlを加え、約3重量%の樹脂組成物を得た。応用例1と同様な方法でこの樹脂粗成物をガラス基盤に塗布し、ラビング処理を行い、さらにこのセルに液晶を注入し、液晶表示素子を製作した。この表示素子の特性を以下に示す。
初期値;残留電荷 340mV(25℃)
電圧保持率 96.2(20)、95.6(60)、94.3%(90℃)
プレチルト角 6.5度
高温後値;残留電荷 400mV(25℃)
電圧保持率 96.3(20)、95.4(60)、94.1%(90℃)
プレチルト角 6.4度
【0140】
比較例2〜6
ワニスBの代わりに上記実施例6で得られたワニスC〜Hを用い、その他は比較例1と同様にして液晶表示素子を製作した。この液晶表示素子の特性を以下の表6に示す。
【0141】
Figure 2004075944
【0142】
【発明の効果】
以上の結果から明らかなように、本発明の新規なポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)を含んだワニスから製造した配向膜を用いた液晶表示素子は、電圧保持率が非常に高く、焼き付きが少ない。またポリイミド(1)またはポリアミド酸(2)は液晶配向膜用途に留まらず、その他のポリイミドを成分とする他の高分子材料の原料としても使用できる。

Claims (17)

  1. 下記の式(1)の構成単位を有するポリイミド。
    Figure 2004075944
    (式中、Rは3価の有機基であり、Rは構成単位ごとに異なる構造でもよいが、Rが単一の構造である場合は、Rの構造には1,4−フェニレンを含まない。)
  2. 下記の式(2)の構成単位を有するポリアミド酸またはその誘導体。
    Figure 2004075944
    (式中、Rは3価の有機基であり、Rは構成単位ごとに異なる構造でもよいが、Rが単一の構造である場合は、Rの構造には1,4−フェニレンを含まず;Rは水素または炭素数1〜10のアルキルである。)
  3. 請求項1に記載のポリイミドと、下記の式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび/または式(4)の構成単位を有するポリアミド酸との混合物。
    Figure 2004075944
    (式中、Rは4価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、これらは互いに独立して構成単位ごとに異なる構造でもよい。)
  4. 請求項2に記載のポリアミド酸またはその誘導体と、式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび/または式(4)の構成単位を有するポリアミド酸との混合物。
  5. 請求項1に記載のポリイミド、請求項2に記載のポリアミド酸またはその誘導体、および式(3)の構成単位を有するポリイミドおよび/または式(4)の構成単位を有するポリアミド酸との混合物。
  6. 請求項1または請求項2に記載のポリイミド、ポリアミド酸およびポリアミド酸誘導体の少なくとも1つを含有するワニス。
  7. 請求項3に記載の混合物を含有するワニス。
  8. 請求項4に記載の混合物を含有するワニス。
  9. 請求項5に記載の混合物を含有するワニス。
  10. 請求項6に記載のワニスから製造した配向膜。
  11. 請求項7に記載のワニスから製造した配向膜。
  12. 請求項8に記載のワニスから製造した配向膜。
  13. 請求項9に記載のワニスから製造した配向膜。
  14. 請求項10に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
  15. 請求項11に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
  16. 請求項12に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
  17. 請求項13に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
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