JPH0692470B2 - ポリシロキサングラフトポリマー水性分散体の製造方法 - Google Patents

ポリシロキサングラフトポリマー水性分散体の製造方法

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JPH0692470B2
JPH0692470B2 JP63329366A JP32936688A JPH0692470B2 JP H0692470 B2 JPH0692470 B2 JP H0692470B2 JP 63329366 A JP63329366 A JP 63329366A JP 32936688 A JP32936688 A JP 32936688A JP H0692470 B2 JPH0692470 B2 JP H0692470B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリシロキサングラフトポリマー水性分散体
の製造方法に関するものである。更に詳しくは、表面滑
性、耐熱性、耐候性、撥水性、耐水性、耐マイグレーシ
ョン性に優れた被膜を形成するポリシロキサングラフト
ポリマー水性分散体の製造方法に関するものである。
〔従来の技術および問題点〕
これまでに提案されているポリシロキサングラフトポリ
マーの水分散物としては、水希釈性の有機溶剤中でカル
ボキシル基およびヒドロキシル基を有するビニル系重合
体を製造し、これにヒドロキシル基もしくはアルコキシ
ル基を有するオルガノポリシロキサンを反応させ、次い
で水希釈して得られる水分散物(特開昭50-95388)や重
合性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンと他のビ
ニル系単量体を乳化剤の存在下に水媒体中に乳化重合し
て得られる水分散物(特開昭51-146525)などが知られ
ている。しかしながら、これらの方法では、オルガノポ
リシロキサンの反応性が低い為、変性が不完全な事が多
く、場合によっては反応中に分離、凝集といった現象が
生じ易い。従って、優れた前記性能を有するポリシロキ
サングラフトポリマー水性分散体を安定に得るには組成
上の制約を受けるのが実情である。
一方、本発明者らは特開昭61−200111号において末端ヒ
ドロキシル基含有ポリシロキサン存在下に重合性シラン
化合物を含む単量体混合物を溶液重合させることからな
るポリシロキサングラフトポリマーの製造方法を提案し
た。しかし、この製造方法により得られるポリマーは有
機溶剤の溶液であり、使用上労働衛生面の問題を有して
いると共に、ポリマーの組成によっては長期間の保存中
にゲル化する不都合が生じる場合があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、このような現状に鑑み、上記問題点の解
消されたポリシロキサングラフトポリマー水性分散体の
製造方法について鋭意研究した結果、本発明に到達し
た。
即ち、本発明は末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサン
(A)1〜20重量%存在下に、重合性シラン化合物
(B)0.05〜10重量%、不飽和有機酸(C)1〜30重量
%およびこれらと共重合可能な他の重合性単量体(D)
40〜97.95重量%(但し、(A)、(B)、(C)およ
び(D)成分の合計は100重量%とする。)を、まず重
合開始時は、アルコール系以外の有機溶剤中で重合を開
始し、重合終了後得られる重合体の溶液に、塩基性化合
物および水を加えた液状物を攪拌してポリシロキサング
ラフトポリマー水性分散体を製造するに際し、塩基性化
合物の添加量をポリシロキサングラフトポリマー中の酸
基の20〜200モル%相当量とし、水の添加量をポリシロ
キサングラフトポリマー100重量部に対して30〜1000重
量部とすると共に、水の添加前又は添加後の該液状物中
の水溶性有機溶剤の量を有機溶剤の全量に対して30〜10
0重量%とすることを特徴とするポリシロキサングラフ
トポリマー水性分散体の製造方法に係るものである。
本発明に用いられる末端ヒドロキシル基含有ポリシロキ
サン(A)としては、末端の少なくとも一つがヒドロキ
シル基である直鎖状もしくは一部枝分れした分岐状ポリ
シロキサンであれば制限なく使用でき、現在各種のもの
が容易に入手でき、目的に応じて使用できる。この様な
末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサン(A)として
は、例えば、 一般式 (但し、R1及びR2はそれぞれ独立にハロゲン置換されて
いてもよい一価の炭化水素基、R3は水素又はハロゲン置
換されていてもよい一価の炭化水素基、nは1以上の整
数である。)で示される直鎖状ポリシロキサンにより代
表されるが、一部が枝分れした分岐状ポリシロキサンも
好適に使用できる。
より具体的に言うならば、例えば、ジメチルポリシロキ
サン、メチルエチルポリシロキサン等のジアルキルポリ
シロキサン類、メチルフェニルポリシロキサン等のアル
キルアリールポリシロキサン類、ジフェニルポリシロキ
サン等のジアリールポリシロキサン類などを挙げること
ができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の
混合物を使用することができる。なかでも、末端に少な
くとも一個のヒドロキシル基を有する直鎖状もしくは一
部枝分れした分岐状ジメチルポリシロキサンが安価に入
手でき、しかも性能に優れたポリシロキサングラフトポ
リマーが得られるので好ましい。用いられるポリシロキ
サン(A)の平均分子量としては500〜150万の範囲、好
ましくは5000〜150万の範囲、さらに好ましくは2万〜1
50万の範囲のものが望ましい。平均分子量が500未満で
は、得られる水性分散体は所望の表面特性が充分発揮さ
れない場合があり、また平均分子量が150万を超えると
高粘度となり、取り扱いおよび重合操作が難しくなる場
合がある。
末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサン(A)の使用量
は、表面特性の程度に応じて、1〜20重量%の範囲内で
適宜決めることができる。1重量%未満の使用量では表
面特性が充分ではなく、また20重量%を超える範囲では
基材への密着性が低下するので望ましくない。
本発明に用いられる重合性シラン化合物(B)は、分子
中に少なくとも1個の重合性不飽和基と少なくとも1個
の前記ポリシロキサンと縮合反応し得る基とを有する化
合物であり、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニ
ルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシ
プロピルメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
2−スチリルエチルトリメトキシシラン、(メタ)アク
リロキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロ
ピル)アンモニウムクロライド、ビニルトリアセトキシ
シラン、ビニルトリクロルシランなどを挙げることがで
き、これらの群から得られる1種または2種以上の混合
物を使用することができる。
重合性シラン化合物(B)の使用量は0.05〜10重量%の
範囲内で適宜決めることができる。0.05重量%未満の使
用量では、ポリシロキサン(A)と重合性シラン化合物
(B)、不飽和有機酸(C)及び重合性単量体(D)成
分からなる重合物との結合が不充分で有効量のグラフト
反応が起こらず、水性分散体としたのち未反応のポリシ
ロキサンが層分離を起こす傾向がある。また、10重量%
を超える範囲では、安定性が不良となり重合時のゲル化
が起こりやすくなる。
本発明に用いられる不飽和有機酸(C)は、ポリシロキ
サン(A)と前記重合物との結合を惹起してグラフト反
応を円滑に進める作用を有すると共に、得られる水性分
散体の安定性や基材に対する密着性を高めるものであ
り、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イ
タコン酸等の不飽和カルボン酸やビニルスルホン酸、ス
ルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸などを
挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合
物を使用することができる。
不飽和有機酸(C)の使用量は1〜30重量%好ましくは
3〜20重量%の範囲内で適宜決めることができる。1重
量%未満の使用量では、安定な水性分散体を得るのが難
しく、また、30重量%を超える範囲では、得られるポリ
マーの親水性が強くなりすぎ、安定な水分散化が困難と
なるばかりでなく耐水性の優れた重合体が得られない。
本発明に用いられる重合性単量体(D)としては、例え
ば、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル等のアクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエ
ステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等
のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエ
ン等の芳香族ビニル類;アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド等の不飽和アミド類;エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブ
チルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン
等の含ハロゲンα,β−不飽和単量体類;(メタ)アク
リル酸トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフル
オロデシルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペ
ンチルアクリレート等の含フッ素(メタ)アクリル酸エ
ステル類;2,3,5,6−テトラフルオロフェニルアクリル酸
エステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルメタク
リル酸エステル等の芳香族フッ素含有(メタ)アクリル
酸エステル類等が挙げられ、これらの1種または2種以
上の混合物を使用することができる。
重合性単量体(D)の使用量は、40〜97.95重量%の範
囲内で適宜決めることができる。40重量%未満あるいは
97.95重量%を超えた使用量では、前記のポリシロキサ
ン(A)、重合性シラン化合物(B)または不飽和有機
酸(C)の使用量が前記した範囲より過多かるいは過小
となり、前記した如き欠点が発現するので望ましくな
い。
本発明のポリシロキサングラフトポリマー水性分散体の
製造方法は、末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサン
(A)存在下に、重合性シラン化合物(B)、不飽和有
機酸(C)及びこれらと共重合可能な他の重合性単量体
(D)をアルコール系以外の有機溶剤中で重合させて得
られる重合体の溶液に、特定量の塩基性化合物と特定量
の水を加えると共に、水溶性有機溶剤が特定比率の有機
溶剤を含有する液状物を攪拌して水性分散体とすること
により達成される。
重合の際に使用できる有機溶剤としては、アルコール性
ヒドロキシ基を持たない有機溶剤であれば制限なく使用
することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼ
ン、ヘキサン、シクロヘキサン、トリクロルエタン、メ
チルエチルケトン、酢酸エチル、ジオキサン、セロソル
ブアセテート等を挙げることができ、これらの1種また
は2種以上の混合物を使用することができるが、ポリマ
ーの溶解性、沸点等からトルエン、キシレンが特に好ま
しい。
アルコール性ヒドロキシル基を持ったアルコール系有機
溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、
イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等はポリシ
ロキサン(A)と重合性シラン化合物(B)、不飽和有
機酸(C)および重合性単量体(D)成分からなる重合
物とのグラフト反応を抑制するので重合初期から用いる
ことはできないが、グラフト反応が充分に進行した後は
添加して用いることができる。
重合開始材としてはアゾビスイソブチロニトリル、ベン
ゾイルパーオキサイド等通常のラジカル重合開始剤を挙
げることができる。
反応温度は室温から200℃、好ましくは40〜120℃の範囲
である。重合濃度は30〜70重量%、好ましくは40〜60重
量%である。
重合体の溶液に添加する塩基性化合物は、従来から酸性
物質の中和を目的に常用されるものであれば制限なく使
用することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジ
メチルエチルアミン、モノメチロールジメチルアミン、
モノメチロールジエチルアミン、ジメチロールメチルア
ミン、ジメチロールエチルアミン等を挙げる事ができ、
これらの1種又は2種以上を使用することができる。塩
基性化合物は上記重合体を水性媒体に分散するために用
いるもので、該重合体の酸基の20〜200モル%に相当す
る量で使用する。20モル%未満の量では水性媒体に分散
するのが困難となる。特に、保存時においても良好な分
散状態を保持し、しかも塩基性化合物に由来する欠点、
例えば、耐水性の低下や変色等の弊害の見られないポリ
シロキサングラフトポリマー水性分散体を得るために重
合体中の酸基の50〜100モル%に相当する量で添加する
のが好ましい。この際、高度の分散安定性を必要とする
場合は適当な乳化剤及び/又は保護コロイドを併用する
こともできる。但し、得られるポリシロキサングラフト
ポリマー水性分散体の各種性能を考慮すれば、その使用
量は少量とする程好ましく、使用しないのが最も好まし
い。
添加する水の量はポリシロキサングラフトポリマー100
重量部に対して30〜1000重量部である。30重量部未満で
は水が連続相とならず、安定な水性分散体は得られな
い。一方、100重量部を越える量を用いた場合はポリシ
ロキサングラフトポリマー分が稀薄となり経済的に好ま
しくない。
ポリシロキサングラフトポリマーを含む液状物を攪拌し
て安定な水性分散体とするには、該液状物中の水溶性有
機溶剤の量を有機溶剤全量に対して30〜100重量%とす
ることが必要である。水溶性有機溶剤が30重量%未満の
量を用いた場合は、分散粒子の沈降等が起こり、安定な
分散体を得るのが困難である。水溶性有機溶剤の比率を
全有機溶剤中の30〜100重量%とするのは水添加前又は
添加後で良いが、好ましくは添加前である。
水溶性有機溶剤とはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ア
セトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ等のセロソルブ類の水希釈有機溶剤である。
重合に好ましくは使用される有機溶剤の残存を考慮する
と、水溶性有機溶剤の比率は全有機溶剤中の40〜90重量
%とするのが好ましい。
こうして得られるポリシロキサングラフトポリマー水性
分散体は長期間保存安定性に優れると共に、表面滑性、
耐熱性、耐候性、撥水性、耐水性、耐マイグレーション
に優れた皮膜を形成しうるものであり、そのまま各種用
途に好適に使用できるものであるが、使用時における環
境保全も考慮すれば、更に脱溶剤するのが好ましい。脱
溶剤は従来公知の方法、例えば減圧蒸留、加熱蒸留等に
より容易に行なうことができる。脱溶剤の量は所望に応
じて適宜決定されるべきものであるが、本発明の特徴を
最大に発揮させるために分散液中に含まれる90重量%以
上に相当する量を除去するのが好ましい。こうして脱溶
剤した後のポリシロキサングラフトポリマー水性分散体
は分散液の安定性や皮膜の各性能が全く損なわれること
なく、しかも各種用途で使用する際の環境保全が解決さ
れている。
〔発明の効果〕
本発明のポリシロキサングラフトポリマー水性分散体
は、常温もしくは加熱条件下に揮発成分を揮散させるだ
けで、表面滑性、耐熱性、耐候性、撥水性、耐水性、耐
マグレーション性の優れたフイルムまたはシートあるい
は成形物にできる。また本発明のポリシロキサングラフ
トポリマー水性分散体は金属類、プラスチック類、木
材、無機質基材などに対する被覆剤または接着剤あるい
は紙、繊維などに対する処理剤など多方面の用途への応
用が可能である。この際、当該業者に公知の顔料、トナ
ー、架橋剤、粘度調節剤、潤滑剤、可塑剤、防錆剤、消
泡剤、帯電防止剤などを配合する事は自由である。
本発明の製造方法により得られたポリシロキサングラフ
トポリマー水性分散体がこのように優れた性質を示す理
由については未だ定かでないが、次のように考えられ
る。即ち、末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサン
(A)存在下に重合性シラン化合物(B)を含む単量体
混合物を重合することにより、生成するシラン化合物単
位を含む重合体鎖とポリシロキサンとが結合し、ポリシ
ロキサングラフトポリマーが得られる。このようなグラ
フトポリマーが水性媒体に分散されてなるポリシロキサ
ングラフトポリマー水性分散体を基材に塗布した場合、
ポリシロキサン部分が空気側に、重合により生成した該
重合体鎖部分が基材側に配向する結果、撥水性、表面滑
性等の表面特性と基材への密着性を両立させるものと考
えられる。しかし、この理由だけで何ら制限を受けるも
のではない。
本発明の製造方法は上記特徴を有するポリシロキサング
ラフトポリマー水性分散体を簡便に得るための方法を提
供するものである。本発明の製造方法によれば、ポリシ
ロキサングラフトポリマー水性分散体が特別の界面活性
剤を用いることなく安定に得られるのであり、これは当
分野における現在の技術水準から見て正に驚くべきこと
である。更に驚くべき事に、こうして得られたポリシロ
キサングラフトポリマー水性分散液は、水性媒体に分散
する前の有機溶剤溶液に比べて、液の保存安定性が著し
く向上しており、この事実は本願発明人らも予想だにで
きない事であった。
よって、本発明はポリシロキサングラフトポリマーの応
用範囲の著しい拡大を可能ならしめるものである。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、こ
れらにより本発明は何ら限定を受けるものではない。
尚、例中の部はすべて重量部を示すものとする。
実施例1 温度計、還流冷却器、滴下漏斗、窒素導入管および攪拌
機を備えた四つ口フラスコに末端ヒドロキシル基含有ポ
リシロキサンとして直鎖状で平均分子量が120000のジヒ
ドロキシジメチルポリシロキサンの30重量%トルエン溶
液10部およびトルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下、8
0℃に昇温した。これにメタクリル酸メチル70部、アク
リル酸ブチル20部、アクリル酸5部、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラ5部およびアゾビスイソブ
チロニトリル2部からなる単量体均一溶液の20重量%を
加えて、80℃で30分間、初期重合を行った。次いで同温
度で残りの単量体均一溶液を2時間かけて滴下し、滴下
終了後2時間30分間重合を継続した時、イソプロピルア
ルコール10部を加えて希釈した。引続き温度を80℃に保
持しながら1時間30分攪拌を続けて重合反応を継続した
のち冷却して、ポリシロキサングラフトポリマーの溶液
(以下、重合体溶液(1)という。)を得た。得られる
重合体溶液(1)40部にイソプロピルアルコール60部を
加えて希釈後、28%アンモニア水3部を攪拌下に添加
し、10分間攪拌を継続した後、水を237部添加して水分
散化した。続いて内温を60℃に昇温して、減圧蒸留法に
より250部を留去して脱溶剤した後、アンモニア水と水
を加えてPH9.0、濃度30%に調整し、ポリシロキサング
ラフトポリマー水性分散体(以下水性分散体(1)とい
う。)を得た。得られた水性分散体(1)は粘度10cps
(25℃、B型粘度計、60rpm)で、一週間静置しても、
分散粒子の沈降やポリシロキサンの分離を起こさず安定
なエマルションであった。また、残存するイソプロピル
アルコールおよびトルエンはそれぞれ90ppm、750ppmで
あった。
液の保存安定性をみるために、50℃で6ヶ月間保存した
ところ、重合体溶液(1)はゲル化していたが、水性分
散体(1)は粘度変化なく安定であった。
実施例2 実施例1で用いたのと同様の四つ口フラスコに実施例1
で用いたのと同様の末端ヒドロキシル基含有ポリシロキ
サンの30重量%トルエン溶液33.3部およびトルエン100
部を仕込み、窒素雰囲気下80℃に昇温した。これにメタ
クリル酸メチル50部、アクリル酸ブチル20部、アクリロ
ニトリル20部、アクリル酸5部、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン5部およびアゾビスイソブチ
ロニトリル2部からなる単量体均一溶液を用いて、実施
例1と同様の初期重合操作および単量体均一溶液の滴下
操作を行った。単量体均一溶液の滴下終了後30分間重合
を継続した時、エチルアルコール100部を加えて希釈し
た。更に80℃で3時間30分重合反応を継続したのち冷却
して、ポリシロキサングラフトポリマーの溶液(以下、
重合体溶液(2)という。)を得た。得られた重合体溶
液(2)200部に28%アンモニア水2.5部とする以外は実
施例1と同様な操作を行い、ポリシロキサングラフトポ
リマー水性分散体(以下、水性分散体(2)という。)
を得た。
得られた水性分散体(2)は粘度70cps(25℃、B型粘
度計、60rpm)で一週間静置しても、分散粒子の沈降や
ポリシロキサンの分離を起こさず安定なエマルションで
あった。また、残存するエチルアルコールおよびトルエ
ンはそれぞれ230ppm、870ppmであった。
実施例3 実施例1で用いたのと同様の四つ口フラスコに末端ヒド
ロキシル基含有ポリシロキサンとして直鎖状で平均分子
量が48000のジヒドロキシジメチルポリシロキサン3部
およびトルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃に
昇温した。これにメタクリル酸メチル30部、スチレン30
部、酢酸ビニル25部、アクリル酸10部、2−スチリルエ
チルトリメトキシシラン5部およびアゾビスイソブチロ
ニトリル2部からなる単量体均一溶液を用いて、実施例
1と同様の初期重合操作および単量体均一溶液の滴下操
作を行った。単量体均一溶液の滴下終了後15分間重合を
継続した時、イソプロピルコール100部を加えて希釈し
た。更に80℃で3時間45分重合反応を継続したのち冷却
して、ポリシロキサングラフトポリマーの溶液(以下、
重合体溶液(3)という。)を得た。得られた重合体溶
液(3)200部に28%アンモニア水2部を攪拌下に添加
し、10分間攪拌を継続した後、水を238部添加し、水分
散化してポリシロキサングラフトポリマー水性分散体
(以下、水性分散体(3)という。)を得た。
得られた水性分散体(3)は粘度750cps(25℃、B型粘
度計、60rpm)で一週間静置しても、分散粒子の沈降や
ポリシロキサンの分離を起こさず安定なエマルションで
あった。
実施例4 実施例2のアクリロニトリルの量を20部から5部に、お
よびアクリル酸の量を5部から20部にする以外は実施例
2と同様な操作を行い、ポリシロキサングラフトポリマ
ー水性分散体(以下、水性分散体(4)という。)を得
た。得られた水性分散体(4)は粘度220cps(25℃、B
型粘度計、60rpm)で、一週間静置しても、分散粒子の
沈降やポリシロキサンの分離を起こさず安定なエマルシ
ョンであった。また、残存するエチルアルコールおよび
トルエンはそれぞれ300ppm、1100ppmであった。
実施例5 実施例1で用いた末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサ
ンの代わりに末端ヒドロキシル基を平均4個有し、平均
分子量が260000の一部枝分れした分岐状ジメチルポリシ
ロキサンの30重量%トルエン溶液を用いる以外は実施例
1と同様な操作を行い、ポリシロキサングラフトポリマ
ー水性分散体(以下、ポリシロキサン水性分散体(5)
という。)を得た。得られた水性分散体(5)は粘度12
cps(25℃、B型粘度計、60rpm)で、一週間静置して
も、分散粒子の沈降やポリシロキサンの分離も起こさず
安定なエマルションであった。また、残存するイソプロ
ピルアルコールおよびトルエンはそれぞれ70ppm、800pp
mであった。
比較例1 実施例1におけるγ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシランを用いない以外は、実施例1と全く同様にし
て、比較用の重合体溶液(以下、比較用重合体溶液
(1)という。)を得た。得られた比較用重合体溶液
(1)140部にイソプロピルアルコール60部を加えて希
釈後、28%アンモニア水3部を攪拌下に添加し、10分間
攪拌を接続した後、水を237部添加し、水分散化して比
較用の水性分散体(以下、比較用水性分散体(1)とい
う。)を得た。得られた比較用水性分散体(1)は一晩
静置するとポリシロキサンが上層に分離した。
比較例2 実施例1における末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサ
ンを用いない以外は、実施例1と全く同様にして得られ
た重合体溶液302部に、実施例1で用いたのと同様の末
端ヒドロキシル基含有ポリシロキサンを30重量%トルエ
ン溶液として10部加え、よく混合して比較用の重合体溶
液(以下、比較用重合体溶液(2)という。)を得た。
得られた比較用重合体溶液(2)140部にイソプロピル
アルコール60部を加えて希釈後に28%アンモニア水3部
を攪拌下に添加し、10分間攪拌を継続した後、水を237
部添加し、水分散化して比較用の水性分散体(以下、比
較用水性分散体(2)という。)を得た。得られら比較
用水性分散体(2)は一晩静置するとポリシロキサンが
上層に分離した。
比較例3 実施例1で得られた重合体溶液(1)140部にイソプロ
ピルアルコール60部を加えて希釈後、28%アンモニア水
0.4部を攪拌下に添加し、10分間攪拌を継続した後、水
を239部添加し、水分散化して比較用の水性分散体(以
下、水性分散体(3)という。)を得た。得られた比較
用水性分散体(3)は一週間静置すると粒子が沈降し、
上層に透明な水層部分が分離した。
比較例4 実施例1で得られた重合体溶液(1)140部にトルエン5
0部およびイソプロピルアルコール10部を加えて希釈
後、28%アンモニア水3部を攪拌下に添加し、10分間攪
拌を継続した後、水を239部添加し、水分散化して比較
用の水性分散体(以下、比較用水性分散体(4)とい
う。)を得た。得られた比較用水性分散体(4)は一週
間静置すると粒子が沈降し、上層に透明な水層部分が分
離した。
比較例5 実施例1のアクリル酸の量を5部から0.5部にする以外
は実施例1と同様な操作を行い、比較用のポリシロキサ
ングラフトポリマー水性分散体(以下、比較用水性分散
体(5)という。)を得た。得られた比較用水性分散体
(5)は一週間静置すると粒子が沈降し、上層に透明な
水層部分が分離した。
実施例6〜10 実施例1〜5で得た水性分散体(1)〜(5)をガラス
板にNo6バーコーダーで塗布し、150℃で1分間加熱乾燥
した後の塗膜に物性を第1表にまとめて示した。
比較例6〜10 比較例1〜5で得られた比較用水性分散体(1)〜
(5)をガラス板にNo6バーコーダーで塗布し、150℃で
1分間加熱乾燥した後の塗膜の物性を第1表にまとめて
示した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】末端ヒドロキシル基含有ポリシロキサン
    (A)1〜20重量%存在下に、重合性シラン化合物
    (B)0.05〜10重量%、不飽和有機酸(C)1〜30重量
    %およびこれらと共重合可能な他の重合性単量体(D)
    40〜97.95重量%(但し、(A)、(B)、(C)およ
    び(D)成分の合計は100重量%とする。)を、まず重
    合開始時は、アルコール系以外の有機溶剤中で重合を開
    始し、重合終了後得られる重合体の溶液に、塩基性化合
    物および水を加えた液状物を攪拌してポリシロキサング
    ラフトポリマー水性分散体を製造するに際し、塩基性化
    合物の添加量をポリシロキサングラフトポリマー中の酸
    基の20〜200モル%相当量とし、水の添加量をポリシロ
    キサングラフトポリマー100重量部に対して30〜1000重
    量部とすると共に、水の添加前または添加後の該液状物
    中の水溶性有機溶剤の量を有機溶剤の全量に対して30〜
    100重量%とすることを特徴とするポリシロキサングラ
    フトポリマー水性分散体の製造方法。
  2. 【請求項2】水に分散した後、さらに脱溶剤する請求項
    1記載のポリシロキサングラフトポリマー水性分散体の
    製造方法。
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