JP4867222B2 - フェニレンジアミン、配向膜および液晶表示素子 - Google Patents

フェニレンジアミン、配向膜および液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は新規なフェニレンジアミン化合物、これを用いて得られる重合体(例えばポリアミック酸)、この重合体を用いて形成される配向膜、およびこの配向膜を有する液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は画面の拡大化やカラー化、コントラストや発色等の表示品位や応答速度向上の要求に伴い、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)から、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)へ、さらに画素一つ一つに薄膜トランジスタ(Thin Filmed Transistor:TFT)を取り付けたTFT型表示素子へと発展してきている。近年ではTFT型表示素子の駆動方式の改良が進み、例えば視野角をさらに拡大するため、イン・プレーン・スイッチング(In-Plain Switching:IPS)方式や垂直配向(Vertical Alignment:VA)方式が開発され、さらに動画対応可能な応答速度を持つ光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)方式が開発されている。
配向膜は表示素子において液晶分子を一定方向に配向させること、基板平面に対して傾けること、の2つの役割を果たしている。基板平面に対する液晶分子の傾きはプレチルト角と呼ばれる。本明細書中でも以降この名称を使用する。配向膜には、分子配向の経時的な、化学的な、および熱的な劣化を最小限に抑えるため、ガラス転移点(Tg)が高く耐薬品性や耐熱性に優れたポリイミド薄膜がその材料として主に使用されている。配向膜は、通常ポリアミック酸または可溶性ポリイミドの溶液をスピナー法や印刷法等により電極付ガラス基板に塗布し、その基板を加熱してポリアミック酸を脱水、閉環するか、または可溶性ポリイミド溶液の溶媒を蒸発させることによってポリイミドの薄膜を得、さらにラビング等の配向処理工程を経て得られる。以下の説明では、ポリアミック酸または可溶性ポリイミドの溶液をワニスと略記することがある。
このようにして表面に配向膜を形成させた2枚の基板を対向させて貼り合わせ、セルを組み立てる。そしてこのセルの内部を減圧にした後液晶に浸して、セルの開口部から液晶を注入することにより液晶表示素子が作成される。しかしながら、この方法では液晶の注入に時間がかかり、特に大画面の表示素子を作成する際に問題となっていた。そこで生産性を向上させるために、液晶を配向膜の上に直接滴下した後セルを貼り合わせる方法(以下、滴下注入法と呼ぶ)が最近採用され始めている。
このような配向膜には液晶表示素子に対する下記のような機能が要求される。
(1)液晶分子に適切なプレチルト角を付与し、ラビング時の押込み強度や加熱時の温度の差によるプレチルト角の変化が小さいこと。
(2)液晶表示素子の配向欠陥による光り抜けが発生しない配向処理が可能であること。
(3)液晶表示素子に適切な電圧保持率(Voltage Holding Ratio:VHR)を与えることができること。
(4)液晶表示素子に任意の画像を長時間表示させた後、別の画像に変えたときに前の画像が残像として残る「焼き付き」と呼ばれる現象が起きにくいこと。
特にTFT型表示素子に用いられる高品質な配向膜は、高い電圧保持率を有し、しかも焼き付き現象を起こしにくいことが要求されている。
VAモードにおいては、電圧無印加時に液晶分子を垂直配向させる必要がある。これは通常、原料であるジアミンに大きな置換基を導入することで達成できる(特許文献1および2を参照)。このような目的を持つジアミンとしては置換フェニレンジアミン誘導体が適しており、式(4)および式(5)のそれぞれで表される化合物が公知となっている。

Figure 0004867222

Figure 0004867222
式(4)中のRはアルキルである。
WO9730107パンフレット 特開2002−327058公報 しかしながら、上記の特性を満足する配向膜設計を行うには、さらにさまざまな置換基を有する誘導体の開発が求められている。
本発明は、広い視野角を有し、かつ光り抜けのない良好な配向性を有する液晶表示素子を提供することを究極の目標とし、この目標の達成を目指して、上記の特性の多くを充足できる液晶配向膜材料として有用な新規なフェニレンジアミンを提供しようとするものである。そして、このフェニレンジアミンを原料とするポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドを提供し、更にこれらのポリマーから選ばれる少なくとも1つを含有するワニス、このワニスを用いて得られる配向膜、この配向膜を有する液晶表示素子などを提供しようとするものである。
発明者らは、本発明のフェニレンジアミン誘導体を原料とするワニスから形成される液晶配向膜が数度から90゜までのプレチルト角を発現し、さらにラビングや洗浄などによってプレチルト角が変化しないことを見出した。更に、この配向膜を用いれば、液晶の配向安定性に優れ、電圧保持率が高く、焼き付きが少ない表示素子を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
[1]式(1)で表されるフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
ここに、ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは1価の有機基である。
[2]式(1−1)で表されるフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2)および式(3)のどちらかで表される基である:

Figure 0004867222

Figure 0004867222
ここに、Rは水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこのアルキルにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであり、そしてこの1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであり、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこの1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよい。
[3]式(1−2)で表されるフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2−0)で表される基である:

Figure 0004867222
ここに、R21は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこのアルキルにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであり、そしてこの1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであり、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこの1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよい。
[4]Wが式(2−1)〜式(2−10)のいずれか1つで表される基である、[3]項に記載のフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
これらの式において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
[5]Wが式(2−1)〜式(2−8)のいずれか1つで表される基である、[4]項に記載のフェニレンジアミン。
[6]式(1−2−1)で表されるフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは式(2−2)、式(2−5)、式(2−6)および式(2−9)のいずれか1つで表される基である:

Figure 0004867222
これらの式において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
[7]R22が水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ、または2〜10個の炭素原子を有するアルコキシアルキルであり;BおよびBが独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であり、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてBおよびBの少なくとも1つは単結合である、[6]項に記載のフェニレンジアミン。
[8]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが独立して単結合または−CHCH−であり、そしてBおよびBの少なくとも1つが単結合である、[6]項に記載のフェニレンジアミン。
[9]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが共に単結合である、[6]項に記載のフェニレンジアミン。
[10]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBの1つが単結合であって、BおよびBのもう1つが−CHCH−である、[6]項に記載のフェニレンジアミン。
[11]Xが−OCO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが共に単結合である、[6]項に記載のフェニレンジアミン。
[12]Xが−NHCO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが共に単結合である、[6]項に記載のフェニレンジアミン。
[13]式(1−3)で表されるフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(3)で表される基である:

Figure 0004867222
[14]式(1−3−1)で表されるフェニレンジアミン:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは式(3)で表される基である:

Figure 0004867222
[15]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−である、[14]項に記載のフェニレンジアミン。
[16]式(1−1)で表されるフェニレンジアミンの少なくとも1つ、または式(1−1)で表されるフェニレンジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物と、多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる重合体:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2)および式(3)のどちらかで表される基である:

Figure 0004867222
ここに、Rは水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであって、この1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、この1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよい:

Figure 0004867222
[17]式(1−2)で表されるフェニレンジアミンと式(1−3)で表されるフェニレンジアミンとからなる群から選ばれる少なくとも1つのフェニレンジアミン、またはこの(これらの)フェニレンジアミンとその他のジアミンとの混合物と、多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる重合体:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2−0)で表される基である:

Figure 0004867222
ここに、R21は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−、で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであり;この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、この1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよい:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(3)で表される基である:

Figure 0004867222
[18]Wが式(2−1)〜式(2−10)のいずれか1つで表される基である、[17]項に記載の重合体:

Figure 0004867222
これらの式において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
[19]式(1−2−1)で表されるフェニレンジアミンと式(1−3−1)で表されるフェニレンジアミンとからなる群から選ばれる少なくとも1つのフェニレンジアミン、またはこの(これらの)フェニレンジアミンとその他のジアミンとの混合物と、多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる重合体:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは式(2−2)、式(2−5)、式(2−6)および式(2−9)のいずれか1つで表される基である:

Figure 0004867222
ここに、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい:

Figure 0004867222
ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;そして、Wは式(3)で表される基である:

Figure 0004867222
[20]R22が水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ、または2〜10個の炭素原子を有するアルコキシアルキルであり;BおよびBが独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてBおよびBの少なくとも1つは単結合である、[19]項に記載の重合体。
[21]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが独立して単結合または−CHCH−であり、そしてBおよびBの少なくとも1つが単結合である、[19]項に記載の重合体。
[22]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、BおよびBが共に単結合である、[19]項に記載の重合体。
[23]Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBの1つが単結合であって、BおよびBのもう1つが−CHCH−である、[19]項に記載の重合体。
[24]式(1−2−1)において、Xが−OCO−または−NHCO−であり、R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてBおよびBが共に単結合であり;そして、式(1−3−1)においてXが−OCO−である、[19]項に記載の重合体。
[25]多価カルボン酸がテトラカルボン酸二無水物である、[16]〜[24]のいずれか1項に記載の重合体。
[26]多価カルボン酸がテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸またはその誘導体との混合物である、[16]〜[24]のいずれか1項に記載の重合体。
[27]多価カルボン酸がトリカルボン酸またはその誘導体である、[16]〜[24]のいずれか1項に記載の重合体。
[28][25]項に記載の重合体の少なくとも1つを含有するワニス。
[29][26]項に記載の重合体の少なくとも1つを含有するワニス。
[30][27]項に記載の重合体の少なくとも1つを含有するワニス。
[31][28]〜[30]のいずれか1項に記載のワニスを用いて形成される配向膜。
[32][28]〜[30]のいずれか1項に記載のワニスを用いて形成される垂直配向用配向膜。
[33][31]項に記載の配向膜を含む液晶表示素子。
[34][32]項に記載の配向膜を含む液晶表示素子。
本発明の式(1)で表されるフェニレンジアミンをジアミン原料として製造されるポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドは、この重合体を含有するワニスを用いて配向膜を形成させるとき、例えば、VHRが高く焼き付きが少ないなどの特性を液晶表示素子に与えることができる。この配向膜は、液晶に対し安定したプレチルト角を与えることができる。特に長い側鎖を有するジアミンは、これを用いるとプレチルト角を垂直に近くすることができるため、VA方式の液晶表示素子用途に重要である。本発明のワニスから形成された配向膜は、配向不良による光抜けを起こし難い。そして、本発明のフェニレンジアミンは、短い合成ルートで安価に製造することができるので、本発明により高機能な液晶表示素子をより安価に提供することが可能である。
また本発明のフェニレンジアミン誘導体を原料とするワニスから形成される液晶配向膜は表面エネルギーが比較的小さいにもかかわらず、比較的大きなプレチルト角を発現する。従って、滴下注入法による表示素子作成の際、配向膜上の液晶の濡れ性が良くなり、濡れ性を原因とするムラが発生しにくい。
まず最初に、本発明で用いる用語について説明する。「任意の」は位置だけでなく、個数についても任意であることを示す。そして、任意のAがB、CまたはDで置き換えられてもよいという表現は、1つのAがB、CまたはDで置き換えられてもよいという意味と、複数のAのどれもがB、CおよびDのいずれか1つで置き換えられてもよいという意味とに加えて、Bで置き換えられるA、Cで置き換えられるA、およびDで置き換えられるAの少なくとも2つが混在してもよいという意味を有する。例えば、任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいn−ブチルには、CH(CH−の他、CH(CHO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−、CH=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−、CH−CH=CH−CH−O−などが含まれる。なお、本発明においては、連続する2つの−CH−が−O−または−S−で置き換えられて、−O−O−、−O−S−または−S−S−になることは好ましくない。アクリレートおよびメタクリレートの総称として、「(メタ)アクリレート」を用いることがある。特に断らずにアルキルと記述するときは、直鎖アルキルと分岐アルキルの両方を含むアルキルを意味する。アルケニル、アルキレンおよびアルケニレンについても同様である。例えば、ブチルはn−ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルのいずれであってもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素を意味する。「多価カルボン酸」は2個以上のカルボキシル基を有する有機酸およびその誘導体を意味する。以下の説明では、式(1)で表されるジアミンを化合物(1)と称することがある。他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。
本発明のフェニレンジアミンは、前述のように式(1)で表される。

Figure 0004867222
式(1)において、ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり、2位〜6位のどこでもよい。Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。そして、Wは1価の有機基である。
本発明のフェニレンジアミンの好ましい例は式(1−1)で表されるフェニレンジアミンである。

Figure 0004867222
式(1−1)において、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。Xの好ましい例は、−OCO−、−COO−、−NHCO−および−N(CH)CO−である。Xのより好ましい例は、−OCO−および−NHCO−である。なお、Xが−COO−または−CONR−である化合物(1)は、配向膜により高い電圧保持率を付与させるために好ましい。Xが−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rがアルキルである化合物(1)は、高いプレチルト角が求められるVA用配向膜を得るために好ましい。ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり、2位〜6位のどこでもよい。好ましい結合位置は3位と5位である。そして、Wは式(2)および式(3)のどちらかで表される基である。

Figure 0004867222

Figure 0004867222
式(2)において、Rは水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよい。A、A、およびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または1,4−ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであって、この1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。そして、この1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよい。
そして、A、AまたはAの好ましい例は、1,4−シクロヘキシレンおよび任意の水素がメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。高い電圧保持率や焼き付き現象の抑制などの効果を奏するためには、式(2)における環状基として非置換の1,4−フェニレンまたは少なくとも1つの水素がメチルまたはフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンを有するフェニレンジアミンを用いることが好ましい。特に非置換の1,4−フェニレンまたはフッ素置換の1,4−フェニレンが好ましい。フッ素置換された1,4−フェニレンを有するジアミンを原料とする配向膜は、非置換や他の基で置換された1,4−フェニレンを有するジアミンを原料とするものに比べ、小さな表面エネルギーを有する。配向膜の表面エネルギーを小さくすると、液晶のプレチルト角は大きくなる傾向がある。従ってIPSやTN用途にこれらのジアミンを使用する場合、その使用量は必要最小限とするのが好ましい。また後述のポリマーブレンドを行う場合、これらのフッ素で置換された1,4−フェニレンを有するジアミンを用いれば、良好な層分離状態が得られる。
本発明のフェニレンジアミンのより好ましい例は、式(1−2)および式(1−3)のそれぞれで表されるフェニレンジアミンである。

Figure 0004867222

Figure 0004867222
これらの式において、ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり、Xは式(1−1)におけるXと同じ意味を有し、好ましい例も同じである。
式(1−2)におけるWは式(2−0)で表される基である。

Figure 0004867222
式(2−0)における記号は次のような意味を有する。R21は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよい。A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであって、この1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。そして、A、AまたはAの好ましい例は、単結合、1,4−シクロヘキシレンおよび任意の水素がメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。そして、この1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよい。
式(2−0)で表される基の好ましい例を表(1−1)および表(1−2)に示す。これらの表において、Bは任意の水素がフッ素、メチルまたはメトキシで置き換えられてもよい1,4−フェニレンを示し、Chは1,4−シクロヘキシレンを示し、BOはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルを示し、そしてMeはメチルを示す。
<表(1−1)>
Figure 0004867222
<表(1−2)>
Figure 0004867222
これらの表に記載の基のうち、No.1〜No.3およびNo.6〜No.11の基のいずれかを有するジアミンを原料成分として用いて、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドを製造するとき、これらの重合体を含有するワニスから液晶のプレチルト角を5〜10度程度に調製できる配向膜を形成させることができる。従って、これらの化合物は、TN用の配向膜を得るための原料として特に好適である。No.4、No.5およびNo.12〜49の基のいずれかを有するジアミンを原料成分とするとき、液晶のプレチルト角を90度近くに非常に安定して保持できる配向膜を得ることができる。従って、これらの化合物は、垂直に近いプレチルト角が要求されるVA方式用の配向膜として特に好適である。このとき得られる配向膜はVHRが高いので、この特性を改善する上でもこれらの化合物は特に好適である。
式(1−3)におけるWは式(3)で表される基である。

Figure 0004867222
式(2−0)の好ましい例は、式(2−1)〜式(2−10)のそれぞれで表される基である。

Figure 0004867222
式(2−1)〜式(2−10)において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよい。R22の好ましい例は、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシおよび2〜10個の炭素原子を有するアルコキシアルキルである。R22のより好ましい例は水素および1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、特に好ましい例は1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。BおよびBは独立して、単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。より高い電圧保持率を配向膜に付与させるには、Rが1〜10個の炭素原子を有するアルキルであることが好ましい。合成が容易であることを考慮すれば、特に好ましいRはメチルである。そして、BおよびBが独立して単結合または−CHCH−であることがより好ましく、BおよびBの少なくとも1つが単結合であることが特に好ましい。なお、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
そして、式(2−1)〜式(2−10)のうち、式(2−1)〜式(2−8)がより好ましい。式(2−0)がこれらの基のいずれか1つであるとき、より高い電圧保持率を配向膜に付与するために、そして焼き付き現象を抑えるために効果的である。
本発明のフェニレンジアミンの更に好ましい例は、式(1−2−1)および式(1−3−1)のそれぞれで表されるフェニレンジアミンである。

Figure 0004867222
これらの式において、Xは式(1−1)におけるXと同じ意味を有し、好ましい例も同じである。Wは、前記の式(2−1)〜式(2−10)のうちの式(2−2)、式(2−5)、式(2−6)および式(2−9)のいずれか1つで表される基である。Wがこれらのいずれかの基であるとき、化合物(1−2−1)は合成が容易であり、これを用いることによって電圧保持率の大きな表示素子を得ることができる。そして、Wは前記の式(3)で表される基である。
本発明のフェニレンジアミンのより一層好ましい例を次に示す。

Figure 0004867222
これらの式において、Xは−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり、−OCO−および−NHCO−が好ましい。Wは前記の式(3)で表される基であり、そしてWは式(2−2−1)、式(2−5−1)、式(2−6−1)および式(2−9−1)のいずれか1つで表される基である。

Figure 0004867222
これらの式において、R23は水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、1〜10個の炭素原子を有するアルキルの方が好ましい。BおよびBの少なくとも1つは単結合であって、単結合でない場合には−CHCH−である。そして、BおよびBがともに単結合であることが好ましい。そして1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
本発明のフェニレンジアミンの特に好ましい例を次に示す。

Figure 0004867222
これらの式において、Wは前記の式(3)で表される基であり、そしてWは式(2−2−2)、式(2−5−2)、式(2−6−2)および式(2−9−2)のいずれか1つで表される基である。

Figure 0004867222
これらの基において、R24は1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよいが、非置換の1,4−フェニレンが好ましい。
式(3)で表される基を有する本発明のフェニレンジアミンを用いてポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドを製造するとき、得られる重合体を含有するワニスから形成される配向膜も、プレチルト角の安定化およびVHRの向上を図る上で好適である。
化合物(1)は以下のような方法で容易に合成できる。
<1>式(1)において、Xが−OCO−または−NRCO−である場合

Figure 0004867222
このスキームにおいて、Yは−O−または−NR−であり、YはMeO−、HO−またはHRN−であり、YはHOCO−またはClCO−であり、そして、WおよびRは式(1)におけるこれらの記号と同じ意味を表す。
J.Org.Chem.,25,1230(1960)および同誌29,2856(1964)に従い、化合物(1−a)と化合物(1−b)とをポリリン酸、AlCl、ZnCl等の触媒存在下、Friedel−Crafts反応させることにより、化合物(1−c)を合成できる。この化合物(1−c)のカルボニル基を、常法に従いシラン還元して化合物(1−d)に誘導した後、公知のカルボン酸(1−e)と反応させることにより、化合物(1−f)が合成できる。これを常法に従って水素添加反応を行うことによって化合物(1)が容易に得られる。
<2>式(1)において、Xが−COO−または−CONR−である場合

Figure 0004867222
このスキームにおけるW、YおよびRの意味は前記の通りである。
US5606014等に従い合成した化合物(1−g)を、上記と同様にシラン還元して化合物(1−h)に誘導した後、常法に従いシアノ化することにより化合物(1−i)が容易に合成できる。この化合物を塩酸等により加水分解することにより化合物(1−j)とし、これをDCC等の脱水剤存在下、公知のアルコール(1−k)またはアミン(1−l)と反応させることにより、化合物(1−m)が得られる。これを水素添加反応させることにより、化合物(1)が容易に合成できる。なお、本発明のフェニレンジアミンの製造法は上記に限定されない。
次に、本発明の重合体について説明する。本発明の重合体は、前記の式(1−1)で表されるフェニレンジアミンの少なくとも1つと多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる。多価カルボン酸の例は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸およびこれらの誘導体である。誘導体の例は酸無水物および酸ハロゲン化物である。即ち、本発明の重合体はポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドである。

Figure 0004867222
ポリアミック酸は、化合物(1−1)とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる。ポリイミドはこのポリアミック酸の脱水反応等によって得られる。ポリアミドイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸もしくはその誘導体との混合物と化合物(1−1)とを反応させて得られる。ポリアミドイミドは、化合物(1−1)とトリカルボン酸もしくはその誘導体とを反応させることによっても得られる。ポリアミドは、化合物(1−1)とジカルボン酸もしくはその誘導体とを反応させることによって得られる。化合物(1−1)は単独で使用してもよいが、化合物(1−1)の2つ以上を組み合わせて使用してもよい。化合物(1−1)に加えて、その他のジアミンを併用してもよい。その他のジアミンは、式(1)で表されないジアミンを意味する。
本発明では公知のテトラカルボン酸二無水物のほとんど全てが使用できる。特に好適な例を次に示す。
<テトラカルボン酸二無水物(1)>

Figure 0004867222
<テトラカルボン酸二無水物(2)>

Figure 0004867222
<テトラカルボン酸二無水物(3)>

Figure 0004867222
これらの化合物の中には異性体が存在するものがあるが、これらの異性体を含む混合物であってもかまわない。これらの化合物の2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
これら好適例の酸二無水物と本発明のフェニレンジアミンとを用いてポリイミドを製造するとき、このポリイミドを含有するワニスから得られる配向膜は、高いVHRを発現し、焼き付き現象を防ぐとともに高い液晶配向能力を有する。従って、この配向膜は、しきい値電圧が低い液晶組成物を含有し、低電圧で駆動するTFT型表示素子用の配向膜として特に優れている。
上記の例のうち、No.6−2、No.6−12〜No.6−18、No.6−20〜No.6−24、No.6−28〜No.6−32、No.6−38等の脂環骨格を有する化合物を1種類以上選択することにより、液晶表示素子に高いVHRを付与することができる。No.6−1、No.6−3〜No.6−11、No.6−19等の化合物とその他の化合物を適宜組み合わせることにより、焼き付き現象を防ぐことができる。
本発明においては、公知のジアミンのほとんど全てをその他のジアミンとして使用することができる。その他のジアミンの好適な例を次に示す。
<その他のジアミン(1)>

Figure 0004867222
<その他のジアミン(2)>

Figure 0004867222
<その他のジアミン(3)>

Figure 0004867222
<その他のジアミン(4)>

Figure 0004867222
<その他のジアミン(5)>

Figure 0004867222
化合物(1−1)と併用することができる上記以外のジアミンとして、式(8)で表されるシロキサン系のジアミンを挙げることができる。

Figure 0004867222
ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;Rは炭素数1〜6のアルキレン、または任意の水素が炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよいフェニレンであり;そして、nは1〜10の整数である。
本発明のワニスは、本発明の重合体の少なくとも1つを含有する溶液である。本発明のワニスの具体的な例は、本発明のフェニレンジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させることによって得られるポリアミック酸の溶液、テトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸またはその誘導体との混合物と本発明のフェニレンジアミンとを反応させることによって得られるポリアミドアミック酸の溶液、およびトリカルボン酸またはその誘導体と本発明のフェニレンジアミンとを反応させることによって得られるポリアミドアミック酸の溶液である。このポリアミック酸の溶液から溶剤を除去して得られるポリアミック酸を別の溶剤に溶解させてポリアミック酸溶液としてもよい。このポリアミドアミック酸の溶液から溶剤を除去して得られるポリアミドアミック酸の重合体を別の溶剤に溶解させてポリアミドアミック酸溶液としてもよい。
配向膜の場合に限らないが、要求される特性をさらに効果的に発現させる目的で、特性の異なる重合体を組み合わせて用いることがある。配向膜においては、薄膜化したときの表面エネルギーの値が異なる複数の重合体を用いてこのような重合体ブレンドを行った場合、表面張力の低い成分が膜表面に偏析しやすい。このような重合体ブレンドを行うことによって、配向膜の表面に良好な液晶配向性を示す層を形成させ、バルクに良好な電気的特性を発現する層を形成させ、これら両方の特性に優れた配向膜を得る方法が、特開平8−43831号公報に開示されている。
本発明のワニスにおいても重合体ブレンドを行うことができる。本発明のワニスにおけるポリマーブレンドの1つの例は、本発明の重合体の2種類以上を混合して用いることである。このとき、上記の重合体溶液を混合するのが簡単である。ポリアミドアミック酸またはポリアミドイミドを用いる場合には、VHRの低下を抑え、配向の熱的、機械的な安定性を損なわないようにするため、これらを本発明のポリアミック酸またはポリイミドに混合して用いるのが好ましい。このときその好ましい添加量はポリアミック酸またはポリイミドに対し0.01〜30重量%であり、より好ましい添加量は0.01〜10重量%である。
本発明におけるポリマーブレンドの次の例は、本発明の重合体に加えて本発明の重合体以外の重合体を併用することである。このとき全重合体成分中に占める本発明の重合体の好ましい割合は50〜100重量%であり、70〜100重量%の範囲がより好ましい。この割合が50〜100重量%の範囲内であれば、本発明の効果を十分発現させることができる。そして、本発明のワニスに含まれる重合体成分の割合は、ワニス全量を基準として0.1〜30重量%である。この割合のより好ましい範囲は1〜10重量%である。この割合の最適な値は塗布法に応じて選べばよいが、0.1〜30重量%の範囲内であれば、塗布時のムラやピンホール等を抑えることができる。
本発明のワニスにおけるポリマーブレンドの更に次の例は、本発明のフェニレンジアミンをジアミン原料として得られるポリアミック酸またはポリイミドを表面張力の低い成分とし、より大きな表面張力を発現する重合体をこれに混合することである。より大きな表面張力を発現する重合体は、公知の酸無水物およびジアミンから調製することができる。このとき大きな表面張力を発現する重合体のジアミン成分の一部に本発明のフェニレンジアミンを使用してもよい。このようなポリマーブレンドによって良好な液晶配向特性およびプレチルト角を保持したまま良好な電気的特性を発現させようとするとき、表面張力のより小さい重合体の好ましい使用量は、表面張力のより小さい重合体と表面張力の大きい重合体とを合わせた全重合体重量に対する割合で1〜30重量%である。この割合のより好ましい範囲は5〜15重量%である。
本発明のワニスには有機ケイ素化合物を添加することができる。有機ケイ素化合物は、配向膜のガラス基板への密着性の改善や硬さの調節に有用であり、ラビングにより配向膜が削れることに起因する表示不良を改善することができる。有機ケイ素化合物の例は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどのシリコーンオイルである。この有機ケイ素化合物を使用するとき、上記の表示不良を改善するために好ましい添加量は、ワニス中の重合体成分量に対する割合で0.01重量%以上であり、液晶の配向不良を生じさせないために好ましい割合は重合体成分量に対して5重量%以下である。
本発明のワニスに用いる溶剤の例は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、エチレングリコールモノエチルエーテル、およびγ−ブチロラクトンである。本発明においては、これらの溶剤の少なくとも1つを重合体製造に用いてそのままワニスとしてもよいし、得られた重合体から溶剤を除いた後に、別の溶剤に溶解させてワニスとしてもよい。本発明で用いる溶剤は上記の例に限定されない。本発明の重合体を溶解することができ、配向膜形成に害をなすことがなければ、どのような溶剤でも用いることができる。
本発明配向膜の製造方法の一例を次に示す。
(a)本発明のワニスを刷毛塗り法、浸漬法、スピンナー法、スプレー法または印刷法により基板上に塗布する。
(b)50〜150℃、好ましくは80〜120℃で溶剤を蒸発させる。
(c)150〜400℃、好ましくは180〜280℃で加熱し成膜する。
(d)膜表面を布などでラビング処理する。
なお、ワニスの塗布前に基板表面上をシランカップリング剤で処理し、その基板表面上に成膜すれば、膜と基板との接着性がさらに改善される。
本発明のフェニレンジアミンを用いて得られるポリイミドは、液晶配向膜用途以外にも、コーティング剤、成型品、フィルムまたは繊維などに利用することができる。本発明のフェニレンジアミンは、ポリウレア樹脂の原料やエポキシ樹脂の硬化剤などとして用いることもできる。
本発明の配向膜は、液晶表示素子の特性を改善するために有用であり、高い電圧保持率が要求されるTFT用液晶表示素子の焼き付き改善に特に効果が大きい。このようなTFT用液晶表示素子に使用される液晶組成物の例は、特許第3086228号、特許2635435号、特表平5−501735および特平開9−255956に記載されている。本発明の配向膜はこれらに記載された液晶組成物と組み合わせて用いるのが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例中、NMRはすべて重クロロホルム中で測定した。分子量の測定にはGPCを用い、ポリスチレンを標準溶液とし、溶出液にはDMFを用いた。粘度は、回転粘度計(東機産業株式会社製、TV−20)を用いて測定した。液晶表示素子の評価法を次に示す。
<プレチルト角>
クリスタルローテーション法により行った。
<焼き付き(残留DC電圧)>
「三宅他、信学技報、EID91−111,p19」に記載の方法により、液晶セルに50mV、1kHzの交流および周波数0.0036Hzの直流の三角波を重畳させて残留DC電圧を測定した。この残留DC電圧を焼き付きの指標にした。つまり、残留DC電圧が高いほど焼き付きやすいと評価した。
<電圧保持率>
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78」に記載の方法により行った。測定条件は、ゲート幅69μs、周波数60Hz、波高±4.5Vであった。
<配向性>
偏光顕微鏡観察による目視により行った。
<表面エネルギー>
接触角測定装置(協和界面化学株式会社CA-A型)で配向膜上に滴下した純水およびエチレングリコールの接触角を測定することにより求めた。計算式および純水、エチレングリコールの表面エネルギーとして、特開平8−50293号公報またはWO2002−51909パンフレットに記載されたものを使用した。
[実施例1]
<4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルエステルの合成>

Figure 0004867222
(この化合物は、式(1−2−1)においてXが−OCO−であり、Wが式(2−2)で表される基であり、式(2−2)においてBおよびBが単結合であり、そしてR22がペンチルである化合物である。)
J. Org. Chem., 25, 1230(1960)に記載の方法に準じて合成した3,5−ジアミノ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(20.0g;69.3mmol)の塩化メチレン(100ml)溶液に、室温で四塩化チタン(15.8g;83.2mmol)を添加した。この溶液に室温でトリエチルシラン(19.4g;167mmol)を添加し、そのまま室温で2時間攪拌した。反応後、反応混合物を氷水に投入し、有機層を分離した。有機層を純水(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過および溶剤を減圧溜去した後、得られた残さをエタノール−トルエンで再結晶することによって、目的とする3,5−ジニトロ−4’−ヒドロキシジフェニルメタンを得た(収量15.2g、収率80%)。
この化合物(4.89g;17.8mmol)、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸(5.0g;18mmol)、および4−N,N−ジメチルピリジン(2.6g;21mmol)の塩化メチレン(100ml)溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、4.0g;19mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液から沈殿をろ別した後、純水(100ml)で洗浄した。上記と同様な処理を行い得られた残さをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン)で処理し、エタノールから再結晶することによって、目的とする3,5−ジニトロ−4’−(4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)カルボニルオキシジフェニルメタンを得た。なお、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸は、特開昭57−009752号公報に記載の方法に従って合成した。
(収量7.45g、収率78%)
この化合物(7.0g;13mmol)に対し、トルエン(100ml)−エタノール(100ml)混合溶剤中で、5%Pd/C(1.0g)を用いて水素添加反応を行った(水素圧98kPa)。触媒をろ別した後、溶剤を減圧溜去した。残さをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/塩化メチレン:メタノール=20:1)で処理し、酢酸エチルから再結晶することによって、目的とする3,5−ジアミノ−4’−(4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)カルボニルオキシジフェニルメタンを得た(収量3.9g、収率63%)。
融点:203.3−206.9℃
1H NMR;7.16, 6.98(AA’BB’, 2H ), 5.93(d, 2H, J=1.90Hz), 5.89(d, 1H, J=1.9Hz), 3.76(s, 2H,), 3.51(brs, 4H), 2.46-0.86(m, 31H).
[実施例2]
<4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)安息香酸) 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルエステルの合成>

Figure 0004867222
式(1−2−1)においてXが−OCO−であり、Wが式(2−5)で表される基であり、式(2−5)においてBおよびBが単結合であり、そしてR22がプロピルである表題化合物を、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸の替わりに、4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)安息香酸を用い、実施例1と同様にして合成した。4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)安息香酸は、特開昭57−007447号公報に記載の方法に従って合成した。この化合物に関しては、実施例1の結果および次の実施例3の結果と用いた原料とからその構造が容易に推定できるので分析を省略した。
[実施例3]
<4−(4−プロピルフェニル)安息香酸 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルエステルの合成>

Figure 0004867222
式(1−2−1)においてXが−OCO−であり、Wが式(2−9)で表される基であり、式(2−9)においてBおよびBが単結合であり、そしてR22がn−プロピルである表題化合物を、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸の替わりに、4−(4−プロピルフェニル)安息香酸を用いること以外は実施例1と同様にして合成した。4−(4−プロピルフェニル)安息香酸は、特開昭52−085154号公報に記載の方法に従って合成した。
融点 159.2〜161.9℃
1H NMR;8.24, 7.72, 7.57, 7.28, 7.24, 7.12(AA’BB’, 8H), 5.97(d, 2H, J=2.00Hz), 5.89(d, 1H, J=1.9Hz), 3.80(s, 2H), 3.52(brs, 4H), 2.66(t, 2H, J=7.55Hz), 1.62-1.67, 1.25-1.35(m, 10H), 0.89(t, 3H, J=6.70Hz).
[実施例4]
<4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルアミドの合成>

Figure 0004867222
(この化合物は、式(1−2−1)においてXが−NHCO−であり、Wが式(2−2)で表される基であり、式(2−2)においてBおよびBが単結合であり、そしてR22がn−ペンチルである化合物である。)
Tetrahedron Lett., 38, 2137(1997)に記載の方法に従い、N−アセチルアニリン(10.0g;74.0mmol)、3,5‐ジニトロ安息香酸クロリド(17.0g;73.7mmol)、およびZnO(1.0g)の混合物を120℃で5時間攪拌した。反応液を冷却後、これにクロロホルム(100ml)を加えてろ過した。減圧下でろ液から低沸点成分を溜去し、得られた残さをカラムクロマトグラフィー(トルエン:メタノール=30:1)で精製することにより、目的とする3,5−ジニトロ−4’−アセチルアミドベンゾフェノンを得た(収量7.8g、収率32%)。
この化合物に対し、実施例1と同様にシラン還元を行うことにより、目的とする3,5−ジニトロ−4’−アセチルアミドジフェニルメタンを得た(収量6.0g;収率81%)。この化合物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
この化合物(6.0g;19mmol)に6M−HCl(10ml)を加え、酢酸(30ml)中で7時間攪拌した。溶剤を減圧溜去した後、20%水酸化ナトリウム水溶液(50ml)を加え、酢酸エチル(50ml)で3回抽出した。上記と同様な乾燥操作を行い、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=30:1)で精製することにより、目的とする3,5−ジニトロ−4’−アミノジフェニルメタンを得た(収量4.0g;収率78%)。実施例1の方法と同様にして、この化合物に4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸を反応させ、次いでニトロ基の還元を行うことにより、目的とする4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルアミドを得た。
(収量3.6g;収率46%)
[実施例5]
<アビエチン酸 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルエステルの合成>

Figure 0004867222
式(1−3−1)においてXが−OCO−である表題の化合物を、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸に替えて市販のアビエチン酸を用い、実施例1と同様にして合成した。この化合物に関しては分析を省略し、用いた原料からその構造を推定した。
[実施例6]
<4−(3,5−ジアミノフェニル)メチル安息香酸 4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルエステルの合成>

Figure 0004867222
(この化合物は、式(1−2−1)においてXが−COO−であり、Wが式(2−2)で表される基であり、式(2−2)においてBおよびBが単結合であり、そしてR22がn−ペンチルである化合物である。)
US5606014に記載の方法に従い合成した4−ブロモ−3’,5’−ジニトロベンゾフェノン(10g;28mmol)を、四塩化チタン(5.9g;31mmol)およびトリエチルシラン(7.9g;68mmol)を用い、実施例1と同様な方法でシラン還元した。得られた粗結晶を再結晶(トルエン−エタノール)することにより4−ブロモ−3’,5’−ジニトロジフェニルメタンを得た(収量8.0g;収率84%)。
この化合物(8.0g;24mmol)およびシアン化銅(I)(2.4g;27mmol)をNMP(10ml)中、150℃で10時間攪拌した。冷却後、クロロホルム(100ml)および10重量%アンモニア水(100ml)を加え、有機層を分離した。有機層を純水(100ml)で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。低沸点成分を減圧下で溜去して得られた残さをカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより、目的とする3,5−ジニトロ−4’−シアノジフェニルメタンを得た(収量5.6g;収率83%)。
この化合物(5.6g;20mmol)を75重量%硫酸水溶液(25ml)中、150℃で2時間反応させた。冷却後、酢酸エチル(200ml)および純水(100ml)を加え、有機層を分離した。有機層を純水(100ml)で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。低沸点成分を減圧下で溜去して得られた残さをカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製することにより、目的とする4−(3,5−ジニトロベンジル)安息香酸を得た(収量2.7g;収率45%)。
実施例1に記載の方法に準じ、この化合物(2.7g;8.9mmol)と4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサノール(2.5g;9.8mmol)を用いてエステル化反応を行った。精製はカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=10:1)で行い、4−(3,5−ジニトロフェニル)メチル安息香酸 4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルエステルを得た(収量4.0g;収率83%)。4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサノールは、特開昭57−054148号公報に記載の方法に準じて合成した。
この化合物(4.0g;7.4mmol)を用い、実施例1に記載の方法に準じて4−(3,5−ジアミノフェニル)メチル安息香酸 4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルエステルを合成した(収量2.6g;収率76%)。
[実施例7]
<ポリアミック酸の合成>
100mlの4つ口フラスコに、実施例1で合成した4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルエステル(1.746g;3.459mmol)を入れ、NMP(25g)に溶解した。ここにピロメリット酸無水物(PMDA、0.7545g;3.459mmol)を加え、1時間攪拌した。その後この溶液をBC(25g)で希釈することにより、ポリアミック酸濃度が約5重量%の透明溶液が得られた。この溶液の25℃での粘度は47kPa・sであり、ポリアミック酸の重量平均分子量は7.9万以下、この溶液をワニスAとする。
[実施例8]
<ポリアミドの合成>
三口フラスコ(500ml)に実施例1で合成した4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルボン酸 4−(3,5−ジアミノフェニル)メチルフェニルエステル(7.5712g;15mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM、2.9739g;1.5mmol)、テレフタル酸(TPA、3.6g;17mmol)、塩化リチウム(3.8g;88mmol)を入れ、NMP(120ml)に溶解させた。ここに亜リン酸トリフェニル(11.8g;38mmol) を滴下し、窒素気流中、100℃で4時間反応させた。冷却後、反応物をメタノール(1,000ml)に加え、重合体を再沈澱させてからろ過した。この粗生成物を、純水500mlで2回、メタノール500mlで1回、各30分程度煮沸洗浄した。120℃で7時間真空乾燥させポリアミド9.7gを得た。このポリアミドの重量平均分子量は17万であった。
三口フラスコに上記と同様にして得たポリアミド(10.0g)を入れ、NMP(150ml)に溶解させた。ここにナトリウムメトキシド(2.2g;40mmol) を加え、室温で3時間攪拌させた。この溶液にヨウ化メチル(6.4g;45mmol)を添加し、さらに室温で2時間反応させた。反応物を純水(2,000ml)に投入して、再沈殿させてからろ過した。得られた固形分を純水(1、000ml)で2回、各30分間煮沸洗浄した後、重量比1:1の純水−イソプロパノール混合溶剤500mlで1回洗浄した。120℃で8時間真空乾燥させ、ポリメチルアミド8.4gを得た(この重合体をポリアミドAとする)。このときの重量平均分子量は5.7万であり、アミド水素のメチル基への置換率は、NMRの測定から100%であった。
[実施例9〜18、参考例1および2]
表2に示すジアミンおよび酸無水物を用い、実施例8に準じてポリアミック酸ワニスB〜Mを調製した。なお、参考例2において使用したジアミン(5ChBEB)は、WO9730107に記載の方法に従い合成した。

<表2>

Figure 0004867222
表2において、カッコ内の数値はモル%を示し、化合物を示す用語および記号の意味は次の通りである。
ジアミン−1:実施例1で得られたジアミン
ジアミン−2:実施例2で得られたジアミン
ジアミン−3:実施例3で得られたジアミン
ジアミン−4:実施例4で得られたジアミン
ジアミン−5:実施例5で得られたジアミン
ジアミン−6:実施例6で得られたジアミン
DDM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
PMDA:ピロメリット酸無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
5ChBEB:3,5−ジアミノ安息香酸 4−n−ペンチルシクロヘキシルフェニルエステル
[実施例19]
<ワニスAの評価>
3つ口フラスコにワニスA(0.18ml)とワニスL(18.2ml)を入れ、室温で1時間攪拌した。その後BC(12ml)を加え、ポリマー濃度が約3重量%の組成物を得た。片面にITO電極を設けた透明ガラス基板上に、この組成物を滴下し、スピンナー法により塗布した(2500rpm、15秒)。これを80℃で5分間加熱して溶剤を蒸発させた後、オーブン中で250℃30分間加熱処理を行い、厚み約60nmの膜を形成させた。この膜の表面エネルギーを測定したところ27.5erg/cm2であった。
この膜を形成したガラス基板を、毛先押しこみ量0.4mm、ローラー回転数300rpm、ローラー送り速度30mm/secで1回ラビング処理した。このようにして得られたガラス基板2枚を合わせ、セル厚20μmの液晶セルを組み立てた。このセルに下記の液晶組成物Aを注入し、110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで冷却して液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の残留DC電圧は25℃で105mVであり、20℃、60℃、および90℃におけるVHRはそれぞれ96.1%、95.2%、および93.4%であった。この表示素子を用いて測定したプレチルト角は90度であった。さらに偏光顕微鏡観察の結果、配向不良による光りぬけは全く観察されなかった(これらの値を初期値とする)。このセルを110℃で20時間静置し、室温まで冷却した後、これらの値を再測定した(この値を加熱後値とする)。その結果、残留DC電圧は158mV(25℃)であり、VHRは95.8%(20℃)、95.0%(60℃)、93.3%(90℃)であり、プレチルト角は90度であった。さらに偏光顕微鏡観察の結果、配向不良による光りぬけは全く観察されなかった。
<液晶組成物A>

Figure 0004867222
これらの式において、Etはエチルであり、Meはメチルであり、そしてアルキルはすべて直鎖の基である。
[実施例20]
<ワニスBの評価>
ワニスAの代わりにワニスBを用いた以外は実施例19と同様な方法で液晶表示素子を製作し、その物性を測定した。その結果を以下に示す。
(初期値)
残留DC電圧:120mV
VHR(%):95.8(20℃)、94.0(60℃)、93.2(90℃)
プレチルト角:90度
光りぬけなし。
(加熱後値)
残留DC電圧:122mV
VHR(%):94.6(20℃)、93.6(60℃)、91.8(90℃)
プレチルト角は:90度
光りぬけなし。
[実施例21〜29]
ワニスAの代わりに表3に示すワニスを用いた以外は実施例19と同様にして、液晶表示素子を製作した。これらの素子の物性測定結果を表3に示す。
<表3>
Figure 0004867222
実施例24の配向膜の表面エネルギーを実施例19と同様な方法で測定したところ、27.2erg/cm2であった。
[比較例1]
ワニスAの代わりにワニスMを用いた以外は、実施例19と同様な方法で液晶表示素子を製作し、その残留DC電圧を測定した。その結果を以下に示す。
(初期値)
残留DC電圧;182mV
VHR(%);94.2(20℃)、93.0(60℃)、92.3(90℃)
プレチルト角;81度
光りぬけあり。
(加熱後値)
残留DC電圧;191mV
VHR(%);94.1(20℃)、92.0(60℃)、90.6(90℃)
プレチルト角;79度
光りぬけあり。
[比較例2]
ワニスAの代わりにワニスNを用いた以外は、実施例19と同様な方法で表面エネルギーを測定した結果、26.7erg/cm2であった。
この配向膜を用い、実施例19と同様な方法で液晶表示素子を製作し、その残留DC電圧を測定した。その結果を以下に示す。
(初期値)
残留DC電圧;164mV
VHR(%);95.2(20℃)、93.4(60℃)、91.5(90℃)
プレチルト角;90度
光りぬけなし。
(加熱後値)
残留DC電圧;1671mV
VHR(%);95.1(20℃)、93.2(60℃)、91.6(90℃)
プレチルト角;90度
光りぬけなし。
実施例19〜29と比較例1の結果から、本発明のフェニレンジアミンを用いて得られる液晶配向膜は、残留DC電圧を増加させたり、VHRを低下させることなく、安定なプレチルト角および配向を与えることが分かる。実施例19、実施例24、および比較例2の結果から、本発明のフェニレンジアミンを用いて得られる液晶配向膜は、比較例に比べて表面エネルギーが大きいことが分かる。したがって、滴下注入法による表示素子作成の際、配向膜上の液晶の濡れ性が良くなり、濡れ性を原因とするムラの発生が抑えられると考えられる。

Claims (33)

  1. 式(1−1)で表されるフェニレンジアミン:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2)および式(3)のどちらかで表される基である:

    Figure 0004867222

    Figure 0004867222
    ここに、Rは水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこのアルキルにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであり、そしてこの1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであり、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこの1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよい。
  2. 式(1−2)で表されるフェニレンジアミン:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2−0)で表される基である:

    Figure 0004867222
    ここに、R21は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこのアルキルにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであり、そしてこの1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであり、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてこの1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよい。
  3. が式(2−1)〜式(2−10)のいずれか1つで表される基である、請求項に記載のフェニレンジアミン:

    Figure 0004867222
    これらの式において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
  4. が式(2−1)〜式(2−8)のいずれか1つで表される基である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  5. 式(1−2−1)で表されるフェニレンジアミン:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは式(2−2)、式(2−5)、式(2−6)および式(2−9)のいずれか1つで表される基である:

    Figure 0004867222
    これらの式において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
  6. 22が水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ、または2〜10個の炭素原子を有するアルコキシアルキルであり;BおよびBが独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であり、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてBおよびBの少なくとも1つは単結合である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  7. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが独立して単結合または−CHCH−であり、そしてBおよびBの少なくとも1つが単結合である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  8. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが共に単結合である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  9. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBの1つが単結合であって、BおよびBのもう1つが−CHCH−である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  10. Xが−OCO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが共に単結合である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  11. Xが−NHCO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが共に単結合である、請求項に記載のフェニレンジアミン。
  12. 式(1−3)で表されるフェニレンジアミン:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(3)で表される基である:

    Figure 0004867222
  13. 式(1−3−1)で表されるフェニレンジアミン:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは式(3)で表される基である:

    Figure 0004867222
  14. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−である、請求項13に記載のフェニレンジアミン。
  15. 式(1−1)で表されるフェニレンジアミンの少なくとも1つ、または式(1−1)で表されるフェニレンジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物と、多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる重合体:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2)および式(3)のどちらかで表される基である:

    Figure 0004867222
    ここに、Rは水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであって、この1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、この1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−、−CO−、−Si(CH−、−OSi(CH−、−Si(CHO−、または−OSi(CHO−で置き換えられてもよい:

    Figure 0004867222
  16. 式(1−2)で表されるフェニレンジアミンと式(1−3)で表されるフェニレンジアミンとからなる群から選ばれる少なくとも1つのフェニレンジアミン、またはこの(これらの)フェニレンジアミンとその他のジアミンとの混合物と、多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる重合体:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(2−0)で表される基である:

    Figure 0004867222
    ここに、R21は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−、で置き換えられてもよく;A、AおよびAは独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイルであり;この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、または1〜4個の炭素原子を有するアルキレンであって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、この1〜4個の炭素原子を有するアルキレンにおいて、任意の−CH−は−CF−、−O−または−CO−で置き換えられてもよい:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;ベンゼン環へのアミノ基の結合位置は任意であり;そして、Wは式(3)で表される基である:

    Figure 0004867222
  17. が式(2−1)〜式(2−10)のいずれか1つで表される基である、請求項16に記載の重合体:

    Figure 0004867222
    これらの式において、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい。
  18. 式(1−2−1)で表されるフェニレンジアミンと式(1−3−1)で表されるフェニレンジアミンとからなる群から選ばれる少なくとも1つのフェニレンジアミン、またはこの(これらの)フェニレンジアミンとその他のジアミンとの混合物と、多価カルボン酸の少なくとも1つとの反応により得られる重合体:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、Wは式(2−2)、式(2−5)、式(2−6)および式(2−9)のいずれか1つで表される基である:

    Figure 0004867222
    ここに、R22は水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキルであって、このアルキルにおける任意の−CH−は−CF−または−O−で置き換えられてもよく;BおよびBは独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、1,4−フェニレンにおける任意の水素はメチル、メトキシまたはフッ素で置き換えられてもよい:

    Figure 0004867222
    ここに、Xは−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;そして、Wは式(3)で表される基である:

    Figure 0004867222
  19. 22が水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ、または2〜10個の炭素原子を有するアルコキシアルキルであり;BおよびBが独立して単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−OCO−、−COO−、−NRCO−または−CONR−であって、Rは水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてBおよびBの少なくとも1つは単結合である、請求項18に記載の重合体。
  20. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;BおよびBが独立して単結合または−CHCH−であり、そしてBおよびBの少なくとも1つが単結合である、請求項18に記載の重合体。
  21. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、BおよびBが共に単結合である、請求項18に記載の重合体。
  22. Xが−OCO−、−COO−、−NHCO−または−N(CH)CO−であり;R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり;そして、BおよびBの1つが単結合であって、BおよびBのもう1つが−CHCH−である、請求項18に記載の重合体。
  23. 式(1−2−1)において、Xが−OCO−または−NHCO−であり、R22が1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてBおよびBが共に単結合であり;そして、式(1−3−1)においてXが−OCO−である、請求項18に記載の重合体。
  24. 多価カルボン酸がテトラカルボン酸二無水物である、請求項15〜23のいずれか1項に記載の重合体。
  25. 多価カルボン酸がテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸との混合物である、請求項15〜23のいずれか1項に記載の重合体。
  26. 多価カルボン酸がトリカルボン酸である、請求項15〜23のいずれか1項に記載の重合体。
  27. 請求項24に記載の重合体の少なくとも1つを含有するワニス。
  28. 請求項25に記載の重合体の少なくとも1つを含有するワニス。
  29. 請求項26に記載の重合体の少なくとも1つを含有するワニス。
  30. 請求項27〜29のいずれか1項に記載のワニスを用いて形成される配向膜。
  31. 請求項27〜29のいずれか1項に記載のワニスを用いて形成される、垂直配向用配向膜。
  32. 請求項30に記載の配向膜を含む液晶表示素子。
  33. 請求項31に記載の配向膜を含む液晶表示素子。
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