JP3599141B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる硬化性組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、エポキシ基を有するポリシロキサンと、活性水素を含む基を有する化合物とを反応させて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンと、此の水酸基と反応する官能基を有する化合物とを含有することから成るか、
【0002】
あるいは、上記した、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンと、水酸基と反応する官能基を有する化合物と、さらに、活性水素を含む基を有するかご物(C)とを含有することから成る、とりわけ、耐久性ならびに耐酸性などに優れるという、極めて実用性の高い硬化性組成物に関する。
【0003】
そして、本発明の、こうした硬化性組成物は、特に、塗料用として、あるいは接着剤用、シーリング剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも利用することが出来るものである。
【0004】
【従来の技術】
これまでにも、耐久性に優れる硬化性組成物としては、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基のような、いわゆる官能基を有する、アクリル系重合体、ポリエステル樹脂あるいはアルキド樹脂のような樹脂成分と、ポリイソシアネート樹脂、エポキシ樹脂またはアミノ樹脂のような、種々の硬化剤とから成る硬化性組成物が、幅広く使用されている。
【0005】
しかしながら、かかる硬化性組成物から得られる硬化塗膜は、曝露時の光沢保持性ならびに撥水性保持性などの耐久性が不十分であり、したがって、高度の耐久性などが要求されるような用途には、全くと言ってよいほど、適用することが出来ない、という問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型技術に従って得られる硬化性組成物からは、どうしても、高度の耐酸性や耐久性などを有するという、極めて実用性の高い硬化塗膜を得るということが出来なく、そのためにも、曝露時の光沢保持性や撥水性保持性などの高度の耐久性ならびに高度の耐酸性を有する硬化塗膜を与える硬化性組成物の登場が、強く望まれている。
【0007】
このために、本発明者らは、こうした高度の耐久性ならびに耐酸性などを有する硬化塗膜を形成することの出来る、極めて実用性の高い硬化性組成物を求めて、鋭意、研究を開始した。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとしている課題は、一にかかって、とりわけ、高度の耐久性や耐酸性などを有する硬化塗膜を形成することの出来る、極めて実用性の高い、斬新なる硬化性組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、かかる現状に鑑み、そして、上述したような本発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、
【0010】
それぞれ、エポキシ基を有するポリシロキサンと、活性水素を含む基を有する化合物とを反応させて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンと、該水酸基と反応する官能基を有する化合物とを含有することから成るか、
【0011】
あるいは、さらに、活性水素を含む基を有する化合物をも含有することから成るという、特定の硬化性組成物が、とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐酸性などの諸性能に極めて優れる硬化塗膜を与えるということを見出し、
【0012】
その結果、上述したような本発明が解決しようとする課題を、見事に、解決することが出来るということを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0013】
すなわち、本発明は、基本的には、それぞれ、一つに、エポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)と、活性水素を含む基を有する化合物(a−2)とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、此の水酸基と反応する官能基を有する化合物(B)とを含有することから成るという、硬化性組成物を提供しようとするものであるし、
【0014】
あるいは二つに、エポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)と、活性水素を含む基を有する化合物(a−2)とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、此の水酸基と反応する官能基を有する化合物(B)と、活性水素を含む基を有する化合物(C)とを含有することから成るという、硬化性組成物であって、
【0015】
とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐酸性などに極めて優れるという硬化塗膜を与えることの出来るような、極めて実用性の高い硬化性組成物を提供しようとするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
このように、本発明は、エポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)と、活性水素を有する基を含有する化合物(a−2)とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、炭素原子に結合した水酸基と反応する官能基を有する化合物(B)とを含有することを特徴とする、硬化性組成物を請求しているものであるし、
【0017】
あるいはエポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)と、活性水素を有する基を含有する化合物(a−2)とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、炭素原子に結合した水酸基と反応する官能基を有する化合物(B)と、活性水素を含む基を有する化合物(C)とを含有すること特徴とする、硬化性組成物をも請求しているものであるし、
【0018】
加えて、本発明は、上記した化合物(a−2)に含有される、活性水素を有する基がカルボキシル基であるという、特定の硬化性組成物をも請求しているものであるし、
【0019】
また、本発明は、上記した化合物(a−2)が有機カルボン酸であるという、特定の硬化性組成物をも請求しているものであるし、
【0020】
あるいは、本発明は、上記した化合物(B)が、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、カルボン酸無水基を有する化合物およびアミノ樹脂よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であるという、特定の硬化性組成物をも請求しているものであるし、
【0021】
あるいはまた、本発明は、上記した化合物(C)が水酸基を有するビニル系重合体であるという、特定の硬化性組成物をも請求しているものであるし、
【0022】
そして、本発明は、上記した化合物(C)が水酸基を有するアクリル系重合体であるという、特定の硬化性組成物をも請求しているものである。
【0023】
[構成]
【0024】
以下に、本発明を、さらに詳細に、説明することにする。
【0025】
ここにおいて、まず、本発明に係る硬化性組成物の一必須構成成分である、上記したポリシロキサン(A)を調製する際に使用される、上記した、エポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)としては、公知慣用の種々の化合物を使用することが出来るけれども、後述する、此のエポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)との反応を、スムースに進行させるために、
【0026】
▲1▼ 分岐構造(分枝状構造)を有するポリシロキサンであって、しかも、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量が特定量以下のもの〔以下、これをポリシロキサン(PS−1)ともいう。〕であるとか、
【0027】
▲2▼ 末端および/または側鎖にエポキシ基を有する、線状のポリシロキサンであって、しかも、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量が特定量以下のもの〔以下、これをポリシロキサン(PS−2)ともいう。〕であるとか、
【0028】
あるいは ▲3▼ 環状構造のポリシロキサンであって、しかも、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量が特定量以下のもの〔以下、これをポリシロキサン(PS−3)ともいう。〕などの使用が、特に望ましい。
【0029】
これらのうち、まず、上記したポリシロキサン(PS−1)の、より具体的なものとしては、一分子中に、それぞれ、次の一般式[I]
【0030】
【化1】
Figure 0003599141
【0031】
〔ただし、式中のRは1価の有機基を表わすものとし、しかも、3個の酸素原子
は、それぞれ、珪素原子に結合しているものとする。〕
【0032】
で示される構造単位と、少なくとも2個のエポキシ基とを併せ有する分岐状(分枝状)のポリシロキサンが、特に代表的なる化合物である。
【0033】
上掲の一般式[I]において、1価の有機基である「R」として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基もしくはn−オクチル基の如き、C 〜C なる種々のアルキル基;
【0034】
フェニル基もしくはp−トリル基の如き、各種のアリール基;または1−フェネチル基もしくは2−フェネチル基の如き、各種のアラルキル基などのような、種々のアリール基を有する基;
【0035】
あるいはビニル基または3−メタアクリロイルオキシ基の如き、各種の重合性二重結合を有する基などをはじめ、さらには、3−グリシドキシプロピル基もしくは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基の如き、各種のエポキシ基を有する基などである。
【0036】
なお、ここにおいて、アリール基を有する基(アリール基含有基)とは、上述したようなアリール基と、さらに、アルキル基にアリール基が付いた形の、いわゆるアラルキル基などをも、総括して指称するものである。
【0037】
当該ポリシロキサン(PS−1)中に含まれる加水分解性基とは、珪素原子に結合した、それぞれ、アルコキシ基、ハロゲン原子、フェノキシ基、イソプロペニルオキシ基、アセトキシ基またはイミノオキシ基の如き、珪素原子との結合部分で以て、容易に加水分解されて、
【0038】
それぞれ、アルコール、ハロゲン化水素、フェノール、アセトン、酢酸またはオキシム化合物として脱離して、珪素原子に結合した、水酸基を生じさせるような官能基を指称するものである。
【0039】
これらの珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量としては、当該ポリシロキサン(PS−1)の固形分の1,000グラム当たり、約4モル未満が適切であるし、好ましくは、1モル未満が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.1モル未満が適切である。
【0040】
これらの、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量が、当該ポリシロキサン(PS−1)の固形分の1,000g当たり、約4モルを超えるようになったりするような場合には、どうしても、後述する、エポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)との反応時に、ゲル化が起き易くなるので好ましくない。
【0041】
このようなポリシロキサン(PS−1)は、たとえば、必須の原料成分として、トリアルコキシシラン化合物もしくはトリクロロシラン化合物の如き、各種の三官能性のシラン化合物と、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物の如き、各種のエポキシ基含有シラン化合物とを使用し、
【0042】
さらには、必要により、ジアルコキシシラン化合物もしくはジクロロシラン化合物の如き、各種の二官能性のシラン化合物や、テトラアルコキシシランもしくはテトラクロロシランの如き、各種の四官能性のシラン化合物などをも使用して、調製することが出来る。
【0043】
当該ポリシロキサン(PS−1)を調製する際に用いられる、上記した三官能性のシラン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
【0044】
メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランもしくはビニルトリエトキシシランの如き、各種のトリアルコキシシラン化合物;
【0045】
またはメチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシランもしくはフェニルトリクロロシランもしくはビニルトリクロロシランの如き、各種のトリクロロシラン化合物;
【0046】
あるいはメチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシランもしくはフェニルトリアセトキシシランの如き、各種のトリアセトキシシラン化合物などである。
【0047】
また、次に掲げるようなエポキシ基含有シラン化合物のうち、三官能性のシラン化合物も、ここで言う三官能性のシラン化合物の一つとして使用することが出来ることは、勿論である。
【0048】
そして、上記エポキシ基含有シラン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリイソプロペニルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの如き、各種の三官能性のシラン化合物;
【0049】
または3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペニルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジエトキシシランの如き、各種の二官能性のシラン化合物;
【0050】
あるいは3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルイソプロペニルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルエトキシシランの如き、各種の一官能性のシラン化合物などである。
【0051】
前記した二官能性のシラン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、
【0052】
ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランもしくはメチルフェニルジエトキシシランの如き、各種のジアルコキシシラン化合物;
【0053】
またはジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシランもしくはジ−n−プロピルジクロロシランの如き、各種のジクロロシラン化合物;
【0054】
あるいはジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン、ジ−n−プロピルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセトキシシランの如き、各種のジアセトキシシラン化合物;
【0055】
さらには、ヘキサメチルトリシクロシロキサンもしくはオクタメチルテトラシクロシロキサンの如き、環状の、各種のポリシロキサン類などである。
【0056】
前記した四官能性のシラン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン化合物;またはテトラクロロシランもしくはテトラブロモシランの如き、各種のテトラハロゲノシラン化合物などである。
【0057】
前掲したような、各種のシラン化合物を使用して、当該ポリシロキサン(PS−1)を調製するには、公知慣用の種々の方法を適用することが出来るが、たとえば、 (i) 三官能性のシラン化合物と、エポキシ基含有シラン化合物との混合物を加水分解縮合せしめるという方法であるとか、
【0058】
(ii) 三官能性のシラン化合物を加水分解縮合させて、分岐構造(分枝状構造)を有する、末端官能性のシラン化合物を調製したのちに、エポキシ基含有シラン化合物を反応せしめるという方法であるとか、あるいは
【0059】
(iii) 三官能性のシラン化合物と、二官能性シラン化合物との混合物を加水分解縮合させて、分岐構造(分枝状構造)を有する末端官能性のシラン化合物を調製したのちに、エポキシ基含有シラン化合物を反応せしめるという方法などの、種々の方法を適用することが出来る。
【0060】
このようにして、当該ポリシロキサン(PS−1)を調製する際に、必要により、一官能性のシラン化合物を併用して、珪素原子に結合した水酸基を、あるいは前掲したような、各種の加水分解性基を、効率的に、低減化せしめることが出来る。
【0061】
かかる一官能性のシラン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシランもしくはトリフェニルクロロシランの如き、各種のモノクロロシラン類;
【0062】
またはトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシランもしくはトリフェニルエトキシシランの如き、各種のモノアルコキシシラン化合物;
【0063】
あるいはトリメチルシリルアセテートもしくはトリエチルシリアセテートの如き、各種のモノアセテート化合物;またはトリメチルシランもしくはトリエチルシランの如き、各種のヒドロシラン化合物などである。
【0064】
このようにして調製される、当該ポリシロキサン(PS−1)のエポキシ当量としては、約150〜約6,000なる範囲内が適切であるし、好ましくは、200〜4,000なる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、250〜2,500なる範囲内が適切である。
【0065】
エポキシ当量が約150未満である場合には、どうしても、ポリシロキサン(A)に含有される炭素原子に結合した水酸基が多くなり過ぎて、とりわけ、耐候性などの特徴が出にくいというようになり易いし、一方、約6,000を超えて余りに大きくなる場合には、どうしても、ポリシロキサン(A)に含有される、炭素原子に結合した水酸基が少なくなり過ぎて、とりわけ、硬化性などが低下するようになり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0066】
また、当該ポリシロキサン(PS−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)とを反応させて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、後掲する化合物(B)あるいは後掲する化合物(C)との相溶性、すなわち、クリヤー組成物から得られる硬化物の透明性などの面からも、
【0067】
あるいは下塗り塗膜との層間付着性やリコート性などの面からも、当該ポリシロキサン(PS−1)としては、特に、下掲するような形の化合物の使用が、特に望ましい。
【0068】
(1) 珪素原子上の、エポキシ基含有基を除く、1価の有機基(s)として、アリール基含有基(s−1)とアリール基不含の基(s−2)とを併有し、しかも、アリール基含有基(s−1)/アリール基不含の基(s−2)なる比率が、モル比で以て、約1/9以上となるようなものであること、
【0069】
(2) 珪素原子上の、エポキシ基含有基を除く、1価の有機基(s)として、アリール基含有基(s−1)のみを有するというようなものであること、
【0070】
(3) 珪素原子上の、エポキシ基含有基を除く、1価の有機基(s)として、アリール基含有基(s−1)とアリール基不含の基(s−2)とを併有し、しかも、アリール基含有基(s−1)/アリール基不含の基(s−2)なる比率が、モル比で以て、約1/9未満であり、かつ、約200〜約500なるエポキシ当量を有するというようなものであること、
【0071】
あるいは
【0072】
(4) 珪素原子上の、エポキシ基含有基を除く、1価の有機基(s)として、アリール基不含の基(s−2)を有するものであって、しかも、約200〜約500なる範囲内のエポキシ当量を有するというようなものであること。
【0073】
上掲したような、それぞれ、(1)〜(4)のような形の当該ポリシロキサン(PS−1)のうちでも、アリール基含有基(s−1)およびアリール基不含の基(s−2)としては、工業的な見地からも、それぞれ、フェニル基および炭素数が1〜4なるアルキル基の利用が、特に望ましい。
【0074】
このようなエポキシ基含有ポリシロキサンとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、「D10−0」、「D7−3」、「D4−6」、「D1−9」もしくは「T7−3」[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の商品名]や、「XC96−A4462」[東芝シリコーン(株)製の商品名]などのようなものである。
【0075】
次いで、前記した、末端および/または側鎖にエポキシ基を有する、線状のポリシロキサン(PS−2)中に含まれる、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量としては、当該ポリシロキサン(PS−1)の固形分の1,000グラム当たり、約4モル未満が適切であるし、好ましくは、1モル未満が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.1モル未満が適切である。
【0076】
これらの、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量が、当該ポリシロキサン(PS−2)の固形分の1,000g当たり、約4モルを超えるようになったりする場合には、後述するエポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)との反応時に、ゲル化が起き易くなるので好ましくない。
【0077】
かかるポリシロキサン(PS−2)の最も好ましいものの、より具体的なものとしては、下掲の組成式[II]、[III]、[IV]または[V]で以て示されるような、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基を、一切、有しない形の化合物などが挙げられる。
【0078】
【化2】
Figure 0003599141
【0079】
〔ただし、式中のR 、R 、R およびR は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アリール基、アラルキル基または炭素数が1〜4なるアルキル基を、Xはエポキシ基を有する1価の有機基を表わすものとし、また、aは2〜40なる整数であるものとする。〕
【0080】
【化3】
Figure 0003599141
【0081】
〔ただし、式中のR 、R 、R 、R およびR は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アリール基、アラルキル基または炭素数が1〜4なるアルキル基を、Xはエポキシ基を有する1価の有機基を表わすものとし、また、bは1〜39なる整数であり、cは1〜20なる整数であって、しかも、bとcとの総和は2〜40なる整数の範囲内にあるものとする。〕
【0082】
【化4】
Figure 0003599141
【0083】
〔ただし、式中のR 、R 、R 、R 、R およびYは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アリール基、アラルキル基または炭素数が1〜4なるアルキル基を、Xはエポキシ基を有する1価の有機基を表わすものとし、また、dは1〜38なる整数であり、eは2〜20なる整数であって、しかも、dとeとの総和は3〜40なる整数の範囲内にあるものとする。〕
【0084】
【化5】
Figure 0003599141
【0085】
〔ただし、式中のR 、R 、R 、R 、R およびYは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アリール基、アラルキル基または炭素数が1〜4なるアルキル基を、Xはエポキシ基を有する1価の有機基を表わすものとし、また、fは1〜39なる整数であり、gは1〜20なる整数であって、しかも、fとgとの総和は2〜40なる整数の範囲内にあるものとする。〕
【0086】
前掲した組成式[II]で以て示されるようなポリシロキサンの中でも、とりわけ、リコート性などの面からすれば、エポキシ当量が202〜約400なる範囲内のもの、あるいはエポキシ当量が約400〜約1,500程度であって、しかも、珪素原子に結合している有機基である、それぞれ、R 、R 、R およびR の合計量に占める、アリール基もしくはアラルキル基の如き、各種のアリール基含有基の割合が約10モル%以上なる形のものであることが、特に望ましい。
【0087】
また、前掲した組成式[III]で示されるポリシロキサンの中でも、とりわけ、リコート性などの面からすれば、エポキシ当量が約160〜約400なる範囲内のもの、あるいは、エポキシ当量が約400〜約1,500程度であって、しかも、珪素原子に結合している有機基である、それぞれ、R 、R 、R 、R およびR の合計量に占める、アリール基もしくはアラルキル基の如き、各種のアリール基含有基の割合が約10モル%以上なる形のものであることが、特に望ましい。
【0088】
さらに、前掲した組成式[IV]で示されるポリシロキサンの中でも、とりわけ、リコート性などの面からするならば、エポキシ当量が約160〜約400なる範囲内のもの、あるいはエポキシ当量が約400〜約1,500程度であって、しかも、珪素原子に結合している有機基である、それぞれ、R 、R 、R 、R およびR の合計量に占める、アリール基もしくはアラルキル基の如き、各種のアリール基含有基の割合が約10モル%以上なる形のものであることが、特に望ましい。
【0089】
さらにまた、前掲した組成式[V]で示されるポリシロキサンの中でも、とりわけ、リコート性などの面からすれば、エポキシ当量が約160〜約400のもの、あるいはエポキシ当量が約400〜約1,500程度であって、しかも、珪素原子に結合している有機基である、それぞれ、R 、R 、R 、R およびR の合計量に占める、アリール基もしくはアラルキル基の如き、各種のアリール基含有基の割合が約10モル%以上なる形のものであるということが、特に望ましい。
【0090】
次いで、前記した、一分子当たり、2個以上のエポキシ基を有する、環状構造のポリシロキサン(PS−3)中に含まれる、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量としては、当該ポリシロキサン(PS−3)の固形分の1,000グラム当たり、約4モル未満が適切であるし、好ましくは、1モル未満が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.1モル未満が適切である。
【0091】
これらの、珪素原子に結合した、水酸基および/または加水分解性基の含有量が、当該ポリシロキサン(PS−3)の固形分の1,000g当たり、約4モルを超えるようになったりする場合には、後述するエポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)との反応時に、ゲル化が起き易くなるので好ましくない。
【0092】
かかるポリシロキサン(PS−3)の最も好ましいものの、より具体的なものとしては、下掲の組成式[VI]で以て示されるような、珪素原子に結合した、加水分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基を、一切、有しないという形の化合物が挙げられる。
【0093】
【化6】
Figure 0003599141
【0094】
〔ただし、式中のR 、R およびR は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アリール基、アラルキル基または炭素数が1〜4なるアルキル基を、Xはエポキシ基を有する1価の有機基を表わすものとし、また、hは0あるいは1〜4なる整数であり、iは2〜6なる整数であって、しかも、hとiとの総和は3〜6なる整数の範囲内にあるものとする。〕
【0095】
前掲した組成式[II]〜[VI]において、アリール基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フェニル基もしくはp−トリル基などのようなものであるし、
【0096】
また、アラルキル基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−フェニルエチル基もしくは1−フェニルエチル基などのようなものであるし、
【0097】
あるいはエポキシ基を有する1価の有機基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、3−グリシドキシプロピル基もしくは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などのようなものである。
【0098】
以上に掲げたような、それぞれ、エポキシ基含有ポリシロキサン(PS−1)、(PS−2)または(PS−3)という各種の化合物群のうちでも、硬化塗膜の、とりわけ、耐候性などの面からすれば、ポリシロキサン(PS−1)を、エポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)として使用するのが、特に好ましい。
【0099】
本発明において使用されるポリシロキサン(A)を調製する際に使用される、他方の一必須原料成分である、前記した活性水素含有基を有する化合物(a−2)とは、それぞれ、活性な水素原子を有する官能基、
【0100】
または加水分解反応や熱分解反応などにより活性な水素原子を有する官能基を生成する、いわゆるブロックされた活性水素を含む官能基を有する、公知慣用の種々の化合物を指称するものである。
【0101】
こうした官能基の特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、炭素原子に結合した、それぞれ、水酸基、カルボキシル基、1級ないしは2級のアミノ基、ビニルエーテル化合物でブロックされたカルボキシル基、ビニルエーテル化合物でブロックされた水酸基、トリアルキルシリルエステル基、
【0102】
トリアルキルシリルエーテル基、オキサゾリジン基、ヒドラジド基の如き、各種のヒドラジンより誘導される活性水素含有基または活性メチレン基、あるいはエナミン、ケチミンまたはアルジミンの如き、各種のカルボニル化合物でブロックされた1級ないしは2級のアミノ基のような種々の官能基などである。
【0103】
此の化合物(a−2)は、前掲したような、各種の官能基のうちの1種を、一分子当たり少なくとも1個、有するものであってもよいし、前掲したような各種の官能基のうちの2種以上を、一分子当たり少なくとも1個、有するものであってもよい。そして、かかる化合物(a−2)としては、1種類の化合物の単独使用であっても、2種以上の化合物の併用であってもよい。
【0104】
そして、官能基として、それぞれ、ブロックされた水酸基、ブロックされたカルボキシル基またはブロックされたアミノ基を有する化合物(a−2)を使用する際には、前述したポリシロキサン(a−1)との反応により、ポリシロキサン(A)を調製する過程で以て、加水分解反応や熱分解反応などにより、遊離の水酸基、遊離のカルボキシル基または遊離のアミノ基を生成せしめるという必要がある。
【0105】
また、かかる化合物(a−2)として、比較的分子量の低い化合物を使用することが出来るし、各種の重合体類を使用することも出来る。
【0106】
こうした化合物(a−2)のうち、比較的分子量の低い化合物の特に望ましいものとしては、カルボキシル基を有する化合物、すなわち、有機カルボン酸類が挙げられる。
【0107】
そして、かかる化合物の代表的なものを例示するにとどめれば、ぎ酸(蟻酸)、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸もしくはステアリン酸の如き、各種の1価の脂肪族カルボン酸類;
【0108】
シュウ酸(蓚酸)、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、プロパントリカルボン酸もしくはブタンテトラカルボン酸の如き、多価の脂肪族カルボン酸類;
【0109】
フェニル酢酸もしくはフェニルプロピオン酸の如き、各種のアラルキル基を有するカルボン酸類;または安息香酸、トルイル酸、メトキシ安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸もしくはフラン−1−カルボン酸の如き、芳香族カルボン酸類;
【0110】
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和基含有カルボン酸類;グリコール酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシブタン酸もしくはサリチル酸の如き、各種の水酸基含有カルボン酸類;
【0111】
グリシン、アラニンもしくはフェニルアラニンの如き、アミノ酸類;あるいは前掲したような各種のカルボン酸類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;または前掲したようなカルボン酸類のハロゲン置換体ないしはニトロ基置換体などのような種々の置換カルボン酸類などである。
【0112】
斯かる化合物(a−2)のうち、重合体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂またはフッ素樹脂の如き、各種のビニル系重合体類などをはじめ、さらには、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアミド樹脂などである。
【0113】
そして、かかる重合体類は、活性水素原子を有する官能基の少なくとも一部分として、カルボキシル基を有するようなものであることが、特に望ましい。
【0114】
次いで、前述したエポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、上述した、活性水素含有基を有する化合物(a−2)とから、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)を得るという反応について述べることにする。
【0115】
此の反応において、ポリシロキサン(a−1)と、化合物(a−2)との使用割合は、(a−1)中に含まれるエポキシ基の含有量と、化合物(a−2)中に含まれる、活性水素を有する官能基の含有量とによって設定され、それらの当量比が、前者の当量を1としたときに、後者のそれが、約0.3〜約5となるように、好ましくは、0.5〜3となるように、さらに好ましくは、0.8〜2となるように設定するのがよい。
【0116】
上述した化合物(a−2)の当量を、約0.3未満に設定すると、当該反応で得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)中の水酸基量が少なくなりすぎ、ひいては、硬化塗膜として、実用性の乏しいものとなってしまうようになり易いし、
【0117】
一方、化合物(a−2)の当量が約5を超えるようになると、残存する未反応の活性水素含有化合物の量が多くなり過ぎてしまい、ひいては、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が得られ難くなるし、また、そうした問題を回避するには、残存する未反応の活性水素含有化合物の揮散処理や、中和処理ならびに其の後の塩の分離処理などの、煩雑なる工程が必要となるので、いずれの場合も好ましくない。
【0118】
こうしたエポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)との反応を行なうに当たり、触媒を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、これらの縮合反応を、容易に、進行させるという上からは、触媒を使用することが望ましい。
【0119】
ここにおいて、触媒を使用する場合には、公知慣用の触媒のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併用でもよいことは、勿論ながら、さらには、化合物(a−2)の官能基によって、最適の触媒と、最適の触媒量とがあることは、勿論である。
【0120】
かかる触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸または、燐酸モノイソプロピルの如き、各種の有機酸類;
【0121】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;トリフルオロボロンの如き、各種のホウ素化合物類;
【0122】
鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如き、各種の金属のナフテン酸塩あるいはオクチル酸塩の如き金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセテートの如き、各種のアルミニウム化合物;
【0123】
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、
【0124】
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールもしくは1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のアミン化合物類;
【0125】
テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩もしくはo−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種の4級アンモニウム塩類であって、
【0126】
さらには、代表的なる対アニオンとして、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類などである。
【0127】
使用される触媒量としては、ポリシロキサン(a−1)と化合物(a−2)との合計量に対して、約0.001〜約5重量%なる範囲内が、好ましくは、0.005〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.01〜2重量%なる範囲内が適切で、化合物(a−2)の官能基によって、適宜、選択される。
【0128】
当該反応を行なう際には、ポリシロキサン(a−1)の存在下に化合物(a−2)を一括添加でも、分割添加でもよいし、あるいは、その逆に、化合物(a−2)の存在下における、ポリシロキサン(a−1)を一括添加でも、分割添加でもよい。さらに、触媒を添加する際には、触媒を(a−2)に混合して、併用した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加してもよいことは、勿論である。
【0129】
当該反応の反応温度としては、0℃〜200℃程度が適切であり、好ましくは、50℃〜150℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行なうことが出来る。
【0130】
さらに、当該反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい。使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0131】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ホワイト・スピリットまたはミネラル・スピリットの如き、それ自体が、種々の炭化水素からなる混合物などをはじめ、さらには、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしくはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環式系の炭化水素類;
【0132】
トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルもしくは酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンまたはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0133】
あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類;さらには、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0134】
また、有機溶剤の存在下において、当該反応を行なう場合の、それぞれ、ポリシロキサン(a−1)と、化合物(a−2)との、有機溶剤中における濃度としては、両成分の合計量として、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0135】
このようにして調製されるポリシロキサン(A)の特徴としては、とりわけ、相溶性の向上化が挙げられる。該ポリシロキサン(A)は、前記したエステル化反応で以て生成する、炭素原子に結合した水酸基と、エステル基とを併有しているために、各種の重合体や化合物などとの相溶性が、炭素原子に結合した、此の水酸基だけを有するポリシロキサンに比して、向上していることが、後掲する相溶性試験からも確認されている。
【0136】
次いで、本発明において使用される、前記した化合物(B)について説明をすることにするが、当該化合物(B)とは、炭素原子に結合した水酸基と反応する官能基を、一分子当たり、1個以上有する、公知慣用の種々の化合物を指称するものである。
【0137】
こうした官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、イソシアネート基、ブロック・イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸無水基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基、シクロカーボネート基、オキサゾリン基またはシラノール基、あるいは珪素原子に結合した加水分解性基のような、各種の官能基などである。
【0138】
かかる官能基のうちでも特に望ましいものとしては、エポキシ基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基、カルボン酸無水基、イソシアネート基またはブロック・イソシアネート基などが挙げられる。
【0139】
このような、特に望ましい官能基を有する化合物(B)のうち、エポキシ基を有する化合物、就中、ポリエポキシ化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたは水添ビスフェノールAの如き、脂肪族ないしは脂環式ポリオールなどの、種々のポリグリシジルエーテル類;
【0140】
ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールSもしくはビスフェノールFの如き、各種の芳香族系ポリオールの種々のポリグリシジルエーテル類;
【0141】
上掲したような芳香族系ポリオール類のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体の如き、該芳香族系ポリオール誘導体類の種々のポリグリシジルエーテル類;
【0142】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラエチレングリコールの如き、ポリエーテルポリオールなどの、種々のジグリシジルエーテル類;
【0143】
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸もしくはトリメリット酸の如き、脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸などの、種々のポリグリシジルエステル類;
【0144】
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートもしくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合物;
【0145】
あるいはグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシドもしくはグリシジルビニルエーテルの如き、各種のエポキシ基含有ビニル単量体の単独重合体類;
【0146】
または上掲したような、各種のエポキシ基含有ビニル単量体を、これらと共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめて得られるような、エポキシ基含有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体あるいはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0147】
これらは、特に、後述のカルボン酸無水基含有化合物と併用することで、それぞれの単独で以て使用する場合に比べ、組成物の硬化性を大きく向上化せしめることが出来るので、それらの併用がより望ましい。
【0148】
かかる化合物(B)のうち、N−ヒドロキシメチルアミノ基もしくはN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、各種のアミノ樹脂類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールクロトン酸アミドもしくはN−アルコキシメチルクロトン酸アミドの如き、N−ヒドロキシメチルアミド基ないしはN−アルコキシメチルアミド基を有する、各種のビニル系単量体の単独重合体類;
【0149】
または上掲したような各種のN−ヒドロキシメチルアミド基もしくはN−アルコキシメチルアミド基を有するビニル系単量体を、これらと共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もまたはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめて得られる、N−ヒドロキシメチルアミド基ないしはN−アルコキシメチルアミド基を有する、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体あるいはフルオロオレフィン系共重合体などのような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0150】
次いで、前記したアミノ樹脂として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、尿素もしくはグリコウリルの如き、各種のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドの如き、各種のアルデヒド化合物と反応せしめて得られるという形の、種々のアルキロール化物;
【0151】
あるいは斯かかるアルキロール化物を、メタノール、エタノール、n−ブタノールもしくはi−ブタノールの如き、各種の低級アルコールと反応せしめて得られるという形の、種々の、部分ないしは完全エーテル化物などである。
【0152】
当該化合物(B)のうち、カルボン酸無水基を有する化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸もしくは無水ピロメリット酸の如き、各種の低分子量のカルボン酸無水物類などをはじめ、
【0153】
さらには、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種のカルボン酸無水基含有ビニル単量体の種々の単独重合体;あるいは此等のカルボン酸無水基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得られるような形の、
【0154】
カルボン酸無水基含有の、それぞれ、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体などのような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0155】
そして、当該化合物(B)のうち、イソシアネート基を有する化合物、就中、ポリイソシアネート化合物として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナートシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナートシクロヘキサンもしくはリジンジイソシアネートの如き、各種のジイソシアネート類などをはじめ、
【0156】
さらには、上掲したような各種のジイソシアネート類と、各種のポリオール類とを反応せしめて得られるような形のポリイソシアネート樹脂;上掲したようなポリイソシアネート類と、水とを反応せしめて得られる、ビウレット構造を有するポリイソシアネート類;あるいは上掲したような各種のジイソシアネート類を環化三量化せしめて得られる、いわゆるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類;
【0157】
さらにはまた、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートもしくは(メタ)アクリロイルイソシアネートの如き、イソシアネート基を有するビニル単量体の単独重合体または此等のイソシアネート基含有ビニル単量体を、これらと共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめて得られるという形の、
【0158】
それぞれ、イソシアネート基含有の、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体などのような、種々のビニル系共重合体類などである。
【0159】
そして、かかるポリイソシアネートのうちでは、とりわけ、耐候性などの面からも、脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネート化合物;または其れらから誘導されるような、種々のプレポリマー;あるいはイソシアネート基を有するビニル系重合体の使用が、特に望ましい。
【0160】
当該化合物(B)のうち、ブロックされたイソシアネート基を有する化合物、就中、ブロックポリイソシアネート化合物としては、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物を、公知慣用の種々のブロック剤と反応せしめることによって調製されるような形のものに加えて、イソシアネート基同志を環化二量化せしめることによって、ウレトジオン構造として、ブロック化せしめた形の化合物などをも使用することが出来る。
【0161】
ブロックポリイソシアネートを調製する際に使用される、上記ブロック剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アセトンオキシムもしくはメチルエチルケトオキシムの如き、各種のオキシム化合物;
【0162】
または2−ピロリドン、ε−カプロラクタムもしくはアセトアニリドの如き、各種のアマイド化合物;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルもしくはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン化合物;
【0163】
あるいはフェノールもしくはサリチル酸エステルの如き、各種のフェノール性水酸基含有化合物;あるいはメタノールもしくは乳酸エステルの如き、各種のカルビノール基含有化合物などである。
【0164】
前述し、前掲したような種々の当該化合物(B)は、それぞれ、単独使用であってもよいし、2種以上の併用であってもよいことは、勿論である。
【0165】
次いで、本発明において使用される、前記した、活性水素含有基を有する化合物(C)について説明をすることにするが、活性水素含有基を有する此の化合物(C)とは、活性なる水素原子を有する官能基、または加水分解反応や熱分解反応などにより活性なる水素原子を有する官能基を生成する、いわゆるブロックされた活性水素を有する官能基を有するという、公知慣用の種々の化合物を指称するものであり、
【0166】
こうした官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、炭素原子に結合した、それぞれ、水酸基、カルボキシル基、1級ないしは2級のアミノ基、ビニルエーテル化合物でブロックされたカルボキシル基、ビニルエーテル化合物でブロックされた水酸基、トリアルキルシリルエステル基、トリアルキルシリルエーテル基、オキサゾリジン基、ヒドラジド基の如きヒドラジンより誘導される活性水素含有基、活性メチレン基、さらには、エナミン、ケチミンまたはアルジミンの如きカルボニル化合物でブロックされた1級ないしは2級のアミノ基のような、種々の官能基などである。
【0167】
当該化合物(C)は、前掲したような各種の官能基のうちの1種を、一分子当たり少なくとも2個、有するようなものであってもよいし、前掲したような各種の官能基のうちの2種以上を、一分子当たり少なくとも1個、有するようなものであってもよい。そして、かかる化合物(C)としては、1種類の化合物の単独使用であっても、2種以上の化合物の併用であってもよい。
【0168】
そして、前掲したような種々の官能基を有する当該化合物(C)としては、分子量の低い化合物に加えて、各種の重合体類をも使用することが出来る。このような重合体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体または芳香族系ビニル系重合体の如き、各種のビニル系重合体などをはじめ、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂またはエポキシ樹脂などである。
【0169】
さらに、これらのうちでも特に望ましいものとしては、水酸基を有する、低分子化合物、ビニル系重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系樹脂などである。
【0170】
このような、望ましい水酸基を有する低分子化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールもしくはシクロヘキサンジメタノール、
【0171】
ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、1,3−ジメチロールプロピオン酸、1,3−ジメチロール酪酸、1,3−ジメチロール吉草酸、酒石酸、グリセリン酸、1,3−ジメチロールプロパンスルホン酸もしくは1,3−ジメチロールブタンスルホン酸または1,3−ジメチロールペンタンスルホン酸などであるし、さらには、比較的分子量の低い、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなどである。
【0172】
また、上掲した望ましい、水酸基を有する、それぞれ、ビニル系重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系樹脂などは、公知慣用の種々の方法で以て得ることが出来る。
【0173】
これらのうちでも、特に望ましいものとしては、水酸基を有するアクリル系重合体などのような、いわゆる水酸基含有ビニル系重合体が挙げられる。
【0174】
こうした当該化合物(C)のうち、此のビニル系重合体を調製するには、たとえば、それぞれ、i) 水酸基を有するビニル系単量体(水酸基含有ビニル系単量体)を単独重合せしめるという方法であるとか、あるいは共重合可能なる其の他のビニル系単量体と、後掲するような種々の単量体類とを共重合せしめるという方法であるとか、
【0175】
ii) 予め調製しておいた、必須の官能基として、エポキシ基含有ビニル系重合体に、アンモニア;またはメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンもしくはn−プロピルアミンの如き、各種のアミン類を反応せしめるという方法などのような、それぞれに、公知慣用の種々の方法を適用することが出来るけれども、これらのうちでも、i)なる方法によるのが、最も簡便であるので推奨される。
【0176】
i)の方法に従って、斯かる水酸基含有ビニル系重合体を調製する際に使用し得る、水酸基含有ビニル系単量体として特に代表的なるもののみを例示するにとどめることにするならば、
【0177】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニルエーテル類;
【0178】
2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如き、水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られるという形の、種々のポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;
【0179】
前掲したような各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との付加物;
【0180】
さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)などで以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイド以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加物などのような、種々の水酸基含有単量体類などである。
【0181】
そしてまた、上述した方法に従って、当該化合物(C)の1種としての水酸基含有ビニル系重合体を調製する際に使用し得る、共重合可能なる其の他のビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0182】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C 〜C22なる炭素数のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル類;
【0183】
ベンジル(メタ)アクリレートもしくはフェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレートもしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0184】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;
【0185】
クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0186】
(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、アジピン酸モノビニルもしくはコハク酸モノビニルの如き、各種のカルボキシル基含有ビニル系単量体類;
【0187】
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリン、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリン、N−ビニルピペリジン、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミドもしくはN−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、
【0188】
またはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリン、N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミド、2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテルもしくは3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテルの如き、各種のアミノ基含有ビニル系単量体類;
【0189】
(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0190】
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;アクロレインもしくはメチルビニルケトンの如き、各種のカルボニル基含有単量体類;
【0191】
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルピロリドン、の如き、各種のアミド基含有単量体類;
【0192】
グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルもしくはアリルグリシジルエーテルの如き、各種のエポキシ基含有単量体類;「ブレンマー PME」[日本油脂(株)製の商品名]の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類;または「ライトエステル PMもしくはPA」[共栄社油脂化学工業(株)製の商品名]の如き、各種の燐酸エステル基含有単量体類;あるいはスチレンスルホン酸もしくはビニルスルホン酸の如き、各種のスルホン酸基含有単量体類などである。
【0193】
以上に掲げられたような種々の単量体を用いて、当該化合物(C)の1種としての、水酸基含有ビニル系重合体を調製するには、溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのような、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来るが、それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジカル重合法、つまり、溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便である。
【0194】
此の溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる重合開始剤としては、勿論ながら、公知慣用の種々の化合物が使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0195】
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0196】
tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、
【0197】
ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などである。
【0198】
また、溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0199】
その際に使用される有機溶剤としては、上述したエポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)と、活性水素含有基を有する化合物(a−2)とを反応せしめる際に使用できるものとして既掲したような種々のものを使用することが出来る。
【0200】
当該化合物(C)の1種としてのビニル系重合体の水酸基価としては、約10〜約400なる範囲内が適切であるし、好ましくは、20〜200なる範囲内が適切である。水酸基価が約10未満である場合には、どうしても、硬化性などが低下するようになり易いし、
【0201】
一方、約400を超えて余りにも大きくなる場合には、どうしても、とりわけ、相溶性が低下し易く、ひいては、透明性や平滑性などが低下し易くなるし、また、耐水性などの特徴が出にくくなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0202】
また、此のビニル系重合体の数平均分子量としては、大約300〜大約100,000なる範囲内が適切であるし、好ましくは、600〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好ましくは、600〜30,000なる範囲内が適切である。
【0203】
約300未満の場合には、どうしても、硬化性や硬化物の機械的強度などが劣るようになり易いし、一方、約100,000を超えて、余りにも高くなる場合には、どうしても、得られる組成物の不揮発分が、著しく、低くなり易いし、ひいては、塗装作業性などにも劣るようになり易いので、いずれの場合も好ましくない。
【0204】
さらに、此のビニル系重合体として、重合性不飽和二重結合(重合性二重結合)を有する、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在下に、前掲した水酸基含有ビニル系単量体を必須成分とする、種々のビニル系単量体を、ラジカル重合せしめることによって得られる水酸基を有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用することも出来る。
【0205】
以上に記述してきたような、それぞれ、ポリシロキサン(A)と、化合物(B)から、本発明に係る硬化性組成物を調製し、また、これらの、それぞれ、ポリシロキサン(A)と、化合物(B)と、さらには、当該化合物(C)とから、本発明に係る硬化性組成物を調製するには、
【0206】
此の化合物(B)が、イソシアネート基含有化合物またはブロック・イソシアネート基を有する化合物であるというような場合には、ポリシロキサン(A)中に含まれる、炭素原子に結合した水酸基の1当量に対して、あるいはポリシロキサン(A)と、化合物(C)との両成分化合物中に含まれる、活性水素を有する官能基の1当量に対して、
【0207】
此の化合物(B)中に含まれるイソシアネート基量またはブロック・イソシアネート基量が、約0.2〜約5当量の範囲内、好ましくは、0.5〜2当量の範囲内、一層好ましくは、0.8〜1.5当量の範囲内となるように、此の化合物(B)を配合するというようにすればよい。
【0208】
また、此の化合物(B)が、エポキシ基含有化合物であるというような場合には、ポリシロキサン(A)中に含まれる、炭素原子に結合した水酸基の1当量に対して、あるいはポリシロキサン(A)と、化合物(C)との両成分化合物中に含まれる、活性水素を有する官能基の1当量に対して、
【0209】
此の化合物(B)中に含まれるエポキシ基量が、約0.2〜約5当量の範囲内、好ましくは、0.5〜3当量の範囲内、一層好ましくは、0.8〜2当量の範囲内となるように、此の化合物(B)を配合するというようにすればよい。
【0210】
さらにまた、此の化合物(B)が、カルボン酸無水基含有化合物であるというような場合には、ポリシロキサン(A)中に含まれる、炭素原子に結合した水酸基の1当量に対して、あるいはポリシロキサン(A)と、化合物(C)との両成分化合物中に含まれる、活性水素を有する官能基の1当量に対して、
【0211】
此の化合物(B)中に含まれるカルボン酸無水基量が、約0.2〜約5当量の範囲内、好ましくは、0.5〜3当量の範囲内、一層好ましくは、0.8〜2当量の範囲内となるように、此の化合物(B)を配合するというようにすればよい。
【0212】
また、此の化合物(B)が、エポキシ基含有化合物と、カルボン酸無水基含有化合物であるというような場合には、ポリシロキサン(A)中に含まれる、炭素原子に結合した水酸基の1当量に対して、あるいはポリシロキサン(A)と、化合物(C)との両成分化合物中に含まれる、活性水素を有する官能基の1当量に対して、
【0213】
一方のエポキシ基含有化合物中に含まれるエポキシ基量が、約0.2〜約5当量の範囲内、好ましくは、0.5〜3当量の範囲内、一層好ましくは、0.8〜2当量の範囲内となるように、エポキシ基含有化合物(B)を、さらに、
【0214】
他方のカルボン酸無水基含有化合物中に含まれるカルボン酸無水基量が、約0.2〜約5当量の範囲内、好ましくは、0.5〜3当量の範囲内、一層好ましくは、0.8〜2当量の範囲内となるように、カルボン酸無水基含有化合物を配合するというようにすればよい。
【0215】
そしてまた、此の化合物(B)が、N−ヒドロキシメチルアミノ基もしくはN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物であるというような場合には、ポリシロキサン(A)の固形分の100重量部に対し、あるいはポリシロキサン(A)と、化合物(C)との両成分化合物の固形分合計量の100重量部に対して、此の化合物(B)の固形分量が、約5〜約100重量部の範囲内、好ましくは、10〜80重量部の範囲内、一層好ましくは、15〜60重量部の範囲内となるように、これらの、それぞれの化合物を配合するというようにすればよい。
【0216】
さらに、本発明の硬化性組成物を調製する際のポリシロキサン(A)は、該組成物を構成する固形分の100重量部中、約3〜約95重量部の範囲内、好ましくは、5〜80重量部の範囲内、さらに好ましくは、15〜70重量部の範囲内となるように、此のポリシロキサン(A)を配合するというようにすればよい。
【0217】
約3重量部未満では、本発明の組成物からは、耐久性に優れる硬化物が得られにくくなり、一方、約95重量部を超えて余りにも多くなると、硬化剤成分である化合物(B)が少なくなり過ぎるために、硬化性が劣り易くなってしまい、ひいては、耐久性に優れる硬化物が得られにくくなり易くなるというため、いずれの場合も好ましくない。
【0218】
以上のようにして調製される、本発明に係る硬化性組成物には、さらに必要に応じて、硬化触媒、流動調整剤、顔料、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の各種の添加剤類などを配合せしめた形で以て、種々の用途に利用し、適用することが出来る。
【0219】
かくして得られる、本発明の硬化性組成物を、室温で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、あるいは80〜250℃程度の温度範囲で、約30秒から約2時間程度のあいだ焼き付けを行なうということによって、極めて実用性の高い硬化物を得ることが出来る。
【0220】
本発明に係る硬化性組成物から得られる硬化物は、とりわけ、耐久性や耐酸性などに極めて優れるという処から、主として、塗料用として、あるいは接着剤用として、さらには、シーリング剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、種々の用途に利用し、適用することが出来るというものである。
【0221】
本発明に係る硬化性組成物を、就中、塗料用として利用し、適用するという場合の、その被塗物基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類;あるいは瓦類;ガラス類;または各種の無機質建材類などであり、
【0222】
具体的には、自動車車体または自動車(用)部品類、二輪車または二輪車(用)部品類などをはじめ、さらには、門扉またはフェンス類の如き、各種の建材類;アルミサッシ類の如き、各種の建築内外装用資材類;あるいはアルミホイルなどのような種々の鉄ないしは非鉄金属類の諸素材または諸製品類などである。
【0223】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例ならびに相溶性試験により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0224】
まず、以下に掲げる諸参考例において用いる、前記(a−1)成分たるエポキシ基含有ポリシロキサンの性状値ないしは特性値を、まとめて、第1表に示す。
【0225】
【表1】
Figure 0003599141
【0226】
【表2】
Figure 0003599141
【0227】
【表3】
Figure 0003599141
【0228】
参考例1〔ポリシロキサン(A)の調製例〕
温度計、還流冷却器および攪拌機を備えた反応容器に、エポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)としての「T7−3」の994部と、酢酸の72部とを仕込んで、120℃にまで昇温した。
【0229】
次いで、同温度で、10時間攪拌したのちに、反応混合物のエポキシ当量を測定することによって、エポキシ基の反応率が97%になったことを確認した。しかるのち、100℃にまで降温してから、同温度下で、窒素ガスを反応混合物中に導入して、過剰の酢酸をパージするということによって、
【0230】
不揮発分が60.9%で、かつ、固形分基準の水酸基価が89.3なる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)の溶液を得た。以下、これを(A−1)と略記する。
【0231】
参考例2〜6(同上)
エポキシ基含有ポリシロキサン(a−1)の種類と、触媒の種類および其の使用量と、反応時間とを、第2表に示すように変更した以外は、参考例1と同様に反応を行なって、同表に示すような性状を有する、炭素原子に結合した水酸基を有する、各種のポリシロキサン(A)を得た。
【0232】
ただし、これらの諸例のうち、参考例2〜4の場合には、酢酸を当量以上に、過剰に用いているので、こうした過剰の酢酸を、窒素ガスの導入によって、除去する必要があるけれども、一方、参考例5および6の場合には、等当量のグリコール酸を用いているという処から、窒素ガスの、反応混合物中への導入の方は、一切、省略した。これらの各種のポリシロキサン(A)の呼称は、第2表に示すように略記している。
【0233】
【表4】
Figure 0003599141
【0234】
【表5】
Figure 0003599141
【0235】
《第2表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0236】
「NMI」………N−メチルイミダゾールの略記
【0237】
参考例7〔化合物(C)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの500部と、酢酸n−ブチルの300部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、110℃にまで昇温した。
【0238】
次いで、同温度で、メチルメタアクリレートの400部、n−ブチルメタクリレートの130部、n−ブチルアクリレートの235部、β−ヒドロキシエチルメタアクリレート232部およびアクリル酸の3部と、キシレンの200部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの20部およびtert−ブチルパーオキシ−ベンゾエートの10部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0239】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が53.2%で、かつ、数平均分子量が8,200、固形分水酸基価が100なる、水酸基を有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、これを(C−1)と略記する。
【0240】
参考例8(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの500部と、酢酸n−ブチルの300部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、110℃にまで昇温した。
【0241】
次いで、同温度で、シクロヘキシルメタアクリレートの400部、メチルメタアクリレートの58部、n−ブチルメタクリレートの307部、β−ヒドロキシエチルメタアクリレート232部およびメタクリル酸の3部と、キシレンの200部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの20部およびtert−ブチルパーオキシ−ベンゾエートの10部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0242】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が56.8%で、数平均分子量が9,000で、かつ、固形分基準の水酸基価が100なる、水酸基を有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、これを(C−2)と略記する。
【0243】
参考例9(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの500部と、酢酸n−ブチルの300部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、110℃にまで昇温した。
【0244】
次いで、同温度で、シクロヘキシルメタアクリレートの600部、メチルメタアクリレートの165部、β−ヒドロキシエチルメタアクリレート232部およびメタクリル酸の3部と、キシレンの200部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの20部およびtert−ブチルパーオキシ−ベンゾエートの10部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0245】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が56.8%で、数平均分子量が8,700で、かつ、固形分基準の水酸基価が100なる、水酸基を有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、これを(C−3)と略記する。
【0246】
参考例10(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートの506部、2,2−ジメチロールプロピオン酸の5部、キシレンの341部およびジブチルチンジオクテートの0.44部を仕込んで、乾燥窒素ガスの通気下に、90℃にまで昇温した。
【0247】
次いで、同温度で、イソホロンジイソシアネートの489部およびキシレンの326部とからなる混合物を、1時間に亘って滴下して、滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌し、赤外線吸収スペクトル分析(IR分析)によって、イソシアネート基が消失したことを確認して、不揮発分が65.1%で、数平均分子量が3,200で、かつ、固形分基準の水酸基価が35.3なる、水酸基含有ポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、これを(C−4)と略記する。
【0248】
参考例11〔化合物(B)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの350部と、酢酸n−ブチルの150部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0249】
次いで、同温度で、スチレンの100部、メチルメタアクリレートの400部、n−ブチルメタクリレートの300部、n−ブチルアクリレートの150部、および無水マレイン酸の50部と、キシレンの350部および酢酸n−ブチルの150部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0250】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が51.7%で、数平均分子量が9,500で、かつ、固形分基準の酸無水基価が28.6なる、酸無水基を有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、これを(B−1)と略記する。
【0251】
《相溶性試験》
【0252】
第3表に示すような使用比率で以て、水酸基を有するアクリル系重合体(C−1;不揮発分=53.2%)と、炭素原子に結合した水酸基とエステル基とを併有する、鎖状のジメチルポリシロキサン(A−6;不揮発分=100%、水酸基価=182、分子量=1,132)との混合溶液の相溶性と、
【0253】
水酸基を有するアクリル系重合体(C−1)と、ポリシロキサン(A−6)とほぼ同じ分子量を有する、炭素原子に結合した水酸基のみを有する「X−22−160AS」[信越化学工業(株)製の、ジメチルポリシロキサンの商品名;不揮発分=100%、水酸基価=112、分子量=1,002]との混合溶液の相溶性とを比較し、それらの結果を、まとめて、第3表に示す。
【0254】
【表6】
Figure 0003599141
【0255】
混合溶液の様子は、次の通りであった。
【0256】
配合例1の場合にあっては、二層に分離してしまったが、それぞれ、上層が粘度のある、白濁液体であり、下層は白色固体であった。
【0257】
配合例2の場合にあっては、完全に、二層に分離してしまって、それぞれ、上層が粘度の低い、透明液体であり、下層は白色固体であった。
【0258】
配合例3の場合にあっては、全体が均等な白濁液体でった。
【0259】
配合例4の場合にあっては、完全に、二層に分離してしまって、それぞれ、上層が透明液体であり、下層は白濁液体であった。
【0260】
以上の相溶性試験の結果より、水酸基を有するアクリル系重合体(C−1)に対する相溶性というものは、炭素原子に結合した水酸基とエステル基とを併有する、鎖状のジメチルポリシロキサン(A−7)の方が、炭素原子に結合した水酸基のみを有するジメチルポリシロキサン(「X−22−160AS」)に比べて、良好であることが判明した。
【0261】
実施例1〜8ならびに比較例1および2
まず、第4表に示すような使用比率で以て、ポリシロキサン(A)と、化合物(C)と、顔料との混合物を、サンドミルを使用して、分散せしめることによって、各種の白色ベースを調製し、
【0262】
次いで、それぞれの白色ベースに、化合物(B)を配合せしめることによって、顔料重量濃度(PWC)が35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0263】
かくして得られた、それぞれの塗料を、電着中塗り水研ぎ板[日本ルート・サービス(株)製の商品名;これは、予め、ポリエステルーメラミン系塗料が塗装された塗装鋼板を水研ぎして得られた鋼板]上に、乾燥膜厚が約40マイクロ・メータ(μm)となるように、アプリケーターで塗布し、同表に示すような硬化条件で以て、硬化せしめることによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0264】
此処において得られた、本発明の硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも外観に優れるというものであったが、それぞれの塗膜についての諸性能を評価判定した結果を、まとめて、同表に示す。
【0265】
【表7】
Figure 0003599141
【0266】
《第4表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0267】
「DN−990S」は、「バーノック DN−990S」の略記であって、大日本インキ(株)製の、ポリイソシアネート化合物の商品名である。
【0268】
「L−105−60」は、「スーパーベッカミン L−105−60」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、アミノ樹脂の商品名でる。
【0269】
「DB−980K」は、「バーノック DB−980K−75」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、ブロック・ポリイソシアネート化合物の商品名である。
【0270】
「CR−93」は、「タイペーク CR−93」の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型酸化チタンの商品名である。
【0271】
【表8】
Figure 0003599141
【0272】
《第4表の脚注》
「耐候性」は、サンシャイン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)なる光沢値を、未曝露時における、塗膜の同上の光沢値で以て除して、それを、100倍した値(光沢保持率:%)を表示したものである。
【0273】
此の値が大きいほど、耐候性が良好であるということを意味している。
【0274】
「撥水性(1)」は、「初期の撥水性」(つまり、「初期撥水性」)の略記であって、これは、協和界面化学(株)製の「CA−Z型自動接触角測定装置」を使用して、塗膜と水との接触角を測定し、その接触角の値で以て表示したものである。
【0275】
「撥水性(2)」は、「耐候性試験後の撥水性」の略記であって、これは、サンシャイン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ曝露を行なったのちの塗膜と、水との接触角を、上述した「初期撥水性」の場合と同様にして測定をし、その接触角の値で以て表示したものである。
【0276】
「耐酸性」は、それぞれの塗膜表面上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せたパネル(試験板)を、70℃の熱風乾燥機中において、30分間のあいだ保持したのちに、塗膜表面を、各別に、水洗し乾燥してから、その表面状態を、目視により、評価判定したものである。
【0277】
その際の評価基準は、次の通りである。
【0278】
◎………エッチングなし
◎−○…微かに、エッチングあり
○………若干ながら、エッチングあり
×………エッチングが著しい
【0279】
【表9】
Figure 0003599141
【0280】
《第4表の脚注》
「(A)」なる成分の表示は、「ポリシロキサン(A)」なる成分名の略記である。
【0281】
「GT−400」は、「エポリード GT−400」の略記であって、ダイセル(株)製の、ポリエポキシ化合物の商品名である。
【0282】
DLDMAAc………ジラウリルジメチル・アンモニウム・アセテートの略記
【0283】
Figure 0003599141
【0284】
【表10】
Figure 0003599141
【0285】
以上に詳説した通り、本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ基含有ポリシロキサンと、活性水素含有基を有する化合物とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンと、此の水酸基と反応する官能基を有する化合物とから成るか、
【0286】
あるいはエポキシ基含有ポリシロキサンと、活性水素含有基を有する化合物とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンと、此の水酸基と反応する官能基を有する化合物と、活性水素含有基を有する化合物とから成るという、斬新なるものである処から、
【0287】
とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐酸性などの、高度の、いわゆる耐久性に優れるという、極めて実用性の高い硬化塗膜を形成することの出来る、特に、被覆用組成物として、極めて有用なるものである。
【0288】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性組成物は、とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐酸性などの、高度の、いわゆる耐久性に優れるという、極めて実用性の高い硬化塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として、頗る、斬新なるものである。

Claims (7)

  1. エポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)と、活性水素を有する基を含有する化合物(a−2)とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、炭素原子に結合した水酸基と反応する官能基を有する化合物(B)とを含有することを特徴とする、硬化性組成物。
  2. エポキシ基を有するポリシロキサン(a−1)と、活性水素を有する基を含有する化合物(a−2)とを反応せしめて得られる、炭素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(A)と、炭素原子に結合した水酸基と反応する官能基を有する化合物(B)と、活性水素を含む基を有する化合物(C)とを含有すること特徴とする、硬化性組成物。
  3. 前記した化合物(a−2)に含有される、活性水素を有する基がカルボキシル基である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記した化合物(a−2)が有機カルボン酸である、請求項1、2または3に記載の組成物。
  5. 前記した化合物(B)が、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、カルボン酸無水基を有する化合物およびアミノ樹脂よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物である、請求項1または2に記載の組成物。
  6. 前記した化合物(C)が水酸基を有するビニル系重合体である、請求項2に記載の組成物。
  7. 前記した化合物(C)が水酸基を有するアクリル系重合体である、請求項2または6に記載の組成物。
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