JP2007286597A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】電圧保持率が高く、かつ保存特性の劣化が顕著に抑制された液晶表示素子を提供する。また、該液晶表示素子を製作するための液晶配向膜及び液晶配向剤を提供する。
【解決手段】一種又は二種以上のポリアミック酸又はその誘導体とオキサジン構造を有する化合物とを含有する液晶配向剤、この液晶配向剤を用いて作製された液晶配向膜、及びこの液晶配向膜を有する液晶表示素子を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、オキサジン構造を有する化合物、及びポリアミック酸が溶媒に溶解した液晶配向剤、該液晶配向剤から形成される液晶配向膜、及びそれを具備した液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に使われており、最近ではテレビとしても用いられるようになってきた。さらに液晶表示素子は、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子としても利用されている。
液晶表示素子は、通常は、1)対向配置されている一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極、3)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、及び4)前記一対の基板間に形成された液晶層、を有する。
従来の液晶表示素子としては、ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin Film Transistor)型液晶表示素子が実用化されている。これらの液晶表示素子は、画像が適正に視認できる視野角が狭く、斜め方向から見たときに、輝度やコントラストの低下及び中間調での輝度反転を生じるという欠点を有している。
近年、この視野角の問題については、1)光学補償フィルムを用いたTN−TFT型液晶表示素子、2)垂直配向と光学補償フィルムを用いたVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子、3)垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi Domain Vertical Alignment)型液晶表示素子、又は4)横電界方式のIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、5)ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶表示素子、6)光学補償ベンド(Optically Compensated Bend又はOptically self−Compensated Birefringence:OCB)型液晶表示素子等の技術により改良されており、改良された技術が実用化、又は検討されている。
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、液晶表示素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の一つであり、液晶表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
液晶配向膜は、液晶配向剤より調製される。現在、主として用いられている液晶配向剤とは、ポリアミック酸又は可溶性のポリイミドを有機溶媒に溶解させた溶液である。このような溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜してポリイミド系配向膜を形成する。ポリアミック酸以外の種々の液晶配向剤も検討されているが、耐熱性、耐薬品性(耐液晶性)、塗布性、液晶配向性、電気特性、光学特性、表示特性等の点から、ほとんど
実用化されていない。
液晶表示素子の表示品位を向上させるために液晶配向膜に要求される重要な特性として、電圧保持率が挙げられる。電圧保持率が低いと、フレーム期間中に液晶にかかる電圧が低下し、結果として輝度が低下して正常な諧調表示に支障を来すことがある。また、例え初期の電圧保持率が高くても、高温加速試験後の電圧保持率(長期信頼性)が低下してしまうような場合は問題である。
前記した問題を解決する試みとして、最近では幾つかの方法が提案されている。
1)液晶配向膜を形成させるための、物性の異なる二以上のポリアミック酸を組み合わせて含むポリアミック酸組成物が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
2)ポリアミック酸とポリアミドを含むポリマー成分と、溶媒とを含有するワニス組成物が知られている(例えば特許文献3参照)。
3)物性の異なる二以上のポリアミック酸及びポリアミド、並びに溶媒を含有するワニス組成物が知られている(例えば特許文献4参照)。
4)特定の構造を有するジアミン化合物を用いて合成されるポリアミック酸等を含む高分子材料を含むワニス組成物が知られている(例えば特許文献5参照)。
5)ポリイミド及びポリアミック酸ワニスに低分子エポキシ樹脂を添加する技術が知られている(例えば特許文献6参照)。
しかしながら、これらの先行技術によって、電圧保持率及び長期信頼性の問題は十分に解決されていない。
また、ポリアミック酸とオキサジン構造を有する硬化促進剤とを含有する液晶配向剤が知られている(例えば特許文献7参照)。しかしながら、この硬化促進剤は、液晶配向膜を作製する際のイミド化において蒸発、昇華、分解するとされており、このような液晶配向膜を用いて作製された液晶配向膜において硬化促進剤が液晶配向膜の電気特性に及ぼす影響については検討されていない。
さらにポリアミック酸とオキサジン構造を有する化合物とを含有する組成物の膜を形成し、その膜においてポリアミック酸を熱処理してフィルムを作製する技術が知られている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら、前記フィルムの液晶配向膜は開示されておらず、またこのフィルムの電気特性やその長期安定性についても検討されていない。
特開平11−193345号公報 特開平11−193347号公報 国際公開00/61684号パンフレット 国際公開01/000733号パンフレット 特開2002−162630号公報 特開2005−189270号公報 特開平9−302225号公報 Tsutomu Takeichi et al., "Performance improvement of polybenzoxazine by alloying with polyimide: effect of preparation method on the properties", polymer, 2005, 46, p.4909−4916
上記状況を考慮して、電圧保持率及び長期信頼性の問題が改善された液晶表示素子用の液晶配向剤、それを用いて形成される液晶配向膜、及びそれを具備した液晶表示素子の開
発が望まれている。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を行った。
その結果、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られる一種若しくは二種以上のポリアミック酸又はその誘導体、及びオキサジン構造を有する化合物、を含有する液晶配向剤を使用して作製された液晶配向膜を具備する液晶表示素子に、良好な電圧保持率及び長期信頼性を付与することができることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、前記ポリアミック酸又はその誘導体を適宜選択することにより、前記液晶配向剤を使用して作製された液晶配向膜が、種々の表示駆動方式の液晶表示素子に適切に適用され得ることを見出した。
本発明は以下の構成からなる。
[1] オキサジン構造を有する化合物、及びポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤であって、前記オキサジン構造を有する化合物を、前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して0.1〜50重量%含有することを特徴とする液晶配向剤。
[2] オキシラン構造を有する化合物、オキセタン構造を有する化合物、チイラン構造を有する化合物、アジリジン構造を有する化合物、及びオキサゾリン構造を有する化合物からなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有する化合物をさらに含有し、前記ヘテロ環構造を有する化合物及び前記オキサジン構造を有する化合物を前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して総量で0.1〜50重量%含有することを特徴とする[1]記載の液晶配向剤。
[3] 前記オキサジン構造を有する化合物はオキサジン構造を二個以上有する化合物の一又は二以上を含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の液晶配向剤。
[4] 前記オキサジン構造を有する化合物におけるオキサジン構造がベンゾオキサジン構造であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[5] 前記オキサジン構造を有する化合物が下記一般式(I)で表される化合物の一又は二以上を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。ただし一般式(I)中、R1及びR2は炭素数1〜30の有機基を表し、R3からR6は水素、又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。
Figure 2007286597
[6] 前記オキサジン構造を有する化合物がオリゴマーやポリマーであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[7] 前記オキサジン構造を有する化合物は、下記一般式(I’)で表される構造を構成単位に含むオリゴマー又はポリマーであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか
一項に記載の液晶配向剤。
Figure 2007286597
一般式(I’)中、R1及びR2は独立して単結合又は炭素数1〜30の二価の有機基を表し、R3からR6は独立して水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。
[8] 前記ヘテロ環構造を有する化合物がオキシラン構造を有する化合物であることを特徴とする[2]〜[7]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[9] 前記オキシラン構造を有する化合物が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン及び4,4’−メチレンビス(N,N’−ジグリシジルアニリンの一方又は両方であることを特徴とする[8]記載の液晶配向剤。
[10] 前記ポリアミック酸又はその誘導体は、酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを用いて得られる反応生成物であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[11] 前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として芳香族テトラカルボン酸二無水物を含み、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(1)、(2)及び(5)〜(7)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上であることを特徴とする[10]記載の液晶配向剤。
Figure 2007286597
[12] 前記芳香族テトラカルボン酸二無水物が前記構造式(1)の化合物であることを特徴とする[11]記載の液晶配向剤。
[13] 前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のB成分として脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物のいずれか一方又は両方を含むことを特徴とする[10]〜[12]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[14] 前記脂環式テトラカルボン酸二無水物が1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする[13]記載の液晶配向剤。
[15] 前記脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(19)、(20)、(27)〜(29)及び(60)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上を含むことを特徴とする[13]に記載の液晶配向剤。
Figure 2007286597
[16] 前記ジアミンは、アミンのA成分として下記一般式(II)〜(VIII)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンの一又は二以上を含むことを特徴とする[10]〜[15]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
Figure 2007286597
一般式(II)中、A1は、−(CH2m−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(IV)、(VI)、(VIII)中、A1は独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。
また一般式(VII)及び(VIII)中、A2は、独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。さらに一般式(III)〜(VIII)中のシクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、ベンジル又は4−ヒドロキシベンジルと置き換えられていてもよい。
[17] 前記ジアミンは、下記構造式(V−1)、(V−2)、(V−15)、(V−16)、(VI−1)〜(VI−12)、(VI−31)、(VIII−2)及び(XV−3)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上を含むことを特徴とする[16]記載の液晶配向剤。
Figure 2007286597
[18] 前記ジアミンは、下記一般式(IX)及び(XI)〜(XIV)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンの一又は二以上を含むことを特徴とする[10]〜[17]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
Figure 2007286597
一般式(IX)中、A3は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−又は−(CH2m−を表す。ここでmは1〜6の整数を表す。R7は、ステロイド骨格を有する基、下記一般式(X)で表される基、炭素数1〜30のアルキルを表す。該アルキルにおいては、独立して、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CH3が−CH2F、−CHF2又は−CF3で置き換えられていてもよい。ただし該アルキルにおいて−O−は隣
り合わない。
また一般式(XI)及び(XII)中、ステロイド骨格を形成する炭素に結合している水素は、独立して−CH3と置き換えられていてもよく、R11はそれぞれ独立して、−H又は−CH3を表し、R12は、−H又は炭素数1〜20のアルキル若しくはアルケニルを表す。A6はそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−又は−CH2−を表す。式(XII)中、R13及びR14はそれぞれ独立して、−H、炭素数1〜20のアルキル又はフェニルを表す。
また一般式(XIII)中、R15は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。該アルキルのうち炭素数2〜30のアルキルの任意の−CH2−は、独立して−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよい。ただし該アルキルにおいて−O−は隣り合わない。一般式(XIII)及び(XIV)中、A7は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンを表す。一般式(XIII)中、A8は単結合又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。環Tは1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンを表す。hは0又は1を表す。式(XIV)中、R16は炭素数6〜22のアルキルを表し、R17は−H又は炭素数1〜22のアルキルを表す。
Figure 2007286597
一般式(X)において、A4及びA5はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−又は炭素数1〜20のアルキレンを表す。R8及びR9はそれぞれ独立して、−F又は−CH3を表す。環Sは1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル又はアントラセン−9,10−ジイルを表す。R10は−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2又は−OCF3を表す。またa及びbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、a又はbが2〜4であるとき隣り合うA4又はA5は異なる基であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、eが2又は3であるとき複数の環Sは同一の基であっても異なる基であってもよい。f及びgはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつc+d+e≧1である。
[19] 前記ジアミンは、下記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)、(IX−6)、(XIII−2)及び(XIII−4)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンの一又は二以上を含むことを特徴とする[18]記載の液晶配向剤。下記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)及び(IX−6)中、R18は又はR19は、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表す。下記一般式(XIII−2)中、R24は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。下記一般式(XIII−4)中、R25は炭素数1〜20のアルキルを表す。
Figure 2007286597
[20] 二種類以上の前記ポリアミック酸又はその誘導体を含有することを特徴とする[1]〜[19]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[21] オキサジン構造を有する化合物、及びポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤であって、
前記オキサジン構造を有する化合物を、前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して0.1〜20重量%含有し、前記オキサジン構造を有する化合物が下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(I’)で表される構成単位を含む化合物の一又は二以上であり、
前記ポリアミック酸又はその誘導体が酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを用いて得られる反応生成物であり、
前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として下記構造式(1)、(2)及び(5)〜(7)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び酸のB成分として下記構造式(14)、(19)、(20)、(27)〜(29)及び(60)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であり、
前記ジアミンは、アミンのA成分として下記構造式(V−1)、(V−2)、(V−15)、(V−16)、(VI−1)〜(VI−12)、(VI−31)、(VIII−2)及び(XV−3)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及びアミンのB成分として下記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)、(IX−6)、(XIII−2)及び(XIII−4)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であることを特徴とする液晶配向剤。
Figure 2007286597
一般式(I)中、R1及びR2は独立して、炭素数1〜30のアルキル、フェニル又はベンジルを表し、R3からR6は水素を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、
−CO−、−O−、又は−SO2−を表す。
Figure 2007286597
一般式(I’)中、R1及びR2は独立して単結合又は炭素数1〜30の二価の有機基を表し、R3からR6は独立して水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。
Figure 2007286597
Figure 2007286597
Figure 2007286597
Figure 2007286597
前記一般式中、R18及びR19は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表し、R24は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表し、R25は炭素数1〜20のアルキルを表す。
[22] 前記テトラカルボン酸二無水物は、前記酸のA成分として前記構造式(1)の化合物、及び酸のB成分として前記構造式(14)の化合物のいずれか一方又は両方であり、
前記ジアミンは、前記アミンのA成分として前記構造式(V−16)、(VI−1)及び(VI−7)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び前記アミンのB成分、のいずれか一方又は両方であることを特徴とする[21]に記載の液晶配向剤。
[23] 前記オキサジン構造を有する化合物は、前記一般式(I)中、R1及びR2はフェニル又はアリルを表し、R3からR6は水素を表し、Xは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、又は−SO2−を表し、
前記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)及び(IX−6)中、R18は炭素数5〜25のアルキル又は炭素数5〜25のアルコキシを表し、R19は炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシを表すことを特徴とする[21]又は[22]に記載の液晶配向剤。
[24] 前記オキサジン構造を有する化合物は、前記一般式(I’)中、R1が単結合を表し、R2が4,4'−ジフェニルメタンを表し、R3からR6が水素を表し、Xが−C(CH32−を表す構造を構成単位に含むポリマーであり、
前記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)及び(IX−6)中、R18は炭素数5〜25のアルキル又は炭素数5〜25のアルコキシを表し、R19は炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシを表すことを特徴とする[21]又は[22]に記載の液晶配向剤。
[25] 前記アミンのB成分が、前記一般式(IX−2)、(IX−5)及び(XIII−4)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上であることを特徴とする[21]〜[24]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[26] オキシラン構造を有する化合物をさらに含有し、
前記オキシラン構造を有する化合物及び前記オキサジン構造を有する化合物を前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して総量で0.1〜50重量%含有することを特徴とする[21]〜[25]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
[27] 前記オキシラン構造を有する化合物が(2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、及び4,4’−メチレンビス(N,N’−ジグリシジルアニリン)の一方または両方であることを特徴とする[26]記載の液晶配向剤。
[28] [1]〜[27]のいずれか一項に記載の液晶配向剤における前記ポリアミック酸又はその誘導体を、前記液晶配向剤の膜の状態で焼成して形成されることを特徴とする液晶配向膜。
[29] 対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜は、[28]に記載の液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示素子。
本発明により、電圧保持率が高く、その長期信頼性の良好な、種々の駆動方式の液晶表示素子を提供することができる。
本発明の液晶配向剤は、オキサジン構造を有する化合物、及び一種又は二種以上のポリアミック酸又はその誘導体を含む組成物である。
<1.本発明におけるオキサジン構造を有する化合物>
本発明に用いられるオキサジン構造を有する化合物(以下、「オキサジン化合物」とも言う)は、ポリアミック酸又はその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であり、加えて、開環重合性を有するオキサジン化合物が好ましい。
前記オキサジン化合物は、前記オキサジン構造を有する一種類の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であっても良い。また前記オキサジン構造を有する化合物におけるオキサジン構造の数は、特に限定されない。
オキサジンの構造には種々の構造が知られている。本発明では、オキサジンの構造には特に限定されないが、前記オキサジン化合物におけるオキサジン構造には、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が挙げられる。
本発明に用いられるオキサジン構造を有する化合物は、例えば下記一般式(a)〜(f)に示すものであるが、特に限定されない。なお本明細書の一般式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
Figure 2007286597
前記一般式(a)〜(c)中、R1及びR2は炭素数1〜30の有機基を表す。また前記一般式(a)〜(f)中、R3からR6は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。また前記一般式(c)、(d)及び(f)中、Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜6の整数である。また前記一般式(e)及び(f)中、Yは独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。前記Yにおけるベンゼン環、ナフタレン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32と置き換えられていてもよい。
また、前記オキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、オキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
前記オリゴマー又はポリマーは、オキサジン構造を有する重合体であれば特に限定されない。例えば前記オリゴマー又はポリマーは、オキサジン構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。オキサジン構造を側鎖に有する重合体は、オキサジン構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、オキサジン構造を側鎖に有するモノマーとオキサジン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。オキサジン構造を側鎖に有する共重合体は、オキサジン構造を側鎖に有する二種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、オキサジン構造を側鎖に有する二種以上のモノマーとオキサジン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
前記オリゴマー又はポリマーは、下記一般式(I’)で表される構造を構成単位に含む化合物であることが好ましい。一般式(I’)中、R1及びR2は独立して単結合又は炭素数1〜30の二価の有機基を表し、R3からR6は独立して水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。前記オリゴマー又はポリマーは、一般式(I’)で表される構造のみから構成されていてもよいし、一般式(I’)で表される構造を20%以上含む構造によって構成されていてもよい。
Figure 2007286597
一般式(a)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2007286597
式中、R1は炭素数1〜30のアルキル、ビニル基を有する有機基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル、アリルがさらに好ましい。
一般式(b)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2007286597
式中、R1は炭素数1〜30のアルキル、ビニル基を有する有機基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル、アリルがさらに好ましい。
一般式(c)で表されるオキサジン化合物としては、下記一般式(I)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2007286597
前記一般式(I)中、R1及びR2は炭素数1〜30の有機基、R3からR6は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。前記一般式(I)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2007286597
Figure 2007286597
式中、R1は炭素数1〜30のアルキル、ビニル基を有する有機基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル、アリルがさらに好ましい。
一般式(d)で表されるオキサジン化合物しては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(e)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(f)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。

Figure 2007286597
Figure 2007286597
これらのうち、より好ましくは、式(b−1)、式(c−1)〜式(c−3)、式(c−5)、式(c−7)、式(c−9)、式(d−1)〜式(d−6)、式(e−3)、式(e−4)、式(f−2)〜式(f−4)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
前記オキサジン化合物の製造法は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
例えば一般式(a)で表されるオキサジン化合物は、フェノール化合物と1級アミンとアルデヒドとを反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照)。
また一般式(b)で表されるオキサジン化合物は、1級アミンをホルムアルデヒドへ徐々に加える方法により反応させたのち、ナフトール系水酸基を有する化合物を加えて反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照)。
また一般式(c)で表されるオキサジン化合物は、有機溶媒中でフェノール化合物1モル、そのフェノール性水酸基1個に対し少なくとも2モル以上のアルデヒド、及び1モルの一級アミンを、2級脂肪族アミン、3級脂肪族アミン又は塩基性含窒素複素環化合物の存在下で反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット及び特開平11−12258号公報参照)。
また一般式(d)〜(f)で表されるオキサジン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の、複数のベンゼン環とそれらを結合する有機基とを有するジアミン、ホルマリン等のアルデヒド、及びフェノールを、n−ブタノール中、90℃以上の温度で脱水縮合反応させることにより得られる(特開2004−352670号公報参照)。
前記一般式(I’)で表される構造を構成単位に含むオキサジン化合物について、より好ましくはR1には単結合が挙げられ、R2には4,4’−ビフェニルメタンが挙げられ、R3〜R6には水素が挙げられ、Xには−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−が挙げられる。前記一般式(I’)で表される構造を構成単位に含むオキサジン化合物としては、例えば以下のポリマー(下記式中、nは3〜50)が挙げられる。
Figure 2007286597
前記一般式(I’)で表される構造を構成単位に含むオキサジン化合物は、重合反応に
よってこの構成単位を形成する一又は二以上の前駆化合物、及び必要に応じて選ばれるその他の重合性化合物をモノマーに含む重合反応によって得ることができる。例えば、一般式(I’)のR1及びR2の一方又は両方に重合可能な官能基を導入した化合物をモノマーに含む重合反応や、オキサジンの窒素と結合してR1及びR2の一方又は両方となる化合物とR1及びR2の一方又は両方を有さない前記オキサジン化合物とをモノマーに含む重合反応によって得られる。
<2.本発明におけるヘテロ環構造を有する化合物>
本発明に用いられるヘテロ環構造を有する化合物(以下、「ヘテロ環化合物」ともいう)は、オキシラン、オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンからなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有する。前記ヘテロ環化合物は、前記ヘテロ環構造を有する一種類の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であっても良い。前記ヘテロ環化合物は、一つの化合物中にヘテロ環構造を一種だけ有していてもよいし、二種以上有していてもよい。また前記ヘテロ環化合物は、一つの化合物中に前記ヘテロ環構造を一個有していれば良いが、二個以上有することが好ましい。
またヘテロ環化合物は、ヘテロ環構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。ヘテロ環構造を側鎖に有する重合体は、ヘテロ環構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、ヘテロ環構造を側鎖に有するモノマーとヘテロ環構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。ヘテロ環構造を側鎖に有する共重合体は、ヘテロ環構造を側鎖に有する二種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、ヘテロ環構造を側鎖に有する二種以上のモノマーとヘテロ環構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
本発明に用いられる、オキシランを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「オキシラン化合物」とも言う)、オキセタンを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「オキセタン化合物」とも言う)、チイランを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「チイラン化合物」とも言う)、アジリジンを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「アジリジン化合物」とも言う)、及びオキサゾリンを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「オキサゾリン化合物」とも言う)は、本発明に用いられるポリアミック酸又はその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であることが好ましい。
オキセタン化合物としては、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル]メタン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル]プロパン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル]スルホン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル]ケトン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル]ヘキサフルオロプロパン、トリ[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、及びテトラ[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン等が挙げられる。これらの他、オキセタニルを有するオリゴマーやポリマーも挙げることができる。
チイラン化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、及び3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及び3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランにおけるグリシジル基の酸素を、例えばJ.Org.Chem.,28,229(1963)に記載されている方法に従って硫黄に置換し、前記グリシジル基をエチレンスルフィド基に置換した化合物等が挙げられる。
アジリジニル化合物としては、2,4,6−トリス(1’−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、ω−アジリジニルプロピオン酸−2,2−ジヒドロキシメチル−ブタノールトリエステル、2,4,6−トリス(2−メチル−1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−エチル−1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、ビス(2−エチル−1−アジリジニル)ベンゼン−1,3−ジカルボン酸アミド、トリス(2−エチル−1−アジリジニル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸アミド、ビス(2−エチル−1−アジリジニル)セバシン酸アミド、1,6−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ヘキサン、2,4−ジエチレンウレイドトルエン、1,1’−カルボニル−ビス−エチレンイミン、ポリメチレン−ビス−エチルンユリア(C2〜C4)、及びN,N’−ビス(4,6−ジエチレンイミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらの他、アジリジニルを有するオリゴマーやポリマーも挙げることができる。
オキサゾリン化合物としては、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、及び2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、株式会社日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げることができる。
オキシラン化合物には、分子内にオキシラニルを一又は二以上有する種々の化合物を挙げられる。分子内にオキシラニルを1つ有する化合物の例は、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、及び3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパンである。
分子内にオキシラニルを2つ有する化合物の例は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及び3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランである。
分子内にオキシラニルを3つ有する化合物の例は、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(商品名「テクモアVG3101L」、(三井化学)社製)である。
分子内にオキシラニルを4つ有する化合物の例は、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランである。
上記の他、分子内にオキシラニルを有する化合物の例として、オキシラニルを有するオリゴマーや重合体も挙げることができる。オキシラニルを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びメチルグリシジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
オキシラニルを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−フェニルマレイミド等を挙げることができる。
オキシラニルを有するモノマーの重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート等を挙げることができる。また、オキシラニルを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体及びスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を挙げることができる。
これら例の中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及びN−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体が特に好ましい。
<3.本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体>
ポリアミック酸又はその誘導体は、酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを用いて得られる反応生成物である。本発明では、このようなポリアミック酸又はその誘導体を用いることができる。
本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体における前記ポリアミック酸の誘導体とは、後述する液晶配向剤としたときに溶媒に溶解した形態であり、その液晶配向剤を後述する液晶配向膜としたときに、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成することができる成分である。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、及びポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸の全てのアミノとカルボキシルとが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシルがエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに5)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部又は全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドを含む。
前記ポリアミック酸及びその誘導体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって得ることができる。本発明におけるテトラカルボン酸二無水物は、一種又は二種以上のテトラカルボン酸二無水物を用いるが、テトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置き換えられていてもよい。ここでテトラカルボン酸二無水物に対するジカルボン酸の比率は、10モル%以下にすることが好ましい。本発明の液晶配向剤には、前記ポリアミック酸又はその誘導体のいずれかを含んでいればよいが、これら両方を含んでいてもよい。
本発明におけるジアミンは、一種又は二種以上のジアミンを用いるが、ジアミンの一部はモノアミンに置き換えられていてもよい。ここでジアミンに対するモノアミンの比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
前記テトラカルボン酸二無水物には、テトラカルボン酸二無水物の中から任意に選択される一又は二以上の化合物を用いることができる。前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として用いる1)芳香族テトラカルボン酸二無水物、酸のB成分として用いる2)脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物のいずれか一種又は二種以上であってもよい。
なお、本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体が液晶配向剤の成分として使用されるためには、溶媒に可溶な形態をとることが好ましい。本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体を該可溶な形態とするために、酸成分として用いるテトラカルボン酸二無水物を適宜に選択することが好ましい。
ここで、酸のA成分として用いる1)芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(1)〜(13)で表される酸二無水物が具体例として挙げられる。下記の芳香族テトラカルボン酸二無水物のうち、より好ましくは式(1)、(2)、(5)、(6)及び(7)で表される酸二無水物が挙げられ、最も好ましくは式(1)で表されるピロメリット酸二無水物が挙げられる。
Figure 2007286597
また、酸のB成分として用いる前記2)脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(14)〜(62)で表される酸二無水物が具体的に例示される。

Figure 2007286597
Figure 2007286597
Figure 2007286597
上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、より好ましくは式(14)〜(29)、式(60)で表される酸二無水物が挙げられ、特に好ましくは式(14)で表される1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
また本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体を、溶媒に可溶性なポリイミドとするには、式(19)、式(20)、式(27)〜(29)、式(60)で表される酸二無水物を用いることが好ましい。
本発明におけるテトラカルボン酸二無水物は、式(1)〜(62)で表されるテトラカルボン酸二無水物を一種単独で用いることもできるし、二種以上を組み合わせて用いることもできる。芳香族テトラカルボン酸二無水物と、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物の一種又は二種以上(特に好ましくは、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)とを用いた、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物から合成されるポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、特に良好な電圧保持率を付与することができる。
さらに、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物には、式(1)〜(62)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物も用いることができる。他のテトラカルボン酸二無水物は任意であるが、例えば、側鎖構造を有するテトラカルボン酸二無水物を挙げることもできる。側鎖構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いた、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物から合成されるポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。
側鎖構造を有するテトラカルボン酸二無水物は特に限定されるものではないが、下記式(63)、式(64)で表されるステロイド骨格を有するものが本発明において好ましく使用され得る。
Figure 2007286597
なお、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物に用い得る、前記他のテトラカルボン酸二無水物は、前述したテトラカルボン酸二無水物に限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のテトラカルボン酸二無水物が存在することはいうまでもない。このようなさらなる他のテトラカルボン酸二無水物は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられることができる。
また、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物に用いるテトラカルボン酸二無水物の一部は、カルボン酸無水物に置き換えられていてもよい。テトラカルボン酸二無水物の一部をカルボン酸無水物に置き換えることにより、重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の反応の進行を抑えることができることから、得られる重合体(ポリアミック酸又はその誘導体)の分子量を容易に制御することができる。テトラカルボン酸二無水物に対するカルボン酸無水物の比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安として全アミン量の10モル%以下にすることが好ましい。
前記の通り、本発明の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸又はその誘導体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるものである。
前記ジアミンには、ジアミンの中から任意に選択される一又は二以上の化合物を用いることができる。前記ジアミンには、好ましくは一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
式(II)中、A1は、−(CH2m−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また式(IV)、(VI)、(VIII)中、A1は独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。
また式(VII)及び(VIII)中、A2は、独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。さらに式(III)〜(VIII)中のシクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、ベンジル又は4−ヒドロキシベンジルと置き換えられていてもよい。
一般式(II)で表されるジアミンとしては、例えば式(II−1)〜(II−3)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば式(III−1)、(III−2)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば式(IV−1)〜(IV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(V)で表されるジアミンとしては、例えば式(V−1)〜(V−16)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば式(VI−1)〜(VI−32)で表されるジアミンが挙げられる。

Figure 2007286597
Figure 2007286597
一般式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VII−1)〜(VII−6)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VIII−1)〜(VIII−11)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
これらのうち、より好ましくは、式(V−1)〜(V−5)、式(V−15)、式(V−16)、式(VI−1)〜(VI−12)、式(VI−26)、式(VI−27)、式(VI−31)、式(VII−1)、式(VII−2)、式(VII−6)、式(VIII−1)〜(VIII−5)で表されるジアミンが挙げられ、最も好ましくは式(V−1)、式(V−2)、式(V−15)、式(V−16)、式(VI−1)〜(VI−12)、式(VI−31)、式(VIII−2)で表されるジアミンが挙げられる。
本発明におけるジアミンには、前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンを一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。本発明におけるジアミンの前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンのモル比は、選択された前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンの構造と、所望する電圧保持率に応じて調整すればよく、1〜100%であることが好ましく、5〜80%であることがより好ましい。
前記の通り、本発明におけるジアミンには一種又は二種以上のジアミンを用いるが、特にVA型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、STN型液晶表示素子等の大きなプレチルト角が要求されるような用途では、側鎖構造を有するジアミンを用いることが好ましい。
本明細書において、側鎖構造を有するジアミンとは二つのアミノ基を結ぶ置換基を主鎖としたときに、主鎖から分岐する、所望のプレチルト角を発現させることができる置換基(側鎖)を有するジアミンを意味する。すなわち、側鎖構造を有するジアミンは、テトラカルボン酸二無水物と反応することで、高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸又はポリイミド(分岐ポリアミック酸又は分岐ポリイミド)を提供することができる。このような高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸又はポリイミドを含有する
液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。このことは、例えば、前記特許文献1(特開平11−193345号公報)に記載されている。
従って、側鎖構造を有するジアミンにおける側鎖は、要求されるプレチルト角に応じて適宜選択すればよい。例えば、該側鎖は炭素数3以上の基が好ましく挙げられる。具体的には、
1)置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニレン、又は炭素数3以上のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル、
2)置換基を有していてもよいフェニルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)オキシ、置換基を有していてもよいフェニルシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルオキシ、又は炭素数3以上のアルキルオキシ、アルケニルオキシ若しくはアルキニルオキシ、
3)フェニルカルボニル、又は炭素数3以上のアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル若しくはアルキニルカルボニル、
4)フェニルカルボニルオキシ、又は炭素数3以上のアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ若しくはアルキニルカルボニルオキシ、
5)置換基を有していてもよいフェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)オキシカルボニル、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルビス(フェニル)オキシカルボニル、又は炭素数3以上のアルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル若しくはアルキニルオキシカルボニル、
6)フェニルアミノカルボニル、又は炭素数3以上のアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル若しくはアルキニルアミノカルボニル、
7)炭素数3以上の環状アルキレン、
8)置換基を有していてもよいシクロヘキシルアルキレン、置換基を有していてもよいフェニルアルキレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)アルキレン、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルアルキレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニルアルキレン、置換基を有していてもよいフェニルアルキルオキシ、アルキルフェニルオキシカルボニル、又はアルキルビフェニリルオキシカルボニル、
9)アルキル、フッ素置換アルキル、又はアルコキシによって置換されたフェニル又はシクロヘキシル、及び、
10)二個以上のベンゼン環又はシクロヘキサン環が単結合し、又は、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−若しくは炭素数1〜3のアルキレンを介して結合した、アルキル、フッ素置換アルキル、又はアルコキシによって置換された環集合基、又はステロイド骨格を有する基等が挙げられるが、これに限定されない。
ここで、「置換基」としては、アルキル、アルコキシ、又はアルコキシアルキル等を挙げることができる。
また、ビス(シクロヘキシル)、又はビス(フェニル)は、アルキレンによって中断されていてもよい。
なお、本明細書において、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」というときは、線状でもよいし、枝分かれでもよい。
本発明に用いられる側鎖構造を有するジアミンとしては、具体的には一般式(IX)、(XI)〜(XIV)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
式(IX)中、A3は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−又は−(CH2m−を表す。ここでmは1〜6の整数を表す。R7は、ステロイド骨格を有する基、下記一般式(X)で表される基、炭素数1〜30のアルキルを表す。該アルキルにおいては、独立して、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CH3が−CH2F、−CHF2又は−CF3で置き換えられていてもよい。ただし該アルキルにおいて−O−は隣り合わない。
Figure 2007286597
式(X)において、A4及びA5はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−又は炭素数1〜20のアルキレンを表す。R8及びR9はそれぞれ独立して、−F又は−CH3を表す。環Sは1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル又はアントラセン−9,10−ジイルを表す。R10は−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2又は−OCF3を表す。またa及びbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、a又はbが2〜4であるとき隣り合うA4又はA5は異なる基であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、eが2又は3であるとき複数の環Sは同一の基であっても異なる基であってもよい。f及びgはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつc+d+e≧1である。
Figure 2007286597
式(XI)中、ステロイド骨格を形成する炭素に結合している水素は、独立して−CH3と置き換えられていてもよい。式(XI)及び(XII)中、R11はそれぞれ独立して、−H又は−CH3を表し、R12は、−H又は炭素数1〜20のアルキル若しくはアルケニルを表す。A6はそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−又は−CH2−を表す。式(XII)中、R13及びR14はそれぞれ独立して、−H、炭素数1〜20のアルキル又はフェニルを表す。
Figure 2007286597
式(XIII)中、R15は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。該アルキルのうち炭素数2〜30のアルキルの任意の−CH2−は、独立して−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよい。ただし該アルキルにおいて−O−は隣り合わない。式(XIII)及び(XIV)中、A7は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンを表す。式(XIII)中、A8は単結合又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。環Tは1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンを表す。hは0又は1を表す。式(XIV)中、R16は炭素数6〜22のアルキルを表し、R17は−H又は炭素数1〜22のアルキルを表す。
前記一般式(IX)において、二つのアミノ基はフェニル環の炭素に結合しているが、好ましくは、二つのアミノ基の結合位置関係は、メタ又はパラであることが好ましい。さらに二つのアミノ基はそれぞれ、「R7−A3−」の結合位置を1位としたときに3位と5位、又は2位と5位に結合していることが好ましい。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式又は構造式(IX−1
)〜(IX−48)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
式中、R18は炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシが好ましく、炭素数5〜25のアルキル又は炭素数5〜25のアルコキシがさらに好ましい。また、R19は炭素数1〜30のアルキル又は炭素数1〜30のアルコキシが好ましく、炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシがさらに好ましい。
Figure 2007286597
式(IX−12)〜(IX−15)においてR20は炭素数4〜30のアルキルが好ましく、炭素数6〜25のアルキルがさらに好ましい。式(IX−16)及び(IX−17)においてR21は炭素数6〜30のアルキルが好ましく、炭素数8〜25のアルキルがさらに好ましい。

Figure 2007286597
Figure 2007286597
式(IX−18)〜(IX−38)において、R22は炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシが好ましく、炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシがさらに好ましい。R23は−H、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2又は−OCF3が好ましく、炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシがさらに好ましい。A9は炭素数1〜20のアルキレンを表す。
Figure 2007286597
これらのうち、好ましくは、式(IX−1)〜式(IX−11)で表されるジアミンが挙げられる。より好ましくは、式(IX−2)、式(IX−4)、式(IX−5)、式(IX−6)で表されるジアミンが挙げられる。
前記一般式(XI)において、二つの「NH2−Ph−A6−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、二つのアミノ基はそれぞれ、フェニル環炭素に結合しており、A6の結合位置に対して、メタ又はパラに結合していることが好ましい。
一般式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば式(XI−1)〜(XI−4)で
表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
一般式(XII)において、二つの「NH2−(R14−)Ph−A6−O−」は、それぞれフェニル環の炭素に結合しているが、好ましくはステロイド核が結合している炭素に対してメタ又はパラの炭素に結合している。また、二つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6に対してメタ又はパラに結合していることが好ましい。
一般式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XII−1)〜(XII−8)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
前記一般式(XIII)において、二つのアミノ基はそれぞれフェニル環の炭素に結合しているが、A7に対してメタ又はパラに結合していることが好ましい。
一般式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XIII−1)〜(XIII−9)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
式中、R24は−H、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、R25は−H、炭素数1〜20のアルキル基がさらに好ましい。
前記一般式(XIV)において、二つのアミノ基はそれぞれフェニル環の炭素に結合しているが、A7に対してメタ又はパラに結合していることが好ましい。
一般式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば式(XIV−1)〜(XIV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
式中、R26は炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、R27は−H、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
本発明におけるジアミンには、前記一般式(IX)〜(XIV)で表されるジアミンを一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。本発明におけるジアミンにおける側鎖構造を有するジアミンのモル比は、選択された側鎖構造を有するジアミンの構造と、所望するプレチルト角に応じて調整すればよく、1〜100%であることが好ましく、10〜100%であることがより好ましい。
さらに、本発明におけるジアミンには、一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミン、及び一般式(IX)〜(XIV)で表される側鎖構造を有するジアミン以外の他のジアミンを用い得る。このような他のジアミンは任意であるが、例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、又はシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミン、又は一般式(IX)〜(XIV)以外の側鎖構造を有するジアミンを挙げることができる。前記他のジアミンは、側鎖構造を有していれば前記アミンのB成分として、有していなければ前記アミンのA成分として用いてもよい。
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記一般式(XV)で表されるものが本発明において好ましく使用され得る。
Figure 2007286597
式中、R28及びR29は独立して炭素数1〜3のアルキル又はフェニルを表し、A10は独立してメチレン、フェニレン又はアルキル置換されたフェニレンを表す。iは1〜6の整数を表し、jは1〜10の整数を表す。
一般式(XV)で表されるジアミンとしては、下記構造式(XV―1)〜(XV―7)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2007286597
さらに、その他のジアミンは特に限定されるものではないが、例えば下記式(1’)〜(8’)で表されるものが本発明において好ましく使用され得る。
Figure 2007286597
式中、R30及びR31は独立して炭素数3〜30のアルキル基を表す。
なお、本発明におけるジアミンに用いられる、一般式(II)〜(XIV)以外の前記他のジアミンは、前記ジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンが存在することはいうまでもない。また、前記他のジアミンには一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるジアミンは、ジアミンの種類及びその組み合わせを適宜選択することにより、本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜に、好適なプレチルト角を付与することができる。
VA型液晶表示素子の場合には80〜90°程度の大きなプレチルト角が、OCB型液晶表示素子の場合には7〜20°程度のプレチルト角が、TN型液晶表示素子やSTN型液晶表示素子の場合には3〜10°程度のプレチルト角が、及びIPS型液晶表示素子の場合には0〜3°程度の小さなプレチルト角が要求される場合が多い。従って、側鎖構造を有するジアミンを用いてプレチルト角を適宜調整することができる本発明の液晶配向剤は、任意の種類の液晶表示素子に適用することができる。
前記の通り、本発明におけるジアミンに用いるジアミンの一部は、モノアミンに置き換えられていてもよい。ジアミンの一部をモノアミンに置き換えることにより、重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の反応の進行を抑えることができることから、得られる重合体(ポリアミック酸又はその誘導体)の分子量を容易に制御することができる。ジアミンに対するモノアミンの比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安として全アミン量の10モル%以下にすることが好ましい。
本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体は、任意の重量平均分子量を有することができる。前記ポリアミック酸及びその誘導体の重量平均分子量は特に限定されないが、
液晶配向剤の成分として用いられる場合は5×103以上であることが好ましく、1×104以上であることがより好ましい。5×103以上の重量平均分子量を有するポリアミック酸及びその誘導体は、液晶配向膜を焼成するステップにおいて蒸発することがなく、液晶配向剤の成分として好ましい物性を有する。
ここで、ポリアミック酸及びその誘導体の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定される。例えば、得られたポリアミック酸及びその誘導体をジメチルホルムアミド(DMF)でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC−R7A(島津製作所製)を用いて、DMFを展開溶媒としてゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求められる。さらに、ポリアミック酸やポリアクリル酸等のGPC測定を精度良く行うために、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸やリチウムブロミド、リチウムクロリド等の無機塩をDMF溶媒に溶解させた展開溶媒を調製することがある。
本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、原料投入口、窒素導入口、温度計、攪拌機及びコンデンサーを備えた反応容器に、一般式(II)〜(XIV)で表されるジアミンの一種又は二種以上と、場合によって他のジアミンから選択される一種又は二種以上のジアミン、さらに必要に応じてモノアミンの所望量を仕込む。
次に、溶媒(例えばアミド系極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンやジメチルホルムアミド等)及びテトラカルボン酸二無水物の一種又は二種以上、さらに必要に応じてカルボン酸無水物を投入する。このときテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましい。
攪拌下に温度0〜70℃で1〜48時間反応させることによりポリアミック酸の溶液を得ることができる。また、加熱して反応温度を上げる(例えば、50〜80℃)ことにより、分子量の小さいポリアミック酸を得ることもできる。
本発明におけるポリアミック酸は、多量の貧溶媒で沈殿させ、固形分と溶媒とを濾過等により完全に分離し、IR、NMRで分析することにより同定され得る。さらには、KOHやNaOH等の強アルカリの水溶液で固形のポリアミック酸を分解後、有機溶媒で抽出し、GC、HPLC又はGC−MSで分析することにより、使用されているモノマーを同定することができる。
得られたポリアミック酸の溶液は、所望の粘度に調整するために溶媒で希釈して使用することができる。
また、本発明におけるポリアミック酸をポリアミック酸誘導体である可溶性ポリイミドとする場合には、ポリアミック酸溶液を、脱水剤である無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物、及び脱水閉環触媒であるトリエチルアミン、ピリジン、コリジン等の三級アミンと共に、温度20〜150℃でイミド化反応させて得ることができる。
又は、ポリアミック酸溶液から多量の貧溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒やグリコール系溶媒)を用いてポリアミック酸を析出させ、析出させたポリアミック酸を、トルエン、キシレン等の溶媒中で、前記と同様の脱水剤及び脱水閉環触媒と共に、温度20〜150℃でイミド化反応させて得ることもできる。
前記イミド化反応において、脱水剤と脱水閉環触媒の割合は0.1〜10(モル比)で
あることが好ましい。両者の合計使用量は、使用するテトラカルボン酸二無水物に含まれる酸二無水物のトータルのモル量に対して1.5〜10倍モルであることが好ましい。この化学的イミド化の脱水剤、触媒量、反応温度及び反応時間を調整することによって、イミド化の程度を制御し、部分ポリイミドを得ることができる。
得られたポリイミドは、溶媒と分離して、後述する溶媒にオキサジン構造を有する化合物と共に再溶解させて液晶配向剤として使用することもできるし、又は溶媒と分離することなくオキサジン構造を有する化合物を添加して液晶配向剤として使用することもできる。
また前記したように、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物に用いる酸二無水物の一部は有機ジカルボン酸に置き換えられていてもよい。有機ジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物を用いて本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体を製造すると、ポリアミック酸−ポリアミド共重合体を得ることができる。ここで、テトラカルボン酸二無水物に対する有機ジカルボン酸の比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安としては、10モル%以下にすることが好ましい。
さらに、該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体を化学的にイミド化することによってポリアミドイミドを製造することができる。
<4.本発明の液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、オキサジン構造を有する化合物、前述した本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体を含む。また本発明の液晶配向剤は、前記ヘテロ環化合物をさらに含有していてもよい。本発明の液晶配向剤は、粘度等の物性の調整、取り扱いの容易さ、工程の簡略化等の観点から、さらに溶媒を含んでいてもよく、通常の液晶配向剤に含有される各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
前記液晶配向剤におけるオキサジン構造を有する化合物の含有率は、液晶配向剤中のポリアミック酸又はその誘導体の重量当たり、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることが液晶表示素子に用いたときの電気特性の長期安定性の観点からさらに好ましい。
前記ヘテロ環化合物をさらに含有する場合では、前記液晶配向剤における前記オキサジン化合物及び前記ヘテロ環化合物の含有率は、液晶配向剤中のポリアミック酸又はその誘導体の重量当たり、総量で0.1〜50重量%であることが、液晶表示素子に用いたときの電気特性の長期安定性の観点から好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。前記オキサジン化合物と前記ヘテロ環化合物とを併用する場合のこれらの化合物の割合は特に限定されないが、オキサジン化合物とヘテロ環化合物との総量に対してヘテロ環化合物が10〜100重量%であることが、信頼性の観点から好ましい。
本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸又はその誘導体の含有率は、液晶配向剤の基板への塗布方法によって適宜選択されることができる。例えば、通常の液晶表示素子の製造工程で用いられる印刷機(オフセット印刷機やインクジェット印刷機を含む。以下、「印刷機」と略すことがある。)で使用される液晶配向剤におけるポリアミック酸又はその誘導体の含有率は、0.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であることが好ましいが、液晶配向剤の粘度(後述)との関係で適宜調整される。
本発明に用いられる溶媒は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、及びポリアミドイミ
ド等の高分子成分の製造工程や用途で通常使用されている溶媒を広く含み、使用目的に応じて適宜選択され得る。該溶媒は、1)ポリアミック酸や可溶性ポリイミドに対して易溶性である非プロトン性極性有機溶媒と、2)表面張力を変えて塗布性改善等を目的とする溶媒とを含む混合溶媒であることが好ましい。
これらの溶媒を例示すれば以下のとおりである。
1)ポリアミック酸や可溶性ポリイミドに対し良溶媒である非プロトン性極性有機溶媒(以下、非プロトン性極性有機溶媒):例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンである。これらのうち、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等がさらに好ましく例示される。
2)表面張力を変えて塗布性改善等を目的とした溶媒(以下、その他の溶媒):例えば、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類等のエステル化合物である。これらのうち、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等がさらに好ましく例示される。
非プロトン性極性溶媒とその他の溶媒の種類及び割合は、液晶配向剤の印刷性、塗布性、溶解性及び保存安定性等を考慮して、適宜に設定することができる。非プロトン性極性溶媒は、その他の溶媒よりも相対的に溶解性及び保存安定性に優れ、その他の溶媒は印刷性及び塗布性に優れる傾向がある。
前記の通り、本発明の液晶配向剤は各種添加剤を含有していてもよい。各種添加剤としては、ポリアミック酸及びその誘導体以外の高分子化合物、又は低分子化合物をそれぞれの目的に応じて選択して使用することができる。
例えば、有機溶媒に可溶性の高分子化合物を添加剤としてもよく、それらを添加することにより、形成される液晶配向膜の電気特性や配向性を制御することができる。該高分子化合物の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、シリコーン変性ポリエステル等を挙げることができる。
また、低分子化合物の添加剤としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはかかる目的に沿った界面活性剤を、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤を、3)基板との密着性や耐ラビング性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤を、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒を、用いることができる。
前記シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノ
フェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等を挙げることができる。
前記イミド化触媒の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類等の触媒を添加することが好ましい。特に、N,N−ジメチルアニリン、o−,m−,p−ヒドロキシアニリン、o−,m−,p−ヒドロキシピリジン、イソキノリン等を挙げることができる。
シランカップリング剤の添加量は、通常、ポリアミック酸及びその誘導体の総重量の0〜10重量%であり、0.1〜3重量%であることが好ましい。
イミド化触媒の添加量は、通常、ポリアミック酸及びその誘導体のカルボニル基に対して0.01〜5等量であり、0.05〜3等量であることが好ましい。
その他の添加剤の添加量は、その用途に応じて異なるが、通常、ポリアミック酸及びその誘導体の総重量の0〜30重量%であり、0.1〜10重量%であることが好ましい。
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸及びその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸及びその誘導体の種類、溶媒の種類と割合によって多種多様である。例えば、印刷機による塗布の場合は5〜100mPa・s(より好ましくは10〜80mPa・s)であることが好ましい。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5〜200mPa・s(より好ましくは10〜100mPa・s)が適している。
液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
本発明の液晶配向剤の別の好ましい形態は、二種以上のポリアミック酸又はその誘導体を含む組成物である。
例えば二種のポリアミック酸又はその誘導体を含む液晶配向剤であれば、該ポリアミック酸又はその誘導体の一種は、テトラカルボン酸二無水物I−1とジアミンI−2とを反応させて得られるポリアミック酸又はその誘導体I(以下、「ポリアミック酸I」ともいう)であり、別の一種は、テトラカルボン酸二無水物II−1と、側鎖構造を有するジアミンを用いるジアミンII−2とを反応させて得られるポリアミック酸又はその誘導体II(以下、「ポリアミック酸II」ともいう)である。
本発明におけるポリアミック酸I及びポリアミック酸IIの組成物は、前述のポリアミック酸Iとポリアミック酸IIを混合させることにより調製される。混合されるポリアミック酸Iとポリアミック酸IIの重量比は、I/II=99/1〜50/50であることが好ましく、I/II=95/5〜80/20であることがより好ましい。該重量比は、求められるプレチルト角に応じて適宜調整されればよく、ポリアミック酸IIの比率を上げればプレチルト角を大きくすることができる。
本発明におけるテトラカルボン酸二無水物I−1及びテトラカルボン酸二無水物II−1には、それぞれ独立して一種又は二種以上のテトラカルボン酸二無水物を用いる。テトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置き換えられていてもよい。ここでテトラカルボン酸二無水物に対するジカルボン酸の比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
本発明におけるジアミンI−2及びジアミンII−2には、それぞれ独立して一種又は二種以上のジアミンを用いる。ジアミンの一部はモノアミンに置き換えられていてもよい。ここでジアミンに対するモノアミンの比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
なお、本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸I及びIIのみを含有してもよく、ポリアミック酸I及びII以外のポリアミック酸又はその誘導体をさらに含有していてもよい。
さらに、本発明におけるポリアミック酸Iは、テトラカルボン酸二無水物I−1と、前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンを用いるジアミンI−2とを反応させて得られるポリアミック酸又はその誘導体である。
前記ジアミンI−2は一種又は二種以上のジアミンを用いるが、少なくとも前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンを用いる。前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンを用いたジアミンI−2とテトラカルボン酸二無水物I−1とから合成されるポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、良好な電圧保持率を付与することができる。
また、ジアミンI−2は必要に応じて任意の他のジアミンを併用してもよい。ここで、他のジアミンとしては、前記一般式(IX)〜(XIV)で表されるジアミン、又はフルオレン系ジアミン、シロキサン系ジアミン等が挙げられる。
ジアミンI−2における前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンのモル比は、選択された前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミンの構造と、所望する電圧保持率及び長期信頼性に応じて調整すればよく、1〜100%であることが好ましく、5〜80%であることがより好ましい。
一方、本発明におけるポリアミック酸IIは、テトラカルボン酸二無水物II−1と、側鎖構造を有するジアミンを用いたジアミンII−2とを反応させて得られるポリアミック酸又はその誘導体である。本発明における側鎖構造を有するジアミンを含むジアミンから合成されるポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、好適なプレチルト角を付与することができる。
ジアミンII−2には、代表的には一般式(IX)〜(XIV)で表される一種又は二種以上のジアミンを用いるが、併用してもよいジアミンとしては、前記一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミン、フルオレン系ジアミン、シロキサン系ジアミン等が挙げられる。
本発明におけるポリアミック酸Iとポリアミック酸IIとを組み合わせる(ブレンドする)ことにより、本発明の液晶配向剤として好ましい特性を付与することができる。
具体的には、ポリアミック酸又はその誘導体の原料であるジアミンI−2及びII−2について、用いるジアミンの種類及びその組み合わせを適宜選択することにより、本発明の組成物を用いて形成される液晶配向膜に、さらに良好な電圧保持率及び好適なプレチルト角を付与することができる。
本発明におけるポリアミック酸I及びポリアミック酸IIの重量平均分子量及び分子量分布は、前述した本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体と同様の方法で測定される。また、好ましい重量平均分子量についても前述した本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体と同様である。
本発明におけるポリアミック酸I及びポリアミック酸IIは、前述した本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体と同様にして製造することができる。
<5.本発明の液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、前述した本発明の液晶配向剤における前記ポリアミック酸又はその誘導体を、本発明の液晶配向剤の膜の状態で焼成して形成される液晶配向膜である。
前記液晶配向膜は、例えば液晶表示素子用の基板、又はフッ化カルシウムやシリコン等の測定用の基板に本発明の液晶配向剤を塗布し、この液晶配向剤の膜を例えば150〜400℃、好ましくは180〜280℃に加熱することによって形成することができる。ここで液晶配向膜の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。また、液晶配向膜はラビング処理されていることが好ましい。
前記液晶配向膜の膜厚は、液晶配向剤の粘度や液晶配向剤の塗布方法によって調整することができる。また液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。さらに液晶配向膜中の成分は、必要に応じて加水分解等の処理を行い、IRやMS等の通常の分析手段を利用して分析することができる。例えば前記非特許文献1には、ポリアミック酸をイミド化してなる膜中のオキサジン化合物をIRで分析する方法が記載されている。
<6.本発明の液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、1)対向配置された一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された本発明の液晶配向膜、及び3)前記一対の基板間に挟持された液晶層を含む。
前記対向配置された一対の電極付き基板は、透明基板(例えばガラス基板)であることが好ましい。
前記一対の基板の少なくとも一方又は両方の基板の表面には、液晶表示素子の形態に応じて電極が設けられる。前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。電極は、基板の表面の全体に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所定の形状に形成されていてもよい。電極が設けられていない基板には基板の表面上に本発明の液晶配向膜が形成され、電極が設けられている基板には電極の上に本発明の液晶配向膜が形成される。本発明の液晶配向膜の形成については前述したとおりである。
前記一対の基板間に挟持された液晶層は液晶組成物を含む。ここで液晶組成物は特に制限はされず、駆動モードに応じて、誘電率異方性が正の液晶組成物及び誘電率異方性が負の液晶組成物のいずれの組成物も用いることができる。
誘電率異方性が正である好ましい液晶組成物の例は、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157826号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1)、特開平9−302346号公報(EP806466A1)、特開平8−199168号公報(EP722998A1)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1)、特開平10−204016号公報(EP844229A1)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報等に開示されている。
VA型液晶表示素子において用いられる液晶組成物は、誘電率異方性が負の各種の液晶組成物とすることができる。好ましい液晶組成物の例は、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261A1)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報等に開示されている。
前記誘電率異方性が正又は負の液晶組成物に、一つ以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
本発明の液晶表示素子は、もちろんその他の部材を有していてもよい。例えば、薄膜トランジスタを使用したカラー表示のTFT型液晶素子においては、第1の透明基板上に薄膜トランジスタ、絶縁膜、保護膜、信号電極及び画素電極等が形成されており、第2の透明基板上に画素領域以外の光を遮断するブラックマトリクス、カラーフィルター、平坦化膜及び画素電極等を有し得る。
また、VA型液晶表示素子、特にMVA型液晶表示素子においては、第1の透明基板上にドメインと称される微小な突起物が形成されている。また、基板間のセルギャップの調整用にスペーサーが形成されていてもよい。
本発明の液晶表示素子は任意の方法で製作され得るが、例えば、1)前記二枚の透明基板上に液晶配向剤を塗布する工程、2)塗布された液晶配向剤を乾燥する工程、3)乾燥された液晶配向剤を脱水・閉環反応させるために必要な加熱処理をする工程、4)得られた配向膜を配向処理する工程、5)二枚の基板を張り合わせた後に、基板の間に液晶を封入する工程、又は一方の基板に液晶を滴下させた後に、もう一方の基板と張り合わせる工程を含む方法で製作される。
前記液晶配向剤を塗布する工程における塗布方法としては、スピンナー法、印刷法、デ
ィッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。
また、前記乾燥工程及び脱水反応に必要な加熱処理を施す工程の方法として、オーブン又は赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。乾燥工程は、溶媒の蒸発が可能な範囲内の比較的低温(50〜140℃)で実施することが好ましい。加熱処理の工程は一般に150〜300℃程度の温度で行うことが好ましい。
液晶配向膜への配向処理は、IPS型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子では通常ラビング処理を行う。VA型液晶表示素子ではラビング処理を行わないことが多いが行ってもよい。
次いで、一方の基板上に接着剤を塗布し貼りあわせ真空中で液晶を注入する。滴下注入法の場合には、貼りあわせる前に液晶を基板上に滴下し、その後もう一方の基板で貼りあわせる。貼りあわせに使用した接着剤を熱又は紫外線で硬化させて本発明の液晶表示素子が作製される。
本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等が実装されてもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において用いられるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び溶媒の名称は、以下の略号で示されることがある。
[テトラカルボン酸二無水物]
ピロメリット酸二無水物{(1)}:PMDA
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物{(14)}:CBDA
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物{(20)}:TCMP
[ジアミン]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン{式(VI−1)}:DDM
4,4’−ジアミノジフェニルエタン{式(VI−7)}:DET
1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサン{式(XIII−4)/R25=C511}:5HBA
2−(フェニルメチル)−1,4−ジアミノベンゼン{式(V−16)}:PhPDA
5−[(4−ヘキサデシルフェニル)メチル]−1,3−ジアミノベンゼン{式(IX−2)/R18=C1633}:16PhPDA
5−[[4−(4’−ペンチル[1,1’−ビシクロヘキシル]−4−イル)フェニル]メチル]−1,3−ジアミノベンゼン{式(IX−5)/R19=C511}:5ChCh
ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン{式(XV−3)}:APSi
[オキサジン化合物]
ビス(3−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾキサジン−6−イル)メタン(四国化成工業製 ベンゾオキサジンF−a型):PBM
ビス(3−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾキサジン−6−イル)スルフォン:PBS
ビス(3−アリル−3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾキサジン−6−イル)メ
タン:ABM
下記構造式で表されるオキサジン化合物(ポリ[2H−1,3−ベンゾオキサジン−3,6(4H)−ジイル(1−メチルエチリデン)−2H−1,3−ベンゾオキサジン−6,3(4H)−ジイル−1,4−フェニレンメチレン−1,4−フェニレン n=3):OBM
Figure 2007286597
[オキシラニル化合物]
商品名「テクモアVG3101L」(2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、三井化学社製):TG
[オキサゾリン化合物]
1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン:DOB
[溶媒]
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
γ−ブチロラクトン:GBL
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
<7.ポリアミック酸の合成>
[ポリアミック酸の合成]
合成例1
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに、16PhPDAを1.979g、及び脱水NMP29gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでPMDA1.021gを添加し、室温環境下で30時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。得られた溶液に、BC18.9gを加えて、濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)を合成した。得られたPA1の重量平均分子量は45,000であった。
ここで、ポリアミック酸の重量平均分子量は、得られたポリアミック酸溶液を希釈液(リン酸(85重量%)/DMF=0.6/100:重量比)でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC−R7A(島津製作所製)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。なお、カラムはGF−7HQ(昭和電工株式会社製)を使用し、カラム温度50℃、流速0.6mL/minの条件でポリアミック酸の重量平均分子量を測定した。
合成例2〜4
表1に示すようにテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの組成を変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA2、PA3、PA4)を合成した。
合成例5
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フ
ラスコに、DDMを2.919g、及び脱水NMP54gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでCBDA1.155g、PMDA1.927gを添加し、室温環境下で30時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。得られた溶液に、GBL15g、BC25gを加えて、濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)を合成した。得られたPA5の重量平均分子量は66,000であった。
合成例6、合成例7
表1に示すようにテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの組成を変更した以外は、合成例5に準拠してポリアミック酸溶液(PA6、PA7)を合成した。
Figure 2007286597
<8.液晶表示素子の作製>
[実施例1]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり(ポリアミック酸に対して)10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例2]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成し
た濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例3]
合成例2で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA2)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例4]
合成例2で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA2)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例5]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBSをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例6]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるABMをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例7]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるOBMをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例8]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり10重量%、オキシラニ
ル化合物であるTGをポリマー重量当たり5重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例9]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例10]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)に、オキサジン化合物であるPBMをポリマー重量当たり20重量%、オキサゾリン化合物であるDOBをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例11]
合成例5で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)と合成例6で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA6)とを重量比9/1で混合した。得られた混合物に、オキサジン化合物であるPBSをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[実施例12]
合成例7で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA7)に、オキサジン化合物であるPBSをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[比較例1]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物にNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[比較例2]
合成例2で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA2)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物にNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[比較例3]
合成例2で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA2)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、4−アミノフェノールをポリマー重量当たり17重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量
%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[比較例4]
合成例1で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンをポリマー重量当たり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[比較例5]
合成例5で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)と合成例6で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA6)とを重量比9/1で混合した。得られた混合物に、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
[比較例6]
合成例7で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA7)に、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
<9.液晶表示素子の作製>
(1)TN型液晶表示素子の作製
実施例5〜10及び比較例4〜6で得られた液晶配向剤のそれぞれについて、液晶配向剤を、2枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて10分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
同じ液晶配向剤による液晶配向膜が形成された二枚のガラス基板を、株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1000rpmの条件で、ラビング処理した。処理後の二枚のガラス基板を、超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
乾燥させた二枚のガラス基板の一方のガラス基板における液晶配向膜上に7μmのギャップ材を散布した。そして一方のガラス基板におけるラビング方向と他方のガラス基板におけるラビング方向とが直交するように、これらのガラス基板における液晶配向膜を形成した面を内側にして対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmの90°ツイストセルを作製した。該セルに、下記の液晶組成物A100重量部に対して光学活性物質であるコレステリックノナノエート5重量部を加えて均質にした組成物を注入し、該セルの注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、TN型液晶表示素子を作製した。
Figure 2007286597
(2)VA型液晶表示素子の作製
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた液晶配向剤のそれぞれについて、液晶配向剤を、2枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて40分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。同じ液晶配向剤による液晶配向膜が形成された二枚のガラス基板を、TN型液晶表示素子の作製と同様にラビング処理し、処理後のガラス基板を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
乾燥させた一方のガラス基板に4μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように二枚のガラス基板を対向配置させた後、
エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのセルを作製した。該セルに下記の液晶組成物Bを注入し、該セルの注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、VA型液晶表示素子を作製した。
Figure 2007286597
<10.電気特性の評価>
[試験例1〜16]
実施例1〜10、比較例1〜6で作製した液晶表示素子について、電圧保持率の測定と長期信頼性の測定を以下のようにして行った。
1)電圧保持率の測定
東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いて電圧保持率の測定を行った。測定
条件は、ゲート幅60μs、周波数0.3Hz、波高±5Vであり、測定温度は60℃とした。この値が大きいほど電気特性は良好であると言える。結果を表2及び表3に示す。
2)長期信頼性の測定
作製した液晶表示素子について、経時的に電圧保持率を求め、保存特性を評価した。VA型液晶表示素子の保存特性の試験方法は、温度100℃の雰囲気中に液晶表示素子を161時間放置し、途中経時的に取り出し電圧保持率を測定した。電圧保持率の低下が小さいほど(例えば前記の条件で放置時間が160時間以上で電圧保持率の低下量が1%未満であれば)長期信頼性は良好であると言える。結果を表2に示す。
TN型液晶表示素子の保存特性の試験方法は、温度60℃の雰囲気中に液晶表示素子を500時間放置し、途中経時的に取り出し電圧保持率を測定した。電圧保持率の低下が小さいほど(例えば前記の条件で放置時間が500時間以上で電圧保持率の低下量が2%未満であれば)長期信頼性は良好であると言える。結果を表3に示す。
Figure 2007286597
Figure 2007286597
表2、3に示されたように、ポリアミック酸にオキサジン化合物を混合した液晶配向膜、ポリアミック酸にオキサジン化合物とオキシラン化合物とを混合した液晶配向膜及びポリアミック酸にオキサジン化合物とオキサゾリン化合物とを混合した液晶配向膜を使用した液晶表示素子の場合、保存特性の劣化が顕著に抑制された。
以上のように、本発明におけるポリアミック酸又はその誘導体とオキサジン化合物とを含有する液晶配向剤、及びポリアミック酸又はその誘導体とオキサジン化合物とヘテロ環化合物とを含有する液晶配向剤は、液晶表示素子の液晶配向膜としたときに、電圧保持率が高く、かつ保存特性の劣化を顕著に抑制することができる。

Claims (29)

  1. オキサジン構造を有する化合物、及びポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤であって、前記オキサジン構造を有する化合物を、前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して0.1〜50重量%含有することを特徴とする液晶配向剤。
  2. オキシラン構造を有する化合物、オキセタン構造を有する化合物、チイラン構造を有する化合物、アジリジン構造を有する化合物、及びオキサゾリン構造を有する化合物からなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有する化合物をさらに含有し、前記ヘテロ環構造を有する化合物及び前記オキサジン構造を有する化合物を前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して総量で0.1〜50重量%含有することを特徴とする請求項1記載の液晶配向剤。
  3. 前記オキサジン構造を有する化合物がオキサジン構造を二個以上有する化合物の一又は二以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記オキサジン構造を有する化合物におけるオキサジン構造がベンゾオキサジン構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  5. 前記オキサジン構造を有する化合物が下記一般式(I)で表される化合物の一又は二以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
    (一般式(I)中、R1及びR2は独立して炭素数1〜30の有機基を表し、R3からR6は独立して水素、又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。)
  6. 前記オキサジン構造を有する化合物がオリゴマーやポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  7. 前記オキサジン構造を有する化合物は、下記一般式(I’)で表される構造を構成単位に含むオリゴマー又はポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
    (一般式(I’)中、R1及びR2は独立して単結合、又は炭素数1〜30の二価の有機基を表し、R3からR6は独立して水素、又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。)
  8. 前記ヘテロ環構造を有する化合物がオキシラン構造を有する化合物であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  9. 前記オキシラン構造を有する化合物が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン及び4,4’−メチレンビス(N,N’−ジグリシジルアニリンの一方又は両方であることを特徴とする請求項8記載の液晶配向剤。
  10. 前記ポリアミック酸又はその誘導体は、酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを用いて得られる反応生成物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  11. 前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として芳香族テトラカルボン酸二無水物を含み、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(1)、(2)及び(5)〜(7)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上であることを特徴とする請求項10記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
  12. 前記芳香族テトラカルボン酸二無水物が前記構造式(1)の化合物であることを特徴とする請求項11記載の液晶配向剤。
  13. 前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のB成分として脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物のいずれか一方又は両方を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  14. 前記脂環式テトラカルボン酸二無水物が1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする請求項13記載の液晶配向剤。
  15. 前記脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(19)、(20)、(27)〜(29)及び(60)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上であることを特徴とする請求項13に記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
  16. 前記ジアミンは、アミンのA成分として下記一般式(II)〜(VIII)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンの一又は二以上を含むことを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
    (一般式(II)中、A1は、−(CH2m−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(IV)、(VI)、(VIII)中、A1は独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(VII)及び(VIII)中、A2は、独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。さらに一般式(III)〜(VIII)中のシクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、ベンジル又は4−ヒドロキシベンジルと置き換えられていてもよい。)
  17. 前記ジアミンは、下記構造式(V−1)、(V−2)、(V−15)、(V−16)、(VI−1)〜(VI−12)、(VI−31)、(VIII−2)及び(XV−3)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上であることを特徴とする請求項16記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
  18. 前記ジアミンは、アミンのB成分として下記一般式(IX)及び(XI)〜(XIV)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンの一又は二以上を含むことを特徴とする請求項10〜17のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
    (一般式(IX)中、A3は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−又は−(CH2m−を表す。ここでmは1〜6の整数を表す。R7は、ステロイド骨格を有する基、下記一般式(X)で表される基、炭素数1〜30のアルキルを表す。該アルキルにおいては、独立して、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CH3が−CH2F、−CHF2又は−CF3で置き換えられていてもよい。ただし該アルキルにおいて−O−は隣り合わない。
    また一般式(XI)及び(XII)中、ステロイド骨格を形成する炭素に結合している水素は、独立して−CH3と置き換えられていてもよく、R11はそれぞれ独立して、−H又は−CH3を表し、R12は、−H又は炭素数1〜20のアルキル若しくはアルケニルを表す。A6はそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−又は−CH2−を表す。式(XII)中、R13及びR14はそれぞれ独立して、−H、炭素数1〜20のアルキル又はフェニルを表す。
    また一般式(XIII)中、R15は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。該アルキルのうち炭素数2〜30のアルキルの任意の−CH2−は、独立して−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよい。ただし該アルキルにおいて−O−は隣り合わない。
    一般式(XIII)及び(XIV)中、A7は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンを表す。一般式(XIII)中、A8は単結合又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。環Tは1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンを表す。hは0又は1を表す。式(XIV)中、R16は炭素数6〜22のアルキルを表し、R17は−H又は炭素数1〜22のアルキルを表す。)
    Figure 2007286597
    (一般式(X)において、A4及びA5はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−又は炭素数1〜20のアルキレンを表す。R8及びR9はそれぞれ独立して、−F又は−CH3を表す。環Sは1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル又はアントラセン−9,10−ジイルを表す。R10は−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2又は−OCF3を表す。またa及びbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、a又はbが2〜4であるとき隣り合うA4又はA5は異なる基であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、eが2又は3であるとき複数の環Sは同一の基であっても異なる基であってもよい。f及びgはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつc+d+e≧1である。)
  19. 前記ジアミンは、下記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)、(IX−6)、(XIII−2)及び(XIII−4)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンの一又は二以上を含むことを特徴とする請求項18記載の液晶配向剤。
    Figure 2007286597
    (前記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)及び(IX−6)中、R18及びR19は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表す。前記一般式(XIII−2)中、R24は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。前記一般式(XIII−4)中、R25は炭素数1〜20のアルキルを表す。)
  20. 二種類以上の前記ポリアミック酸又はその誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  21. オキサジン構造を有する化合物、及びポリアミック酸又はその誘導体を含有する液晶配向剤であって、
    前記オキサジン構造を有する化合物を、前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して0.1〜20重量%含有し、前記オキサジン構造を有する化合物が下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(I’)で表される構成単位を含む化合物の一又は二以上であり、
    前記ポリアミック酸又はその誘導体が酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを用いて得られる反応生成物であり、
    前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として下記構造式(1)、(2)及び(5)〜(7)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び酸のB成分として下記構造式(14)、(19)、(20)、(27)〜(29)及び(60)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であり、
    前記ジアミンは、アミンのA成分として下記構造式(V−1)、(V−2)、(V−15)、(V−16)、(VI−1)〜(VI−12)、(VI−31)、(VIII−2)及び(XV−3)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及びアミンのB成分として下記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)、(IX−6)、(XIII−2)及び(XIII−4)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であることを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 2007286597
    (一般式(I)中、R1及びR2は独立して炭素数1〜30のアルキル、フェニル又はベンジルを表し、R3からR6は水素を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、又は−SO2−を表す。)
    Figure 2007286597
    (一般式(I’)中、R1及びR2は独立して単結合、又は炭素数1〜30の二価の有機基を表し、R3からR6は独立して水素、又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは単結合、−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−SO2−又は−C(CF32−を表す。)
    Figure 2007286597
    Figure 2007286597
    Figure 2007286597
    Figure 2007286597
    (前記一般式中、R18及びR19は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表す。前記一般式(XIII−2)中、R24は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。前記一般式(XIII−4)中、R25は炭素数1〜20のアルキルを表す。)
  22. 前記テトラカルボン酸二無水物は、前記酸のA成分として前記構造式(1)の化合物、及び酸のB成分として前記構造式(14)の化合物のいずれか一方又は両方であり、
    前記ジアミンは、前記アミンのA成分として前記構造式(V−16)、(VI−1)及び(VI−7)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び前記アミンのB成分、のいずれか一方又は両方であることを特徴とする請求項21に記載の液晶配向剤。
  23. 前記オキサジン構造を有する化合物は、前記一般式(I)中、R1及びR2はフェニル又はアリルを表し、R3からR6は水素を表し、Xは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、又は−SO2−を表す化合物であり、
    前記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)及び(IX−6)中、R18は炭素数5〜25のアルキル又は炭素数5〜25のアルコキシを表し、R19は炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシを表すことを特徴とする請求項21又は22に記載の液晶配向剤。
  24. 前記オキサジン構造を有する化合物は、前記一般式(I’)中、R1が単結合を表し、R2が4,4’−ジフェニルメタンを表し、R3からR6が水素を表し、Xが−C(CH32−を表す構造を構成単位に含むポリマーであり、
    前記一般式(IX−2)、(IX−4)、(IX−5)及び(IX−6)中、R18は炭素数5〜25のアルキル又は炭素数5〜25のアルコキシを表し、R19は炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシを表すことを特徴とする請求項21又は22に記載の液晶配向剤。
  25. 前記アミンのB成分が、前記一般式(IX−2)、(IX−5)及び(XIII−4)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  26. オキシラン構造を有する化合物をさらに含有し、
    前記オキシラン構造を有する化合物及び前記オキサジン構造を有する化合物を前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して総量で0.1〜50重量%含有することを特徴とする請求項21〜25のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  27. 前記オキシラン構造を有する化合物が(2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、及び4,4’−メチレンビス(N,N’−ジグリシジルアニリン)の一方または両方であることを特徴とする請求項26記載の液晶配向剤。
  28. 請求項1〜27のいずれか一項に記載の液晶配向剤における前記ポリアミック酸又はその誘導体を、前記液晶配向剤の膜の状態で焼成して形成されることを特徴とする液晶配向膜。
  29. 対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜は、請求項28に記載の液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示素子。
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