JP3448353B2 - 塗料用樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

塗料用樹脂組成物およびその製造方法

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JP3448353B2
JP3448353B2 JP15644194A JP15644194A JP3448353B2 JP 3448353 B2 JP3448353 B2 JP 3448353B2 JP 15644194 A JP15644194 A JP 15644194A JP 15644194 A JP15644194 A JP 15644194A JP 3448353 B2 JP3448353 B2 JP 3448353B2
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昭 柳ケ瀬
雅治 藤本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料用樹脂組成物に関
し、さらに詳しくは耐候性、耐水性に優れ、かつ、優れ
た外観を有する塗膜を与える水分散型ポリシロキサンを
含有する塗料用樹脂組成物およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリシロキサン樹脂は耐熱性、撥水性お
よび耐候性に優れ、塗料用樹脂として有用な特徴をもつ
が、ポリシロキサン樹脂を単独で用いた塗料にて形成し
た塗膜は、その弾性率および強度が低すぎるために、強
靱な塗膜とすることが難しく、その用途は狭い範囲に限
定される。そのため、従来よりポリシロキサン樹脂とア
クリル樹脂あるいはポリエステル樹脂などを組合せて、
それらの特徴を生かした塗料とする工夫がなされてい
る。
【0003】また、樹脂成分を水中に乳化分散した、い
わゆるエマルジョン塗料は、溶剤系塗料に比べて引火、
中毒および大気汚染の危険性が極めて小さいことなどか
ら、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などを用いた様々
のタイプのエマルジョン塗料が開発され、広く利用され
ているが、ポリシロキサン樹脂を大量に含有するエマル
ジョン塗料の実用化に際しては、まだいくつかの課題が
残されており、一般の塗料用途に広く利用されるには至
っていないのが現状である。
【0004】特公昭63−23212号公報には、ポリ
シロキサンの側鎖に複数のアルコール性水酸基を導入し
た樹脂を用いた水溶性塗料の製造方法が示されている。
しかし、このように完全に水に溶解するタイプのポリシ
ロキサンを用いた塗料には、塗膜特性の向上を目的とし
てポリシロキサン樹脂を高分子量化した場合、塗料粘度
が高くなり、その塗装性が低下するという欠点がある。
さらに、この塗料より形成した塗膜は、親水性の官能基
を大量に有するために、塗膜の撥水性や耐水性が低い傾
向にある。
【0005】特開平1−315451号公報および特開
平2−92974号公報には、ビニル重合性官能基含有
多官能アルコキシシランとビニル重合性モノマーの共重
合によって得られた架橋ポリシロキサンよりなる芯(コ
ア)の表層に、グラフト交叉剤を用いてビニル重合性官
能基を導入した上で、親水基を有するアクリルポリマー
の殻(シェル)を形成させた、いわゆるコア/シェル型
エマルジョン塗料の発明が開示されており、優れたチク
ソトロピー性によって、タレ性が改良されることが示さ
れている。しかしながら、この方法で多量のポリシロキ
サンを含むエマルジョン塗料を作ろうとすると、高価な
グラフト交叉剤を大量に使うことが必要になり、原料コ
ストが高くなるという問題点がある。
【0006】特開平1−161057号公報には、シラ
ノールあるいはアルコキシシランを有するシリコーン重
合体と有機重合体とを非イオン性界面活性剤の存在下で
混合することによって、水ベース有機重合体を変性する
方法が示されており、耐腐食性が向上した塗料が示され
ている。しかしながら、この方法では、有機重合体とシ
リコーン重合体を連結するためにシリコーン重合体に大
量のアルコキシシランまたはシラノール基を導入する必
要があり、また、有機重合体とシリコーン重合体の間に
生成するSi-O-C結合は化学的な安定性が劣るという難点
がある。さらに、このような異質な重合体の混合におい
ては、重合体の流動性および相溶性の不足を補うため、
両者の混合時に共通の良溶媒を添加することが必要とな
り、環境汚染に対する懸念が依然として残る。
【0007】特開平4−202554号公報では、ビニ
ル重合性官能基含有多官能アルコキシシランとビニル重
合性モノマーにアルコキシジメチルシランを混合して乳
化重合し、可撓性のある塗膜を形成しうるコンクリート
外壁塗料用エマルジョン塗料が得られることが示されて
いる。しかしながら、この方法で得た塗料より形成した
塗膜の架橋硬化に用いる官能基がアルコキシシランある
いはシラノールであるため、強靱な塗膜を得るためには
大量のアルコキシシランあるいはシラノールを樹脂中に
残存させることが必要なため、高価なアルコキシシラン
を大量に用いることが必要になり、原料コストが高くな
るという難点を有する。
【0008】特開平4−261454号公報には、グラ
フト交叉剤を含有するポリシロキサンにエチレン系不飽
和カルボン酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルな
どをグラフト共重合して塗料用エマルジョンを得る発明
が示されているが、そのグラフト交叉剤の使用量は 1.5
重量%(約 0.5モル%)と少なく、得られた塗料より形
成した塗膜は、その透明性が不足するという難点があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
持つ欠点を解消するためになされたものであり、本発明
の目的は、外観および耐久性に優れた硬化塗膜を与える
水性エマルジョン塗料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現
状に鑑み鋭意検討した結果、上記課題を解決し得た塗料
用樹脂組成物およびその製造方法よりなる発明を完成し
たものである。すなわち、本発明の要旨とするところ
は、ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブ
ロック(A)、ビニル重合性単量体を繰り返し単位とする
重合体ブロック(B)、および重合体ブロック(A)に共重合
され、かつ、重合体ブロック(B)に共重合されたケイ素
含有交叉単位(C)から構成されるグラフトブロック共重
合体が界面活性剤の存在下で水中に乳化分散されてなる
樹脂組成物であって、重合体ブロック(A)およびグラフ
ト交叉単位(C)中の合計量に対するグラフト交叉単位(C)
の含有量がケイ素原子を基準にして1モル%以上、50モ
ル%以下であり、かつ、重合体ブロック(B)を構成する
繰り返し単位の内、2〜10モル%が自己架橋性官能基
側鎖にて構成され、重合体ブロック(B)が、水酸基また
はカルボキシル基から選ばれた少なくとも1種の官能基
側鎖を有するビニル重合性単位を20モル%以下含有す
ることを特徴とする塗料用樹脂組成物、および、ケイ素
原子の量を基準として50モル%以上、99モル%以下
の環状ジメチルシロキサンオリゴマー、および1モル%
以上、50モル%以下のビニル重合性官能基含有多官能
アルコキシシランよりなるグラフト交叉剤とを酸性乳化
剤の存在下で乳化重合し、中和して重合体ブロック(A)
およびケイ素含有交叉単位を形成し、さらに、単量体の
全量に対して2〜10モル%の自己架橋性官能基側鎖を
有するビニル重合性単量体、20モル%以下の水酸基ま
たはカルボキシル基から選ばれた少なくとも1種の官能
基側鎖を有するビニル重合性単量体、および他のビニル
単量体をラジカル重合開始剤の存在下でグラフト共重合
して重合体ブロック(B)を形成することを特徴とする塗
料用樹脂組成物の製造方法、にある。
【0011】本発明においては、グラフト交叉単位(C)
は少なくとも1個のシロキサン結合を介して、重合体ブ
ロック(A) に共重合されていることが必要であり、さら
にグラフト交叉単位(C) はビニル重合性単量体によって
構成される重合体ブロック(B) に共重合されていること
が必要である。グラフト交叉単位(C) と重合体ブロック
(B) との共重合は、グラフト交叉単位(C) の原料となる
グラフト交叉剤中のビニル重合性官能基と重合体ブロッ
ク(B) の原料となるビニル重合性単量体とをラジカル共
重合することによって達成できる。
【0012】重合体ブロック(A) およびグラフト交叉単
位(C) 中の合計量に対するグラフト交叉単位(C) の含有
量はケイ素原子を基準にして1モル%以上、50モル%以
下であることが必要で、グラフト交叉単位含量が1モル
%未満のシリコーンポリマーを用いて得たエマルジョン
より形成した塗膜は、その透明性が不良となり、一方、
グラフト交叉単位含量が50モル%を越えるシロキサン重
合体の場合は、原料コストの点で不利になることに加え
て、重合体ブロック(A) とグラフト交叉単位(C) との縮
合時に脱離するアルコールなどの副生物がラテックスの
安定性を損ないやすく、得られるエマルジョンの取り扱
い性、さらには該エマルジョンより形成した塗膜の性能
を損なうので好ましくない。好ましくはグラフト交叉単
位(C) の含有量は、上記の基準で 1.5モル%以上、20モ
ル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以上、15モ
ル%以下である。グラフト交叉単位(C) の含有量が3モ
ル%以上のシロキサン重合体を用いて得たエマルジョン
より得られる塗膜の透明性は極めて良好となり、また、
グラフト交叉単位(C) の含量が15モル%以下のシリコー
ンポリマーを用いるとビニル重合体を乳化重合する際の
ラテックス安定性が良好となる。
【0013】ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする
重合体ブロック(A) はジメチルジクロロシラン、ジメチ
ルジアルコキシシラン、ジメチルシロキサン環状オリゴ
マーなどを原料として合成できるが、原料の価格と得ら
れる樹脂の熱安定性等の性能から、重合体ブロック(A)
の原料として好適なのはジメチルシロキサン環状オリゴ
マー(ジメチルサイクリックス)であ。重合体ブロック
(A) の好ましい重量平均分子量は、10,000以上であり、
より好ましくは、50,000以上である。
【0014】グラフト交叉単位(C) の原料となるグラフ
ト交叉剤は、分子中に1個のビニル重合性基、とくに、
γ−メタクリロキシプロピル基と1個以上のシラノール
基、アルコキシシラン基またはクロロシラン基などのシ
ロキサン結合形成可能な官能基を有していれば、さまざ
まな方法で重合体ブロック(A) と共重合できるが、得ら
れる樹脂の耐久性等の点から、シロキサン結合形成可能
な官能基は、アルコキシシランが好ましい。グラフト交
叉単位(C) から生じるシロキサン結合の数は1〜3個で
あるが、3個のシロキサン結合を形成しうるトリアルコ
キシシランなどのいわゆる3官能シランをグラフト交叉
剤として用いると、使用量に応じてシロキサン重合体中
に架橋構造が形成されてしまい、該シロキサン重合体に
ビニル重合性単量体をグラフト重合したエマルジョン
は、その塗膜形成時の両者の相溶性が低下して塗膜の透
明性、および、耐久性を低下させるので、3官能シラン
の含有量は上記の基準で10モル%以下であることが好ま
しい。本発明で用いる2官能ないし1官能シラン化合物
よりなるグラフト交叉剤中に導入される不活性なケイ素
原子上置換基は、とくに限定されないが、一般的には、
メチル基に代表されるアルキル基、フェニル基あるいは
これらの誘導体である。
【0015】シロキサン重合体成分に含まれるアルコキ
シシランおよびシラノールの量は、シロキサン成分の重
合条件によって制御できるが、本発明で用いるシロキサ
ン重合体成分においてはアルコキシシランおよびシラノ
ール残基は必要なく、むしろ樹脂組成物の貯蔵安定性を
確保するうえで、これらの官能基は少ない方がよい。好
ましくは重合体ブロック(A) およびグラフト交叉単位
(C) に含まれるケイ素原子上のアルコキシ基およびヒド
ロキシ基の合計量は重合体ブロック(A) およびグラフト
交叉単位(C) 中のケイ素原子合計量に対し2モル%未満
であることが好ましい。
【0016】グラフト交叉単位(C) に含まれるビニル重
合性単量体単位は、通常のラジカル重合において重合体
ブロック(B) を構成するビニル重合性単量体と共重合可
能なものであればいかなるものでもよく、例えば、ビニ
ル基、アリル基、γ−アクリロイロキシプロピル基、γ
−メタクリロイロキシプロピル基、p-ビニルフェニル基
などが挙げられるが、共重合性の良好なビニル重合性単
量体単位の例としてはメタクリロイロキシ基が挙げられ
る。グラフト交叉単位(C) として好ましい構造の一つ
は、下記式[1]で示されるものである。
【化1】
【0017】重合体ブロック(B)を構成する繰り返し単
位のうち、2〜10モル%、より好ましくは3〜10モ
ル%は自己架橋性官能基側鎖を有することが必要であ
る。ここで自己架橋性官能基とは、樹脂がエマルジョン
中に分散し、室温で保管されている間は化学的に安定で
あって、塗装時の乾燥、加熱あるいはその他の外的要因
によって側鎖官能基同士の反応を生じ、該側鎖基間に化
学結合を生じるような官能基を指す。自己架橋性官能基
側鎖含有単位が2モル%未満だと、塗膜の耐水性が低下
する傾向にあり、好ましくない。自己架橋性官能基側鎖
含有単位が10モル%を越えると、エマルジョンの安定性
がやや低下する傾向にある。自己架橋性官能基を側鎖に
有するビニル重合性単量体の例としては、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、N-アルコキシ
メチルアクリルアミドなどが挙げられ、中でもN-ブトキ
シメチルアクリルアミドは官能基の保存安定性および加
熱架橋硬化時の反応性バランスの点で扱いやすい特性を
有するので好ましい。
【0018】重合体ブロック(B)はさらに水酸基または
カルボキシル基から選ばれた少なくとも1種の官能基側
鎖を有するビニル重合性単位を20モル%以下含有する
ことが好ましい。より好ましくは2〜10モル%の範囲
である。水酸基またはカルボキシル基は、上述の自己架
橋性側鎖と反応することができ、また、このような極性
官能基は、本発明のエマルジョンより形成した塗膜の基
材への密着性を向上させる効果を有する。しかし、該官
能基側鎖を有するビニル重合性単位の含量が20モル%を
越えると、形成した塗膜の耐水性などの耐久性が低下
し、本発明の塗料用樹脂組成物を乳化ラジカル重合で製
造する際、重合時のラテックス安定性が低下する傾向が
あり、好ましくない。
【0019】重合体ブロック(B) を構成し、極性官能基
を含有しない成分の例としては、アルキルメタクリレー
ト、アルキルアクリレート、シクロアルキルメタクリレ
ート、シクロアルキルアクリレートおよびスチレン等が
挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種を60重量
%以上含有することが好ましい。
【0020】重合体ブロック(B) のガラス転移温度は、
有機溶剤等の造膜助剤の添加によって変化するが、0〜
30℃の範囲であることが好ましい。これは、重合体ブロ
ック(B) のガラス転移温度が0℃未満であると、得られ
る塗膜の強度が低下する傾向にあり、30℃を越えると、
本発明の塗料用樹脂組成物の造膜性が低下する傾向にあ
るためである。
【0021】重合体ブロック(A) 、重合体ブロック(B)
およびグラフト交叉単位(C) の合計量に対する重合体ブ
ロック(B) の含有量は、50重量%〜95重量%の範囲であ
ることが好ましい。重合体ブロック(B) の含有量が50重
量%未満の樹脂組成物から形成した塗膜は、その柔軟性
が増すものの、塗膜の光沢、塗膜強度および塗膜表面硬
度が低下する傾向にあり、重合体ブロック(B) の含有量
が95重量%を越えると、得られる樹脂粒子の粒子径が大
きくなりすぎたり、グラフトされないフリーポリマーが
発生しやすくなり、平滑で透明性良好な塗膜を得ること
がやや難しくなる傾向にある。より好ましくは、70〜95
重量%の範囲である。
【0022】本発明の樹脂組成物は、上記の特徴を有す
る樹脂成分が界面活性剤の存在下で水中に乳化分散され
たエマルジョンの形で提供される。エマルジョンの粒子
径は製法によって任意に変更できるが、通常の平均粒子
径は0.01μm〜0.5 μm程度である。
【0023】エマルジョン中の樹脂成分含有率は通常50
%以下の含有率で任意に選択できるが、濃縮を行えばさ
らに高濃度とすることも可能である。このエマルジョン
を通常のスプレー塗装法に供する場合には、その塗工性
および得られる塗膜の性能を考慮すると樹脂成分含有量
は15〜45%の範囲とすることが好ましい。
【0024】本発明の塗料用樹脂組成物は必要に応じて
顔料、安定剤、補助硬化剤あるいは硬化助剤を含んでも
よく、さらに他のエマルジョン樹脂、水溶性樹脂あるい
は粘性制御剤と混合して用いてもよい。本発明の樹脂組
成物から得られた架橋硬化塗膜は平滑で良好な光沢を有
し、自己架橋性官能基を有さない樹脂組成物から形成し
た塗膜に比べて著しく改良された耐水性を有するものと
することができる。本発明はポリシロキサン含有樹脂組
成物の製造方法も提供する。
【0025】本発明の特徴を備えた樹脂組成物は次の方
法によって好適に製造できるが、本発明の樹脂組成物は
これらの方法に限定するものではない。本発明の製造方
法は、ケイ素原子の量を基準として50モル%以上、99モ
ル%以下の環状ジメチルシロキサンオリゴマーおよび1
モル%以上、50モル%以下のビニル重合性官能基含有多
官能アルコキシシランを酸性乳化剤の存在下で乳化重合
し、中和した後に、単量体の全量に対して2モル%以上
の自己架橋性官能基側鎖を有するビニル重合性単量体を
添加し、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト共重合
することを特徴とする樹脂組成物の製造方法である。
【0026】環状ジメチルシロキサンオリゴマーとビニ
ル重合性官能基含有多官能アルコキシシラン合計量と水
との比率は任意に選択できるが、重量比にて1:1〜
1:9の範囲が好ましい。酸性乳化剤は環状ジメチルシ
ロキサンオリゴマーを開環できるものであればよく、と
くに限定されないが、容易に入手でき、かつ、重合に適
した酸性乳化剤の例としてはドデシルベンゼンスルホン
酸が挙げられる。酸性乳化剤の好ましい使用量は、目的
とするエマルジョン中に生成する樹脂の粒子径、固形分
量、重合温度および他の界面活性剤の併用により変化す
るが、シロキサンの重合を速やかに進行させるために
は、環状ジメチルシロキサンオリゴマーとビニル重合性
官能基含有多官能アルコキシシラン合計量に対して 0.5
重量%以上用いるのが好ましい。
【0027】シロキサンの重合温度は、とくに限定され
ないが、少なくとも一度は60℃以上の熱履歴を受けるこ
とが好ましく、さらに好ましくは75℃以上である。得ら
れるシロキサン重合体エマルジョンの粒子径は原料の予
備分散の度合い、乳化剤量、重合温度および原料の供給
方法によって制御できる。より小さい粒子径の樹脂を有
するエマルジョンは原料と水を乳化剤の存在下でホモジ
ナイザーなどの高シェア発生装置により予備乳化する
か、原料または予備乳化液を水中に滴下するか、乳化剤
を増量するか、重合温度を上昇させるかのいずれかの方
法、あるいは、これらの方法を適宜組合せることにより
得ることができる。シロキサンの重合に要する時間は、
重合条件によって変化するが、通常は 0.5時間以上、1
ケ月以下である。酸性乳化剤の存在下で重合されたシロ
キサン重合体中には、実質的に未反応のアルコキシシラ
ンが残存しないものとなっている。得られたシロキサン
重合体のエマルジョンは強い酸性であるので、シロキサ
ンの重合終了後に中和する必要がある。
【0028】続いて行われるビニル重合性単量体の乳化
重合に用いるラジカル重合開始剤は、乳化ラジカル重合
に用いられる周知のものが利用できる。ビニル重合性単
量体の仕込み方法はとくに制限されず、一括仕込みある
いは滴下のいずれの方法でもよい。重合温度はとくに制
限されないが、自己架橋性官能基として安定性の小さい
ものを用いる場合は、官能基の変質が生じない程度に重
合温度の上限を設定することが好ましい。
【0029】得られたエマルジョンはそのままで、ある
いは水で希釈してプラスチック、金属板、あるいは表面
処理された基材上に、吹きつけあるいはその他の方法で
塗りつけた後、乾燥、硬化して塗膜とすることができ
る。乾燥、硬化温度は自己架橋性官能基の種類により決
定されるが、好ましくは80℃〜200 ℃である。
【0030】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明する。なお、実施例中の「部」はすべて重量部であ
る。
【0031】
【実施例1】ジメチルサイクリックス(環状ジメチルシ
ロキサンオリゴマー3〜7量体混合物)90部、グラフト
交叉剤(γ−メタクリロキシプロピルジメトキシメチル
シラン)10部、水 300部、およびドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム 0.5部からなる組成物をホモミキサー
で予備混合した後に、ホモジナイザーにより 200Kg/cm
2 の圧力で剪断し、強制乳化してシリコーン原料エマル
ジョンを得た。
【0032】攪拌機、コンデンサー、加熱ジャケットお
よび滴下ポンプを備えたフラスコに、水 100部、および
ドデシルベンゼンスルホン酸10部を仕込み、フラスコ内
の温度を85℃に保ちながら3時間かけて上記のシリコー
ン原料エマルジョンを滴下した。さらに1時間加熱、攪
拌を続けた後、得られたエマルジョンを室温まで冷却
し、水酸化ナトリウムにより中和してシリコーンポリマ
ーエマルジョンを得た。
【0033】得られたシリコーンポリマーエマルジョン
を攪拌機、コンデンサー、加熱ジャケットおよび不活性
ガス導入孔を備えたフラスコに仕込み、窒素雰囲気下
で、メタクリル酸メチル(MMA )80部、メタクリル酸n-
ブチル(BA)90部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HE
MA)10部、メタクリル酸(MAA )10部、N-ブトキシメチ
ルアクリルアミド(N-BMAAm )10部、および開始剤とし
てクメンハイドロパーオキサイド(CHP )1部を加えて
30分攪拌した。ついで温度を65℃まで上げ、EDTA、ロン
ガリット、酸化第一鉄の水溶液を添加してラジカル重合
を開始した。重合は3時間で完結し、反応液を室温まで
冷却してシリコーン・アクリル複合ポリマーエマルジョ
ンを得た。
【0034】得られたエマルジョンは塗装に適した粘度
を有し、バーコーターにより試験鋼板上に塗布、室温乾
燥したところ、平滑、透明な塗膜が得られた。得られた
エマルジョンの粘度および塗工性は少なくとも1週間は
変化しなかった。さらに、この塗膜を 150℃で25分間加
熱したところ、平滑、透明で強靱な架橋塗膜が得られ
た。光沢計で測定した加熱硬化塗膜の60°グロス値は90
であった。また、この加熱硬化塗膜を80℃の温水に1時
間浸漬した後に測定した60°グロス値も90であり、塗膜
の耐水性は良好であることが示された。
【0035】
【実施例2〜5】実施例1において使用した原料の量を
表1のごとく変更した以外は実施例1と同様にしてシリ
コーン・アクリル複合ポリマーエマルジョンを作成し、
さらに実施例1と同様の塗装、加熱硬化を行った後に、
塗膜外観の評価および耐水性試験を行った。結果を表1
に示した。
【0036】
【実施例6】アクリルモノマー成分(B) の使用量をシリ
コーンポリマー(A) 中のポリマー重量に対して 0.5倍に
した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリ
ル複合ポリマーエマルジョンを作り、このエマルジョン
よう形成した塗膜の60°グロス値は84となった。(表
1)。
【0037】
【比較例1】グラフト交叉剤量を表1に示すごとく減ら
した以外は実施例1と同様にしてシリコーン・アクリル
複合ポリマーエマルジョンを作り、このエマルジョンよ
り形成した塗膜の透明性は不良となった。(表1)。
【0038】
【比較例2】アクリルモノマー成分(B)のうち、N-BM
AAmを0部とした以外は実施例1と同様にしてシリコー
ン・アクリル複合ポリマーエマルジョンを作り、このエ
マルジョンより形成した塗膜は、塗膜表面に曇りが見ら
れた。さらにこの塗膜の耐水性試験後の60°グロス値
は70まで低下し、耐水性に劣ることがわかった。ここ
までの評価結果を併せて表1に記す。
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物はポリシロキサンを
含有する水性エマルジョン塗料用樹脂として用いること
ができ、外観および耐久性良好な塗膜を与え、かつ、良
好な保存安定性を有するので、さまざまな塗料用途に利
用できる。また、本発明の製造方法は上記の特徴を有す
るポリシロキサン含有塗料用樹脂組成物を安定かつ安価
に製造できる方法として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 183/10 C09D 183/10 (56)参考文献 特開 平3−126735(JP,A) 特開 平4−261454(JP,A) 特開 平5−209149(JP,A) 特開 平7−196750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 151/08 C08F 2/24 C08F 283/12 C08F 285/00 C08G 77/442 C09D 183/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジメチルシロキサンを繰り返し単位とす
    る重合体ブロック(A)、ビニル重合性単量体を繰り返し
    単位とする重合体ブロック(B)、および重合体ブロック
    (A)に共重合され、かつ、重合体ブロック(B)に共重合さ
    れたケイ素含有交叉単位(C)から構成されるグラフトブ
    ロック共重合体が界面活性剤の存在下で水中に乳化分散
    されてなる樹脂組成物であって、重合体ブロック(A)お
    よびグラフト交叉単位(C)中の合計量に対するグラフト
    交叉単位(C)の含有量がケイ素原子を基準にして1モル
    %以上、50モル%以下であり、かつ、重合体ブロック
    (B)を構成する繰り返し単位の内、2〜10モル%が自
    己架橋性官能基側鎖にて構成され、重合体ブロック(B)
    が、水酸基またはカルボキシル基から選ばれた少なくと
    も1種の官能基側鎖を有するビニル重合性単位を20モ
    ル%以下含有することを特徴とする塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)
    およびグラフト交叉単位(C)の合計量に対する重合体ブ
    ロック(B)の含有量が、50重量%以上、95重量%以
    下であることを特徴とする請求項1記載の塗料用樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 ケイ素原子の量を基準として50モル%
    以上、99モル%以下の環状ジメチルシロキサンオリゴ
    マー、および1モル%以上、50モル%以下のビニル重
    合性官能基含有多官能アルコキシシランよりなるグラフ
    ト交叉剤とを酸性乳化剤の存在下で乳化重合し、中和し
    て重合体ブロック(A)およびケイ素含有交叉単位を形成
    し、さらに、単量体の全量に対して2〜10モル%の自
    己架橋性官能基側鎖を有するビニル重合性単量体、20
    モル%以下の水酸基またはカルボキシル基から選ばれた
    少なくとも1種の官能基側鎖を有するビニル重合性単量
    体、および他のビニル単量体をラジカル重合開始剤の存
    在下でグラフト共重合して重合体ブロック(B)を形成す
    ることを特徴とする塗料用樹脂組成物の製造方法。
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