JP4217923B2 - 塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる、塗膜の形成方法に関する。さらに詳細には、本発明は、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併有する重合体と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂と、該樹脂中に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物とを最小の必須成分として含有することからなり、さらに、必要に応じて、硬化触媒をも含有することからなる、液状の硬化性クリヤー塗料を、上塗り塗料として使用することから成る、とりわけ、耐久性などに優れる塗膜を形成することの出来る、斬新にして実用性の高い、塗膜の形成方法に関する。
【0002】
そして、本発明に係る、こうした塗膜の形成方法は、特に、自動車のトップ・コート用として、あるいは自動車補修塗装用として、利用し適用されるというものである。
【0003】
【従来の技術】
これまでにも、耐久性に優れる硬化物を形成する塗膜の形成方法として、自動車トップ・コート用あるいは自動車補修用を中心に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基の如き、いわゆる官能基を有する、アクリル系重合体、ポリエステル樹脂あるいはアルキド樹脂の如き、ベース・ポリマー成分に、アミノ樹脂、ポリイソシアネート樹脂またはエポキシ樹脂の如き、いわゆる硬化剤を配合せしめた形の液状塗料を、いわゆる上塗り塗料として使用するという方法が、幅広く、利用されては来ている。
【0004】
しかしながら、こうした形の液状塗料を、上塗り塗料として使用するという塗膜の形成方法においては、得られる硬化塗膜は、曝露時の光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐擦傷性などの、いわゆる耐久性などに劣っており、高度の耐久性が必要とされるような用途には、適用できないというような問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型技術に従う限りは、どうしても、高度の耐久性を有する、極めて実用性の高い硬化塗膜を得るというが出来なく、とりわけ、曝露時の光沢保持性ならびに撥水性保持性をはじめ、さらには、耐酸性ならびに耐擦傷性などといった、高度の耐久性のある塗膜を与える塗膜の形成方法の登場が、切に望まれている。
【0006】
このために、本発明者らは、こうした高度の耐久性を有する硬化塗膜を形成することの出来る、塗膜の形成方法を求めて、鋭意、研究を開始した。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、とりわけ、高度の耐久性などを有する硬化塗膜を形成することの出来る、極めて実用性の高い、斬新なる塗膜の形成方法を提供するということにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述したような現状に鑑み、そして、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、加水分解性シリル基・加水分解性シリル基以外の官能基併有型の重合体と特定のポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物とから構成される、特定の液状硬化性クリヤー塗料が、さらに、加水分解性シリル基・加水分解性シリル基以外の官能基併有型の重合体と特定のポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物と、硬化触媒とから構成される、特定の液状硬化性クリヤー塗料が、
【0009】
これらの各液状硬化性クリヤー塗料を、上塗り塗料として使用するときには、とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性、耐酸性ならびに耐擦傷性などの耐久性に優れると共に、極めて高い鮮映性などをも有するという実用性の高い硬化塗膜を与えることを見出し、上述した課題を見事に解決することが出来ることを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0010】
すなわち、本発明は、基本的には、予め、有機皮膜が形成された基材に、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)とから構成される、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を、
【0011】
あるいは加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)と、硬化触媒(C)とから構成される、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を塗装せしめ、次いで、硬化せしめるか、
【0012】
あるいは予め、有機皮膜が形成された基材に、顔料を含むベース・コート用塗料(II)と、上記した液状の硬化性クリヤー塗料(I)とを、順次、塗装せしめたのちに、これらの両塗料から形成された塗膜二層を、同時に、乾燥ないしは硬化せしめるという、とりわけ、耐久性などに優れた硬化塗膜を与えることの出来る、極めて実用性の高い、塗膜の形成方法を提供しようとするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
このように、本発明は、それぞれ、一つには、予め、有機皮膜が形成された基材に、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を塗装せしめ、次いで、硬化せしめることから成る、塗膜の形成方法を請求しているというものであるし、
【0014】
二つには、予め、有機皮膜が形成された基材に、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)と、硬化触媒(C)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を塗装せしめ、次いで、硬化せしめることから成る、塗膜の形成方法をも請求しているというものであるし、
【0015】
三つには、予め、有機皮膜が形成された基材に、顔料を含むベース・コート用塗料(II)、ならびに加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を、順次、塗装せしめ、次いで、両塗料から形成された二層を、同時に、乾燥ないしは硬化せしめることから成る、塗膜の形成方法をも請求しているというものであるし、
【0016】
四つには、予め、有機皮膜が形成された基材に、顔料を含むベース・コート用塗料(II)、ならびに加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)と、硬化触媒(C)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を、順次、塗装せしめ、次いで、両塗料から形成された二層を、同時に、乾燥ないしは硬化せしめることから成る、塗膜の形成方法をも請求しているというものである。
【0017】
以下に、本発明を、より詳細に説明することにする。
【0018】
ここにおいて、まず、本発明に係る塗膜形成方法を実施するに当たって用いられる、前記した液状の硬化性クリヤー塗料(I)とは、加水分解性シリル基と、加水分解性シリル基以外の官能基とを併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)とを、必須の皮膜形成成分として含有する形のものであるとか、
【0019】
あるいは更に、加水分解性シリル基と、加水分解性シリル基以外の官能基とを併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)と、硬化触媒(C)とを、必須の皮膜形成成分として含有する形のものを指称するというものである。
【0020】
こうした液状塗料(I)を構成する成分の一つである、上記した樹脂(A)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併有する重合体(a−1)とは、加水分解性シリル基と、公知慣用の種々の官能基とを併せ有する形の重合体を指称するというものであり、該官能基として好ましいもののみを例示するにとどめれば、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合、カーバメート基、オキサゾリン基、カルボニル基、アセトアセチル基、燐酸基、スルホン酸基などをはじめ、さらには、次の構造式(K−1)
【0021】
【化2】
Figure 0004217923
【0022】
によって示されるような形の官能基などである。
【0023】
さらに、2級アミド結合としては、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基または次の構造式(K−2)
【0024】
【化3】
−C(O)−NH−CH(OR1)−COOR2 (K−2)
【0025】
(ただし、式中のR1 およびR2 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすものとする。)
【0026】
によって示されるような形の官能基をも包含するものである。
【0027】
また、これらの各種の官能基は、1種のみを含有せしめるようにしてもよいし、シクロカーボネート基とカルボキシル基との組み合わせのようにして、2種以上を、当該重合体(a−1)中に含有せしめるようにしてもよい。
【0028】
それらのうちでも特に望ましいもののみを例示するにとどめれば、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合またはカーバメート基などをはじめ、さらには、前掲したような構造式(K−1)で示されるような形の官能基などである。
【0029】
当該重合体(a−1)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビニル系重合体;あるいはポリエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系樹脂などである。
【0030】
これらのうちでも特に望ましいものとしては、アクリル系重合体などのような、いわゆるビニル系重合体であるとか、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0031】
当該重合体(a−1)のうちの、上記したビニル系重合体を調製するには、公知慣用の種々の方法を適用することができるが、それらのうちでも、水酸基を有するビニル系単量体、ブロックされた水酸基を有するビニル系単量体、カルボキシル基を有するビニル系単量体、ブロックされたカルボキシル基を有するビニル系単量体、カルボン酸無水基を有するビニル系単量体、アミノ基を有するビニル系単量体、シクロカーボネート基を有するビニル系単量体、エポキシ基を有するビニル系単量体、1級アミド結合を有するビニル系単量体、2級アミド結合を有するビニル系単量体、カーバメート基を有するビニル系単量体または前掲した構造式(K−1)で示されるような形の官能基を有するビニル系単量体から選ばれる、少なくとも1種の単量体と、あるいは前掲したような種々の官能基のうちの2種類以上を併有する単量体と、
【0032】
加水分解性シリル基を有するビニル系単量体とを共重合せしめるか、前掲したような官能基を有する単量体と、加水分解性シリル基を有する単量体と、これらと共重合可能なる其の他のビニル系単量体とを共重合せしめるというような方法によるのが簡便である。
【0033】
当該ビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用される、まず、上記した水酸基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0034】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニルエーテル類;
【0035】
2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られるような形の、各種のポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;
【0036】
前掲したような各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体と、酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との付加物;
【0037】
さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)などで以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイド以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加物などのような種々の水酸基含有単量体類などである。
【0038】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、ブロックされた水酸基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエーテルもしくは4−トリメチルシロキシブチルビニルエーテルの如き、特開昭62−283163号公報に開示されているようなシリルエーテル基含有ビニル系単量体類;
【0039】
2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランもしくは2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメチルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報に開示されているような、それぞれ、アセタール基ないしはケタール基含有の各種のビニル系単量体類;
【0040】
または3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジン、2,2−ジメチル−3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンもしくは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンの如き、各種のオキサゾリジン基含有ビニル系単量体類などである。
【0041】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したカルボキシル基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0042】
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルの如き、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
【0043】
無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と、前掲した各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類を付加反応せしめることによって得られるというような形の単量体類などである。
【0044】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したブロックされたカルボキシル基含有単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチル−t−ブチルシリル(メタ)アクリレートもしくはトリメチルシリルクロトネートの如き、特開昭62−254876号公報に開示されているような形のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0045】
1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンもしくは2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフランの如き、特開平5−222134号公報に開示されているようなヘミアセタールエステル基ないしはヘミケタールエステル基含有の単量体;またはtert−ブチル(メタ)アクリレートもしくはt−ブチルクロトネートの如き、各種のtert−ブチルエステル基含有単量体類などである。
【0046】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したカルボン酸無水基含有単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸の如き、各種の不飽和モノカルボン酸の無水物類;またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸もしくは安息香酸などのような、種々の飽和カルボン酸との混合酸無水物などである。
【0047】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したアミノ基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0048】
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾールもしくはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0049】
N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;
【0050】
N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;
【0051】
あるいは2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0052】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したシクロカーボネート基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0053】
2,3−カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、6,7−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレートもしくは7,8−カーボネートオクチル(メタ)アクリレート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートもしくはジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの如き、5員環のシクロカーボネート基含有の各種のビニル系単量体類などをはじめ、
【0054】
さらには、〔5−N−(メタ)アクリロイルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エチルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン−2−オンもしくは4−(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチルスチレンの如き、6員環のシクロカーボネート基含有の各種のビニル系単量体類などである。
【0055】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したエポキシ基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、各種の単量体類などである。
【0056】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記した、1級アミド結合ないしは2級アミド結合を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルフォルムアミド、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレート、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、アセチルアセトンもしくはアセト酢酸エステル類との付加反応物などである。
【0057】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記したカーバメート基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0058】
N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メチル、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸エチル、N−〔2−((メタ)アクリロイルオキシ〕エチルカルバミン酸エチル、2−カルバモイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(N−メチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートまたは3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと、2−ヒドロキシプロピルカーバメートとの付加反応物;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、フェノールとの付加反応物;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、エタノールとの付加反応物;あるいは2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、メチルエチルケトオキシムとの付加反応物などである。
【0059】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前掲した構造式(K−1)で示されるような形の官能基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートもしくはm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの如き、各種のイソシアナート基含有単量体類と、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムもしくはアセトアニリドの如き、各種の2級アミド化合物との付加反応物などである。
【0060】
また、当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前掲したような種々の官能基のうちの2種以上の官能基を併有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、モノ−(ヒドロキシエチル)イタコネーまたはモノ−(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートなどである。
【0061】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、前記した加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とは、次のような一般式(K−3)
【0062】
【化4】
Figure 0004217923
【0063】
(ただし、式中のR3 はアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R4 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、 また、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0064】
で示されるような、加水分解されて、シラノール基を生成するという、いわゆる加水分解性シリル基を有するビニル系単量体類を指称するというものである。
【0065】
このような加水分解性シリル基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくは3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
【0066】
または3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランなどである。
【0067】
そしてまた、前述したような方法に従って、斯かる重合体(a−1)を調製する際に使用される、前掲したような種々の官能基を有するビニル系単量体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0068】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なる炭素数の1級ないしは2級アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル類;
【0069】
ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレートもしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0070】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;
【0071】
クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0072】
(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0073】
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくは4−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;
【0074】
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジンもしくはN−ビニルピロリドンの如き、各種の3級アミド基含有単量体類;
【0075】
メトキシポリエチレングリコールもしくはメトキシポリプロピレングリコールの如き、1分子中に1個の水酸基を有するポリエーテル類と、(メタ)アクリル酸とのエステル類の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類などである。
【0076】
以上に掲げられたような種々の単量体を用いて、当該重合体(a−1)を調製するには、溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのような、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来るが、それらのうちでも、特に、有機溶剤中でのラジカル重合法、つまり、溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便である。
【0077】
此の溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる重合開始剤としては、勿論ながら、公知慣用の種々の化合物が使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0078】
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0079】
tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドもしくはアセチルパーオキサイド、
【0080】
またはジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などである。
【0081】
また、溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる有機溶剤としては、公知慣用の種々の有機溶剤のうちの、いずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0082】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしくはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;
【0083】
トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルもしくは酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
【0084】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコールもしくはtert−アミルアルコールまたは
【0085】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルの如き、各種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンまたはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0086】
あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類;さらには、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0087】
こうような、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する(a−1)を調製する際に、官能基含有単量体として、カルボキシル基含有ビニル系単量体を使用する場合には、その使用量が多くなると、重合時において、ゲル化が起こることが、屡々あるので、特に注意を要する。
【0088】
斯かるゲル化を防止するためには、エチルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネートまたはメチルオルソフォーメイトの如き、各種の加水分解性エステル類を、前掲したような溶剤類と併用するというようにすればよい。
【0089】
以上に掲げたような、それぞれ、単量体類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジカル重合法を適用することにより、目的とする官能基と加水分解性シリル基を併有するビニル系重合体(a−1)を調製することが出来る。
【0090】
かくして得られる重合体(a−1)、就中、ビニル系重合体(a−1)中に導入されるべき、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合カーバメート基または前掲したような構造式(K−1)で示されるような形の種々の官能基から選ばれる、1種の官能基量あるいは2種以上の官能基の合計量としては、当該重合体(a−1)の固形分1,000グラム当たり、約0.1〜約6モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜4モルなる範囲内が適切である。
【0091】
約0.1モル未満の場合には、どうしても、硬化性などが劣るようになり、ひいては、得られる硬化物の耐久性なども低下するようになり易いし、一方、約6モルを超えて余りにも多くなる場合には、どうしても、硬化物の耐水性ならびに耐薬品性などが低下するようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0092】
また、当該重合体(a−1)中に導入されるべき加水分解性シリル基量としては、当該重合体の固形分1,000グラム当たり、大約0.005〜大約3モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
【0093】
約0.005モル未満の場合には、どうしても、当該重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)との縮合反応が進行しずらくなり、ひいては、得られる硬化物の耐久性などを低下する処となり易いし、一方、約3モルを超えて余りにも多くなるというような場合には、前述した縮合反応時の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化を惹起し易くなるなどのような不都合があるので、いずれの場合も好ましくない。
【0094】
また、当該重合体(a−1)の数平均分子量としては、大約300〜大約100,000なる範囲内が、好ましくは、600〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好ましくは、600〜30,000なる範囲内が適切である。
【0095】
約300未満の場合には、どうしても、硬化性や硬化物の機械的強度などが劣るようになって来るし、一方、約100,000を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、得られる組成物の不揮発分が著しく低くなって来るし、ひいては、塗装作業性などにも劣るようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0096】
さらに、当該重合体(a−1)として、重合性不飽和二重結合を有する、それぞれ、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在下に、
【0097】
それぞれ、水酸基含有単量体、ブロックされた水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、ブロックされたカルボキシル基含有単量体、カルボン酸無水基含有単量体、アミノ基含有単量体、シクロカーボネート基含有単量体、エポキシ基含有単量体、1級アミド結合含有単量体、2級アミド結合含有単量体、カーバメート基含有単量体または前掲した構造式(K−1)で示されるような形の官能基を有する単量体から選ばれる、少なくとも1種の単量体、あるいは前掲したような官能基のうちの2種類以上を併有する単量体と、
【0098】
加水分解性シリル基含有単量体とを必須の成分とする、種々のビニル系単量体を、ラジカル重合せしめるということによって得られる、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボシル基、ブロックされたカルボキシル基、酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合、カーバメート基または前掲の構造式(K−1)で示される官能基から選ばれる、少なくとも1種の官能基と、加水分解性シリル基とを併有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用することも出来る。
【0099】
本発明に係る塗膜形成方法を実施するに当たって用いられる、前記した塗料(I)の一必須構成成分たる樹脂(A)を調製する際に使用される、他方の成分である、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とは、一般的に、シラノール基と呼称される、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンを指称するというものである。
【0100】
ここにおいて、珪素原子に結合した加水分解性基とは、珪素原子に結合した、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基の如き、加水分解されて、珪素原子に結合した水酸基を生成する基を指称というするものである。
【0101】
かかるポリシロキサン(a−2)の代表的なものとしては、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめるということによって調製される、該珪素化合物の加水分解縮合物または斯かる珪素化合物を部分加水分解縮合せしめるということによって調製される、該珪素化合物の部分加水分解縮合物などが挙げられる。
【0102】
樹脂(A)を調製するに際して、かかるポリシロキサン(a−2)としては、後掲するような処方によって調製される、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物または部分加水分解縮合物を使用することが出来る。
【0103】
前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解あるいは部分加水分解によりポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用される、当該珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物としては、公知慣用の種々のものが、いずれも使用できるというけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のような一般式(K−4)
【0104】
【化5】
5 bSiR6 4-b (K−4)
【0105】
(ただし、式中のR5 は、それぞれ、置換基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の有機基を、R6 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、bは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0106】
で以て示される珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分加水分解縮合により得られるという形の部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合により得られるという形の部分共加水分解縮合物;
【0107】
あるいは(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 Si(OCH2 CH3 3 または(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 CH2 Si(OCH2 CH3 3 などのような、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0108】
前掲したような一般式で示される珪素化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランもしくはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン類;
【0109】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシランもしくはブチルトリエトキシシラン、
【0110】
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメトキシシラン、
【0111】
またはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシシラン類;
【0112】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランもしくはジ−n−ブチルジエトキシシラン、
【0113】
またはジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテルもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;
【0114】
あるいはテトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0115】
またはテトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセトキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類などである。
【0116】
これらのうちでも、当該珪素化合物として特に代表的なるのみを、そして、特に望ましいもののみを例示するにとどめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物または其れらの部分共加水分解縮合物などである。
【0117】
さらに、当該珪素化合物としてテトラエトキシシランに代表されるような4官能珪素化合物を使用する際には、縮合反応中のゲル化防止、ならびに得られる樹脂溶液の保存安定性の向上化などのためにも、2ないしは3官能の珪素化合物を併用するというようにするのが望ましい。
【0118】
また、ポリシロキサン(a−2)を調製するに際し、前掲したような各種の珪素化合物に加えて、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシランまたはトリフェニルエトキシシランの如き、一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を1個だけ有するという形の、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用することが出来る。
【0119】
前掲したような各種の珪素化合物を、加水分解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめるということによって、ポリシロキサン(a−2)として使用し得る、それぞれ、加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得ることが出来、その際に、触媒を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、これらの縮合反応を容易に進行させるという上からは、触媒を使用することが望ましい。
【0120】
ここにおいて、触媒を使用するという場合には、公知慣用の種々の触媒のうちの、いずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0121】
かかる触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0122】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0123】
鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如き、各種の金属のナフテン酸塩あるいはオクチル酸塩の如き、種々の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセトネートの如き、各種のアルミニウム化合物;
【0124】
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ブチルアミンもしくはオクチルアミン、
【0125】
またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールもしくは1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のアミン化合物類;
【0126】
テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩もしくはo−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種の4級アンモニウム塩類であって、
【0127】
さらには、代表的なる対アニオンとして、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する、各種の4級アンモニウム塩類などである。
【0128】
使用される触媒量としては、加水分解ないしは部分加水分解に供される珪素化合物に対して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0129】
また、前記反応に用いられる水の量としては、かかる珪素化合物の珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0130】
約0.05モル未満の場合には、どうしても、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用上、好ましくないけれども、此の水の量が、それぞれ、5モルとか、10モルとかのように、珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、余りにも過剰となるように使用することは、一向に、支障が無い。
【0131】
そして、これらの触媒および水の添加は、一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混合した形で以て添加しても、あるいは別々に添加してもよいことは、勿論である。
【0132】
かかる反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行なうことが出来る。
【0133】
そして、かかる反応の副生成物である、それぞれ、アルコールや水などが、引き続いて行なわれる重合体(a−1)とポリシロキサン(a−2)との縮合反応や、得られる硬化性樹脂組成物の安定性などに対して問題を起こすようであれば、蒸留などの手段によって、系外に除くということが出来るし、問題が無ければ、そのまま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無い。
【0134】
また、かかる反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌などが、容易に行なえるというようにするためにも、有機溶剤を使用することが望ましい。
【0135】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の種々の有機溶剤のうちの、いずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0136】
その際に使用される有機溶剤としては、前述した重合体(a−1)を調製する際に使用できるものとして既掲したような種々の化合物を使用するこというとが出来る。そして、かかる有機溶剤を使用して、此のポリシロキサン(a−2)を調製する際には、一分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の、前記有機溶剤中における濃度としては、5重量%程度以上とすることが望ましい。
【0137】
また、当該ポリシロキサン(a−2)として、市販のポリシロキサンを使用することも出来、そのようなポリシロキサンを例示するにとどめれば、シラノール基あるいは珪素原子に結合したメトキシ基を有するポリシロキサンとして市販されているような、それぞれ、「TSR−160もしくは165」[東芝シリコーン(株)製の商品名]、「SH−6018」[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の商品名]、「GR−100、908もしくは950」[昭和電工(株)製の商品名]などで以て代表されるような、線状、分岐状(分枝状)あるいはラダー(型)構造を有する、加水分解縮合物または部分加水分解縮合物などである。
【0138】
次いで、前記した重合体(a−1)と、前記したポリシロキサン(a−2)との縮合反応について述べることにする。
【0139】
此の縮合反応において、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)の使用割合は、それらの重量割合が、つまり、前者重合体(a−1):後者ポリシロキサン(a−2)なる比が、5:95〜99:1程度となるように、好ましくは、15:85〜95:5となるように、さらに好ましくは、20:80〜85:15となるように、設定するというようにするのがよい。
【0140】
重合体(a−1)の重量割合が約5%未満となるように設定すると、どうしても、ポリシロキサン(a−2)が多すぎるために、実用性の乏しい脆い硬化塗膜が得られてしまうようになって来るし、一方、重合体(a−1)の重量割合が約99%を超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、ポリシロキサン(a−2)が少なすぎるために、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が得られ難くなって来るので、いずれの場合も好ましくない。
【0141】
こうした重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応を行なうに当たり、此の反応をスムーズに進行させるために、触媒を添加することが出来るが、斯かる触媒としては、ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用されるものとして既掲したような種々の触媒類を、そのまま、使用するということが出来る。
【0142】
また、当該反応に際して、ことさら、触媒を添加せずとも、前述したような処方で以て調製されたポリシロキサン(a−2)中に残留している触媒のみでも、当該縮合反応を促進することは可能である。
【0143】
使用される触媒量としては、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)の合計量に対して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0144】
また、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との間の縮合反応をスムーズに進行せしめるためには、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基と、ポリシロキサン(a−2)中に、場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分解性基との加水分解を円滑に進行せしめるということが望ましく、したがって、此の縮合反応を、水の存在下で以て行なうことが、特に望ましい。
【0145】
水の存在下に、当該縮合反応を行なうということによって樹脂(A)を得るには、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との混合物に、水を加えて、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基と、ポリシロキサン(a−2)に、場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分解性基との双方を加水分解せしめ、引き続いて、縮合反応を行なというようにすればよいし、
【0146】
また、ことさらに、水を加えずに、前述したような処方で以て調製された、此のポリシロキサン(a−2)中に残存している水を利用するということによって、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基と、ポリシロキサン(a−2)中に、場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分解性基との双方を加水分解せしめ、その後、引き続いて、縮合反応を行なうということによって、目的を達成することが出来る。
【0147】
当該縮合反応を行なう際に、添加される水の量は、任意に選択できるし、触媒および水の添加方法は、一括添加でも、分割添加でもよいし、また、触媒と水とを混合した形で以て添加しても、あるいは別々に添加してもよいことは、勿論である。
【0148】
こうした縮合反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行なうということが出来る。
【0149】
また、当該縮合反応の副生成物である、それぞれ、アルコールや水などが、樹脂(A)中に含まれるというために、前述した樹脂(A)の安定性などに問題を起こすようであれば、蒸留などの手段によって、これらを系外に除くということが出来るし、問題が無ければ、そのまま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無い。
【0150】
さらに、当該縮合反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、攪拌などが容易に行なえるというようにするためには、前記ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用できるものとして、既掲したような種々の有機溶剤類を使用するというようにすることが望ましい。
【0151】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0152】
また、有機溶剤の存在下において、当該縮合反応を行なう場合の、それぞれ、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との、有機溶剤中における濃度としては、両成分の合計量として、5重量%程度以上にするということが望ましい。
【0153】
このようにして調製される樹脂(A)中に含まれる官能基は、それぞれ、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)とに由来する、シラノール基および場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分解性基に加えて、
【0154】
此の重合体(a−1)に由来する、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合、カーバメート基または構造式(K−1)で示されるような形の官能基等の官能基の、少なくとも1種のものである。
【0155】
斯かる樹脂(A)を調製する際に、重合体(a−1)として、それぞれ、ブロックされた水酸基、ブロックされたカルボキシル基あるいはカルボン酸無水基を導入したものを使用した場合には、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させる段階で以て、これらの官能基の少なくとも一部分は、加水分解ないしは酸触媒分解またはアルコリシスなどによって、遊離の水酸基またはカルボキシル基に変換されるということもある。
【0156】
そして、斯かるブロックされた官能基の種類とか、あるいは重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応の条件などによっては、斯かるブロックされた官能基は、完全に、遊離の官能基に変換されるということもある。
【0157】
本発明に係る塗膜の形成方法を実施するに当たって用いられる、前記した塗料(I)の他方の成分たる、前記した化合物(B)とは、前述した樹脂(A)中に含まれる、前掲したような各種の官能基と反応する官能基を、少なくとも1種、有する、公知慣用の種々の化合物を指称するというものである。
【0158】
こうした化合物(B)中に含まれる官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、イソシアネート基、ブロックされたイソシアネート基、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合、カーバメート基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基、カルボニル基、アセトアセチル基、燐酸基、スルホン酸基、シラノール基または珪素原子に結合した加水分解性基などをはじめ、さらには、次の構造式(K−2)
【0159】
【化6】
−NH−CH(OR1)−COOR2 (K−2)
【0160】
(ただし、式中のR1 およびR2 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすものとする。)
【0161】
によって示されるような形の官能基などである。
【0162】
そして、かかる化合物(B)中に含まれる官能基は、樹脂(A)中に含まれる官能基の種類に応じて、適宜、選択されるというものである。そうした形の組み合わせとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、カルボキシル基−エポキシ基、カルボキシル基−シクロカーボネート基、水酸基−N−ヒドロキシメチルアミノ基、水酸基−N−アルコキシメチルアミノ基、水酸基−イソシアネート基または水酸基−ブロックされたイソシアネート基などである。
【0163】
そして、此の化合物(B)としては、樹脂(A)に含まれる官能基によっては、前述したような種々の官能基のうちの2種以上を有するというようなものであってもよい。また、当該化合物(B)としては、比較的、分子量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類を使用するということが出来る。
【0164】
このような樹脂類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂またはフッ素樹脂の如き、各種のビニル系重合体や、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂などである。そして、此の化合物(B)として、前記した官能基を2種以上有するという形の化合物を使用する際には、当該化合物(B)としては、ビニル系重合体を使用するというのが簡便である。
【0165】
かかる化合物(B)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド結合含有化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物、ブロックされた水酸基を有する化合物またはポリアミン化合物あるいは一分子中にエポキシ基またはアミノ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物、少なくとも2個のカルボン酸無水基を有する化合物、ポリオキサゾリン化合物などであるし、さらには、シラノール基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンになどであり、これらの諸々の化合物類は、単独使用であってもよいし、2種以上の併用であってもよいことは、勿論、可能である。
【0166】
これらのうちでも特に好ましいものとしては、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド結合含有化合物、ポリカルボキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物あるいは一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物などが挙げられる。
【0167】
前記したポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレンジイソシアネートもしくはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネート類;メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシアネート類;
【0168】
ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナートシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナートシクロヘキサンもしくはイソホロンジイソシアネートの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート類などをはじめ、さらには、
【0169】
前掲したような各種のポリイソシアネート類を、多価アルコール類と付加反応せしめて得られるような、イソシアネート基を有するプレポリマー類;前掲したような各種のポリイソシアネート類を環化三量化せしめて得られるような、イソシアヌレート環を有するプレポリマー類;
【0170】
前掲したような各種のポリイソシアンート類と、水とを反応せしめて得られるような、ビウレット構造を有するポリイソシアネート類;さらにはまた、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートもしくは(メタ)アクリロイルイソシアネートの如き、各種のイソシアネート基を有するビニル単量体の単独重合体
【0171】
または此等のイソシアネート基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、イソシアネート基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0172】
そして、かかるポリイソシアネート化合物のうちにあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート化合物、それらの各ジイソシアネート化合物から誘導されるような、種々のプレポリマーあるいはイソシアネート基含有ビニル系重合体などの使用が、特に望ましい。
【0173】
前記したブロック・ポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロック化せしめるということによって得られる種々のブロックポリイソシアネート化合物や、
【0174】
イソシアネート基を環化二量化せしめるということによって得られるような、種々のウレトジオン構造を含む化合物のように、熱によって、イソシアネート基が再生するという部類の化合物などである。
【0175】
そして、ブロック・(ポリ)イソシアネート(化合物)を調製する際に使用される、ブロック剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノール、エタノール、ベンジルアルコールもしくは乳酸エステルの如き、各種のカルビノール基含有化合物類;フェノール、サリチル酸エステルもしくはクレゾールの如き各種のフェノール性水酸基含有化合物類;またはε−カプロラクタム、2−ピロリドンもしくはアセトアニリドの如き、各種のアマイド類;
【0176】
あるいはアセトンオキシムもしくはメチルエチルケトオキシムの如きオキシム類などであるし、さらには、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルもしくはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン化合物類などである。
【0177】
前記したポリエポキシ化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたは水添ビスフェノールAの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0178】
ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールSもしくはビスフェノールFの如き、各種の芳香族系ジオールのポリグリシジルエーテル類;上掲したような芳香族系ジオール類のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体の如き、該芳香族系ジオール誘導体類のジグリシジルエーテル類;
【0179】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラエチレングリコールの如き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸もしくはトリメリット酸の如き、各種の脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;
【0180】
ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネンもしくはビニルシクロヘキセンの如き、各種の炭化水素系ジエンの種々のビスエポキシド類;ビス(3,4ーエポキシシクロヘキシルメチル)アジペートもしくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合物;またはポリブタジエンもしくはポリイソプレンの如き、各種のジエンポリマーの種々のエポキシ化物;
【0181】
あるいは前掲した如き、各種のエポキシ基を有するビニル単量体の種々の単独重合体、または此等のエポキシ基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、エポキシ基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0182】
前記したポリシクロカーボネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、上掲したような各種のポリエポキシ化合物を、たとえば、触媒の存在下に、二酸化炭素と反応せしめることによって、此のエポキシ基を、シクロカーボネート基に変換せしめるということによって得られる形の、5員環シクロカーボネート基を有するポリシクロカーボネート化合物;あるいは前掲したような、各種のシクロカーボネート基を有するビニル単量体の種々の単独重合体、
【0183】
または此等のシクロカーボネート基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、シクロカーボネート基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0184】
前記したアミノ樹脂として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、尿素もしくはグリコウリルの如き、各種のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドの如き、各種のアルデヒド化合物(ないしはアルデヒド供給物質)と反応せしめるということによって得られるような部類の、アルキロール基を有する種々のアミノ樹脂;
【0185】
あるいは斯かるアルキロール基を有するアミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノールもしくはi−ブタノールの如き、各種の低級アルコールと反応せしめて得られる、アルコキシアルキル基を有するアミノ樹脂などである。
【0186】
また、前記した、1級ないしは2級アミド結合含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1級ないしは2級アミド結合を有する重合体(a−1)成分を調製する際に使用されるものとして、既掲し例示したような、1級ないしは2級アミド結合を有する、種々のビニル単量体の単独重合体、
【0187】
または此等の1級ないしは2級アミド結合含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、1級ないしは2級アミド結合を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0188】
また、前記したポリカルボキシ化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの低分子量の化合物などであり、さらに、
【0189】
カルボキシル基を含有する重合体(a−1)成分を調製する際に使用されるものとして例示した如き、カルボキシル基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体、または此等のカルボキシル基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、カルボキシル基を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0190】
前記したポリヒドロキシ化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンなどの低分子化合物などであり、また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、さらに、水酸基を有する重合体(a−1)成分を調製する際に使用されるものとして、既掲し例示したような、水酸基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体、
【0191】
または此等の水酸基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような、水酸基を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0192】
前記した、一分子中に、それぞれ、エポキシ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するにとどめることにするならば、
【0193】
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランもしくは3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
【0194】
または「EGM−202」[東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の、珪素原子に結合したメトキシ基と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状のポリシロキサンの商品名];
【0195】
あるいは前掲したような、各種のエポキシ基含有ビニル単量体と、同じく、前掲したような加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とから構成される種々の共重合体、あるいは亦、此等の両単量体を、此等の両単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめるということによって得られるような、エポキシ基と加水分解性シリル基とを併有する、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0196】
前記した樹脂(A)と、いわゆる反応性官能基含有化合物(B)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を調製するには、此の反応性官能基含有化合物(B)が、ポリイソシアネート化合物またはブロックポリイソシアネート化合物であるというような場合には、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基と反応する樹脂(A)中に含まれる官能基の1当量に対して、
【0197】
当該化合物(B)中に含まれるイソシアネート基量が約0.1〜約10当量なる範囲内、好ましくは、0.3〜5当量なる範囲内、一層好ましくは、0.5〜2当量なる範囲内となるように、化合物(B)を配合せしめるというようにすればよい。
【0198】
また、当該化合物(B)が、ポリエポキシ化合物またはポリシクロカーボネート化合物とか、あるいは一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物であるというような場合には、エポキシ基またはシクロカーボネート基と反応する樹脂(A)中に含まれる官能基の1当量に対して、
【0199】
当該化合物(B)中に含まれるエポキシ基量および/またはシクロカーボネート基量の合計量が、約0.2〜約5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物(B)を配合せしめるというようにすればよい。
【0200】
また、当該化合物(B)が、アミノ樹脂であるというような場合には、樹脂(A)の固形分の100重量部に対して、此の化合物(B)の固形分量が、約5〜約200重量部なる範囲内、好ましくは、10〜150重量部なる範囲内、一層好ましくは、15〜100重量部なる範囲内となるように配合せしめるようにするというようにすればよい。
【0201】
また、当該化合物(B)が、1級ないしは2級アミド結合を有する化合物であるというような場合には、1級ないしは2級アミド結合と反応する樹脂(A)中に含まれる官能基の1当量に対して、
【0202】
当該化合物(B)中に含まれる1級ないしは2級アミド結合量が、約0.2〜約5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、当該化合物(B)を配合せしめるというようにすればよい。
【0203】
また、当該化合物(B)が、ポリカルボキシ化合物であるというような場合には、カルボキシル基と反応する樹脂(A)中に含まれる官能基の1当量に対して、当該化合物(B)中に含まれるカルボキシル基量が、約0.2〜約5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、当該化合物(B)を配合するようにするというようにすればよい。
【0204】
また、此の化合物(B)が、ポリヒドロキシ化合物であるというような場合には、ヒドロキシ基と反応する樹脂(A)中に含まれる官能基の1当量に対して、
【0205】
当該化合物(B)中に含まれる水酸基量が、約0.2〜約5.0当量なる範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量なる範囲内となるように、当該化合物(B)を配合せしめるというようにすればよい。
【0206】
本発明に係る塗膜の形成方法を実施するに当たって用いられる、硬化性クリヤー塗料(I)には、硬化触媒を添加せずとも、樹脂(A)中に含まれる官能基と、化合物(B)中に含まれる官能基との組み合わせに応じた、適切なる硬化条件の設定によって、実用(的)レベルの硬化性を得るということが出来るけれども、
【0207】
さらに、低温での硬化性などを向上化せしめたり、あるいは亦、短時間での硬化を達成せしめるというためにも、前記した硬化触媒(C)を配合せしめるということが出来る。
【0208】
こうした硬化触媒(C)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前述したようなポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用されるものとして、既掲したような各種の触媒類を使用するということが出来るし、これに加えて、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンもしくはトリフェニルホスフィンの如き、各種の有機ホスフィン類;
【0209】
またはテトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩もしくはベンジルホスホニウム塩類などを使用するということが出来るし、
【0210】
さらには、代表的なる対アニオンとして、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有するホスホニウム塩類などのような、種々のタイプの化合物を使用するということが出来る。
【0211】
かかる硬化触媒(C)を添加する場合の触媒量としては、それぞれ、樹脂(A)と、ポリシロキサン(B)との固形分合計量に対して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.001〜5重量%なる範囲内が、一層好ましくは、0.002〜3重量%なる範囲内が、それぞれ、適切である。
【0212】
また、前掲したような、特に代表的なる諸硬化触媒に加えて、前述した硬化触媒中に含まれる触媒効果を発現する原子団や基などを有する、各種の重合体なども、有効なる触媒として、使用するということが出来る。
【0213】
さらに、当該硬化性クリヤー塗料(I)には、重合体(a−1)の一員としての、加水分解性シリル基以外の官能基を有する重合体中に導入されるものとして既掲し例示したような官能基を有する重合体を、本発明の特徴を損なわない範囲内で、そして、本発明の効果を減じない範囲内で、混合して使用するということも出来る。
【0214】
当該硬化性クリヤー塗料(I)には、さらに必要に応じて、レベリング剤;マイクロ・ゲルもしくは尿素系化合物などのような、各種のレオロジー・コントロール剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;染料;または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添加剤類などをも配合せしめるということが出来る。
【0215】
斯かる添加剤類のうちでも、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤の添加は、とりわけ、塗膜の光沢保持性や、撥水性保持性などを、一層、向上化せしめるという上で以て、極めて有効なことである。
【0216】
そうした、上記の紫外線吸収剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物または蓚酸アニリド系化合物などのような、公知慣用の種々の化合物のうちの、いずれの化合物をも使用することが出来きる。
【0217】
そして、該紫外線吸収剤の添加量としては、硬化性クリヤー塗料(I)中に含まれる皮膜形成成分の総固形分重量の約0.1〜約3%程度でよい。つまり、各クリヤー塗料中に含まれる皮膜形成成分の総固形分重量を基準として、約0.1〜約3%程度でよい、ということである。
【0218】
また、上記した酸化防止剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環を有する、各種のヒンダード・アミン系化合物や、ヒンダード・フェノール化合物などのような、公知慣用の種々の化合物であり、これらのうちの、いずれの化合物をも使用するということが出来る。
【0219】
そして、該酸化防止剤の添加量としては、硬化性クリヤー塗料(I)中に含まれる皮膜形成成分の総固形分重量の約0.1〜約3%程度でよい。つまり、各クリヤー塗料中に含まれる皮膜形成成分の総固形分重量を基準として、約0.1〜約3%程度でよい、ということである。
【0220】
また、当該硬化性クリヤー塗料(I)は、顔料を全く含有しないというようなものであってもよいし、必要に応じて、さらに、皮膜形成成分の総固形分重量の約3%未満で以て、顔料を配合せしめた形の、いわゆる、カラー・クリヤー塗料と為した形のものであってもよい。
【0221】
斯かるカラー・クリヤー塗料を調製するに際して使用される、当該顔料として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、カーボン・ブラックなどをはじめ、さらには、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーンまたはキナクリドン・レッドの如き、公知慣用の種々の有機系顔料などである。
【0222】
以上のようにして調製される、当該硬化性クリヤー塗料(I)は、有機溶剤溶液型、有機溶剤分散型あるいは無溶剤液状型などのような、種々の形態の中から選ばれるような、いずれの形態をとったものであっても用いることが出来る。
【0223】
かくして得られる、本発明に係る塗膜の形成方法を実施するに際して使用される、当該硬化性クリヤー塗料(I)からは、大約60℃〜大約250℃程度の温度範囲で以て、大約30秒間〜約3時間程度の、好ましくは、30秒間〜1時間程度の焼き付けを行なうということによって、極めて実用性の高い硬化塗膜を得ることが出来る。
【0224】
また、当該硬化性クリヤー塗料(I)は、前掲したような硬化触媒の種類を適切に選択して、その最適量を添加し配合せしめるということによって、常温での乾燥硬化も可能となる。
【0225】
本発明において、被塗物として使用される、予め、有機皮膜が形成された形の基材とは、架橋型ないしは非架橋型の有機系塗料のうちの、少なくとも1種の塗料が塗装されて、此の架橋皮膜ないしは熱可塑性の皮膜が形成されたような、種々の基材類を指称するというものである。
【0226】
こうした、予め、有機皮膜が形成された基材を調製する際に使用される、有機系塗料として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、本発明の方法において用いられる、樹脂(A)と、化合物(B)とを必須成分として含有する形の塗料をはじめ、
【0227】
アクリル−ウレタン系、塩素化ポリオレフィン変性アクリル−ウレタン系、アクリル−メラミン系、アクリル−エポキシ系、アルキド−メラミン系、アルキド−ウレタン系、ポリエステル−メラミン系、ポリエステル−ウレタン系、エポキシ−メラミン系、エポキシ−ポリアミド系、エポキシ−ウレタン系あるいはポリウレタン−メラミン系などのような、種々の架橋型の塗料;
【0228】
さらには、アクリル・ラッカー、塩素化ポリオレフィン系ラッカーあるいはニトロセルロースをベースとするラッカーであるとか、ポリウレタン・ラッカーなどのような、種々の非架橋型塗料などである。
【0229】
こうした、各種の塗料の形態としては、有機溶剤溶液型、有機溶剤分散型、水溶液型、水分散型あるいは粉体型などのような、種々の形態のもののうちの、いずれの形態のものであってもよい。
【0230】
斯かる各種の塗料類は、クリヤー塗料であっても、顔料を含む形の着色塗料のうちの、いずれの形のものであってもよい。
【0231】
また、予め、有機皮膜が形成された基材を調製する際に使用される、当該基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、鉄、ステンレス・スチールもしくはアルミニウムなどのような、種々の金属類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂もしくはポリスチレンなどのような、種々のプラスチック類;さらには、ガラス、スレート板もしくはコンクリートなどのような、種々の無機系のものなどである。
【0232】
本発明に係る塗膜の形成方法を実施するに際して使用される、前記したベース・コート用塗料(II)とは、着色顔料を含む形の、種々の塗料を指称するというものであって、当該ベース・コート用塗料として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前述したような、予め、有機皮膜が形成された基材を調製する際に使用されるような、種々の有機系塗料を使用することが出来る。
【0233】
また、斯かるベース・コート用塗料(II)の形態としては、有機溶剤溶液型、有機溶剤分散型、水溶液型、水分散型あるいは粉体型などのような、種々の形態のもののうちの、いずれの形態のものであってもよい。
【0234】
こうした各種のベース・コート用塗料(II)を調製する際に使用される、顔料として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したような、種々の有機系顔料のほかにも、酸化チタン、酸化鉄、アルミニウム・フレークまたはチタン・コート・マイカなどのような、種々の無機系顔料が挙げられる。
【0235】
前述したような、予め、有機皮膜が形成された形の種々の基材に、硬化性クリヤー塗料(I)を塗装して、硬化塗膜を形成せしめるには、各種の基材に、エアー・スプレー法、エアレス・スプレー法、刷毛塗りもしくはロール・コート法などのような、公知慣用の種々の塗装方法で以て、
【0236】
各クリヤー塗料を塗装して、各塗料の硬化性あるいは基材の耐熱性などに応じて、さらには、用途などに応じて、常温で、1日(一昼夜)から約2週間程度、乾燥し硬化せしめるか、あるいは約60〜約250℃程度の温度範囲で以て、大約30秒間〜約3時間程度の焼き付け硬化を行なうというようにすればよい。
【0237】
次に、予め有機皮膜が形成された基材に、顔料を含むベース・コート用塗料(II)ならびに液状の硬化性クリヤー塗料(I)を、順次、塗装して塗膜を形成せしめるという方法について説明をすることにする。
【0238】
すなわち、まず、予め有機皮膜が形成された基材に、前掲したような、種々の塗装方法によって、ベース・コート用塗料(II)を塗布せしめるというものである。そして、その塗布操作の直後に、あるいは約5分間から1時間程度のセッティングを行なったのちに、次いで、かくして得られるベース・コートの上に、クリヤー塗料(I)を、前掲したような、種々の塗装方法によって塗装せしめるというものである。
【0239】
引き続いて、各クリヤー塗料の硬化性、ベース・コート用塗料の硬化性、あるいは基材の耐熱性などに応じて、さらには、それぞれの用途などに応じて、常温で以て、1日(1昼夜)から2週間程度、乾燥し硬化を行なったり、あるいは約60〜約250℃程度の温度範囲で以て、大約30秒間〜約3時間程度の焼き付け硬化を行なったりするなどの、幅広い硬化条件の設定が可能である。
【0240】
すなわち、ベース・コート用塗料(II)が非架橋型であって、しかも、トップ・コート用のクリヤー塗料が常温硬化性を有するというような形のものの場合には、クリヤー塗料を塗装せしめたのちに、室温で乾燥するか、あるいは焼き付けるということによって、ベース・コート層を乾燥せしめると同時に、クリヤー層を硬化せしめるというようにすればよい。
【0241】
ベース・コート用塗料(II)が非架橋型であって、しかも、クリヤー塗料が熱硬化性であるというような形のものの場合には、クリヤー用塗料を塗装せしめたのちに、焼き付けを行なって、ベース・コート層を乾燥せしめると同時に、クリヤー層を硬化せしめるというようにすればよい。
【0242】
ベース・コート用塗料(II)およびクリヤー塗料が、共に、常温硬化性を有するというような形のものの場合には、クリヤー塗料を塗装せしめたのちに、室温で乾燥せしめるか、あるいは焼き付けを行なって、ベース・コート層と、クリヤー層とを、同時に、硬化せしめるというようにすればよい。
【0243】
ベース・コート用の塗料(II)またはクリヤー用塗料のうちのどちらか一方が熱硬化性であるというようなものの場合には、クリヤー塗料を塗装せしめたのちに、焼き付けを行なって、ベース・コート層と、クリヤー層を、同時に、硬化せしめるというようにすればよい。
【0244】
本発明に係る塗膜の形成方法によって得られる硬化塗膜は、とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性、耐酸性ならびに耐擦傷性などの、いわゆる耐久性に優れると共に、極めて高い鮮映性などをも有するというものであるという処から、本発明に係る塗膜形成方法は、特に、自動車のトップ・コートや、自動車補修用などとして、極めて実用性の高いものである。
【0245】
また、前述したような用途以外の用途への、たとえば、建築外装用、建材用あるいは重防食用などのような方面への塗膜形成方法としても、極めて有効裡に利用することが出来るというものである。
【0246】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0247】
参考例1〔前掲した構造式(K−1)で示されるような基を有するビニル系単量体の調製例〕
【0248】
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの77.5部、酢酸−n−ブチルの77.5部および2−イソシアナートエチルメタクリレートの155部と、ハイドロキノンモノメチルエーテルの0.268部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0249】
次いで、同温度で、キシレンの56.5部および酢酸−n−ブチルの56.5部と、ε−カプロラクタムの113部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0250】
滴下終了後も、同温度で、5時間のあいだ攪拌するということによって、不揮発分が50%なる、かかる構造式(K−1)で示されるような基を有する目的ビニル系単量体を得た。
【0251】
参考例2〔重合体(a−1)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの350部およびn−ブタノールの150部と、オルソ蟻酸メチルの45部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0252】
次いで、同温度で、メチルメタクリレートの400部、n−ブチルメタクリレートの362部、n−ブチルアクリレートの178部、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランの30部およびアクリル酸の30部と、キシレンの249部およびn−ブタノールの107部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0253】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、不揮発分が54.3%で、かつ、数平均分子量が11,000なる、カルボキシル基・トリメトキシシリル基併有型重合体の溶液を得た。以下、これを(a−1−1)と略記する。
【0254】
参考例3〜参考例14(同上)
モノマーおよび溶剤類の種類と、その量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例2と同様にして、重合を行なって、同表に示すような性状を有するという各種の重合体(a−1)を得た。それらは、第1表に示すように、順次、(a−1−2)〜(a−1−13)と略記する。
【0255】
【表1】
Figure 0004217923
【0256】
《第1表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0257】
「2−EHMA」……………2−エチルヘキシルメタクリレートの略記
「2−EHA」………………2−エチルヘキシルアクリレートの略記
「1−EEMA」……………1−エトキシエチルメタクリレートの略記
「β−HEMA」……………β−ヒドロキシエチルメタクリレートの略記
「β−TMSEMA」………β−トリメチルシロキシエチルメタクリレートの略記
【0258】
「γ−MPTMS」…………γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランの略記
【0259】
「TBPOEH」……………tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの略記
【0260】
【表2】
Figure 0004217923
【0261】
《第1表の脚注》
数平均分子量を示す各数値は、いずれも、百分の一となっているので、百倍(つまり、「×100」)をした値が、真のものである。
【0262】
【表3】
Figure 0004217923
【0263】
【表4】
Figure 0004217923
【0264】
《第1表の脚注》
「DMAEMA」……………ジメチルアミノエチルメタクリレートの略記
「2,3−PCMA」………2,3−カーボネートプロピルメタクリレートの略記
「GMA」……………………グリシジルメタクリレートの略記
【0265】
【表5】
Figure 0004217923
【0266】
【表6】
Figure 0004217923
【0267】
【表7】
Figure 0004217923
【0268】
《第1表の脚注》
「N−BMMAM」…………N−n−ブトキシメチルメタクリルアミドの略記
「2−N−MCEMA」……2−(N−メチルカルバモイル)エチルメタクリレートの略記
「ABMBN」………………2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)の略記
【0269】
【表8】
Figure 0004217923
【0270】
【表9】
Figure 0004217923
【0271】
【表10】
Figure 0004217923
【0272】
参考例15(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートの373部、2,2−ジメチロールプロピオン酸の44部、キシレンの417部およびジブチルチンジオクテートの0.44部を仕込んで、乾燥窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0273】
次いで、同温度で、イソホロンジイソシアネートの519部およびキシレンの519部からなる混合物を、1時間に亘って滴下し、滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌するということによって、イソシアネート濃度が理論値とほぼ同じになっていることを確認した。
【0274】
しかるのち、同温度で、γ−アミノプロピルトリメトキシシランの64部と、キシレンの64部とからなる混合物を、10分間かけて滴下し、適下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行ない、赤外線吸収スペクトル分析(IR分析)によって、イソシアネート基が消失したことを確認してから、キシレンの50部およびn−ブタノールの450部を添加して、不揮発分が43.3%で、かつ、数平均分子量が5,500なる、カルボキシル基・トリメトキシシリル基併有重合体の溶液を得た。以下、これを(a−1−14)と略記する。
【0275】
参考例16および17(対照用樹脂の調製例)
モノマーおよび溶剤類の種類と、その量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例2と同様にして、重合を行なうということによって、同表に示すような性状を有する、対照用の樹脂を得た。それらは、同表に示すように、順次、対照用樹脂1および対照用樹脂2と略記する。
【0276】
参考例18〔樹脂(A)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、メチルトリエトキシシランの915部、フェニルトリメトキシシランの64部、ジメチルジメトキシシランの58部、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの106部、キシレンの406部およびn−ブタノールの174部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0277】
次いで、同温度で、「AP−3」[大八化学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェートの商品名]の0.031部と、イオン交換水の347部とを、5分間で適下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、核磁気共鳴分析( 1H−NMR)で以て、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの加水分解が進行していることを確認した。
【0278】
しかるのち、重合体(a−1−1)の927部を添加し、同温度で、4時間のあいだ攪拌してから、 1H−NMRで重合体中のトリメトキシシラン部分の加水分解が進行していることを確認し、次いで、減圧蒸留により、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が50.2%なる樹脂の溶液を得た。以下、これを(A−1)と略記する。
【0279】
参考例19〜参考例33(同上)
ポリシロキサン(a−2)を合成するための珪素化合物の種類および其の量とを、そして、重合体(a−1)の種類および其の量と、触媒量とを、第2表に示すように変更した以外は、参考例18と同様に縮合反応を行って、同表に示すような性状を有するという樹脂(A)を得た。それらは、第2表に示すように略記する。
【0280】
【表11】
Figure 0004217923
【0281】
《第2表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0282】
「MTES」 : メチルトリエトキシシランの略記
「FTMS」 : フェニルトリメトキシシランの略記
「DMDMES」 : ジメチルジメトキシシランの略記
「γ−GyPrMDMS」 : γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの略記
「γ−GyPrTMS」 : γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの略記
【0283】
【表12】
Figure 0004217923
【0284】
《第2表の脚注》
「MTMS」………………………メチルトリメトキシシランの略記
【0285】
【表13】
Figure 0004217923
【0286】
【表14】
Figure 0004217923
【0287】
【表15】
Figure 0004217923
【0288】
参考例34〔化合物(B)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの350部およびn−ブタノールの150部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0289】
次いで、同温度で、メチルメタアクリレートの400部、n−ブチルメタクリレートの200部、n−ブチルアクリレートの220部および2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルメタクリレートの180部と、キシレンの280部およびn−ブタノールの120部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0290】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が53.0%で、かつ、数平均分子量が10,400なる、シクロカーボネート基含有重合体の溶液を得た。以下、これを(B−1)と略記する。
【0291】
参考例35〜参考例37(同上)
モノマーおよび溶剤類の種類および其の量を、第3表に示すように変更した以外は、参考例34と同様にして、重合を行うということによって、同表に示すような性状を有するという重合体(B)を得た。それらは、第2表に示すように、順次、(B−2)、(B−3)および(B−4)と略記する。
【0292】
【表16】
Figure 0004217923
【0293】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0294】
【表17】
Figure 0004217923
【0295】
《第3表の脚注》
数平均分子量を示す各数値は、いずれも、百分の一となっているので、百倍(つまり、「×100」)をした値が、真のものである。
【0296】
参考例38〔硬化性クリヤー塗料(I)および比較用塗料の調製〕
第4表に示すような配合割合で以て、(A)成分、(B)成分および(C)成分と、添加剤とを配合し混合せしめることによって、各種のクリヤー組成物を得、次いで、それぞれのクリヤー組成物を、重合体(A)の調製の際に使用したと同様の溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が20秒となるように希釈せしめるということによって、各種のクリヤー塗料(I)を調製した。
【0297】
また、同表に示すような配合割合で以て、(A)成分および(B)成分と、添加剤とを配合し混合せしめることによって得られるクリヤー組成物を得、次いで、対照用樹脂を調製する際に使用したと同様の溶剤で以て、希釈せしめるということによって、対照用のクリヤー塗料(R−1)および(R−2)を調製した。
【0298】
【表18】
Figure 0004217923
【0299】
《第4表の脚注》
表中の各成分の配合割合は、いずれも、重量部で以て示している。
【0300】
「GT−401」………………………「エポリード GT−401」の略記であって、ダイセル(株)製の、ポリエポキシ化合物の商品名である。
【0301】
「L−117−60」…………………「スーパーベッカミン L−117−60」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、n−ブチルエーテル化メラミン・ホルムアルデヒド樹脂の溶液の商品名であり、不揮発分は60%である。
【0302】
「TOMAAc」………………………トリオクチルメチルアンモニウムアセテートの略記
【0303】
「TBMAAc」………………………トリブチルメチルアンモニウムアセテートの略記
【0304】
「チヌビン 384」…………………スイス国チバ・ガイギー社製の、紫外線吸収剤の商品名
【0305】
「チヌビン 123」…………………スイス国チバ・ガイギー社製の、酸化防止剤の商品名
【0306】
【表19】
Figure 0004217923
【0307】
《第4表の脚注》
「DN−990S」……………………「バーノック DN−990S」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、ポリイソシアネート化合物の商品名
【0308】
【表20】
Figure 0004217923
【0309】
《第4表の脚注》
「980K」………………………………「バーノック DB−980K−75」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、ブロック・ポリイソシアネート化合物の商品名
【0310】
「γ−GyPrTMS」…………………γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの略記
【0311】
「DBTDO」……………………………ジブチル錫ジオクトエートの略記
【0312】
【表21】
Figure 0004217923
【0313】
《第4表の脚注》
「N−MIm」……………………………N−メチルイミダゾールの略記
【0314】
【表22】
Figure 0004217923
【0315】
【表23】
Figure 0004217923
【0316】
実施例1〜6ならびに比較例1および2
燐酸亜鉛処理鋼板上に、下記のようにして調製したアクリル−メラミン系の赤色塗料(T−1)を、乾燥膜厚が約40マイクロ・メーター(μm)となるように、エアースプレー塗装せしめ、140℃で、30分間のあいだ、焼き付けを行なって、予め、有機皮膜が形成された鋼板を作製した。
【0317】
次いで、先に調製した、それぞれのクリヤー塗料ならびに対照用の塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0318】
しかるのち、第5表に示す通りの条件で以て、クリヤー塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得た。此処に得られた、本発明の方法を実施するに際して用いられる、各種のクリヤー塗料を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも、とりわけ、外観に優れるというものであった。
【0319】
それぞれの塗膜について、諸性能の評価判定の試験を行なった。それらの結果は、まとめて、同表に示す。
【0320】
赤色塗料(T−1)の調製
【0321】
「アクリディック A−418」[大日本インキ化学工業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;溶剤=キシレン/n−ブタノールの混合溶剤、不揮発分=50%]の100部と、「ファーストゲン・スーパーレッド YE」[大日本インキ化学工業(株)製の、キナクリドン系赤色顔料]の3.5部とからなる混合物に、ガラス・ビーズを加えて、サンドミルで、1時間のあいだ分散化を行なった。
【0322】
次いで、「スーパーベッカミン L−117−60」の27.8部を加えてから、「ソルベッソ 100」/n−ブタノール=70/30(重量部比)なる混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が20秒となるように希釈せしめるということによって、PWC(顔料重量濃度)が5%なる、目的とする赤色塗料(T−1)を調製した。
【0323】
【表24】
Figure 0004217923
【0324】
《第5表の脚注》
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0325】
「14−3」………140℃で、30分間の焼き付け硬化という意味の略記
【0326】
表中の「耐候性」は、スガ試験機(株)製のデューパネル光コントロール・ウェザーメーターを使用して、1,500時間に亘る促進耐候性試験を行なったのちの各塗膜の60度鏡面反射率(%)なる光沢値を、試験前の各塗膜の同上の光沢値で除して、それを、100倍した値(光沢保持率;%)を表示したものである。その値が大きいほど、此の耐擦傷性が良好であるということを意味している。
【0327】
なお、その際におけるデューパネル光コントロール・ウェザーメーターによる、此の促進耐候性の試験条件としては、70℃でのUV照射−8時間および50℃での加湿−4時間を以て、これを1サイクルとするというものであり、斯かるサイクルを繰り返すというものである。
【0328】
表中の「初期撥水性」は、協和界面化学(株)製のCA−Z型自動接触角測定装置を使用して、それぞれの硬化塗膜上に載せた水滴と、該硬化塗膜との接触角を測定して、その接触角(度)で以て表示したものである。
【0329】
表中の「耐候性試験後の撥水性」は、同上のような条件下でのデューパネル光コントロール・ウェザーメーターを使用して、促進耐候性試験を行なったのちの硬化塗膜についての、水との接触角を、上述した「初期撥水性」の場合と同様にして測定し、その接触角(度)で以て表示したものである。
【0330】
表中の「耐酸性」は、それぞれの硬化塗膜の表面上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せたパネル(試験板)を、70℃の熱風乾燥機中に、30分間のあいだ保持したのちに、該塗膜表面を水洗乾燥せしめてから、その表面の状態を、目視により評価判定したものであり、その際の評価判定の基準は次の通りである。
【0331】
◎………エッチングなし
○………痕跡有り
△………光沢が落ちて、しかも、僅かにエッチングあり
×………著しく、エッチングあり
【0332】
表中の「耐擦傷性」は、5%のクレンザー水溶液を染み込ませたフェルトで以て、それぞれの硬化塗膜を、1.1Kgの荷重下に、往復30回のラビングを行なったのちの、各塗膜の60度鏡面反射率(%)なる光沢値を、試験前の各塗膜の同上の光沢値で除して、それを、100倍した値(光沢保持率;%)を表示したものであるが、その値が大きいほど、此の耐擦傷性が良好であるということを意味している。
【0333】
【表25】
Figure 0004217923
【0334】
《第5表の脚注》
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0335】
「25−14」………25℃で、14日間のあいだ放置し、硬化
【0336】
【表26】
Figure 0004217923
【0337】
実施例7〜10ならびに比較例3
予め、ポリエステル−メラミン系のグレー塗料が塗装され、焼き付けされた鋼板上に、まず、下記のようにして調製したベースコート用塗料(IV−1)を、乾燥膜厚が約20μmとなるように、エアースプレー塗装せしめてから、10分間のあいだ、25℃に放置した。
【0338】
次いで、上述のようにして調製した、それぞれのクリヤー塗料ならびに対照用の塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0339】
しかるのち、160℃で、30分間のあいだ焼き付けを行なって、各種の硬化塗膜を得た。此処に得られた、本発明の方法を実施するに際して用いられる、各種のクリヤー塗料を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも、とりわけ、外観に優れるというものであった。
【0340】
それぞれの塗膜について、諸性能の評価判定の試験を行なった。それらの結果は、まとめて、第6表に示す。
【0341】
ベースコート用塗料(IV−1)の調製
【0342】
下記するような三成分からなる混合物を、トルエン/2−エトキシエチルアセテート=90/10(重量部比)なる組成の混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が13秒となるように希釈せしめることによって、メタリック・ベースコート用塗料(IV−1)を調製した。
【0343】
「アルペースト 1700NL」 10 部
「アクリディック 47−712」 100 部
「スーパーベッカミン L−117−60」 23.8部
【0344】
註) 「アルペースト 1700NL」………東洋アルミニウム(株)製の、アルミニウム・ペースト;有効成分含有率=65%
【0345】
「アクリディック 47−712」……大日本インキ化学工業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂溶液;不揮発分=50%
【0346】
【表27】
Figure 0004217923
【0347】
《第6表の脚注》
塗膜性能の試験条件および評価の判定基準は、第5表の場合と同一である。
【0348】
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0349】
「14−3」………140℃で、30分間の焼き付け硬化
「16−3」………160℃で、30分間の焼き付け硬化
【0350】
【表28】
Figure 0004217923
【0351】
実施例11〜16ならびに比較例4および5
燐酸亜鉛処理鋼板上に、下記するようにして調製したアクリル−ウレタン系の黒色塗料(T−2)を、乾燥膜厚が約40μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、25℃で、7日間のあいだ、硬化せしめるということによって、予め、有機皮膜が形成された鋼板を作製した。
【0352】
次いで、先に調製した、それぞれのクリヤー塗料ならびに対照用の塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0353】
しかるのち、25℃で、10日間のあいだ放置し、クリヤー塗料を硬化せしめるということによって、各種の硬化塗膜を得た。此処に得られた、本発明の方法を実施するに際して用いられる、各種のクリヤー塗料を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも、とりわけ、外観に優れるというものであった。
【0354】
それぞれの塗膜について、諸性能の評価判定の試験を行なった。それらの結果は、まとめて、第7表に示す。
【0355】
黒色用塗料(T−2)の調製
【0356】
「アクリディック A−801P」[大日本インキ化学工業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;溶剤=トルエン/酢酸n−ブチル混合溶剤、不揮発分=50%、溶液の水酸基価=50]の100部と、「カーボン MA−100」[三菱化成(株)製の、カーボン・ブラックの商品名]の2.2部とからなる混合物に、ガラス・ビーズを加えて、サンドミルで、1時間のあいだ分散化を行なった。
【0357】
次いで、「バーノック DN−990S」[大日本インキ化学工業(株)製の、無黄変タイプのポリイソシアネート樹脂の商品名;イソシアネート基含有率=17.3重量%、不揮発分=100%]の21.7部を加えた。
【0358】
しかるのち、キシレン/トルエン/酢酸n−ブチル/2−エトキシエチルアセテート=40/30/20/10(重量部比)なる混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が20秒となるように希釈せしめるということによって、PWCが3%なる黒色塗料(T−2)を調製した。
【0359】
【表29】
Figure 0004217923
【0360】
《第7表の脚注》
塗膜性能の試験条件および評価の判定基準は、第5表の場合と同一である。
【0361】
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0362】
「25−14」………25℃で、14日間のあいだ放置し、硬化
「14−3」………140℃で、30分間の焼き付け硬化
【0363】
【表30】
Figure 0004217923
【0364】
《第7表の脚注》
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0365】
「16−3」………160℃で、30分間の焼き付け硬化
【0366】
【表31】
Figure 0004217923
【0367】
実施例17〜30ならびに比較例6
予め、ポリエステル−メラミン系のグレー塗料が塗装され、焼き付けされた鋼板上に、まず、下記するようにして調製したアクリル−ウレタン系のベースコート用塗料(IV−2)を、乾燥膜厚が約20μmとなるように、エアースプレー塗装せしめてから、20分間のあいだ、25℃に放置した。
【0368】
次いで、上述のようにして調製した、それぞれのクリヤー塗料ならびに対照用の塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめた。25℃で、10日間のあいだ、硬化せしめるということによって、各種の硬化塗膜を得た。此処に得られた、本発明の方法を実施するに際して用いられる、各種のクリヤー塗料を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも、とりわけ、外観に優れるというものであった。
【0369】
しかるのち、それぞれの塗膜について、諸性能の評価判定の試験を行なった。それらの結果は、まとめて、第8表に示す。
【0370】
ベースコート用塗料(IV−2)の調製
【0371】
下記するような三つの成分からなる混合物を、トルエン/酢酸エチル/2−エトキシエチルアセテート=70/20/10(重量部比)なる組成の混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が13秒となるように希釈せしめることによって、メタリック・ベースコート用塗料(IV−2)を調製した。
【0372】
「アルペースト 1700NL」 11 部
「アクリディック 44−127」 100 部
「バーノック DN−950」 19.5部
【0373】
註) 「アクリディック 44−127」……大日本インキ化学工業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;不揮発分=50%、溶液の水酸基価=32.5
【0374】
「バーノック DN−950」…………大日本インキ化学工業(株)製の、無黄変ポリイソシアネート樹脂の商品名;不揮発分=75%、溶液のイソシアネート基含有率=12.5重量%
【0375】
【表32】
Figure 0004217923
【0376】
《第8表の脚注》
塗膜性能の試験条件および評価の判定基準は、第5表の場合と同一である。
【0377】
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0378】
「14−3」………140℃で、30分間の焼き付け硬化
【0379】
【表33】
Figure 0004217923
【0380】
【表34】
Figure 0004217923
【0381】
表中における硬化条件の別は、次の通りである。
【0382】
「16−3」………160℃で、30分間の焼き付け硬化
【0383】
【表35】
Figure 0004217923
【0384】
【表36】
Figure 0004217923
【0385】
【発明の効果】
本発明に係る塗膜の形成方法は、とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性、耐酸性ならびに耐擦傷性などの、いわゆる総合的な耐久性に優れると共に、極めて高い鮮映性を有するという複層塗膜を与えるものであり、極めて実用性の高いものである。

Claims (10)

  1. 予め、有機皮膜が形成された基材に、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を塗装せしめ、次いで、硬化せしめることを特徴とする、塗膜の形成方法。
  2. 予め、有機皮膜が形成された基材に、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)と、硬化触媒(C)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を塗装せしめ、次いで、硬化せしめることを特徴とする、塗膜の形成方法。
  3. 予め、有機皮膜が形成された基材に、顔料を含むベース・コート用塗料(II)、ならびに加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を、順次、塗装せしめ、次いで、両塗料から形成された二層を、同時に、乾燥ないしは硬化せしめることを特徴とする、塗膜の形成方法。
  4. 予め、有機皮膜が形成された基材に、顔料を含むベース・コート用塗料(II)、ならびに加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを併せ有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(B)と、硬化触媒(C)とを必須の皮膜形成成分として含有する、液状の硬化性クリヤー塗料(I)を、順次、塗装せしめ、次いで、両塗料から形成された二層を、同時に、乾燥ないしは硬化せしめることを特徴とする、塗膜の形成方法。
  5. 前記した、加水分解性シリル基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド結合、2級アミド結合カーバメート基および次の構造式(K−1)
    Figure 0004217923
    で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記した、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)が、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物または部分加水分解縮合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 前記した、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)が、その加水分解性シリル基として、アルコキシシリル基を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  8. 前記した、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)が、前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物として、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物および其れらの部分共加水分解縮合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランを用いるものである、請求項1、2、3、4または6に記載の方法。
  9. 前記した化合物(B)が、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド結合含有化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物および、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有する化合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  10. 前記した珪素原子に結合した加水分解性基がアルコキシ基である、請求項1、2、3、4、6、8または9に記載の方法。
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