JP3684705B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、加水分解性シリル基含有重合体;あるいは加水分解性シリル基と、此の加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または少なくとも2種の相互に反応する官能基とを有する重合体と、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンとを縮合反応させて得られる特定の樹脂と、硬化触媒とから成る、とりわけ、耐久性ならびに耐酸性などに優れる、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
そして、このような斬新なる、本発明の硬化性樹脂組成物は、とりわけ、耐久性ならびに耐酸性などが要求される、特に、自動車上塗り塗料用あるいは建築外装塗料用として、さらには、耐熱塗料用、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも利用し適用することが出来るものである。
【0003】
【従来の技術】
これまでにも、とかく、耐久性に優れる硬化性樹脂組成物としては、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基の如き、いわゆる官能基を有する、アクリル系重合体、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などのような、種々の樹脂成分と、ポリイソシアネート樹脂、エポキシ樹脂またはアミノ樹脂などのような、種々の硬化剤とから成る硬化性樹脂組成物が、幅広く、利用し適用されて来てはいる。
【0004】
しかしながら、かかる硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、曝露時の光沢保持性ならびに撥水性保持性などの、いわゆる耐久性が不十分であり、したがって、高度の耐久性などが要求されるような用途には、全くと言ってよいほど、利用し適用することが出来ない、という問題がある。
【0005】
また、かかる組成物からなる塗料が、自動車のトップコートとして塗装された場合には、此のトップコートは、比較的、容易に、酸性雨により侵されてしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型技術に従って得られる硬化性樹脂組成物からは、どうしても、高度の耐久性や耐酸性などを有するという、極めて実用性の高い硬化塗膜を得ることが出来なく、そのためにも、曝露時の光沢保持性ならびに撥水性保持性などの高度の耐久性と、高度の耐酸性とを有する硬化塗膜を与える、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物の登場が、強く、望まれている。
【0007】
このために、本発明者らは、こうした高度の耐久性ならびに耐酸性などを有する硬化塗膜を形成することの出来る、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物を求めて、鋭意、研究を開始した。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとしている課題は、一にかかって、とりわけ、高度の耐久性や耐酸性などを有する硬化塗膜を形成することの出来る、極めて実用性の高い、斬新なる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、かかる現状に鑑み、そして、上述したような本発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、加水分解性シリル基含有重合体;あるいは加水分解性シリル基と、該加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または相互に反応する少なくとも2種の官能基とを有する重合体と、特定のポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂と、硬化触媒とから成る硬化性樹脂組成物が、
【0010】
とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐酸性などの諸性能に極めて優れる硬化塗膜を与えるということを見出し、その結果、上述したような発明が解決しようとする課題を、見事に、解決することが出来るということを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0011】
すなわち、本発明は、基本的には、それぞれ、加水分解性シリル基を有する重合体(a−1);あるいは此の加水分解性シリル基と、該加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または相互に反応する少なくとも2種の官能基とを有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)との混合物に水を添加し、前記重合体(a−1)の有する加水分解性シリル基を加水分解反応させ、次いで前記重合体(a−1)と前記ポリシロキサンを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、硬化触媒(B)とから成る、とりわけ、光沢保持性、撥水性保持性ならびに耐酸性などに極めて優れる硬化塗膜を与えることの出来るような、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0012】
このように、本願は、それぞれ、加水分解性シリル基を有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)との混合物に水を添加し、前記重合体(a−1)の有する加水分解性シリル基を加水分解反応させ、次いで前記重合体(a−1)と前記ポリシロキサンを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、硬化触媒(B)とを含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物を請求しているものであるし、
【0013】
また、上記した加水分解性シリル基を有する重合体(a−1)が、特に、此の加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または相互に反応する少なくとも2種の官能基をも有する重合体であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0014】
あるいは亦、上記した自己縮合性の官能基が、特に、N−ヒドロキシメチルアミド基およびN−アルコキシメチルアミド基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0015】
さらに、上記した、相互に反応する官能基が、特に、水酸基、ブロックされた水酸基、ブロックされたイソシアネート基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基およびカーバメート基よりなる群から選ばれる、少なくとも2種の官能基であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0016】
さらには、上記した加水分解性シリル基が、特に、アルコキシシリル基であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0017】
さらには亦、上記した重合体(a−1)が、特に、ビニル系重合体であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0018】
また、上記したビニル系重合体が、特に、アクリル系重合体であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0019】
あるいは、上記した、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)が、特に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0020】
あるいは亦、上記した、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)が、特に、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物および其れらの部分共加水分解縮合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランを用いて得られるものであるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0021】
さらに、上記した硬化触媒(B)が、特に、錫系化合物;4級アンモニウム系化合物;アミン系化合物;および一分子中に、それぞれ、アミノ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有する化合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0022】
さらには、上記した加水分解性基が、特に、アルコキシ基であるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しようとしているものである。
【0023】
以下に、本発明を、さらに詳細に、説明することにする。
【0024】
ここにおいて、まず、本発明に係る硬化性樹脂組成物の一成分である、上記した樹脂(A)を調製する際に使用される、重合体(a−1)とは、加水分解性シリル基を有する重合体;あるいは此の加水分解性シリル基に加えて、該加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または相互に反応する少なくとも2種の官能基をも有する重合体を指称しているものである。
【0025】
こうした当該重合体(a−1)における、上記加水分解性シリル基は、当該重合体(a−1)の分子末端部分または分子側鎖部分のずれか一方、あるいは分子末端と分子側鎖部分との双方のいずれの形で以て導入されていてもよい。
【0026】
ここでいう加水分解性シリル基とは、たとえば、次の一般式
【0027】
【化1】
【0028】
〔ただし、式中のR1 はアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R2 は水素原子もしくはハロゲン原子またはアルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。〕
【0029】
で示されるような、加水分解されて、シラノール基を生成するというような形の官能基を指称しているものである。
【0030】
前記した加水分解性シリル基以外自己縮合性の官能基としては、公知慣用の種々の自己縮合性官能基を挙げることが出来るが、それらのうちで、望ましいもののみを例示するにとどめれば、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基、N−アルコキシカルボニルヒドロキシメチルアミド基またはN−アルコキシカルボニルアルコキシメチルアミド基などであり、それらのなかでも、特に、N−ヒドロキシメチルアミド基またはN−アルコキシメチルアミド基が望ましい。
【0031】
さらに、前記した、相互に反応する少なくとも2種の官能基の組み合わせ例としては、公知慣用の種々の組み合わせなどが挙げられるが、それらのうちでも特に代表的な組み合わせのみを例示するにとどめれば、水酸基とN−ヒドロキシメチルアミド基、水酸基とN−アルコキシメチルアミド基、水酸基とN−アルコキシカルボニルヒドロキシメチルアミド基、水酸基とN−アルコキシカルボニルアルコキシメチルアミド基、水酸基とブロックされたイソシアネート基、ブロックされた水酸基とイソシアネート基、ブロックされた水酸基とカルボン酸無水基、カーバメート基とN−ヒドロキシメチルアミド基、カーバメート基とN−アルコキシメチルアミド基、カーバメート基とN−アルコキシカルボニルヒドロキシメチルアミド基、カーバメート基とN−アルコキシカルボニルアルコキシメチルアミド基、カーバメート基とエポキシ基、あるいはブロックされたイソシアネート基とアミノ基などであるし、
【0032】
さらには、ブロックされたイソシアネート基とカルボキシル基、シクロカーボネート基とカルボキシル基、シクロカーボネート基とカルボン酸無水基、ブロックされたカルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とオキサゾリン基、1ないしは2級アミド基とN−ヒドロキシメチルアミド基、1ないしは2級アミド基とN−アルコキシメチルアミド基、1ないしは2級アミド基とN−アルコキシカルボニルヒドロキシメチルアミド基、1ないしは2級アミド基とN−アルコキシカルボニルアルコキシメチルアミド基、アセトアセトキシ基とN−ヒドロキシメチルアミド基、アセトアセトキシ基とN−アルコキシメチルアミド基、アセトアセトキシ基とN−アルコキシカルボニルヒドロキシメチルアミド基、アセトアセトキシ基とN−アルコキシカルボニルアルコキシメチルアミド基、あるいはアセトアセトキシ基とブロックされたイソシアネート基などであるが、
【0033】
それらのうちでも、特に、水酸基、ブロックされた水酸基、ブロックされたイソシアネート基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基およびカーバメート基よりなる群から選ばれる、少なくとも2種の官能基からなる組み合わせが望ましい。
【0034】
また、これらの各官能基の組み合わせに際しては、それぞれの1組のみを、当該重合体(a−1)中に含有させるということも出来るし、2組以上を含有させるということも出来る。
【0035】
当該重合体(a−1)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビニル系重合体;あるいはポリエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系樹脂などである。
【0036】
これらのうちでも特に望ましいものとしては、アクリル系重合体などのような、いわゆるビニル系重合体などが挙げられる。
【0037】
かかる重合体(a−1)のうちの、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体を調製するには、公知慣用の種々の方法を利用し適用することが出来るが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0038】
(i) 加水分解性シリル基を有するビニル系単量体を重合せしめるか、あるいは此れと共重合可能なる其の他のビニル系単量体とを共重合せしめるということによって、側鎖部分に、加水分解性シリル基を導入した形のものを得るというような方法であるとか、
【0039】
(ii) 加水分解性シリル基を有するメルカプタン系、あるいは加水分解性シリル基を有するハロゲン系の、公知慣用の種々の連鎖移動剤の存在下に、ビニル系単量体をラジカル重合せしめるということによって、末端部分に、加水分解性シリル基を導入した形のものを得るというような方法であるとか、
【0040】
(iii) 加水分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤を使用して、末端部分に、加水分解性シリル基を導入した形のものを得るというような方法であるとか、
【0041】
(iv) 上記(i)なる方法と、上記した、それぞれ、(ii)および/または(iii)なる方法とを併用して、末端と側鎖部分の両方に、加水分解性シリル基を導入した形のものを得るというような方法、などの種々の方法を利用し適用することが出来る。これらのうちでも、(i)の方法によるのが、特に簡便であるので、推奨され得よう。
【0042】
当該重合体(a−1)として、加水分解性シリル基に加えて、該加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基を導入するには、前述した、(i)〜(iv)なる方法において、必須のビニル系単量体としての、自己縮合性の官能基を有する単量体を使用するというようにすればよい。そして、こうした、(i)〜(iv)なる各種の方法のうちでも、特に、(i)なる方法を利用し適用するのが、最も簡便である。
【0043】
一方、当該重合体(a−1)として、加水分解性シリル基に加えて、相互に反応する官能基の2種以上をも導入するには、前述した、(i)〜(iv)なる方法において、各方法において含まれるべき官能基が相互に反応するというような、そうした異なれる夫々の官能基を有する2種以上のビニル系単量体を使用するというようにすればよい。そして、これらの各種の方法のうち、(i)なる方法を利用し適用するのが、最も簡便である。
【0044】
そして、上述したような方法に従って、斯かる重合体(a−1)を調製する際に使用し得る、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルまたはトリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
【0045】
あるいはメチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランまたは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランなどである。
【0046】
また、上述したような方法に従って、斯かる重合体(a−1)中に、加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基を導入する際に使用される、こうした、自己縮合性の官能基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエーテルまたはメチルアクリルアミドグリコレートなどである。
【0047】
ビニル系重合体(a−1)中に水酸基を導入する際に使用される、水酸基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0048】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテルまたは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニルエーテル類;
【0049】
2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、各種のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、各種の不飽和カルボン酸とから得られる部類の、種々のポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;
【0050】
前掲したような各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、各種のラクトン類との種々の付加物;あるいはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、各種のエポキシ基含有不飽和単量体と、酢酸などで以て代表されるような、各種の酸類との種々の付加物;
【0051】
さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、各種の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)などで以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイド以外の、各種のモノエポキシ化合物との付加物などのような、種々の水酸基含有単量体類などである。
【0052】
当該重合体(a−1)中に、ブロックされた水酸基を導入する際に使用される、此のブロックされた水酸基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエーテルまたは4−トリメチルシロキシブチルビニルエーテルの如き、特開昭62−283163号公報に開示されているような、種々のシリルエーテル基含有ビニル系単量体類;
【0053】
2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランまたは2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメチルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報に開示されているような、種々のアセタール基−またはケタール基含有含有ビニル系単量体類;
【0054】
あるいは3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジン、2,2−ジメチル−3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンまたは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンの如き、種々のオキサゾリジン基含有ビニル系単量体類などである。
【0055】
当該重合体(a−1)中に、ブロックされたイソシアネート基を導入する際に使用される、此のブロックされたイソシアネート基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートや3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナートなどの各種のイソシアネート基含有ビニル系単量体と、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルまたはアセトアニリドなどのような各種の活性水素含有化合物との種々の付加反応物などである。
【0056】
当該重合体(a−1)中に、カルボキシル基を導入する際に使用される、此のカルボキシル基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0057】
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルの如き、各種の不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類との種々のモノエステル類(ハーフ・エステル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
【0058】
あるいは無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と、前掲したような各種の水酸基含有ビニル系単量体類との種々の付加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られるような部類の種々の単量体類などであるし、
【0059】
さらには、カルボキシル基と同様の反応が期待される酸基を有する「ライトエステル PMまたはPA」[共栄社油脂化学工業(株)製の商品名]などのような、各種の燐酸エステル基含有単量体類;あるいはスチレンスルホン酸またはビニルスルホン酸などのような、各種のスルホン酸基含有単量体類もまた、カルボキシル基含有単量体と同様に、当該重合体(a−1)中に酸基を導入する際に使用することが出来る。
【0060】
当該重合体(a−1)中に、ブロックされたカルボキシル基を導入する際に使用される、此のブロックされたカルボキシル基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチル−t−ブチルシリル(メタ)アクリレートまたはトリメチルシリルクロトネートの如き、特開昭62−254876号公報に開示されているような種々のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0061】
1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンまたは2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフランの如き、特開平5−222134号公報に開示されているような部類の、種々のヘミアセタールエステル基またはヘミケタールエステル基を有する単量体;あるいはtert−ブチル(メタ)アクリレートまたはt−ブチルクロトネートの如き、tert−ブチルエステル基含有単量体類などである。
【0062】
当該重合体(a−1)中に、カルボン酸無水基を導入する際に使用される、此のカルボン酸無水基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、無水マレイン酸または無水イタコン酸の如き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル酸または無水メタクリル酸の如き、各種の不飽和モノカルボン酸の無水物類;あるいはアクリル酸またはメタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸または安息香酸などのような、種々の飽和カルボン酸との混合酸無水物などである。
【0063】
当該重合体(a−1)中に、アミノ基を導入する際に使用される、此のアミノ基を有するビニル系単量体として特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、
【0064】
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0065】
ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾールまたはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0066】
N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;
【0067】
N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;
【0068】
2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0069】
当該重合体(a−1)中に、アミノ基を導入する際の其の他の方法として、初めに、前掲したようなカルボキシル基含有ビニル系単量体を重合せしめるということによって、重合体(a−1)中にカルボキシル基を導入し、それに続いて、該カルボキシル基に対して、エチレンイミンなどのような各種のアルキレンイミン類あるいはN−メチルエチレンイミンなどのような各種のN−置換アルキレンイミン類を反応させる方法であるとか、
【0070】
さらには、初めに、後掲するようなエポキシ基含有ビニル系単量体を重合せしめるということによって、重合体(a−1)中にエポキシ基を導入し、それに続いて、アンモニア、あるいはメチルアミン、エチルアミンまたはn−プロピルアミンの如き、各種の1級アミン類を反応せしめる方法などを利用し適用することも出来る。
【0071】
当該重合体(a−1)中に、シクロカーボネート基を導入する際に使用される、此のシクロカーボネート基含有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0072】
2,3−カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、6,7−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、7,8−カーボネートオクチル(メタ)アクリレート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートまたはジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの如き、5員環の種々のシクロカーボネート基含有ビニル系単量体類;
【0073】
さらには、5−〔N−(メタ)アクリロイルカルバモイルオキシメチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}カルバモイルオキシメチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチルスチレンまたは5−メチレン−2−オキソ−1,3−ジオキサンの如き、6員環の種々のシクロカーボネート基含有ビニル系単量体類などである。
【0074】
当該重合体(a−1)中に、エポキシ基を導入する際に使用される、此のエポキシ基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、種々の単量体類などである。
【0075】
当該重合体(a−1)中に、N−ヒドロキシメチルアミド基またはN−アルコキシメチルアミド基を導入する際に使用される、此のN−ヒドロキシメチルアミド基を有するビニル系単量体またはN−アルコキシメチルアミド基を有するビニル系単量体として特に代表的なものとしては、前述したような、自己縮合性の官能基を有するビニル系単量体として、すでに例示した通りのものなどである。
【0076】
当該重合体(a−1)中に、カーバメート基を導入する際に使用される、此のカーバメート基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メチル、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸エチル、N−〔2−((メタ)アクリロイルオキシ〕エチルカルバミン酸エチル、2−カルバモイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(N−メチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートまたは2−(N−エチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートなどをはじめ、
【0077】
さらには、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと、2−ヒドロキシプロピルカーバメートとの付加反応物、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、フェノールとの付加反応物、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、エタノールとの付加反応物、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、メチルエチルケトオキシムとの付加反応物などである。
【0078】
当該重合体(a−1)中に、1級アミドまたは2級アミド基を導入する際に使用される、此の1級アミドまたは2級アミド基を有するビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ビニルフォルムアミドなどである。
【0079】
そしてまた、前述したような方法に従って、斯かる重合体(a−1)を調製する際に使用し得る、共重合可能なる其の他のビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0080】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートまたはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なる炭素数の、tert−ブチルアルコールを除く、アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル類;
【0081】
ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートまたはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレートまたはメトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0082】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルまたは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;
【0083】
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネートまたはジブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸の種々のジアルキルエステル類;(メタ)アクリロニトリルまたはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;
【0084】
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンまたはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルまたは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0085】
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルまたはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルまたはメチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;
【0086】
アクロレインまたはメチルビニルケトンの如き、各種のカルボニル基含有単量体類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジンまたはN−ビニルピロリドンの如き、各種の3級アミド基含有単量体類などであるし、あるいは「ブレンマー PME」[日本油脂(株)製の商品名]の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類などである。
【0087】
以上に掲げられたような種々の単量体を用いて、当該重合体(a−1)を調製するには、溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのような、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来るが、それらのうちでも、特に、有機溶剤中でのラジカル重合法、つまり、溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便である。
【0088】
此の溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる重合開始剤としては、勿論ながら、公知慣用の種々の化合物が使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0089】
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)または2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0090】
あるいはtert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドまたはアセチルパーオキサイドなどをはじめ、
【0091】
さらには、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドまたはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などである。
【0092】
また、溶液ラジカル重合法を適用する際に使用することが出来る有機溶剤としては、公知慣用の種々の有機溶剤のうちの、いずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0093】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ホワイト・スピリットまたはミネラル・スピリットの如き、それ自体が、種々の炭化水素からなる混合物などをはじめ、
【0094】
さらには、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンまたはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環式系の炭化水素類などであるし、
【0095】
さらには亦、トルエン、キシレンまたはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルもしくは酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
【0096】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコールまたはtert−アミルアルコール
【0097】
またはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノブチルエーテルの如き、各種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンまたはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0098】
あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類;あるいは亦、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0099】
当該重合体(a−1)を調製する際に、官能基含有単量体として、カルボキシル基含有ビニル系単量体を使用する場合には、その使用量が多くなると、重合時において、ゲル化が起こることが、屡々ある。
【0100】
こうしたゲル化を防止するためには、エチルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネートまたはメチルオルソフォーメイトの如き、各種の加水分解性エステル類を、前掲したような溶剤類と併用するというようにすればよい。
【0101】
以上に掲げたような、それぞれ、単量体類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジカル重合法を適用することによって、それぞれ、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a−1);あるいは加水分解性シリル基と該官能基以外の自己縮合性の官能基および/または少なくとも2種の相互に反応する官能基を有するビニル系重合体(a−1)を調製するということが出来る。
【0102】
かくして得られる当該ビニル系重合体(a−1)中に導入されるべき加水分解性シリル基量としては、当該重合体の固形分1,000グラム(g)当たり、0.005〜3モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
【0103】
0.005モル未満の場合には、どうしても、当該ビニル系重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)との縮合反応が進行しずらくなり、ひいては、得られる硬化物の、とりわけ、耐久性などが低下するようになるし、一方、3モルを超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、前述した縮合反応時の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化が起きてしまうなどの不都合があるので、いずれの場合も好ましくない。
【0104】
また、かくして得られる当該ビニル系重合体(a−1)中に、必要に応じて導入されるべき加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または少なくとも2種の相互に反応する夫々の官能基の量としては、当該ビニル系重合体(a−1)の固形分1,000グラム当たり、それぞれ、0.1〜6モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜4モルなる範囲内が適切である。
【0105】
0.1モル未満の場合には、どうしても、硬化性などが劣るようになり、ひいては、得られる硬化物の、とりわけ、耐久性なども低下するようになるし、一方、6モルを超えて余りにも多くなる場合には、どうしても、硬化物の、とりわけ、耐水性ならびに耐薬品性などが低下するようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0106】
また、当該ビニル系重合体(a−1)の数平均分子量としては、300〜100,000なる範囲内が、好ましくは、600〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好ましくは、600〜30,000なる範囲内が適切である。
【0107】
300未満の場合には、どうしても、とりわけ、硬化性ならびに硬化物の、とりわけ、機械的強度などが劣るようになるし、一方、100,000を超えて余りにも高くなるというような場合には、どうしても、得られる組成物の不揮発分が著しく低くなるし、ひいては、塗装作業性にも劣るというようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0108】
さらに、当該ビニル系重合体(a−1)として、重合性不飽和二重結合(重合性二重結合)を有する、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在下に、
【0109】
加水分解性シリル基含有ビニル系単量体;あるいは此の加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、該官能基以外の自己縮合性の官能基を有するビニル系単量体および/または夫々に含まれる官能基が相互に反応するものであるというような、異なれる官能基を有する2種以上のビニル系単量体を必須成分とする、前掲したような種々のビニル系単量体をラジカル重合せしめることによって得られる、加水分解性シリル基あるいは此の加水分解性シリル基と該官能基以外の自己縮合性の官能基および/または相互に反応する少なくとも2種の官能基とを有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、それぞれ、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用することも出来る。
【0110】
次いで、本発明において用いられる樹脂(A)、つまり、前述したような加水分解性シリル基含有重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)との縮合反応生成物たる樹脂を調製する際に使用される、他方の一必須構成成分である、こうした、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)とは、一般的に、シラノール基と呼称されているような、いわゆる、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサンを指称しているものである。
【0111】
当該ポリシロキサン(a−2)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめるということによって調製される、当該珪素化合物の加水分解縮合物などである。
【0112】
前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解によって、当該ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用される、珪素原子に結合した加水分解性基を有する当該珪素化合物としては、公知慣用の種々の化合物が、いずれも、使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のような一般式
【0113】
【化2】
R3 bSiR4 4-b (II)
【0114】
〔ただし、式中のR3 は、それぞれ、置換基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の有機基を表わすものとし、R4 は水素原子もしくはハロゲン原子またはアルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、bは1または2なる整数であるものとする。〕
【0115】
で以て示される珪素化合物;これらの珪素化合物のうちの1種の部分加水分解縮合によって得られる形の部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合によって得られる形の部分共加水分解縮合物;
【0116】
あるいは
【0117】
【化3】
(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 Si(OCH2 CH3 )3
【0118】
または
【0119】
【化4】
(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 CH2 Si(OCH2 CH3 )3
【0120】
などのような、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0121】
前掲したような一般式(II)で示される珪素化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0122】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシランまたはn−ブチルトリエトキシシラン、
【0123】
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランまたはアリルトリメトキシシラン、
【0124】
あるいはトリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランまたは3−(2ーアミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシシラン類;
【0125】
あるいは亦、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランまたはジ−n−ブチルジエトキシシラン、
【0126】
あるいはジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルジエトキシシランまたは3−(2ーアミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;
【0127】
メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、3−アミノプロピルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルメチルジクロロシランまたは3−(2−アミノエチル)アミノプロピルエチルジクロロシランのの如き、各種のクロロシラン類;
【0128】
あるいはメチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランまたはジフェニルジアセトキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類などである。
【0129】
これらのうちでも、当該珪素化合物として特に望ましいものとしての、代表的なるもののみを例示するにとどめれば、オルガノトリアルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシランなどをはじめ、さらには、それらの部分加水分解縮合物あるいは其れらの部分共加水分解縮合物などである。
【0130】
また、当該ポリシロキサン(a−2)を調製するに際し、前掲したような各種の珪素化合物に加えて、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラクロロシランまたはテトラアセトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン類;あるいは一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を4個有する、いわゆる四官能性の珪素化合物をも併用することが出来るし、
【0131】
さらには、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリ−{3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル}メトキシシラン、トリ−(3−グリシドキシプロピル)エトキシシランまたはトリ(3−アミノプロピル)クロロシランの如き、一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を1個のみ有する、いわゆる一官能性の珪素化合物をも併用することが出来る。
【0132】
前掲したような各種の珪素化合物を加水分解縮合せしめることによって、当該ポリシロキサン(a−2)として使用される加水分解縮合物を得ることが出来るが、その際に、触媒を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、これらの縮合反応を容易に進行させる上からは、触媒を使用することが望ましい。
【0133】
ここにおいて、触媒を使用する場合には、公知慣用の触媒のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0134】
かかる触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0135】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまたはテトラ−n−ブチルチタネートの如き、各種のチタン酸エステル類;ジ−n−ブチル錫ジアセテート、ジ−n−ブチル錫ジオクテート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0136】
鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如き、各種の金属のナフテン酸塩ないしはオクチル酸塩の如き、種々の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセテートまたはアルミニウムトリスエチルアセトアセテートの如き、各種のアルミニウム化合物;
【0137】
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミンもしくはオクチルアミン、
【0138】
またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールもしくは1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のアミン化合物類;
【0139】
テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩またはo−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種の4級アンモニウム塩類であって、
【0140】
さらには、代表的なる対アニオンとしての、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートまたはハイドロオキサイドなどを有する、いわゆる4級アンモニウム塩類などである。
【0141】
こうした触媒の使用量としては、加水分解ないしは部分加水分解に供される珪素化合物に対して、0.0001〜10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、一層好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0142】
また、前述した反応に用いられる水の量としては、かかる珪素化合物の珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、0.5モル以上が、好ましくは、0.75モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、1.0モル以上が適切である。
【0143】
0.5モル未満の場合には、どうしても、加水分解が完全に進行し得なるというようになってしまい、ひいては、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)を得るということが出来なくなってしまい易いので、好ましくない。
【0144】
そして、これらの触媒ならびに水の添加は、一括添加でも、分割添加でもよければ、また、触媒と水とを混合して、併用した形で以て添加してもよければ、あるいは別々に添加してもよいことは、勿論である。
【0145】
かかる反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧あるいは加圧または減圧下の、いずれの条件においても行なうことが出来る。
【0146】
そして、かかる反応の副生成物である、それぞれ、アルコールや水などが、引き続いて行なわれる、それぞれ、前述した重合体(a−1)と、当該ポリシロキサン(a−2)との縮合反応の段階などや、得られる硬化性樹脂組成物としての安定性などにおいて問題を起こすようであれば、蒸留などの手段によって、系外に除くことが出来るし、問題が無いようであれば、そのまま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無い。
【0147】
また、かかる反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌などが、容易に行なえるようにするためにも、有機溶剤を使用することが望ましい。
【0148】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の種々の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0149】
その際に使用される有機溶剤としては、前述したビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用できるものとして、すでに、前掲して来たような種々の化合物を使用することが出来る。
【0150】
そして、かかる有機溶剤を使用して、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)を調製する際には、一分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の、かかる有機溶剤中における濃度としては、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0151】
樹脂(A)を調製するに際に使用される、このような、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)としては、前述したような処方によって調製される、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物を使用することが出来るし、
【0152】
さらには、シラノール基(すなわち、珪素原子に結合した水酸基)を有するポリシロキサンとして市販されているような、それぞれ、「TSR−160」[東芝シリコーン(株)製の商品名]、「SH−6018」[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の商品名]または「GR−100、908もしくは950」[昭和電工(株)製の商品名]などで以て代表されるような、線状ないしは分岐状(分枝状)構造あるいはラダー(型)構造を有する加水分解縮合物を使用することも出来る。
【0153】
次いで、前述した、それぞれ、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応について述べることにする。
【0154】
当該縮合反応において、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との使用割合は、前者(a−1)成分:後者(a−2)成分なる重量部比が、5:95〜99:1程度になるように、好ましくは、10:90〜95:5、さらに好ましくは、20:80〜85:15になるように設定するのがよい。
【0155】
重合体(a−1)の重量部比が5%未満になるように設定する場合には、どうしても、ポリシロキサン(a−2)が多すぎるために、実用性の乏しい、脆い硬化塗膜が得られてしまうようになるし、一方、重合体(a−1)の重量部比が99%を超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、ポリシロキサン(a−2)が少なすぎるというために、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が得られ難くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0156】
こうした、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応を行なうに当たり、斯かる反応をスムーズに進行させるために、触媒を添加することが出来るが、当該触媒としては、此の(a−2)を調製する際に使用されるものとして、すでに掲げて来たような種々の触媒類を、そのまま、使用するということが出来る。
【0157】
また、斯かる反応に際して、ことさらに、触媒を添加せずとも、前述したような処方で以て調製されたポリシロキサン(a−2)中に残留している触媒のみであっても、此の一連の縮合反応を促進させ得ることは可能である。
【0158】
使用される触媒量としては、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との合計量に対して、0.0001〜10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、一層好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0159】
また、重合体(a−1)とポリシロキサン(a−2)との間の縮合反応をスムーズに進行せしめるためには、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基の加水分解を円滑に進行せしめることが望ましく、したがって、此の縮合反応を、水の存在下で以て行なうものである。
【0160】
水の存在下において当該縮合反応を行なうには、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との混合物に、水を加えて、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基を加水分解せしめ、引き続いて、脱水反応を行なうなどのようにして、此の反応を達成することが出来るし、
【0161】
また、ことさらに、水を加えずに、前述したような処方で以て調製された、此のポリシロキサン(a−2)中に残存している水を利用することによって、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基を加水分解せしめ、しかるのち、引き続いて、脱水反応を行なうことによってもまた、達成することが出来る。
【0162】
当該縮合反応を行なう際に、添加される水の量は、任意に選択できるし、触媒ならびに水の添加方法は、一括添加でも、分割添加でもよいし、また、触媒と水とを混合し、併用した形で以て添加しても、あるいは別々に添加してもよいことは、勿論である。
【0163】
こうした縮合反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧あるいは加圧または減圧下の、いずれの条件においても行なうことが出来る。
【0164】
また、此の縮合反応の副生成物である、それぞれ、アルコールや水などが、当該樹脂(A)中に含まれるために、本発明に係る硬化性樹脂組成物の安定性などの上で問題を起こすようであれば、蒸留などの手段によって、これらのアルコールや水などを系外に除くことが出来るし、問題が無ければ、そのまま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無い。
【0165】
さらに、此の縮合反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、攪拌などが容易に行なえるようにするためには、前述したポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用できるものとして、すでに掲げて来たような種々の有機溶剤類を使用することが望ましい。
【0166】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0167】
また、有機溶剤の存在下において、当該縮合反応を行なう場合の、重合体(a−1)成分と、ポリシロキサン(a−2)成分との、有機溶剤中における濃度としては、これらの両成分の合計量として、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0168】
このようにして調製される当該樹脂(A)中に含まれる官能基は、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)とに由来する、シラノール基に加えて、場合によっては、
【0169】
此の重合体(a−1)に由来する、N−ヒドロキシメチルアミド基もしくはN−アルコキシメチルアミド基で代表されるような、いわゆる自己縮合性の官能基の少なくとも1種および/または水酸基、ブロックされた水酸基、ブロックされたイソシアネート基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基もしくはカーバメート基で代表されるような各種の官能基のうちの相互に反応する官能基の少なくとも2種のものである。
【0170】
斯かる樹脂(A)を調製する際に、重合体(a−1)として、ブロックされた水酸基、ブロックされたカルボキシル基あるいはカルボン酸無水基を導入した形のものを使用した場合には、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させる段階で以て、これらの官能基の少なくとも一部分は、加水分解、酸触媒分解またはアルコリシスなどによって、遊離の水酸基ないしはカルボキシル基に変換されることもある。
【0171】
そして、斯かるブロックされた官能基の種類とか、あるいは重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応の条件などによっては、斯かるブロックされた官能基は、完全に、遊離の官能基に変換されることもある。
【0172】
本発明に係る硬化性樹脂組成物を構成する一必須成分たる、そして、本発明において使用される、前記した硬化触媒(B)とは、前述のようにして調製される樹脂(A)中に含まれる官能基であるシラノール基の縮合を促進させ得るようなものであるとか、あるいは該樹脂(A)中に含まれる自己縮合性の官能基の縮合を促進させ得るようなものであるとか、さらには、該樹脂(A)中に含まれる相互に反応する官能基間の反応を促進させ得るようなものなどを指称し総称しているものである。
【0173】
当該硬化触媒(B)としては、前述したようなポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用されるものとして、すでに掲げて来たような、種々の触媒類を使用することが出来るし、これに加えて、
【0174】
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランまたは3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの如き、一分子中にアミノ基と珪素原子に結合した加水分解性シリル基とを併有する化合物類;
【0175】
テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩またはベンジルホスホニウム塩類であって、
【0176】
さらには、代表的なる対アニオンとしての、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートまたはハイドロオキサイドなどを有するホスホニウム塩類;
【0177】
トリメチルスルホニウム塩、ベンジルテトラメチレンスルホニウム塩、フェニルベンジルメチルスルホニウム塩またはフェニルジメチルスルホニウム塩類であって、
【0178】
さらには亦、代表的なる対アニオンとしての、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートまたはハイドロオキサイドなどを有するスルホニウム塩類をも使用することが出来る。
【0179】
これらのうちで、当該硬化触媒として特に望ましい、代表的なるもののみを例示するにとどめれば、錫系化合物、4級アンモニウム系化合物またはアミン系化合物などをはじめ、さらには、一分子中に、それぞれ、アミノ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物などである。
【0180】
かかる硬化触媒(B)を添加する場合の当該触媒(B)の使用量としては、それぞれ、樹脂(A)の固形分合計量に対して、0.0001〜10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.001〜5重量%なる範囲内が、一層好ましくは、0.002〜3重量%なる範囲内が、それぞれ、適切である。
【0181】
また、前掲したような、特に代表的なる諸硬化触媒に加えて、前述した硬化触媒中に含まれる触媒効果を発現する原子団や基などを有する、各種の重合体などもまた、有効なる触媒として、使用することが出来る。
【0182】
以上のようにして調製される、本発明に係る硬化性樹脂組成物には、さらに、流動調整剤、顔料、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添加剤類などを配合せしめた形で以て、種々の用途に利用することが出来る。
【0183】
かくして得られる、本発明の硬化性組成物を、室温で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、あるいは80〜250℃程度の温度範囲で、約30秒間から約2時間程度のあいだ焼き付けを行なうことによって、極めて実用性の高い硬化物を得ることが出来る。
【0184】
本発明に係る硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、とりわけ、耐久性や耐酸性などに極めて優れるものであるという処から、主として、自動車上塗り用塗料用、建築外装用塗料用、耐熱塗料用、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などの用途に利用することが出来る。
【0185】
特に、本発明に係る硬化性樹脂組成物を塗料用として利用し適用しようとする場合には、そのための、主たる被塗物基材としての特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、鉄板、ステンレス・スチール板、クロム・メッキ板、トタン板もしくはブリキ板またはアルミニウム板、アルミサッシもしくはアルミホイルの如き、鉄ないしは非鉄金属系の各種の金属素材あるいは金属製品類をはじめ、さらには、瓦またはガラスなどである。
【0186】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0187】
参考例1〔重合体(a−1)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの350部およびn−ブタノールの150部と、オルソ蟻酸メチルの45部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0188】
次いで、同温度で、メチルメタアクリレートの400部、n−ブチルメタクリレートの362部、n−ブチルアクリレートの178部、3−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン30部およびアクリル酸の30部と、キシレンの249部およびn−ブタノールの107部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0189】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が54.3%で、かつ、数平均分子量が11,000なる、トリメトキシシリル基を有する目的重合体の溶液を得た。以下、これを、重合体(a−1−1)と略記する。
【0190】
参考例2〜9(同上)
単量体および溶剤類の種類と、その使用量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重合反応を行なって、同表に示すような性状値を有する、各種の重合体(a−1)を得た。それぞれの重合体は、第1表に示すように呼称する。
【0191】
【表1】
【0192】
【表2】
【0193】
【表3】
【0194】
【表4】
【0195】
【表5】
【0196】
【表6】
【0197】
【表7】
【0198】
【表8】
【0199】
《第1表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0200】
「MEK」……………………メチルエチルケトンの略記
【0201】
「3−MPTMS」…………3−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランの略記
【0202】
「2−HEMA」……………2−ヒドロキシエチルメタクリレートの略記
【0203】
「N−MAM−BE」………N−メチロールアクリルアミド−n−ブチルエーテルの略記
【0204】
「2−TMSEMA」………2−トリメチルシリルエチルメタクリレートの略記
【0205】
「2−N−MCEMA」……2−(N−メチルカルバモイル)エチルメタクリレートの略記
【0206】
「GCMA」…………………2,3−カーボネートプロピルメタクリレートの略記
【0207】
「1−EEA」………………1−エトキシエチルアクリレートの略記
【0208】
「GMA」……………………グリシジルメタクリレートの略記
【0209】
「BIM」……………………2−イソシアナートエチルメタクリレートにε−カプロラクタムを反応させて得られた、キシレン/酢酸−n−ブチル=5/5(重量部比)なる混合割合の溶剤に溶解している、不揮発分が50%なるブロック・イソシアネート基含有単量体の溶液の略記
【0210】
「TBPOEH」……………tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの略記
【0211】
「ABNE」…………………2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリルの略記
【0212】
数平均分子量を示している各数値は、いずれも、百分の一となっているので、百倍した(つまり、「100」を乗じた)値が、真のものである。以下同様。
【0213】
「比較樹脂1」は、参考例11で得られた、いわゆる対照用の樹脂を意味するものとする。
【0214】
「比較樹脂2」は、参考例12で得られた、いわゆる対照用の樹脂を意味するものとする。
【0215】
参考例10(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートの373部、2,2−ジメチロールプロピオン酸の44部、キシレンの417部およびジブチルチンジオクテートの0.44部を仕込んで、乾燥窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0216】
次いで、同温度で、イソホロンジイソシアネートの519部およびキシレンの519部とからなる混合物を、1時間に亘って滴下し、滴下終了後も、同温度において、4時間のあいだ攪拌を続行せしめ、イソシアネート濃度が理論値とほぼ同じになっていることを確認した。
【0217】
しかるのち、同温度で、3−アミノプロピルトリメトキシシランの64部と、キシレンの64部とからなる混合物を、10分間かけて滴下し、適下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌を続行せしめ、赤外線吸収スペクトル分析(IR分析)によって、イソシアネート基が消失したことを確認してから、キシレンの50部およびn−ブタノールの450部を添加して、不揮発分が43.3%で、かつ、数平均分子量が5,500なる、カルボキシル基およびトリメトキシシリル基併有の目的重合体の溶液を得た。以下、これを、重合体(a−1−10)と略記する。
【0218】
参考例11および12(対照用樹脂の調製例)
単量体および溶剤類の種類と、その量とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重合を行なって、同表に示すような性状を有するという、各種の、対照用の樹脂を得た。それらの樹脂は、同表に示すように略記する。
【0219】
参考例13〔樹脂(A)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、メチルトリエトキシシランの1271部と、キシレンの390部およびn−ブタノールの167部とを仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0220】
次いで、同温度で、「AP−3」[大八化学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェートの商品名]の0.035部と、イオン交換水の389部とを、5分間で適下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、核磁気共鳴分析( 1H−NMR)で以て、メチルトリエトキシシランの加水分解が完全に進行していることを確認した。
【0221】
しかるのち、参考例1で得られた重合体(a−1−1)の968部を添加し、同温度で、4時間のあいだ攪拌を続行せしめたのちに、減圧蒸留により、副生成物であるエタノールなどを除去せしめるということによって、不揮発分が56.5%なる目的樹脂の溶液を得た。以下、これを、樹脂(A−1)と略記する。
【0222】
参考例14〜22(同上)
ポリシロキサン(a−2)を合成するための珪素化合物の種類と、その使用量とを、そして、重合体(a−1)の種類と、その使用量と、さらに、触媒量とを、第2表に示すように変更した以外は、参考例13と同様に縮合反応を行なって、同表に示すような性状値を有する、各種の目的樹脂(A)の溶液を得た。それぞれの樹脂は、同表に示すように呼称する。
【0223】
【表9】
【0224】
【表10】
【0225】
【表11】
【0226】
《第2表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0227】
「MTES」……………………メチルトリエトキシシランの略記
「MTMS」……………………メチルトリメトキシシランの略記
「FTES」……………………フェニルトリエトキシシランの略記
「DMDES」…………………ジメチルジエトキシシランの略記
「3−GPMS」………………3−グリキドシキプロピルメチルジメトキシシランの略記
【0228】
実施例1〜10ならびに比較例1および2
まず、第3表に示すような使用比率で以て、重合体(A)と、顔料との混合物を、サンドミルにより、分散せしめるということによって、各種の白色ベースを調製し、次いで、それぞれの白色ベースに、硬化触媒と、溶剤類とを配合せしめるということによって、顔料重量濃度(PWC)が35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0229】
かくして得られた、それぞれの塗料を、日本ルート・サービス(株)製の電着中塗り水研ぎ板(予め、ポリエステル・メラミン系塗料が塗装された塗装鋼板を水研ぎして得られた塗板)に、乾燥膜厚が約40ミクロン(μm)となるように、アプリケーターで塗布せしめ、同表に示すような硬化条件で以て、硬化せしめるということによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0230】
かくして得られた、本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも外観に優れるというものであった。それぞれの塗膜についての諸性能の評価判定を行なった。それらの結果は、まとめて、同表に示す。
【0231】
【表12】
【0232】
【表13】
【0233】
【表14】
【0234】
【表15】
【0235】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0236】
「CR−93」は、「タイペーク CR−93」の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型酸化チタンの商品名である。
【0237】
「DBTDO」………ジブチル錫ジオクトエートの略記
【0238】
「TBAAc」………テトラブチルアンモニウムアセテートの略記
【0239】
「N−MIm」………N−メチルイミダゾールの略記
【0240】
「DLDMAAc」…ジラウリルジメチルアンモニウムアセテートの略記
【0241】
「A−1120」……日本ユニカー(株)製の、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの商品名である。
【0242】
「L−117」………「スーパーベッカミン L−117−60」の略記であり、大日本インキ化学工業(株)製の、アミノ樹脂の商品名である。
【0243】
「DN−990S」…「バーノック DN−990S」の略記であり、大日本インキ化学工業(株)製の、ポリイソシアネート化合物の商品名である。
【0244】
「耐候性」は、サンシャイン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)なる光沢値を、未曝露時における、塗膜の同上の光沢値で以て除して、それを、100倍した値(光沢保持率:%)を表示したものである。
【0245】
その値が大きいほど、耐候性が良好であるということを意味している。
【0246】
「撥水性(1)」は、「初期の撥水性」(つまり、「初期撥水性」)の略記であって、これは、協和界面化学(株)製の「CA−Z型自動接触角測定装置」を使用して、塗膜と水との接触角の測定を行なって、その接触角を以て表示したものである。
【0247】
「撥水性(2)」は、「耐候性試験後の撥水性」の略記であって、こちらの方は、サンシャイン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ曝露を行なったのちの、塗膜と水との接触角を、上述した「初期撥水性」の場合と同様にして測定を行なって、その接触角を以て表示したものである。
【0248】
「耐酸性」は、それぞれの塗膜表面上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せたパネル(試験板)を、70℃の熱風乾燥機中において、30分間のあいだ保持したのちに、塗膜表面を、各別に、水洗し乾燥してから、その表面状態を、目視により、評価判定したものである。
【0249】
その際の評価判定の基準は、次の通りである。
【0250】
◎…エッチングなし
○…若干ながら、エッチングあり
×…エッチングが著しい
【0251】
以上に詳説した通り、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、加水分解性シリル基を有する重合体;あるいは此の加水分解性シリル基と該加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または少なくとも2種の相互に反応する官能基を有する重合体と、特定のポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂と、硬化触媒とから成るという、斬新なるものであるという処から、とりわけ、光沢保持性ならびに撥水性保持性と、耐酸性などの高度の耐久性とに優れる硬化塗膜を形成することが出来る、主として、被覆用組成物として極めて実用性の高いものである。
【0252】
【発明の効果】
以上に詳述して来た処からも明らかなように、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、とりわけ、光沢保持性ならびに撥水性保持性と、耐酸性などの、いわゆる高度の耐久性とに優れる硬化塗膜を形成することの出来るものであるということが、無理なく、知り得よう。
【0253】
したがって、こうした諸々の特性ならびに特徴を有するという、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、特に、被覆用組成物などとして、極めて実用性の高いものであるとも言い得よう。
Claims (11)
- 加水分解性シリル基を有する重合体(a−1)と珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)との混合物に水を添加し、前記重合体(a−1)の有する加水分解性シリル基を加水分解反応させ、次いで前記重合体(a−1)と前記ポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂(A)と、硬化触媒(B)とを含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
- 前記した、加水分解性シリル基を有する重合体(a−1)が、加水分解性シリル基以外の自己縮合性の官能基および/または相互に反応する少なくとも2種の官能基をも有する重合体である、請求項1に記載の組成物。
- 前記した、自己縮合性の官能基が、N−ヒドロキシメチルアミド基およびN−アルコキシメチルアミド基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基である、請求項2に記載の組成物。
- 前記した、相互に反応する官能基が、水酸基、ブロックされた水酸基、ブロックされたイソシアネート基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド基およびカーバメート基よりなる群から選ばれる、少なくとも2種の官能基である、請求項2に記載の組成物。
- 前記した加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記した重合体(a−1)がビニル系重合体である、請求項1または2記載の組成物。
- 前記したビニル系重合体がアクリル系重合体である、請求項6に記載の組成物。
- 前記した、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)が、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記した、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン(a−2)が、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物および其れらの部分共加水分解縮合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランを用いて得られるものである、請求項1に記載の組成物。
- 前記した硬化触媒(B)が、錫系化合物;4級アンモニウム系化合物;アミン系化合物;および一分子中に、それぞれ、アミノ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有する化合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記した加水分解性基がアルコキシ基である、請求項8または10に記載の組成物。
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