JP5194342B2 - 垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤及び垂直配向液晶表示素子 - Google Patents
垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤及び垂直配向液晶表示素子 Download PDFInfo
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Description
従来の液晶表示素子としては、ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin Film Transistor)型液晶表示素子が実用化されている。
(式中、環Yは1,4−シクロへキシレンまたは置換基を有していてもよい1,4−フェニレンであり、A1〜A3はそれぞれ独立して単結合、1,4−シクロへキシレンまたは置換基を有していてもよい1,4−フェニレンであり、B1〜B3はそれぞれ独立して単結合、炭素数1〜4のアルキレンなどであり、RはH、任意のCH2がCF2で置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキルなどである。)
一方、相対的に「溶解性」が高いポリアミック酸は、ポリマーの安定性が悪いため通常−30〜0℃の温度範囲で冷凍保存する必要がある。このような場合にポリアミック酸は、冷凍保存時にポリマーが析出することがあり問題であった。
また、特開平10−10535号公報には、「イミド環含有有機高分子が、平均分子量20,000以下、樹脂分濃度が15重量%以上でワニス粘度が50mPa・s以下であることを特徴とする液晶用平坦化兼配向制御膜。」が開示されている。しかしながら、該公報の技術は単層の膜厚が0.5μm以上で且つ重量平均分子量が20,000以下のイミド環含有有機高分子により、基板の凹凸構造を平坦化するものであり、主として横電界方式の液晶素子に関するものである。横電界方式の液晶素子は通常0〜2°の小さいプレチルト角を有するものであり、本発明の垂直配向液晶表示素子とは全く異なるものである。
[1] ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.0×104〜4.0×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
R1は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または炭素数1〜6のアルキレンであり、
R2は、ステロイド骨格を有する基、下記式(II)で表される基、またはベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラのときは炭素数1〜20のアルキル、もしくは該位置関係がメタのときは炭素数1〜10のアルキルまたはフェニルであり、
該アルキルのうち炭素数2〜6のアルキルにおいては、任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
該フェニルの環形成炭素に結合している水素は、−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3と置き換えられていてもよい。]
[式(II)において、
R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、
環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
R15は−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、
a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、
d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、fが2または3であるとき複数の環Cは同一の基であっても異なる基であってもよく、
gおよびhはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつ
d+e+f≧1である。]
前記式(II)において、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、R15は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜1の整数を表し、d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜1の整数を表し、gおよびhは0〜1の整数を表し、かつd+e+f≧1であることを特徴とする、[1]に記載の垂直配向液晶表示用の液晶配向剤。
下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.0×104〜4.0×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
R1は、炭素数1〜2のアルキレンであり、R2は、下記式(II)で表される基である。]
[式(II)において、
R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、
環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
R15は−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、
a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、
d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、fが2または3であるとき複数の環Cは同一の基であっても異なる基であってもよく、
gおよびhはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつ
d+e+f≧1である。]
下記式(I−13)〜(I−23)のいずれかで表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.0×104〜4.0×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
[式(I−13)〜(I−23)において、R22は炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであり、R23は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシである。]
下記式(I−16)〜(I−18)のいずれかで表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.0×104〜4.0×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
[式(I−16)〜(I−18)において、R23は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシである。]
下記式(I−16)〜(I−18)のいずれかで表される側鎖構造を有するジアミンと、下記式(V−6)または(VI−1)で表されるジアミンとを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.0×104〜4.0×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
A)請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリアミック酸またはその誘導体A、ならびに
B)下記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンを含むジアミン化合物B1と、テトラカルボン酸二無水物化合物B2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体B、を含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−(CH2)m−、−O−(CH2)m−O−、−S−(CH2)m−S−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
Yは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
シクロヘキサン環またはベンゼン環に結合している水素は、−F、−CH3と置き換えられていてもよい。さらに、式(V)中のベンゼン環に結合している水素はベンジルで置き換えられていてもよい。]
1)対向配置されており、双方に電極が配置された一対の基板、
2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および
3)前記一対の基板間に挟持された垂直に配向した液晶層、を含む垂直配向液晶表示素子であって、
前記液晶配向膜は、前記基板に[1]〜[18]のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布し、加熱することによって形成される液晶配向膜である垂直配向液晶表示素子。
本発明の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸またはその誘導体のうち、少なくとも1種は、上記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.0×104〜4.0×104であるポリアミック酸またはその誘導体A(以下、「ポリアミック酸A」ともいう)を含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤である。
さらに本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体A、ならびに上記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンを含むジアミン化合物B1と、テトラカルボン酸二無水物化合物B2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体B(以下、「ポリアミック酸B」ともいう)を含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤である。
なお、本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体として、ポリアミック酸AおよびBのみを含有してもよく、ポリアミック酸AおよびB以外のポリアミック酸またはその誘導体をさらに含有していてもよい。
以下、本発明の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤および垂直配向液晶表示素子について詳細に述べる。
前記の通り、本発明の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸Aは、ジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体である。
ジアミン化合物A1は1または2種以上のジアミンからなるが、A1に含まれるジアミンの一部はモノアミンに置換されていてもよい。
テトラカルボン酸二無水物化合物A2は1または2種以上のテトラカルボン酸二無水物からなるが、A2に含まれるテトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置換されていてもよい。
以下、ポリアミック酸Aの原料であるジアミン化合物A1およびテトラカルボン酸二無水物化合物A2についてそれぞれ説明する。
まず、本発明に用いられるジアミン化合物A1について述べる。
前記の通り、ジアミン化合物A1は1または2種以上のジアミンからなるが、少なくとも前記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンを含む。
本明細書において、側鎖構造を有するジアミンとは、2つのアミノ基を結ぶ鎖を主鎖としたときに側鎖を有するジアミンを意味する。すなわち、側鎖構造を有するジアミンは、テトラカルボン酸二無水物と反応することで、高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸またはポリイミド(分岐ポリアミック酸または分岐ポリイミド)を提供することができるものである。このような高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸またはポリイミドを含む液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。
1)置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニレン、または炭素数3以上のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、
2)置換基を有していてもよいフェニルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)オキシ、置換基を有していてもよいフェニルシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルオキシ、または炭素数3以上のアルキルオキシ、アルケニルオキシもしくはアルキニルオキシ、
3)フェニルカルボニル、または炭素数3以上のアルキルカルボニル、アルケニルカルボニルもしくはアルキニルカルボニル、
4)フェニルカルボニルオキシ、または炭素数3以上のアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシもしくはアルキニルカルボニルオキシ、
5)置換基を有していてもよいフェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)オキシカルボニル、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルビス(フェニル)オキシカルボニル、または炭素数3以上のアルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニルもしくはアルキニルオキシカルボニル、
6)フェニルアミノカルボニル、または炭素数3以上のアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニルもしくはアルキニルアミノカルボニル、
7)炭素数3以上の環状アルキレン、
8)置換基を有していてもよいシクロヘキシルアルキレン、置換基を有していてもよいフェニルアルキレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)アルキレン、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルアルキレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニルアルキレン、置換基を有していてもよいフェニルアルキルオキシ、アルキルフェニルオキシカルボニル、またはアルキルビフェニリルオキシカルボニル、
9)アルキル、フッ素置換アルキル、またはアルコキシによって置換されたフェニルまたはシクロヘキシル、および、
10)2個以上のベンゼン環またはシクロヘキサン環が単結合し、または、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−若しくは炭素数1〜3のアルキレンを介して結合した、アルキル、フッ素置換アルキル、またはアルコキシによって置換された環集合基などが挙げられるが、85〜90°程度のプレチルト角になればこれに限定されない。
ここで、「置換基」としては、アルキル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル等を挙げることができる。
また、ビス(シクロヘキシル)、またはビス(フェニル)は、アルキレンによって中断されていてもよい。
なお、本明細書において、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」というときは、線状でもよいし、枝分かれでもよい。
前記ジアミン化合物A1において、一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンの総含有量は、ジアミン全体の30〜100モル%であることが好ましく、50〜100モル%であることがより好ましく、50〜90モル%であることがさらに好ましい。一般式(I)で表されるジアミンの総含有量が30モル%以上であれば、垂直配向液晶表示素子に好適な85〜90°のプレチルト角を付与することが可能である。
次に、本発明に用いられるテトラカルボン酸二無水物化合物A2について述べる。
前記の通り、ポリアミック酸Aは、テトラカルボン酸二無水物化合物A2を原料として合成される。テトラカルボン酸二無水物化合物A2は、1または2種以上のテトラカルボン酸二無水物からなる。テトラカルボン酸二無水物とは、下記一般式(X)で表される化合物である。
なお、ポリアミック酸Aが液晶配向剤の成分として使用されるためには、溶剤に可溶な形態をとることが好ましい。ポリアミック酸Aを該可溶な形態とするために、テトラカルボン酸二無水物化合物A2に含まれるテトラカルボン酸二無水物を適宜に選択することが好ましい。
下記する酸二無水物のうち、より好ましくは式(14)〜(29)、式(60)で表される酸二無水物が挙げられ、特に好ましくは式(14)で表される1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また本発明のポリアミック酸を溶媒に可溶性のポリイミドとするには、式(19)、式(20)、式(27)〜(29)、式(60)で表される酸二無水物を用いることが好ましい。
該ポリアミック酸Aならびに溶剤を含有する液晶配向剤は、垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤として好適に用いることができるものである。
1.0×104以上の重量平均分子量を有するポリアミック酸Aは、配向膜を焼成するステップにおいて蒸発することがなく、さらに配向膜の洗浄工程や配向処理の工程に対して化学的、機械的に安定であるため、液晶配向剤の成分として好ましい物性を有する。
該重量平均分子量の上限については、4.0×104以下の重量平均分子量を有するポリアミック酸Aは、溶剤に対する溶解性を向上させることができるので、液晶配向剤として好ましく用いることができる。
このうち、1)本発明のポリアミック酸Aの溶液を加熱する方法が、テトラカルボン酸二無水物化合物とジアミンの反応の後に重量平均分子量を確認しながら微調整できるため好ましく、取り扱いも容易である。溶液を加熱することにより重量平均分子量は低減するが、重量平均分子量を微調整するときの加熱温度は、通常40〜150℃であり、好ましくは50〜80℃である。加熱温度が高いほど短時間で重量平均分子量が低下するため好ましいが、低減する変化が大きすぎると所望の重量平均分子量に調整するのが難しくなることがある。また、前記加熱温度が溶媒の沸点以下であると、取り扱いが容易であるため好ましい。
ここで、ポリアミック酸Aの重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定される。例えば、得られたポリアミック酸Aをジメチルホルムアミド(DMF)でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC−R7A(島津製作所製)を用いて、DMFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求める。さらに、ポリアミック酸やポリアクリル酸等のGPC測定を精度良く行うために、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸で展開剤および希釈液のpH値を2〜6に調整することがある。(特開昭60−73456号参照)
また、ポリアミック酸Aの分子量分布は多分散度で表すことができる。多分散度とは重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値である。本発明において、その値は1.5〜5であることが好ましい。ここで分子量分布は分子量測定と同様のGPC法により測定される。
次に、溶剤(例えばアミド系極性溶剤であるN−メチル−2ピロリドンやジメチルホルムアミドなど)および前記一般式(X)で表されるテトラカルボン酸二無水物の1種もしくは2種以上、さらに必要に応じてジカルボン酸を投入する。このときテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましいが、該モル比を調整することにより、重量平均分子量を所望の範囲に制御することもできる。
攪拌下に温度0〜70℃で1〜48時間反応させることによりポリアミック酸の溶液を得ることができる。
また、ポリアミック酸Aを、ポリアミック酸誘導体である可溶性ポリイミドとする場合には、得られたポリアミック酸溶液を、脱水剤である無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物、及び脱水閉環触媒であるトリエチルアミン、ピリジン、コリジンなどの三級アミンとともに、温度20〜150℃でイミド化反応させて得ることができる。
あるいは、得られたポリアミック酸溶液から多量の貧溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒やグリコール系溶媒)を用いてポリアミック酸を析出させ、析出させたポリアミック酸を、トルエン、キシレン等の溶媒中で、前記と同様の脱水剤及び脱水閉環触媒とともに、温度20〜150℃でイミド化反応させることもできる。
得られたポリイミドは、溶剤と分離して後述する溶剤に再溶解させて液晶配向剤として使用することもできるし、あるいは溶剤と分離することなく液晶配向剤として使用することもできる。
さらに、該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体を化学的にイミド化することによってポリアミドイミドを製造することができる。
前記の通り、本発明の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸Bは、ジアミン化合物B1と、テトラカルボン酸二無水物化合物B2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体である。
ジアミン化合物B1は1または2種以上のジアミンからなるが、B1に含まれるジアミンの一部はモノアミンに置換されていてもよい。
テトラカルボン酸二無水物化合物B2は1または2種以上のテトラカルボン酸二無水物からなるが、B2に含まれるテトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置換されていてもよい。
ポリアミック酸の誘導体は、前記ポリアミック酸Aで記載したものと同義である。
まず、ジアミン化合物B1について説明する。
前記の通り、ジアミン化合物B1は1又は2種以上のジアミンからなるが、少なくとも前記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンのうちいずれか1種を含む。また、ジアミン化合物B1は、必要に応じて任意の他のジアミンをさらに含んでいてもよい。ここで、他のジアミンとしては、前記式(IX)で表されるジアミン等が挙げられる。ジアミン化合物B1における前記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンのモル比は、選択されたジアミンの構造に応じて調整すればよく、100/0〜1/99であることが好ましく、80/20〜5/95であることがより好ましい。前記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンを2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲であることが好ましい。
さらに、ジアミン化合物B1に含まれるジアミンの一部は、モノアミンに置換されていてもよい。ここでジアミンに対するモノアミンの比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば式(III−1)、(III−2)で表されるジアミンが挙げられる。
具体的には、ポリアミック酸Bの原料であるジアミン化合物B1に含まれるジアミンの種類およびその組み合わせを適宜選択することにより、本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜に、例えば良好な電気的特性(電圧保持率、残留DC等)を与えることができる。前記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンのうち、カルボニルやエ−テル結合などの酸素や硫黄を含まない構造のものが、特に優れた電気特性を液晶配向膜に付与する傾向があり好ましい。
ポリアミック酸Bは、前記ジアミン化合物B1とテトラカルボン酸二無水物化合物B2とを反応させることで得られるが、テトラカルボン酸二無水物化合物B2に含まれるテトラカルボン酸二無水物としては、テトラカルボン酸二無水物化合物A2の説明において記載されたテトラカルボン酸二無水物と同様のものが挙げられる。
また、A2と同様、テトラカルボン酸二無水物化合物B2に含まれるテトラカルボン酸二無水物の一部は、ジカルボン酸に置換されていてもよい。
テトラカルボン酸二無水物化合物B2は、テトラカルボン酸二無水物を単独で含むこともできるし、二種以上を組み合わせて含むこともできる。好ましくは、前記1)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、2)脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物を組み合わせて含み、特に好ましくは式(1)で表されるピロメリット酸二無水物と、式(14)で表される1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を組み合わせて含む。
テトラカルボン酸二無水物化合物B2が、ピロメリット酸二無水物及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含む場合、ピロメリット酸二無水物/1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物のモル比率は、10/90〜90/10であることが好ましく、15/85〜75/25であることがより好ましい。
また、ポリアミック酸Bの分子量分布は多分散度で表すことができる。多分散度とは重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値である。本発明において、その値は1.5〜5であることが好ましい。
ポリアミック酸Bの重量平均分子量および分子量分布は、ポリアミック酸Aの場合と同様に測定される。
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を混合することにより調製される。本発明に用いられるポリアミック酸は、ポリアミック酸Aを単独で使用することもできるし、ポリアミック酸Aとポリアミック酸Bとを混合して使用することもできる。本発明においては、耐熱性、電気的特性、配向安定性および信頼性等の液晶配向剤として所望の特性が得られやすいことから、ポリアミック酸Aとポリアミック酸Bとを混合して使用することが好ましい。
混合されるポリアミック酸Aとポリアミック酸Bの重量比は、「ポリアミック酸A」/「ポリアミック酸B」=1/99〜50/50であることが好ましく、「ポリアミック酸A」/「ポリアミック酸B」=5/95〜20/80であることがより好ましい。該重量比は、垂直配向液晶表示素子に好適な85〜90°程度のプレチルト角になるように適宜調整されればよい。
前記の通りポリアミック酸Aは、ポリアミック酸Bと組み合わされることにより好ましい液晶配向剤の成分として用いられることができる。但し、ポリアミック酸Aを液晶配向剤の成分として使用するために、必ずしもポリアミック酸Bと組み合わされる必要があるわけではない。
本発明の液晶配向剤における高分子成分(ポリアミック酸A、ポリアミック酸B等の重量平均分子量1×104以上の成分)の含有率は、液晶配向剤の基板への塗布方法によって適宜選択されることができる。例えば、通常の液晶表示素子の製造工程で用いられる印刷機(オフセット印刷やインクジェット印刷機を含む。以下、「印刷機」と略すことがある。)で使用される液晶配向剤における高分子成分の含有率は、0.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であることが好ましいが、液晶配向剤の粘度(後述)との関係で適宜調整される。
1)ポリアミック酸や可溶性ポリイミドに対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤(以下、非プロトン性極性有機溶剤):例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンである。これらのうち、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどがさらに好ましく例示される。
例えば、有機溶剤に可溶性の高分子化合物を添加剤としてもよく、それらを添加することにより、形成される配向膜の電気特性や配向性を制御することができる。該高分子化合物の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコン変性ポリウレタン、シリコン変性ポリエステルなどを挙げることができる。
前記シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどを挙げることができる。
液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE-20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
本発明の垂直配向液晶表示素子は、1)対向配置された一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および3)前記一対の基板間に挟持された垂直に配向した液晶層を含む。ここで、前記一対の基板の双方に電極が配置されている。
例えば、薄膜トランジスタを使用したカラー表示のTFT型液晶素子においては、第1の透明基板上に薄膜トランジスタ、絶縁膜、保護膜、信号電極および画素電極などが形成されており、第2の透明基板上に画素領域以外の光を遮断するブラックマトリクス、カラーフィルター、平坦化膜および画素電極などを有しうる。
また、特にMVA型液晶表示素子においては、第1の透明基板上にドメインと称される微小な突起物が形成されている。また、基板間のセルギャップの調整用にスペーサーが形成されていてもよい。
ピロメリット酸二無水物{式(1)}:PMDA
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物{式(14)}:CBDA
5−{4−[2−(4−nヘプチルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン{式(I−18)/R23=C7H15}:7Ch2Ch
5−(4−nプロピルシクロヘキシル)フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン{式(I−16)/R23=C3H7}:3Ch
4,4’−ジアミノジフェニルメタン{式(VI−1)}:DDM
1−フェニルメチル−2,5−ジアミノベンゼン{式(V−6)}:P1PDA
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
[ポリアミック酸Aの合成]
合成例1
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコに、7Ch2Chを3.2449g(6.639mmol:モル分率=0.45)、DDMを0.1462g(0.737mmol:モル分率=0.05)および脱水NMP20gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでPMDA1.6089g(7.376mmol:モル分率=0.5)を添加し、反応温度を約30℃以下に抑えて30時間反応させた。
得られた溶液に、NMP40gおよびBC35gを加えて、濃度が5重量%のポリアミック酸溶液を合成した。得られたポリアミック酸溶液を75℃で3時間加熱した後、約30℃以下に冷却して、ポリアミック酸溶液(PA1)を合成した。得られたPA1の重量平均分子量は44,000であった。
ここで、ポリアミック酸の重量平均分子量は、得られたポリアミック酸を(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)希釈液でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC−R7A(島津製作所製)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。なお、カラムはGF−7HQ(昭和電工株式会社製)を使用し、カラム温度50℃、流速0.6ml/minの条件で測定した。
加熱時間3時間を13時間に変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA2)を合成した。得られたPA2の重量平均分子量は24,000であった。
加熱時間3時間を16時間に変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA3)を合成した。得られたPA3の重量平均分子量は21,000であった。
加熱温度75℃を120℃に変更し、加熱時間3時間を16時間に変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA4)を合成した。得られたPA4の重量平均分子量は9,500であった。
7Ch2Ch、DDMおよびPMDAのモル分率をそれぞれ0.35、0.15および0.5に変更した以外は、合成例3に準拠してポリアミック酸溶液(PA6)を合成した。得られたPA5の重量平均分子量は24,500であった。
7Ch2Ch、DDMおよびPMDAのモル分率をそれぞれ0.25、0.25および0.5に変更した以外は、合成例3に準拠してポリアミック酸溶液(PA6)を合成した。得られたPA6の重量平均分子量は23,000であった。
7Ch2Ch、DDMおよびPMDAのモル分率をそれぞれ0.15、0.35および0.5に変更した以外は、合成例3に準拠してポリアミック酸溶液(PA7)を合成した。得られたPA7の重量平均分子量は17,500であった。
PMDAをCBDAに代えて、7Ch2Ch、DDMおよびCBDAのモル分率をそれぞれ0.25、0.25および0.5に変更した以外は、合成例3に準拠してポリアミック酸溶液(PA8)を合成した。得られたPA8の重量平均分子量は23,500であった。
DDMをP1PDAに代えて、7Ch2Ch、P1PDAおよびPMDAのモル分率をそれぞれ0.25、0.25および0.5に変更した以外は、合成例3に準拠してポリアミック酸溶液(PA9)を合成した。得られたPA9の重量平均分子量は19,000であった。
7Ch2Chを3Chに代えて、3Ch、DDMおよびPMDAのモル分率をそれぞれ0.45、0.05および0.5に変更した以外は、合成例3に準拠してポリアミック酸溶液(PA10)を合成した。得られたPA10の重量平均分子量は24,500であった。
合成例11〜12
表1に示したモル分率にテトラカルボン酸二無水物、ジアミンを変更し、加熱温度75℃を60℃に変更し、加熱時間3時間を4時間に変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA11〜PA12)を合成した。
[実施例1]
合成例2で合成したポリアミック酸溶液(PA2)0.4gおよび合成例11で合成したポリアミック酸溶液(PA11)3.6gを混合した後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤で4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を−10℃で2日間冷凍保存した。その後、常温に戻したところ、視認できる沈殿が生じたり、2層に分離することも無く、溶剤に対する溶解性は良好であった。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り垂直配向液晶表示素子を作製した。
液晶配向剤を、2枚のITO電極付きガラス基板の各々にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて30分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
配向膜が形成されたガラス基板を、株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.30mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1000rpmの条件で、ラビング処理した。配向膜が形成されたガラス基板を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
一方のガラス基板に4μmのギャップ材を散布し、配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのアンチパラレルセルを作製した。該セルに下記する液晶組成物Bを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、垂直配向液晶表示素子を作製した。
PA2の代わりにPA3、PA5〜10を用いたこと以外は、実施例1と同様に液晶配向剤を得た。得られた液晶配向剤の溶解性(−10℃で2日間の冷凍保存後)は良好であった。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様に垂直配向液晶表示素子を作製した。
PA11の代わりにPA12を用いたこと以外は、実施例1と同様に液晶配向剤を得た。得られた液晶配向剤の溶解性(−10℃で2日間の冷凍保存後)は良好であった。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様に垂直配向液晶表示素子を作製した。
PA2の代わりにPA1を用いたこと以外は、実施例1と同様に液晶配向剤を得た。得られた液晶配向剤を−10℃で2日間冷凍保存した。その後、常温に戻したところ、視認できる沈殿は生じなかったが、2層の領域に分離したため垂直配向液晶表示素子の作製を断念した。
合成例4で合成したポリアミック酸溶液(PA4)4.0gをNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤で4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を−10℃で2日間冷凍保存した。その後、常温に戻したところ、視認できる沈殿が生じたり、2層に分離することも無く、溶剤に対する溶解性は良好であった。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布した。80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて30分間加熱処理を行い液晶配向膜を形成した。さらに、実施例1と同様にラビング処理を行ったところ、膜強度が弱いためか膜削れが発生し垂直配向液晶表示素子の作製を断念した。
合成例11および合成例12で合成したポリアミック酸溶液(PA11)4.0gおよびポリアミック酸溶液(PA12)4.0gをそれぞれNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤で4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤の溶解性(−10℃で2日間の冷凍保存後)は良好であった。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様に垂直配向液晶表示素子を作製した。
得られた垂直配向液晶表示素子のプレチルト角の測定をクリスタルローテーション法により行った。溶解性(−10℃で2日間の冷凍保存後)、膜強度の結果を含めて評価結果を表2にまとめた。なお、85〜90°程度の高いプレチルト角が得られていれば、垂直配向液晶表示素子に好適である。
さらに、表2の比較例3、比較例4に示されたように、前記一般式(I)で示される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物を反応させて得られるポリアミック酸を含有しない液晶配向剤は、重量平均分子量が4.0×104以上であっても良好な溶解性が得られ、膜削れも発生しないが、プレチルト角が小さいため垂直配向液晶表示素子には使用できないことがわかる。
Claims (20)
- ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.5×104〜2.5×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤、但し、ポリアミック酸またはその誘導体Aとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、p−フェニレンジアミン、4−{4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ}−1,3−ジアミノベンゼン及び2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリンを反応させて得られるポリアミック酸及び可溶性ポリイミドを除く。
R1は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または炭素数1〜6のアルキレンであり、
R2は、ステロイド骨格を有する基、下記式(II)で表される基、またはベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラのときは炭素数1〜20のアルキル、もしくは該位置関係がメタのときは炭素数1〜10のアルキルまたはフェニルであり、
該アルキルのうち炭素数2〜6のアルキルにおいては、任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
該フェニルの環形成炭素に結合している水素は、−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3と置き換えられていてもよい。]
R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、
環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
R15は−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、
a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、
d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、fが2または3であるとき複数の環Cは同一の基であっても異なる基であってもよく、
gおよびhはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつ
d+e+f≧1である。] - 前記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンが、R1が単結合、−O−、−COO−、−OCO−、炭素数1〜2のアルキレンであり、R2が前記式(II)で表される基であり、
前記式(II)において、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、R15は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜1の整数を表し、d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜1の整数を表し、gおよびhは0〜1の整数を表し、かつd+e+f≧1であることを特徴とする、請求項1に記載の垂直配向液晶表示用の液晶配向剤。 - 前記ジアミン化合物A1において、一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンの総含有量が、ジアミン全体の30〜100モル%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.5×104〜2.5×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする、請求項1に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
R1は、炭素数1〜2のアルキレンであり、R2は、下記式(II)で表される基である。]
R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、
環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
R15は−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、
a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、
d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、fが2または3であるとき複数の環Cは同一の基であっても異なる基であってもよく、
gおよびhはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつ
d+e+f≧1である。] - 前記式(II)において、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、R13およびR14はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、環Cは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、R15は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、a、bおよびcはそれぞれ独立して0〜1の整数を表し、d、eおよびfはそれぞれ独立して0〜1の整数を表し、gおよびhは0〜1の整数を表し、かつd+e+f≧1であることを特徴とする、請求項4に記載の垂直配向液晶表示用の液晶配向剤。
- 前記ジアミン化合物A1において、一般式(I)で表される側鎖構造を有するジアミンの総含有量が、ジアミン全体の30〜100モル%であることを特徴とする、請求項4または5に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
下記式(I−13)〜(I−23)のいずれかで表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.5×104〜2.5×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする、請求項1に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記ジアミン化合物A1において、前記式(I−13)〜(I−23)で表されるジアミンの総含有量が、ジアミン全体の30〜100モル%であることを特徴とする、請求項7に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
下記式(I−16)〜(I−18)のいずれかで表される側鎖構造を有するジアミンを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.5×104〜2.5×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする、請求項1に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記ジアミン化合物A1において、前記式(I−16)〜(I−18)で表されるジアミンの総含有量が、ジアミン全体の30〜100モル%であることを特徴とする、請求項9に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- ポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
下記式(I−16)〜(I−18)のいずれかで表される側鎖構造を有するジアミンと、下記式(V−6)または(VI−1)で表されるジアミンとを含むジアミン化合物A1と、テトラカルボン酸二無水物化合物A2とを反応させて得られる重量平均分子量が1.5×104〜2.5×104であるポリアミック酸またはその誘導体Aを含有することを特徴とする、請求項1に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記ジアミン化合物A1において、前記式(I−16)〜(I−18)で表されるジアミンの総含有量が、ジアミン全体の30〜100モル%であることを特徴とする、請求項11に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 2種以上のポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤であって、
A)請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリアミック酸またはその誘導体A、ならびに
B)下記一般式(III)〜(VIII)で表されるジアミンを含むジアミン化合物B1と、テトラカルボン酸二無水物化合物B2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体B、を含有することを特徴とする、請求項1に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−(CH2)m−、−O−(CH2)m−O−、−S−(CH2)m−S−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
Yは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
シクロヘキサン環またはベンゼン環に結合している水素は、−F、−CH3と置き換えられていてもよい。さらに、式(V)中のベンゼン環に結合している水素はベンジルで置き換えられていてもよい。] - 前記ポリアミック酸またはその誘導体Aとポリアミック酸またはその誘導体Bとの重量比が、1/99〜50/50であることを特徴とする、請求項13に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記ポリアミック酸またはその誘導体Aとポリアミック酸またはその誘導体Bとの重量比が、5/95〜20/80であることを特徴とする、請求項13に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記テトラカルボン酸二無水物化合物A2が、下記式(1)〜(13)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物、および下記式(14)〜(62)で表される脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記テトラカルボン酸二無水物化合物A2が、ピロメリット酸二無水物及び/又はシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記テトラカルボン酸二無水物化合物B2が、下記式(1)〜(13)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物、および下記式(14)〜(62)で表される脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする、請求項13に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 前記テトラカルボン酸二無水物化合物B2が、ピロメリット酸二無水物及び/又はシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする、請求項13に記載の垂直配向液晶表示素子用の液晶配向剤。
- 1)対向配置されており、双方に電極が配置された一対の基板、
2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および
3)前記一対の基板間に挟持された垂直に配向した液晶層、を含む垂直配向液晶表示素子であって、
前記液晶配向膜は、前記基板に請求項1〜19のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布し、加熱することによって形成される液晶配向膜である垂直配向液晶表示素子。
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