JP2001240770A - 加工顔料、着色硬化性樹脂組成物および塗装物 - Google Patents

加工顔料、着色硬化性樹脂組成物および塗装物

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JP2001240770A
JP2001240770A JP2000053371A JP2000053371A JP2001240770A JP 2001240770 A JP2001240770 A JP 2001240770A JP 2000053371 A JP2000053371 A JP 2000053371A JP 2000053371 A JP2000053371 A JP 2000053371A JP 2001240770 A JP2001240770 A JP 2001240770A
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silicon atom
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polysiloxane
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JP2000053371A
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Shinichi Kudo
伸一 工藤
Masahiro Miyake
正浩 三宅
Masataka Ooka
正隆 大岡
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 シラノール基や加水分解性シリル基を有
する重合体を主剤とする硬化性樹脂組成物に対して、幅
広い種類の顔料による着色が可能で、保存安定性に優れ
る加工顔料と、優れた硬化性と物性を有する着色硬化性
樹脂組成物と、塗膜物性に優れる塗装物とを提供するこ
と。 【解決手段】 加水分解性基および/または水酸基とC
4 以上の有機基とが結合した珪素原子、および/また
は、加水分解性基または水酸基の1個とC3 以下の有機
基の2個とが結合した珪素原子を有し、RSiO1.5−お
よびSiO2−構造中の珪素原子が全珪素原子中の30モ
ル%以下であるポリシロキサンセグメント(A)と、ポ
リシロキサン以外の重合体セグメント(B)とからなる
複合樹脂(I)に、顔料(II)を分散せしめて得られる
加工顔料、これを含んでなる着色硬化性樹脂組成物、こ
の組成物を塗装してなる塗装物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る加工顔料と、該加工顔料と特定の重合体とを必須の成
分として含有してなる着色硬化性樹脂組成物と、該着色
硬化性樹脂組成物を塗装せしめてなる塗装物とに関す
る。
【0002】詳しくは、特定のポリシロキサンセグメン
トと、ポリシロキサン以外の重合体セグメントとからな
る複合樹脂に、顔料を分散せしめて得られる加工顔料
と、該加工顔料と、珪素原子に結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有する重合体
とを必須の成分として含有してなる着色硬化性樹脂組成
物と、該着色硬化性樹脂組成物を塗装せしめて得られる
塗装物に関するものである。
【0003】さらに詳細には、珪素原子に結合した水酸
基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を含
有する重合体を主剤とする硬化性樹脂組成物に対して、
公知慣用の幅広い種類の顔料による着色を可能にし、且
つ、長期の保存安定性にも優れる加工顔料と、該加工顔
料と、主剤である珪素原子に結合した水酸基および/ま
たは珪素原子に結合した加水分解性基を含有する重合体
を必須成分として含有してなる、耐溶剤性、耐薬品性、
耐酸性、耐アルカリ性ならびに耐水性等に優れる硬化物
を形成することが出来て、しかも、優れた硬化性を有す
る着色硬化性樹脂組成物と、該着色硬化性組成物を塗装
せしめて得られる、光沢保持性に代表される耐久性など
をはじめとする諸性能にも優れ、且つ、極めて優れた耐
曝露汚染性を有する塗装物に関する。
【0004】
【従来の技術】これまでにも、珪素原子に結合した水酸
基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を含
有する重合体を主剤とし、その一部もしくは全部に顔料
を分散せしめた着色硬化性樹脂組成物(特公昭63−2
310号公報、特開平4−106172号公報および特
開平5−209027号公報等)が、幅広く、利用され
ている。
【0005】しかしながら、主剤である珪素原子に結合
した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解
性基を含有する重合体の主たる成分が、アルコキシシラ
ンから調製されるゾル−ゲル溶液等のポリシロキサンで
ある場合には、該ポリシロキサンの顔料分散性が極めて
低いために、顔料の種類によっては、顔料の分散が困難
になるという、問題が生じることがあるし、該ポリシロ
キサン以外の、珪素原子に結合した水酸基を含有する重
合体、あるいは、珪素原子に結合した水酸基を有するポ
リシロキサンセグメントとポリシロキサン以外の重合体
セグメントからなる複合樹脂が主剤の場合には、使用す
る顔料の種類によっては、当該顔料に含まれる表面処理
剤や不純物等により、顔料分散後に、前記した水酸基同
志が縮合反応を起こして該組成物が増粘し、ゲル化にい
たることがあるし、さらには、主剤が珪素原子に結合し
た加水分解性基を有する場合には、顔料に含まれる水分
を十分に低減しないと、分散後に該加水分解性基の加水
分解反応が進行し、ひいては縮合反応による増粘やゲル
化が生じることもある。
【0006】一方、公知慣用の各種の樹脂に顔料を分散
して加工顔料を調製し、これを使用して、ポリシロキサ
ンやポリシロキサンを含有する複合樹脂を着色する方法
も、一般的に利用されているが、顔料を分散する樹脂の
添加量や種類によっては、主剤のもつ特性を著しく損な
う場合がある。
【0007】このような現状から、ポリシロキサンやポ
リシロキサンを含有する複合樹脂の如き、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有する重合体を主剤とする着色硬化性樹脂組成
物においては、使用する顔料の種類の選択性が広く、し
かも、主剤樹脂のもつ特性を損なわないような、貯蔵安
定性に優れる加工顔料の開発は急務ではあるが、現在ま
で、そのような優れた特性を有する加工顔料は、得られ
ていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く、解消するべく、鋭意、研究を開始した。
【0009】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を含有する重合体を主剤とす
る硬化性樹脂組成物に対して、公知慣用の幅広い種類の
顔料による着色を可能にし、且つ、長期の保存安定性に
も優れる加工顔料を提供することにあるし、該加工顔料
と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を含有する重合体を必須成分と
して含有してなる、耐溶剤性、耐薬品性、耐酸性、耐ア
ルカリ性ならびに耐水性等に優れる硬化物を形成するこ
とが出来て、しかも、優れた硬化性を有する着色硬化性
樹脂組成物を提供することにあるし、さらには、該着色
硬化性組成物を塗装せしめて得られる、光沢保持性に代
表される耐久性などをはじめとする諸性能にも優れ、且
つ、極めて優れた耐曝露汚染性を有する塗装物を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、加水
分解性基および/または水酸基とこれら以外の総炭素原
子数が4個以上の有機基とが共に結合した珪素原子、お
よび/または、加水分解性基または水酸基の1個とこれ
ら以外の総炭素原子数が3個以下の有機基の2個とが共
に結合した珪素原子を有する特定のポリシロキサンセグ
メントと、ポリシロキサン以外の重合体セグメントとか
らなる複合樹脂に、顔料を分散せしめて得られる加工顔
料が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を含有する重合体を主剤とす
る硬化性樹脂組成物に対して、公知慣用の幅広い種類の
顔料による着色を可能にし、且つ、長期の保存安定性に
も優れることを見い出すとともに、該加工顔料と、珪素
原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合し
た加水分解性基を含有する重合体を必須成分として含有
する着色硬化性樹脂組成物が、耐溶剤性、耐薬品性、耐
酸性、耐アルカリ性ならびに耐水性などの諸性能にも優
れた硬化物を形成せしめることが出来て、しかも、優れ
た硬化性を有することを見い出し、さらには、該着色硬
化性樹脂組成物を塗装せしめて得られる塗装物が、光沢
保持性に代表される耐久性などをはじめとする諸性能に
も優れ、且つ、極めて優れた耐曝露汚染性を有すること
等を見い出し、本発明を完成させるに到った。
【0011】すなわち、本発明は、 1.加水分解性基および/または水酸基とこれら以外の
総炭素原子数が4個以上の有機基とが共に結合した珪素
原子、および/または、加水分解性基または水酸基の1
個とこれら以外の総炭素原子数が3個以下の有機基の2
個とが共に結合した珪素原子を有し、且つ、下記の構造
式(1)および(2)
【0012】
【化4】
【0013】〔ただし、式中、R1 は炭素原子数が3個
以下なるアルキル基を表す。〕で示される構造中に含ま
れる珪素原子の合計が全珪素原子の30モル%以下であ
るポリシロキサンセグメント(A)と、ポリシロキサン
以外の重合体セグメント(B)とからなる複合樹脂
(I)に、顔料(II)を分散せしめて得られる加工顔
料、
【0014】2.前記した複合樹脂(I)を構成するポ
リシロキサンセグメント(A)と重合体セグメント
(B)とが、下記の構造式(3)
【0015】
【化5】
【0016】〔ただし、式中、炭素原子は重合体セグメ
ント(B)の一部分を構成し、2個の珪素原子はポリシ
ロキサンセグメント(A)またはポリシロキサンセグメ
ント(A)の一部分を構成する。〕で示される結合によ
り結合している、上記1に記載の加工顔料、
【0017】3.前記したポリシロキサンセグメント
(A)が、下記の一般式(4)および/または(5)
【0018】
【化6】
【0019】〔ただし、式中、R2 は炭素原子数が4個
以上のアルキル基、炭素原子数が5個以上のシクロアル
キル基、アリール基またはアラルキル基を、R3 はアル
キル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキ
ル基を、R4 は炭素原子数4個以下のアルキル基を、R
5 は炭素原子数が3個以下の有機基を表し、また、mは
0または1の整数である。〕で示されるアルコキシシラ
ン化合物を70モル%以上含有してなるアルコキシシラ
ン化合物類の加水分解縮合物、該アルコキシシラン化合
物類の共加水分解縮合物、該アルコキシシラン化合物類
の部分加水分解縮合物および該アルコキシシラン化合物
類の部分共加水分解縮合物からなる群から選ばれる少な
くとも1種のポリシロキサンに由来するセグメントであ
る、上記1または2に記載の加工顔料、
【0020】4.前記した重合体セグメント(B)が、
ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体に由来する
セグメントである、上記1、2または3に記載の加工顔
料、
【0021】5.上記1〜4のいずれかに記載の加工顔
料と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を含有する重合体(III) を
必須成分として含有することを特徴とする着色硬化性樹
脂組成物、
【0022】6.前記した重合体(III) が、珪素原子
に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
水分解性基を含有するポリシロキサン(III-1)、該ポ
リシロキサン(III-1)以外の珪素原子に結合した水酸
基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有
する重合体〔ただし、該ポリシロキサン(III-1)を除
く〕(III-2)、および、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を含有す
るポリシロキサンセグメントとポリシロキサン以外の重
合体セグメントから構成される複合樹脂(III-3)から
なる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である、上
記5に記載の着色硬化性樹脂組成物、および、
【0023】7.上記5または6に記載の着色硬化性樹
脂組成物を塗装せしめてなるものであることを特徴とす
る塗装物、を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を、さらに一層、
詳細に、説明することにする。本発明の加工顔料におい
て、顔料(II)を分散せしめる際に使用される、前記し
た複合樹脂(I)としては、前記したポリシロキサンセ
グメント(A)が、前記した重合体セグメント(B)の
側鎖および/または末端に、化学的に結合したグラフト
構造および/またはブロック構造を有する樹脂等が挙げ
られる。
【0025】そして、かかる複合樹脂(I)における、
ポリシロキサンゼグメント(A)と重合体セグメント
(B)の結合様式としては、前記した構造式(3)と
か、下記の構造式(6)とかの結合様式を採用すること
できるが、高度の耐久性を達成する観点からは、特に構
造式(3)の結合様式を採用することが好ましい。
【0026】
【化7】
【0027】〔ただし、式中、炭素原子は重合体セグメ
ント(B)の一部分を構成し、珪素原子はポリシロキサ
ンセグメント(A)の一部分を構成する。〕
【0028】そして、複合樹脂(I)に導入されるポリ
シロキサンセグメント(A)の量は、複合樹脂(I)の
顔料分散性が良好で、且つ、加工顔料の貯蔵安定性に優
れる加工顔料が得られることから、複合樹脂(I)の全
固形分中における含有率が1〜80重量%、好ましくは
2〜65重量%、さらに好ましくは3〜50重量%とな
る量に設定することが適切である。
【0029】前記した複合樹脂(I)を構成する、ポリ
シロキサンセグメント(A)は、加水分解性基および/
または水酸基とこれら以外の総炭素原子数が4個以上の
有機基とが共に結合した珪素原子、および/または、加
水分解性基または水酸基の1個と総炭素原子数が3個以
下の有機基の2個とが共に結合した珪素原子を有し、且
つ、前記した構造式(1)および(2)で示される構造
中に含まれる珪素原子の合計が全珪素原子の30モル%
以下、好ましくは15モル%以下であるものであり、線
状、分岐状あるいは環状のうちの、いずれの構造を有す
るものであってもよい。
【0030】かかるポリシロキサンセグメント(A)
は、下記の二つの点より、かかる複合樹脂(I)の調製
過程または顔料(II)の分散過程での著しい粘度増加や
ゲル化を防止すると共に、本発明の加工顔料に優れた保
存安定性を付与する。
【0031】(1)ポリシロキサンセグメント(A)に
含有される、加水分解性基または水酸基が結合した珪素
原子上に、総炭素原子数が4個以上の有機基のような嵩
高い置換基を導入したり、当該珪素原子上に総炭素原子
数が3個以下の有機基の2個を導入したすることによ
り、これらの有機基が結合した珪素原子上に結合してい
る加水分解性基もしくは水酸基の反応性が立体効果によ
って低下している点。
【0032】(2)前記した構造式(1)および(2)
で示される構造中に含まれる珪素原子がポリシロキサン
セグメント(A)中の全珪素原子の30モル%以下であ
ることにより、セグメントの分子量や分岐が抑制される
点。
【0033】上述したポリシロキサンセグメント(A)
中に含まれる、珪素原子に結合した総炭素原子数が4個
以上の有機基の代表的なものとしては、3個以上の炭素
原子を有する置換基が結合したメチル基、2個以上の炭
素原子を有する置換基が結合したエチル基、炭素原子数
が4以上のアルキル基、置換基が結合した炭素原子数が
4以上のアルキル基、シクロアルキル基、置換基が結合
したシクロアルキル基、シクロアルキル基が置換したア
ルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基
もしくは置換基が結合したアラルキル基等が挙げられ
る。
【0034】かかる総炭素原子数が4個以上の有機基に
おける炭素原子数の上限としては、実用性の面から18
個程度である。
【0035】かかる総炭素原子数が4個以上の有機基の
いっそう具体的なものとしては、シクロペンチルメチル
基、シクロヘキシルメチル基等の如きシクロアルキル基
が置換したメチル基;2−エトキシエチル基、2−n−
プロポキシエチル基等の如きアルコキシ基が置換したエ
チル基;2−シクロペンチルエチル基、2−シクロヘキ
シルエチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチル基等の如きシクロアルキル基が置換したエチ
ル基;n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブ
チル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチ
ル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の如き
炭素原子数が3以上のアルキル基;3−グリシドキシプ
ロピル基、3−ウレイドプロピル基、3−グリシドキシ
プロピル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタア
クリロキシプロピル基等の如き置換プロピル基、シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の
如きシクロアルキル基、フェニル基、4−メチルフェニ
ル基、1−ナフチル基等の如きアリール基もしくは置換
アリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等の如
きアラルキル基などが挙げられる。
【0036】上述した各種の有機基のうちで特に好まし
いものは、 炭素原子数が4〜18のアルキル基、シク
ロアルキル基およびアリール基である。
【0037】従って、総炭素原子数が4以上の有機基の
少なくとも1個と加水分解性基および/または水酸基が
共に結合した珪素原子として特に好ましいものとして
は、炭素原子数が4〜18のアルキル基と加水分解性基
および/または水酸基が共に結合した珪素原子、シクロ
アルキル基と加水分解性基および/または水酸基が共に
結合した珪素原子およびアリール基と加水分解性基およ
び/または水酸基が共に結合した珪素原子等が挙げられ
る。
【0038】上述した炭素原子数が4〜18のアルキル
基のうちでも特に好ましいものは、iso−ブチル基で
あり、シクロアルキル基のうちで特に好ましいものはシ
クロヘキシル基であり、アリール基のうちで特に好まし
いものはフェニル基である。
【0039】上記したポリシロキサンセグメント(A)
に含まれる、珪素原子に結合した加水分解性基とは、加
水分解性シリル基のことであり、容易に加水分解を受け
て脱離して、珪素原子に結合した水酸基であるシラノー
ル基を生じさせる基を指称するものである。かかる基の
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルコ
キシ基、置換アルコキシ基、フェノキシ基、アシロキシ
基、ハロゲン原子、イソプロペニルオキシ基、イミノキ
シ基または水素原子などである。
【0040】これらの加水分解性基のうちでも特に望ま
しいものとしては、アルコキシ基が挙げられる。そして
かかるアルコキシ基の代表的のものとしては、メトキシ
基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキ
シ基、n−ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちで、
特に好ましいものとしては、メトキシ基、エトキシ基が
挙げられる。
【0041】そして、前記したポリシロキサンセグメン
ト(A)として、特に代表的なものを例示するにとどめ
れば、前述の一般式(4)および/または(5)で示さ
れるアルコキシシラン化合物〔以下、アルコキシシラン
化合物(s−1)と略記する。〕を70モル%以上、好
ましくは85モル%以上含有してなるアルコキシシラン
化合物類の加水分解縮合物、該アルコキシシラン化合物
類の共加水分解縮合物、該アルコキシシラン化合物類の
部分加水分解縮合物および該アルコキシシラン化合物類
の部分共加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なく
とも1種のポリシロキサン〔以下、ポリシロキサン(a
−1)と略記する。〕に由来するセグメントが挙げられ
る。
【0042】複合樹脂(I)のもう一方の構成成分であ
る、重合体セグメント(B)として特に代表的なものを
例示すれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系
重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合
体、ポリオレフィン系重合体等の如き、各種のビニル系
重合体に基づくセグメントや、ポリウレタン系重合体ま
たはポリエステル系重合体等の如き、ビニル系重合体以
外の各種の重合体に基づくセグメントなどがある。
【0043】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体セグメントまたはポリウレタン系重
合体セグメントが挙げられる。そして、ビニル系重合体
セグメントのうちで特に望ましいものは、アクリル系重
合体セグメントである。
【0044】また、重合体セグメント(B)には、珪素
原子に結合した水酸基または珪素原子に結合した加水分
解性基以外の官能基を導入することが出来る。そして、
かかる官能基のうち、特に代表的なものを例示するにと
どめれば、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシ
ル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、炭素原子に結
合した水酸基、ブロックされた水酸基、シクロカーボネ
ート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カ
ーバメート基、下記の構造式(7)
【0045】
【化8】
【0046】で示される官能基などがある。
【0047】そして、前掲した各種の官能基のうち、顔
料分散性の点からは、極性基として、カルボキシル基、
3級アミノ基、1級アミド基、2級アミド基等を導入す
ることが、特に望ましい。
【0048】前記した複合樹脂(I)の中で、かかる複
合樹脂(I)を構成するポリシロキサンセグメント
(A)と重合体セグメント(B)とが、前記した構造式
(3)で示される結合により結合しているものの製造法
としては、公知慣用の各種の方法を適用することができ
る。
【0049】このうち、ポリシロキサンセグメント
(A)として、上述のポリシロキサン(a−1)に由来
するセグメントを有し、且つ、重合体セグメント(B)
としてビニル系重合体またはポリウレタン系重合体に由
来するセグメントを有する複合樹脂の製造法として、特
に代表的なものを例示すれば、珪素原子に結合した水
酸基(以下、シラノール基ともいう。)および/または
珪素原子に結合した加水分解性基(以下、加水分解性シ
リル基ともいう。)を有する、ビニル系重合体またはポ
リウレタン系重合体(b)の存在下に、前記した一般式
(4)および/または(5)で示されるアルコキシシラ
ン化合物(s−1)を70モル%以上含有してなるアル
コキシシラン化合物類を加水分解縮合反応、共加水分解
縮合反応、部分加水分解縮合反応または部分共加水分解
縮合反応せしめる方法や、上記重合体(b)と、前記
したポリシロキサン(a−1)とを、加水分解縮合反
応、共加水分解縮合反応または縮合反応せしめる方法等
が挙げられる。
【0050】そして、上述した重合体(b)が有する珪
素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合
した加水分解性基とは、下記の一般式(8)
【0051】
【化9】
【0052】(ただし、式中のR6 はアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の如き1価
の有機基を、R7 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキ
シ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ
基、イソプロペニルオキシ基、イミノオキシ基等の如き
加水分解性基、または、水酸基を表わし、また、nは
0、1または2の整数である。)で示される、シラノー
ル基および/または加水分解シリル基であり、このうち
でも、特に加水分解性シリル基が、かかる重合体(b)
製造時のゲル化を防止の観点から好適である。さらに、
耐久性に優れる塗装物が得られることから、かかるシラ
ノール基および/または加水分解性シリル基は、炭素原
子を介して当該重合体に共有結合していることが、特に
好ましい。
【0053】また、上記した重合体(b)には、珪素原
子に結合した水酸基および珪素原子に結合した加水分解
性基以外の官能基をも導入すること出来る。そして、か
かる官能基の代表的なものとしては、前記した重合体セ
グメント(B)に導入できるものとして既に記載した各
種のものがある。そして、それらのうちで特に好ましい
官能基は、顔料分散性の観点から、極性基であるカルボ
キシル基、3級アミノ基、1級アミド基、2級アミド基
等である。
【0054】かかる重合体(b)の一つであるビニル系
重合体〔以下、ビニル系重合体(b−1)と略記す
る。〕を調製するには、公知慣用の各種の方法を適用で
きる。それらの代表的なものとしては、(i)加水分解
性シリル基を有するビニル系単量体(m−1)と、該単
量体と共重合可能なその他のビニル系単量体類(m−
2)とを共重合せしめる方法、(ii)加水分解性シリル
基を有する連鎖移動剤および/または加水分解性シリル
基を有するラジカル重合開始剤の存在下に、上記したビ
ニル系単量体類(m−2)を重合せしめる方法、(ii
i) 加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤および/ま
たは加水分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤の
存在下に、上記したビニル系単量体(m−1)と、上記
したビニル系単量体類(m−2)とを共重合せしめる方
法などが挙げられる。
【0055】かかるビニル系重合体(b−1)のうち、
珪素原子に結合した水酸基および珪素原子に結合した加
水分解性基以外の官能基を有するものを調製するには、
たとえば、上記した(i)〜(iii) なる各種の方法に
おいて、共重合するべきビニル系単量体類(m−2)と
して、珪素原子に結合した水酸基と、珪素原子に結合し
た加水分解性基以外の官能基を有するビニル系単量体を
必須成分として含有するビニル系単量体類を使用すれば
よい。
【0056】前記したビニル系重合体(b−1)を調製
する際に用いられる、加水分解性シリル基含有ビニル系
単量体(m−1)としては、前掲した一般(8)で示さ
れる、シリル基のうち加水分解性シリル基を有する単量
体等が挙げられ、かかる単量体として特に代表的なもの
を例示すれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニ
ルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリ
メトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニル
エーテル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビ
ニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあ
る。
【0057】また、これらのビニル系重合体(b−1)
を調製する反応において用いられる、加水分解性シリル
基を有する連鎖移動剤としては、上述したような加水分
解性シリル基と、メルカプト基、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子のような、いわゆる遊離ラジカルにより活性
化される基ないしは原子とを併有する化合物等が挙げら
れる。
【0058】かかる連鎖移動剤として特に代表的なもの
を例示すれば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3
−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−ブ
ロモプロピルトリメトキシシランなどがある。
【0059】さらにまた、これらのビニル系重合体(b
−1)を調製する際に用いられる加水分解性シリル基を
有するラジカル重合開始剤としては、分子中に上述した
ような加水分解性シリル基を有する化合物等が挙げら
れ、これらのうちでも特に代表的なものを例示すれば、
2,2′−アゾビス−(2−メチル−4−トリメトキシ
シリルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス−(2−
メチル−4−ジメトキシメチルシリルブチロニトリル)
等の如き、各種のアゾ系化合物;tert−ブチルパー
オキシ−2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリルプ
ロパノエート、tert−ブチルパーオキシ−4−エチ
ル−5−トリメトキシシリルヘキサノエート等の如き、
各種の過酸化物などがある。
【0060】そして、前述した種々の方法に従って、か
かるビニル系重合体(b−1)を調製する際に使用す
る、ビニル系単量体(m−1)と共重合可能なその他の
ビニル系単量体類(m−2)として特に代表的なものを
例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の如き、炭素原子数1〜22の1級ないしは2
級アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸との各種
エステル類;
【0061】ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェ
ニルエチル(メタ)アクリレート等の如き、各種のアラ
ルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート
等の如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート
類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メ
トキシブチル(メタ)アクリレート等の如き、各種のω
−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0062】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の如き、各
種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ル、安息香酸ビニル等の如き、各種のカルボン酸ビニル
エステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等の
如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチ
ルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレ
ート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネー
ト、ジ−n−ブチルイタコネート等の如き、各種の不飽
和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0063】(メタ)アクリロニトリル、クロトノニト
リル等の如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビ
ニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ク
ロロトリフルオロエチエレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン等の如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン等の如き、各種のクロル化オレフィ
ン類;エチレン、プロピレン等の如き、各種のα−オレ
フィン類;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、n−ヘキシルビニルエーテル等の如き、各種の
アルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエー
テル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−メチルシク
ロヘキシルビニルエーテル等の如き、各種のシクロアル
キルビニルエーテル類;
【0064】N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メ
タ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドン等
の如き、3級アミド基含有単量体類などがある。
【0065】また、前述した種々の方法に従って、かか
るビニル系重合体(b−1)のうち、珪素原子に結合し
た水酸基および珪素原子に結合した加水分解性基以外の
官能基として、カルボキシル基を有するものを調製する
際に、ビニル系単量体類(m−2)の一つとして使用さ
れる、カルボキシル基含有ビニル系単量体として特に代
表的なものを例示すれば、(メタ)アクリル酸、2−カ
ルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イ
タコン酸、マレイン酸、フマル酸等の如き、各種の不飽
和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モ
ノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノ
メチル等の如き、飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アル
コール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル
類);アジピン酸モノビニル、コハク酸モノビニル等の
如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル
類;
【0066】無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸、無水トリメリット酸等の如き、各種の飽和ポリカ
ルボン酸の無水物類と、後掲するような各種の炭素原子
に結合した水酸基を含有するビニル系単量体類との付加
反応生成物;前掲したような各種のカルボキシル基含有
単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られる
ような各種の単量体類などがある。
【0067】加えて、ビニル系重合体(b−1)とし
て、ブロックされたカルボキシル基を有するものを調製
する際に、ビニル系単量体類(m−2)の一つとして使
用される、ブロックカルボキシル基を有する単量体とし
て特に代表的なものを例示すれば、トリメチルシリル
(メタ)アクリレート、ジメチル−tert−ブチルシ
リル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルクロトネ
ート等の如き、特開昭62−254876号公報に開示
されているような、各種のシリルエステル基含有ビニル
系単量体類;1−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロパン、2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロ
フラン等の如き、特開平5−222134号公報に開示
されているような、各種のヘミアセタールエステル基な
いしはヘミケタールエステル基含有単量体類;tert
−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルクロ
トネート等の如き、各種のtert−ブチルエステル基
含有単量体類などがある。
【0068】さらに、ビニル系重合体(b−1)とし
て、カルボン酸無水基を有するものを調製する際に、ビ
ニル系単量体類(m−2)の一つとして使用される、カ
ルボン酸無水基含有単量体として特に代表的なものを例
示すれば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の如き、
各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル
酸、無水メタクリル酸等の如き、各種の不飽和モノカル
ボン酸の無水物類;アクリル酸、メタクリル酸等の如
き、各種の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸、
安息香酸などのような、種々の飽和カルボン酸との混合
酸無水物などがある。
【0069】さらには、ビニル系重合体(b−1)とし
て、3級アミノ基を有する重合体を調製する際にビニル
系単量体類(m−2)の一つとして使用される、3級ア
ミノ基を有するビニル系単量体として代表的なものを例
示すれば、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート
等の如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸
エステル類;
【0070】ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾー
ル、N−ビニルキノリン等の如き、各種の3級アミノ基
含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミ
ノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチ
ルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−
ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミ
ド等の如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル
アミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン
酸アミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン
酸アミド等の如き、各種の3級アミノ基含有クロトン酸
アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、
2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4−ジメチ
ルアミノブチルビニルエーテル等の如き、各種の3級ア
ミノ基含有ビニルエーテル類などがある。
【0071】そして、ビニル系重合体(b−1)とし
て、炭素原子に結合した水酸基を有するものを調製する
際に、ビニル系単量体類(m−2)の一つとして使用さ
れる、炭素原子に結合した水酸基含有ビニル系単量体と
して特に代表的なものを例示すれば、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート等の如き、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、
4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の如き水酸基含
有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエー
テル、2−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の如き、
水酸基含有アリルエーテル類;前掲したような各種の水
酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンなどで代表さ
れるような、種々のラクトン類との付加物等がある。
【0072】さらに、ビニル系重合体(b−1)とし
て、炭素原子に結合した水酸基を有するものを調製する
際に、ビニル系単量体類(m−2)の一つとして使用さ
れる、シクロカーボネート基含有ビニル系単量体として
特に代表的なものを例示すれば、2,3−カーボネート
プロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2,3−
カーボネートプロピル(メタ)アクリレート、3,4−
カーボネートブチル(メタ)アクリレート等の如き、5
員環のシクロカーボネート基含有の各種のビニル単量
体;[5−N−(メタ)アクリロイルカルバモイルオキ
シ]メチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オ
ン、5−エチル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチ
ル−1,3−ジオキサン−2−オン等の如き、6員環の
シクロカーボネート基含有の各種のビニル単量体等があ
る。
【0073】以上に掲げられたような種々の単量体を用
いて、目的とするビニル系重合体(b−1)を調製する
には、溶液重合法、非水分散重合法、塊状重合法などの
ような、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来
るが、それらのうちでも、特に有機溶剤中での溶液ラジ
カル重合法によるのが、最も簡便であり、好ましい。
【0074】溶液ラジカル重合法を適用する際に使用で
きる重合開始剤としては、公知慣用の種々の化合物が使
用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもの
を例示すれば、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニト
リル)等の如き、各種のアゾ化合物類;tert−ブチ
ルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパ
ーオキシカーボネート等の如き、各種の過酸化物類など
がある。
【0075】また、溶液ラジカル重合法を適用する際に
使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のい
ずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単
独使用でも2種類以上の併有でもよいことは、勿論であ
る。
【0076】それらのうちでも特に代表的なものを例示
すれば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、
シクロヘキサン、シクロペンタン等の如き、脂肪族系な
いしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン等の如き、芳香族炭化水素類;酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコー
ルモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート等の如き、各種のエステ
ル類;メタノール、エタノールiso−プロパノール、
n−ブタノール、iso−−ブタノール、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエー
テル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルの如き、
各種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シ
クロヘキサノン等の如き、各種のケトン類;ジメトキシ
エタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の如き、エ
ーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートな
どがある。
【0077】ビニル系重合体(b−1)を調製する際
に、加水分解性シリル基含有単量体(m−1)の使用量
が多くなると、重合時に、ゲル化が起こることがあるの
で、注意を要する。
【0078】こうしたゲル化を防止するためには、エチ
ルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、
エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネー
ト、メチルオルソフォーメイト等の如き、加水分解性エ
ステル化合物を、前掲したような溶剤類と併用すればよ
い。
【0079】以上に掲げたような、単量体類、重合開始
剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジ
カル重合法を適用することによって、目的とする各種の
ビニル系重合体(b−1)を調製することが出来る。
【0080】ビニル系重合体(b−1)中に導入される
べき加水分解性シリル基量としては、複合樹脂(I)を
調製する際の著しい粘度の上昇やゲル化を防ぐという
点、且つ、硬化性の良好な着色硬化性樹脂組成物が得ら
れる点から、それぞれの重合体の固形分1,000グラ
ム当たりの加水分解性シリル基のモル数が、0.001
〜2モルとなる範囲内が適切であり、なかでも0.00
5〜1.5モルとなる範囲内が好ましく、0.01〜1
モルとなる範囲内が特に好ましい。
【0081】従って、上述したような好ましい量の加水
分解性シリル基が導入されるように、それぞれ、加水分
解性シリル基含有単量体、加水分解性シリル基含有連鎖
移動剤、加水分解性シリル基含有重合開始剤の使用量
を、適切に設定することが好ましい。
【0082】また、顔料分散性の観点から、ビニル系重
合体(b−1)中に導入されるべき、カルボキシル基、
3級アミノ基、1級アミド基、2級アミド基等の極性基
の導入量としては、これらのビニル系重合体(b−1)
の固形分1,000グラム当たりの官能基のモル数が、
0.001〜5モルとなる範囲内が適切であり、なかで
も0.005〜4モルとなる範囲内が好ましく、0.0
1〜3モルとなる範囲内が特に好ましい。
【0083】これらのビニル系重合体(b−1)の数平
均分子量としては、顔料分散性が良好な複合樹脂(I)
が得られる点、且つ、保存安定性に優れる加工顔料が得
られる点から、500〜200,000なる範囲内が適
切であり、なかでも1,000〜50,000なる範囲
内が好ましく、1,500〜20,000なる範囲内が
特に好ましい。
【0084】また、重合体(b)としての加水分解性シ
リル基を含有するポリウレタン系重合体を調製するに
は、各種のジヒドロキシ化合物および各種のジイソシア
ネート化合物に加えて、加水分解性シリル基を導入する
ための原料成分としての、加水分解性シリル基を有する
ジアミン化合物または加水分解性シリル基を有するモノ
アミン化合物(以下、加水分解性シリル基含有アミン化
合物ともいう。)を使用し、例えば、特開昭51−90
391号公報、特開昭55−73729号公報または特
開昭60−255817号公報に記述されているよう
に、70〜90℃の加熱下、ジヒドロキシ化合物をメチ
ルエチルケトン等の溶剤に溶解したものに、加水分解性
シリル基含有アミン化合物をゆっくり滴下し、続いて、
この混合物にジイソシアネート化合物を加えるといっ
た、方法を適用すればよい。
【0085】前述したような方法で以て調製されるポリ
ウレタン系重合体中に導入されるべき、加水分解性シリ
ル基の量としては、複合樹脂(I)を調製する際の著し
い粘度の上昇やゲル化を防ぐという点、且つ、硬化性に
優れる着色硬化性樹脂組成物が得られる点から、それぞ
れの重合体の固形分1,000グラム当たり、0.00
1〜2モルとなる範囲内が適切であり、なかでも0.0
05〜1.5モルとなる範囲内が好ましく、0.01〜
1モルとなる範囲内が特に好ましい。
【0086】従って、上述したような好ましい量の加水
分解性シリル基が導入されるように、それぞれ、加水分
解性シリル基含有単量体、加水分解性シリル基含有連鎖
移動剤、加水分解性シリル基含有重合開始剤の使用量
を、適切に設定することが好ましい。
【0087】また、顔料分散性の観点から、ポリウレタ
ン系重合体中に導入されるべき、カルボキシル基、3級
アミノ基、1級アミド基、2級アミド基等の極性基の導
入量としては、これらのポリウレタン系重合体の固形分
1,000グラム当たりの官能基のモル数として、0.
001〜5モルなる範囲内が適切であり、なかでも0.
005〜4モルなる範囲内が好ましく、0.01〜3モ
ルなる範囲内が特に好ましい。
【0088】これらのポリウレタン系重合体の数平均分
子量としては、顔料分散性が良好な複合樹脂(I)が得
られる点、且つ、保存安定性に優れる加工顔料が得られ
る点から、500〜200,000なる範囲内が適切で
あり、なかでも1,000〜50,000なる範囲内が
好ましく、1,500〜20,000なる範囲内が特に
好ましい。
【0089】次いで、前記したアルコキシシラン化合物
(s−1)について、詳細に述べることにする。前記ア
ルコキシシラン化合物(s−1)は、一般式(4)およ
び/または(5)で示されるアルコキシシラン化合物で
あり、かかるアルコキシシラン化合物(s−1)のう
ち、前記した一般式(4)で示されるアルコキシシラン
として代表的なものを例示するならば、n−ブチルトリ
メトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、is
o−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリエ
トキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、s
ec−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト
リメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラ
ン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルト
リメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、
n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシ
ルトリメトキシシラン等の如き、炭素原子数が4〜18
個なるアルキル基が置換したアルキルトリアルコキシシ
ラン類;
【0090】メチル−n−ブチルジメトキシシラン、メ
チル−n−ブチルジエトキシシラン、メチル−iso−
ブチルジメトキシシラン、メチル−iso−ブチルジエ
トキシシラン、メチル−tert−ブチルジメトキシシ
ラン、メチル−sec−ブチルジメトキシシラン、メチ
ル−sec−ブチルジエトキシシラン、メチル−ter
t−ブチルジエトキシシラン、メチル−n−ペンチルジ
メトキシシラン、メチル−n−ヘキシルジメトキシシラ
ン、メチル−n−オクチルジメトキシシラン、メチル−
n−ヘキサデシルジメトキシシラン、メチル−n−オク
タデシルジメトキシシラン等の如き、炭素原子数が4〜
18個のアルキル基が置換したメチルアルキルジアルコ
キシシラン類;
【0091】エチル−n−ブチルジメトキシシラン、エ
チル−n−ブチルジエトキシシラン、エチル−iso−
ブチルジメトキシシラン、エチル−iso−ブチルジエ
トキシシラン、エチル−tert−ブチルジメトキシシ
ラン、エチル−sec−ブチルジメトキシシラン、エチ
ル−sec−ブチルジエトキシシラン、エチル−ter
t−ブチルジエトキシシラン、エチル−n−ペンチルジ
メトキシシラン、エチル−n−ヘキシルジメトキシシラ
ン、エチル−n−オクチルジメトキシシラン、エチル−
n−ヘキサデシルジメトキシシラン、エチル−n−オク
タデシルジメトキシシラン等の如き、炭素原子数が4〜
18個のアルキル基が置換したエチルアルキルジアルコ
キシシラン類;
【0092】n−プロピル−n−ブチルジメトキシシラ
ン、n−プロピル−n−ブチルジエトキシシラン、n−
プロピル−iso−ブチルジメトキシシラン、n−プロ
ピル−iso−ブチルジエトキシシラン、n−プロピル
−sec−ブチルジメトキシシラン、n−プロピル−s
ec−ブチルジエトキシシラン、n−プロピル−ter
t−ブチルジメトキシシラン、n−プロピル−tert
−ブチルジエトキシシラン、n−プロピル−n−ペンチ
ルジメトキシシラン、n−プロピル−n−ヘキシルジメ
トキシシラン、n−プロピル−n−オクチルジメトキシ
シラン、n−プロピル−n−ヘキサデシルジメトキシシ
ラン、n−プロピル−n−オクタデシルジメトキシシラ
ン等の如き、炭素原子数が4〜18個のアルキル基が置
換したn−プロピルアルキルジアルコキシシラン類;
【0093】ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n
−ブチルジエトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメト
キシシラン、ジ−iso−ブチルジエトキシシラン、ジ
−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチ
ルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシ
シラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−
n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメ
トキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ
−n−ヘキサデシルジメトキシシラン、ジ−n−オクタ
デシルジメトキシシラン等の如き、炭素原子数が4〜1
8個のアルキル基が置換したジアルキルジアルコキシシ
ラン類;
【0094】シクロペンチルトリメトキシシラン、シク
ロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエ
トキシシラン等の如き、各種のシクロアルキルトリアル
コキシシラン類;メチルシクロペンチルジメトキシシラ
ン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシ
クロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロペンチル
ジメトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシ
ラン、エチルシクロヘキシルジエトキシシラン等の如
き、アルキル基が置換した各種のシクロアルキルジアル
コキシシラン類;ジシクロペンチルジメトキシシラン、
ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシル
ジエトキシシラン等の如き、各種のジシクロアルキルジ
アルコキシシラン類;
【0095】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン等の如き、フェニルトリアルコキシシ
ラン類;メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェ
ニルジエトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラ
ン、エチルフェニルジエトキシシラン等の如き、アルキ
ル基が置換したフェニルジアルコキシシラン類;ジフェ
ニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等
の如き、ジフェニルジアルコキシシラン類;
【0096】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン等の如き、各種の置換アルキルトリアルコキシ
シラン類;メチル−3−グリシドキシプロピルジメトキ
シシラン、メチル−3−メタクリロキシプロピルジメト
キシシラン、メチル−3−ウレイドプロピルジメトキシ
シラン、メチル−β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルジメトキシシラン、エチル−3−グリシドキ
シプロピルジメトキシシラン、エチル−3−メタクリロ
キシプロピルジメトキシシラン、エチル−3−ウレイド
プロピルジメトキシシラン、エチル−β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン等の如
き、アルキル基の置換した各種の置換アルキルジアルコ
キシシラン類;
【0097】シクロヘキシル−3−グリシドキシプロピ
ルジメトキシシラン、シクロヘキシル−3−メタクリロ
キシプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシル−3−
ウレイドプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシル−
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメト
キシシラン等の如き、シクロアルキル基の置換した各種
の置換アルキルジアルコキシシラン類;フェニル−3−
グリシドキシプロピルジメトキシシラン、フェニル−3
−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、フェニル
−3−ウレイドプロピルジメトキシシラン、フェニル−
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメト
キシシラン等の如き、アリール基の置換した各種の置換
アルキルジアルコキシシラン類などがある。
【0098】これらの上掲した各種のアルコキシシラン
化合物のうちでも、当該アルコキシシラン化合物(s−
1)として使用されるものとしては、有機基として炭素
原子数が4〜18のアルキル基、シクロアルキル基また
はアリール基を有するものが好ましい。そしてこれらの
うち、特に好ましいものは、有機基としてiso−ブチ
ル基、シクロヘキシル基もしくはフェニル基を少なくと
も一個有するトリアルコキシシラン類やジアルコキシシ
ラン類である。
【0099】そして、当該アルコキシシラン化合物(s
−1)の中で、前掲したような一般式(5)で示される
アルコキシシラン化合物のうち、特に代表的なものを例
示するならば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、
ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−
n−ブトキシシラン等の如き、各種のジメチルジアルコ
キシシラン類;ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、
ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−
n−ブチトキシシラン等の如き、各種のジエチルジアル
コキシシラン類;
【0100】ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−
n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−
n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−
プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブチトキ
シシラン等の如き、各種のジ−n−プロピルジアルコキ
シシラン類;ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、
ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−
プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロ
ピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロ
ピルジ−n−ブチトキシシラン等の如き、各種のジ−i
so−プロピルジアルコキシシラン類;メチルエチルジ
メトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチ
ルエチルジ−n−プロポキシシラン、メチルエチルジ−
iso−プロポキシシラン、メチルエチルジ−n−ブト
キシシラン等の如き、各種のメチルエチルジアルコキシ
シラン類などがある。
【0101】これらの上記したジアルコキシシラン化合
物のうちでも、実用性の面から、当該アルコキシシラン
化合物(s−1)として、特に好ましいものは、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジエチ
ルジメトキシシラ、ジエチルジエトキシシランンなどで
ある。
【0102】そして、上述した各種のアルコキシシラン
化合物(s−1)の少なくとも1種を70モル%以上含
有してなるアルコキシシラン化合物類と、前記した重合
体(b−1)を加水分解縮合反応もしくは共加水分解縮
合反応せしめることにより、複合樹脂(I)が得られ
る。この際、当該アルコキシシラン化合物類に含有され
る、30モル%未満のアルコキシシラン化合物(s−
1)以外のアルコキシシラン化合物〔以下、アルコキシ
シラン化合物(s−2)と略記する。〕としては、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、エチルトリエトシシラン等の
如き、総炭素原子数が3個以下のアルキル基が置換した
アルキルトリアルコキシシラン類;テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン等の如き、テトラアルコキシ
シラン類が挙げられる。
【0103】次いで、前記したポリシロキサン(a−
1)は、前掲したようなアルコキシシラン化合物(s−
1)の少なくとも1種を70モル%以上含有してなるア
ルコキシシラン化合物類を、加水分解縮合、共加水分解
縮合、部分加水分解縮合または部分共加水分解縮合せし
めることによって調製される。
【0104】この際には、触媒を使用してもよいし、使
用しなくてもよいが、これらの加水分解縮合反応を容易
に進行せしめるという面からは、触媒を使用することが
望ましい。
【0105】ここにおいて、触媒を使用する場合には、
公知慣用の種々の触媒のいずれをも使用することが出来
るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併
用でもよいことは勿論である。
【0106】かかる触媒として特に代表的なるもののみ
を例示するにとどめるならば、塩酸、硫酸、燐酸等の如
き、無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソ
プロピル、酢酸等の如き、有機酸類;水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等の如き、無機塩基類;テトライソ
プロピルチタネート、テトラブチルチタネート等の如
き、チタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート、オ
クチル酸錫等の如き、錫カルボン酸塩類;1,8−ジア
ザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、
1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(D
BN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミンもしくはジ
メチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダ
ゾール、1−メチルイミダゾール等の如き、各種の塩基
性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニ
ウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメ
チルアンモニウム塩等の如き各種の4級アンモニウム塩
類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイ
ド、カルボキシレート、ハイドロオキサイドなどを有す
る4級アンモニウム塩類などがある。
【0107】かかる触媒の使用量としては、加水分解縮
合ないしは部分加水分解縮合に供されるシラン化合物1
00重量部に対して、0.000001〜10重量部と
なる範囲内が好適であり、なかでも0.000005〜
5重量部となる範囲内が好ましく、0.00001〜1
重量部となる範囲内が特に好ましい。
【0108】また、加水分解反応ないしは部分加水分解
反応を行なうに当たって用いられる水の量としては、加
水分解反応を迅速に行うという観点から、シラン化合物
の珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対し
て、0.05モル以上が好適で、好ましくは0.1モル
以上、特に好ましくは0.2モル以上であり、且つ、水
の量が5モルとか、10モルとか、珪素原子に結合して
いる加水分解性基の1モルに対して、過剰となるように
使用しても、一向に、支障が無い。
【0109】かかる反応における反応温度としては、0
〜150℃が適切であり、なかでも20〜100℃が好
ましい。
【0110】そして、かかる反応の副生成物である、ア
ルコールや水などが、引き続いて行なわれる、重合体
(b)と、ポリシロキサン(a−1)との加水分解縮合
反応、共加水分解縮合反応または縮合反応の何れかを妨
げたり、得られる複合樹脂(I)の保存安定性などを低
下させたりするようであれば、蒸留などの公知慣用の種
々の手段によって、系外に除くことが出来るし、そうし
た問題が無ければ、そのまま系内に存在させておいても
一向に支障は無い。
【0111】また、かかる反応にあっては、有機溶剤を
使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、撹拌
など、容易に行なえるようにするためにも、有機溶剤を
使用することが望ましい。
【0112】有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の
種々の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、
しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でも
よいことは、勿論である。
【0113】その際に使用される有機溶剤としては、ビ
ニル系重合体(b−1)を調製する際に使用できるもの
として、すでに掲げたような、種々の化合物を使用する
ことが出来る。
【0114】次に、上述した複合樹脂(I)の調製方法
とについて詳細に述べることにする。上述したの
複合樹脂(I)の調製方法は、前記した重合体(b)の
存在下において、前記したアルコキシシラン化合物(s
−1)を必須成分として70モル%以上含有するアルコ
キシシラン化合物類の加水分解縮合反応、共加水分解縮
合反応、部分加水分解縮または部分共加水分解縮合反応
を行うことにより、ポリシロキサン(a−1)を調製す
る過程で、前記重合体(b)の有する珪素原子に結合し
た水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性
基と、当該アルコキシシラン化合物(a−1)の有する
珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結
合した加水分解性基を反応せしめ、両者をシロキサン結
合で結合せしめることにより、複合樹脂(I)を調製す
る方法である。
【0115】重合体(b)の存在下におけるポリシロキ
サン(a−1)の調製およびその過程での重合体(b)
とポリシロキサン(a−1)の間の反応を、よりスムー
ズに進行させるために、触媒を添加することが出来る
が、こうした触媒としては、ポリシロキサン(a−1)
の調製に使用されるものとして、すでに掲げた種々の触
媒類を使用することが出来る。
【0116】ここにおいて用いられる触媒の量として
は、重合体(b)と、ポリシロキサン(a−1)との合
計量100重量部に対して、0.0001〜10重量部
となる範囲内が好適であり、なかでも、0.0005〜
3重量部となる範囲内が好ましく、0.0005〜1重
量部となる範囲内が特に好ましい。
【0117】さらに、重合体(b)の存在下におけるポ
リシロキサン(a−1)の調製およびその過程での重合
体(b)とポリシロキサン(a−1)の間の反応を、よ
りスムーズに進行させるために、前記したアルコキシシ
ラン化合物(s−1)を必須の成分として含有するアル
コキシシラン化合物類の加水分解縮合反応、共加水分解
縮合反応、部分加水分解縮または部分共加水分解縮合反
応と、重合体(b)に含まれる珪素原子に結合した加水
分解性基の加水分解反応とを円滑に進行せしめることが
望ましく、このため、こうしたそれぞれの反応を、水の
存在下で以て行なうことが、特に望ましい。
【0118】こうした加水分解縮合反応、共加水分解縮
合反応、部分加水分解縮または部分共加水分解縮合反応
を行なうに際して用いられる水の量としては、重合体
(b)が有する珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基と、アルコキシシラ
ン化合物(s−1)を必須の成分として含有するアルコ
キシシラン化合物類中に存在する、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
との合計量の1モルに対して、0.05モル以上が適切
であり、大過剰に設定しても、反応中に不溶物が析出し
て来るなどの不都合が生じない限り、支障も無く、共加
水分解反応もしくは複合化反応を行なうことが出来る
が、なかでも、0.05〜10モルが好ましく、0.1
〜5モルが更に好ましく、0.5〜3.5モルが最も好
ましい。
【0119】かかる方法において、かかる加水分解縮合
反応、共加水分解縮合反応、部分加水分解縮または部分
共加水分解縮合反応を行なう際の反応温度としては、0
〜150℃程度が適切であり、なかでも20〜100℃
が好ましい。
【0120】上述したの調製方法により、複合樹脂
(I)を調製するに当たり、重合体(b)と、アルコキ
シシラン化合物(s−1)を必須の成分として含有する
アルコキシシラン化合物類との使用割合は、複合樹脂
(I)の全固形分に占めるポリシロキサンセグメント
(A)の含有率が、適切な含有率であるとして上述した
1〜80重量%の範囲、好ましくは2〜65重量%の範
囲、さらに好ましくは3〜50重量%の範囲となるよう
に設定されることが好ましい。
【0121】一方、上述したの複合樹脂(I)の調製
方法において、複合樹脂(I)は、(イ)前記した重合
体(b)が珪素原子に結合した加水分解性基を有し、且
つ、前記したポリシロキサン(a−1)が珪素原子に結
合した加水分解性基を有する場合には、両者に含有され
る加水分解性基を共加水分解せしめ、さらに縮合反応せ
しめることによって、シロキサン結合を形成させること
により調製されるし、また、(ロ)重合体(b)が珪素
原子に結合した加水分解性基を有し、且つ、ポリシロキ
サン(a−1)が珪素原子に結合した水酸基のみを有す
る場合、あるいは、重合体(b)が珪素原子に結合した
水酸基のみを有し、且つ、ポリシロキサン(a−1)が
珪素原子に結合した加水分解性基を有する場合には、こ
れらのうち一方のみに含有される加水分解性基を加水分
解せしめ、さらに縮合反応せしめることによって、シロ
キサン結合を形成させることにより調製されるし、さら
には、(ハ)重合体(b)が珪素原子に結合した水酸基
のみを有し、且つ、ポリシロキサン(a−1)も珪素原
子に結合した水酸基のみを有する場合には、両者に含有
される該水酸基同志の縮合反応をによって、シロキサン
結合を形成させることにより調製される。
【0122】前記した重合体(b)と前記したポリシロ
キサン(a−1)との間の反応をよりスムーズに進行さ
せるために、触媒を添加することが出来るが、こうした
触媒としては、ポリシロキサン(a−1)の調製に使用
されるものとして、すでに掲げた種々の触媒類を使用す
ることが出来る。
【0123】ここにおいて用いられる触媒の量として
は、重合体(b)と、ポリシロキサン(a−1)との合
計100重量部に対して、0.0001〜10重量部と
なる範囲内が適切であり、なかでも、0.0005〜3
重量部となる範囲内が好ましく、0.0005〜1重量
部となる範囲内が特に好ましい。
【0124】そして、ポリシロキサン(a−1)を調製
する過程において用いられる触媒が当該ポリシロキサン
(a−1)中に残留している場合には、殊更に、触媒を
添加せずとも、重合体(b)とポリシロキサン(a−
1)の間の加水分解縮合反応、共加水分解縮合反応ある
いは縮合反応を促進せしめることが可能である。
【0125】さらに、重合体(b)とポリシロキサン
(a−1)との間の加水分解縮合反応もしくは共加水分
解反応をスムーズに進行せしめるためには、重合体
(b)に含まれる珪素原子に結合した加水分解性基の加
水分解反応と、ポリシロキサン(a−1)中に含まれる
珪素原子に結合した加水分解性基の加水分解反応とを円
滑に進行せしめることが望ましく、このため、こうした
加水分解縮合反応もしくは共加水分解縮合反応を、水の
存在下で行なうことが、特に望ましい。
【0126】そして、ポリシロキサン(a−1)を調製
する際に用いられた水が、ポリシロキサン(a−1)中
に残留している場合には、殊更に、水を添加せずに共加
水分解反応もしくは縮合反応を行なうことが可能であ
る。
【0127】こうした加水分解縮合反応あるいは共加水
分解縮合反応を行なうに際して用いられる水の量として
は、重合体(b)が有する珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基と、当該
ポリシロキサン(a−1)中に存在する、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基との合計量の1モルに対して、0.05モル以上
適切であり、大過剰に設定しても、反応中に不溶物が析
出して来るなどの不都合が生じない限り、支障も無く、
共加水分解反応もしくは複合化反応を行なうことが出来
るが、なかでも、0.05〜10モルが好ましく、0.
1〜5モルが更に好ましく、0.5〜3.5モルが最も
好ましい。
【0128】かかる方法において、かかる加水分解縮合
反応、共加水分解縮合反応あるいは縮合反応を行なう際
の反応温度としては、0〜150℃が適切であり、好ま
しくは20〜100℃である。
【0129】上述のの調製方法により、複合樹脂
(I)を調製するに当たり、重合体(b)と、ポリシロ
キサン(a−1)との使用割合は、複合樹脂(I)の全
固形分に占めるポリシロキサンセグメント(A)の含有
率が、適切な含有率であるとして上述した1〜80重量
%の範囲、好ましくは2〜65重量%の範囲、さらに好
ましくは3〜50重量%の範囲となるように設定される
ことが好ましい。
【0130】そして、上述のまたはの調製方法で、
複合樹脂(I)を調製する際には、有機溶剤を使用して
もよいし、使用しなくてもよいが、撹拌などが容易に行
なえるようにするためには、ビニル系重合体(b−1)
を調製する際に使用できるものとして、すでに掲げて来
たような、有機溶剤類を使用することが望ましい。
【0131】さらにまた、上述のまたはの調製方法
で、複合樹脂(I)の調製を行なうに際しての、各成分
の合計濃度は、該反応によって生成する複合樹脂(I)
の濃度が5〜95重量%の範囲内に、好ましくは10〜
90重量%の範囲内に、さらに好ましくは20〜80重
量%の範囲内になるように設定することが望ましい。そ
して、こうした濃度の調整は、前掲したような各種の有
機溶剤類を使用して行なうことが出来る。
【0132】上述のようにして、複合樹脂(I)を調製
することが出来るが、かかる複合樹脂(I)中に含まれ
る水および有機溶剤は除去しなくてもよいし、必要に応
じて、蒸留よって除去することも出来る。
【0133】このようにして調製される複合樹脂(I)
に、顔料(II)を、分散せしめることにより、本発明の
加工顔料が調製される。
【0134】本発明の加工顔料の調製に使用される、顔
料(II)としては、公知慣例の各種の顔料を使用するこ
とが出来るけれども、そのうちで特に代表的なものを例
示すれば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・
グリーン、キナクリドン・レッド等の如き、各種の有機
系顔料;カーボン・ブラック、酸化チタン、酸化鉄、チ
タンイエロー、銅クロムブラック等の如き各種の無機系
顔料;炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム
等の如き体質顔料;アルミニウムフレーク、パールマイ
カ等の如き無機系のフレーク状の顔料等が挙げられる。
【0135】上記した各種の顔料(II)と複合樹脂
(I)の配合量は、当該複合樹脂(I)の固形分の10
0重量部に対して、顔料(II)が1〜1000重量部、
好ましくは2〜900重量部となるような比率に設定す
ればよい。
【0136】そして、本発明の加工顔料の調製は、適当
な分散装置中で、複合樹脂(I)と顔料(II)を混合せ
しめることにより得られる。分散装置としては、ミール
ボール、ロールミール、ホモミキサー、サンドミル、縦
型ビーズミル、横型ビーズミル、アトライター、ペイン
トコンディショナー等の如き、公知慣用の各種の装置を
使用することが可能であるが、使用する複合樹脂(I)
や顔料(II)の特性に合わせて選択されるものである。
【0137】また、本発明の加工顔料の調製には、有機
溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、顔料
の分散をスムーズに行うために、ビニル系重合体(b−
1)を調製する際に使用できるものとして、すでに掲げ
て来たような、有機溶剤類を使用することが望ましい。
【0138】次いで、本発明の着色硬化性樹脂組成物の
必須の構成成分である、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する重
合体(III) とは、前述した各種の加水分解性基および
/または水酸基が結合した珪素原子を有する、重合体を
指称するものである。
【0139】当該重合体(III) としては、公知慣用の
各種の重合体を使用することが出来るけれども、塗膜の
耐久性の観点から、本発明の組成物には、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有するポリシロキサン(III-1)、珪素原子に
結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
分解性基を有する重合体〔ただし、該ポリシロキサン
(III-1)を除く。〕(III-2)、および、珪素原子に
結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
分解性基を有するポリシロキサンセグメントとポリシロ
キサンセグメント以外の重合体セグメントから構成され
る複合樹脂(III-3)なる群から選ばれる少なくとも1
種の重合体を使用するのが好適である。
【0140】このうち、上述したポリシロキサン(III-
1)としては、珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有する、線状構
造、分岐構造あるいは環状構造を有するポリシロキサン
等が挙げられる。
【0141】そして、かかるポリシロキサン(III-1)
としては特に代表的なものを例示すれば、下記の一般式
(9) R8 pSiX4-p (9) 〔ただし、式中、R8 はアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基またはアラルキル基を、Xは加水分解性
基を表し、またpは0、1または2の整数である。〕で
示されるシラン化合物類を加水分解縮合もしくは共加水
分解縮合せしめることによって調製される、いわゆる加
水分解縮合物あるいは共加水分解縮合物たるポリシロキ
サン、さらには、これらのシラン化合物類を部分加水分
解もしくは部分共加水分解縮合せしめることによって調
製される、いわゆる部分加水分解縮合物あるいは部分共
加水分解縮合物たるポリシロキサンなどがある。
【0142】そして、前掲した一般式(9)で示される
シラン化合物類として、代表的なるものを例示すれば、
アルコキシシラン化合物(s−1)および(s−2)と
して前掲した如き、各種のテトラアルコキシシラン類、
オルガノトリアルコキシシラン類もしくはジオルガノジ
アルコキシシラン類;テトラクロロシラン、メチルトリ
クロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピル
トリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等の如
き、各種のクロロシラン類;テトラアセトキシシラン、
メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシ
シラン等の如き、各種のアセトキシシラン類などがあ
る。
【0143】これらのうちでも、当該ポリシロキサン
(III-1)として特に望ましいものを例示すれば、各種
のアルコキシシラン類の部分加水分解縮合物またはそれ
らの部分共加水分解縮合物などであり、上述したよう
な、ポリシロキサン(a−1)の調製方法に準じて調製
することが可能である。
【0144】また、当該ポリシロキサン(III-1)とし
て、市販のポリシロキサンを使用することもできる。そ
のようなポリシロキサンを例示するにとどめれば、珪素
原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合し
た加水分解性基を有するポリシロキサンとして市販され
ているような、それぞれ、「XR−31もしくはTSR
−160」〔GE東芝シリコーン(株)製〕、「SR−
2402もしくはSH−6018」〔東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製〕、「GR−100、908
もしくは950」〔昭和電工(株)製〕、「MS−51
もしくはMS−56」〔三菱化学(株)製〕、「エチル
シリケート40」〔日本コルコート(株)製〕などで代
表されるような、線状、分岐状(分枝状)あるいはラダ
ー(型)構造を有する、加水分解縮合物または部分加水
分解縮合物などがある。
【0145】次いで、上述の重合体(III-2)として、
特に代表的なものを例示すれば、珪素原子結合した水酸
基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有
するビニル系重合体、珪素原子結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリウ
レタン系重合体、珪素原子結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリエステ
ル系重合体等が挙げられる。
【0146】これらのうち特に好ましいものとしては、
珪素原子結合した水酸基および/または珪素原子に結合
した加水分解性基を有するビニル系重合体または珪素原
子結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
水分解性基を有するポリウレタン系重合体が挙げられ
る。そして、珪素原子結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するビニル系重合体
のうちで特に望ましいものは、珪素原子結合した水酸基
および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
るアクリル系重合体である。
【0147】さらに、かかる重合体(III-2)には、必
要に応じて、珪素原子に結合した水酸基または珪素原子
に結合した加水分解性基以外の官能基として、重合体セ
グメント(B)に導入することができる官能基として上
述したような、各種の官能基を導入することもできる。
【0148】そして、かかる重合体(III-2)のうち、
珪素原子結合した水酸基および/または珪素原子に結合
した加水分解性基を有するビニル系重合体または珪素原
子結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
水分解性基を有するポリウレタン系重合体は、上述した
ような、重合体(b)の調製方法に準じて、調製するこ
とができる。
【0149】また、上述した複合樹脂(III-3)として
は、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンセグメ
ントが、ポリシロキサン以外の重合体セグメントの側鎖
および/または末端に、化学的に結合したグラフト構造
および/またはブロック構造を有する樹脂等が挙げられ
る。
【0150】そして、かかる複合樹脂(III-3)におけ
る、ポリシロキサンゼグメントと重合体セグメントの結
合様式としては、耐久性に優れる着色硬化性樹脂組成物
が得られることから、特に、前記した構造式(1)の結
合様式を採用することが好ましい。
【0151】かかる複合樹脂(III-3)を構成する、ポ
リシロキサン以外の重合体セグメントとして特に代表的
なものを例示すれば、ビニル系重合体、ポリウレタン系
重合体、ポリエステル系重合体などの如き、各種の重合
体に基づくセグメントなどがあり、これらのうちでも特
に好ましいものとしては、ビニル系重合体セグメント、
ポリウレタン系重合体セグメントが挙げられる。そし
て、ビニル系重合体セグメントのうちで特に望ましいも
のは、アクリル系重合体セグメントである。
【0152】さらに、かかる複合樹脂(III-3)には、
必要に応じて、珪素原子に結合した水酸基または珪素原
子に結合した加水分解性基以外の官能基として、重合体
セグメント(B)に導入することができる官能基として
上述したような、各種の官能基を、ポリシロキサンセグ
メント以外の重合体セグメントに対して、導入すること
もできる。
【0153】そして、かかる複合樹脂(III-3)のう
ち、前記した構造式(3)の結合様式で該ポリシロキサ
ンセグメントとポリシロキサン以外の重合体セグメント
が結合しているものについては、例えば、特開平9−2
5455号公報または特開平9−157396号公報に
記述されているような、加水分解性基および/または水
酸基が結合した珪素原子を有するポリシロキサンと、加
水分解性シリル基を有する、ポリシロキサン以外の、重
合体とを、加水分解縮合反応もしくは共加水分解縮合反
応せしめる方法等で調製すればよい。
【0154】また、かかる複合樹脂(III-3)の一つと
して、前記した複合樹脂(I)を使用することもでき
る。
【0155】このようにして調製される重合体(III)
と、本発明の加工顔料とを、必須成分として配合するこ
とにより、本発明の着色硬化性樹脂組成物が調製され
る。そして、得られた着色硬化性樹脂組成物は、前記し
た重合体(III) と、該加工顔料に含まれる複合樹脂
(I)がそれぞれ有する、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基の反応に
より硬化する自己硬化性の組成物である。
【0156】本発明の着色硬化性樹脂組成物を調製する
際の、本発明の加工顔料と重合体(III) の混合は、例
えば、デゾルバー、インペラー型羽根付き回転撹拌機、
プロペラ型羽根付き回転撹拌機等を用いた公知慣用に方
法により行われる。
【0157】かかる着色硬化性樹脂組成物を調製する際
の該加工顔料の使用割合は、顔料の種類や要求される着
色の程度等に依存し、広範囲で変えることが可能である
が、耐久性に優れる塗装物が得られることから、当該着
色硬化性樹脂組成物に占める、当該加工顔料を構成する
顔料(II)の含有率が、0.5〜60重量%になるよう
に、好ましくは1〜50重量%になるように設定するの
が適切であり、また、硬化性に優れる着色硬化性樹脂組
成物が得られることから、当該組成物に占める、当該加
工顔料を構成する複合樹脂(I)の固形分の含有率が、
0.5〜30重量%になるように、好ましくは1〜25
重量%になるように設定するのが適切である。
【0158】さらに、かかる組成物を調製する際の当該
重合体(III) は、硬化性に優れる着色硬化性樹脂組成
物と耐久性に優れる塗装物が得られることから、当該組
成物に占める、当該重合体(III) の固形分の含有率
が、10〜99重量%になるように、好ましくは25〜
98重量%になるように設定するのが適切である。
【0159】また、本発明の着色硬化性樹脂組成物に対
して、前記した複合樹脂(I)もしくは重合体(III)
が含有する珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基、または、当該官能基以
外の官能基と反応する官能基を有する化合物〔以下、化
合物(IV)と略記する。〕を配合せしめることもでき
る。
【0160】ここにおいて、かかる化合物(IV)とは、
前述した複合樹脂(I)もしくは重合体(III) 中に含
まれる、前述のような各種の官能基と反応する官能基を
少なくとも1種有する、公知慣用の種々の化合物を指称
するものである。
【0161】こうした官能基として特に代表的なものを
例示すれば、イソシアネート基、ブロックされたイソシ
アネート基、エポキシ基、シクロカーボネート基、オキ
サゾリン基、アジリジン基、カーボジイミド基、珪素原
子に結合した水酸基、珪素原子に結合した加水分解性
基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメ
チルアミノ基、N−ヒドロキシメチルカルボン酸アミド
基、N−アルコキシメチルカルボン酸アミド基などがあ
る。
【0162】そして、当該化合物(IV)中に含まれる官
能基は、複合樹脂(I)もしくは重合体(III) 中に含
まれる官能基の種類に応じて、適宜、選択される。そう
した組み合わせとして特に代表的なものを例示すれば、
珪素原子に結合した水酸基−珪素原子に結合した水酸
基、珪素原子に結合した水酸基−珪素原子に結合した加
水分解性基、珪素原子に結合した加水分解性基−珪素原
子に結合した加水分解性基、カルボキシル基−エポキシ
基、カルボキシル基−シクロカーボネート基、カルボキ
シル基−アジリジニル基、カルボキシル基−カーボジイ
ミド基、3級アミノ基−エポキシ基、カルボキシル基−
N−ヒドロキシメチルアミノ基、カルボキシル基−N−
アルコキシメチルアミノ基、炭素原子に結合した水酸基
−イソシアネート基、炭素原子に結合した水酸基−ブロ
ックイソシアネート基、カルボキシル基−オキサゾリン
基、N−ヒドロキシメチルアミノ基−炭素原子に結合し
た水酸基、N−アルコキシメチルアミノ基−炭素原子に
結合した水酸基、N−ヒドロキシメチルカルボン酸アミ
ド基−炭素原子に結合した水酸基、N−アルコキシメチ
ルカルボン酸アミド基−炭素原子に結合した水酸基など
がある。
【0163】当該化合物(IV)としては、前記した複合
樹脂(I)もしくは重合体(III)中に含まれる官能基
によっては、前述したような種々の官能基のうちの2種
以上を有するものであってもよい。また、当該化合物
(IV)としては、比較的、分子量の低い化合物に加え
て、各種の樹脂類を使用することも出来るが、このよう
な樹脂類として特に代表的なものを例示すれば、アクリ
ル樹脂、フッ素樹脂等の如き、各種のビニル系重合体、
ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、
エポキシ樹脂などがある。そして、当該化合物(IV)と
して、特に、前記した官能基を2種以上有するような化
合物を使用する際には、当該化合物(IV)としては、ビ
ニル系重合体を使用するのが簡便である。
【0164】かかる化合物(IV)として特に代表的なも
のを例示すれば、珪素原子に結合した水酸基および/ま
たは珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物、
一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性
基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合物、ブ
ロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合
物、ポリアジリジン化合物、ポリカーボジイミド化合
物、ポリオキサゾリン化合物、アミノ樹脂などがあり、
これらの種々の化合物は、単独使用であってもよいし、
2種以上の併用であってもよいことは、勿論、可能であ
る。
【0165】前記した本発明の加工顔料と前記した重合
体(III) と当該化合物(IV)を必須成分として含有す
る着色硬化性樹脂組成物を調製するには、当該化合物
(IV)が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有する化合物である場
合には、当該加工顔料に含まれる複合樹脂(I)と当該
重合体(III) のそれぞれの固形分の合計100重量部
に対して、当該化合物(IV)の固形分量が、0.1〜2
00重量部の範囲内、好ましくは0.5〜150重量部
の範囲内、一層好ましくは1〜100重量部の範囲内と
なるように配合すればよい。
【0166】また、当該化合物(IV)が、ポリイソシア
ネート化合物またはブロックポリイソシアネート化合物
である場合には、当該複合樹脂(I)および/または当
該重合体(III) 中に含まれる、イソシアネート基また
はブロックイソシアネート基と反応する官能基の1当量
に対して、当該化合物(IV)中に含まれる、イソシアネ
ート基またはブロックイソシアネート基の量が0.1〜
10当量の範囲内、好ましくは0.3〜5当量の範囲
内、一層好ましくは0.5〜2当量の範囲内となるよう
に、当該化合物(IV)を配合すればよい。
【0167】また、当該化合物(IV)が、一分子中にエ
ポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有す
る化合物あるいはポリエポキシ化合物である場合には、
当該複合樹脂(I)および/または重合体(III) の中
に含まれる、エポキシ基またと反応する官能基の1当量
に対して、当該化合物(IV)中に含まれるエポキシ基量
の量が、0.2〜5.0当量の範囲内、好ましくは0.
5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは0.7〜2当
量の範囲内となるように、当該化合物(IV)を配合すれ
ばよい。
【0168】当該化合物(IV)が、アミノ樹脂である場
合には、当該複合樹脂(I)および重合体(III) のそ
れぞれの固形分の合計100重量部に対して、アミノ樹
脂の固形分量が、0.1〜200重量部の範囲内、好ま
しくは0.5〜150重量部の範囲内、一層好ましくは
1〜100重量部の範囲内となるように配合すればよ
い。
【0169】当該化合物(IV)が、ポリオキサゾリン化
合物である場合には、当該複合樹脂(I)および/また
は重合体(III) の中に含まれる、オキサゾリン基と反
応する官能基の1当量に対して、当該化合物(IV)中に
含まれるオキサゾリン基の量が、0.2〜5.0当量の
範囲内、好ましくは0.5〜3.0当量の範囲内、一層
好ましくは0.7〜2当量の範囲内となるように、当該
化合物(IV)を配合すればよい。
【0170】さらに、本発明の着色硬化性樹脂組成物に
は、その目的に応じて、硬化触媒、流動調整剤、レベリ
ング剤、レオロジーコントロール剤、赤外線吸収剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤などのような、公知慣
用の種々の添加剤類などをも配合せしめることもでき
る。
【0171】かくして得られる、本発明の着色硬化性樹
脂組成物は、これを構成する本発明の加工顔料と重合体
(III) の種類により、あるいは化合物(IV)成分を添
加したような場合には、その種類と量とにより、最適な
る硬化条件は異なるけれども、常温で、1〜10日間程
度のあいだ乾燥せしめるか、あるいは40〜250℃程
度の温度範囲で、1分間〜2時間程度のあいだ、加熱を
行うことによって、実用性の高い硬化物を与える。
【0172】本発明の着色硬化性樹脂組成物を塗装せし
めて、本発明の塗装物を作成する際に用いられる被塗物
基材としては、公知慣用の種々のものが使用され得る
が、それらのうちでも特に代表的なものとしては、各種
の金属基材、無機質基材、プラスチック基材、紙、木質
系基材等が挙げらげられる。
【0173】かかる各種の基材のうち、金属基材の代表
的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、
鉛あるいはその他の種々の金属類や、ステンレススチー
ルの如き、これらの各種金属の合金類、さらには、前掲
したような各種の金属類であって、メッキや化成処理な
どが施された各種の表面処理金属類が挙げられる。
【0174】また、無機質基材とは、セメント系、珪酸
カルシウム等の珪酸塩系、石膏系、石綿系、セラミック
ス系等で代表される無機質の材料を主とするものであ
り、その具体的なものとしては、現場施工(湿式)基材
として、打放しコンクリート、セメントモルタル、石膏
プラスター、ドロマイトプラスター、漆喰等が挙げら
れ、また、現場生産品(乾式)基材としては、軽量気泡
コンクリート(ALC)、石綿セメント、ガラス繊維強
化の珪酸カルシウム、石膏ボード、タイルの如き各種の
粘土の焼成物もしくはガラスなどの各種のものが挙げら
れる。
【0175】プラスチック基材の代表的なものとして
は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート等の如き、種々の熱可塑性樹脂の成形
品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型
ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和ポ
リエステル樹脂等の如き、各種の熱硬化性樹脂の成形品
等が挙げられる。
【0176】上述したような種々の基材上に、本発明の
着色硬化性樹脂組成物を、上塗り塗料として、直接、塗
装せしめ、硬化せしめることによって、本発明に係る当
該塗装物を得ることが出来るが、その際には、当該組成
物を、種々の基材に直接塗装せしめてもよいし、予め、
種々の基材上に下塗り塗料を塗装せしめてから、当該組
成物を上塗り塗料として塗装せしめてもよい。
【0177】前者のように、直接塗装する方法で、本発
明に係る塗装物を得るには、前掲したような種々の基材
上に、上塗り用の当該水性塗料を、刷毛塗り、ローラー
塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、フロー・コーター塗
装、ロール・コーター塗装、電着塗装などといった、公
知慣用の種々の塗装方法によって塗装せしめたのちに、
硬化せしめるようにすればよい。
【0178】このようにして、とりわけ、光沢保持性、
耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性等の耐久性に優れる硬
化塗膜で被覆された、本発明に係る塗装物が調製される
が、かかる塗装物の、より具体的なものとしては、それ
ぞれ、基材として金属基材が使用された自動車、自動二
輪車、電車、自転車、船舶、飛行機、その他の輸送関連
機器類と、それらに使用される金属基材あるいはプラス
チック基材等が使用された諸々の部品;基材として、金
属基材、プラスチック基材等が使用された、テレビ、ラ
ジオ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クーラー室外機、コ
ンピュータ、その他の家電製品類と、それらの諸々の部
品;
【0179】各種の無機質系の瓦、金属製の屋根材、無
機質系外壁材、着色されたガラス製品、着色されたガラ
ス瓶、金属製の壁材、金属製の窓枠、金属製あるいは木
製のドアや内壁材等の如き、種々の建材類;道路、道路
標識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突、ビルディン
グ等の如き、各種の屋外構築物;ポリエステル樹脂フィ
ルム、アクリル樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム等の
各種の有機フィルムに塗装した各種の被覆フィルムなど
が挙げられるが、本発明に係る塗装物は、こうした用途
に、有効に利用することができるものである。
【0180】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例、比較例、
試験例および比較試験例により、一層具体的に説明をす
ることにするが、本発明は、決して、これらの例のみに
限定されるものではない。なお、以下において、部およ
び%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるも
のとする。
【0181】参考例1〔重合体(b)の調製〕 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、n−ブタノール(n−BuO
H)500部およびオルソ蟻酸メチル45部を仕込ん
で、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次いで、
同温度でメチルメタアクリレート(MMA)300部、
n−ブチルメタクリレート(BMA)192部、iso
−ブチルメタクリレート(IBMA)200部、n−ブ
チルアクリレート(BA)198部、アクリル酸(A
A)10部および2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(HEMA)100部からなる混合物と、n−BuOH
356部およびtert−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート(TBPOEH)50部からなる混
合物と、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4
0部とを、それぞれ別々に、4時間かけて滴下した。滴
下終了後も、同温度で16時間撹拌することによって、
不揮発分が55.1%で、数平均分子量が10,000
のビニル系重合体の溶液を得た。以下、この溶液をビニ
ル系重合体(b−1−1)と略記する。
【0182】参考例2(同上) 参考例2と同様の反応容器に、n−BuOH 500部
およびオルソ蟻酸メチル45部を仕込んで、窒素ガスの
通気下に、80℃に昇温した。次いで、同温度でMMA
200部、BMA 342部、シクロヘキシルメタク
リレート(CHMA)200部、BA 198部、3−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(M
PTMS)10部およびAA 50部からなる混合物
と、n−BuOH 356部およびtert−ブチルパ
ーオキシ−2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリル
プロパノエート50部からなる混合物とを、それぞれ別
々に、4時間かけて滴下した。滴下終了後も、同温度で
16時間撹拌することによって、不揮発分が55.0%
で、数平均分子量が11,000のビニル系重合体の溶
液を得た。以下、この溶液をビニル系重合体(b−1−
2)と略記する。
【0183】参考例3〔対照用樹脂(b′)の調製〕 参考例1と同様の反応容器に、キシレン350部、n−
BuOH 150部およびオルソ蟻酸メチル45部を仕
込んで、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次い
で、同温度でMMA 400部、BMA 392部、B
A 198部およびAA 10部からなる混合物と、キ
シレン249部、n−BuOH 107部およびTBP
OEH 50部からなる混合物とを、それぞれ別々に、
4時間かけて滴下した。滴下終了後も、同温度で16時
間撹拌することによって、不揮発分が53.8%で、数
平均分子量が11,000のビニル系重合体からなる対
照樹脂の溶液を得た。以下、この溶液を対照樹脂(b′
−1)と略記する。
【0184】参考例4〜5(同上) 単量体の種類およびその使用量と、重合開始剤の種類お
よびその使用量とを、第1表に示すように変更した以外
は、参考例3と同様に重合を行なって、同表に示すよう
な性状値を有するビニル系重合体からなる対照樹脂の溶
液を得た。以下、これらの溶液を対照樹脂(b′−
2)、(b′−3)と略記する。
【0185】
【表1】
【0186】参考例6〔珪素化合物(a−1)の調製〕 温度計、環流冷却管および滴下漏斗を備えた反応容器
に、iso−ブチルトリメトキシシラン(IBTMS)
1,000部と、IPA 620部を仕込んで、60℃
まで昇温した。次いで、同温で「A−3」〔堺化学
(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕9
部と、脱イオン水303部との混合物を、5分間を要し
て滴下した。次いで、80℃まで昇温し、同温度で4時
間撹拌を行なった後、減圧蒸留でメタノールと水を除い
て、数平均分子量が1,200で、反応液中の有効成分
(使用したアルコキシシランが完全に加水分解し、さら
に完全に縮合した場合の固形分、以下同様)が50.1
%の珪素化合物の溶液を得た。以下、この溶液を珪素化
合物(a−1−1)と略記する
【0187】しかるのち、核磁気共鳴分析(1H-NM
R)により、(a−1−1)の分析を行ったところ、使
用したIBTMSの加水分解が100%進行しているこ
とが確認された。したがって、得られた珪素化合物(a
−1−1)は、IBTMSの完全加水分解縮合物であ
る、珪素原子に結合した水酸基を有するポリシロキサン
である。
【0188】参考例7(同上) 参考例6と同様の反応容器に、シクロヘキシルトリメト
キシシラン(CHTMS)806部とジメチルジメトキ
シシラン(DMDMS)86部を仕込んで、60℃まで
昇温した。次いで、同温で「A−3」8部と、脱イオン
水135部との混合物を5分間を要して滴下した。次い
で、80℃まで昇温し、同温度で4時間撹拌を行なった
後、減圧蒸留でメタノールと水を除いて、数平均分子量
が800で、反応液中の有効成分が73.0%の珪素化
合物の溶液を得た。以下、この溶液を珪素化合物(a−
1−2)と略記する
【0189】しかるのち、1H-NMRの分析結果より、
珪素化合物(a−1−2)の分析を行ったところ、当該
珪素化合物(a−1−2)は、珪素原子に結合した水酸
基とともに珪素原子に結合した加水分解性基をも有す
る、部分共加水分解縮合物たるポリシロキサンであるこ
とが確認された。
【0190】参考例8〔複合樹脂(I)の調製〕 温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、n−BuOH 505部と、フェニルトリメ
トキシシラン(PTMS)255部と、DMDMS 1
54部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に80℃まで昇
温した。次いで、同温度で撹拌しながら、MMA 37
9部、BMA 352部、BA 159部、AA 28
部およびMPTMS 28部からなる混合物と、n−B
uOH95部およびTBPOEH 95部からなる混合
物とを、それぞれ別々に、4時間をかけて滴下した。
【0191】滴下終了後、同温度で2時間攪拌を行った
のち、「A−3」4.2部と脱イオン水116部の混合
物を5分間をかけて滴下し、さらに16時間攪拌を続行
して、アクリル系重合体とPTMSおよびDMDMSと
を縮合せしめた。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留を行うこと
により、生成するメタノールと水を除去した。最後に、
キシレン600部で希釈することによって、不揮発分が
50.0%の複合樹脂溶液を得た。以下、この溶液を複
合樹脂(I−1)と略記する。
【0192】かくして得られた複合樹脂(I−1)を、
1H-NMRで分析したところ、PTMS、DMDMSお
よびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合し
たメトキシ基の加水分解が100%進行していることが
判明した。
【0193】参考例9(同上) 参考例8と同様の反応容器に、n−BuOH 686部
と、PTMS 74部と、DMDMS 45部とを仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。次い
で、同温度で撹拌しながら、MMA 390部、BMA
383部、BA 164部、AA 29部およびMP
TMS 10部からなる混合物と、n−BuOH 49
部およびTBPOEH 49部からなる混合物とを、そ
れぞれ別々に、4時間をかけて滴下した。
【0194】滴下終了後、同温度で2時間攪拌を行った
のち、「A−3」1.2部と脱イオン水34部の混合物
を、5分間をかけて滴下し、さらに16時間攪拌を続行
して、アクリル系重合体とPTMSおよびDMDMSと
を縮合せしめた。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留を行うこと
により、生成するメタノールと水を除去した。最後に、
キシレン315部で希釈することによって、不揮発分が
50.1%の複合樹脂溶液を得た。以下、この溶液を複
合樹脂(I−2)と略記する。
【0195】かくして得られた複合樹脂(I−2)を、1
H-NMR で分析したところ、PTMS、DMDMSお
よびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合し
たメトキシ基の加水分解が100%進行していることが
判明した。
【0196】参考例10(同上) 参考例8と同様の反応容器に、n−BuOH 686部
と、PTMS 74部と、DMDMS 45部とを仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。次い
で、同温度で撹拌しながら、MMA 390部、BMA
314部、BA 164部、AA 98部およびMP
TMS 10部からなる混合物と、n−BuOH 49
部およびTBPOEH 49部からなる混合物とを、そ
れぞれ別々に、4時間をかけて滴下した。
【0197】滴下終了後、同温度で2時間攪拌を行った
のち、「A−3」1.2部と脱イオン水34部の混合物
を5分間をかけて滴下し、さらに16時間攪拌を続行し
て、アクリル系重合体とPTMSおよびDMDMSとを
縮合せしめた。次いで、10〜300mmHgの減圧下
に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留を行うことに
より、生成するメタノールと水を除去した。最後に、キ
シレン315部で希釈することによって、不揮発分が4
9.9%の複合樹脂溶液を得た。以下、この溶液を複合
樹脂(I−3)と略記する。
【0198】かくして得られた複合樹脂(I−3)を、
1H-NMR で分析したところ、PTMS、DMDMS
およびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合
したメトキシ基の加水分解が100%進行していること
が判明した。
【0199】参考例11(同上) 参考例8と同様の反応容器に、参考例1で得られたビニ
ル系重合体(b−1−1)1,543部と、参考例6で
得られた珪素化合物(a−1−1)299部を仕込ん
で、80℃まで昇温し、同温度で4時間撹拌を行うこと
によって、ビニル系重合体(b−1−1)の加水分解反
応、および、ビニル系重合体(b−1−1)と珪素化合
物(a−1−1)とのあいだの縮合反応を行った。次い
で、10〜300mmHgの減圧下に40〜60℃で4
時間を要して減圧蒸留を行うことにより、生成するメタ
ノールと水を除去した。最後に、キシレン300部で希
釈することによって、不揮発分が50.8%の複合樹脂
溶液を得た。以下、この溶液を複合樹脂(I−4)と略
記する。
【0200】かくして得られた複合樹脂(I−4)を、
1H-NMR で分析したところ、ビニル系重合体(b−
1−1)に含有される珪素原子に結合したメトキシ基の
加水分解が100%進行していることが判明した。
【0201】参考例12(同上)
【0202】参考例8と同様の反応容器に、参考例2で
得られたビニル系重合体(b−1−2)1,273部
と、参考例7で得られた珪素化合物(a−1−2)41
1部と、n−BuOH 100部を仕込んで、80℃ま
で昇温し、次いで、脱イオン水250部を5分間をかけ
て滴下した。さらに、同温度で4時間撹拌を行うことに
よって、ビニル系重合体(b−1−2)と珪素化合物
(a−1−2)の加水分解反応、および、ビニル系重合
体(b−1−2)と珪素化合物(a−1−2)とのあい
だの縮合反応を行った。次いで、10〜300mmHg
の減圧下に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留を行
うことにより、生成するメタノールと水を除去した。最
後に、キシレン300部で希釈することによって、不揮
発分が50.2%の複合樹脂溶液を得た。以下、この溶
液を複合樹脂(I−5)と略記する。
【0203】かくして得られた複合樹脂(I−5)を、
1H-NMR で分析したところ、ビニル系重合体(b−
1−2)および珪素化合物(a−1−2)に含有される
珪素原子に結合したメトキシ基の加水分解が100%進
行していることが判明した。
【0204】参考例13〔ポリシロキサン(III-1)の
調製〕 温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、PTMS53部、DMDMS 32部および
IPA 300部を仕込んだのち、80℃まで昇温し
た。ついで、同温度にて撹拌下、「A−3」0.9部と
水24部の混合物を5分間をかけて滴下した。滴下終了
後、同温度で1時間反応を行ったのち、「MS−51」
〔三菱化学(株)性のテトラメトキシシランのオリゴマ
ー:有効成分=51%〕176部と「XR−31」〔G
E東芝シリコーン(株)製のメチルトリメトキシシラン
オリゴマー:有効成分=70%〕220部との混合物を
容器内に素早く投入した。次いで、同温度で撹拌下、水
130部を5分間をかけて滴下したのち、さらに同温度
で24時間反応を行った。最後に、10〜300mmH
gの減圧下に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留を
行うことにより、生成するメタノールと水を除去しの
ち、IPA 400部を添加することによって、不揮発
分が28.5%のポリシロキサン溶液を得た。以下、こ
の溶液をポリシロキサン(III-1−1)と略記する。
【0205】参考例14(同上) 参考例13と同様の反応容器に、CHTMS 55部、
DMDMS 32部およびIPA 300部を仕込んだ
のち、80℃まで昇温した。ついで、同温度にて撹拌
下、「A−3」0.9部と水24部の混合物を5分間を
かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応を行
ったのち、「MS−51」176部と「XR−31」2
20部との混合物を容器内に素早く投入した。次いで、
同温度で撹拌下、水130部を5分間をかけて滴下した
のち、さらに同温度で24時間反応を行った。最後に、
10〜300mmHgの減圧下に40〜60℃で4時間
を要して減圧蒸留を行うことにより、生成するメタノー
ルと水を除去しのち、IPA400部を添加することに
よって、不揮発分が28.1%のポリシロキサン溶液を
得た。以下、この溶液をポリシロキサン(III-1−2)
と略記する。
【0206】参考例15〔重合体(III-2)の調製〕 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、キシレン257部、n−BuO
H 500部およびオルソ蟻酸メチル45部を仕込ん
で、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次いで、
同温度で、MMA300部、BMA 92部、IBMA
200部、BA 198部、AA 10部、MPTM
S 100部およびHEMA 100部からなる混合物
と、n−BuOH 100部およびTBPOEH 50
部からなる混合物を、それぞれ別々に、4時間かけて滴
下した。滴下終了後も、同温度で16時間撹拌すること
によって、不揮発分が55.1%で、数平均分子量が1
2,000のビニル系重合体の溶液を得た。以下、この
溶液をビニル系重合体(III-2−1)と略記する。
【0207】参考例16(同上) 参考例15と同様の反応容器に、キシレン257部、n
−BuOH 500部およびオルソ蟻酸メチル45部を
仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次
いで、同温度で、MMA 300部、BMA 102
部、CHMA 200部、BA 198部、AA 10
0部およびMPTMS 100部からなる混合物と、n
−BuOH 100部およびTBPOEH 50部から
なる混合物を、それぞれ別々に、4時間かけて滴下し
た。滴下終了後も、同温度で16時間撹拌することによ
って、不揮発分が54.9%で、数平均分子量が11,
800のビニル系重合体の溶液を得た。以下、この溶液
をビニル系重合体(III-2−2)と略記する。
【0208】参考例17〔複合樹脂(III-3)の調製〕 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、キシレン350部と、n−Bu
OH 150部およびオルソ蟻酸メチル45部を仕込ん
で、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次いで、
同温度で、MMA 400部、BMA 392部、BA
198部、AA 10部およびMPTMS 30部か
らなる混合物と、キシレン249部、n−BuOH 1
07部およびTBPOEH 50部からなる混合物と
を、それぞれ別々に、4時間かけて滴下した。滴下終了
後も、同温度で16時間撹拌することによって、不揮発
分が54.4%で、数平均分子量が11,000の重合
体(p−1)の溶液を得た。
【0209】次いで、温度計、還流冷却器、撹拌機、滴
下漏斗および窒素導入管を備えた上述した反応容器とは
別の反応容器に、キシレン232部と、n−BuOH
100部と、PTMS 51部と、DMDMS 77部
と、メチルトリエトキシシラン(MTES)610部を
仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。
次いで、同温度で撹拌しながら、「A−3」0.02部
と脱イオン水231部の混合物を5分間をかけて滴下し
た。滴下終了後、同温度で4時間反応を行ったのち、調
製済みの重合体(p−1)547部を添加した。
【0210】さらに、同温度で4時間反応を続行するこ
とによって、PTMS、DMDMS、MTESおよび重
合体(p−1)中のMPTMSの共加水分解縮合反応を
行った。反応溶液を、1H-NMRで分析したところ、P
TMS、DMDMS、MTESおよびMPTMS中に含
まれていたトリメトキシシリル基の加水分解が、100
%進行していることが判明した。
【0211】最後に、10〜300mmHgの減圧下に
40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留を行うことによ
り、生成するメタノールとエタノールと水を除去するこ
とによって、不揮発分が55.0%の複合樹脂溶液を得
た。以下、この溶液を(III-3−1)と略記する。
【0212】参考例18(同上) 参考例17と同様の反応容器に、n−BuOH 979
部と、PTMS 171部と、DMDMS 104部と
を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温し
た。次いで、同温度で撹拌しながら、MMA 515
部、BMA 505部、BA 216部、AA 13部
およびMPTMS 39部の混合物と、n−BuOH
64部およびTBPOEH 64部からなる混合物と
を、それぞれ別々に、4時間をかけて滴下した。
【0213】滴下終了後、同温度で2時間攪拌を行った
のち、「A−3」0.03部と脱イオン水78部の混合
物を5分間をかけて滴下し、さらに1時間攪拌を続行す
ることによって、PTMS、DMDMSおよびMPTM
Sの共加水分解縮合反応を行った。反応溶液を、1H-N
MRで分析したところ、PTMS、DMDMSおよびM
PTMS中に含まれていたトリメトキシシリル基の加水
分解が、100%進行していることが判明した。
【0214】引き続き、この反応溶液中に、「XR−3
1」1,569部を撹拌しながら素早く投入し、さらに
脱イオン水522部を5分間かけて滴下したのち、80
℃で20時間撹拌を行った。最後に、10〜300mm
Hgの減圧下に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留
を行うことにより、生成するメタノールと水を除去しの
ち、キシレン1,050部を添加することによって、不
揮発分が54.5%の複合樹脂溶液を得た。以下、この
溶液を複合樹脂(III-3−2)と略記する。
【0215】参考例19(同上) 参考例17と同様の反応容器に、n−BuOH 979
部と、PTMS 171部と、DMDMS 104部と
を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温し
た。次いで、同温度で撹拌しながら、MMA 515
部、BMA 453部、BA 216部、AA 65部
およびMPTMS 39部の混合物と、n−BuOH
64部およびTBPOEH 64部からなる混合物と
を、それぞれ別々に、4時間をかけて滴下した。
【0216】滴下終了後、同温度で2時間攪拌を行った
のち、「A−3」0.03部と脱イオン水78部の混合
物を5分間をかけて滴下し、さらに、1時間攪拌を続行
することによって、PTMS、DMDMSおよびMPT
MSの共加水分解縮合反応を行った。反応溶液を、1H-
NMRで分析したところ、PTMS、DMDMSおよび
MPTMS中に含まれていたトリメトキシシリル基の加
水分解が、100%進行していることが判明した。
【0217】引き続き、この反応溶液中に、「XR−3
1」1,569部を撹拌しながら素早く投入し、さらに
脱イオン水522部を5分間かけて滴下したのち、80
℃で20時間撹拌を行った。最後に、10〜300mm
Hgの減圧下に40〜60℃で4時間を要して減圧蒸留
を行うことにより、生成するメタノールと水を除去しの
ち、キシレン1,050部を添加することによって、不
揮発分が54.6%の複合樹脂溶液を得た。以下、この
溶液を複合樹脂(III-3−3)と略記する。
【0218】実施例1〜7および比較例1〜11 参考例3〜5で調製した対照用樹脂(b′)、参考例8
〜12で調製した複合樹脂(I)、参考例13〜19で
調製した重合体(III)、顔料および溶剤を、第2表
(1)〜(5)に示す配合組成の混合物を、サンドミル
で30分間混合することにより、各種の加工顔料を調製
した。
【0219】得られた加工顔料の顔料重量濃度(PW
C)は、第2表に示す通りである。また、加工顔料の保
存安定性の評価として、40℃に1ヵ月間保存せしめた
後の当該加工顔料の状態を目視外観により観測した結果
についても第2表に記載する。
【0220】
【表2】
【0221】《第2表の脚注》 ・複合樹脂、顔料、溶剤の数値は、いずれも重量部数で
ある。 ・「CR−97」……石原産業(株)製の酸化チタン系
白色顔料「タイペークCR−97」
【0222】
【表3】
【0223】
【表4】
【0224】
【表5】
【0225】
【表6】
【0226】実施例8〜15および比較例12〜15 実施例1〜7で調製した加工顔料または比較例1〜4で
調製した比較用加工顔料と、重合体(III)と、必要に
応じて、触媒と、化合物(IV)とを、第3表(1)〜
(3)に示す組成で配合せしめることによって、PWC
が35%の各種の上塗り用の白色塗装剤を調製した。
【0227】
【表7】
【0228】《第3表の脚注》 ・加工顔料、重合体、触媒、硬化剤の数値は、いずれ
も、重量部数である。 ・「DBTDAc」……ジブチル錫ジアセテート ・「N−MIm」………N−メチルイミダゾール ・「GPTMS」………3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン
【0229】
【表8】
【0230】《第3表の脚注》 ・「D−550」……大日本インキ化学工業(株)製無
黄変型ブロックイソシアネート「バーノック D−55
0」;NCO含有量=6.0〜7.0%、不揮発分=5
5% ・「L−127」……大日本インキ化学工業(株)製n
−ブチル化メラミン「スーパーベッカミン L−127
−60」;不揮発分=60%
【0231】
【表9】
【0232】実施例16〜23および比較例16〜19 先ず、後掲する市販品たる各種製品や各種試作品を用
い、それぞれ顔料を添加しない形のクリヤー塗料として
の各種の下塗り用塗装剤を調製した。なお、塗装に当た
っては、それぞれの塗装剤に応じた、適切なる有機溶剤
系シンナーで希釈している。また、さらに必要に応じ
て、所定の硬化剤をも配合せしめて、各種の下塗り用塗
装剤を調製した。
【0233】まず、溶剤系アクリル・ウレタン系塗料と
しては、それぞれ、ベース樹脂としての「アクリディッ
ク A−809」〔大日本インキ化学(株)製アクリル
・ポリオール樹脂のキシレン/酢酸n−ブチル溶液;不
揮発分=50%、25℃におけるガードナー粘度(以後
も同様)=W、酸価=4mgKOH/g、水酸基価=2
0mgKOH/g〕と、硬化剤としての「バーノック
DN−980」(同上社製ポリイソシアネート樹脂の酢
酸エチル溶液;不揮発分=75%、ガードナー粘度=
A、イソシアネート基含有率=15.5%)とを配合て
得られたものを用いたが、以下、これを、下塗り用塗装
剤という意味で、(下−1)と略記する。
【0234】さらに、溶剤系焼付型ポリエステル樹脂系
塗料としては、それぞれ、ベース樹脂としての「ベッコ
ライト M−6205−50」〔大日本インキ化学工業
(株)製ポリエステル樹脂のキシレン/シクロヘキサノ
ン/n−ブタノール溶液;不揮発分=50%、ガードナ
ー粘度=V、酸価=4mgKOH/g〕と、硬化剤とし
ての「スーパーベッカミン L−117−60」(同上
社製ブチル化メラミン樹脂のキシレン/ブタノール溶液
の商品名;不揮発分=60%、ガードナー粘度=H、酸
価=<1mgKOH/g)とを配合せしめて得られたも
のを用いたが、以下、これを(下−2)と略記する。
【0235】次いで、それぞれの下塗り用塗装剤と、上
塗り用の白色塗装剤とを、第4表(1)〜(4)に示す
ように、各種の基材上に、まず、予め下塗りを施す場合
には、それぞれの下塗りを、各別にスプレーにより乾燥
膜厚が30μmとなるように塗装せしめ、第4表(1)
〜(4)に示す乾燥条件で乾燥せしめたのちに、さら
に、その上に、各別に上塗り塗料をスプレーにより乾燥
膜厚が50μmとなるように塗装せしめ、所定の乾燥条
件で乾燥硬化せしめるようにした。
【0236】また、基材上に直接塗装する場合には、各
別に、上塗り塗料をスプレーにより乾燥膜厚が50μm
となるように塗装せしめ、所定の乾燥条件で乾燥硬化せ
しめるようにした。
【0237】乾燥後の塗膜についての諸性能の評価判定
の項目としては、ゲル分率、サンシャイン・ウェザオメ
ータ−による促進の耐候性、2ヶ月に及ぶ屋外曝露を行
ったのちの耐汚染性ならびに耐アルカリ性である。それ
らの結果をまとめて第4表(1)〜(4)に示す。
【0238】
【表10】
【0239】《第4表の脚注》 ・「ゲル分率」は、塗膜をアセトン中で、室温下にて、
24時間のあいだ浸漬させた後の不溶出分を100分率
(%)で表示したものである。
【0240】・「耐候性」は、サンシャイン・ウエザオ
メーターによる、4,000時間に及ぶ曝露を行なった
のちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)なる光沢値を、
未曝露時における塗膜の光沢値で除して、それを100
倍した値(光沢保持率:%)を表示したものである。そ
の値が大きいほど、耐候性が良好である。
【0241】・「耐汚染性」は、屋外において、2ヵ月
間に及ぶ曝露を行なったのちの未洗浄の塗膜と、未曝露
時の塗膜との色差(△E)を表示したものである。その
値が、ゼロに近いほど、耐汚染性が良好である。
【0242】・「耐アルカリ性」は、それぞれの試験板
を5%水酸化ナトリウム水溶液中に、室温下、24時間
浸漬せしめたのち、塗膜表面を各別に水洗し乾燥してか
ら、その表面状態を目視により評価判定したものであ
る。その際の評価判定の基準は次の通りである。 ○…異常なし △…光沢低下 ×…塗膜の剥離または塗膜の溶出
【0243】
【表11】
【0244】
【表12】
【0245】
【表13】
【0246】
【発明の効果】本発明の加工顔料は、貯蔵安定性に優
れ、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を含有する重合体を主剤とする
硬化性樹脂組成物に対して、公知慣用の幅広い顔料によ
る着色を施すことができる。
【0247】さらに、この加工顔料と、珪素原子に結合
した水酸基および/または加水分解性基を含有する重合
体を必須成分として含有する、本発明の着色硬化性樹脂
組成物は、耐溶剤性、耐薬品性、耐酸性、耐アルカリ性
ならびに耐水性等の諸性能にも優れる硬化物を形成する
ことができる。
【0248】加えて、本発明の着色硬化性樹脂組成物を
上塗り用として塗装せしめて得られる、本発明の塗装物
は、下塗り用塗装剤の種類に関わらず、普遍的に、光沢
保持性等の耐久性に優れ、さらには、耐曝露汚染性にも
優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 CA34 CA38 CA44 CB04 EB19 EB38 EB43 EC11 4J037 CC28 FF23 4J038 DL051 EA011 KA08 KA15 NA26

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加水分解性基および/または水酸基とこ
    れら以外の総炭素原子数が4個以上の有機基とが共に結
    合した珪素原子、および/または、加水分解性基または
    水酸基の1個とこれら以外の総炭素原子数が3個以下の
    有機基の2個とが共に結合した珪素原子を有し、且つ、
    下記の構造式(1)および(2) 【化1】 〔ただし、式中、R1 は炭素原子数が3個以下なるアル
    キル基を表す。〕で示される構造中に含まれる珪素原子
    の合計が全珪素原子の30モル%以下であるポリシロキ
    サンセグメント(A)と、ポリシロキサン以外の重合体
    セグメント(B)とからなる複合樹脂(I)に、顔料
    (II)を分散せしめて得られる加工顔料。
  2. 【請求項2】 前記した複合樹脂(I)を構成するポリ
    シロキサンセグメント(A)と重合体セグメント(B)
    とが、下記の構造式(3) 【化2】 〔ただし、式中、炭素原子は重合体セグメント(B)の
    一部分を構成し、2個の珪素原子はポリシロキサンセグ
    メント(A)またはポリシロキサンセグメント(A)の
    一部分を構成する。〕で示される結合により結合してい
    る、請求項1に記載の加工顔料。
  3. 【請求項3】 前記したポリシロキサンセグメント
    (A)が、下記の一般式(4)および/または(5) 【化3】 〔ただし、式中、R2 は炭素原子数が4個以上のアルキ
    ル基、炭素原子数が5個以上のシクロアルキル基、アリ
    ール基またはアラルキル基を、R3 はアルキル基、シク
    ロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を、R4
    は炭素原子数4個以下のアルキル基を、R5 は炭素原子
    数が3個以下の有機基を表し、また、mは0または1の
    整数である。〕で示されるアルコキシシラン化合物を7
    0モル%以上含有してなるアルコキシシラン化合物類の
    加水分解縮合物、該アルコキシシラン化合物類の共加水
    分解縮合物、該アルコキシシラン化合物類の部分加水分
    解縮合物および該アルコキシシラン化合物類の部分共加
    水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の
    ポリシロキサンに由来するセグメントである、請求項1
    または2に記載の加工顔料。
  4. 【請求項4】 前記した重合体セグメント(B)が、ビ
    ニル系重合体またはポリウレタン系重合体に由来するセ
    グメントである、請求項1、2または3に記載の加工顔
    料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の加工顔
    料と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を含有する重合体(III) を
    必須成分として含有することを特徴とする着色硬化性樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記した重合体(III) が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を含有するポリシロキサン(III-1)、珪素原
    子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する重合体〔ただし、該ポリシロキサ
    ン(III-1)を除く。〕(III-2)、および、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を含有するポリシロキサンセグメントとポリ
    シロキサン以外の重合体セグメントから構成される複合
    樹脂(III-3)からなる群から選ばれる少なくとも1種
    の重合体である、請求項5に記載の着色硬化性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の着色硬化性樹
    脂組成物を塗装せしめてなるものであることを特徴とす
    る塗装物。
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